JP7800518B2 - 溶接構造物用厚鋼板の製造方法、溶接部欠陥発生予測モデルの生成方法 - Google Patents
溶接構造物用厚鋼板の製造方法、溶接部欠陥発生予測モデルの生成方法Info
- Publication number
- JP7800518B2 JP7800518B2 JP2023143441A JP2023143441A JP7800518B2 JP 7800518 B2 JP7800518 B2 JP 7800518B2 JP 2023143441 A JP2023143441 A JP 2023143441A JP 2023143441 A JP2023143441 A JP 2023143441A JP 7800518 B2 JP7800518 B2 JP 7800518B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- steel plate
- manufacturing
- defect occurrence
- thick steel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
例えば、高層建築構造物に適用される柱は、4枚の長い鋼板(スキンプレート)をボックス柱形状になるように長辺角部を溶接し、さらに梁が溶接される予定になっている箇所には、強度を確保するために柱内にダイヤフラムを溶接しておくことによって製造される。これらの溶接を行う場合、施工効率の向上や施工時間の短縮を図るため、一パスでの溶接が望まれる。そこで、スキンプレート間の溶接となる角部溶接では入熱量が最大600kJ/cm程度の大入熱サブマージアーク溶接が行われる。また、スキンプレートとダイヤフラムとの溶接では入熱量が400~1200kJ/cm程度の大入熱エレクトロスラグ溶接が行われるようになってきている。しかし、大入熱溶接を行うと、溶接熱影響部(HAZ)の金属組織が粗大化することにより、溶接部の靭性が劣化する問題があり、さらに、低温割れや遅れ破壊などの危険がある。
特に、スキンプレート間の溶接となる角部溶接では、スキンプレート用鋼板の中心偏析の延伸する方向と垂直する。すなわち最も中心偏析に対して割れやすい方向にも力が加わるため、低温割れが発生する可能性が高かった。
その結果、低温割れを含む溶接欠陥を発生させずに溶接構造物を製作するには、鋼板の中心偏析の領域を低減させることであることを見出した。一方で、溶接欠陥に至るかどうかの閾値や中心偏析の領域に影響する各種鋼板の製造仕様は単一の因子で決定せず、複雑に影響していることが確認された。
そこで、大量データを用いた機械学習や統計解析によるモデルを構築することで複雑な影響を鑑みることができることができ、最終目的である溶接欠陥を発生させない溶接構造物の製造方法を見出した。
[1]質量%で、C:0.03~0.16%、Si:0.50%以下、Mn:0.8~3.0%、P:0.015%以下、S:0.0050%以下、Al:0.005~0.100%、Ti:0.004~0.030%、N:0.0015~0.0065%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、板厚中央部におけるMn成分濃化部の面積割合が3%以下であり、板厚中央位置の板厚方向の試験温度0℃でのシャルピー吸収エネルギーvE0が27J以上であり、降伏強さが325~750N/mm2、及び引張強さが490~930N/mm2で降伏比が90%以下の溶接構造物用厚鋼板である。ここで、Mn成分濃化部とは、板厚中央部を含む分析視野において、鋼板のMn濃度がレードルにおける溶鋼のMn成分分析値の1.2倍以上となる領域とする。
[2]上記の[1]において、前記成分組成として、さらに、質量%で、Cu:0.01~1.00%、Ni:0.01~2.50%、Cr:1.5%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.1%以下、V:0.2%以下、Ca:0.005%以下、REM:0.02%以下、Mg:0.005%以下、B:0.005%以下、から選択される1または2以上を含有する溶接構造物用厚鋼板である。
[3]上記の[1]又は[2]の溶接構造物用厚鋼板の製造時に、厚鋼板の製造仕様の実績、厚鋼板の機械特性値、溶接仕様の実績、及び溶接部の欠陥発生の実績を含む教師データを用いて、事前に機械学習により学習された溶接部欠陥発生予測モデルに基づき、特定の溶接仕様を入力し、溶接部の欠陥発生率が所望の値に漸近するような、又は前記所望の値の範囲内となるように厚鋼板の製造仕様を取得する厚鋼板の製造仕様取得ステップと、前記厚鋼板の製造仕様取得ステップで取得された厚鋼板の製造仕様を用いて厚鋼板を製造する製造ステップと、を有する溶接構造物用厚鋼板の製造方法である。
