以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、共通する参照符号を付す。
(実施形態)
1. 構成
実施形態に係る通信システムの構成について説明する。
1.1 通信システム
図1は、実施形態に係る通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、通信システム1は、アクセスポイント10、端末20、及びネットワーク30を備える。
アクセスポイント10は、例えば、無線LANの基地局である。アクセスポイント10は、有線又は無線を介してネットワーク30上のサーバ(図示せず)と通信するように構成される。アクセスポイント10は、無線を介して端末20と通信するように構成される。アクセスポイント10と端末20との間の通信は、例えばIEEE802.11規格に準拠する。
端末20は、例えば、スマートフォンやPC(Personal Computer)等の無線端末である。端末20は、アクセスポイント10を介して、ネットワーク30上のサーバと通信するように構成される。
アクセスポイント10及び端末20は、例えば、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルに基づく無線通信機能を有する。OSI参照モデルでは、無線通信機能が7階層(第1層:物理層、第2層:データリンク層、第3層:ネットワーク層、第4層:トランスポート層、第5層:セッション層、第6層:プレゼンテーション層、第7層:アプリケーション層)に分割される。データリンク層は、LLC(Logical Link Control)副層、及びMAC(Media Access Control)副層を含む。
アクセスポイント10と端末20との間の無線接続方式には、マルチリンクMLが適用され得る。マルチリンクMLは、複数のリンクを同時に用いてデータを送受信(トラヒックを交換)することができる無線接続方式である。マルチリンクMLが適用されるアクセスポイント10及び端末20は、リンク管理情報によってマルチリンクMLの状態を管理する。
図2は、実施形態に係る通信システムのリンク管理情報の一例を示す図である。リンク管理情報は、例えば、“リンクID”、“リンク”、“周波数帯”、“チャネルID”、“マルチリンク”、及び“トラヒック”のそれぞれの情報を含む。
“リンクID”は、STA機能に関連づけられた識別子である。STA機能は、アクセスポイント10と端末20との間でリンクを確立するために、アクセスポイント10及び端末20の各々が備える機能構成である。すなわち、1対のSTA機能が、1個のリンクの確立に使用される。図2の例では、アクセスポイント10と端末20との間の無線通信に、3対のSTA機能(STA1、STA2、及びSTA3)が割り当てられる場合が示される。STA機能は、後述する無線信号処理部に対応する。
“リンク”は、STA機能によってアクセスポイント10と端末20との間でリンクが確立されているか否かを示す情報である。図2の例では、STA1、STA2、及びSTA3の全てがアクセスポイント10と端末20との間でリンクを確立している場合が示される。
“周波数帯”は、リンクに使用される周波数帯を示す情報である。周波数帯は、例えば、6GHz帯、5GHz帯、及び2.4GHz帯等が適用され得る。各周波数帯は、複数のチャネルを含む。図2の例では、STA1、STA2、及びSTA3の全てに、5GHz帯が割り当てられる場合が示される。
“チャネルID”は、リンクに使用されるチャネルの識別子である。図2の例では、STA1、STA2、及びSTA3に、5GHz帯のチャネルCH1、CH2、及びCH3がそれぞれ割り当てられる場合が示される。チャネルCH1、CH2、及びCH3には、例えば、互いに電力漏洩が発生する程度に近い周波数帯が割り当てられる場合がある。
“マルチリンク”は、アクセスポイント10及び端末20がマルチリンクMLを確立しているか否かを示す情報である。図2の例では、STA1、STA2、及びSTA3の組が、マルチリンクMLを確立している場合が示される。
“トラヒック”は、STA機能に割り当てられるTID(Traffic Indicator)を示す情報である。TIDは、各トラヒックを示す識別子であり、それぞれアクセスカテゴリと対応づけられてもよい。トラヒックのアクセスカテゴリは、例えば、“VO(Voice)”、“VI(Video)”、“BE(Best Effort)”、“BK(Background)”、及び“LL(Low Latency)”を含む。アクセスカテゴリLLは、低遅延(低レイテンシ)が要求されるトラヒックである。図2のTID#1~#4の各々は、例えば、アクセスカテゴリVO、VI、BE、BK、及びLLのいずれかに対応する。図2の例では、TID#1がSTA1、STA2、及びSTA3に割り当てられる場合が示される。また、TID#2、#3、及び#4がそれぞれSTA1、STA2、及びSTA3に更に割り当てられる場合が示される。
このように、マルチリンクMLでは、1個のTIDに対して1又は複数のSTA機能が割り当てられ得る。トラヒックとSTA機能との関連づけは、例えば、マルチリンクMLを構成する複数のリンクの間でトラヒック量が均等になるように設定される。なお、トラヒックとSTA機能との関連づけは、上述の例に限られず、例えば、低レイテンシが要求されるトラヒック、及び低レイテンシが要求されないトラヒック等のように、互いに類似する種類のトラヒックがマルチリンクMLを構成する特定のリンクに集められてもよい。
アクセスポイント10及び端末20は、上述したマルチリンクMLにおいて低レイテンシが要求されるトラヒックの交換機会を確保するためのrTWT(restricted Target Wake Time)機能を有する。アクセスポイント10及び端末20は、rTWT機能を利用することによって、低レイテンシが要求されているトラヒックの交換を、低レイテンシが要求されないトラヒックより優先可能なサービス期間を設定することができる。このようなサービス期間は、rTWT-SP(Service Period)とも呼ばれる。
1.2 ハードウェア構成
次に、実施形態に係る通信システムにおけるアクセスポイント及び端末のハードウェア構成について説明する。
1.2.1 アクセスポイントのハードウェア構成
図3は、実施形態に係るアクセスポイントのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、アクセスポイント10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、無線通信モジュール14、及び有線通信モジュール15、を備える。
