JP7740498B2 - ガス分析システム - Google Patents

ガス分析システム

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Description

本開示は、熱伝導度検出器(Thermal Conductivity Detector、以下「TCD」ともいう)を備えるガス分析システム(ガスクロマトグラフシステム)に関する。
ガス分析システムのなかには、ガス中の成分をTCDで検出するものが存在する。ガス中の成分をTCDで検出するガス分析システムにおいて、検出対象である試料ガスの成分の熱伝導度と、キャリアガスの熱伝導度との差が小さいと、試料ガスの成分に対応する検出信号の強度が小さくなり感度が低下してしまう。
その対策として、従来においては、第1キャリアガスが流れる分離カラムおよびTCDを含む第1系統と、第1キャリアガスとは成分の異なる第2キャリアガスが流れる分離カラムおよびTCDを含む第2系統とを別々に設け、第1キャリアガスの熱伝導度との差が小さい成分については、第2キャリアガスが流れる第2系統のTCDで検出するように構成されたガス分析システムが存在する(非特許文献1参照)
アジレント・テクノロジー株式会社 アプリケーションノートPub.No.5989-7438JAJP「リファイナリガス(RGA)のGC分析」
上述の非特許文献1に開示された従来のガス分析システムにおいては、2種類のキャリアガスに対して2つのTCDがそれぞれ必要になるため、システム全体が大型化するという問題があった。
本開示は上記の問題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、第1キャリアガス中の成分と、第1キャリアガスとは種類の異なる第2キャリアガス中の成分とを、1つの熱伝導度検出器で順次検出することができるガス分析システムを提供することである。
本開示によるガス分析システムは、試料ガスに含まれるガス成分を各々が分離する第1カラムおよび第2カラムと、試料ガスを搬送するための互いに異なる第1キャリアガスおよび第2キャリアガスをそれぞれ供給する第1供給源および第2供給源と、第1キャリアガスによって第1カラムを通過した試料ガスが流れる第1流路と、第2キャリアガスによって第2カラムを通過した試料ガスが流れる第2流路と、ガス中の成分を各成分の熱伝導度の違いを利用して検出する熱伝導度検出器と、第1流路と第2流路と熱伝導度検出器との間に配置され、熱伝導度検出器の接続先を第1流路とする第1状態と、熱伝導度検出器の接続先を第2流路とする第2状態とに切替可能に構成された切替装置とを備える。
上記のガス分析システムによれば、第1流路と第2流路と熱伝導度検出器との間に、切替装置が配置される。そして、切替装置の状態を第1状態および第2状態の一方から他方に切り替えることによって、熱伝導度検出器の接続先を第1流路および第2流路の一方から他方に切り替えることができる。そのため、第1カラムを流れるキャリアガスを第1キャリアガスに維持し、かつ第2カラムを流れるキャリアガスを第2キャリアガスに維持したまま、熱伝導度検出器に供給されるキャリアガスを第1キャリアガスおよび第2キャリアガスの一方から他方に切り替えることができる。その結果、第1キャリアガス中の成分と第2キャリアガス中の成分とを1つの熱伝導度検出器で順次検出することができる。
本開示によれば、第1キャリアガス中の成分と、第1キャリアガスとは種類の異なる第2キャリアガス中の成分とを、1つの熱伝導度検出器で順次検出することができるガス分析システムを提供することができる。
ガス分析システムの構成の一例を模式的に示す図である。 マイクロバルブが開状態であるときのマイクロバルブの断面図である。 マイクロバルブが閉状態であるときのマイクロバルブの断面図である。 切替バルブの状態と各ガスの流れを示す図(その1)である。 切替バルブの状態と各ガスの流れを示す図(その2)である。 切替バルブの状態と各ガスの流れを示す図(その3)である。 切替バルブの状態と各ガスの流れを示す図(その4)である。 切替バルブの状態と各ガスの流れを示す図(その5)である。 切替バルブの状態と各ガスの流れを示す図(その6)である。 切替バルブの状態と各ガスの流れを示す図(その7)である。 切替バルブの状態と各ガスの流れを示す図(その8)である。 分析装置の構成の一例を模式的に示す図である。
以下に、本実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さないものとする。
[システムの全体構成]
図1は、本実施の形態によるガス分析システム(ガスクロマトグラフシステム)1の構成の一例を模式的に示す図である。
