JP7725192B2 - 構造体 - Google Patents

構造体

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Description

本発明は、構造体に関する。
ポリフェニレンエーテル系樹脂は、電気絶縁性に優れ、耐熱性、耐加水分解性及び難燃性が良好であることから、家電、OA機器、自動車部品等に使用されている。またポリフェニレンエーテル系樹脂は単体では成形加工性が悪いため、主にポリスチレン等と混練して用いられている。ポリスチレンとポリフェニレンエーテル系樹脂のアロイは従来から太陽光発電モジュール等の電子回路を収納する箱として用いられている(例えば特許文献1、2を参照)。
国際公開第2010/047122号 国際公開第2012/111628号
ポリスチレンとポリフェニレンエーテル系樹脂のアロイを、電子回路を収納する箱として用いる場合、一般的にシリコン系封止剤が封止剤として用いられている。当該シリコン系封止剤はコストが高く、より安価な封止剤を用いる要求が高まっている。しかし、当該電子回路の封止剤としてウレタン系封止剤を用いた場合、箱にひび割れや強度低下等の問題が生じる場合があった。
そこで本発明においては、電子回路収納箱に電子回路が収納され、上記電子回路がウレタン系封止剤で封止された構造体において、上記箱にひび割れや強度低下がなく、また絶縁特性に優れた構造体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、(a)結晶性熱可塑性樹脂と(b)ポリフェニレンエーテル樹脂を含有する樹脂組成物からなる箱を用いることで、ウレタン系封止剤で電子回路を封止した場合であってもひび割れや強度低下がなく、また絶縁特性性に優れる構造体が得られることを見出した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
箱に電子回路が収納され、前記電子回路の少なくとも一部がウレタン系封止剤で封止された構造体であって、
前記箱と、前記ウレタン系封止剤とが少なくとも一部で接触しており、
前記箱は、(a)結晶性熱可塑性樹脂と(b)ポリフェニレンエーテル樹脂とを含有する樹脂組成物からなり、
前記箱は、前記(a)成分を主成分とする(A)相、及び前記(b)成分を主成分とする(B)相を含み、
前記樹脂組成物の(a)成分と(b)成分との含有割合が、(a)成分と(b)成分との合計100質量部に対して、(a)成分が15~60質量部、(b)成分が40~85質量部であり、
前記樹脂組成物100質量%中の、(a)成分と(b)成分との合計質量の割合が65質量%以上であり、
前記箱と前記ウレタン系封止剤との接触部において、前記箱の表面から厚み方向に1μmから3μmの範囲の前記(A)相と前記(B)相との相体積比率(A)/(B)をXとし、前記箱の厚み方向中心部の前記(A)相と前記(B)相との相体積比率(A)/(B)をYとしたとき、0.1≦X≦0.5かつY≧Xであり、前記Yが1未満である、ことを特徴とする構造体。
[2]
前記樹脂組成物の、示差走査熱量計で測定される融解ピークの融点が150℃以上300℃以下、かつ融解エンタルピーが15J/g以上85J/g以下である、[1]に記載の構造体。
[3]
前記(a)成分がポリプロピレンである、[1]又は[2]に記載の構造体。
[4]
前記樹脂組成物が、さらに(c)水素添加ブロック共重合体を含有する、[3]に記載の構造体。
[5]
(a)成分と(b)成分との合計100質量部に対して、(c)成分を1~20質量部含有する、[4]に記載の構造体。
[6]
前記樹脂組成物が、さらに(d)リン系難燃剤を含有する、[1]~[5]のいずれかに記載の構造体。
[7]
(a)成分と(b)成分との合計100質量部に対して、(d)成分を5~45質量部含有する、[6]に記載の構造体。
[8]
前記(d)成分がリン酸エステル系難燃剤を含む、[6]又は[7]に記載の構造体。
[9]
前記箱の表面で測定した耐トラッキング電圧が600V以上である、[1]~[8]のいずれかに記載の構造体。
10
前記ウレタン系封止剤が、フタル酸系エステルを含む、[1]~[9]のいずれかに記載の構造体。
11
前記ウレタン系封止剤が、炭素数6以上のメチレン鎖を有するオキシアルキレン化合物を含む、[1]~[10]のいずれかに記載の構造体。
12
前記ウレタン系封止剤が、ひまし油から合成されるオキシアルキレン化合物を含む、[11]に記載の構造体。
13
太陽光発電モジュールに用いられる、[1]~[12]のいずれかに記載の構造体。
14
太陽光発電接続コネクタである、[1]~[12]のいずれかに記載の構造体。
15
太陽光発電用ジャンクションボックスである、[1]~[12]のいずれかに記載の構造体。
本発明によれば、電子回路収納箱に電子回路が収納され、上記電子回路がウレタン系封止剤で封止された構造体において、上記箱にひび割れや強度低下がなく、また絶縁特性に優れた構造体が得られる。
実施例の箱の概略図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
[構造体]
本実施形態の構造体は、箱に電子回路が収納され、上記電子回路の少なくとも一部がウレタン系封止剤で封止された構造体であって、上記箱と、上記ウレタン系封止剤とが少なくとも一部で接触しており、上記箱は、(a)結晶性熱可塑性樹脂と(b)ポリフェニレンエーテル樹脂とを含有する樹脂組成物からなり、上記箱は、上記(a)成分を主成分とする(A)相、及び上記(b)成分を主成分とする(B)相を含み、上記箱と上記ウレタン系封止剤との接触部において、上記箱の表面から厚み方向に1μmから3μmの範囲の上記(A)相と上記(B)相との相体積比率(A)/(B)をXとし、上記箱の厚み方向中心部の上記(A)相と上記(B)相との相体積比率(A)/(B)をYとしたとき、0.1≦X≦1かつY≧Xである
なお、本明細書において、(a)結晶性熱可塑性樹脂を「(a)成分」、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂を「(b)成分」と称する場合がある。
<樹脂組成物>
((a)結晶性熱可塑性樹脂)
本実施形態で用いられる(a)結晶性熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、シンジオクタチックポリスチレン等が挙げられる。耐熱性と加工性の観点から、その中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド66、ポリアミド9Tが好ましく、ポリプロピレンが特に好ましい。
上記(a)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
-ポリプロピレン-
上記ポリプロピレンとしては、特に限定されることなく、例えば、変性されていないポリプロピレン、変性ポリプロピレン、及び両者の混合物等が挙げられる。ポリプロピレンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
