JP7788332B2 - 下地調整用水系塗材組成物及びこれを使用した下地調整工法及び塗材仕上げ構造 - Google Patents
下地調整用水系塗材組成物及びこれを使用した下地調整工法及び塗材仕上げ構造Info
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Description
シリカ粒子は組成物全体100重量部中0.5~1.6重量部であり、
水溶性カチオン化ポリマーは組成物全体100重量部中0.2~1.2重量部であり、
組成物全体のpHは9.5~11.5であることを特徴とする下地調整用水系塗材組成物を提供する。
ナノコンポジットエマルジョンは、一次粒子径が15~30nmのシリカ粒子を1個又は2個以上含むアクリル樹脂と、乳化剤と、が形成する粒径60~120nmのミセルが水に分散して成るものであり、ナノコンポジットエマルジョン100重量部中10~20重量部がシリカ粒子であり、
架橋型アクリル樹脂系エマルジョンの固形分とナノコンポジットエマルジョンの固形分の重量比は4~15:1であることを特徴とする請求項1記載の下地調整用水系塗材組成物を提供する。
コロイダルシリカ100重量部中10~40重量部がシリカ粒子であることを特徴とする請求項1記載の下地調整用水系塗材組成物を提供する。
本発明の下地調整用水系塗材組成物に使用する架橋型アクリル樹脂系エマルジョンは、本発明の下地調整用水系塗材組成物を構成する主成分であって、乳化剤により乳化されてミセルを形成するアクリル樹脂が、ヒドラジン誘導体のような水溶性の架橋剤と共に水に分散されてエマルジョンを成している水系樹脂である。伸び物性の向上や塗膜を緻密にして遮水性を向上させる目的で架橋型を使用する。該乳化剤としては、親水性基にカルボン酸、スルホン酸、或いはリン酸等を有し、水溶液中でアニオンに荷電するアニオン性乳化剤を使用することができ、このため本発明に使用する架橋型アクリル樹脂系エマルジョンを構成するミセルはアニオンに荷電している。
本発明の下地調整用水系塗材組成物に使用するシリカ粒子は、本発明の下地調整用水系塗材組成物に水蒸気透過性を付与する目的で配合する。該水蒸気透過性は、該シリカ粒子が塗膜中に存在することで水蒸気が透過できる細孔構造が形成され、該シリカ粒子の表面に沿って水蒸気が移動することで発現しているものと推測している。シリカ粒子は一次粒子径が5~45nmであるナノサイズのものであると好ましく、10~30nmであるとより好ましい。5nm未満では水蒸気透過性が得られない場合やシリカ粒子の分散不良が起きて凝集物が生じる場合があり、45nm超では遮水性が得られない場合がある。該一次粒子径は、BET法により測定された値、または粒子径が小さくBET法が適用できない場合はシアーズ法で測定した値である。シリカ粒子の配合量は組成物全体100重量部中0.5~1.6重量部であることが好ましく、0.5重量部未満では水蒸気透過性が得られない場合があり、1.6重量部超では伸び物性や遮水性が低下する場合がある。本発明の下地調整用水系塗材組成物へのシリカ粒子の含ませ方に特に制限はないが、ナノコンポジットエマルジョン、またはコロイダルシリカの状態で含ませることが好ましい。
本発明の下地調整用水系塗材組成物に使用する水溶性カチオン化ポリマーは、速乾性を付与する目的で配合する。該速乾性は、水溶性カチオン化ポリマーが、架橋型アクリル樹脂系エマルジョン、及びナノコンポジットエマルジョンを使用する場合には該ナノコンポジットエマルジョンを構成するアニオン性乳化剤の作用によってアニオンに荷電しているミセル(アニオン性ミセル)と電気的相互作用することで、一般的な水系組成物の塗膜形成過程における水の蒸発による樹脂の融着を待たずに、樹脂同士の凝集を促して塗膜形成反応を促進することに基づくものと推測している。水溶性カチオン化ポリマーは、組成物を塗付する前の状態では後述する不揮発性塩基との相互作用により全てのカチオン性官能基が見かけ上は中性の状態であるため、該アニオン性ミセルと電気的相互作用を起こさず、また、製造時や貯蔵時に組成物が凝集しないようにコントロールされている。
