JP7770876B2 - 虚像光学系、それを備える虚像表示装置及び車載システム - Google Patents

虚像光学系、それを備える虚像表示装置及び車載システム

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Description

本発明は、画像の虚像を表示する虚像表示装置に好適な虚像光学系に関する。
従来、車両等の移動装置において、表示手段により表示された画像の虚像を空間上に形成することで、搭乗者(使用者)に画像を視認させるヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display:HUD)等の虚像表示装置が用いられている。虚像表示装置によれば、搭乗者から見て車両のウインドシールド(フロントガラス)の前方に画像を表示することができ、車両の周辺環境に画像を重畳させることが可能になる。
ここで、例えば搭乗者が虚像よりも遠方の車両を確認するときなど、搭乗者の視点が変化することで良好な視認性が得られなくなる場合が考えられる。特許文献1及び2には、可動ミラーを移動させることで搭乗者と虚像との相対位置を変化させることが可能な虚像表示装置が記載されている。
特許第6252883号 特開2018-31861号公報
しかしながら、特許文献1及び2の虚像表示装置においては、可動ミラーを移動させる際に表示部からの光線の入射角が大きく変化してしまう。そのため、可動ミラーの移動の前後で虚像の輝度差が生じてしまい、搭乗者に対する視認性の低下につながってしまう。
本発明は、簡素な構成でありながら良好な視認性の実現が可能な虚像光学系を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための、本発明の一側面としての虚像光学系は、表示面からの光を瞳に導光することで虚像を形成する虚像光学系であって、前記表示面からの光を反射する第1の反射面と、該第1の反射面からの光を反射する第2の反射面とを有し、前記第1の反射面の移動により、前記表示面から前記第2の反射面までの光路長を変更可能であり、前記第1の反射面の回転により、前記瞳の中心と前記虚像の中心とを結ぶ直線に対して該虚像を偏心可能であり、前記第2の反射面の回転により、前記瞳の位置を該瞳に入射する主光線の光路に垂直な方向の成分を含む方向へ変更可能であり、前記第1の反射面の移動方向と該第1の反射面に入射する主光線とのなす角は5°以下であることを特徴とする。
本発明によれば、簡素な構成でありながら良好な視認性の実現が可能な虚像光学系を提供することができる。
実施形態に係る虚像表示装置の模式図(第1の状態) 実施形態に係る虚像表示装置の模式図(第2の状態) 変形例に係る虚像表示装置の模式図 実施例1に係る虚像表示装置の要部概略図 実施例1に係る虚像表示装置の要部拡大図 実施例2に係る虚像表示装置の要部概略図 実施例2に係る虚像表示装置の要部拡大図 実施形態に係る車載システム及び移動装置の模式図
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面は、便宜的に実際とは異なる縮尺で描かれている場合がある。また、各図面において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明を省略する。
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る虚像表示装置100の模式図(YZ断面図)である。虚像表示装置100は、画像を表示する表示手段(表示部)101と、表示手段101の表示面に表示される画像の虚像113を形成する虚像光学系105と、虚像光学系105を駆動する駆動手段(駆動部)とを備えている。図1は、虚像表示装置100の使用者に視認させる虚像113の位置が手前側(第1の位置)である場合(第1の状態)を示し、図2は、使用者に視認させる虚像113の位置が奥側(第2の位置)である場合(第2の状態)を示している。
図1及び図2では、表示手段101からの光束のうち、虚像光学系105の縮小側(物体側)の瞳の中心を通って拡大側(像側)の瞳112(Eye Box)の中心に至る主光線(基準光線)の光路111(基準軸、光軸)を一点鎖線で示している。なお、実際には各虚像の位置に主光線が到達する訳ではないが、図1及び図2では使用者が視認する虚像113の中心に至る仮想的な主光線の光路についても示している。