ガス分析システム1は、分析装置10と、入力装置60と、表示装置70と、制御装置100とを備える。分析装置10は、キャリアガス供給装置11a~11c,12a~12cと、サンプルタンク20と、ポンプ21と、ベント23~26と、サンプラモジュールM1,M2と、切替モジュールM3と、カラム41~44と、第1流路L1と、第2流路L2と、検出装置80とを備える。
キャリアガス供給装置11a~11c,12a~12cの各々は、キャリアガスと呼ばれる移動相を予め定められた圧力に調整して出力する。キャリアガス供給装置11a~11cとキャリアガス供給装置12a~12cとは、互いに異なる種類のキャリアガスを出力する。本実施の形態においては、キャリアガス供給装置11a~11cが第1種類のキャリアガスとしてヘリウムガス(He)を出力し、キャリアガス供給装置12a~12cが第2種類のキャリアガスとして窒素ガス(N2)を出力するものとする。
サンプルタンク20は、分析対象である試料ガスを貯留する装置である。サンプルタンク20は、サンプラモジュールM1,M2に接続される。
ポンプ21は、サンプラモジュールM1,M2内の流路に接続され、サンプラモジュールM1,M2内のエアを吸引してサンプラモジュールM1,M2内を負圧にするための吸引ポンプである。なお、ここでいう負圧とは、大気圧を基準として、大気圧よりも低い圧力を意味する。
ベント23~26は、分析装置10内の流路を外部に連通し、分析装置10内のガスを外部に排出する。
サンプラモジュールM1,M2および切替モジュールM3の各々は、流路パターンが形成された流路板(流路部材)に複数の切替バルブを実装することによって形成されている。各モジュールM1~M3には、外部機器を接続するための複数のコネクタ(インターフェース)が設けられる。各モジュールM1~M3に形成された流路は、これらのコネクタを介して外部に接続される。
サンプラモジュールM1は、ヘリウムガス(He)をキャリアガスとして、試料ガスを一定量ずつカラム41に供給するための装置である。サンプラモジュールM1は、コネクタC1~C6と、一定容積のサンプルループPL1と、切替バルブV1~V6と、これらを接続する複数の流路とを備える。
コネクタC1~C3には、サンプルタンク20、ポンプ21、ベント23がそれぞれ接続される。コネクタC4,C5には、キャリアガス供給装置11a,11bがそれぞれ接続される。コネクタC6には、カラム41が接続される。
切替バルブV1,V4は、コネクタC1からコネクタC4までの流路に、この順に配置される。切替バルブV3,V5,V6は、コネクタC2からコネクタC5までの流路に、この順に配置される。切替バルブV2は、切替バルブV5,V6間の流路とコネクタC3とを接続する流路に配置される。
サンプルループPL1は、切替バルブV1,V4間の流路と切替バルブV3,V5間の流路とを接続する流路に配置される。サンプルループPL1は、サンプルタンク20から導入される試料ガスを、カラム41に供給するために一時的に保持する機能を有する。切替バルブV1~V6の制御によってサンプルループPL1の接続先が適宜切り替えられることによって、サンプラモジュールM1は、サンプルタンク20から供給される試料ガスをサンプルループPL1に一旦充填し、その後、ヘリウムガス(He)をキャリアガスとして、サンプルループPL1内に充填された試料ガスをカラム41に供給する。
カラム41,42は、サンプラモジュールM1のコネクタC3から第1流路L1までの間に、この順に直列に配置される。カラム41,42は、供給された試料ガスがキャリアガスの流れに乗って各カラム中を通過する間に、当該試料ガス中に含まれる各種成分を時間方向に分離して出力する。カラム41は一次分離用のプレカラムであり、カラム42は二次分離用のメインカラムである。キャリアガス供給装置11cは、カラム41とカラム42との間の流路に接続される。
第1流路L1は、カラム42と切替モジュールM3のコネクタC13との間を接続する。第1流路L1は、ヘリウムガス(He)をキャリアガスとしてカラム42から流出したガス成分を切替モジュールM3に供給する。
サンプラモジュールM2は、窒素ガス(N2)をキャリアガスとして、試料ガスを一定量ずつカラム43に供給するための装置である。サンプラモジュールM2は、コネクタC7~C12と、一定容積のサンプルループPL2と、切替バルブV7~V12と、これらを接続する複数の流路とを備える。
コネクタC7~C9には、サンプルタンク20、ポンプ21、ベント24がそれぞれ接続される。コネクタC10,C11には、キャリアガス供給装置12a,12bがそれぞれ接続される。コネクタC12には、カラム43が接続される。
切替バルブV7,V10は、コネクタC7からコネクタC10までの流路に、この順に配置される。切替バルブV9,V11,V12は、コネクタC8からコネクタC11までの流路に、この順に配置される。切替バルブV8は、切替バルブV11,V12間の流路とコネクタC9とを接続する流路に配置される。