[4]上記の[1]又は[2]に記載された溶接構造物用厚鋼板の製造時における溶接部欠陥発生予測モデルの生成方法であって、厚鋼板の製造仕様の実績、厚鋼板の機械的特性値、溶接仕様の実績、及び溶接部の欠陥発生の実績を含む教師データを用いて、機械学習により学習し、溶接部の欠陥発生の予測モデルを生成する溶接部欠陥発生予測モデルの生成方法である。
[5]上記の[1]又は[2]の溶接構造物用厚鋼板を用いて、単層又は多層盛りアーク溶接されている溶接構造物である。
[6]上記の[5]において、前記溶接構造物は、ボックス柱であって、前記厚鋼板をフランジ側の鋼板に用いて、単層又は多層盛りサブマージアーク溶接されている溶接構造物である。
<厚鋼板の化学成分>
厚鋼板の成分組成は、質量%で、C:0.03~0.16%、Si:0.50%以下、Mn:0.8~3.0%、P:0.015%以下、S:0.0050%以下、Al:0.005~0.100%、Ti:0.004~0.030%、N:0.0015~0.0065%の範囲で含有させる。以下で各成分を説明する。以下の説明において、成分の含有量を表す「%」は「質量%」を意味する。
Cは、鋼の強度を増加させ、構造用鋼材として必要な強度を確保するのに有用な元素である。他の合金元素の添加量を必要最小限に抑えるために、C含有量は、0.03%以上とする。一方、C含有量が0.16%を超えると耐溶接割れ性の低下、HAZ靭性の低下が顕著になる。そのため、C含有量は0.03%以上0.16%以下の範囲とする。
Siは、脱酸材として機能するとともに、母材強度を高める効果を有する元素である。前記効果を得るために、Si含有量は0.01%以上とするのが好ましい。一方、Si含有量が0.50%を超えると、島状マルテンサイトの生成が促進され、靭性や溶接性の低下が顕在化する。そのため、Si含有量は0.50%以下とする。好ましくは、Si含有量は0.35%以下である。
Mnは、鋼の強度を増加させる効果を有する元素である。大入熱溶接熱影響部のミクロ組織中の島状マルテンサイトが低減し、組織が微細化することで靭性を確保するとともに、325MPa以上の母材の降伏強さを確保するため、Mn含有量は0.8%以上とする。好ましくは、Mn含有量は1.5%以上とする。一方、Mn含有量が3.0%を超えると、母材の靭性および溶接熱影響部靭性が著しく劣化する。そのため、Mn含有量は3.0%以下とする。好ましくは、Mn含有量は2.8%以下である。
Pは、HAZ組織において島状マルテンサイトに濃化し、島状マルテンサイトの生成を助長するため、HAZ靭性を低下させる。そのため、HAZ靭性を向上させるためにはPを低減することが好ましい。よって、P含有量は0.015%以下とする。好ましくは、P含有量が0.006%以下とすることによってHAZ靭性の向上効果が顕著となる。
Sは、母材の低温靭性を劣化させる元素であり、できるだけ低減することが好ましい。S含有量が0.0050%を超えると、低温靭性の劣化が顕著となるため、S含有量は0.0050%以下とする。好ましくは、S含有量は0.0030%以下である。
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、高張力鋼の溶鋼脱酸プロセスにおいて、もっとも汎用的に使われる。また、Alは、鋼中のNをAlNとして固定し、母材の靭性向上に寄与する。前記効果を得るために、Al含有量は0.005%以上とする。好ましくは、Al含有量は、0.010%以上とする。一方、Al含有量が0.100%を超えると、母材の靭性が低下するとともに、溶接時に溶接金属部にAlが混入して、溶接金属部の靭性が劣化する。そのため、Al含有量は0.100%以下とする。好ましくは、Al含有量は0.070%以下である。
Tiは、Nとの親和力が強く、凝固時にTiNとして析出する。高温でも安定なTiNのピンニング効果により、大入熱溶接熱影響部でのオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制し、溶接熱影響部の靭性を向上させることができる。前記効果を得るために、Ti含有量は、0.004%以上とする。好ましくは、Ti含有量は0.006%以上とする。一方、Ti含有量が0.030%を超えると、TiN粒子が粗大化し、オーステナイト粒の粗大化抑制効果が飽和する。そのため、Ti含有量は0.030%以下とする。好ましくは、Ti含有量は0.025%以下である。
Nは、TiNを確保するために必要な元素であり、0.0015%未満では十分なTiN量が確保できない。そのため、N含有量は0.0015%以上とする。好ましくは、N含有量は、0.0030%以上とする。一方、N含有量が0.0065%を超えると、固溶N量の増加により、母材および溶接部の靭性が著しく低下する。そのため、N含有量は0.0065%以下とする。好ましくは、N含有量は0.0060%以下とする。
