JP2000258420A - 溶液中のヒトヘモグロビンの安定化方法および安定化溶液 - Google Patents

溶液中のヒトヘモグロビンの安定化方法および安定化溶液

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JP2000258420A JP11058270A JP5827099A JP2000258420A JP 2000258420 A JP2000258420 A JP 2000258420A JP 11058270 A JP11058270 A JP 11058270A JP 5827099 A JP5827099 A JP 5827099A JP 2000258420 A JP2000258420 A JP 2000258420A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒトヘモグロビンを安定化させる方法および
安定化させるための組成物を提供すること。 【解決手段】 亜硫酸又はその塩、二亜硫酸又はその
塩、ヨウ素イオン、ピルビン酸又はその塩、オキサル酢
酸又はその塩から選ばれる1種または2種以上の物質と
ヒトヘモグロビンとを共存させる。好ましくは、さら
に、緩衝剤、アルブミン及びアジ化ナトリウム、及びホ
ウ酸またはその塩を共存させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶液中におけるヒ
トヘモグロビンの安定化方法およびヒトヘモグロビン安
定化溶液に関する。本発明の方法を用いることにより、
被検試料あるいはヒトヘモグロビン標準溶液等の溶液中
でのヒトヘモグロビンの変性・分解が抑制され、ヒトヘ
モグロビン濃度をより正確に測定することができる。
【0002】
【従来の技術】近年、大腸癌などの下部消化器の疾患を
検査する方法として、消化器官からの出血に起因する便
中の便潜血成分、特にヒトヘモグロビンの検出が広く行
われている。このようなヒトヘモグロビンの検出方法と
しては、食品摂取や薬剤投与の制限を必要としない免疫
学的検出法が普及し、手軽な検査法として定着してい
る。
【0003】上記免疫学的検出法としては、例えば、寒
天平板内で抗ヒトヘモグロビン抗体と被検試料中のヒト
ヘモグロビンとの沈降線を利用する一次元免疫拡散法、
抗ヒトヘモグロビン抗体を感作した動物血球を用いる逆
受身血球凝集法、抗ヒトヘモグロビン抗体を感作したラ
テックス粒子を用いるラテックス凝集法、酵素や放射性
元素で標識した抗ヒトヘモグロビン抗体を用いる酵素免
疫法や放射性免疫法、抗ヒトヘモグロビン抗体を感作し
た金コロイド粒子を用いる金コロイド凝集法等があげら
れる。
【0004】上記検出法においては、被検物質であるヒ
トヘモグロビンは通常、溶液状態で検査に供される。例
えば、便潜血検査では、便を生理食塩水や緩衝液中に溶
解し、その溶液をヒトヘモグロビン測定用の被検試料と
して用いている。
【0005】しかし、被検液中のヒトヘモグロビンは、
温度上昇および時間経過に伴い、変性・分解を生じるこ
とが知られている。ヒトヘモグロビンの変性・分解は抗
原決定基の失活につながり、従来からの免疫学的検出方
法では検出感度が著しく低下する。特にヒトヘモグロビ
ンが低濃度である場合には、変性・分解により検出感度
以下となり、診断的判断を誤ることになる。同様に、ヒ
トヘモグロビンの変性が、検査性能の確認や定量を行う
ために利用する陽性コントロ−ル液やヒトヘモグロビン
標準溶液中で生じ、正確な測定の障害となっている。
【0006】ところで、便潜血検査の実情は、被験者自
身が自宅などで採便し、これを便溶解液に溶かし、郵送
又は被験者が病院へ持参するため、検査機関における検
査までに溶液状態で数日間要することが多い。また、検
査機関で採便する場合においても、他項目の検査も実施
しているため、検査までに多くの時間を要する場合もあ
る。このような検査の状況下では、前述のようにヒトヘ
モグロビンの変性・分解が生じ好ましくない。
【0007】このようなヒトヘモグロビンの変性・分解
を防止する目的で、便潜血検出用の便溶解液に、牛血清
アルブミン(BSA)やチメロサ−ル、アジ゛化ナトリウム
