JP7801899B2 - 新規な1,10-フェナントロリン化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子、及び有機エレクトロルミネッセンス照明 - Google Patents

新規な1,10-フェナントロリン化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子、及び有機エレクトロルミネッセンス照明

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Description

本発明は、耐熱性に優れ、深赤色色素との相性も良く、素子の高効率化、低電圧化および長寿命化を実現する新規な1,10-フェナントロリン化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の提供、並びに三重項励起子を用いるリン光、あるいは熱活性化有機EL素子の高性能化に資するとともに、それを用いた有機エレクトロルミネッセンス照明に関する。
有機エレクトロルミネッセンスは、軽量化かつフレキシブル、省電力等の特徴から、液晶テレビに変わる新規薄型テレビで実用化が始まっており(例えば、ソニーブラビアホームページ(https://www.sony.jp/bravia/)参照)、4Kや8Kに対応する大型プロジェクタ対応の次世代ディスプレイや高精細を必要とする医療分野でのディスプレイ(例えば、JOELD社ホームページ(https://www.j-oled.com/application/)参照)、また照明としての応用が期待されている。実際のところ有機エレクトロルミネッセンスは近年、テレビはさることながら大型プロジェクタ用ディスプレイや照明用光源として普及しつつあるが、さらなる信頼性向上のための長寿命化と低消費電力化の両立が課題である。
重要なことは、平滑な表面モルフォロジー、適切な最高被占軌道(HOMO)/最低空軌道(LUMO)準位、高い電荷注入・輸送特性である。特に有機エレクトロルミネッセンスに使われる正孔輸送(p型)有機半導体に比べて、電子輸送(n型)有機半導体は、3桁ほど移動度が低いことが知られている。(例えば非特許文献1および2)
移動度が異なる弊害としては、2つの電極より注入された正孔と電子が効率良く結合できず作製した素子中の有機膜界面に電荷が溜まるため、発光効率が低下すること、素子の中での電荷の再結合の際に、発光エネルギーとして変換されず熱エネルギーに変換するため素子からの異常発熱が発生すること、その発熱により蒸着したあるいは塗布したアモルファスの膜状である有機化合物が、再結晶化を起こしダークスポットと呼ばれる消光部分を形成すること、また発熱そのものにより有機化合物自身が破壊されること、あるいは溜まった電荷により有機化合物が酸化反応や還元反応を受け、熱破壊と同様有機化合物が別の化合物に変化することなどが挙げられる。
これらの弊害は、いずれも素子の寿命に重大な影響を与えることが知られている。(例えば非特許文献3)
この弊害を回避する方法として、有機エレクトロルミネッセンスにおいては機能分離させる多層積層構造をとることが一般的である。この機能分離の機能とは、正孔注入、正孔輸送、発光、電子輸送および電子注入を意味し、それぞれの機能が個々に独立する場合もあれば1層がいずれか2以上の機能を受け持つ場合もある。また1の機能において有機化合物が1種類である場合もあれば、1の機能に対して2つ以上の有機化合物あるいは場合によれば無機化合物とのハイブリットを構成する場合がある。(例えば非特許文献4)さらにはこれらの機能を何層も積層させるタンデム構造をとることもある。(特許文献1)
現在市販されている有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略す)としては、スマートフォンの様なモバイル端末あるいは有機ELテレビにおいては、ほぼすべてが機能分散させた素子あるいはタンデムさせた素子の技術を応用した有機ELパネルが採用されている。
このような技術で作製された有機ELパネルは、光の3原色である青、緑、赤の発光材料をシャドーマスクを用いて蒸着あるいは、3原色より白を基調とした発光を取り出し、3原色である青、緑、赤のカラーフィルターでフルカラー化している。(例えば非特許文献5)
照明の分野においても有機ELパネルが間接照明等の分野で採用されており、リン光材料との組み合わせで内部量子効率が100%に達し省エネルギー照明として使用されているものも存在する。(例えば非特許文献6)
光源の用途としては、家庭用、工業用のほか農業などの第一次産業においても重要である。農業の分野では、ハウス栽培や気密性の高い部屋における人工栽培において照明を光源として使用しており、特に波長670nm付近の深赤色領域に発光を示す高効率有機ELは植物育成用光源などへの応用が期待されている。
現在利用されている機能分離の素子については、良い面が多々あるが当然ながら改善を要する面もある。すなわち機能を分離させるために蒸着あるいは塗布させる回数が増加する。回数を増やすということは、いうまでもなく素子あるいはディスプレイの作製に手間を生じる。この場合手間とは、作製に要する時間である。時間を要することは単位時間当たりの発光素子の作製枚数の減少を意味する。作製枚数が減るということは、単位あたりの製作費用を押し上げることになる。また使用する材料点数が増加するため材料費用も増加する。これらの影響は、最終商品の売価にも反映される。
以上のことを考慮すると機能分離をする必要はあるものの、液晶(LCD)パネルや発光ダイオード(LED)パネルと競争するためには、機能としてまとめられる部分はまとめ素子あるいはディスプレイの作製を簡素化することが要求される。
Abhishek P.Kulkarni,Christopher J.Tonzola,Amit Babel,and Samson A Jenekhe., Chem.Mater.2004,16,4556 Lixin Xiao,Zhijian Chen,Bo Qu, Jiaxiu Luo,Sheng Kong, Qihuang Gong and Junji Kido,Adv.Mater.2011,23,926 森 竜雄「有機EL素子の材料設計と長寿命化技術」 表面技術 第61巻 第10号 2011年 682頁 三上 明義「有機ELディスプレイの基礎」 映像情報メディア学会誌 第67巻 第9号 800頁 2013年 電子デバイス産業新聞 2018年9月28日付「第268回 LGの8K有機EL,さらなる高精細化への課題」 https://www.sangyo―times.jp/article.aspx?ID=2764 ITmedia 2014年3月6日付「LED照明を追い抜くか、「有機EL」で131ルーメン/ワットを達成」https:// www.itmedia.co.jp./smartjapan/articles/1403/06/news036.html
特許第4925569号公報
本発明の目的は、長寿命化、低消費電力、及び製造の効率化を両立することのできる素子、および発光効率の向上と長寿命化の両立が難しい深赤色発光素子を含む発光素子を提供する点にある。
上記課題は、次の1)~6)の発明によって解決される。
1)下記一般式〔1〕
〔式中、Rは水素またはメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基およびイソプロピル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。〕
