本発明の全固体電池は、正極、負極、および前記正極と前記負極との間に配置された固体電解質層を有する単位電極体が複数積層され、かつ隣接する単位電極体同士が集電体を介して直列接続されてなる積層電極体が、外装体の内部に封入されたものであり、さらに、前記積層電極体の周面、すなわち単位電極体と集電体とが柱状に積層されて構成された積層電極体の側面に、乾燥剤を含む樹脂シートが取り付けられているものである。
本発明の全固体電池においては、積層電極体の周面に取り付けられた樹脂シートにより、積層電極体を構成する単位電極体や集電体に位置ずれが生じるのを防ぐことができる。また、前記樹脂シートに含まれる乾燥剤の作用によって、外装体の内部に侵入した水分の一部または全部が前記樹脂シートに吸着されるため、このような水分による固体電解質や活物質などの劣化が抑制できる。これにより、本発明の全固体電池では、単位電極体や集電体の位置ずれによる短絡の発生や内部抵抗の増加などを防ぐとともに、内部に侵入する水分による特性低下の抑制が可能となる。
また、例えば、溶媒を含む電解液(高分子などでゲル状としたものを含む)を有する電池の場合、外装体内に乾燥剤を配置すると、前記乾燥剤を構成する元素の一部が電解液の溶媒中に溶出して電池特性を損なったり、乾燥剤の表面が溶媒で濡れることにより、吸湿機能を生じなくなったりする虞があるが、溶媒を含む電解液を使用しない全固体電池であれば、このような問題の発生も防止できる。
乾燥剤を含む樹脂シートにおける乾燥剤としては、電池内部に侵入する水分を吸着できればよく、その機構は、化学吸着、物理吸着のいずれでもよい。具体的には、酸化カルシウム、塩化カルシウム、過塩素酸マグネシウム、酸化バリウム、過塩素酸バリウム、五酸化リン、酸化ストロンチウム、硫酸マグネシウムなどの水分を化学吸着する乾燥剤;合成ゼオライト、シリカゲルなどの水分を物理吸着する乾燥剤;などが挙げられ、酸化カルシウムが好ましく用いられる。乾燥剤は1種であってもよく、2種以上を用いてもよい。
水分の吸着性の観点から、乾燥剤は、BET比表面積が10m2/g以上の粉体であることが好ましく、前記比表面積は30m2/g以上であることがより好ましく、40m2/g以上であることが特に好ましい。本明細書でいう乾燥剤のBET比表面積は、日本産業規格(JIS) K 6217に準じた、BET法によって求められる値であり、例えば、窒素吸着法による比表面積測定装置(Mountech社製「Macsorb HM modele-1201」)を用いて測定することができる。
乾燥剤を含む樹脂シートは、乾燥剤と樹脂とを含む組成物をシート状に成形したものであり、前記樹脂シートにおける樹脂は、前記シートが含有する乾燥剤を保持する役割を担うものである。前記樹脂には、セパレータや電極のバインダなどのように、リチウム電池などの電池の内部で使用されている各種樹脂と同じものが使用できる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体などのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエステルなどのポリエステル;ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂;スチレン-ブタジエンゴム;などが挙げられ、ポリオレフィンやフッ素樹脂が好ましく用いられる。樹脂は1種であってもよく、2種以上を用いてもよい。
乾燥剤を含む樹脂シートにおいて、乾燥剤の含有量は、電池内部の水分の吸着性能をより高める観点から、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。ただし、前記樹脂シートにおける乾燥剤の量が多すぎると、例えば前記組成物をシート状に成形することができなくなる虞があることから、前記樹脂シートにおける乾燥剤の含有量は、95質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましい。
乾燥剤を含む樹脂シートにおいて、乾燥剤以外の成分は樹脂のみであってもよく、さらにその他の成分(界面活性剤、帯電防止剤、顔料、指示薬、香料、滑剤フィラー、酸化防止剤など)を含有していてもよい。前記樹脂シートにおける樹脂の含有量は、例えば、5質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。また、前記樹脂シートが乾燥剤および樹脂以外の成分を含有する場合、その含有量は、乾燥剤および樹脂の含有量が、それぞれ前記の好適値を満たす範囲内で設定すればよい。
乾燥剤を含む樹脂シートの厚みについては特に制限はないが、通常は、一定以上の吸湿作用を得るために、50μm以上とすることが好ましく、電池の内容積に占める割合を少なくして電池の容量低下を防ぐため、500μm以下とすることが好ましい。
乾燥剤と樹脂とを含む組成物をシート状に成形して樹脂シートを作製する際に、乾燥剤などは予め十分乾燥させてから配合して組成物を構成することが好ましい。また、乾燥剤と樹脂との混合においては、必要に応じて加熱して樹脂を溶融状態として混合してもよい。