等の一般的抗菌剤を添加する方法が知られている。
【0008】このほかにも、動物血清を添加する方法
(特開平4-145366号公報)、糖類を添加する方法(特開
昭63-243756号公報)、アジ゛化ナトリウム、アルブミン
および乳酸を添加する方法(特開平6-281654号公報)、
溶菌酵素を添加する方法(特開平5-69466号公報)、プ
ロテア−ゼ阻害物質を添加する方法(特開平3-279859号
公報)、pHをコントロ−ルする方法(特開平5-281226号
公報)、鉄プロトポルフィリンを添加する方法(特開平
5-281227号公報)、ヘモグロビンに特定の含窒素化合物
の添加でヘム部からの鉄の遊離を防止し、ヘモグロビン
の分解を抑制する方法(特開昭60-35270号公報)、非ペ
ニシリン系抗生物質を添加する方法(特開平7-72154号
公報)、キレ−ト試薬を添加する方法(特開平5-99923
号公報並びに特開平2-221859号公報)、水溶性遷移金属
錯体を添加する方法(特開平7-229902号公報)、鉄プロ
トポルフィリンを添加する方法(特開平5-281277号公
報)、フッ化ナトリウムを添加する方法(特開平7-1910
26号公報)、動物ヘモグロビンを添加する方法(特開平
2-296149号公報)、ヘモグロビン以外の鉄タンパクとフ
ェリシアンイオンとを添加する方法(特開平8-262020号
公報)、家兎アルブミン、グリシン、アスパラギン酸塩
及びグルタミン酸塩のいずれかを添加する方法(特開平
9-061431号公報)、正常なヒト便中に含まれ、血液成分
の抗原性を低下させる活性を持ち、ポアサイズ5μmを持
つメンブレンフィルタ−で濾過した場合にろ液に含まれ
る成分に対する阻害剤を添加する方法(特開平9-119931
号公報)、アジ化ナトリウムとアラビアゴムおよび、ま
たはトラガントゴムと、さらにタンパク質を添加する方
法(特開平9-224942号公報)、ハプトグロビンを添加す
る方法(特開平10-132824号公報)が知られている。
【0009】しかし、これらの公知のヒトヘモグロビン
安定化技術では、便を含む被検液中のヒトヘモグロビン
の変性・分解を十分に抑制できるとは言えず、更なる安
定化のための新たな技術が切望されている。
【0010】更に、便を含まないヒトヘモグロビン標準
溶液等として利用する目的で、ヒトヘモグロビン標品、
あるいは赤血球より調製したヒトヘモグロビンを、上記
公知技術の溶液に溶解しても、ヒトヘモグロビンは本質
的に非常に不安定な物質であり、変性を生じ易い。
【0011】また、ヘモグロビン溶液中に安定化剤とし
て添加される物質は、特に便潜血検査では、便を懸濁保
存する便溶解液が、採便容器中で長期間室温で流通する
可能性が高いため、それ自身物質的に安定で均質なもの
が望ましい。
【0012】このように、種々の方法が提案されている
ものの、溶液中でのヒトヘモグロビンについて、便を含
む場合および含まない場合いずれの場合にも、より効果
的な安定化方法の開発が望まれている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このような実情に鑑
み、本発明者らはヒトヘモグロビンの溶液中での変性・
分解を抑制する改良された安定化法を見い出すべく鋭意
研究した。すなわち、本発明の目的は、新規なヒトヘモ
グロビンの安定化方法を提供することである。さらに具
体的には、便を含む被検試料中のヒトヘモグロビンの安
定性を増すことによって、より正確なヘモグロビンの測
定値を得ることを目的とする。また、便を溶解し、被検
試料とする場合に、便の溶液中に含まれるヒトヘモグロ
ビンを安定化するための便溶解液を提供することを目的
とする。本発明は、さらにヒトヘモグロビンを安定化し
た優れたヒトヘモグロビン標準溶液等を提供することを
目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
した結果、ヒトヘモグロビン含有溶液中に、亜硫酸又は
その塩、二亜硫酸又はその塩、ヨウ素イオン、ピルビン
酸又はその塩、オキサル酢酸又はその塩から選ばれる1
種または2種以上の物質を共存させることにより、ヒト
ヘモグロビンを安定化出来ることを見い出し、本発明を
完成するに至った。
