定義
本発明の対象に関連する様々な用語は、上述、並びに明細書及び特許請求の範囲において使用している。本発明の明細書における用語「~から成る」及び「~から成っている」は、「~から成るが、これに限定されない」と解釈する。前記用語は、「~のみから成る」と解釈することを意図したものではない。
本発明の目的にとって、用語「発光」及び「生物発光」は相互に置換可能であり、酵素ルシフェラーゼにより触媒される化学反応の過程での光放出現象を意味する。
タンパク質の活性に関連する用語「反応可能である」、「反応を促進する」等は、当該タンパク質が、指示された反応を触媒する酵素であることを意味する。
本発明の目的にとって、用語「ルシフェラーゼ」とは、分子酸素により化合物(ルシフェリン)の酸化を触媒し、酸化反応が光放出(発光又は生物発光)及び酸化ルシフェリンの形成を伴うようにする能力を有するタンパク質を意味する。
本発明の目的にとって、用語「真菌ルシフェリン」は、下記構造式を有する複数の6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンの群から選択される化合物を意味する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
真菌ルシフェリンは、下記に「光放出を伴って真菌ルシフェリンを酸化できるルシフェラーゼ」等で言及されるルシフェラーゼの群により酸化される。このようなルシフェラーゼは生物発光性真菌において見出されたものであり、例えば、2017年1月30日出願のロシア特許第2017102986/10号(005203)明細書に記載されている。本発明の方法及び組合せに有用なルシフェラーゼのアミノ酸配列は、以下の配列番号群:80、82、84、86、88、90、92、94、96、98から選択されるアミノ酸配列とほぼ類似又は同一である。本発明の多くの実施形態で、本発明の目的に有用なルシフェラーゼは、以下の配列番号群:80、82、84、86、88、90、92、94、96、98から選択されるアミノ酸配列に、少なくとも40%同一、例えば、少なくとも45%同一、又は少なくとも50%同一、又は少なくとも55%同一、又は少なくとも60%同一、又は少なくとも70%同一、又は少なくとも75%同一、又は少なくとも80%同一、又は少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を特徴とする。多くの場合、ルシフェラーゼは、以下の配列番号群:80、82、84、86、88、90、92、94、96、98から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の同一性又は100%の同一性)を有するアミノ酸配列を特徴とする。
真菌ルシフェリンの酸化は、化学式6-アリール-2-ヒドロキシ-4-オキソヘキサ-2,5-ジエノン酸及び下記構造式を有する生成物である「真菌オキシルシフェリン」を生成する。
用語「真菌プレルシフェリン」又は単なる「プレルシフェリン」は本明細書では、下記構造式を有する複数の6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンの群から選択される化合物を指すために使用する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。プレルシフェリンは本発明の酵素により触媒する化学反応で真菌ルシフェリンに変換される。
用語「プレルシフェリンの前駆体」は本明細書では、下記構造式を有する複数の3-アリールアクリル酸の群に属する化合物を指すために使用する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。プレルシフェリンは本発明の酵素により触媒する化学反応の過程で3-アリールアクリル酸から形成する。
真菌ルシフェリンの例を表1に示す。真菌ルシフェリン関連プレルシフェリン、オキシルシフェリン、及びプレルシフェリンの例を表2に示す。
用語「アリール」又は「アリール置換基」は、5~14個の環員を含む単一又は融合炭素環式の環系における芳香族ラジカルを指す。好ましい実施形態では、環系は、6~10個の環員を含む。また、1個以上の水素原子は、アシル基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキル基、アルキニル基、アミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アジド基、カルバモイル基、カルボアルコキシ基、カルボキシ基、カルボキシアミド基、カルボキシアミノ基、シアノ基、二置換アミノ基、ホルミル基、グアニジノ基、ハロゲン基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基、ヒドロキシ基、イミノアミノ基、一置換アミノ基、ニトロ基、オキソ基、ホスホンアミノ基、スルフィニル基、スルホンアミノ基、スルホニル基、チオ基、チオアシルアミノ基、チオウレイド基、又はウレイド基から選択される置換基と置換できる。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、及びテルフェニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。更に、本明細書で使用する用語「アリール」とは、芳香環が1個以上の非芳香環に連結している基を指す。
用語「複素環芳香族置換基」、「ヘテロアリール置換基」又は「ヘテロアリール」とは、5~15個の環員を含む単一又は融合複素環系において、O、N、S、又はSOから選択される1~4個のヘテロ原子又はヘテロ基を含む芳香族ラジカルを指す。好ましい実施形態では、ヘテロアリール環系は、6~10個の環員を含む。また、1個以上の水素原子は、アシル基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキル基、アルキニル基、アミノ基、アリール基、アリールオキシ基、カルバモイル基、カルボアルコキシ基、カルボキシ基、カルボアミド基、カルボキシアミノ基、シアノ基、二置換アミノ基、ホルミル基、グアニジノ基、ハロゲン基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基、ヒドロキシ基、イミノアミノ基、一置換アミノ基、ニトロ基、オキソ基、ホスホンアミノ基、スルフィニル基、スルホンアミノ基、スルホニル基、チオ基、チオアシルアミノ基、チオウレイド基、又はウレイド基から選択される置換基で置換できる。ヘテロアリール基の例としては、ピリジニル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、イソキノリニル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾイル基、トリアゾリル基、及びピロリル基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。更に、本明細書で使用する用語「ヘテロアリール」とは、ヘテロ芳香族環が1個以上の非芳香族環に連結されている基を指す。
化合物の名称は、本発明では国際IUPAC命名法に準拠して使用する。慣用名も(あれば)提示する。
用語「ルシフェリン生合成酵素」、又は「ルシフェリン変換の周期的ターンオーバーに関与する酵素」等は、インビトロ及び/又はインビボ系において、プレルシフェリン前駆体からプレルシフェリンへの変換、及び/又はプレルシフェリンから真菌ルシフェリンへの変換、及び/又はオキシルシフェリンからプレルシフェリン前駆体への変換を触媒する酵素を指すために使用する。用語「真菌ルシフェリン生合成酵素」は、特段の定めがない限りルシフェラーゼを対象としない。
用語「ヒスピジンヒドロキシラーゼ」は本明細書では、プレルシフェリンを真菌ルシフェリンに変換する反応、例えば、ヒスピジンから3-ヒドロキシヒスピジンを合成する反応を触媒する酵素を説明するために使用する。
用語「ヒスピジンシンターゼ」は本明細書では、プレルシフェリンの前駆体からの真菌プレルシフェリンの合成、例えば、コーヒー酸からのヒスピジンの合成を触媒できる酵素を説明するために使用する。
用語「PKS」は本明細書では、カフェイル-CoAからのヒスピジンの合成を触媒できる複数のIII型ポリケチドシンターゼの群に属す酵素を説明するために使用する。
用語「カフェイルピルビン酸ヒドロラーゼ」は本明細書では、プレルシフェリンの前駆体を形成するために、真菌オキシルシフェリンをより簡単な化合物へ分解することを触媒できる酵素を説明するために使用する。例えば、カフェイルピルビン酸をコーヒー酸へ変換することを触媒できる。
用語「機能性類似体」は本明細書では、同じ機能を果たすタンパク質、及び/又は同じ目的のために使用できる化合物もしくはタンパク質を説明するために使用する。例えば、表1に収載した全ての真菌ルシフェリンは機能上、互いに類似体である。
用語「ATP」は、細胞内におけるエネルギーの主要な担体であり、下記構造式を有するアデノシン三リン酸を指す。
用語「NAD(P)H」は本明細書では、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADPH)部位又はニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)部位を指すために使用する。用語「NAD(P)」はニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADP)又はニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)の酸化形態を指すために使用する。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドは下記式で表す。
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェートは下記式で表す。
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェートは、2つのD-リボース残基及び2つのリン酸残基から成る鎖で連結したニコチン酸アミド及びアデニンから構築されたジヌクレオチドである。NADPは、D-リボース残基の水酸基に付加したリン酸残基の存在によりNADとは異なる。どちらの化合物も自然界に広く存在し、多くの酸化還元反応に関与し、酸化した物質から受け取る電子及び水素の担体としての機能を果たす。還元形態は、受け取った電子や水素を他の物質に転移させる。
用語「補酵素A」又は「CoA」は先行技術からよく知られている補酵素を指し、これは脂肪酸の酸化又は合成、脂肪の生合成、炭水化物分解生成物の酸化的形質転換に関与し、下記構造式を有する。
用語「マロニル-CoA」は、脂肪酸の合成中に形成され、マロン酸残基を含む補酵素Aの誘導体を指し、下記式で表す。
用語「クマロイル-CoA」は補酵素Aのチオエステル及びクマル酸を指し、下記式で表す。
用語「カフェイル-CoA」は、補酵素Aのチオエステル及びコーヒー酸を指し、下記式で表す。
本明細書で使用される用語「変異体」又は「誘導体」は本発明で開示したタンパク質を指し、ここでは、1つ以上のアミノ酸を、本発明のタンパク質内のN末端配列、及び/又はC末端配列、及び/又は天然型アミノ酸配列に付加し、また/あるいはそれら配列で置換し、また/あるいはそれら配列で除去し(欠失させ)、また/あるいはそれら配列に組み込まれている(挿入されている)。本明細書で使用しているように、用語「変異体」とは、変異タンパク質をコードする核酸部位を指す。更に、本明細書で使用される用語「変異体」は、本発明で開示されるタンパク質又は核酸より短いか又は長い任意の変種を指す。
用語「相同性」は、ヌクレオチド配列とアミノ酸配列間の関係を説明するために使用し、これは、比較対象の前記配列間の同一性及び/又は類似性の程度により決定する。
本明細書で使用しているように、アミノ酸又はヌクレオチド配列は、そのアミノ酸又はヌクレオチド配列が、参照ドメイン内で選択された配列と少なくとも40%の同一性を持つのであれば、参照配列と「ほぼ同一」又は「ほぼ同じ」である。従って、ほぼ類似した配列は例えば、少なくとも40%の同一性、又は少なくとも50%の同一性、又は少なくとも55%の同一性、又は少なくとも60%の同一性、又は少なくとも62%の同一性、又は少なくとも65%の同一性、又は少なくとも70%の同一性、又は少なくとも75%の同一性、例えば、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98%又は99%の同一性)を有する配列を含む。互いに同一である2つの配列もほぼ類似している。本発明の目的にとっては、比較対象の配列の長さは、少なくとも100個以上のアミノ酸、好ましくは少なくとも200個以上のアミノ酸、例えば300個以上のアミノ酸でなければならない。特に、タンパク質の完全長アミノ酸配列を比較することが可能である。核酸の場合、比較対象の配列の長さは、少なくとも300以上のヌクレオチド;好ましくは少なくとも600ヌクレオチド、例えば900以上のヌクレオチドをでなければならない。
