JP7837112B1 - 金属調加飾積層体 - Google Patents

金属調加飾積層体

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JP7837112B1 JP2025551747A JP2025551747A JP7837112B1 JP 7837112 B1 JP7837112 B1 JP 7837112B1 JP 2025551747 A JP2025551747 A JP 2025551747A JP 2025551747 A JP2025551747 A JP 2025551747A JP 7837112 B1 JP7837112 B1 JP 7837112B1
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Abstract

本発明では、成形性に優れ、優れたミリ波透過性、耐擦傷性及び意匠性を有する金属調加飾積層体、並びに前記金属調加飾積層体を含む、多層積層体及び金属調物品を提供することを目的とする。
本発明は、表面層と、金属層と、基材層と、をこの順に含み、前記表面層が、ポリウレタン系樹脂を含有し、前記基材層が、ポリカーボネート系樹脂を含有する、金属調加飾積層体、前記金属調加飾積層体の前記表面層の金属層とは逆側に更に表面保護層を含む多層積層体、及び前記金属調加飾積層体を含む金属調物品である。

Description

本発明は、金属調加飾積層体、多層積層体及び金属調物品に関する。
成形体の意匠性を向上させるため、成形体の表面に金属光沢(以下、金属調意匠とも記載する。)を付与することが行われてきた。金属光沢を付与するため、古くから金属メッキが行われている(特許文献1)。
金属調意匠を物品に付与する方法として、金属蒸着層を有する金属調加飾フィルムを使用する方法も知られている(特許文献2)。金属蒸着層を有する金属調加飾フィルムはその構造中に金属層を有するため、金属層により外光が反射(以下、金属層反射光と記載する。)され、観測者には金属調意匠として認識される。
他の方法として、アルミニウムからなる扁平状の光輝材を用いた光輝性塗膜を有する電磁波透過性光輝塗装樹脂製品も知られている(特許文献3)。
特開2002-241948号公報 特開2008-055688号公報 特開2010-30075号公報
本発明では、成形性に優れ、優れたミリ波透過性、耐擦傷性及び意匠性を有する金属調加飾積層体、並びに前記金属調加飾積層体を含む、多層積層体及び金属調物品を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記の[1]~[3]を提供する。
[1] 表面層と、金属層と、基材層と、をこの順に含み、前記表面層が、ポリウレタン系樹脂を含有し、前記基材層が、ポリカーボネート系樹脂を含有する、金属調加飾積層体。
[2] [1]に記載の金属調加飾積層体の、前記表面層の金属層とは逆側に、更に表面保護層を含む、多層積層体。
[3] [1]に記載の金属調加飾積層体を含む、金属調物品。
本発明によれば、成形性に優れ、優れたミリ波透過性、耐擦傷性及び意匠性を有する金属調加飾積層体、並びに前記金属調加飾積層体を含む、多層積層体及び金属調物品を提供することができる。
本実施形態の金属調加飾積層体の一例を示した模式図である。 本実施形態の金属層反射光を説明する概念図である。 金属層を説明する模式図である。
前記特許文献1には、合成樹脂製の部材をメッキすることで金属光沢を呈する車両用合成樹脂製メッキ部材に関する発明が記載されている。しかし、金属メッキは工程が複雑で製造コストがかかること、廃液が発生して環境に負荷がかかることなどの問題があった。また、成形体の表面が凹凸形状を有する場合、均一で綺麗なメッキ膜を施すことは困難であった。
自動車等の車の周囲の障害物の検出には、ミリ波レーダ等のセンサが用いられている。ミリ波レーダは、波長が1~10mmの電波を障害物に照射し、障害物から反射して戻ってくる時間を計測し、障害物との距離を測定する装置である。ミリ波レーダは雨天や霧等の天候による影響を受けにくく、遠方の障害物を検出できるため、多くの自動車メーカーで導入されている。自動車用のミリ波レーダでは、76~77GHzの領域のミリ波帯が用いられており、ミリ波レーダの装置本体は、例えば自動車の車体前後面のバンパーやエンブレムの背後に搭載され、ミリ波は装置本体よりバンパーやエンブレムを透過して障害物へ照射される。通常、自動車のバンパーやエンブレムはポリプロピレンやポリカーボネート等の樹脂を成型した成形物に塗装を施して製造されるが、ボディに金属調塗装を施した自動車の場合、パンバーにも金属調の外観とミリ波の透過性(以下、「ミリ波透過性」と称する。)が求められる。
金属メッキの場合にはミリ波を透過させることができないため、前記のようなバンパーやエンブレムの金属調加飾部材に採用することはできない。
このため、金属蒸着層を有する加飾フィルム(特許文献2)やアルミニウムからなる扁平状の光輝材を用いた光輝性塗膜を有する加飾フィルム(特許文献3)等が開発されてきたが、その成形性には改善の要求がある。また、耐擦傷性を満足する金属調加飾積層体の開発が切望されていた。
これに対して、本開示の金属調加飾積層体は、成形性に優れ、優れた金属調意匠を発現する金属調加飾積層体、並びに前記金属調加飾積層体を含む、多層積層体及び金属調物品を提供することが可能となる。
以下、本発明に係る金属調加飾積層体、多層積層体及び金属調物品について説明する。なお、本発明は以下の例に限定されない。
本開示において、厚さ方向100とは、図1に図示するように、金属調加飾積層体又は金属調物品の積層方向を指すものを意味し、幅方向110とは、厚さ方向とは異なる方向であり、金属調加飾積層体又は金属調物品の長手方向120に対して直行する方向を意味する。例えば、金属調加飾積層体をロールtoロールで製造する場合には、長手方向120は、流れ方向(MD:machine dirrection)に対応し、幅方向110はMDと垂直なTD(transverse dirrection)に対応する。
