JP7730502B2 - エポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂硬化物 - Google Patents
エポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂硬化物Info
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Description
Xは下記式(4-1)で表される構造単位であり、Yは下記式(4-2)で表される構造単位であり、
R1、R2はそれぞれ独立して水素原子、メチル基またはエチル基であり、
R’は炭素原子数2~12の2価の炭化水素基であり、
R3、R4、R7、R8はそれぞれ独立して水酸基、グリシジルエーテル基または2-メチルグリシジルエーテル基であり、
R5、R6、R9、R10はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、
n1は4~16の整数であり、n2は繰り返し単位の平均値で2~30である。]
R11、R12はそれぞれ独立して、グリシジルエーテル基または2-メチルグリシジルエーテル基であり、
R13、R14はそれぞれ独立して水酸基、グリシジルエーテル基または2-メチルグリシジルエーテル基であり、
R15、R16は水素原子又はメチル基であり、
m1、m2、p1、p2、qは繰り返しの平均値であり、
m1、m2は、それぞれ独立して0~25であり、且つ、m1+m2≧1であり、
p1、p2はそれぞれ独立して0~5であり、
qは0.5~5である。
ただし、前記式(4-1)で表される構造単位Xと前記式(4-2)で表される構造単位Yとの結合は、ランダムであってもブロックであってもよく、1分子中に存在する各構造単位X、Yの数の総数がそれぞれm1、m2であることを示す。)
本発明のエポキシ樹脂組成物は、アントラセン構造及びマレイミド構造からなるディールスアルダー反応ユニットを分子内に1つ有し、ディールスアルダー反応ユニットが少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する硬化剤(以下、当該硬化剤を「D-A硬化剤」とも呼ぶ)と、エポキシ樹脂とを含む。
ディールスアルダー反応は、共役ジエンと親ジエンとが付加反応して6員環を形成する。ディールスアルダー反応は平衡反応であるため、所定の温度でレトロディールスアルダー反応が生じて解離(解架橋)する。このとき、レトロディールスアルダー反応が生じる温度(解離温度)が低い場合、高温の温度領域で解架橋してしまい、硬化物の架橋密度が低下してしまい、機械的強度が低下する。これに対し、D-A硬化剤は、熱安定性の高いアントラセン構造及びマレイミド構造からなるディールスアルダー反応ユニットを分子内に1つ有しているため、解離温度が250℃以上と高く、少なくとも200℃程度では解離せず架橋構造を維持しており、熱安定性に優れる。このため、D-A硬化剤をエポキシ樹脂の硬化剤として用いることで、当該硬化剤とエポキシ樹脂との反応で硬化させた硬化物(エポキシ樹脂硬化物)の架橋密度の低下を抑制することができ、良好な機械的強度を維持することができる。また、D-A硬化剤によって作製されたエポキシ樹脂硬化物に傷や外力などの機械エネルギーを与えることにより、ディールスアルダー反応ユニットのC-C結合が切断され、切断表面にアントラセンとマレイミドが生成すると考えられる。ディールスアルダー反応ユニットのC-C結合は、通常の共有結合に比べて結合エネルギーが低く切断されやすい。アントラセンとマレイミドのディールスアルダー反応は、200℃以下では結合方向に平衡が移動するため、再び付加体(ディールスアルダー反応ユニット)を形成し、傷の修復や再成形が可能になると考えられる。
本発明で用いるD-A硬化剤は、アントラセン構造及びマレイミド構造からディールスアルダー反応によって形成される付加反応部であるディールスアルダー反応ユニットを分子内に1つ有し、ディールスアルダー反応ユニットが少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物である。
アントラセン構造などの共役ジエンと、マレイミド構造などの親ジエンが付加反応して6員環を形成するいわゆるディールスアルダー反応は平衡反応であり、付加反応が進行する温度よりも、さらに高温では、付加反応部が解離して、元の共役ジエンと親ジエンに戻る逆反応である、レトロディールスアルダー反応が進行することは広く知られている。
