以下、図面を参照しながら、超音波診断装置及びその制御方法の実施形態について説明する。なお、以下の説明において実質的に同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
図1は、一実施形態に係る超音波診断装置100を含む超音波診断システム1の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る超音波診断システム1は、超音波プローブ10と、外部装置20と、超音波診断装置100とを備えて構成されている。外部装置20と、超音波診断装置100とは、例えば、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)、インターネット、専用回線、無線基地局、プロバイダ等のネットワークNWを介して接続されている。本実施形態においては、超音波プローブ10は超音波診断装置100の構成に含まれていないが、この超音波プローブ10は超音波診断装置100の構成に含まれてもよい。
超音波プローブ10は、例えば、超音波診断装置100からの制御により、被検体である生体P内のスキャン領域について超音波スキャンを実行する。スキャン領域とは、例えば、超音波プローブ10のプローブ表面の位置や方向に対応付けられた領域である。超音波プローブ10は、例えば、複数の圧電振動子、圧電振動子に設けられる整合層、および圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。超音波プローブ10は、例えば、複数の超音波振動子が所定の方向に沿って配列された一次元アレイリニアプローブである。超音波プローブ10は、超音波診断装置100と着脱可能に接続されてもよく、複数の超音波プローブ10が超音波診断装置100と接続されてもよい。複数の超音波プローブ10が超音波診断装置100と接続されている場合、接続された超音波プローブのうちいずれを超音波スキャンに使用するかは、操作者等による切り替え操作によって任意に選択される。
外部装置20は、例えば、各種の医用画像データを管理するシステムであるPACS(Picture Archiving and Communication System)、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステム等である。また、外部装置20は、ストレージサーバやデータベース等の記憶装置であってもよい。
超音波診断装置100は、例えば、超音波送信回路110と、超音波受信回路112と、信号処理回路120と、通信インターフェース130と、入力インターフェース140と、ディスプレイ150と、処理回路160と、記憶回路180とを備えて構成されている。
超音波送信回路110は、超音波プローブ10の複数の圧電振動子に駆動信号を送信し、圧電振動子の振動により超音波を発生させる。これにより、超音波プローブ10のプローブ表面と接触する生体Pの表面(体表)から内部へ超音波が送信される。
超音波受信回路112は、超音波プローブ10から送信された超音波が生体Pの体内組織で反射され、反射された信号(反射波信号)が複数の圧電振動子で受信されて電気信号に変換された信号を受信する。生体P内へ送信された超音波パルスが、移動している血流又は心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向の速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。超音波受信回路112は、超音波プローブ10が受信した反射波信号を増幅し、デジタル信号に変換する。また超音波受信回路112は、デジタル信号に受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、遅延時間が与えられた複数のデジタル信号を加算することで、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調された受信信号を生成してもよい。
信号処理回路120は、超音波受信回路112により受信された信号に基づいて、超音波データを生成するための信号処理を行う。超音波データには、例えば、Bモードデータが含まれる。Bモードデータを生成する場合、信号処理回路120は、超音波受信回路112により受信された受信信号(反射波信号)に対して包絡線検波処理および対数増幅処理等を行い、信号強度が輝度の高さで表現されるBモードデータを生成する。また、信号処理回路120は、例えば、超音波走査の走査線信号列を、ディスプレイ150等で表示可能なフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、スキャン領域内の二次元的な超音波走査線(ラスタ)上のBモードデータを含むBモード画像データを生成する。Bモード画像データには、生成された時刻に関する情報が含まれていてもよい。