虚像表示装置100によれば、表示手段101の表示面に表示された画像の虚像113を形成することで、その画像があたかもウインドシールド(フロントガラス)WSの前方に表示されているかのように使用者に認識させることができる。これにより、ウインドシールドWSの前方の周辺環境(外部環境)に画像を重畳させることなどが可能になる。
表示手段101としては、液晶パネル等の表示素子(空間変調素子)を用いることができる。例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)、DMD(Digital Mirror Device)等を表示手段101として採用することができる。また、図示しない投影手段により投影した像を表示するスクリーンを採用してもよい。表示手段101の表示面は、虚像光学系105の物体面(縮小面)に対応している。
本実施形態においては、表示手段101の表示面を基準軸111に対して非垂直としている。これにより、太陽光等の外界からの光が表示面に入射してしまった場合に、その光が表示面で正反射して使用者の眼104に到達することを回避することができる。なお、主光線(基準光線)が表示面の中心から出射するように表示手段101を配置することが望ましい。これにより、虚像表示装置100の光利用効率を向上させることができる。
ウインドシールドWSは、虚像表示装置100が搭載される自動車(車両)等の移動可能な移動体(移動装置)に設けられた光学部材である。ウインドシールドWSは、虚像表示装置100からの光を使用者(移動装置の搭乗者)の眼104に向けて反射するとともに、外界からの光を使用者に向けて透過させている。なお、ウインドシールドWSの透過反射面は、移動装置の形状に合った形状であれば平面でも曲面でもよい。ウインドシールドWSと同じ機能を持つ光学部材として、ウインドシールドWSとは別部材であるコンバイナー(ハーフミラー)を採用してもよい。また、虚像表示装置100は、必要に応じてウインドシールドWSを介さずに直接使用者の眼104に光を導光してもよい。
本実施形態に係る虚像光学系105は、表示手段101からの光を反射する第1の反射面102(第1の反射光学素子)と、第1の反射面102からの光を反射する第2の反射面103(第2の反射光学素子)とを有している。各反射光学素子としては、ミラーやプリズム等を採用することができる。必要に応じて反射面を自由曲面等の非球面としてもよい。なお、本実施形態では一つの反射光学素子に一つの反射面が形成された構成を想定しているが、複数の反射面が形成された反射光学素子を採用してもよい。例えば、必要に応じて第1の反射面102及び第2の反射面103が形成された単一の反射光学素子を採用してもよい。
虚像光学系105は、必要に応じて屈折光学素子、反射屈折光学素子、平板ガラス(カバーガラス)等の光学部材を有していてもよい。また、虚像光学系105は、各虚像を形成するために全系で正のパワーを有していればよく、ノンパワーや負のパワーの反射面を有していてもよい。ただし、全系の小型化及び軽量化のためには、本実施形態のように虚像光学系105を1の反射面102及び第2の反射面103のみで構成することが好ましい。
次に、本実施形態に係る虚像光学系105の特徴について説明する。
虚像光学系105は、表示手段101の表示面からの光を第1の反射面102及び第2の反射面103により瞳112に導光することで虚像113を形成している。具体的には、虚像光学系105は、表示面からの光は第1の反射面102及び第2の反射面103によって拡大側へ反射され、ウインドシールドWSを介して瞳112に導光される。このとき、瞳112の位置にある使用者の眼104に光が到達することで、使用者が虚像113を視認することができる。
そして、虚像光学系105は、第1の反射面102の移動により、表示面から第2の反射面103までの光路長を変更可能な構成を採っている。この構成によれば、使用者の視点の変化に応じて使用者に視認させる虚像113の位置を変更することができるため、使用者に対して良好な視認性を与えることができる。本実施形態では、駆動手段としての第1の駆動手段106(移動機構)によって、第1の反射面102を該第1の反射面102に入射する主光線の光路に平行な方向の成分を含む方向へ移動させることで、虚像113を主光線の光路に沿った方向(Z方向)に移動させることができる。