本発明で用いるD-A硬化剤は、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有するアントラセン構造と、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有するマレイミド構造とを有し、これらのディールスアルダー反応後も、それぞれの構造由来のフェノール性水酸基を2つ以上ディールスアルダー反応ユニットに残存する硬化剤である。
それぞれの構造部にエポキシ樹脂と反応するフェノール性水酸基を有さない場合、得られる硬化物の架橋密度が低下し、耐熱性や機械特性、接着力が悪化するばかりでなく、レトロディールスアルダー反応によって解離した構造部が遊離することになり、解離後にディールスアルダー反応ユニットが再結合することが困難になる。一方、それぞれの構造部にエポキシ基と反応するフェノール性水酸基を有する場合は、硬化物中にそれぞれの構造部がある程度固定されることから、それぞれの構造部が近接して存在するため容易に再結合することができる。この化合物を、エポキシ樹脂組成物に用いることで、硬化物に修復性や再成形性を付与できる。
これらの中でも、マレイミド構造1モルに対してフェノール性水酸基1~2モルを有する化合物が、エポキシ基との反応性において好ましく、アントラセン構造1モルに対してフェノール性水酸基1モルを有する化合物が反応性と硬化物物性、及び修復性や再成形性のバランスのうえで特に好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂としては、一般に公知なエポキシ樹脂を用いることができる。本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂としては、何ら制限されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等の液状エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の臭素化エポキシ樹脂、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられ、単独でも、2種以上を併用してもよく、目的とする用途や硬化物の物性等に応じて種々選択して用いることが好ましい。これらのうち、一般的な工業的入手容易性の観点からは、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等を用いることが好ましい。
Xは下記式(4-1)で表される構造単位であり、Yは下記式(4-2)で表される構造単位であり、
R1、R2はそれぞれ独立して水素原子、メチル基またはエチル基であり、
R’は炭素原子数2~12の2価の炭化水素基であり、
R3、R4、R7、R8はそれぞれ独立して水酸基、グリシジルエーテル基または2-メチルグリシジルエーテル基であり、
R5、R6、R9、R10はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、
n1は4~16の整数であり、n2は繰り返し単位の平均値で2~30である。]
R11、R12はそれぞれ独立して、グリシジルエーテル基または2-メチルグリシジルエーテル基であり、
R13、R14はそれぞれ独立して水酸基、グリシジルエーテル基または2-メチルグリシジルエーテル基であり、
R15、R16は水素原子又はメチル基であり、
m1、m2、p1、p2、qは繰り返しの平均値であり、
m1、m2は、それぞれ独立して0~25であり、且つ、m1+m2≧1であり、
p1、p2はそれぞれ独立して0~5であり、
qは0.5~5である。
ただし、前記式(4-1)で表される構造単位Xと前記式(4-2)で表される構造単位Yとの結合は、ランダムであってもブロックであってもよく、1分子中に存在する各構造単位X、Yの数の総数がそれぞれm1、m2であることを示す。)
本発明のエポキシ樹脂組成物は、更にフィラーを含有してもよい。フィラーとしては、無機フィラーと有機フィラーが挙げられる。無機フィラーとしては、例えば無機微粒子が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、更に繊維質基質を含有してもよい。繊維質基質は、特に限定はないが、繊維強化樹脂に用いられるものが好ましく、無機繊維や有機繊維が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、組成物の固形分質量や粘度を調整する目的として、分散媒を使用してもよい。分散媒としては、本発明の効果を損ねることのない液状媒体であればよく、各種有機溶剤、液状有機ポリマー等が挙げられる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の前述した各種化合物以外の樹脂を有していてもよい。樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば公知慣用の樹脂を配合すればよく、例えば熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前述のD-A硬化剤及びエポキシ樹脂、更に必要に応じて前述の併用可能な硬化剤、フィラー、繊維質基質、分散媒、前述の各種化合物以外の樹脂を、前述の有機溶剤等の分散媒に溶解する。溶解後は溶媒を留去し、真空オーブン等により減圧乾燥することでエポキシ樹脂組成物を得ることができる。また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、前述の構成材料を均一混合した状態のものであってもよい。このとき、混合器等で均一に混合することが好ましい。各構成材料の配合割合は、所望するエポキシ樹脂硬化物の機械的強度、耐熱性、修復性及び再成形性等の特性に応じて適宜調製することができる。また、エポキシ樹脂組成物の作製において、具体的な構成材料の混合順として、まずエポキシ樹脂にアセトン、メチルエチルケトン等の有機溶媒を加えて撹拌した後、D-A硬化剤を硬化剤として加え、再度撹拌して均一にし、濃縮及び減圧乾燥することで、構成材料をより均一に混合したエポキシ樹脂組成物が得られる。
本発明のエポキシ樹脂硬化物は、アントラセン構造及びマレイミド構造からなるディールスアルダー反応ユニットを分子内に1つ有し、ディールスアルダー反応ユニットが少なくとも2つのフェノール性水酸基を有するD-A硬化剤によって、エポキシ樹脂を硬化してなる。また、当該エポキシ樹脂としては、本発明のエポキシ樹脂組成物が含有するエポキシ樹脂として述べたような、一般に公知なエポキシ樹脂を用いることができる。
次に、本発明のエポキシ樹脂硬化物の製造方法について詳述する。本発明のエポキシ樹脂硬化物は、本発明のエポキシ樹脂組成物を加熱して、エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂をD-A硬化剤で硬化させることで製造することができる。具体的には、本発明のエポキシ樹脂組成物に対し、シリコーン注型板等に注型し、必要であれば脱気した後、加熱硬化を行うことにより当該エポキシ樹脂を硬化させてなるエポキシ樹脂硬化物が得られる。前述のシリコーン注型板等に注型する工程は、例えば、当該エポキシ樹脂組成物を、シリコンチューブをスペーサーとしてアルミニウム鏡面板等で挟み込むことで行うことができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物及び当該エポキシ樹脂組成物によって作製されるエポキシ樹脂硬化物(以下、本発明のエポキシ樹脂硬化物とも呼ぶ)は、耐熱性及び修復性の両方に優れ、且つ再成形性を有しており、以下の用途に有用である。
本発明のエポキシ樹脂硬化物は基材と積層することで積層体とすることができる。積層体の基材としては、金属やガラス等の無機材料や、プラスチックや木材といった有機材料等、用途によって適時使用すればよく、積層体の形状であってもよく、平板、シート状、あるいは三次元構造を有していてもよく、立体状であってもよい。全面にまたは一部に曲率を有するもの等、目的に応じた任意の形状であってもよい。また、基材の硬度、厚み等にも制限はない。また、第一の基材、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物からなる層、第二の基材の順に積層されてなる多層積層体としてもよい。本実施形態のエポキシ樹脂組成物は接着性に優れるため、第一の基材と第二の基材とを接着させる接着剤として好適に使用可能である。また、本発明のエポキシ樹脂硬化物を基材とし、更に本発明のエポキシ樹脂硬化物を積層してもよい。
本発明のエポキシ樹脂硬化物は、自動車、電車、土木建築、エレクトロニクス、航空機、宇宙産業分野の構造部材の接着剤として好適に用いることができる。当該接着剤は、例えば、金属-非金属間のような異素材の接着に用いた場合にも、温度環境の変化に影響されず高い接着性を維持することができ、剥がれ等が生じ難い。また、当該接着剤は、構造部材用途の他、一般事務用、医療用、炭素繊維、蓄電池のセルやモジュールやケース用などの接着剤としても使用でき、光学部品接合用接着剤、光ディスク貼り合わせ用接着剤、プリント配線板実装用接着剤、ダイボンディング接着剤、アンダーフィルなどの半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム、異方性導電性ペーストなどの実装用接着剤として使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物が繊維質基質を有し、当該繊維質基質が強化繊維の場合、繊維質基質を含有するエポキシ樹脂組成物は、繊維強化樹脂として用いることができる。