JP7743393B2 - ヘモグロビンの検出方法、溶液、便保存器、及び便含有液の評価方法 - Google Patents

ヘモグロビンの検出方法、溶液、便保存器、及び便含有液の評価方法

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Description

本開示は、ヘモグロビンの検出方法、溶液、便保存器、及び便含有液の評価方法に関する。
本願は、2020年3月31日に、日本に出願された特願2020-063212号に基づき優先権を主張し、その内容を参照によりここに援用する。
大腸等の下部消化管における腫瘍を診断するための有用な検査方法として、便潜血検査が知られている。便潜血検査では、一般的に、便中のヘモグロビンが検出対象とされる。一方、便中のヘモグロビンの検出方法としては、化学測定法、ラテックス凝集法による免疫測定法、イムノクロマト法による免疫測定法等の種々の方法が知られている。
上記のいずれの検出方法においても、検査には、採便後、ある期間にわたり保存された後の便が使用されることがある。特許文献1には、採便後の便検体と乾燥剤とを接触させて便検体を乾燥させ、乾燥状態の便検体を乾燥剤中で保存した後、乾燥状態の便検体が保存された乾燥剤に水性媒体を添加して、水性媒体中に便検体中の成分を溶解させ、水性媒体中に溶解された便検体中の成分を測定することを特徴とする便検体中の成分の測定方法が開示されている。
国際公開第2017/104132号
便潜血検査を疾患の診断に利用するという観点からすると、臨床の場では、便に含まれるヘモグロビンを、容易な操作によって、高い確度で、長い時間を要することなく検出できる方法が求められている。
そこで、本開示は、簡便であり、安定的かつ迅速にヘモグロビンを検出することができるヘモグロビンの検出方法を提供する。また、本開示は、簡便、安定的かつ迅速なヘモグロビンの検出方法に適した溶液及び便保存器を提供する。さらに、本開示は、簡便であり、安定的かつ迅速に便含有液を評価することができる便含有液の評価方法を提供する。
実施形態の例を以下に挙げる。本発明は以下の実施形態に限定されない。
一実施形態は、亜硫酸、亜硫酸塩、二亜硫酸、二亜硫酸塩、亜ジチオン酸、及び亜ジチオン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種と便とを含有し、任意の時間にわたり保存された後の便含有液を用意すること、及び、前記便含有液に含まれるヘモグロビンを、イムノクロマトグラフィー法により検出することを含む、ヘモグロビンの検出方法に関する。
他の一実施形態は、亜硫酸、亜硫酸塩、二亜硫酸、二亜硫酸塩、亜ジチオン酸、及び亜ジチオン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、便の保存液として、及び、ヘモグロビンを検出し得るイムノクロマトグラフィー法の展開液として用いられる、溶液に関する。
他の一実施形態は、採便容器と、前記採便容器内に含まれる上記一実施形態の溶液とを含み、前記採便容器は、採便棒と容器本体とを有し、前記採便棒は、一側に把持部と、他側に棒部とを有し、前記棒部は、前記他側の先端又は先端付近に、採便部を有する、便保存器に関する。
他の一実施形態は、便含有液にヘモグロビンが含まれるか否かを、上記一実施形態のヘモグロビンの検出方法を用いて評価することを含む、便含有液の評価方法に関する。
本開示によれば、簡便であり、安定的かつ迅速にヘモグロビンを検出することができるヘモグロビンの検出方法が提供される。また、本開示によれば、簡便、安定的かつ迅速なヘモグロビンの検出方法に適した溶液及び便保存器が提供される。さらに、本開示によれば、簡便であり、安定的かつ迅速に便含有液を評価することができる便含有液の評価方法が提供される。
図1は、イムノクロマトグラフィー装置の一例を表す斜視模式図である。 図2は、便保存器の一例を表す正面模式図である。
本発明の実施形態について説明する。本発明は以下の実施形態に限定されない。以下の実施形態は、単独で又は組み合わせて、実施することが可能である。
<ヘモグロビンの検出方法>
本発明の一実施形態であるヘモグロビンの検出方法は、亜硫酸、亜硫酸塩、二亜硫酸、二亜硫酸塩、亜ジチオン酸、及び亜ジチオン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種と便とを含有する便含有液であって、任意の時間にわたり保存された後の便含有液を用意することと、前記便含有液に含まれるヘモグロビンを、イムノクロマトグラフィー法により検出することとを少なくとも含む。ヘモグロビンの検出方法は、任意の工程を更に含んでもよい。本発明の一実施形態である検出方法では、ヘモグロビンの検出にイムノクロマトグラフィー法を使用する。イムノクロマトグラフィー法は、ヘモグロビンを検出することができる簡便な方法である。
一般に、便潜血検査では、便を採取してから、便に含まれるヘモグロビンを検出するための操作を開始するまでには、ある程度の時間が経過する。便は、採取してから検出までの間、保存されることとなる。本発明の一実施形態である検出方法によれば、ヘモグロビンの安定的かつ迅速な検出を実現することができる。本発明の一実施形態である検出方法では、前記の酸及び/又は塩を含有する便含有液を使用する。便含有液では、酸及び/又は塩がヘモグロビンの安定化剤として作用することによって、ヘモグロビンを保存後にも分解及び変性を抑えた状態で保つことができると推測される。そのため、調製してからある程度の時間が経過した後の便含有液を使用する場合であっても、ヘモグロビンの検出を安定的に行うことが可能となると考えられる。
また、前記の酸及び/又は塩は、安定化剤として一般的に知られている糖類等を使用する場合と比べ、便含有液の粘度が高くなることを防止できる。その結果、イムノクロマトグラフィー法における便含有液の展開時間、すなわち、イムノクロマトグラフィー法によるヘモグロビンの検出時間を短縮でき、ヘモグロビンの迅速検査を行うことが可能になると考えられる。ただし、本発明は、これらの推測によって限定されない。
ヘモグロビンの検出方法において、便含有液は、後述の溶液(展開液)と、便とを含有する液であってよい。ヘモグロビンの検出方法は、展開液を提供することと、展開液と便とを含有する便含有液を受領することとを更に含んでよい。展開液を提供することの例として、医師、看護師等の医療従事者が患者に展開液を渡すこと、ヘモグロビンの検出を実施する検査従事者が被検者に展開液を渡すことなどが挙げられる。展開液を受領した患者又は被検者は、便を採取し、採取した便と展開液とを混合し、便含有液を得ることができる。便含有液を受領することの例として、医療従事者が患者から便含有液を受領すること、検査従事者が被検者から便含有液を受領することなどが挙げられる。
[便含有液]
便含有液は、亜硫酸、亜硫酸塩、二亜硫酸、二亜硫酸塩、亜ジチオン酸、及び亜ジチオン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種と便とを少なくとも含有する。便含有液は、好ましくは、前記の酸及び/又は塩(硫黄含有酸)と便とを、溶解及び/又は分散し得る液体として、水を含有する。便含有液は、水以外の任意の成分を更に含有してもよい。任意の成分として、例えば、緩衝剤、蛋白質、抗生剤、防腐剤、糖類、フェロシアン化合物、キレート剤、プロテアーゼ阻害剤、界面活性剤、無機酸及びその塩、並びに、有機酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
便含有液に含まれ得る各成分については後述する。便含有液は、例えば、少なくとも、後述の溶液(展開液)と便とを混合することによって得ることができる。便含有液に含まれる各成分の含有量の例として、後述する展開液中の各成分について例示した含有量が挙げられる。この場合は、含有量の基準を、展開液の体積に代えて便含有液の体積とすればよい。
便は、特に制限はなく、例えば、哺乳類から排出又は採取された便が挙げられる。哺乳類としては、例えば、ヒト、サル、ゴリラ、オランウータン、パンダ、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヒツジ、イノシシ、ウサギ、ネズミ、リス、ハムスター、トラ、ライオン等が挙げられる。ヘモグロビンの検出方法は、ヒトに適した方法である。