CPU11は、アクセスポイント10の全体の動作を制御する処理回路である。ROM12は、例えば、不揮発性の半導体メモリである。ROM12は、アクセスポイント10を制御するためのプログラム、及びデータを記憶する。RAM13は、例えば、揮発性の半導体メモリである。RAM13は、CPU11の作業領域として使用される。無線通信モジュール14は、無線信号によるデータの送受信に使用される回路である。無線通信モジュール14は、アンテナに接続される。有線通信モジュール15は、有線信号によるデータの送受信に使用される回路である。有線通信モジュール15は、ネットワーク30に接続される。
1.2.2 端末のハードウェア構成
図4は、実施形態に係る端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、端末20は、例えば、CPU21、ROM22、RAM23、無線通信モジュール24、ディスプレイ25、及びストレージ26を備える。
CPU21は、端末20の全体の動作を制御する処理回路である。ROM22は、例えば、不揮発性の半導体メモリである。ROM22は、端末20を制御するためのプログラム、及びデータを記憶する。RAM23は、例えば、揮発性の半導体メモリである。RAM23は、CPU21の作業領域として使用される。無線通信モジュール24は、無線信号によるデータの送受信に使用される回路である。無線通信モジュール24は、アンテナに接続される。ディスプレイ25は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)又はEL(Electro-Luminescence)ディスプレイである。ディスプレイ25は、アプリケーションソフトに対応するGUI(Graphical User Interface)等を表示する。ストレージ26は、不揮発性の記憶装置である。ストレージ26は、端末20のシステムソフトウェア等を記憶する。
1.3 機能構成
次に、実施形態に係る通信システムにおけるアクセスポイント及び端末の機能構成について説明する。
1.3.1 アクセスポイントの機能構成
図5は、実施形態に係るアクセスポイントの機能構成の一例を示すブロック図である。
アクセスポイント10は、LLC処理部110、データ処理部120、管理部130、MACフレーム処理部140、複数の無線信号処理部150、160、及び170、並びに送信タイミング調整部180を備えるコンピュータとして機能する。LLC処理部110は、第2層のLLC副層及び第3層から第7層に対応する処理を実行する機能ブロックである。データ処理部120、管理部130、及びMACフレーム処理部140は、第2層のMAC副層に対応する処理を実行する機能ブロックである。複数の無線信号処理部150、160、及び170、並びに送信タイミング調整部180は、第2層のMAC副層及び第1層に対応する処理を実行する機能ブロックである。
LLC処理部110は、例えば、ネットワーク30から受信したデータにDSAP(Destination Service Access Point)ヘッダやSSAP(Source Service Access Point)ヘッダ等を付加して、LLCパケットを生成する。そして、LLC処理部110は、生成されたLLCパケットを、データ処理部120に入力する。また、LLC処理部110は、データ処理部120から入力されたLLCパケットからデータを抽出する。そして、LLC処理部110は、抽出されたデータを、ネットワーク30に送信する。
データ処理部120は、LLC処理部110から入力されたLLCパケットにMACヘッダを付加して、MACフレームを生成する。そして、データ処理部120は、生成されたMACフレームをMACフレーム処理部140に入力する。また、データ処理部120は、MACフレーム処理部140から入力されたMACフレームからLLCパケットを抽出する。そして、データ処理部120は、抽出されたLLCパケットをLLC処理部110に入力する。以下では、データを含むMACフレームは、“データフレーム”とも呼ばれる。
管理部130は、アクセスポイント10と端末20との間のリンクの状態を管理する。管理部130とMACフレーム処理部140との間では、リンクやrTWT等に関する管理情報を含むMACフレームが入出力される。以下では、管理情報を含むMACフレームは、“マネジメントフレーム”とも呼ばれる。管理部130は、リンク管理情報131、リンク管理部132、及びビーコン管理部133を含む。
リンク管理情報131は、アクセスポイント10と無線接続された端末20とのリンクに関する情報である。リンク管理情報131は、例えば、図2に示される情報を含む。
リンク管理部132は、端末20との間のリンクの確立を制御する。例えば、リンク管理部132は、端末20からの接続要求に応じて、アソシエーション処理及び後続する認証処理を実行する。リンク管理部132は、端末20との間で確立されたリンクの状態を制御する。例えば、リンク管理部132は、マルチリンクMLの確立に際して、TIDとSTA機能との対応付けを決定し得る。
ビーコン管理部133は、アクセスポイント10がビーコン信号として発信する情報を管理する。具体的には、ビーコン管理部133は、rTWT機能に関する管理情報を含むマネジメントフレームを生成する。そして、ビーコン管理部133は、生成されたマネジメントフレームをMACフレーム処理部140に入力する。以下では、ビーコン管理部133によって生成されるマネジメントフレームは、“ビーコンフレーム”とも呼ばれる。
図6は、実施形態に係るビーコンフレームのフォーマットの一例を示す図である。図6に示されるように、ビーコンフレームは、例えば、rTWT機能で使用される管理情報として、rTWT-SP開始時刻Ts及びrTWT-SP継続期間Dを含む。
rTWT-SP開始時刻Tsは、サービス期間rTWT-SPが開始される時刻を示す情報である。rTWT-SP継続期間Dは、サービス期間rTWT-SPの長さを示す情報である。つまり、サービス期間rTWT-SPは、rTWT-SP開始時刻Tsから、rTWT-SP継続期間Dが経過した時刻までの期間として設定される。rTWT-SP開始時刻Ts及びrTWT-SP継続期間Dは、リンク毎に設定される。そして、リンク毎に設定されたrTWT-SP開始時刻Ts及びrTWT-SP継続期間Dは、ビーコン管理部133によって管理される。
再び図5に戻って、アクセスポイント10の機能構成について説明する。