また、超音波データには、ドプラデータが含まれてもよい。この場合、信号処理回路120は、超音波受信回路112により受信された受信信号に基づいて周波数解析することで、スキャン領域に設定されるROI(Region Of Interest:関心領域)内にある移動体のドプラ効果に基づく運動情報を抽出したドプラデータを生成する。例えば、信号処理回路120は、スキャン領域に含まれる対象物(移動体)の運動情報として、平均速度、平均分散値、平均パワー値等について、複数のサンプル点のそれぞれで推定したドプラデータを生成する。ここで、移動体とは、例えば、血流、心壁等の組織、および造影剤等である。例えば、信号処理回路120は、血流の運動情報(血流情報)として、血流の平均速度、血流の平均分散値、血流の平均パワー値等について、複数のサンプル点のそれぞれで推定したドプラデータを生成する。また、信号処理回路120は、例えば、生成されたドプラデータに基づいて超音波走査の走査線信号列をスキャンコンバートし、ROI内の二次元的な超音波走査線上のドプラデータを含むドプラ画像データを生成する。ドプラ画像データには、生成された時刻に関する情報が含まれてよい。以下では、主に超音波データがBモード画像データとドップラデータを含んでいるものとして説明する。
通信インターフェース130は、例えば、NIC(Network Interface Card)等の通信インターフェースを含む。通信インターフェース130は、ネットワークNWを介して外部装置20と接続され、外部装置20との間でデータ通信を行う。
入力インターフェース140は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路160に出力する。例えば、入力インターフェース140は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパネル等により実現される。また、入力インターフェース140は、例えば、マイク等の音声入力を受け付けるユーザインターフェースによって実現されてもよい。入力インターフェース140がタッチパネルである場合、後述するディスプレイ150は入力インターフェース140と一体として形成されてもよい。なお、本明細書において入力インターフェース140は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、超音波診断装置100とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路160へ出力する電気信号回路も入力インターフェース140の例に含まれる。
ディスプレイ150は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ150は、処理回路160で生成された画像を所定の表示状態で表示したり、操作者からの各種の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を表示したりする。例えば、ディスプレイ150は、LCD(Liquid Crystal Display)や、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。
処理回路160は、本実施形態においては、例えば、第1取得機能162と、第2取得機能164と、重合表示機能166と、算出機能168と、ユーザ通知機能170と、関心領域移動機能172とを備えている。但し、処理回路160は、これら例示した機能以外の機能を備えていてもよい。処理回路160は、例えば、プロセッサが記憶回路180に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、これらの機能を実現する。
プロセッサとは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit; ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device; SPLD)または複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device; CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array; FPGA))等の回路(circuitry)を意味する。記憶回路180にプログラムを記憶させる代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、プロセッサは、回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。上記のプログラムは、予め記憶回路180に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の非一時的記憶媒体に格納されており、非一時的記憶媒体が超音波診断装置100のドライブ装置(不図示)に装着されることで非一時的記憶媒体から記憶回路180にインストールされてもよい。プロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。また、複数の構成要素を1つのプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。
