本発明は、乳児及び低年齢の小児のための栄養組成物、並びに乳児におけるその健康効果に関する。特に、本発明は、腸内マイクロバイオームの成熟を調節するための、ヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2FL)、及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む乳児又は低年齢の小児用フォーミュラに関する。フォーミュラは、高度加水分解されたフォーミュラ(eHF)又はアミノ酸ベースの乳児用フォーミュラ(AAF)であってもよく、牛乳タンパク質アレルギーを有する乳児に使用されてもよい。
[背景技術]
牛乳タンパク質(CMP)は、乳児の食物アレルギーの主要な原因であり、世界中で2~3%の小児に影響を及ぼしている。CMPアレルギー(CMPA)を有する小児のほとんどは、2つ以上の症状を有する:50~70%は皮膚症状があり;50~60%は胃腸症状があり;20~30%は気道症状がある。10%の小児では、重篤な生命を脅かす症状が現れることがある。(Nutten,2018.EMJ Allergy Immunol,3(1),pp.50-59)。
生後数ヶ月の健康な乳児にとって、ヒトの母乳及び母乳栄養は栄養の最適な形態であると考えられている。母乳は、CMPAを有する乳児に栄養を与えるためのゴールドスタンダードであり続けている。欧州小児栄養消化器肝臓学会(ESPGHAN)は、母乳栄養乳児において、母親の食事から牛乳を完全に排除することがCMPAの最善の治療法であると推奨している(Koletzko,S.,et al.,2012.Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutrition,55(2),pp.221-229)。
母乳栄養が不可能である場合は、特殊な乳児用フォーミュラが推奨される。ESPGHANは、CMPAを有する非母乳栄養乳児には、CMPAを有する乳児に有効であることが証明されている高度加水分解されたタンパク質をベースとしたフォーミュラ(eHF)を使用することを推奨している。重篤な又は生命を脅かす症状を有する乳児では、アミノ酸ベースの乳児用フォーミュラ(AAF)が、第一選択となり得る(Koletzko,S.,et al.,2012.Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutrition,55(2),pp.221-229)。
乳児の腸内微生物組成が乳児宿主の免疫分化経路及びアレルギー発症に関与するという証拠が増えてきている(Quante M.et al.(2012)BMC Public Health 12:1021)。その結果、食事、汚染、都市生活、清浄度、及び出産方法などの環境要因が、免疫系の発達及びアレルギー疾患の発症と関連付けられてきた(Seppo,A.E.et al.(2017)J Allergy Clin Immunol 139:708-11 e5;Azad,M.B.et al.(2018)J Nutr 148:1733-42)。
乳児期、特に生後1週間、3ヶ月、6ヶ月又は12ヶ月は、バランスのとれた腸内微生物叢の確立のための重要な期間である。
乳児期の腸内微生物叢の調節は、将来の身体の健康状態に重大な影響を与える可能性があることが知られている。例えば、腸内マイクロバイオームは、その後の人生における強力な免疫系の発達、並びに正常な発育、更にはその後の人生における肥満の発達に影響を及ぼし得る。
しかしながら、乳児の発達中の腸内マイクロバイオーム及びその進化は、すなわち腸内細菌の多くの集団の存在と保有率(量)との間の微妙なバランスである。腸内細菌には、乳児の全体的な健康に対する影響に関して「一般的にプラス」として分類されるものもあれば、「一般的にマイナス」(又は病原性)として分類されるものもある。ビフィズス菌などの「一般的にプラス」の細菌の特定の種は、従来の乳児用フォーミュラを与えられた乳児では、母乳栄養乳児と比較して少数しか存在しない場合がある。同様に、いくつかの細菌集団は病原性であると考えられ、腸内微生物叢における保有率が低く維持されることが望ましい。
乳児用フォーミュラを与えられた乳児は、ヒト母乳のみ、又は主にヒト母乳で育てられた乳児に見られる健康でバランスのとれた腸管マイクロバイオームからの恩恵を受けない場合がある。生後数年における健康なマイクロバイオームの発達は複雑であり、環境因子による妨害を受けやすい。微生物の多くの分類群は、腸/腸管の高度に複雑な微小環境中に、それぞれ順次定義された割合で共存する。乳児又は低年齢の小児の微生物叢を定義する場合、定量的及び定性的次元が考慮されるべきである。さらに、腸内微生物叢の経時的な変動が、複雑さを追加する。胃腸管のそれぞれの場所に存在する細菌の全ての科、属、種及び株の微妙なバランス、並びにそれらの経時的な変動は全て、乳児及び低年齢の小児の「胃腸の健康」に寄与する。
最近の研究では、母乳をほとんど又は全く与えられていないフォーミュラ栄養乳児と比較して、母乳栄養乳児では、微生物叢齢(microbiota age)が着実に増えることが観察されている。フォーミュラ栄養乳児に関連する腸内微生物叢におけるこれらの初期の変化は、生後数ヶ月の乳児の免疫学的及び生物学的成熟と逆相関している(Stewart CJ et al.,Nature 2018;562:583-8;Ho NT et al.,Nature Communications 2018;9:4169)。
適切で健康な腸内微生物叢は、乳児の粘膜免疫系の発達における重要因子である。他の成分の中でも、難消化性炭水化物(プレバイオティクス)は特に、特定の微生物叢の増進に影響を及ぼし得ることが知られている。
ヒト母乳は免疫学的に活性な流体であり、集合的にヒトミルクオリゴ糖(HMO)として知られる構造の多様なオリゴ糖を豊富に含有しており、このオリゴ糖がいくつかの推定される機構を介して免疫機能を支持し得る。それらの機構には、粘膜免疫系の発達における重要因子である健康な腸内マイクロバイオームの発達及び維持をもたらすプレバイオティック効果が含まれる(Bode et al.Glycobiology 2012;22(9):1147-1162)。HMOはまた、腸内で可溶性デコイ受容体として機能し、腸内病原体から新生児を保護し得る(Newburg et al.,Human milk glycans protects infants against enteric pathogens.Annual Review of Nutrition 2005;25:37-58)ほか、腸上皮細胞と直接相互作用して、宿主微生物相互作用に干渉し得る変化をもたらし得る(Bode et al.,2012)。
Nestec SAの国際公開第2009060073号は、乳児の生後数週間において、母乳栄養乳児で認められるものに匹敵する有益な腸内微生物叢、特にバクテロイデス種(Bacteroides)、クロストリジウム種(Clostridia)及びストレプトコッカス種(Streptococci)などの他の集団を除く、ビフィドバクテリウム種(Bifidobacterium)及びラクトバチルス種(Lactobacillus)の相当量の集団によって支配される腸内微生物叢の発達を促進するための、ラクト-N-テトラオース又はラクト-N-ネオテトラオースなどのオリゴ糖の使用に関する。
しかしながら、フォーミュラ栄養乳児における上記成人型マイクロバイオームへの早期シフトを遅延させるための現在利用可能な解決策はない。
したがって、腸内微生物叢の早期成熟を予防又は低減するために使用され得る乳児用フォーミュラ及び低年齢の小児用フォーミュラなどの栄養組成物、特に、牛乳アレルギーの乳児における腸内マイクロバイオームの成熟の調節に有効な乳児用又は低年齢の小児用フォーミュラが依然として大いに必要とされている。
副作用を誘導しない様式で、送達が容易であり、保護者又は医療従事者によって十分に許容できる様式で、かかる健康上の利益をこれらの乳児又は低年齢の小児に提供することに対するニーズが存在する。
[発明の概要]
本発明者らは、驚くべきことに、乳児用フォーミュラへのヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2’FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)の補給を有利に使用して、母乳を全く又はいくらかしか与えられていない乳児において、前述の成人型腸内マイクロバイオームへの早期シフトを抑制又は低減できることを見出した。
対照二重盲検無作為化介入臨床試験において、驚くべきことに、ヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2’FL)及び/又はラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む低アレルギー性乳児用フォーミュラが、上記HMOを含まない対応する低アレルギー性乳児用フォーミュラと比較して、12ヶ月齢において微生物多様性の低下及び腸内微生物叢齢の低減をもたらすことが見出された。
したがって、一態様において、本発明は、腸内微生物叢の早期成熟の抑制又は低減に使用するための、ヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2’FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む乳児又は低年齢の小児用フォーミュラを提供する。
一実施形態では、本発明は、腸内微生物叢の成熟の遅延に使用するための、ヒトミルクオリゴ糖(HMO)、2’-フコシルラクトース(2’FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む乳児又は低年齢の小児用フォーミュラを提供する。
別の態様では、本発明は、それを必要とする乳児における腸内微生物叢の早期成熟を抑制又は低減する方法であって、ヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2’FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む乳児又は低年齢の小児用フォーミュラを乳児に投与することを含む方法を提供する。
一実施形態では、本発明は、それを必要とする乳児における腸内微生物叢の早期成熟を遅延させる方法であって、ヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2’FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む乳児又は低年齢の小児用フォーミュラを乳児に投与することを含む方法を提供する。
一実施形態では、本発明は、ヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2’FL)、及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む乳児又は低年齢の小児用フォーミュラであって、2’FL及びLNnTを含まない従来の乳児用フォーミュラを与えられた乳児の12ヶ月齢における微生物叢と比較して、12ヶ月齢において多様性が低い微生物叢を誘導する使用のための、乳児又は低年齢の小児用フォーミュラを提供する。