MACフレーム処理部140は、データ処理部120又は管理部130からMACフレームが入力されると、当該MACフレームとリンクとを関連づける。例えば、データ処理部120からMACフレームが入力された場合、MACフレーム処理部140は、リンク管理情報131を参照することによって、MACヘッダに含まれるTIDに関連づけられたリンクを特定する。そして、MACフレーム処理部140は、特定されたリンクに対応する無線信号処理部にMACフレームを入力する。また、MACフレーム処理部140は、複数の無線信号処理部150、160、及び170からMACフレームが入力されると、MACフレームの種別に応じてMACフレームをデータ処理部120又は管理部130に入力する。具体的には、MACフレーム処理部140は、MACフレームがデータフレームである場合には、MACフレームをデータ処理部120に入力する。MACフレーム処理部140は、MACフレームがマネジメントフレームである場合には、MACフレームを管理部130に入力する。
複数の無線信号処理部150、160、及び170はそれぞれ、図2で示されるマルチリンクMLにおけるSTA1、STA2、及びSTA3に対応する。複数の無線信号処理部150、160、及び170はそれぞれ、同等の機能構成を有する。複数の無線信号処理部150、160、及び170の各々は、MACフレーム処理部140から入力されたMACフレームにプリアンブル等を付加して、無線フレームを生成する。複数の無線信号処理部150、160、及び170の各々は、生成された無線フレームを無線信号に変換する。そして、複数の無線信号処理部150、160、及び170の各々は、変換された無線信号を、アンテナを介して放射(送信)する。無線フレームから無線信号への変換処理は、例えば、畳込符号化処理、インタリーブ処理、サブキャリア変調処理、逆高速フーリエ変換処理、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調処理、及び周波数変換処理を含む。また、複数の無線信号処理部150、160、及び170の各々は、アンテナを介して受信した端末20からの無線信号を無線フレームに変換する。無線信号から無線フレームへの変換処理は、例えば、周波数変換処理、OFDM復調処理、高速フーリエ変換処理、サブキャリア復調処理、デインタリーブ処理、及びビタビ復号処理を含む。複数の無線信号処理部150、160、及び170の各々は、変換された無線フレームからMACフレームを抽出する。そして、複数の無線信号処理部150、160、及び170の各々は、抽出されたMACフレームをMACフレーム処理部140に入力する。
なお、複数の無線信号処理部150、160、及び170は、無線フレームの生成に先立ち、送信タイミング調整部180と協調して送信判定処理を実行する。送信判定処理は、データフレームを送信するか否か判定する処理である。送信判定処理は、キャリアセンス処理を含む。キャリアセンス処理は、リンクで使用されるチャネルの状態を判定する処理である。送信判定処理の詳細については後述する。
送信タイミング調整部180は、アクセスポイント10が送信局として動作する際に機能する構成である。言い換えると、アクセスポイント10が受信局として動作する際には、送信タイミング調整部180は、省略され得る。送信タイミング調整部180は、複数の無線信号処理部150、160、及び170の各々におけるキャリアセンス処理に関する状態を管理する。そして、送信タイミング調整部180は、当該状態に基づき、複数の無線信号処理部150、160、及び170の各々によるデータフレームの送信タイミングを調整する。
1.3.2 端末の機能構成
図7は、実施形態に係る端末の機能構成の一例を示すブロック図である。
端末20は、アプリケーション実行部200、LLC処理部210、データ処理部220、管理部230、MACフレーム処理部240、複数の無線信号処理部250、260、及び270、並びに送信タイミング調整部280を備えるコンピュータとして機能する。アプリケーション実行部200は、第7層に対応する処理を実行する機能ブロックである。LLC処理部210は、第2層のLLC副層及び第3層から第6層に対応する処理を実行する機能ブロックである。データ処理部220、管理部230、及びMACフレーム処理部240は、第2層のMAC副層に対応する処理を実行する機能ブロックである。複数の無線信号処理部250、260、及び270、並びに送信タイミング調整部280は、第2層のMAC副層及び第1層に対応する処理を実行する機能ブロックである。
アプリケーション実行部200は、LLC処理部210から入力されたデータに基づき、アプリケーションを実行する。また、アプリケーション実行部200は、LLC処理部210にデータを入力する。例えば、アプリケーション実行部200は、アプリケーションの情報をディスプレイ25に表示することができる。また、アプリケーション実行部200は、入力インタフェースの操作に基づいて動作し得る。
LLC処理部210は、アプリケーション実行部200からデータにDSAPヘッダやSSAPヘッダ等を付加して、LLCパケットを生成する。そして、LLC処理部210は、生成されたLLCパケットを、データ処理部220に入力する。また、LLC処理部210は、データ処理部220から入力されたLLCパケットからデータを抽出する。そして、LLC処理部210は、抽出されたデータを、アプリケーション実行部200に入力する。
データ処理部220は、LLC処理部210から入力されたLLCパケットにMACヘッダを付加して、MACフレームを生成する。そして、データ処理部220は、生成されたMACフレームをMACフレーム処理部240に入力する。また、データ処理部220は、MACフレーム処理部240から入力されたMACフレームからLLCパケットを抽出する。そして、データ処理部220は、抽出されたLLCパケットをLLC処理部210に入力する。
管理部230は、アクセスポイント10と端末20との間のリンクの状態を管理する。管理部230とMACフレーム処理部240との間では、リンクやrTWT等に関する管理情報を含むMACフレームが入出力される。管理部230は、リンク管理情報231、リンク管理部232、及びビーコン管理部233を含む。
リンク管理情報231は、端末20と無線接続されたアクセスポイント10とのリンクに関する情報である。リンク管理情報231は、例えば、図2に示される情報を含む。
リンク管理部232は、アクセスポイント10との間のリンクの確立を制御する。例えば、リンク管理部232は、アクセスポイント10に接続要求を送信する際に、アソシエーション処理及び後続する認証処理を実行する。リンク管理部232は、アクセスポイント10との間で確立されたリンクの状態を制御する。例えば、リンク管理部232は、マルチリンクMLの確立に際して、TIDとSTA機能との対応付けを決定し得る。
ビーコン管理部233は、アクセスポイント10から受信したビーコン信号に含まれる情報を管理する。具体的には、ビーコン管理部233は、MACフレーム処理部240から入力されたビーコンフレームからrTWT機能に関する管理情報を抽出する。そして、ビーコン管理部233は、例えば、抽出されたrTWT機能に関する管理情報のうちrTWT-SP開始時刻Ts及びrTWT-SP継続期間Dをリンク毎に管理する。