【0015】すなわち、本発明は、ヒトヘモグロビン含
有溶液中において、亜硫酸又はその塩、二亜硫酸又はそ
の塩、ヨウ素イオン、ピルビン酸又はその塩、オキサル
酢酸又はその塩から選ばれる1種または2種以上の物質
とヒトヘモグロビンとを共存させることを特徴とする、
ヒトヘモグロビンの安定化方法に関する。
【0016】好ましい実施態様では、上記物質に加え
て、さらに、緩衝剤、アルブミン及びアジ化ナトリウム
を共存させる。また、好ましい実施態様では、上記物質
にホウ酸またはその塩を共存させるか、ホウ酸またはそ
の塩と、緩衝剤、アルブミン及びアジ化ナトリウムを共
存させる。より好ましい実施態様では、ヒトヘモグロビ
ン含有溶液のpHが5.5〜8.0である。
【0017】また、本発明は、亜硫酸又はその塩、二亜
硫酸又はその塩、ヨウ素イオン(又はその塩)、ピルビ
ン酸又はその塩、オキサル酢酸又はその塩から選ばれる
1種または2種以上の物質を含有することを特徴とす
る、ヒトヘモグロビン含有物を溶解するための溶液に関
する。
【0018】好ましい実施態様では、上記物質に加え
て、さらに、緩衝剤、アルブミン及びアジ化ナトリウム
を共存させる。また、好ましい実施態様では、上記物質
にホウ酸またはその塩を共存させるか、ホウ酸またはそ
の塩と、緩衝剤、アルブミン及びアジ化ナトリウムを共
存させる。より好ましい実施態様では、ヒトヘモグロビ
ン含有溶液のpHが5.5〜8.0である。
【0019】さらに好ましい実施態様では、ヒトヘモグ
ロビン含有物を溶解するための溶液が、便潜血検査にお
ける便溶解液である。
【0020】また、本発明は、上記ヒトヘモグロビン含
有物を溶解するための溶液を含有する、ヒトヘモグロビ
ン測定用採便容器に関する。
【0021】本発明によれば、溶液中でのヒトヘモグロ
ビン安定化を図ることが出来る。それにより、便を含む
被検試料中のヒトヘモグロビンの安定性を増すことによ
って、より正確な測定値を得ることが出来る。又、ヒト
ヘモグロビンの定量や測定精度の確保に必要なヒトヘモ
グロビン標準溶液およびヒトヘモグロビンコントロ−ル
液を長期間に使用可能な安定なものとして提供すること
が出来る。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明で安定化するヒトヘモグロ
ビンとしては、便中に含まれるヒトヘモグロビン、赤血
球より調製したヒトヘモグロビン、ヒトヘモグロビン標
品およびコントロ−ルとして市販されているヒトヘモグ
ロビンの何れもが対象となり得る。
【0023】溶液中でヒトヘモグロビンを安定化させる
のに用いる亜硫酸又はその塩、二亜硫酸又はその塩、ヨ
ウ素イオン、ピルビン酸又はその塩、オキサル酢酸又は
その塩は市販品を用いることができる。
【0024】亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム、亜
硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。
二亜硫酸塩としては、二亜硫酸ナトリウム、二亜硫酸カ
リウム等が挙げられる。
【0025】ヨウ素イオンというときは、水溶液中でヨ
ウ素イオンを解離することができる物質を含む。従っ
て、ヨウ素イオンとしては、通常、溶液中でヨウ素イオ
ンを生成する塩が使用できる。例えば、ヨウ化ナトリウ
ム、ヨウ化カリウム等が挙げられる。
【0026】また、ピルビン酸塩としては、ピルビン酸
ナトリウム、ピルビン酸カリウム等が挙げられる。オキ
サル酢酸塩としては、オキサル酢酸ナトリウム、オキサ
ル酢酸カリウム等が挙げられる。
【0027】ヒトヘモグロビンを安定化させるために用
いる亜硫酸又はその塩の濃度は、亜硫酸ナトリウムとし
て、好ましくは0.0001〜0.5%(重量%、以下同じ)、
より好ましくは0.001〜0.1%である。二亜硫酸又はその
塩の濃度は、二亜硫酸ナトリウムとして好ましくは0.00
01〜0.5%、より好ましくは0.001〜0.1%である。
【0028】ヨウ素イオンの濃度は、ヨウ化ナトリウム
の濃度として、好ましくは0.0002〜0.5%、より好まし
くは0.002〜0.2%である。ピルビン酸又はその塩の濃度
は、ピルビン酸ナトリウムとして好ましくは0.0002〜2.
