JP7724491B2 - ヘルメット - Google Patents

ヘルメット

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本発明は、着用者の顔面を覆うシールドを備えるヘルメットに関する。
従来、着用者の頭部を覆う帽体と、該帽体の内側に設けられて着用者の頭部に接する着装体と、該着装体と前記帽体との間に設けられた衝撃吸収ライナーと、前記帽体に連結されて着用者の顔面を覆う透明なシールドとを備えるヘルメットが知られている(例えば下記特許文献1参照)。
この種のヘルメットは、火災時の消火活動、溶接作業、建物の解体作業等を行う際に着用して顔面をシールドで覆うことにより、着用者の頭部と共に顔面を飛来物等から保護することができる。
特開2003-49316号公報
ところで、作業環境によっては、シールド付のヘルメットを着用するだけでなく、呼吸用保護具(防じんマスク、防毒マスク、呼吸器等)を着用する場合がある。
しかし、従来のシールド付のヘルメットは、呼吸用保護具を着用した場合のことは考慮されておらず、呼吸用保護具が張り出している着用者の顔面をシールドで覆うことが困難であるか、或いは、シールドで覆ったとしてもシールドと顔面との距離が極度に離れるために一体感が阻害される。
そこで、シールドを、着用者の顔面の前方に膨出する比較的大型の球面形状に形成することが考えられる。これによれば、シールドの周縁部と着用者の顔面周囲との距離を近接させながら、着用者の顔面の前方のシールド内面側に十分に広い空間を形成することができるので、呼吸用保護具の着用の有無にかかわらず顔面を良好に覆うことができる。
しかし、上記のようにシールドを大型の球面形状に形成すると、着用者の頭部の周囲を囲っている帽体の下縁の湾曲形状と、球面形状とされたシールドの上縁の湾曲形状とが一致せず、帽体とシールドとの間に比較的大きな間隙が形成されてしまい、この間隙から粉じんや火の粉等の異物がヘルメットの内部に入り込むおそれがある。
上記の点に鑑み、本発明は、呼吸用保護具の着用の有無にかかわらず顔面を良好に覆うだけでなく、異物が帽体とシールドとの間から内部に入り込むことを防止したヘルメットを提供することを目的とする。
本発明は、着用者の頭部を覆う帽体と、該帽体の内側に設けられて着用者の頭部に接する着装体と、該着装体と前記帽体との間に設けられた衝撃吸収ライナーと、前記帽体に連結されて着用者の顔面を覆う透明なシールドとを備えるヘルメットにおいて、前記シールドは、前方に向かって球面状に膨出する第1膨出面部と、該第1膨出面部の上側に連設され、前記第1膨出面部と独立した球面状に膨出して前記帽体内面に対向する第2膨出面部とを備え、前記第2膨出面部の周方向の湾曲形状は、前記帽体の下縁の周方向の湾曲形状に近似する形状に設定されていることを特徴とする。
本明細書において、前側や前方とはヘルメットを装着した着用者の顔面が向く方向をいい、後側や後方とは着用者の後頭部の方向をいう。
本発明によれば、シールドの第1膨出面部が前方に向かって球面状に膨出する形状であることにより、顔面を覆ったときに、顔面の前方におけるシールドの内側に十分な空間を形成することができる。これによれば、呼吸用保護具を着用した状態の顔面を確実に覆うことができる。しかも、球面状に膨出する第1膨出面部は、その周縁部が顔面の周囲に近接するので、呼吸用保護具の着用の有無にかかわらず顔面を確実に覆うことができる。
そして、本発明は更に、第1膨出面部の上側に連設した第2膨出面部が帽体の内面に対向する。第2膨出面部は、第1膨出面部と独立した球面状に膨出させることにより、第1膨出面部とは異なる曲面に形成される。これにより、第1膨出面部の形状を維持して、第2膨出面部の湾曲形状を、帽体の下縁の湾曲形状に近似させて形成することができる。従って、顔面の前方のシールドの内側に十分な空間を形成しながら、帽体と第2膨出面部との間に形成される間隙を容易に小さくすることができるので、異物が帽体とシールドとの間からヘルメットの内部に入り込むことを容易に防止することができる。