一実施形態では、本発明は、2’-フコシルラクトース(2’FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含まない従来の乳児用フォーミュラを与えられた乳児と比較して、12ヶ月齢においてより低い微生物叢齢を誘導する使用のためのHMO 2’FL、及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む乳児又は低年齢の小児用フォーミュラを提供する。
驚くべきことに、HMO類 2’FL及びLNnTを含む本発明の乳児又は低年齢の小児用フォーミュラの腸内マイクロバイオームに対する有利な効果が、本発明のフォーミュラによる食事摂取割合の低減を伴う食生活の多様化にもかかわらず12ヶ月齢の乳児に認められた。
好ましい実施形態では、本発明によるヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2’FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む乳児用又低年齢の小児用フォーミュラは、少なくとも12ヶ月齢までの乳児によって消費される。
好ましい実施形態では、本発明によるヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2’FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む乳児又は低年齢の小児用フォーミュラは、少なくとも12ケ月齢までの乳児が消費する唯一の又は主要な乳児又は低年齢の小児用フォーミュラである。
上記フォーミュラは、特に、乳児又は低年齢の小児、特に牛乳タンパク質アレルギーを有する乳児又は低年齢の小児において、健康な発育をもたらすこと、健康な免疫系をもたらすこと、健康な腸機能をもたらすこと、及び/又は微生物叢ディスバイオーシスを予防することに使用できる。
乳児又は低年齢の小児用フォーミュラは、2’FL及びLNnTを含み得る。一実施形態では、フォーミュラは、0.5~3g/L、0.8~1.5g/L、若しくは約1g/Lの2’FLを含んでもよく、好ましくはフォーミュラは、約1g/Lの2’FLを含み;及び/又はフォーミュラは、0.2~1g/L、0.5~0.8g/L、若しくは約0.5g/LのLNnTを含んでもよく、好ましくはフォーミュラは、約0.5g/LのLNnTを含む。最も好ましくは、フォーミュラは、約1g/Lの2’FL及び約0.5g/LのLNnTを含む。
一実施形態では、乳児又は低年齢の小児は、牛乳タンパク質アレルギーを有する。
一実施形態では、乳児又は低年齢の小児用フォーミュラは低アレルギー性フォーミュラである。一実施形態では、低アレルギー性の乳児又は低年齢の小児用フォーミュラは、高度加水分解されたフォーミュラ(eHF)又はアミノ酸ベースのフォーミュラ(AAF)である。一実施形態では、乳児又は低年齢の小児用フォーミュラは、eHFである。一実施形態では、乳児又は低年齢の小児用フォーミュラは、AAFである。好ましくは、乳児用フォーミュラは、eHFである。代替的な実施形態では、又は低年齢の小児用フォーミュラ(the or young child formula)は、部分加水分解されたフォーミュラ(pHF)である。
eHF中のペプチドの少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、又は約100重量%は、約3000Da未満の分子量を有し得る。好ましくは、eHF中には約3000Da以上のサイズの検出可能なペプチドはない。
eHF中のペプチドの少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%、又は少なくとも約99重量%は、約1500Da未満の分子量を有し得る。好ましくは、eHF中のペプチドの少なくとも約99%は、約1500Da未満の分子量を有する。
eHF中のペプチドの少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%、又は少なくとも約99重量%は、約1200Da未満の分子量を有し得る。好ましくは、ペプチドの少なくとも98重量%は、約1200Da未満の分子量を有する。
eHF中のペプチドの少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、45~55重量%、又は50~54重量%は、ジペプチド及びトリペプチドであり得る。好ましくは、eHF中のペプチドの約51~53重量%、又はより好ましくは約52重量%は、ジペプチド及びトリペプチドである。
eHF中のペプチドの少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、45~55重量%、又は50~54重量%は、240~600Daの分子量を有し得る。好ましくは、eHF中のペプチドの約51~53重量%、又はより好ましくは約52重量%は、240~600Daの分子量を有する。
eHF中のタンパク質の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は約100%は、ホエイタンパク質であり得る。好ましくは、タンパク質の供給源はホエイタンパク質である。
eHFは、遊離アミノ酸を含み得る。遊離アミノ酸は、アミノ酸の総重量に基づいて、50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、又は25重量%以下の濃度で存在し得る。好ましくは、遊離アミノ酸は、アミノ酸の総重量に基づいて、20~25重量%、21~23重量%、又は約22重量%の濃度で存在する。
一実施形態では、乳児用フォーミュラは、タンパク質、炭水化物、及び脂肪を含むeHFであり、該eHFが100kcal当たり約2.4g以下のタンパク質を含み、又は該eHFが100kcal当たり約2.9g以下のタンパク質を含み、該乳児用フォーミュラが、更に2’-フコシルラクトース(2’FL)及び/又はラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含み、該脂肪の約30重量%以下が中鎖トリグリセリド(MCT)である。
別の実施形態では、乳児用フォーミュラは、タンパク質、炭水化物、及び脂肪を含むAAFであり、100kcal当たり約2.8g以下のタンパク質、好ましくは100kcal当たり2.7g以下のタンパク質、より好ましくは100kcal当たり2.6g以下のタンパク質を含み、該AAFが、更に2’-フコシルラクトース(2’FL)及び/又はラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含み、該脂肪の約30重量%以下が中鎖トリグリセリド(MCT)である。好適には、AAFは、100kcal当たり2.5g以下のタンパク質を含み得る。
一実施形態では、乳児用フォーミュラは、100kcal当たり1.8~2.4gのタンパク質、100kcal当たり2.1~2.3gのタンパク質、又は100kcal当たり2.15~2.25gのタンパク質を含む。好ましくは、乳児用フォーミュラは、100kcal当たり約2.2gのタンパク質を含む。
一実施形態では、乳児又は低年齢の小児用フォーミュラ中の脂肪の約30重量%以下、約25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、又は1重量%以下が中鎖トリグリセリド(MCT)であり得る。好ましくは、乳児用フォーミュラは、添加されたMCTを含まない。
一実施形態では、乳児用フォーミュラは、100kcal当たり9~14gの炭水化物及び/又は100kcal当たり4.0~6.0gの脂肪を含み得る。
初期から後期の糞便コミュニティ型(Fecal Community Type)(FCT)クラスターの経時的発達を示す遷移モデルを、試験フォーミュラ(HMO)を与えられた群(図1A)又は対照フォーミュラを与えられた群(図1B)と比較して示す図である。
初期から後期の糞便コミュニティ型(Fecal Community Type)(FCT)クラスターの経時的発達を示す遷移モデルを、試験フォーミュラ(HMO)を与えられた群(図1A)又は対照フォーミュラを与えられた群(図1B)と比較して示す図である。
12ヶ月齢の乳児における試験フォーミュラ(HMO)又は対照フォーミュラを与えられた群間の、遺伝子の豊富さ及びシャノン多様性によって表されるα多様性の差を示す図である。
試験フォーミュラ(HMO)又は対照フォーミュラを与えられた群間の、12ヶ月齢におけるFCT分布の差を示す図である。
試験フォーミュラ(HMO)又は対照フォーミュラを与えられた群間の、12ヶ月齢におけるFCT分布の差を示す図である。
[発明を実施するための形態]
次に、本発明の様々な好ましい特徴及び実施形態を、非限定的な実施例により記載する。
本明細書で使用される場合、以下の用語は、以下の意味を有する。
用語「乳児」は、月齢12ヶ月未満(<12ヶ月齢)の小児を指す。
「低年齢の小児」という表現は、1歳~3歳未満(≧1歳~<3歳)の小児を意味し、幼児とも呼ばれる。
「従来の乳児又は低年齢の小児用フォーミュラ」という表現は、既に市販されている乳児用フォーミュラ、フォローアップミルク又はグローイング・アップ・ミルクなどの標準的な合成栄養組成物を指す。
これに関連して、用語「微生物」、「細菌叢」、「マイクロバイオーム」及び「微生物叢」は、互換的に使用できる。
これに関連して、「腸内微生物叢」、「腸管微生物叢」、「腸内マイクロバイオーム」という表現は、互換的に使用することができる。
適切で健康な腸内微生物叢は、乳児の粘膜免疫系の発達における重要因子である。
「下方調節」及び「低減」という表現は、互換的に使用することができる。
「予防する」又は「予防」という表現は、ある身体的状態、ある状況又はそれらの結果の発生を回避すること、及び/又はその発生率を減少させること(すなわち、頻度の低減)を意味する。
「治療すること」又は「治療」という表現は、ある身体的状態、ある状況又はそれらの結果の持続時間及び/又は重症度の減少を意味する。
身体的状態、状況又はそれらの結果の予防及び/又は治療は、治療中(すなわち、本発明の組成物の投与の間、投与の開始直後又はいくらかの時間経過後、例えば開始数日後又は数週間後、のいずれか)に起こり得る。しかし、それらは、その後の人生における予防及び/又は治療も包含し得る。用語「その後の人生」は、介入又は治療の終了後の効果を包含する。「その後の人生」における効果は、1週間~数ヶ月間、例えば、2~4週間、2~6週間、2~8週間、1~6ヶ月間又は2~12ヶ月間であり得る。
用語「プレバイオティクス」は、ヒトの結腸におけるビフィズス菌などの健康な細菌の増殖及び/又は活性を選択的に刺激することによって宿主に有益に影響する難消化性炭水化物を意味する(Gibson GR,Roberfroid MB.Dietary modulation of the human colonic microbiota:introducing the concept of prebiotics.J Nutr.1995;125:1401-12)。
用語「プロバイオティクス」は、宿主の健康又は生活の質に有益に働く微生物細胞の調製物又は微生物細胞の成分を意味する。(Salminen S,Ouwehand A.Benno Y.et al.,「Probiotics:how should they be defined」,Trends Food Sci.Technol.1999:10 107-10)。微生物細胞は、広義には細菌又は酵母である。
用語「cfu」は、コロニー形成単位として理解されるべきである。
