JP7772093B2 - 扁平カールコード - Google Patents

扁平カールコード

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Description

本開示は、扁平カールコードに関する。
絶縁電線を螺旋形状に加工して伸縮自在としたカールコードが公知である。この種のカールコードは、可動部材の間に電気接続を形成する等の用途に用いられ、例えば自動車内では、スライドドアやリアウィンドウのような電線に伸縮が求められる部位に配置される。カールコードを例示する文献として、特許文献1を挙げることができる。
特開2012-243399号公報
カールコードは、絶縁電線を螺旋状に成形したものであるため、線状の絶縁電線そのものを用いる場合と比較して、配策に大きなスペースを要する。つまり、ある長さを自然長として有するカールコードと、同じ長さの線状の絶縁電線を比較した際に、カールコードの方が径方向に大きな空間を占めることになる。上記のように、カールコードは、自動車等の装置の可動部に好適に用いることができるが、自動車等、各種装置においては、狭い空間にも電線を配策できるようにする観点から、各種の電線が、高い省スペース性を有していることが有利となる。カールコードにおいても、細径化による省スペース性の向上が望まれる。ここで、カールコードを構成する絶縁電線の導体断面積を小さくすれば、またカールコードの螺旋径を小さくすれば、細径化を達成できる可能性はあるが、その場合には、カールコードのバネ性が低くなり(バネ定数が小さくなり)、伸縮運動において十分な復元力を確保するのが難しくなる可能性がある。カールコードのバネ性を高く維持しながら、細径化を達成することが望まれる。
以上に鑑み、バネ性を確保しつつ、細径化を実現したカールコード、またそのようなカールコードを含んだワイヤーハーネスを提供することを課題とする。
本開示にかかる扁平カールコードは、導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁被覆と、を含む絶縁電線が、螺旋形状に巻かれており、前記絶縁電線は、軸線方向に沿った前記導体および前記絶縁電線の断面形状が扁平形状をとった扁平電線であり、前記扁平形状の幅方向に沿った前記扁平電線の外側面である扁平面が、前記螺旋形状の外側および内側に向いている。
本開示のワイヤーハーネスは、前記扁平カールコードを含む。
本開示にかかる扁平カールコードは、バネ性を確保しつつ、細径化を実現したカールコードとなる。また、本開示にかかるワイヤーハーネスは、そのようなカールコードを含んだものとなる。
図1Aは、本開示の一実施形態にかかる扁平カールコードを示す側面図である。図1Bは、上記扁平カールコードを構成する扁平電線を軸線方向に垂直に切断した断面を示す断面図である。図1Cは、扁平カールコードの正面図である。 図2は、本開示の実施形態にかかる扁平カールコードを構成する扁平電線の導体を示す斜視図である。 図3Aは、軸線方向に交差する断面が円形となった丸電線をカールコードに採用した丸カールコードを示す側面図である。図3Bは、上記丸電線の軸線方向に交差する断面図である。 図4Aは、本開示の一実施形態にかかる上記の扁平カールコードを螺旋形状の中心軸に沿って切断した断面図である。図4Bは、略円形の導体を有する上記の丸カールコードを螺旋形状の中心軸に沿って切断した断面図である。図4Cは、上記扁平カールコードと丸カールコードを比較した図である。断面において、電線の内部構造は省略している。 図5Aおよび図5Bは、扁平カールコードと丸カールコードの扁平比率と外径の関係を示しているグラフである。図5Aは、図1Cにおける内径Iが3mm、円相当電線径が1.6mmのカールコードのグラフであり、図5Bは内径Iが3mm、円相当電線径が3mmのカールコードについてのグラフである。図5Cは、全長150mmの扁平カールコードおよび丸カールコードを作製する際に必要なターン数と扁平比率の関係を示しているグラフである。 図6は、扁平カールコードと丸カールコードについて、張力と変位の関係を示しているグラフである。
