JP7777417B2 - 常温硬化型2液コーティング組成物、防水剤及び防水工法 - Google Patents

常温硬化型2液コーティング組成物、防水剤及び防水工法

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Description

本発明は、常温硬化型2液コーティング組成物、この組成物からなる防水剤、この防水剤を用いた防水工法に関する。
ウレタンゴム系塗膜防水材は、一般的に、下地の定形、不定形に関わらず、信頼性の高い防水層を形成することができる。そのため、新築工事あるいは改修工事を問わず、集合住宅のベランダ、バルコニー、解放廊下、屋根、パラペット、架台等の防水に使用されている。更には、塗床材、スポーツ施設の弾性舗装等の用途にも広く使用されている。
現在、汎用的に使用されている手塗り用2液常温硬化型ウレタンゴム系塗膜防水材は、主剤として、トリレジンイソシアネート(以下、「TDI」ともいう。)及びポリオキシプロピレンジオールを含むウレタンプレポリマー、硬化剤として、3,3ジクロロ4,4’-ジアミノジフェニルアミン(以下、「MOCA」ともいう。)又はジエチルトルエンジアミン(以下、「DETDA」ともいう。)、可塑剤として、フタル酸ジエステル類であるフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(以下、「DOP」ともいう。)又はフタル酸ジイソノニル(以下、「DINP」ともいう。)を用いることが多い。
また、主剤として、キシリレンジイソシアネート(以下、「XDI」ともいう。)、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」ともいう。)、ノルボルネンジイソシアネート(以下、「NBDI」ともいう。)又はヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」ともいう。)とポリオキシプロピレンポリオールとを含むウレタンプレポリマー、硬化剤として、芳香族ポリアミンであるDETDA、可塑剤として、DOP又はDINPを用いる場合もある。
現在、使用されている手塗り用ウレタンゴム系塗膜防水材は、特定化学物質、毒物又は劇物に指定されたイソシアネート(TDI、IPDI、HDI等)を用いた主剤が多く、硬化剤中に特定化学物質であるMOCAを使用したものもあり、可塑剤として、発がん性や生殖毒性、内分泌撹乱物質としての作用等が報告されているDOPを用いたものがほとんどである(例えば、特許文献1~7)。
このようなウレタンゴム系塗膜防水材に含まれる成分の安全性については、上市され始めた30~40年前は大きな問題とならなかったものの、近年では、サステナビリティ(持続可能性)の観点から検討が必要になっている。
特開平08-143816号公報 特開平09-183942号公報 特開平07-330855号公報 特開平09-278859号公報 特開平06-49409号公報 特開平10-17819号公報 特開2019-19210号公報
そこで、人体及び環境に悪影響を及ぼす危険性が指摘されている、TDI(特定化学物質)、IPDI(毒物指定)、HDI(劇物指定)以外のイソシアネート化合物を用いてウレタンゴム系塗膜防水材を製造することが考えられるが、これらを処方した場合には、塗膜防水材に必要とされる十分な機械的強度(塗膜物性)を得るのが困難という問題があった。
そこで本発明は、硬化後に、ウレタンゴム系塗膜防水材に必要とされる十分な引張強さ、引裂強さ及び抗張積を実現しながら、持続可能な社会を目指し、人体及び環境に配慮した常温硬化型2液コーティング組成物を提供することを目的とする。
本発明は、ウレタンプレポリマーを含む主剤と、硬化剤とから構成され、上記ウレタンプレポリマーは、ポリオール及びポリイソシアネートの反応生成物であり、上記ウレタンプレポリマーは、水素添加キシリレンジイソシアネート(以下、「H-XDI」ともいう。)に由来する末端イソシアネート基を有しており、上記ポリオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシプロピレンジオール及びポリオキシプロピレントリオールを含有し、主剤中のイソシアネート濃度(以下、「NCO濃度」ともいう。)が0.9~1.90質量%である、常温硬化型2液コーティング組成物を提供する。
ウレタンプレポリマーの原料の一部として、従来汎用されてきたTDI、IPDI、HDIに代えて、H-XDIを用いることで、人体及び環境に配慮しつつ、施工性が良く(すなわち、扱いやすい主剤粘度及び十分な可使時間が得られ)、常温硬化型2液コーティング組成物の硬化後に、ポリウレタン製の塗膜防水材に一般に必要とされる十分な引張強さ、引裂強さ及び抗張積が得られることが分かった。更に、主剤中のNCO濃度を低く抑える事で、単価の高いイソシアネート原料の使用量を下げることが可能なため、コストを削減できるという利点もある。
すなわち、本発明の常温硬化型2液コーティング組成物は、特定化学物質、毒物、劇物、発がん性や生殖毒性、内分泌撹乱物質としての作用が報告されている可塑剤を使用する必要がなく、硬化した場合に、23℃での一般特性、60℃での高温特性、-20℃での低温特性に優れ、促進暴露による環境特性にも耐えることが可能である。更に、本発明の常温硬化型2液コーティング組成物は、耐熱性、耐薬品特性(耐酸性、耐アルカリ性)にも対応できる。これらに加え、硬化促進剤を添加することで、年間を通し、様々な季節、環境及び施工地域に対して、防水施行者が望む可使時間をより簡易に設定することができ、手塗りにより適したコーティング組成物とすることができる。
ここで、従来、特定化学物質でもなく、毒物及び劇物に指定されていないXDI及びNBDIを用いたウレタンゴム系塗膜防水材も存在していたが、得られた塗膜は十分な機械的強度を有しておらず、硬化剤に処方する可塑剤として、発がん性や生殖毒性、内分泌撹乱物質としての作用等が指摘されているDOP等を使用する必要があった。
通常、DOP等のフタル酸ジエステル系可塑剤を使用せずに、ウレタンゴム系塗膜防水剤を処方しようとした場合、主剤粘度、特に低温時の粘度を低く保つことが難しく、塗膜物性であれば、例えば、伸び率、耐環境特性(促進暴露試験)及び耐薬品特性(耐酸性及び耐アルカリ性)が低調になる事が多く、更に、汎用品として価格維持が難しかった。したがって、特定化学物質、毒物又は劇物に指定されており、発がん性が懸念されているDOPを使わざるを得ない状況であり、JIS A 6021:2011に適合し、持続可能な社会を目指し、将来に向けて持続的に使い続ける事が出来る手塗り用ウレタンゴム系塗膜防水剤がないのが現状である。ところが、本発明によれば、DOPを使用しなくても、可使時間及び施工作業性を確保でき、硬化した後の伸び率、耐環境特性(促進暴露試験)及び耐薬品特性(耐酸性及び耐アルカリ性)を優れたものとすることができる。