また、水分の吸着性の観点から、樹脂はフィブリル化されていることが好ましく、例えば、PTFEなどを用いる場合、樹脂と乾燥剤とを乾式混合して得られた混合物を圧延することにより、樹脂のフィブリル化を行うことができる。
乾燥剤を含む樹脂シートは、市販されているものを用いてもよく、例えば、佐々木化学薬品株式会社製のフレキシブルシール状乾燥剤「ドライキープ TFREE-Z(商品名)」、「ドライキープフィルム エクストラ(商品名)」などを用いることもできる。
図1に本発明の全固体電池の一例を模式的に表す縦断面図を示す。図1に示す全固体電池1は、外装缶3と封口缶4とガスケット5とからなるコイン形(ボタン形ともいう)の外装体を有し、その内部に、2個の単位電極体20、20が積層されて構成された積層電極体2が封入された形状のものである。
全固体電池1において、封口缶4は、外装缶3の開口部にガスケット5を介して嵌合しており、外装缶3の開口端部が内方に締め付けられ、これによりガスケット5が封口缶4に当接することで、外装缶3の開口部が封口されて電池内部が密閉構造となっている。
個々の単位電極体20、20は、それぞれ、正極21と負極22とが、固体電解質層23を介して積層されて構成されている。また、図中上側の単位電極体20の正極21と、図中下側の単位電極体20の負極22との間には、集電体6が配置されており、この集電体6を介して、上側の単位電極体20と下側の単位電極体20とが直列に接続されている。よって、上側の単位電極体20における正極21と、集電体6と、下側の単位電極体20における負極22とが、バイポーラ構造を形成している。
図1に示す電池1では、図示されていないが、封口缶4が、その内面で上側の単位電極体20の負極22と集電体を介して電気的に接続されることで負極端子を兼ねており、外装缶3が、図示されていないが、その内面で下側の単位電極体20の正極21と集電体を介して電気的に接続されることで正極端子を兼ねている。なお、電池の用途などによっては、外装缶が負極端子を兼ね、封口缶が正極端子を兼ねることもできる。
そして、全固体電池1においては、積層電極体2の周面に、乾燥剤を含む樹脂シート7が貼り付けられている。
例えば図1のように外装缶と封口缶とを有する外装体(電池容器)を有するコイン形電池の場合、外装缶の周端部近傍(図1の電池1の場合、外装缶3とガスケット5との間)や、封口缶の周端部近傍(図1の電池1の場合、封口缶4とガスケット5との間)から水分が侵入しやすい。よって、全固体電池において、積層電極体の周面に、乾燥剤を含む樹脂シートを取り付けることで、前記の通り、積層電極体を構成する単位電極体や集電体の位置ずれを防止できることに加えて、侵入した水分が積層電極体に達する前に、積層電極体の表面にある樹脂シートの乾燥剤が水分を吸着するため、積層電極体の固体電解質や活物質と水分との反応により電池特性が低下するのを抑制することができる。
積層電極体の周面において、乾燥剤を含む樹脂シートを貼り付ける位置は、単位電極体や集電体の位置ずれを防ぐことができれば特に制限はなく、積層電極体の周面の一部であってもよいが、侵入した水分の吸着をより効果的に行う観点からは、できるだけ広い面積であることが好ましく、積層電極体の周面全体に前記樹脂シートを貼り付けることがより好ましい。
なお、後述するように、全固体電池においては、固体電解質層には固体電解質を含有させる他、正極にも通常は固体電解質を含有させ、負極にも固体電解質を含有させる場合があるが、これらの正極、負極および固体電解質層の少なくとも1つに、硫化物系固体電解質や水素化物固体電解質、酸化物系固体電解質の一部のように、水分との反応性が高い固体電解質を含有させた場合には、内部に侵入した水分による特性低下を抑制する本発明の効果が、より顕著となる。
本発明の全固体電池には、一次電池と二次電池とが含まれる。
(正極)
全固体電池に係る正極は、正極活物質および固体電解質を含有する正極合剤を含んでおり、例えば、正極合剤の成形体のみからなるものや、正極合剤の成形体からなる層(正極合剤層)を集電体上に形成してなる構造のものなどが挙げられる。
全固体電池が一次電池の場合、従来から知られている非水電解質一次電池に用いられている正極活物質と同じものが使用できる。具体的には、例えば、二酸化マンガン、リチウム含有マンガン酸化物〔例えば、LiMn3O6や、二酸化マンガンと同じ結晶構造(β型、γ型、またはβ型とγ型が混在する構造など)を有し、Liの含有量が3.5質量%以下、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である複合酸化物など〕、LiaTi5/3O4(4/3≦a<7/3)などのリチウム含有複合酸化物;バナジウム酸化物;ニオブ酸化物;チタン酸化物;二硫化鉄などの硫化物;フッ化黒鉛;Ag2Sなどの銀硫化物;NiO2などのニッケル酸化物:などが挙げられる。