また、本発明においては、前記第1膨出面部と前記第2膨出面部との境界線を、谷溝状に形成することにより、境界線がリブとして作用させることができ、シールドの強度を向上させることができる。
また、本発明においては、前記帽体の、前記シールドの前記第2膨出面部に対向する部分を透明材料により形成することにより、シールドの第2膨出面部を介した視界が帽体に妨げられることを防止することができ、顔面をシールドで覆った状態で広い視野を確保することができる。
また、本発明において、前記シールドは、着用者の顔面を覆う位置とその上方位置との間で回動可能とするシールド支持軸を介して前記帽体に連結され、前記帽体と前記着装体との間に、上方位置に回動された前記シールドを収容するシールド収容部を備えることを特徴とする。
シールド収容部は、帽体と前記着装体との間に設けたシールド用の収容空間である。帽体と前記着装体との間にシールド収容部を設けたことにより、シールドによる顔面の保護が不要なときや、ヘルメットを持ち運ぶとき等に、シールドを上方に(帽体の内面に向かって)回動させて帽体の内側に収容することができる。
このとき、前記衝撃吸収ライナーは、前記シールド収容部に収容された状態の前記シールドと前記帽体との間に位置する上部ライナーと、前記シールド収容部に収容された状態の前記シールドと前記着装体との間に位置する下部ライナーとを備えることが好ましい。
シールド収容部は、帽体と着装体との間に設けられているが、帽体と着装体との間には衝撃吸収ライナーも設けられている。このため、シールドと衝撃吸収ライナーとの干渉を防止するために、シールド収容部を、帽体と衝撃吸収ライナーとの間、或いは、衝撃吸収ライナーと着装体との間に設けることが考えられる。しかし、衝撃吸収ライナーは、十分な衝撃吸収性能を得るために、比較的厚み寸法が大きい。そして、シールド収容部と衝撃吸収ライナーとが帽体の内部で上下に重なることにより、帽体が大型化する不都合がある。そして、帽体の大型化を防止するために、衝撃吸収ライナーの厚み寸法を小さくすることも考えられるが、こうすると、十分な衝撃吸収能力が得られないおそれがある。
そこで、本発明においては、シールド収容部に位置する部分の衝撃吸収ライナーを上部ライナーと下部ライナーとで構成し、シールド収容部のシールドが上部ライナーと下部ライナーとの間に入り込むようにしておく。こうすることにより、上部ライナーと下部ライナーとを夫々厚み寸法を小としながら、シールドの収容空間を確保することができ、帽体の大型化を防止することができる。
本発明の実施形態によるヘルメットの側面図。 図1のヘルメットの縦断面図。 シールドの斜視図。 シールドを収納した状態を示す断面図。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態によるヘルメット1は、例えば、火災時の消火活動時に消防士等が着用するのに好適なものであり、図1に示すように、着用者の頭部を保護するヘルメット本体2と、着用者の顔面を保護する透明のシールド3とを備えている。
ヘルメット本体2は、図2Aに示すように、着用者の頭部を覆う帽体4と、帽体4の内側に設けられて着用者の頭部に接する着装体5と、着装体5を着用者の頭部に固定するあごひも6と、外部から帽体4が受けた衝撃を吸収し緩和する衝撃吸収ライナー7とで構成されている。
帽体4は、図1及び図2Aに示すように、透明部材8と、カバー部材9とを備えている。帽体4は、FRP等の硬質材料により形成されている。帽体4の前側端部の所定範囲(本実施形態においては着用者の額を覆う部分)には前端切欠き部4aが形成されている。透明部材8は、ポリカーボネート等の有機ガラスにより形成されており、前端切欠き部4aに設けられている。これにより、透明部材8は、着用者の前側上方の視界を確保している。