ここで、第1取得機能162が本実施形態における第1取得部を構成し、第2取得機能164が本実施形態における第2取得部を構成し、重合表示機能166が本実施形態における重合表示部を構成し、算出機能168が本実施形態における算出部を構成し、ユーザ通知機能170が本実施形態におけるユーザ通知部を構成し、関心領域移動機能172が本実施形態における関心領域移動部を構成する。
記憶回路180は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。非一過性の記憶媒体を含むこれらの記憶媒体は、NAS(Network Attached Storage)や外部ストレージサーバ装置といったネットワークNWを介して接続される他の記憶装置によって実現されてもよい。また、記憶回路180には、RAM(Random Access Memory)やレジスタ等の一過性の記憶媒体が含まれてもよい。記憶回路180には、例えば、処理回路160で実行されるプログラム、およびその他の情報が格納される。
第1取得機能162は、信号処理回路120により処理されたBモード画像データを処理することにより、Bモード画像を取得する。第1取得機能162により取得したBモード画像が、本実施形態におけるディスプレイ150に表示される超音波画像となる。
第2取得機能164は、第1取得機能162が取得した超音波画像内の血流情報を取得する。そして、第2取得機能164は、この取得した血流情報に基づいて、色情報を生成する。
重合表示機能166は、第1取得機能162で取得された超音波画像に、第2取得機能164で生成された色情報を重ね合わせて、例えばディスプレイ150に表示する。
算出機能168は、重合表示機能166で色情報が表示される深さの限界を、生体内で生じる信号の減衰に基づいて算出する。
ユーザ通知機能170は、算出機能168が算出した、血流情報に基づく色情報が表示される深さの限界を、ユーザに通知する。どのような態様でユーザに通知を行うかは、任意である。
関心領域移動機能172は、ディスプレイ150に表示された超音波画像内で、ユーザが関心を有する領域である関心領域を特定する関心領域特定表示を、ユーザの操作により移動可能に表示する。ユーザは、例えば、入力インターフェース140を操作することにより、ディスプレイ150に表示された関心領域特定表示の移動を行う。そして、ユーザ通知機能170は、算出機能168が算出した、血流情報に基づく色情報が表示される深さの限界に応じて、関心領域移動機能172による関心領域特定表示の移動を制限する。
次に、図2及び図3に基づいて、本実施形態に係る超音波診断システム1及び超音波診断装置100において、血流情報に基づく色情報が表示される深さに限界がある理由を説明する。図2は、カラーモードで血流に基づく色情報が表示されている超音波画像の一例を示す図であり、図3は、カラーモードで血流に基づく色情報が表示されていいない超音波画像の一例を示す図である。
図2に示すように、被検体の生体内の血流情報が正常に取得された場合、Bモード画像に重ね合わせて、血流情報に基づく色情報が超音波画像に表示される。一方で、図3に示すように、被検体の生体内の血流情報が正常に取得できない場合、血流情報に基づく色情報は超音波画像に表示されない。これは、Bモード画像を取得するための超音波の条件と、血流情報を取得するための超音波の条件とが異なるためである。本実施形態においては、説明を簡便にするために、適宜、Bモード画像を取得するための超音波の条件を第1条件といい、血流情報を取得するための超音波の条件を第2条件ということとする。
一般に、Bモード画像を取得するために生体内に送信される超音波の条件(第1条件)よりも、血流情報を取得するために生体内に送信される超音波の条件(第2条件)の方が、生体内で深く届きにくい条件である。このため、Bモード画像は正常に表示されるが、血流情報に基づく色情報がBモード画像に付加されない現象が起こる。
図3に示す超音波画像を見たユーザは、血管が存在するのに、血流情報が色情報として表示されないのは不思議であると考える。もしくは、血管が存在することに気づかず、誤った判断をしてしまう可能性もある。このため、本実施形態に係る超音波診断装置100及び超音波診断装置100では、この血流情報に基づく色情報が表示される深さの限界を予め算出することとしている。そして、必要に応じて、血流速度に基づく色情報が表示される深さの限界を、ユーザに通知することとしている。
次に、この血流情報に基づく色情報が表示される深さの限界を予め算出する処理と、血流速度に基づく色情報が表示される深さの限界をユーザに通知する処理について、詳しく説明する。