上記ポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)は、樹脂組成物について、燃焼時のドローダウンを抑制し、流動性と機械的強度とのバランスを高める観点から、400,000以上であることが好ましく、700,000以上であることが更に好ましく、750,000以上であることが特に好ましく、また、1,500,000以下であることが好ましく、1,300,000以下であることが更に好ましい。
なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう)を用いて、従来公知の方法により求めることができ、ここで、移動相としては、特に限定されることなく、例えば、o-ジクロロベンゼンを用いることができ、標準物質としては、特に限定されることなく、例えば、ポリスチレンを用いることができる。
ポリプロピレンとしては、特に限定されることなく、例えば、プロピレンを繰り返し単位構造とする単独重合体及び/又は共重合体等が挙げられ、結晶性プロピレン単独重合体、結晶性プロピレン-エチレンブロック共重合体、結晶性プロピレン単独重合体と結晶性プロピレン-エチレンブロック共重合体との混合物が好ましい。
上記結晶性プロピレン-エチレンブロック共重合体としては、特に限定されることなく、例えば、結晶性プロピレン単独重合体部分とプロピレン-エチレンランダム共重合体部分とを有するもの等が挙げられる。
ポリプロピレンのメルトフローレート(以下、「MFR」ともいう)は、樹脂組成物について、燃焼時のドローダウンを抑制し、流動性と機械的強度とのバランスを高める観点から、0.1g/10分以上であることが好ましく、0.3g/10分以上であることが更に好ましく、また、10g/10分以下であることが好ましく、6g/10分以下であることが更に好ましく、3g/10分以下であることが特に好ましい。
なお、MFRは、具体的には、ISO1133に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件下で測定することができる。
ポリプロピレンの製造方法としては、特に限定されることなく、公知のものを用いることができる。
ポリプロピレンの製造方法の具体例としては、例えば、三塩化チタン触媒又は塩化マグネシウム等の担体に担持されたハロゲン化チタン触媒等とアルキルアルミニウム化合物とを含む重合触媒組成物の存在下で、温度0~100℃、圧力3~100気圧の条件下で、プロピレンを重合する方法等が挙げられる。
上記方法では、重合体の分子量を調整するため、水素等の連鎖移動剤を添加してもよい。
また、上記方法では、重合系に、上記の重合触媒組成物以外に、得られるポリプロピレンのアイソタクティシティ及び重合系の重合活性を高めるため、電子供与性化合物を内部ドナー成分又は外部ドナー成分として、更に含めることができる。これらの電子供与性化合物としては、特に限定されることなく、公知のものを用いることができる。電子供与性化合物の具体例としては、例えば、ε-カプロラクトン、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル、トルイル酸メチル等のエステル化合物;亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリブチル等の亜リン酸エステル;ヘキサメチルホスホリックトリアミド等のリン酸誘導体;アルコキシエステル化合物;芳香族モノカルボン酸エステル;芳香族アルキルアルコキシシラン;脂肪族炭化水素アルコキシシラン;各種エーテル化合物;各種アルコール類;各種フェノール類等が挙げられる。
上記方法における重合方式としては、バッチ式、連続式いずれの方式としてもよく、重合方法としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の溶媒を用いた溶液重合やスラリー重合、更には、無溶媒で、単量体中での塊状重合やガス状重合体中での気相重合方法等としてよい。
ポリプロピレンの製造方法の中でも、特に、結晶性プロピレン-エチレンブロック共重合体の製造方法としては、特に限定されることなく、例えば、結晶性プロピレン単独重合体部分を得る第一工程と、該結晶性プロピレン単独重合体部分と、エチレン及び必要に応じて加えられる他のα-オレフィンと、を共重合することによって、結晶性プロピレン単独重合体部分と結合したプロピレン-エチレンブロック共重合体部分を得る第二工程と、を含む方法等が挙げられる。ここで、他のα-オレフィンとしては、特に限定されることなく、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン等が挙げられる。
変性ポリプロピレンとしては、特に限定されることなく、例えば、上記のポリプロピレンに、α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体(例えば、酸無水物、エステル等)をグラフト化又は付加させたもの等が挙げられる。グラフト化又は付加による質量増加の割合は、特に限定されることなく、変性ポリプロピレン100質量%に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
変性ポリプロピレンの製造方法としては、特に限定されることなく、例えば、ラジカル発生剤の存在下又は非存在下で、溶融状態、溶液状態又はスラリー状態において、30~350℃の条件下で、上記のポリプロピレンとα,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体とを反応させる方法等が挙げられる。
上記ポリプロピレンが、変性されていないポリプロピレンと変性ポリプロピレンとの混合物である場合には、上記の変性されていないポリプロピレンと変性ポリプロピレンとの混合割合は、特に限定されることなく、任意の割合としてよい。
((b)ポリフェニレンエーテル樹脂)
本実施形態で用いられる(b)ポリフェニレンエーテル樹脂としては、特に限定されることなく、例えば、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、及び両者の混合物等が挙げられる。(b)ポリフェニレンエーテル樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
(b)ポリフェニレンエーテル樹脂の還元粘度は、樹脂組成物の難燃性を更に向上させる観点から、0.25dL/g以上であることが好ましく、0.28dL/g以上であることが更に好ましく、また、0.45dL/g以下であることが好ましく、0.36dL/g以下であることが更に好ましく、0.35dL/g以下であることが特に好ましい。還元粘度は、重合時間や触媒量により制御することができる。
なお、還元粘度は、ηsp/c:0.5g/dLのクロロホルム溶液を用いて、温度30℃の条件下測定することができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
-ポリフェニレンエーテル-
ポリフェニレンエーテルとしては、特に限定されることなく、例えば、下記式(3)で表される繰り返し単位構造からなる単独重合体及び/又は下記式(3)で表される繰り返し単位構造を有する共重合体が挙げられる。
