JP7780094B2 - 非ヒト動物用抗菌剤 - Google Patents

非ヒト動物用抗菌剤

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Description

関連出願の参照
本特許出願は、2020年6月3日に出願された日本国特許出願2020-097170号に基づく優先権の主張を伴うものであり、かかる先の特許出願における全開示内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
本開示は、非ヒト動物用抗菌剤に関する。
マラセチア属菌は動物の皮膚に常在する担子菌系の酵母であり、脂質を栄養源として増殖することから、皮脂の多い部分に定着し、癜風、脂漏性皮膚炎、毛包炎、アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬等の皮膚疾患の原因となることが知られている。
従来のマラセチア属菌由来の皮膚疾患に対する治療剤としては、二硫化セレン、2-メルカプトピリジンN-オキシド亜鉛、ピロクトンオラミン、ミコナゾール硝酸塩やケトコナゾール等のイミダゾール系化合物やイトラコナゾールやフルコナゾール等のトリアゾール系化合物が挙げられる。
通常、皮膚常在菌は皮膚の雑菌の繁殖に伴う頭皮臭を防止する効果や、皮脂の適度な分解により弱酸性状態を保つ効果など、いわゆるバリア効果を持っているが、従来の動物用治療剤は、病原菌だけでなく、皮膚常在菌まで殺菌するため、皮膚のバリア効果が破壊される懸念がある。また、二硫化セレンは経口毒性や脱毛、肌のかぶれ、衰弱、倦怠感、毛髪の変色等の副作用が、2-メルカプトピリジンN-オキシド亜鉛は硫黄臭や環境ホルモンの懸念が指摘されている。さらに、ミコナゾール硝酸塩等のイミダゾール系化合物やイトラコナゾール等のトリアゾール系化合物は菌類の脂質合成を阻害する作用を有するが、菌の細胞膜の生合成を阻害することによって抗菌活性が発現するという性質上、十分な効果が発現するまで時間を要し、長期間投与する必要がある。長期にわたって同じ薬剤を連続して投与すれば、耐性菌の発生リスクが格段に上がることが知られている。
上記のように、脂質合成阻害剤は、薬剤を投与しても、即効的に抗菌活性が発現するわけではないため、抗菌活性発現に即効性が求められるような投与方法、例えば、医療用シャンプーによる動物皮膚疾患の予防又は治療には適していない。そこで、安全性が高く、従来の治療剤とは異なる作用機構を有し、かつ抗菌活性が即効的に発揮される動物用治療剤の開発が求められていた。
例えば、非特許文献1には、シアノイミダゾール系化合物である、シアゾファミドの作用機構が呼吸阻害であることが記載されている。
特許文献1には、シアゾファミドを含むイミダゾール系化合物が有害生物防除剤として有用であることが記載され、特許文献2には、シアゾファミドを含むイミダゾール系化合物を有効成分として含有する防除剤が、寄生虫に由来する動物疾患、例えば、コクシジウムのような寄生虫に対して有用であることが記載されている。しかしながら、これら公報に化合物の抗菌活性や、マラセチア属菌に由来する動物の皮膚疾患を抑制する方法は記載されていない。
特開平1-131163号公報 国際公開公報 WO 01/14341
Pesticide Biochemistry and Physiology, 2001, vol.71:107-115
本開示者らは、後述する式(I)又は(II)で表されるシアノイミダゾール系化合物(以下、本開示の化合物ともいう)を新規な非ヒト動物用抗菌剤として使用しうることを見出した。
したがって、本開示は、新規な非ヒト動物用抗菌剤を提供する。
すなわち、本開示は、式(I)又は(II)で表される化合物又はその塩を含有する、非ヒト動物用抗菌剤を提供する。
[式中、
及びRは、それぞれ独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
水酸基、
ニトロ基、
シアノ基、
チオシアナート基、
トリメチルシリル基、
置換されてもよいアルキル基、
置換されてもよいアルケニル基、
置換されてもよいアルキニル基、
置換されてもよいアルキルオキシ基、
置換されてもよいアルケニルオキシ基、
置換されてもよいアルキニルオキシ基、
置換されてもよいアリール基、
置換されてもよいアリールオキシ基、
置換されてもよい5~6員の芳香族複素環基、
-SO
(Rは、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアルケニル基、置換されてもよいアルキニル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよい5~6員の芳香族複素環基又は-NR基(R及びRは、置換されてもよいアルキル基である)であり、mは0~2の整数である)、又は
(式中、
は、酸素原子又は硫黄原子であり、
は、酸素原子、硫黄原子又は-NH-であり、
nは0~1の整数であり、
は、置換されてもよいアルキル基又は置換されてもよいアリール基である)で表される基
であり;
Xは、水素原子、水酸基又は-OYであり;
Yは、式:
(式中、
は、置換されてもよいアルキル基、
置換されてもよいアルキルオキシ基、
置換されてもよいアルケニル基、
置換されてもよいアルケニルオキシ基、
置換されてもよいアリール基、
置換されてもよいアリールオキシ基、
置換されてもよい5~6員の芳香族複素環基、
-NR基(R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換されてもよいアルキル基又は置換されてもよいアルケニル基であるか、又は、互いに隣接している窒素原子とともに5~7員の飽和複素環を形成し、但し、R及びRが同時に水素原子である場合を除く)又は
-CR101112基(R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアルケニル基又は置換されてもよいアリール基である))である。]
本開示によれば、式(I)又は(II)で表される化合物又はその塩を用いて、新規な非ヒト動物用抗菌剤を提供することができる。式(I)又は(II)で表される化合物又はその塩は、マラセチア属菌をはじめとする真菌に対して優れた抗菌活性を即効的に発揮する上で有利に利用することができる。また、式(I)又は(II)で表される化合物又はその塩は、スタフィロコッカス属菌をはじめとする細菌に対しても優れた抗菌活性を即効的に発揮する上で有利に利用することができる。
発明の具体的説明
本明細書において「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を意味し、好ましくはフッ素、塩素、臭素である。
また、本明細書において、基又は基の一部としての「アルキル」、「アルケニル」、又は「アルキニル」という語はそれぞれ、特に定義されていない限り、基が直鎖状、分岐鎖状、環状あるいはそれらの組み合わせのアルキル、アルケニル又はアルキニルを意味する。また例えば、基又は基の一部としての「炭素数1~6のアルキル」という場合の「炭素数1~6」とは、該アルキル基の炭素数1~6個であることを意味する。
また、本明細書において、アルキル基が「置換されてもよい」とは、アルキル基上の1又はそれ以上の水素原子が1又はそれ以上の置換基(同一又は異なっていてもよい)により置換されていてもよいことを意味する。置換基の最大数はアルキル上の置換可能な水素原子の数に依存して決定できることは当業者に明らかであろう。これらはアルキル基以外の官能基についても同様である。
~R12が表すアルキル基が直鎖状又は分岐鎖状である場合、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、好ましくは1~12であり、より好ましくは1~6であり、より一層好ましくは1~3である。直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基又はデシル基などが挙げられるが、好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基又はイソプロピル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。
~R12が表すアルキル基が環状である場合、環状のアルキル基(シクロアルキル基)の炭素数は、好ましくは3~7であり、より好ましくは3~6である。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基などが挙げられる。
アルキル基は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子;ハロゲン原子で置換されてもよいアルキルオキシ基;ハロゲン原子で置換されてもよいアルキルチオ基;ハロゲン原子で置換されてもよいフェニル基; ハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基で置換されたフェニル基;水酸基などが挙げられる。アルキル基が環状(シクロアルキル基)である場合、置換基として、前述のものに加えハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基が挙げられる。これら置換基の個数は、好ましくは0~5個、より好ましくは1又は2個である。