便含有液に含まれる便に由来する成分の合計の含有量は、例えば、便含有液の体積を基準として、0.001%(w/v)以上、0.005%(w/v)以上、0.01%(w/v)以上、0.03%(w/v)以上、又は0.05%(w/v)以上であってよい。便含有液に含まれる便に由来する成分の合計の含有量は、便含有液の体積を基準として、例えば、5%(w/v)以下、3%(w/v)以下、2%(w/v)以下、1%(w/v)以下、又は0.5%(w/v)以下であってよい。
なお、本開示において、「%(w/v)」とは、体積(100mL)を基準とする質量(g)の百分率を意味する。例えば、「成分Xの含有量が、便含有液の体積を基準として、x%(w/v)である」とは、成分Xが、便含有液100mL中に、x(g)含まれることを意味する。また、本開示では、ある含有量について、上限値の例と下限値の例とからそれぞれ任意の数値を選択し、それらを組み合わせて得られる数値範囲も、本開示に例示されているものとみなす。pH、粘度、温度、時間等の他の数値についても同様である。
ヘモグロビンの検出方法には、任意の時間にわたり保存された後の便含有液を使用する。保存された後の便含有液は、亜硫酸、亜硫酸塩、二亜硫酸、二亜硫酸塩、亜ジチオン酸、及び亜ジチオン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種と便との両方を少なくとも含有する便含有液を調製した後に、任意の時間が経過した後の便含有液であってよい。保存中の便含有液が置かれている状態は特に限定されず、静置、搬送、振とう等が挙げられる。便含有液は、温度管理された雰囲気下で保存された便含有液であってよい。又は、便含有液は、特に温度管理されることなく、例えば、通常の生活環境下で保存された便含有液であってよい。
任意の時間の下限は、特に限定されないが、便含有液を得てからイムノクロマトグラフィー法による検査を行うまでに要する時間を考慮すると、例えば、30分以上、1時間以上、5時間以上、10時間以上、1日以上、3日以上、又は5日以上であってよい。任意の時間は、例えば、21日以下、14日以下、10日以下、8日以下、7日以下、5日以下、又は3日以下であってよい。21日以下である場合、ヘモグロビンが変性又は分解することを防止しやすい傾向がある。任意の時間の始点は、亜硫酸、亜硫酸塩、二亜硫酸、二亜硫酸塩、亜ジチオン酸、及び亜ジチオン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種と便とを接触させた時、すなわち、両者を少なくとも含有する便含有液を得た時であってよい。任意の時間の終点は、便含有液をイムノクロマトグラフィー法に使用する装置に供給した時であってよい。
保存温度は、例えば、0℃以上、2℃以上、4℃以上、8℃以上、10℃以上、又は15℃以上であってよい。保存温度は、例えば、50℃以下、48℃以下、45℃以下、40℃以下、又は38℃であってよい。50℃以下である場合、ヘモグロビンが変性又は分解することを防止しやすい傾向がある。例えば、保存中の雰囲気の温度が前記範囲に含まれることが好ましい。例えば、保存中の便含有液の温度が前記範囲に含まれることが好ましい。
便含有液のpHは、例えば、6.0~7.5であってよい。便含有液のpHの例として、後述する展開液について例示したpHの値が挙げられる。便含有液の粘度は、例えば、1.00~1.80cPであってよい。便含有液の粘度の例として、後述する展開液について例示した粘度の値が挙げられる。便含有液のpH及び粘度は、展開液のpH及び粘度と同じ方法により測定することができる。
[イムノクロマトグラフィー法]
ヘモグロビンの検出方法では、イムノクロマトグラフィー法によってヘモグロビンを検出する。イムノクロマトグラフィー法としては、特に限定されず、免疫反応と毛細管現象とを利用した一般的な方法を用いることができる。イムノクロマトグラフィー法は、ラテックス凝集法等のように、大型の装置又は複雑な工程を使用しなくてもよい方法であるため、ヘモグロビンを容易に検出することができる。イムノクロマトグラフィー法によるヘモグロビンの検出方法は、いわゆるPOCT(Point of Care Test)に適した方法である。
イムノクロマトグラフィー法は、例えば、ヘモグロビンを捕捉し得る第1の捕捉物質が固相化された領域を有するメンブレンと、標識体により標識され、かつ、へモグロビンを捕捉し得る第2の捕捉物質とを用意すること;前記領域に、第1の捕捉物質、ヘモグロビン、及び第2の捕捉物質を含む複合体を形成すること;及び、前記複合体を検出することを少なくとも含む。イムノクロマトグラフィー法は、任意の工程を更に含んでもよい。
イムノクロマトグラフィー法において、前記の用意することは、例えば、サンプルパッド、コンジュゲーションパッド、ヘモグロビンを捕捉し得る第1の捕捉物質が固相化された領域を有するメンブレン、及び第2の捕捉物質を少なくとも有するイムノクロマトグラフィー装置を用意することであってよい。イムノクロマトグラフィー装置は、例えば吸収パッド等の任意の部位を更に含んでもよい。
イムノクロマトグラフィー法は、サンプルパッドに便含有液を供給することを更に含んでよい。イムノクロマトグラフィー法において、前記複合体を検出することは、サンプルパッドに前記便含有液を供給してから任意の時間が経過した後に前記複合体を検出することであってよい。任意の時間は、例えば、10秒から30分である。任意の時間が長いほど、1回の検出において、迅速化の大きな効果が得られる傾向がある。任意の時間が短い場合であっても、病院、検査機関等の、多くの便含有液(例えば、検体)に対して検査が行われる場では、1回の検出の迅速化によって、全体として大きな時間短縮の効果を得ることができる。
捕捉物質としては、例えば、抗体、抗体断片、抗原、抗原断片等が挙げられる。第1の捕捉物質及び第2の捕捉物質の一方又は両方が、抗体及び抗体断片からなる群から選択される少なくとも1種を含んでよい。標識体としては、例えば、金コロイド粒子、銀コロイド粒子、白金コロイド粒子等の金属コロイド粒子;着色剤を含有する、ポリ(メタ)アクリル系ポリマー粒子、ポリスチレン粒子等の着色ラテックス粒子;蛍光粒子などが挙げられる。標識体は、金属コロイド粒子及び着色ラテックス粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含んでよい。メンブレン、サンプルパッド、コンジュゲーションパッド、及び吸収パッドは、例えば、濾紙又は不織布であってよい。濾紙又は不織布の材質として、セルロース、ポリエステル、ポリオレフィン、コットン等が挙げられる。
図1は、イムノクロマトグラフィー装置の一例を表す斜視模式図である。イムノクロマトグラフィー装置10は、サンプルパッド11、コンジュゲーションパッド12、第1の捕捉物質A1が固相化された領域13を有するメンブレン14、及び、コンジュゲーションパッド12に含まれる第2の捕捉物質A2を有する。第2の捕捉物質A2は、標識体Mにより標識され、かつ、へモグロビンを捕捉し得る物質である。イムノクロマトグラフィー装置10は、更に、第3の捕捉物質A3が固相化された領域15、及び、吸収パッド16を有する。第3の捕捉物質A3は、第2の捕捉物質A2を捕捉し得る物質である。
イムノクロマトグラフィー装置10を用いたヘモグロビンの検出方法では、サンプルパッド11に便含有液17を供給することができる。供給された便含有液17に含まれるヘモグロビンHbと、第2の捕捉物質A2と、第1の捕捉物質A1との複合体は、領域13に形成される。
本開示において、ヘモグロビンの検出方法は、大腸等の下部消化管からの出血を伴う疾患の診断又は予測に利用することができる。下部消化管からの出血を伴う疾患として、例えば、大腸がん、虚血性腸炎、薬剤性腸炎、感染性腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病等が挙げられる。
<溶液>
本発明の一実施形態である溶液は、便の保存液として、かつ、ヘモグロビンを検出し得るイムノクロマトグラフィー法の展開液として使用するための溶液である。溶液は、亜硫酸、亜硫酸塩、二亜硫酸、二亜硫酸塩、亜ジチオン酸、及び亜ジチオン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を、少なくとも含有する。本開示において、この溶液を「展開液」という場合がある。本開示において、亜硫酸、亜硫酸塩、二亜硫酸、二亜硫酸塩、亜ジチオン酸、及び亜ジチオン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を「硫黄含有酸」という場合がある。本開示において、亜硫酸、亜硫酸塩、二亜硫酸、二亜硫酸塩、亜ジチオン酸、及び亜ジチオン酸塩以外の硫黄を含有する酸(例えば、硫酸)は、「硫黄含有酸」には含まれない。便含有液が硫黄含有酸を含有することによって、便含有液の高粘度化を抑え、展開にかかる時間を短くしつつ、便含有液を得てから検査を開始するまでの時間の経過によって生じ得る検出結果の変動を抑えることができると推測される。本発明の一実施形態である展開液によれば、迅速かつ安定的なヘモグロビンの検査を実現できる。
