本発明に係る信号発生装置は、エンジンや、エンジンの負荷を制御するためにエンジンのクランク軸の回転位置情報を得ることが必要な場合に広く使用することができる。クランク軸の回転位置情報は、クランク軸の回転位置が特定の回転位置に一致したことを示す情報である。
本明細書において「特定の回転位置」は、限定的な意味を持つものではなく、エンジン又はエンジンにより駆動される負荷に対して行う制御の内容に応じて、クランク軸の種々の回転位置であり得る。エンジンの点火位置を制御する場合や、燃料噴射位置を制御する場合、「特定の回転位置」は、例えば、点火位置や燃料噴射位置の計測を開始する際のクランク軸の回転位置や、エンジンの始動時に最初に点火を行う際のクランク軸の回転位置などである。
本明細書においては、エンジンの各気筒のピストンが上死点に達した際のクランク軸の回転位置を各気筒の上死点位置と呼ぶ。また各種の制御条件に対して演算された各気筒の点火位置等の計測を開始する際のクランク軸の回転位置を各気筒の基準位置と呼ぶ。エンジンのクランク軸の回転位置をクランク角位置と呼ぶこともある。
本発明の一実施形態では、エンジン用信号発生装置が、磁束の変化を検出する毎に信号を出力するように構成されてエンジンのケースに対して固定される回転センサと、エンジンのクランク軸と共に回転するように設けられて、回転位置が設定回転位置に一致する毎に回転センサが検出する磁束に一方向又は他方向への変化を生じさせるリラクタを備えたロータとを備えて、リラクタが前記磁束を一方向に変化させた際に回転センサから第1の極性の信号を出力し、リラクタが前記磁束を他方向に変化させた際に、回転センサから第2の極性の信号を出力する。
本発明を適用する信号発生装置で用いるロータは、エンジンに取り付けられる際にクランク軸と中心軸線を共有した状態で配置される円筒面を有し、この円筒面にリラクタが設けられる。また回転センサは、ロータの円筒面のリラクタが設けられた領域に空隙を介して対向させられる磁極部と、この磁極部とリラクタとを含むように形成された磁路に信号発生用磁束を流す磁石と、ロータが回転する過程で前記リラクタが前記信号発生用磁束に変化を生じさせる毎にレベル変化を示す信号を発生する信号発生部とを備えている。
本発明の好ましい実施形態においては、ロータが回転する過程で回転センサが検出する磁束に一方向への変化を続けて2回生じさせる第1の磁束変化生成部と、ロータが回転する過程で回転センサが検出する磁束に他方向への変化を続けて2回生じさせる第2の磁束変化生成部とを1つずつ持つようにリラクタが構成される。
このようにリラクタを構成しておくと、ロータが1回転する間に回転センサが出力する一連の信号対に、続けて発生する2つの第1の極性の信号からなる第1の同極性の信号対と、続けて発生する2つの第2の極性の信号からなる第2の同極性の信号対とを1つずつ含ませることができる。
本発明の好ましい実施形態では、ロータが1回転する間に回転センサが出力する信号対群が、第1の極性を持って続けて発生する2つの信号からなる第1の同極性の信号対、第1の極性の信号と第2の極性の信号との2つの信号からなる第1の異極性の信号対、第2の極性を持って続けて発生する2つの信号からなる第2の同極性の信号対、及び続けて発生する第2の極性の信号と第1の極性の信号との2つの信号からなる第2の異極性の信号対のみを含むように前記リラクタが設けられる。
本発明の他の好ましい実施形態では、ロータが1回転する間に回転センサが出力する信号対群が、続けて発生する2つの第1の極性の信号からなる第1の同極性の信号対、続けて発生する第1の極性の信号と第2の極性の信号との2つの信号からなる第1の異極性の信号対、続けて発生する2つの第2の極性の信号からなる第2の同極性の信号対、続けて発生する第2の極性の信号と第1の極性の信号との2つの信号からなる第2の異極性の信号対、及び続けて発生する第1の極性の信号と第2の極性の信号との2つの信号からなる第3の異極性の信号対のみからなるようにリラクタが設けられる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1を参照すると、本発明に係る信号発生装置1の一実施形態の構成が概略的に示されている。図示の信号発生装置1は、エンジンのクランク軸2に取り付けられて、クランク軸と共に回転させられるロータ3と、回転センサ4とにより構成されている。
回転センサ4は、エンジンのケースやエンジンが固定されたフレーム等に設けられた回転センサ取り付け部(図示せず。)に取り付けられて、エンジンのケースに対して固定された状態で配置される。
回転センサ4は、ロータ3の磁極面に対向する磁極部4aと、回転センサ4とロータ3の磁極面とを含む磁路に信号発生用磁束を流す磁石と、信号発生用磁束を検出して、検出している磁束に変化が生じた際に信号を発生する信号発生部とを備えている。回転センサは、検出している信号発生用磁束が一方向に変化したことを検出したときに第1の極性の信号を発生し、検出している信号発生用磁束が他方向に変化したことを検出したときに第2の極性の信号を発生する。信号発生用磁束の変化は、該磁束の増加方向又は減少方向への変化であり、例えば、信号発生用磁束の増加方向への変化を該磁束の一方向への変化とした場合、該信号発生用磁束の減少方向への変化が該磁束の他方向への変化となる。回転センサ4の具体的な構成例については後述する。
ロータ3は、エンジンのクランク軸2に取り付けられる回転体301を備えている。回転体301は、専ら信号発生装置のロータを構成するために設けられたものでもよく、発電機などの他の回転機器の回転体を兼ねるものでもよい。回転体301は、クランク軸2と共に回転させられるエンジンの付属部品、例えば、エンジンのクランク軸に取り付けられるフライホイールや、エンジンのクランク軸に取り付けられて、エンジン冷却用のファンにベルトを介して連結されるプーリなどであってもよい。
本実施形態では、クランク軸2に取り付けられるフライホイールを回転体301として用いている。図示の回転体301は、円筒状の周壁部301aと、周壁部301aの軸線方向の一端側を閉じる底壁部301bとを備えたカップ状の形状に形成されている。回転体301の底壁部301bの中央部にはボス部301cが形成されている。回転体301は、ボス部301cをエンジンのクランク軸2に嵌合させて該クランク軸にキー止めすることによりエンジンに取り付けられる。回転体の周壁部301aの外周には、クランク軸2の中心軸線Oを同心的に取り囲む円筒面302が形成されている。回転体301の周壁部301aは、ロータの周壁部でもあり、円筒面302は、ロータの円筒面でもある。また円筒面302は、ロータの外周面でもある。
本実施形態では、エンジンの定常運転時におけるクランク軸2の回転方向をクランク軸の正回転方向としている。図1においては、クランク軸の正回転方向が矢印Rで示されている。以下の説明においては、ロータ3の円筒面302の中心軸線Oに沿う方向(図1の紙面と直角な方向)を、円筒面302の幅方向としている。
ロータ3の少なくとも外周寄りの部分、即ち回転体301の少なくとも外周寄りの部分は、鉄等の強磁性材料により形成され、ロータ3の強磁性材料により構成された部分の外周に形成された円筒面302にリラクタが設けられている。リラクタは、ロータの円筒面302の周方向に延びる突起又は凹部により構成される。リラクタには、円筒面302の周方向に間隔を隔てて並ぶ複数の作用点が設定されている。リラクタは、各作用点の所で、幅寸法や円筒面302からの突出高さが変化する等の形態の変化を示す。リラクタは、各作用点が回転センサ4の磁極部4aの位置を通過する際に、ロータの磁極面MSと回転センサ4の磁極部4aとの間の距離を変化させたり、回転センサ4の磁極部4aに対向するロータの磁極面MSの面積を変化させたりすることにより、ロータの磁極面MSと回転センサの磁極部4aとの間の磁気抵抗を変化させて、信号発生用磁束を変化させる。この信号発生用磁束の変化により、回転センサ4から信号を出力させる。
本実施形態では、回転体301全体が鉄等の強磁性材料により形成されている。図2(A),(B)にも示されているように、回転体301の外周に形成された円筒面302の幅方向の中央寄りの領域に、回転体301の周方向に延びるリラクタ構成要素303が、その先端をロータの回転方向Rの前方に向け、後端をロータの回転方向の後方に向けた状態で設けられ、このリラクタ構成要素によりリラクタが構成されている。
図示の例では、リラクタ構成要素303の最も幅広な部分に、ロータの円筒面302の幅寸法よりも小さい幅寸法を持たせている。従って、ロータの円筒面302の幅方向の一端寄りの部分及び他端寄りの部分には、リラクタが設けられていない平坦な領域が残されている。本実施形態では、リラクタ構成要素303の外周面と、リラクタ構成要素303の先端と後端との間で回転体301の径方向の外側に露呈されている回転体301の外周面とがロータの磁極面MSとなっている。