また、全固体電池が二次電池の場合には、従来から知られている非水電解質二次電池に用いられている正極活物質、すなわち、Li(リチウム)イオンを吸蔵・放出可能な活物質と同じものが使用できる。具体的には、Li1-xMrMn2-rO4(ただし、Mは、Li、Na、K、B、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Cr、Zr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Sn、Sb、In、Nb、Ta、Mo、W、Y、RuおよびRhよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦x≦1、0≦r≦1)で表されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物、LirMn(1-s-t)NisMtO(2-u)Fv(ただし、Mは、Co、Mg、Al、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Zr、Mo、Sn、Ca、SrおよびWよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦r≦1.2、0<s<0.5、0≦t≦0.5、u+v<1、-0.1≦u≦0.2、0≦v≦0.1)で表される層状化合物、Li1-xCo1-rMrO2(ただし、Mは、Al、Mg、Ti、V、Cr、Zr、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦x≦1、0≦r≦0.5)で表されるリチウムコバルト複合酸化物、Li1-xNi1-rMrO2(ただし、Mは、Al、Mg、Ti、Zr、Fe、Co、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦x≦1、0≦r≦0.5)で表されるリチウムニッケル複合酸化物、Li1+s-xM1-rNrPO4Fs(ただし、Mは、Fe、MnおよびCoよりなる群から選択される少なくとも1種の元素で、Nは、Al、Mg、Ti、Zr、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、Sb、VおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦x≦1、0≦r≦0.5、0≦s≦1)で表されるオリビン型複合酸化物、Li2-xM1-rNrP2O7(ただし、Mは、Fe、MnおよびCoよりなる群から選択される少なくとも1種の元素で、Nは、Al、Mg、Ti、Zr、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、Sb、VおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦x≦2、0≦r≦0.5)で表されるピロリン酸化合物などが例示でき、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
全固体電池が二次電池の場合には、正極活物質の平均粒子径は、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、また、10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましい。なお、正極活物質は一次粒子でも一次粒子が凝集した二次粒子であってもよい。平均粒子径が前記範囲の正極活物質を使用すると、正極に含まれる固体電解質との界面を多くとれるため、電池の負荷特性がより向上する。
本明細書でいう各種粒子(正極活物質、固体電解質など)の平均粒子径は、粒度分布測定装置(日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置「HRA9320」など)を用いて、粒度の小さい粒子から積分体積を求める場合の体積基準の積算分率における50%径の値(D50)を意味している。
全固体電池が二次電池の場合、正極活物質は、その表面に、正極に含まれる固体電解質との反応を抑制するための反応抑制層を有していることが好ましい。
正極合剤の成形体内において、正極活物質と固体電解質とが直接接触すると、固体電解質が酸化して抵抗層を形成し、成形体内のイオン伝導性が低下する虞がある。正極活物質の表面に、固体電解質との反応を抑制する反応抑制層を設け、正極活物質と固体電解質との直接の接触を防止することで、固体電解質の酸化による成形体内のイオン伝導性の低下を抑制することができる。
反応抑制層は、イオン伝導性を有し、正極活物質と固体電解質との反応を抑制できる材料で構成されていればよい。反応抑制層を構成し得る材料としては、例えば、Liと、Nb、P、B、Si、Ge、TiおよびZrよりなる群から選択される少なくとも1種の元素とを含む酸化物、より具体的には、LiNbO3などのNb含有酸化物、Li3PO4、Li3BO3、Li4SiO4、Li4GeO4、LiTiO3、LiZrO3、Li2WO4などが挙げられる。反応抑制層は、これらの酸化物のうちの1種のみを含有していてもよく、また、2種以上を含有していてもよく、さらに、これらの酸化物のうちの複数種が複合化合物を形成していてもよい。これらの酸化物の中でも、Nb含有酸化物を使用することが好ましく、LiNbO3を使用することがより好ましい。