で示された1,10‐フェナントロリン化合物類を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
2)下記一般式〔2〕
〔式中、Rは水素またはメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基およびイソプロピル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。〕
で示された1,10‐フェナントロリン化合物類を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
3)1)記載の1,10‐フェナントロリン化合物類を電子輸送層及び/又は発光層に用いた有機エレクトロルミネッセンス素子。
4)2)記載の1,10‐フェナントロリン化合物類を電子輸送層及び/又は発光層に用いた有機エレクトロルミネッセンス素子。
5)3)記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた有機エレクトロルミネッセンス照明。
6)4)記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた有機エレクトロルミネッセンス照明。
7)3)記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた深赤色有機エレクトロルミネッセンス照明。
8)4)記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた深赤色有機エレクトロルミネッセンス照明。
本発明の、1,10‐フェナントロリン化合物の2位および9位にヘテロアリール環化合物である6-キノリン化合物および4-イソキノリン化合物を導入した新たなフェナントロリン化合物類を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子によれば、長寿命化、低消費電力、及び製造の効率化を両立した素子を提供することができる。また深赤色発光材料を効率よく発光させることができる能力を有するので、深赤色照明にも応用することができる。
今回発明した化合物類は、密度汎関数法計算では、従来電子輸送材料として使用される2,9‐ジ‐2‐ナフタレニル‐4,7‐ジフェニル‐1,10‐フェナントレン(以下、NBPhenと略す)の最低空軌道(LUMO)準位の値‐2.16eVに比べて最低空軌道(LUMO)準位が深いことから、電子注入性の向上が期待される。実際、実験的に求められた電子親和力が、陰極に使用される電極、例えばアルミニウム金属の仕事関数-4.1eVに近い-3.6eVを示すことからも陰極電極からの電子注入が容易である。
有機エレクトロルミネッセンスの材料に要求される耐熱性については、ガラス転移温度が130℃以上を示すため、本発明の1,10‐フェナントロリン化合物は素子で発生する熱には十分に耐えることができ、かつ熱による変性が起きにくい。
また電気化学的安定性に優れているため、緑色発光材料との組み合わせにおいて輝度1000cd/m時において、従来の材料であるNBphenに比べて寿命が長い。深赤色発光材料との組み合わせでは、内部でのエネルギーの閉じ込め効果が高いため、周辺の材料へのエネルギーの漏れが生じず色純度の高い赤色発光が得られる。
また結晶化を起こしにくい本発明の1,10‐フェナントロリン化合物を用いることで従来からの有機エレクトロルミネッセンス素子を簡便に作製することができ、時間的効果および経済的効果に寄与する。
よって本発明は、産業上利用できる発明として極めて有用であると考えられる。
実施例1の作製した素子の例を図1に示す。 実施例1の4iq‐Bphen、6q‐Bphenおよび3q‐Bphenのそれぞれの素子上でのエネルギーダイアグラムを図2に示す。 実施例1の4iq‐Bphen、6q‐Bphen、3q‐BphenにNBphenを加えたそれぞれを用いた素子からの発光を示すELスペクトルを図3に示す。 実施例1の電流密度‐電圧特性を図4に示す。 実施例1の輝度‐電圧特性を図5に示す。 実施例1の電力効率‐輝度特性を図6に示す。 実施例1の外部量子効率‐輝度特性を図7に示す。 実施例1の駆動寿命(半減寿命)測定を図8に示す。 実施例2の作製した素子の例を図9に示す。 実施例2の4iq‐Bphen、6q‐Bphen、3q‐BphenにNBphenを加えたそれぞれを用いた素子からの発光を示すELスペクトルを図10に示す。 実施例2の電流密度‐電圧特性を図11に示す。 実施例2の輝度‐電圧特性を図12に示す。 実施例2の電力効率‐輝度特性を図13に示す。 実施例2の外部量子効率‐輝度特性を図14に示す。 実施例2の駆動寿命(半減寿命)測定を図15に示す。 実施例3の作製した素子の4iq‐Bphen、6q‐Bphenおよび3q‐Bphenのそれぞれの素子上でのエネルギーダイアグラムを図16に示す。 実施例3の4iq‐Bphen、6q‐Bphen、3q‐Bphenそれぞれを用いた素子からの発光を示すELスペクトルを図17に示す。 実施例3の電流密度‐電圧特性を図18に示す。 実施例3の輝度‐電圧特性を図19に示す。 実施例3の外部量子効率‐輝度特性を図20に示す。 実施例3の駆動寿命(半減寿命)測定を図21に示す。 実施例4の作製した素子の4iq‐Bphen、6q‐Bphen、および4DBT46TRZそれぞれを用いた素子からの発光を示すELスペクトル図22に示す。 実施例4の電流密度‐電圧特性を図23に示す。 実施例4の輝度‐電圧特性を図24に示す。 実施例4の外部量子効率‐輝度特性を図25に示す。 実施例4の駆動寿命(半減寿命)測定を図26に示す。 本発明の有機EL素子の好ましい例の断面図を図27に示す。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明の新規な1,10-フェナントロリン化合物については、鈴木‐宮浦カップリング(以下、鈴木カップリングと略す。)によって製造することができる。反応式で示すと以下の通りである。
一般式〔1〕の場合
一般式〔2〕の場合
一般式〔1〕および一般式〔2〕の上記製法におけるXについては、ハロゲン原子を表し例えば、塩素、臭素あるいはヨウ素を意味する。また場合によっては、トリフルオロメタンスルホン酸エステル
も脱離基として作用するため、Xがこのような置換基を付加したような化合物でも同様に本反応で使用することができる。
一般式〔1〕および一般式〔2〕の上記製法におけるXについては、ホウ酸化合物
あるいはホウ酸エステル
などを表す。R1’およびR2’は、メチル基やイソプロピル基などのアルキル基であり、R1’およびR2’が一緒になって環を形成していても良い。
溶媒については、トルエン、キシレンやメシチレンのような芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、1,4‐ジオキサンのような環状エーテル、1,2‐ジメトキシエタン、エチレングリコールモノメチルエーテルのような脂肪族エーテル、あるいはエタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノールのようなアルコールなどを使用することができる。これらの溶媒は単独でもあるいは2種類以上を混合して使用しても差し障りはない。