全てのパーセント(%)は、特に明記しない限り、重量を基準とする。
更に、本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別段の指示がない限り、複数の指示対象を含むことについて留意する必要がある。
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「を含む(comprised of)」は、「含む(including)」又は「含む(includes)」又は「含有する(containing)」又は「含有する(contains)」と同義であり、他を包含し得るもの、すなわちオープンエンドであり、かつ追加の、列挙されていない構成、要素、又は工程を除外しない。用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「を含む(comprised of)」はまた、用語「から成る(consisting of)」を含む。
本明細書で使用するとき、用語「約」は、およそ、ほぼ、概ね、又はその付近、を意味する。用語「約」が数値又は範囲と共に使用される場合、その値又は範囲は、記載された数値(複数可)の上方及び下方の境界を拡大することによって、その値又は範囲を修正する。一般に、用語「約」及び「ほぼ」は、本明細書では、規定された値(複数可)を10%超える及び下回る数値(複数可)を調整するために使用される。
本明細書で論じられる刊行物は、単に本出願の出願日より前にそれらが開示されていたがために提供されている。本明細書において引用されるいかなる文献も、これらの刊行物が本明細書に添付の特許請求の範囲に対する先行技術を構成するものであると認めるものとして解釈されるべきではない。
本開示は、本明細書に開示される例示的な方法及び材料によって限定されず、本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料を、本開示の実施形態の実施又は試験に使用することができる。数値範囲は、その範囲を画定する数を含む。
フォーミュラ
「乳児用フォーミュラ」という用語は、生後1年の間の乳児の特定栄養用途食品であって、当該フォーミュラ単独で、このカテゴリーに該当するヒトの栄養要件(2015年9月25日の欧州委員会規則(EU)2016/127に定義される)を満たす、食品を指し得る。これは、乳児を対象とし、Codex Alimentarius(Codex STAN72-1981)で定義されているような栄養組成物、及び乳児用特別食(特別な医療目的用の食品を含む)も指す。「乳児用フォーミュラ」という表現は、「乳児用スターターフォーミュラ」及び「フォローアップフォーミュラ」又は「フォローオンフォーミュラ」の両方を包含する。いくつかの実施形態では、乳児用フォーミュラは早産児用フォーミュラである。
「フォローアップフォーミュラ」又は「フォローオンフォーミュラ」は、6ヶ月目以降に与えられる。かかるフォーミュラは、このカテゴリーに該当する乳児の、次第に多様となっていく食生活において主要な液体要素を構成する。
「グローイング・アップ・ミルク(growing-up milk)」(又はGUM)という表現は、低年齢の小児又は小児を対象とする、一般にビタミン及びミネラルが添加された乳飲料を指す。
特定の実施形態では、本発明の栄養組成物は、低アレルギー性フォーミュラである。「低アレルギー性フォーミュラ」という表現は、アレルギー反応を引き起こす可能性が低い乳児又は低年齢の小児用フォーミュラを意味する。
本発明の乳児用フォーミュラは、高度加水分解された乳児用フォーミュラ(eHF)又はアミノ酸ベースの乳児用フォーミュラ(AAF)である。好ましくは、乳児用フォーミュラは、eHFである。
「高度加水分解された乳児用フォーミュラ」又は「eHF」という用語は、高度加水分解されたタンパク質を含む乳児用フォーミュラを指し得る。eHFは、インタクトなCMPを消化することができない、又はCMPに対して不耐性若しくはアレルギーを有する乳児に対して完全栄養を提供する、低アレルギー性乳児用フォーミュラであり得る。
「アミノ酸ベースの乳児用フォーミュラ」又は「AAF」という用語は、タンパク質の供給源として遊離アミノ酸のみを含む乳児用フォーミュラを指し得る。AAFは、検出可能なペプチドを含有しない場合がある。AAFは、食物タンパク質アレルギー及び/又は食物タンパク質不耐性を有する乳児に対して完全栄養を提供する低アレルギー性乳児用フォーミュラであり得る。例えば、AAFは、未処理のCMPを消化することができない、又はCMPに対して不耐性若しくはアレルギーを有する、また複数の食品に対して極めて重篤な若しくは生命を脅かす症状及び/若しくは感作を有し得る乳児に対して完全栄養を提供する低アレルギー性乳児用フォーミュラであり得る。
「低アレルギー性」組成物は、アレルギー反応を引き起こす可能性が低い組成物である。好適には、本発明の乳児用フォーミュラは、CMPAを有する乳児の90%超に耐容性がある。これは、米国小児科学会が提供するガイダンスに沿ったものである(Committee on Nutrition,2000.Pediatrics,106(2),pp.346-349)。好適には、本発明の乳児用フォーミュラは、CMP特異的IgE、例えばCMPAを有する対象のIgEによって認識されるペプチドを含有し得ない。
乳児には乳児用フォーミュラのみを与えることができる、又は乳児用フォーミュラを、ヒト母乳を補完するものとして使用できる。
本発明の乳児用フォーミュラは、固体形態(例えば、粉末)又は液体形態であり得る。
液体は、例えば、濃縮液体乳児用フォーミュラ又はレディ・トゥ・フィード乳児用フォーミュラであってもよい。乳児用フォーミュラは、再構成した乳児用フォーミュラ(すなわち、粉末形態から再構成した液体乳児用フォーミュラ)の形態であってもよい。濃縮液体乳児用フォーミュラは、好ましくは、例えば水を加えることによって、乳児に与えるのに好適な液体組成物に希釈することができる。
一実施形態では、乳児用フォーミュラは粉末形態である。粉末は、例えば水を加えることによって、乳児に与えるのに好適な液体組成物に再構成することができる。
様々な成分の量は、それが固体形態、例えば粉末である場合、乾燥重量基準で組成物のg/100gで表すことができ、又はそれが液体形態を指す場合、組成物のg/Lでの濃度として表すことができる(後者はまた、乳、水のような液体中での再構成後に粉末から得ることができる液体組成物、例えば再構成された乳児用フォーミュラ又はフォローオン/フォローアップフォーミュラ又は乳児用シリアル製品又は乳児期栄養のために設計された任意の他の処方を包含する)。成分の量は、100kcal当たりのg数で表すこともできる。
乳児用フォーミュラは、指示通りに配合した場合、100mL当たり約60~72kcalのエネルギー密度を有し得る。好適には、乳児用フォーミュラは、指示通りに配合した場合、100mL当たり約60~70kcalのエネルギー密度を有し得る。
ヒトミルクオリゴ糖
本発明の乳児用フォーミュラは、1種以上のヒトミルクオリゴ糖(HMO)を含有する。
ヒト母乳には多くの種類のHMOが見出される。各個々のオリゴ糖は、グルコース、ガラクトース、シアル酸(N-アセチルノイラミン酸)、フコース、及び/又はN-アセチルグルコサミンの組み合わせをベースに、それらの間に多種多様な結合を有するため、ヒト母乳中の異なるオリゴ糖は非常に多くなり、これまでに130を超えるそのような構造が特定されている。これらのオリゴ糖のほとんど全ては還元末端にラクトース残基を有し、非還元末端の末端位置にはシアル酸及び/又はフコース(存在する場合)が占める。HMOは、酸性(例えば、荷電シアル酸含有オリゴ糖)又は中性(例えば、フコシル化オリゴ糖)であり得る。
本発明の乳児用フォーミュラは、2’-フコシルラクトース(2’FL)及び/又はラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む。
本発明の乳児用フォーミュラは、2’FLを含んでもよい。いくつかの実施形態では、2’FL以外の種類のフコシル化オリゴ糖は存在しない、すなわち、本発明の乳児用フォーミュラは、フコシル化オリゴ糖として2’FLのみを含む。
2’FLは、酵素ベースの発酵技術(組換え酵素又は天然酵素)又は微生物発酵技術のいずれかを用いた、特定のフコシルトランスフェラーゼ及び/又はフコシダーゼを使用するバイオテクノロジー手段によって生成され得る。後者の場合、微生物が、それらの天然酵素及び基質を発現し得る、又はそれぞれの基質及び酵素を生成するように操作され得る。あるいは、2’FLは、ラクトース及び遊離フコースからの化学合成によって生成され得る。
本発明の乳児用フォーミュラは、LNnTを含んでもよい。いくつかの実施形態では、LNnT以外の種類のN-アセチル化オリゴ糖は存在しない、すなわち、本発明の乳児用フォーミュラは、N-アセチル化オリゴ糖としてLNnTのみを含む。
LNnTは、例えば米国特許第5,288,637号及び国際公開第96/10086号に記載されているように、グリコシルトランスフェラーゼを使用して、ドナー部分からアクセプター部分への糖単位の酵素的な転移によって化学的に合成され得る。あるいは、LNnTは、Wrodnigg,T.M.;Stutz,A.E.(1999)Angew.Chem.Int.Ed.38:827-828。このようにして生成されたN-アセチル-ラクトサミンは、次いでアクセプター部分としてラクトースに転移され得る。
いくつかの実施形態では、本発明の乳児用フォーミュラは、2’FL及び/又はLNnTを含むオリゴ糖混合物を含む。好ましい実施形態では、本発明の乳児用フォーミュラは、2’FL及びLNnTを含むオリゴ糖混合物を含む。本発明の乳児用フォーミュラは、フコシル化オリゴ糖として2’FLのみ及びN-アセチル化オリゴ糖としてLNnTのみを含み得る。
2’FLは、本発明による乳児用フォーミュラ中に、乳児用フォーミュラ1L当たり0.5~3g、例えば、0.8~1.5gの合計量(指示通りに配合した場合)で存在し得る。いくつかの実施形態では、2’-フコシルラクトースの合計量は、乳児用フォーミュラ1L当たり0.85~1.3g、例えば、0.9~1.25g又は0.9~1.1g又は1~1.25g又は1~1.2g(指示通りに配合した場合)であり得る。好ましくは、乳児用フォーミュラ(指示通りに配合した場合)は、約1g/Lの2’-フコシルラクトースを含む。
LNnTは、本発明による乳児用フォーミュラ中に、乳児用フォーミュラ1L当たり0.2~1g、例えば、0.5~0.8gの合計量(指示通りに配合した場合)で存在し得る。いくつかの実施形態では、LNnTの合計量は、乳児用フォーミュラ1L当たり0.5~0.75g又は0.5~0.7g又は0.5~0.6g(指示通りに配合した場合)であり得る。好ましくは、乳児用フォーミュラ(指示通りに配合した場合)は、約0.5g/LのLNnTを含む。
これらの異なる範囲は全て、一緒に組み合わせることができる。
したがって、本発明の一実施形態では、乳児用フォーミュラ(指示通りに配合した場合)は、2’FL及びLNnTを含み、
(i)2’FLの合計量は、乳児用フォーミュラ1L当たり0.8~1.5gであり、及び/又は
(ii)LNnTの合計量は、乳児用フォーミュラ1L当たり0.5~0.8gである。
別の実施形態では、本発明の乳児用フォーミュラ(指示通りに配合した場合)は、2’FL及びLNnTを含み、
(i)2’FLの合計量は、乳児用フォーミュラ1L当たり0.9~1.25gであり、及び/又は