図1は、虚像表示装置100が使用者に虚像113が第1の位置にあると視認させる第1の状態を示している。図2は、第1の状態に対して第1の反射面102の位置を変更することで、表示面から第2の反射面103までの光路長を第1の状態よりも長くした第2の状態を示している。表示面から第2の反射面103までの光路長に対応して、瞳112から虚像113までの光路長についても第1の状態よりも第2の状態の方が長くなる。これにより、虚像表示装置100は使用者に虚像113が第1の位置よりも遠い第2の位置にあると視認させることができる。
例えば、移動装置の停止時(車両の停車時)など使用者が近くの物体(前方車両など)に視線を向ける場合は第1の状態とし、移動装置の高速移動中など使用者が遠くの物体(信号機や標識など)に視線を向ける場合は第2の状態とすることが望ましい。これにより、使用者が視認する外界と虚像との距離を近づけることができるため、使用者の視線変更の負担を軽減することができる。
ここで、第1の反射面102の移動方向を適切に設定しないと、第1の反射面102の移動に伴って表示面からの光の入射角が大きく変化しまい、上述のように使用者に対する視認性の低下につながってしまう。そこで、本実施形態においては、第1の反射面102の移動方向と該第1の反射面102に入射する主光線とのなす角αを5°以下としている。これにより、第1の反射面102の移動方向を主光線と略平行な方向に制限することができるため、αを5度よりも大きくした場合と比較して表示面からの光の入射角の変化を低減することができる。すなわち、第1の反射面102の移動の前後で虚像113の輝度差を低減することができ、使用者に対する視認性の低下を抑制することが可能になる。なお、第1の反射面102の移動によりαが変化する場合は、第1の反射面102の位置に依らず常にαが5°以下となるように構成すればよい。
一方、第1の反射面102を移動させた場合、瞳112と使用者の眼104との相対位置がずれてしまう。そこで、本実施形態に係る虚像光学系105は、第2の反射面103の回転(偏心)により、瞳112の位置を該瞳112に入射する主光線の光路111に垂直な方向(Y方向)の成分を含む方向へ変更可能な構成を採っている。本実施形態では、駆動手段としての第2の駆動手段107(回転機構)によって、基準軸を含む断面(YZ断面)に垂直な方向(X方向)に平行な軸を回転軸として第2の反射面103を回転させることで、瞳112の位置をY方向に移動させることができる。
この構成によれば、第1の反射面102の移動に伴い瞳112と使用者の眼104との相対位置がずれてしまった場合においても、第2の反射面103の回転によりその相対位置を調整することができる。すなわち、第1の反射面102の位置に依らず瞳112の位置を使用者の眼104の位置に一致させることができるため、虚像113の位置に依らず使用者に対して良好な視認性を与えることができる。
本実施形態においては、駆動手段として第1の駆動手段106及び第2の駆動手段107を備えている。駆動手段としては、例えばモータなどのアクチュエータや、使用者の操作により非電気的に各反射面を駆動させるための操作手段等を採用することができる。駆動手段は、外部の制御手段からの信号(情報)に基づいて各反射面を駆動させることにより、上述した第1の状態と第2の状態との切り替えを行うことができる。また、駆動手段に制御手段としての機能を持たせてもよい。その場合、例えば駆動手段がCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを備えていればよい。これにより、駆動手段が各反射面の駆動を制御することができる。
なお、第1の反射面102の移動の前後での虚像113の輝度差をより低減するためには、αを3°以下とすることが好ましく、αを1°以下とすることがより好ましい。本実施形態においては、αを0°とすることで第1の反射面102の移動方向を主光線に対して平行とし、虚像113の輝度差を良好に低減している。
また、高精度に瞳112の位置を調整するためには、第2の反射面103の回転中心(回転軸)が第2の反射面103における主光線の入射位置の近傍に位置することが望ましい。本実施形態においては、第1の状態における第2の反射面103での主光線の入射位置と第2の状態における第2の反射面103での主光線の入射位置との中間位置に第2の反射面103の回転中心を配置している。なお、第1の反射面102の位置を第1及び第2の状態とは異なる位置にも移動させる場合は、第1の反射面102が最も縮小側にあるときと最も拡大側にあるときの第2の反射面103での主光線の夫々の入射位置の間(中間位置)に回転中心が位置していればよい。