反応で使用する塩基については、アルカリ金属の炭酸塩やリン酸塩などを用いることができる。例示すれば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムや炭酸セシウムあるいはリン酸第三カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸第三ナトリウムやリン酸第二ナトリウムなどである。これらは通常単一で使用するが2種類以上の塩基を混合して使用しても支障がない。
触媒については、パラジウム系の触媒を使用する。パラジウムだけでは反応が進みづらいためリン系の助触媒を併用することが好ましい。パラジウム単独で使用できるものとしては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを例示できる。このものは、パラジウムとトリフェニルホスフィンとの錯化合物である。
リン触媒との併用を前提として使用できるパラジウム触媒として、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、トリスベンジリデンアセトンジパラジウムおよびビスベンジリデンアセトンパラジウム等を例示することができる。
併用するリン触媒としては、トリフェニルホスフィン、トリオルソトリルホスフィン、2‐ジシクロヘキシルホスフィノ‐2’,4’,6’‐トリイソプロピルビフェニル(X-phos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ‐2’,6’‐ジメトキシビフェニル(S‐phos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ‐2’-ジメチルアミノビフェニル(Davephos)や2-ジシクロヘキシルホスフィノ‐2’,6’‐ジイソプロポキシビフェニル(Ruphos)やトリシクロヘキシルホスフィンなどを例示することができる。
水については、絶対的に必要なものではなく無水で反応を行う場合もある。加える場合は、使用する有機溶媒量に対して1/2~1/3程度を添加する。
反応温度については、通常溶媒が還流する温度で行う。
反応時間については、反応の進行状況をガスクロマトグラム、高速液体クロマトグラムなどの機器あるいは薄層クロマトグラムで追跡しながら決定する。
原料の2,9‐ジクロロ‐4,7‐ジフェニル‐1,10‐フェナントロリンは、工業品で入手することができる。
他方の原料である4‐イソキノリンボロン酸類および6‐キノリンボロン酸類についても工業品として入手することができる。
入手できない場合は、対応するハロゲン化物をグリニヤール試薬若しくはリチウム試薬に変換した後トリメチルボラン若しくはトリイソプロピルボランと反応し、塩酸等酸性水で加水分解すればボロン酸を得ることができる。
ボロン酸エステルを入手したい場合は、[0031]の反応において水で処理すれば対応するメチルエステルあるいはイソプロピルエステルを得ることができる。また[0031]で得られたボロン酸をトルエン中、ピナコールで脱水縮合すればピナコールの環状エステルが得られる。2‐イソプロポキシ‐4,4,5,5,‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロランと[0031]で合成したグリニヤール試薬若しくはリチウム試薬と反応させること、さらには対応するハロゲン化物とビスピナコラートジボランを、ジメチルホルムアミドなどの適当な溶媒中で酢酸カリウム存在下、〔1,1’‐ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン〕パラジウムジクロライドなどの触媒を加えて加熱することでも環状ボロン酸を得ることができる。
反応で得られる1,10-フェナントロリン化合物は、純度的に問題があるため素子化する前に精製を行う必要がある。精製としては再結晶法が効果的であるが、場合によってはシリカゲルカラムクロマト法で分離することもできる。
精製された1,10-フェナントロリン化合物は、さらに製膜に移る前に昇華精製を行うことが望ましい。これは製膜時に製品を入れたるつぼ等に残渣が生じることを極力防ぐためである。化学的に精製されたものの中には、加熱することで分解しやすいものが微量含まれていることがあるため物理的に除去するのが目的である。
昇華する場合は、精製効果を出すために加熱温度勾配をつけるのが一般的である。また大気圧では昇華することがないので真空ポンプで減圧する必要がある。昇華精製の状況については、被昇華物によって所要時間が異なるため目視にて判断するのが通常である。
評価する1,10-フェナントロリン化合物は、真空蒸着機を使用して製膜し評価用の素子作成を行う。
評価用の素子については、前処理した電極が付着している石英ガラス等の基板に金属マスクを使用し2ミリ角程度の大きさの正方形の形状をしたものを作製する。素子については、石英ガラス上に1か所若しくは複数個作製する。通常であれば複数個作製するのが望ましい。
前処理については一般的に以下の要領で行う。前処理については、処理具合が正確な評価に影響を与えるため、念入りかつ丁寧に行うことを必要とする。
陽極電極のついた基板は、評価用のセルにあった大きさにダイヤモンドカッター等を使用し切り分ける。基板には電極の金属を付着した際に残留した微細なゴミ等が存在するためにこれを洗浄し除去する。特に金属はスパッタリング等により基板に付着させるために表面上が荒れていることが多い。このまま素子として使用した場合、素子が短絡を起こしたり蒸着膜が均等に積層できないため不発光部分が生じたりする。これが素子の寿命評価等に大きく関与してくる。
そこでまず金属電極表面を平滑化するのと基板全体の脱脂を行うため、不繊布ワイパー(例えばベンコット(ベンコットは旭化成株式会社登録商標(登録1153841号他6件)))にアセトン(電子材料用)を含ませて切り分けた基板の表面を軽く研磨する。ついで洗剤(例えばセミコクリーン(セミコクリーンはフルウチ化学株式会社登録商標(登録6017459号))を水で希釈した水溶液を入れた超音波洗浄機に浸け10分程度超音波洗浄をおこなう。これにより研磨カス等を基板から除去することができる。
基板に付着した洗剤を除去するために、蒸留水を満たした超音波洗浄機に浸け10分程度超音波洗浄をおこなう。
さらに基板上に水分が残ると製膜に影響するのと、寿命にも影響を与えるためにアセトン(電子工業用)およびイソプロピルアルコール(同)の順でそれぞれ入った超音波洗浄機にそれぞれ10分程度浸し超音波洗浄を行う。最後にイソプロピルアルコール(同)の沸騰している溶液に5分浸けたのち、紫外線オゾン洗浄を行いデシケーター中で減圧下乾燥させる。
これら一連の操作については、アセトンやイソプロピルアルコールの引火性の問題もありドラフト内で行う。
以下、本発明の有機EL素子の構成要素に関して、陽極/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極からなる素子構成を例として取り上げて説明する。本発明の有機EL素子は、基板に支持されていることが好ましい。基板の素材については特に制限はなく、例えば、従来の有機EL素子に慣用されている、ガラス、石英ガラス、透明プラスチックなどからなるものが挙げられる。