組成物に対し繊維質基質を含有させる方法は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されず、繊維質基質と組成物とを、混練、塗布、含浸、注入、圧着等の方法で複合化する方法が挙げられ、繊維の形態及び繊維強化樹脂の用途によって適時選択することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、それを用いたエポキシ樹脂硬化物が、耐熱性及び修復性のいずれも良好であり、且つ再成形性を有しているので、大型ケースやモーターハウジング、ケース内部の注型材、ギアやプーリー等の成形材料に使用することができる。これらは樹脂単独の硬化物でもよく、ガラスチップなどの繊維強化された硬化物でもよい。
繊維強化樹脂は、未硬化あるいは半硬化のプリプレグと呼ばれる状態を形成することができる。プリプレグの状態で製品を流通させた後、最終硬化をおこなって硬化物を形成してもよい。積層体を形成する場合は、プリプレグを形成した後、その他の層を積層してから最終硬化を行うことで、各層が密着した積層体を形成できるため、好ましい。このとき用いる組成物と繊維質基質の質量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20~60質量%となるように調製することが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、それを用いたエポキシ樹脂硬化物が、耐熱性及び修復性のいずれも良好であり、且つ再成形性を有しており、耐熱材料及び電子材料として使用可能である。特に、半導体封止材、回路基板、ビルドアップフィルム、ビルドアップ基板等や、接着剤やレジスト材料に好適に使用可能である。また、繊維強化樹脂のマトリクス樹脂にも好適に使用可能であり、高耐熱性のプリプレグとして特に適している。こうして得られる耐熱部材や電子部材は、各種用途に好適に使用可能であり、例えば、産業用機械部品、一般機械部品、自動車・鉄道・車両等部品、宇宙・航空関連部品、電子・電気部品、建築材料、容器・包装部材、生活用品、スポーツ・レジャー用品、風力発電用筐体部材等が挙げられるが、これらに限定される物ではない。
1.半導体封止材料
本発明のエポキシ樹脂組成物から半導体封止材料を得る方法としては、前記組成物、及び硬化促進剤、及び無機充填剤等の配合剤とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に溶融混合する方法が挙げられる。その際、無機充填剤としては、通常、溶融シリカが用いられるが、パワートランジスタ、パワーIC用高熱伝導半導体封止材として用いる場合は、溶融シリカよりも熱伝導率の高い結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素などの高充填化、または溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化珪素などを用いるとよい。その充填率はエポキシ樹脂組成物100質量部当たり、無機充填剤を30~95質量%の範囲で用いることが好ましく、中でも、難燃性や耐湿性や耐ハンダクラック性の向上、線膨張係数の低下を図るためには、70質量部以上がより好ましく、80質量部以上であることがさらに好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物から半導体装置を得る半導体パッケージ成形としては、上記半導体封止材料を注型、或いはトランスファー成形機、射出成形機などを用いて成形し、さらに50~250℃で2~10時間の間、加熱する方法が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物からプリント配線基板を得る方法としては、上記プリプレグを、常法により積層し、適宜銅箔を重ねて、1~10MPaの加圧下に170~300℃で10分~3時間、加熱圧着させる方法が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物からビルドアップ基板を得る方法は、例えば以下の工程が挙げられる。まず、ゴム、フィラーなどを適宜配合した上記組成物を、回路を形成した回路基板にスプレーコーティング法、カーテンコーティング法等を用いて塗布した後、硬化させる工程(工程1)。その後、必要に応じて所定のスルーホール部等の穴あけを行った後、粗化剤により処理し、その表面を湯洗することによって凹凸を形成させ、銅などの金属をめっき処理する工程(工程2)。このような操作を所望に応じて順次繰り返し、樹脂絶縁層及び所定の回路パターンの導体層を交互にビルドアップして形成する工程(工程3)。なお、スルーホール部の穴あけは、最外層の樹脂絶縁層の形成後に行う。また、本発明のビルドアップ基板は、銅箔上で当該樹脂組成物を半硬化させた樹脂付き銅箔を、回路を形成した配線基板上に、170~300℃で加熱圧着することで、粗化面を形成、メッキ処理の工程を省き、ビルドアップ基板を作製することも可能である。