エンジンを制御する際には、クランク軸の回転位置が複数の設定回転位置にそれぞれ一致する毎に信号発生装置から信号を発生させる。そのため、ロータに設けるリラクタに複数の作用点を設定しておいて、各作用点が回転センサの磁極部4aの位置を通過する毎に回転センサが検出する磁束に変化を生じさせて、回転センサ4から信号を出力させる。リラクタの作用点は、その前後でリラクタを構成する突起や凹部の形態を段階的に異ならせることにより設定される。本実施形態では、クランク軸が1回転する間に、信号発生装置から4つの信号を発生させる。そのため、ロータに設けるリラクタに第1ないし第4の作用点を設定して、リラクタの第1ないし第4の作用点が回転センサ4の磁極部4aの位置を通過する際に、回転センサ4が検出している磁束に一方向又は他方向の変化を生じさせる。第1ないし第4の作用点が回転センサ4の磁極部4aの位置を通過する際にそれぞれ生じる磁束の変化を回転センサ4に検出させることにより、回転センサ4から第1の信号Vs1ないし第4の信号Vs4を出力させる。
リラクタの第1ないし第4の作用点の位置を規定するため、ロータの円筒面に、該円筒面の周方向に所定の間隔を持って並ぶ第1ないし第4の設定位置P1ないしP4が設定され、第1ないし第4の設定位置P1ないしP4にそれぞれリラクタの第1ないし第4の作用点が設定される。
更に詳細に説明すると、図示のリラクタ構成要素303は、先端S1aをロータ3の回転方向Rの前方に向け、後端をロータ3の回転方向Rの後方側に向けた状態で円筒面302の周方向に沿って第1の設定位置P1から第2の設定位置P2まで延びる円弧状の第1のセクションS1と、第1のセクションS1の後端S1bに先端S2aを連結し、後端S2bをロータ3の回転方向Rの後方に向けた状態で円筒面302の周方向に沿って第2の設定位置P2から第3の設定位置P3まで延びる円弧状の第2のセクションS2と、先端S3aを第2のセクションS2の後端S2bに連結し、後端S3bをロータ3の回転方向Rの後方側に向けた状態で円筒面302の周方向に沿って第3の設定位置P3から第4の設定位置P4まで延びる円弧状の第3のセクションS3とからなっている。本実施形態では、第1ないし第3のセクションのそれぞれの外径が等しく設定されているため、第1ないし第3のセクションS1ないしS3の外周面は同一の円筒面上に配置されている。
図2(A),(B)に示されているように、リラクタ構成要素303の先端部寄りの部分を構成している第1のセクションS1は、一定の厚みdを持ち、かつ一定の第1の幅寸法W1 を持って、ロータ3の周方向に第1の設定位置P1から第2の設定位置P2まで延びるように設けられている。第1のセクションS1は、その先端S1aをクランク軸2の正回転方向Rの前方側に向け、かつ先端S1aの位置を第1の設定位置P1に一致させた状態で設けられている。第1のセクションS1の先端S1aは、リラクタ構成要素303の先端でもある。
この例では、第1の設定位置P1に第1の作用点を設定するため、第1の設定位置P1で第1のセクションS1の先端S1aを、ロータの外周面である円筒面302から直角に立ち上がらせて、第1の設定位置P1で第1のセクションS1の高さをステップ状に増大させている。ロータが回転する過程でこの第1の作用点が回転センサの磁極部の位置を通過する際に、リラクタの磁極面と回転センサ4の磁極部4aとの間の距離が減じる方向にステップ状に変化する。
第1の作用点が回転センサの磁極部の位置を通過する際にリラクタの磁極面と回転センサ4の磁極部との間の距離が減じることにより、回転センサ4が検出する磁束が増加方向に変化する。この磁束の変化により、回転センサ4が第1の極性を有する第1の信号を出力する。
回転センサが検出する磁束の何れの方向への変化を一方向への変化とするかは任意であるが、本実施形態では、回転センサ4が検出する磁束の増加方向への変化を該磁束の一方向への変化としている。また、回転センサが検出している磁束が増加方向に変化した際に回転センサ4が出力する信号の極性を第1の極性としている。
リラクタ構成要素303の中間部を構成している第2のセクションS2は、第1のセクションS1と同じ厚みdを持ち、かつ第1の幅寸法W1 よりも大きい一定な第2の幅寸法W2 を持ってロータ3の周方向に第2の設定位置P2から第3の設定位置P3まで延びるように設けられ、第2の設定位置P2で第2のセクションS2の先端S2aが第1のセクションS1の後端S1bに連結されている。
第2のセクションの幅寸法W2が第1のセクションの幅寸法W1よりも大きく設定されていることにより、第2の設定位置P2でリラクタの幅寸法がステップ状に拡大されている。これにより、第2の設定位置P2にリラクタの第2の作用点が設定され、ロータが回転する過程でこの第2の作用点が回転センサの磁極部の位置を通過する際に、回転センサの磁極部が対向しているリラクタの磁極面の面積が増加方向にステップ状に変化させられる。従って、ロータが回転する過程でリラクタの第2の作用点が回転センサの磁極部の位置を通過する際に、回転センサが検出している磁束が再び増加方向に変化し、回転センサが再び第1の極性の信号を出力する。
リラクタ構成要素303の後端部寄りの部分を構成している第3のセクションS3は、第1のセクションS1及び第2のセクションS2と同じ厚みdを持ち、かつ第2のセクションS2の幅寸法W2 よりも小さい一定な幅寸法W3 を持って、ロータ3の周方向に第3の設定位置P3から第4の設定位置P4まで伸びるように設けられている。第3のセクションS3は、その先端S3a を第2のセクションS2の後端S2bに連結し、その後端S3bをロータの正回転方向Rの後方側に向けた状態で設けられている。
第3のセクションS3の幅寸法W3が第2のセクションS2の幅寸法W2よりも小さく設定されていることにより、第3の設定位置P3でリラクタの幅寸法がステップ状に縮小されている。これにより、第3の設定位置P3にリラクタの第3の作用点が設定されている。ロータが回転する過程でこの第3の作用点が回転センサの磁極部の位置を通過する際に、回転センサの磁極部4aが対向しているロータの磁極面の面積がステップ状に減少する。
従って、ロータが回転する過程で、第3の作用点が回転センサの磁極部4aの位置を通過する際に、回転センサが検出している磁束が減少方向に変化し、回転センサが第2の極性の信号を出力する。本実施形態では、回転センサ4が検出する磁束の減少方向への変化を該磁束の他方向への変化とし、回転センサが検出している磁束が減少方向に変化した際に回転センサが出力する信号の極性を第2の極性としている。
第3のセクションS3の後端S3bで、円筒面302から測った第3のセクションS3の高さがステップ状に低下させられ、これにより、第4の設定位置P4にリラクタの第4の作用点が設定されている。ロータが回転する過程でこの第4の作用点が回転センサの磁極部の位置を通過する際に、回転センサの磁極部とロータの磁極面との間の距離がステップ状に増大する。従って、リラクタの第4の作用点が回転センサの磁極部の位置を通過する際に、回転センサが検出している磁束が再び減少方向に変化する。回転センサは、この磁束の変化を検出して再び第2の極性の信号を出力する。
本願の図面においては、リラクタの第1ないし第4の作用点には符号を付してないが、第1ないし第4の作用点がそれぞれ設けられた位置は第1の設定位置P1ないし第4の設定位置P4に一致しているので、第1の設定位置ないし第4の設定位置を示す符号P1~P4から各作用点が設定された位置を識別できる。
リラクタ構成要素303の後端寄りの部分を構成する第3のセクションS3の幅寸法W3は、第2のセクションS2の幅寸法W2 よりも小さければよい。本実施形態では、第3のセクションS3の幅寸法W3 が第1のセクションS1の幅寸法W1 に等しく設定されている。
本実施形態においては、リラクタ構成要素303の第1のセクションS1の先端S1aに設定された第1の作用点と、第1のセクションS1の後端S1bと第2のセクションS2の先端S2aとの連結部に設定された第2の作用点とにより、ロータ3が回転する過程で回転センサ4が検出する磁束の一方向への変化を続けて2回生じさせる第1の磁束変化生成部が構成されている。この第1の磁束変化生成部は、ロータが1回転する間に回転センサ4が検出する磁束の一方向への変化を続けて2回生じさせるため、第1の極性を持って続けて発生する2つの信号からなる第1の同極性の信号対を回転センサから出力させる。
また、リラクタ構成要素303の第2のセクションS2の後端S2bと第3のセクションS3の先端S3aとの連結部に設定された第3の作用点と、第1のリラクタ構成要素303Aの第3のセクションS3の後端部S3bに設定された第4の作用点とにより、ロータが回転する過程で回転センサ4が検出する磁束に他方向への変化を2回続けて生じさせる第2の磁束変化生成部が構成されている。この第2の磁束変化生成部は、ロータが1回転する間に、回転センサ4が検出する磁束の他方向への変化を続けて2回生じさせるため、第2の極性を持って続けて発生する2つの第2の極性の信号からなる第2の同極性の信号対を回転センサから出力させる。
ロータ3には、第1の磁束変化生成部及び第2の磁束変化生成部が1つずつ設けられているため、回転センサ4は、第1の同極性の信号対と、第2の同極性の信号対とを、ロータが1回転する間に1回ずつ出力する。
なお図1及び図2に示した例では、第1の設定位置P1~第4の設定位置相互間の角度間隔、即ち第1ないし第4の作用点相互間の角度間隔が90CAとなるように第1ないし第3のセクションのそれぞれの極弧角が設定されているが、設定位置相互間の角度間隔は、信号発生装置の用途に応じて適宜に設定できる。ここでCAは、クランク角(Crank Angle)を意味している。