本発明の有機EL素子の陽極としては、仕事関数の大きな金属単体(4eV以上)、仕事関数の大きな金属同士の合金(4eV以上)または導電性物質、またはこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。その具体例としては、金、銀、銅等の金属、ITO(インジウム-スズオキサイド)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などの導電性透明材料、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子材料が挙げられる。
陽極はこれらの電極材料を用いて、蒸着、スパッタリング、塗布などの方法により形成することができる。陽極のシート電気抵抗は数百Ω/cm以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にもよるが、一般に5~1,000nm程度、好ましくは10~500nmである。
陰極としては、仕事関数の小さな金属単体(4eV以下)、仕事関数の小さい金属同士の合金(4eV以下)または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。その具体例としては、リチウム、リチウム-インジウム合金、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、マグネシウム、マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、アルミニウム、アルミニウム-リチウム合金、アルミニウム-マグネシウム合金などが挙げられる。
陰極はこれらの電極材料を用いて、蒸着、スパッタリングなどの方法により作製することができる。
陰極のシート電気抵抗は数百Ω/cm以下が好ましい。陰極の膜厚は材料にもよるが、一般に5~1,000nm程度、好ましくは10~500nmである。本発明の有機EL素子の発光を効率よく取り出すために、陽極または陰極の少なくとも一方の電極は透明もしくは半透明であることが好ましい。
洗浄した電極基板は、できる限り大気に触れることなく陽極の正孔注入層を作製するために蒸着機もしくはスピンコーターにセットする。低分子化合物で蒸着可能な化合物は真空蒸着機で作製し、分子量の大きな蒸着に適さない化合物については適当な溶媒に溶かして塗布して作製する。
陽極電極の上に正孔注入層を積層する。
正孔注入層とは、陽極より有機薄膜に注入される正孔(ホール)の注入性を向上させるために挿入する層である。陽極で使用する金属は仕事関数が大きく、一般に‐5eV程度である。このためこの仕事関数に近い最高被占軌道(HOMO)を有する有機化合物であれば正孔注入層は必要でないが、そのような条件に合致するものは少なく、陽極の仕事関数と有機薄膜の最高被占軌道(HOMO)の間に幾分かの差があるため、それが障壁となって発生する。それが原因となり陽極に発生した正孔が効率良く有機薄膜に移動することができない。そのためこの問題を解決するために設ける層である。
通常10~200nmの厚みで積層される。
正孔注入層で用いることのできる化合物としては、蒸着できる低分子化合物としては、下記式に示される銅フタロシアニン(CuPc)を例示することができる。
また本出願人の特開平9-301934号公報に掲げるDNTPDも、正孔注入層として蒸着することができる化合物として例示できる。
また塗布できる正孔注入層としては、水溶性高分子である下記化学式に示されるPDOT-PSS(ポリマー混合物)を例示することができる。
同様に下記化学式に示されるPTPD-1,PPBIを使用することができる。
同様の本出願人の特開平9-188756号公報に掲げるPES-1やPES-2も、下記に例示したTBPAHと呼ばれるアンチモン錯体を添加することで同様に正孔注入層として使用することができる。
正孔注入層の上に正孔輸送層を積層する。
正孔輸送層は、正孔伝達化合物からなるもので、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有している。電界が与えた2つの電極の間に正孔伝達化合物が配置されて陽極から正孔が注入された場合、少なくとも10-6cm/V秒以上のホール移動度を有する正孔伝達物質が好ましい。このような正孔伝達物質は、従来から光導電材料において正孔の電荷注入材料として慣用されている材料や有機EL素子の正孔輸送層に使用されている公知の材料の中から任意のものを選択して用いることができる。
正孔伝達物質の例としては、N,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-4,4-ジアミノフェニル(α-NPD)を例示することができる。
本出願人の特開2004-115441号公報に掲げるBABP、特開2005-220088号公報、に掲げるDTASi、特開2008-201676号公報に掲げるDNDPNや特開2010-254635号公報に掲げるCzTDAやDBTDTAなどを例示することができる。
また特開2019-26556号公報に掲げる4DBFHPBや4DBTHPBを例示することができる。
これらの化合物は、単独で使用することができるほか複数の層として積層して使用することができ、複数の化合物を共蒸着して混合して用いることもできる。
本発明の有機EL素子の発光層には、当業者が一般的に使用する発光材料であれば特に支障なく使用することができる。発光材料については、最近では量子効率の高いリン光材料や熱活性化遅延蛍光物質が使用されている。本発明の新規な1,10-フェナントロリン化合物は、それらに適切に発光させるべくエネルギーレベルを有している。
発光層は、ホスト材料と発光材料(ドーパント)から形成される[Appl. Phys. Lett.,65 3610 (1989)]。発光材料は、その濃度消光を避け、また発光エネルギーを効率よく発光材料に移動させるためにホスト材料と組み合わせて使用する。一般に発光材料は、ホスト材料に対して好ましくは0.01~40重量%であり、より好ましくは0.1~20重量%である。
青色リン光材料としては、例えば特開2010-251565号公報に例示されているようなFIrpic、FIr6、FIrN4やIr(Fppy)3などを例示することができる。
緑色のリン光材料としては、Journal of the American Chemical Society (2001),123(18),4304-4312.記載のIr(ppy)acacやPure and Applied Chemistry 71(11)2095-2106(1999)記載のIr(ppy)などを例示することができる。
赤色リン光材料としては、特開2009-132688号公報記載の下記式
で示されるリン光材料や、特開2009-149607号公報記載の下記式
で示されるリン光材料、また特開2009-164614号公報記載の下記式
で示されるリン光材料、あるいは特開2013-155153号公報記載の下記式
などのリン光材料を例示することができる。(Buは、ブチル基を意味する。)
深赤色に発光する材料としては、2019年に発行されたChemistry-a European Journal 25(30)7308-7314記載の下記式で示される(DPQ)Ir(dpm)
等のイリジウム錯体を例示することができる。非常に深い最低空軌道準位(LUMO)(‐3.8eV)を持つ本化合物に対しては、ホスト材料も同様に深い最低空軌道準位(LUMO)が要求される。
また熱活性化遅延蛍光については、1930年代よりエオシンY等で現象が現れることを確認されていた。本格的にこの分野で利用を試みたのは、2010年の九州大学の安達教授らのグループである。