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施態様を説明する。
本開示の実施形態にかかる扁平カールコードは、導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁被覆と、を含む絶縁電線が、螺旋形状に巻かれており、前記絶縁電線は、軸線方向に沿った前記導体および前記絶縁電線の断面形状が扁平形状をとった扁平電線であり、前記扁平形状の幅方向に沿った前記扁平電線の外側面である扁平面が、前記螺旋形状の外側および内側に向いている。
上記扁平電線においては、カールコードが扁平電線より構成されており、かつその扁平電線の扁平面、つまり扁平形状の幅方向に平行な面が螺旋構造の内外を向くように扁平電線が巻かれている。この螺旋構造において、扁平電線の扁平面は、幅方向がカールコードの中心軸に沿って並ぶことになる。扁平電線においては、幅方向に交差する高さ方向の寸法が、同じ導体断面積を有する断面略円形(丸電線)の径よりも小さいため、螺旋形状の径方向に占める厚みが小さくなる。そのため、扁平電線と丸電線を同じ内径の螺旋形状に巻いたカールコードを比較した場合に、扁平電線を用いた場合のほうが、カールコードの外径を小さくし、扁平カールコードの細径化を実現することができる。上記のように、扁平カールコードにおいては、同じ導体断面積の丸電線を用いたカールコードと比較して、外径が小さくなっているが、後の実施例に示されるように、自然長が同じであれば、同程度のばね定数が確保される。
前記扁平電線全体の形状について、前記扁平形状の前記幅方向に交差する方向を高さ方向として、前記幅方向の長さに対する前記高さ方向の長さの比率を表す扁平比率が、0.79以下であるとよい。扁平比率が0.79以下であることによって、カールコードの細径化の効果を向上させることができる。さらに、扁平比率が0.79以下であることによって、扁平電線の幅方向の寸方が、同じ導体断面積を有する断面略円形の電線(丸電線)の径よりも長くなり、螺旋の中心軸に沿った方向に占める長さが大きくなる。よって、扁平電線と丸電線で同じ自然長のカールコードを形成する場合に、扁平電線を用いるほうが、螺旋形状の軸に沿って各ターンを占める電線の長さが大きくなる分だけ、用いる電線の実長を削減でき、導体使用量を削減することができる。つまり、カールコードを軽量化することができる。
前記導体は複数の素線を撚り合わせた撚線から構成されるとよい。複数の素線を撚り合わせた撚線を導体とすることにより、扁平電線の螺旋形状への成形が容易になり、さらに、カールコードの伸縮時における柔軟性を高めることができることから、導体が撚線から構成されることが好ましい。
前記扁平電線と導体断面積および絶縁被覆の厚さが同じで、軸線方向に交差する断面が円形となった丸電線を、前記扁平カールコードと螺旋形状のターン間の間隔および内径を同じにした螺旋形状に巻いたものを丸カールコードとして、前記扁平カールコードの前記螺旋形状の外径は、前記丸カールコードの前記螺旋形状の外径の90%以下であるとよい。すると、丸カールコードと比較して、扁平カールコードの細径化が十分に達成される。
前記扁平カールコードのばね定数は、前記丸カールコードのばね定数の90%以上であるとよい。扁平カールコードと丸カールコードのばね定数に大きな差異がないことにより、扁平カールコードにおいて丸カールコードと同程度の復元力を確保することができ、扁平カールコードを伸縮性の必要な部位に好適に配策することができる。
本実施形態にかかるワイヤーハーネスは、前記扁平カールコードを含む。扁平カールコードを適用したワイヤーハーネスは、例えば自動車内のスライドドアやリアウィンドウ等、各種装置の可動部の配線に好適に使用することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、図面を用いて、本開示の一実施形態にかかる扁平カールコードについて詳細に説明する。