0%、より好ましくは0.01〜0.5%である。オキサル酢酸
又はその塩の濃度は、オキサル酢酸として、好ましくは
0.0002〜0.5%、より好ましくは0.005〜0.1%である。
【0029】更に、ヒトヘモグロビン含有物を溶解する
ための溶液のpHは、好ましくはpH4.5〜9.0、より好まし
くは5.5〜8.0の範囲である。pHが4.5より低い場合、あ
るいは9.0より高い場合は、ヒトヘモグロビンの安定性
を損なう虞がある。
【0030】pHの維持のためには、適当な緩衝剤、例え
ば、リン酸緩衝液、グッド緩衝液などが利用できる。グ
ッド緩衝液としては、グリシン、グリシルグリシン、ト
リス−塩酸、MES(2-(N-モノホリノ)エタンスルホン
酸)、HEPES(N-2-ヒドロキシエチル-ピペラジン-N'-エタ
ンスルホン酸)、TES(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチ
ル-2-アミノエタンスルホン酸)、MOPS(3-(N-モルホリ
ノ)プロパンスルホン酸)、PIPES(ピペラジン-1,4-ビス
(2-エタンスルホン酸))、DIPSO(3-(N'N-ビス(2-ヒドロ
キシエチル)アミノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン)
酸、Tricine(トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシ
ン)、TAPS(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミ
ノプロパンスルホン酸)等が好適に用いられる。
【0031】また、ヒトヘモグロビン含有物を溶解する
ための溶液中には、アジ化ナトリウム、アルブミン、ア
ルブミンを含む血清、あるいはホウ酸が含有されている
ことが望ましい。アジ化ナトリウムの濃度は、好ましく
は0.01-2.0%、より好ましくは0.05-0.5%である。アル
ブミンとしては、牛、馬、豚、羊、兎、ヒト、ラット等
のアルブミンが使用でき、又、アルブミンを含有する血
清の添加も可能である。アルブミンの濃度は、好ましく
は、0.0005-2.0%、より好ましくは0.01-0.5%である。
ホウ酸の濃度としては、好ましくは0.02-2.0%、より好
ましくは0.1-0.5%である。
【0032】本発明のヒトヘモグロビン含有物を溶解す
るための溶液中には、上記の成分の他に、塩化ナトリウ
ム等の無機塩類、糖類、アミノ酸類、キレ−ト剤等が含
有されてもよい。塩化ナトリウムは生理的食塩濃度付近
が好ましい。さらに、ヒトヘモグロビンの検出を抗原抗
体反応で行う場合には、その反応をコントロ−ルする目
的で、ポリエチレングリコ−ルやデキストラン等の物質
が含有されてもよい。
【0033】なお、ヒトヘモグロビン含有物というとき
は、ヒトヘモグロビン自体を含むものとする。
【0034】本発明のヒトヘモグロビン含有物を溶解す
るための溶液は、便潜血検査において、好適に用いられ
る。特に、検査までに数日を有する場合に、便溶解液と
して用いることにより、ヒトヘモグロビンを安定に保持
できるので、臨床検査における貢献が大である。
【0035】また、本発明のヒトヘモグロビン測定用採
便容器は、上記本発明のヒトヘモグロビン含有物を溶解
するための溶液を含む。容器は、好適には、ガラス製、
プラスチック製である。採便容器には、採便器具(例え
ば突き刺しスティック状のもの)等を付属することがで
き、採便者が、一定量の糞便を溶液に溶解できるように
されていてもよい。
【0036】ヒトヘモグロビンの測定方法としては、特
に限定されないが、抗ヒトヘモグロビン抗体を用いた免
疫学的検出方法が好ましい。免疫学的検出方法として
は、例えば、金コロイド凝集比色法がある。金コロイド
凝集比色法は、金コロイド標識抗ヒトヘモグロビン抗体
がヒトヘモグロビンを介して凝集する際に生じる色差
(色調変化)を光学的に測定して、ヒトヘモグロビンを
検出する方法で、この方法を原理とした免疫便潜血検査
用金コロイド試薬には「ヘモプレ−トオ−トII」(株
式会社アズウェル製)等がある。