、R及びRが表すアルキルオキシ基が直鎖状又は分岐鎖状である場合、アルキルオキシ基の炭素数は、好ましくは1~12であり、より好ましくは1~6であり、より一層好ましくは1~3である。直鎖状又は分岐鎖状のアルキルオキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基又はデシルオキシ基などが挙げられるが、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基又はイソプロピルオキシ基であり、より好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
、R及びRが表すアルキルオキシ基が環状である場合、環状のアルキルオキシ基(シクロアルキルオキシ基)の炭素数は、好ましくは3~7であり、より好ましくは3~6である。シクロアルキルオキシ基としては、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基又はシクロヘキシルオキシ基などが挙げられる。
上記アルキルオキシ基は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子;ハロゲン原子で置換されてもよいアルキルオキシ基;ハロゲン原子で置換されてもよいアルキルチオ基;ハロゲン原子で置換されてもよいフェニル基; ハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基で置換されたフェニル基;水酸基などが挙げられる。アルキルオキシ基が環状(シクロアルキルオキシ基)である場合、置換基として、前述のものに加えハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基が挙げられる。これら置換基の個数は、好ましくは0~5個、より好ましくは1又は2個である。
、R、R、R、R10、R11及びR12が表すアルケニル基が直鎖状又は分岐鎖状である場合、直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基の炭素数は、好ましくは2~12であり、より好ましくは2~6であり、より一層好ましくは2~4である。直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、アリル基又はゲラニル基などが挙げられる。
、R、R、R、R10、R11及びR12が表すアルケニル基が環状である場合、環状のアルケニル基(シクロアルケニル基)の炭素数は、好ましくは5~8であり、より好ましくは5~6である。シクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基又はシクロオクテニル基などが挙げられる。
上記アルケニル基は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子;ハロゲン原子で置換されてもよいアルキルオキシ基;ハロゲン原子で置換されてもよいアルキルチオ基;ハロゲン原子で置換されてもよいフェニル基; ハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基で置換されたフェニル基;水酸基などが挙げられる。アルケニル基が環状(シクロアルケニル基)である場合、置換基として、前述のものに加えハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基が挙げられる。これら置換基の個数は、好ましくは0~5個、より好ましくは1又は2個である。
、R及びRが表すアルケニルオキシ基が直鎖状又は分岐鎖状である場合、直鎖状又は分岐鎖状のアルケニルオキシ基の炭素数は、好ましくは2~12であり、より好ましくは2~6であり、より一層好ましくは2~4である。直鎖状又は分岐鎖状のアルケニルオキシ基としては、例えば、2-プロペニルオキシ基などが挙げられる。
、R及びRが表すアルケニルオキシ基が環状である場合、環状のアルケニルオキシ基(シクロアルケニルオキシ基)の炭素数は、好ましくは5~8であり、より好ましくは5~6である。シクロアルケニルオキシ基としては、例えば、シクロペンテニルオキシ基、シクロヘキセニルオキシ基又はシクロオクテニルオキシ基などが挙げられる。
上記アルケニルオキシ基は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子;ハロゲン原子で置換されてもよいアルキルオキシ基;ハロゲン原子で置換されてもよいアルキルチオ基;ハロゲン原子で置換されてもよいフェニル基; ハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基で置換されたフェニル基;水酸基などが挙げられる。アルケニルオキシ基が環状(シクロアルケニルオキシ基)である場合、置換基として、前述のものに加えハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基が挙げられる。これら置換基の個数は、好ましくは0~5個、より好ましくは1又は2個である。これら置換基の個数は、好ましくは0~5個、より好ましくは1又は2個である。
、R及びRが表すアルキニル基が直鎖状又は分岐鎖状である場合、直鎖状又は分岐鎖状のアルキニル基の炭素数は、好ましくは2~12であり、より好ましくは2~6であり、より一層好ましくは2~4である。直鎖状又は分岐鎖状のアルキニル基としては、例えば、2-プロピニル基などが挙げられる。
、R及びRが表すアルキニル基が環状である場合、環状のアルキニル基(シクロアルキニル基)の炭素数は、好ましくは6~10である。シクロアルキニル基としては、例えば、シクロオクチニル基などが挙げられる。
上記アルキニル基は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子;ハロゲン原子で置換されてもよいアルキルオキシ基;ハロゲン原子で置換されてもよいアルキルチオ基;ハロゲン原子で置換されてもよいフェニル基; ハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基で置換されたフェニル基;水酸基などが挙げられる。アルキニル基が環状(シクロアルキニル基)である場合、置換基として、前述のものに加えハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基が挙げられる。これら置換基の個数は、好ましくは0~5個、より好ましくは1又は2個である。
及びRが表すアルキニルオキシ基が直鎖状又は分岐鎖状である場合、直鎖状又は分岐鎖状のアルキニルオキシ基の炭素数は、好ましくは2~12であり、より好ましくは2~6であり、より一層好ましくは2~4である。直鎖状又は分岐鎖状のアルキニルオキシ基としては、例えば、2-プロピニルオキシ基などが挙げられる。
及びRが表すアルキニルオキシ基が環状である場合、環状のアルキニルオキシ基(シクロアルキニルオキシ基)の炭素数は、好ましくは6~10である。シクロアルキニルオキシ基としては、例えば、シクロオクチニルオキシ基などが挙げられる。
上記アルキニルオキシ基は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子;ハロゲン原子で置換されてもよいアルキルオキシ基;ハロゲン原子で置換されてもよいアルキルチオ基;ハロゲン原子で置換されてもよいフェニル基;ハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基で置換されたフェニル基;水酸基などが挙げられる。アルキニルオキシ基が環状(シクロアルキニルオキシ基)である場合、置換基として、前述のものに加えハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基が挙げられる。これら置換基の個数は、好ましくは0~5個、より好ましくは1又は2個である。
、R、R、R、R、R10、R11及びR12が表すアリール基の炭素数は、好ましくは6~14であり、より好ましくは6~10である。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられるが、好ましくはフェニル基である。
、R、R、R、R、R10、R11及びR12が表すアリールオキシ基のアリール部分の炭素数は、好ましくは6~14であり、より好ましくは6~10である。アリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基などが挙げられるが、好ましくはフェニルオキシ基である。
上記アリール基又はアリールオキシ基は置換されてもよく、置換基としては、ハロゲン原子;ハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基;ハロゲン原子で置換されてもよいアルキルオキシ基;ハロゲン原子で置換されてもよいアルキルチオ基;ハロゲン原子で置換されてもよいフェニル基; ハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基で置換されたフェニル基;水酸基などが挙げられる。これら置換基の個数は、好ましくは0~5個、より好ましくは1又は2個である。
、R、R及びRが表す5~6員の芳香族複素環基は、好ましくは同一又は異なって、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は複数個有する芳香族複素環である。上記5~6員の芳香族複素環基におけるヘテロ原子の数は、好ましくは1~4個であり、より好ましくは1~3個であり、より一層好ましくは1又は2個である。上記5~6員の芳香族複素環基としては、例えば、チエニル基、フリル基、チアゾリル基又はピリジル基などが挙げられる。