図1及び図2に示した例では、リラクタ構成要素の第2のセクションS2の幅寸法W2を、第1のセクションS1の幅寸法W1及び第3のセクションS3の幅寸法W3よりも大きく設定することにより、第2の設定位置P2及び第3の設定位置P3にそれぞれ第2の作用点及び第3の作用点を設定しているが、本発明で用いるリラクタ構成要素303はこのように構成されたものに限定されない。
例えば、図4(A),(B)に示したように、第1のセクションS1ないし第3のセクションS3に同じ一定の幅寸法Wを持たせ、第2のセクションS2の厚みd2を第1のセクションS1の厚みd1及び第3のセクションS3の厚みd3よりも厚くして、第1の設定位置P2及び第3の設定位置P3でリラクタ構成要素の高さをステップ状に変化させることにより、第1の設定位置P2及び第3の設定位置P3にそれぞれ第2の作用点及び第3の作用点を設定しても良い。
このように構成した場合も、図4(C)に示したように、設定回転位置θ1及びθ2で第1の作用点及び第2の作用点が回転センサの磁極部の位置を通過する際に第1の極性を有する第1の信号Vs1及び第2の信号Vs2を回転センサから出力させることができ、設定回転位置θ3及びθ4で第3の作用点及び第4の作用点が回転センサの磁極部の位置を通過する際に、回転センサから第2の極性を有する第3の信号Vs3及び第4の信号Vs4を出力させることができる。
図5(A),(B)を参照すると、本実施形態で用いる回転センサ4の構成が示されている。ロータ3と共に信号発生装置1を構成する回転センサ4は、ロータ3の磁極面にギャップを介して対向する磁極部4aと、該磁極部4aとロータの磁極面に形成されたリラクタとを含むように形成された磁路に磁束を流す永久磁石と、ロータが回転する過程で第1のリラクタ303A及び第2のリラクタ303Bが前記磁路を流れる磁束に変化を生じさせる毎にレベル変化を示す信号を、クランク角情報を含む信号として発生する信号発生部とを備えている。
図示の回転センサ4は、鉄心401と、鉄心401に巻かれた信号コイル402と、鉄心401に磁束を流す永久磁石403と、鉄等の強磁性材料からなる磁路構成部材404とを備えている。図示の例では、鉄心401の先端が磁極部4aとなっていて、この磁極部4aが、第1及び第2のリラクタ構成要素303A及び303Bの磁極面MSにエアギャップを介して対向させられる。
図示の磁路構成部材404は、ロータ3の径方向に対して直交した状態で配置される基板部404aと、基板部404aの一端から直角に折れ曲がってロータ3側に延びる側板部404bとを備え、側板部404bの基板部404a寄りの端部には互いに反対方向に突出した耳部404c,404cが形成されている。耳部404c,404cには取り付け孔404d,404dが形成されている。磁路構成部材404の基板部404aに永久磁石403の一方の磁極(図示の例ではS極)が結合され、永久磁石403の他方の磁極(図示の例ではN極)に回転センサ鉄心401の後端が結合されている。
回転センサ4の構成部品は、磁極部4aを外部に露呈させ、かつ磁路構成部材404の側板部404bの少なくとも先端寄りの部分と耳部404c,404cとを外部に露呈させた状態で、絶縁樹脂からなるモールド部により被覆されるか、又は適宜のケース内に収容されることにより、所定の位置関係を保持した状態で配置されている。
回転センサ4は、鉄心401の先端に形成された磁極部4aを、ロータ3の磁極面MSにギャップを介して対向させ、かつ磁路構成部材404の側板部404bをロータ3の磁極面MS以外の部分にギャップを介して対向させた状態で配置されて、耳部404c,404cを、エンジンのケースに対して固定された図示しない回転センサ取り付け部に固定することにより、エンジンに取り付けられる。
本実施形態では、ロータ3の円筒面302の幅方向の一端寄りの、リラクタが形成されていない領域304に、磁路構成部材404の側板部404bの先端面404b1を、エアギャップを介して対向させている。これにより、磁路構成部材404の側板部404bが、ロータ3に磁気的に結合されている。
なお磁路構成部材404は、その側板部404bの先端をロータ3の底壁部301bの外周寄りの部分に対向させることにより、ロータ3のリラクタが形成されていない部分に磁気的に結合しても良く、側板部404bの先端をロータ3にギャップを介して磁気的に結合されている他の適宜の部材に固定することにより、ロータ3のリラクタが形成されていない部分に磁気的に結合してもよい。
図示の信号発生装置1においては、ロータ3と回転センサ4との間に、永久磁石403-鉄心401-空隙-ロータ3-空隙-磁路構成部材404-永久磁石403のループからなる磁路が構成され、この磁路を通して信号コイル402と鎖交する信号発生用磁束が流れる。ロータ3が回転する過程で、リラクタ構成要素303に設定された各作用点が回転センサ4の磁極部4aの位置を通過する際に、上記磁路の磁気抵抗を変化させる。これにより、信号コイル402と鎖交する磁束に変化を生じさせて、信号コイル402にパルス波形の信号を誘起させる。
本実施形態においては、信号コイル402により、ロータ3が回転する過程でリラクタが前記磁路を流れる磁束に変化を生じさせる毎にレベル変化を示す信号を、クランク角情報を含む信号として発生する信号発生部が構成されている。
本発明において、信号発生装置から発生させる信号の発生位置をどのように設定するかは任意であるが、本実施形態の信号発生装置は、クランク軸が1回転する間に、クランク軸の回転位置が、エンジンの始動時の点火位置として用いることができるクランク軸の回転位置に一致したことの情報を与える信号と、クランク軸の回転位置が、エンジンの点火位置の計測を開始する際のクランク軸の回転位置である基準位置に一致したことの情報を与える信号との2つの信号を含む信号を、エンジンの気筒毎に発生する。
通常エンジンの始動時の点火位置は、各気筒の上死点位置に設定するか、又は上死点位置よりも僅かに進んだ位置に設定される。本実施形態では、各気筒の上死点位置をエンジンの始動時の点火位置としている。
本実施形態に係る信号発生装置は、ロータの円筒面302に第1の設定位置P1~第4の設定位置P4を適宜に設定することにより、単気筒4サイクルエンジン、2気筒4サイクルエンジン、3気筒4サイクルエンジン、4気筒4サイクルエンジンなど、単気筒エンジンから多気筒エンジンまでの各種のエンジンに適用することができる。
図6(A)ないし(C)を参照すると、本実施形態の信号発生装置を単気筒4サイクルエンジンに適用する場合について、ロータに設けるリラクタの展開図と、信号発生装置が発生する信号Vs1ないしVs4の波形図と、各信号が発生したときにエンジンの気筒で行われる行程を示した行程図とが示されている。図6(C)の行程図において、INTは吸気行程を示し、COMは圧縮行程を示している。またEXPは膨張行程を示し、EXHは排気行程を示している。
本実施形態では、クランク軸の回転位置が第1の設定回転位置θ1ないし第4の設定回転位置θ4にそれぞれ一致したときに、第1の設定位置P1ないし第4の設定位置P4にそれぞれ設定された第1の作用点ないし第4の作用点が回転センサ4の磁極部4aの位置を通過して、回転センサ4から第1ないし第4の信号Vs1~Vs4を出力させるように、リラクタの各作用点の位置と、リラクタの形状とが設定されている。
図6に示した例では、クランク軸の第1の設定回転位置θ1で、リラクタ構成要素303の先端寄りの部分を構成している第1のセクションS1の先端S1aに設定されている第1の作用点が、回転センサ4の磁極部4aの位置を通過した際に、回転センサ4が検出する磁束をステップ状に増加させるため、回転センサ4が第1の極性の第1の信号Vs1を出力する。
また、クランク軸の第2の設定回転位置θ2で、第1のリラクタ構成要素303Aの第1のセクションS1の後端S1bと第2のセクションS2の先端S2aとの連結部に設定されている第2の作用点が回転センサ4の磁極部4aの位置を通過した際に、回転センサ4が検出する磁束を再びステップ状に増加させるため、回転センサ4が再び第1の極性の第2の信号Vs2を出力する。
またクランク軸の第3の設定回転位置θ3で、第1のリラクタ303Aの第2のセクションS2の後端S2bと第3のセクションS3の先端S3aとの連結部に設定された第3の作用点が回転センサの磁極部4aの位置を通過した際に、回転センサ4が検出する磁束がステップ状に減少したため、クランク軸の第3の設定回転位置θ3で回転センサ4が第2の極性を有する第3の信号Vs3を出力する。
またロータの第4の設定回転位置θ4で、第1のリラクタ構成要素の第3のセクションS3の後端S3b に設定された第4の作用点が磁極部4aの位置を通過する際に、回転センサ4が検出する磁束がステップ状に減少したため、クランク軸の第4の設定回転位置θ4で回転センサ4が再び第2の極性を有する第4の信号Vs4を出力する。
本実施形態においては、第4の信号Vs4が発生する設定回転位置θ4を、ピストンが上死点に達する際のクランク軸の回転位置である上死点位置TDCに設定している。また第3の信号Vs3が発生する設定回転位置θ3を点火位置の計測を開始する位置である基準位置Refに設定している。本実施形態においては、基準位置Refを上死点位置TDCよりも90CA進んだ位置に設定している。
この場合、上死点位置TDCで始動時の最初の点火を行わせるとすると、排気行程EXHが終了する際の上死点位置でも点火が行われることになるが、排気行程では燃焼は行われないため、この点火によりエンジンの動作に支障を来すことはない。