本発明の下地調整用水系塗材組成物に使用する不揮発性塩基は、本発明の下地調整用水系塗材組成物が製造されて下地に塗付されるまでの間、前記の水溶性カチオン化ポリマーのカチオン性官能基と相互作用することでカチオン性官能基を見かけ上、中性の状態とし、該水溶性カチオン化ポリマーと、架橋型アクリル樹脂系エマルジョン、及びナノコンポジットエマルジョンを使用する場合は該ナノコンポジットエマルジョン中のアニオン性ミセルとの凝集を抑制し、組成物の貯蔵安定性を向上させる目的で配合する。不揮発性塩基とは、25℃、標準気圧(1気圧または760mm/Hg)で大気中に揮発しない塩基を指し、沸点が100℃超のものであると好ましく、200℃超のものであるとより好ましい。不揮発性塩基は有機系不揮発性塩基と無機系不揮発性塩基に大別されるが、いずれも本発明に使用できる。有機系不揮発性塩基としては、アミノ基等の塩基性官能基を有する化合物を使用でき、例えば、3-アミノ-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等のアミノ基含有脂肪族アルコール、2-アミノフェノール、2-アミノ-5-クロロフェノール、4-アミノ-m-クレゾール等のアミノ基含有フェノール、3,4´-ジアミノジフェニルエーテル、4-アミノ-4´-クロロジフェニルエーテル等のアミノ基含有エーテル、3´-アミノアセトフェノン、2-アミノベンゾフェノン等のアミノ基含有芳香族ケトン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、3-アミノプロピルジエトキシメチルシラン等のアミノ基含有シロキサン等がある。また、無機系不揮発性塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等、又はこれらの水溶液を使用できる。
本発明の下地調整用水系塗材組成物に使用する充填材は、平均粒径D50(重量による積算50%の粒径)が100μm未満のものであり、組成物の粘度や塗付性の調整を目的として配合する。例えば、重質炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、硅砂粉等が使用でき、中でも重質炭酸カルシウムは安価でコスト的負担を軽減させることが出来る。充填材の配合量は組成物全体100重量部中25~45重量部が好ましく、30~40重量部がより好ましく、25重量部未満では下地の色が透けるなどの隠蔽性が不足し、45重量部超では組成物の粘度が高くなって塗付作業性が不良となる場合がある。また、30重量部未満では色調によっては隠蔽性が低下する場合があり、40重量部超では冬季等の低温環境下での塗付作業性が低下する傾向にある。
本発明の下地調整用水系塗材組成物に使用する有機系増粘剤は、塗付作業性の向上と、保水性を向上させて貯蔵中の組成物の凝集を防ぐことを目的として配合し、本発明の下地調整用水系塗材組成物の粘度を60~150Pa・s/23℃、TI値を4~7とするものであれば特には限定されず、水溶性セルロースエーテル、ウレタン変性ポリエーテル、ポリカルボン酸、またはこれらを混合したもの等を使用することができる。本発明の下地調整用水系塗材組成物は貯蔵安定性の観点から組成物のpHを9.5~11.5の範囲内に保つことが好ましいため、有機系増粘剤としては組成物のpHに影響を与えにくいウレタン変性ポリエーテルを使用することが好ましい。勿論、pHを低下させる等の影響を与え得るその他の有機系増粘剤を使用したとしても、前記の不揮発性塩基の配合量を調整することにより、組成物のpHを9.5~11.5の範囲内に調整することができれば、いずれも問題なく使用できる。
本発明の下地調整用水系塗材組成物に使用する成膜助剤は、架橋型アクリル樹脂系エマルジョン、及びナノコンポジットエマルジョンを使用する際には該ナノコンポジットエマルジョン中のアクリル樹脂のポリマー粒子の融着を促進し、均一な皮膜を形成させることを目的で配合し、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、ブチルセロソルブ、エステルアルコール、又はこれらの混合物等を使用することが出来る。成膜助剤の配合量は組成物全体100重量部中0.5~10重量部が好ましく、0.5重量部未満では冬季等の低温環境での成膜が不十分となる場合があり、10重量部超では塗膜表面がベタついて汚れが付着し易くなる場合がある。
本発明の下地調整用水系塗材組成物に使用する顔料には、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化第二鉄(弁柄)、クロム酸鉛、黄鉛、黄色酸化鉄等の無機系顔料等が使用できるが、中でも酸化チタンは下地の隠蔽性に優れ、白色であるため隠蔽性を付与するための主たる顔料として使用することが出来る。