配列同一性率及び配列類似性の決定に適したアルゴリズムの一例として、Altschulら、Journal of Molecular Biology、1990年、第215号;p.403-410に記載のBLASTアルゴリズムが挙げられる。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、アメリカ国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から入手可能である。このアルゴリズムでは初めに、データベース配列中の同じ長さの文字列と共に配列したときにテスト配列中の長さWの短い文字列が一定の正の閾値スコアTに完全に一致するか、又は満たすかを識別することにより、高スコアのセグメントペア(HSP)を検索する。Tは、近傍文字列スコア閾値を意味する(Altschulら、1990年)。これらの初期の近傍文字列のヒットは、その文字列を含む長めのHSPの検索を開始するためのシード値として機能する。次に、これらの文字列のヒットは、累積整列化スコアが増加できる限り、各配列に沿った両方向に拡張される。ヌクレオチド配列では、累積スコアは、パラメータM(一致する残基のペアに対して設定する報酬スコア;常に>0である)及びN(一致しない残基に対して設定するペナルティスコア;常に<0である)を用いて計算する。アミノ酸配列の累積値を計算するために、スコアリングマトリクスを用いる。各方向への文字列のヒットの拡張は、累積整列化スコアがその最大達成値から量X分だけ低下したときに;又はいずれかの配列の終了に達したときに、停止する。BLASTアルゴリズムのパラメータW、T、及びXは、整列化の感度及び速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)では、デフォルトの文字列長(W)は11であり、期待値(E)は10であり、ドロップオフ(カットオフ)値は100であり、M=5及びN=-4であり、比較は両ストランドで実行する。BLASTPプログラム(アミノ酸配列用)では、デフォルトの文字列長(W)は3であり、期待値(E)は10であり、BLOSUM62スコアリングマトリクスを使用する(Henikoff及びHenikoff、Proceedings of the National Academy of Sciences、(米国)、1989年、第89号:p.10915を参照されたい)。
配列同一性率の計算に加えて、BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の統計的類似性分析も行う(例えば、Karlin及びAltschul、Proceedings of the National Academy of Sciences、(米国)、1993年、第90号:p.5873-5787を参照されたい)。類似性を決定するBLASTアルゴリズムにより提供されるパラメータの1つは、2つのヌクレオチド配列又はアミノ酸配列間の無作為な一致の確率を示す最小累積確率(P(N))である。例えば、試験核酸配列と参照核酸配列とを比較する際の最小累積確率が0.1未満、より好ましくは0.01未満、最も好ましくは0.001未満である場合、試験核酸配列は参照核酸配列と類似していると考えられる。
用語「コンセンサス配列」とは、対象の特定のタンパク質又は配列の全ての変種を比較するための参照として使用する典型的なアミノ酸配列を指す。コンセンサス配列、及びコンセンサス配列を決定するための方法は当業者にはよく知られている。例えば、コンセンサス配列は、既知の相同タンパク質の複数の比較から、関連する配列のセット全体における所与の位置で最も頻繁に発生するアミノ酸を同定することにより決定できる。
用語「保存配列」は、異なる有機体の進化の過程で完全に又はほぼ不変のままである核酸中のヌクレオチド配列又はポリペプチド鎖中のアミノ酸配列を指定するために使用する。従って、「非保存配列」とは、比較対象の生物の間で大きく異なる配列を指す。
用語「アミノ酸挿入セグメント」とは、検討中のタンパク質断片(タンパク質ドメイン、リンカー、コンセンサス配列)の間にあるポリペプチド鎖内の1つ以上のアミノ酸を意味する。検討中のアミノ酸挿入セグメント及び断片を操作的に連結して単一のポリペプチド鎖を形成することは、当業者は良く理解すべきである。
タンパク質のドメイン構造は、当該技術分野で公知の任意の好適なソフトウェアを用いて決定できる。例えば、http://smart.embl-heidelberg.de)においてインターネット上で入手可能なSimple Modular Architecture Research Tool(SMART)ソフトウェアをこの目的のために使用できる[Schultzら、米国科学アカデミー紀要(PNAS)、1998年;第95号:p.5857-5864;Letunic I、Doerks T、及びBork P、Nucleic Acids Research、2014年;doi:10.1093/nar/gku949]。
融合タンパク質の説明における用語「操作的に連結する」等は、互いの物理的及び機能的な関係で生じるポリペプチド配列を指す。最も好ましい実施形態では、キメラ分子のポリペプチド成分の機能は、単離されたポリペプチド成分の機能的特性と比較して変化はない。例えば、本発明のヒスピジンヒドロキシラーゼは、対象の融合パートナー、例えばルシフェラーゼに操作的に連結できる。この場合、対象のポリペプチドがその本来の生物学的活性、例えば光放出を伴うルシフェリンの酸化能を保持する一方で、融合タンパク質はヒスピジンヒドロキシラーゼの特性を保持する。本発明のいくつかの実施形態では、単離されたタンパク質の活性と比較して融合パートナーの活性は減少してもよい。このような融合タンパク質もまた、本発明の範囲内での応用を見出す。
核酸の説明における用語「操作的に連結する」等は、核酸が、それらの接合部においてリーディングフレームの誤動作サイン又は停止サインが生じないような方法で共有連結することを意味する。当業者には明らかなように、「操作的に連結した」成分(タンパク質、ポリペプチド、リンカー配列、アミノ酸挿入セグメント、タンパク質ドメイン等)との融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、前記成分をコードする断片から成り、これらの断片は、当該ヌクレオチド配列の転写及び翻訳中に完全長融合タンパク質が生成されるような方法で共有連結する。
調節性コード配列(プロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター)との核酸の関係の説明における用語「操作的に連結する」とは、制御配列がコード核酸又は核酸配列の発現レベルに影響を与えるような方法で配列が配置され、連結されることを意味する。
本発明の文脈において、核酸の「連結」とは、当技術分野で公知の任意の手段を用いて、2つ以上の核酸を共に連結することを意味する。非限定的な例として、複数の核酸は、アニーリング中にDNAリガーゼ又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて共に連結できる。複数の核酸はまた、2つ以上の別個の核酸の1つの配列を用いた核酸化学合成により連結できる。
用語「制御要素」又は「制御配列」は、コード核酸発現制御に関与する配列を指す。制御要素は、核酸の発現に影響を与えるプロモーター、末端シグナル、及び他の配列を含む。それらはまた典型的に、ヌクレオチド配列の適切な翻訳に必要な配列から成る。
用語「プロモーター」は、RNAポリメラーゼ結合部位並びに転写開始DNA結合部位を含むコード領域の上流にある非翻訳及び非転写DNA配列を説明するために使用する。プロモーター領域はまた、別の遺伝子発現制御要素から構成することもできる。
本明細書で使用する用語「機能的」とは、特定の試験又は課題において役割を果たすことが可能なヌクレオチド又はアミノ酸配列を指す。ルシフェラーゼを説明するために使用する場合、用語「機能的」とは、発光を伴うルシフェリン酸化反応を発生させる能力をタンパク質が有することを意味する。ヒスピジンヒドロキシラーゼを説明するために使用する場合、同じ用語「機能的」とは、表2に示されるプレルシフェリンの少なくとも1種を、対応するルシフェリンに変換する反応を触媒する能力をタンパク質が有することを意味する。ヒスピジンシンターゼを説明するために使用する場合、同じ用語「機能的」とは、プレルシフェリンの前駆体の少なくとも1種をプレルシフェリンに変換する反応、例えば、コーヒー酸をヒスピジンに変換する反応を触媒する能力をタンパク質が有することを意味する。カフェイルピルビン酸ヒドロラーゼを説明するために使用する場合、同じ用語「機能的性」とは、オキシルシフェリンの少なくとも1種をプレルシフェリンの前駆体に変換する反応(例えば、カフェイルピルビン酸をコーヒー酸に変換する)を触媒する能力をタンパク質が有することを意味する。
本明細書で使用する用語「酵素特性」とは、所与の化学反応を触媒するタンパク質の能力を指す。
本明細書で使用する用語「生化学特性」とは、タンパク質の折り畳みを指し、また成熟率、半減期、触媒率、pH及び温度安定性、並びに他の同様の特性も含む。
本明細書で使用する用語「スペクトル特性」は、スペクトル、量子収率、発光強度、及び他の同様の特性を指す。
ポリペプチドを「コードする」ヌクレオチド配列への言及は、このヌクレオチド配列に従ってmRNAの転写及び翻訳中にポリペプチドが生成されることを意味する。その際、mRNAと同一であり、配列表において一般的に使用するコード鎖、及び転写用鋳型として使用する相補鎖の両方を示すことが可能である。当業者に明らかなように、この用語はまた、同じアミノ酸配列をコードする任意の縮重ヌクレオチド配列をも包含する。ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、イントロンを含む配列から成る。
用語「発現カセット」又は「発現のカセット」は、適切な宿主細胞における特定のヌクレオチド配列の発現を制御可能な核酸配列の意味で本明細書で使用する。原則として、「発現カセット」は、プロモーター及び末端シグナルに操作的に連結したタンパク質又はその機能的断片をコードする異種核酸を含む。典型的には、「発現カセット」はまた、有意なヌクレオチド配列の適切な翻訳に必要な配列も含む。発現カセットは、自然界(宿主細胞を含む)に存在するものであってもよいが、異種核酸の発現に有用な組換え形態で生成する。しかし、多くの場合、「発現カセット」は宿主に関して異種であり、即ち、この発現カセットの特定の核酸配列は宿主細胞に天然には存在せず、形質転換により宿主細胞又は宿主細胞の前駆体に導入しなければならない。このヌクレオチド配列の発現は、宿主細胞が特定の外部刺激に対して無防備である場合にのみ転写を開始する構成プロモーター又は誘導プロモーターにより制御可能である。多細胞有機体の場合、プロモーターはまた、特定の組織、器官、又は発生段階に特異性を有してもよい。
「異種」又は「外因性」核酸とは、野生型宿主細胞には決して存在しない核酸を意味する。
用語「内因性」とは、有機体のゲノム内の自然な位置にある天然型タンパク質又は核酸を意味する。
本明細書で使用する用語「特異的にハイブリダイズする」とは、当技術分野で一般的に使用している所定の条件下でのハイブリダイゼーションを可能にするような、2つの一本鎖核酸分子又は十分に相補的な(用語「ほぼ相補的」を使用する場合もある)配列間の会合を指す。
「単離した」核酸部位又は単離したタンパク質は、人間の活動により自然環境から分離して発生した核酸部位又はタンパク質であり、従って自然界の生成物ではない。単離した核酸分子又は単離したタンパク質は、精製した形態で、又は例えば(限定を意図したものではない)組換え原核細胞、植物細胞、動物細胞、非生物発光真菌細胞、トランスジェニック有機体(真菌、植物、動物)等のような非自然環境で発生できる。
「形質転換」とは、異種核酸を宿主細胞又は有機体に導入するプロセスである。特に、「形質転換」とは、DNA部位を対象の標的有機体のゲノムへ安定的に組み込むことを意味する。
用語「形質転換/トランスジェニック/組換え」とは、異種核酸部位を導入することにより改変した細菌、植物、真菌、又は動物などの宿主有機体を指す。この核酸部位は宿主ゲノムに安定的に組み込んでもよいし、又は染色体外部位として存在してもよい。このような染色体外部位は、自己複製が可能であってもよい。トランスジェニックであるか、又は安定的に形質転換した細胞、組織又は生物は、形質転換プロセスの両最終生成物を含むが、トランスジェニックな後代も含むことは理解されるべきである。用語「非形質転換」、「非トランスジェニック」、「非組換え」、又は「野生型」は、異種核酸部位を含まない天然宿主有機体又は宿主細胞、例えば細菌又は植物を指す。
用語「自律的に発光する」又は「自律的に生物発光する」とは、ルシフェリン、プレルシフェリン、又はプレルシフェリンの前駆体を外因的に付加することなく生物発光することが可能なトランスジェニック有機体又は宿主細胞を指す。