サンプルループPL2は、切替バルブV7,V10間の流路と切替バルブV9,V11間の流路とを接続する流路に配置される。サンプルループPL2は、サンプルタンク20から導入される試料ガスを、カラム41に供給するために一時的に保持する機能を有する。切替バルブV7~V12の制御によってサンプルループPL2の接続先が適宜切り替えられることによって、サンプラモジュールM2は、サンプルタンク20から供給される試料ガスをサンプルループPL2に一旦充填し、その後、窒素ガス(N2)をキャリアガスとして、サンプルループPL2内に充填された試料ガスをカラム43に供給する。
カラム43,44は、サンプラモジュールM2のコネクタC12から第2流路L2までの間に、この順に直列に配置される。カラム43,44は、供給された試料ガスがキャリアガスの流れに乗って各カラム中を通過する間に、当該試料ガス中に含まれる各種成分を時間方向に分離して出力する。カラム43は一次分離用のプレカラムであり、カラム44は二次分離用のメインカラムである。キャリアガス供給装置12cは、カラム43とカラム44との間の流路に接続される。
第2流路L2は、カラム44と切替モジュールM3のコネクタC14との間を接続する。第2流路L2は、窒素ガス(N2)をキャリアガスとしてカラム44から流出したガス成分を切替モジュールM3に供給する。
切替モジュールM3は、検出装置80による検出対象を、第1流路L1を流れるヘリウムガス中のガス成分とするのか、第2流路L2を流れる窒素ガス中のガス成分とするのかを切り替える装置である。
切替モジュールM3は、コネクタC13~C16と、切替バルブV13~V16と、これらを接続する複数の流路とを備える。コネクタC13,C14には、第1流路L1および第2流路L2がそれぞれ接続される。コネクタC15には、ベント25が接続される。コネクタC16には、検出装置80が接続される。
切替バルブV13は、コネクタC15と切替バルブV15との間の流路とコネクタC13と切替バルブV16との間の流路とを接続する流路に配置される。切替バルブV14は、コネクタC16と切替バルブV16との間の流路とコネクタC14と切替バルブV15との間の流路とを接続する流路に配置される。切替バルブV15は、コネクタC14とコネクタC15との間の流路に配置される。切替バルブV16は、コネクタC13とコネクタC16との間の流路に配置される。
切替モジュールM3は、切替バルブV13~V16の開閉状態の組合せを切り替えることによって、第1状態と第2状態とのどちらかに切り替えられる。切替モジュールM3が第1状態である場合、第1流路L1と検出装置80とが連通されて第1流路L1からのガス(ヘリウムガス)が検出装置80に供給されるとともに、第2流路L2とベント25とが連通されて第2流路L2からのガス(窒素ガス)が外部に排出される。切替モジュールM3が第2状態である場合、第2流路L2と検出装置80とが連通されて第2流路L2からのガス(窒素ガス)が検出装置80に供給されるとともに、第1流路L1とベント25とが連通されて第1流路L1からのガス(ヘリウムガス)が外部に排出される。
なお、切替バルブV1~V16は、制御装置100からの指令に応じて、互いに独立して制御可能である。
検出装置80は、切替モジュールM3のコネクタC16に接続され、切替モジュールM3から供給されるガス成分を検出する。検出装置80は、自動圧力コントローラ(Automatic Pressure Controller、以下「APC」ともいう)81,82と、スイッチングバルブSW1,SW2と、TCD(Thermal Conductivity Detector、熱伝導度検出器)90とを備える。
APC81は、TCD90の参照用ガスとして、一定圧のヘリウムガスを出力する。APC82は、TCD90の参照用ガスとして、一定圧の窒素ガスを出力する。スイッチングバルブSW1,SW2は、TCD90に供給される参照用ガスを、APC81からのヘリウムガスとする状態と、APC82からの窒素ガスとする状態とのどちらかに切り替えられる。
切替モジュールM3が第1状態である場合、TCD90には、第1流路L1からのヘリウムガスがキャリアガスとしてTCD90に導入される。この場合、TCD90に供給される参照用ガスもヘリウムガスとなるように、スイッチングバルブSW1,SW2が制御される。
切替モジュールM3が第2状態である場合、TCD90には、第2流路L2からの窒素ガスがキャリアガスとしてTCD90に導入される。この場合、TCD90に供給される参照用ガスも窒素ガスとなるように、スイッチングバルブSW1,SW2が制御される。
TCD90は、切替モジュールM3から導入された試料ガス中の各種成分を、各成分の熱伝導度の違いを利用して、参照用ガスを比較対象としながら検出する。熱伝導度の違いを利用した成分検出手法については公知であるため詳細な説明は省略する。