展開液は、好ましくは、硫黄含有酸を溶解し得る液体として、水を含有する。展開液は、水以外の任意の成分を更に含有してもよい。任意の成分として、例えば、緩衝剤、蛋白質、抗生剤、防腐剤、糖類、フェロシアン化合物、キレート剤、プロテアーゼ阻害剤、界面活性剤、無機酸及びその塩、並びに、有機酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。展開液の具体例として、硫黄含有酸、緩衝剤、防腐剤、及び水を含有する展開液;硫黄含有酸、緩衝剤、蛋白質、抗生剤、防腐剤、及び水を含有する展開液等が挙げられる。
便、便の保存、及びイムノクロマトグラフィー法については上述のとおりである。展開液は、上述の実施形態のヘモグロビンの検出方法における便含有液を得るために、好ましく使用することができる。展開液は、イムノクロマトグラフィー法において移動相として機能することができる。
(硫黄含有酸)
展開液は、亜硫酸、亜硫酸塩、二亜硫酸、二亜硫酸塩、亜ジチオン酸、及び亜ジチオン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を少なくとも含有する。展開液は、亜硫酸、亜硫酸塩、二亜硫酸、二亜硫酸塩、亜ジチオン酸、及び亜ジチオン酸塩からなる群から選択される2種以上を含有してもよい。
検出を安定的に行う観点から、展開液は、例えば、亜硫酸塩、二亜硫酸塩、及び亜ジチオン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を少なくとも含有してよい。検出を安定的に行う観点から、展開液は、例えば、二亜硫酸及び二亜硫酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を含有してよい。検出を安定的に行う観点から、展開液は、例えば、二亜硫酸塩を含有してよい。
塩に含まれるカチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;マグネシウムイオン、カルシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオンなどの無機カチオン、及び、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム等の有機アンモニウムなどの有機カチオンが挙げられる。カチオンは、例えば、無機カチオンを含んでよく、アルカリ金属イオンを含んでよく、ナトリウムイオンを含んでよい。
具体的には、展開液は、亜硫酸、亜硫酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、二亜硫酸、二亜硫酸リチウム、二亜硫酸ナトリウム、二亜硫酸カリウム、二亜硫酸アンモニウム、亜ジチオン酸、亜ジチオン酸リチウム、亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウム、及び亜ジチオン酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種を含んでよい。
硫黄含有酸の含有量は、展開液の体積を基準として、例えば、0.0001%(w/v)以上、0.0005%(w/v)以上、0.001%(w/v)以上、0.002%(w/v)以上、0.003%(w/v)以上、0.004%(w/v)以上、0.005%(w/v)以上、0.006%(w/v)以上、0.007%(w/v)以上、0.008%(w/v)以上、0.009%(w/v)以上、0.01%(w/v)以上、0.02%(w/v)以上、0.03%(w/v)以上、0.04%(w/v)以上、又は0.05%(w/v)以上であってよい。硫黄含有酸の含有量は、展開液の体積を基準として、例えば、5%(w/v)以下、1%(w/v)以下、0.5%(w/v)以下、0.1%(w/v)以下、0.09%(w/v)以下、0.08%(w/v)以下、0.07%(w/v)以下、0.06%(w/v)以下、0.05%(w/v)以下、0.04%(w/v)以下、0.03%(w/v)以下、0.02%(w/v)以下、0.01%(w/v)以下、0.009%(w/v)以下、0.008%(w/v)以下、0.007%(w/v)以下、0.006%(w/v)以下、又は0.005%(w/v)以下であってよい。前記範囲である場合、ヘモグロビンの十分な安定化の効果が得られやすい傾向がある。
(水)
展開液に含まれる水としては、特に限定されず、脱イオン水、蒸留水等が挙げられる。水の含有量は、他の成分の残部であってよい。
(緩衝剤)
展開液は、緩衝剤を含有してよい。緩衝剤は、水に溶解したときに、例えば、リン酸緩衝液、炭酸緩衝液、アンモニア緩衝液、酢酸緩衝液、乳酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酒石酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス緩衝液、グッドの緩衝液等の緩衝液が得られる緩衝剤であってよい。グッドの緩衝液が得られる緩衝剤としては、例えば、2-モルホリノエタンスルホン酸(MES)、ピぺラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、ビス(2-ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis-Tris)、3-[N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロパンスルホン酸[(H)EPPS]、2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)、3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(HEPPSO)、3-(モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、3-(モルホリノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)(POPSO)、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-2-ヒドロキシ-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPSO)、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-2-アミノエタンスルホン酸(TES)、N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(Tricine)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸(CHES)、N-シクロヘキシル-3-アミノプロパンスルホン酸(CAPS)、N-シクロヘキシル-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(CAPSO)等が挙げられる。特に検出を安定的に行う観点から、緩衝剤は、N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)を含んでよい。展開液は、緩衝剤を、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて含有してよい。
展開液が緩衝剤を含有する場合、緩衝剤の含有量は、展開液の体積を基準として、例えば、0.01%(w/v)以上、0.05%(w/v)以上、0.1%(w/v)以上、0.3%(w/v)以上、又は0.5%(w/v)以上であってよい。緩衝剤の含有量は、展開液の体積を基準として、例えば、10%(w/v)以下、5%(w/v)以下、3%(w/v)以下、2%(w/v)以下、又は1%(w/v)以下であってよい。前記範囲である場合、便含有液のpHの変動を抑え、ヘモグロビンの分解及び変性を防止しやすい傾向がある。
(蛋白質)