上記5~6員の芳香族複素環基は置換されてもよく、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、アルキルオキシアルキル基、ハロゲン原子で置換されてもよいアルキルオキシ基、ハロゲン原子で置換されてもよいメチレンジオキシ基、-NR1314基(R13及びR14は、水素原子、ハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基又はアルカノイル基である)、-SOpR15基(R15は、ハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基であり、pは0~2の整数である)などが挙げられる。これら置換基の個数は、好ましくは0~5個、より好ましくは1又は2個である。なお、R13~R15に含まれるアルキル部分は、上述のR~R12におけるアルキル部分と同様のものであってもよい。
及びR基が互いに隣接している窒素原子と共に形成する5~7員の飽和複素環としては、好ましくは同一又は異なって、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子を1又は複数個有する飽和複素環である。上記5~7員の飽和複素環におけるヘテロ原子の数は、好ましくは1~4個であり、より好ましくは1~3個であり、より一層好ましくは1又は2個である。上記5~7員の飽和複素環としては、例えば、ピペリジン基、ピロリジン基、モルフォリン基又はチオモルフォリン基などが挙げられる。
本開示の好ましい態様によれば、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、チオシアナート基、トリメチルシリル基、置換されてもよい直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよい直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、置換されてもよいシクロアルケニル基、置換されてもよい直鎖状又は分岐鎖状のアルキニル基、置換されてもよい直鎖状又は分岐鎖状のアルキルオキシ基、置換されてもよいフェニルオキシ基、置換されてもよいフェニル基、置換されてもよいナフチル基、置換されてもよい5~6員の芳香族複素環基、-SO(Rは、置換されてもよい直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよい直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、置換されてもよいシクロアルケニル基、置換されてもよい直鎖状又は分岐鎖状のアルキニル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいピリジル基、-NR基(R及びRは直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である)であり、mは0~2の整数である)、又は
基(Wは酸素原子又は硫黄原子であり、Wは酸素原子、硫黄原子又は-NH-であり、nは0~1の整数であり、Rは置換されてもよい直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又は置換されてもよいフェニル基である)である。
また、本開示の別の好ましい態様によれば、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、
ハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、
ハロゲン原子で置換されてもよいアルキルオキシ基で置換されたアルキル基、
フェニル基で置換されたアルキル基、
アルキル基、ハロゲン原子もしくは水酸基で置換されたフェニル基で置換されたアルキル基、
ハロゲン原子で置換されてもよいアルケニル基、
ハロゲン原子で置換されてもよいアルキルオキシ基、
ハロゲン原子で置換されてもよいフェニル基、
ハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基で置換されたフェニル基、
ハロゲン原子で置換されてもよいアルキルオキシ基で置換されたフェニル基、
ハロゲン原子で置換されてもよいチエニル基、
ピリジル基、
フリル基、
-S(O)基(Rは、フェニル基で置換されてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されてもよいフェニル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基で置換されてもよいピリジル基、アルケニル基又は-NR基(R及びRは、アルキル基である)であり、mは0~2の整数である)、又は
-C(=O)-(NH)(Rはハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、又はハロゲン原子で置換されてもよいフェニル基であり、nは0~1の整数である)である。
また、本開示の別の好ましい態様によれば、Rは、無置換のアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、ハロゲン原子で置換されてもよいフェニル基で置換されたアルキル基、ハロゲン原子で置換されてもよいアルケニル基、アルキルチオ基、無置換のフェニル基、ハロゲン原子で置換されたフェニル基、ハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基で置換されたフェニル基、ハロゲン原子で置換されてもよいアルキルオキシ基で置換されたフェニル基であり、Rがハロゲン原子である。
また、本開示の別の好ましい態様によれば、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、3-クロロ-n-プロピル基、4-クロロ-n-ブチル基、アリル基、エチルチオ基、フェニル基、2-クロロフェニル基、2-フルオロフェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2-クロロ-4-メチルフェニル基、3-クロロ-4-メチルフェニル基、4-クロロ-3-メチルフェニル基、ベンジル基又は2-フルオロベンジル基であり、Rは塩素原子又は臭素原子である。
また、本開示のより好ましい態様によれば、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は置換されてもよいフェニル基である。
また、本開示のより好ましい態様によれば、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子であるか、あるいは、アルキル基及びハロゲン原子のうち少なくとも1つの基で置換されてもよいフェニル基である。
また、本開示のより好ましい態様によれば、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子であるか、あるいは、炭素数1~6のアルキル基及びハロゲン原子のうち少なくとも1つの基で置換されてもよいフェニル基である。
また、本開示のより一層好ましい態様によれば、R及びRは、互いに異なる基である。
また、本開示のより好ましい態様によれば、Xは、水素原子、水酸基又は-OYであり、好ましくは水素原子又は水酸基であり、より好ましくは水素原子である。
本開示のより好ましい態様によれば、Yは、式:
(式中、Rは、置換されてもよい直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいフェニル基、置換されてもよいチエニル基、置換されてもよいフリル基、又は-NR基(R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換されてもよいアルキル基又は置換されてもよいアルケニル基であるか、又は、互いに隣接している窒素原子とともに5~7員の飽和複素環を形成し、但し、R及びRが同時に水素原子である場合を除く)で表される基である。
また、本開示の別の好ましい態様によれば、Rは、置換されてもよい直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、置換されてもよい直鎖状又は分岐鎖状のアルキルオキシ基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいフェニル基、置換されてもよいフェニルオキシ基、-NR基(R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換されてもよいアルキル基又は置換されてもよいアルケニル基であるか、又は、互いに隣接している窒素原子とともに5~7員の飽和複素環を形成し、但し、R及びRが同時に水素原子である場合を除く)、又は、-CR101112基である(R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、置換されてもよいアルキル基又は置換されてもよいフェニル基である)である。
また、本開示の別の好ましい態様によれば、Rは、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいフェニル基、置換されてもよいアルキルオキシ基、置換されてもよいフェニルオキシ基又は-CR101112基(R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、置換されてもよいアルキル基又は置換されてもよいフェニル基である)である。