また、第1の反射面102に対する主光線の入射角と反射角の和をβとするとき、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。なお、βの値が第1の状態と第2の状態とで異なる場合は、各状態において条件式(1)を満足することが望ましい。
30°≦β≦70° (1)
条件式(1)の上限値を上回ると、第1の反射面102の移動の前後での第2の反射面103における主光線の入射位置のずれが大きくなり、瞳112と使用者の眼104との相対位置を調整するために必要な第2の反射面103の回転量が多くなってしまう。このため、第2の反射面103を回転させるために必要な空間が大きくなって装置全体の小型方が難しくなったり、第2の反射面103の調整時間が長くなったりしてしまう。また、条件式(1)の下限値を下回ると、表示手段101と第2の反射面103との間隔が狭くなり、第1の反射面102からの光の一部が表示手段101により蹴られてしまうおそれがある。
さらに、以下の条件式(1a)を満足することが好ましく、以下の条件式(1b)を満足することがより好ましい。
35°≦β≦65° (1a)
40°≦β≦60° (1b)
また、主光線の光路上において、第1の反射面102のパワーをφ1、第2の反射面103のパワーをφ2とするとき、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。なお、各反射面のパワーが基準軸を含む断面(yz断面)とそれに垂直な断面(xz断面)とで異なる場合は、各断面において条件式(2)を満足することが望ましい。
0.00<|φ1/φ2|≦0.40 (2)
条件式(2)を満足しない場合、第1の反射面102の移動の前後での第2の反射面103における主光線の入射位置のずれが大きくなってしまう。このため、第2の反射面103を大きくすることが必要になり、装置全体の小型方が難しくなってしまう。
さらに、以下の条件式(2a)を満足することが好ましく、以下の条件式(2b)を満足することがより好ましい。
0.03≦|φ1/φ2|≦0.35 (2a)
0.05≦|φ1/φ2|≦0.30 (2b)
図3は、上述した実施形態の変形例に係る虚像表示装置100の模式図(YZ断面図)である。図3においても、図2と同様に使用者に視認させる虚像113の位置が奥側(第2の位置)である場合を示している。上述した実施形態に対する本変形例の異なる点は、第1の反射面102の回転により、瞳112の中心と虚像113の中心とを結ぶ直線(基準軸111)に対して該虚像113を偏心可能とした点である。本変形例に係る虚像表示装置100は、第1の反射面102を回転させるための駆動手段としての第3の駆動手段108(回転機構)を備えている。
この構成によれば、虚像113を基準軸111に対して非垂直とすることができ、第2の状態において使用者が遠方に視線を向けているときに虚像113が外界に対して良好に重畳するため、虚像113の視認性を向上させることが可能になる。このとき、第1の反射面102の回転の前後での第1の反射面102における主光線の入射位置のずれを低減するためには、第1の反射面102の回転中心が該第1の反射面102に入射する主光線の光路上に位置することが望ましい。なお、第2の反射面103は、第1の反射面102の回転の前後においても瞳112と使用者の眼104との相対位置を調整可能なように構成されていることが望ましい。
本変形例に係る虚像表示装置100が第1の状態である場合は、虚像113を基準軸111に対して垂直とすることが望ましい。これにより、第1の状態において使用者が付近に視線を向けているときに、虚像113が外界に対して良好に重畳するため、虚像113の視認性を向上させることができる。ただし、必要に応じて第1の状態においても虚像113が基準軸111に対して非垂直となるようにしてもよい。
また、表示手段101の表示面に表示する画像情報を第1の状態と第2の状態とで異ならせてもよい。例えば、第1及び第2の状態を互いに切り替える際に画像の形状や位置を変更することで、切り替えにより生じる画像の歪曲や中心位置ずれなどの発生を抑制することができる。これにより、第1及び第2の状態を互いに切り替える際に使用者が感じる違和感を低減することができる。特に、本実施形態のように基準軸に対する傾きが互いに異なる複数の虚像を形成する場合は、画像情報を第1の状態と第2の状態とで異ならせることが好ましい。