展開液は、蛋白質を含有してよい。蛋白質としては、例えば、アルブミン、鉄タンパク質等が挙げられる。アルブミンとしては、例えば、血清アルブミン、卵白アルブミン、ラクトアルブミン等が挙げられ、血清アルブミンが好ましい。血清アルブミンとしては、例えば、ヒト、ウシ、ウマ等の哺乳動物の血清から常法に準じて調製された血清アルブミン;市販品の血清アルブミンなどを使用できる。好適な血清アルブミンとしては、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン等が挙げられる。展開液は、蛋白質を、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて含有してよい。
展開液が蛋白質を含有する場合、蛋白質の含有量は、展開液の体積を基準として、例えば、0.001%(w/v)以上、0.005%(w/v)以上、0.01%(w/v)以上、0.05%(w/v)以上、又は0.1%(w/v)以上であってよい。蛋白質の含有量は、展開液の体積を基準として、例えば、10%(w/v)以下、5%(w/v)以下、1%(w/v)以下、0.5%(w/v)以下、又は0.3%(w/v)以下であってよい。前記範囲である場合、ヘモグロビンの検出を、より安定的かつ迅速に行うことができる傾向がある。
(抗生剤)
展開液は、抗生剤を含有してよい。抗生剤としては、例えば、β-ラクタム系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、マクロライド系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質、ヌクレオシド系抗生物質、アンサマイシン系抗生物質、ポリペプチド系抗生物質、その他の抗生物質等が挙げられる。抗生剤は、アミノグリコシド系抗生物質を含んでよく、アミノグリコシド系抗生物質としては、例えば、ストレプトマイシン、ストレプトマイシンB、デハイドロストレプトマイシン、オキシストレプトマイシン、カナマイシン、カスガマイシン、ゲンタマイシンA、ゲンタマイシンC、リンコマイシン、ブレオマイシン、マンノシドハイドロオキシ・ストレプトマイシン等が挙げられる。
抗生剤は、塩であってもよい。塩としては、例えば、酸付加塩(塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩等)、アンモニウム塩、有機アミン付加塩(トリエチルアミン塩等)、金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等)などが挙げられる。展開液は、抗生剤を、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて含有してよい。
展開液が抗生剤を含有する場合、抗生剤の含有量は、展開液の体積を基準として、例えば、0.005%(w/v)以上、0.01%(w/v)以上、0.05%(w/v)以上、0.1%(w/v)以上、又は0.2%(w/v)以上であってよい。抗生剤の含有量は、展開液の体積を基準として、例えば、5%(w/v)以下、3%(w/v)以下、1%(w/v)以下、0.5%(w/v)以下、又は0.4%(w/v)以下であってよい。前記範囲である場合、展開液に抗生剤を含有させることによる十分な効果が得られやすい傾向がある。
(防腐剤)
展開液は、防腐剤を含有してよい。防腐剤としては、例えば、アジ化物、キレート剤等が挙げられる。防腐剤は、アジ化物を含んでよく、アジ化物としては、例えば、アジ化ナトリウム等が挙げられる。防腐剤は、キレート剤を含んでよく、キレート剤としては、例えば、後述するキレート剤が挙げられる。展開液は、防腐剤を、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて含有してよい。
展開液が防腐剤を含有する場合、防腐剤の含有量は、展開液の体積を基準として、例えば、0.001%(w/v)以上、0.005%(w/v)以上、0.01%(w/v)以上、0.03%(w/v)以上、又は0.05%(w/v)以上であってよい。防腐剤の含有量は、展開液の体積を基準として、例えば、2%(w/v)以下、1%(w/v)以下、0.5%(w/v)以下、0.3%(w/v)以下、又は0.1%(w/v)以下であってよい。前記範囲である場合、展開液に防腐剤を含有させることによる十分な効果が得られやすい傾向がある。
(糖類)
展開液は、糖類を含有してよい。糖類としては、例えば、グルコース、スクロース、マルトース、シクロデキストリン類、フルクトース、ソルボース、サッカロース、ラクトース、トレハロース、ガラクツロン酸、マンニトール、D-グルコサミン、マンノース、セロビオース、グリシドール、イノシトール等が挙げられる。展開液は、糖類を、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて含有してよい。
展開液が糖類を含有する場合、糖類の含有量は、展開液の体積を基準として、例えば、0.005%(w/v)以上、0.01%(w/v)以上、0.03%(w/v)以上、0.05%(w/v)以上、又は0.1%(w/v)以上であってよい。糖類の含有量は、展開液の体積を基準として、例えば、5%(w/v)以下、3%(w/v)以下、1%(w/v)以下、0.5%(w/v)以下、又は0.3%(w/v)以下であってよい。0.005%(w/v)以上である場合、ヘモグロビンの安定的な検出を行いやすい傾向がある。5%(w/v)以下である場合、展開液の高粘度化を防止しやすい傾向がある。より迅速な検査を行うという観点からは、展開液は、糖類を含有しないか、又は、含有する場合、含有量は小さいことが好ましい。糖類の含有量は、例えば、0.1%(w/v)以下、0.01%(w/v)以下、0.001%(w/v)以下、又は、0.000%(w/v)であってよい。
(フェロシアン化合物)
展開液は、フェロシアン化合物を含有してよい。フェロシアン化合物としては、例えば、フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム、11-フェロセニル-1-ウンデカンチオール、8-フェロセニル-1-オクタンチオール、6-フェロセニル-1-ヘキサンチオール、11-フェロセニルウンデシル-ポリオキシエチレンエーテル、11-フェロセニルトリメチルウンデシルアンモニウムブロミド等が挙げられる。展開液は、フェロシアン化合物を、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて含有してよい。
(キレート剤)
展開液は、キレート剤を含有してよい。キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、O,O’-ビス(2-アミノフェニル)エチレングリコール-N,N,N’,N’-四酢酸、ジエチレントリアミン-N,N,N’,N’’,N’’-五酢酸、エチレンジアミン-N,N’-二酢酸、エチレンジアミン-N,N’-ビス(メチレンホスホン酸)等が挙げられる。キレート剤は、塩であってもよい。塩としては、例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。展開液は、キレート剤を、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて含有してよい。
(プロテアーゼ阻害剤)
展開液は、プロテアーゼ阻害剤を含有してよい。プロテアーゼ阻害剤としては、例えば、cOmplete(商標,ロシュ社製)、アンチパパインジハイドロクロライド、アプロチニン、キモスタチン、E-64、ロイペプチン、ペファブロック(商標,ロシュ社製)、ベプスタチン、フォスフォラミドン、アンチトロンビンIII、(4-アミジノフエニル)メタンスルフオニルフルオライド、カルバインインヒビター1,3,4-ジクロロイソクマリン、α-マクログロブリン、ベスタチン等が挙げられる。展開液は、プロテアーゼ阻害剤を、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて含有してよい。
(界面活性剤)
展開液は、界面活性剤を含有してよい。界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。展開液は、界面活性剤を、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて含有してよい。
(無機酸及びその塩)