また、本開示の特に好ましい態様によれば、式(I)又は(II)で表される化合物は、
5-クロロ-4-(4-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル、
4-(4-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル、
5-クロロ-4-(3-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル、5-クロロ-4-(2-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル、
5-クロロ-4-(2-クロロ-4-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル、
5-クロロ-4-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル、
5-クロロ-4-(4-クロロ-3-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル、
4-(2-クロロ-4-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル、
5-クロロ-1-ヒドロキシ-4-(4-メチルフェニル)-イミダゾール-2-カルボニトリル、及び
4-クロロ-1-ヒドロキシ-5-(4-メチルフェニル)-イミダゾール-2-カルボニトリル
から選択されるものである。
なお、式(I)又は(II)で表される化合物又はその塩は、特開平8-283243号公報及び特開平8-225539号公報などに記載された方法によって製造することができる。
本開示の化合物は、単独で使用しても良いが、2種以上組み合わせて使用しても良い。
好ましい態様によれば、本開示の化合物は、塩の形態であってもよい。上記塩は、好ましくは薬学的又は化粧的に許容される塩である。上記薬学的又は化粧的に許容される塩とは、医薬として使用することができる塩を示す。式(I)又は(II)で表される化合物では、酸性基又は塩基性基を有する場合に、塩基又は酸と反応させることにより、塩基性塩又は酸性塩にすることができる。
酸性塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。また、塩基性塩の例として、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、並びにカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
本開示の化合物又はその塩は、大気中に放置したり又は再結晶をすることにより、水分を吸収し、吸着水が付いたり、水和物となったりする場合があり、本開示の化合物又はその塩は、そのような各種の水和物、溶媒和物及び結晶多形の化合物も包含する。
本開示の化合物又はその塩は、そのまま薬剤として使用してもよいが、必要に応じて上記担体、有効成分、薬理成分、化粧成分等の他の追加成分を組み合わせて、常法により製剤化することができる。
本開示の好ましい態様によれば、上記製剤において、本開示の化合物の含有量は、通常0.00001~30質量%であり、好ましくは0.0001~10質量%であり、より好ましくは0.001~0.05質量%である。
本開示の好ましい態様によれば、上記製剤に使用される担体としては、好ましくは薬学的又は化粧的に許容される担体であり、例えば、賦形剤、皮膜剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、分散剤、乳化剤、防腐剤、安定化剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、保湿剤、増粘剤、活性増強剤、香料、矯味剤、矯臭剤等の通常使用できる担体が挙げられる。
また、他の追加成分としては、例えば、保湿剤、抗炎症剤、殺菌剤、抗菌剤、紫外線保護剤、細胞賦活剤、メークアップ成分等を使用してもよい。
本開示の化合物又はその塩を含有する製剤は、医薬品、医薬部外品、動物薬又は化粧料として提供することができる。
好ましい態様によれば、本開示の化合物又はその塩を含有する製剤の形態としては、例えば、クリーム、乳液、ローション、懸濁液、ジェル、パウダー、パック、シート、パッチ、スティック、ケーキ等、化粧料に使用できる任意の形態とすることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、上記製剤のより具体的な形態としては、皮膚炎等の治療の観点から、ローション、シャンプー、クリーム、乳液、軟膏、パッチ等の外用薬のほか、シャンプー、ボディシャンプー等の頭部又は身体用の洗浄剤、リンス、コンディショナー、トリートメント、ヘアパック、ヘアトニック、ヘアクリーム、及び頭部又は身体用のローション、クリーム、乳液等の頭部又は身体用の化粧料等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
本開示の製剤は、経口投与されても非経口投与されてもよい。経口投与のための剤型としては、例えば、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤のような固形投与形態、ならびにエリキシル、シロップや懸濁剤のような液投与形態が挙げられる。非経口投与の剤型としては、注射、輸液、局所、外用剤、経皮、経粘膜、経鼻、経腸、吸入、坐剤、ボーラス、貼付剤等が挙げられる。当該製剤の好ましい形態は、外用散剤、リニメント剤、ローション剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、エアゾールスプレー剤、ポンプスプレー剤、テープ剤、パップ剤のような皮膚外用剤である。
本開示の化合物又はその塩は、マラセチア属菌をはじめとする真菌に対する優れた抗菌活性を即時に発揮することができる。したがって、1つの態様によれば、本開示の製剤はマラセチア属菌に起因する症状又は疾患の改善のために用いられる。ここで、「改善」とは、確立された病態の治療だけでなく、将来確立される可能性のある病態を防止又は遅延させる予防をも含む。また、本開示における改善は、皮膚疾患の症状又は状態の好転、皮膚疾患の症状又は状態の悪化防止又は遅延、皮膚疾患の症状又は状態の進行の逆転、防止又は遅延させることも好ましくは含むものとする。
本開示において、マラセチア属菌(Malassezia)とは、マラセチア科(Malasseziaceae)に属する真菌であり、例えば、Malassezia furfurMalassezia pachydermatisMalassezia globosaMalassezia obtusaMalassezia restrictaMalassezia sympodialisMalassezia slooffiaeMalassezia dermatisMalassezia yamatoensisMalassezia japonicaMalassezia nana等が挙げられる。
本開示において、ミクロスポルム属菌(Microsporum)とは、アルスロデルマ科(Arthrodermataceae)に属する真菌であり、例えば、Microsporum canis等が挙げられる。
本開示において、アルスロデルマ属菌(Arthroderma)としては、アルスロデルマ科(Arthrodermataceae)に属する真菌であり、例えば、Arthroderma vanbreuseghemii等が挙げられる。
好ましい態様によれば、マラセチア属菌に起因する症状又は疾患は、皮膚疾患である。かかるマラセチア属菌に由来する皮膚疾患としては、例えば、癜風、毛包炎、脂漏性皮膚炎、尋常性乾癬、アレルギー性皮膚炎等が挙げられ、好ましくは、癜風、毛包炎、脂漏性皮膚炎、尋常性乾癬、アレルギー性皮膚炎、イヌのマラセチア皮膚炎、アトピー性皮膚炎、マラセチア性外耳炎、ネコのマラセチア皮膚炎、マラセチア性外耳炎、ウマのマラセチア皮膚炎等が挙げられる。
本開示の化合物又はその塩は、スタフィロコッカス属菌をはじめとする細菌に対しても優れた抗菌活性を即時に発揮することができる。したがって、1つの態様によれば、本開示の製剤はスタフィロコッカス属菌に起因する症状又は疾患の改善のために用いられる。ここでも、「改善」とは、確立された病態の治療だけでなく、将来確立される可能性のある病態を防止又は遅延させる予防をも含む。また、本開示における改善は、皮膚疾患の症状又は状態の好転、皮膚疾患の症状又は状態の悪化防止又は遅延、皮膚疾患の症状又は状態の進行の逆転、防止又は遅延させることも好ましくは含むものとする。
本開示において、細菌としては、例えば、スタフィロコッカス属菌、ストレプトコッカス属菌、パスツレラ属菌、エスケリキア属菌、シュードモナス属菌、プロテウス属菌、クレブシエラ属菌等が挙げられる。
本開示において、スタフィロコッカス属菌(Staphylococcus)とは、ブドウ球菌科(Staphylococcaceae)に属する細菌であり、例えば、Staphylococcus pseudintermediusStaphylococcus intermediusStaphylococcus schleiferiStaphylococcus delfiniStaphylococcus epidermidisStaphylococcus xylosusStaphylococcus aureus等が挙げられる。