表1、及び表2の配合に従って、実施例及び比較例の下地調整用水系塗材組成物を作成した。表1、及び表2において、架橋型アクリル樹脂系エマルジョンとしてアクロナールYJ2741D(固形分:56%、樹脂のガラス転移温度:-14℃、アクリルとスチレンの共重合体、架橋剤としてカルボニルヒドラジドを0.1~1.0重量%含有、BASF社製、商品名)を使用し、非架橋型アクリル樹脂系エマルジョンとしてプライマルEC-1791(固形分:55%、樹脂のガラス転移温度:-40℃、アクリルの共重合体、DOW社製、商品名)を使用し、ナノコンポジットエマルジョンとしてCol.9 1200(固形分:40%、シリカ分:15%、シリカ粒子の一次粒子径:15~30nm、ミセルの平均粒径:90nm、樹脂のガラス転移温度:2℃、アクリルの共重合体、BASF社製、商品名)を使用し、コロイダルシリカとしてST-C(シリカ分:20%、シリカ粒子の一次粒子径:12nm、日産化学株式会社、商品名)を使用し、水溶性カチオン化ポリマーとしてルパゾールFG(ポリエチレンイミン、固形分:99%、重量平均分子量(Mw):800、BASF社製、商品名)を使用し、不揮発性塩基Aとして2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(沸点:165℃)を、不揮発性塩基Bとしてジエタノールアミン(沸点:217℃)を、不揮発性塩基Cとして10%水酸化ナトリウム水溶液(沸点:140℃)を、不揮発性塩基Dとして10%水酸化カリウム水溶液(沸点:133℃)を使用し、揮発性塩基として25%アンモニア水溶液(沸点:39.7℃)を使用し、充填材として重質炭酸カルシウムWA(平均粒径D50:10μm、白石カルシウム株式会社製、商品名)を使用し、有機系増粘剤AとしてSNシックナー665T(重量平均分子量(Mw):19,800、サンノプコ株式会社製、商品名)を、有機系増粘剤BとしてSNシックナー612(重量平均分子量(Mw):19,400、サンノプコ株式会社製、商品名)を使用し、成膜助剤としてテキサノールCS-12(チッソ株式会社製、商品名)を使用し、顔料として酸化チタンR-820(石原産業株式会社製、商品名)を使用し、その他添加剤として水系組成物に用いる市販品の添加剤から適宜選択される、消泡剤、分散剤、防腐剤、及び凍結防止剤を添加した。尚、各実施例及び比較例における架橋型アクリル樹脂系エマルジョンの固形分又は非架橋型アクリル樹脂系エマルジョンの固形分と、ナノコンポジットエマルジョンの固形分と、の和が等しくなるように配合量を調整した。また、表1、表2に架橋型アクリル樹脂系エマルジョン又は非架橋型アクリル樹脂系エマルジョンの固形分とナノコンポジットエマルジョンの固形分の重量比、及び組成物のpHを示した。
実施例及び比較例の下地調整用水系塗材組成物の作製方法であるが、まず、特定の容器へ架橋型アクリル樹脂系エマルジョン又は非架橋型アクリル樹脂系エマルジョン、ナノコンポジットエマルジョン又はコロイダルシリカ、充填材、成膜助剤、顔料、及びその他添加剤を量り取り、5分程度混合して均一にした後、不揮発性塩基又は揮発性塩基を添加し1分程度混合して均一に分散させた。次に、有機系増粘剤を添加して混合し、水溶性カチオン化ポリマーを添加し5分程度混合して均一に分散させることで実施例及び比較例の下地調整用水系塗材組成物を作製した。最後にpH測定器を用いて組成物のpHを測定した。作製した下地調整用水系塗材組成物は、密閉容器に移し、評価に供するまで23℃、50%RHの環境下で保管した。
上記の実施例及び比較例の下地調整用水系塗材組成物について、以下の評価を行った。尚、特に記載のない限り、試験体の作製、養生、評価試験は23℃、50%RHの環境下にて行った。
実施例又は比較例の下地調整用水系塗材組成物をガラス板へローラー刷毛を使用して塗付量0.4kg/m2で塗付し、1.5時間経過後に目視及び指触にて乾燥状況を観察した。乾燥し白化がなく滑らかな塗膜を形成しているものを〇と、表面のみ乾燥し塗膜内部が未硬化(所謂皮バリ状態)のものを△と、乾燥していないもの、白化しているもの、及び硬化不良を起こしているものを×と評価した。