なお、第1の状態における使用者と第2の状態における使用者とが同一人物であるとは限らない。例えば、座高の異なる複数の使用者がいる場合、使用者の交代に応じて第1の反射面102を移動させることで第1の状態と第2の状態との切り替えを行ってもよい。そして、使用者の交代、使用者の姿勢の変化、移動装置の振動などにより、虚像光学系105の拡大側の瞳と使用者の眼104との相対位置がずれた場合に、そのずれを補正するように第2の反射面103を回転させてもよい。具体的には、第2の駆動手段107により第2の反射面103を回転させることで、瞳112と使用者の眼104との相対位置を調整してもよい。
[実施例1]
以下、本発明の実施例1に係る虚像表示装置10について説明する。本実施例に係る虚像表示装置10において、上述した実施形態に係る虚像表示装置100と同等の構成については説明を省略する。
図4及び図5は、本実施例に係る虚像表示装置10の要部概略図である。図4(a)は、第1の状態において虚像表示装置10からの光がウインドシールドWSを介して瞳112に至るまでの光路と、虚像表示装置10からの光が虚像113を形成するときの仮想的な光路とを示している。図4(b)は、第2の状態において虚像表示装置10からの光がウインドシールドWSを介して瞳112に至るまでの光路と、虚像表示装置10からの光が虚像113を形成するときの仮想的な光路とを示している。図5は、第1及び第2の状態の夫々における虚像光学系近傍の光路を拡大した図である。
本実施例に係る虚像光学系105は、第1の反射面102を有する第1の反射光学素子(第1のミラー)M11と、第2の反射面103を有する第2の反射光学素子(第2のミラー)M12とで構成されている。本実施例に係る虚像表示装置10は、第1の反射光学素子M11の移動により表示面から第2の反射面103までの光路長を変更し、使用者に視認させる虚像113の位置を変更可能である。また、虚像表示装置10は、第2の反射光学素子M12の回転により瞳112の位置を変更し、第1の反射光学素子M11の移動によりずれた瞳112と使用者の眼104との相対位置を調整可能である。
[実施例2]
以下、本発明の実施例2に係る虚像表示装置20について説明する。本実施例に係る虚像表示装置20において、上述した実施形態に係る虚像表示装置100と同等の構成については説明を省略する。
図6及び図7は、本実施例に係る虚像表示装置20の要部概略図である。図6(a)は、第1の状態において虚像表示装置20からの光がウインドシールドWSを介して瞳112に至るまでの光路と、虚像表示装置20からの光が虚像113を形成するときの仮想的な光路とを示している。図6(b)は、第2の状態において虚像表示装置20からの光がウインドシールドWSを介して瞳112に至るまでの光路と、虚像表示装置20からの光が虚像113を形成するときの仮想的な光路とを示している。図7は、第1及び第2の状態の夫々における虚像光学系近傍の光路を拡大した図である。
本実施例に係る虚像光学系105は、第1の反射面102を有する第1の反射光学素子(第1のミラー)M21と、第2の反射面103を有する第2の反射光学素子(第2のミラー)M22とで構成されている。本実施例に係る虚像表示装置20は、実施例1に係る虚像表示装置10と同様に第1の反射光学素子M21の移動により表示面から第2の反射面103までの光路長を変更可能であり、第2の反射光学素子M22の回転により瞳112の位置を変更可能である。さらに、虚像表示装置20は、第1の反射光学素子M21の回転により虚像を偏心可能である。
[数値実施例]
上述した実施例1及び2に対応する数値実施例1及び2の数値データを以下に示す。各数値実施例において、面番号は縮小側から数えたときの面の番号iを示し、Rは第i番目の面(第i面)の曲率半径[mm]を示す。
各実施例に係る虚像光学系105はオフアキシャル(Off-Axial)光学系である。また、虚像光学系105の光軸(基準軸)は第1の状態と第2の状態とで異なる。そこで、各面の位置及び偏心角度を表現するために、第1及び第2の瞳の夫々の中心を原点とする絶対座標系XYZを定義する。具体的には、原点における法線をZ軸とし、物体面から像側へ向かう方向を正(+Z方向)とする。原点を通り右手座標系の定義に従ってZ軸に対して反時計回り方向に90゜を成す軸をY軸とする。原点を通りZ軸及びY軸に垂直な軸をX軸とし、各図の紙面に対して奥へ向かう方向を正(+X方向)とする。
各数値実施例において、反射面の曲率半径Rの符号は、該反射面が絶対座標系において縮小側(-Z側)に向かって凹形状である場合は正、凸形状である場合は負とする。また、各数値実施例におけるY,Z[mm]は、絶対座標系における各面の面頂点のY方向及びZ方向における座標を示している。θ[度]は、X軸に対して反時計回りに回転する方向を正としたときの、各面の面頂点における法線の傾き(偏心角度)を示している。