また、汎用的に使用されている手塗り用2液常温硬化型ウレタンゴム系塗膜防水剤の施工は、コテ、ヘラ、ローラー等を用いて、手塗りで行うため、主剤及び硬化剤の2液を攪拌機にて混合攪拌した後、少なくとも40分程度は防水面に塗布する時間が必要となる。可使時間とは、一般的に、23℃において、主剤及び硬化剤の攪拌混合物の粘度が100,000mPa・sに達するまでの時間である。ここで、本発明においては、主剤中のウレタンプレポリマーは、末端イソシアネート基がH-XDIであって、H-XDIはウレタン化及びウレア化反応が比較的遅いイソシアネートであるため、硬化剤の活性水素がDETDAである場合においても、可使時間を40~130分前後確保できる。
ここで、手塗り用ウレタンゴム系塗膜防水剤は、季節及び地域を問わず施工されるが、全ての季節及び地域で同じ手塗りウレタンゴム系塗膜防水剤を使う事は難しく、夏季用、冬季用、低温地域用を設定している。手塗り用ウレタンゴム系塗膜防水剤の可使時間(23℃、100,000mPa・S)は、例えば、40~130分程度(例えば、可使時間:75分、HCエコプルーフi、保土谷建材株式会社製)の範囲で調製される。例えば、可使時間が40分より短い場合、主剤と硬化剤とを攪拌混合している間に、硬化が始まり、施行が出来ない。一方、可使時間が130分より長くなると、翌日の硬化性が懸念され、翌日に次工程に進めない場合は、工期が長くなり、作業性が低下してしまう。ウレタンゴム系塗膜防水剤を用いて、手塗り工法で防水施工する場合は、ウレタンゴム系塗膜防水剤の可使時間は、作業性、人工、及び防水施工全般にとって、非常に重要となる。
上記ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量は200~3500であることが好ましい。ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量がこの範囲にあると、主剤の取り扱いが容易になる粘度を得ることができ、結果として、主剤及び硬化剤の混合物を塗布しやすくなる。
上記ポリオキシプロピレンジオール(以下、「2官能PPG」ともいう。)の数平均分子量は、900~5100であることが好ましい。2官能PPGの数平均分子量がこの範囲にあると、主剤及び硬化剤の混合物が硬化して得られる硬化物の引張強さ、抗張積、引裂強さ及び破断時の伸び率がより向上する。
上記ポリオキシプロピレントリオール(以下、「3官能PPG」ともいう。)の数平均分子量は、900~5100であることが好ましい。3官能PPGの数平均分子量がこの範囲にあると、主剤及び硬化剤の混合物が硬化して得られる硬化物の引張強さ、抗張積、引裂強さ及び破断時の伸び率がより向上する。
上記主剤は、更に、ポリカルボン酸エステルを含むことができる。
上記主剤中の上記ポリカルボン酸エステルは、アジピン酸ビス(2-エチルへキシル)(DOA)であることが好ましい。この場合、人体及び環境により配慮することができる。
上記硬化剤は、芳香族ポリアミン及びポリカルボン酸エステルを含むことができる。
上記芳香族ポリアミンは、2,4-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン、2,6-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン又はこれらの混合物であることが好ましい。この場合、人体及び環境により配慮することができる。
上記硬化剤中の上記ポリカルボン酸エステルは、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(DHIN)、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ビス(2-エチルへキシル)(DHEH)又はこれらの混合物であることが好ましい。ポリカルボン酸エステルがこのような化合物であることで、人体及び環境により配慮することができる。
本発明はまた、上記常温硬化型2液コーティング組成物からなる防水剤を提供する。このような防水剤は、その硬化時に十分な引張強さ、引裂強さ及び抗張積を実現しながら、人体及び環境に悪影響を及ぼしにくいという特徴を有している。
本発明はまた、基材上に上記防水剤の硬化物を形成する工程を備える、防水工法を提供する。
本発明によれば、硬化後に、ウレタンゴム系塗膜防水材に一般に必要とされる十分な引張強さ、引裂強さ及び抗張積を実現しながら、持続可能な社会を目指し、人体及び環境に配慮した常温硬化型2液コーティング組成物を提供することができる。本発明の常温硬化型2液コーティング組成物、この組成物からなる防水剤(ウレタンゴム系塗膜防水材半製品(液状))及びその硬化物は、言い換えれば、持続可能な社会の実現のため、原料として特定化学物質、毒物、劇物、発がん性や生殖毒性、内分泌撹乱物質としての作用等が指摘されているフタル酸ジエステル類(DOP)を含む必要がなく、一般特性、環境負荷特性、耐薬品特性を有した組成物、この組成物からなる防水剤(ウレタンゴム系塗膜防水材半製品(液状))及びその硬化物である。
以下、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書において、「常温硬化型」とは、外部より熱を加えず、外気温で硬化することを意味する。本発明の常温硬化型2液コーティング組成物は、常温硬化型環境対応2液コーティング組成物ともいうことができるが、「環境対応」とは、持続可能な社会を鑑み、使用する原料として、特定化学物質、毒物、劇物、発がん性や生殖毒性、内分泌撹乱物質としての作用等が指摘されている物質をほとんど又は全く使用しないことを意味する。
本明細書において、数平均分子量は、ポリスチレンを標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される値を意味し、以下の条件で測定することができる。
装置:TOSOH HCL-8320(東ソー株式会社製)
カラム:TSKgel G4000H+G2500H(7.5mmI.D×30cm)(東ソー株式会社製)
検出器:RI
溶離液:THF
注入量:100μL
流速:1.0mL/分
測定温度:40℃
サンプル濃度:0.3wt/vol%