以下、本開示の実施形態(以下、「本実施形態」と称することがある。)について説明する。なお、本開示において、数値範囲の記載に関する「以上」、「以下」、「~」等に係る数値は任意に組み合わせできる数値である。
また、好ましいとされている規定は任意に採用することができる。即ち、好ましいとされている一の規定を、好ましいとされている他の一又は複数の規定と組み合わせて採用することができる。好ましいもの同士の組み合わせはより好ましいといえる。
〔金属調加飾積層体〕
本実施形態の金属調加飾積層体は、表面層と、金属層と、基材層と、をこの順に含み、前記表面層が、ポリウレタン系樹脂を含有し、前記基材層が、ポリカーボネート系樹脂を含有することを要する。
本実施形態の金属調加飾積層体は、例えば、金属調加飾積層体を含む多層積層体を使用したインサート成形やオーバレイ成形等のフィルム加飾法により車用のバンパー等の樹脂部品及び金属部品等(以下、単に「物品」とも称する。)を加飾するために使用することができる。また、前記金属調加飾積層体は、粘着層や接着層を介して物品の表面を加飾するために用いてもよく、後記する金属調物品の表層として用いることができる。また、本実施形態の金属調加飾積層体は、優れた金属調の意匠を呈し、また耐擦傷性及び耐候性に優れるため、屋外での使用に好ましい。
また、本実施形態の金属調加飾積層体1は、図2に図示するように、外光5を金属層30により反射して、金属層反射光6を観測者4は視認するため、金属光沢を有すると認識する。当然、夜間など外光5が減少するに伴い、観測者4は金属光沢を認識できなくなる。それにより金属調物品は意匠性を消失してしまう。
しかし、本実施形態の金属調加飾積層体1に対して、観測者4とは逆側に光源7を設置して、照射光8を照射すると、積層体透過光9を観測者4が視認するため、外光5がない状態でも金属調物品は意匠性を発現させることが可能となる。
本開示において「意匠性」とは、前記金属層反射光6により、本開示の金属調加飾積層体を用いた金属調物品が金属調の意匠性を発現する性質及び、積層体透過光9により意匠性を発現する性質をいう。意匠性は、後記する全光線透過率及び後記する正反射成分の反射率を適切に設定することで得られるものである。
本実施形態の金属調加飾積層体の層厚は、求められる要求により適宜調整することができる。意匠性、耐擦傷性及び耐候性のうち少なくとも1つを向上させるためには50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、150μm以上であることが更に好ましく、200μm以上がより更に好ましく、ミリ波透過性及び成形性の少なくとも1つを向上させるためには、1000μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましく、600μm以下であることが更に好ましく、500μm以下であることがより更に好ましい。
これらのバランスを取るためには、50μm以上1000μm以下であることが好ましく、100μm以上800μm以下であることがより好ましく、150μm以上600μm以下であることが更に好ましく、200μm以上500μm以下であることがより更に好ましい。
本開示において「耐擦傷性」とは、傷等の発生を抑制する性質を意味し、例えば実施例に記載の方法により評価することができる。
本開示において「耐候性」とは、屋外で使用された場合に変形、変色、劣化等が起こりにくい性質を意味し、例えば実施例に記載の方法により評価することができる。
本開示において「成形性」とは、本開示の金属調加飾積層体を用いて金属調物品を製造する際の製造のしやすさの性質を意味し、成形性は層厚を厚くすることで成型時の破れ等を抑制でき、層厚を薄くすることで、物品の細かい部分も加飾することができる。例えば実施例に記載の方法により評価することができる。
本実施形態の金属調加飾積層体は、前記表面層側から照射された光の全光線透過率が30%以下であり、前記基材層側から照射された光の正反射成分の反射率が20%以上であることが好ましい。それにより、外光5による意匠性が発現し、照射光8による意匠が発現するため好ましい。更に全光線透過率及び反射率を前記の範囲とすることで、観測者4は、後記する金属調物品とした際に、前記金属調加飾積層体の物品を、金属調加飾積層体を通して視認することができなくなり、金属調物品の意匠に対する物品の影響を抑制できるため好ましい。
本実施形態の金属調加飾積層体の前記全光線透過率及び反射率は、表面層及び/又は基材層の全光線透過率及び屈折率等を調整することにより望みの範囲とすることができるが、金属層を特定の金属種、及びその層厚を特定の範囲とすることにより調整することがより好ましい。前記ミリ波透過率は前記反射率とトレードオフの関係になるため、金属層の金属種及びその層厚を調整することが好ましい。
本実施形態の金属調加飾積層体の前記表面層側から照射された光の全光線透過率は、外光5による金属調の意匠を発現するためには、その下限値を高くすることが好ましく、ミリ波透過率を改善するためには、その上限値を低くすることが好ましい。これら要求を満たすためには、本実施形態の金属調加飾積層体の前記表面層側から照射された光の全光線透過率及び前記基材層側から照射された光の正反射成分の反射率は、バランスを取ることが好ましい。
本実施形態の金属調加飾積層体の、前記表面層側から照射された光の全光線透過率が30%以下であり、前記基材層側から照射された光の正反射成分の反射率が20%以上であることが好ましい。
前記全光線透過率は、1%以上30%以下とすることが好ましく、5%以上25%以下とすることがより好ましく、7%以上23%以下とすることが更に好ましく、8%以上18%以下とすることがより更に好ましく、10%以上16%以下とすることが特に好ましい。
前記反射率は、20%以上70%以下とすることが好ましく、30%以上65%以下とすることがより好ましく、38%以上63%以下とすることが更に好ましく、40%以上60%以下とすることがより更に好ましく、45%以上55%以下とすることが特に好ましい。
前記表面層側から照射された光の全光線透過率及び前記基材層側から照射された光の正反射成分の反射率は、例えば実施例に記載の方法で測定することができる。