図4は、本実施形態に係る超音波診断装置100が実行するカラーモード表示処理の内容を説明するフローチャートを示す図である。このカラーモード表示処理は、例えば、ユーザが入力インターフェース140を介して、超音波診断装置100にカラーモードによる超音波画像の表示を指示入力した場合に実行される処理である。あるいは、ユーザが、血流情報に基づく色情報が表示される深さの限界を調べる必要が生じた場合に、その実行を、入力インターフェース140を介して入力した場合に実行される処理である。
本実施形態に係るカラーモード表示処理は、例えば、記憶回路180に、カラーモード表示プログラムが格納されており、このカラーモード表示プログラムを処理回路160が読み出して実行することにより実現される処理である。そして、このカラーモード表示処理により、上述した、第1取得機能162と、第2取得機能164と、重合表示機能166と、算出機能168と、ユーザ通知機能170と、関心領域移動機能172とが、実現される。
この図4に示すように、まず、超音波診断装置100は、仮想超音波画像を取得する(ステップS10)。本実施形態においては、この仮想超音波画像を取得する処理は、超音波診断装置100の処理回路160における算出機能168により実現される。
具体的には、算出機能168は、生体内に超音波を送信して血流情報を取得する際の条件(第2条件)と同一の条件で、超音波を被検体の生体内に超音波プローブ10から送信する。そして、この送信した超音波が生体内で反射した反射波信号を超音波プローブ10で受信し、仮想的に超音波画像を生成する。この仮想的に生成された超音波画像は仮想的なBモード画像であり、本実施形態においては、これを仮想超音波画像と呼ぶこととする。仮想超音波画像は、あくまで、色情報が表示される深さの限界を超音波診断装置100が算出するために用いられるものであり、本実施形態においてはディスプレイ150に表示しない画像データである。
例えば、Bモード画像を生成するために生体内に送信される超音波の周波数を1.5MHzとすると、血流情報を取得するために生体内に送信される超音波の周波数は2.5MHzである。一般に、周波数が低いほど、生体内の深い領域まで超音波が届き、その反射波信号を受信することができる。このため、この例では、血流情報を取得するための2.5MHzの超音波の方が、Bモード画像を生成するための1.5MHzの超音波よりも、深い領域にまで届きにくい。そこで、本実施形態においては、この2.5MHzの超音波を生体内に送信し、その反射波信号を用いて仮想超音波画像を生成し、この仮想超音波画像を用いて生体内で生じる超音波の減衰を調べることとしている。
次に、超音波診断装置100は、血流情報に基づく色情報が超音波画像に表示される深さの限界を算出する(ステップS12)。本実施形態においては、この深さの限界を算出する処理は、超音波診断装置100の処理回路160における算出機能168により実現される。
具体的には、算出機能168は、血流情報を取得する第2条件で超音波を被検体の生体内に送信することにより取得した仮想超音波画像に基づいて、超音波画像に重ね合わせて、血流情報に基づく色情報が表示される深さの限界を算出する。例えば、この深さの限界は、仮想超音波画像内の輝度変化を観察することにより、算出することができる。なぜなら、Bモード画像において輝度は、その位置における反射波信号の強さを表しているからである。
一般に、どの程度の深さまで血流情報としての色情報が表示できるのかは、超音波診断装置100の性能や、超音波プローブ10の性能、被検体の生体内の動き、生体内で生じる超音波信号の減衰の程度などにより、異なる。超音波診断装置100の性能や、超音波プローブ10の性能は、予め設計段階で把握することができる。そして、生体内の減衰を考慮すると、生体内の深さが深くなればなるほど反射波信号が弱くなり、ある深さで血流情報に基づく色情報が表示できなくなる。
例えば、ファントム等を使用すれば、どのくらいの深さまで血流情報を観察できるのか、把握することができる。しかし、生体内の超音波の減衰は、体の部位によって異なる。例えば、羊水や膀胱は水分が多く減衰は少ない。反対に、筋肉は超音波が大きく減衰する。また、超音波プローブ10がリニアプローブである場合、斜めにスキャンした場合は、真下にスキャンした場合と比べて、反射波信号のレベルが下がる。
図5は、超音波診断装置100や超音波プローブ10の性能としての感度の高低の差を、深さと信号強度との関係に基づいて表すグラフである。縦軸は受信した反射波信号の信号強度を示しており、横軸は生体内の深さを示している。この図5から分かるように、超音波診断装置100の感度が高い場合、深い位置からの反射波信号でも、その信号強度は高い。一方で、超音波診断装置100の感度が低い場合、深い位置からの反射波信号の信号強度は、低くなる。
図6は、生体内における超音波信号の減衰の強弱の差を、深さと信号強度との関係に基づいて表すグラフである。図5と同様に、縦軸は受信した反射波信号の信号強度を示しており、横軸は生体内の深さを示している。この図6から分かるように、生体内の減衰が弱い場合、深い位置からの反射波信号でも、その信号強度は高い。一方で、生体内の減衰が強い場合、深い位置からの反射波信号の信号強度は、低くなる。