なお、試料ガス中の水素およびヘリウムを検出するタイミングでは、キャリアガスとしての窒素ガスが用いられる。水素およびヘリウムは他の成分よりも軽くどのような分離カラムを用いても他の成分よりも早く溶出される。そのため、分析を開始した当初においては、キャリアガスを窒素ガスとしておき、水素およびヘリウムを検出するタイミングが経過した後は、直ぐにキャリアガスがヘリウムガスに切り替えられる。水素およびヘリウム以外の成分はヘリウムに比べて熱伝導率が非常に小さい値になるので、キャリアガスをヘリウムガスに切り替えることによって水素およびヘリウム以外の成分の検出感度を上げることができる。
TCD90による検出結果を示すデータは、制御装置100内のメモリに記憶され、ユーザからの要求により表示装置70に表示される。
入力装置60は、たとえばキーボードあるいはマウスなどのポインティングデバイスであり、ユーザからの指令を受け付ける。表示装置70は、たとえば液晶(LCD:Liquid Crystal Display)パネルで構成され、ユーザに情報を表示する。ユーザインターフェースとしてタッチパネルが用いられる場合には、入力装置60と表示装置70とが一体的に形成される。
制御装置100は、演算装置(Central Processing Unit)110、および記憶装置120、インターフェースなどを含む。制御装置100は、分析装置10全体を統括的に制御する。制御装置100は、ユーザインターフェースである入力装置60および表示装置70と、有線あるいは無線で接続されている。
[切替バルブV1~V16の構成]
図2および図3を用いて、本実施の形態による切替バルブV1~V16の構成の一例について説明する。なお、切替バルブV1~V16の基本構成は同じであるため、図2および図3においては、切替バルブV1~V16を区別することなくマイクロバルブ200として説明する。
図2は、マイクロバルブ200が開状態であるときのマイクロバルブ200の断面図である。図3は、マイクロバルブ200が閉状態であるときのマイクロバルブ200の断面図である。
マイクロバルブ200は、基台層220と、ダイヤフラム層230と、カバー層240とを含み、これらがこの順で積層された積層構造を有している。基台層220、ダイヤフラム層230、およびカバー層240の各層は、所望の強度、柔軟性ならびに低活性度を実現するために、たとえば酸化シリコンあるいは単結晶シリコンで形成されており、MEMS(Micro Electric Mechanical Systems)技術により微細加工が施されている。
マイクロバルブ200の厚み(積層方向の寸法)は約1~2mmである。なお、以下では、便宜的に、基台層220からカバー層240に向かう方向を上方向、カバー層240から基台層220に向かう方向を下方向として説明する場合がある。
基台層220は、マイクロバルブ200の最下層に配置される。基台層220には、凹部221と、基台層220を貫通する開口部222~224が形成されている。凹部221は、基台層220を上方向から平面視した場合に略円形状を有しており、基台層220の略中心付近に形成されている。凹部221は、基台層220の上面側から下面側に向かって窪んでいる。基台層220の厚みは約150μmである。また、凹部221の深さは5~20μmであり、好ましくは約10μmである。
開口部223,224は、凹部221の底部225に形成されている。後述するように、開口部223,224は、試料ガスの流入口および流出口をそれぞれ形成する。開口部222は、基台層220の凹部221の周辺の外縁部に、凹部221とは離隔して形成されている。開口部222は、マイクロバルブ200の制御用流体(ニューマチック流体)の供給口を形成する。
ダイヤフラム層230は、基台層220の上面側に、基台層220に対向して配置される。ダイヤフラム層230は、ダイヤフラム層230を貫通する開口部232と、剛体部234と、剛体部234の周囲に設けられた可撓部233とを有する。可撓部233は、剛体部234の厚みよりも薄く、可撓性を有している。可撓部233が弾性変形することによって、剛体部234が上下方向に変位する。
開口部232は、可撓部233および剛体部234から離隔して形成されている。開口部232は、上方向から平面視した場合に、基台層220の開口部222と重なる位置に形成されており、開口部222とともにニューマチック流体の供給口を形成する。
マイクロバルブ200は、流路部材(流路板)250に接続されて使用される。流路部材250には、基台層220の開口部222~224にそれぞれ対応する位置に、開口部252~254が形成されている。流路部材250の開口部252、基台層220の開口部222、およびダイヤフラム層230の開口部232は連通しており、ニューマチック流体の供給口262を形成している。ニューマチック流体は、供給口262を通って、カバー層240の凹部241へと供給される。