熱活性化遅延蛍光材料の青色材料としては、Nature Photonics 13,678-692,(2019)記載のν‐DABNA、
Adv.Mater 2016,28(14),2777-2781記載のDABNA-1やDABNA-2、
Nature 492,234-238,(2012)記載の2CzPN
などを例示することができる。
緑色の熱活性化遅延蛍光物質については、同じくNature 492,234-238,(2012)記載の4CzIPN、
Chemical Communications (Cambridge, United Kingdom) (2012),48,(93),11392-11394.記載のPXZ-TRZ
などを例示することができる。
赤色の熱活性化遅延蛍光物質については、米国特許出願公開第2019/0074449号明細書記載のHAP―3TPA、
Mater.Horiz.,2016,3,145-151記載の5TCzBN
を例示することができる。
また本発明の新規な1,10-フェナントロリン化合物は、九州大学安達教授が提唱しているハイパーフルオレッセンスと呼ばれる新規な有機EL発光技術にも対応できる。
ハイパーフルオレッセンス技術は、一重項励起子を使用する蛍光材料と三重項励起子を使用する熱活性化遅延蛍光材料の良い面を活用し、有機EL素子の高効率化および長寿命化を達成することができる技術であり国内外より注目されている。
現状において有機EL素子は、赤色と緑色はリン光材料、青色は蛍光材料といった材料が一般的に使われている。リン光材料については、青色において実用に適した材料がなく、また発光効率は蛍光材料より優れるものの、色純度やイリジウム金属などのレアメタルを使用するためコストの面で厳しい状況に置かれている。
そのためレアメタルを含有せずリン光材料と同様三重項励起子を使用することができる熱活性化遅延蛍光材料については、特にコストの面においてリン光材料の欠点を十分に補うことができる。
例えば、ハイパーフルオレッセンス素子に関する安達らのnature photonics(doi.org/10.1038/s41566-020-00745-z)に記載されている青色遅延活性化蛍光材料の下記化合物(HDT-1)
の三重項励起子のエネルギーギャップは2.88eVであるが、本発明の新規な1,10-フェナントロリン化合物の三重項励起子のエネルギーギャップは3.0~3.1eVと大きいため十分な電荷の閉じ込め効果を有する。また一緒に使用されている[化31]記載のν‐DABNAのエネルギーギャップも2.1eVでありこちらの電荷の閉じ込めを行うことができる。
一般に赤色や緑色の発光材料は、青色発光材料のエネルギーギャップほど大きくないためいずれの色の発光材料の電荷の閉じ込めも十分に行うことが可能である。
これらの発光材料と一緒に用いられるホスト材料については、特許第5683784号公報記載の下記化合物
を例示することができる。
また本出願人の特許第5325402号公報記載の下記化合物
を例示することができる。
本出願人の特開2010-13421号公報記載の下記化合物
も例示することができる。
本出願人の特許第5674266号公報記載の下記化合物
さらに本出願人の特許第5727237号公報記載の下記化合物
を例示することができる。
発光層と電子輸送層の間に正孔(ホール)ブロック層を挿入することもできる。正孔(ホール)ブロックとは、文字通り発光の際電子と再結合できなかった正孔が電子輸送層へもれこむことを防止する層である。正孔のもれは、正孔の移動度と電子の移動度に影響し電荷のバランスが取れなかった場合に良く発生する。もれた正孔が電子輸送層もしくは発光層と電子輸送層の界面で再結合した場合、再結合した場所からの発光が起こり発光層より得られた光と異なる波長の光を発することになる。
正孔ブロック材料として使用される材料の特徴としては、最高被占軌道(HOMO)の値の大きいものである。正孔は陽極より注入されるため、陽極電極の仕事関数に近い最高被占軌道(HOMO)の値をもつ材料を採用した場合、正孔が容易に移動できるため正孔の突き抜け現象が発生する。
正孔ブロック材料としては、前述した通り最高被占軌道(HOMO)の値の大きい材料であれば使用することができるが、例示すれば本出願人の特許第6580613号公報に記載のDBF‐TRZや、
DBT‐TRZ
を挙げることができる。
DBF‐TRZの最高被占軌道(HOMO)の値は-6.4eV、DBT‐TRZの最高被占軌道(HOMO)の値は-6.3eVと陽極の仕事関数-5.1eVに比べたらはるかに大きい。
正孔(ホール)ブロック層の次には電子輸送層を積層させる。ここで使用する電子輸送材料については、一般式〔1〕もしくは一般式〔2〕記載の電子輸送材料を使用する。
一般式〔1〕で表される電子輸送材料において、1,10-フェナントロリン化合物に結合した二つの4-イソキノリン化合物は同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましく、具体的には以下のような化合物を例示することができる。
一般式〔2〕で表される電子輸送材料において、1,10-フェナントロリン化合物に結合した二つの6-キノリン化合物は同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましく、具体的には以下のような化合物を例示することができる。
これらの化合物は、単独で薄膜化して電子輸送層を形成することができるが、2種類以上の化合物を共蒸着により単一層に混合することもできるし、単独に2層以上の電子輸送層を形成することもできる。
またこれらの化合物は、特許第5650114号公報記載の下記化合物
あるいは、
J.Org.Chem.,1996,61(9),3017-3022記載の下記化合物
などと混合して用いることもできる。
上記化合物と混合して用いる際は、一般式〔1〕及び一般式〔2〕の合計量が、混合物の30重量%以上、好ましくは40重量%以上、より好ましくは50重量%以上の任意の割合となるように用いることができる。
本発明の新規な1,10-フェナントロリン化合物を含む素子の正孔注入層、正孔輸送層の形成方法については特に限定されるものではない。例えば乾式製膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法など)、湿式製膜法[溶媒塗布法(例えばスピンコート法、キャスト法、インクジェット法など)]を使用することができる。電子輸送層の製膜については、湿式製膜法で行うと下層が溶出する恐れがあるため乾式製膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法など)に限定される。素子の作製については上記の製膜法を併用しても構わない。