図7は、ある理想的な状態であるファントムにおける反射波信号の信号強度を示すグラフである。この図7においても、縦軸は受信した反射波信号の信号強度を示しており、横軸は生体内の深さを示している。この例では、ファントムを用いた理想的な状態では、0.5dB/MHz/cmの傾きで、反射波信号の信号強度は減衰する。信号強度をS/N比で表した場合、ある一定以上S/N比が低くなると、十分な血流情報が得られず、色情報を生成できなくなる。その信号強度(S/N比)を閾値Xとする。図7の例では、体表から16cmの深さで、この閾値Xに到達しており、これより深い領域では、適正な色情報が得られない。
図8は、図7に示した理想的な状態よりも生体内の減衰が大きい場合の信号強度と深さの関係を示している。生体内の減衰が大きいことから、深さ8cmで、閾値Xの信号強度(S/N比)に到達してしまっている。一方、図9は、理想的な状態よりも生体内の減衰が小さい場合の信号強度と深さの関係を示している。生体内の減衰が小さいことから、深さ20cmとなるまで、閾値Xの信号強度(S/N比)に到達していない。このため、深い領域まで、血流情報に基づく色情報を超音波画像に表示することができる。
これらを加味して、本実施形態に係る超音波診断装置100では、処理回路160の算出機能168は、仮想超音波画像に基づいて、S/N比を算出し、この算出されたS/N比に基づいて、血流情報に基づく色情報が表示される深さの限界を算出する。すなわち、算出機能168は、仮想超音波画像内の輝度変化に基づいて、生体内で反射した反射波信号の信号レベルを算出する。一般に、超音波画像においては、輝度が低いほど、反射波信号の信号強度は弱いことを意味している。このため、深さ方向における所定の範囲の輝度の変化に基づいて、受信した反射波信号の信号レベルを算出することができる。
ノイズは、第2条件の超音波信号を生体内に送信する超音波プローブ10の口径に基づいて、ホワイトノイズレベルとして特定する。例えば、この超音波診断装置100で使用される超音波プローブ10の口径と、そのホワイトノイズレベルとの対応表が記憶回路180に記憶されており、算出機能168は、この対応表を読み出して、ホワイトノイズレベルを特定するようにしてもよい。超音波診断装置100に接続されている超音波プローブ10の口径は、ユーザが入力インターフェース140を介して入力するようにしてもよいし、あるいは、超音波診断装置100に接続されている超音波プローブ10の種類を、超音波診断装置100が自動的に検出して、その口径を特定するようにしてもよい。
超音波プローブ10の口径に基づいて、ホワイトノイズレベルを特定するのは、両者に密接な関係があるからである。すなわち、超音波プローブ10の口径が大きくなれば、ホワイトノイズレベルも大きくなる。一方で、受信できる信号強度を考えると、超音波プローブ10の口径が大きくなれば、信号強度も大きくなる。このため、本実施形態においては、超音波プローブ10の接触面の大きさ、つまり口径に基づいて、ホワイトノイズレベルを算出する。
そして、処理回路160の算出機能168は、取得した信号レベルとホワイトノイズレベルとの比をS/N比として算出し、この算出したS/N比が閾値Xよりも小さいか否かを判定する。すなわち、閾値XよりもS/N比が小さい領域が、血流情報に基づく色情報が表示できない深い領域であると判定される。
次に、図4に示すように、超音波診断装置100は、超音波画像を取得する(ステップS14)。本実施形態においては、この超音波画像を取得する処理は、超音波診断装置100の処理回路160における第1取得機能162により実現される。
具体的には、第1取得機能162は、Bモード画像を生成する条件(第1条件)で超音波を生体内に送信し、その反射波信号に基づいて、Bモード画像としての超音波画像を生成する。なお、このBモード画像としての超音波画像が、別の処理で既に取得されている場合には、このカラーモード表示処理におけるステップS14は省略することも可能である。
次に、図4に示すように、超音波診断装置100は、ステップS14で取得した超音波画像内の血流情報を取得する(ステップS16)。本実施形態においては、この血流情報を取得する処理は、超音波診断装置100の処理回路160における第2取得機能164により実現される。
具体的には、第2取得機能164は、血流情報を取得する第2条件で超音波を被検体の生体内に送信し、その反射波信号に基づいて、血流情報を取得する。すなわち、反射波信号におけるドップラシフトを利用するドップラ法に基づいて、反射波信号を解析することにより、対象領域の血流方向及び血流速度を算出する。そして、第2取得機能164は、算出された血流方向及び血流速度に基づいて、例えば、血流の平均速度、平均分散値、平均パワー値等を算出する。本実施形態においては、これら血流方向及び血流速度、並びに、血流の平均速度、平均分散値及び平均パワー値等の血流に関する情報を、血流情報と称する。