(ii)LNnTの合計量は、乳児用フォーミュラ1L当たり0.5~0.7gである。
別の実施形態では、本発明の乳児用フォーミュラ(指示通りに配合した場合)は、2’FL及びLNnTを含み、
(i)2’FLの合計量は、乳児用フォーミュラ1L当たり1~1.2gであり、及び/又は
(ii)LNnTの合計量は、乳児用フォーミュラ1L当たり0.5~0.6gである。
好ましい実施形態では、本発明の乳児用フォーミュラ(指示通りに配合した場合)は、約1g/Lの2’FL及び約0.5g/LのLNnTを含む。
本発明の乳児用フォーミュラは、0.075~0.5g/100kcal、0.1~0.3g/100kcal、又は0.12~0.25g/100kcalの2’FL、及び約0.03~0.15g/100kcal、0.05~0.12g/100kcal、又は0.05~0.1g/100kcalのLNnTを含み得る。好ましくは、本発明の乳児用フォーミュラは、約0.15g/100kcalの2’FL及び約0.075g/100kcalのLNnTを含む。
本発明による乳児用フォーミュラに含まれる2’FL及びLNnTは、典型的には、2’FL:LNnT比が、2.0:0.54~2.0:2.26、例えば、2.0:0.76~2.0:1.8又は2.0:0.8~2.0:1.4で存在する。特に有利な実施形態では、この比は、2.0:1又は約2.0:1である。
タンパク質
「タンパク質」という用語は、ペプチド及び遊離アミノ酸を含む。乳児用フォーミュラのタンパク質含有量は、当業者に既知の任意の方法によって計算され得る。好適には、タンパク質含有量は、窒素タンパク質換算法によって算出され得る。例えば、Maubois,J.L.and Lorient,D.,2016.Dairy science&technology,96(1),pp.15-25に記載のとおりである。好ましくは、タンパク質含有量は、2015年9月25日の欧州委員会規則(EU)2016/127に定義されるように、窒素含有量×6.25として計算される。窒素含有量は、当業者に既知の任意の方法によって特定され得る。例えば、窒素含有量は、ケルダール法によって測定され得る。
タンパク質濃度
eHFは、典型的には、100kcal当たり2.6~2.8gのタンパク質を含有し、AAFは、典型的には、100kcal当たり2.8~3.1gのタンパク質を含有するものであり、重度の吸収不良を含む胃腸病変のある乳児、又は高い代謝率を補うためにタンパク質及びカロリーをより多く必要とする乳児のニーズに対応する。
本発明者らは、驚くべきことに、より低いタンパク質含有量を有するeHF又はAAFが、アレルギー乳児の適切な発育及び発達をサポートし得ることを示した。更に、本発明者らは、驚くべきことに、本フォーミュラには安全性及び耐容性があることを示した。
したがって、本発明のeHFは100kcal当たり約2.4g以下のタンパク質を含む、又は本発明のAAFは100kcal当たり約2.9g以下のタンパク質、好ましくは100kcal当たり2.8g以下のタンパク質を含む。例えば、本発明の乳児用フォーミュラは、100kcal当たり約2.3g以下のタンパク質、100kcal当たり2.25g以下のタンパク質、又は100kcal当たり2.2g以下のタンパク質を含み得る。
好適には、乳児用フォーミュラは、100kcal当たり約1.8g以上のタンパク質を含む。例えば、本発明の乳児用フォーミュラは、100kcal当たり約1.86g以上のタンパク質、100kcal当たり1.9g以上のタンパク質、100kcal当たり2.0g以上のタンパク質、又は100kcal当たり2.1g以上のタンパク質を含み得る。好ましくは、乳児用フォーミュラは、現行EU規制(EFSA NDA Panel,2014.EFSA journal,12(7),3760)に沿って、100kcal当たり約1.86g以上のタンパク質を含む。
本発明のeHFは、100kcal当たり1.8~2.4gのタンパク質、100kcal当たり1.86~2.4gのタンパク質、100kcal当たり1.9~2.4gのタンパク質、100kcal当たり2.0~2.4gのタンパク質、100kcal当たり2.0~2.3gのタンパク質、100kcal当たり2.1~2.3gのタンパク質、又は100kcal当たり2.15~2.25gのタンパク質を含み得る。
本発明のAAFは、100kcal当たり1.8~2.9gのタンパク質、100kcal当たり1.9~2.8gのタンパク質、100kcal当たり2.0~2.7gのタンパク質、100kcal当たり2.0~2.6gのタンパク質、100kcal当たり2.0~2.5gのタンパク質、100kcal当たり2.0~2.4gのタンパク質、100kcal当たり2.1~2.3gのタンパク質、又は100kcal当たり2.15~2.25gのタンパク質を含み得る。
好ましくは、本発明の乳児用フォーミュラは、100kcal当たり2.0~2.4gのタンパク質、例えば100kcal当たり2.1~2.3gのタンパク質、又は100kcal当たり2.15~2.25gのタンパク質を含む。
好ましくは、乳児用フォーミュラは、100kcal当たり約2.2gのタンパク質を含む。
タンパク質の供給源
タンパク質の供給源は、乳児用フォーミュラにおける使用に好適な任意の供給源であり得る。好適には、タンパク質は牛乳タンパク質である。
高度加水分解/加水分解されたホエイベースのフォーミュラは、高度加水分解/加水分解されたカゼインベースのフォーミュラよりも嗜好性が高い場合があり、及び/又は対象はカゼインタンパク質にのみ感作される場合がある。したがって、好適には、タンパク質の約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、又は約100%がホエイタンパク質である。好ましくは、タンパク質の供給源はホエイタンパク質である。
ホエイタンパク質は、チーズの製造に由来するホエイであってよく、特に、レンネットによるカゼインの凝固により得られるものなどのスイートホエイ、酸によるカゼインの凝固又は発酵物の酸性化により得られる酸性ホエイ、あるいは更には酸による及びレンネットによる凝固により得られる混合ホエイであってよい。この原料は、イオン交換により及び/又は電気透析により脱塩された、脱塩乳清タンパク質(DWP)として知られる乳清であり得る。
ホエイタンパク質の供給源は、カゼイノ-グリコマクロペプチド(CGMP)が完全に又は部分的に除去されたスイートホエイであり得る。このホエイは、変性スイートホエイ(MSW)と呼ばれる。スイートホエイからCGMPを除去すると、スレオニン及びトリプトファン含有量がヒト母乳により近いタンパク質材料が得られる。スイートホエイからのCGMPの除去プロセスは、欧州特許第880902号に記載されている。
ホエイタンパク質はDWP及びMSWの混合物であってよい。
いくつかの実施形態では、乳児用フォーミュラ中のカゼインの量は検出不可能であり、例えば、0.2mg/kg未満である。カゼインの量は、当業者に既知の任意の方法によって特定され得る。
加水分解度
加水分解タンパク質は、加水分解反応が実施される程度により、「部分加水分解」又は「高度加水分解」として評価され得る。現在、WAO(World Allergy Organization、国際アレルギー学会)による、牛乳タンパク質アレルギー(CMA)についてのガイドラインに準拠する、高度加水分解生成物は、法律上/臨床上の定義合意には至っていないものの、WAOによると、かかる加水分解フォーミュラは、CMAに罹患している乳児のためのタンパク質源として有用であることが証明されており、広く使用されていることが認められる。本発明において、部分加水分解されたタンパク質は、タンパク質/ペプチド集団の60~70%が1000ダルトン未満の分子量を有するタンパク質であるのに対し、高度加水分解されたタンパク質は、タンパク質/ペプチド集団の少なくとも95%が1000ダルトン未満の分子量を有するタンパク質である。現在、工業界ではこれらの定義が使用されている。部分加水分解されたタンパク質は、通常、低アレルギー性(HA)であると考えられるのに対し、高度加水分解されたタンパク質は、通常、非アレルギー性であると考えられる。
eHFでは、タンパク質は「高度加水分解され」、その結果、eHFはCMPAを有する乳児の90%超に耐容性があり得る。
タンパク質加水分解物は、非タンパク質窒素を全窒素で除算した値×100を指すNPN/TN%で特徴付けられる加水分解の程度を有し得る。非タンパク質窒素は、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)などの試薬と自由に反応するアミノ窒素を指す。NPN/TN%は、当業者に既知の任意の方法によって特定され得る。例えば、NPN/TN%は、Adler-Nissen(Adler-Nissen,J.(1979)J.Agric.Food Chem.27:1256-1262)に記載の通りに測定され得る。好適には、タンパク質は、90%超、95%超、又は98%超のNPN/TN%を有し得る。
加水分解の程度はまた、加水分解度によって特定され得る。「加水分解度」(DH)は、タンパク質加水分解物中の切断されたペプチド結合の割合として定義され、当業者に既知の任意の方法によって特定され得る。好適には、加水分解度は、pHスタット、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)、o-フタルジアルデヒド(OPA)、トリクロロ酢酸可溶性窒素(SN-TCA)、又はホルモール滴定法によって特定される。(Rutherfurd,S.M.,2010.Journal of AOAC International,93(5),pp.1515-1522)。タンパク質の加水分解度(DH)は、90超、95超、又は98超であり得る。
加水分解の程度はまた、ペプチド分子量分布によって特定され得る。ペプチド分子量分布は、高性能サイズ排除クロマトグラフィーによって、任意にUV検出器を用いて(HPSEC/UV)決定され得る(Johns,P.W.,et al.,2011.Food chemistry,125(3),pp.1041-1050)。例えば、ペプチド分子量分布は、205nm、214nm、又は220nmで特定されたHPSECピーク面積ベースの推定値であり得る。好適には、ペプチド分子量分布がHPSEC/UVによって特定される場合、ある特定の分子量を有する「ペプチドの重量パーセント」は、205nm、214nm、又は220nmで特定された、その分子量を有する「総ピーク面積の百分率としてのピーク面積の分率」によって推定され得る。好適には、加水分解の程度は、国際公開第2016/156077号に記載されている方法によって特定され得る。あるいは、ペプチド分子量分布は、当業者に既知の任意の方法、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって決定され得る(Chauveau,A.,et al.,2016.Pediatric Allergy and Immunology,27(5),pp.541-543)。
理論的には、細胞膜結合型IgEと結合するためには、ペプチドは約1500Da(約15アミノ酸)を超えるサイズである必要があり、IgE分子を架橋して免疫反応を誘導するためには、約3000Da(約30アミノ酸)を超えるサイズである必要がある(Nutten,2018.EMJ Allergy Immunol,3(1),pp.50-59)。