真空蒸着法により正孔輸送層、発光層、電子輸送層などの各層を形成する場合、真空蒸着条件は特に限定されるものではない。通常10-5Torr程度以下の真空下で50~500℃程度のボート温度(蒸着原温度)、-50~300℃程度の基板温度で、0.01~50nm/sec.程度蒸着することが好ましい。正孔輸送層、発光層、電子輸送層の各層を複数の化合物を使用して形成する場合、化合物を入れたボートをそれぞれ温度制御しながら共蒸着することが好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層を溶媒塗布法で形成する場合、各層を構成する成分を溶媒に溶解または分散させて塗布液とする。溶媒としては、炭化水素系溶媒(例えばヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等)、ケトン系溶媒(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、ハロゲン系溶媒(例えばジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、エーテル系溶媒(例えばジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等)、非プロトン性溶媒(例えばN,N′-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等)、水等が挙げられる。溶媒は単独で使用しても良く、複数の溶媒を併用しても良い。
正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の各層の膜厚は、特に限定されるものではないが、通常5~5,000nmになるようにする。
本発明の有機EL素子は、酸素や水分等の接触を遮断する目的で保護層(封止層)を設けまたは不活性物質中に素子を封入して保護することができる。不活性物質としては、パラフィン、シリコンオイル、フルオロカーボン等が挙げられる。保護層に使用する材料としては、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、光硬化性樹脂等がある。
本発明の有機EL素子は、直流駆動の素子として使用できる。直流電圧を印加する場合、陽極をプラス、陰極をマイナスの極性として通常1.5~20V程度印加すると発光が観察される。また本発明の有機EL素子は交流駆動の素子としても使用できる。交流電圧を印加する場合には、陽極がプラス、陰極がマイナスの状態になった時に発光する。本発明の有機EL素子は、テレビ、携帯電話、ゲーム機等のフルカラーディスプレイ、車載の警告灯や保安部品などのエリアカラーディスプレイ、複写機、プリンター、液晶ディスプレイの白色バックライト、屋内あるいは屋外の間接照明や机上照明などの各種照明等で使用することができる。
図27に、本発明の有機EL素子の好ましい例の断面図を示す。
図27は、基板1上に陽極2、正孔注入層7、正孔輸送層5、発光層3、正孔ブロック層9、電子輸送層6、電子注入層8および陰極4を順次設けた例である。この場合、正孔注入層7を設けることにより、陽極2と正孔輸送層5の密着性を高め、陽極からの正孔の注入を良くし、発光素子の低電圧化に効果が構成である。また、この例は、正孔ブロック層9を挿入した例である。これは電荷輸送と発光の機能を分離したものであり、材料選択の自由度が増すために、発光の高効率化や発光色の自由度が増すことになる。正孔ブロック層9については、発光層3と電子輸送層6の間に挿入することができる。
合成例
以下に合成例および実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
合成例1:化合物番号(I)の合成
窒素導入管、還流冷却管、温度計およびメカニカルスターラーのついた300mlの4つ口丸底フラスコに、炭酸ナトリウム4.7g(17.8mmol×2.5当量)と水55mlを加え撹拌する。続いてテトラヒドロフラン110ml、4-イソキノリンボロン酸エステル10.0g(17.8mmol×2.2当量)と2,9-ジクロロ‐4,7‐ジフェニルフェナントロリン7.1g(17.8mmol)を加え窒素置換を15分実施する。その後テトラキストリフェニルホスフィン0.1g(17.8mmol×0.5%)を加え湯浴で65~67℃で12時間撹拌する。反応が進むにつれ目的物の結晶が析出する。
所定の時間が経過した後室温まで冷却し、析出した結晶を吸引ろ過にて回収した。
得られた結晶は、オルソジクロロベンゼン200mlと活性白土1g加え再結晶を行った。この操作により目的の化合物番号(I)の化合物を8.6g回収した。収率は82.4%であった。
このうち8gを昇華精製した。昇華条件は、高温側310℃、中温側290℃および低温側230℃で真空下4.5時間加熱した。室温まで冷却し目的物を5.8g回収した。この操作での回収率は、72.5%であった。得られた結晶は、素子化に使用した。
昇華精製後の化合物について、元素分析を行い化合物の同定を行った。その結果を表1に示す。高速液体クロマトグラフでの純度確認は、99.78%であった。
合成例2:化合物番号(II)‐2の合成
窒素導入管、還流冷却管、温度計およびメカニカルスターラーのついた300mlの4つ口丸底フラスコに、炭酸ナトリウム4.7g(17.8mmol×2.5当量)と水55mlを加え撹拌する。続いてテトラヒドロフラン110ml、6‐メチル‐4‐イソキノリンボロン酸エステル10.5g(6‐メチル‐4‐ブロモイソキノリンより調製したもの)(17.8mmol×2.2当量)と2,9-ジクロロ‐4,7‐ジフェニルフェナントロリン7.1g(17.8mmol)を加え窒素置換を15分実施する。その後テトラキストリフェニルホスフィン0.1g(17.8mmol×0.5%)を加え湯浴で65~67℃で12時間撹拌する。反応が進むにつれ目的物の結晶が析出する。
所定の時間が経過した後室温まで冷却し、析出した結晶を吸引ろ過にて回収した。
得られた結晶は、オルソジクロロベンゼン200mlと活性白土1g加え再結晶を行った。この操作により目的の化合物番号(II)-2の化合物を8.8g回収した。収率は80.4%であった。
このうち8gを昇華精製した。昇華条件は、高温側310℃、中温側290℃および低温側230℃で真空下4.5時間加熱した。室温まで冷却し目的物を5.4g回収した。この操作での回収率は、67.5%であった。
合成例3:化合物番号(II)‐5の合成
合成例2に従い、1‐メチル‐4‐イソキノリンボロン酸エステル10.5g(1‐メチル‐4‐ブロモイソキノリンより調製したもの)に変えた以外は同様の操作で目的物を得た。
合成例4:化合物番号(III)‐5の合成
合成例2に従い、1‐エチル‐4‐イソキノリンボロン酸エステル11.1g(1‐エチル‐4‐ブロモイソキノリンより調製したもの)に変えた以外は同様の操作で目的物を得た。
合成例5:化合物番号(IV)‐5の合成
合成例2に従い、1‐ノルマルプロピル‐4‐イソキノリンボロン酸エステル11.6g(1‐ノルマルプロピル‐4‐ブロモイソキノリンより調製したもの)に変えた以外は同様の操作で目的物を得た。
合成例6:化合物番号(VI)の合成
窒素導入管、還流冷却管、温度計およびメカニカルスターラーのついた300mlの4つ口丸底フラスコに、炭酸ナトリウム4.7g(17.8mmol×2.5当量)と水55mlを加え撹拌する。続いてテトラヒドロフラン110ml、4-イソキノリンボロン酸エステル10.0g(17.8mmol×2.2当量)と2,9-ジクロロ‐4,7‐ジフェニルフェナントロリン7.1g(17.8mmol)を加え窒素置換を15分実施する。その後テトラキストリフェニルホスフィン0.1g(17.8mmol×0.5%)を加え湯浴で65~67℃で18時間撹拌する。反応が進むにつれ目的物の結晶が析出する。
所定の時間が経過した後室温まで冷却し、析出した結晶を吸引ろ過にて回収した。
得られた結晶は、オルソジクロロベンゼン200mlと活性白土1g加え再結晶を行った。この操作により目的の化合物番号(VI)の化合物を8.4g回収した。収率は80.4%であった。