(扁平カールコードの全体構成)
図1Aに、本開示の一実施形態にかかる扁平カールコード1の側面図を示す。また、図1Bに扁平カールコード1を構成する扁平電線2を、軸線方向に交差する面で切断した断面図を示す。また、図1Cに扁平カールコード1の正面図を示す。さらに、図4Aに、扁平カールコード1を螺旋形状の中心軸に沿って切断した断面図を示す。なお、本開示において、扁平電線2の軸線方向とは、扁平電線2において電線が伸長している方向を示しており、扁平カールコード1の中心軸とは、扁平カールコードの螺旋の中心を通る軸を示している。
扁平カールコード1は、扁平電線2が螺旋状に巻かれたものとして構成されている。次に詳しく説明するように、扁平電線2は、軸線方向に交差する断面が扁平形状をとる電線であり、扁平カールコード1においては、その扁平形状の幅bの方向(幅方向x)に沿った扁平電線2の外側面である扁平面が、螺旋形状の外側および内側に向いている。カールコード1を構成する扁平電線2が扁平形状を有しているかぎりにおいて、螺旋構造全体としての形状は特に限定されるものではないが、略円柱状の形態をとることが好ましい。上記のように、扁平カールコード1において、扁平電線2の扁平面が螺旋形状の外側および内側に向いていることは、螺旋の各ターンにおいて、扁平電線2の扁平面が、幅方向(x方向)を螺旋形状の中心軸の方向(伸縮方向)にほぼ沿わせて並ぶことになる。換言すると、接するターンが扁平形状の幅方向xに沿って隣接する螺旋形状をとって、扁平カールコード1が構成される。
扁平カールコード1を構成する扁平電線2は、図1Bに示すように、導体12と絶縁被覆13を有している。導体12の外周が絶縁被覆13によって被覆されている。扁平電線2は、軸線方向に直行する断面が、扁平形状をとっている。好ましくは、扁平電線2の断面形状が、長方形に近似できる形状をとっているとよい。扁平電線2においては、軸線方向に直交する断面において、全体としての形状、つまり導体12と絶縁被覆13を含む扁平電線2全体の形状が、扁平形状をとるだけでなく、導体12自体も、扁平形状をとっている。本実施形態においては、扁平電線2は、扁平カールコード1の螺旋形状を構成する全域において、全体形状および導体12の形状が、上記のような扁平形状となっている。
扁平電線2において、導体12は、銅または銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属より構成され、絶縁被覆13の構成材料は、絶縁性の高分子材料、またはさらに充填剤等の添加剤を付加した材料より構成される。導体12は、単線より構成されてもよいが、螺旋形状への成形性およびカールコードの伸縮性を高める観点から、複数の素線11の撚線から構成される導体12を用いることが好ましい。撚線として構成された扁平形状の導体12の例を、図2に斜視図にて表示している。なお、各図においては、分かりやすいように、電線導体12を構成する素線11の本数を、実際の典型的な扁平電線より少なくして示している。
扁平電線2を製造するに際し、複数の素線11を断面略円形に撚り合わせたものを断面扁平となるように圧延することで、導体12を形成することができる。そして、絶縁被覆13となる高分子組成物を、押し出し成形等によって導体12の全周に被覆することで、扁平電線2を設けることができる。このようにして得られた扁平電線2を、丸棒の外周に巻き付ける等して、螺旋形状に巻くことで、カールコード1を製造することができる。この際、幅方向xに沿った扁平面が螺旋の内外に向くように、扁平電線2の方向を設定して、螺旋形状への巻き付けを行う。
なお、本実施形態においては、螺旋形状に成形する扁平電線2として、複数の絶縁電線を含む多芯ケーブルを用い、多芯のカールコードとしてもよい。しかし、その場合にも、複数の絶縁電線を含む集合体として構成された多芯ケーブルが扁平形状をとるだけでなく、各絶縁電線、また各導体自体が扁平形状をとっており、それらの扁平形状の幅方向xが、螺旋の中心軸に沿った方向に向いている。好ましくは、構成の簡素性等の観点から、図示した形態のとおり、1本の扁平形状の導体12の外周を絶縁被覆13で被覆した単線の扁平電線2を、単独で螺旋形状に巻いて、扁平カールコード1とするとよい。