流路部材250の開口部253は、基台層220の開口部223と連通しており、試料ガスの流入口263を形成する。また、流路部材250の開口部254は、基台層220の開口部224と連通しており、試料ガスの流出口264を形成する。
マイクロバルブ200は、流路部材250の供給口262にニューマチック流体が供給されていない初期状態(ノーマル状態)において開状態となり、流路部材250の供給口262にニューマチック流体が供給されることによって閉状態となる、いわゆるノーマルオープンタイプのバルブである。
流路部材250の供給口262にニューマチック流体が供給されていない場合、図2に示すように、剛体部234が基台層220における凹部221の底部225から離れた状態で保持されるため、試料ガスの流入口263と流出口264とが連通される開状態(オープン状態)となる。
流路部材250の供給口262にニューマチック流体が供給されると、ニューマチック流体に押されて剛体部234が下方向に変位することによって、剛体部234の下面が基台層220における凹部221の底部225と密着した状態となるため、試料ガスの流入口263と流出口264とが遮断される閉状態(クローズ状態)となる。なお、剛体部234をニューマチック流体で駆動(変位)させることに代えて、剛体部234をピエゾ素子などを用いて電気的に駆動(変位)させるようにしてもよい。
[システムの分析動作]
上述のように、ガス分析システム1は、ヘリウムガスをキャリアガスとしてカラム41,42から流出した成分が流れる第1流路L1と、窒素ガスをキャリアガスとしてカラム43,44から流出した成分が流れる第2流路L2と、検出装置80との間に、切替モジュールM3を配置している。これにより、ガス分析システム1は、1回の分析中において、各カラム41~44内のキャリヤガスを切り替えることなく、第1流路L1の溶出成分と、第2流路L2の溶出成分とを検出装置80に順次供給することができる。
以下、ガス分析システム1の分析動作の一例について図4~11を参照して説明する。なお、図4~図11において、×印が付された切替バルブが閉状態であり、×印が付されていない切替バルブが開状態である。また、図4~11において、黒塗り矢印がヘリウムガス(Heガス)の流れを示し、白抜き矢印が窒素ガス(N2ガス)の流れを示し、斜線矢印が試料ガス(サンプル)の流れを示す。
分析動作中においては、以下のステップ1~ステップ9の動作がこの順で行なわれる。
(ステップ1) スタンバイ
図4は、スタンバイ時における切替バルブV1~V16の状態と各ガスの流れを示す図である。スタンバイ時においては、切替バルブV6,V12,V13,V14が開状態とされ、その他の切替バルブが閉状態とされる。
これにより、キャリアガス供給装置11bからのHeガスがカラム41,42を通過してベント25から外部に排出される。また、キャリアガス供給装置12bからのN2ガスがカラム43,44を通過し、TCD90内部を通過してベント26から外部に排出される。これに合せて、TCD90のリファレンスガスは、APC82からのN2ガスとされる。
(ステップ2) 試料ガス充填
図5は、試料ガス充填時における切替バルブV1~V16の状態と各ガスの流れを示す図である。試料ガス充填時においては、切替バルブV1,V3,V6,V7,V9,V12,V13,V14が開状態とされ、その他の切替バルブが閉状態とされる。また、ポンプ21が作動状態とされる。これにより、サンプルタンク20からの試料ガスがサンプルループPL1,PL2内に充填される。
(ステップ3) 圧力均衡
図6は、圧力均衡時における切替バルブV1~V16の状態と各ガスの流れを示す図である。圧力均衡時においては、切替バルブV1,V6,V7,V12,V13,V14が開状態とされ、その他の切替バルブが閉状態とされる。
これにより、サンプルループPL1,PL2内のガス圧力がほぼ大気圧に安定する平衡状態となるため、サンプルループPL1,PL2に保持される試料ガス量を一定量に安定させることができる。圧力均衡の状態は、サンプルループPL1,PL2内のガス圧力が安定するまで継続される。
なお、以下では、説明の便宜上、サンプルループPL1内に充填された試料ガスを「He試料ガス」とも称し、サンプルループPL2内に充填された試料ガスを「N2試料ガス」とも称す。
(ステップ4) N2試料ガス注入
図7は、N2試料ガス注入時における切替バルブV1~V16の状態と各ガスの流れを示す図である。N2試料ガス注入時においては、切替バルブV6,V10,V11,V13,V14が開状態とされ、その他の切替バルブが閉状態とされる。これにより、キャリアガス供給装置12aからのN2ガスによってサンプルループPL2中の試料ガス(N2試料ガス)が押し出されてカラム43に注入される。
(ステップ5) N2試料ガスのプレ分離