次に、図4に示すように、超音波診断装置100は、ステップS16で取得した血流情報に基づいて、色情報を生成する(ステップS18)。本実施形態においては、この色情報を生成する処理も、超音波診断装置100の処理回路160における第2取得機能164により実現される。
具体的には、第2取得機能164は、超音波プローブ10に近づく血流の流れを赤で表現し、この超音波プローブ10から遠ざかる流れを青で表現するとともに、血流速度を色相や明度の変化で表現することにより、血流に基づく色情報を生成する。また、血流の平均分散値や平均パワー値については緑を用いて、色情報として表現することも可能である。これらは、血流を測定する部位やユーザの設定によって、適宜、変更したり組み合わせたりすることが可能である。
次に、図4に示すように、超音波診断装置100は、ステップS18で生成された色情報を、ステップS14で取得された超音波画像に重ね合わせて表示する(ステップS20)。本実施形態においては、この色情報を超音波画像に重ね合わせる処理は、超音波診断装置100の処理回路160における重合表示機能166により実現される。
具体的には、重合表示機能166は、ステップS14で取得したBモード画像である超音波画像に、ステップS18で生成された血流情報に基づく色情報を重ね合わせて、ディスプレイ150に表示する。これにより、図2に示したような、色情報で表現された血流情報を含む超音波画像が、ディスプレイ150に表示される。
次に、図4に示すように、超音波診断装置100は、ステップS12で算出した、血流情報に基づく色情報が表示される深さの限界を、ユーザに通知する(ステップS22)。本実施形態においては、この色情報が表示される深さの限界をユーザに通知する処理は、超音波診断装置100の処理回路160におけるユーザ通知機能170により実現される。
具体的には、ユーザ通知機能170は、種々のやり方で、算出機能168が算出した、血流情報に基づく色情報が表示される深さの限界を、ユーザに通知する。すなわち、カラーモードで超音波画像が表示されている状態で、何らかの制限を課したり、何らかの追加の表示をしたりすることにより、ユーザに色情報が表示される深さの限界を通知する。本実施形態においては、このステップS22におけるユーザへの通知の後、超音波診断装置100は、上述したステップS16に戻り、このステップS16からの処理を繰り返す。
図10は、超音波画像内で、関心領域を特定する関心領域特定表示200の移動を制限することにより、ユーザに色情報が表示される深さの限界を通知する例を示す図である。本実施形態においては、例えば、入力インターフェース140の操作を介して、ユーザは、ユーザが関心を有する領域である関心領域を特定する表示である関心領域特定表示200を、ディスプレイ150に表示された超音波画像上で移動することができる。本実施形態に係る超音波診断装置100は、例えば、この関心領域特定表示200により特定されている超音波画像内の領域について、ステップS16で血流情報を取得する仕様になっている。これにより、超音波診断装置100における、血流情報の取得に要する時間を短縮して、血流情報に関する応答特性を改善している。この関心領域特定表示200をユーザの操作により移動可能に表示する機能は、処理回路160における関心領域移動機能172により実現される。
上述したユーザ通知機能170は、算出機能168が算出した、血流情報に基づく色情報が表示される深さの限界に応じて、関心領域移動機能172による関心領域特定表示200の移動を制限する。図10の例においては、超音波画像の浅部は、血流情報に基づく色情報を表示できるが、深部は深すぎて、その表示ができない。このため、ユーザ通知機能170は、関心領域特定表示200の下端が、血流情報に基づく色情報が表示される深さの限界に到達した時点で、ユーザによる関心領域特定表示200の移動を制限する。つまり、ユーザは、それ以上、関心領域特定表示200を、超音波画像の深部方向に移動できなくなる。
このように、カラーモードで超音波画像を表示して、ユーザによる関心領域特定表示200の移動を制限することにより、ユーザは、これより深い領域では、血流情報に基づく色情報が表示されなくなることを知ることができる。つまり、ユーザ通知機能170によるこのような処理で、関心領域特定表示200を深部方向に移動できる限界が、血流情報に基づく色情報が表示される深さの限界であると、ユーザに通知することができる。
図11は、血流情報に基づく色情報が表示される深さの限界に応じて、超音波画像とともにマーカー202を表示する例を、ユーザ通知機能170によるユーザへの通知の別の例として示す図である。具体的には、ユーザ通知機能170は、算出機能168が算出した、血流情報に基づく色情報が表示される深さの限界に応じて、ディスプレイ150に表示される超音波画像とともに、マーカー202を表示する。