反応抑制層は、正極活物質:100質量部に対して0.1~1.0質量部で表面に存在することが好ましい。この範囲であれば正極活物質と固体電解質との反応を良好に抑制することができる。
正極活物質の表面に反応抑制層を形成する方法としては、ゾルゲル法、メカノフュージョン法、CVD法、PVD法、ALD法などが挙げられる。
正極合剤における正極活物質の含有量は、60~98質量%であることが好ましい。
正極合剤には、導電助剤を含有させることができる。その具体例としては、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、グラフェン、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素材料などが挙げられる。なお、例えば活物質にAg2Sを用いる場合には放電反応の際に導電性のあるAgが生成するため、導電助剤は含有させなくてもよい。正極合剤において導電助剤を含有させる場合には、その含有量は、1~10質量%であることが好ましい。
また、正極合剤にはバインダを含有させることができる。その具体例としては、PVDFなどのフッ素樹脂などが挙げられる。なお、例えば正極合剤に硫化物系固体電解質を含有させる場合(詳しくは後述する)のように、バインダを使用しなくても、正極合剤の成形体を形成する上で良好な成形性が確保できる場合には、正極合剤にはバインダを含有させなくてもよい。
正極合剤において、バインダを要する場合には、その含有量は、15質量%以下であることが好ましく、また、0.5質量%以上であることが好ましい。他方、正極合剤において、硫化物系固体電解質を含有しているためバインダを要しなくても成形性が得られる場合には、その含有量が、0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましく、0質量%である(すなわち、バインダを含有させない)ことがさらに好ましい。
正極合剤に含有させる固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有していれば特に限定されず、例えば、硫化物系固体電解質、水素化物系固体電解質、ハロゲン化物系固体電解質、酸化物系固体電解質などが使用できる。
硫化物系固体電解質としては、Li2S-P2S5、Li2S-SiS2、Li2S-P2S5-GeS2、Li2S-B2S3系ガラスなどの粒子が挙げられる他、近年、リチウムイオン伝導性が高いものとして注目されているthio-LISICON型のもの〔Li10GeP2S12、Li9.54Si1.74P1.44S11.7Cl0.3などの、Li12-12a-b+c+6d-eM1
3+a-b-c-dM2
bM3
cM4
dM5
12-eXe(ただし、M1はSi、GeまたはSn、M2はPまたはV、M3はAl、Ga、YまたはSb、M4はZn、Ca、またはBa、M5はSまたはSおよびOのいずれかであり、XはF、Cl、BrまたはI、0≦a<3、0≦b+c+d≦3、0≦e≦3〕や、アルジロダイト型のもの〔Li6PS5Clなどの、Li7-f+gPS6-xClx+y(ただし、0.05≦f≦0.9、-3.0f+1.8≦g≦-3.0f+5.7)で表されるもの、Li7-hPS6-hCliBrj(ただし、h=i+j、0<h≦1.8、0.1≦i/j≦10.0)で表されるものなど〕も使用することができる。
水素化物系固体電解質としては、例えば、LiBH4、LiBH4と下記のアルカリ金属化合物との固溶体(例えば、LiBH4とアルカリ金属化合物とのモル比が1:1~20:1のもの)などが挙げられる。前記固溶体におけるアルカリ金属化合物としては、ハロゲン化リチウム(LiI、LiBr、LiF、LiClなど)、ハロゲン化ルビジウム(RbI、RbBr、RbF、RbClなど)、ハロゲン化セシウム(CsI、CsBr、CsF、CsClなど)、リチウムアミド、ルビジウムアミドおよびセシウムアミドよりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
ハロゲン化物系固体電解質としては、例えば、単斜晶型のLiAlCl4、欠陥スピネル型または層状構造のLiInBr4、単斜晶型のLi6-3mYmX6(ただし、0<m<2かつX=ClまたはBr)などが挙げられ、その他にも例えば国際公開第2020/070958や国際公開第2020/070955に記載の公知のものを使用することができる。
酸化物系固体電解質としては、例えば、ガーネット型のLi7La3Zr2O12、NASICON型のLi1+OAl1+OTi2-O(PO4)3、Li1+pAl1+pGe2-p(PO4)3、ペロブスカイト型のLi3qLa2/3-qTiO3などが挙げられる。
これらの固体電解質の中でも、リチウムイオン伝導性が高いことから、硫化物系固体電解質が好ましく、LiおよびPを含む硫化物系固体電解質がより好ましく、特にリチウムイオン伝導性が高く、化学的に安定性の高いアルジロダイト型の硫化物系固体電解質がさらに好ましい。