用語「4’-ホスホパントテイニルトランスフェラーゼ」は本明細書では、4-ホスホパントテイニルを、ポリケチドシンターゼのアシル転移ドメイン内で補酵素Aからセリンへと転移させる酵素を指すために使用する。4’-ホスホパントテイニルトランスフェラーゼは多くの植物及び真菌で天然に発現し、当技術分野で公知である[Gao Menghaoら、Microbial Cell Factories、2013年、第12号:p.77]。4’-ホスホパントテイニルトランスフェラーゼの任意の機能的変種が本発明の目的に使用可能であるとは当業者に自明である。例えば、[Gao Menghaoら、Microbial Cell Factories、2013年、第12号:p.77]に記載のアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)のNpgA4’-ホスホパントテイニルトランスフェラーゼ(配列番号104、105)、又はその相同体もしくは変異体、即ち配列番号105を有する配列とほぼ類似又は同一のアミノ酸配列を有するタンパク質が挙げられる。別の例として、配列番号105を特徴とする配列と少なくとも40%の同一性、例えば少なくとも50%の同一性、又は少なくとも55%の同一性、又は少なくとも60%の同一性、又は少なくとも62%の同一性、又は少なくとも65%の同一性、又は少なくとも70%の同一性、又は少なくとも75%の同一性、例えば、少なくとも80%の同一性、又は少なくとも85%の同一性、又は少なくとも90%の同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98%又は99%の同一性)を有する4’-ホスホパントテイニルトランスフェラーゼが挙げられる。
ヌクレオチドは、以下の標準的な略語:アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)及びグアニン(G)を用いて、その塩基に従って指定する。同様に、アミノ酸は、以下の標準的な略語:アラニン(Ala;A)、アルギニン(Arg;R)、アスパラギン(Asn;N)、アスパラギン酸(Asp;D)、システイン(Cys;C)、グルタミン(Gln;Q)、グルタミン酸(Glu;E)、グリシン(Gly;G)、ヒスチジン(His;H)、イソロイシン(He;1)、ロイシン(Leu;L)、リジン(Lys;K)、メチオニン(Met;M)、フェニルアラニン(Phe;F)、プロリン(Pro;P)、セリン(Ser;S)、スレオニン(Thr;T)、トリプトファン(Trp;W)、チロシン(Tyr;Y)、及びバリン(Val;V)により指定する。
本発明は、新規な真菌ルシフェリン生合成酵素、これらの酵素をコード可能な核酸、及び真菌ルシフェリン生合成の特定の段階を触媒可能なタンパク質の同定を目的とする。本発明はまた、細胞又は有機体における前記酵素を生成するための核酸の応用も提供する。真菌ルシフェリン及びプレルシフェリンと一致する化合物をインビトロ又はインビボで調製するための方法も提供される。また、本発明に記載の核酸から成るベクターも提供される。また、本発明は、本発明の核酸、及び選択した宿主細胞中の核酸発現に必要な制御要素から成る発現カセットも提供する。更に、本発明の核酸、ベクター又は発現カセットを含む細胞、安定細胞株、トランスジェニック有機体(例えば、植物、動物、真菌又は微生物)も提供される。本発明はまた、自律発光細胞、細胞株、又はトランスジェニック有機体を得るための核酸の組合せも提供する。好ましい実施形態では、細胞又はトランスジェニック有機体は、前駆体から真菌ルシフェリンを生成することが可能である。いくつかの実施形態では、細胞又はトランスジェニック有機体は、前駆体から真菌プレルシフェリンを生成することが可能である。いくつかの実施形態では、細胞又はトランスジェニック有機体は、真菌ルシフェリン前駆体の存在下で生物発光することが可能である。いくつかの実施形態では、細胞又はトランスジェニック有機体は、自律的に生物発光することが可能である。より単純な化合物からルシフェリン又はその前駆体を生成するためのタンパク質の組合せも提供される。本発明はまた、発光細胞、細胞株、又はトランスジェニック有機体を生成するための本発明の核酸、ベクター、又は発現カセットを備えるキットも提供する。
タンパク質
前述のように、本発明は、酵素として真菌ルシフェリン生合成(形質転換の環状系)に関与するタンパク質を提供する。
本発明のタンパク質は、天然の供給源から、又は組換え技術により得ることが可能である。例えば、野生型タンパク質は、生物発光性真菌、例えば、担子菌タイプ、主に担子菌類クラス、特にハラタケ目(Agaricales order)の真菌から単離できる。例えば、野生型タンパク質は、シロヒカリタケ(Neonothopanus nambi)、アシグロナラタケ(Armillaria fuscipes)、ナラタケ(Armillaria mellea)、グヤナガスター・ネクロヒザ(Guyanagaster necrorhiza)、ミセナ・シトリコロール(Mycena citricolor)、ネオノテパヌス・ガードネリ(Neonothopanus gardneri)、オムファロタス・オレアリウス(Omphalotus olearius)、ワサビタケ(Panellus stipticus)、ワタゲナラタケ(Armillaria gallica)、オニナラタケ(Armillaria ostoyae)、ヤコウタケ(Mycena chlorophos)などの真菌から単離できる。本発明のタンパク質はまた、「核酸」の節で説明しているように、それぞれの宿主又は無細胞発現系において組換え核酸、コードタンパク質配列を発現させることにより得られる。いくつかの実施形態では、タンパク質は、発現可能な核酸を導入して前記タンパク質をコードする宿主細胞内で使用する。
好ましい実施形態では、請求のタンパク質は、宿主細胞での発現後、迅速に折り畳まれる。「迅速な折り畳み」とは、タンパク質が短期間でその酵素特性を確実にする三次構造に到達するという事象であることは理解されているものとする。これらの実施形態では、タンパク質は、一般に約3日を超えず、通常は約2日を超えず、典型的には約12~24時間を超えない期間内に折り畳まれる。
いくつかの実施形態では、タンパク質は単離形態で使用する。タンパク質精製の適切な方法がGuide to Protein Purification (Deuthser編、Academic Press、1990年)で説明されている一般的な技術はいずれも、タンパク質精製のために使用可能である。例えば、溶菌液は初期供給源から調製し、HPLC、置換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、アフィニティークロマトグラフィー等を用いて精製することが可能である。
本発明のタンパク質が単離形態である場合、このタンパク質が、オリゴ糖、核酸及びその断片等の他のタンパク質又は他の天然の生物学的分子からほぼ遊離していることを意味する。この場合の用語「ほぼ遊離している」とは、単離タンパク質から成る前記組成物の70%未満、通常は60%未満、典型的には50%未満が他の天然の生物学的分子であることを意味する。いくつかの実施形態では、前記タンパク質はほぼ精製形態である。用語「ほぼ精製形態」とは、少なくとも95%、通常は少なくとも97%、典型的には少なくとも99%に等しい純度を意味する。
本発明のタンパク質は、50℃未満の温度、典型的に最高45℃の温度で活性を保持し、即ち、当該タンパク質は20~42℃の温度で活性を保持し、インビトロ及びインビボでの異種発現系において使用することが可能である。
請求のタンパク質は、4~10の範囲内で、典型的には6.5~9.5の範囲内でpН安定性を有する。請求のタンパク質の最適なpН安定性は6.8~8.5の範囲内、例えば7.3~8.3の範囲内である。
請求のタンパク質は、生理条件下で活性的である。本発明における用語「生理条件」とは、20~42℃の範囲内の温度、6.8~8.5の範囲内のpH、生理食塩水、及び300~400mOsm/lの浸透圧を有する媒体を指すことを意図している。特に、用語「生理条件」とは、細胞内媒体、無細胞調製物、及び血漿などの生体から抽出した液体を含む。「生理条件」は人工的に形成することが可能である。例えば「生理条件」を確保する反応混合物は公知の化合物を組合せることにより形成できる。このような媒体形成の方法は、先行技術からよく知られている。非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。
1)哺乳動物の血漿に等張であるリンゲル液
リンゲル液は1リットルの二重蒸留水に溶解した6.5gのNaCl、0.42gのKCl、及び0.25gのCaCl2から成る。溶液を調製する際には、塩類を順次添加する。前に添加した塩が溶解した後でなければ、後続の各塩は添加しない。炭酸カルシウム沈降を防止するために、炭酸水素ナトリウム溶液に炭酸ガスを通すことを推奨する。溶液は新鮮な蒸留水で調製する。
2)バーゼン液
バーゼン液はEDTA及び無機塩類の混合物であり、蒸留水又は注射用水に溶解し、最終孔径が0.22μmのフィルターを用いた膜ろ過により滅菌してある。1リットルのバーゼン液は、8.0gのNaCl、0.2gのKCl、1.45gのリン酸二ナトリウム十二水和物、0.2gのリン酸二水素カリウム、0.2gのパルケレート(palkelate)、及び1リットルにメスアップするための二重蒸留水から成る。バーゼン液の緩衝能は1.4mlである必要がある。塩化物イオン含有量は4.4~5.4g/lであり、EDTA量は最小で0.6mmol/lである。
3)リン酸緩衝生理食塩水(PBS、Na-リン酸緩衝液)
Na-リン酸緩衝液は、137mMのNaCl、10mMのNa2HPO4、1.76 mMのKH2PO4から成る。緩衝液はまた、最大2.7mMの濃度でKClを含むことが可能である。1リットルの通常の強度のNa-リン酸緩衝液を調製するために、以下を使用する:8.00gのNaCl、1.44gのNa2HPO4、0.24gのKH2PO4、及び0.20gのKCl(任意)。800mlの蒸留水に溶解する。塩酸又は水酸化ナトリウムを用いて所望のpHを調整する。次いで、蒸留水を総量1リットルになるように加える。
対象の特定のタンパク質は、環状真菌ルシフェリン生合成に関与する酵素、その変異体、相同体及び誘導体である。対象のポリペプチド構造のこれらの特定のタイプを各々、更に詳細に個別に分析する。
ヒスピジン-ヒドロキシラーゼ
本発明のヒスピジン-ヒドロキシラーゼは、プレルシフェリンからのルシフェリン合成を触媒することが可能なタンパク質である。換言すれば、ヒスピジン-ヒドロキシラーゼは、6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンを6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンに変換する反応を触媒する酵素である。当該6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンは下記構造式を有する。
当該6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンは下記構造式を有する。式中Rはアリール又はヘテロアリールである。
当該反応は、6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オン1分子あたりNAD(P)Hの少なくとも1分子及び分子酸素(O2)の少なくとも1分子の存在下、インビトロ及びインビボの生理条件下で行われる。
対象のヒスピジン-ヒドロキシラーゼは、生物発光真菌シロヒカリタケ、アシグロナラタケ、ナラタケ、グヤナガスター・ネクロヒザ、ミセナ・シトリコロール、ネオノテパヌス・ガードネリ、オムファロタス・オレアリウス、ワサビタケ、ワタゲナラタケ、オニナラタケ、ヤコウタケ由来のタンパク質を含む。これらのアミノ酸配列は配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、並びにこれらの機能的変異体、相同体及び誘導体に示される。
好ましい実施形態では、本発明のヒスピジンヒドロキシラーゼは、FAD/NAD(P)結合ドメインIPR002938 - ウェブサイト(http://www.ebi.ac.uk/interpro)においてインターネット上で入手可能なInterPro公開データベースのコードの存在により特徴付けられる。前記ドメインは、複数の酵素中でのフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)とニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)との結合、基質への水酸基の添加、及び代謝経路において見られる複数の有機体に関与する。本発明のヒスピジン-ヒドロキシラーゼは、350~385アミノ酸長、典型的には360~380アミノ酸長、例えば364~377アミノ酸長を有する前記ドメイン、並びに互いに同一性の割合が低くloxPが導入されたN末端及びC末端の非保存性アミノ酸配列から成る。請求のヒスピジンヒドロキシラーゼにおけるFAD/NAD結合ドメインの位置は、個々のタンパク質アミノ酸配列の多重整列化で図1に図示する。
ヒスピジンヒドロキシラーゼの相同体又は変異体も提供する。その配列は、本発明で請求した上述の特定のアミノ酸配列、即ち配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28とは異なる。対象の相同体又は変異体は、少なくとも350個のアミノ酸に関する配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28の群からアミノ酸配列が選択されるタンパク質と少なくとも最小で40%の同一性、例えば、最小で45%の同一性、又は最小で50%の同一性、又は最小で55%の同一性、又は最小で60%の同一性、又は最小で65%の同一性、又は最小で70%の同一性、又は最小で75%の同一性、例えば最小で80%の同一性、最小で85%の同一性、最小で90%の同一性(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98%又は99%の同一性)を有する。特に、対象の相同体又は変異体は、タンパク質の機能部位を提供するアミノ酸配列、即ち、ヒスピジンヒドロキシラーゼの一部であるFAD/NAD結合ドメインの配列に関する。