本実施形態において、回転センサ4が信号を出力する毎に、今回発生した信号と1つ前に発生した信号とを信号対として検出するものとする。クランク軸が1回転する間に検出される一連の信号対を信号対群とすると、クランク軸が1回転する間に検出される信号対群は、第1の極性を持って続けて発生する2つの信号Vs1,Vs2からなる第1の同極性の信号対と、第1の極性の信号Vs2と第2の極性の信号Vs3との2つの信号からなる第1の異極性の信号対と、第2の極性を持って続けて発生する2つの信号Vs3,Vs4からなる第2の同極性の信号対と、続けて発生する第2の極性の信号Vs4と第1の極性の信号Vs1との2つの信号からなる第2の異極性の信号対との4つの信号対からなる。
従って、回転センサ4は、ロータが1回転する間に、第1の同極性の信号対Vs1,Vs2を1回だけ出力し、第2の同極性の信号対Vs3,Vsを1回だけ出力する。このように、第1の同極性の信号対Vs1,Vs2と、第2の同極性の信号対Vs3,Vs4とをロータが1回転する間に1回ずつ発生させるようにしておくと、エンジンの始動操作を開始した際にクランク軸が何れの位置から回転を開始した場合でも、クランク軸が1回転する間に、第1の同極性の信号対及び第2の同極性の信号対のうちの何れか一方は必ず発生させることができる。そのため、始動操作開始後、クランク軸が1回転するまでの間に信号発生装置が発生する信号の判別を確実に完了して、クランク軸の回転位置の情報を迅速に取得することができ、エンジンの始動性を向上させることができる。
また第1の同極性の信号対Vs1,Vs2と、第2の同極性の信号対Vs3,Vs4とをロータが1回転する間に1回ずつ発生させるようにしておくと、エンジンが始動した後、ロータが1回転する間に、信号の発生位置を判別する機会を2回得ることができるため、クランク軸の回転位置の判別の精度を高めることができる。
また本実施形態のように構成すると、ロータが1回転する間に第1の異極性の信号対Vs2,Vs3と第2の異極性の信号対Vs4,Vs1との2つの異極性の信号対が検出されるが、第1の異極性の信号対Vs2,Vs3において第1の極性の信号と第2の極性の信号とが検出される順序と、第2の異極性の信号対Vs4,Vs1において第1の極性の信号と第2の極性の信号が検出される順序とが異なることから、第1の異極性の信号対Vs2,Vs3と、第2の異極性の信号対Vs4,Vs1とを明確に区別して検出することができる。
従って、エンジンの始動時に最初に異極性の信号対が検出された場合でも、検出された異極性の信号対を構成する信号のうち、後から検出された信号の発生位置を直ちに判別することができる。例えば、図6において、第1の極性の信号Vs2に続いて第2の極性の信号Vs3が検出された場合には、第1の極性の信号に続いて第2の極性の信号が検出されたことから、後から検出された信号Vs3を設定回転位置θ3で発生した信号であると直ちに判別することができる。従って、本実施形態によれば、回転センサが出力する各信号の判別を迅速かつ正確に行うことができる。
図7(A)~(D)を参照すると、図1に示した信号発生装置を2気筒4サイクルエンジンに適用する場合について、ロータに設けるリラクタの展開図と、信号発生装置が発生する信号Vs1ないしVs4の波形図と、各信号が発生したときにエンジンの気筒で行われる行程を示した行程図とが示されている。
本実施形態においても、ロータを構成する回転体の外周に、第1の設定位置P1ないしP4が90CAの角度間隔で設定されている。設定位置P1から設定位置P2まで延びる第1のセクションS1と、設定位置P2から設定位置P3まで延びる第2のセクションS2と、設定位置P3から設定位置P4まで延びる第3のセクションS3とによりリラクタ構成要素303が構成され、第1の設定位置P1ないしP4にそれぞれリラクタの第1の作用点ないし第4の作用点が設定されている。
本実施形態においては、第4の信号Vs4が発生する設定回転位置θ4を上死点位置TDCに設定している。また第3の信号Vs3が発生する設定回転位置θ3を点火位置の計測を開始する位置である基準位置Refに設定している。この場合、エンジンの始動時に設定回転位置θ4で第1気筒及び第2気筒の点火を同時に行わせることになるが、両気筒のうちの一方が圧縮行程にあるときに、他方は排気行程であるため、両気筒で同時に点火を行わせてもエンジンの動作に支障を来すことはない。
図8(A)~(E)を参照すると、リラクタに図1に示した構成を持たせた信号発生装置を3気筒4サイクルエンジンに適用する場合について、ロータに設けるリラクタの展開図と、信号発生装置が発生する第1ないし第4の信号Vs1ないしVs4の波形図と、各信号が発生したときにエンジンの気筒で行われる行程を示した行程図とが示されている。本実施形態においても、ロータを構成する回転体の外周に、第1の設定位置P1ないしP4が設定され、第1の設定位置P1ないしP4にそれぞれリラクタの第1の作用点ないし第4の作用点が設定されている。本実施形態においては、第1の設定位置P1と第2の設定位置P2との間の角度間隔が60CAに設定され、第2の設定位置P2と第3の設定位置P3との間の角度間隔及び第3の設定位置P3と第4の設定位置P4との間の角度間隔が120CAに設定されている。
本実施形態では、第4の信号Vs4が発生する第4の設定回転位置θ4が第1気筒の上死点位置#1TDCに設定されている。また第2の信号Vs2が発生する第2の設定回転位置θ2が第2気筒の上死点位置#2TDCに設定され、第3の信号Vs3が発生する第3の設定回転位置θ3が第3気筒の上死点位置#3TDCに設定されている。エンジンの始動時には、設定回転位置θ4、θ2及びθ3でそれぞれ第1気筒、第2気筒及び第3気筒の点火が行われる。
図9(A)ないし(F)を参照すると、図1に示した構成を有する本発明に係る信号発生装置を、4気筒4サイクルエンジンに適用する場合に、ロータに設けられるリラクタ構成要素303と、信号発生装置が発生する信号と、エンジンの気筒で行われる行程との間に成立する関係の一例が示されている。
本実施形態においては、ロータを構成する回転体の外周に、第1の設定位置P1ないし第4の設定位置P4が90CAの角度間隔で設定され、第1の設定位置P1から第2の設定位置P2まで延びる第1のセクションS1と、第2の設定位置P2から第3の設定位置P3まで延びる第2のセクションS2と、第3の設定位置P3から第4の設定位置P4まで延びる第3のセクションS3とによりリラクタ構成要素303が構成されている。この例では、第1の設定位置P1ないし第4の設定位置P4にそれぞれリラクタの第1の作用点ないし第4の作用点が設定されている。回転センサ4は、リラクタの第1の作用点ないし第4の作用点が回転センサ4の磁極部の位置を通過する際にそれぞれ第1の信号Vs1ないし第4の信号Vs4を出力する。
本実施形態では、第4の信号Vs4が発生する設定回転位置θ4が第1気筒及び第4気筒の上死点位置#1/#4TDCに設定され、第2の信号Vs2が発生する設定回転位置θ2が第2気筒及び第3気筒の上死点位置#2/#3TDCに設定されている。また第3の信号Vs3が発生する設定回転位置θ3が第1気筒及び第4気筒の基準位置#1/#4Refに設定され、第1の信号Vs1が発生する設定回転位置θ1が第2気筒及び第3気筒の基準位置#2/#3Refに設定されている。
エンジンの始動時には、第2の極性の信号Vs3及びVs4が続いて検出されたときに、後から発生した信号Vs4が設定回転位置θ4で発生した信号であると判別され、設定回転位置θ4で第1気筒及び第4気筒の点火が同時に行われる。また第1の極性の信号Vs1及びVs2が続いて検出されたときに、後から発生した信号Vs2が設定回転位置θ2で発生した信号であると判別され、設定回転位置θ2で第2気筒及び第3気筒の点火が同時に行われる。本実施形態でも、2つの気筒が同時に点火されるが、同時に点火が行われる2つの気筒の一方が圧縮行程にあるときに、他方は排気行程にあるため、エンジンの動作に支障を来すことはない。
また第1の極性の信号Vs2に続いて第2の極性の信号Vs3が検出されたときに、後から発生した第2の極性の信号Vs3が第1気筒及び第4気筒の基準位置である設定回転位置θ3で発生した信号であると判別され、第2の極性の信号Vs4に続いて第1の極性の信号Vs1が検出されたときに、後から発生した信号Vs1が第2気筒及び第3気筒の基準位置である設定回転位置θ1で発生した信号であると判別される。
以上のように、本発明においては、リラクタ構成要素303の第1のセクションS1の先端S1aに設定された第1の作用点と、第1のセクションS1の後端S1bと第2のセクションS2の先端S2aとの連結部に設定された第2の作用点とにより、ロータ3が回転する過程で回転センサ4が検出する磁束の一方向への変化を続けて2回生じさせる第1の磁束変化生成部を構成する。この第1の磁束変化生成部は、ロータが1回転する間に回転センサ4が検出する磁束の一方向への変化を続けて2回生じさせるため、第1の極性を持って続けて発生する2つの信号Vs1,Vs2からなる第1の同極性の信号対を回転センサから出力させる。