次に、各面の形状を表現するために、各面とZ軸(基準軸)との交点を原点とするローカル座標系xyzを定義する。具体的には、原点における法線をz軸とする。原点を通り右手座標系の定義に従ってz軸に対して反時計回り方向に90゜を成す軸をy軸とする。原点を通りz軸及びy軸に垂直な軸をx軸とし、図1の紙面に対して奥へ向かう方向を正(+x方向)とする。ここで、非球面の形状は、円錐定数をK、非球面係数をCij、近軸曲率半径をRとするとき、以下の式で表される。なお、各数値実施例における円錐定数K及び非球面係数Cijの各数値での「E±N」は、「×10±N」を意味している。
ただし、hは以下の式で表される。
(数値実施例1)
面データ
面番号 R Y Z θ
1 101 ∞ 0.00 0.00 -42.7
2 M11 ∞ 可変 可変 -20.0
3 M12 ∞ 0.00 179.00 可変
4 WS ∞ 147.84 2.81 73.0
5 112 ∞ 196.55 349.40 138.0
6 113 ∞ 可変 可変 138.0

可変量データ
第1の状態 第2の状態
Y M11 12.93 0.00
Z M11 151.97 179.00
θ M12 -17.7 -16.0
Y 虚像 1668.64 6352.55
Z 虚像 -1285.52 -6487.53

非球面データ
M11 M12
K 0.00E+00 0.00E+00
C20 1.90E-04 6.72E-04
C02 -7.67E-05 5.16E-04
C21 -5.78E-06 -8.07E-07
C03 -4.82E-06 -6.94E-07
C40 2.83E-09 1.46E-10
C22 2.51E-08 7.67E-10
C04 1.15E-08 -2.77E-10
(数値実施例2)
面データ
面番号 R Y Z θ
1 101 ∞ 0.00 0.00 -42.7
2 M11 ∞ 可変 可変 可変
3 M12 ∞ 147.84 2.81 可変
4 WS ∞ 196.55 349.40 73.0
5 112 ∞ -338.75 943.92 138.0
6 113 ∞ 可変 可変 可変

可変量データ
第1の状態 第2の状態
Y M21 20.00 7.85
Z M21 143.27 190.52
θ M21 -20.00 -22.03
θ M22 -19.20 -16.00
Y 虚像 1334.07 9698.21
Z 虚像 -913.94 -10203.25
θ 虚像 0.00 85.00

非球面データ
M21 M22
K 0.00E+00 0.00E+00
C20 -8.25E-05 6.29E-04
C02 -4.04E-05 5.33E-04
C21 -3.84E-06 -6.09E-07
C03 -2.33E-06 -3.63E-07
C40 2.36E-09 2.31E-10
C22 1.83E-08 1.99E-09
C04 -1.30E-09 -1.47E-10
以下に、数値実施例1,2における上述した各条件式に関する数値を示す。
[車載システム及び移動装置]
図8は、本実施形態に係る虚像表示装置100を備える車載システム500及び移動装置600の模式図である。車載システム500は、虚像表示装置100と、第1の取得手段200と、第2の取得手段300と、制御手段400とを備え、移動装置600の使用者(搭乗者、運転者)を支援するためのシステムである。移動装置600は、上述したような自動車や船舶、航空機などの、車載システム500を保持して移動可能な移動体である。図8では、移動装置600の一例として自動車(車両)を示している。
第1の取得手段200は、使用者の位置情報及び視点情報の少なくとも一方を取得する手段であり、例えばカメラ等の撮像装置である。使用者の位置情報とは、使用者の少なくとも一部の位置に関する情報であり、例えば使用者の眼104の位置に関する情報である。また、使用者の視点情報とは、使用者の視点や視線に関する情報であり、例えば使用者の眼104(瞳孔)の動きに関する情報である。
第2の取得手段300は、移動装置600の周囲の障害物(歩行者や他車両等)や周辺環境(風景)等の外界情報(周辺情報)を取得するための手段であり、例えばカメラ等の撮像装置である。本実施形態に係る第2の取得手段300は、移動装置600の前方の外界情報を取得するように配置されているが、移動装置600の後方や側方等の外界情報を取得するように配置されていてもよい。