展開液は、無機酸及び/又は無機酸の塩を含有してよい。無機酸及び無機酸の塩として、上記で説明した任意成分以外の無機酸及び無機酸の塩(以下、「他の無機酸及びその塩」という場合がある。)が挙げられる。無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。塩としては、例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。展開液は、他の無機酸及びその塩を、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて含有してよい。
他の無機酸及びその塩の含有量は、展開液の体積を基準として、例えば、0.001%(w/v)以上、0.005%(w/v)以上、0.01%(w/v)以上、0.03%(w/v)以上、又は0.05%(w/v)以上であってよい。他の無機酸及びその塩の含有量は、展開液の体積を基準として、例えば、10%(w/v)以下、5%(w/v)以下、1%(w/v)以下、0.5%(w/v)以下、又は0.1%(w/v)以下であってよい。前記範囲である場合、ヘモグロビンの検出を、より安定的かつ迅速に行うことができる傾向がある。他の無機酸及びその塩の含有量は、例えば、0.05%(w/v)以下、0.01%(w/v)以下、0.001%(w/v)以下、又は、0.000%(w/v)であってよい。
特に、展開液がハロゲン化アルカリ金属塩を含有する場合、ハロゲン化アルカリ金属塩の含有量は、展開液の体積を基準として、例えば、0.001%(w/v)以上、0.005%(w/v)以上、0.01%(w/v)以上、0.03%(w/v)以上、又は0.05%(w/v)以上であってよい。ハロゲン化アルカリ金属塩の含有量は、展開液の体積を基準として、例えば、10%(w/v)以下、5%(w/v)以下、1%(w/v)以下、0.5%(w/v)以下、又は0.1%(w/v)以下であってよい。前記範囲である場合、ヘモグロビンの検出を、より安定的かつ迅速に行うことができる傾向がある。ハロゲン化アルカリ金属塩は、X(Xはハロゲンイオンを、Mはアルカリ金属イオンを表す。)で表すことができる。ハロゲン化アルカリ金属塩の例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。例えば、塩化ナトリウムが、前記含有量の範囲を満たすことが好ましい。より安定的な検査を行うという観点からは、展開液は、ハロゲン化アルカリ金属塩を含有しないか、又は、含有する場合、含有量は小さいことが好ましく、例えば1%(w/v)以下であってよい。ハロゲン化アルカリ金属塩の含有量は、例えば、0.05%(w/v)以下、0.01%(w/v)以下、0.001%(w/v)以下、又は、0.000%(w/v)であってよい。
展開液に含まれる全ての無機酸及び無機酸の塩の合計の含有量は、展開液の体積を基準として、例えば、0.001%(w/v)以上、0.005%(w/v)以上、0.01%(w/v)以上、0.03%(w/v)以上、又は0.05%(w/v)以上であってよい。展開液に含まれる全ての無機酸及び無機酸の塩の合計の含有量は、展開液の体積を基準として、例えば、15%(w/v)以下、10%(w/v)以下、5%(w/v)以下、1%(w/v)以下、0.5%(w/v)以下、又は0.1%(w/v)以下であってよい。前記範囲である場合、ヘモグロビンの分解及び変性を防止しやすい傾向がある。
硫黄含有酸の含有量は、展開液に含まれる全ての無機酸及び無機酸の塩の合計の質量を基準として、例えば、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であってよい。硫黄含有酸の含有量は、展開液に含まれる全ての無機酸及び無機酸の塩の合計の質量を基準として、例えば、100質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、又は20質量%以下であってよい。前記範囲である場合、ヘモグロビンの分解及び変性を防止しやすい傾向がある。
(有機酸及びその塩)
展開液は、有機酸及び/又は有機酸の塩を含有してよい。有機酸及び有機酸の塩として、上記の任意成分以外の有機酸及び有機酸の塩が挙げられる。有機酸としては、例えば、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、グリコール酸、2-ケトグルタル酸、イソクエン酸、乳酸、ピルビン酸、尿酸、オキサル酢酸等が挙げられる。塩としては、例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。展開液は、有機酸及び/又は有機酸の塩を、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて含有してよい。
展開液は、硫黄含有酸、緩衝剤、蛋白質、抗生剤、防腐剤、及び水を含有する溶液であってよい。この場合、展開液に含まれる硫黄含有酸、緩衝剤、蛋白質、抗生剤、防腐剤、及び水の合計の含有量は、例えば、90%(w/v)以上、92%(w/v)以上、95%(w/v)以上、98%(w/v)以上、99%(w/v)以上、99.3%(w/v)以上、99.5%(w/v)以上、99.8%(w/v)以上、又は100.0%(w/v)であってよい。
[pH]
展開液のpHは、例えば、6.0以上、6.3以上、6.5以上、6.6以上、6.7以上、又は6.8以上であってよい。展開液のpHは、例えば、7.5以下、7.2以下、7.0以下、6.9以下、6.8以下、又は6.7以下であってよい。前記範囲である場合、ヘモグロビンの分解及び変性を防止しやすい傾向がある。展開液のpHは、一般的なpH測定器により測定することができる。pH測定器として、例えば、東亜ディーケーケー株式会社製「pH/イオンメーター HM-42X」が挙げられる。測定時の展開液の温度は25℃とする。
[粘度]
展開液の粘度は、例えば、1.00cP以上、1.05cP以上、1.10cP以上、1.15cP以上、1.20cP以上、1.25cP以上、1.30cP以上、1.35cP以上、1.40cP以上、1.45cP以上、又は1.50cP以上であってよい。展開液の粘度は、例えば、1.80cP以下、1.75cP以下、1.70cP以下、1.65cP以下、1.60cP以下、1.55cP以下、1.50cP以下、1.45cP以下、1.40cP以下、1.35cP以下、又は1.30cP以下であってよい。前記範囲である場合、ヘモグロビンのより迅速な検出を行いやすい傾向がある。迅速な検出を行う観点からは、粘度は低いことが好ましい。展開液の粘度は、振動式粘度計により測定することができる。振動式粘度計として、例えば、株式会社セコニック製「ビスコメイトVM-1G」が挙げられる。測定時の展開液の温度は25℃とする。
[用途]
本発明の一実施形態である溶液(展開液)は、便の保存液として、かつ、ヘモグロビンを検出し得るイムノクロマトグラフィー法の展開液として使用される。溶液と便とを混合することによって、便含有液が得られる。便は、保存液としての溶液中に溶解又は分散させた状態で任意の時間にわたり保存することができる。また、便含有液は、展開液としての溶液と便とを含む検体試料として、イムノクロマトグラフィー法に使用することができる。
溶液と便との混合及び/又は便の保存には、後述する採便容器を使用することができるが、特に限定されることなく、便潜血検査に用いることができる公知の容器を使用してもよい。溶液が使用されるイムノクロマトグラフィー法は、上述の実施形態の検出方法における方法であってよいが、特に限定されることなく公知の方法であってよい。
<便保存器>
本発明の一実施形態である便保存器は、採便容器と、前記採便容器内に含まれる溶液(展開液)とを含む。前記採便容器は、採便棒と容器本体とを有する。前記採便棒は、一側に把持部と、他側に棒部とを有し、前記棒部は、前記他側の先端又は先端付近に、採便部を有する。「先端付近」とは、例えば、棒部の他側の先端から棒部の中央までに含まれる部分である。便保存器は、任意の部位を更に含んでもよい。
図2は、便保存器の一例を表す正面模式図である。便保存器20は、容器本体21と、溶液(展開液)22と、採便棒23とを含む。図2に表される便保存器を使用し、採便棒によって便を採取し、便が付着した採便棒を採便容器内に挿入することで、採便容器内に便含有液を得ることができる。便含有液は、便保存器内で、任意の時間にわたり保存することができる。
<便含有液の評価方法>
本発明の一実施形態である便含有液の評価方法は、便含有液にヘモグロビンが含まれるか否かを、上述の実施形態のヘモグロビンの検出方法を用いて評価することを含む。便含有液の評価方法は、任意の工程を更に含んでもよい。
ヘモグロビンの検出方法に従い、イムノクロマトグラフィー法によりヘモグロビンが検出された場合は、便含有液にヘモグロビンが含まれると判定することができる。一方で、イムノクロマトグラフィー法によりヘモグロビンが検出されなかった場合は、便含有液にヘモグロビンが含まれないと判定することができる。