垂直に立てかけたJIS A 5422規定の窯業系サイディングを下地とし、実施例及び比較例の下地調整用水系塗材組成物をローラー刷毛にて塗付量0.4kg/m2で塗付し、塗付作業性を確認した。塗付した際にダレが生じずはね返りがないものを〇と、ダレは生じないが組成物の凝集・硬化の進行により塗付作業性が悪い、又ははね返りがあるものを△と、ダレが生じた、はね返りが激しい、又は塗付作業中に組成物が硬化し塗付できなくなったものを×と評価した。尚、該はね返りとは、塗付するためにローラー刷毛を転動した際、組成物が周囲や作業者に飛散することである。
実施例及び比較例の下地調整用水系塗材組成物について、BH型粘度計TVB-10(東機産業社製、商品名)を使用し回転速度2rpmでの粘度と回転速度20rpmでの粘度を測定した。JIS A 6024に準拠し、2rpmでの粘度を20rpmでの粘度で除してTI値(チキソトロピックインデックス)を求めた。2rpmでの粘度が60~150Pa・sであるものを〇と、それ以外のものを×と評価し、TI値が4~7であるものを〇と、それ以外のものを×と評価した。
実施例及び比較例の下地調整用水系塗材組成物の臭気性を評価するため、アンモニア態窒素の定量測定をした。アルミ板(100mm×100mm、厚さ1mm)の上に実施例及び比較例の下地調整用水系塗材組成物を3gとり、アルミ板全体に均一に塗付した。これをデシケーターに入れ、デシケーター内の空気を1L/minの速さで10L吸引し、イオン交換水にて濃度5g/Lに調整したホウ酸水溶液80mLに揮発物質を吸着させた。該ホウ酸水溶液をメスフラスコに移し、同濃度のホウ酸水寄液を加えて100mLにメスアップし、その後、インドフェノール青吸光光度法にて測定を実施した。アンモニア態窒素濃度が80ppm以下のものを下地調整用水系塗材組成物の施工時に臭気が問題にならないと判断し〇と、80ppm超のものを臭気が問題になると判断し×と評価した。
実施例及び比較例の下地調整用水系塗材組成物をローラー刷毛にて厚さ0.5mmに塗付して1時間養生して乾燥させ、同様の下地調整用水系塗材組成物を厚さ0.5mmに塗付して合計塗付厚み1.0mmとし、1週間養生して塗膜のシートを作製し、JIS K 6251に規定するダンベル状3号形に打ち抜いて試験体とした。該試験体をJIS A 6021に規定する引張性能試験に供して破断時の伸び率を測定し、破断時の伸び率が230%以上のものを〇と、230%未満のものを×と評価した。
円形のろ紙(直径150mm、厚さ0.2mm、Whatman社製、グレード41)の片面へ実施例及び比較例の下地調整用水系塗材組成物をローラー刷毛にて塗付量0.4kg/m2で塗付し、1時間養生して乾燥させた後、同様の下地調整用水系塗材組成物をローラー刷毛にて塗付量0.4kg/m2で塗付し、1週間養生して試験体とした。円柱状のアルミ合金製のカップ(高さ75mm、直径140mm)に水を400mL入れ、カップ上部に塗付面が上になるよう試験体を設置し、試験体とカップの隙間から水蒸気が逃げることを防ぐために試験体の端部をシーリング処理し、3日間静置した。静置後、容器全体の重量を測定し、その値を試験前の値とし、さらに7日間静置した後、容器全体の重量を測定して試験後の値とした。試験前と試験後の容器全体の重量の減少量を試験日数で除した値を透湿度(g/日)として、透湿度(g/日)が0.6以上のものを水蒸気透過性に優れるとして〇と、透湿度が0.6未満のものを水蒸気透過性が不十分として×と評価した。
JIS A 5430規定のフレキシブルボード(400×200mm、厚さ4mm)を下地とし、実施例及び比較例の下地調整用水系塗材組成物をローラー刷毛にて塗付量0.4kg/m2で塗付し、1時間養生して乾燥させた後、同様の下地調整用水系塗材組成物をローラー刷毛にて塗付量0.4kg/m2で塗付し、14日間養生して試験体とした。該試験体をJIS A 6909の透水試験B法に供して透水量を測定した。透水量が0.5mL以下のものは遮水性を有すると判断し〇と、透水量が0.5mL超のものは遮水性を有さないとして×と評価した。