MACフレーム処理部240は、データ処理部220又は管理部230からMACフレームが入力されると、当該MACフレームとリンクとを関連づける。例えば、データ処理部220からMACフレームが入力された場合、MACフレーム処理部240は、リンク管理情報231を参照することによって、MACヘッダに含まれるTIDに関連づけられたリンクを特定する。そして、MACフレーム処理部240は、特定されたリンクに対応する無線信号処理部にMACフレームを入力する。また、MACフレーム処理部240は、複数の無線信号処理部250、260、及び270からMACフレームが入力されると、MACフレームの種別に応じてMACフレームをデータ処理部220又は管理部230に入力する。具体的には、MACフレーム処理部240は、MACフレームがデータフレームである場合には、MACフレームをデータ処理部220に入力する。MACフレーム処理部240は、MACフレームがマネジメントフレームである場合には、MACフレームを管理部230に入力する。
複数の無線信号処理部250、260、及び270はそれぞれ、図2で示されたマルチリンクMLにおけるSTA1、STA2、及びSTA3に対応する。複数の無線信号処理部250、260、及び270はそれぞれ、同等の機能構成を有する。複数の無線信号処理部250、260、及び270の各々は、MACフレーム処理部240から入力されたMACフレームにプリアンブル等を付加して、無線フレームを生成する。複数の無線信号処理部250、260、及び270の各々は、生成された無線フレームを無線信号に変換する。そして、複数の無線信号処理部250、260、及び270の各々は、変換された無線信号を、アンテナを介して放射(送信)する。無線フレームから無線信号への変換処理は、例えば、畳込符号化処理、インタリーブ処理、サブキャリア変調処理、逆高速フーリエ変換処理、OFDM変調処理、及び周波数変換処理を含む。また、複数の無線信号処理部250、260、及び270の各々は、アンテナを介して受信したアクセスポイント10からの無線信号を無線フレームに変換する。無線信号から無線フレームへの変換処理は、例えば、周波数変換処理、OFDM復調処理、高速フーリエ変換処理、サブキャリア復調処理、デインタリーブ処理、及びビタビ復号処理を含む。複数の無線信号処理部250、260、及び270の各々は、変換された無線フレームからMACフレームを抽出する。そして、複数の無線信号処理部250、260、及び270の各々は、抽出されたMACフレームをMACフレーム処理部240に入力する。
なお、複数の無線信号処理部250、260、及び270は、無線フレームの生成に先立ち、送信タイミング調整部280と協調して送信判定処理を実行する。端末20における送信判定処理は、アクセスポイント10における送信判定処理と同等の処理である。
送信タイミング調整部280は、端末20が送信局として動作する際に機能する構成である。言い換えると、端末20が受信局として動作する際には、送信タイミング調整部280は、省略され得る。送信タイミング調整部280は、複数の無線信号処理部250、260、及び270の各々におけるキャリアセンス処理に関する状態を管理する。そして、送信タイミング調整部280は、当該状態に基づき、複数の無線信号処理部250、260、及び270の各々による無線信号の送信タイミングを調整する。
1.3.3 送信判定処理に関する機能構成
次に、実施形態に係るアクセスポイント10及び端末20の各々の送信判定処理に関する機能構成について説明する。アクセスポイント10及び端末20の各々は、送信判定処理を実行する際、送信局として機能する。具体的には、アクセスポイント10が送信判定処理を実行する際、無線信号処理部150、160、及び170の各々は、送信部として機能する。端末20が送信判定処理を実行する際、無線信号処理部250、260、及び270の各々は、送信部として機能する。以下では、一例として、端末20の送信判定処理に関する機能構成について説明する。
図8は、実施形態に係る端末の送信判定処理に関する機能構成の一例を示すブロック図である。図8の例では、ビーコン管理部233、無線信号処理部250、及び送信タイミング調整部280が図示される。なお、無線信号処理部260及び270の各々の送信判定処理に関する機能構成は、無線信号処理部250の送信判定処理に関する機能構成と同等であるため、説明を省略する。
無線信号処理部250は、分類部251、複数のキュー252A、252B、252C、及び252D、複数のキャリアセンス部253A、253B、253C、及び253D、並びに内部衝突管理部254を含む。
MACフレーム処理部240から入力されたMACフレームがデータフレームの場合、分類部251は、当該データフレームを、MACヘッダに含まれるTIDに基づいて複数のアクセスカテゴリに分類する。そして、分類部251は、データフレームを、複数のキュー252A、252B、252C、及び252Dのうち対応するキュー252に入力する。図8の例では、分類部251は、アクセスカテゴリVO、VI、BE、及びBKに対応するデータフレームをそれぞれキュー252A、252B、252C、及び252Dに入力する。
複数のキュー252A、252B、252C、及び252Dの各々は、入力されたデータフレームをバッファする。図8の例では、複数のキュー252A、252B、252C、及び252Dはそれぞれ、アクセスカテゴリVO、VI、BE、及びBKに対応するデータフレームをバッファする。
複数のキャリアセンス部253A、253B、253C、及び253Dはそれぞれ、複数のキュー252A、252B、252C、及び252Dに対応する。複数のキャリアセンス部253A、253B、253C、及び253Dの各々は、あらかじめ設定されたアクセスパラメータにしたがって、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)に基づくキャリアセンス処理を実行する。チャネルが所定の時間アイドル状態であると判定された場合、複数のキャリアセンス部253A、253B、253C、及び253Dの各々は、データフレームの送信権を取得してキャリアセンス処理を終了する。チャネルがビジー状態であると判定された場合、複数のキャリアセンス部253A、253B、253C、及び253Dの各々は、送信権の取得を中止してキャリアセンス処理を終了する。