Cu:0.01~1.00%、Ni:0.01~2.50%、Cr:1.5%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.1%以下、V:0.2%以下、Ca:0.005%以下、REM:0.02%以下、Mg:0.005%以下、B:0.005%以下。
Cuは、高靭性を保ちつつ強度を増加させることが可能な元素である。加えてCuは、大入熱溶接熱影響部の靭性への影響も小さいため、高強度化に有用な元素である。Cuを含有する場合には、前記効果を得るために、Cu含有量を0.01%以上とする。好ましくは、Cu含有量は0.10%以上とし、より好ましくは0.20%以上とする。一方、Cu含有量が1.00%を超えると熱間脆性を生じて鋼板の表面性状が劣化するため、Cu含有量は1.00%以下とする。好ましくは、Cu含有量は0.70%以下とする。
Niは、Cuと同様、高靭性を保ちつつ強度を増加させることが可能な元素である。加えてNiは、大入熱溶接熱影響部の靭性への影響も小さいため、高強度化のために有用な元素である。Niを含有する場合には、前記効果を得るために、Ni含有量は0.01%以上とする。好ましくは、Ni含有量は0.10%以上とし、より好ましくは0.20%以上とする。一方、Ni含有量が2.50%を超えると、添加効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり、経済的に不利になる。そのため、Ni含有量は2.50%以下とする。好ましくは、Ni含有量は1.7%以下とする。
Crは、鋼の強度向上に寄与する元素であり、所望する強度に応じて任意に含有できる。しかし、Cr含有量が1.5%を超えると大入熱溶接熱影響部靭性が劣化するため、Crを含有する場合、Cr含有量は1.5%以下とする。なお、Crによる強度向上効果を得るという観点からは、Cr含有量は0.05%以上とすることが好ましい。
Moは、Crと同様、鋼の強度向上に寄与する元素であり、所望する強度に応じて任意に含有できる。しかし、Mo含有量が1.0%を超えると大入熱溶接熱影響部の靭性が劣化するため、Moを含有する場合、Mo含有量は1.0%以下とする。なお、Moによる強度向上効果を得るという観点からは、Mo含有量は0.05%以上とすることが好ましい。
Nbは、Cr、Moと同様、鋼の強度向上に寄与する元素であり、所望する強度に応じて任意に含有できる。しかし、Nb含有量が0.1%を超えると母材靭性および大入熱溶接熱影響部の靭性が劣化するため、Nbを含有する場合、Nb含有量は0.1%以下とする。なお、Nbによる強度向上効果を得るという観点からは、Nb含有量は0.005%以上とすることが好ましい。
Vは、Cr、Mo、Nbと同様、鋼の強度向上に寄与する元素であり、所望する強度に応じて任意に含有できる。しかし、V含有量が0.2%を超えると大入熱溶接熱影響部の靭性が劣化するため、Vを含有する場合、V含有量は0.2%以下とする。なお、Vによる強度向上効果を得るという観点からは、V含有量は0.01%以上とすることが好ましい。
Caは、結晶粒が微細化することによって、靭性が向上する効果を有する元素であり、所望する特性に応じて任意に含有できる。しかし、Ca含有量が0.005%を超えると、添加効果が飽和するため、Caを含有する場合、Ca含有量は0.005%以下とする。なお、Caによる靭性向上効果を得るという観点からは、Ca含有量は0.001%以上とすることが好ましい。
REM(希土類金属)は、Caと同様に靭性が向上する効果を有しており、所望する特性に応じて任意に含有できる。しかし、REM含有量が0.02%を超えると、添加効果が飽和するため、REMを含有する場合、REM含有量は0.02%以下とする。なお、REMによる靭性が向上する効果を得るという観点からは、REM含有量は0.002%以上とすることが好ましい。
Mgは、Caと同様に結晶粒が微細化することによって、靭性が向上する効果を有する元素であり、所望する特性に応じて任意に含有できる。しかし、Mg含有量が0.005%を超えると、添加効果が飽和するため、Mgを含有する場合、Mg含有量は0.005%以下とする。なお、Mgによる靭性向上の効果を得るという観点からは、Mg含有量は0.001%以上とすることが好ましい。
Bは、焼入れ性を向上させることにより、鋼の強度を向上させる作用を有する元素である。また、Bは、大入熱溶接時には、溶接熱影響部において固溶窒素を窒化物として固着することにより靭性を向上させる効果を有している。しかしB含有量が0.005%を超えると、焼入れ性が過度に高くなり、母材の靭性および延性が低下する。そのため、Bを含有する場合、B含有量を0.005%以下とする。好ましくは、B含有量は0.002%以下とする。なお、Bの添加効果を得るという観点からは、B含有量は0.0003%以上とすることが好ましい。