カバー部材9は、帽体4の前面上方位置に形成されている角形成部分4bを覆って補強するが、それだけでなく、透明部材8を支持するための構造も有している。即ち、カバー部材9の裏面には、図2Bに示すように、帽体4の前面に当接する凸部9aが形成されている。この凸部9aにはネジ部材10が挿通され、ネジ部材10の締結によりカバー部材9が帽体4に固定される。カバー部材9の凸部9aは、図外のものを含めいて複数個所に形成されている。カバー部材9の凸部9aは、透明部材8に設けられた支持片8aを貫通することで支持片8aを掛止状態とする。これにより、透明部材8はカバー部材9の凸部9aに吊下げられた状態で支持される。一方、ネジ部材10を外してカバー部材9の帽体4への固定状態を解除すると、同時に透明部材8の帽体4への支持状態も解除されるので、透明部材8やカバー部材9の交換も容易である。
図2Aに示すように、着装体5は、着用者の頭部に柔軟に対応する形状のハンモック5aと、着用者の頭部の外周に装着するヘッドバンド5bとを備えている。
衝撃吸収ライナー7は、発砲スチロール等の緩衝材料により形成され、帽体4と着装体5との間に設けられている。衝撃吸収ライナー7の前半部は、所定の空隙(後述するように、シールド3が収容可能となる大きさの空隙)を存して、上部ライナー11と下部ライナー12とに分かれている。
シールド3は、ポリカーボネート等の有機ガラスにより形成されており、図2A及び図3に示すように、第1球面部3a(第1膨出面部)と、第1球面部3aの上側に連設された第2球面部3b(第2膨出面部)と、第1球面部3aの下側に連設された第3球面部3c(第3膨出面部)とを備えている。
第1球面部3aと第2球面部3bと第3球面部3cとは、夫々の位置に応じて独立した球面で形成されている。夫々を単独の球面とすることにより、金型の製造上に生じる歪み発生を防止することができ、金型精度が向上する。
第1球面部3aと第3球面部3cとは、図1及び図2Aに示すように、ヘルメット本体2から露出する。そして、球面状に膨出する形状の第1球面部3aと第3球面部3cとにより、シールド3と着用者の顔面との間に比較的大きな空間が形成され、例えば、図示しないが、呼吸用保護具を着用した状態の顔面であっても、その外側から確実に覆うことができる。
第2球面部3bは、図2Aに示すように、帽体4の一部を構成している透明部材8の内面に対向する。このとき、第2球面部3bと透明部材8とが透明材料によって形成されていることにより、着用者の前側上方の視界が確保される。
第2球面部3bの上縁は、帽体4の前端切欠き部4aの端縁(前端切欠き部4aと透明部材8との境界)の周方向の曲線に近似する部分が球面の切断端縁となるように設定されている。これにより、第2球面部3bの上縁が帽体4の前端切欠き部4aの端縁に近接するので、シールド3と帽体4との間を介して、帽体4の内部への火の粉や塵埃等の入り込みを防止することができる。
また、図2A及び図3に示すように、第1球面部3aと第2球面部3bとの境界線3d、及び、第2球面部3bと第3球面部3cとの境界線3eは、隣接する球面間の境界であることにより、谷溝状(本実施形態においてはV字状の溝)に形成されている。これにより、両境界線3d,3eが補強リブとして作用するので、シールド3に高い強度が付与される。
シールド3は、図2Aに示すように、シールド支持軸13を介して帽体4に支持されている。シールド支持軸13は、シールド3を、着用者の顔面を覆う位置とその上方位置との間で回動可能な状態として帽体4に連結している。
図2A及び図4に示すように、ヘルメット本体2の内部には、シールド3を収容するためのシールド収容部14が形成されている。シールド収容部14は、衝撃吸収ライナー7の上部ライナー11と下部ライナー12との間を含む、帽体4と着装体5との間に形成された空間である。シールド支持軸13を軸としてシールド3を着用者の顔面を覆う位置から上方位置にシールド3を回動させると、シールド3はシールド収容部14に収容される。
なお、シールド支持軸13は、その内部構造についての図示及び構造の詳細については省略するが、シールド3を回動させる際に適度な抵抗をもって回動させるように構成されている。シールド3を回動させる際の抵抗は、回動途中であってもシールド3が自重で回動しない程度とすることが好ましい。また、クラッチ機構を有して回動時のクリック感を持たせてもよい。これにより、衝撃等によって収容状態のシールドが不用意に下方に回動することが防止できる。