図8は、N2試料ガスのプレ分離時における切替バルブV1~V16の状態と各ガスの流れを示す図である。N2試料ガスプレ分離時においては、切替バルブV4,V6,V10,V11,V13,V14が開状態とされ、その他の切替バルブが閉状態とされる。
これにより、カラム43に注入されたN2試料ガスがカラム43において早く溶出する前端成分S1と溶出の遅れる後端成分S2とに分離され、前端成分S1がカラム43からカラム44に供給される。これにより、N2試料ガスの前端成分S1はカラム43で二次分離される。
また、N2試料ガスのプレ分離と併行して、キャリアガス供給装置11aからのHeガスによってサンプルループPL1に充填されていたHe試料ガスが押し出されてカラム41に注入される。なお、He試料ガスをカラム41に注入するタイミング(切替バルブV6を閉じ、切替バルブV4,V5を開くタイミング)は、N2試料ガスの前端成分S1がTCD90に到達する時間と、TCD90に供給されるキャリアガスを切り替えてからTCD90が検出するベースラインが安定するまでの時間とによって決めることができる。
(ステップ6) N2試料ガス成分検出
図9は、N2試料ガス検出時における切替バルブV1~V16の状態と各ガスの流れを示す図である。N2試料ガス検出時においては、切替バルブV4,V5,V8,V13,V14が開状態とされ、その他の切替バルブが閉状態とされる。
これにより、カラム44で二次分離されたN2試料ガスの前端成分S1は、キャリアガス供給装置12cからのN2ガスでTCD90に輸送されて検出される。
一方、カラム43に残留していたN2試料ガスの後端成分S2は、キャリアガス供給装置12cからのN2ガスでカラム43を逆流し、ベント24から外部に排出される。
また、カラム41に注入されたHe試料ガスは、カラム41において早く溶出する前端成分S3と溶出の遅れる後端成分S4とに一次分離され、前端成分S3がカラム41からカラム42に供給される。
(ステップ7) キャリアガス切替
図10は、ギャリアガス切替時における切替バルブV1~V16の状態と各ガスの流れを示す図である。ギャリアガス切替時においては、切替バルブV4,V5,V8,V15,V16が開状態とされ、その他の切替バルブが閉状態とされる。
これにより、切替モジュールM3の状態が第2状態から第1状態に切り替えられ、TCD90に供給されるガスが、第2流路L2からの窒素ガスから、第1流路L1からのヘリウムガスに切り替えられる。これに合せて、TCD90の参照用ガスは、APC82からのN2ガスから、APC81からのHeガスに切り替えられ。
(ステップ8) He試料ガス成分検出
図11は、He試料ガス検出時における切替バルブV1~V16の状態と各ガスの流れを示す図である。He試料ガス検出時においては、切替バルブV2,V8,V15,V16が開状態とされ、その他の切替バルブが閉状態とされる。
これにより、カラム42で二次分離されたHe試料ガスの前端成分S3は、キャリアガス供給装置11cからのHeガスでTCD90に輸送されて検出される。
一方、カラム41に残留していたHe試料ガスの後端成分S4は、キャリアガス供給装置11cからのHeガスでカラム41を逆流し、ベント23から外部に排出される。
(ステップ9) スタンバイ状態に戻る
その後、図4に示したスタンバイ状態に戻される。
以上のように、本実施の形態によるガス分析システム1は、キャリアガスとしてヘリウムガスを供給するキャリアガス供給装置11a~11cと、ヘリウムガスをキャリアガスとして試料ガスに含まれるガス成分を分離するカラム41,42と、キャリアガスとして窒素ガスを供給するキャリアガス供給装置12a~12cと、窒素ガスをキャリアガスとして試料ガスに含まれるガス成分を分離するカラム43,44と、ヘリウムガスをキャリアガスとしてカラム41,42を通過した試料ガスが流れる第1流路L1と、窒素ガスをキャリアガスとしてカラム43,44を通過した試料ガスが流れる第2流路L2と、ガス中の成分を各成分の熱伝導度の違いを利用して検出するTCD90と、切替モジュールM3とを備える。切替モジュールM3は、第1流路L1と第2流路L2とTCD90との間に配置され、TCD90の接続先を第1流路L1とする「第1状態」と、TCD90の接続先を第2流路L2とする「第2状態」とに切替可能に構成される。
そのため、カラム41,42を流れるキャリアガスをヘリウムガスに維持し、かつカラム43,44を流れるキャリアガスを窒素ガスに維持したまま、TCD90に供給されるキャリアガスをヘリウムガスおよび窒素ガスの一方から他方に切り替えることができる。その結果、ヘリウムガス中の試料ガス成分と窒素ガス中の試料ガス成分とを1つのTCD90で順次検出することができる。
さらに、本実施の形態による切替モジュールM3は、第1流路L1と第2流路L2とTCD90とを接続する流路と、その流路上に設けられ各々が互いに独立して制御可能な複数の切替バルブV13~V16とによって構成される。