炭素等量Ceqは、C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14で計算され、所望の強度に合わせて、各種合金元素を添加することが好ましい。Ceqが0.90%を超えると耐溶接割れ性の低下、HAZ靭性の低下が顕著になる。そのため、Ceqは0.90%以下とすることが好ましい。
Pcm:0.35%以下
溶接割れ感受性組成Pcmは、C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5Bで計算される。Pcmが0.35%を超えると低温割れ感受性が高まり、溶接金属に割れが発生しやすくなるため、Pcmは0.35%以下とすることが好ましい。
本実施形態に係る溶接構造物用厚鋼板の化学組成は、上記の元素を含有し、残部はFe及び不可避的不純物である。
次に、本実施形態に係る溶接構造物用厚鋼板の金属組織について説明する。
板厚中央部におけるMn成分濃化部の面積割合:3%以下
鋼板の金属組織は特定しないが、板厚中央部の成分濃化部の面積は小さくする。ここで、Mn成分濃化部とは、板厚中央部を含む分析視野において、鋼板のMn濃度がレードルにおける溶鋼のMn成分分析値の1.2倍以上となる領域とする。
鋼板の板幅中央と板厚中央から、長手方向と板厚方向が断面となるように、それぞれ試験片を採取し金属組織を評価した。
電子線マイクロアナライザ(EPMA)により試験片の化学元素の解析を行う。化学元素解析は、板厚中央を中心とし板厚方向5mm×10mm視野を対象とする。その定められた視野において、試験片表面を電解研磨した後、加速電圧20kV、ビーム形状の長さ20μmの帯状、ステップ20μmの条件で、Mn濃度を測定した。視野内における250点×500点のうち、Mn濃度がレードルにおける溶鋼のMn成分分析値の1.2倍以上となる位置を成分濃化部(介在物含む)と定め、10250点の成分濃化部面積の割合を求める。
そこで、板厚中央部におけるMn成分濃化部面積の割合が3%を超える鋼板を用いて角部溶接を行うと、低温割れが発生する可能性が著しく高いため、Mn成分濃化部面積の割合は3%以下とする。
本実施形態に係る溶接構造物用厚鋼板の靭性は、板厚中央位置で評価する。板厚中央位置にVノッチを入れた、板厚方向の靭性のシャルピー特性vE0(0℃におけるシャルピー衝撃試験値)は27J以上である。
ボックス柱角部を溶接し、FEM(有限要素法)によって、溶接部の熱応力を解析した。その結果、溶接による入熱によって、熱応力が発生し、フランジ側の板厚中央位置に、板厚方向に大きな熱応力がかかることを見出した。
そのため、板厚中央位置の板厚方向の靭性vE0が27J未満の場合、溶接入熱による熱応力により、フランジ側の板厚中央位置に低温割れが発生する危険性が高くなる。
そこで、板厚中央位置の板厚方向の靭性vE0は27J以上である。なお、板厚が55mm以下の場合、板厚方向にシャルピー試験片を採取することが困難である。その場合は、シャルピー試験片のノッチ位置は板厚中央位置とし、両端に別途鋼材を圧接して、試験片を作成することで、試験が可能となる。
本実施形態に係る溶接構造物用厚鋼板の降伏強さ(YS)は、特に限定されず、任意の値とすることができる。建築構造用のボックス柱用途を考慮して、厚鋼板の降伏強さは325N/mm2以上750N/mm2以下とする。
本実施形態に係る溶接構造物用厚鋼板の引張強さ(TS)は、特に限定されず、任意の値とすることができる。建築構造用のボックス柱用途を考慮して、厚鋼板の引張強さは490N/mm2以上930N/mm2以下とする。
本実施形態に係る溶接構造物用厚鋼板の降伏比(YR)は、特に限定されず、任意の値とすることができる。建築構造物では耐震性の向上が求められ、鋼板母材の塑性変形能確保のために、降伏比(YR)を90%以下の低YRとする。耐震性が必要な場合は、好ましくは、降伏比(YR)は85%以下であり、より好ましくは80%以下である。
なお、ここで降伏比とは、引張強さ(TS)に対する降伏強さ(YS)の比をパーセンテージで表した値、すなわち、YR(%)=(YS/TS)×100を指すものとする。
次に、本実施形態に係る溶接構造物用厚鋼板の製造方法を説明する。
なお、厚鋼板の板厚中央の成分濃化部面積の割合を低減させるためには、鋳造条件が厳格に管理され、スラブの板厚中央付近まで柱状晶組織とし、軽圧下が加えられることが好ましい。なお、スラブ断面のマクロ組織を確認し、柱状晶組織となっていることを観察することができる。
鋼素材の加熱温度が900℃未満であると、鋼素材の変形抵抗が高いため、熱間圧延における圧延機への負荷が増大し熱間圧延を行うことが困難となる場合がある。そのため、加熱温度は900℃以上とすることが好ましい。一方、加熱温度が1250℃より高いと、鋼の酸化が顕著となり酸化によるロスが増大する結果、歩留まりが低下する。そのため、加熱温度は1250℃以下とすることが好ましい。加熱の後、加熱された鋼素材は熱間圧延され厚鋼板とする。厚鋼板の最終板厚は、19mm以上100mm以下とする。