制御手段400は、虚像表示装置100を制御するための手段であり、例えばCPU等のプロセッサである。制御手段400は、虚像表示装置100における表示手段101による画像の表示を制御したり、駆動手段による反射面の駆動を制御したりすることができる。例えば、制御手段400は、第1の取得手段200により取得された情報及び第2の取得手段300により取得された情報の少なくとも一方に基づいて、表示手段101による画像の表示や駆動手段による各反射面の駆動を制御することができる。なお、制御手段400は虚像表示装置100の内部に設けられていてもよい。また、上述のように駆動手段に制御手段400の機能を持たせてもよい。
第1の取得手段200は、使用者の位置情報及び視点情報の少なくとも一方を取得することで、移動装置600に対する使用者の眼104の位置のずれ量や使用者の視線の変化を検知することができる。制御手段400は、第1の取得手段200が取得した情報に基づいて虚像表示装置100における各反射面の駆動量を求め、その駆動量に基づいて駆動手段を制御することで各反射面を駆動させる。これにより、虚像113の位置の変更や、使用者の眼104と瞳112との相対位置のずれの補正を行うことができる。
さらに、制御手段400は、移動装置600の移動速度に関する情報(速度情報)に基づいて各反射面の駆動を制御することで、使用者に視認させる虚像113の位置を変更してもよい。例えば、虚像113の位置を移動装置600の低速移動時又は停止時(速度0)には第1の位置、高速移動時には第2の位置とすることで、付近に見える虚像113の表示と遠方に見える虚像113の表示とを切り替えることができる。これにより、使用者に対して移動装置600の進行方向における虚像の位置が切り替わったように視認させることができ、移動装置600の速度が変化した際の各虚像の視認性を向上させることができる。
なお、制御手段400は、使用者が不図示の操作手段を操作することにより該操作手段から出力される信号に基づいて、駆動手段による各反射面の駆動を制御してもよい。また、制御手段400は、第1の取得手段200が使用者の眼104以外の位置に関する情報を取得した場合であっても、その情報に基づいて移動装置600に対する使用者の眼104の位置のずれ量を求めることができる。
なお、制御手段400は、障害物(物体)との衝突可能性を判定する判定手段としての機能も備えている。例えば、制御手段400は、第2の取得手段300により取得された外界情報に基づいて移動装置600と障害物との衝突可能性を判定する。制御手段400は、障害物との衝突可能性が有ると判定した場合に、例えば虚像表示装置100に警告メッセージ等を表示させることで、使用者に対して警告を行うことができる。
制御手段400は、障害物との衝突可能性が有ると判定した場合に、移動装置600の移動を制御したり、移動装置600の各部に警告を行わせたりしてもよい。例えば、制御手段400は、移動装置600の駆動部(エンジンやモータなど)に対して制御信号を出力することで、移動装置600の移動を制御することができる。制御方法としては、例えば、移動装置600においてブレーキをかける、アクセルを戻す、ハンドルを切る、各輪に制動力を発生させる制御信号を生成して駆動部の出力を抑制する等が挙げられる。また、警告方法としては、例えば、使用者に対して警告音を発する、カーナビゲーションシステムなどの画面に警告情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与える等が挙げられる。
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
例えば、上述した実施形態に係る車載システム500は、第1の取得手段200及び第2の取得手段300を一つずつ備えているが、夫々を複数備えていてもよい。あるいは、第1の取得手段200及び第2の取得手段300の両方の機能を有する単一の取得手段を採用してもよい。また、第1の取得手段200や第2の取得手段300の代わりに、移動装置600の振動や加速度等を検出する手段を設け、その手段により取得された情報に基づいて虚像表示装置100を制御してもよい。
101 表示手段(表示面)
102 第1の反射面
103 第2の反射面
105 虚像光学系
112 瞳
113 虚像

Claims (18)

  1. 表示面からの光を瞳に導光することで虚像を形成する虚像光学系であって、
    前記表示面からの光を反射する第1の反射面と、
    該第1の反射面からの光を反射する第2の反射面とを有し、