前記表面層側から照射された光の全光線透過率及び前記基材層側から照射された光の正反射成分の反射率は、後記するその他の層を含む場合には、その層厚及びその素材、更に前記金属調加飾積層体が更に色素を含有する場合には、色素の種類及び添加量によっても調整することができる。
本実施形態の金属調加飾積層体は、後記する表面層、金属層及び基材層のみをこの順に含んでいてもよいが、更に後記する接着層及び/又はその他層をさらに含んでいてもよく、前記金属層と前記基材層の間に、更に接着層を含んでいてもよい。
本実施形態の金属調加飾積層体を物品に設置して、後記する金属調物品とした場合には、前記基材層が物品側であることが好ましく、前記表面層が、観測者側であることが好ましく、表面層が、金属調物品の最表面となることが好ましい。
<金属層>
本実施形態の金属調加飾積層体が含む金属層は、前記金属層反射光6及び/又は積層体透過光9により、優れた意匠性を発現するとともに、優れたミリ波透過性を発現することが出来る金属により形成された層であれば、特に限定されない。前記金属は、金属単体であっても、合金であってもよく、意匠性に着目すると、充分な金属光沢を金属調加飾積層体に付与することができる金属が好ましく、成形性に着目すると展性に優れた金属であることが好ましい。前記金属としては、アルミニウム、インジウム、クロム、亜鉛、ガリウム、ニッケル、錫、銀、金、ケイ素、クロム、チタン、白金、パラジウム、ニッケル、ステンレススチール及びハステロイ等並びにこれらの合金からなる群から選択される1種又は2種以上が好ましい。
これら金属の中でも、特にインジウム、錫又はこれらの合金は、深絞りの立体成形を行う場合に好ましく、特にインジウム又はインジウム合金を用いることにより、金属調物品とした場合に、成形体の種々の形状に追従しつつ、優れた意匠性を発現するため好ましく、前記金属層はインジウムを含有することが好ましい。
更に、金属層が99.9%以上の高純度のインジウムからなるものであると、深絞りがあり、かつ、曲率半径の極めて小さい成形体の成形に応用することができるため、より好ましい。なお、通常の深絞り成形体を成形する場合、アルミニウム、亜鉛、ガリウム、ニッケル、錫、銀、金、ケイ素、クロム、チタン、白金、パラジウム、ニッケル、ステンレススチール及び/又はハステロイ等を、インジウムと混合した混合物として用いてもよく、これらの金属をインジウムと合金化して用いてもよい。特に、インジウムや錫とこれらの金属や、インジウム錫合金は、優れた意匠性を発現するため好ましい。
前記金属層は、均一な層であってもよく、金属の島構造が連続して存在した層状であってもよい。図3は、表面層10に金属を真空蒸着して、金属の島構造31となり、これが平面上に連続して金属層30を形成している模式図である。真空蒸着した際の海構造は、金属が付着していない表面層10となる。金属層が、金属粒子が互いに離れ、隙間を有する海島構造であることにより、深絞りの立体成形を行っても、白化現象等を防止し、金属光沢を保持することができるため好ましい。図3は、金属層30上に更に接着層50を形成した状態を表している。
前記金属層の層厚は、特に限定されないが、前記金属層反射光による意匠性発現のためには下限値は大きい方が好ましく、また金属層の経時による退色を軽減するには5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることが更に好ましく、30nm以上であることがより更に好ましく、前記積層体透過光9による意匠性発現のため及びミリ波透過性を向上させるためには上限値は小さい方が好ましく、200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、120nm以下であることが更に好ましく、100nm以下であることがより更に好ましい。
前記効果のバランスを取るためには、5nm以上200nm以下であることが好ましく、10nm以上150nm以下であることがより好ましく、20nm以上120nm以下であることが更に好ましく、30nm以上100nm以下であることがより更に好ましい。
金属層の単位面積当たりの金属量及び層厚は、金属層の製造時の条件等により調整することが可能である。詳細は後記する。
<表面層>
前記表面層は、ポリウレタン系樹脂を含有することを要する。
前記表面層は、金属調物品とした際に前記金属層より観測者側となることが好ましい層である。前記表面層は、金属層が視認できるよう透明性を有し、耐擦傷性及び耐候性を有し、金属調物品を成形する際の温度に耐えられるものであることが好ましい。透明性の目安としての全光線透過率は、85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、上限値は意匠性を発現すれば特に制限はないが、100%以下であることが好ましいが、96%以下であることが一般的である。
表面層は、透明度や色調等を調整するべく、各種の色素や顔料等を含んでもよく、また、染料によって染色されていても良い。さらに、表面層には予め所望の印刷がされてあっても良い。ポリカーボネート系樹脂は、難燃性の樹脂であり、透明性も高いため、金属層による意匠の発現の妨げとならない。また、耐擦傷性に優れ、加えてUV光や酸素による劣化が抑えられ、黄変等による意匠性の劣化を抑制できるため好ましい。
詳細は後記するが、表面層は、後記する保護層上に積層し、その後金属層を積層することにより得ることができ、金属層を保持する役割を有している。
前記表面層の層厚は、加飾シートとして一般的な厚さとすることができるが、耐擦傷性を向上させるため、積層加工をする時にしわ等の瑕疵の発生を抑制するためには下限値以上とすることが好ましく、成形加工時の金属調加飾積層体の破断を抑制するため及び金属調加飾積層体の成形性を向上させるためには上限値以下であることが好ましく、20μm以上500μm以下が好ましく、50μm以上300μm以下がより好ましく、80μm以上200μm以下が更に好ましく、100μm以上150μm以下がより更に好ましい。