JIS A 6909に準拠した方法で試験体を作製して試験を行った。JIS R 5201規定のモルタル(70×70mm、厚さ20mm)を下地と、実施例又は比較例の下地調整用水系塗材組成物をローラー刷毛にて塗付量0.4kg/m2で塗付し、1時間養生し乾燥させた後、同様の下地調整用水系塗材組成物をローラー刷毛にて塗付量0.4kg/m2で塗付して乾燥させた。その後、モルタルの四側面をパテ状エポキシ樹脂にて止水処理をし、14日間養生して試験体とした。該試験体を、「23℃、18時間水浸漬」→「-20℃、3時間」→「50℃、3時間」のサイクルに10サイクル供し、塗膜表面の膨れの有無を目視にて観察した。膨れのないものを〇と、小さな膨れが発生したものを△と、それ以外のものを×と評価した。
実施例及び比較例の下地調整用水系塗材組成物の粘度をBH型粘度計TVB-10(東機産業社製、商品名)にて測定し、容量500mLの密閉容器に入れ50℃雰囲気下にて60日間静置した後に再度粘度を測定し、試験前後の粘度を比較した。また、外観を目視にて観察した。著しい粘度の変化、組成物の分離、及び凝集のないものを〇と、軽微な粘度の変化または小さな凝集物を確認したものを△と、著しい粘度の変化、組成物の分離、及び凝集のうちいずれかの異状があるものを×と評価した。
表3、及び表4に下地調整用水系塗材組成物の評価結果を示す。尚、組成物の凝集や硬化等により評価試験に供せなかったものは「-」と示す。
表5、及び表6に評価に供した塗材仕上げ構造の構成を示す。表5、及び表6に示すように、下地調整用水系塗材組成物として実施例2、実施例3、実験例5、実験例6、比較例1、比較例2、比較例4、及び比較例5を使用し、上塗り材として水蒸気透過性を有する上塗り剤であるジョリパットフレッシュJQ-800(アクリル樹脂系エマルジョン塗料、樹脂分:10~20重量%、骨材及び充填材:40~60重量%、アイカ工業株式会社製、商品名)を上塗り材Aとして、水蒸気透過性を有さない上塗り材であるジョリパットトップシリコーンJC-870(アクリルシリコーン樹脂エマルジョン塗料、樹脂分:60~70重量%、顔料:10~20重量%、アイカ工業株式会社製、商品名)を上塗り材Bとして使用し、実施例Aから実施例H、及び比較例Aから比較例Hの塗材仕上げ構造とした。
上記の実施例及び比較例の塗材仕上げ構造について、以下の評価を行った。尚、特に記載のない限り、試験体の作製、養生、評価試験は23℃、50%RHの環境下にて行った。
円形のろ紙(直径150mm、厚さ0.2mm、Whatman社製、グレード41)の片面へ実施例及び比較例の下地調整用水系塗材組成物をローラー刷毛にて塗付量0.4kg/m2で塗付し、1時間養生して乾燥させた後、同様の下地調整用水系塗材組成物をローラー刷毛にて塗付量0.4kg/m2で塗付して乾燥させて下地調整用水系塗材組成物層を形成した。その上に、ローラー刷毛にて上塗り剤Aを塗付量0.35kg/m2で、又は上塗り材Bを塗付量0.15kg/m2で塗付し5時間以上乾燥させた後、再度ローラー刷毛にて上塗り剤Aを塗付量0.35kg/m2で、又は上塗り材Bを塗付量0.15kg/m2で塗付し、1週間養生して試験体とした。円柱状のアルミ合金製のカップ(高さ75mm、直径140mm)に水を400mL入れ、カップ上部に塗付面が上になるよう試験体を設置し、試験体とカップの隙間から水蒸気が逃げることを防ぐために試験体の端部をシーリング処理し、3日間静置した。静置後、容器全体の重量を測定し、その値を試験前の値とし、さらに7日間静置した後、容器全体の重量を測定して試験後の値とした。試験前と試験後の容器全体の重量の減少量を試験日数で除した値を透湿度(g/日)として、透湿度(g/日)が0.6以上のものを水蒸気透過性に優れるとして〇と、0.6未満のものを水蒸気透過性が不十分として×と評価した。
JIS A 6909に準拠した方法で試験体を作製して試験を行った。JIS R 5201規定のモルタル(70×70、厚さ20mm)に実施例及び比較例の下地調整用水系塗材組成物をローラー刷毛にて塗付量0.4kg/m2で塗付し、1時間養生し乾燥させた後、同様の下地調整用水系塗材組成物をローラー刷毛にて塗付量0.4kg/m2で塗付して乾燥させて下地調整用水系塗材組成物層を形成した。その上に、ローラー刷毛にて上塗り剤Aを塗付量0.35kg/m2で、又は上塗り材Bを塗付量0.15kg/m2で塗付し、5時間以上乾燥させた後、再度ローラー刷毛にて上塗り剤Aを塗付量0.35kg/m2で、又は上塗り材Bを塗付量0.15kg/m2で塗付して乾燥させた。乾燥後、モルタルの四側面をパテ状エポキシ樹脂にて止水処理をし、14日間養生して試験体とした。当該試験体を、「23℃、18時間水浸漬」→「-20℃、3時間」→「50℃、3時間」のサイクルに10サイクル供し、塗膜表面の状態を目視にて観察した。膨れのないものを〇と、小さな膨れが発生したものを△と、それ以外のものを×と評価した。