上述では、本実施形態の厚鋼板の製造方法の一例を示したが、溶接時の低温割れやすさを示す板厚方向の靭性は前記条件の範囲内でも得られないことがある。一方で、各工程の製造条件が相互に影響することによって板厚方向の靭性は変化するため、板厚方向の靭性を向上可能にする操業管理は非常に困難である。
したがって、成分濃化部面積をスラブ段階で低減させるには、鋳造凝固時の組織をスラブ厚中心まで柱状晶にしつつ、凝固末期にスラブに軽圧下を加えることが有効である。ただし、スラブ厚中心まで柱状晶になる条件の推定や、凝固末期がいつかを予測することは影響因子が多く困難である。
そこで、厚鋼板の製造方法における品質制御方法を説明するが、本発明は、目的を達成する限りこの実施形態に限定されるものではない。
入力する溶接仕様は、溶接方法、開先形状、ルートギャップ、溶材の種類、予熱温度、電流、電圧、ガス流量、溶接速度、パス数、後熱処理条件などである。
ここで、最適化された厚鋼板の機械的特性値も取得することができる。
したがって、制約条件を満たす範囲内で最適な設計条件を探索することになる。Lk、Ukはそれぞれ特性値の下限値および上限値である。メタヒューリスティクスや遺伝的アルゴリズム、数理計画法、群知能等を用いた方法により、このような最適化問題を解く。
以上、上記で探索された厚鋼板の製造条件で製造することにより、例えば、板厚方向靭性値が27J以上、板厚方向靭性値以外の機械的特性の目標値を有する厚鋼板を製造することができる。
上記実施形態で製造した溶接構造用厚鋼板を用いて、単層又は多層盛りのアーク溶接を行い、溶接構造物を構築することができる。また、ボックス柱の溶接構造物では、上記厚鋼板をフランジ側の鋼板に用いて単層又は多層盛りのサブマージアーク溶接を行い、ボックス柱を構築することができる。
転炉、取鍋精錬、連続鋳造法で、表1に示す成分組成に鋼を調整し、鋳造された鋼素材(スラブ)を熱間圧延により、板厚が19~100mmの鋼板とした。
なお、厚鋼板の製造条件を探索する際、目標とする鋼の化学組成、鋼板の圧延条件は、事前に引張特性、寸法、形状が満たすことができる条件を設定し、溶鋼鋳造速度、鋳造における冷却条件、軽圧下条件、電磁攪拌条件を探索するように設定した。次いで、探索された条件から取得した製造仕様により厚鋼板を製造した。
なお、表2の各vE0は、3本の試験片の平均値を表示した。
作製された溶接継手は低温割れを評価するため、フランジ側の鋼板をJIS G 0901(2010)に準拠し測定し、最大のエコー高さがDL線未満を『無』、DL線以上DM線未満を『○』、DM線以上DH線未満を『△』、DH線以上を『×』とし、評価した。
試験No.9,10,11(比較例)では、板厚方向靭性値が27J未満と予測されるような鋳造条件で製造した厚鋼板の試験結果である。また、試験No.12(比較例)では圧下比(スラブ厚/製品厚)が2.5以上で板厚方向靭性値が27J以上と予測される鋳造条件で製造したのち、製品厚を圧下比が2となるように圧延し製造した条件である。
一方で、試験No.9~12の比較例では、板厚方向靭性値が27J未満だった厚鋼板をサブマージアーク溶接し、溶接熱影響部の超音波探傷試験で、溶接欠陥が確認された。
2 ウエブ側鋼板
3 溶接部
4 当て金
5 板厚中央
6 フランジ側鋼板の板厚方向応力
7 低温割れ
Claims (2)
- 質量%で、
C :0.03~0.16%、
Si:0.50%以下、
Mn:0.8~3.0%、
P :0.015%以下、
S :0.0050%以下、
Al:0.005~0.100%、
Ti:0.004~0.030%、
N :0.0015~0.0065%を含有し、
任意選択的に、
Cu:0.01~1.00%、
Ni:0.01~2.50%、
Cr:1.5%以下、
Mo:1.0%以下、
Nb:0.1%以下、
V :0.2%以下、
REM:0.02%以下、
Mg:0.005%以下、
B :0.005%以下、から選択される1または2以上を含有し、
残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する溶接構造物用厚鋼板の製造時に、厚鋼板の製造仕様の実績、厚鋼板の機械的特性値、溶接仕様の実績、及び溶接部の欠陥発生の実績を含む教師データを用いて、事前に機械学習により学習された溶接部欠陥発生予測モデルに基づき、特定の溶接仕様を入力し、溶接部の欠陥発生率が所望の値の範囲内となるように厚鋼板の製造仕様を取得する厚鋼板の製造仕様取得ステップと、前記厚鋼板の製造仕様取得ステップで取得された厚鋼板の製造仕様を用いて厚鋼板を製造する製造ステップと、を有し、
得られた溶接構造物用厚鋼板は、板厚中央部におけるMn成分濃化部の面積割合が3%以下であり、板厚中央位置の板厚方向の試験温度0℃でのシャルピー吸収エネルギーvE0が27J以上であり、降伏強さが325~750N/mm2、及び引張強さが490~930N/mm2で降伏比が90%以下であることを特徴とする溶接構造物用厚鋼板の製造方法。