したがって、好適には、eHF中のペプチドの少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、又は約100重量%は、約3000Da未満の分子量を有する。eHF中には約3000Da以上のサイズの検出可能なペプチドは存在し得ない。
したがって、好適には、eHF中のペプチドの少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、又は約100重量%は、約1500Da未満の分子量を有する。好ましくは、ペプチドの少なくとも99重量%は、約1500Da未満の分子量を有する。eHF中には約1500Da以上のサイズの検出可能なペプチドは有り得ない。
好ましくは、eHF中のペプチドの少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%、又は少なくとも約99重量%は、約1200Da未満の分子量を有する。より好ましくは、eHF中のペプチドの少なくとも95重量%又は98重量%は、約1200Da未満の分子量を有する。
好適には、eHF中のペプチドの少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%は、約1000Da未満の分子量を有する。好ましくは、eHF中のペプチドの少なくとも約95重量%は、約1000Da未満の分子量を有する。
好ましくは、本発明のeHFは、約3000Da以上のサイズの検出可能なペプチドを有しておらず、ペプチドの少なくとも約95重量%、約1200Da未満の分子量を有する。
ジペプチド及びトリペプチドの割合が高いと、腸機能障害のある患者でも窒素(タンパク質)吸収が改善され得る。PEPT1は、低分子ペプチド(例えば、ジペプチド及びトリペプチド)の吸収を促進する専用の輸送経路である。生後数週間においては、腸のPEPT1は栄養摂取に重要であり、その後は離乳後の食移行に重要である。
したがって、eHF中のペプチドの少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、又は少なくとも約50重量%は、ジペプチド及びトリペプチドであり得る。好ましくは、eHF中のペプチドの少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、45~55重量%、又は50~54重量%は、ジペプチド及びトリペプチドである。より好ましくは、eHF中のペプチドの約51~53重量%、又はより好ましくは約52重量%は、ジペプチド及びトリペプチドである。
好適には、eHF中のペプチドの少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、又は少なくとも約50重量%は、240~600Daの分子量を有する。好ましくは、eHF中のペプチドの少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、45~55重量%、又は50~54重量%は、240~600Daの分子量を有する。より好ましくは、eHF中のペプチドの約51~53重量%、又は最も好ましくは、約52重量%は、240~600Daの分子量を有する。
eHF中のペプチドは、300Da~370Da、好ましくは320Da~360Daの分子量中央値を有し得る。
主要な牛乳アレルゲンとしては、α-ラクトアルブミン(aLA)、β-ラクトグロブリン(bLG)、及びウシ血清アルブミン(BSA)が認識されている。
したがって、好適には、eHFは、検出不可能なaLA含有量、例えば、約0.010mg/kg以下のaLAを有し得、eHFは、検出不可能なbLG含有量、例えば、約0.010mg/kg以下のbLGを有し得、及び/又はeHFは、検出不可能なBSA含有量、例えば、約0.010mg/kg以下のBSAを有し得る。好ましくは、本発明のeHFは、検出可能な量のaLA、bLG、及びBSAを含まない。aLA、bLG、及びBSAの含有量は、当業者に既知の任意の方法、例えばELISAによって特定され得る。
好ましい実施形態では、本発明のeHFは、約3000Da以上のサイズの検出可能なペプチドを有しておらず、ペプチドの少なくとも約95重量%は、約1200Da未満の分子量を有し;任意に、ペプチドの少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、若しくは45~55重量%は、240~600Daの分子量を有し、及び/又はジペプチド若しくはトリペプチドであり;本発明のeHFは、約1g/Lの2’-フコシルラクトース及び約0.5g/Lのラクト-N-ネオテトラオース、並びに/又は約0.15g/100kcalの2’-フコシルラクトース及び約0.075g/100kcalのラクト-N-ネオテトラオースを含み;また、eHFは添加されたMCTを含まない。
加水分解方法
本発明の乳児用フォーミュラに使用するためのタンパク質は、当該技術分野において既知の任意の好適な方法によって加水分解され得る。例えば、タンパク質は、例えばプロテアーゼを使用して、酵素加水分解され得る。例えば、タンパク質は、アルカラーゼを使用して加水分解され得る(例えば、約1~15重量%の酵素:基質比で、約1~10時間の持続時間)。温度は、約40℃~60℃の範囲、例えば、約55℃であり得る。反応時間は、例えば、1~10時間であり得、加水分解を開始する前のpH値は、例えば、6~9、好ましくは6.5~8.5、より好ましくは7.0~8.0の範囲内にあり得る。
加水分解プロセスには、ブタ酵素、特にブタ膵臓酵素が使用され得る。例えば、国際公開第9304593(A1)号は、トリプシン及びキモトリプシンを使用した加水分解プロセスについて開示している。このプロセスには2ステップの加水分解反応が含まれており、プロセス間には、最終的な加水分解物を、インタクトなアレルゲン性タンパク質を実質的に含まないものにすることを担保すべく、熱変性ステップが含まれている。これらの方法に使用されるトリプシン及びキモトリプシンは、ブタ膵臓抽出物により製造される調製物である。
国際公開第2016156077(A1)号は、乳ベースのタンパク性材料を、微生物由来アルカリセリンプロテアーゼと、ブロメライン、アスペルギルス属(Aspergillus)由来のプロテアーゼ、及びバシラス属(Bacillus)由来のプロテアーゼの組み合わせとにより加水分解することを含む、乳タンパク質加水分解物の調製プロセスについて開示している。
遊離アミノ酸
本発明の乳児用フォーミュラは、遊離アミノ酸を含み得る。
遊離アミノ酸の濃度は、乳児栄養に十分なアミノ酸プロファイル、特に栄養規則(例えば、欧州委員会指令2006/141/EC)を満たすアミノ酸プロファイルを提供するように選択され得る。
例えば、遊離アミノ酸は、ペプチドに含まれるアミノ酸を補完するために本発明のeHFに組み込まれ得る。
AAFでは、乳児用フォーミュラのタンパク質含有量は、遊離アミノ酸によって提供される。
本発明の乳児用フォーミュラに使用するための遊離アミノ酸の例としては、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、チロシン、スレオニン、トリプトファン、バリン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、カルニチン、タウリン、及びそれらの混合物が挙げられる。
したがって、好適には、eHF中の遊離アミノ酸は、アミノ酸の総重量に基づいて、50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、又は25重量%以下の濃度で存在し得る。好ましくは、eHFは、アミノ酸の総重量に基づいて、25重量%以下の遊離アミノ酸を含む。より好ましくは、eHF中の遊離アミノ酸は、アミノ酸の総重量に基づいて、20~25重量%、21~23重量%、又は約22重量%の濃度で存在する。
遊離アミノ酸含有量は、当業者に既知の任意の方法によって特定され得る。好適には、遊離アミノ酸含有量は、イオン交換クロマトグラフィーによる水性サンプル抽出物中に存在する遊離アミノ基の分離及びニンヒドリン試薬によるポストカラム誘導体化後の光検出によって得られ得る。総アミノ酸含有量は、窒素下、6mol/LのHCl中での試験部分の加水分解によって、及び上記のようにイオン交換クロマトグラフィーによる個々のアミノ酸の分離によって得られ得る。
好ましい実施形態では、本発明のeHFは、約3000Da以上のサイズの検出可能なペプチドを有しておらず、ペプチドの少なくとも約95重量%は、約1200Da未満の分子量を有し;任意に、ペプチドの少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、若しくは45~55重量%は、240~600Daの分子量を有し、及び/又はジペプチド若しくはトリペプチドであり、及び/又はアミノ酸の総重量に基づいて20~25重量%、21~23重量%、若しくは約22重量%であり;本発明のeHFは、約1g/Lの2’-フコシルラクトース及び約0.5g/Lのラクト-N-ネオテトラオース、並びに/又は約0.15g/100kcalの2’-フコシルラクトース及び約0.075g/100kcalのラクト-N-ネオテトラオースを含み;また、eHFは添加されたMCTを含まない。
炭水化物
本発明の乳児用フォーミュラの炭水化物含有量は、好ましくは、100kcal当たり9~14gの範囲の炭水化物である。
炭水化物は、乳児用フォーミュラにおける使用に好適な任意の炭水化物であり得る。
本発明の乳児用フォーミュラに使用するための炭水化物の例としては、ラクトース、サッカロース、マルトデキストリン、及びデンプンが挙げられる。炭水化物の混合物を使用してもよい。
一実施形態では、炭水化物含有量は、マルトデキストリンを含む。一実施形態では、総炭水化物含有量の少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%は、マルトデキストリンである。
一実施形態では、炭水化物含有量は、ラクトースを含む。一実施形態では、総炭水化物含有量の少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%は、ラクトースである。
一実施形態では、炭水化物は、ラクトース及びマルトデキストリンを含む。
脂肪
本発明の乳児用フォーミュラの脂肪含有量は、好ましくは、100kcal当たり4.0~6.0gの範囲の脂肪である。
脂肪は、乳児用フォーミュラにおける使用に好適な任意の脂質又は脂肪であり得る。
本発明の乳児用フォーミュラに使用するための脂肪の例としては、ヒマワリ油、低エルカ酸菜種油、ベニバナ油、キャノーラ油、オリーブ油、ココナッツ油、パーム核油、大豆油、魚油、パームオレイン、高オレイン酸ヒマワリ油及び高オレイン酸ベニバナ油、並びに長鎖多価不飽和脂肪酸を含有する微生物発酵油(microbial fermentation oil)が挙げられる。
脂肪はまた、パームオレイン、中鎖トリグリセリド(MCT)、及び脂肪酸(例えば、アラキドン酸、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ドコサヘキサエン酸、リノレン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸、カプリル酸、カプロン酸など)のエステルなどのこれらの油に由来する画分の形態であり得る。