本開示において、ストレプトコッカス属菌(Streptococcus)とは、レンサ球菌科(Streptococcaceae)に属する細菌であり、例えば、Streptococcus canisStreptococcus pyrogenesStreptococcus suisStreptococcus disgalactiae等が挙げられる。
本開示において、パスツレラ属菌(Pasteurella)とは、パスツレラ科(Pasteurellaceae)に属する細菌であり、例えば、Pasteurella multocida等が挙げられる。
本開示において、エスケリキア属菌(Escherichia)とは、エンテロバクター科(Enterobacteriaceae)に属する細菌であり、例えば、Escherichia coli等が挙げられる。
本開示において、シュードモナス属菌(Pseudomonaceae)とは、シュードモナス科(Pseudomonas)に属する細菌であり、例えば、Pseudomonas aeruginosa等が挙げられる。
本開示において、プロテウス属菌(Proteus)とは、エンテロバクター科(Enterobacteriaceae)に属する細菌であり、例えば、Proteus mirabilis等が挙げられる。
本開示において、クレブシエラ属菌(Klebsiella)とは、エンテロバクター科(Enterobacteriaceae)に属する細菌であり、例えば、Klebsiella pneumoniae等が挙げられる。
好ましい態様によれば、細菌に起因する症状又は疾患は、皮膚疾患である。かかる細菌に由来する皮膚疾患としては、例えば、膿皮症および外耳炎が挙げられる。
本開示の化合物又はその塩の投与対象は、マラセチア属菌等の真菌やスタフィロコッカス属菌等の細菌の殺菌の必要性等を勘案すれば、非ヒト動物であることが好ましい。より具体的な投与対象としては、マラセチア属菌等の真菌やスタフィロコッカス属菌等の細菌の増殖抑制や、マラセチア属菌等の真菌やスタフィロコッカス属菌等の細菌に由来する皮膚疾患の改善を必要とする動物が挙げられる。より具体的には、イヌ、ネコやウマ等の非ヒト動物に対して本開示の化合物又はその塩を投与することが好ましい。本開示の化合物又はその塩の投与部位は、特に限定されず、対象真菌の存在する皮膚等の組織や、器官、細胞であってもよい。
本開示の化合物又はその塩は、抗真菌活性を生じるための有効量にて、それを必要とする対象に投与することにより、真菌の増殖抑制又は殺菌を実施することができる。したがって、本開示の別の態様によれば、式(I)又は(II)で表される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含んでなる、対象における真菌の増殖抑制又は殺菌方法が提供される。好ましい別の態様によれば、上記真菌はマラセチア属菌である。好ましい別の態様によれば、上記真菌はMalassezia pachydermatisである。また、本開示の別の好ましい態様によれば、式(I)又は(II)で表される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含んでなる、マラセチア属菌に起因する症状又は疾患の改善方法が提供される。また、本開示の別の好ましい態様によれば、式(I)又は(II)で表される化合物の有効量を、それを必要とするイヌ、ネコやウマ等の非ヒト動物に投与することを含んでなる、Malassezia pachydermatisに起因する症状又は疾患の改善方法が提供される。
本開示の化合物又はその塩は、抗細菌活性を生じるための有効量にて、それを必要とする対象に投与することにより、細菌の増殖抑制又は殺菌を実施することができる。したがって、本開示の別の態様によれば、式(I)又は(II)で表される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含んでなる、対象における細菌の増殖抑制又は殺菌方法が提供される。好ましい別の態様によれば、上記細菌はスタフィロコッカス属菌である。好ましい別の態様によれば、上記細菌はStaphylococcus pseudintermediusである。また、本開示の別の好ましい態様によれば、式(I)又は(II)で表される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含んでなる、スタフィロコッカス属菌に起因する症状又は疾患の改善方法が提供される。また、本開示の別の好ましい態様によれば、式(I)又は(II)で表される化合物の有効量を、それを必要とするイヌ、ネコやウマ等の非ヒト動物に投与することを含んでなる、Staphylococcus pseudintermediusに起因する症状又は疾患の改善方法が提供される。
本開示の方法は、治療的な方法であってもよく、非治療的方法であってもよい。具体的には、美容目的での使用や、健康増進目的での非治療的使用であってよい。したがって、本開示の好ましい態様によれば上記方法は、医療行為、すなわち治療による個体への処置行為は含まない。
本開示の化合物又はその塩の有効量は、投与対象の動物種、性別、年齢、体重、状態やその他の要因によって変動するが、対象となる菌の増殖を、対照の50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下、さらにより好ましくは10%以下にさせる量である。
上記投与における、本開示の化合物の用量、投与経路、投与間隔は、投与対象の動物種、性別、年齢、体重、状態やその他の要因によって変動するので、一概に規定できない。例えば、イヌの患部に局所投与する場合、本開示の化合物の投与量は、体重10kgの成犬1頭あたり、1日あたりの用量としては通常0.005~350mg/日であり、1週あたりの好ましい用量としては0.01~175mg/週である。また、ネコの患部に局所投与する場合、本開示の化合物の投与量は、体重4kgの成猫1頭あたり、1日あたりの用量としては通常0.002~140mg/日であり、1週あたりの好ましい用量としては0.004~70mg/週である。
また、本開示の別の態様によれば、抗真菌剤の製造における、式(I)又は(II)で表される化合物又はその塩の使用が提供される。また、本開示の別の好ましい態様によれば、マラセチア属菌に起因する症状又は疾患の改善のための製剤の製造における、式(I)又は(II)で表される化合物又はその塩の使用が提供される。また、本開示の別の好ましい態様によれば、上記症状又は疾患は、皮膚疾患である。また、本開示の別の好ましい態様によれば、上記症状又は疾患は、癜風、毛包炎、脂漏性皮膚炎、尋常性乾癬、アトピー性皮膚炎又は外耳炎である。また、本開示の別の好ましい態様によれば、上記使用は、化粧的又は非治療的使用である。
また、本開示の別の態様によれば、抗細菌剤の製造における、式(I)又は(II)で表される化合物又はその塩の使用が提供される。また、本開示の別の好ましい態様によれば、スタフィロコッカス属菌に起因する症状又は疾患の改善のための製剤の製造における、式(I)又は(II)で表される化合物又はその塩の使用が提供される。また、本開示の別の好ましい態様によれば、上記症状又は疾患は、皮膚疾患である。また、本開示の別の好ましい態様によれば、上記症状又は疾患は、膿皮症又は外耳炎である。また、本開示の別の好ましい態様によれば、上記使用は、化粧的又は非治療的使用である。
また、本開示の別の態様によれば、抗真菌剤として使用するための、式(I)又は(II)で表される化合物又はその塩が提供される。また、本開示の別の好ましい態様によれば、マラセチア属菌に起因する症状又は疾患の改善のための、式(I)又は(II)で表される化合物又はその塩が提供される。また、本開示の別の好ましい態様によれば、上記症状又は疾患は、皮膚疾患である。また、本開示の別の好ましい態様によれば、上記症状又は疾患は、癜風、毛包炎、脂漏性皮膚炎、尋常性乾癬、アトピー性皮膚炎又は外耳炎である。また、本開示の別の好ましい態様によれば、上記抗真菌剤は、動物薬である。
また、本開示の別の態様によれば、抗細菌剤として使用するための、式(I)又は(II)で表される化合物又はその塩が提供される。また、本開示の別の好ましい態様によれば、スタフィロコッカス属菌に起因する症状又は疾患の改善のための、式(I)又は(II)で表される化合物又はその塩が提供される。また、本開示の別の好ましい態様によれば、上記症状又は疾患は、皮膚疾患である。また、本開示の別の好ましい態様によれば、上記症状又は疾患は、膿皮症又は外耳炎である。また、本開示の別の好ましい態様によれば、上記抗細菌剤は、動物薬である。
また、本開示の一つの態様によれば、以下が提供される。
[1]式(I)又は(II)で表される化合物又はその塩を含有する、非ヒト動物用抗菌剤。
[式中、
及びRは、それぞれ独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
水酸基、
ニトロ基、
シアノ基、
チオシアナート基、
トリメチルシリル基、
置換されてもよいアルキル基、
置換されてもよいアルケニル基、
置換されてもよいアルキニル基、
置換されてもよいアルキルオキシ基、
置換されてもよいアルケニルオキシ基、
置換されてもよいアルキニルオキシ基、
置換されてもよいアリール基、
置換されてもよいアリールオキシ基、
置換されてもよい5~6員の芳香族複素環基、
-SO