[式中、R31、R32、R33、及びR34は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~7の第1級のアルキル基、炭素原子数1~7の第2級のアルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基、及び少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群より選ばれる一価の基である]
このようなポリフェニレンエーテルとしては、特に限定されることなく、公知のものを用いることができる。ポリフェニレンエーテルの具体例としては、例えば、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-メチル-6-エチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-メチル-6-フェニル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2,6-ジクロロ-1,4-フェニレンエーテル)等の単独重合体;2,6-ジメチルフェノールと2,3,6-トリメチルフェノールや2-メチル-6-ブチルフェノール等の他のフェノール類との共重合物等の共重合体;が挙げられ、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)、2,6-ジメチルフェノールと2,3,6-トリメチルフェノールとの共重合物が好ましく、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)が更に好ましい。
ポリフェニレンエーテルの製造方法としては、特に限定されることなく、従来公知の方法を用いることができる。ポリフェニレンエーテルの製造方法の具体例としては、例えば、第一銅塩とアミンとのコンプレックスを触媒として用いて、例えば、2,6-キシレノールを酸化重合することによって製造する、米国特許第3306874号明細書等に記載される方法や、米国特許第3306875号明細書、米国特許第3257357号明細書、米国特許第3257358号明細書、特公昭52-17880号公報、特開昭50-51197号公報、特開昭63-152628号公報等に記載される方法等が挙げられる。
-変性ポリフェニレンエーテル-
変性ポリフェニレンエーテルとしては、特に限定されることなく、例えば、上記のポリフェニレンエーテルに、スチレン系重合体又はその誘導体をグラフト化又は付加させたもの等が挙げられる。グラフト化又は付加による質量増加の割合は、特に限定されることなく、変性ポリフェニレンエーテル100質量%に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、また、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
変性ポリフェニレンエーテルの製造方法としては、特に限定されることなく、例えば、ラジカル発生剤の存在下又は非存在下で、溶融状態、溶液状態又はスラリー状態において、80~350℃の条件下で、上記のポリフェニレンエーテルとスチレン系重合体又はその誘導体とを反応させる方法等が挙げられる。
本実施形態で用いられる(b)ポリフェニレンエーテル樹脂が、ポリフェニレンエーテルと変性ポリフェニレンエーテルとの混合物である場合には、上記のポリフェニレンエーテルと上記の変性ポリフェニレンエーテルとの混合割合は、特に限定されることなく、任意の割合としてよい。
((c)水素添加ブロック共重合体)
本実施形態において(a)結晶性熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド66、ポリアミド9T、ポリプロピレンを用いる場合(好ましくはポリプロピレンを用いる場合)、上記樹脂組成物は、相溶化剤として(c)水素添加ブロック共重合体を含有することが好ましい。なお、(c)水素添加ブロック共重合体は、(a)成分、(b)成分を含まないものとする。
本実施形態で用いられる(c)水素添加ブロック共重合体としては、特に限定されることなく、例えば、未変性水素添加ブロック共重合体、変性水素添加ブロック共重合体、及び両者の混合物等が挙げられる。(c)水素添加ブロック共重合体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
(c)水素添加ブロック共重合体は、上述のポリプロピレンと上述の(b)ポリフェニレンエーテル樹脂との混和剤又は耐衝撃性付与剤として作用する。
(c)水素添加ブロック共重合体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
(c)水素添加ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとを含むブロック共重合体の少なくとも一部が水素添加されたものである。ここで、重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物の1,2-ビニル結合量と3,4-ビニル結合量との合計(以下、「全ビニル結合量」ともいう)が30~90%である。なお、1,2-ビニル結合量及び3,4-ビニル結合量の合計(全ビニル結合量)とは、水素添加前の重合体ブロックBにおける、1,2-ビニル結合量と3,4-ビニル結合量との合計の、1,2-ビニル結合量と、3,4-ビニル結合量と、1,4-共役結合量との合計に対する割合を指す。全ビニル結合量は、赤外分光光度計を用いて測定し、Analytical Chemistry,Volume21,No.8,August 1949に記載の方法に準じて算出することができる。
以下、未変性及び変性水素添加ブロック共重合体に関する事項について記載する。
-ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA-
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAとしては、特に限定されることなく、例えば、ビニル芳香族化合物の単独重合体ブロック、又はビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックが挙げられる。
なお、重合体ブロックAにおいて「ビニル芳香族化合物を主体とする」とは、水素添加前の重合体ブロックAにおけるビニル芳香族化合物部分の含有量が、50質量%超であることを指し、該含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、また、100質量%以下としてよい。
重合体ブロックAを構成するビニル芳香族化合物としては、特に限定されることなく、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-tert-ブチルスチレン、ジフェニルエチレン等が挙げられ、スチレンが好ましい。上記のビニル芳香族化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