また、リラクタ構成要素303の第2のセクションS2の後端S2bと第3のセクションS3の先端S3aとの連結部に設定された第3の作用点と、第3のセクションS3の後端部S3bに設定された第4の作用点とにより、ロータが回転する過程で回転センサ4が検出する磁束に他方向への変化を2回続けて生じさせる第2の磁束変化生成部が構成されている。この第2の磁束変化生成部は、ロータが1回転する間に、回転センサ4が検出する磁束の他方向への変化を続けて2回生じさせるため、第2の極性を持って続けて発生する2つの第2の極性の信号Vs3,Vs4からなる第2の同極性の信号対を回転センサ4から出力させる。
ロータ3には、第1の磁束変化生成部及び第2の磁束変化生成部が1つずつ設けられているため、回転センサ4は、ロータが1回転する間に、第1の同極性の信号対Vs1,Vs2を1回だけ出力し、第2の同極性の信号対Vs3,Vs4を1回だけ出力する。
このように、第1の極性を有する第1の同極性の信号対Vs1,Vs2と、第2の極性を有する第2の同極性の信号対Vs3,Vs4とをロータが1回転する間に1回ずつ発生させるようにしておくと、エンジンの始動操作を開始した際にクランク軸が何れの位置から回転を開始した場合でも、クランク軸が1回転する間に、第1の同極性の信号対及び第2の同極性の信号対のうちの何れか一方は必ず発生させることができるため、クランク軸が1回転するまでの間にクランク軸の回転位置の情報を確実に取得して、エンジンの始動性を向上させることができる。また第1の同極性の信号対Vs1,Vs2と、第2の同極性の信号対Vs3,Vs4とをロータが1回転する間に1回ずつ発生させるようにしておくと、エンジンが始動した後、ロータが1回転する間に、信号の発生位置を判別する機会を2回得ることができるため、クランク軸の回転位置の判別の精度を高めることができる。
ロータ3に設けるリラクタに、第1の磁束変化生成部及び第2の磁束変化生成部を1つずつ持たせて、ロータが1回転する間に、第1の同極性の信号対Vs1,Vs2及び第2の同極性の信号対Vs3,Vs4を1回だけ発生させるように構成した場合でも、第1の異極性の信号対Vs2,Vs3と第2の異極性の信号対Vs4,Vs1とが必ず発生する。この場合、ロータが1回転する間に検出されるすべての信号対を構成する2つの信号の極性の配列をすべて異ならせることができるため、各信号対を構成する信号の発生位置の判別を容易かつ確実に行わせることができる。またリラクタ構成要素303を構成する第1ないし第3のセクションの長さを適宜に設定することにより、単気筒エンジンから多気筒エンジンまで対応することができる。
しかしながら、本発明は、図1に示した構成に限定されるものではなく、第1の磁束変化生成部及び第2の磁束変化生成部を1つずつ備えたリラクタ構成要素の外に、更に回転センサから異極性の信号対を出力させるリラクタ構成要素を設けることを妨げない。
図10を参照すると、ロータの外周に設けるリラクタを、第1の磁束変化生成部及び第2の磁束変化生成部を有する第1のリラクタ構成要素303Aと、回転センサから異極性の信号対を出力させる第2のリラクタ構成要素303Bとの2つのリラクタ構成要素により構成するようにした、本発明に係る信号発生装置の他の実施形態の構成が概略的に示されている。
本実施形態では、信号発生装置1を適用するエンジンが3気筒エンジンであり、第1気筒ないし第3気筒の上死点位置#1TDCないし#3TDCの角度間隔が120度である。
本実施形態では、回転体301全体が鉄等の強磁性材料により形成され、回転体301の外周に形成された円筒面302の幅方向の中央寄りの領域に、回転体301の周方向に延びる第1のリラクタ構成要素303Aと、第2のリラクタ構成要素303Bとが、回転体301の周方向に間隔を隔てた状態で、かつそれぞれの長手方向を回転体301の周方向に一致させた状態で設けられ、これらのリラクタ構成要素により、リラクタが構成されている。
更に詳細に説明すると、第1のリラクタ構成要素303Aは、先端S1aをロータ3の回転方向Rの前方に向け、後端をロータ3の回転方向Rの後方側に向けた状態で円筒面302の周方向に沿って第1の設定位置P1から第2の設定位置P2まで延びる第1のセクションS1と、第1のセクションS1の後端に先端S2aを連結し、後端をロータ3の回転方向Rの後方に向けた状態で円筒面302の周方向に沿って第2の設定位置P2から第3の設定位置P3まで延びる第2のセクションS2と、先端S3aを第2のセクションS2の後端に連結し、後端S3bをロータ3の回転方向Rの後方側に向けた状態で円筒面302の周方向に沿って第3の設定位置P3から第4の設定位置P4まで延びる第3のセクションS3とからなっている。第1のリラクタ構成要素303Aは、図1に示した実施形態で用いたリラクタ構成要素303と同じ構造を有する。
第2のリラクタ構成要素303Bは、先端S4aをロータ3の回転方向Rの前方側に向け、後端S4bをロータ3の回転方向Rの後方側に向けた状態で第5の設定位置P5から第6の設定位置P6まで延びる第4のセクションS4からなっている。
第2のリラクタ構成要素303Bを構成する第4のセクションS4の先端S4aが、ロータの円筒面302に設定された第5の設定位置P5で、ロータの円筒面302から直角に立ち上がっていることにより、第5の設定位置P5にリラクタの第5の作用点が設定されている。ロータ3が回転する過程でこの第5の作用点が回転センサ4の磁極部の位置を通過する際に回転センサ4の磁極部とロータの磁極面との間の距離が減少方向にステップ状に変化する。このとき、回転センサ4が検出している磁束が一方向に変化するため、回転センサ4は第1の極性の信号を出力する。
また第4のセクションS4の後端S4bがロータの円筒面302に設定された第6の設定位置P6でロータの円筒面302に向けて直角に下降していることにより、第6の設定位置P6にリラクタの第6の作用点が設定されている。この第6の作用点は、ロータが回転する過程で、回転センサ4の磁極部の位置を通過する際に、回転センサ4の磁極部とロータの磁極面との間の距離を増加方向にステップ状に変化するため、回転センサ4が検出している磁束を減少方向に変化させて、回転センサ4から第2の極性の信号を出力させる。
図10に示した例では、第1の設定位置P1と第2の設定位置P2との間の角度間隔、第3の設定位置P3と第4の設定位置P4との間の角度間隔及び第5の設定位置P5と第6の設定位置P6との間の角度間隔が40CAに設定されている。また第2の設定位置P2と第3の設定位置P3との間の角度間隔、第4の設定位置P4と第5の設定位置P5との間の角度間隔及び第6の設定位置P6と第1の設定位置P1との間の角度間隔が80CAに設定されている。
図10に示された信号発生装置のリラクタの展開図と、信号発生部が発生する信号Vs1ないしVs6の波形とを図11(A),(B)に示した。図11において、#1TDC~#3TDCはそれぞれエンジンの第1気筒ないし第3気筒の上死点位置を示している。また#1Ref~#3Refはそれぞれ第1気筒ないし第3気筒の上死点位置#1TDC~#3TDCより40CA手前の位置に設定された第1気筒ないし第3気筒の基準位置を示している。
本実施形態では、第1の信号Vs1が発生する第1の設定回転位置θ1が第1気筒の基準位置#1Refとなっており、第2の信号Vs2が発生する第2の設定回転位置θ2が、第1気筒の上死点位置#1TDCとなっている。また第3の信号Vs3が発生する第3の設定回転位置θ3が、第2気筒の基準位置#2Refとなっており、第4の信号Vs4が発生する第4の設定回転位置θ4が、第2気筒の上死点位置#2TDCとなっている。更に、第5の信号Vs5が発生する第5の設定回転位置θ5が第3気筒の基準位置#3Refとなっており、第6の信号Vs6が発生する第6の設定回転位置θ6が第3気筒の上死点位置#3TDCとなっている。
本実施形態では、第1の設定位置P1に設定されたリラクタの第1の作用点が第1の設定回転位置θ1で回転センサの磁極部4aの位置を通過した際に回転センサが正極性の第1の信号Vs1を出力し、第2の設定位置P2に設定されたリラクタの第2の作用点が第2の設定回転位置θ2で回転センサの磁極部の位置を通過した際に回転センサが正極性の第2の信号Vs2を出力する。また第3の設定位置P3に設定されたリラクタの第3の作用点が第3の設定回転位置θ3で回転センサの磁極部の位置を通過した際に、回転センサが負極性の第3の信号Vs3を出力し、第4の設定位置P4に設定されたリラクタの第4の作用点が第4の設定回転位置θ4で回転センサの磁極部の位置を通過した際に、回転センサが負極性の第4の信号Vs4を出力する。更に第5の設定位置P5に設定されたリラクタの第5の作用点が第5の設定回転位置θ5で回転センサの磁極部の位置を通過した際に、回転センサが正極性の第5の信号Vs5を出力し、第6の設定位置P6に設定されたリラクタの第6の作用点が第6の設定回転位置θ6で回転センサの磁極部の位置を通過した際に、回転センサが負極性の第6の信号Vs6を出力する。
本実施形態においては、回転センサが出力する信号列を構成する信号の極性に基づいて、各信号が何れの回転位置で発生した信号であるかを判別することができる。例えば、第1の極性を「1」で、第2の極性を「0」で表わし、続いて発生する2つの信号からなる信号列を構成する信号の極性の組合せを見ていくことにより、各信号が何れの回転位置で発生した信号であるかを判別することができる。
例えば、信号列「11」が検出された時に、この信号列を構成する2つの信号のうちの後から発生した信号を、設定回転位置θ2で発生した信号Vs2であると判別することができ、この信号は第1気筒の上死点位置#1TDCで発生した信号であると判別することができる。