本発明の常温硬化型2液コーティング組成物は、主剤及び硬化剤から構成され、主剤は、ウレタンプレポリマーを含む。ウレタンプレポリマーは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、「PTMG」ともいう。)、ポリオキシプロピレンジオール(以下、「2官能PPG」ともいう。)及びポリオキシプロピレントリオール(以下、「3官能PPG」ともいう。)を含有するポリオールと、ポリイソシアネートとの反応生成物であり、ウレタンプレポリマーは、水素添加キシリレンジイソシアネートに由来する末端イソシアネート基を有しており、主剤中のイソシアネート濃度(NCO濃度)は、0.9~1.90質量%である。
ポリオールがPTMGを含有することによって、常温硬化型2液コーティング組成物の硬化物の、引張強さ、抗張積、引裂強さがより向上する。
PTMGの数平均分子量は、200以上とすることができ、250以上が好ましく、450以上がより好ましい。PTMGの数平均分子量は、3500以下とすることができ、3000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1000以下が更に好ましい。PTMGの数平均分子量が上述した範囲にあると、主剤の取り扱いが容易になる粘度となり、結果として主剤及び硬化剤の混合物を塗布しやすくなる。
PTMGは、テトラヒドロフラン(THF)を開環重合させて得ることができる。PTMGとして、市販品を用いてもよい。
PTMGの含有量は、ポリオール全量(化学当量)を基準として、1当量%以上とすることができ、3当量%以上が好ましく、5当量%以上がより好ましく、7当量%以上が更に好ましい。PTMGの含有量がこの範囲にあると、主剤及び硬化剤の混合物が硬化して得られる硬化物の引張強さ、引裂強さ、及び抗張積がより向上する。PTMGの含有量は、ポリオール全量を基準として、90当量%以下とすることができ、80当量%以下が好ましく、60当量%以下がより好ましく、40当量%以下が更に好ましく、20当量%以下が特に好ましい。PTMGの含有量がこの範囲にあると、主剤の取り扱いが容易になる粘度を得ることができ、結果として主剤及び硬化剤の混合物を塗布しやすくなる。
2官能PPGは、2個の水酸基を有する化合物である。2官能PPGの数平均分子量は、900以上とすることができ、950以上が好ましく、1000以上がより好ましい。2官能PPGの数平均分子量がこの範囲にあると、主剤及び硬化剤の混合物が硬化して得られる硬化物の破断時の伸び率がより向上する。2官能PPGの数平均分子量は、5100以下とすることができ、4500以下が好ましく、4000以下がより好ましい。2官能PPGの数平均分子量がこの範囲にあると、主剤及び硬化剤の混合物が硬化して得られる硬化物の引張強さ、抗張積及び引裂強さがより向上する。
ポリオール中の2官能PPGの含有量は、ポリオール全量(化学当量)を基準として、10当量%以上とすることができ、20当量%以上が好ましく、25当量%以上がより好ましく、50当量%以上が更に好ましく、65当量%以上が特に好ましい。ポリオール中の2官能PPGの含有量がこの範囲にあると、主剤及び硬化剤の混合物が硬化して得られる硬化物の引張強さ、引裂強さ、及び抗張積がより向上する。ポリオール中の2官能PPGの含有量は、95当量%以下とすることができ、90当量%以下が好ましく、85当量%以下がより好ましい。ポリオール中の2官能PPGの含有量がこの範囲にあると、主剤の取り扱いが容易になる粘度を得ることができ、結果として主剤及び硬化剤の混合物を塗布しやすくなる。
3官能PPGは、3個の水酸基を有する化合物である。3官能PPGの数平均分子量は、900以上とすることができ、950以上が好ましく、1000以上特に好ましい。3官能PPGの数平均分子量がこの範囲にあると、主剤及び硬化剤の混合物が硬化して得られる硬化物の破断時の伸び率がより向上する。3官能PPGの数平均分子量は、5100以下とすることができ、4500以下が好ましく、4000以下がより好ましい。3官能PPGの数平均分子量がこの範囲にあると、主剤及び硬化剤の混合物が硬化して得られる硬化物の引張強さ、抗張積及び引裂強さがより向上する。
ポリオール中の3官能PPGの含有量は、ポリオール全量(化学当量)を基準として、1当量%以上とすることができ、5当量%以上が好ましく、10当量%以上がより好ましく、15当量%以上が更に好ましい。ポリオール中の3官能PPGの含有量がこの範囲にあると、主剤及び硬化剤の混合物が硬化して得られる硬化物の引張強さ、引裂強さ、及び抗張積がより向上するポリオール中の3官能PPGの含有量は、90当量%以下とすることができ、70当量%以下が好ましく、50当量%以下がより好ましく、30当量%以下が更に好ましい。ポリオール中の3官能PPGの含有量がこの範囲にあると、主剤の取り扱いが容易になる粘度を得ることができ、結果として主剤及び硬化剤の混合物を塗布しやすくなる。
2官能PPGの数平均分子量及び3官能PPGの数平均分子量は、それぞれ900~5100とすることができる。2官能PPGの数平均分子量及び3官能PPGの数平均分子量がそれぞれこの範囲にあると、主剤及び硬化剤の混合物が硬化して得られる硬化物の引張強さ、抗張積及び引裂強さがより向上する。
ポリオールは、PTMG、2官能PPG及び3官能PPG以外に、他のポリオール成分を含有することができる。他のポリオール成分は、例えば、炭素数2~20の多価アルコール、炭素数2~20の多価アルコール若しくは炭素数6~26の多価フェノールに炭素数2~4のアルキレンオキサイドが付加されたポリオキシアルキレンポリオール(PTMG、2官能PPG及び3官能PPGを除く)、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリジエンポリオール(ポリブタジエンポリオール等)、ポリジエンポリオールの水添物、アクリル系ポリオール、天然油系ポリオール(ヒマシ油等)、又は天然油系ポリオールの変性物とすることができる。
ウレタンプレポリマーは、上述したポリオールと、ポリイソシアネートとの反応生成物であり、水素添加キシリレンジイソシアネートに由来する末端イソシアネート基を有している。水素添加キシリレンジイソシアネートとは、キシリレンジイソシアネートのベンゼン環に水素を添加してシクロヘキサン環としたもので、ビスイソシアネートメチルシクロヘキサン、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、H6-XDI、H-XDI等と表記される。ウレタンプレポリマーは、例えば、上述のポリオールに後述する当量比でH-XDIのみを加え、加熱混合することにより反応させて得ることができる。また、末端イソシアネート基はH-XDIに由来するが、それ以外(ウレタンプレポリマー中央部分)のウレタン結合部にはH-XDI以外に、安全性、環境に配慮したイソシアネート、例えば、MDI、XDI、NBDI、NDI、TMXDI等に由来する基が含まれていてもよい。多種類のイソシアネートを用い、ウレタンプレポリマーの末端イソシアネートをH-XDI由来にするためには、ウレタンプレポリマー化反応を2段階とする。ウレタンプレポリマー化第1段階反応は、例えば、MDI、XDI、NBDI、NDI、TMXDI等と上述のポリオールとを、NCO基/OH基比を0.5以下で仕込み、イソシアネート基をすべて水酸基と反応させる。得られたウレタンプレポリマー反応液について、周知のNCO濃度測定を行い、0.01%以下であること(イソシアネート基がすべて反応し、残存していないこと)を確認する。次いで、ウレタンプレポリマー化第2段階反応として、上記のウレタンプレポリマー反応液中に、更に、水素添加キシリレンジイソシアネートを添加し、ウレタンプレポリマー化反応を行う事で、末端イソシアネート基がH-XDIに由来するウレタンプレポリマーを調製できる。