重合体ブロックAの数平均分子量(Mn)は、樹脂組成物の耐熱クリープ性を向上させる観点から、15,000以上であることが好ましく、20,000以上であることが更に好ましく、25,000以上であることが特に好ましく、また、100,000以下であることが好ましい。
なお、数平均分子量(Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めることができる。数平均分子量(Mn)は、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
-共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックB-
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとしては、特に限定されることなく、例えば、共役ジエン化合物の単独重合体ブロック、又は共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合体ブロックが挙げられる。
なお、重合体ブロックBにおいて「共役ジエン化合物を主体とする」とは、水素添加前の重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物部分の含有量が、50質量%超であることを指し、樹脂組成物の流動性を高める観点から、該含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、また、100質量%以下としてよい。
重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物としては、特に限定されることなく、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等が挙げられ、ブタジエン、イソプレン、及びこれらの組み合わせが好ましく、ブタジエンが更に好ましい。上記の共役ジエン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
ここで、重合体ブロックBのミクロ構造(共役ジエン化合物の結合形態)において、1,2-ビニル結合量と3,4-ビニル結合量との合計(全ビニル結合量)は、重合体ブロックBの(a)成分への相溶性を高める観点から、30%以上であり、45%以上であることが好ましく、65%以上であることが更に好ましく、また、90%以下である。
上記の重合体ブロックAと重合体ブロックBとを含むブロック共重合体の合成方法としては、特に限定されることなく、例えば、アニオン重合等の公知の方法が挙げられる。
未変性及び変性水素添加ブロック共重合体のブロック共重合体のブロック構造としては、特に限定されることなく、例えば、重合体ブロックAを「A」と、重合体ブロックBを「B」と表すと、(c)成分としては、A-B、A-B-A、B-A-B-A、(A-B-)M、A-B-A-B-A等の構造が挙げられる。ここで、(A-B-)Mは、四塩化ケイ素(M=Si)、四塩化スズ(M=Sn)等といった多官能カップリング剤の反応残基、又は多官能性有機リチウム化合物等の開始剤の残基等である。
未変性及び変性水素添加ブロック共重合体のブロック共重合体の分子構造としては、特に限定されることなく、例えば、直鎖状、分岐状、放射状、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
ブロック共重合体に含まれる重合体ブロックAにおける分子鎖中のビニル芳香族化合物、及び重合体ブロックBにおける分子鎖中の共役ジエン化合物の分布としては、特に限定されることなく、例えば、ランダム、テーパード(分子鎖に沿って単量体部分が増加又は減少するもの)、一部ブロック状、又はこれらの組み合わせ挙げられる。
ブロック共重合体中に重合体ブロックA又は重合体ブロックBのいずれかが複数個以上含まれる場合には、複数の重合体ブロックA又は複数の重合体ブロックB同士は、それぞれ同一構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
重合体ブロックAと重合体ブロックBとを含むブロック共重合体全体について、水素添加ブロック共重合体の流動性、耐衝撃性、外観性を向上させ、ウェルド発生を低減する観点から、水素添加前のブロック共重合体におけるビニル芳香族化合物の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、また、95質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることが更に好ましい。
なお、ビニル芳香族化合物の含有量は、紫外線分光光度計を用いて測定することができる。
水素添加前のブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は、5,000以上であることが好ましく、10,000以上であることが更に好ましく、30,000以上であることが特に好ましく、また、1,000,000以下であることが好ましく、800,000以下であることが更に好ましく、500,000以下であることが特に好ましい。
なお、数平均分子量は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めることができる。
水素添加前のブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、10以下であることが好ましく、8以下であることが更に好ましく、5以下であることが特に好ましい。
なお、分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めた重量平均分子量(Mw)を、上述の数平均分子量(Mn)で除することによって算出することができる。
ブロック共重合体を水素添加する方法としては、特に限定されることなく、例えば、(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水素添加触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩等の遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水素添加触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水素添加触媒を用いて、例えば、反応温度0~200℃、水素圧力0.1~15MPaの条件下で、水素添加する方法が挙げられる。
未変性及び変性水素添加ブロック共重合体中の重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物部分に対する水素添加率は、特に限定されることなく、耐熱性を高める観点から、共役ジエン化合物に由来する二重結合の総量に対して、50%以上であることが好ましく、80%以上であることが更に好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
なお、水素添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定することができる。