キャリアセンス処理に使用されるアクセスパラメータとしては、例えば、CWmin、CWmax、AIFS(Arbitration Inter Frame Space)、及びTXOP(Transmission Opportunity)Limitが使用される。CWmin及びCWmaxはそれぞれ、コンテンションウインドウの最小値及び最大値を示す。コンテンションウインドウは、衝突回避のための送信待ち時間の決定に用いるパラメータである。AIFSは、アクセスカテゴリ毎に設定される固定の送信待ち時間である。TXOPLimitは、チャネルの占有期間TXOPの上限値を示す。すなわち、短いCWmin及びCWmax、並びにAIFSが設定されるアクセスカテゴリほど、送信権を取得しやすい。また、大きなTXOPLimitが設定されるアクセスカテゴリほど、一度の送信権で送信できるデータ量が多い。
キャリアセンス処理に際して、複数のキャリアセンス部253A、253B、253C、及び253Dの各々は、キャリアセンス処理のステータスSTS、送信権取得予定時刻Tcs、及びチャネル占有期間TXOP等を送信タイミング調整部280に入力する。ステータスSTSは、キャリアセンス処理による送信権の取得状況を示す情報である。ステータスSTSは、例えば、“送信権取得中”、“送信権取得済”、及び“送信権取得中止”等の情報を含む。
複数のキャリアセンス部253A、253B、253C、及び253Dの各々には、キャリアセンス処理中又はキャリアセンス処理後に、送信タイミング調整部280から送信制御信号CNTが入力される。送信制御信号CNTは、例えば、送信指示、送信待機指示、及び送信延期指示を含む。送信制御信号CNTのうち、送信指示及び送信待機指示は、送信権を取得した場合にキャリアセンス部253に入力され得る。一方、送信延期指示は、送信権を取得したか否かにかかわらず、キャリアセンス部253に入力され得る。送信指示が入力された場合、送信権を取得したキャリアセンス部253は、対応するキュー252にバッファされているデータフレームを取り出す。送信待機指示が入力された場合、送信権を取得したキャリアセンス部253は、対応するキュー252からデータフレームを取り出すことなく、待機する。送信延期指示が入力された場合、キャリアセンス部253は、送信権を取得したか否かに関わらず、データフレームの送信を延期する。
なお、送信権を取得したキャリアセンス部253には、送信指示が入力される際に、送信タイミング調整部280から最長のチャネル占有期間TXOPmaxが更に入力される。最長のチャネル占有期間TXOPmaxは、無線信号処理部250、260、及び270の各々から送信タイミング調整部280に入力されたチャネル占有期間TXOPの最大値である。送信指示が入力されたキャリアセンス部253は、最長のチャネル占有期間TXOPmaxと等しくなるように、対応するキュー252から取り出されたデータフレームにパディングを追加する。パディングが追加されたデータフレームは、内部衝突管理部254に入力される。
内部衝突管理部254は、2個以上のキャリアセンス部が同時に送信権を取得した場合に、送信の衝突を防止する。具体的には、例えば、複数のデータフレームが同時に入力された場合、内部衝突管理部254は、優先度の高いアクセスカテゴリのデータフレームを優先して送信する。
送信タイミング調整部280は、ビーコン管理部233からrTWT-SP開始時刻Tsを取得する。送信タイミング調整部280は、rTWT-SP開始時刻Ts、並びに複数の無線信号処理部250、260、及び270の各々から入力されたステータスSTS、送信権取得予定時刻Tcs、及びチャネル占有期間TXOPに基づき、同時送信候補選定処理を実行する。同時送信候補選定処理は、送信指示を通知するキャリアセンス部253の候補を選定する処理である。
具体的には、送信タイミング調整部280は、“送信権取得中”又は“送信権取得済”のキャリアセンス部253における最先のrTWT-SP開始時刻Tsminを算出する。また、送信タイミング調整部280は、送信権取得予定時刻Tcs、及びチャネル占有期間TXOPに基づき、“送信権取得中”又は“送信権取得済”のキャリアセンス部253の各々のチャネル占有期間終了時刻Teを算出する。チャネル占有期間終了時刻Teは、例えば、送信予定のデータフレーム、及び当該データフレームに対応するAck(Acknowledgement)の交換が終了する時刻である。そして、送信タイミング調整部280は、“送信権取得中”又は“送信権取得済”のキャリアセンス部253のうち、チャネル占有期間終了時刻Teが最先のrTWT-SP開始時刻Tsminより前となるキャリアセンス部253を同時送信候補として追加する。また、送信タイミング調整部280は、“送信権取得中”又は“送信権取得済”のキャリアセンス部253のうち、チャネル占有期間終了時刻Teが最先のrTWT-SP開始時刻Tsminより後となるキャリアセンス部253を同時送信候補から除外する。同時送信候補から“送信権取得中止”のキャリアセンス部253が生じた場合、送信タイミング調整部280は、同時送信候補選定処理を再度実行する。そして、同時送信候補の全てのキャリアセンス部253が“送信権取得済”となった場合、同時送信候補のキャリアセンス部253が確定する。
同時送信候補が確定すると、送信タイミング調整部280は、同時送信候補から除外されたキャリアセンス部253に送信延期指示を入力する。また、送信タイミング調整部280は、送信権取得予定時刻Tcs及びチャネル占有期間TXOPに基づき、同時送信候補に選定されたキャリアセンス部253における最長のチャネル占有期間TXOPmaxを算出する。そして、送信タイミング調整部280は、同時送信候補に選定されたキャリアセンス部253に送信指示及び最長のチャネル占有期間TXOPmaxを入力する。
2. 動作
次に、実施形態に係る通信システムの送信局における動作について説明する。
アクセスポイント10が受信局の場合、端末20が送信局となる。端末20が受信局の場合、アクセスポイント10が送信局となる。以下では、一例として、端末20が送信局となる場合について説明する。また、以下では、アクセスポイント10と端末20との間で、図2に示されるリンク管理情報に基づくマルチリンクMLが確立しているものとする。
2.1 無線信号処理部における送信判定処理
図9は、実施形態に係る送信局の無線信号処理部における送信判定処理の一例を示すフローチャートである。複数の無線信号処理部250、260、及び270では、同等の送信判定処理が実行される。以下では、図9を参照して、無線信号処理部250における送信判定処理について説明する。
キャリアセンス処理が開始すると(開始)、無線信号処理部250の複数のキャリアセンス部253A、253B、253C、及び253Dの各々は、“送信権取得中”のステータスSTSを送信タイミング調整部280に通知する(S10)。
無線信号処理部250の複数のキャリアセンス部253A、253B、253C、及び253Dの各々は、送信権取得予定時刻Tcs及びチャネル占有期間TXOPを送信タイミング調整部280に通知する(S11)。