さらに、扁平カールコード1においては、上記で述べた構成部材、つまり導体12および絶縁被覆13の他に、各部材の間や外周に、適宜他の部材を設けても良い。他の部材としては、例えば、特許文献1に記載されている、螺旋状に加工された絶縁電線のシースと一体化している、螺旋状に塑性変形された鋼線の例のように、螺旋形状に成形した扁平電線12の外周に、他の線材を配置する形態を挙げることができる。しかし、扁平カールコード1の細径性および軽量性を高める観点から、上記で述べた導体12および絶縁被覆13以外の部材は設けないことが好ましい。
(扁平カールコードの形状の詳細)
ここで、扁平カールコード1の形状の詳細、およびそれによってもたらされる扁平カールコードの特性について、丸カールコード1’との比較を交えながら説明する。ここで、比較の対象とする丸カールコード1’を、図3A,3Bに示す。図3Aは、丸カールコード1’の側面図を示し、図3Bは丸カールコードを構成する丸電線2’を軸線方向に対して垂直に切断した断面図を示す。丸カールコード1’は、扁平電線2と導体断面積および絶縁被覆の厚さが同じで、軸線方向に交差する断面が略円形となった丸電線2’を、扁平カールコード1と螺旋形状のターン間の間隔(図示した形態ではゼロ)および内径(I)を同じにした螺旋形状に巻いたものである。
本実施形態にかかる扁平カールコード1は、螺旋の内外に扁平面が向く巻き方で扁平電線2を巻きつけているため、扁平電線2の高さ方向yの長さaは、螺旋の径方向の厚み(図1C中の寸法L)を占めることになる。同じ導体断面積の丸カールコード1’と扁平カールコード1を比較すると、丸電線2’の径よりも扁平電線2の高さaの方が小さいので、扁平カールコード1は丸カールコード1’より螺旋の径方向の厚みLが小さくなる。このとき、カールコードの内径Iが同じであれば、扁平カールコード1の外径Pが小さく抑えられる。図4Cに、扁平カールコード1(A)と丸カールコード1’(B)の外径の比較を示しているが、扁平電線2と丸電線2’の幅方向の長さbの差に相当する長さをdとして、扁平カールコード1の外径が、丸カールコード1’の外径よりも長さ2dだけ小さくなる。よって、同じ内径のカールコードを形成する際に扁平電線2を使うほうが、電線の細径化に優れる。
本開示の実施形態にかかる扁平カールコード1においては、螺旋の内外に扁平面が向く巻き方で扁平電線2を巻きつけている。それにより、扁平電線2の幅方向xは、螺旋の中心軸に沿った方向にほぼ向くので、螺旋の各ターンにおいて、扁平電線2が螺旋の軸方向に占める長さが、扁平形状の幅bに対応する大きな寸法となる。ここで、扁平電線2の導体12の扁平面における幅方向の長さ(b)に対する高さ方向の長さ(a)の比率を扁平比率(a/b)とすると、後の実施例に示すように、扁平比率が0.79以下であると、扁平電線2の幅方向の寸法bが、導体断面積および絶縁被覆の厚さが同じ丸電線2’の外径より長くなり、螺旋の中心軸に沿った方向に占める長さが大きくなる。つまり、扁平比率が0.79以下である扁平電線2を用いた扁平カールコード1は、各ターンにおいて螺旋の軸方向に占める長さが、同じ導体断面積の丸電線2’を用いた丸カールコード1’の場合よりも大きくなる。よって、同じ長さ(自然長)のカールコードを形成する際に、扁平比率が0.79以下の扁平電線2を使う方が、丸電線2’を使う場合よりも、ターン数が少なく抑えられるため、電線としての実長が短くて済み、導体の使用量を削減することができる。絶縁被覆13の総体積も小さくできる。それらの効果として、カールコードの軽量化が達成される。