ここで、Mn成分濃化部とは、板厚中央部を含む分析視野において、質量%で表示する鋼板のMn濃度が質量%で表示するレードルにおける溶鋼のMn成分分析値の1.2倍以上となる領域とし、
溶接部の欠陥発生率における所望の値は、溶接継手のフランジ側の鋼板をJIS G 0901(2010)に準拠し測定し、最大のエコー高さがDL線未満とする。 - 請求項1に記載された溶接構造物用厚鋼板の製造時における溶接部欠陥発生予測モデルの生成方法であって、
厚鋼板の製造仕様の実績、厚鋼板の機械的特性値、溶接仕様の実績、及び溶接部の欠陥発生の実績を含む教師データを用いて、機械学習により学習し、溶接部の欠陥発生の予測モデルを生成することを特徴とする溶接部欠陥発生予測モデルの生成方法。
Applications Claiming Priority (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2022157702 | 2022-09-30 | ||
| JP2022157702 | 2022-09-30 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2024052561A JP2024052561A (ja) | 2024-04-11 |
| JP7800518B2 true JP7800518B2 (ja) | 2026-01-16 |
Family
ID=90623395
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2023143441A Active JP7800518B2 (ja) | 2022-09-30 | 2023-09-05 | 溶接構造物用厚鋼板の製造方法、溶接部欠陥発生予測モデルの生成方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP7800518B2 (ja) |
Citations (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2006257499A (ja) | 2005-03-17 | 2006-09-28 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 高張力鋼板、溶接鋼管及びそれらの製造方法 |
| WO2012002481A1 (ja) | 2010-06-30 | 2012-01-05 | 新日本製鐵株式会社 | 熱延鋼板及びその製造方法 |
| WO2012029945A1 (ja) | 2010-09-03 | 2012-03-08 | 住友金属工業株式会社 | 耐破壊特性および耐hic特性に優れる高強度鋼板 |
| JP2013147742A (ja) | 2011-12-22 | 2013-08-01 | Jfe Steel Corp | 溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力鋼板 |
Family Cites Families (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH09165644A (ja) * | 1995-12-14 | 1997-06-24 | Nkk Corp | 低温で低降伏比を有する建築用鋼材 |
| KR102830746B1 (ko) * | 2019-12-20 | 2025-07-08 | 주식회사 포스코 | 수소유기균열 저항성이 우수한 피팅부품 및 그 제조방법 |
-
2023
- 2023-09-05 JP JP2023143441A patent/JP7800518B2/ja active Active
Patent Citations (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2006257499A (ja) | 2005-03-17 | 2006-09-28 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 高張力鋼板、溶接鋼管及びそれらの製造方法 |
| WO2012002481A1 (ja) | 2010-06-30 | 2012-01-05 | 新日本製鐵株式会社 | 熱延鋼板及びその製造方法 |
| WO2012029945A1 (ja) | 2010-09-03 | 2012-03-08 | 住友金属工業株式会社 | 耐破壊特性および耐hic特性に優れる高強度鋼板 |