未変性及び変性水素添加ブロック共重合体の製造方法としては、特に限定されることなく、公知の製造方法を用いることができる。公知の製造方法の具体例としては、例えば、特開昭47-11486号公報、特開昭49-66743号公報、特開昭50-75651号公報、特開昭54-126255号公報、特開昭56-10542号公報、特開昭56-62847号公報、特開昭56-100840号公報、特開平2-300218号公報、英国特許第1130770号明細書、米国特許第3281383号明細書、米国特許第3639517号明細書、英国特許第1020720号明細書、米国特許第3333024号明細書、及び米国特許第4501857号明細書に記載の方法等が挙げられる。
以下、特に、変性水素添加ブロック共重合体に関する事項について記載する。
-変性水素添加ブロック共重合体-
変性水素添加ブロック共重合体は、上記の未変性水素添加ブロック共重合体に、α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体(例えば、酸無水物、エステル等)をグラフト化又は付加させたものである。
グラフト化又は付加による質量増加の割合は、特に限定されることなく、未変性水素添加ブロック共重合体100質量%に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
変性水素添加ブロック共重合体の製造方法としては、特に限定されることなく、例えば、ラジカル発生剤の存在下又は非存在下、溶融状態、溶液状態又はスラリー状態で、80~350℃の条件下で、上記の未変性水素添加ブロック共重合体とα,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体とを反応させる方法等が挙げられる。
((d)リン系難燃剤)
本実施形態においては、樹脂組成物中にリン系難燃剤を含有させることにより、難燃性を付加することができるため、好ましい。リン系難燃剤としては特に限定されるものではないが、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸塩もしくはその誘導体、有機ホスフィン酸塩もしくはその誘導体、ホスファゼンもしくはその誘導体、及びこれらの混合物が挙げられる。長期における難燃性保持の観点から、リン酸エステル系難燃剤が好ましい。
(d)リン系難燃剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
-リン酸エステル系難燃剤-
本実施形態で任意選択的に用いられるリン酸エステル系難燃剤としては、特に限定されることなく、樹脂組成物の難燃性向上の効果を有するリン酸エステル化合物全般(リン酸エステル化合物、縮合リン酸エステル化合物等)としてよく、例えば、トリフェニルホスフェート、フェニルビスドデシルホスフェート、フェニルビスネオペンチルホスフェート、フェニル-ビス(3,5,5’-トリメチル-ヘキシルホスフェート)、エチルジフェニルホスフェート、2-エチル-ヘキシルジ(p-トリル)ホスフェート、ビス-(2-エチルヘキシル)-p-トリルホスフェート、トリトリルホスフェート、ビス-(2-エチルヘキシル)フェニルホスフェート、トリ-(ノニルフェニル)ホスフェート、ジ(ドデシル)-p-トリルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、2-クロロエチルジフェニルホスフェート、p-トリルビス(2,5,5’-トリメチルヘキシル)ホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ビスフェノールA・ビス(ジフェニルホスフェート)、ジフェニル-(3-ヒドロキシフェニル)ホスフェート、ビスフェノールA・ビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシン・ビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシン・ビス(ジキシレニルホスフェート)、2-ナフチルジフェニルホスフェート、1-ナフチルジフェニルホスフェート、ジ(2-ナフチル)フェニルホスフェート等が挙げられる。
特に、リン酸エステル系化合物としては、
下記式(4)
[式中、Q41、Q42、Q43、Q44は、各々独立して、炭素原子数1~6のアルキル基であり;R41、R42は、各々独立して、メチル基であり;R43、R44は、各々独立して、水素原子又はメチル基であり;xは0以上の整数であり;p、p、p、pは、それぞれ、0~3の整数であり;q、qは、それぞれ、0~2の整数である]
又は
下記式(5)
[式中、Q51、Q52、Q53、Q54は、各々独立して、炭素原子数1~6のアルキル基であり;R51は、メチル基であり;yは0以上の整数であり;r、r、r、rは、それぞれ、0~3の整数であり;sは、それぞれ、0~2の整数である]
で表される芳香族縮合リン酸エステル化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分とするもの好ましい。
なお、上記式(4)及び上記式(5)で表される芳香族縮合リン酸エステル化合物は、それぞれ複数種の分子を含んでよく、各分子について、x及びyは、それぞれ、1~3の整数であることが好ましい。
上記式(4)及び上記式(5)で表される縮合リン酸エステル化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分とする好適なリン酸エステル系化合物では、全体として、x又はyの平均値が1以上であることが好ましい。上記の好適なリン酸エステル系化合物は、一般に、x又はyが1~3である化合物を90%以上含む混合物として入手することができ、x又はyが1~3である化合物以外に、x又はyが4以上である多量体やその他の副生成物を含む。
上記樹脂組成物は、(a)成分、(b)成分、(c)水素添加ブロック共重合体、(d)リン系難燃剤以外の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでいてよい。
(特性)
本実施形態の箱の形状は、特に限定されないが、例えば、立方体状、直方体状、多角錐状、多角柱状、円錐状、円柱状、球状等が挙げられる。上記箱の壁は、全面が同じ厚みであってもよいし、異なっていてもよい。本実施形態の箱の壁は、厚みが0.5mm以上であることが好ましく、より好ましくは1~5mmである。
本実施形態の箱は、ウレタン系封止剤と少なくとも一部で接触している。上記箱は、内側表面の少なくとも一部でウレタン系封止剤と接触していることが好ましい。
―箱のモルフォロジー―
本実施形態の箱は、上記(a)成分を主成分とする(A)相と、上記(b)成分を主成分とする(B)相とを含む。上記(B)相は、(b)成分以外に、(c)成分、(d)成分を含んでいてもよい。本実施形態の箱は、(A)相と(B)相とのみからなっていてもよいし、他の相(例えば、(a)成分及び(b)成分を主成分としない相など)を含んでいてもよい。
上記(A)相及び上記(B)相における「主成分」とは、各相の単位質量100質量%に対して、50質量%超含む成分をいい、60質量%以上含む成分であることが好ましく、70質量%以上含む成分であることがより好ましく、80質量%以上含む成分であることがさらに好ましい。