扁平カールコード1において、導体使用量低減の効果を高める等の観点から、用いる扁平電線2の実長をさらに短くするためには、扁平電線2における螺旋の軸方向に占める長さを大きくするとよい。つまり、扁平電線2の扁平形状において、幅方向xの長さ(b)が大きくなればよい。また、扁平カールコード1の細径化の観点から、扁平カールコード1の外径Pをさらに小さく抑えるためには、螺旋の径方向の厚みを小さくすればよい。つまり、扁平電線2において、高さ方向yの長さ(a)が小さくなればよい。ここで、上記のように、扁平電線2の扁平比率が0.79以下であるとき、丸電線2’を用いる場合よりも、電線の実長が短く済み、導体の使用量を削減することができるが、導体使用量低減および細径化の効果をさらに高めるためには、扁平比率を0.79からさらに小さくするとよい。例えば、扁平比率を0.5以下とするとよい。一方、扁平比率の値が小さくなりすぎると、導体12および扁平電線2全体の形状を維持することが困難となることから、カールコードとして使用できる耐久度を確保する観点から、扁平比率は0.1以上であることが好ましい。
なお、絶縁被覆13を押し出しによって形成する場合に、導体12の断面が扁平形状を有していることは、絶縁被覆13の厚さの均一性を高めることにも効果を有する。扁平形状を有する導体12の外周面においては、上下方向に、平坦な面が形成されているため、導体12の外周を被覆する絶縁被覆13を、各部に均一な厚さで形成しやすい。絶縁被覆13の厚さの均一性が高まることで、扁平電線2における絶縁被覆13全体を薄く形成しても、耐摩耗性等の特性を確保することができる。よって、導体の使用量削減と共に絶縁被覆13の厚みを薄くできるため、扁平カールコード1の軽量化において有効である。
本実施形態にかかる扁平カールコード1においては、上記のように、同じ導体断面積および、自然長を有する丸カールコード1’と比較して、外径が小さくなっている。また、扁平カールコード1が有する扁平電線2の扁平比率が0.79以下のとき、丸カールコード1’と比較して導体の使用量が少なくなる。一般に、ばねの弾性は、金属材料の使用量や螺旋径に依存する。しかし、本実施形態にかかる扁平カールコード1においては、後の実施例で確認されるように、丸カールコード1’のばね定数と同程度、あるいはそれに近い水準(例えば90%以上)のばね定数が確保できる。それにより、扁平カールコード1は、高いバネ性を確保できるものとなる。よって、扁平カールコード1の伸縮運動において、十分な復元力が得られる。
扁平カールコード1において、各素線11の径や導体12全体の導体寸法、扁平カールコード1における螺旋の具体的な形状等は、要求される弾性(バネ性)や導電性等を考慮して適宜定めればよいが、以下のような範囲を好適な例として挙げることができる。
・素線11の径:50~250μm
・導体寸法:0.80~1.13mm(高さ方向yの長さ)、2.25~3.19mm(幅方向xの長さ)
・螺旋ピッチ:1.12~16.85mm
・螺旋のターン間隔:0~15mm
(ワイヤーハーネス)
本開示の一実施形態にかかるワイヤーハーネスについても簡単に説明する。本実施形態にかかるワイヤーハーネスは、上記で説明した本開示の実施形態にかかる扁平カールコード1に、適宜端子等の接続部材を取り付けたもの、および/または、他の電線と複合したものとして構成される。そのようなワイヤーハーネスは、各種装置の可動部に好適に配策することができる。バネ性を確保しながら、細径化と導体使用量の削減を実現した、上記扁平カールコードを用いることで、ワイヤーハーネスの軽量化や細径化にも貢献することができる。自動車分野において、構成部材の軽量化は重要な課題であり、本実施形態にかかるワイヤーハーネスを、自動車のスライドドアやリアウィンドウ等に好適に使用することができる。
以下に実施例を示す。なお、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
(1)カールコードの細径性の評価
<評価方法>