<実施形態の例>
本発明の実施形態の好ましい例を以下に挙げる。本発明の実施形態は以下の例に限定されない。
[1] 亜硫酸、亜硫酸塩、二亜硫酸、二亜硫酸塩、亜ジチオン酸、及び亜ジチオン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種と便とを含有し、任意の時間にわたり保存された後の便含有液を用意すること、及び、
前記便含有液に含まれるヘモグロビンを、イムノクロマトグラフィー法により検出すること
を含む、ヘモグロビンの検出方法。
[2] 前記イムノクロマトグラフィー法が、
前記ヘモグロビンを捕捉し得る第1の捕捉物質が固相化された領域を有するメンブレンと、標識体により標識され、かつ、前記ヘモグロビンを捕捉し得る第2の捕捉物質とを用意すること、
前記領域に、第1の捕捉物質、ヘモグロビン、及び第2の捕捉物質を含む複合体を形成すること、及び
前記複合体を検出すること
を含む、上記[1]に記載の検出方法。
[3] 前記第1の捕捉物質が、抗体及び抗体断片からなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記[2]に記載の検出方法。
[4] 前記第2の捕捉物質が、抗体及び抗体断片からなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記[2]又は[3]に記載の検出方法。
[5] 前記標識体が、金属コロイド粒子及び着色ラテックス粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記[2]~[4]のいずれか1項に記載の検出方法。
[6] 前記任意の時間が、1時間~10日間である、上記[1]~[5]のいずれか1項に記載の検出方法。
[7] 前記保存の温度が、4~45℃である、上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の検出方法。
[8] 前記用意することが、サンプルパッド、コンジュゲーションパッド、前記メンブレン、及び前記第2の捕捉物質を有するイムノクロマトグラフィー装置を用意することを含む、上記[2]~[7]のいずれか1項に記載の検出方法。
[9] 前記イムノクロマトグラフィー法が、前記サンプルパッドに前記便含有液を供給することを更に含み、
前記複合体を検出することが、前記サンプルパッドに前記便含有液を供給してから任意の時間が経過した後に前記複合体を検出することを含む、上記[8]に記載の検出方法。
[10] 亜硫酸、亜硫酸塩、二亜硫酸、二亜硫酸塩、亜ジチオン酸、及び亜ジチオン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、便の保存液として、及び、ヘモグロビンを検出し得るイムノクロマトグラフィー法の展開液として用いられる、溶液。又は、[10’] 亜硫酸、亜硫酸塩、二亜硫酸、二亜硫酸塩、亜ジチオン酸、及び亜ジチオン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を含有する溶液の、便の保存液としての、及び、ヘモグロビンを検出し得るイムノクロマトグラフィー法の展開液としての使用。
[11] pHが、6.5~6.9である、上記[10]に記載の溶液。又は、[11’] 前記溶液のpHが、6.5~6.9である、上記[10’]に記載の使用。
[12] 25℃における粘度が、1.65cP以下である、上記[10]又は[11]に記載の溶液。又は、[12’] 前記溶液の25℃における粘度が、1.65cP以下である、上記[10’]又は[11’]に記載の使用。
[13] 緩衝剤、防腐剤、及び水を更に含有する、上記[10]~[12]のいずれか1項に記載の溶液。又は、[13’] 前記溶液が、緩衝剤、防腐剤、及び水を更に含有する、上記[10’]~[12’]のいずれか1項に記載の使用。
[14] 前記緩衝剤が、N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸を含む、上記[13]に記載の溶液。又は、[14’] 前記緩衝剤が、N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸を含む、上記[13’]に記載の使用。
[15] ハロゲン化アルカリ金属塩を含有しないか、又は、ハロゲン化アルカリ金属塩を含有する場合、ハロゲン化アルカリ金属塩の含有量が1%(w/v)以下である、上記[10]~[14]のいずれか1項に記載の溶液。又は、[15’] 前記溶液が、ハロゲン化アルカリ金属塩を含有しないか、又は、ハロゲン化アルカリ金属塩を含有する場合、ハロゲン化アルカリ金属塩の含有量が1%(w/v)以下である、上記[10’]~[14’]のいずれか1項に記載の使用。
[16] 無機酸及び無機酸の塩の含有量が、0.1~1%(w/v)である、上記[10]~[15]のいずれか1項に記載の溶液。又は、[16’] 前記溶液中の、無機酸及び無機酸の塩の含有量が、0.1~1%(w/v)である、上記[10’]~[15’]のいずれか1項に記載の使用。
[17] 上記[1]~[9]のいずれか1項に記載の検出方法に用いられる、上記[10]~[16]のいずれか1項に記載の溶液。又は、[17’] 上記[1]~[9]のいずれか1項に記載の検出方法における、上記[10’]~[16’]のいずれか1項に記載の使用。
[18] 前記便含有液が、上記[10]~[16]のいずれか1項に記載の溶液と、前記便とを含有する、上記[1]~[9]のいずれか1項に記載の検出方法。
[19] 上記[10]~[16]のいずれか1項に記載の溶液を提供すること、及び
前記便含有液を受領することを更に含む、上記[18]に記載の検出方法。
[20] 採便容器と、前記採便容器内に含まれる上記[10~[17]のいずれか1項に記載の溶液とを含み、
前記採便容器は、採便棒と容器本体とを有し、
前記採便棒は、一側に把持部と、他側に棒部とを有し、
前記棒部は、前記他側の先端又は先端付近に、採便部を有する、便保存器。
[21] 便含有液にヘモグロビンが含まれるか否かを、上記[1]~[9]、[18]及び[19]のいずれか1項に記載のヘモグロビンの検出方法を用いて評価することを含む、便含有液の評価方法。
本発明の実施形態について実施例により具体的に説明する。本発明の実施形態は以下の実施例に限定されない。
<実施例A:溶液(展開液)の調製及び評価>
硫黄含有酸を含有する展開液と、硫黄含有酸を含有しない展開液とを調製し、各展開液に対するヘモグロビンの安定性を評価した。
[展開液の調製]
(展開液A1の調製)
N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)30mmol/L、ウシ血清アルブミン(BSA)0.2%(w/v)、ストレプトマイシン硫酸塩0.38%(w/v)(3,000kU/L)、アジ化ナトリウム0.1%(w/v)、亜硫酸ナトリウム1mM(0.013%(w/v))、pH調整用の水酸化ナトリウム、及び水を含有する展開液A1を調製した。
(展開液A2~A7の調製)
亜硫酸ナトリウム及びその展開液中の濃度1mM(「mM」は10-3mol/L)を表1に示す添加物及び濃度に変えた以外は、展開液A1と同様の方法により、展開液A2~A7を得た。
展開液A1~A7の調製に使用した試薬は次のとおりである。
N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA、同仁化学研究所社製)
ウシ血清アルブミン(BSA、Boval社製)
ストレプトマイシン硫酸塩(富士フイルム和光純薬社製)
アジ化ナトリウム(富士フイルム和光純薬社製)
亜硫酸ナトリウム(純正化学社製)
水酸化ナトリウム(富士フイルム和光純薬社製)
二亜硫酸ナトリウム(純正化学社製)
亜ジチオン酸ナトリウム(東京化成工業社製)
乳酸ナトリウム70%溶液(富士フイルム和光純薬社製)
トレハロース(林原社製)
α-ケトグルタル酸(2-オキソグルタル酸、富士フイルム和光純薬社製)
硫酸鉄(II)(7水和物、富士フイルム和光純薬社製)
[pHの測定]
上記で調製した展開液A1~A7について、液温25℃におけるpHを測定した。pHの測定器には、pH/イオンメーターHM-42X(東亜ディーケーケー株式会社製)を使用した。その結果を表1に示す。
[展開液の評価]
展開液中でヘモグロビンを保存した後のヘモグロビン残存率を算出することにより、展開液に対するヘモグロビンの安定性を評価した。