主剤中のNCO濃度は、0.9~1.90質量%である。NCO濃度は、例えば1.0質量%以上又は1.1質量%以上とすることができる。NCO濃度がこの範囲にあると、主剤の粘度を低く抑える事ができ、また、保存安定性が向上する。NCO濃度は、例えば1.85質量%以下又は1.75質量%以下とすることができる。NCO濃度がこの範囲にあると、コーティングの仕上がり(外観)がよく、単価の高いイソシアネート原料の使用量を低く抑える事が出来るため、汎用品として単価が抑えられる。また、本発明の主剤中には、未反応のイソシアネートが無い、又は、非常に少ないため、人体及び環境に更に配慮することができる。
ポリオール中の水酸基(OH基)に対するポリイソシアネート中のイソシアネート基(NCO基)の当量比(NCO基/OH基)は、1.20以上が好ましく、1.30以上がより好ましく、1.40以上がさらに好ましい。NCO基/OH基がこの範囲にあると、主剤の保存安定性が向上する。NCO基/OH基は、1.70以下、又は1.65以下とすることができる。NCO基/OH基がこの範囲にあると、長い可使時間が得られる。
また、ウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基をH-XDIに由来する末端イソシアネート基とするには、ポリイソシアネート中の全NCO基に対するH-XDIのNCO基の割合が、例えば28当量%以上であればよい。例えば、ポリイソシアネートとしてH-XDI及びMDIを用いる場合であって、上記当量比(NCO基/OH基)が1.20の場合、ポリイソシアネート中の全NCO基に対するH-XDI及びMDIのNCO基の合計割合は28当量%以上であればよい。ポリイソシアネートとしてH-XDI及びMDIを用いる場合であって、上記当量比(NCO基/OH基)が1.70の場合、ポリイソシアネート中の全NCO基に対するH-XDI及びMDIのNCO基の合計割合は78当量%以上であればよい。ポリイソシアネートとしてH-XDIと、H-XDI及びMDI以外のポリイソシアネート(例えば、XDI、NBDI、TMXDI、NDI)とを用いる場合であって、上記当量比(NCO基/OH基)が1.20の場合、ポリイソシアネート中の全NCO基に対する、H-XDIと、H-XDI及びMDI以外のポリイソシアネートとのNCO基の合計割合は30%以上であればよい。ポリイソシアネートとしてH-XDIと、H-XDI及びMDI以外のポリイソシアネート(例えば、XDI、NBDI、TMXDI、NDI)とを用いる場合であって、上記当量比(NCO基/OH基)が1.65の場合、ポリイソシアネート中の全NCO基に対する、H-XDIと、H-XDI及びMDI以外のポリイソシアネートとのNCO基の合計割合は78%以上であればよい。
2官能PPGの当量に対する、PTMG及び3官能PPGの合計当量の比は、0.1以上とすることができ、0.2以上が好ましく、0.3以上が更に好ましい。この比が上記範囲にあると、JIS A 6021:2011「建築用塗膜防水材」の劣化処理後の引張性能試験で測られる引張強さ比及び破断時の伸び率が向上する。2官能PPGの当量に対する、PTMG及び3官能PPGの合計当量の比は、1.0以下とすることができ、0.8以下が好ましく、0.6以下がより好ましく、0.5以下が更に好ましい。この比が上記範囲にあると、主剤の取り扱いが容易になる粘度が得られ、結果として主剤及び硬化剤の混合物を塗布しやすくなる。
ウレタンプレポリマーを合成する際、ポリオール及びポリイソシアネートの混合時又はその前後のタイミングで、ウレタン反応を促進させる触媒を混合してもよい。また、主剤と硬化剤との反応を促進させるためにも触媒を混合してよい。ウレタンプレポリマー合成反応を促進させる触媒としては、例えば、有機酸、有機酸金属塩、酸無水物、イミダゾール化合物等、一般的なウレタン化反応促進剤を使用することができるが、人体及び環境に配慮した材料を用いることが好ましい。有機酸としては、例えば、プロピオン酸、2-メチルペンタン酸、イソノナン酸、2-エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、ナフテン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。有機酸金属塩としては、亜鉛塩(例えば、K-KAT XK634(楠本化成株式会社製))、ビスマス塩(例えば、K-KAT XK628(楠本化成株式会社製))、マグネシウム塩(例えば、2-エチルヘキサン酸マグネシウム(富士フィルム和光製薬株式会社製))、ジルコニウム塩(例えば、K-KAT 6212(楠本化成株式会社製))、カルシウム塩(例えば、ニッカオクチックスカルシウム(日本化学産業株式会社製))、バリウム塩(例えば、2-エチルヘキサン酸バリウム(富士フィルム和光製薬株式会社製))、銅塩(例えば、2-エチルヘキサン酸銅(富士フィルム和光製薬株式会社製))等が挙げられる。ウレタンプレポリマー反応を促進させる触媒としては、特に、亜鉛塩を用いることが好ましい。主剤と硬化剤との反応を促進させる触媒としては、有機酸、例えば、2-エチルヘキサン酸を用いることが好ましい。
ポリオール及びポリイソシアネートの反応温度(加熱温度)は、50~100℃が好ましい。
ポリオール及びポリイソシアネートの反応時間は、0.5~10時間とすることができる。
主剤は、主剤及び後述する硬化剤を混合した際の粘度調整等のために、ウレタンプレポリマーの他に、粘度調整剤として可塑剤、溶剤等を更に含むことができる。主剤は、ポリイソシアネートのイソシアネート基とポリオールの水酸基とを効率的に反応させるための触媒及び/又は遅延剤を更に含むことができる。主剤は、主剤及び硬化剤の混合物が硬化して得られる硬化物の仕上りや、耐久性、他材との密着性等を向上させるための添加剤を含むことができるが、これらは人体及び環境に配慮した材料が好ましい。