扁平カールコードの扁平比率を0.1から1.0まで変化させたときの図1Cに示す外径Pを、試算した。また、扁平カールコードと導体断面積が等しい、丸カールコードの外径Pも扁平カールコードと同様の方法で試算した。扁平カールコードの試料をF1、F2とし、丸カールコードの試料をR1、R2とした。試料F1とF2、および、試料R1とR2において、内径Iは3mmで等しいが、試料F1および試料R1の円相当電線径は1.6mmであり、試料F2および試料R2の円相当電線径は3mmである。ここで、円相当径とは、着目している電線と同じ断面積を有する円形の直径を示すものであり、丸カールコードの場合は、断面の直径そのものに相当する。
外径Pの試算に際しては、円相当電線径と扁平比から、扁平カールコードを構成する扁平電線の幅方向の寸法bを算出した。丸カールコードの場合は、円相当電線径そのものを幅方向の寸法bとした。そして、所定の内径Iの円筒の外周に、厚さbの被覆体を形成したものとして、外径Pを見積もった。つまり、P=I+2bとして、カールコードの外径Pを試算した。
<結果>
図5Aおよび図5Bは、各試料の扁平比率を横軸に、算出した外径Pを縦軸にとったグラフである。各扁平比率における扁平カールコードの外径Pを三角印で示す。また、丸カールコードの外径Pを丸印で、合わせて図中に示す。
図5A、5Bのいずれにおいても、扁平電線を用いたプロット点が、丸電線を用いた場合の外径値の下側にあり、丸電線ではなく扁平電線をカールコードに適用することで、外径Pが小径化することが確認される。さらに、扁平比率を小さくするほど(扁平化の程度を大きくするほど)小径化の効果は大きくなっている。例えば図5Aにおいて、外径Pを扁平カールコード試料F1と丸カールコード試料R1で比較すると、扁平比率が0.1のとき試料F1の外径Pは、試料R1の外径Pよりも37%程度減少している(外径減少率)。なお、グラフ中で扁平比率が1である扁平電線は、幅方向の長さ(b)と高さ方向の長さ(a)が等しい場合、つまり断面が正方形の場合を示している。丸電線も扁平比が1であるが、丸電線と扁平電線で断面積が揃っており、正方形の辺の長さよりも面積が同じ円の直径の方が大きいことから、丸電線の方が扁平比率1の扁平電線よりもカールコードの外径Pが大きくなっている。
次に、図5Aと図5Bの結果を比較する。両者でカールコードの内径Iは揃っているが、図5Bの方が用いている電線の断面積(円相当電線径)が大きい。図5Aの扁平カールコードF1と図5Bの扁平カールコードF2で、それぞれ丸カールコードR1、R2からの外径減少率を、扁平比率が同じ場合について比較すると、各扁平比率において、扁平カールコードF2の方が、明らかに外径減少率が大きくなっている。つまり、電線の断面積が大きいほど、丸カールコードを扁平カールコードにしたときの小径化効果は大きい。例えば扁平比率が0.1での外径減少率を両試料で比較すると、試料F1が37%で試料F2が48%であり、試料F2の方が11ポイント分、外径減少効果が大きい。
(2)カールコードにおける導体使用量の評価
<評価方法>
扁平カールコードと丸カールコードで導体の使用量を比較する観点から、それぞれのカールコードを同じ長さで形成した場合について、螺旋のターン数を見積もった。螺旋のターン数は、使用される扁平電線および丸電線の導体の長さに、ほぼ比例する。(1)の評価で使用した試料F1、F2、R1およびR2について、全長が150mmのカールコードにおける各試料のターン数を試算し比較した。絶縁電線の断面積およびカールコードの内径が同じであれば、カールコードの螺旋形状のターン数は、カールコードを構成する絶縁電線の実長、および導体使用量にほぼ比例する。ターン間隔(隣接するターンを構成する絶縁電線の間の空隙の幅)をゼロとした場合に、ターン数Tは、扁平電線および丸電線の幅方向の寸法bを用いて、T=150/bと見積もることができる。
<結果>
図5Cは、各試料の扁平比率を横軸に、算出したターン数を縦軸にとったグラフである。各扁平比率における扁平カールコードF1のターン数を白抜き三角印で、試料F2のターン数を黒塗り三角印で示す。また、丸カールコードR1のターン数を白抜き丸印で、試料R2のターン数を黒塗り丸印で合わせて図中に示す。