本発明のエポキシ樹脂組成物からビルドアップフィルムを得る方法としては、基材である支持フィルムの表面に、上記エポキシ樹脂組成物を塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させてエポキシ樹脂組成物の層を形成させることにより製造することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物から導電性ペーストを得る方法としては、例えば、導電性粒子を該組成物中に分散させる方法が挙げられる。上記導電性ペーストは、用いる導電性粒子の種類によって、回路接続用ペースト樹脂組成物や異方性導電接着剤とすることができる。
-ヒドロキシ化合物の合成-
温度計及び撹拌機を取り付けたフラスコにポリテトラメチレングリコールのジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製「デナコールEX-991L」:エポキシ当量445g/eq)445g(0.5モル)と、ビスフェノールA(水酸基当量114g/eq)228g(1.0モル)とを加え、140℃まで30分間要して昇温した後、4%水酸化ナトリウム水溶液3.4gを加えた。その後、30分間要して150℃まで昇温し、さらに150℃で16時間反応させた。その後、中和量のリン酸ソーダを添加し、下記式(8)で表されるヒドロキシ化合物を673g得た。当該ヒドロキシ化合物は、マススペクトルで下記式(8)中のm1=1、n1=11の理論構造に相当するM+=1380のピークが得られたことから、目的物であるPTMG(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)型(BPA:ビスフェノールA)のヒドロキシ化合物を含有することが確認された。このヒドロキシ化合物のGPCより算出した水酸基当量は526g/eqであり、n1の平均値は10.6、m1の平均値は0.73であった。
-エポキシ樹脂の合成-
温度計、滴下ロート、冷却管及び撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、上記合成によって得られた式(8)で表されるヒドロキシ化合物を200g、エピクロルヒドリン437g(4.72モル)、n-ブタノール118gを加え、溶解させた。65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液6.66g(0.08モル)を5時間かけて滴下した。
次に、同条件で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸によって留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離し、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら、反応を行った。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去させた。得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン150gとn-ブタノール150gとを加え、溶解した。
更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液10gを添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のPHが中性となるまで水50gで水洗を3回繰り返した。
次に、共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して、上記式(5)で表されるエポキシ樹脂を190g得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は722g/eqであった。当該エポキシ樹脂は、マススペクトルで上記式(5)中のm 2 =1、n 2 =11、q=1、p1=0、p2=0の理論構造に相当するM+=1492のピークが得られたことから、目的物である上記式(5)で表されるエポキシ樹脂を含有することが確認された。
-D-A硬化剤の合成-