(展開液A1の評価)
(1)試料溶液の調製
上記で調製した展開液A1 100mLに、ヘモグロビン3mgを添加し、試料溶液A1を調製した。
(2)調製直後の試料溶液中のヘモグロビンの測定
エクステル「ヘモ・オート」HS抗体感作ラテックス懸濁液、及び、エクステル「ヘモ・オート」HSヘモグロビン用緩衝液を用いて、全自動便中ヒトヘモグロビン分析装置HM-JACKarcにより、上記(1)で調製した試料溶液A1中のヘモグロビン濃度を測定した。
(2-1)検量線の作成
エクステル「ヘモ・オート」HSの添付文書に記載の方法に従い、エクステルヘモグロビン標準HSを用いて、ヘモグロビン濃度と濁度との間の関係を示す検量線を作成した。
(2-2)調製直後の試料溶液中のヘモグロビン濃度の測定
エクステル「ヘモ・オート」HS抗体感作ラテックス懸濁液(90μL)、及び、エクステル「ヘモ・オート」HSヘモグロビン用緩衝液(190μL)を、HM-JACKarc専用カップに添加し、その後、上記(1)で調製した試料溶液A1(20μL)を添加し、25℃で反応を行った。試料溶液A1を添加してから72秒後の濁度と、288秒後の濁度を測定し、288秒後の濁度から72秒後の濁度を差し引き、測定値を得た。得られた測定値を(2-1)で作成した検量線に照らし合わせ、試料溶液A1中のヘモグロビン濃度を決定した。
(3)保存安定性評価用の試料溶液の調製
上記(1)で調製した試料溶液A1を30℃で7日間保存し、試料溶液A1(保存後)を調製した。
(4)試料溶液(保存後)中のヘモグロビン濃度の測定
調製直後の試料溶液A1の代わりに、上記(3)で調製した試料溶液A1(保存後)を用いた以外は、上記(2)と同様の方法により、試料溶液A1(保存後)中のヘモグロビン濃度を決定した。
(5)試料溶液(保存後)におけるヘモグロビン残存率の算出
上記(2)で決定した調製直後の試料溶液A1中のヘモグロビン濃度を基準100%とし、その濃度に対する、上記(4)で決定した試料溶液A1(保存後)中のヘモグロビン濃度の百分率(ヘモグロビン残存率(%))を算出した。その結果を表1に示す。
(展開液A2~A7の評価)
展開液A1の代わりに、上記で調製した展開液A2~A7を用いた以外は、試料溶液A1と同様の方法により、試料溶液A2~A7を調製した。
試料溶液A1の代わりに、試料溶液A2~A7を用いた以外は、(2)~(5)と同様の方法により、試料溶液A2~A7におけるヘモグロビン残存率(%)を算出した。その結果を表1に示す。
展開液A1~A7の評価に使用した試薬、機器等は次のとおりである。
ヘモグロビン(ヒトヘモグロビン凍結乾燥粉末、シグマ社製)
全自動便中ヒトヘモグロビン分析装置HM-JACKarc(日立化成ダイアグノスティックス・システムズ社製)
エクステル「ヘモ・オート」HS抗体感作ラテックス懸濁液、エクステル「ヘモ・オート」HSヘモグロビン用緩衝液、エクステルヘモグロビン標準HS(以上、日立化成ダイアグノスティックス・システムズ社製)
pH/イオンメーターHM-42X(東亜ディーケーケー株式会社製)
表1に示されるように、ヘモグロビンは、硫黄含有酸を含有する展開液に対して良好な安定性を示した。硫黄含有酸を含有する展開液を使用することによって、安定的にヘモグロビンを検出することが可能である。
<実施例B:イムノクロマトグラフィー法によるヘモグロビンの検出>
イムノクロマトグラフィー法の展開液として、硫黄含有酸を含有する展開液又は硫黄含有酸を含有しない展開液を使用し、ヘモグロビン検出の迅速性を評価した。
[展開液の調製]
(展開液B1)
展開液A1と同様の方法により展開液B1(pH6.8)を調製した。
(展開液B2)
140mM塩化ナトリウムを含む10mMリン酸緩衝液(PBS)(pH7.4)を調製した。得られたPBSを展開液B2とした。
(展開液B3)
N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)30mmol/L、ウシ血清アルブミン(BSA)0.2%(w/v)、ストレプトマイシン硫酸塩0.38%(w/v)(3,000kU/L)、アジ化ナトリウム0.1%(w/v)、乳酸ナトリウム3.5%(w/v)、pH調整用の水酸化ナトリウム、及び水を含有する緩衝液を調製した。得られた緩衝液を展開液B3(pH7.2)とした。
(展開液B4)
更にトレハロース1%(w/v)を含有すること以外は、展開液B3と同様の方法により、展開液B4(pH7.2)を得た。
(展開液B5~B8)
トレハロースの展開液中の濃度を、3%(w/v)~10%(w/v)に変えた以外は、展開液B4と同様の方法により、展開液B5~B8(いずれもpH7.2)を得た。
展開液B1及びB3~B8の調製に使用した試薬は上述のとおりである。展開液B2(PBS)の調製に使用した試薬は次のとおりである。
塩化ナトリウム(富士フイルム和光純薬社製)
リン酸水素二ナトリウム(関東化学社製)
リン酸二水素ナトリウム(関東化学社製)
[粘度の測定]
上記で調製した展開液B1~B8及び精製水について、液温25℃における粘度を測定した。粘度の測定には、粘度測定器ビスコメイトVM-1G(株式会社セコニック製)を使用した。その結果を表2に示す。
[ヘモグロビンの検出]
(評価用ハーフストリップの作製及び抗体溶液の調製)
以下の抗ヒトヘモグロビン抗体固定化ハーフストリップ、及び、金コロイド標識抗ヒトヘモグロビン抗体溶液を作製した。
(1)抗ヒトヘモグロビン抗体固定化ハーフストリップの作製
メンブレンとして、上下50mm×左右250mmのHi-Flow Plus HFC070504を準備した。次に、メンブレンの下端から21mmの位置に、Biojet Quanti分注モジュールを用いて、Rate 1.0μL/cmで抗ヒトヘモグロビン抗体溶液(1mg/mL抗ヒトヘモグロビン抗体を含む5mMリン酸緩衝液pH6.0)を線状に塗布して検出領域を形成した(塗布した面をメンブレンの表面とする)。塗布後、メンブレンを25℃で2時間乾燥させた。乾燥後、メンブレンをブロッキング緩衝液(0.5%(w/v)カゼインを含む50mMホウ酸緩衝液pH8.5)に30分間浸し、次いで洗浄液(0.5%(w/v)スクロース及び0.05%(w/v)コール酸ナトリウムを含む50mM Tris-HCl緩衝液pH7.5)に30分間浸した。洗浄後のメンブレンをデシケーター内で一晩乾燥させた。次いで、プレカットバッキングシートの粘着面にメンブレンの裏面を張り付けた。その後、メンブレンの上端から20mmの位置より上の領域に重なるように、メンブレンの表面に、吸収パッドとしてCELLULOSE FIBER SAMPLE PADSを貼り付けた。次いで、メンブレンを上下50mm×左右5mmとなるように縦方向に裁断し、抗ヒトヘモグロビン抗体固定化ハーフストリップとした。
(2)金コロイド標識抗ヒトヘモグロビン抗体溶液の調製
金コロイド溶液としてGold Colloid:40nm(BBI solution社製)を準備した。次に、900μLの金コロイド溶液と、100μLの20mMホウ酸緩衝液pH8.5と、100μLの30μg/mL抗ヒトヘモグロビン抗体水溶液とを混合し、25℃で30分間静置した。その後、得られた混合液に、さらに55μLの1%(w/v)ポリエチレングリコール20,000水溶液と、110μLのBSA水溶液(水酸化ナトリウムでpH8.0に調整されたBSA水溶液)を添加して混合したのち、得られた混合液を8,000g、10℃で10分間の条件で遠心分離した。次いで、遠心上清を取り除いた後、沈殿に金コロイド保存用緩衝液(0.05%(w/v)ポリエチレングリコール20,000、150mM塩化ナトリウム、1%(w/v)BSA及び0.1%(w/v)アジ化ナトリウムを含む20mM Tris-HCl緩衝液pH8.2)を2mL添加し、卓上型超音波洗浄機W-113Mk IIを使用して沈殿を緩衝液中に分散させた。次いで、同じ条件で遠心分離から沈殿の分散までの処理を更に2回繰り返した後、金コロイド保存用緩衝液を添加して濃度を調整し、金コロイド標識抗ヒトヘモグロビン抗体溶液を得た。なお、金コロイド標識抗ヒトヘモグロビン抗体溶液の濃度は、金コロイド保存用緩衝液により5%(v/v)に希釈した際の525nm濁度が0.3となるよう調整した。
(ヘモグロビン検出時間の測定)
展開液B1~B8をイムノクロマトグラフィー法の展開液に使用し、ヘモグロビンの検出に要する時間を測定した。イムノクロマトグラフィー法には、上記で作製した抗ヒトヘモグロビン抗体固定化ハーフストリップ、及び、金コロイド標識抗ヒトヘモグロビン抗体溶液を用いた。
(展開液B1の評価)
(1)混合液の調製