(式中、Rは、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアルケニル基、置換されてもよいアルキニル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよい5~6員の芳香族複素環基又は-NR基(式中、R及びRは、置換されてもよいアルキル基である)であり、mは0~2の整数である)、又は
(式中、
は、酸素原子又は硫黄原子であり、
は、酸素原子、硫黄原子又は-NH-であり、
nは0~1の整数であり、
は、置換されてもよいアルキル基又は置換されてもよいアリール基である)で表される基
であり;
Xは、水素原子、水酸基又は-OYであり;
Yは、式:
(式中、
は、置換されてもよいアルキル基、
置換されてもよいアルキルオキシ基、
置換されてもよいアルケニル基、
置換されてもよいアルケニルオキシ基、
置換されてもよいアリール基、
置換されてもよいアリールオキシ基、
置換されてもよい5~6員の芳香族複素環基、
-NR基(R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換されてもよいアルキル基又は置換されてもよいアルケニル基であるか、又は、互いに隣接している窒素原子と共に5~7員の飽和複素環を形成し、但し、R及びRが同時に水素原子である場合を除く)又は
-CR101112基(式中、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアルケニル基又は置換されてもよいアリール基である))である。]
[2]R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は置換されてもよいフェニル基である、[1]に記載の抗菌剤。
[3]R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子であるか、あるいは、アルキル基及びハロゲン原子のうち少なくとも1つの基で置換されてもよいフェニル基である、[1]又は[2]に記載の抗菌剤。
[4]R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子であるか、あるいは、炭素数1~6のアルキル基及びハロゲン原子のうち少なくとも1つの基で置換されてもよいフェニル基である、[1]~[3]のいずれかに記載の抗菌剤。
[5]R及びRは、互いに異なる基である、[1]~[4]のいずれかに記載の抗菌剤。
[6]Xは、水素原子、水酸基又は-OYであり;
Yは、式:
(式中、Rは、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいフェニル基、置換されてもよいアルキルオキシ基、置換されてもよいフェニルオキシ基又は-CR101112基(式中、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、置換されてもよいアルキル基又は置換されてもよいフェニル基である)で表される基である、[1]~[5]のいずれかに記載の抗菌剤。
[7]Xは、水素原子又は水酸基である、[1]~[6]のいずれかに記載の抗菌剤。
[8]前記式(I)又は(II)で表される化合物は、
5-クロロ-4-(4-メチルフェニル)-1-イミダゾール-2-カルボニトリル、
4-(4-メチルフェニル)-1-イミダゾール-2-カルボニトリル、
5-クロロ-4-(3-メチルフェニル)-1-イミダゾール-2-カルボニトリル、
5-クロロ-4-(2-メチルフェニル)-1-イミダゾール-2-カルボニトリル、
5-クロロ-4-(2-クロロ-4-メチルフェニル)-1-イミダゾール-2-カルボニトリル、
5-クロロ-4-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1-イミダゾール-2-カルボニトリル、
5-クロロ-4-(4-クロロ-3-メチルフェニル)-1-イミダゾール-2-カルボニトリル、
4-(2-クロロ-4-メチルフェニル)-1-イミダゾール-2-カルボニトリル、
5-クロロ-1-ヒドロキシ-4-(4-メチルフェニル)-イミダゾール-2-カルボニトリル、及び
4-クロロ-1-ヒドロキシ-5-(4-メチルフェニル)-イミダゾール-2-カルボニトリル
から選択されるものである、[1]~[7]のいずれかに記載の抗菌剤。
[9]前記菌が真菌である、[1]~[8]のいずれかに記載の抗菌剤。
[10]前記真菌がマラセチア属菌、ミクロスポルム属菌およびアルスロデルマ属菌から選ばれる少なくとも一つである、[9]に記載の抗菌剤。
[11]マラセチア属菌、ミクロスポルム属菌およびアルスロデルマ属菌から選ばれる少なくとも一つに起因する症状又は疾患の改善のための、[9]又は[10]に記載の抗菌剤。
[12]前記症状又は疾患が、皮膚疾患である、[11]に記載の抗菌剤。
[13]前記症状又は疾患が、癜風、毛包炎、脂漏性皮膚炎、尋常性乾癬、アトピー性皮膚炎、皮膚糸状菌症又は外耳炎である、[11]又は[12]に記載の抗菌剤。
[14]前記菌が細菌である、[1]~[8]のいずれかに記載の抗菌剤。
[15]前記細菌がスタフィロコッカス属菌(Staphylococcus)、ストレプトコッカス属菌(Streptococcus)、パスツレラ属菌(Pasteurella)、エスケリキア属菌(Escherichia)、シュードモナス属菌(Pseudomonaceae)、プロテウス属菌(Proteus)およびクレブシエラ属菌(Klebsiella)から選ばれる少なくとも一つである、[14]に記載の抗菌剤。
[16]スタフィロコッカス属菌、ストレプトコッカス属菌、パスツレラ属菌、エスケリキア属菌、シュードモナス属菌、プロテウス属菌およびクレブシエラ属菌から選ばれる少なくとも一つに起因する症状又は疾患の改善のための、[14]又は[15]に記載の抗菌剤。
[17]前記症状又は疾患が、皮膚疾患である、[16]に記載の抗菌剤。
[18]前記症状又は疾患が、膿皮症又は外耳炎である、[16]又は[17]に記載の抗菌剤。
[19]前記非ヒト動物が、イヌ、ネコ又はウマである、[1]~[18]のいずれかに記載の抗菌剤。
次に本開示に係わる試験例を記載するが、これらは本開示を限定するものではない。
製造例1:5-クロロ-4-(4-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル(化合物No.1)
特開平8-225539号の実施例1~5に記載の方法に準じて5-クロロ-4-(4-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル(化合物No.1)を製造した(CAS番号:120118-14-1)。
製造例2:4-(4-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル(化合物No.2)
製造目的物に対応する原料化合物を用いること以外、特開平8-225539号の記載と同様の手法に準じて化合物No.2を製造した(CAS番号:120118-10-7)。
MS:184.2[M+H]
製造例3:5-クロロ-4-(3-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル(化合物No.3)
製造目的物に対応する原料化合物を用いること以外、特開平8-225539号の記載と同様の手法に準じて化合物No.3を製造した(CAS番号:120118-18-5)。
MS:218.2[M+H]
製造例4:5-クロロ-4-(2-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル(化合物No.4)
製造目的物に対応する原料化合物を用いること以外、特開平8-225539号の記載と同様の手法に準じて化合物No.4を製造した。
H-NMR(DMSO-d6):δ7.45-7.31(m,4H),3.45-3.28(br,1H),2.23(s,3H)
MS:218.1[M+H]
製造例5:5-クロロ-4-(2-クロロ-4-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル(化合物No.5)
製造目的物に対応する原料化合物を用いること以外、特開平8-225539号の記載と同様の手法に準じて化合物No.5を製造した(CAS番号:2167064-69-7)。
MS:252.2[M+H]
製造例6:5-クロロ-4-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル(化合物No.6)
製造目的物に対応する原料化合物を用いること以外、特開平8-225539号の記載と同様の手法に準じて化合物No.6を製造した(CAS番号:120118-82-3)。
MS:252.1[M+H]
製造例7:5-クロロ-4-(4-クロロ-3-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル(化合物No.7)
製造目的物に対応する原料化合物を用いること以外、特開平8-225539号の記載と同様の手法に準じて化合物No.7を製造した。
H-NMR(DMSO-d6):δ7.73(s,1H),7.62-7.58(m,2H),3.80-3.00(br,1H),2.40(s,3H)
MS:251.0[M+H]
製造例8:4-(2-クロロ-4-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル(化合物No.8)
製造目的物に対応する原料化合物を用いること以外、特開平8-225539号の記載と同様の手法に準じて化合物No.8を製造した。