主剤に使用する可塑剤として、脂肪族二塩素酸エステル類(例えば、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ビス(2-エチルへキシル)(DOA)等)、シクロヘキサン誘導体(例えば、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(DHIN)、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ビス(2-エチルへキシル)(DHEH)等)、リン酸エステル類、トリメリット酸エステル類(例えば、トリメリット酸トリ(2-エチルヘキシル)(TOTM))、セバシン酸エステル類、エポキシ脂肪酸エステル類、グリコールエステル類、動物油系脂肪酸エステル類、石油・鉱物油系可塑剤、アルキレンオキシド重合系可塑剤等を使用することができる。主剤中に含まれる可塑剤としては、特に、DOAを使用することが好ましい。DOAは、本発明の主剤中のウレタンプレポリマーと相溶性が高く、夏及び冬の気温に関係なく、通年を通して使用可能な粘度を保つことができるため、夏及び冬専用主剤を設定する必要が無い。硬化剤に含まれる可塑剤としては、特に、DINA、DOA、DHIN、DHEH又はこれらの混合物を使用することが好ましく、DHIN、DHEH又はこれらの混合物が更に好ましい。
更に、硬化剤に含まれる可塑剤として、発がん性や生殖毒性、内分泌撹乱物質としての作用等が指摘されているフタル酸エステル系可塑剤、例えば、フタル酸ジエステル類、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DOP)、テレフタル酸ジエステル(DOTP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジノルマルオクチル(DNOP)は使用しないことが好ましい。これにより、人体及び環境により配慮することができる。ただし、フタル酸ジエステル類すべての使用が禁じられるわけではない。2021年現在、日本では、フタル酸ジイソノニル(DINP)及びテレフタル酸ジエステル(DOTP)はフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DOP)の代替原料として、使用頻度が高い。持続可能な原料ではないが、時代背景により、使用する事ができる。
上述した可塑剤、溶剤、触媒、遅延剤、添加剤等の合計含有量は、主剤の総質量を基準として、10~25質量%とすることができ、15~20質量%とすることができる。
主剤の23℃における粘度は、1000mPa・s以上とすることができ、3000mPa・s以上が好ましく、5000mPa・s以上がより好ましく、8000mPa・s以上が更に好ましい。主剤の粘度がこの範囲にあると、硬化物(塗膜)の一定の膜厚を確保しやすくなる。主剤の23℃における粘度は、60000mPa・s以下とすることができ、30000mPa・s以下が好ましく、15000mPa・s以下がより好ましい。主剤の粘度がこの範囲にあると、主剤の取り扱いが容易になり、結果として主剤及び硬化剤の混合物を塗布しやすくなる。主剤の粘度は、JIS K 7301:1995の「熱硬化性ウレタンエラストマー用トリレンジイソシアネート型プレポリマー試験方法 6.2粘度」に準じて、回転粘度計を用いて測定することができる。
硬化剤は、ポリカルボン酸エステル等の可塑剤、ポリアルコール及びポリアミン等の架橋剤を含むことができる。ポリカルボン酸エステルとしては、例えば、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(DHIN)、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ビス(2-エチルへキシル)(DHEH)等のシクロヘキサン誘導体及びこれらの混合物が例示できる。DHIN及びDHEHは、REACH規制対象物質ではないため好ましく、これらを用いることで、人体及び環境により配慮することができる。ポリアミンは、例えば、ジエチルトルエンジアミン(2,4-ジエチルトルエンジアミン、2,6-ジエチルトルエンジアミン)、ポリアルキレンエーテルポリオール-p-アミノベンゾエート、ポリテトラメチレンエーテルグリコールアミノベンゾエート、4,4’-ビス(sec-ブチルアミン)ジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトライソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジイソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジイソブチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジエチル-5,5’-ジイソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジエチル-5,5’-ジイソブチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン、N,N’ジ-sec-ブチル4,4‘-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、ノルボルネンジアミン、N,N‘-(ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイル)-ビスアスパラギン酸テトラエチルエステル等の脂環式ポリアミン、トリアミノプロパン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N‘-(2-メチルペンタン-1,5-ジイル)-ビスアスパラギン酸テトラエチルエステル、ポリオキシアルキレンアミン、ポリエーテルアミン等の脂肪族ポリアミンとすることができる。これらの架橋剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いられてよい。硬化剤は、架橋剤として、芳香族ポリアミンを含有することが好ましく、ジエチルトルエンジアミン(以下、「DETDA」ともいい、2,4-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン、若しくは、2,6-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン又はこれらの混合物である。)を含有することがより好ましい。DETDAは、REACH規制対象物質ではないため好ましく、DETDAを用いることで、人体及び環境により配慮することができる。