前記ポリウレタン系樹脂は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂であることが好ましい。
<<ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂>>
前記ポリカーボネート系ポリウレタンは、ポリカーボネート系ポリオール及びポリイソシアネート化合物の反応物で、カーボネート基を主骨格とする樹脂であり、ポリカーボネートが難燃性を発揮し、ポリウレタンが硬度を発揮する。
前記ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂は、熱硬化性ポリカーボネート系ポリウレタンと、カルボジイミドを含む硬化物であることが好ましく、更にシリコーン系界面活性剤を含むことが好ましい。
(熱硬化性ポリカーボネート系ポリウレタン)
加熱により重合硬化するポリウレタンであり、例えば、熱硬化性ポリカーボネート系ポリウレタンディスパージョンの溶剤が揮発し、さらに加熱により重合硬化した乾燥硬化物が挙げられる。
(カルボジイミド)
カルボジイミドをポリカーボネート系ポリウレタン樹脂に含有しておくことで、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の耐候性を向上させることができるため好ましい。
また、カルボジイミドを含めることにより、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の耐薬品性を向上させることができる。
カルボジイミドとしては、熱硬化性ポリカーボネート系ポリウレタンと相溶するものを採用ことが好ましい。両方の樹脂と相溶するカルボジイミドを用いることにより、前記金属調加飾積層体の全光線透過率が向上するため好ましい。このような相溶性のあるカルボジイミドとしては、例えば、分子中にカルボジイミド基を有するポリカルボジイミドを用いることができる。
熱硬化性ポリカーボネート系ポリウレタンと、カルボジイミドの混合物が乾燥、硬化して前記表面層となることで、前記金属調加飾積層体は、意匠性、耐擦傷性、耐候性、ミリ波透過性及び成形性のうち少なくとも2つが優れることとなる。
(ポリウレタンとカルボジイミドとの質量比)
カルボジイミドが少ない場合には、耐アルカリ性等の耐薬品性を向上させる効果が発揮されないおそれがあり、カルボジイミドが多い場合には、ポリウレタンの特性を阻害し、耐アルカリ性等の耐薬品性を低下させてしまう恐れがある。前記の観点から、熱硬化性ポリカーボネート系ポリウレタンの樹脂成分の合計10質量部に対し、カルボジイミド0.30質量部以上0.95質量部以下とすることが好ましく、0.40質量部以上0.90質量部以下とすることがより好ましい。
前記表面層を金属調加飾積層体の最表面として使用する場合には、必要に応じて、その表面をエンボス加工等により様々な柄を施してもよく、微細な凹凸を設けることで、マット感を付与してもよい。また、ヘアライン加工によりヘアライン状の意匠を付与してもよい。
<基材層>
前記基材層は、ポリカーボネート系樹脂を含有することを要する。ポリカーボネート系樹脂を含有していればよく、一般に入手可能なポリカーボネート系樹脂フィルムを使用することができる。
前記基材層は、前記金属層と直接接していてもよいが、後記する接着層を介して張り合わされていてもよい。
また、基材層の層厚は、金属調加飾積層体として一般的な層厚であればよく、成膜時にしわ等の瑕疵が発生を抑制し、金属調物品の成形加工時に金属調加飾積層体の破断等を抑制するために、10μm以上1000μm以下であることが好ましく、50μm以上700μm以下であることがより好ましく、100μm以上500μm以下であることが更に好ましく、150μm以上300μm以下がより更に好ましい。
前記基材層はミリ波透過性の観点から透明性が高い方が好ましい。透明性の目安としての全光線透過率は、85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、上限値は意匠性を発現すれば特に制限はないが、100%以下であることが好ましいが、96%以下であることが一般的である。
<<その他層>>
前記金属調加飾積層体は、更にその他層を含んでいてもよい。
前記その他の層として、必要に応じて、接着層、透明樹脂層、プライマー層等を含んでいてもよい。
前記その他層はミリ波透過性の観点から透明性が高い方が好ましい。透明性の目安としての全光線透過率は、85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、上限値は意匠性を発現すれば特に制限はないが、100%以下であることが好ましいが、96%以下であることが一般的である。
<<接着層>>
前記接着層は、接着性を発現する樹脂成分を含有する層である。
前記接着層は、前記金属層と前記基材層の間に存在しそれらを接着するための層であることが好ましい。
前記接着層は、色素を含有していてもよい。色素を含有することで、図2に示した光源7からの光が、金属層を透過する際のカラーシフトを補正することができる。
前記接着層が含む接着性を発現する樹脂成分は、金属層及び基材層との接着性に優れている接着剤を用いることが好ましい。このような接着剤としては、ポリウレタン系、ポリ酢酸ビニル系、エチレン酢酸ビニル共重合体系、ポリビニルアルコール系、エポキシ系、シリコーン系等の各樹脂から選ばれた1種、あるいは2種以上の混合物が挙げられる。例えば、意匠性、耐候性、透明性や接着性、成形時の温度に耐えられる耐熱性等を考慮すると、ポリウレタン系接着剤を用いることができる。
前記ウレタン系接着剤は、ポリエステル系ジオールと、ポリカーボネート系ジオールと、脂肪族イソシアネートとの反応物であり、カルボジイミドと、エポキシ基を有するシランカップリング剤を含むことが好ましい。
前記接着層を形成する方法は、特に限定されない。例えば、使用に際しては適宜溶剤を用いて、あるいは、エマルジョンとして、グラビアコーター、リバースコーター、ナイフコーター、ロールコーター等の公知の手段により、金属層及び/又は基材層に適量を塗布し、必要により乾燥して、前記接着層を形成することができる。