好ましい実施形態では、本発明のヒスピジンヒドロキシラーゼのアミノ酸配列は、この酵素群のみに典型的な数種の保存的アミノ酸モチーフ(コンセンサス配列)の存在により特徴付けられる。これらのコンセンサス配列は配列番号:29~33に示される。ヒスピジンヒドロキシラーゼアミノ酸配列内のコンセンサス部位は、アミノ酸インサートを介して下部挿入部に操作的に結合する。
ヒスピジン-シンターゼ
本発明のヒスピジン-シンターゼは、その前駆体からのプレルシフェリン合成を触媒できるタンパク質である。換言すれば、ヒスピジン-シンターゼは、3-アリールアクリル酸を6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンに形質転換する反応を触媒する酵素である。当該3-アリールアクリル酸は下記構造式を有する。式中Rはアリール又はヘテロアリールである。
当該6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンは下記構造式を有する。式中Rはアリール又はヘテロアリールである。
プレルシフェリンの前駆体である3-アリールアクリル酸の例を表2に示す。
当該反応は、補酵素Aの少なくとも1分子、ATPの少なくとも1分子、及びマロニル-CoAの少なくとも2分子の存在下、インビトロ及びインビボの生理条件下で行われる。
対象のヒスピジン-シンターゼは、生物発光真菌シロヒカリタケ、アシグロナラタケ、ナラタケ、グヤナガスター・ネクロヒザ、ミセナ・シトリコロール、ネオノテパヌス・ガードネリ、オムファロタス・オレアリウス、ワサビタケ、ワタゲナラタケ、オニナラタケ、ヤコウタケ由来のタンパク質を含む。これらのアミノ酸配列は配列番号:35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、並びにこれらの機能的変異体、相同体及び誘導体に示される。
好ましい実施形態では、本発明のヒスピジン-シンターゼのアミノ酸配列は、この酵素群のみに典型的な数種の保存的アミノ酸モチーフ(コンセンサス配列)の存在により特徴付けられる。これらのコンセンサス配列は配列番号:56~63に示される。ヒスピジン-シンターゼアミノ酸配列内のコンセンサス部位は、アミノ酸インサートを介して下部挿入部に操作的に結合する。
本発明の多くの実施形態では、特定のヒスピジン-シンターゼの相同体及び変異体の関連するアミノ酸配列は、配列番号:35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55に示される配列とほぼ一致することを特徴とし、これは、全タンパク質アミノ酸配列で、例えば少なくとも最小で40%の同一性、例えば、最小で45%の同一性、又は最小で50%の同一性、又は最小で55%の同一性、又は最小で60%の同一性、又は最小で65%の同一性、又は最小で70%の同一性、又は最小で75%の同一性、例えば最小で80%の同一性、最小で85%の同一性、最小で90%の同一性(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98%又は99%の同一性)を有する。
好ましい実施形態では、本発明のヒスピジン-シンターゼは、ポリケチドシンターゼスーパーファミリーに関連するポリドメインタンパク質である。好ましい実施形態では、本発明のヒスピジン-シンターゼは翻訳後修飾を受ける。即ちポリケチドシンターゼのアシル担体ドメインにおける補酵素Aからセリンへの4-ホスホパンテテイニルの移行がヒスピジン-シンターゼの成熟に必要である。このような修飾を行う酵素4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼは先行技術[Gao Menghaoら、Microbial Cell Factories、2013年、第12号:p.77]から公知である。4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼは、多くの植物及び真菌により自然界で発現し、その細胞中で、本発明の機能性ヒスピジン-シンターゼは、それらをコードする追加の酵素又は核酸を導入することなく成熟する。同時に、4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼをコードする配列の宿主細胞への導入は、数種の下等真菌(例えば、酵母)及び動物の細胞におけるヒスピジン-シンターゼの成熟に必要である。先行技術から知られている4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼの任意の機能的変異体が本発明の目的のために使用可能であることは、当業者には自明である。例えば、[Gao Menghaoら、Microbial Cell Factories、2013年、第12号:p.77]に記載されているアスペルギルス・ニデュランス(配列番号104、105)由来の4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼNpgA、及び活性が確認されたその相同体又は変異体を使用できる。
カフェオイルピルビン酸(caffeoyl pyruvate)ヒドロラーゼ
本発明のカフェオイルピルビン酸ヒドロラーゼは、3-アリールアクリル酸への6-アリール-2-ヒドロキシ-4-オキソヘキサ-2,5-ジエン酸であるオキシルシフェリンの形質転換を触媒できるタンパク質である。当該6-アリール-2-ヒドロキシ-4-オキソヘキサ-2,5-ジエン酸は下記構造式を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
当該3-アリールアクリル酸は下記構造式を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
オキシルシフェリンの例を表2に示す。
反応は、下記インビトロ及びインビボの生理条件下で行う。
好ましい実施形態では、本発明のカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼは、カフェイルピルビン酸をコーヒー酸に形質転換する。好ましい実施形態では、カフェイルピルビン酸ヒドロラーゼは、表2に示すオキシルシフェリンをプレルシフェリン前駆体に形質転換する。
対象のカフェオイルピルビン酸ヒドロラーゼは、生物発光真菌シロヒカリタケ、アシグロナラタケ、ナラタケ、グヤナガスター・ネクロヒザ、ミセナ・シトリコロール、ネオノテパヌス・ガードネリ、オムファロタス・オレアリウス、ワサビタケ、ワタゲナラタケ、オニナラタケ、ヤコウタケ由来のタンパク質を含む。これらのアミノ酸配列は配列番号:65、67、69、71、73、75、並びにこれらの機能的変異体、相同体及び誘導体に示される。
好ましい実施形態では、本発明のカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼアミノ酸配列(対象の相同体及び変異体を含む)は、この酵素群にのみ典型的な数種の保存的アミノ酸モチーフ(コンセンサス配列)の存在により特徴付けられる。これらのコンセンサス配列は配列番号:76~78に示される。カフェイルピルビン酸ヒドロラーゼアミノ酸配列内のコンセンサス部位は、アミノ酸インサートを介して下部挿入部に操作的に結合する。
本発明の多くの実施形態では、カフェイルピルビン酸ヒドロラーゼの関連するアミノ酸配列は、配列番号:65、67、69、71、73、75に示される配列とほぼ一致することを特徴とし、これは、全タンパク質アミノ酸配列で、例えば少なくとも最小で40%の同一性、例えば最小で45%の同一性、又は最小で50%の同一性、又は最小で55%の同一性、又は最小で60%の同一性、又は最小で65%の同一性、又は最小で70%の同一性、又は最小で75%の同一性、例えば最小で80%の同一性、最小で85%の同一性、最小で90%の同一性(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98%又は99%の同一性)を有する。
上記の特定のタンパク質の相同体(即ち、アミノ酸配列の配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、65、67、69、71、73、75を有するタンパク質)は、天然の供給源から単離できる。相同体は、多くの有機体(真菌、植物、微生物、動物)において見出され得る。特に、相同体は、様々な種類の生物発光性真菌、例えば、担子菌タイプ、主に担子菌類クラス、特にハラタケ目において見られる。また、ヒスピジンを生成する非生物発光性真菌や植物は本発明のタンパク質相同体の供給源として特に注目されており、例えばホコシダ(Pteris ensiformis)[Yung-Husan Chenら、「Identification of phenolic antioxidants from Sword Brake fern(Pteris ensiformis Burm.)」、Food Chemistry、2007年、105巻、第1号、p.48-56]、ダイダイタケ(inonotus xeranticus)[In-Kyoung Leeら、「Hispidin Derivatives from the Mushroom Inonotus xeranticus and Their Antioxidant Activity」、Journal of Natural Products、2006年、第69号(2)、p.299-301]、キコブタケ属(Phellinus sp.)[In-Kyoung Leeら、「Highly oxygenated and unsaturated metabolites providing a diversity of hispidin class antioxidants in the medicinal mushrooms Inonotus and Phellinus」、Bioorganic & Medicinal Chemistry、第15号(10):p.3309-14]、スギナ(Equisetum arvense)[Markus Herderichら、「Establishing styrylpyrone synthase activity in cell free extracts obtained from gametophytes of Equisetum arvense L. by high performance liquid chromatography-tandem mass spectrometry」、Phytochemical Analysis、第8号:p.194-197]が挙げられる。
天然に存在する前記タンパク質の誘導体又は変異体であるタンパク質も提供される。変異体及び誘導体は、野生型タンパク質(例えば天然由来)の生物学的特性を保持することが可能であり、又は野生型タンパク質とは異なる生物学的特性を有することも可能である。変異としては、1個以上のアミノ酸の置換、1個以上のアミノ酸の欠失又は挿入、N末端の置換又はトランケーション又は延長、C末端の置換又はトランケーション又は延長等が挙げられる。変異体及び誘導体は、「核酸」の節で詳述しているように、分子生物学の標準的な方法を用いて得られる。変異体は野生型タンパク質と実質的に同一であり、即ち、比較のために選択した領域内で野生型タンパク質と少なくとも40%の同一性を有する。従って、ほぼ類似した配列は、比較のために選択した領域内で、例えば少なくとも40%の同一性、又は少なくとも50%の同一性、又は少なくとも55%の同一性、又は少なくとも60%の同一性、又は少なくとも62%の同一性、又は少なくとも65%の同一性、又は少なくとも70%の同一性、又は少なくとも75%の同一性、例えば少なくとも80%の同一性、又は少なくとも85%の同一性、又は少なくとも90%の同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98%又は99%)を有する。多くの実施形態では、対象の相同体は、特にタンパク質機能領域を提供するアミノ酸の配列に対して、例えば、70%、75%、80%、85%、90%(例えば、92%、93%、94%)又はそれ以上、例えば95%、96%、97%、98%、99%、99.5%といったはるかに高い同一性を有する。
誘導体は、RNAによる変化、化学修飾、翻訳後の修飾、転写後の修飾等による変化を含む標準的な方法を利用して得られる。例えば、誘導体は、修飾リン酸化、又はグリコシル化、又はアセチル化、及び脂質化などの方法や、成熟時の異種分離により得られる。