上記箱と上記ウレタン系封止剤との接触部において、上記箱の表面から厚み方向に1μmから3μmの範囲における上記(A)相と上記(B)相との各相の体積比率(相体積比率)(A)/(B)をXとしたとき、0.1≦X≦1であり、かつ上記箱の厚み方向の中心部における上記(A)相と上記(B)相との各相の体積比率(相体積比率)(A)/(B)をYとしたとき、Y≧Xである。当該相体積比率となることで、ウレタン系封止剤への耐性に優れる傾向にある。上記X及びYは後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
さらに、Y>Xであることが、より優れた耐薬品性の観点から好ましい。より好ましくは、Y>1.1Xであり、さらに好ましくはY>1.2Xであり、よりさらに好ましくはY>1.3Xである。
Xは、好ましくは1未満であり、より好ましくは0.1≦X≦0.5、さらに好ましくは0.15≦X≦0.4である。また、Yは、1未満であることが好ましい。
上記箱とウレタン系封止剤との接触部が複数ある場合は、少なくとも一つの接触部が上記範囲を満たすことが好ましく、全ての接触部が上記範囲を満たすことがより好ましく、上記箱と上記ウレタン系封止剤とが接触する箱の内面全体が上記範囲を満たすことがさらに好ましい。
なお、中心部とは、箱の内面の一部である接触部に対して垂直方向の箱の厚みについて、その厚み方向の中心から、箱の厚み100%に対して±5%の範囲をいう。
上述のモルフォロジーを満たす箱を得る方法としては、樹脂組成物の(a)結晶性熱可塑性樹脂と(b)ポリフェニレンエーテル樹脂との質量割合を調整する方法、溶融混練工程で製造された樹脂組成物を射出成形する際に、成形温度、平均流動速度等の成形条件を調整する方法、等の方法が挙げられる。
上記樹脂組成物中の(a)結晶性熱可塑性樹脂の質量割合を低くすることで、Xは小さくなる傾向にある。また、(a)結晶性熱可塑性樹脂の質量割合が高すぎても低すぎても、Xに対するYの比率が小さくなる傾向にある。望ましい相体積比率の観点から、(a)結晶性熱可塑性樹脂と(b)ポリフェニレンエーテル樹脂との質量割合は、(a)成分/(b)成分=15/85~60/40であることが好ましく、20/80~50/50であることがより好ましく、25/75~45/55であることがさらに好ましい。
また、上記樹脂組成物100質量%中の、(a)成分と(b)成分との合計質量の割合は、60質量%以上であることが好ましく、より好ましくは65質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
上記箱は、上記樹脂組成物を成形して形成することができる。成形方法としては、例えば、射出成形、圧縮成形等が挙げられ、中でも射出成形が好ましい。
射出成形においては、成形温度は(a)結晶性熱可塑性樹脂の融点より20℃~50℃高い温度であることが好ましい。射出成形条件は特段制限されることは無いが、成形品中の溶融樹脂の平均流動速度が5~100mm/secであることが、望ましい相体積比率の観点から好ましい。当該平均流動速度は、5~50mm/secであることがより好ましく、5~30mm/secであることがさらに好ましい。平均流動速度を小さくすることで、Xに対するYの比率を大きくすることができる傾向にある。
なお、平均流動速度は、充填に要した時間と成形品の体積から算出することができる。
―耐熱性―
上記樹脂組成物は、示差走査熱量計で測定された融解ピークの融点が、150℃以上300℃以下、かつ融解エンタルピーが15J/g以上85J/g以下であることが好ましい。より好ましくは融点が155℃以上275℃以下、かつ融解エンタルピーが17J/g以上80J/g以下であり、さらに好ましくは融点が160℃以上270℃以下、かつ融解エンタルピーが20J/g以上70J/g以下である。
なお、融解ピークの融点及び融解エンタルピーは、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
―耐トラッキング性―
上記箱の成形品表面で測定した耐トラッキング電圧は、600V以上であることが好ましい。
なお、耐トラッキング電圧は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
―組成―
上記樹脂組成物は、(a)成分と(b)成分との含有質量割合が、(a)成分と(b)成分との合計100質量部に対して、(a)成分1~60質量部、(b)成分40~99質量部であることが、耐薬品性と絶縁性能との観点から好ましい。より好ましくは、(a)成分16~58質量部、(b)成分42~84質量部である。
上記樹脂組成物100質量部に対する(a)成分の質量割合は、耐薬品性と絶縁性能との観点から10~50質量部であることが好ましく、より好ましくは15~40質量部である。また、上記樹脂組成物100質量部に対する(b)成分の質量割合は、耐薬品性と絶縁性能との観点から20~65質量部であることが好ましく、より好ましくは25~60質量部である。
(a)成分がポリプロピレンである場合、(a)成分と(b)成分との合計100質量部に対して、(c)水素添加ブロック共重合体を1~20質量部含有することが、衝撃性の観点から好ましく、より好ましくは2~15質量部、さらに好ましくは5~13質量部である。
さらに(d)リン系難燃剤を含有する場合は、難燃性の観点から(a)成分と(b)成分との合計100質量部に対して、リン系難燃剤を5~45質量部含有することが好ましく、より好ましくは10~44質量部、さらに好ましくは20~43質量部である。
なお、樹脂組成物の組成は、上記接触部を、厚み方向に箱の表面から全厚みまで切り出した試料を用いて解析してよい。
<電子回路>
上記電子回路としては、例えば、太陽の光エネルギーを電気に変換する太陽光発電モジュールからのケーブルを接続するためのジャンクションボックス内に格納される電子回路、例えば直流開閉器、逆流防止ダイオード、ヒューズ、出力端子台、サージアブソーバ等が挙げられる。
上記箱の内部に、上記電子回路の少なくとも一部が収納されていることが好ましく、臓器電子回路全体が収納されていることがより好ましい。
<ウレタン系封止剤>
本実施形態において、ウレタン系封止剤とはイソシアネート系化合物とポリオール化合物を主成分とする封止剤である。
当該ウレタン系封止剤は、加工性の観点から、フタル酸エステルを含んでいることが好ましい。また当該ウレタン系封止剤は、耐水蒸気透過の観点から、炭素数6以上のメチレン鎖を有するオキシアルキレン化合物を含んでいることが好ましい。また当該ウレタン系封止剤は、耐水蒸気透過の観点から、ひまし油から合成されるオキシアルキレン化合物を含んでいることが好ましい。
本実施形態の構造体によれば、ウレタン系封止剤と箱との接触部において、接触する部分における箱の壁面近くの相体積比率と、箱の壁中心部の相体積比率とを特定範囲に制御することで、箱のひび割れを防止し、箱の強度の低下を抑えることができる。そのため、本実施形態の構造体は、例えば、太陽光発電モジュールに用いられることが好ましく、太陽光発電モジュール内の一部品であることがより好ましい。また、本実施形態の構造体は、太陽光発電接続コネクタ、太陽光発電用ジャンクションボックスであることが好ましい。