温度計、撹拌機及び冷却管を取り付けたフラスコに9-(4-ヒドロキシベンジル)-10-(4-ヒドロキシフェニル)アントラセン(旭有機材株式会社製:製品名BIP-ANT:水酸基当量188g/eq)376g(1モル)、4-ヒドロキシフェニルマレイミド226g(1.2モル)、トルエン1880g及びメチルイソブチルケトン1880gを仕込み、80℃で12時間反応させた。その後、室温まで冷却し、沈殿物を吸引ろ過により回収し、減圧下で乾燥させ、ディールスアルダー反応付加体(上記式(3)で表されるD-A硬化剤)を得た。収量は429gであり、収率は76%であった。
-D-A硬化剤の合成-
温度計、撹拌機、冷却管を取り付けたフラスコに2,6-ジヒドロキシアントラセン210g(1モル)と4-ヒドロキシフェニルマレイミド226g(1.2モル)、トルエン1050g及びメチルイソブチルケトン1050gを仕込み、80℃で12時間反応させた。その後、室温まで冷却し、沈殿物を吸引ろ過により回収し、減圧下で乾燥させ、ディールスアルダー反応付加体(上記式(2)で表されるD-A硬化剤)を得た。収量は379gであり、収率は95%であった。
-硬化剤の合成-
温度計、撹拌機及び冷却管を取り付けたフラスコに2,6-キシレノール244g(2モル)と、5.4%水酸化ナトリウムメタノール溶液129gを仕込み、撹拌、溶解後、加熱して還流状態をしたところへ、フルフラール96g(1モル)を1時間かけて滴下した。その後、還流温度で13時間反応させた後、20%リン酸二水素ナトリウム水溶液140gで中和し、水を500g加えた。次に、析出した結晶を吸引ろ過により回収し、メタノール:水=1:1の溶液で洗浄後、減圧下で乾燥させた。この結晶322g(1モル)と4-ヒドロキシフェニルマレイミド189g(1モル)とテトラヒドロフラン1020gを仕込み、室温で24時間反応させた。その後、沈殿物を吸引ろ過により回収し、減圧下で乾燥させ、ディールスアルダー反応付加体(下記式(9)で表される硬化剤)を得た。収量は369gであり、収率は72%であった。
-エポキシ樹脂硬化物の作製及び評価-
表1に従った配合で、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を、混合機(株式会社シンキー製「あわとり練太郎ARV-200」)にて均一混合して、エポキシ樹脂組成物を得た。表1に、得られたエポキシ樹脂組成物の各硬化剤の濃度を示す。
表1のエポキシ樹脂は、上記式(5)で表されるエポキシ樹脂またはEPICLON 850S(DIC株式会社製ビスフェノール型液状エポキシ樹脂 エポキシ当量188g/eq)を示す。
表1の硬化剤は、上記式(3)で表される硬化剤、上記式(2)で表される硬化剤、上記式(9)で表される硬化剤、DICY(ジシアンジアミド、三菱ケミカル株式会社製DICY7)またはXLC-LL(三井化学株式会社製フェノールアラルキル樹脂 水酸基当量:176g/eq)を示す。
表1の硬化促進剤は、TPP(東京化成工業株式会社製トリフェニルホスフィン(試薬))、または、DCMU(3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア、DIC株式会社製B-605-IM)を示す。
次に、得られたエポキシ樹脂組成物を、シリコンチューブをスペーサーとしてアルミニウム鏡面板(株式会社エンジニアリングテストサービス製「JIS H 4000 A1050P」)にて挟み込み、所定の加熱条件にて加熱硬化を行い、厚さ0.7mmのエポキシ樹脂硬化物を得た。実施例1、3及び比較例1では褐色透明な硬化物が得られ、実施例2では白濁相分離した硬化物が得られた。なお、式(9)で表される硬化剤を用いた比較例2については、加熱硬化中に発泡し、エポキシ樹脂硬化物が得られなかった。
実施例1、3、比較例1、2:100℃で0.5時間+130℃で1.5時間+160℃で2時間+180℃で2時間
実施例2:170℃で0.5時間
実施例1~3、比較例1でそれぞれ作製したエポキシ樹脂硬化物を剃刀で切断し、生じた破断面を接触させて、乾燥機内にて190℃24時間エージングした。乾燥機から取り出した後、エポキシ樹脂硬化物の断面同士の接合の有無を目視にて確認した。接合したものを「A」と評価し、接合していなかったものを「B」と評価した。
評価結果を表1に示す。
これに対し、比較例1に係るエポキシ樹脂硬化物は、エポキシ樹脂組成物中の硬化剤の濃度が0.10mmol/g未満であったため、自己修復性が不良であった。
また、実施例1~3に係るエポキシ樹脂硬化物は、いずれも170℃以上の温度で加熱硬化を行ったものであるが、比較例2のように解架橋せず、耐熱性が良好であった。
-再成形試験-