硬化剤中に含まれる架橋剤の、硬化剤の全質量基準での含有量は、0.5~9.0質量%とすることができ、1.0~7.0質量%とすることができる。
硬化剤は、可塑剤及び架橋剤の他に、溶剤;触媒;炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム、タルク、カオリン、シリカ、ベントナイト、ゼオライト、ケイソウ土等の無機充填材;酸化クロム、ベンガラ、酸化鉄、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料;湿潤剤、分散剤、沈降防止剤、光安定剤、消泡剤、表面調整剤、密着付与剤、耐候性付与剤等の添加剤等を更に含有することができる。可塑剤としては、主剤に含有され得るとして列挙した可塑剤と同じ可塑剤も用いることができる。無機充填剤としては、炭酸カルシウムが好ましい。炭酸カルシウムとしては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、表面処理コロイダル炭酸カルシウム等が挙げられる。
上述した主剤及び硬化剤を混合することにより、混合物が硬化する。得られた硬化物は防水材の一部又は全部として好適に用いられる。すなわち、上述した主剤及び硬化剤の混合物の硬化物を備える防水材を得ることができる。
上述した防水材は、引張強さ、引裂強さ、抗張積及び破断時の伸び率に優れており、高強度且つ高伸長な防水材である。また、上述した防水材は、人体及び環境に配慮した安全なものである。
一実施形態に係る防水工法は、基材上に、防水剤の硬化物を形成する工程を備える。言い換えれば、基材上に、防水剤の硬化物を形成することで、防水材を製造することができる。防水剤の硬化物を形成する工程は、防水剤が有する主剤及び硬化剤の混合物を基材に塗布する工程(塗布工程)を備えることができ、塗布工程の前に、防水剤が有する主剤及び硬化剤を混合する工程(混合工程)を更に備えることもできる。
混合工程において、主剤及び硬化剤を混合する際の温度(環境温度)は、例えば-10~40℃とすることができる。
主剤及び硬化剤の混合比は、質量比で1:1~5とすることができ、1:1~4が好ましく、1:1~3がより好ましい。
硬化剤がポリアミンを含む場合、混合工程において主剤及び硬化剤を混合する際には、硬化剤に含まれるアミノ基(NH基)に対する、主剤中のNCO基の当量比(NCO基/NH基)を、0.8~1.5とすることが好ましく、0.9~1.4とすることがより好ましく、1.0~1.3とすることが更に好ましい。NCO基/NH基がこの範囲にあると、引張強さ、引裂強さ及び抗張積により優れた硬化物を得ることができる。
塗布工程では、主剤及び硬化剤の混合物が硬化する前に、この混合物を基材に塗布する。基材は特に限定されず、家屋又はビルディング等の建築物における壁面、床面等とすることができる。本実施形態に係る主剤及び硬化剤の混合物は、十分な可使時間が得ることも可能であり、この場合、特に手塗りによる塗布(手塗り塗工)に適している。手塗りとは、コテ、ヘラ、ローラー、刷毛等を用いて人の手で基材に塗布することを意味する。すなわち、混合工程においては、手塗り塗工を実施することができる。手塗りによる塗布には、スタティックミキサー、ダイナミックミキサー等の自動混合装置等の機械による塗布、ローラー、リシンガン、エアレスガン、刷毛等の道具を使用した塗布も含まれる。なお、本実施形態に係る混合物を、例えばスプレーによって基材に塗布(スプレー塗工)することが妨げられるわけではない。
主剤及び硬化剤の混合物を、基材に、この混合物が硬化して得られる硬化物の厚さが0.05~10mmとなるように塗布することができる。好ましくは、0.1~5mm、更に好ましくは、0.5~4.0mmがよい。
本実施形態に係る常温硬化型2液コーティング組成物によれば、例えば、主剤及び硬化剤の混合物の23℃における粘度が100,000mPa・sに達するまでに40分以上を要するため、十分に長い可使時間を得られるといえる。本実施形態に係る常温硬化型2液コーティング組成物においては、主剤及び硬化剤の混合物の23℃における粘度が100,000mPa・sに達するまで60分以上であると、可使時間の点でより好ましい。
上述した方法によって得られる防水材は、防水材の用途以外にも、高強度性能、高負荷性能が要求されるスポーツ施設等の床材、建築物等の被覆材、更には防錆材等の用途にも使用することができる。なお、用途によっては、作業性に応じて人体及び環境に配慮した有機溶剤を混合物に加えてから施工することも可能である。
下地基材の種類に関わらず、基材と硬化物との両方に接着性を示すプライマー層を、基材と硬化物との間に設けることが好ましい。例えば、基材がモルタル、コンクリート、ALC及び合板であれば、ウレタン樹脂系プライマー、例えば、HCプライマーCB30又はCB30III、エポキシ樹脂製プライマー、例えば、HCプライマーEPO(保土谷建材株式会社製)用いることが好ましい。例えば、基材が石材、ガラス、磁器タイル、鉄、アルミニウム、ステンレス、亜鉛鉄板、銅板、FRP、エポキシ樹脂であれば、ウレタン樹脂製プライマー、例えば、ミリオネートMS-60及びエポキシ樹脂製プライマー、例えば、HCプライマーEPO(保土谷建材株式会社製)を用いることが好ましい。下地基材が塩化ビニルであれば、ウレタン樹脂製プライマー、例えば、ミリオネートMS-60(保土谷建材株式会社製)を用いることが好ましい。下地基材が鉛であれば、エポキシ樹脂製プライマー、例えば、HCプライマーEPO(保土谷建材株式会社製)を用いることが好ましい。下地基材がEPDMゴムシートであれば、例えば、ミリオネートMS-70(保土谷建材株式会社製)を用いることが好ましい。人体及び環境に配慮したプライマーとしては、有機溶剤無配合、特定化学物質無配合であるエポキシ樹脂製プライマーであるHCプライマーEPOが好ましい。
本実施形態に係る防水材は、硬化物の基材とは反対側の表面上に、トップコート層を塗布することができる。この場合、直射日光を避けることができ、意匠性を上げることも可能である。トップコート層には、例えば、特定化学物質を含まず、有機溶剤中毒予防則に適合しない、アクリルウレタン樹脂製トップコート、例えば、HCエコトップゼロ、HCエコトップクールゼロ(保土谷建材株式会社製)等を使用することが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の表において、表中の略称は以下の成分を示す。