このうち7.3gを昇華精製した。昇華条件は、高温側330℃、中温側310℃および低温側250℃で真空下3時間加熱した。室温まで冷却し目的物を6.2g回収した。この操作での回収率は、84.9%であった。得られた結晶は、素子化に使用した。
昇華精製後の化合物について、元素分析を行い化合物の同定を行った。その結果を表2に示す。高速液体クロマトグラフでの純度確認は、99.63%であった。
合成例7:化合物番号(VII)‐2の合成
窒素導入管、還流冷却管、温度計およびメカニカルスターラーのついた300mlの4つ口丸底フラスコに、炭酸ナトリウム4.7g(17.8mmol×2.5当量)と水55mlを加え撹拌する。続いてテトラヒドロフラン110ml、8‐メチル‐6‐キノリンボロン酸エステル10.5g(8‐メチル‐6‐ブロモキノリンより調製したもの)(17.8mmol×2.2当量)と2,9-ジクロロ‐4,7‐ジフェニルフェナントロリン7.1g(17.8mmol)を加え窒素置換を15分実施する。その後テトラキストリフェニルホスフィン0.1g(17.8mmol×0.5%)を加え湯浴で65~67℃で18時間撹拌する。反応が進むにつれ目的物の結晶が析出する。
所定の時間が経過した後室温まで冷却し、析出した結晶を吸引ろ過にて回収した。
得られた結晶は、オルソジクロロベンゼン200mlと活性白土1g加え再結晶を行った。この操作により目的の化合物番号(VII)-2の化合物を8.3g回収した。収率は75.9%であった。
このうち7.5gを昇華精製した。昇華条件は、高温側330℃、中温側310℃および低温側250℃で真空下3時間加熱した。室温まで冷却し目的物を6.7g回収した。この操作での回収率は、89.3%であった。
合成例8:化合物番号(VII)‐6の合成
合成例7に従い、2‐メチル‐6‐キノリンボロン酸エステル10.5g(2‐メチル‐6‐ブロモキノリンより調製したもの)に変えた以外は同様の操作で目的物を得た。
合成例9:化合物番号(VIII)‐6の合成
合成例7に従い、2‐エチル‐6‐キノリンボロン酸エステル11.1g(2‐エチル‐6‐ブロモキノリンより調製したもの)に変えた以外は同様の操作で目的物を得た。
合成例10:化合物番号(IX)‐6の合成
合成例7に従い、2‐n-プロピル‐6‐キノリンボロン酸エステル11.6g(2‐n‐プロピル‐6‐ブロモキノリンより調製したもの)に変えた以外は同様の操作で目的物を得た。
比較例:2,9‐ジ(キノリン‐3‐イル)‐4,7‐ジフェニル‐1,10‐フェナントロリンの合成
窒素導入管、還流冷却管、温度計およびメカニカルスターラーのついた300mlの4つ口丸底フラスコに、炭酸ナトリウム4.7g(17.8mmol×2.5当量)と水55mlを加え撹拌する。続いてテトラヒドロフラン110ml、3‐キノリンボロン酸エステル10.0g(17.8mmol×2.2当量)と2,9-ジクロロ‐4,7‐ジフェニルフェナントロリン7.1g(17.8mmol)を加え窒素置換を15分実施する。その後テトラキストリフェニルホスフィン0.1g(17.8mmol×0.5%)を加え湯浴で65~67℃で18時間撹拌する。反応が進むにつれ目的物の結晶が析出する。
所定の時間が経過した後室温まで冷却し、析出した結晶を吸引ろ過にて回収した。
得られた結晶は、オルソジクロロベンゼン200mlと活性白土1g加え再結晶を行った。この操作により目的の化合物を9.0g回収した。収率は86.2%であった。
このうち5.5gを昇華精製した。昇華条件は、高温側350℃、中温側330℃および低温側270℃で真空下2時間加熱した。室温まで冷却し目的物を4.24g回収した。この操作での回収率は、77.1%であった。
昇華精製後の化合物について、元素分析を行い化合物の同定を行った。その結果を表3に示す。高速液体クロマトグラフでの純度確認は、99.88%であった。
実施例1
合成例1での化合物番号(I)の化合物(以下4iq‐Bphenと記す)と合成例6での化合物番号(VI)の化合物(以下6q‐Bphenと記す)および比較例の2,9‐ジ(キノリン‐3‐イル)‐4,7‐ジフェニル‐1,10‐フェナントロリン(以下3q‐Bphenと記す)と[0098]の[化54]記載のNBphenを用いた素子を作製した。
作製した素子の例を図1に、
4iq‐Bphen、6q‐Bphenおよび3q‐Bphenのそれぞれの素子上でのエネルギーダイアグラムを図2に、
4iq‐Bphen、6q‐Bphen、3q‐BphenにNBphenを加えたそれぞれを用いた素子からの発光を示すELスペクトルを図3に、
電流密度‐電圧特性を図4に、
輝度‐電圧特性を図5に、
電力効率‐輝度特性を図6に、
外部量子効率‐輝度特性を図7に、
駆動寿命(半減寿命)測定を図8に示す。
また駆動寿命測定(初期輝度1000cd/m一定にて計算)の結果を表4(20wt%Liq添加あり)及び表5(Liq添加なし)に示す。ここで、図1に示すLiq(8-ヒドロキシキノリノラート-リチウム)は、有機EL素子の電子輸送層に用いる材料に添加することで長寿命化が可能であることから、有機EL素子の耐久性の向上に広く用いられている。表4、表5より、Liqを添加しない有機EL素子において4iq‐Bphen、6q‐Bphenの寿命が長かったため、図2~8はいずれもLiq添加なしの有機ELの測定結果を示す。
各特性を評価した結果、比較化合物の3q‐BphenおよびNBphenは、図4および図5の結果より電荷の注入性は本発明の4iq‐Bphenや6q‐Bphenに比べて高い。しかし図6および図7より輝度が大きくなるにつれ電力効率および外部量子効率が著しく低下することがわかった。これは3q‐BphenおよびNBphenを使用した素子の中で電荷の滞留が生じ素子の中での電荷の再結合が低下するためだと考えられる。
一方本発明の4iq‐Bphenや6q‐Bphenは、輝度の大きさとは関係なく電力効率および外部量子効率の変化も小さい。これはこれらを使用して作製した素子の中で電荷の滞留が起こりにくく、電荷の注入、移動および再結合のバランスがほぼ安定した状況で行われた結果と考えられる。
さらに、有機EL素子において、Liq添加することで電子輸送層の再結晶化が抑制され、長寿命化が可能であると考えられているが、4iq‐Bphenや6q‐Bphenでは、予想に反しLiqを添加しない有機EL素子において10000時間を超える駆動寿命を示した。ここでの結果より、4iq‐Bphenや6q‐Bphenは、Liq等のリチウム錯体の添加がなくても再結晶化しにくく、実用に足る駆動寿命を達成することができ、有機EL素子の簡素化を実現できることが示された。
実施例2
4iq‐Bphen、6q‐Bphenおよび比較例の3q‐Bphenを用いた素子を作製した。なお発光層には、[化67]で示される600nm付近の橙色発光を示すIr(pq)acacを使用した。
また正孔注入層には正孔注入性を向上させ、ITO界面の膜質改善の目的で[化11]および[化12]記載のPTPD-1:PPBIを、正孔輸送層には[化16]記載のα-NPDを成膜した。電子注入性向上のためにリチウム錯体(Liq)を使用し、陰極にはAlを使用した。
作製した素子構造は以下の通りである。