また信号列「11」に続いて信号列「10」が検出されたときに、この信号列を構成する2つの信号のうちの後から発生した信号を設定回転位置θ3で発生した信号であると判別することができ、この信号は第2気筒の基準位置#2Refで発生した信号Vs3であると判別することができる。
更に信号列「00」が検出されたときには、この信号列を構成する2つの信号のうちの後から発生した信号を設定回転位置θ4で発生した信号であると判別することができ、この信号は第2気筒の上死点位置#2TDCで発生した信号Vs4であると判別することができる。
また信号列「00」に続いて信号列「01」が検出されたときには、この信号列を構成する2つの信号のうち後から発生した信号を設定回転位置θ5で発生した信号であると判別することができ、この信号は第3気筒の基準位置#3Refで発生した信号Vs5であると判別することができる。
信号列「01」に続いて信号列「10」が検出されたときには、この信号列を構成する2つの信号のうちの後から発生した信号を設定回転位置θ6で発生した信号であると判別することができ、この信号は第3気筒の上死点位置#3TDCで発生した信号Vs6であると判別することができる。
信号列「10」に続いて信号列「01」が検出されたときには、この信号列を構成する2つの信号のうちの後から発生した信号を設定回転位置θ1で発生した信号であると判別することができ、この信号は第1気筒の基準位置#1Refで発生した信号であると判別することができる。
また回転センサが連続して出力する3個の信号の極性に基づいて、回転センサが出力した信号が何れの回転位置で発生した信号であるかを判別することもできる。図3から明らかなように、本実施形態の信号発生装置が連続して発生する3個の信号からなる信号列は、クランク軸が1回転する間に「001」,「010」,「101」,「011」,「110」,「100」 のように変化する。これらの信号列の中には、信号の極性の配列が同じになる信号列が複数含まれることがないため、信号発生装置が連続して発生する3個の信号からなる信号列を用いて信号の判別を行うようにすれば、各信号列を構成する3個の信号のうちの最後の信号が何れの設定ポジションに対応する信号であるかを簡単に判別することができる。
例えば、図11に示した例において、エンジンの始動操作を開始した後、最初に信号列「101」が検出された場合には、この信号列を構成する3つの信号の内の最後の信号が第1気筒の基準位置#1Refで発生した信号であると判別することができる。また次に信号列「011」が検出された時にこの信号列を構成する最後の信号が第1気筒の上死点位置#1TDCで発生した信号であると判別することができる。このようにして、一連の信号列をそれぞれ構成する3つの信号のうちの最後の信号の発生位置の判別を順次行うことができる。
上記の実施形態では、エンジンの始動時の点火位置を各気筒の上死点位置として、各信号対を構成する2つの信号のうち、後から発生する信号をエンジンの各気筒の上死点位置で発生させるようにしているが、エンジンの始動時の各気筒の点火位置は、各気筒の上死点位置に限定されない。例えば、各気筒の上死点位置よりも僅かに進んだ回転位置にエンジンの始動時の点火位置を設定して、各対の信号のうち、後から発生する方の信号を、設定されたエンジン始動時の点火位置で発生させるようにしてもよい。
図12は、本発明に係る信号発生装置の他の実施形態を示したものである。この実施形態においても、ロータ3の円筒面302に第1ないし第6の設定位置P1ないしP6が設定されている。本実施形態では、第1の設定位置P1と第2の設定位置P2 との間の角度間隔、第2の設定位置P2と第3の設定位置P3 との間の角度間隔、第3の設定位置P3と第4の設定位置P4 との間の角度間隔、第4の設定位置P4と第5の設定位置P5 との間の角度間隔及び第5の設定位置P5と第6の設定位置P6との間の角度間隔がすべて60CAに設定されている。
本実施形態においても、ロータ3の円筒面302に第1のリラクタ構成要素303Aと、第2のリラクタ構成要素303Bとが設けられ、これらのリラクタ構成要素により、リラクタが構成されている。第1のリラクタ構成要素303Aは、第1の設定位置P1から第2の設定位置P2まで延びる第1のセクションS1と、第2の設定位置P2から第3の設定位置P3 まで延びる第2のセクションS2と、第3の設定位置P3から第4の設定位置P4まで延びる第3のセクションS3とからなっている。
第1のリラクタ構成要素303Aを構成する第1のセクションS1ないし第3のセクションS3は、それぞれの極弧角が60CAである点を除き、図10に示した実施形態で用いたロータ3の第1のリラクタ構成要素303Aを構成している第1のセクションS1ないし第3のセクションS3と同様に構成されている。第2のリラクタ構成要素303Bは、ロータ3の周方向に第5の設定位置P5から第6の設定位置P6まで延びる円弧状の第4のセクションS4からなっている。
図12に示された信号発生装置においても、第1ないし第6の設定位置P1ないしP6にそれぞれリラクタの第1ないし第6の作用点が設定され、これらの作用点が回転センサの磁極部4aの位置を通過する際に、信号発生部を構成する信号コイル402がパルス波形の第1ないし第6の信号Vs1ないしVs6を出力する。
図12に示された信号発生装置のリラクタの展開図と、信号発生部が発生する信号Vs1ないしVs6の波形とを図13(A),(B)に示した。また図13(C)ないし(E)には、それぞれエンジンの第1気筒#1、第2気筒#2及び第3気筒#3で行われる行程が示されている。図13(C)ないし(E)において、INT及びCOMはそれぞれ吸気行程及び圧縮行程を示し、EXP及びEXHはそれぞれ膨張行程及び排気行程を示している。
図13において、#1TDC~#3TDCはそれぞれエンジンの第1気筒ないし第3気筒の上死点位置を示している。また#1Ref~#3Refはそれぞれ第1気筒ないし第3気筒の上死点位置#1TDC~#3TDCより60CA手前の位置に設定された第1気筒ないし第3気筒の基準位置を示している。本実施形態では、ロータ3が60CA回転する毎に回転センサ4がパルス波形の信号を出力する。
この例では、第1の設定回転位置θ1が第2気筒の基準位置#2Refであり、第2の設定回転位置θ2が第2気筒の上死点位置#2TDCである。また第3の設定回転位置θ3が第3気筒の基準位置#3Refであり、第4の設定回転位置θ4が第3気筒の上死点位置#3TDCである。また第5の設定回転位置θ5は第1気筒の基準位置#1Refであり、第6の設定回転位置θ6は第1気筒の上死点位置#1TDCである。
図示の例では、第2気筒の基準位置#2Refでクランク軸の回転位置が第1の設定回転位置θ1に一致したときに、ロータの外周の第1の設定位置P1に設定されたリラクタの第1の作用点が回転センサの磁極部4aの位置を通過したことにより、回転センサが正極性の第1の信号Vs1を出力する。また第2気筒の上死点位置#2TDCでクランク軸の回転位置が第2の設定回転位置θ2に一致したときに、ロータの外周の第2の設定位置P2に設定されたリラクタの第2の作用点が回転センサの磁極部4aの位置を通過したことにより、回転センサが正極性の第2の信号Vs2を出力する。
更に、第3気筒の基準位置#3Refでクランク軸の回転位置が第3の設定回転位置θ3に一致したときに、ロータの外周に設定された第3の設定位置P3に設定されたリラクタの第3の作用点が磁極部4aの位置を通過したことにより、回転センサが負極性の第3の信号Vs3を出力し、第3気筒の上死点位置#3TDCでクランク軸の回転位置が第4の設定回転位置θ4に一致したときにリラクタの第4の作用点が磁極部4aの位置を通過したことにより、回転センサが負極性の第4の信号Vs4を出力している。
本実施形態においても、回転センサが続いて出力する2つの信号からなる信号列を構成する信号の極性に基づいて、各信号が何れの回転位置で発生した信号であるかを判別することができる。同様に、信号発生装置が連続して出力する3個の信号からなる信号列「001」,「010」,「101」,「011」,「110」,「100」 をそれぞれ構成する信号の極性の組合せに基づいて信号発生装置が発生する各信号の気筒判別を行うこともできる。
図13に示した例では、リラクタを第1のリラクタ構成要素303Aと第2のリラクタ構成要素303Bとにより構成した図12に示した信号発生装置を、3気筒エンジンに適用しているが、図12に示した信号発生装置を適用できるエンジンは3気筒エンジンに限定されない。例えば、図12に示した信号発生装置を6気筒エンジンに適用することができる。
図14は、図12に示した信号発生装置を6気筒エンジンに適用する実施形態において、リラクタと、回転センサが出力する一連の信号と、エンジンの6つの気筒で行われる行程との関係を示したものである。図14(A)は、本実施形態で用いるリラクタの展開図、図14(B)は同リラクタを用いた場合に得られる信号の波形を示した波形図、図14(C)~(H)は、図14(B)に示した各信号が発生したときに6気筒エンジンの6つの気筒で行われる行程を示した行程図である。