複数のキャリアセンス部253A、253B、253C、及び253Dの各々は、送信権を取得したか否かを判定する(S12)。
送信権が取得された場合(S12;yes)、送信権を取得したキャリアセンス部253は、“送信権取得済”のステータスSTSを送信タイミング調整部280に通知する(S13)。
送信権が取得できなかった場合(S12;no)、送信権を獲得できなかったキャリアセンス部253は、“送信権取得中止”のステータスSTSを送信タイミング調整部280に通知する(S14)。
S13の処理の後、送信権を取得したキャリアセンス部253は、送信指示又は送信延期指示が通知されるまで待機する(S15)。
送信指示又は送信延期指示が送信タイミング調整部280から通知されると、送信権を取得したキャリアセンス部253は、通知された送信制御信号CNTが送信指示であるか否かを判定する(S16)。
送信指示が通知された場合(S16;yes)、送信指示が通知された送信権取得済みのキャリアセンス部253は、データフレームを対応するキュー252から取り出す。そして、送信指示が通知された送信権取得済みのキャリアセンス部253は、チャネル占有期間TXOPが送信指示と共に通知された最長のチャネル占有期間TXOPmaxと揃うように、当該データフレームにパディングを追加する(S17)。
S17の処理の後、無線信号処理部250は、パディングが追加されたデータフレームの送信を開始する(S18)。具体的には、送信指示が通知された送信権取得済みのキャリアセンス部253は、パディングが追加されたデータフレームを内部衝突管理部254に入力する。内部衝突管理部254は、複数のデータフレームが同時に入力された場合には、優先度の高いデータフレームを選択する。そして、無線信号処理部250は、選択されたデータフレームを無線信号に変換し、アクセスポイント10に送信する。
S14の処理の後、又は送信延期指示が通知された場合(S16;no)、無線信号処理部250は、データフレームの送信を延期する(S19)。具体的には、S14の処理の後、送信権を取得できなかったキャリアセンス部253は、データフレームの送信を延期する。送信延期指示が通知された場合(S18;no)、送信延期指示が通知された送信権取得済みのキャリアセンス部253は、データフレームの送信を延期する。
S18の処理又はS19の処理の後、無線信号処理部250における送信判定処理は終了となる(終了)。
2.2 送信タイミング調整部における送信判定処理
図10は、実施形態に係る送信局の送信タイミング調整部における送信判定処理の一例を示すフローチャートである。
キャリアセンス処理が開始すると(開始)、送信タイミング調整部280は、同時送信候補選定処理を実行する(S20)。これにより、送信タイミング調整部280は、同時送信候補となるキャリアセンス部253を選定する。同時送信候補選定処理の詳細は、後述する。
S20の処理の後、送信タイミング調整部280は、“送信権取得中”のステータスSTSが“送信権取得済”又は“送信権取得中止”に更新されるまで待機する(S21)。
S21の処理の後、送信タイミング調整部280は、S21の処理の間に更新されたステータスSTSが“送信権取得済”に更新されたか否か判定する(S22)。
ステータスSTSが“送信権取得済”に更新された場合(S22;yes)、送信タイミング調整部280は、ステータスSTSが“送信権取得済”に更新されたキャリアセンス部253に送信待機指示を通知する(S23)。
ステータスSTSが“送信権取得済”に更新されなかった場合(S22;no)、又はS23の処理の後、送信タイミング調整部280は、S20の処理で選定された同時送信候補内にステータスSTSが“送信権取得中”のキャリアセンス部253があるか否かを判定する(S24)。
同時送信候補内にステータスSTSが“送信権取得中”のキャリアセンス部253がある場合(S24;yes)、送信タイミング調整部280は、“送信権取得中”のステータスSTSが“送信権取得済”又は“送信権取得中止”に更新されるまで待機する(S21)。そして、S21の処理の後、後続するS22、S23、及びS24の処理が実行される。このように、同時送信候補内にステータスSTSが“送信権取得中”のキャリアセンス部253がなくなるまで、S21~S24の処理が繰り返される。
同時送信候補内にステータスSTSが“送信権取得中”のキャリアセンス部253が無い場合(S24;no)、送信タイミング調整部280は、S20の処理で選定された同時送信候補内にステータスSTSが“送信権取得中止”のキャリアセンス部253があるか否かを判定する(S25)。
同時送信候補内にステータスSTSが“送信権取得中止”のキャリアセンス部253がある場合(S25;yes)、送信タイミング調整部280は、再び同時送信候補選定処理を実行する(S20)。そして、S20の処理の後、後続するS21、S22、S23、S24、及びS25の処理が実行される。このように、同時送信候補内にステータスSTSが“送信権取得中止”のキャリアセンス部253がなくなるまで、S21~S25の処理が繰り返される。
同時送信候補内にステータスSTSが“送信権取得中”のキャリアセンス部253が無い場合(S25;no)、送信タイミング調整部280は、S20の処理によって同時送信候補から除外されたキャリアセンス部253に送信延期指示を通知する(S26)。
送信タイミング調整部280は、S20の処理によって同時送信候補に選定されたキャリアセンス部253における最長のチャネル占有期間TXOPmaxを算出する(S27)。
送信タイミング調整部280は、S20の処理によって同時送信候補に選定されたキャリアセンス部253に、送信指示及びS27の処理で算出された最長のチャネル占有期間TXOPmaxを通知する(S28)。
S28の処理の後、送信タイミング調整部280における送信判定処理は終了となる(終了)。
2.3 同時送信候補選定処理
図11は、実施形態に係る送信局の送信タイミング調整部における同時送信候補選定処理の一例を示すフローチャートである。図11に示されるS30~S36の処理は、図10におけるS20の処理に対応する。
キャリアセンス処理が開始すると(開始)、送信タイミング調整部280は、ステータスSTSが“送信権取得中”又は“送信権取得済”のキャリアセンス部253における最先のrTWT-SP開始時刻Tsminを算出する(S30)。
S30の処理の後、送信タイミング調整部280は、ステータスSTSが“送信権取得中”又は“送信権取得済”のキャリアセンス部253の1つを選択する(S31)。
送信タイミング調整部280は、S31の処理で選択されたキャリアセンス部253のチャネル占有期間終了時刻Teを算出する(S32)。
送信タイミング調整部280は、S32の処理で算出されたチャネル占有期間終了時刻Teは、S30の処理で算出された最先のrTWT-SP開始時刻Tsminより前であるか否かを判定する(S33)。