下地としてJIS A 5430規定のフレキシブルボード(100×100mm、厚さ10mm)を使用し、当該下地2枚の木口同士を突き付け、その裏面を養生テープで仮止めする。下地表面に実施例及び比較例の下地調整用水系塗材組成物をローラー刷毛にて塗付量0.4kg/m2で塗付し、1時間養生して乾燥させた後、同様の下地調整用水系塗材組成物をローラー刷毛にて塗付量0.4kg/m2で塗付し、4時間以上乾燥させて下地調整用水系塗材組成物層を形成した。その上に、ローラー刷毛にて上塗り剤Aを塗付量0.35kg/m2で、又は上塗り材Bを塗付量0.15kg/m2で塗付し5時間以上乾燥させた後、再度ローラー刷毛にて上塗り剤Aを塗付量0.35kg/m2で、又は上塗り材Bを塗付量0.15kg/m2で塗付し14日間養生して試験体とした。試験体裏面の仮止めの養生テープをはがし、万能試験機(インストロン社製)にて、試験体の両端を2mm/分で引張り、突きつけ部の塗膜にピンホールが発生した時の距離が0.5mm以上のものを○と、0.5mm未満のものを×と評価した。
表7、及び表8に塗材仕上げ構造の評価結果を示す。
Claims (8)
- ガラス転移温度が-20~10℃である架橋型アクリル樹脂系エマルジョンと、一次粒子径が5~45nmのシリカ粒子と、水溶性カチオン化ポリマーと、不揮発性塩基と、充填材と、有機系増粘剤と、成膜助剤と、顔料と、を含む組成物であり、
シリカ粒子は組成物全体100重量部中0.5~1.6重量部であり、
水溶性カチオン化ポリマーは組成物全体100重量部中0.2~1.2重量部であり、
組成物全体のpHは9.5~11.5であることを特徴とする下地調整用水系塗材組成物。 - シリカ粒子はナノコンポジットエマルジョンの状態で含まれる請求項1記載の下地調整用水系塗材組成物であって、
ナノコンポジットエマルジョンは、一次粒子径が15~30nmのシリカ粒子を1個又は2個以上含むアクリル樹脂と、乳化剤と、が形成する粒径60~120nmのミセルが水に分散して成るものであり、ナノコンポジットエマルジョン100重量部中10~20重量部がシリカ粒子であり、
架橋型アクリル樹脂系エマルジョンの固形分とナノコンポジットエマルジョンの固形分の重量比は4~15:1であることを特徴とする請求項1記載の下地調整用水系塗材組成物。 - シリカ粒子はコロイダルシリカの状態で含まれる請求項1記載の下地調整用水系塗材組成物であって、
コロイダルシリカ100重量部中10~40重量部がシリカ粒子であることを特徴とする請求項1記載の下地調整用水系塗材組成物。 - 水溶性カチオン化ポリマーはポリアルキレンイミン化合物であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の下地調整用水系塗材組成物。
- 有機系増粘剤は重量平均分子量(Mw)が10,000~35,000のウレタン変性ポリエーテルであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の下地調整用水系塗材組成物。
- 組成物の粘度がBH型粘度計の2rpmにおいて60~150Pa・s/23℃であり、該BH型粘度計の2rpmにおける粘度を20rpmにおける粘度で除して求められる組成物のTI値が4~7であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の下地調整用水系塗材組成物。
- 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の下地調整用水系塗材組成物を、1回の塗付厚みが0.15~0.5mmとなるように下地に少なくとも2回塗付することを特徴とする下地調整工法。
- 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の下地調整用水系塗材組成物を塗付して下地調整用水系塗材組成物層を形成し、該下地調整用水系塗材組成物層の上に上塗り材を少なくとも1回塗付して上塗り材層を形成したことを特徴とする塗材仕上げ構造。
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