そのため、キャリアガスの切替装置として複数のポートを有するロータリ式バルブを使用する場合に比べて、キャリアガスの切替を早期に完了することができる。すなわち、キャリアガスの切替装置として複数のポートを有するロータリ式バルブを使用する場合には、バルブを回転して流路を切り替える際に、半数のポートが連動して同時に切り替わる。その結果、流路構成が煩雑になり、その周辺配管の流路ボリュームも大きいため、キャリアガスを切り替える場合にキャリアガスの置換時間が長くなってしまい、短時間でTCD90のベースラインを安定させることが難しい。これに対し、本実施の形態による切替モジュールM3においては、切替バルブV1~V10を独立して制御することができるため、流路構成を簡素化することができ、その周辺配管の流路ボリュームも小さくすることができる。その結果、キャリアガスの置換時間を短縮してTCD90のベースラインを早期に安定させる、すなわちキャリアガスの切替を早期に完了することができる。
さらに、本実施の形態による切替モジュールM3内の複数の切替バルブV13~V16の各々は、MEMS技術により微細加工が施されて形成されたマイクロバルブである。具体的には、切替バルブV13~V16の各々は、内部へガスを導入するための開口部223、および、開口部223から導入されたガスを外部へ流出させるための開口部224が形成された基台層220と、基台層220に対向して配置され、弾性変形することによって開口部223から開口部224へのガスの流通と遮断とを切り替えるダイヤフラム層230とを備える。
このようにすることで、切替モジュールM3内の流路および各切替バルブV13~V16内部のデッドボリュームを非常に小さくすることができるため、キャリアガスの置換時間をより短縮してTCD90のベースラインをより早期に安定させることができる。
さらに、本実施の形態による切替バルブV13~V16は、シリコン製である。そのため、分析の定量精度を確保できる。すなわち、ロータリーバルブあるいは一般的なの2ポートのオンオフバルブにおいては流路の内壁およびシール部が金属、樹脂あるいはゴムでできているため、吸着性の高い試料ガス成分が流路の内壁およびシール部の表面に付着し易く、その結果、TCD90に導入される試料ガス量が減少して分析の定量精度の低下を招くおそれがある。これに対し、本実施の形態による切替バルブV13~V16の流路壁面はすべて活性度の低い酸化シリコンや単結晶シリコンで形成されているため、試料ガス成分が吸着し難くなる。その結果、分析の定量精度を確保することができる。
<変形例1>
図12は、本変形例1による分析装置10Aの構成の一例を模式的に示す図である。分析装置10Aは、上述の分析装置10Aの切替モジュールM3を、ロータリバルブRV1に変更したものである。分析装置10Aのその他の構成は上述の分析装置10と同じである。
このように変形しても、カラム41,42を流れるキャリアガスをヘリウムガスに維持し、かつカラム43,44を流れるキャリアガスを窒素ガスに維持したまま、TCD90に供給されるキャリアガスをヘリウムガスおよび窒素ガスの一方から他方に切り替えることができる。
[態様]
上述した実施の形態およびその変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項) 一態様に係るガス分析システムは、試料ガスに含まれるガス成分を各々が分離する第1カラムおよび第2カラムと、試料ガスを搬送するための互いに異なる第1キャリアガスおよび第2キャリアガスをそれぞれ供給する第1供給源および第2供給源と、第1キャリアガスによって第1カラムを通過した試料ガスが流れる第1流路と、第2キャリアガスによって第2カラムを通過した試料ガスが流れる第2流路と、ガス中の成分を各成分の熱伝導度の違いを利用して検出する熱伝導度検出器と、第1流路と第2流路と熱伝導度検出器との間に配置され、熱伝導度検出器の接続先を第1流路とする第1状態と、熱伝導度検出器の接続先を第2流路とする第2状態とに切替可能に構成された切替装置とを備える。
第1項に記載のガス分析システムによれば、第1流路と第2流路と熱伝導度検出器との間に、切替装置が配置される。そして、切替装置の状態を第1状態および第2状態の一方から他方に切り替えることによって、熱伝導度検出器の接続先を第1流路および第2流路の一方から他方に切り替えることができる。そのため、第1カラムを流れるキャリアガスを第1キャリアガスに維持し、かつ第2カラムを流れるキャリアガスを第2キャリアガスに維持したまま、熱伝導度検出器に供給されるキャリアガスを第1キャリアガスおよび第2キャリアガスの一方から他方に切り替えることができる。その結果、第1キャリアガス中の成分と第2キャリアガス中の成分とを1つの熱伝導度検出器で順次検出することができる。
(第2項) 第1項に記載のガス分析システムにおいて、切替装置は、第1流路と第2流路と熱伝導度検出器とを接続する流路と、流路上に設けられ、各々が互いに独立して制御可能な複数のバルブとを備えてもよい。流路は、複数のバルブの制御状態の組合せに応じて第1状態と第2状態とを形成可能に構成されていてもよい。