なお、固体電解質の平均粒子径は、粒界抵抗軽減の観点から、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、一方、活物質と固体電解質との間での十分な接触界面形成の観点から、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
正極合剤における固体電解質の含有量は、4~40質量%であることが好ましい。
正極に集電体を使用する場合、その集電体としては、アルミニウムやステンレス鋼などの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル、発泡メタル;カーボンシート;などを用いることができる。
正極合剤の成形体は、例えば、正極活物質に、必要に応じて添加される導電助剤、バインダ、固体電解質などを混合して調製した正極合剤を、加圧成形などによって圧縮することで形成することができる。
集電体を有する正極の場合には、前記のような方法で形成した正極合剤の成形体を集電体と圧着するなどして貼り合わせることで製造することができる。
また、前記の正極合剤と溶媒とを混合して正極合剤含有組成物を調製し、これを集電体や正極と対向させる固体電解質層といった基材上に塗布し、乾燥した後にプレス処理を行うことで、正極合剤の成形体を形成してもよい。
正極合剤含有組成物の溶媒には、水やN-メチル-2-ピロリドン(NMP)などの有機溶媒を使用することができる。なお、正極合剤含有組成物に固体電解質も含有させる場合の溶媒は、固体電解質を劣化させ難いものを選択することが好ましい。特に、硫化物系固体電解質や水素化物系固体電解質などは、微少量の水分によって化学反応を起こすため、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、デカリン、トルエン、キシレンなどの炭化水素溶媒に代表される非極性非プロトン性溶媒を使用することが好ましい。特に、含有水分量を0.001質量%(10ppm)以下とした超脱水溶媒を使用することがより好ましい。また、三井・デュポンフロロケミカル社製の「バートレル(登録商標)」、日本ゼオン社製の「ゼオローラ(登録商標)」、住友3M社製の「ノベック(登録商標)」などのフッ素系溶媒、並びに、ジクロロメタン、ジエチルエーテルなどの非水系有機溶媒を使用することもできる。
正極合剤の成形体は、その密度を高めて空隙率を小さくし、正極の内部抵抗をより低減する観点からは、正極合剤を加圧成形などによって圧縮して成形したものであることが、より好ましい。
正極合剤の成形体の厚みは、通常は50μm以上であるが、電池の高容量化の観点から、200μm以上であることが好ましい。また、正極合剤の成形体の厚みは、通常、3000μm以下であり、電池の高出力化の観点から、500μm以下であることが好ましい。
なお、溶媒を含有する正極合剤含有組成物を用いて集電体上に正極合剤の成形体からなる正極合剤層を形成することで製造される正極の場合には、正極合剤層の厚みは、50~1000μmであることが好ましく、電池の高出力化の観点から、500μm以下であることがより好ましい。
(負極)
全固体電池の負極は、例えば、負極活物質を含有する負極合剤の成形体、リチウムのシート、またはリチウム合金のシートを有している。
負極が、負極活物質を含有する負極合剤の成形体の場合、負極合剤を成形してなる成形体(ペレットなど)や、負極合剤の成形体からなる層(負極合剤層)を集電体上に形成してなる構造のものなどが挙げられる。
負極が負極合剤の成形体を有する場合、その負極活物質としては、例えば、黒鉛などの炭素材料や、Si、Snなどの元素を含む単体、化合物(酸化物など)およびその合金などが挙げられる。また、リチウム金属やリチウム合金(リチウム-アルミニウム合金、リチウム-インジウム合金など)も負極活物質として用いることができる。
負極合剤における負極活物質の含有量は、10~99質量%であることが好ましい。
負極合剤には、導電助剤を含有させることができる。その具体例としては、正極合剤に含有させ得るものとして先に例示した導電助剤と同じものなどが挙げられる。負極合剤における導電助剤の含有量は1~10質量%であることが好ましい。
また、負極合剤にはバインダを含有させることができる。その具体例としては、正極合剤に含有させ得るものとして先に例示したバインダと同じものなどが挙げられる。なお、例えば負極合剤に硫化物系固体電解質を含有させる場合(詳しくは後述する)のように、バインダを使用しなくても、負極合剤の成形体を形成する上で良好な成形性が確保できる場合には、負極合剤にはバインダを含有させなくてもよい。
負極合剤において、バインダを要する場合には、その含有量は、15質量%以下であることが好ましく、また、0.5質量%以上であることが好ましい。他方、負極合剤において、硫化物系固体電解質を含有しているためバインダを要しなくても成形性が得られる場合には、その含有量が、0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましく、0質量%である(すなわち、バインダを含有させない)ことがさらに好ましい。