| JP2013147742A (ja) | 2011-12-22 | 2013-08-01 | Jfe Steel Corp | 溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力鋼板 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2024052561A (ja) | 2024-04-11 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| CN113677448B (zh) | 方形钢管及其制造方法以及建筑构造物 | |
| CN104487604B (zh) | H 型钢及其制造方法 | |
| KR101444646B1 (ko) | 어레스트성이 우수한 고강도 후강판 | |
| JP5924058B2 (ja) | 溶接熱影響部の低温靭性に優れた高張力鋼板およびその製造方法 | |
| JP5177310B2 (ja) | 溶接熱影響部の低温靭性に優れた高張力鋼板およびその製造方法 | |
| JP2006089789A (ja) | 音響異方性が小さく、溶接性に優れた低降伏比高張力鋼板およびその製造方法 | |
| JP2012207237A (ja) | 多層盛溶接部の靭性に優れた降伏強さ500MPa級厚鋼板およびその製造方法 | |
| US7967923B2 (en) | Steel plate that exhibits excellent low-temperature toughness in a base material and weld heat-affected zone and has small strength anisotropy, and manufacturing method thereof | |
| JPWO2014175122A1 (ja) | H形鋼及びその製造方法 | |
| JP5171327B2 (ja) | 大入熱溶接熱影響部の板厚方向靭性に優れたスキンプレート用鋼板およびその製造方法 | |
| JP6790641B2 (ja) | 圧延h形鋼及びその製造方法 | |
| JP2011202210A (ja) | 耐再熱脆化性及び低温靭性に優れた耐火鋼材並びにその製造方法 | |
| CN110546295A (zh) | 轧制h型钢及其制造方法 | |
| JP2005290554A (ja) | 被削性と靭性および溶接性に優れた鋼板およびその製造方法 | |
| JP5217092B2 (ja) | 耐疲労亀裂伝播特性に優れる鋼材の製造方法 | |
| JP7272438B2 (ja) | 鋼材およびその製造方法、ならびにタンク | |
| JP7800518B2 (ja) | 溶接構造物用厚鋼板の製造方法、溶接部欠陥発生予測モデルの生成方法 | |
| JP4752441B2 (ja) | 耐疲労亀裂伝播特性に優れる鋼材 | |
| JP7385831B2 (ja) | 溶接継手及びその製造方法 | |
| JP5494090B2 (ja) | 耐再熱脆化性及び低温靭性に優れた耐火鋼材並びにその製造方法 | |
| JP2020204074A (ja) | 大入熱溶接用高強度鋼板 | |
| JPS5887221A (ja) | 耐硫化物腐食割れ性に優れた高張力鋼の製造方法 | |
| JP7410437B2 (ja) | 鋼板 | |
| JP2005290553A (ja) | 被削性と靭性および溶接性に優れた鋼板およびその製造方法 | |
| JP2025103381A (ja) | 圧延h形鋼 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20240423 |
|
| A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20250131 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20250304 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20250416 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20250805 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20250916 |
|
| TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20251202 |
|
| A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20251215 |
|
| R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7800518 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |