JP7782985B2 - 水性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた水性ボールペン - Google Patents
水性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた水性ボールペンInfo
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Description
「1.水、顔料、スチレンアクリル樹脂、ポリエチレングリコール系界面活性剤を含んでなることを特徴とする水性ボールペン用インキ組成物。
2.前記スチレンアクリル樹脂の酸価が、100~300(mgKOH/g)であることを特徴とする第1項に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
3.前記ポリエチレングリコール系界面活性剤が、一般式(化1)で示されることを特徴とする請求項1または2に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
5.前記顔料が、カーボンブラックであることを特徴とする第1項ないし第4項のいずれか1項に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
6.前記水性ボールペン用インキ組成物に、オレフィン系樹脂粒子またはアミノ基を有する樹脂粒子を含んでなることを特徴とする第1項ないし第5項のいずれか1項に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
7.前記水性ボールペン用インキ組成物のインキ粘度が、20℃、剪断速度1.92sec-1において、500~5000mPa・sであることを特徴とする第1項ないし第6項のいずれか1項に記載の水性ボールペン用インキ組成物。」である。
8.第1項~第7項のいずれか1項に記載の水性ボールペン用インキ組成物を収容した収容筒と、前記収容筒の先端にボールペンチップとを有することを特徴とする水性ボールペン。
ボール座の摩耗抑制については、顔料粒子自体がボールとボールペンチップのボールの座間で生じるベアリング効果も得られるが、それに加えて、特定のスチレンアクリル樹脂によるクッション作用による潤滑効果が得られるため、潤滑性を向上し、さらに顔料表面や、顔料周辺にポリエチレングリコール系界面活性剤が存在することで、ボールとボール座間に顔料粒子が入り込んだ場合に、ポリエチレングリコール系界面活性剤による潤滑層によって潤滑効果が得られる。
よって、顔料粒子自体がボールとボール座間で生じるベアリング効果と、スチレンアクリル樹脂によるクッション作用と、ポリエチレングリコール系界面活性剤による潤滑層による相乗的な潤滑作用が働くことで、より一層の潤滑効果が得られるため、ボールとボールペンチップのボール座間の潤滑性を向上して、ボールの回転をスムーズにすることで、従来よりもボール座の摩耗を抑制することが可能となる。
また、顔料分散性については、ポリエチレングリコール系界面活性剤が、顔料分散作用をしつつ、さらにスチレンアクリル樹脂が、補助的に顔料分散作用が働くことで、より顔料分散性を良好とすることが可能となる。
ポリエチレングリコール系界面活性剤については、含んでなることで、顔料表面や、顔料周辺にポリエチレングリコール系界面活性剤が存在することで、ボールとボールペンチップのボール座間に顔料粒子が入り込んだ場合、潤滑層を形成することで、潤滑効果が得られ、ボール座の摩耗を抑制することが可能となる。さらに、顔料表面や、顔料周辺にポリエチレングリコール系界面活性剤が存在することで、顔料の分散安定性を維持することが可能である。
さらに、一般式(化1)のエチレンオキシド基-(CH2-CH2-O)m-ついては、エチレンオキシド付加モル数mが、10~40が好ましい。これは、上記範囲であると、ボールとボール座間において、クッション作用が働きやすく、ボール座の摩耗抑制効果が得られやすい。さらに水性インキでの安定性を得るために親水性のエチレンオキシド鎖が特定の範囲にあることが好ましい。より考慮すれば、エチレンオキシド付加モル数nが20~40であることが好ましく、30~40が好ましい。
スチレンアクリル樹脂については、含んでなることで、スチレン基の立体構造によって、ボールとボール座間でクッション効果が得られ、ボールとボール座間の摩擦を低減することが可能であり、ボール座の摩耗抑制することができる。カルボキシル基が、金属に吸着しやすく、スチレン基の立体構造によって、ボール座の摩耗抑制の効果を得ることができる。さらに顔料表面にスチレン基が吸着することで顔料粒子を反発させやすく、顔料分散安定性を保ちやすい。また、スチレンアクリル樹脂については、スチレンアクリル樹脂やそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などの塩が挙げられるが、ボール座の摩耗抑制や、顔料分散性を考慮すれば、スチレンアクリル樹脂のアンモニウム塩を用いることが好ましい。また、スチレンアクリル樹脂については、ジョンクリルシリーズ(BASFジャパン社製)などが挙げられる。
さらに、スチレンアクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、本発明の効果を考慮すれば、80~200℃であることが好ましく、100~200℃であることが好ましく、120~180℃が好ましい。なお、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定により求めることができる。
これらの顔料としては、、顔料分散性を考慮して、顔料をポリエチレングリコール系界面活性剤、溶媒を用いて、顔料分散させた顔料分散体を用いることが好ましく、より考慮すれば、顔料をポリエチレングリコール系界面活性剤、水、多価アルコールを用いて、水性顔料分散体を用いることが好ましく、さらに、予め顔料をポリエチレングリコール系界面活性剤、水、多価アルコールを用いて、水性顔料分散体を用いることが好ましい。
さらに、カーボンブラックの中でも吸油量が50~300ml(/100g)であるカーボンブラックを用いることが、好ましい。これは、吸油量はカーボンブラックのつながりであるストラクチャーをあらわす代替特性であり、吸油量が大きいほどストラクチャーは大きくなる。吸油量が50~300ml(/100g)のカーボンブラックは、ボールとボール座間の隙間に適した大きさのストラクチャーであるため、効率的なベアリング効果が期待でき、ボール座の摩耗抑制を得られやすく、顔料分散安定性に適した大きさのストラクチャーとなるため顔料分散安定しやすく、さらに、カーボンブラック自体が、紙面上に残ることで、濃い鮮明な筆跡になりやすいため好ましい。さらに、ボール座の摩耗抑制、顔料分散性を考慮すれば、カーボンブラックの吸油量については、100~250ml(/100g)が好ましく、120~200ml(/100g)が好ましい。
カーボンブラックの吸油量は、カーボンブラックのストラクチャーを示す特性であり、乾燥された一定量のカーボンブラックがDBP(ジブチルフタレート)を吸収する量をいいJIS K6221に規定される試験方法で測定される。
また、顔料粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定機(商品名「MicrotracHRA9320-X100」、日機装株式会社)を用いてレーザー回折法で測定される粒度分布の体積累積50%時の粒子径(D50)により測定することができる。
本発明では、樹脂粒子を含んでなることが好ましい。これは、樹脂粒子が、ボールとボール座間に存在することによって、クッション作用することで、相対的に硬い顔料粒子がボールまたはボール座と接触することを抑制しやすく、ボールとボール座間の摩擦を低減することが可能であり、ボール座の摩耗抑制することができる。さらに、樹脂粒子によってボールとチップ先端の内壁との間の隙間における組成物の流動を制御して、インキ漏れを抑制しやすいため、好ましい。このとき、樹脂粒子は、無機物と比較して硬度が低いことから、粒子同士が一部変形などして、お互い密着するので、比較的小さい樹脂粒子が相互に微弱な凝集構造を形成し、インキ漏れを抑制すると考えられる。
オレフィン系樹脂粒子は、必要に応じてポリオレフィン以外の材料を含んでいてもよい。
本発明で用いる溶媒としては、水、水溶性溶剤などを含んでなる。
水としては、特に制限なく、例えば、イオン交換水、蒸留水、および水道水などの慣用の水を用いることができる。
デキストロース当量とは、デンプンを酸又は酵素で分解したときの分解の程度を示す指標であり、デキストロース(ブドウ糖)の還元力を100とした場合の相対的な尺度として知られている。本明細書において、デキストロース当量を、「DE」(Dextrose equivalent)と表記略記する。なお、DEが0であるとデンプンであり、0に近いほどデンプンに近い特性を示す。逆にDEが100に近づくほどデンプンの加水分解が進んでいることを示す。デキストリンのDEは、Somogyi-Nelson法で測定することができる。また、例えば、デキストリンのDEのメーカー保証値あるいは測定値が判明している場合は、その値をデキストリンのDE値として採用することができる。
ボールペンチップのボールの縦軸方向への移動量(クリアランス)とは、ボールがボールペンチップ本体の縦軸方向への移動可能な距離を示す。
本発明においては、20℃、筆記用紙JIS P3201筆記用紙上に筆記角度65°、筆記荷重100gの条件にて、筆記速度4m/分の速度で、試験サンプル5本を用いて、らせん筆記試験を行い、その100mあたりのインキ消費量の平均値を、100mあたりのインキ消費量と定義する。
実施例1
顔料分散体(カーボンブラッ吸油量:170ml(/100g)、一次粒子径:21nm) 30.0質量部
(主な含有物:カーボンブラック6質量部、ポリエチレングリコール系界面活性剤1.5質量部、多価アルコール3.0質量部)
スチレンアクリル樹脂 (酸価215(mgKOH/g) 、 分子量6200、 ガラス転移温度(Tg:136℃) 1.5質量部
水 48.5質量部
多価アルコール(グリセリン) 10.0質量部
樹脂粒子(低密度ポリエチレン分散体、平均粒子径6μm、pH値9、固形分40%) 1.0質量部
デキストリン(ワキシーコーンスターチ由来、DE:6~8) 1.0質量部
pH調整剤(トリエタノールアミン) 2.0質量部
リン酸エステル系界面活性剤 1.0質量部
脂肪酸(リノール酸) 1.0質量部
防錆剤(ベンゾトリアゾール) 0.5質量部
剪断減粘性付与剤(キサンタンガム) 0.4質量部
尚、実施例1のインキ粘度は、ブルックフィールド社製DV-II粘度計(CPE-42ローター)を用いて20℃の環境下で、剪断速度1.92sec-1(回転数0.5rpm)の条件にてインキ粘度を測定したところ、2500mPa・sであった。
また、実施例1のpH値は、IM-40S型pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて、20℃にて測定したところ、pH値=8.6であった。
表に示すようにインキ成分、チップ仕様を変更した以外は、実施例1と同様な手順で実施例2~23の水性ボールペン用インキ組成物および水性ボールペンレフィルを得た。表に、評価結果を示す。
実施例及び比較例で作製した水性ボールペン用インキ組成物を、インキ収容筒の先端にボールを回転自在に抱持したボールペンチップをチップホルダーに介して具備したインキ収容筒内(ポリプロピレン製)に充填したレフィル(1.0g)を(株)パイロットコーポレーション製のゲルインキボールペン(商品名:G-knock)に装着して、以下の試験および評価を行った。尚、耐摩耗試験、書き味の評価は、筆記試験用紙としてJIS P3201 筆記用紙Aを用い、以下のような試験方法で評価を行った。
また、実施例1、3、8、19、20の水性ボールペン用インキ組成物および水性ボールペンレフィルを用いて水性ボールペンとして、らせん筆記試験を行い、100mあたりのインキ消費量をA(mg)、前記ボール径をB(mm)とした場合、A/Bは以下のような結果となった。
実施例1:A=125(mg)、B=0.38(mm) A/B=328
実施例3:A=110(mg)、B=0.38(mm) A/B=263
実施例8:A=95(mg)、 B=0.38(mm) A/B=250
実施例19:A=150(mg)、B=0.5(mm) A/B=300
実施例20:A=160(mg)、B=0.7(mm) A/B=228
評価としては、スチレンアクリル樹脂を含まない比較例1~3を各ボール径の基準として、ボール座の摩耗抑制率(摩耗抑制量)を算出して評価した。
具体的には、実施例、比較例の摩耗抑制量を測定して、ボール径ごとに対比して算出した
・ボール径0.38(mm)の場合
比較例1と実施例1~18、実施例21~23とのボール座の摩耗抑制率(摩耗抑制量)を対比した。
実測例:実施例1:16.8μm、比較例1:29μm
ボール座の摩耗抑制率:42% (29μm-16.8μm)/29μm、評価:◎◎
・ボール径0.5(mm)の場合
比較例2と実施例19とのボール座の摩耗抑制率(摩耗抑制量)を対比した。
実測例:実施例19:8.5μm、比較例2:10μm
ボール座の摩耗抑制率:15% (10μm-8.5μm)/10μm、評価:○
・ボール径0.7(mm)の場合比較例3と実施例20とのボール座の摩耗抑制率(摩耗抑制量)を対比した。
実測例:実施例20:5.5μm、比較例3:6μm
ボール座の摩耗抑制率:8% (6μm-5.5μm)/6μm、評価:△
ボール座の摩耗抑制率が40%以上である ・・・◎◎
ボール座の摩耗抑制率が20%以上、40%未満である ・・・◎
ボール座の摩耗抑制率が10%以上、20%未満である ・・・○
ボール座の摩耗抑制率が1%以上、10%未満である ・・・△
ボール座の摩耗抑制率が1%未満 ・・・×
凝集体が確認されず、均一に分散されている良好な状態。 ・・・◎
凝集体がわずかに確認されたが、実用上問題のないレベルであった。・・・○
凝集体が確認され、実用上懸念の残るレベルであった。 ・・・△
凝集体の沈降が見られた。 ・・・×
インキ漏れ量が5mg未満であるもの ・・・◎
インキ漏れ量が5~15mgであるもの ・・・○
インキ漏れ量が15mgを越えて、30mg未満のもの ・・・△
インキ漏れ量が30mg以上のもの ・・・×
非常に滑らかなもの ・・・◎
滑らかであるもの ・・・○
実用上問題ないレベルの滑らかさであるもの ・・・△
重いもの ・・・×
また、実施例1、6、8、9、10において、耐摩耗試験の筆跡を観察したところ、筆記性(筆跡カスレ、泣きボテを抑制)を比較すると、実施例1、6、9、10では、実施例8よりも、筆記性(筆跡カスレ、泣きボテを抑制)が良好であった。これは、スチレンアクリル樹脂の酸価が150~300(mgKOH/g)であったため、
また、実施例のようにインキ収容筒内に水性ボールペン用インキ組成物を充填したレフィルを軸筒に装着してボールペンとして用いているが、この形態に限定されるものではなく、前記インキ収容筒を軸筒として用いて水性ボールペン用インキ組成物を充填してそのままボールペンとしても良い。
Claims (8)
- 水、顔料、スチレンアクリル樹脂、ポリエチレングリコール系界面活性剤を含んでなり、該ポリエチレングリコール系界面活性剤の質量平均分子量が、1610以上5000以下であることを特徴とする水性ボールペン用インキ組成物。
- 前記顔料が、吸油量120~200ml(/100g)であるカーボンブラックとすることを特徴とする請求項1に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
- 前記スチレンアクリル樹脂の酸価が、100~300(mgKOH/g)であることを特徴とする請求項1または2に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
- 前記ポリエチレングリコール系界面活性剤が、一般式(化1)で示されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
- 前記水性ボールペン用インキ組成物に、脂肪酸またはリン酸エステル系界面活性剤を含んでなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
- 前記水性ボールペン用インキ組成物に、オレフィン系樹脂粒子またはアミノ基を有する樹脂粒子を含んでなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
- 前記水性ボールペン用インキ組成物のインキ粘度が、20℃、剪断速度1.92sec-1において、500~5000mPa・sであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の水性ボールペン用インキ組成物を収容した収容筒と、前記収容筒の先端にボールペンチップとを有することを特徴とする水性ボールペン。
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