機能的変異体、相同体及び誘導体を探索するために、当業者に周知の方法を使用する。例えば、変種(例えば、タンパク質変異体形態、又は相同タンパク質、又はタンパク質誘導体)から成る発現ライブラリーの機能的スクリーニングが挙げられる。発現ライブラリーは、タンパク質の被検変異体をコードする核酸を発現ベクターにクローニングし、適切な宿主細胞に導入することにより得られる。核酸を用いる操作方法は、「核酸」の節で詳述する。本発明の機能性酵素を同定するために、被験核酸を発現する細胞に適切な基質を添加する。機能性酵素に触媒される反応の期待される生成物形成は、期待される反応生成物の合成変種を標準として用いたHPLC法により検出することが可能となった。例えば、表2に示すヒスピジン又は他のプレルシフェリンは、機能性ヒスピジンヒドロキシラーゼを同定するための基質として使用できる。期待される反応生成物は真菌ルシフェリンである。プレルシフェリン前駆体(例えばコーヒー酸)は、ヒスピジン-シンターゼを同定するための基質として使用可能であり、対応する真菌プレルシフェリンは反応生成物である。機能的なヒスピジン-シンターゼをスクリーニングするためにタンパク質の翻訳後修飾を促進する4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼを宿主細胞が発現することに留意すべきである。
オキシルシフェリン(表2)は機能的なカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼを探索するための基質として使用し、被験反応生成物はプレルシフェリン前駆体-3-アリールアクリル酸である。
本発明の多くの実施形態では、生物発光反応は、本発明の機能性酵素を探索するために使用できる。この場合、発現ライブラリー調製の目的のために、発光で真菌ルシフェリンを酸化できるルシフェラーゼを生成する細胞、及び被験タンパク質により行われる酵素反応の生成物からの真菌ルシフェリンの生成を促進する機能性酵素が使用される。
このように、機能性ヒスピジンヒドロキシラーゼをスクリーニングするために、真菌ルシフェリンを基質とする機能性ルシフェラーゼを生成する宿主細胞を使用する。ヒスピジンヒドロキシラーゼの機能性変種から成る細胞にプレルシフェリンを添加すると、真菌ルシフェリンが形成され、ルシフェラーゼでの真菌ルシフェリン酸化により発光が現れる。
機能性ヒスピジンシンターゼをスクリーニングするために、真菌ルシフェリンを基質とする機能性ルシフェラーゼ、機能性ヒスピジンヒドロキシラーゼを追加的に生成する宿主細胞を使用する。このような細胞にプレルシフェリン前駆体を添加すると、真菌ルシフェリンが形成され、ルシフェラーゼでの真菌ルシフェリン酸化により発光が現れる。
機能性カフェイルピルビン酸ヒドロラーゼをスクリーニングするために、真菌ルシフェリンを基質とする機能性ルシフェラーゼ、及び機能性ヒスピジンヒドロキシラーゼ、及び機能性ヒスピジンシンターゼを生成する宿主細胞を使用する。このような細胞にオキシルシフェリンを添加すると真菌ルシフェリンが形成され、ルシフェラーゼでの真菌ルシフェリンの酸化により発光が現れる。
下記一般式を有する複数の6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンの群から選択される、発光ルシフェリンを酸化することが可能な任意のルシフェラーゼをスクリーニングのために使用できる。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
ルシフェリンの非限定的例を表1に示す。好適なルシフェラーゼの非限定的例は、後述の「応用、組合せ、及び使用方法」の節で説明する。
ルシフェラーゼによるルシフェリン酸化では、発光が検出された。酸化の際に放出される光は、標準的な方法(例えば、目視観察、暗視装置による観察、分光光度計、蛍光光度計、写真記録の使用、発光及び蛍光検出のための特別な装置、例えばIVIS Spectrum In Vivo Imaging System(Perkin Elmer社)等)の使用により検出できる。記録された発光は、1光子から、目に知覚されやすい発光、例えば1cdの強度、例えば100cd以上の強度を有する明るい発光までの強度範囲で放出できる。3-ヒドロキシヒスピジンの酸化時に放出された光は400~700nmの範囲内であり、好ましくは450~650nmの範囲内であり、発光の最大値は520~590nmである。他の6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンの酸化時に放出される光は発光最大値シフトを有し得る(表3)。
生物発光を用いた機能スクリーニングの例については、以下の実験パートで記載する。
本発明はまた、本発明のタンパク質を含む融合タンパク質も対象とする。融合タンパク質は短縮形又は伸長形を含む相同体や変異体である。本発明のタンパク質は、細胞内局在化シグナル(例えば、核局在化シグナル、ミトコンドリア又はペルオキシソーム又はリソソーム又はゴルジ体又は他の細胞小器官における局在化シグナル)、細胞内空間へのタンパク質単離を促進するシグナルペプチド、膜貫通ドメイン、又は対象の任意のタンパク質又はポリペプチド(融合パートナー)と操作的に融合できる。融合タンパク質は例えば、本発明における請求の、操作的に架橋したヒスピジンヒドロキシラーゼ及び/又はヒスピジンシンターゼ、及び/又はカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼを含むことが可能であり、これらはC末端又はN末端に連結した融合パートナーを有する。融合パートナーの非限定的例としては、他の酵素機能を有する本発明のタンパク質、抗体又はその連結断片、リガンド又は受容体、生物発光反応において基質として菌類ルシフェリンを使用できるルシフェラーゼが挙げられる。いくつかの実施形態では、融合パートナー及び本発明のタンパク質は、独立した融合タンパク質の折り畳み及び機能を促進する連結配列(ペプチドリンカー)を介して操作的に架橋する。融合タンパク質の生成方法は、当技術分野の当業者にはよく知られている。
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は本発明のヒスピジンヒドロキシラーゼ、及び発光する真菌ルシフェリンを酸化可能なルシフェラーゼを含み、これらは、短鎖ペプチドリンカーを介して操作的に架橋する。このような融合タンパク質は、プレルシフェリンの存在下(例えば、ヒスピジン存在下)、インビトロ及びインビボで生物発光を得るために使用できる。上述した任意の機能性ヒスピジンヒドロキシラーゼを任意の機能性ルシフェラーゼと共に使用して融合タンパク質を生成できることは、当業者には自明である。融合タンパク質の具体例は以下の実験パートに記載する。融合タンパク質を製造する際に使用可能なルシフェラーゼの例は以下の「応用、組合せ、及び使用方法」の節で説明する。
核酸
本発明は、短縮型及び伸長型を含む、真菌ルシフェリン生合成の酵素をコードする核酸、そのタンパク質の変異体及び相同体を提供する。
本明細書で使用する核酸は、ゲノムDNA分子又はcDNA分子などの単離DNA分子、又はmRNA分子などのRNA分子である。特に、前記核酸は、本発明のルシフェリン生合成酵素をコードするオープンリーディングフレームを有するcDNA分子であり、適切な条件下で、本発明の酵素発現を確実にすることが可能である。
用語「cDNA」は、天然に存在する配列要素の配置を反映する核酸、配列要素がエクソン並びに5’及び3’非コード領域である成熟mRNAを説明するためのものである。未成熟mRNAは、介在するイントロンにより分離されたエクソンを有している可能性があり、このイントロンが存在する場合には、翻訳後のRNAスパイシングの際に除去され、オープンリーディングフレームを有する成熟mRNAが形成される。
対象のゲノム配列は、前記配列において決定された開始コドンと終了コドンの間に存在する核酸を含むことが可能であり、この核酸は天然染色体に通常存在する全イントロンを含む。対象のゲノム配列は、成熟mRNA中の5’及び3’非翻訳領域、並びにプロモーターやエンハンサー等の特定の転写及び翻訳制御配列を追加的に含むことが可能であり、転写領域の5’又は3’末端で約1kbpのサイズ、場合によってはそれ以上のサイズの隣接ゲノムDNAを含む。
本発明はまた、本発明のタンパク質をコードする核酸と相同的な、又はほぼ類似した、又は一致した誘導体又は模倣物である核酸も対象とする。
請求の核酸は、その天然に存在する媒体とは異なる環境で存在し、例えば、単離状態であるか、濃縮された量で存在するか、又はインビトロ又は細胞内で存在又は発現しているか、又はその天然に存在する環境とは異なる有機体内に存在する。
対象の特定の核酸は、上記の「タンパク質」の節で説明したヒスピジンヒドロキシラーゼ、又はヒスピジンシンターゼ、又はカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼをコードする核酸を含む。これらの対象の特定の各核酸を個別に、より詳細に開示する。
ヒスピジンヒドロキシラーゼをコードする核酸
好ましい実施形態では、本発明の核酸は、6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オン(真菌ルシフェリン)への6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オン(プレルシフェリン)の形質転換の反応を触媒できるタンパク質をコードする。当該6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンは下記構造式を有する。
当該6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンは下記構造式を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
好ましい実施形態では、核酸はヒスピジンヒドロキシラーゼをコードし、ヒスピジンヒドロキシラーゼのアミノ酸配列は配列番号:29~33に示される数種の保存的アミノ酸モチーフ(コンセンサス配列)の存在を特徴とする。
核酸の具体例としては、配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28に示されるアミノ酸配列を有するヒスピジンヒドロキシラーゼをコードする核酸が挙げられる。前記タンパク質をコードする核酸の例は、配列番号:1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27に示されている。また、上述した特定の核酸の機能的変異体、相同体及び誘導体も対象である。
好ましい実施形態では、本発明の核酸は、少なくとも350個のアミノ酸での、配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28に示す配列に対して、少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%一致するアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。
ヒスピジンシンターゼをコードする核酸
好ましい実施形態では、本発明の核酸は、6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンへの3-アリールアクリル酸の形質転換の反応を触媒できるタンパク質をコードする。当該3-アリールアクリル酸は下記構造式を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
当該6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンは下記構造式を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
好ましい実施形態では、核酸はヒスピジン-シンターゼをコードし、ヒスピジン-シンターゼのアミノ酸配列は配列番号:56~63に示される数種の保存的アミノ酸モチーフ(コンセンサス配列)の存在を特徴とする。
核酸の具体例としては、配列番号:35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55に示されるアミノ酸配列を有する本発明のヒスピジン-シンターゼをコードする核酸が挙げられる。前記タンパク質をコードする核酸の例は、配列番号:34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54に示されている。
また、上述した特定の核酸の機能的変異体、相同体及び誘導体も対象である。
好ましい実施形態では、本発明の核酸は、全タンパク質ポリペプチド鎖での、配列番号:35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55に示す配列に対して、少なくとも45%、通常少なくとも50%、例えば少なくとも55%、又は少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%一致するアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。
カフェイルピルビン酸ヒドロラーゼをコードする核酸
好ましい実施形態では、本発明の核酸は、3-アリールアクリル酸へのオキシルシフェリンの形質転換の反応を触媒できるタンパク質をコードする。当該オキシルシフェリンは下記構造式を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