    前記第1の反射面の移動により、前記表示面から前記第2の反射面までの光路長を変更可能であり、
    前記第1の反射面の回転により、前記瞳の中心と前記虚像の中心とを結ぶ直線に対して該虚像を偏心可能であり、
    前記第2の反射面の回転により、前記瞳の位置を該瞳に入射する主光線の光路に垂直な方向の成分を含む方向へ変更可能であり、
    前記第1の反射面の移動方向と該第1の反射面に入射する主光線とのなす角は5°以下であることを特徴とする虚像光学系。
  2. 前記第1の反射面に対する前記主光線の入射角と反射角の和をβとするとき、
    30°≦β≦70°
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の虚像光学系。
  3. 前記主光線の光路上において、前記第1の反射面のパワーをφ1、前記第2の反射面のパワーをφ2とするとき、
    0.00<|φ1/φ2|≦0.40
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の虚像光学系。
  4. 前記第2の反射面の回転中心は、前記第1の反射面が最も縮小側にあるときの前記第2の反射面での主光線の入射位置と前記第1の反射面が最も拡大側にあるときの前記第2の反射面での主光線の入射位置との間に位置することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の虚像光学系。
  5. 前記第1の反射面の回転中心は、該第1の反射面に入射する前記主光線の光路上に位置することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の虚像光学系。
  6. 請求項1乃至の何れか一項に記載の虚像光学系と、
    前記表示面を有する表示手段と、
    前記第1及び第2の反射面の夫々を駆動する第1及び第2の駆動手段とを備えることを特徴とする虚像表示装置。
  7. 前記第1の駆動手段は、前記第1の反射面を移動させることにより、使用者に視認させる前記虚像の位置を変更可能であることを特徴とする請求項に記載の虚像表示装置。
  8. 前記第2の駆動手段は、前記第2の反射面を回転させることにより、前記瞳と使用者の眼との相対位置を調整可能であることを特徴とする請求項又はに記載の虚像表示装置。
  9. 前記第1及び第2の駆動手段の少なくとも一方は、使用者の位置情報及び視点情報の少なくとも一方に基づいて前記第1及び2の反射面の少なくとも一方を駆動することを特徴とする請求項乃至の何れか一項に記載の虚像表示装置。
  10. 請求項乃至の何れか一項に記載の虚像表示装置を備え、車両により保持されることを特徴とする車載システム。
  11. 使用者の位置情報及び視点情報の少なくとも一方を取得する第1の取得手段を備え、前記第1及び第2の駆動手段の少なくとも一方は、該第1の取得手段により取得された情報に基づいて前記第1及び2の反射面の少なくとも一方を駆動することを特徴とする請求項10に記載の車載システム。
  12. 前記第1及び第2の駆動手段の少なくとも一方は、前記車両の移動速度に関する情報に基づいて前記第1及び2の反射面の少なくとも一方を駆動することを特徴とする請求項10又は1に記載の車載システム。
  13. 外界情報を取得する第2の取得手段を備えることを特徴とする請求項10乃至1の何れか一項に記載の車載システム。
  14. 前記第2の取得手段により取得された情報に基づいて前記車両と物体との衝突可能性を判定する判定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の車載システム。
  15. 前記判定手段により前記車両と前記物体との衝突可能性が有ると判定された場合に、前記虚像表示装置により使用者に対して警告を行うことを特徴とする請求項1に記載の車載システム。
  16. 請求項乃至の何れか一項に記載の虚像表示装置を備え、該虚像表示装置を保持して移動可能であることを特徴とする移動装置。
  17. 前記虚像表示装置からの光を使用者に向けて反射する光学部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の移動装置。
  18. 前記光学部材は、外界からの光を前記使用者に向けて透過させることを特徴とする請求項1に記載の移動装置。
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