【0037】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0038】(実施例1) (1)ヒトヘモグロビンの調製 ヒト赤血球を蒸留水で希釈して赤血球を破壊し、ヒトヘ
モグロビン濃度1mg/mlの溶液となるように生理食塩水
で希釈し、−40℃で凍結保存した。
【0039】(2)測定用試料作製 最終濃度として、30mM MES(pH6.3)、0.9%塩化ナトリウ
ム、0.1%牛血清アルブミン、0.1%アジ化ナトリウム、
表1の濃度の試験物質、400ng/mlの上記(1)で調製した
ヒトヘモグロビン、及び、1mg/mlの便濃度を有するよ
うに調製した試料を、試験用試料とした。対照試料は、
表1の試験物質無添加である。これらを測定用試料とし
た。
【0040】(3)ヒトヘモグロビンの測定 ヒトヘモグロビンの測定は、金コロイド凝集比色法で行
った。
【0041】EIA用マイクロプレ−トに測定用試料25μl
を分注し、検体希釈液(ヘモプレ−トオ−トII 検体
希釈液;株式会社アズウェル製)50μl、金コロイド試
薬液「ヘモプレ−トオ−トII金コロイド試薬」(株式
会社アズウェル製)100μlを添加後、15秒間マイクロ
ミキサ−(三光純薬(株))で撹拌し、撹拌開始後約1分
後と7分後の吸光度(主波長540nm、副波長700nm)をマ
イクロプレ−トリ−ダ−(和光純薬(株))を用いて測定
し、その吸光度差を求めた。本測定では、ヒトヘモグロ
ビン濃度の増加に依存して、吸光度差は増加する。
【0042】測定用試料調製当日と、37℃および25℃で
数日間保存した後に、各測定用試料について吸光度差を
測定した。37℃および25℃保存後の吸光度差と測定用試
料調製当日の吸光度差との比を、ヒトヘモグロビン残存
率(%)とした。その結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】表1より、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリ
ウム、亜硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、二
亜硫酸カリウム、ピルビン酸ナトリウム、オキサル酢
酸、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムを含有する溶液
中のヒトヘモグロビンの残存率は、37℃で保存した場
合、及び25℃で保存した場合のいずれの場合も、これら
の試験物質を含まない対照試料でのヒトヘモグロビン残
存率に比較して、残存率が高かった。特に、25℃保存で
は、約2倍の保存安定性がある(60%まで低下する期間
が対照で約2日に対し、各添加物質では4〜5日にな
る)と判断でき、ヒトヘモグロビンの安定化効果が認め
られた。
【0045】(実施例2) (1)ヒトヘモグロビンの調製 実施例1と同様に調製し、保存した。
【0046】(2)測定用試料作製 最終濃度として、30mM MES(pH6.3)、0.9%塩化ナトリウ
ム、0.2%牛血清アルブミン、0.2%アジ化ナトリウムと
1.8%ポリエチレングリコール20,000とを含み、150ng/m
lの上記(1)で調製したヒトヘモグロビン、及び、1mg/m
lの便濃度を有するように調製した試料を対照試料とし
た。さらに、対照試料に、最終濃度として0.2%ホウ酸
を加えた試料を比較試料とした。そして、この比較試料
に、最終濃度が表2の濃度となるように試験物質を添加
した試料を試験用試料とした。これらをまとめて測定用
試料とした。
【0047】(3)ヒトヘモグロビンの測定 実施例1と同様に測定を行った。測定用試料調製当日
と、37℃および25℃で数日間保存した後に、各測定用試
料について吸光度差を測定した。37℃および25℃保存後
の吸光度差と測定用試料調製当日の吸光度差との比を、
ヒトヘモグロビン残存率(%)とした。結果を表2に示
す。
【0048】
【表2】
【0049】比較試料は、ホウ酸を含む点で対照試料と
は異なり、ホウ酸の添加だけでも良好な結果を示した
が、さらに試験試料を添加した場合は、よりヒトヘモグ