当該3-アリールアクリル酸は下記構造式を有する。式中、Rはアリール、ヘテロアリール基から選択される。
好ましい実施形態では、核酸はカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼをコードし、カフェイルピルビン酸ヒドロラーゼのアミノ酸配列は配列番号:76~78に示される数種の保存的アミノ酸モチーフ(コンセンサス配列)の存在を特徴とする。核酸の特定の例としては、カフェイルピルビン酸ヒドロラーゼをコードする核酸が挙げられ、当該核酸のアミノ酸配列は配列番号:65、67、69、71、73、75に示される。前記タンパク質をコードする核酸の例は、配列番号:64、66、68、70、72、74に示される。
また、上述のタンパク質の機能性変異体、相同体及び誘導体をコードする核酸も対象である。
好ましい実施形態では、本発明の核酸はタンパク質をコードし、そのアミノ酸配列は、全タンパク質ポリペプチド鎖の配列番号:65、67、69、71、73、75に示す配列に対して、少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%一致する。
対象の核酸(例えば、配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、65、67、69、71、73、75に示すアミノ酸配列を特徴とするタンパク質の相同体をコードする核酸)は任意の有機体(真菌、植物、微生物、動物)から単離でき、特に様々な種類の生物発光性真菌、例えば、担子菌タイプ、主に担子菌類クラス、特にハラタケ目、例えば生物発光性真菌生物発光真菌シロヒカリタケ、アシグロナラタケ、ナラタケ、グヤナガスター・ネクロヒザ、ミセナ・シトリコロール、ネオノテパヌス・ガードネリ、オムファロタス・オレアリウス、ワサビタケ、ワタゲナラタケ、オニナラタケ、ヤコウタケ等から単離できる。TAlso、ホコシダなどのヒスピジンを生成する非生物発光真菌及び植物は、本発明のタンパク質の相同体をコードする核酸の供給源として特別な対象である[Yung-Husan Chenら、「Identification of phenolic antioxidants from Sword Brake fern(Pteris ensiformis Burm.)」、Food Chemistry、2007年、105巻、第1号、p.48-56]、ダイダイタケ[In-Kyoung Leeら、「Hispidin Derivatives from the Mushroom Inonotus xeranticus and Their Antioxidant Activity」、Journal of Natural Products、2006年、第69号(2)、p.299-301]、キコブタケ属[In-Kyoung Leeら、「Highly oxygenated and unsaturated metabolites providing a diversity of hispidin class antioxidants in the medicinal mushrooms Inonotus and Phellinus」、Bioorganic & Medicinal Chemistry、第15号(10):p.3309-14]、スギナ[Markus Herderichら、「Establishing styrylpyrone synthase activity in cell free extracts obtained from gametophytes of Equisetum arvense L. by high performance liquid chromatography-tandem mass spectrometry」、Phytochemical Analysis、第8号:p.194-197]。
相同体は、様々な方法のいずれかを用いて同定する。本発明のcDNA断片は、低ストリンジェンシー条件を利用し、ハイブリダイゼーションプローブと標的有機体からのcDNAライブラリーとの対比として使用できる。当該プローブは、大型断片であってもよいし、1つの縮重プライマー又は短い縮重プライマーであってもよい。配列類似性を有する核酸は、低ストリンジェンシー条件、例えば50℃及び6×SSC(0.9Mの塩化ナトリウム/0.09Mのクエン酸ナトリウム)でハイブリダイゼーションし、次いで50×Cで、1×SSC(01.15Mの塩化ナトリウム/0.015Mのクエン酸ナトリウム)中で洗浄することにより検出する。配列同一性は、高ストリンジェンシー条件、例えば50℃以上及び0.1×SSC(15mMの塩化ナトリウム/1.5mMのクエン酸ナトリウム)でのハイブリダイゼーションにより決定できる。提示された配列とほぼ同一の領域を有する核酸、例えば対立遺伝子変種、核酸の遺伝子修飾変種等を、ハイブリダイゼーションの高ストリンジェンシー条件下で、提示配列と結合させる。プローブ、特にDNA配列の標識プローブを使用すると、相同遺伝子又は類似遺伝子を回収することが可能になる。
ゲノムライブラリー又はcDNAライブラリーからポリメラーゼ連鎖反応を行うことにより、相同体を同定することが可能である。特定の核酸の既知の配列の断片を表すオリゴヌクレオチドプライマーをPCR用プライマーとして使用できる。好ましい態様では、オリゴヌクレオチドプライマーは縮重構造を有し、タンパク質アミノ酸配列の保存領域をコードする核酸断片に対応し、例えば、コンセンサス配列は、配列番号:29~33、56~63、76~78に示されている。その後、完全長コード配列は、先行技術からよく知られている3’-及び5’-RACE法を用いて検出できる。
配列決定に基づいて推測したアミノ酸配列と、アミノ酸配列の配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、65、67、69、71、73、75を比較することにより、有機体の全ゲノム配列決定の結果において、相同体も同定できる。配列同一性は、参照配列に基づいて決定する。配列解析用アルゴリズムは当技術分野で公知であり、例えば、Altschulら、Journal of Molecular Biology、1990年、第215号;p.403-410に記載のBLASTが挙げられる。本発明の目的のために、ヌクレオチド配列とアミノ酸配列との間の同一性及び類似性のレベルを決定するために、標準パラメータを用いる刻み目がついた整列化を使用した、アメリカ国立生物工学情報センター(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast)が提供するBlastソフトウェアパッケージにより実行するヌクレオチド配列とアミノ酸配列との比較を利用することが可能である。
ストリンジェンシー条件下、好ましくは高ストリンジェンシー条件下で上記核酸とハイブリダイズした核酸(即ち、上述した核酸と相補的な核酸)も提供する。高ストリンジェンシー条件でのハイブリダイゼーションの例としては、50℃以上及び0.1×SSC(15mMの塩化ナトリウム/1.5mMのクエン酸ナトリウム)でのハイブリダイゼーションが挙げられる。高ストリンジェンシー条件でのハイブリダイゼーションの他の例としては、50%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pН7.6)、5×デンハルト液、10%の硫酸デキストラン、及び20μg/mlのサケ精子変性切断DNA中、42℃で一晩インキュベートし、約65℃において0.1×SSCで予備洗浄する。ハイブリダイゼーションの他の高ストリンジェンシー条件は当技術分野で公知であり、また、本発明の核酸の同定にも使用できる。
本発明のタンパク質の変種、変異体又は誘導体をコードする核酸も提供する。鋳型配列又はその組合せにおいて1つ以上のヌクレオチドを修飾、欠失又は付加して、上述の核酸から選択した核酸テンプレートから変異体又は誘導体を得て、核酸テンプレートの変種を得ることが可能である。修飾、付加又は欠失は、当技術分野で公知の任意の方法で行うことが可能である(例えば、Gustinら、Biotechniques、1993年、第14号:p.22;Barany、Gene、1985年、第37号:p.111-123;Colicelliら、Molecular Genetics and Genomics、1985年、第199号:p.537-539;Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、CSH Press、1989年、p.15.3-15.108)。当該方法には、エラーを起こしやすいPCR、シャッフリング、オリゴヌクレオチド指向変異誘発、アセンブリPCR、ペアPCR変異誘発、インビボ変異誘発、カセット変異誘発、帰納的アンサンブル変異誘発、指数関数的アンサンブル変異誘発、オリゴヌクレオチド指向変異誘発、ランダム変異誘発、遺伝的再構築、遺伝子部位飽和変異誘発(GSSM)、合成ライゲーション再構築(SLR)、又はこれらの組合せを含む。また、修飾、付加又は欠失は、組換え、帰納的配列組換え、ホスホロチオエート修飾DNA変異誘発、ウラシル鋳型変異誘発、ダブルスキップ変異誘発、点還元ミスマッチ変異誘発(point reducing mismatch mutagenesis)、回収欠失株変異誘発、化学的変異誘発、放射線変異誘発、欠失変異誘発、制限選択的変異誘発、精製を伴う制限変異誘発、人工遺伝子合成、多重変異誘発、キメラ多重核酸の作成、又はこれらの組合せを含む方法で実行することが可能である。前記ルシフェラーゼの短縮型及び伸長型変種をコードする核酸も本発明の範囲内である。本明細書で使用しているように、これらのタンパク質変種は、ポリペプチド鎖のC末端、N末端、又は両末端が修飾されたアミノ酸配列から成る。
好ましい実施形態では、論じられている相同体及び変異体は、真菌ルシフェリン生合成を行うことが可能な機能性酵素、例えば真菌ルシフェリンである。対象の相同体及び変異体は、宿主細胞内での成熟率、凝集性又は二量体化性、半減期、又は、基質結合定数、熱安定性、pH安定性、活性温度最適条件、活性pH最適条件、ミカエリス-メンテン定数、基質特異性、副次的問題範囲を含む他の生化学的特性といった改変特性を有し得る。いくつかの実施形態では、相同体及び変異体は、請求のタンパク質と同じ特性を有する。
本発明の機能的相同体及び変異体をコードする核酸は、例えば「タンパク質」の節で説明した発現ライブラリー機能スクリーニングにおいて、機能試験中に同定できる。
更に、本発明のタンパク質をコードする核酸の縮重変種も提供される。核酸の縮重変種には、同じアミノ酸をコードする他のコドンに置換された核酸コドンの置換体も含まれる。特に、核酸の縮重変種は宿主細胞における発現を増加させるために作成する。本実施形態では、宿主細胞遺伝子において好ましくない、又はあまり好ましくない核酸コドンが、宿主細胞遺伝子におけるコード配列中に過剰に提示されるコドンにより置換される。ここで、前記置換されたコドンは同じアミノ酸をコードする。特に、本発明の核酸のヒト化版も対象である。本明細書で使用しているように、用語「ヒト化」は、哺乳動物細胞におけるタンパク質発現用コドンを最適化するために核酸配列において行われる置換を指す(Yangら、Nucleic Acids Research、1996年、第24号:p.4592-4593)。また、タンパク質のヒト化を記載している米国特許第5795737号明細書も参照されたい。この開示は参照により本明細書に援用される。植物細胞における発現に最適化された核酸の変種は特に興味深い。本発明のタンパク質をコードするそのような核酸の例を配列番号:103、113及び114に示す。
請求の核酸は、ほぼ精製された形態で単離され得られる。主として、精製された形態とは、核酸が、少なくとも約50%、通常は少なくとも約90%の純度を有することを意味し、通常は「組換え体」、即ち、1つ以上のヌクレオチドによりloxPが導入されたものである。この核酸は通常、その天然宿主生物中に天然に存在する染色体とは結合しないものである。
請求の核酸は人工的に合成できる。核酸を生成する方法は、先行技術からよく知られている。例えば、アミノ酸配列に関する情報やヌクレオチド配列に関する情報が入手可能であれば、オリゴヌクレオチド合成により本発明の核酸の単離分子が生成できる。アミノ酸配列に関する情報が入手可能な場合には、遺伝子コードの縮重により、互いに異なる数種の核酸が合成できる。必要な宿主のコドン変種を選択する方法は当技術分野でよく知られている。
合成オリゴヌクレオチドは、ホスホラミダイト法により生成可能であり、得られた構築物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)として当技術分野でよく知られている方法、又は他の方法により精製可能である。他の方法は、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、 Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、ニューヨーク、1989年、第2版に記載され、また、組換えDNA研究に関するアメリカ合衆国保健福祉省、アメリカ国立衛生研究所(NIH)のガイドラインで記載されている指示書に従っている。本発明の長い二本鎖DNA分子は以下のように合成できる:隣接断片との凝集が可能な好適な末端を含む数個の小さい断片を、必要な相補性を持たせて合成することが可能である。隣接断片は、DNAリガーゼ、組換えに基づく方法、又はPCRに基づく方法により架橋できる。