図14に示した例においても、クランク軸の第1の設定回転位置θ1ないし第6の設定回転位置θ6でそれぞれ回転センサ4が第1の信号Vs1ないし第6の信号Vs6を出力する。図14に示した例では、第1の信号Vs1が発生するロータの第1の設定回転位置θ1が6気筒エンジンの第2気筒及び第5気筒の基準位置#2/#5Refであり、第2の信号Vs2が発生するクランク軸の第2の設定回転位置θ2は、第2気筒及び第5気筒の上死点位置#2/#5TDCである。また第3の信号Vs3が発生するクランク軸の第3の設定回転位置θ3は、第3気筒及び第4気筒の基準位置#3/#4Refであり、第4の信号Vs4が発生する際のクランク軸の第4の設定回転位置θ4は、第3気筒及び第4気筒の上死点位置#3/#4TDCである。また第5の信号Vs5が発生するクランク軸の第5の設定回転位置θ5は、第1気筒及び第6気筒の基準位置#1/#6Refであり、第6の信号Vs6が発生するクランク軸の設定回転位置θ6は、第1気筒及び第6気筒の上死点位置#1/#6TDCである。
上記の実施形態では、第1のリラクタ構成要素303Aを第1セクションS1ないし第3セクションS3により構成し、第2のリラクタ構成要素303Bを第4のセクションS4により構成したが、本発明はこのようにリラクタ構成要素を構成する場合に限定されない。例えば、図15に示されているように、第1のリラクタ構成要素303A及び第2のリラクタ構成要素303Bのそれぞれを2つのセクションにより構成するようにしてもよい。
図15に示した例では、第1ないし第6の設定位置P1ないしP6相互間の角度がすべて60CAに設定されている。第1の設定位置P1から第2の設定位置P2まで延びる第1のセクションS1と、第2の設定位置P2から第3の設定位置P3まで延びる第2のセクションS2とにより第1のリラクタ構成要素303Aが構成され、第1の設定位置P1ないし第3の設定位置P3にそれぞれリラクタの第1の作用点ないし第3の作用点が設定されている。また第4の設定位置P4から第5の設定位置P5まで延びる第3のセクションS3と、第5の設定位置P5から第6の設定位置P6まで延びる第4のセクションS4とにより第2のリラクタ構成要素303Bが構成され、第4の設定位置P4ないし第6の設定位置P6にそれぞれリラクタの第4の作用点ないし第6の作用点が設定されている。
図15に示された例では、ロータ3が図示の矢印R方向に正回転する過程で、第1の設定位置P1が回転センサの磁極部の位置を通過する際に回転センサが検出する磁束を一方向に変化させて回転センサから第1の極性を有する第1の信号Vs1を出力させた後、第2の設定位置P2が回転センサの磁極部の位置を通過する際に回転センサが検出している磁束を更に一方向に変化させて回転センサから第1の信号Vs1と同極性の第2の信号Vs2を出力させる。次いで第3の設定位置P3が回転センサの磁極部の位置を通過する際に、回転センサが検出している磁束を他方向に変化させて、回転センサから第2の極性を有する第3の信号Vs3を出力させた後、第4の設定位置P4が回転センサの磁極部の位置を通過する際に、回転センサが検出している磁束を更に他方向に変化させて、回転センサから第2の極性を有する第4の信号Vs4を出力させる。
図15に示した例では、第1の設定位置P1が回転センサの磁極部の位置を通過する際のクランク軸の回転位置である第1の設定回転位置θ1を、第2気筒の下死点位置 #2BDCに一致させ、第2の設定位置P2が回転センサの磁極部の位置を通過する際のクランク軸の回転位置である第2の設定回転位置θ2を、第1気筒の上死点位置#1TDCに一致させるように第1の設定位置P1及び第2の設定位置P2が設定されている。また第3の設定位置P3が回転センサの磁極部の位置を通過する際のクランク軸の回転位置である第3の設定回転位置θ3を第3気筒の下死点位置#3BDCに一致させるように、第3の設定位置P3が設定されている。
図15に示した例ではまた、第4の設定位置P4が回転センサの磁極部の位置を通過する際のクランク軸の回転位置である第4の設定回転位置θ4を、第2気筒の上死点位置#2TDCに一致させ、第5の設定位置P5が回転センサの磁極部の位置を通過する際のクランク軸の回転位置である第5の設定回転位置θ5を、第1気筒の下死点位置#1BDCに一致させるように第4の設定位置P4及び第5の設定位置P5が設定されている。また第6の設定位置P6が回転センサの磁極部の位置を通過する際のクランク軸の回転位置である第6の設定回転位置θ6を第3気筒の上死点位置#3TDCに一致させるように、第6の設定位置P6が設定されている。
図15に示された実施形態において、信号の正極性を「1」で表し、負極性を「0」で表すと、信号コイルが続けて発生する2個の信号からなる信号列は、クランク軸が1回転する間に「11」、「10」、「01」、「10」、「00」、「01」のように変化する。これらの信号列を用いて各信号を構成する信号のうち後から発生した信号が何れの設定ポジションに対応する信号であるかを判別することができる。
また図15に示された実施形態において、信号コイルが続けて発生する3個の信号からなる信号列は、クランク軸が1回転する間に、「110」、「101」、「010」、「100」、「001」、「011」のように変化する。これらの信号列を検出することにより、各信号列を構成する3個の信号のうちの最後に発生した信号が何れの設定ポジションに対応する信号であるかを判別することができる。
本発明に係る信号発生装置で用いる回転センサは、リラクタの磁極面に空隙を介して対向させられるセンサ磁極部と、該センサ磁極部とリラクタとを含む磁路に磁束を流す磁石と、ロータが回転する過程でリラクタが前記磁路を流れる磁束に変化を生じさせる毎にレベル変化を示す信号をクランク角情報を含む信号として発生する信号発生部とを備えることにより構成される。
上記の実施形態で用いた回転センサは、センサ磁極部4aを先端に有して前記磁路の一部を構成する回転センサ鉄心401と、該鉄心に信号発生用磁束を流す磁石403と、回転センサ鉄心401に巻回された信号コイル402とを備えて、該信号コイルが信号発生部を構成しているが、本発明で用いる信号発生部は信号コイルには限定されない。
例えば、前記磁路を通して流れる信号発生用磁束を検出して、検出した磁束量に対応するレベルの電圧信号を出力する磁気センサにより信号発生部を構成するか、又は信号発生用磁束を検出して検出した磁束量に対応するレベルの電圧信号を出力する該磁気センサと、該磁気センサが出力する電圧信号のレベルの変化をパルス信号に変換する信号変換部とにより信号発生部を構成することもできる。
信号発生用磁束を検出して、検出した磁束量に対応するレベルの電圧信号を出力する磁気センサにより信号発生部を構成する場合、該信号発生部が発生する電圧信号Vhは例えば図16(A)に示すように変化する。この電圧信号の各レベル変化を示す部分を、クランク角情報を含む信号として用いることができる。
また信号発生用磁束を検出して、検出した磁束量に対応するレベルの電圧信号を出力する磁気センサと、該磁気センサが出力する電圧信号のレベルの変化をパルス信号に変換する信号変換部とにより信号発生部を構成する場合、該信号発生部が出力する信号の波形は例えば図16(B)に示す通りである。磁気センサとしてはホール素子を用いることができ、磁気センサが出力する電圧信号のレベル変化をパルス信号に変換する信号変換部は例えば微分回路により構成することができる。
次に図9に示した実施形態を例にとって、信号発生装置が発生する各信号が、クランク軸の何れの回転位置で発生した信号であるかの判別を行う際にマイクロプロセッサに実行させる判別処理のアルゴリズムの一例を、図17乃至図19に示したフローチャートを用いて説明する。
図17ないし図19に示したフローチャートにおいては、リラクタの各セクションの先端が回転センサの磁極部の位置を通過する際に発生するパルス信号を、リラクタが磁極部4aの位置に立ち入った際に発生するパルス信号という意味で、「入りパルス(enter pulse)」と呼ぶ。またリラクタの各セクションの後端が回転センサの磁極部の位置を通過する際に発生するパルス信号を、リラクタが回転センサの磁極部4aの位置から抜け出す際に発生するパルス信号という意味で、「抜けパルス(exit pulse)と呼ぶことにする。また「入りパルス」が発生した際に実行される割り込み処理を「入り割り込み」と呼び、「抜けパルス」が発生した際に実行される割り込み処理を「抜け割り込み」と呼ぶ。
図17は、信号発生装置がクランク軸の回転位置情報(クランク角情報)を含む信号(本実施形態ではパルス信号)を発生する毎に実行されるクランク角割り込み処理のアルゴリズムを示したものである。また図18は図17のクランク角割り込み処理で実行される初回処理のアルゴリズムを示したものであり、図19は、図17のクランク角割り込み処理で実行される本判定処理のアルゴリズムを示したものである。
図17のフローチャートにおいて、First_fは、初回割り込み検知フラグで、今回の割り込みが初回の割り込みである場合に“0”の値をとり、初回の割り込みでない場合に“1”の値をとる。ここで、初回の割り込みとは、回転センサが最初にパルスを発生したときに実行される割り込みを意味する。またJudge_f は、信号発生位置判別判定フラグで、このフラグは、信号の発生位置の判別が完了していないときに0の値をとり、判別が完了しているときに1にセットされるである。
図17のクランク角割り込み処理が開始されると、先ずステップS001において、初回割り込み検知フラグFirst_fが0であるか否かを判定する。その結果、First_fが0で、今回の割り込みが、初回の割り込みであると判定されたときには、ステップS002に進んで図18に示した初回処理を実行させた後、このクランク角割り込み処理を終了する。