ロビンの安定性が増加した。すなわち、表2より、亜硫
酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウ
ム、二亜硫酸ナトリウム、二亜硫酸カリウム、ピルビン
酸ナトリウム、オキサル酢酸、ヨウ化カリウム、ヨウ化
ナトリウムを含有する溶液中のヒトヘモグロビンの残存
率は、25℃で保存した場合、これらの試験物質を含まな
い対照試料では、一日も持たずに85%以下になるのに対
し、はるかに保存性が高く(85%まで低下する期間が4
〜5日になる)、また、ホウ酸を含む比較試料でのヒト
ヘモグロビン残存率と比較しても、約2倍の保存安定性
がある(85%まで低下する期間が比較試料で2日である
のに対し、各添加物質では4〜5日になる)と判断で
き、ヒトヘモグロビンの顕著な安定化効果が認められ
た。
【0050】
【発明の効果】本発明の溶液中におけるヒトヘモグロビ
ンの安定化法によれば、亜硫酸又はその塩、二亜硫酸又
はその塩、ヨウ素イオン(又はその塩)、ピルビン酸又
はその塩、オキサル酢酸又はその塩から選ばれる1種ま
たは2種以上の物質を共存させる事により、ヒトヘモグ
ロビンの変性・分解を抑制することができる。又、緩衝
剤、アルブミン、アジ化ナトリウムに加え、ホウ酸を添
加した処方との組み合わせにより、更にヒトヘモグロビ
ンの変性・分解を抑制することができる。本発明によ
り、便潜血検査において被検試料液中のヒトヘモグロビ
ンの保存期間を約2倍に延長することが可能となり、検
査機関で検出されるまでヘモグロビンをより安定な状態
で保存できる。さらに、ヒトヘモグロビンを含む標準溶
液等の保存安定性を改善することが出来、測定値の精度
管理をより正確に行うことができる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトヘモグロビン含有溶液中において、
    亜硫酸又はその塩、二亜硫酸又はその塩、ヨウ素イオ
    ン、ピルビン酸又はその塩、オキサル酢酸又はその塩か
    ら選ばれる1種または2種以上の物質とヒトヘモグロビ
    ンとを共存させることを特徴とする、ヒトヘモグロビン
    の安定化方法。
  2. 【請求項2】 さらに、緩衝剤、アルブミン及びアジ化
    ナトリウムを共存させることを特徴とする、請求項1に
    記載のヒトヘモグロビンの安定化方法。
  3. 【請求項3】 さらに、ホウ酸またはその塩を共存させ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載のヒトヘモ
    グロビンの安定化方法。
  4. 【請求項4】 ヒトヘモグロビン含有溶液のpHが5.5
    〜8.0であることを特徴とする請求項1ないし3いずれ
    かの項に記載のヒトヘモグロビンの安定化方法。
  5. 【請求項5】 亜硫酸又はその塩、二亜硫酸又はその
    塩、ヨウ素イオン、ピルビン酸又はその塩、オキサル酢
    酸又はその塩から選ばれる1種または2種以上の物質を
    含有することを特徴とする、ヒトヘモグロビン含有物を
    溶解するための溶液。
  6. 【請求項6】 さらに、緩衝剤とアルブミンとアジ化ナ
    トリウムとを含有することを特徴とする、請求項5に記
    載のヒトヘモグロビン含有物を溶解するための溶液。
  7. 【請求項7】 さらに、ホウ酸またはその塩を含有する
    ことを特徴とする、請求項5または6に記載のヒトヘモ
    グロビン含有物を溶解するための溶液。
  8. 【請求項8】 溶液のpHが5.5〜8.0であることを特徴
    とする、請求項5ないし7いずれかの項に記載のヒトヘ
    モグロビン含有物を溶解するための溶液。
  9. 【請求項9】 ヒトヘモグロビン含有物を溶解するため
    の溶液が、便潜血検査における便溶解液である、請求項
    5ないし8いずれかの項に記載の溶液。
  10. 【請求項10】 請求項5ないし9いずれかの項に記載
    の溶液を含有する、ヒトヘモグロビン測定用採便容器。
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