(1)H-XDI:1,3-ビス(イソサナトメチル)シクロヘキサン(商品名「タケネート600」、三井化学株式会社製)、XDI:1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(商品名「タケネート500」、三井化学株式会社製)、NBDI:ノルボルネンメタンジイソシアネート(商品名「NBDI」、三井化学株式会社製)、NDI:1,5-ジイソシアナトナフタレン(商品名「NDI」、三井化学株式会社製)
(2)PTMG-250:(数平均分子量250、商品名「PTMG-250」、三菱ケミカル株式会社製)、PTG-650:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量650、商品名「PTG-650SN」、保土谷化学工業株式会社製)、PTG-1000:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量1000、商品名「PTG-1000SN」、保土谷化学工業株式会社製)、PTG-2900:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量2900、商品名「PTG-2900SN」、保土谷化学工業株式会社製)
(3)PPG-T1500:ポリオキシプロピレントリオール(数平均分子量1500、商品名「アクトコール T-1500」、三井化学SKCポリウレタン株式会社製)、PPG-T3000S:ポリオキシプロピレントリオール(数平均分子量3000、商品名「アクトコール T-3000」、三井化学SKCポリウレタン株式会社製)
(4)PPG-D1000:ポリオキシプロピレンジオール(数平均分子量1000、商品名「アクトコール D-1000」、三井化学SKCポリウレタン株式会社製)、PPG-D2000:ポリオキシプロピレンジオール(数平均分子量2000、商品名「アクトコール D-2000」、三井化学SKCポリウレタン株式会社製)、PPG-D3000:ポリオキシプロピレンジオール(数平均分子量3000、商品名「アクトコール D-3000」、三井化学SKCポリウレタン株式会社製)
(5)BPX33:ビスフェノールA・プロピレンオキシド付加物(商品名「アデカポリエーテル BPX-33」、株式会社ADEKA製)
<主剤の調製:実施例1~16、比較例1~9>
撹拌機、温度計、冷却器及び窒素シール管を備えた金属製反応容器に、表1,2,4に記載のポリオール、可塑剤(DOA)、添加剤(消泡剤(共栄社化学株式会社製フローレンAC2200HF)及びイソパラフィン系炭化水素(出光興産株式会社製IPソルベント1620))及び触媒(楠本化成株式会社K-KAT XK634)を、表に記載の量となるように仕込み、95~105℃で1時間、減圧脱水を実施した。液温が40℃以下になるまで冷却後、H-XDIを所定量添加し、反応が完結するまで、撹拌しながら80℃で1~2時間加熱した。反応後の液体を室温まで冷却し、粘度調整剤等を加え撹拌しながら均一化して、末端イソシアネートがH-XDIである主剤(ウレタンプレポリマー)を得た。
<主剤の調製:実施例17~20>
撹拌機、温度計、冷却器及び窒素シール管を備えた金属製の反応容器に、表3に記載のポリオール、可塑剤(DOA)、添加剤(消泡剤(共栄社化学株式会社製フローレンAC2200HF)及びイソパラフィン系炭化水素(出光興産株式会社製IPソルベント162))及び触媒(楠本化成株式会社製K-KAT-XK-634)を、表に記載の量となるように仕込み、95~105℃で1時間、減圧脱水を実施した。液温が40℃以下になるまで冷却後、MDI、XDI又はNBDIを徐々に加えて、NCO濃度が0~0.1%になるまで、撹拌しながら80℃で1~2時間加熱した。冷却後、NCO濃度を確認した後に、H-XDIを徐々に加え、反応が完結するまで、撹拌しながら80℃で1~2時間加熱した。反応後の液体を室温まで冷却し、粘度調整剤等を加え撹拌しながら均一化して、末端イソシアネートがH-XDIである主剤(ウレタンプレポリマー)を得た。
<主剤のNCO濃度の測定>
300ml三角フラスコに得られた主剤1gを秤量し、0.2N ジ-n-ブチルアミントルエン溶液15mlに加えて溶解混合する。ブロモフェノールブルー数滴とメタノール70mlとを加え、得られた混合液を、0.1N 塩酸溶液で滴定した。NCO濃度(質量%)は下記の式により算出することができる。
NCO濃度(質量%)=(42×(ブランク滴定値-0.1N 塩酸溶液滴定値)×0.1N 塩酸溶液ファクター×0.1×100)÷(サンプル質量×1000)
<主剤中のポリオール当量比>
主剤の原料(PTMG、2官能PPG又及び3官能PPG)の当量は、各原料が有する反応基一個あたりの分子量であり、使用量を一当量あたりの分子量で割ると、当量が算出される。表1~4に記載された当量比(%)は、PTMG、2官能PPG及び3官能PPGの合計当量に対し、PTMG、2官能PPG又は3官能PPGの当量を百分率で表したものである。(PTMG+Triol):Diol当量比(%)は、PTMG及び3官能PPG(Triol)の当量百分率合計と、2官能PPG(Diol)単独当量百分率との比率を表したものである。(PTG+Triol)/Diol当量比率は、PTMGと3官能PPG(Triol)の当量百分率合計と2官能PPG(Diol)単独当量百分率で割った値を表したものである。
<硬化剤の調製:実施例1~20、比較例1~9>
DETDA(アルベマール・コーポレーション社製エタキュア100)、可塑剤(DHIN及びDHEH)、添加剤(劣化防止剤(株式会社アデカ製アデカスタブLA-72)、トナー(日弘ビックス株式会社グレートナー)及びゼオライト(ニオン昭和株式会社製USKK L パウダー))、触媒(富士フィルム和光製薬株式会社製2-エチルヘキサン酸)、及び、無機充填剤(重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製SUPER#1500)及び軽微炭酸カルシウム(白石工業株式会社製HOMOCAL DM))を表に記載の質量部でディゾルバーに仕込み、室温で60分間攪拌混合して硬化剤を得た。
<塗膜(硬化物)の作製及び可使時間の評価>
得られた主剤及び硬化剤を、表1~4に記載の質量混合比率となるように、室温23℃且つ湿度50%の恒温恒湿室において攪拌混合した。得られた攪拌混合物を、剥離処理された基板に厚さ2mmとなるように塗布した後、上述の恒温恒湿室において7日間養生して塗膜(硬化物)を得た。上述した室温23℃且つ湿度50%の恒温恒湿室において、JIS K 7301:1995の「熱硬化性ウレタンエラストマー用トリレンジイソシアネート型プレポリマー試験方法 6.2粘度」に準じて、主剤及び硬化剤を混合した時点から、回転粘度計(東機産業株式会社BH II形)を用いて測定した粘度が100000mPa・sに到達するまでの時間を可使時間として測定した。測定結果を表1~4に示す。