本発明のタンパク質を含む、融合タンパク質をコードする核酸も提供する。このようなタンパク質の例は、上記の「タンパク質」の節で説明している。融合タンパク質をコードする核酸は上記のように人工的に合成できる。
特に、請求のタンパク質(即ち、ヒスピジンヒドロキシラーゼ、ヒスピジンシンターゼ、及びカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼ)、又は請求の核酸分子に基づいた、もしくは請求の核酸分子を複製するための融合タンパク質を得るために使用する発現カセット又は系も提供する。発現カセットは染色体外要素として存在し得るか、又は前記発現カセットを細胞内に導入して得られた細胞ゲノムに含まれていてもよい。発現カセットを細胞内に導入すると、本発明の核酸によりコードされたタンパク質生成物が形成される;この場合、タンパク質が細胞により「生成」又は「発現」されると言える。例えば、細菌系、酵母、植物、昆虫、両生類又は哺乳動物細胞を含む発現系であればどのような発現形でも応用可能である。発現カセット中の標的核酸は、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター配列、オペレーター、リプレッサー、及びインダクターを含み得る制御配列と操作的に結合する。一般に、発現カセットは、少なくとも(a)宿主細胞内で機能する転写開始領域;(b)本発明の核酸;及び(c)宿主細胞内で機能する転写終止領域から成る。所望の生成物を発現可能な発現カセット又は系を得る方法は、当業者に公知である。
請求項の核酸から成るベクター及び他の核酸構造体も提供する。好適なベクターとしては、ウイルス性及び非ウイルス性ベクター、プラスミド、コスミド、ファージ等が挙げられ、好適な宿主への本発明の核酸配列のクローニング、増幅、発現、転移等に使用する。好適なベクターの選択は当業者に自明である。一般に、ベクター中の制限酵素により分裂した部位に連結しているDNAリガーゼにより、完全長核酸又はその一部をベクターに導入する。あるいは、所望のヌクレオチド配列は、インビボ相同組換えにより、通常、所望のヌクレオチド配列の隣接部で相同領域をベクターに連結することにより、挿入可能である。相同領域は、所望のヌクレオチド配列の一部として、例えば相同領域を含むプライマーを用いて、オリゴヌクレオチドライゲーション又はポリメラーゼ連鎖反応により付加される。原則として、ベクターは、染色体外要素として細胞内に導入された結果、宿主細胞内での複製を促進する複製起源を有する。また、前記ベクターは、宿主細胞における核酸の発現を促進して組換え機能性タンパク質を得る制御要素から成る。発現ベクターにおいて、前記核酸は、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、オペレーター、リプレッサー、サイレンサー、インシュレーター、及びインダクターを含み得る制御配列に機能的に結合する。機能性タンパク質又はその短縮形態を発現させる目的で、少なくとも制御配列及び転写開始部位を構成する核酸にコード核酸を操作的に架橋する。また、これらの核酸は、ヒスチジンタグ(6Hisタグ)、シグナルペプチド又は機能性タンパク質のドメインをコードする配列から構成できる。多くの実施形態では、ベクターは、制御要素と操作的に結合した核酸を宿主細胞ゲノムへ組み込むことを促進する。ベクターは、蛍光タンパク質(例えばgfp)、抗生物質耐性遺伝子(例えばアンピシリン、又はカナマイシン、又はネオマイシン、又はハイグロマイシン等、耐性遺伝子)などの選択可能マーカー、ホスフィノトリシン及びスルホンアミド除草剤に対する耐性を調節する遺伝子などの除草剤に対する耐性を調節する遺伝子、又は先行技術から公知の他の選択可能マーカーのための発現カセットから構成できる。
ベクターは、4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ、3-アリールアクリル酸合成タンパク質をコードする核酸(例えば、「応用、組合せ、及び使用方法」の節で説明している)、ルシフェラーゼ等を含む追加の発現カセットから構成できる。
上記の発現系は、原核生物宿主又は真核生物宿主において使用できる。タンパク質を得るために、大腸菌、枯草菌(B.subtilis)、出芽酵母(S.cerevisiae)、昆虫細胞,又はヒト胚細胞ではない高等有機体細胞、例えば、酵母、植物(例えば、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)、ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)、脊椎動物、例えば、COS7細胞、HEK293、CНO、アフリカツメガエル(Xenopus)卵母細胞等の宿主細胞を使用することが可能である。
本発明のタンパク質を着実に生成する細胞株は、当技術分野で公知の方法(例えば、dhfr、gpt、抗生物質耐性遺伝子(アンピシリン、又はカナマイシン、又はネオマイシン、又はハイグロマイシン等)などの選択可能なマーカーとのコトランスフェクション)により選択可能であり、この方法は、ゲノムに含まれるか、又は染色体外要素に組み込まれた遺伝子から成るトランスフェクトされた細胞を同定し、単離することを可能にする。
前記宿主細胞又は本発明の核酸の複製及び/又は発現に適した他の宿主細胞又は有機体のいずれかを用いる場合、得られた複製核酸や発現タンパク質又はポリペプチドは、宿主細胞又は有機体生成物として本発明の範囲内にある。生成物は、当技術分野で公知の好適な方法により単離できる。
本発明の多くの実施形態では、細胞は、真菌ルシフェリン生合成の様々な酵素をコードする本発明の核酸から成る複数の発現カセットと共にコトランスフェクトする。いくつかの実施形態では、発光を伴って真菌ルシフェリンを酸化することが可能なルシフェラーゼをコードする核酸から成る発現カセットを細胞に追加的に導入する。いくつかの場合では、発現カセットは、細胞形質転換に使用される1つのベクターに結合する。いくつかの実施形態では、4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ及び/又は3-アリールアクリル酸合成タンパク質をコードする核酸を細胞に追加的に導入する。
PCRプライマー、ローリングサークル増幅子、ハイブリダイゼーションスクリーニングプローブ等として使用する請求の核酸の短鎖DNA断片も提供する。上述したように、長鎖DNA断片はコードされたポリペプチドを得るために使用する。しかし、PCRなどの幾何学的増幅反応では、一対の短鎖DNA断片、即ちプライマーを用いる。正確なプライマー配列は本発明にとって重要ではないが、ほとんどの応用では、当技術分野で知られているように、プライマーは、ストリンジェントな条件下で、請求の配列とハイブリダイズする。一対のプライマーを選択することが好ましく、当該プライマーは少なくとも約50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約100ヌクレオチドから増幅生成物をもたらし、核酸の配列全体に伸長することが可能である。プライマー配列選択用アルゴリズムが公知であり、市販のソフトウェアパッケージで入手可能である。増幅プライマーは相補的DNA鎖とハイブリダイズし、増幅カウンター反応の元となる。
本発明の核酸分子は、生物学的標本中の遺伝子発現を判定するためにも使用できる。ゲノムDNA又はRNAなどの特定のヌクレオチド配列の存在について細胞を調べる方法は、当技術分野でよく知られている。即ち、DNA又はmRNAを細胞標本から単離する。逆転写酵素を使用して相補的DNA鎖を形成し、その後、請求のDNA配列に特異的なプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応による増幅でmRNAを増幅できる。あるいは、ゲル電気泳動によりmRNA標本を単離し、好適な担体、例えばニトロセルロース、ナイロン等に移し、その後、請求のDNA断片をプローブとして試験する。また、例えば、オリゴヌクレオチドライゲーション分析、インサイツでのハイブリダイゼーション、及びハードアレイに固定化したDNA-プローブによるハイブリダイゼーションなどの他の方法も使用できる。請求の配列とハイブリダイズするmRNAが検出されると、標本内で遺伝子が発現したことが分かる。
トランスジェニック有機体
本発明の核酸を発現するトランスジェニック有機体、トランスジェニック細胞及びトランスジェニック細胞株も提供する。本発明のトランスジェニック細胞は、導入遺伝子として存在する本発明で検討されている1種又は数種の核酸を含む。本発明の目的のために、原核宿主細胞(例えば、大腸菌、ストレプトマイセス属(Streptomyces sp.)、枯草菌、好酸性乳酸杆菌(Lactobacillus acidophilus)等)又はヒト胚細胞ではない真核宿主細胞を含む任意の好適な宿主細胞を使用できる。本発明のトランスジェニック有機体は、細菌、シアノバクテリア、真菌、植物及び動物を含む原核又は真核有機体とすることが可能であり、ここでは、本発明の異種核酸から成る1種以上の有機体細胞は、例えば、当技術分野で公知のトランスジェニック技術に沿って、人為的操作により組み込むことで導入される。
本発明の1実施形態では、トランスジェニック有機体は原核有機体とすることが可能である。原核宿主細胞の形質転換方法は当技術分野でよく知られている(例えば、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、 Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989年、第2版)、及びAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons,Inc、1995年を参照されたい)。
本発明の他の実施形態では、前記トランスジェニック有機体は、真菌、例えば酵母とすることが可能である。酵母は、異種遺伝子発現のための担体として広く使用されている(例えば、Goodeyら、Yeast biotechnology、D R Berryら編、Allen and Unwin、ロンドン、1987年、p.401-429、Kongら、Molecular and Cell Biology of Yeasts、E.F.Walton及びG.T.Yarronton編、Blackie、Glasgow、1989年、p.107-133を参照されたい)。酵母ベクターが数種利用可能であり、これらはその維持のために宿主ゲノムとの組換えを必要とする組み込みベクターや、自律的に複製するプラスミドベクターも含む。
他の宿主生物としては、動物有機体が挙げられる。トランスジェニック動物は、当技術分野で公知であり、標準的なマニュアルに記載されているトランスジェニック技術を用いて得ることが可能である(例えば、Pinkert、Transgenic Animal Technology:A Laboratory Handbook、Academic Press、San Diego、2003年、第2版;Gersenstein及びVinterstein、Manipulating the Mouse Embryo:A Laboratory Manual、2002年、第3版;Nagy A.(編)、Cold Spring Harbor Laboratory;Blauら、Laboratory Animal Medicine、2002年、第2版;Fox J.G.、Anderson L.C.、Loew F.M.、Quimby F.W.(編)、American Medical Association、American Psychological Association;Alexandra L.Joyner(編)、Gene Targeting:A Practical Approach、Oxford University Press;2000年、第2版)。例えば、トランスジェニック動物は、内因性遺伝子座が変更されたフレームワーク内での相同組換えにより得られる。あるいは、核酸構造体を無作為にゲノムに組み込む。安定に組み込むためのベクターとしては、プラスミド、レトロウイルス及び他の動物ウイルス、YAC等が挙げられる。
核酸は、マイクロインジェクション、組換えウイルス感染又は組換えウイルスベクターの使用、形質移入、形質転換、遺伝子銃送達、又はトランスコンジュゲーションなどの慎重な遺伝子操作を利用する細胞前駆体への導入により、直接又は間接的に細胞内に導入できる。このような有機体への核酸(例えばDNA)分子転移の技術はよく知られており、標準的なマニュアル、例えばSambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、ニューヨーク、2001年、第3版)に記載されている。
用語「遺伝子操作」は、古典的な交雑育種やインビトロでの体外受精ではなく、むしろ核酸組換え分子の導入を意味する。前記核酸分子は染色体に組み込んでも、染色体外複製DNAであってもよい。