更なる脂肪の例としては、構造化脂質(すなわち、構造を変化させるための化学的又は酵素的な修飾を受けた脂質)が挙げられる。好ましくは、構造化脂質は、sn2構造化脂質であり、例えば、トリグリセリドのsn2位にパルミチン酸を有する割合が高められているトリグリセリドが含まれる。構造化脂質は、添加してもよく、又は含めなくてもよい。
あらかじめ形成されたアラキドン酸(ARA)及び/又はドコサヘキサエン酸(DHA)を多量に含有する魚油又は微生物油などの油を添加してもよい。
ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸(ARA)、エイコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸(DHA)などの長鎖多価不飽和脂肪酸を添加してもよい。
乳児用フォーミュラは、100kcal当たり2~20mgのARA、100kcal当たり5~15のARA、若しくは100kcal当たり約10mgのARA及び/又は100kcal当たり2~20mgのDHA、100kcal当たり5~15のDHA、若しくは100kcal当たり約10mgのDHAを含み得る。好ましくは、乳児用フォーミュラは、100kcal当たり約10mgのARA及び100kcal当たり約10mgのDHAを含む。
中鎖トリグリセリド(MCT)
高濃度のMCTは、早期の体重増加を損なう可能性がある。MCTは蓄積されず、脂肪の蓄積をサポートしない。例えば、Borschelらは、MCTを含まないフォーミュラを与えた乳児は、MCT由来の脂肪を50%含有するフォーミュラを与えた乳児よりも、1~56日の間に体重が有意に増加したと報告している(Borschel,M.,et al.,2018.Nutrients,10(3),p.289)。
したがって、本発明の乳児用フォーミュラにおいて脂肪の約30重量%以下は中鎖トリグリセリド(MCT)であり得る。
いくつかの実施形態では、中鎖トリグリセリド(MCT)は、脂肪の約25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、又は0.1重量%以下である。
いくつかの実施形態では、中鎖トリグリセリド(MCT)は、脂肪の0~30重量%、0~25重量%、0~20重量%、0~15重量%、0~10重量%、0~5重量%、0~4重量%、0~3重量%、0~2重量%、0~1重量%、0~0.5重量%、又は0~0.1重量%である。
好ましくは、乳児用フォーミュラは、添加されたMCTを含まない。好適には、MCTは、脂肪の約0重量%であり、及び/又は乳児用フォーミュラは、検出可能なMCTを含まない。好適には、乳児用フォーミュラは、MCTを含まない。
好ましい実施形態では、本発明のeHFは、約3000Da以上のサイズの検出可能なペプチドを有しておらず、ペプチドの少なくとも約95重量%は、約1200Da未満の分子量を有し;ペプチドの45~55重量%は、240~600Daの分子量を有し;遊離アミノ酸は、アミノ酸の総重量に基づいて20~25重量%の濃度で存在し;eHFは、添加されたMCTを含まない。
更なる成分
本発明の乳児用フォーミュラはまた、好ましくは、毎日の食事に必須と考えられるあらゆるビタミン及びミネラルを、栄養に有意な量で含有する。特定のビタミン及びミネラルに関しては、最小必要量が確立されている。
本発明の乳児用フォーミュラに使用するためのビタミン、ミネラル、及びその他の栄養素の例としては、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンC、ビタミンD、葉酸、イノシトール、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、コリン、カルシウム、リン、ヨウ素、鉄、マグネシウム、銅、亜鉛、マンガン、塩素、カリウム、ナトリウム、セレン、クロム、モリブデン、タウリン、及びL-カルニチンが挙げられる。ミネラルは、通常、その塩形態で添加される。
本発明の乳児用フォーミュラは、1種以上のカロテノイドを含み得る。
本発明の乳児用フォーミュラはまた、少なくとも1種のプロバイオティクスを含み得る。「プロバイオティクス」という用語は、宿主の健康又はウェル・ビーイングに有益な効果を有する微生物細胞の調製物又は微生物細胞の成分を指す。具体的には、プロバイオティクスは、腸内バリア機能を改善することができる。
好ましいプロバイオティクスは、全体として安全で、L(+)乳酸産生培養物であり、最大24ヶ月間安定かつ有効なままであることが要求される製品に対して許容可能な保存期間を有するものである。
本発明の乳児用フォーミュラに使用するためのプロバイオティクス微生物の例としては、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、デバロマイセス属(Debaromyces)、カンジダ属(Candida)、ピキア属(Pichia)、及びトルロプシス属(Torulopsis)などの酵母、並びにビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、バクテロイデス属(Bacteroides)、クロストリジウム属(Clostridium)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、メリソコッカス属(Melissococcus)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostrepococcus)、バシラス属(Bacillus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、リューコノストック属(Leuconostoc)、ワイセラ属(Weissella)、アエロコッカス属(Aerococcus)、オエノコッカス属(Oenococcus)、及びラクトバチルス属(LactoBacillus)などの細菌が挙げられる。
好適なプロバイオティクス微生物の具体例は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cereviseae)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)、ラクトバチルス・カゼイ亜種カゼイ(Lactobacillus casei subsp. casei)、ラクトバチルス・カゼイ・シロタ(Lactobacillus casei Shirota)、ラクトバチルス・カルバタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・デルブリッキー亜種ラクティス(Lactobacillus delbruckii subsp. lactis)、ラクトバチルス・ファルシミナス(Lactobacillus farciminus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)(ラクトバチルスGG)、ラクトバチルス・サケ(Lactobacillus sake)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ミクロコッカス・バリアンス(Micrococcus varians)、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)、ペディオコッカス・ペントサス(Pediococcus pentosaceus)、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)、ペディオコッカス・ハロフィルス(Pediococcus halophilus)、ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、スタフィロコッカス・カルノーシス(Staphylococcus carnosus)及びスタフィロコッカス・キシローサス(Staphylococcus xylosus)である。
本発明の乳児用フォーミュラはまた、プレバイオティクス、ラクトフェリン、食物繊維、ヌクレオチド、ヌクレオシドなどの、有益な効果を有し得る他の物質を含有してもよい。
健康上の利益
ヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2’FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む本発明の乳児又は低年齢の小児用フォーミュラは、有利には、母乳を全く又はいくらかしか与えられていない乳児において、前述の成人型腸内マイクロバイオームへの早期シフトを抑制又は低減するために使用できる。
本発明による、ヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2’FL)及び/又はラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む低アレルギー性乳児用フォーミュラは、有利には、上記2’FL及びLNnTを含まない相対する従来の(市販の)低アレルギー性乳児用フォーミュラと比較して、12ヶ月齢における微生物多様性の低下及び腸内微生物叢齢の低減を誘導するために使用することができる。
本発明の乳児又は低年齢の小児用フォーミュラは、対象の乳児又は低年齢の小児の全体的な微生物叢に対してプラスの効果を有し、当該フォーミュラは、上記2’FL及びLNnTを含まない従来の栄養組成物を主に又は排他的に与えられた乳児又は低年齢の小児と比較して、本発明の栄養組成物を与えられた乳児又は低年齢の小児の腸内微生物叢の早期老化を抑制又は低減する。
驚くべきことに、HMO類 2’FL及びLNnTを含む本発明の乳児又は低年齢の小児用フォーミュラの腸内マイクロバイオームに対する有利な効果は、乳児又は低年齢の小児用フォーミュラによる乳児の食事摂取の割合の低減を伴う食生活の多様化にもかかわらず12ヶ月齢の乳児において認められた。
適切で健康な腸内微生物叢は、乳児の粘膜免疫系の発達における重要因子である。
一態様において、本発明は、腸内微生物叢の早期成熟の抑制又は低減に使用するための、ヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2’FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む乳児又は低年齢の小児用フォーミュラを提供する。
一実施形態では、本発明は、腸内微生物叢の成熟の遅延に使用するための、ヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2’FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む乳児又は低年齢の小児用フォーミュラを提供する。
一実施形態では、本発明は、腸内微生物叢の成人型腸内微生物叢への成熟の遅延に使用するための、ヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2’FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む乳児又は低年齢の小児用フォーミュラを提供する。
別の態様において、本発明は、それを必要とする乳児における腸内微生物叢の早期成熟を抑制又は低減するための方法であって、ヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2’FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む乳児又は低年齢の小児用フォーミュラを乳児に投与することを含む方法を提供する。
一実施形態では、本発明は、それを必要とする乳児における腸内微生物叢の早期成熟を遅延させる方法であって、ヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2’FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む乳児又は低年齢の小児用フォーミュラを乳児に投与することを含む方法を提供する。
一実施形態では、本発明は、ヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2’FL)、及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む乳児又は低年齢の小児用フォーミュラであって、2’FL及びLNnTを含まない従来の乳児用フォーミュラを与えられた乳児の12ヶ月齢における微生物叢と比較して、12ヶ月齢において多様性が低い微生物叢を誘導する使用のための、乳児又は低年齢の小児用フォーミュラを提供する。
一実施形態では、本発明は、2’-フコシルラクトース(2’FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含まない従来の乳児用フォーミュラを与えられた乳児と比較して、12ヶ月齢においてより低い微生物叢齢を誘導する使用のための、ヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’FL、及びLNnTを含む乳児又は低年齢の小児用フォーミュラを提供する。
驚くべきことに、HMO類 2’FL及びLNnTを含む本発明の乳児又は低年齢の小児用フォーミュラの腸内マイクロバイオームに対する有利な効果が、本発明のフォーミュラによる食事摂取割合の低減を伴う食生活の多様化にもかかわらず12ヶ月齢の乳児に認められた。
好ましい実施形態では、本発明によるヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2’FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む乳児用又低年齢の小児用フォーミュラは、少なくとも12ヶ月齢までの乳児によって消費される。
好ましい実施形態では、本発明によるヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’-フコシルラクトース(2’FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む乳児又は低年齢の小児用フォーミュラは、少なくとも12ケ月齢までの乳児が消費する唯一の又は主要な乳児又は低年齢の小児用フォーミュラである。
一実施形態では、腸内微生物叢の早期成熟を抑制又は低減することは、2’FL及びLNnTを含まない従来の乳児用フォーミュラを与えられた乳児と比較して、12ヶ月齢においてより低い微生物多様性を誘導することを意味する。
一実施形態では、腸内微生物叢の早期成熟を抑制又は低減することは、2’FL及びLNnTを含まない従来の乳児用フォーミュラを与えられた乳児と比較して、12ヶ月齢においてより低い微生物叢齢を誘導することを意味する。
一実施形態では、12ヶ月齢においてより低い微生物叢齢とは、上記2’FL及びLNnTを含まない乳児用フォーミュラを与えられた乳児と比較して、初期型糞便コミュニティ型(FCT)クラスターに富む腸マイクロバイオームを有することを意味する。
一実施形態では、12ヶ月齢においてより低い微生物叢齢とは、上記2’FL及びLNnTを含まない乳児用フォーミュラを与えられた乳児と比較して、後期型糞便コミュニティ型(FCT)クラスターが減少した腸マイクロバイオームを有することを意味する。
「初期」型FCTは、一般的に、低年齢の母乳栄養乳児、例えば、6ヶ月齢までの乳児に関連するFCTクラスターである。以下の実施例に記載される研究に関連して、初期型FCTは、FCTクラスターGC1、GC2及びGC3に対応する。
「後期」型FCTは、年長の乳児、小児及び成人に一般的に関連するFCTクラスターである。以下の実施例に記載される研究に関連して、初期型FCTは、FCTクラスターGC5に対応する。
本発明の乳児又は低年齢の小児用フォーミュラは、特に、乳児又は低年齢の小児、特に牛乳タンパク質アレルギーを有する乳児又は低年齢の小児において、健康な発育をもたらすこと、健康な免疫系をもたらすこと(例えば、感染の発生を予防又は低減すること)、健康な腸機能をもたらすこと、及び/又は微生物叢ディスバイオーシスを予防することに使用できる。
製造方法
本発明の乳児用フォーミュラは、任意の好適な方法で調製することができる。
例えば、本乳児用フォーミュラは、加水分解タンパク質の供給源、炭水化物の供給源、及び脂肪の供給源を、適切な割合で一緒にブレンドすることによって調製することができる。更に乳化剤を使用する場合、この時点で含めることができる。この時点でビタミン及びミネラルを添加してもよいが、通常、ビタミンは熱分解を避けるために後で添加する。任意の親油性ビタミン及び乳化剤などを、ブレンド前に脂肪の供給源に溶解してもよい。次いで、水、好ましくは逆浸透処理した水を混合して、液体混合物を形成することができる。市販の液化装置を用いて液体混合物を形成することができる。次いで、液体混合物を均質化してもよい。
次いで、液体混合物を熱処理して、細菌含有量を低減することができる。この熱処理は、例えば、蒸気注入によって、又はオートクレーブ若しくは熱交換器、例えば、プレート熱交換器を使用して行うことができる。
次いで、液体混合物を冷却、及び/又は均質化してもよい。均質化した混合物のpH及び固形分含有量は、この時点で調整することができる。
次いで、均質化した混合物を、噴霧乾燥機又は凍結乾燥機などの好適な乾燥装置に移し、粉末に変換することができる。乳児用液体フォーミュラが好ましい場合、均質化された混合物を滅菌し、次いで適切な容器に無菌充填してもよく、又は最初に容器に充填し、次いでレトルト処理してもよい。
[実施例]
次に、実施例により本発明を更に説明するが、これらの実施例は、当業者が本発明を実施するのに役立てるために提供することを意味するものであり、本発明の範囲を限定することを決して意図するものではない。
実施例1-高度加水分解された乳児用フォーミュラの例示
以下は、本発明による例示的な高度加水分解された乳児用フォーミュラである。本発明のeHFは、好ましくは、毎日の食事に必須と考えられるあらゆる栄養素、ビタミン、及びミネラルを、栄養に有意な量で含有する。特定の栄養素、ビタミン、及びミネラルに関しては最小必要量が確立されている。
実施例2-牛乳タンパク質アレルギーを有する乳児における腸マイクロバイオーム発達に対する、2’FL及びLNnTを添加した高度加水分解された乳児用フォーミュラの効果
試験デザイン
牛乳タンパク質アレルギー(CMPA)を有する乳児における糞便マイクロバイオームに対する、2’FL及びLNnTを添加した高度加水分解された乳児用フォーミュラ(eHF)の効果を、2つの並行フォーミュラ供給群の対照二重盲検無作為多施設介入臨床試験において調査した。
CMPAを有する0~6ヶ月齢の乳児を無作為化して、登録から12ヶ月齢まで、2’FL及びLNnTを含む又は含まないラクトース含有市販eHF(Althera)と、タンパク質レベルが低く、2つのヒトミルクオリゴ糖(HMO) 2’FL及びLNnT(試験処方)を含む並行eHF(Althera 2.2)とを与えた。市販のeHFは、現在、特定医療目的用食品として承認されている(規制(EU)2016/128)。
試験対象集団は、標準的な臨床診療に従って医師がCMPAと診断し、選択基準ごとに少なくとも2つの症状を有する満期産乳児であった。4ヶ月間の試験フォーミュラ摂取を完了する130人の乳児が必要であった。
選択基準は、以下の通りとした。
1.満期出産乳児(37週間≦在胎≦42週間);
2.2500g≦出生体重≦4500g;
3.乳児の保護者(国の規制により必要な場合は両親)又は法定代理人(LAR)の書面によるインフォームド・コンセントを得ていること;
4.生後6ヶ月までの乳児;
5.登録時にフォーミュラのみを与えられている者、又は母乳栄養をしているCMPA乳児の母親で、登録前にフォーミュラのみを与えることを自主的に選択した者:並びに
6.標準的な臨床診療に従って医師がCMPAと診断した(かつ、高度加水分解乳又はアミノ酸乳児用フォーミュラによる治療を受けたことがない)乳児で、以下の症状のうち少なくとも2つが存在する者-泣く、吐き戻し、液状便又は便秘、アトピー性皮膚病変、蕁麻疹又は呼吸器症状。陽性IgE血液試験、皮膚プリック試験、パッチ試験、又は食物負荷試験のいずれかに基づく診断の場合、上記のうち、1つのみの症状が存在すればよい。
除外基準は、以下の通りとした。
1.発育に影響を及ぼし得る先天性疾患又は先天異常。
2.CMPAによるものではないことが実証された慢性吸収不良。
3.登録前にCMPA以外の重大な出生前及び/又は出生後の重篤な疾患(治験責任医師の医学的判断による)。
4.未成年である親(両親)。
5.保護者又は介護者が試験の手順を遵守することが期待できない乳児。
6.現在、別の臨床試験に参加している、又は生まれてから参加したことがある。
試験フォーミュラ及び対照フォーミュラを以下に示す。
試験フォーミュラ及び対照フォーミュラにおいて、
・ ペプチドの99重量%超は3000Da未満の分子量であった。
・ ペプチドの95重量%超は1200Da未満の分子量であった。
・ ペプチドの約52重量%はジペプチド及びトリペプチド(600~240Daの分子量のペプチド)であった。
・ 総アミノ酸の約22.4重量%は、試験フォーミュラ及び対照フォーミュラ中の遊離アミノ酸であった。
・ 検出可能なβ-ラクトグロブリンはなかった(すなわち、β-ラクトグロブリン含有量は0.01mg/kg未満であった)。
・ 検出可能なカゼインはなかった(すなわち、カゼイン含有量は0.2mg/kg未満であった)。
両方のフォーミュラは粉末形態であり、缶の製品ラベルに印刷されている説明に従って、乳児が体重、年齢、及び食欲に適した量を経口摂取できるように調製した。
乳児には、最低でもベースライン後4ヶ月まで(主要試験期間)、そして医療による指示に従って乳児が必要とする期間(最長で12ヶ月齢まで)、試験フォーミュラを与えた。
乳児が必要とする1日当たりの摂取量は、年齢、体重、及び食欲によって異なった。製品は乳児に自由に与えられるが、保護者又は介護者はラベルに印刷された1日に与えるべき適切な摂取量に関するガイドラインに従った、及び/又は試験担当者からの助言を受けた。
乳児は、最大7回の試験診察を受けた:ベースライン(登録時)、ベースラインから4ヶ月後まで毎月(+1、+2、+3、+4ヶ月)、ベースラインから6ヶ月後。乳児が12ヶ月齢に達する時に、更に1回の最終診察が計画される。
無作為化は、試験フォーミュラ群当たり1:1の比率であり、Medidata Balanceにおける最小化により実施した。層別化は、登録時の年齢(0~60日、61~120日、120日超)、性別、分娩様式(経膣分娩又は帝王切開)により行われた。双子が登録されている場合は、同じフォーミュラに無作為化した。
糞便微生物叢
糞便サンプルを、ベースライン(V0)、ベースラインから1ヶ月(V1)及び3ヶ月(V3)、並びに12ヶ月齢(V6)の132人の乳児(プロトコル遵守集団(per-protocol set)から収集した。