前記接着層の層厚としては、金属調加飾積層体として一般的な層厚とすることができる。例えば、1μm以上20μm以下とすることが好ましく、意匠性、耐候性、接着性や乾燥時間、コスト等を考慮すると、2μm以上8μm以下とすることがより好ましく、3μm以上7μm以下とすることが更に好ましい。
(色素)
前記の表面層、基材層及び/又はその他層は、前記金属調加飾積層体が目的の金属調意匠を発現する範囲で色素を含有していてもよい。前記色素は特に限定されず、可視光を吸収するものであれば染料又は顔料であってもよく、無機化合物又は有機化合物であってもよく、天然色素又は合成色素であってもよい。特に屋外で使用され耐候性が要求される場合には、合成顔料であることが好ましい。より具体的には、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料;イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(染料も含む);アルミニウム、真鍮等の金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料などが好ましく挙げられる。色素を含有する層は、金属層反射光6を透過させる必要があるため、着色態様としては透明着色である必要がある。
各層中の色素の合計の含有量は、必要に応じ決定されればよいが、各層の3.0質量%以下であることが好ましい。
(金属調加飾積層体の積層構成)
金属調加飾積層体の積層構成の具体例としては、例えば、下記(1)~(2)が挙げられる。なお、「/」は各層の境界を意味する。また、右側が図2の観測者4側、左側が光源7側を意味する。
(1)基材層/金属層/表面層
(2)基材層/接着層/金属層/表面層
〔多層積層体〕
本実施形態の多層積層体は、前記金属調加飾積層体の前記表面層の金属層とは逆側に、更に表面保護層を含むことを要する。更に前記金属調加飾積層体の前記基材の金属層とは逆側に含んでいてもよい。前記基材層と前記表面保護層の間に、後記する剥離層を有する場合には、前記基材層と剥離層の間に、前記接着層を含んでいてもよい。
<表面保護層>
前記表面保護層は、前記金属調加飾積層体を保管及び運搬等の際にその表面を汚れや傷等から保護するための層である。ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂等の汎用のフィルムを使用することができる。表面保護層上に表面層を形成する場合には、APET樹脂やMPET樹脂等の、通常のポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)等を用いることが好ましい。表面保護層の層厚は、その要求に合わせ適宜選択することができる。
前記多層積層体は、前記金属調加飾積層体と保護層の間に更に剥離層を有していてもよい。本開示における剥離層は、金属調加飾積層体から保護層を剥離するために設けられる層であり、保護層とともに金属調加飾積層体から剥離される層である。剥離層は、剥離性を向上させるために、離型剤が用いられる。離型剤としては、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース樹脂系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤、アクリル樹脂系離型剤、及びこれらの複合型離型剤等の離型剤が好ましく、シリコーン系離型剤がより好ましい。
(多層積層体の積層構成)
多層積層体の積層構成の具体例としては、例えば、下記(1)~(3)が挙げられる。なお、「/」は各層の境界を意味する。また、右側が図2の観測者4側、左側が光源7側を意味し、金属調加飾積層体の方向を明確にするため、(基材層側)及び(表面層側)の記載をした。
(1)保護層/(基材層側)金属調加飾積層体(表面層側)/保護層
(2)(基材層側)金属調加飾積層体(表面層側)/保護層
(3)保護層/(基材層側)金属調加飾積層体(表面層側)
〔金属調物品〕
本実施形態の金属調物品は、前記金属調加飾積層体を含むことを要する。
本実施形態の金属調物品は、例えば後記する製造方法により前記金属調加飾積層体を用いて製造されたものであり、目的に応じて所望の形状に成形されたものである。例えば、スマートフォン、携帯電話の筐体、自動車用バンパー、エンブレム、ドアミラーハウジング、フロントグリル、ドアハンドル、センターホイールキャップ、エンブレム、オーナメント、ガーニッシュ、ランプリフレクター、センターコンソール、インストールパネル等、パソコンやTV、家電の筐体や装飾部分、パチンコ、パチスロ、ゲーム機等の筐体や装飾部分、あるいは一般用途としてキャリーバックやスーツケース等に用いられ、メッキや金属材料に代えて金属調の装飾性や意匠性を付与することができる。
特に本実施形態の金属調加飾積層体は、金属調の意匠を物品に付与するだけではなく、物品に対して、耐薬品性及び耐候性を付与するものである。本開示において、「物品」とは、金属調物品の前駆体であり、前記加飾積層体により加飾することで、金属調物品となるものである。
本実施形態の金属調物品は、上記の構成に加え、他の構成を備えてもよい。例えば、本実施形態の金属調物品を使用するまでの間、保護層や基材層の表面を清浄な状態に維持し、汚れが付くのを防止するため、保護層として離型紙や保護フィルム等を保護層や基材層の表面に含むことができる。
〔金属調加飾積層体の製造方法〕
以下、前記金属調加飾積層体の製造方法について記載するが、これに限定されるものではない。
前記金属調加飾積層体の製造方法は、保護層に表面層を形成すること、表面層に金属層を形成すること、金属層上に接着層を形成すること、接着層に基材層を接着すること、を含むことが好ましい。
保護層に必要に応じて剥離剤を塗布した後、表面層形成用の塗液を塗布し、乾燥した後、固化して表面層を形成する。
得られた表面層に金属層を形成するが、このような金属層を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法またはイオンプレーティング法等が挙げられ、真空応用技術等の通常の方法で金属層を形成することができる。