H-NMR(DMSO-d6):δ8.10-7.93(br,1H),7.93-7.77(br,1H),7.38(s,1H),7.24(d,1H,J=8.0Hz),3.32(s,1H),2.34(s,3H)
MS:218.1[M+H]
製造例9:5-クロロ-1-ヒドロキシ-4-(4-メチルフェニル)-イミダゾール-2-カルボニトリル(化合物No.9)
製造目的物に対応する原料化合物を用いること以外、特開平8-225539号の記載と同様の手法に準じて化合物No.9を製造した。
H-NMR(DMSO-d6):δ7.72(d,2H,J=8.0Hz),7.26(d,2H,J=8.0Hz),3.45-3.15(br,1H),2.31(s,3H)
MS:234.1[M+H]
製造例10:4-クロロ-1-ヒドロキシ-5-(4-メチルフェニル)-イミダゾール-2-カルボニトリル(化合物No.10)
製造目的物に対応する原料化合物を用いること以外、特開平8-225539号の記載と同様の手法に準じて化合物No.10を製造した(CAS番号:177762-70-8)。
MS:234.1[M+H]
試験例1
抗菌活性試験
供試菌株:Malassezia pachydermatis(IFM56528株千葉大学分譲株)
Tween40(ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート:関東化学株式会社製)を0.5%添加したサブロー培地(ペプトン1%、デキストリン4%、寒天1.5%)で5~7日間培養したマラセチア菌(Malassezia pachydermatis)を生理食塩水に懸濁させ、吸光度550nmで0.25になるように調製した。そこへDMSOに溶解した試験化合物を最終濃度500ppmとなるように加え、1分後、シリンジに懸濁液10μLと生理食塩水10mLとを入れて撹拌し、37mmクオリティモニター(Pall社製)につないで、ろ過洗浄した。そのまま、メンブレンフィルターにTween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート:関東化学株式会社製)を1%添加したサブロー培地を浸透させ、32℃で72時間培養し、そこに形成されたコロニー数(本発明区のコロニー数)と試験化合物を添加していない溶媒中のコロニー数(薬剤無処理区のコロニー数)を計測し、下記式に従いコロニー形成阻害率(%)を求めた。
コロニー形成阻害率(%)=[(薬剤無処理区のコロニー数-本発明区のコロニー数)/薬剤無処理区のコロニー数]×100
その結果、化合物No.1~10はいずれもコロニー形成を100%阻害した。化合物No.1~10は、マラセチア菌に対して即効的に抗菌活性を発揮したことが確認された。
試験例2
各種マラセチア属菌に対する抗菌活性試験
供試化合物:化合物No.1(最終濃度500ppm)
供試菌株:Malassezia pachydermatis(IFM56528株)、M.furfur(IMF55951株)、M.sympodialis(IMF48588株)、M.globosa(IMF51946株)、M.restricta(IMF55992株)
試験例1と同様の手法により供試菌株に対するコロニー形成阻害率を求めた。試験結果は第1表に示した。
試験例3:マラセチア性外耳炎効果試験(イヌ)
供試品種:ビーグル(19~20ヶ月齢)
供試菌株:Malassezia pachydermatis(ATCC14522株)
サブロー寒天培地で前培養した(7日間、30℃)マラセチア菌のコロニーを滅菌済み生理食塩水に懸濁させ(菌濃度1.0×10個/mL)、供試動物の両耳に0.1mL接種した。接種7日後、試験化合物の濃度を500ppmに調製した薬液(滅菌済み生理食塩水、5%DMSO添加)5mLを両耳に充填し、1分後、滅菌済み生理食塩水で十分に洗浄した。薬液処理7日後に、検体の耳の状態を、発赤、耳垢、掻痒感、皮疹の4項目について観察し、それぞれ症状が認められた場合を1、認められなかった場合を0としてスコア化し、症状の改善率を求めた。結果を第2表に示す。
併せて、検体の耳内部に存在するマラセチア菌数についても以下の方法で調査した。
耳道表面を綿棒で3回掻き取って菌を採取し、採取した菌は、綿棒ごとTween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート:関東化学株式会社製)を1%v/v添加したPBS(1000mL中に塩化ナトリウム8g、リン酸水素二ナトリウム2.9g、塩化カリウム0.2g、リン酸二水素カリウム0.2g各相当含有)1mLに懸濁させた。その懸濁液を、前記PBSで10倍に階段希釈し、その0.1mLをクロモアガーマラセチア/カンジダ培地(商品名;ペプトン、特殊酵素基質混合物、クロラムフェニコール、オリーブ油、寒天)に塗布し、30℃で4日間培養した。その後、ピンク~紫色を呈したコロニーを計数し、菌数スコアを算出し、改善率を求めた。結果を第3表に示す。
試験例4:抗菌活性試験
供試化合物:化合物No.1
供試菌株:Microsporum canis(TIMM20080株)
菌株を、シクロヘキシミド500μg/mL及びクロラムフェニコール50μg/mL含有サブロー培地で28℃、8日間培養後、Tween80含有(0.05%(v/v))生理食塩水で胞子を採取、セルストレーナー(φ40μm)でろ過し、ろ液から胞子を遠心分離(3500rpm、5分)にて回収し、生理食塩水で2回洗浄後、胞子懸濁液を調製した(1×10個/mL)。DMSOに溶解した化合物No.1を種々の濃度となるように加えたサブロー培地に胞子懸濁液を10μL接種した。28℃で72時間培養後、菌の発育量を調査し、最小発育阻止濃度を求めた。
その結果、化合物No.1の最小発育阻止濃度は10ppmであった。
試験例5:抗菌活性試験
供試化合物:化合物No.6
供試菌株:Microsporum canis(NBRC7863)
菌株をサブロー培地で培養後、Tween80含有(1%(V/V))PBSで懸濁し、セルストレーナー(φ40μm)でろ過し、ろ液から胞子を遠心分離(3500rpm、5分)にて回収し、生理食塩水で2回洗浄後、胞子懸濁液を調製した(1×10個/mL)。DMSOに溶解した化合物No.6を種々の濃度となるように加えたサブロー培地に胞子懸濁液を50μL接種した。25℃で120時間培養後、菌の発育の有無を調査し、最小発育阻止濃度を求めた。
その結果、化合物No.6の最小発育阻止濃度は125ppmであった。
試験例6:抗菌活性試験
供試化合物:化合物No.6
供試菌株:Staphylococcus pseudintermedius(JCM 17571)
Luria Broth (LB)寒天培地プレート(ペプトン、酵母抽出物、塩化ナトリウム、寒天、Invitrogen)で24時間培養したブドウ球菌(Staphylococcus pseudintermedius)を生理食塩水に懸濁させ、吸光度600nmで0.025になるように調製した。そこへDMSOに溶解した試験化合物を最終濃度200、100、50、25ppmとなるように加え、1分後、シリンジに懸濁液10μLと生理食塩水10mLとを入れて撹拌し、37mmクオリティモニター(Pall社製)につないで、ろ過し、生理食塩水10mLで2回洗浄した。そのまま、メンブレンフィルターにLB培地を浸透させ、30℃で72時間培養し、コロニーの発育の有無を調査し、最小殺菌濃度(MBC100)を求めた。その結果を第4表に示した。
試験例7:抗真菌活性試験
供試化合物:化合物No.6
供試菌株:Microsporum canis(IFM63627)
試験例5の方法を一部変更して抗真菌活性を検討した。1/10サブロー培地でMicrosporum canisを32℃で168時間培養し、胞子を形成させた後、生理食塩液(大塚生食注;1000mL中に塩化ナトリウム9g相当含有)10mLを直接培地上に加え、ディスポループ(1型(1μL))を用いて表面を擦り、菌糸を含む胞子懸濁液を回収した。菌糸を含む胞子懸濁液をセルストレーナー(φ40μm)でろ過した。ろ液から胞子を遠心分離(3500rpm、5分)にて回収し、生理食塩水で2回洗浄後、胞子懸濁液を調製した(1×10個/mL)。DMSOに溶解した試験化合物を所定の濃度となるように加えたサブロー培地に、前記胞子懸濁液を10μL接種した。Microsporum canisは32℃で72時間培養後、コロニーの発育の有無を調査し、最小発育阻止濃度(MIC100)を求めた。その結果を第5表に示した。
試験例8:抗真菌活性試験
供試化合物:化合物No.6
供試菌株:Microsporum canis(IFM63627)
1/10サブロー培地でMicrosporum canisを32℃で168時間培養し、胞子を形成させた後、生理食塩液(大塚生食注;1000mL中に塩化ナトリウム9g相当含有)10mLを直接培地上に加え、ディスポループ(1型(1μL))を用いて表面を擦り、菌糸を含む胞子懸濁液を回収した。菌糸を含む胞子懸濁液をセルストレーナー(φ40μm)でろ過した。ろ液から胞子を遠心分離(3500rpm、5分)にて回収し、生理食塩水で2回洗浄後、胞子懸濁液を調製した(1×10個/mL)。DMSOに溶解した化合物No.6を所定の濃度となるように加えた90μL生理食塩液に、前記胞子懸濁液を10μL接種した。所定の時間が経過する毎に胞子を含む被検液を10μL採取し、遠心分離(3500rpm、5分)にて胞子を回収し、生理食塩水で2回洗浄後、10μL胞子懸濁液を調製した。10μL胞子懸濁液をサブロー培地にスポットし、32℃で72時間培養後、コロニーの発育の有無を調査し、最小殺真菌濃度(MFC100)を求めた。その結果を第6表に示した。