負極合剤の成形体を有する負極においては、負極合剤に固体電解質を含有させる。その具体例としては、正極合剤に含有させ得るものとして先に例示した固体電解質と同じものなどが挙げられる。前記例示の固体電解質の中でも、リチウムイオン伝導性が高く、また、負極合剤の成形性を高める機能を有していることから、硫化物系固体電解質を用いることがより好ましい。
負極合剤における固体電解質の含有量は、4~49質量%であることが好ましい。
負極合剤の成形体を有する負極に集電体を用いる場合、その集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル、発泡メタル;カーボンシート;などを用いることができる。
負極合剤の成形体は、例えば、負極活物質、さらには必要に応じて添加される導電助剤、固体電解質およびバインダなどを混合して調製した負極合剤を、加圧成形などによって圧縮することで形成することができる。負極合剤の成形体のみで構成される負極の場合は、前記の方法により製造することができる。
集電体を有する負極の場合には、前記のような方法で形成した負極合剤の成形体を集電体と圧着するなどして貼り合わせることで製造することができる。
また、集電体を有する負極の場合、負極活物質、さらには必要に応じて添加される導電助剤、固体電解質およびバインダなどを溶媒に分散させた負極合剤含有組成物(ペースト、スラリーなど)を、集電体に塗布し、乾燥した後、必要に応じてカレンダ処理などの加圧成形をして、集電体の表面に負極合剤の成形体(負極合剤層)を形成する方法によっても、製造することができる。
負極合剤含有組成物の溶媒には、水やNMPなどの有機溶媒を使用することができるが、負極合剤含有組成物に固体電解質も含有させる場合の溶媒は、固体電解質を劣化させ難いものを選択することが望ましく、固体電解質を含有する正極合剤含有組成物用の溶媒として先に例示した各種の溶媒と同じものを使用することが好ましい。
負極合剤の成形体は、その密度を高めて空隙率を小さくし、負極の内部抵抗をより低減する観点からは、負極合剤を加圧成形などによって圧縮して成形したものであることが、より好ましい。
負極合剤の成形体の厚みは、通常は50μm以上であるが、電池の高容量化の観点から、200μm以上であることが好ましい。また、負極合剤の成形体の厚みは、通常、3000μm以下であり、電池の高出力化の観点から、500μm以下であることが好ましい。
なお、溶媒を含有する負極合剤含有組成物を用いて集電体上に負極合剤の成形体からなる負極合剤層を形成することで製造される負極の場合には、負極合剤層の厚みは、50~1000μmであることが好ましく、電池の高出力化の観点から、500μm以下であることがより好ましい。
リチウムのシートまたはリチウム合金のシートを有する負極の場合、これらのシートのみからなるものや、これらのシートが集電体と貼り合されてなるものが使用される。
リチウム合金に係る合金元素としては、アルミニウム、鉛、ビスマス、インジウム、ガリウムなどが挙げられるが、アルミニウムやインジウムが好ましい。リチウム合金における合金元素の割合(合金元素を複数種含む場合は、それらの合計割合)は、50原子%以下であることが好ましい(この場合、残部はリチウムおよび不可避不純物である)。
また、リチウム合金のシートを有する負極の場合、金属リチウム箔などで構成されるリチウム層(リチウムを含む層)の表面にリチウム合金を形成するための合金元素を含む層を圧着するなどして積層した積層体を使用し、この積層体を電池内で固体電解質と接触させることで、前記リチウム層の表面にリチウム合金を形成させて負極とすることもできる。このような負極の場合、リチウム層の片面のみに合金元素を含む層を有する積層体を用いてもよく、リチウム層の両面に合金元素を含む層を有する積層体を用いてもよい。前記積層体は、例えば、金属リチウム箔と合金元素で構成された箔とを圧着することで形成することができる。
また、電池内でリチウム合金を形成して負極とする場合にも集電体を使用することができ、例えば、負極集電体の片面にリチウム層を有し、かつリチウム層の負極集電体とは反対側の面に合金元素を含む層を有する積層体を用いてもよく、負極集電体の両面にリチウム層を有し、かつ各リチウム層の負極集電体とは反対側の面に合金元素を含む層を有する積層体を用いてもよい。負極集電体とリチウム層(金属リチウム箔)とは、圧着などにより積層すればよい。
負極とするための前記積層体に係る前記合金元素を含む層には、例えば、これらの合金元素で構成された箔などが使用できる。前記合金元素を含む層の厚みは、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、20μm以下であることが好ましく、12μm以下であることがより好ましい。
負極とするための前記積層体に係るリチウム層には、例えば、金属リチウム箔などを用いることができる。リチウム層の厚みは、0.1~1.5mmであることが好ましい。また、リチウムまたはリチウム合金のシートを有する負極に係る前記シートの厚みも、0.1~1.5mmであることが好ましい。
また、リチウムのシートまたはリチウム合金のシートを有する負極が集電体を有する場合、その集電体には、負極合剤の成形体を有する負極に使用可能なものとして先に例示した集電体と同じものが使用できる。