図5Cにおいて、扁平カールコードF1と丸カールコードR1を、さらに扁平カールコードF2と丸カールコードR2のターン数Tを比較すると、扁平比率が0.1から0.8までの扁平電線を用いたプロット点が、丸電線を用いた場合のターン数Tの下側にあり、丸電線ではなく扁平電線をカールコードに適用することで、ターン数が減少することが確認される。つまり、扁平比率が0.79以下の扁平電線を用いることで、電線使用量を削減できるといえる。これは、扁平比率が0.1から0.79以下の時、扁平電線の方が丸電線よりも、幅方向の寸法が長くなっており、螺旋の中心軸に沿った方向に占める長さが大きくなることから、各ターンを占める電線の長さが大きくなったためである。上記のように、ターン数の減少は、用いる電線の実長を削減できることを意味し、図5Cの結果から、扁平比率が0.79以下の扁平電線から作製される扁平カールコードを用いることで、導体使用量を削減できることが示された。扁平比率が0.79以下の時は、カールコードF1およびF2において扁平比率を小さくするほど(扁平化の程度を大きくするほど)ターン数の減少効果が大きくなっていることから、導体使用量の削減効果も高くなっている。なお、扁平比率が0.8以上1未満の領域では、扁平電線の断面形状が、横長ではあるものの、正方形に近づいており、幅方向の寸法bが丸電線よりも大きくなることにより、丸電線を用いた場合よりもターン数が多くなってしまっている。ここで、扁平比率0.8として扱っている扁平カールコードのターン数が丸カールコードのターン数を逆転する点は、同じ面積の円の直径を幅方向寸法bとする長方形の扁平比率に対応しており、正確には、扁平率がπ/4≒0.79の点に対応する。
次に、試料F1と試料F2を比較する。試料F1と試料F2の内径Iは等しいが、試料F2の方が電線の断面積(円相当電線径)が大きい。図5Cの扁平カールコードF1と扁平カールコードF2で、それぞれ丸カールコードR1、R2からのターン数減少率について比較すると、各扁平比率において、ターン減少率は変わらない。つまり、丸カールコードを扁平カールコードにしたときの導体使用量の削減効果は、電線の断面積に依らない。例えば、扁平比率が0.1でのターン減少率を両試料で比較すると、両者とも36%となっている。ターン数減少率は、導体使用量の削減率に対応するものであり、丸カールコードを扁平カールコードにしたときの導体使用量の削減効果は、電線の断面積によらず得らえると言える。
(3)ばね定数
<カールコードの作製>
以下に示すような、断面略円形の導体を有する丸カールコードと扁平カールコードを作成し、それぞれを丸カールコードR3、扁平カールコードF3とした。
<丸カールコードR3>
37本の銅合金素線を撚り合わせて、導体断面積2mm2の導体線を作成した。そして、得られた導体の外周に、ポリ塩化ビニル系樹脂を押し出し成形することで、0.4mmの厚さの絶縁被覆を有する丸型の絶縁電線を作製した。次に、7.8mmの外径を有する直線状の棒材に、2.6mmのターン間距離で絶縁電線を螺旋状に巻き付け、全長が150mmの丸カールコードの試料R3を作製した。
<扁平カールコードF3>
丸カールコードと同様に導体線を作成し、得られた導体線に対して、ローラを用いた圧延を行い、導体断面が扁平形状で扁平比率が0.28の導体線を作製した。得られた導体の外周に、丸カールコードと同様に押し出し成形することで、0.4mmの厚さの絶縁被覆を有する扁平型の絶縁電線(扁平電線)を作製した。扁平形状の幅方向に沿った扁平電線の扁平面が、螺旋形状の外側および内側を向くように、7.8mmの外径を有する直線状の棒材に、2.6mmのターン間距離で扁平電線を巻きつけ、全長が150mmの扁平カールコードの試料F3を作製した。上記に示すとおり、試料R3と試料F3の自然長は等しい。
<評価方法>
上記で作製した扁平カールコードF3および丸カールコードR3について、一端を固定し、他端を所定の張力で伸長させた際の変位量を計測し、変位量(mm)と張力(N)の関係を記録した。その記録したグラフの傾きを求めることで、カールコードのばね定数を評価した。