以下、実施例によって、本実施形態を説明するが、本実施形態はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、使用した原料は下記の通りである。
(a)結晶性熱可塑性樹脂
(a-1)ポリプロピレン
日本ポリプロ(株)製ノバテックEA9FTを使用した。
(a-2)ポリエチレン
旭化成ケミカルズ製サンテックJ320を使用した。
(a-3)ポリアミド66(PA66)
旭化成ケミカルズ製レオナ1400Sを使用した。
(a-4)ポリアミド9T(PA9T)
特開2000-204239号公報の実施例に記載の方法を参考に、テレフタル酸3256.2g(19.6モル)、1,9-ノナンジアミン2690.9g(17.0モル)、2-メチル-1,8-オクタンジアミン474.9g(3.0モル)、安息香酸97.7g(0.8モル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物6.5g(上記のポリアミドの原料4種の合計に対して0.1質量%)及び蒸留水6リットルを、内容積20リットルのオートクレーブに入れ、内部を窒素で置換した。100℃で30分間攪拌した後、2時間かけて内部温度を310℃に昇温した。この時、オートクレーブは22kg/cmまで昇圧した。そのまま1時間この状態を保持した後、330℃に昇温し、その後2時間、330℃に温度を保ち、水蒸気を徐々に抜いて、圧力を22kg/cmに保ちながら反応させた。次に、30分かけて圧力を10kg/cmまで下げ、さらに1時間反応させて、極限粘度[η]が0.30dl/gのプレポリマーを得た。このプレポリマーを、100℃の温度で減圧下に12時間乾燥し、2mm以下の大きさまで粉砕した。これを温度230℃、圧力0.1mmHgの条件下に10時間固相重合し、ポリアミドの粒状ポリマーを得た。得られた粒状ポリマーを、シリンダー温度330℃に設定した二軸押出機を用いてペレット状とし、これを(a-4)とした。
(b)ポリフェニレンエーテル樹脂
(b-1)2,6-キシレノールを酸化重合して得た、還元粘度ηsp/c 0.41dL/gのポリフェニレンエーテル
還元粘度は、ウベローデ粘度計を用いて、0.5g/dLのクロロホルム溶液、30℃の条件で測定した。
(c)水素添加ブロック共重合体
(c-1)水素添加されたポリブタジエン-ポリスチレン-水素添加されたポリブタジエン-ポリスチレンの構造(B-A-B-A)を有し、結合スチレン量44%、ポリマー全体の数平均分子量95,000、分子量分布1.06、ポリスチレンブロックの数平均分子量20,900、水素添加前のポリブタジエンの1,2-ビニル結合量と3,4-ビニル結合量の合計量が75%、ポリブタジエンブロックの水素添加率が99.9%の水素添加ブロック共重合体を合成した。
ポリブタジエンブロックの全ビニル結合量は、赤外分光光度計によって測定し、算出方法はAnalytical Chemistry,Volume21,No.8,August 1949に記載の方法に準じて行った。また、結合スチレン量の測定は、紫外線分光光度計によって行った。さらに、ポリマー全体の数平均分子量及び分子量分布、ポリスチレンブロックの数平均分子量の測定は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)によって行った。またさらに、ポリブタジエンブロックの水素添加率はNMRによって測定した。
(d)リン系難燃剤
(d-1)ホスフィン酸塩類(クラリアント社製 Exolit OP1312)
(d-2)縮合リン酸エステル系化合物 大八化学社製E890
(e)その他の成分
HIPS:(製品名「CT-60」、ペトロケミカルズ社製)
〔製造例1~10〕
樹脂組成物の製造装置として、二軸押出機ZSK-25(コペリオン社製 バレル数:12)を用いた。該二軸押出機において、原料の流れ方向に対し上流側に第1原料供給口(第1バレル)、これより下流に第2(第6バレル)、第3原料供給口(第8バレル)、さらに下流に液添ポンプを設け、第1原料供給口と第2原料供給口、第3原料供給口と液添ポンプの間に真空ベントを設けた。押出機のスクリューは、3つの混練ブロックを設けた。その第一の混練ブロックは押出機の第4バレルに位置し、その構成は、上流側より、L(混練ブロックを構成するスクリューのスクリュー軸方向の長さ)が12mmのR-KD(送り型:Rタイプニーディングディスク)を1個、Lが24mmのN-KD(無搬送型:Nタイプニーディングディスク)を1個、及びLが12mmのL-KD(逆送り:Lタイプニーディングディスク)を1個である。第二の混練ブロックは、押出機の第7バレルに位置し、その構成は上流側より、Lが12mmのR-KDを1個、Lが12mmのL-KDを1個、及びLが12mmのR-KDを1個である。第三の混練ブロックは、押出機の第9バレルに位置し、その構成は、上流側より、Lが12mmのR-KDを1個、Lが12mmのL-KDを1個である。ここでいう、「混練ブロック」とは、ニーディングディスクと呼ばれる混練効果の高いスクリューエレメントが複数個連続したブロックを指す。また、第2、第3供給口への原料供給方法は、押出機サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて供給する方法とした。上記のように設定した二軸押出機に、(a)~(d)成分を表1に示した組成で供給し、スクリュー回転数300rpm、吐出量15kg/時間の条件にて溶融混練し、製造例1の樹脂組成物のペレットを得た。なお、押出し温度はポリプロピレン、ポリエチレンを用いた場合は270℃、ポリアミド66を用いた場合は300℃、ポリアミド9Tを用いた場合は330℃とした。
表1の配合割合に従って、製造例1~10の樹脂組成物のペレットを得た。
〔実施例1~11、比較例1~3〕
製造例1~10で得られたペレットを用いて、図1に示すような形状の箱型成形品(大きさ120mm×80mm×50mm、壁面の厚みは2mm)を射出成形により作製した。射出成形においては射出成形機(東芝(株)製EC100)を用いて、金型温度70℃に設定し、射出15秒、冷却10秒の射出成形条件で行った。平均流動速度については、表1に示す通り25mm/secを基本としたが、実施例1、3、4においてはそれぞれ10mm/sec、45mm/sec、100mm/sec、比較例1については200mm/secとした。なお、シリンダー温度は(a-1)ポリプロピレン、(a-2)ポリエチレンを用いた場合は270℃、(a-3)ポリアミド66を用いた場合は300℃、(a-4)ポリアミド9Tを用いた場合は330℃とした。
また、同様の射出成形により射出15秒、冷却10秒の射出成形条件で4mm厚みのISO試験片を得た。
箱型成形品、ISO試験片につき、下記の評価を実施した。評価結果を表1の評価欄に示す。
〔融解温度、融解エンタルピー〕