また、上部ライナー11と下部ライナー12とは、両者の間に形成される空間をシールド収容部14の一部とすることにより、収容時のシールド3と衝撃吸収ライナー7との干渉を防止する。
ところで、ヘルメット本体2にシールド3を収容する場合には、図示しないが、衝撃吸収ライナーと着装体との間、或いは、帽体と衝撃吸収ライナーとの間に空間を設けることが考えれる。しかし、こうした場合には、十分な衝撃吸収能力を有する衝撃吸収ライナーは厚み寸法も比較的大きいために、ヘルメット本体2が大型化する不都合がある。そこで、衝撃吸収ライナーと着装体との間、或いは、帽体と衝撃吸収ライナーとの間にシールドを収容する空間を設ける場合には、衝撃吸収ライナーは厚み寸法を小さくすることで、ヘルメット本体2の大型化を防止することができる。しかし、これによると、衝撃吸収ライナーの衝撃吸収能力が極度に低下してしまう不都合がある。
それに対して、本実施形態のように、衝撃吸収ライナー7の一部を上部ライナー11と下部ライナー12とで構成し、上部ライナー11と下部ライナー12との間をシールド3の収容空間の一部とすることにより、ヘルメット本体2の大型化を防止してしかも、衝撃吸収性能の極度な低下を抑えることができる。
以上のように、本実施形態のヘルメット1は、上記構成のシールド3を備えることにより、着用者の顔面を覆うシールド3の内側に比較的大きな空間が形成されるので、呼吸用保護具を着用した顔面をシールド3で覆うことができる。このとき、前記透明部材8によって前側上方の視界が遮られることがなく、広い視界を確保することができる。更に、シールド3の第2球面部3bによって顔面を覆った状態のシールド3と帽体4との間の隙間を極めて小さくすることができてヘルメット1内部への異物の入り込みを防止することができる。しかも、上記構成のシールド収容部14によって、衝撃吸収性能の極度な低下を抑えながら、ヘルメット1の大型化を防止することができる。
1…ヘルメット、3…シールド、4…帽体、5…着装体、5a…第1球面部(第1膨出面部)、5b…第2球面部(第2膨出面部)、5d…境界線、7…衝撃吸収ライナー、8…透明部材(第2膨出面部に対向する部分)、11…上部ライナー、12…下部ライナー、13…シールド支持軸、14…シールド収容部。

Claims (5)

  1. 着用者の頭部を覆う帽体と、該帽体の内側に設けられて着用者の頭部に接する着装体と、該着装体と前記帽体との間に設けられた衝撃吸収ライナーと、前記帽体に連結されて着用者の顔面を覆う透明なシールドとを備えるヘルメットにおいて、
    前記シールドは、前方に向かって球面状に膨出する第1膨出面部と、該第1膨出面部の上側に連設され、前記第1膨出面部と独立した球面状に膨出して前記帽体内面に対向する第2膨出面部とを備え
    前記第2膨出面部の周方向の湾曲形状は、前記帽体の下縁の周方向の湾曲形状に近似する形状に設定されていることを特徴とするヘルメット。
  2. 前記第1膨出面部と前記第2膨出面部との境界線は、谷溝状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のヘルメット。
  3. 前記帽体は、前記シールドの前記第2膨出面部に対向する部分が透明材料により形成されていることを特徴する請求項1又は2記載のヘルメット。
  4. 前記シールドは、着用者の顔面を覆う位置とその上方位置との間で回動可能とするシールド支持軸を介して前記帽体に連結され、
    前記帽体と前記着装体との間に、上方位置に回動された前記シールドを収容するシールド収容部を備えることを特徴とする請求項1~3の何れか1項記載のヘルメット。
  5. 前記衝撃吸収ライナーは、前記シールド収容部に収容された状態の前記シールドと前記帽体との間に位置する上部ライナーと、前記シールド収容部に収容された状態の前記シールドと前記着装体との間に位置する下部ライナーとを備えることを特徴とする請求項4記載のヘルメット。
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