金属層の形成は、例えば真空蒸着により実施できる。本工程は、1.33×10-3Pa以上1.33×10-2Pa以下の圧力条件下で、温度が-5℃以上5℃以下のロールに沿った表面層をインジウム蒸気流中に露出させて、表面層にインジウムを蒸着した金属層を形成する。蒸発源るつぼよりインジウムを気化させて、インジウムの蒸気流を発生させる。この状態で表面層の表面にインジウムの蒸気流が付着し、インジウムが冷却されて金属層が形成される。蒸気源るつぼの温度、真空蒸着装置内の圧力、表面層のインジウム蒸気の暴露時間等を制御することにより、金属層の層厚は制御することができる。金属層は、表面層上にインジウムの島構造が形成される。
前記金属層上に、接着層形成用の塗液を塗布し、乾燥した後、必要に応じて保護層を備えた基材層(保護層を有する場合には基材層と接着層)に貼り合わせ接着する。この接着により、金属層と基材層の間に、接着層が形成される。
必要に応じて、保護層を剥離して、本実施形態の金属調加飾積層体が製造できる。前記表面層形成用の塗液、前記接着層形成用の塗液及び前記剥離剤は、前記した樹脂成分、その他成分及び溶剤を更に含んでいてもよい。
前記溶剤としては、一般に当該分野において溶剤として使用されるものであればよい。溶剤としては、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒等の極性溶媒;炭化水素系溶媒、芳香族系溶媒等の非極性溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒等を選択し得るが、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒等の極性溶媒が好ましい。
前記塗布は、前記塗液を前記基材に、グラビアコーター、リバースコーター、ダイコーター、ナイフコーター、ロールコーター等の公知の手段により行うことができる。
[金属調物品の製造方法]
前記金属調加飾積層体を用いた金属調物品は、例えば以下の方法により製造することができる。
例えば、前記金属調物品の製造方法は、表面温度を150℃以上200℃以下とした前記金属調加飾積層体を、型に密着させて金属調加飾積層体を含む金属調物品を得る成形工程を含む。
(成形工程)
金属調加飾積層体を熱成形するべく、金属調加飾積層体の表面温度を150℃以上200℃以下とすることで、成形中に金属調加飾積層体がドローダウンせず、白化現象等も発生しないため、良好な成形性を満足することができる。かかる表面温度が150℃以上であることにより、金属調加飾積層体が十分に軟化し、ドローダウン現象により金属調加飾積層体が垂れて変形することにより加工や成形が容易にできる。また、かかる表面温度が200℃以下であることにより、金属調加飾積層体が溶融状態となることで軟化しすぎて成形が困難となる場合や、白化現象等が発生しやすくなる場合を防止することができる。
金属調加飾積層体を密着させる型の形状は、金属調物品を所望の形状に成形することができるよう、任意の形状とすることができる。例えば、真鍮の表面をクロムメッキした雄型や雌型等の金型を用いることができる。また、型の温度は、金属調加飾積層体の表面温度の制御や、成形工程後の金属調物品の冷却条件の制御を考慮して、任意の温度に設定することができる。
金属調加飾積層体を型に密着させる方法としては、雌型を用いるストレート成形や、雄型を用いるドレープ成形、プラグ(補助型)を用いるプラグアシスト成形等、成形の容易性やコスト等を考慮して任意の方法を採用することができる。また、金属調加飾積層体を型へ吸引する真空成形法や、圧縮空気圧力で金属調加飾積層体を型へ密着させる圧空成形法を採用することができる。例えば、真空及び/又は圧空により金属調加飾積層体を型に密着させることにより、金属調加飾積層体と型との密着性が向上するため、より精密な形状に加工することができる。
(クランピング工程)
本発明の金属調物品の製造方法は、成形工程の前に、金属調加飾積層体をクランプするクランピング工程を含むことができる。この工程により、成形する際に金属調加飾積層体が弛まないように調整し固定することができる。クランプは、例えば金属調加飾積層体の両面を把持することの出来る把持手段を複数用いて、例えば金属調加飾積層体の両端を把持することにより行うことができる。金属調加飾積層体の把持は、金属調加飾積層体の両端に限定されず、金属調加飾積層体の任意の部分を把持することができる。通常は、金属調物品を連続生産する場合は、金属調加飾積層体の幅方向の両端部を把持することができる。また、金属調加飾積層体を所定の長さに切断した四角形状ものを用いて金属調物品をバッチ生産する場合には、4辺の端部を上下の枠で把持することができる。
(加熱工程)
また、本発明の一実施形態にかかる金属調物品の製造方法は、前記クランピング工程後に金属調加飾積層体を加熱する加熱工程を含むことができる。例えば室温の金属調加飾積層体をクランプして弛まないように調整した後、加熱手段として複数のヒーター等を用いて、これらのヒーター等を金属調加飾積層体の上下に配置し、金属調加飾積層体の両面を同時に均一に加熱することができる。この加熱工程により、金属調加飾積層体の表面温度を150℃以上200℃以下に制御することができる。
(その他の工程)
金属調物品の製造方法は、上記の工程に加え、さらに他の工程を含んでもよい。例えば、金属調物品を次工程で加工するまでの間、表面層や基材層の表面を清浄な状態に維持し、汚れが付くのを防止するため、保護フィルム等を表面層や基材層の表面に貼り付ける貼り付け工程を含むことができる。さらに、金属調物品を射出成形金型に挿入後、樹脂を射出するインサート射出成形を行い、射出成形体の表面に加飾を施すことができる。
射出成形は、一般的な射出成形機を用いて行うことができる。使用する樹脂としては、熱可塑性樹脂であるポリカーボネートを使用することができる。ポリカーボネートを溶融させて、表面層の表面と射出成形金型との間に注入し、樹脂層を形成することができる。
また、射出成形体の製造方法としては、射出成形工程の前に金属調物品を任意の形状となるようにトリミングするトリミング工程や、射出成形工程後に成形品を冷却する冷却工程、冷却工程後に成形品を射出成形金型より取り出す取り出し工程等を、さらに含むことができる。