(固体電解質層)
正極と負極との間に介在させる固体電解質層を構成する固体電解質には、正極に使用しるものとして先に例示した各種の硫化物系固体電解質、水素化物系固体電解質、ハロゲン化物系固体電解質および酸化物系固体電解質のうちの1種または2種以上を使用することができる。ただし、電池特性をより優れたものとするためには、硫化物系固体電解質を含有させることが望ましく、アルジロダイト型の硫化物系固体電解質を含有させることがより望ましい。そして、正極および固体電解質層の両者に、硫化物系固体電解質を含有させることがさらに望ましく、アルジロダイト型の硫化物系固体電解質を含有させることがさらに望ましい。
固体電解質層は、樹脂製の不織布などの多孔質体を支持体として有していてもよい。
固体電解質層は、固体電解質を加圧成形などによって圧縮する方法;固体電解質を溶媒に分散させて調製した固体電解質層形成用組成物を基材や正極、負極の上に塗布して乾燥し、必要に応じてプレス処理などの加圧成形を行う方法:などで形成することができるが、前記の固体電解質を圧縮する方法を採用することがより好ましい。
固体電解質層形成用組成物に使用する溶媒は、固体電解質を劣化させ難いものを選択することが望ましく、固体電解質を含有する正極合剤含有組成物用の溶媒として先に例示した各種の溶媒と同じものを使用することが好ましい。
固体電解質層の厚みは、100~400μmであることが好ましい。
(積層電極体)
正極と負極とは、固体電解質層を介して積層した単位電極体とし、このような単位電極体を複数、集電体を介して順に重ねて構成した積層電極体の形態で、電池に用いられる。
単位電極体同士の間に介在させる集電体には、銅、ニッケル、鉄などのLiと反応しない金属やこれらを含む合金(ステンレス鋼を含む)製の、箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル、発泡メタル;カーボンシート;などを用いることができる。単位電極体同士の間に介在させる集電体の厚みは、10~200μmであることが好ましい。
前記集電体と、これに隣接する単位電極体とは、重ねられているだけでもよく、前記集電体と、この集電体と隣接する正極や負極とが、貼り合わせなどによって一体化していてもよい。
全固体電池が有する単位電極体の個数は、複数であれば特に制限はなく、必要に応じて、2個、3個、4個、それ以上とすることができるが、例えば図1に示すような扁平形の電池の場合には、単位電極体の個数を多くし過ぎると、電池の厚みが大きくなりすぎて、扁平状とするメリットが損なわれることもあるため、通常は、4個以下とする。
(外装体)
全固体電池の外装体には、例えば、図1に示すような外装缶と封口缶とを有する電池容器からなるものが使用される。すなわち、このような電池容器を外装体とする全固体電池は、コイン形(ボタン形)電池となる。
全固体電池の外装体が外装缶と封口缶とを有する電池容器の場合、図1に示すように、外装缶と封口缶とをガスケットを介してカシメ封口したものが挙げられるほか、外装缶と封口缶とを、樹脂で接着したものも例示できる。
外装缶および封口缶にはステンレス鋼製のものなどが使用できる。また、ガスケットの素材には、ポリプロピレン、ナイロンなどを使用できるほか、電池の用途との関係で耐熱性が要求される場合には、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル(PEE)、ポリスルフォン(PSF)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの融点が240℃を超える耐熱樹脂を使用することもできる。また、電池が耐熱性を要求される用途に適用される場合、その封口には、ガラスハーメチックシールを利用することもできる。
外装缶と封口缶とを有する電池容器からなる外装体の平面視での形状は、円形でもよく、四角形(正方形・長方形)などの多角形であってもよい。また、多角形の場合には、その角を曲線状としていてもよい。
さらに、全固体電池の外装体には、アルミニウムラミネートフィルムなどの金属ラミネートフィルムで構成されたラミネートフィルム外装体を使用することもできる。
本発明の全固体電池は、従来から知られている一次電池や二次電池と同様の用途に適用し得るが、有機電解液に代えて固体電解質を有していることから耐熱性に優れており、高温に曝されるような用途に好ましく使用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではない。
(実施例1)
<単位電極体の作製>
平均粒子径が2μmのチタン酸リチウム(Li4Ti5O12、負極活物質)と、平均粒子径が0.7μmの硫化物系固体電解質(Li5.4PS4.4Cl0.8Br0.8)と、グラフェン(導電助剤)とを、質量比が50:41:9となる割合で混合して負極合剤を調製した。
また、表面にLiNbO3の被覆層が形成された平均粒子径が5μmのLiCoO2(正極活物質)と、平均粒子径が3μmの硫化物系固体電解質(Li7.0PS5.4Cl1.2)と、カーボンブラックおよび気相成長炭素繊維(VGCF)とを、質量比が70:26.8:1.1:2.1となる割合で混合して正極合剤を調製した。