この図11の例では、マーカー202は、超音波画像の浅部から深部に延びる棒状の形状をなしている。そして、このマーカー202の下端が、血流情報に基づく色情報が表示される深さの限界に対応している。つまり、ユーザは、マーカー202が表示されている深さまでは、血流情報に基づく色情報を表示するこができ、マーカー202が表示されていない深さでは、血流情報に基づく色情報を表示できないことを知ることができる。つまり、ユーザ通知機能170によるこのような処理で、マーカー202の下端が、血流情報に基づく色情報が表示される深さの限界であると、ユーザに通知することができる。
なお、図11の例では、マーカー202は、血流情報に基づく色情報が表示される領域を示す役割を有しているが、このマーカー202の役割は逆にしてもよい。すなわち、マーカー202が、血流情報に基づく色情報が表示されない領域を示す役割を有するようにしてもよい。
図12は、血流情報を取得するために被検体の生体内に送信する超音波の周波数を変更するようにユーザに通知する例を、ユーザ通知機能170によるユーザへの通知の別の例のとして示す図である。これは、ユーザ通知機能170により、上述した図10の関心領域特定表示200の深部方向への移動が制限された場合に、その対応策をユーザに提示する例である。つまり、図10に示すカラーモードの超音波画像において、ユーザが関心領域特定表示200を深部の方向へ移動させようとしたが、血流情報に基づく色情報が表示される深さの限界に達している場合には、その移動が制限される。そして、移動が制限されると同時に、「血流情報を取得するための超音波の周波数を下げて下さい。」とディスプレイ150に表示される。
超音波の周波数を変更するというユーザへの通知は、ユーザによる関心領域特定表示200の移動を制限するのと同時に、超音波画像とともに表示される。なお、この超音波の周波数を変更するというユーザへの通知は、超音波画像の内部に超音波画像と重ね合わせて表示されてもよいし、超音波画像の外部に超音波画像と重ならないように表示されてもよい。
上述したように、超音波はその周波数により、生体内の到達できる深さが変わる。具体的には、低い周波数の超音波の方が、高い周波数の超音波よりも、生体内の深い領域まで到達できる。このため、血流情報を取得する第2条件の周波数をより下げることにより、その超音波は生体内のより深い領域まで到達できる可能性がある。そこで、図12の例では、ユーザに、血流情報を取得するための超音波の周波数を下げるように促すことにより、より深い領域まで、血流情報に基づく色情報を得られる可能性があることを、ユーザに知らせることができる。
血流情報を得るための超音波の周波数をユーザが下げる場合、例えば、ユーザは、入力インターフェース140を操作することにより、図4に示すカラーモード表示処理を一旦終了して、超音波診断装置100における第2条件の周波数を変更する設定を行う。そして、新たに設定された第2条件の周波数により、このカラーモード表示処理が再度実行される。これにより、新たに設定された第2条件の周波数の超音波により、仮想超音波画像が取得され(ステップS10)、色情報が表示される深さの限界が算出される(ステップS12)。一方、ユーザが超音波の周波数を下げない場合は、そのまま、ステップS16に処理が戻るので、このカラーモード表示処理は継続的に実行される。
なお、ユーザ通知機能170による、超音波の周波数を変更するというユーザへの提示は、図12に示したような文字情報に限らず、音声情報でもよい。また、ユーザ通知機能170が超音波の周波数の変更をユーザに提示する条件は、様々なものが考えられる。例えば、ディスプレイ150に表示された超音波画像内で、血流情報に基づく色情報が表示されない領域を、ユーザが指でタッチしたりマウスでクリックしたりした場合に、この通知が行われるようにしてもよい。
以上のように、本実施形態に係る超音波診断装置100及びこの超音波診断装置100を備える超音波診断システム1によれば、カラーモードにおける超音波画像における、血流情報に基づく色情報の表示できる深さの限界を、血流情報を取得するための条件(第2条件)で超音波を被検体の生体内に送信することにより、予め算出することができる。このため、必要に応じて、この算出された血流情報に基づく色情報が表示される深さの限界を、ユーザに知らせることができる。この結果、ユーザは、超音波画像に血管があるにもかかわらず、色情報が表示されない理由を、明確に把握することができる。これにより、血流情報に基づく色情報が表示されないことによる、ユーザの不安感を解消するとともに、血流が存在しないという誤った判断をユーザがしてしまうのを回避することができる。
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置及び方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置及び方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲及びこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。