ITO(100nm)(陽極)/PTPD-1:PPBI(20nm)(正孔注入層)/α-NPD(20nm)(正孔輸送層)/ α‐NPD:4iq‐Bphen若しくは6q‐Bphenまたは3q‐Bphen(1:1),3 wt.% Ir(pq)acac (40nm)(発光層) /NBPhen(50 nm)(電子輸送層)/NBPhen:20 wt.%Liq(20 nm)(電子輸送層)/Liq(1nm)(電子注入層)/Al(80nm)(陰極)
作製した素子の例を図9に、
4iq‐Bphen、6q‐Bphen、3q‐BphenにNBphenを加えたそれぞれを用いた素子からの発光を示すELスペクトルを図10に、
電流密度‐電圧特性を図11に、
輝度‐電圧特性を図12に、
電力効率‐輝度特性を図13に、
外部量子効率‐輝度特性を図14に、
駆動寿命(半減寿命)測定を図15に示す。
表6にデバイス測定結果のまとめを示す。
表中、Vonは、1cdm-時の電圧を示す。V1000は、1000cdm-時の電圧を示す。EQE1000は、1000cdm-時の外部量子効率を示す。PE1000は、1000cdm-時の電力効率を示す。LT50は、一定電流密度(25mAm-2)時の50%輝度減衰時間を示す。LT50(@1000cdm-)は、1000cdm-時の50%輝度減衰時間を示す。
実施例3
4iq‐Bphen、6q‐Bphenおよび比較例の3q‐Bphenを用いた素子を作製した。なお発光層には、[化30]で示される670nm付近の深赤色発光を示す(DPQ)Ir(dpm)を使用した。
実施例2と同様に正孔注入層には正孔注入性を向上させ、ITO界面の膜質改善の目的で[化11]および[化12]記載のPTPD-1:PPBIを、正孔輸送層には[化16]記載のα-NPDを成膜した。電子注入性向上のためにリチウム錯体(Liq)を使用し、陰極にはAlを使用した。
作製した素子構造は以下の通りである。
ITO(130nm)(陽極)/PTPD-1:PPBI(20nm)(正孔注入層)/α-NPD(20nm)(正孔輸送層)/α-NPD:4iq‐Bphen若しくは6q‐Bphenまたは3q‐Bphen(1:1)、1wt.%(DPQ)Ir(dpm)(40nm)(発光層)/4iq‐Bphen若しくは6q‐Bphenまたは3q‐Bphen(50nm)(電子輸送層)/4iq‐Bphen若しくは6q‐Bphenまたは3q‐Bphen、20wt.% Liq(20nm)(電子注入性を向上させた電子輸送層)/Liq(1nm)(電子注入層)/Al(80nm)(陰極)
作製した素子の4iq‐Bphen、6q‐Bphenおよび3q‐Bphenのそれぞれの素子上でのエネルギーダイアグラムを図16に、
4iq‐Bphen、6q‐Bphen、および3q‐Bphenをそれぞれ用いた素子からの発光を示すELスペクトルを図17に、
電流密度‐電圧特性を図18に、
輝度‐電圧特性を図19に、
外部量子効率‐輝度特性を図20に、
駆動寿命(半減寿命)測定を図21に示す。
表7にデバイス測定結果のまとめを示す。
表7の結果よりわかるように、実施例3作製の素子構成において本出願の4iq‐Bphenおよび6q‐Bphenを用いた素子の寿命が、3q‐Bphenを用いた素子に比べてそれぞれ67倍および87倍ということから、本出願の4iq‐Bphenおよび6q‐Bphenは深赤色材料を極めて効率よく発光させる材料であることがわかった。
実施例4
4iq‐Bphenと、6q‐Bphenとを用いた素子を作製した。
なおここでの比較化合物としては、3q‐Bphenの代わりに、山形大学と本出願人が共同で出願した特許第6580613号公報記載の[化68]で表される4DBT46TRZを使用した。また電子輸送層と電子注入層にはNBPhenを使用した。
作製した素子構造は以下の通りである。
ITO(130nm)(陽極)/PTPD-1:PPBI(20nm)(正孔注入層)/α-NPD(20nm)(正孔輸送層)/α-NPD:4iq‐Bphen若しくは6q‐Bphenまたは4DBT46TRZ(1:1)、1wt.%(DPQ)Ir(dpm)(40nm)(発光層)/NBPhen(50nm)(電子輸送層)/NBPhen、20wt.% Liq(20nm)(電子注入性を向上させた電子輸送層)/Liq(1nm)(電子注入層)/Al(80nm)(陰極)
作製した素子の4iq‐Bphen、6q‐Bphen、および4DBT46TRZをそれぞれ用いた素子からの発光を示すELスペクトルを図22に、
電流密度‐電圧特性を図23に、
輝度‐電圧特性を図24に、
外部量子効率‐輝度特性を図25に、
駆動寿命(半減寿命)測定を図26に示す。
表8にデバイス測定結果のまとめを示す。
本実施例4で作製した素子の作製条件は、4DBT46TRZを効率良く発光層で機能させるのに適したものである。6q‐Bphenについては、素子条件が最適化されていないため4DBT46TRZに比べて寿命の低下が発生したものの4iq‐Bphenについては、素子構成を最適化することなく使用した場合でも、4DBT46TRZを用いた場合よりも1.6倍の長寿命化を達成することができた。
1 基板
2 陽極(ITO)
3 発光層
4 陰極
5 正孔(ホール)輸送層
6 電子輸送層
7 正孔(ホール)注入層
8 電子注入層
9 正孔(ホール)ブロック層

Claims (8)

  1. 下記一般式〔1〕
    〔式中、Rは水素またはメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基およびイソプロピル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。〕
    で示された1,10‐フェナントロリン化合物類を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 下記一般式〔2〕
    〔式中、Rは水素またはメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基およびイソプロピル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。〕
    で示された1,10‐フェナントロリン化合物類を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 請求項1記載の1,10‐フェナントロリン化合物類を電子輸送層及び/又は発光層に用いた有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 請求項2記載の1,10‐フェナントロリン化合物類を電子輸送層及び/又は発光層に用いた有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 請求項3記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた有機エレクトロルミネッセンス照明。
  6. 請求項4記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた有機エレクトロルミネッセンス照明。
  7. 請求項3記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた深赤色有機エレクトロルミネッセンス照明。
  8. 請求項4記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた深赤色有機エレクトロルミネッセンス照明。
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