JP7819002B2 - 洗浄剤及び水垢除去方法 - Google Patents

洗浄剤及び水垢除去方法

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本発明は、水垢等の除去に使用する洗浄剤及び水垢を除去する方法に関する。
シンクや電気ポット等に発生する水垢は、水道水に含まれる炭酸カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が原因で生じるものであり、調理や食器の洗浄の際に飛散した水を放置することで、水分が蒸発してミネラル成分が残り、これが水垢となることが知られている。
ミネラル成分が原因で生じる水垢の除去は、主成分である炭酸カルシウムやマグネシウムなどを酸によって溶かす方法が従来から知られており、例えば、特許文献1には、クエン酸とアスコルビン酸とを主成分とする洗浄剤が提案されている。
特開平7-252498号公報
上記特許文献1記載の洗浄剤は、主にクエン酸による作用によって水垢を除去するものであるが、クエン酸によって水垢を除去する場合、水への溶解度が極めて低いクエン酸カルシウムが析出して、シンクや電気ポット等に汚れとして付着するという問題がある。
また、水垢はシンクや電気ポット等に頻繁に発生するため、洗浄剤を使用した定期的な除去が必要になるが、クエン酸を主成分とする洗浄剤を頻繁に使用した場合、クエン酸によって手が荒れるという問題もある。
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであり、カルシウム塩の析出や使用時の手荒れを抑えられ、優れた水垢除去効果を発揮する洗浄剤及びこの洗浄剤を用いた水垢除去方法の提供を、その目的とする。
本願発明者は、3-ヒドロキシ酪酸の持つ様々な機能について鋭意研究を重ねた結果、3-ヒドロキシ酪酸が水垢の除去に効果を発揮することを実験的に明らかにして、本願発明を完成させるに至った。
即ち、上記目的を達成するための本発明に係る洗浄剤の特徴構成は、
3-ヒドロキシ酪酸を主成分として含有し、固形状である点にある。
上記特徴構成によれば、3-ヒドロキシ酪酸によって水垢等に含まれるミネラル成分を溶かして除去することができるため、優れた水垢除去効果を発揮する。そして、3-ヒドロキシ酪酸は、そのカルシウム塩の水への溶解度が高く、また、肌への刺激が少ないため、上記特徴構成を備えた洗浄剤は、カルシウム塩の析出が発生しにくく、また、手荒れ等も起こりにくいものとなる。また、上記特徴構成によれば、保管が容易である。
本発明に係る洗浄剤の更なる特徴構成は、3-ヒドロキシ酪酸を主成分として含有し、水垢除去剤である点にある。
上記特徴構成によれば、3-ヒドロキシ酪酸による優れた水垢除去効果を発揮する水垢除去剤を実現できる。
本発明に係る洗浄剤の更なる特徴構成は、
前記3-ヒドロキシ酪酸と水とを少なくとも含有する溶液である点にある。
上記特徴構成によれば、洗浄剤が溶液であるため、水垢等の発生箇所に塗布する、或いは噴き付けるといった比較的簡単な方法で使用できる。更に、溶媒として無毒、無害であり、他の有機溶媒等と比較して安価な水を用いていることから、製造コストの増加を抑えることができ、また、溶媒による手荒れ等も抑えられる。
本発明に係る洗浄剤の更なる特徴構成は、
前記3-ヒドロキシ酪酸の濃度が1w/v%以上である点にある。
上記特徴構成によれば、3-ヒドロキシ酪酸による水垢等の除去効果を十分に得ることができる。
本発明に係る洗浄剤の更なる特徴構成は、
前記3-ヒドロキシ酪酸の立体配座がR体である点にある。
本願発明者は、R体の3-ヒドロキシ酪酸を含有する洗浄液が、水垢等の除去効果を発揮することを実験により確認している。
本発明に係る洗浄剤の更なる特徴構成は、
さらに添加剤を含有する点にある。
上記特徴構成によれば、洗浄剤が様々な添加剤を含有することで、水垢等の除去効果の他、添加剤の機能に応じた種々の効果を発揮するものとなる。
本発明に係る洗浄剤の更なる特徴構成は、
水垢除去剤である点にある。
上記特徴構成によれば、3-ヒドロキシ酪酸による優れた水垢除去効果を発揮する水垢除去剤を実現できる。
上記目的を達成するための本発明に係る水垢除去方法の特徴構成は、
上記洗浄剤を用いて、水垢に含まれるミネラル成分を溶解させて前記水垢を除去する点にある。
上記特徴構成によれば、カルシウム塩の析出や使用時の手荒れを抑えつつ、水垢を除去することができる。
炭酸カルシウムの溶解性試験の結果を示すグラフである。 炭酸カルシウムの溶解性試験の結果を示すグラフである。 析出試験の結果を示すグラフである。 カルシウム塩の溶解性試験の結果を示す写真である。 カルシウム塩の溶解性試験の結果を示す写真である。