実施例1、2及び比較例1でそれぞれ作製したエポキシ樹脂硬化物0.1gをハサミで細かく裁断した。アルミ板上に5mm×40mmの大きさの窓を空けた1.08mm厚のテフロン(登録商標)板を載せ、その中に裁断した硬化物を入れた。さらにその上にアルミ板と1kgの重りを載せ、150℃で24時間の連続加熱を行った。得られた硬化物の形状を目視で観察した。評価結果は以下の通りであった。実施例1、2、比較例1で作製したエポキシ樹脂硬化物の当該評価結果を順に下記の実施例4、5、比較例3に示す。
実施例4、5:継ぎ目が消失し、硬化物が一体化した。
比較例3:硬化物の破片は互いに粘着していたが、軽く触れるとバラバラになった。
Claims (6)
- アントラセン構造及びマレイミド構造からなるディールスアルダー反応ユニットを分子内に1つ有し、前記ディールスアルダー反応ユニットが少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する硬化剤と、
エポキシ樹脂と、
を含み、前記エポキシ樹脂と前記硬化剤との合計質量に対する前記硬化剤の濃度が0.10mmol/g以上であり、
前記硬化剤が、下記式(1)で表され、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有するアントラセン構造と、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有するマレイミド構造とを有する、エポキシ樹脂組成物。
(式(1)中、R 1 ~R 11 は、それぞれ、互いに独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、カルボキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基であり、R 1 ~R 11 の少なくとも1つはフェノール性水酸基を含む官能基であるか、フェノール性水酸基を置換基として有している基である。) - 前記硬化剤が、下記式(2)で表される請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記硬化剤が、下記式(3)で表される請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂が、下記式(4)で表され、且つ、エポキシ当量が500~10000g/eqである請求項1~3のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
(式(4)中、Arはそれぞれ独立して、無置換または置換基を有する芳香環を有する構造であり、
Xは下記式(4-1)で表される構造単位であり、Yは下記式(4-2)で表される構造単位であり、
[式(4-1)、(4-2)中、Arはそれぞれ独立して、無置換または置換基を有する芳香環を有する構造であり、
R1、R2はそれぞれ独立して水素原子、メチル基またはエチル基であり、
R’は炭素原子数2~12の2価の炭化水素基であり、
R3、R4、R7、R8はそれぞれ独立して水酸基、グリシジルエーテル基または2-メチルグリシジルエーテル基であり、
R5、R6、R9、R10はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、
n1は4~16の整数であり、n2は繰り返し単位の平均値で2~30である。]
R11、R12はそれぞれ独立して、グリシジルエーテル基または2-メチルグリシジルエーテル基であり、
R13、R14はそれぞれ独立して水酸基、グリシジルエーテル基または2-メチルグリシジルエーテル基であり、
R15、R16は水素原子又はメチル基であり、
m1、m2、p1、p2、qは繰り返しの平均値であり、
m1、m2は、それぞれ独立して0~25であり、且つ、m1+m2≧1であり、
p1、p2はそれぞれ独立して0~5であり、
qは0.5~5である。
ただし、前記式(4-1)で表される構造単位Xと前記式(4-2)で表される構造単位Yとの結合は、ランダムであってもブロックであってもよく、1分子中に存在する各構造単位X、Yの数の総数がそれぞれm1、m2であることを示す。) - 前記エポキシ樹脂が、下記式(5)で表される請求項4に記載のエポキシ樹脂組成物。
(式(5)中、p1、p2、q、m 2 及びn 2 は繰り返しの平均値であり、それぞれ独立して、p1は0~5、p2は0~5、qは0.5~5、m 2 は1~25、n 2 は2~30である。) - 請求項1~5のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなるエポキシ樹脂硬化物。
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