次に、平均粒子径が0.7μmの硫化物系固体電解質(Li5.4PS4.4Cl0.8Br0.8)の粉末を粉末成形金型に入れ、プレス機を用いて低圧で加圧成形を行い、固体電解質層の仮成形層を形成した。さらに、固体電解質層の仮成形層の上面に、前記負極合剤を配置して低圧で加圧成形を行い、固体電解質層の仮成形層の上に、さらに負極の仮成形層を形成した。
さらに、前記金型を上下反転させた後、金型内の固体電解質層の仮成形層の上面(負極の仮成形層を有する面の反対側)に前記正極合剤を配置し、全体を1300MPa(13tf/cm2)の面圧で加圧成形を行うことにより、負極と固体電解質層と正極とが一体化された、0.75mmの厚みを有する単位電極体を2個作製した。
<積層電極体の作製>
東洋炭素株式会社製の可撓性黒鉛シート「PERMA-FOIL(製品名)」(厚み:0.1mm、見かけ密度:1.1g/cm3)を単位電極体と同じ大きさに打ち抜いたものを3枚用意し、そのうちの1枚を、前記2個の単位電極体のうちの一方の正極上に重ね、さらにこの黒鉛シート上に、残りの単位電極体を負極側が黒鉛シート側となるように重ねて、黒鉛シート(集電体)を介して直列に接続された2個の単位電極体を有する積層電極体を得た。さらに、前記積層電極体の周面全体に、佐々木化学薬品株式会社製のフレキシブルシール状乾燥剤「ドライキープ TFREE-Z(商品名)」を貼り付け、単位電極体と集電体を固定した。
<電池の組み立て>
前記のように打ち抜いた黒鉛シートの1枚を、ポリフェニレンスルフィド製の環状ガスケットをはめ込んだステンレス鋼製の封口缶の内底面上に配置し、その上に、積層電極体を、負極が露出している面が黒鉛シート側となるようにして配置した。さらに、黒鉛シートの残りの1枚を積層電極体の正極が露出している面上に配置し、ステンレス鋼製の外装缶をかぶせた後、外装缶の開口端部を内方にかしめて封止を行うことにより、図1に示される構造の全固体二次電池(コイン形全固体二次電池)を作製した。なお、図1では、封口缶および外装缶と積層電極体との間に配置した黒鉛シートは図示していない。
(比較例1)
実施例1と同様にして、単位電極体2個と、集電体となる黒鉛シート3枚を用意した。ポリフェニレンスルフィド製の環状ガスケットをはめ込んだステンレス鋼製の封口缶の内底面上に、前記黒鉛シートの1枚を配置し、その上に、前記2個の単位電極体のうちの一方を正極側が黒鉛シート側となるようにして重ねた。次に、その上に前記黒鉛シートの1枚を重ね、さらに、前記単位電極体のもう一方を正極側が黒鉛シート側となるようにして重ね合わせることにより、積層電極体を形成した。
前記積層電極体の周面にはフレキシブルシール状乾燥剤の貼り付けを行わず、前記黒鉛シートの残りの1枚を積層電極体の正極が露出している面上に配置し、以下、実施例1と同様にしてコイン形全固体二次電池を作製した。
(比較例2)
予めフレキシブルシール状乾燥剤を1mmの幅に切断して内面の全周に貼り付けた封口缶を用いた以外は、比較例1と同様にしてコイン形全固体二次電池を作製した。
実施例1および比較例1~2の全固体二次電池について、下記の各評価を行った。
<電池の組み立て時の内部抵抗評価>
実施例1および比較例1、2の電池それぞれ10個ずつに対し、充放電を行った後、1kHzの交流を印加して電池の内部抵抗を測定し、10個の電池の平均値を求めることにより、積層電極体における位置ずれの影響を評価した。
<高温貯蔵時の内部抵抗評価>
次に、前記の電池を60℃相対湿度90%の恒温槽中で80日間保持した後、電池を取り出して室温まで放冷させてから、1kHzの交流を印加して高温貯蔵後の電池の内部抵抗を測定し、10個の電池の平均値を求めた。
実施例1および比較例1、2の電池について、高温貯蔵後の電池の内部抵抗と貯蔵前の電池の内部抵抗との差(内部抵抗の上昇分)を求めて比較した。
前記の各評価結果を表1に示す。なお、表1では、電池の組み立て時の内部抵抗、および高温貯蔵時の内部抵抗の上昇分については、比較例1の電池での値を100とした場合の相対値で示す。
実施例1の電池では、積層電極体の単位電極体および黒鉛シートは、ずれなく積み重ねられた状態でフレキシブルシール状乾燥剤により固定されたため、電池の組み立て工程で位置ずれを生じることがなく、電池の内部抵抗を低くすることができた。
一方、比較例1および比較例2の電池では、単位電極体および黒鉛シートの積層時あるいは封止時に、単位電極体または黒鉛シートに位置ずれが生じたため、互いに対向する面積が減少し、また、封口時に単位電極体にかかる圧力に偏りが生じて割れが発生するなどしたため、実施例1の電池に比べ、組み立て後の内部抵抗が上昇した。
また、高温多湿の環境下で電池が保持されることにより、電池の封止部分から電池内部に徐々に水分が侵入し、それが固体電解質などと反応することによって電池の内部抵抗を上昇させているが、表1に示す通り、積層電極体の周面あるいは封口缶の内面に、乾燥剤を含む樹脂シート(フレキシブルシール状乾燥剤)を配置した実施例1および比較例2の電池では、固体電解質などと反応する水分量を低減することができ、内部抵抗の上昇を抑制することができた。