以下、本発明に係る洗浄剤及び水垢除去方法について説明する。尚、以下に好適な実施例を記すが、これら実施例はそれぞれ、本発明をより具体的に例示するために記載されたものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能であり、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
本明細書における「水垢」とは、主に、炭酸カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が原因で生じるアルカリ性の汚れをいうものとする。
本発明の洗浄剤は、3-ヒドロキシ酪酸(3HB)を主成分として含有している。
〔3HB〕
3HBは、例えば3HB生産性のハロモナス菌を添加した発酵プロセスを行い、得られた発酵液からハロモナス菌を分離除去し、精製することにより得られる。発酵プロセスは、果汁等の糖質栄養源を含有する原料液に、3HB生産性のハロモナス菌をそのまま添加し、好気発酵、微好気発酵を順に行うプロセスとして実施することができる(特開2013-081403号公報)。これにより、糖質が3HBに変換され、発酵液中に生産されることになる。生産された3HBは、常法にて、膜分離等による分離精製を経たのち、純粋な3HBとして用いられる。この場合、得られる3HBはR体である。
尚、本発明の洗浄剤に含まれる3HBは、上記のような微生物由来のものに限られるものではなく、有機合成によって得られるものであってもよい。また、立体配座についても特に限定されるものでなく、R体であってもよいし、S体であってもよい。
〔洗浄剤〕
洗浄剤は、上記3HBを主成分として含有するものであり、3HBによって水垢等に含まれるミネラル成分を溶解させて除去することができ、優れた水垢除去効果を発揮する。したがって、特に、水垢除去剤として有用であり、水垢に含まれるミネラル成分を溶解させる水垢除去方法に用いることができる。更に、主成分である3HBは、そのカルシウム塩の水への溶解度が高く、肌への刺激が少ない。したがって、洗浄剤は、クエン酸等を主成分として含有するものと比較し、カルシウム塩の析出が発生しにくく、また、手荒れ等も起こりにくいものとなる。
尚、洗浄剤は、液状であってもよいし、固形状であってもよい。また、洗浄剤は、3HBを水垢除去に寄与する機能性成分の一つとして含んでいれば、必要に応じて種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、界面活性剤、保湿成分、増粘剤、溶剤、香料、抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
洗浄剤の形態を液状とする場合、水垢等の発生箇所に塗布する、或いは噴き付けるといった比較的簡単な方法で使用できる。尚、溶媒としては水を用いることが好ましい。溶媒として水を用いた洗浄剤(洗浄液)であれば、溶媒である水が、無毒、無害であり、比較的安価であることから、製造コストを抑えられ、溶媒による手荒れも抑えられる。
また、洗浄剤の形態を液状とする場合、3HBの濃度が1w/v%(質量体積パーセント)以上であることが好ましく、1w/v%以上20w/v%以下であるとより好ましく、1w/v%以上10w/v%以下であるとより好ましく、1w/v%以上5w/v%以下であると更に好ましい。3HBの濃度が上記範囲内であれば、3HBの使用量を抑え、3HBによる必要十分な水垢除去効果をコストが嵩むことなく得ることができる。
洗浄剤の形態を固形状とする場合、3HBを含有する粉末や、この粉末を打錠成形してなるものを例示できる。洗浄剤が固形状であることにより、保管が容易であるという利点がある。
上記粉末は、3HBを含有すれば、他の添加剤の有無や含有量については特に制限されず、例えば、粉末を打錠成形に供する場合には、圧縮成形性等を考慮して、適当な量の賦形剤や結合剤等の添加剤を含有してもよい。また、粉末に含まれる3HBの量についても、洗浄剤を使用する際の態様に応じて適宜決定すればよい。
固形状の洗浄剤は、例えば、電気ポット内に貯めた水の中に、3HBの濃度が1w/v%以上程度となるように投入するような態様で使用できる。尚、この場合においても3HBの使用量を抑え、3HBによる必要十分な水垢除去効果をコストを嵩むことなく得るという観点から、3HBの濃度を1w/v%以上20w/v%以下にすると好ましく、1w/v%以上10w/v%以下にするとより好ましく、1w/v%以上5w/v%以下にすると更に好ましい。
〔実験例〕
以下、本発明を実験例に基づいてより詳細に説明する。尚、本発明が実験例に限定されないことは言うまでもない。
〔炭酸カルシウムの溶解性試験〕
模擬水垢として、炭酸カルシウムを用い、3-ヒドロキシ酪酸、酢酸及びクエン酸の各水溶液に対する炭酸カルシウムの溶解性について検討した。