本実施形態の金属調加飾積層体並びに前記金属調加飾積層体を含む多層積層体及び金属調物品は、下記の[1]~[6]が好ましい。
[1] 表面層と、
金属層と、
基材層と、をこの順に含み、
前記表面層が、ポリウレタン系樹脂を含有し、
前記基材層が、ポリカーボネート系樹脂を含有する、金属調加飾積層体。
[2] 前記金属層と前記基材層の間に、更に接着層を含む、[1]に記載の金属調加飾積層体。
[3] 前記金属層が、インジウムを含有する、[1]又は[2]に記載の金属調加飾積層体。
[4] 前記表面層側から照射された光の全光線透過率が30%以下であり、前記基材層側から照射された光の正反射成分の反射率が20%以上である、[1]~[3]のいずれか1に記載の金属調加飾積層体。
[5] [1]~[4]のいずれか1に記載の金属調加飾積層体の、前記表面層の金属層とは逆側に、更に表面保護層を含む、多層積層体。
[6] [1]~[4]のいずれか1に記載の金属調加飾積層体を含む、金属調物品。
以下、本発明について、実施例を用いて更に具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(評価方法)
1.全光線透過率
金属調加飾積層体の全光線透過率の測定は、測定波長380nm以上780nm以下の光を照射して、分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス社製、UH4150)を用い、JISK7375:2008に準拠して行った。測定値には2%以下の測定誤差が含まれる。
2.正反射成分の反射率(正反射率)
金属調加飾積層体の基材層側から、コニカミノルタCM3600Aを用いて波長380nm~700nmの光を照射し、正反射率を測定した。測定値には10%以下の測定誤差が含まれる。
3.耐擦傷性の評価
金属調加飾積層体の表面層の表面を試験対象面とし、欧州自動車規格TL226の条件に基づき、直径15mmの端子にガーゼ(白十字株式会社製、カナキン3号に対応)を巻
き付けたものを、荷重900gで表面層10に押し付けて、押し付けたガーゼをストローク10cmで60往復/分の条件で2000往復させた。
前記ガーゼにより処理後の金属調加飾積層体を用いて、前記の全光線透過率を測定し、ガーゼによる処理の前後で全光線透過率の差により耐擦傷性を下記のように評価した。表2には、ガーゼによる処理後の全光線透過率の値を記載した。
A:ガーゼによる処理の前後で全光線透過率の差が1ポイント未満である(合格)。
B:前記差が、1ポイント以上3ポイント未満である(不合格)。
C:前記差が、3ポイント以上(不合格)。
4.ヒートサイクル試験(ヒートサイクル)
以下のサイクルで温度を変化させた環境下に試料をおいてサイクル試験を行い、サイクル試験後に後記する方法により付着性試験を行った。外観に変化がないことやシートの剥離等の不具合がないことを確認した。評価は下記のA~Cとした。
A:格子の目の剥離がなく(0/100)、目視評価において、白濁等の表面変化の有無を確認し、表面変化がない場合に耐ヒートサイクル性がとてもあるとした。
B:格子の目の剥離がなく(0/100)、表面変化がわずかに確認された場合に耐ヒートサイクル性があるとした。
C:格子の目の剥離があるか、大きな表面変化が確認された場合に耐ヒートサイクル性がないとした。
ヒートサイクルは、-30℃(7.5時間)→25℃(0.5時間)→80℃(15.5時間)→25℃(0.5時間)→-30℃(7.5時間)→25℃(0.5時間)→50℃・95%RH(15.5時間)→25℃(0.5時間)として、以上のサイクルを8サイクル行った。
付着性試験はJIS K 5600の碁盤目試験に基づいて行なった。ニチバンテープに2mm間隔で100升目にカットしたものを用いた。
5.ミリ波透過性
KEYCOM社製RAS(SM5899)を使用して、金属調加飾積層体における、周波数76.5GHzのミリ波透過減衰量を測定した。金属調加飾積層体を、ミリ波が金属層の基材層側から透過するように、前記装置へセットした。測定は、250回行い、250回の測定値の絶対値の平均値を透過減衰量(dB)とした。ミリ波透過性の評価は、次のA~Cで評価した。
A:2dB以下 優れている。
B:5dB未満 実用には問題がないレベル。
C:5.00dB以上 十分なミリ波透過性を有していない。
6.意匠性評価
実施例、比較例で得られた金属調加飾積層体を表面層側からの反射光を目視により観測し、更に基材層側から照射された光の透過光を表面層側から目視により観測した。意匠性は次のA又はCと評価した。
A:優れた意匠を呈している。
C:目的とした意匠性を発現していない。
7.成型性評価
各実施例、比較例で得られた金属調加飾積層体を用いて作成した金属調物品について、成型工程後の金型のコーナー部における積層体の延伸された部分(延伸前の200%の延伸)の白濁の有無を目視観察により、成形性としてA又はCと評価した。
A:白濁は認められず、クラックや破れ等が見られない。
C:白濁が認められる、又はクラック又は破れが発生している。
(使用材料)
1.保護層及び表面層
保護層であるPETフィルム(G2000(東洋紡株式会社製)、層厚:50μm)に、表面層形成用塗液(水性ポリウレタンディスパージョン(UW5002(UBE株式会社製))を21g、水性ポリウレタンディスパージョン(UW5502(UBE株式会社製))を9g、シリコーン系界面活性剤(BYK-345(BYK社製))を0.3g、水を6gの割合で混合して表面層形成用塗液を得た。)に塗布して、150℃で3分間乾燥させ、表面層(層厚:20μm)を有する保護層を得た。
2.ポリカーボネートフィルム(基材層)
PC-11FU(株式会社ウェーブロック・アドバンスト・テクノロジー)
層厚:500μm
3.接着層形成用塗液
主剤:TM-K51(東洋モートン株式会社製)、ポリオール成分 14.25g
硬化剤:CAT-RT85(東洋モートン株式会社製)、イソシアネート換算で3.21g
ポリカーボネートジオール:T5652(旭化成株式会社)、0.75g