96ウェルマイクロプレートの1つのウェルへ、90μLの展開液B1と、5μLの50μg/mLヘモグロビン水溶液と、5μLの金コロイド標識抗ヒトヘモグロビン抗体溶液とを添加し、100μLの混合液を準備した。
(2)混合液のハーフストリップへの浸透
上記(1)で準備した、ウェルに入った混合液100μLへ、抗ヒトヘモグロビン抗体固定化ハーフストリップの下側の端(CELLULOSE FIBER SAMPLE PADSを貼り付けられていない側の端)を浸し、混合液をハーフストリップに浸透させた。
(3)ヘモグロビンの検出
抗ヒトヘモグロビン抗体固定化ハーフストリップ上の検出領域において、金コロイドに由来するピンク色の着色を確認することにより、ヘモグロビンを検出した。抗ヒトヘモグロビン抗体固定化ハーフストリップの下側の端を混合液に浸してから、ヘモグロビンを検出するまでの時間を測定した。その結果を表2に示す。
(展開液B2~B8の評価)
展開液B1の代わりに、展開液B2~B8を用いた以外は、展開液B1と同様の方法により、ヘモグロビンを検出するまでの時間を測定した。その結果を表2に示す。
展開液B1~B8の評価に使用した試薬、機器等は次のとおりである。
抗ヒトヘモグロビン抗体(抗ヒトヘモグロビン羊ポリクローナル抗体、4870-3979G、バイオラッドラボラトリー社製)
カゼイン(雪印メグミルク社製)
ホウ酸(富士フイルム和光純薬社製)
スクロース(富士フイルム和光純薬社製)
コール酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬社製)
トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris、東京化成工業社製)
ポリエチレングリコール20,000(富士フイルム和光純薬社製)
Hi-Flow Plus HFC070504(メンブレン、メルクミリポア社製)
プレカットバッキングシート(ニップンエンジニアリング社製)
CELLULOSE FIBER SAMPLE PADS(メルクミリポア社製) Gold Colloid:40nm(金コロイド溶液、BBI solution社製)
Biojet Quanti分注モジュール(塗布機、BioDot社製)
卓上型超音波洗浄機W-113Mk II(本多電子社製)
粘度測定器ビスコメイトVM-1G(セコニック社製)
表2に示されるように、硫黄含有酸を含有する展開液を用いた場合に、ヘモグロビンを短時間で検出することができた。また、表2からは、粘度が低い展開液を用いた場合に、ヘモグロビンを短時間で検出できることがわかる。
10 イムノクロマトグラフィー装置
11 サンプルパッド
12 コンジュゲーションパッド
13 第1の捕捉物質が固相化された領域
14 メンブレン
15 第3の捕捉物質が固相化された領域
16 吸収パッド
17 便含有液
A1 第1の捕捉物質
A2 第2の捕捉物質
A3 第3の捕捉物質
M 標識体
Hb ヘモグロビン
20 便保存器
21 容器本体
22 溶液(展開液)
23 採便棒
23a 把持部
23b 棒部
23c 採便部
24 採便容器

Claims (19)

  1. 亜硫酸、亜硫酸塩、二亜硫酸、二亜硫酸塩、亜ジチオン酸、及び亜ジチオン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種と便とを含有し、任意の時間にわたり保存された後の便含有液を用意すること、及び、
    前記便含有液に含まれるヘモグロビンを、イムノクロマトグラフィー法により検出することを含み、
    前記イムノクロマトグラフィー法が、
    サンプルパッド、コンジュゲーションパッド、前記ヘモグロビンを捕捉し得る第1の捕捉物質が固相化された領域を有するメンブレン、及び標識体により標識され、かつ、前記ヘモグロビンを捕捉し得る第2の捕捉物質を有するイムノクロマトグラフィー装置を用意すること、
    前記サンプルパッドに前記便含有液をそのまま供給すること、
    前記領域に、第1の捕捉物質、ヘモグロビン、及び第2の捕捉物質を含む複合体を形成すること、及び
    前記サンプルパッドに前記便含有液を供給してから任意の時間が経過した後に前記複合体を検出することを含む、
    ヘモグロビンの検出方法。
  2. 前記便含有液が、亜ジチオン酸及び亜ジチオン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の検出方法。
  3. 前記第1の捕捉物質が、抗体及び抗体断片からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の検出方法。
  4. 前記第2の捕捉物質が、抗体及び抗体断片からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の検出方法。
  5. 前記標識体が、金属コロイド粒子及び着色ラテックス粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の検出方法。
  6. 前記任意の時間にわたり保存された後の便含有液が、1時間~10日間にわたり保存された後の便含有液である、請求項1~5のいずれか1項に記載の検出方法。
  7. 前記保存の温度が、4~45℃である、請求項1~6のいずれか1項に記載の検出方法。
  8. 亜硫酸、亜硫酸塩、二亜硫酸、二亜硫酸塩、亜ジチオン酸、及び亜ジチオン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、便の保存液として、及び、ヘモグロビンを検出し得る方法においてイムノクロマトグラフィー法の展開液として用いられる溶液であって、
    前記方法が、
    前記溶液と便とを含有し、任意の時間にわたり保存された後の便含有液を用意すること、及び、
    前記便含有液を検体試料としてイムノクロマトグラフィー法に用いること、を含み、
    前記イムノクロマトグラフィー法が、
    サンプルパッド、コンジュゲーションパッド、前記ヘモグロビンを捕捉し得る第1の捕捉物質が固相化された領域を有するメンブレン、及び標識体により標識され、かつ、前記ヘモグロビンを捕捉し得る第2の捕捉物質を有するイムノクロマトグラフィー装置を用意すること、及び、
    前記サンプルパッドに前記便含有液をそのまま供給すること、を含み、
    前記便含有液がヘモグロビンを含む場合は、更に、
    前記領域に、第1の捕捉物質、ヘモグロビン、及び第2の捕捉物質を含む複合体を形成すること、及び
    前記サンプルパッドに前記便含有液を供給してから任意の時間が経過した後に前記複合体を検出することを含
    溶液。
  9. 亜ジチオン酸及び亜ジチオン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項8に記載の溶液。
  10. pHが、6.5~6.9である、請求項8又は9に記載の溶液。
  11. 25℃における粘度が、1.65cP以下である、請求項8~10のいずれか1項に記載の溶液。
  12. 緩衝剤、防腐剤、及び水を更に含有する、請求項8~11のいずれか1項に記載の溶液。
  13. 前記緩衝剤が、N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸を含む、請求項12に記載の溶液。
  14. ハロゲン化アルカリ金属塩を含有しないか、又は、ハロゲン化アルカリ金属塩を含有する場合、ハロゲン化アルカリ金属塩の含有量が1%(w/v)以下である、請求項8~13のいずれか1項に記載の溶液。
  15. 無機酸及び無機酸の塩の含有量が、0.1~1%(w/v)である、請求項8~14のいずれか1項に記載の溶液。
  16. 請求項1~7のいずれか1項に記載の検出方法に用いられる、請求項8~15のいずれか1項に記載の溶液。
  17. 前記便含有液が、請求項8~15のいずれか1項に記載の溶液と、前記便とを含有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の検出方法。
  18. 請求項8~15のいずれか1項に記載の溶液を提供すること、及び
    前記便含有液を受領することを更に含む、請求項17に記載の検出方法。
  19. 便含有液にヘモグロビンが含まれるか否かを、請求項1~7、17及び18のいずれか1項に記載のヘモグロビンの検出方法を用いて評価することを含む、便含有液の評価方法。
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