パーキンエルマー社製示差走査熱量計DiamondDSCを用いた。昇温、降温条件は±20℃/分で行った。箱型成形品から切出により得た試料約10mgを50℃から昇温させ、350℃で3分間保持した。次いで50℃まで試料を冷却した後に、再度昇温させて融解ピークを観測した。そのピークトップが示した温度を融解温度(即ち、融解ピークの融点)とした。また、そのピークの面積からJISK7122の規定に従って融解熱(融解エンタルピー)を決定した。
〔相体積比率〕
箱型成形品にウレタン系封止剤(サンユレック(株)社製UF-820A/B)を塗布して60℃1時間の条件で硬化させたのち、24時間経過した後の接触部から、ウルトラミクロトームを用いて箱の厚み方向に切削し、成形品表面を含む厚さ約80nmの薄膜切片を作製した。薄膜切片の観察を倍率2,500倍で透過型電子顕微鏡(SEM)にて行った。観察した画像を画像解析装置ソフトウェア(商品名LUSEX SE:ニレコ社製)により解析した。
画像の左右両端におけるウレタン系封止剤と接触していた成形品表面を直線で結び、これを直線Aとする。その直線Aと平行かつ成形品内部側に表面から厚み方向に1μm移動させた直線を直線B、同様に成形品内部側に3μm移動させた直線を直線Cとする。この直線Bと直線Cの間に確認される、(a)結晶性熱可塑性樹脂を主成分とする分散相を(A)相、(b)PPEを主成分とする黒色の連続相を(B)相とし、(A)相と(B)相との面積比を、成形品表面近傍の相体積比率(X)とした。
同様に箱型成形品から、ウルトラミクロトームを用いて、上記と同じ接触部から箱の厚み方向に切削し、成形品中央部を含む厚さ約80nmの薄膜切片を作製し、同一の装置を用いて解析を行った。
成形品中央部が観察視野の中心に来るように調整したのち、中央から上下1μmの範囲において(a)結晶性熱可塑性樹脂を主成分とする分散相を(A)相、PPEを主成分とする黒色の連続相を(B)相とし、(A)相と(B)相との面積比を成形品コア部の相体積比率(Y)とした。
〔耐トラッキング性〕
UL 746A(ASTM D3638)に準拠し、日立化成工業(株)製、耐トラッキング試験機 HAT-500-3型の装置を用いて、耐トラッキング試験を行った。なお試験片は箱型成形品から切出した幅65mm×長さ90mmの試験片を用いて以下のとおり耐トラッキング試験を行った。
試験片をHAT-500-3型の装置にセットし、試験片表面に接触させた二本の電極によって100~600Vの電圧を25V刻みにて印加し、その電極間に0.1%塩化アンモニウム水溶液を30秒毎に滴下した。そして、試験片に0.1A以上の電流が0.5秒間以上通電(絶縁破壊)するまでの塩化アンモニウム水溶液の滴下回数を測定した。
5回の耐トラッキング試験を行い、塩化アンモニウム水溶液の滴下回数の平均値が50滴未満となる電圧(V)を測定した。得られた電圧により耐トラッキング性を評価した。
〔ウレタン系封止剤耐性〕
箱型成形品から切り出した幅10mm×長さ50mm試験片をベンディングバーに取り付け、ベンディングバーの曲率に応じたひずみを与えたまま試験片表面にウレタン系封止剤(サンユレック(株)社製UF-820A/B)を塗布して60℃1時間の条件で硬化させた。48時間後の試験片表面におけるクラックの発生状況を観察し、クラックが発生している最小のひずみを臨界歪み値として評価した。
〔ウレタン系封止剤塗付後の強度保持〕
得られた箱型成形品の底面にウレタン系封止剤(サンユレック(株)社製UF-820A/B)を塗布して60℃1時間の条件で硬化させた。48時間放置後、高さ1mからコンクリート面に自由落下させたのち、底面内側に亀裂が生じていないものを〇(良好)、亀裂が生じているものを×(不良)とした。
〔引張強度、引張伸度〕
得られたISO試験片を用いて、ISO527-1に準じて、引張強度(MPa)及び引張伸度(%)の測定を行った。
〔衝撃特性〕
得られたISO試験片を用いて、ISO179-1に準じてシャルピー衝撃強度(ノッチあり、単位kJ/m)の測定を行った。

Claims (15)

  1. 箱に電子回路が収納され、電子回路の少なくとも一部がウレタン系封止剤で封止された構造体であって、
    前記箱と、前記ウレタン系封止剤とが少なくとも一部で接触しており、
    前記箱は、(a)結晶性熱可塑性樹脂と(b)ポリフェニレンエーテル樹脂とを含有する樹脂組成物からなり、
    前記箱は、前記(a)成分を主成分とする(A)相、及び前記(b)成分を主成分とする(B)相を含み、
    前記樹脂組成物の(a)成分と(b)成分との含有割合が、(a)成分と(b)成分との合計100質量部に対して、(a)成分が15~60質量部、(b)成分が40~85質量部であり、
    前記樹脂組成物100質量%中の、(a)成分と(b)成分との合計質量の割合が65質量%以上であり、
    前記箱と前記ウレタン系封止剤との接触部において、前記箱の表面から厚み方向に1μmから3μmの範囲の前記(A)相と前記(B)相との相体積比率(A)/(B)をXとし、前記箱の厚み方向中心部の前記(A)相と前記(B)相との相体積比率(A)/(B)をYとしたとき、0.1≦X≦0.5かつY≧Xであり、
    前記Yが1未満である、
    ことを特徴とする構造体。
  2. 前記樹脂組成物の、示差走査熱量計で測定される融解ピークの融点が150℃以上300℃以下、かつ融解エンタルピーが15J/g以上85J/g以下である、請求項1に記載の構造体。
  3. 前記(a)成分がポリプロピレンである、請求項1又は2に記載の構造体。
  4. 前記樹脂組成物が、さらに(c)水素添加ブロック共重合体を含有する、請求項3に記載の構造体。
  5. (a)成分と(b)成分との合計100質量部に対して、(c)成分を1~20質量部含有する、請求項4に記載の構造体。
  6. 前記樹脂組成物が、さらに(d)リン系難燃剤を含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の構造体。
  7. (a)成分と(b)成分との合計100質量部に対して、(d)成分を5~45質量部含有する、請求項6に記載の構造体。
  8. 前記(d)成分がリン酸エステル系難燃剤を含む、請求項6又は7に記載の構造体。
  9. 前記箱の表面で測定した耐トラッキング電圧が600V以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載の構造体。
  10. 前記ウレタン系封止剤が、フタル酸系エステルを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の構造体。
  11. 前記ウレタン系封止剤が、炭素数6以上のメチレン鎖を有するオキシアルキレン化合物を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の構造体。
  12. 前記ウレタン系封止剤が、ひまし油から合成されるオキシアルキレン化合物を含む、請求項11に記載の構造体。
  13. 太陽光発電モジュールに用いられる、請求項1~12のいずれか一項に記載の構造体。
  14. 太陽光発電接続コネクタである、請求項1~12のいずれか一項に記載の構造体。
  15. 太陽光発電用ジャンクションボックスである、請求項1~12のいずれか一項に記載の構造体。
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