ステップS001で初回割り込み検知フラグFirst_fが0でなく、図17のクランク角割り込み処理への割り込みが初回の割り込みではないと判定されたときには、ステップS003に進んで、信号発生位置判別判定フラグJudge_f が0であるか否かを判定する。その結果、Judge_f が0であると判定されたとき、即ち信号発生位置の判別が未だ行われていないと判定されたときには、ステップS004に進んで、図19に示された本判定処理を実行した後、図17のクランク角割り込み処理を終了する。
ステップS003において、Judge_f が0でないと判定されたとき、即ち、信号発生位置判別処理が完了していると判定されたときには、ステップS005に進んで、信号発生位置の判別が完了した後の通常運転処理を実行することを指示した後、この処理を終了する。
次に図17に示したクランク角割り込み処理のステップS002で実行される図18の初回処理について説明する。図18において、Prev_ind は、前回発生したパルスが入りパルスであったか、抜けパルスであったかを示す標識である。この標識は、マイクロプロセッサの起動時に行われるイニシャライズ時に0にされる。
図18の初回処理が開始されると、ステップS101において、今回の割り込みが「入り割り込み」であるか否かを判定する。即ち、今回の割り込み処理を実行させたパルスが、図9に示された第1の設定回転位置θ1で発生した入りパルスVs1であるか否かを判定する。その結果、今回の割り込みが入り割り込みであると判定されたときには、ステップS102に進んでPrev_ind を1にセットする。これにより、今回発生したパルスが入りパルスであったことを記憶させる。次いでステップS103に進んで、初回割り込み検知フラグ First_fを1にセットした後、この初回判定処理を終了する。
ステップS101で今回の割り込みは入り割り込みでないと判定されたときには、ステップS104に進んで、今回発生したパルスが抜けパルスであったことを示すためにPrev_ind を2にセットする。次いでステップS103に進んで、初回割り込み検知フラグ First_fを1にセットした後、初回判定処理を終了する。
次に図19を参照して、図17に示されたクランク角割り込み処理のステップS004で実行される本判定処理について説明する。図19のフローチャートにおいて、Position_No は今回発生したパルス信号の発生位置を示すポジション番号である。Position_Noには、パルス信号が発生した位置に応じて1,2,3または4の値が割り当てられる。図19の本判定処理において、今回発生したパルス信号がクランク軸の第1の設定回転位置θ1で発生した信号であると判定されたときには、Position_No を“1”とし、今回発生したパルス信号がクランク軸の第2の設定回転位置θ2で発生した信号であると判定されたときには、Position_No を“2”とする。また今回発生したパルス信号がクランク軸の第3の設定回転位置θ3で発生した信号であると判定されたときには、Position_No を“3”とし、今回発生したパルス信号がクランク軸の第4の設定回転位置θ4で発生した信号であると判定されたときには、Position_Noを“4”とする。
図19の本判定処理が開始されると、先ずステップS201において、Prev_ind が1であるか否かを判定する。その結果Prev_ind が1でないと判定された場合、即ち前回発生したパルスが入りパルスではないと判定されたときには、ステップS202に進んで、今回の割り込みが入り割り込みであるか否か、即ち、今回の割り込み処理が、入りパルスが発生したことにより実行される割り込み処理であるか否かを判定する。その結果、今回の割り込みが入り割り込みであると判定されたときには、ステップS203に進んで、Position_No を“1”として、今回発生したパルス信号が第1の設定回転位置θ1で発生した第1の信号Vs1であるとの判定結果を残す。次いでステップS204に進んでJudge_f =1とし、これにより今回発生したパルス信号の発生位置の判定が完了したことを記憶させた後、図19の本判定処理を終了する。
また図19のフローチャートのステップS201でPrev_ind が1であると判定されたとき、即ち前回発生したパルスが入りパルスであると判定されたときには、ステップS205に進んで、今回の割り込みが入り割り込みであるか否かを判定する。その結果、今回の割り込みが入り割り込みであると判定されたときには、ステップS206に進んで、Position_No を“2”として、今回発生したパルス信号が第2の設定回転位置θ2で発生した第2の信号Vs2であるとの判定結果を残す。次いでステップS204に進んでJudge_f =1とし、これにより今回発生したパルス信号の発生位置の判定が完了したことを記憶させた後、図19の本判定処理を終了する。
図19に示されたフローチャートのステップS201においてPrev_ind が1であると判定され、ステップS205において、今回の割り込みが入り割り込みでないと判定されたときには、ステップS207に進んでPosition_No を“3”として、今回発生したパルス信号が第3の設定回転位置θ3で発生した第3の信号Vs3であるとの判定結果を残す。次いでステップS204に進んでJudge_f =1として、今回発生したパルス信号の発生位置の判定が完了したことを記憶させた後、図19の本判定処理を終了する。
図19に示されたフローチャートのステップS201においてPrev_ind が1でないと判定され、ステップS202で今回の割り込みが入り割り込みでないと判定されたときには、ステップS208に進んで、Position_No を“4”とし、今回発生したパルス信号が、第4の設定回転位置θ4で発生した第4の信号Vs4であるとの判定結果を残す。次いでステップS204に進んでJudge_f =1として、今回発生したパルス信号の発生位置の判定が完了したことを記憶させた後、図19の本判定処理を終了する。
エンジンの運転中回転センサがパルス信号を発生する毎に図17~図19の処理を反復させて、エンジンの運転中回転センサがパルス信号を出力する毎に、今回発生したパルス信号が、設定回転位置θ1~θ4のうちの何れの設定回転位置で発生した信号であるかを判別する。エンジンの制御装置は、この判別結果からクランク軸の回転位置についての情報を得て、点火位置の制御等を行う。
上記の実施形態では、リラクタを設けるロータの円筒面をロータの外周に設けて、ロータの外側に回転センサを配置するようにしているが、本発明はこのように構成する場合に限定されるものではなく、リラクタを設ける円筒面をロータの内周に設けて、回転センサをロータの内側に配置する構成をとる場合にも本発明を適用することができる。
上記の実施形態では、リラクタがロータの円筒面に形成された突起からなっているが、リラクタは、ロータの円筒面に形成された凹部又は溝からなっていてもよい。リラクタを凹部又は溝により構成する場合、該凹部又は溝は、非磁性材料により充填されていても良い。
図12に示した実施形態では、リラクタを第1のリラクタ構成要素303Aと第2のリラクタ構成要素303Bとにより構成する場合に、第1のリラクタ構成要素303Aの先端と第2のリラクタ構成要素303Bの後端との間及び第2のリラクタ構成要素303Bの先端と第1のリラクタ構成要素303Aの後端との間にそれぞれ位置するロータの外周に突起が設けられていない領域が設けられているが、ロータの周方向に沿う全領域に突起が存在する形態を採用することもできる。例えば、図12において、セクションS1の先端とセクションS4の後端との間、及びセクションS4の先端とセクションS3の後端との間が、セクションS1及びセクションS3の幅寸法よりも小さい一定の幅寸法を持ってセクションS1とS4との間及びセクションS3とS4を連続的に延びる円弧状の突起により連結されていてもよい。
同様に、図1に示した実施形態において、第1のセクションS1の先端S1aと第3のセクションS3の後端との間が、第1のセクションS1の幅寸法及び第3のセクションS3の幅寸法よりも小さい一定の幅寸法を持って、第1のセクションS1の先端S1aと第3のセクションS3の後端との間を連続的に延びる円弧状の突起により連結されている形態をとることもできる。
上記の実施形態では、図2に示されているように、リラクタの先端側でも、後端側でも、リラクタ構成要素を構成するセクションの幅寸法を段階的に異ならせることにより、第1の磁束変化生成部及び第2の磁束変化生成部を構成するか、又は図4に示されているように、リラクタの先端側でも、後端側でも、リラクタ構成要素を構成するセクションの高さを異ならせることにより、第1の磁束変化生成部及び第2の磁束変化生成部を構成している。しかしながら、本発明は、このように構成する場合に限定されない。例えば、リラクタ構成要素の先端側では、リラクタ構成要素を構成するセクションS1及びS2の高さを異ならせることにより第1の磁束変化生成部を構成し、リラクタ構成要素の後端側では、リラクタ構成要素を構成するセクションS2及びS3の幅寸法を異ならせることにより、第2の磁束変化生成部を構成するようにしてもよい。またリラクタ構成要素を構成するセクションの幅と高さとの双方を段階的に変化させることにより、第1の磁束変化生成部及び第2の磁束変化生成部を構成してもよい。