試験例9:抗真菌活性試験
供試化合物:化合物No.1
供試菌株:Arthroderma vanbreuseghemii(TIMM2789)
菌株を、シクロヘキシミド500μg/mL及びクロラムフェニコール50μg/mL含有サブロー培地で28℃、8日間培養後、Tween80含有(0.05%(v/v))生理食塩水で胞子を採取、セルストレーナー(φ40μm)でろ過し、ろ液から胞子を遠心分離(3500rpm、5分)にて回収し、生理食塩水で2回洗浄後、胞子懸濁液を調製した(1×10個/mL)。DMSOに溶解した化合物No.1を種々の濃度となるように加えたサブロー培地に胞子懸濁液を10μL接種した。28℃で72時間培養後、菌の発育量を調査し、最小発育阻止濃度(MIC100)を求めた。その結果を第7表に示した。
試験例10-1:抗真菌活性試験
供試化合物:化合物No.6
供試菌株:Malassezia pachydermatis(IFM56528)
サブロー培地(ペプトン1%、デキストリン4%、寒天1.5%)で5~7日間培養したマラセチア菌(Malassezia pachydermatis)を生理食塩水に懸濁させ、吸光度600nmで0.025になるように調製した。そこへDMSOに溶解した試験化合物を最終濃度70、65、64、60、55、45、40、35、32、20、18、8ppmとなるように加え、1分後、シリンジに懸濁液10μLと生理食塩水10mLとを入れて撹拌し、37mmクオリティモニター(Pall社製)につないで、ろ過洗浄した。そのまま、メンブレンフィルターにサブロー培地を浸透させ、32℃で72時間培養し、コロニーの発育の有無を調査し、コロニーの発育が無い濃度を最小殺真菌濃度(MFC100)として求めた。コロニーの発育が有った場合、そこに形成されたコロニー数(本発明区のコロニー数)と試験化合物を添加していない溶媒中のコロニー数(薬剤無処理区のコロニー数)を計測し、下記式に従いコロニー形成阻害率(%)を求め、コロニー形成阻害率90%を示す濃度を90%殺真菌濃度(MFC90)、コロニー形成阻害率50%を示す濃度を半数殺真菌濃度(MFC50)として求めた。その結果を第8表に示した。
コロニー形成阻害率(%)=[(薬剤無処理区のコロニー数-本発明区のコロニー数)/薬剤無処理区のコロニー数]×100
試験例10-2抗真菌活性試験
供試化合物:化合物No.1
供試菌株:Malassezia pachydermatis(IFM56528)
サブロー培地(ペプトン1%、デキストリン4%、寒天1.5%)で5~7日間培養したマラセチア菌(Malassezia pachydermatis)を生理食塩水に懸濁させ、吸光度600nmで0.025になるように調製した。そこへDMSOに溶解した試験化合物を最終濃度500、250、200、190、180、170、160、150、140、130、125、120、110、100、90、80、70、64ppmとなるように加え、1分後、シリンジに懸濁液10μLと生理食塩水10mLとを入れて撹拌し、37mmクオリティモニター(Pall社製)につないで、ろ過洗浄した。そのまま、メンブレンフィルターにサブロー培地を浸透させ、32℃で72時間培養し、コロニーの発育の有無を調査し、コロニーの発育が無い濃度を最小殺真菌濃度(MFC100)として求めた。コロニーの発育が有った場合、そこに形成されたコロニー数(本発明区のコロニー数)と試験化合物を添加していない溶媒中のコロニー数(薬剤無処理区のコロニー数)を計測し、下記式に従いコロニー形成阻害率(%)を求め、コロニー形成阻害率90%を示す濃度を90%殺真菌濃度(MFC90)、コロニー形成阻害率50%を示す濃度を半数殺真菌濃度(MFC50)として求めた。その結果を第9表に示した。
コロニー形成阻害率(%)=[(薬剤無処理区のコロニー数-本発明区のコロニー数)/薬剤無処理区のコロニー数]×100
試験例11:抗真菌活性試験
供試化合物:化合物No.1、化合物No.6
供試菌株:Malassezia pachydermatis(IFM56528)
サブローデキストロース培地(ペプトン1%、デキストロース4%)で5~7日間培養したマラセチア菌(Malassezia pachydermatis)を生理食塩水に懸濁させ、吸光度600nmで0.0025になるようにマラセチア菌懸濁液を調製した。96穴プレートにマラセチア菌懸濁液190μLずつ入れて、そこへDMSOに溶解した試験化合物10μLを最終濃度500、250、125、62.5、31.25、16、8、4、2、1、0.5ppmとなるように加え、32℃で72時間培養した。培養後に、WST-8(生細胞数測定試薬、ナカライテスク社製)を20μLずつ添加して、32℃で5時間保温し、発色させた。マイクロプレートリーダー(SpectraMax M2、モレキュラーデバイス社製)を用いて450nmの吸光度を測定した。そこに、試験化合物が添加されたウェルの吸光度(本発明区の吸光度)と試験化合物を添加していない溶媒中のウェルの吸光度(薬剤無処理区の吸光度)を計測し、下記式に従い、マラセチア菌の生存率(%)を求め、生存率が0%になる薬剤濃度を最小発育阻止濃度(MIC100)とした。また生存率が50%になる薬剤濃度を半数発育阻止濃度(MIC50)とした。その結果を第10表に示した。
マラセチア菌の生存率(%)=[(薬剤無処理区の吸光度-本発明区の吸光度)/薬剤無処理区の吸光度]×100

Claims (14)

  1. 式(I)又は(II)で表される化合物又はその塩を含有する、非ヒト動物用抗菌剤。
    [式中、
    及びR の一方は、水素原子又はハロゲン原子であり、他方は、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子のうち少なくとも1つの基で置換されてもよいフェニル基であり、
    Xは、水素原子又は水酸基である。]
  2. 及びR の一方は、水素原子又は塩素原子であり、他方は、メチル基又は塩素原子のうち少なくとも1つの基で置換されてもよいフェニル基である、請求項1に記載の抗菌剤。
  3. 前記式(I)又は(II)で表される化合物は、
    5-クロロ-4-(4-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル、
    4-(4-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル、
    5-クロロ-4-(3-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル、
    5-クロロ-4-(2-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル、
    5-クロロ-4-(2-クロロ-4-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル、
    5-クロロ-4-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル、
    5-クロロ-4-(4-クロロ-3-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル、
    4-(2-クロロ-4-メチルフェニル)-1H-イミダゾール-2-カルボニトリル、
    5-クロロ-1-ヒドロキシ-4-(4-メチルフェニル)-イミダゾール-2-カルボニトリル、及び
    4-クロロ-1-ヒドロキシ-5-(4-メチルフェニル)-イミダゾール-2-カルボニトリル
    から選択されるものである、請求項1又は2に記載の抗菌剤。
  4. 前記菌が真菌である、請求項1~のいずれか一項に記載の抗菌剤。
  5. 前記真菌がマラセチア属菌、ミクロスポルム属菌およびアルスロデルマ属菌から選ばれる少なくとも一つである、請求項に記載の抗菌剤。
  6. マラセチア属菌、ミクロスポルム属菌およびアルスロデルマ属菌から選ばれる少なくとも一つに起因する症状又は疾患の改善のための、請求項またはに記載の抗菌剤。
  7. 前記症状又は疾患が、皮膚疾患である、請求項に記載の抗菌剤。
  8. 前記症状又は疾患が、癜風、毛包炎、脂漏性皮膚炎、尋常性乾癬、アトピー性皮膚炎、皮膚糸状菌症又は外耳炎である、請求項又はに記載の抗菌剤。
  9. 前記菌が細菌である、請求項1~のいずれか一項に記載の抗菌剤。
  10. 前記細菌がスタフィロコッカス属菌(Staphylococcus)、ストレプトコッカス属菌(Streptococcus)、パスツレラ属菌(Pasteurella)、エスケリキア属菌(Escherichia)、シュードモナス属菌(Pseudomonaceae)、プロテウス属菌(Proteus)およびクレブシエラ属菌(Klebsiella)から選ばれる少なくとも一つである、請求項に記載の抗菌剤。
  11. スタフィロコッカス属菌、ストレプトコッカス属菌、パスツレラ属菌、エスケリキア属菌、シュードモナス属菌、プロテウス属菌およびクレブシエラ属菌から選ばれる少なくとも一つに起因する症状又は疾患の改善のための、請求項又は10に記載の抗菌剤。
  12. 前記症状又は疾患が、皮膚疾患である、請求項11に記載の抗菌剤。
  13. 前記症状又は疾患が、膿皮症又は外耳炎である、請求項11又は12に記載の抗菌剤。
  14. 前記非ヒト動物が、イヌ、ネコ又はウマである、請求項1~13のいずれか一項に記載の抗菌剤。
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