チャネル占有期間終了時刻Teが最先のrTWT-SP開始時刻Tsminより前である場合(S33;yes)、送信タイミング調整部280は、S31の処理で選択されたキャリアセンス部253を同時送信候補に追加する(S34)。
チャネル占有期間終了時刻Teが最先のrTWT-SP開始時刻Tsminより後である場合(S33;no)、送信タイミング調整部280は、S31の処理で選択されたキャリアセンス部253を同時送信候補から除外する(S35)。
S34の処理、又はS35の処理の後、送信タイミング調整部280は、ステータスSTSが“送信権取得中”又は“送信権取得済”の全てのキャリアセンス部253が選択されたか否かを判定する(S36)。
選択されていない“送信権取得中”又は“送信権取得済”のキャリアセンス部253がある場合(S36;no)、送信タイミング調整部280は、ステータスSTSが“送信権取得中”又は“送信権取得済”のキャリアセンス部253の1つを選択する(S31)。そして、後続するS32、S33、S34、S35、及びS36の処理を実行する。このように、ステータスSTSが“送信権取得中”又は“送信権取得済”の全てのキャリアセンス部253が選択されるまで、S31~S36の処理が繰り返される。
“送信権取得中”又は“送信権取得済”の全てのキャリアセンス部253が選択された場合(S36;yes)、同時送信候補選定処理は終了となる(終了)。
2.4 送信判定処理の例
次に、実施形態に係る送信局における送信判定処理の例について説明する。以下では、ある送信期間において、3対のSTA機能(STA1、STA2、及びSTA3)によるマルチリンクMLが確立されている場合における送信判定処理の例が示される。
2.4.1 第1例
図12は、実施形態に係る送信局における送信判定処理の第1例を示す図である。第1例は、1回の同時送信候補選定処理で同時送信候補が確定する場合に対応する。図12では、(A)、及び(B)の順で2つの状況が時系列に示される。
図12の(A)では、同時送信候補選定処理が終了した際における各STA機能のスケジュールが示される。図12の(A)では、STA1、STA2、及びSTA3はそれぞれ、チャネル占有期間TXOP1、TXOP2、及びTXOP3のトラヒック交換のために、送信権を取得しようとしている。チャネル占有期間TXOP1の終了時刻Te1は、チャネル占有期間TXOP2の終了時刻Te2より後である。チャネル占有期間TXOP2の終了時刻Te2は、チャネル占有期間TXOP3の終了時刻Te3より後である。
また、STA1では、rTWT-SP開始時刻Ts1からサービス期間rTWT-SPが設定されている。STA2では、rTWT-SP開始時刻Ts1より早いrTWT-SP開始時刻Ts2からサービス期間rTWT-SPが設定されている。すなわち、送信タイミング調整部280は、rTWT-SP開始時刻Ts2を最先のrTWT-SP開始時刻Tsminとみなす。ここで、チャネル占有期間終了時刻Te2及びTe3は、最先のrTWT-SP開始時刻Tsmin(=Ts2)よりも前である。一方、チャネル占有期間終了時刻Te1は、最先のrTWT-SP開始時刻Tsmin(=Ts2)よりも後である。このため、送信タイミング調整部280は、同時送信候補選定処理の結果、STA2及びSTA3を同時送信候補に追加すると共に、STA1を同時送信候補から除外する。
図12の(B)では、送信判定処理が終了した際における各STA機能のスケジュールが示される。キャリアセンス処理の結果、STA2及びSTA3は、送信権の取得に成功する。このため、送信タイミング調整部280は、チャネル占有期間TXOP2を最長のチャネル占有期間TXOPmaxとして抽出し、当該最長のチャネル占有期間TXOPmaxと共に送信指示をSTA2及びSTA3に通知する。STA2及びSTA3の各々は、最長のチャネル占有期間TXOPmaxと揃うようにデータフレームにパディングを追加する。具体的には、STA2は、TXOP2=TXOPmaxであるため、パディングを追加しない。一方、STA3は、TXOP3<TXOPmaxであるため、パディングを追加する。これにより、STA3のチャネル占有期間終了時刻Te3’は、STA2のチャネル占有期間終了時刻Te2と等しくなる。STA2及びSTA3のチャネル占有期間終了時刻Te2(=Te3’)は、最先のrTWT-SP開始時刻Tsminよりも前である。このため、STA2及びSTA3は、サービス期間rTWT-SPに干渉することなく、同時送信を実行できる。
なお、STA1については、キャリアセンス処理の結果、送信権を取得したか否かに関わらず、送信タイミング調整部280から送信延期指示が通知される。このため、STA1は、データフレームの送信を延期する。
2.4.2 第2例
図13は、実施形態に係る送信局における送信判定処理の第2例を示す図である。第2例は、2回の同時送信候補選定処理で同時送信候補が確定する場合に対応する。図13では、(A)、(B)、及び(C)の順で3つの状況が時系列に示される。
図13の(A)では、1回目の同時送信候補選定処理が終了した際における各STA機能のスケジュールが示される。図13の(A)では、STA1、STA2、及びSTA3はそれぞれ、チャネル占有期間TXOP1、TXOP2、及びTXOP3のトラヒック交換のために、送信権を取得しようとしている。送信タイミング調整部280は、チャネル占有期間TXOP及び送信権取得予定時刻Tcsに基づき、チャネル占有期間終了時刻Teを算出する。チャネル占有期間TXOP1の終了時刻Te1は、チャネル占有期間TXOP2の終了時刻Te2より後である。チャネル占有期間TXOP2の終了時刻Te2は、チャネル占有期間TXOP3の終了時刻Te3より後である。
また、STA1では、rTWT-SP開始時刻Ts1からサービス期間rTWT-SPが設定されている。STA2では、rTWT-SP開始時刻Ts1より早いrTWT-SP開始時刻Ts2からサービス期間rTWT-SPが設定されている。すなわち、送信タイミング調整部280は、rTWT-SP開始時刻Ts2を最先のrTWT-SP開始時刻Tsminとみなす。ここで、チャネル占有期間終了時刻Te2及びTe3は、最先のrTWT-SP開始時刻Tsmin(=Ts2)よりも前である。一方、チャネル占有期間終了時刻Te1は、最先のrTWT-SP開始時刻Tsmin(=Ts2)よりも後である。このため、送信タイミング調整部280は、1回目の同時送信候補選定処理の結果、STA2及びSTA3を同時送信候補に追加すると共に、STA1を同時送信候補から除外する。