マイクロバイオーム組成は、メタゲノミクス種(MGS)アプローチ[Nielsen,HB et al.,Nature Biotechnology 2014;32:822]を使用したメタゲノミクス配列によってプロファイリングした。各MGSは、種又は亜種レベルでの既知クレード又は新規クレードを表す。類似のマイクロバイオーム組成を有するサンプルを5つの糞便コミュニティ型(FCT)にクラスター化し、遷移モデル内で追跡して経時的発達を分析した[Stewart CJ et al.,Nature 2018;22(562):583-8]。
微生物の豊富さ及び多様性(シャノン指数)を、各時点において群間で比較した。Bray-Curtis非類似度に基づく並べ替えANOVAを使用して、マイクロバイオームに対するHMOの効果を比較した。分類学的組成における差異を、属、科及び門レベルでの富化分析によって評価した。
試験結果
マイクロバイオームの推移は、「初期」から「後期」FCTへ(図3)、及びより低いα多様性からより高いα多様性への、特徴的な経時的発達を示した。マイクロバイオーム発達は、年齢による影響を強く受けた。V1及びV3では試験群間に有意差が検出されなかったが、これは一部には、各時点での年齢範囲が広いからである。12ヶ月齢(V6)において、HMO治療乳児は、より低いα多様性を有し(Mann-Whitney U、MWU、MWU、p[豊富さ]<0.003、p[多様性]<0.006)、初期型FCTに富んだ(両側MWU、p=0.014)。
図1Aは、診察ごとに階層化された試験群と対照群との間のFCT分布の差を示す。FCTを順序付き因子(GC1=1、GC2=2など)としてコード化して、MWU検定によって、上記の群をペアワイズに比較した。図は、試験群「HMO群」(2’FL及びLNnT添加eHF)は、対照群と比較して「初期」FCTクラスター、特にGC1、GC2、GC3の保有率が高いこと、及び対照群と比較して「後期」FCTクラスター、特にGC5の保有率が低いことを示す。これにより
図1Bは、最も豊富な門の各FCT(GC1~GC5)内の平均存在量を示す、門レベルでの各FCTクラスターの分類群の分類学的概要を示す。
属レベルで得られたFCTクラスターの特徴は、以下のように要約することができる。
GC1(新生児に典型的):
最も低いα多様性
少量のバクテロイデス(門)
多量のプロテオバクテリア(門)及び腸内細菌科(科)
低いブチレート産生
GC2(1ヶ月齢~8ヶ月齢の乳児に典型的):
中程度のα多様性
多量のアクチノバクテリア(門)及びビフィドバクテリウム(属)
少量のバクテロイデス(門)
GC3(3ヶ月齢~1歳の乳児に典型的):
中程度のα多様性
多量のファーミキューテス(門)、ラクノスピラ(科)、及びラクノクロストリジウム(属)
GC4(>6ヶ月齢の乳児に典型的)
中程度のα多様性
多量のフィルミクテス(門)
中程度の量のビフィドバクテリウム(属)
GC5(>9ヶ月齢の乳児に典型的)
最高のα多様性
多量のファーミキューテス(門)及びフィーカリバクテリウム(属)
多量のバクテロイデス(科)
より高いブチレート産生
図2は、群の遺伝子の豊富さ(図2A)及びシャノン多様性指数(図2B)(すなわち、細菌集団が各サンプル中でいかに多様であるか)を示す。図は、12ヶ月齢の試験群「HMO群」(2’FL及びLNnT添加eHF)の乳児は、対照群よりも低いα多様性を有したことを示す。
図3は、「初期」から「後期」FCTクラスターへの経時的発達を例示する遷移モデルを示す。遷移モデルは、481のサンプル全てを使用して、各FCTを経るサンプルの進行を示す。ノードサイズは、年齢群(列)当たりの所与のクラスターにおける乳児の割合を表し、線幅は、年齢群(列)当たりの遷移の割合を表す。図3は、試験群「HMO群」(2’FL及びLNnT添加eHF)を示す。図3Aは、対照群と比較して、「初期」から「後期」FCTクラスターへの経時的発達が遅いことを示した。図3Bは、対照群と比較して、試験群「HMO群」における微生物叢齢が低いことに対応する。
上記の結果から、腸マイクロバイオームは、両方の試験群において年齢とともに進化し、食事及び環境曝露の変化を反映したと結論付けることができる。HMO添加EHFの摂食は、12ヶ月齢におけるより低い微生物多様性及び低減された腸内微生物叢齢と関連していた。したがって、eHF乳児用フォーミュラへの2’FL及びLNnTの添加は、母乳を全く又はいくらかしか与えられていない乳児において前述の成人型腸マイクロバイオームへの早期シフトを遅延させることが観察された。
この観察されたマイクロバイオーム発達の初期段階における乳児の持続、すなわち、より低い「マイクロバイオーム年齢」は、生後1年における全体的な感染率の低減と関連付けることができ(過去に公開された研究結果:Vandenplas Y et al.,Oral poster presentation#1885 at EAACI Digital Congress,June 2020)、上気道感染の頻度において最大の低減が観察された。
実施例3-アミノ酸ベースの乳児用フォーミュラの例示
以下は、本発明によるアミノ酸ベースの乳児用フォーミュラの例示である。本発明のAAFは、好ましくは、毎日の食事に必須と考えられるあらゆる栄養素、ビタミン、及びミネラルを、栄養に有意な量で含有する。特定の栄養素、ビタミン、及びミネラルに関しては最小必要量が確立されている。
上記明細書で言及した全ての刊行物は、参照により本明細書に援用される。開示された本発明の方法、細胞、組成物、及び使用の、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することのない様々な修正及び変更が、当業者には明白であろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して開示されているが、特許請求される本発明は、このような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、本発明を実施するために開示された様式の種々の改変は、当業者には自明であり、以下の特許請求の範囲の範囲内であることを意図している。
[項目1]
ヒトミルクオリゴ糖(HMO)2’-フコシルラクトース(2’FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む、乳児又は低年齢の小児用フォーミュラであって、乳児又は低年齢の小児において腸内微生物叢の早期成熟を抑制若しくは低減すること、及び/又は前記腸内微生物叢の成熟を遅延すること、並びに/又は2’FL及びLNnTを含まない従来の乳児用フォーミュラを与えられた乳児の12ヶ月齢における微生物叢と比較して、12ヶ月齢において多様性が低い微生物叢を誘導すること、並びに/又は2’FL及びLNnTを含まない従来の乳児用フォーミュラを与えられた乳児と比較して、12ヶ月齢においてより低い腸内微生物叢齢を誘導することにおける使用のための、乳児又は低年齢の小児用フォーミュラ。
[項目2]
12ヶ月齢におけるより低い微生物叢齢が、前記2’FL及びLNnTを含まない乳児用フォーミュラを与えられた乳児と比較して、初期型糞便コミュニティ型(FCT)クラスターに富む腸内マイクロバイオームを有することを意味する、項目1に記載の使用のための乳児又は低年齢の小児用フォーミュラ。
[項目3]
12ヶ月齢におけるより低い微生物叢齢が、前記2’FL及びLNnTを含まない乳児用フォーミュラを与えられた乳児と比較して、後期型糞便コミュニティ型(FCT)クラスターが少ない腸マイクロバイオームを有することを意味する、項目1に記載の使用のための乳児又は低年齢の小児用フォーミュラ。
[項目4]
前記乳児用フォーミュラが、0.5~3g/L、0.8~1.5g/L、又は約1g/Lの2’FLを含み、好ましくは、前記乳児用フォーミュラが、約1g/Lの2’FLを含む、項目1~3のいずれか一項に記載の使用のための乳児用フォーミュラ。
[項目5]
前記乳児用フォーミュラが0.2~1g/L、0.5~0.8g/L、又は約0.5g/LのLNnTを含み、好ましくは、前記乳児用フォーミュラが、約0.5g/LのLNnTを含む、項目1~4のいずれか一項に記載の使用のための乳児用フォーミュラ。
[項目6]
前記乳児用フォーミュラが、約1g/Lの2’FL及び約0.5g/LのLNnTを含む、項目1~5のいずれか一項に記載の使用のための乳児用フォーミュラ。
[項目7]
前記乳児用フォーミュラが、eHFであり、前記乳児用フォーミュラが、100kcal当たり1.8~2.4gのタンパク質、好ましくは100kcal当たり2.0~2.4gのタンパク質、好ましくは100kcal当たり2.1~2.3gのタンパク質、又は100kcal当たり2.15~2.25gのタンパク質を含む、項目1~6のいずれか一項に記載の使用のための乳児用フォーミュラ。
[項目8]
前記乳児用フォーミュラが、AAFであり、前記乳児用フォーミュラが、100kcal当たり1.8~2.9gのタンパク質、好ましくは100kcal当たり1.9~2.8gのタンパク質、好ましくは100kcal当たり2.0~2.7gのタンパク質、より好ましくは100kcal当たり2.0~2.6gのタンパク質、又は100kcal当たり2.0~2.4gを含む、項目1~6のいずれか一項に記載の使用のための乳児用フォーミュラ。
[項目9]
前記乳児用フォーミュラが、100kcal当たり約2.2gのタンパク質を含む、項目1~8のいずれか一項に記載の使用のための乳児用フォーミュラ。
[項目10]
前記乳児用フォーミュラ中の脂肪の約25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、又は1重量%以下が、中鎖トリグリセリド(MCT)である、項目1~9のいずれか一項に記載の使用のための乳児用フォーミュラ。
[項目11]
前記乳児用フォーミュラが、添加されたMCTを含まない、項目1~10のいずれか一項に記載の使用のための乳児用フォーミュラ。
[項目12]
前記乳児用フォーミュラが、100kcal当たり9~14gの炭水化物及び/又は100kcal当たり4.0~6.0gの脂肪を含む、項目1~11のいずれか一項に記載の使用のための乳児用フォーミュラ。
[項目13]
前記乳児が、牛乳タンパク質アレルギーを有する、項目1~12のいずれか一項に記載の使用のための乳児用フォーミュラ。
[項目14]
腸内微生物叢の早期成熟を抑制若しくは低減させることを必要とする乳児における腸内微生物叢の早期成熟を抑制若しくは低減させる、及び/又は前記腸内微生物叢の成熟を遅延させる方法であって、ヒトミルクオリゴ糖(HMO)2’-フコシルラクトース(2’FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む乳児又は低年齢の小児用フォーミュラを前記乳児に投与することを含む、方法。
[項目15]
2’FL及びLNnTを含まない従来の乳児用フォーミュラを与えられた乳児の12ヶ月齢での微生物叢と比較して、12ヶ月齢において多様性が低い微生物叢を誘導し、並びに/又は2’FL及びLNnTを含まない従来の乳児用フォーミュラを与えられた乳児と比較して、12ヶ月齢においてより低い腸内微生物叢齢を誘導する方法であって、ヒトミルクオリゴ糖(HMO)2’-フコシルラクトース(2’FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む乳児又は低年齢の小児用フォーミュラを前記乳児に投与することを含む、方法。