<結果>
図6は、試料F3および試料R3のカールコードを、所定の長さだけ伸長(変位)させる時に必要な張力を示している。試料F3と試料R3のプロットは、ともに線形に近似することができ、また相互に非常に近い値をとっている。変位の量をx(mm)、張力をF(N)、ばね定数をkとすると、フックの法則からF=kxであり、ばね定数k=F(N)/x(mm)として求められる。そこで、各試料において線形近似をとり傾きを求めてばね定数kを算出すると、試料F3のばね定数kは0.029N/mm、試料R3のばね定数kは0.031N/mmでとなる。つまり、試料F3は試料R3の95%程度のばね定数を有し、両試料のばね定数は同程度といえる。試料F3は扁平電線の導体が扁平形状であり、導体断面積が等しい丸電線より構成された試料R3よりも総導体量が少ないが、導体断面積と自然長が揃っている。よって、総導体量の量が少なくても、導体断面積および自然長が揃っていれば、同等のバネ性が得られると言える。
以上の結果に示されるように、扁平電線をカールコードに適用した扁平カールコードは、導体断面積の等しい丸カールコードと同程度のばね性を有しながら、外径の縮小による細径化を実現することができる。特に、導体の扁平比率を小さくし、扁平化の程度を大きくすることで、細径化の効果が大きくなり、その効果は、導体断面積が大きい場合ほど顕著となる。
以上、本開示の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 扁平カールコード
1’ 丸カールコード
2 絶縁電線(扁平電線)
2’ 絶縁電線(丸電線)
11 素線
12 導体
13 絶縁被覆
a 高さ方向の長さ
b 幅方向の長さ
P 外径
I 内径
L 螺旋形状の径方向の厚み

Claims (8)

  1. 導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁被覆と、を含む絶縁電線が、螺旋形状に巻かれており、
    前記絶縁電線は、軸線方向に沿った前記導体および前記絶縁電線の断面形状が扁平形状をとった扁平電線であり、
    前記扁平形状の幅方向に沿った前記扁平電線の外側面である扁平面が、前記螺旋形状の外側および内側に向いた扁平カールコードであって、
    前記扁平電線と導体断面積および絶縁被覆の厚さが同じで、軸線方向に交差する断面が円形となった丸電線を、前記扁平カールコードと螺旋形状のターン間の間隔および内径、自然長を同じにした螺旋形状に巻いたものを丸カールコードとして、
    前記扁平カールコードのばね定数は、前記丸カールコードのばね定数の90%以上であり、
    前記螺旋形状において隣接するターンを構成する前記絶縁電線の間の空隙の幅として規定されるターン間隔がゼロである、扁平カールコード。
  2. 前記扁平電線全体の形状について、前記扁平形状の前記幅方向に交差する方向を高さ方向として、前記幅方向の長さに対する前記高さ方向の長さの比率を表す扁平比率が、0.79以下である、請求項1に記載の扁平カールコード。
  3. 前記扁平比率が0.5以下である、請求項2に記載の扁平カールコード。
  4. 前記導体は、複数の素線を撚り合わせた撚線より構成されている、請求項1に記載の扁平カールコード。
  5. 前記扁平カールコードの前記螺旋形状の外径は、前記丸カールコードの前記螺旋形状の外径の90%以下である、請求項1に記載の扁平カールコード。
  6. 前記扁平電線の断面形状が、長方形に近似できる形状をとっている、請求項1に記載の扁平カールコード。
  7. 前記扁平電線が、複数の素線を断面円形に撚り合わせたものを断面扁平に圧延し、全周に前記絶縁被覆を設けたものである、請求項6に記載の扁平カールコード。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の扁平カールコードを含むワイヤーハーネス。
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