図13の(B)では、2回目の同時送信候補選定処理が終了した際における各STA機能のスケジュールが示される。キャリアセンス処理の結果、STA2は、送信権の取得に失敗する。これにより、STA2は、データフレームの送信を延期する。STA2の送信権取得中止に伴い、送信タイミング調整部280は、STA2を同時送信候補から除外した2回目の同時送信候補選定処理を実行する。すなわち、送信タイミング調整部280は、rTWT-SP開始時刻Ts1を最先のrTWT-SP開始時刻Tsminとみなす。ここで、チャネル占有期間終了時刻Te1及びTe3は、最先のrTWT-SP開始時刻Tsmin(=Ts1)よりも前である。このため、送信タイミング調整部280は、2回目の同時送信候補選定処理の結果、STA3に加えて、1回目の同時送信候補選定処理では同時送信候補から除外されていたSTA1を同時送信候補に更に追加する。
図13の(C)では、送信判定処理が終了した際における各STA機能のスケジュールが示される。キャリアセンス処理の結果、STA1及びSTA3は、送信権の取得に成功する。このため、送信タイミング調整部280は、チャネル占有期間TXOP1を最長のチャネル占有期間TXOPmaxとして抽出し、当該最長のチャネル占有期間TXOPmaxと共に送信指示をSTA1及びSTA3に通知する。STA1及びSTA3の各々は、最長のチャネル占有期間TXOPmaxと揃うようにデータフレームにパディングを追加する。具体的には、STA1は、TXOP1=TXOPmaxであるため、パディングを追加しない。一方、STA3は、TXOP3<TXOPmaxであるため、パディングを追加する。これにより、STA3のチャネル占有期間終了時刻Te3”は、STA1のチャネル占有期間終了時刻Te1と等しくなる。STA1及びSTA3のチャネル占有期間終了時刻Te1(=Te3”)は、最先のrTWT-SP開始時刻Tsminよりも前である。このため、STA1及びSTA3は、サービス期間rTWT-SPに干渉することなく、同時送信を実行できる。
3. 実施形態に係る効果
マルチリンクMLを構成する複数のチャネルにそれぞれ割り当てられる周波数帯が互いに近接している場合、当該チャネル間で電力漏洩が発生する可能性がある。チャネル間で電力漏洩が発生すると、一方のチャネルでデータを送信しつつ、他方のチャネルでデータを受信する運用が困難となる。例えば、複数のチャネルで同時にデータの送信を開始する場合において、一方のチャネルでは引き続きデータを送信しつつ、他方のチャネルでは送信データのAckを受信する、といった運用が困難となる。このため、パディングを追加することによってマルチリンクMLを構成する複数のチャネル間でチャネル占有期間終了時刻Teを揃える手法が知られている。しかしながら、パディングの追加は、チャネル占有期間TXOPとサービス期間rTWT-SPとの意図しない重複を発生させ得る。チャネル占有期間TXOPがサービス期間rTWT-SPと重複すると、サービス期間rTWT-SPにおける低レイテンシのトラヒックの交換が阻害される可能性があるため、好ましくない。
実施形態によれば、送信タイミング調整部280は、チャネル占有期間TXOPが最先のサービス期間rTWT-SPと重複する場合、当該チャネル占有期間TXOPでのデータの送信権を取得中又は取得済のキャリアセンス部253を同時送信候補から除外する。これにより、同時送信候補から除外されたキャリアセンス部253が、送信権を取得した他のキャリアセンス部253によるデータの送信と合わせて、データを送信することを延期させることができる。このため、サービス期間rTWT-SPにおける低レイテンシのトラヒックの交換が阻害されることを抑制できる。したがって、低レイテンシのトラヒックを優先的に交換することができる無線通信環境を提供することができる。
また、同時送信候補のキャリアセンス部253が送信権の取得に失敗した場合、送信タイミング調整部280は、同時送信候補選定処理を再度実行する。これにより、送信権の取得に失敗したキャリアセンス部253に割り当てられるサービス期間rTWT-SPを考慮しない状態で同時送信候補を選定することができる。このため、再度の同時送信候補選定処理を実行しない場合より、同時送信候補となるSTA機能の数を増やすことができる。
また、送信指示を通知されたキャリアセンス部253は、自身のチャネル占有期間TXOPが最長のチャネル占有期間TXOPmaxと揃うようにパディングを追加する。ここで、チャネル占有期間TXOPは、受信局からのAckを受信する期間を含む。これにより、マルチリンクMLを構成する複数のチャネル間でチャネル占有期間終了時刻Teを揃えることができる。このため、一方のチャネルでデータを送信しつつ、他方のチャネルでデータを受信する運用を回避できる。
また、送信タイミング調整部280は、同時送信候補内に送信権取得中のキャリアセンス部253がある場合、送信権取得済のキャリアセンス部253に送信待機指示を通知する。これにより、マルチリンクMLを構成する複数のチャネル間でのデータの同時送信を実行することができる。加えて、最長のチャネル占有期間TXOPmaxに基づくパディングを追加期間の見積もりを容易にすることができる。
また、無線信号処理部250は、サービス期間rTWT-SPにおいて、サービス期間rTWT-SP外の期間で送信されるデータよりも低レイテンシのデータを送信する。これにより、低レイテンシのトラヒックを優先的に交換することができる。
また、アクセスポイント10は、サービス期間rTWT-SPをビーコン信号によって通知する。これにより、端末20は、最新のrTWT-SP開始時刻Ts及びrTWT-SP継続期間Dを適時に受信することができる。
4. 変形例等
なお、上述の実施形態は、種々の変形が可能である。例えば、上述の実施形態では、送信タイミング調整部280が、同時送信候補内に“送信権取得中”のキャリアセンス部253がなくなるまで、“送信権取得済”のキャリアセンス部253に対して送信待機指示を通知する場合について説明したが、これに限られない。例えば、送信タイミング調整部280は、送信待機指示を通知しなくてもよい。この場合、“送信権取得済”のキャリアセンス部253は、送信タイミング調整部280から送信指示を通知されるまで待機する。
また、上述した実施形態及び変形例による送信判定処理は、コンピュータであるプロセッサに実行させることができるプログラムとして記憶させておくこともできる。この他、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の外部記憶装置の記憶媒体に格納して配布することができる。そして、プロセッサは、この外部記憶装置の記憶媒体に記憶されたプログラムを読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、送信判定処理を実行することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。