接着性付与剤:KBM403(信越化成工業株式会社製)、0.50g
カルボジイミド:V-07(日清紡ケミカル株式会社製)、0.17g
溶剤:酢酸エチル、11g
(実施例1)
前記表面層を有する保護層の表面層に、真空蒸着法によりインジウムを蒸着して、光線透過率が12%となるようにドライコーティングを行った。得られた金属層上に、前記接着層形成用塗液を乾燥膜厚の目安が10μmとなるように、ダイコーターで塗布し、塗布物を80℃で2分乾燥後、金属層とポリカーボネートフィルムと重ね合わせてラミネートした。その後、室温にて5日間、40℃にて5日間養生した。その後、保護PET層を剥離し、金属調加飾積層体(1)を製造した。層構成を表1に記載した。
前記金属調加飾積層体(1)を用いて、圧空成型機を使用し、前記金属調加飾積層体(1)の基材層が物品側となるよう、テスト用金型にクランピングした後、予備賦形温度200℃、圧空の圧力を6barとして、射出成形体用の金型に合うように金属調加飾積層体(1)をプレフォーム成形し、金型からはみ出すような不要な部分をトリムカットして、前記表面層が最表面となる金属調物品(1)を製造した。
製造した金属調加飾積層体(1)及び金属調物品(1)について、全光線透過率、正反射率、耐擦傷性の評価、ヒートサイクル試験、ミリ波透過性、意匠性評価及び成型性評価を行い、その結果を比較例とともに表2に記載した。
(比較例1)
実施例1において製造した金属調加飾積層体(1)を用い、ポリカーボネートフィルムを表面層とし、最表面がポリカーボネートフィルムとなる金属調物品(2)を製造した。層構成を表1に記載した。
(比較例2)
実施例1において前記表面層を有する保護層を、前記PETフィルムを用い、前記PETフィルムの表面層に、真空蒸着法によりインジウムを蒸着して、光線透過率が16%となるようにドライコーティングを行った。得られた金属層上に、前記接着層形成用塗液を乾燥膜厚の目安が10μmとなるように、ダイコーターで塗布し、塗布物を80℃で2分乾燥後、金属層とポリカーボネートフィルムと重ね合わせてラミネートした。その後、室温にて5日間、40℃にて5日間養生して、金属調加飾積層体(2)を製造した。層構成を表1に記載した。
前記金属調加飾積層体(2)を用いて、圧空成型機を使用し、前記金属調加飾積層体(2)のポリカーボネートフィルムが物品側となるよう、テスト用金型にクランピングした後、予備賦形温度200℃、圧空の圧力を6barとして、射出成形体用の金型に合うように金属調加飾積層体(2)をプレフォーム成形し、金型からはみ出すような不要な部分をトリムカットして、前記表面層が最表面となる金属調物品(3)を製造した。
表2に示す実施例1の結果より、本開示の金属調加飾積層体及びそれを用いた金属調
物品は、成形性に優れ、優れたミリ波透過性、耐擦傷性及び意匠性を有することが分かった。
これに対して比較例1及び2の金属調加飾積層体及びそれを用いた金属調物品は、耐擦傷性において大きく劣ることが分かった。
(実施例2)
前記実施例1において、接着層形成用塗液に、前記接着層形成用塗液を100質量部としたときに、黒色顔料(MHIブラック#C004(御国色素株式会社製))を2.0質量部添加して接着層形成用塗液とした以外は同様にして、金属調加飾積層体(2)を製造した。更に前記金属調加飾積層体(2)を用いて、金属調物品(2)を製造した。
これらは、前記金属調加飾積層体(1)及び金属調物品(1)と同様に、優れた耐擦傷性及び成型性を有していることが確認できた。また、前記金属調加飾積層体(1)とは異なり、金属調を有する黒色の意匠が発現することが確認された。
(実施例3)
前記実施例1で用いられた、前記表面層を有する保護層の表面層上に、更にプライマー層を形成した。プライマー層上に実施例1と同様に真空蒸着法によりインジウムを蒸着して、金属層を形成した。以降は実施例1と同様にして、金属調加飾積層体(3)を製造した。更に前記金属調加飾積層体(3)を用いて、金属調物品(3)を製造した。
前記金属調加飾積層体(3)は、ヒートサイクル試験において、前記金属調加飾積層体(1)より更に優れた結果が得られた。
本実施形態の金属調加飾積層体及び金属調物品は、成形性に優れ、優れたミリ波透過性、耐擦傷性及び意匠性を有するため、自動車、家電、情報端末等に好適に用いられる。
1:金属調加飾積層体
2:金属積層体
3:多層積層体
4:観測者
5:外光
6:金属層反射光
7:光源
8:照射光
9:積層体透過光
10:表面層
30:金属層
31:金属の島構造
50:接着層
60:基材層
70:保護層
71:保護層
100:厚さ方向
110:幅方向
120:長手方向

Claims (8)

  1. 表面層と、
    金属層と、
    基材層と、をこの順に含み、
    前記表面層が、ポリウレタン系樹脂を含有し、
    前記基材層が、ポリカーボネート系樹脂を含有し、
    前記基材層の層厚が、10μm以上1000μm以下であり、
    前記表面層側から照射された光の全光線透過率が30%以下であり、前記基材層側から照射された光の正反射成分の反射率が20%以上である、金属調加飾積層体。
  2. 前記金属層と前記基材層の間に、更に接着層を含む、請求項1に記載の金属調加飾積層体。
  3. 前記金属層が、インジウムを含有する、請求項1又は2に記載の金属調加飾積層体。
  4. 前記金属層が、金属の島構造が連続して存在した層状である、請求項1又は2に記載の金属調加飾積層体。
  5. 前記表面層の層厚が、20μm以上500μm以下である、請求項1又は2に記載の金属調加飾積層体。
  6. 前記ポリウレタン系樹脂が、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂である、請求項1又は2に記載の金属調加飾積層体。
  7. 請求項1又は2に記載の金属調加飾積層体の、前記表面層の金属層とは逆側に、更に表面保護層を含む、多層積層体。
  8. 請求項1又は2に記載の金属調加飾積層体を含む、金属調物品。
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