<塗膜(硬化物)の引張性能の評価>
実施例及び比較例で得られた塗膜(硬化物)の引張強さ(試験時温度:-20℃、23℃及び60℃)、破断時の伸び率(試験時温度:23℃)、破断時のつかみ間の伸び率(試験時温度:-20℃、23℃及び60℃)及び抗張積(試験時温度:23℃)を、JIS A 6021:2011「建築用塗膜防水材」の引張性能試験に準拠して測定した。結果を表1~4に示す。
実施例及び比較例で得られた塗膜(硬化物)を劣化処理(加熱処理、促進暴露処理、アルカリ処理又は酸処理)した後の引張強さ比及び破断時の伸び率を、JIS A 6021:2011「建築用塗膜防水材」の劣化処理後の引張性能試験に準拠して測定した。結果を表1~4に示す。
<硬化物の引裂性能の評価>
実施例及び比較例で得られた塗膜(硬化物)の引裂強さ(試験時温度:23℃)を、JIS A 6021:2011「建築用塗膜防水材」の引裂性能試験に準拠して測定した。結果を表1~4に示す。
<硬度の評価>
実施例及び比較例で得られた塗膜(硬化物)の硬度を、アスカーゴム硬度計A型(高分子計器株式会社製)で測定した(表では、「A硬度」と表す。)。結果を表1~4に示す。
塗膜(硬化物)の加熱伸縮性能(伸縮率%)は、JIS A 6021:2011「建築用塗膜防水材」に基づいて測定した。
実施例1~3に示したとおり、触媒(有機酸)の添加量を調整する事により、長時間の使用に耐え得る、長めの可使時間(120分)から、一般的に使用されるウレタンゴム系ウレタン塗膜防水剤の可使時間(76分)、玄人好みな、早めの可使時間(65分)まで調整することができる。実施例1~3の結果から、本発明の常温硬化型2液コーティング組成物は、施行者にとって有意義なウレタンゴム系塗膜防水剤としての用途を有することは明らかである。
実施例4~16及び比較例1~9に示した通り、NCO濃度が0.9~1.90質量%であって、主剤中のウレタンプレポリマーに構成されるポリオールが、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシプロピレンジオール及びポリオキシプロピレントリオールを含有することが重要であり、それにより、硬化物が高い塗膜物性(JIS A 6021:2011の高伸長形に適合する)を発現することは明らかである。
実施例17~20に示した通り、主剤中のウレタンプレポリマーは、末端イソシアネートがH-XDIであれば、施行時に必要な可使時間を確保でき、末端以外のウレタン結合部が、その他のイソシアネートで構成されていても、高い塗膜物性(JIS A 6021:2011の高伸長形に適合する)が得られる事は明らかである。
実施例1~20は全て、JIS A 6021:2011「建築用塗膜防水材」で規定される、高伸長形の基準(引張性能、引裂性能、加熱伸縮性能及び劣化処理後の引張性能に関する基準)を満たす。本発明に係る常温硬化型2液コーティング組成物の硬化物は、ポリウレタン製の塗膜防水材に一般に必要とされる十分な物性が得られることが分かった。一方、比較例1~9には、上記高伸長形の基準をすべて満たすものはなかった。
本発明によれば、硬化後に、ポリウレタン製の塗膜防水材に一般に必要とされる十分な引張強さ、引裂強さ及び抗張積を実現しながら、人体及び環境に配慮した常温硬化型2液コーティング組成物を提供することができる。

Claims (11)

  1. ウレタンプレポリマーを含む主剤と、硬化剤とから構成され、
    前記ウレタンプレポリマーは、ポリオール及びポリイソシアネートの反応生成物であり、
    前記ウレタンプレポリマーは、水素添加キシリレンジイソシアネートに由来する末端イソシアネート基を有しており、
    前記ポリオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシプロピレンジオール及びポリオキシプロピレントリオールを含有し、
    前記主剤中のイソシアネート濃度が0.9~1.90質量%であり、
    前記ポリオキシプロピレントリオールの前記ポリオール中の含有量は、当該ポリオール全量を基準として、5~50当量%であり、
    前記ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量は2900以上であるか、又は前記ポリオキシプロピレンジオールの数平均分子量は2000以上である、常温硬化型2液コーティング組成物。
  2. 前記ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量は200~3500である、請求項1に記載の常温硬化型2液コーティング組成物。
  3. 前記ポリオキシプロピレンジオールの数平均分子量は、900~5100である、請求項1又は2に記載の常温硬化型2液コーティング組成物。
  4. 前記ポリオキシプロピレントリオールの数平均分子量は、900~5100である、請求項1~3のいずれか一項に記載の常温硬化型2液コーティング組成物。
  5. 前記主剤は、更に、ポリカルボン酸エステルを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の常温硬化型2液コーティング組成物。
  6. 前記ポリカルボン酸エステルは、アジピン酸ビス(2-エチルへキシル)である、請求項5に記載の常温硬化型2液コーティング組成物。
  7. 前記硬化剤は、芳香族ポリアミン及びポリカルボン酸エステルを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の常温硬化型2液コーティング組成物。
  8. 前記芳香族ポリアミンは、2,4-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン、2,6-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン又はこれらの混合物である、請求項7に記載の常温硬化型2液コーティング組成物。
  9. 前記硬化剤中の前記ポリカルボン酸エステルは、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ビス(2-エチルへキシル)又はこれらの混合物である、請求項7又は8に記載の常温硬化型2液コーティング組成物。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の常温硬化型2液コーティング組成物からなる、防水剤。
  11. 基材上に請求項10に記載の防水剤の硬化物を形成する工程を備える、防水工法。
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