具体的に、溶解性試験では、R体の3-ヒドロキシ酪酸(大阪瓦斯株式会社にて合成)、酢酸(関東化学株式会社製)及びクエン酸(キシダ化学株式会社製)の各5w/v%水溶液を作製し、各水溶液200μlに対して炭酸カルシウム(林純薬工業株式会社製)を約80mg添加して混合した後、室温にて約5分間静置した。その後、ろ過処理を行い、添加した炭酸カルシウムの重量と、ろ過処理によって回収した溶け残りの炭酸カルシウムの重量との差を基に、溶解度を算出した。
図1は、溶解性試験の結果をまとめたグラフである。同図から分かるように、3HB水溶液に関する炭酸カルシウムの溶解度と、酢酸水溶液やクエン酸水溶液に関する炭酸カルシウムの溶解度(酢酸水溶液は0.013g/mL、クエン酸水溶液は0.0105g/mL)とを比較すると、3HB水溶液の溶解度は0.018g/mLとなっており、3HB水溶液の方が酢酸水溶液やクエン酸水溶液よりも炭酸カルシウムの溶解度が高くなっている。このことから、3HBは、酢酸やクエン酸と比較して水垢の原因となる炭酸カルシウムを溶かしやすく、3HBを含有する洗浄剤であれば、酢酸やクエン酸を含有する洗浄剤と同等以上の水垢除去効果を奏することがわかる。
また、上記3HBの濃度の違いによる炭酸カルシウムの溶解性を検討した。
具体的に、濃度の異なる3HB水溶液(0.5w/v%、1w/v%、2.5w/v%、5w/v%、10w/v%、20w/v%、40w/v%)を作製し、上記と同様の手順で溶解度を算出した。図2はその結果をまとめたグラフである。
図2からわかるように、3HBの濃度が1w/v%以上であれば、炭酸カルシウムが溶解する。また、濃度が高くなるにつれて溶解度も高くなる傾向にあるが、20w/v%程度で溶解度が最大となり、以降は濃度が高くなっても溶解度に大きな変化は見られない。このことから、3HBの濃度は、20w/v%以下とすることが費用対効果の点で好ましいことがわかる。また、市販されているクエン酸を有効成分として含有する水垢除去剤はクエン酸濃度が2~5w/v%程度であるが、図1及び図2に示す結果から、市販品のクエン酸濃度を5w/v%と仮定した場合であっても、これと同等の水垢除去効果を奏する(別の言い方をすれば、同程度の溶解度となる)のに必要な3HB水溶液の濃度は2.5w/v%程度でよいことがわかる。
〔析出試験〕
上記「炭酸カルシウムの溶解性試験」で調製した5w/v%の3HB水溶液及びクエン酸水溶液各1mlに、20mgの炭酸カルシウムを添加して混合した後、室温にて24時間静置させた。その後、ろ過処理によって白色の析出物を回収し、その重量を計測した。
図3は、析出試験の結果をまとめたグラフである。また、図4及び図5は、析出試験時の各サンプルの様子を撮影した写真であり、図4は混合直後、図5は混合後17時間経過した時点での様子を撮影したものである。図3に示すように、3HB水溶液の方が、クエン酸水溶液と比較して、析出物の発生量が顕著に少ない。また、図4及び図5から分かるように、いずれの水溶液についても混合直後は略透明であるが、クエン酸水溶液に関しては、17時間後に白色の析出物が容器全体に亘って固着している。このことから、炭酸カルシウムなどの除去にクエン酸を使用した場合、炭酸カルシウムを除去したとしてもクエン酸カルシウムが析出するのに対し、3HBを使用した場合には、カルシウム塩の析出がほぼ生じないことが確認できた。
〔カルシウム塩の溶解性試験〕
濃度が0.5mg/ml、1mg/ml、3mg/ml、10mg/ml、100mg/mlとなるように、3HBカルシウム(大阪ガス株式会社製)及びクエン酸カルシウム(キシダ化学株式会社製)を室温にて水に加え、溶け残り具合を観察し、完全に溶解していれば「○」、溶け残りがあれば「×」とした。
表1に示すように、3HBカルシウムは、クエン酸カルシウムと比較して極めて高い水への溶解性を有している。このことから、3HBを含有する洗浄剤であれば、クエン酸を含有する洗浄剤と比較して、水垢を除去する際にカルシウム塩の析出を抑えられる。
本発明の洗浄剤及び水垢除去方法は、水垢等を除去するために利用できる。

Claims (8)

  1. 3-ヒドロキシ酪酸を主成分として含有し、固形状である洗浄剤。
  2. 3-ヒドロキシ酪酸を主成分として含有し、水垢除去剤である洗浄剤。
  3. 前記3-ヒドロキシ酪酸と水とを少なくとも含有する溶液である請求項に記載の洗浄剤。
  4. 前記3-ヒドロキシ酪酸の濃度が1w/v%以上である請求項に記載の洗浄剤。
  5. 前記3-ヒドロキシ酪酸の立体配座がR体である請求項1~4のいずれか一項に記載の洗浄剤。
  6. さらに添加剤を含有する請求項1~5のいずれか一項に記載の洗浄剤。
  7. 水垢除去剤である請求項1に記載の洗浄剤。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の洗浄剤を用いて、水垢に含まれるミネラル成分を溶解させて前記水垢を除去する水垢除去方法。
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