第2項に記載のガス分析システムによれば、キャリアガスの切替装置として複数のポートを有するロータリ式バルブを使用する場合に比べて、流路構成を簡素化することができ流路のデッドボリュームを小さくすることができる。そのため、キャリアガスの置換時間を短縮してキャリアガスの切替を早期に完了することができる。
(第3項) 第2項に記載のガス分析システムにおいて、複数のバルブの各々は、内部へガスを導入するための流入口、および、流入口から導入されたガスを外部へ流出させるための流出口が形成された基台部と、基台部に対向して配置され、弾性変形することによって流入口から流出口へのガスの流通と遮断とを切り替えるダイヤフラム部とを備えていてもよい。
第3項に記載のガス分析システムによれば、各バルブ内部のデッドボリュームを非常に小さくすることができるため、キャリアガスの置換時間をより短縮してキャリアガスの切替をより早期に完了することができる。
(第4項) 第2項または第3項に記載のガス分析システムにおいて、複数のバルブの各々は、シリコン製であってもよい。
第4項に記載のガス分析システムによれば、各バルブの流路壁面が活性度の低いシリコン製であるため、試料ガス成分が吸着し難くなる。その結果、分析の定量精度を確保することができる。
(第5項) 第1~4項のいずれかに記載のガス分析システムにおいて、第1キャリアガスはヘリウムガスであり、第2キャリアガスは、窒素ガスであってもよい。
第5項に記載のガス分析システムによれば、熱伝導度検出器に供給されるキャリアガスの種類を、ヘリウムガス(第1キャリアガス)と窒素ガス(第2キャリアガス)との間で切り替えることができる。
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 ガス分析システム、10,10A 分析装置、11a~11c,12a~12c キャリアガス供給装置、20 サンプルタンク、21 ポンプ、23~26 ベント、41~44 カラム、60 入力装置、70 表示装置、80 検出装置、90 TCD、100 制御装置、120 記憶装置、200 マイクロバルブ、220 基台層、221,241 凹部、222~224,232,252~254 開口部、225 底部、230 ダイヤフラム層、233 可撓部部、234 剛体部、240 カバー層、250 流路部材、262 供給口、263 流入口、264 流出口、C1~C16 コネクタ、L1 第1流路、L2 第2流路、M1,M2 サンプラモジュール、M3 切替モジュール、PL1,PL2 サンプルループ、RV1 ロータリバルブ、SW1,SW2 スイッチングバルブ、V1~V16 切替バルブ。

Claims (5)

  1. 試料ガスに含まれるガス成分を各々が分離する第1カラムおよび第2カラムと、
    前記試料ガスを搬送するための互いに種類が異なる第1キャリアガスおよび第2キャリアガスをそれぞれ供給する第1供給源および第2供給源と、
    前記第1キャリアガスによって前記第1カラムを通過した試料ガスが流れる第1流路と、
    前記第2キャリアガスによって前記第2カラムを通過した試料ガスが流れる第2流路と、
    ガス中の成分を各成分の熱伝導度の違いを利用して検出する熱伝導度検出器と、
    前記第1流路と前記第2流路と前記熱伝導度検出器との間に配置され、前記熱伝導度検出器の接続先を前記第1流路とする第1状態と、前記熱伝導度検出器の接続先を前記第2流路とする第2状態とに切替可能に構成された切替装置とを備える、ガス分析システム。
  2. 前記切替装置は、
    前記第1流路と前記第2流路と前記熱伝導度検出器とを接続する流路と、
    前記流路上に設けられ、各々が互いに独立して制御可能な複数のバルブとを備え、
    前記流路は、前記複数のバルブの制御状態の組合せに応じて前記第1状態と前記第2状態とを形成可能に構成されている、請求項1に記載のガス分析システム。
  3. 前記複数のバルブの各々は、
    内部へガスを導入するための流入口、および、前記流入口から導入されたガスを外部へ流出させるための流出口が形成された基台部と、
    前記基台部に対向して配置され、弾性変形することによって前記流入口から前記流出口へのガスの流通と遮断とを切り替えるダイヤフラム部とを備える、請求項2に記載のガス分析システム。
  4. 前記複数のバルブの各々は、シリコン製である、請求項2または3に記載のガス分析システム。
  5. 前記第1キャリアガスは、ヘリウムガスであり、
    前記第2キャリアガスは、窒素ガスである、請求項1に記載のガス分析システム。
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