相同組換えのためのDNA構造体は本発明の核酸の少なくとも一部を含み、本発明の核酸は、遺伝子座を標的とする相同領域に操作的に連結する。無作為の組み込みでは、組換えを容易にするために相同領域をDNA構造体に含める必要はない。正の選択マーカー及び負の選択マーカーも含めることが可能である。相同組換えによる標的遺伝子修飾を含む細胞を得る方法は当技術分野で公知である。哺乳動物細胞のトランスフェクションの異なる技術は例えば、論文Keownら、Methods in Enzymology、1990年、第185号:p.527-537)に記載されている。
胚性幹細胞(ES)の場合、ES細胞株を使用することが可能であり、又はマウス、ラット、モルモット等の宿主生物から胚細胞を新鮮に得ることが可能である。このような細胞は対応する線維芽細胞ナース層上で増殖するか、又は白血病抑制因子(LIF)の存在下で増殖する。形質転換したES細胞又は胚細胞は、当技術分野で公知の関連技術を用いてトランスジェニック動物を作製するために使用できる。
トランスジェニック動物は、ヒトとは異なる哺乳類(例えば、マウス又はラット)、鳥類、両生類等を含む、ヒトとは異なる動物であればどのような動物でもよく、機能試験、薬物スクリーニング等に使用する。
トランスジェニック植物を得ることも可能である。トランスジェニック植物細胞を得る方法は、米国特許第5767367号、米国特許第5750870号、米国特許第5739409号、米国特許第5689049号、米国特許第5689045号、米国特許第5674731号、米国特許第5656466号、米国特許第5633155号、米国特許第5629470号、米国特許第5595896号、米国特許第5576198号、米国特許第5538879号、及び米国特許第5484956号の特許に記載されており、これらの記載は本発明において参照される。トランスジェニック植物を得るための方法は、以下のレビューに要約されている:Lea及びLeegood編、Plant Biochemistry and Molecular Biology、John Wiley & Sons、1993年、p.275-295、及びOksman Caldentey及びBarz編、Plant Biotechnology and Transgenic Plants、2002年、p.719。
トランスジェニック宿主有機体を得るためには、例えば、体細胞から成る胚形成外植片を使用できる。細胞又は組織を回収した後、対象の外因性DNAを植物細胞に導入する。そのような導入のために、利用可能な多くの様々な技術がある。単離されたプロトプラストの利用可能性は、DNA媒介遺伝子転移プロトコルを用いた導入を可能にする。当該プロトコルは多価カチオン(例えば、PEG又はポリ-L-オルニチン)の存在下で;又は対象の外因性配列を含む天然DNAの存在下でのプロトプラスト電気穿孔法に従って、対象の外因性コード配列を含むプラスミドなどの脱タンパクDNAでプロトプラストをインキュベートすることを含む。次いで、外因性DNAの取り込みに成功したプロトプラストを選択し、カルス形成まで成長させ、最終的に、関連する量及び比率で取り込まれたオーキシンやサイトカイニンなどの増強因子を接触させることにより、トランスジェニック植物を得る。
植物は、当業者に公知の「遺伝子銃」に基づく方法又はアグロバクテリウム媒介形質転換などの他の好適な方法により得られる。
抗体
本明細書では、用語「抗体」は、少なくとも1つの抗体活性部位(抗原結合部位)を含むポリペプチド又はポリペプチド群を指す。用語「抗原結合部位」とは、表面パラメータ及び電荷分布が抗原エピトープと相補的である空間構造を指し:抗原結合部位は、関連する抗原との抗体結合を促進する。用語「抗体」は例えば、脊椎動物の抗体、キメラ抗体、ハイブリッド抗体、ヒト化抗体、修飾抗体、一価抗体、Fab断片、及び単一ドメイン抗体を包含する。
本発明のタンパク質に特異的な抗体は、アフィニティークロマトグラフィー、免疫学的スクリーニング、本発明のタンパク質(ヒスピジンヒドロキシラーゼ、ヒスピジンシンターゼ、カフェイルピルビン酸ヒドロラーゼ)の検出及び同定に応用可能である。対象の抗体は、「タンパク質」の節で説明している抗原ポリペプチドもしくはタンパク質又はタンパク質断片と結合する。本発明の抗体は担体に固定し、ポリペプチド、タンパク質もしくはタンパク質断片、又はそのようなポリペプチド、タンパク質もしくはタンパク質断片を含む細胞を検出及び/又は分離するために免疫学的スクリーニング又はアフィニティークロマトグラフィーカラムにおいて使用できる。あるいは、そのようなポリペプチド、タンパク質又はタンパク質断片は、それらと特異的に連結できる抗体を検出するような方法で固定できる。
本発明のタンパク質に特異的な抗体はポリクローナル及びモノクローナルとして、標準的な方法を用いて得られる。一般的には、初めに、タンパク質を用いて好適な哺乳動物、好ましくはマウス、ラット、ウサギ又はヤギを免疫する。ウサギ及びヤギは、かなりの量の血清が得られること、また、顕著な抗ウサギ抗体及び抗ヤギ抗体が得られることから、ポリクローナル血清を得るための好ましい対象である。免疫化は通常、生理食塩水中で、好ましくはフロイントアジュバントなどのアジュバントと特異的タンパク質を混合又は乳化し、次いで、得られた混合液又は乳化物を非経口的に(通常、皮下注射又は筋肉内注射)導入することにより、行う。通常、十分用量は、1回の注射当たり50~200μgである。
本発明の様々な実施形態では、組換えタンパク質又は天然タンパク質は天然形態又は変性形態での免疫化に使用する。本発明のタンパク質アミノ酸配列の一部から成るタンパク質断片又は合成ポリペプチドも、免疫化のために使用できる。
免疫化は通常、生理食塩水中で、好ましくは不完全フロイントアジュバントを用いて、1回又は数回のタンパク質追加注入により2~6週間追加免疫する。あるいは、本発明の目的の観点からインビトロ免疫化に相当する、当技術分野で公知の方法を用いたインビトロ免疫化によっても抗体が得られる。ポリクローナル抗血清は、免疫化した動物からガラス容器又はプラスチック容器に採血し、次いで25℃で最大1時間、血液をインキュベートし、その後、4℃で2~18時間インキュベートすることにより得られる。血清は遠心分離(例えば、1000gで最大10分)により抽出する。一度に20~50mlの血液がウサギから得られる。
モノクローナル抗体は、標準的なケーラー-ミルスタイン(Kohler-Milstein)技術(Kohler&Milstein、Nature、1975年、第256号、p.495-496)又はその改変法を用いて得られる。通常、マウス又はラットは上記の情報に従って免疫する。しかし、血清を得るための動物からの採血とは対照的に、この技術は脾臓切除(及び、それが必要なければ、数個の大きなリンパ節の切除)及び組織浸軟を行い、個々の細胞を分離する。必要に応じて、脾臓細胞は、プレート上の細胞懸濁液に、又はタンパク質-抗原でよく被覆した別のプレート中に添加することにより(特定しない付着細胞を抽出した後に)スクリーニングできる。被験抗原に特異的な膜結合免疫グロブリンを発現するBリンパ球は、懸濁液残渣でBリンパ球がプレートから洗浄されないようにプレート上で結合する。次に、得られたBリンパ球又は浸軟させた全脾臓細胞とハイブリドーマの形成をもたらす骨髄腫細胞とが融合する;その後、それらを選択培地(例えば、ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンから成るHAT培地)でインキュベートする。得られたハイブリドーマを限定的培養液に播種し、免疫化に使用される抗原と特異的に結合している(外因性薬剤と結合していない)抗体の応答性について試験する。次いで、モノクローナル抗体(mAb)を分泌する選択したハイブリドーマを、インビトロ(例えば、中空繊維束の形態の発酵槽内、又は組織培養のためのガラス容器内)、又はインビボ(マウスの腹水内)のいずれかでインキュベートする。
抗体(モノクローナル又はポリクローナルとして)は、標準的な方法を用いてタグ付けできる。好適なタグは蛍光体、発色体、放射性核種(特に32P及び125I)、高電子密度試薬、酵素、及びリガンドであり、これらには特定の結合パートナーが公知である。酵素は通常、その触媒活性により検出する。例えば、ワサビペルオキシダーゼは一般に、3,3’,5,5’-トラメチルベンジジン(ТМВ)を青色顔料に変換するその能力により検出し、分光光度計で定量的に評価する。用語「特異的結合パートナー」とは、例えば、抗原とそれに特異的なモノクローナル抗体の場合のように、分子-リガンドを高い特異性レベルで結合させることが可能なタンパク質を指す。特異的結合パートナーの他の例としては、ビオチン及びアビジン(又はストレプトアビジン)、免疫グロブリン-G及びタンパク質-A、並びに当技術分野で公知の複数対の受容体及びそのリガンドが挙げられる。他の変種及び能力は当業者に自明であり、本発明の範囲では同等であると考えられる。
本発明の抗原、免疫原、ポリペプチド、タンパク質、又はタンパク質断片は特異的結合パートナー ― 抗体を形成する。本発明の前記抗原、免疫原、ポリペプチド、タンパク質、又はタンパク質断片は、本発明の免疫原性組成物を含む。このような免疫原性組成物は更に、本発明の抗原、ポリペプチド、タンパク質又はタンパク質断片を刺激又は増強し、又は安定化するアジュバント、担体、又は他の組成物から構成されるか、又は含むことが可能である。このようなアジュバント及び担体は当業者に自明である。
応用、組合せ、使用方法
本発明は、プレルシフェリン(即ち、6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オン)からのルシフェリン合成の反応(1)を触媒する酵素としての真菌ルシフェリン生合成タンパク質(即ち、6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オン(真菌ルシフェリン))の応用を提供する。当該6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンは下記構造式を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
当該6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンは下記構造式を有する。式中Rはアリール又はヘテロアリールである。
あるいは、上記酵素は3-アリールアクリル酸(プレルシフェリン前駆体)からのプレルシフェリン合成を触媒する。当該3-アリールアクリル酸は下記構造式を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリール基でから選択される。
あるいは、上記酵素は6-アリール-2-ヒドロキシ-4-オキソヘキサ-2,5-ジエン酸(オキシルシフェリン)からの3-アリールアクリル酸合成を触媒する。当該6-アリール-2-ヒドロキシ-4-オキソヘキサ-2,5-ジエン酸は下記構造式を有する。
真菌ルシフェリン生合成タンパク質は本発明の多くの実施形態で応用され、その実施形態の非限定的な例は以下の章で示す。
本発明により確実に応用される真菌ルシフェリン生合成タンパク質は、様々な天然供給源から、又は組換え技術により得られる。例えば、野生型タンパク質は、生物発光性真菌、例えば担子菌タイプ、主に担子菌類クラス、特にハラタケ目の真菌から単離できる。例えば、野生型タンパク質は、生物発光性真菌シロヒカリタケ、アシグロナラタケ、ナラタケ、グヤナガスター・ネクロヒザ、ミセナ・シトリコロール、ネオノテパヌス・ガードネリ、オムファロタス・オレアリウス、ワサビタケ、ワタゲナラタケ、オニナラタケ、ヤコウタケ等から単離できる。これらは、それぞれの宿主でタンパク質配列をコードする組換え核酸を発現させることにより、又は無細胞発現系においても得られる。
いくつかの実施形態では、タンパク質は宿主細胞内で応用し、そこで発現し、真菌ルシフェリン周期的形質転換が行われる。他の実施形態では、単離した組換えタンパク質、又は天然タンパク質、又は応用したタンパク質から成る抽出物を使用する。
真菌ルシフェリン生合成タンパク質は生理条件下で活性を示す。
いくつかの実施形態では、タンパク質ヒスピジンヒドロキシラーゼは、インビトロ及びインビボで応用し、生物発光性真菌ルシフェラーゼ、それらの相同体、及び発光する変異体により酸化するルシフェリンが得られる。従って、本発明は、6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オン(真菌ルシフェリン)への6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オン(プレルシフェリン)の変換を触媒する本発明のヒスピジンヒドロキシラーゼの応用を提供した。当該6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンは下記構造式を有する。
当該6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンは下記構造式を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
プレルシフェリンから真菌ルシフェリンを得る方法は、ヒスピジンヒドロキシラーゼの少なくとも1分子と、6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンの少なくとも1分子と、NAD(P)Hの少なくとも1分子と、分子酸素(O2)の少なくとも1分子とを組合せることを含む。前記反応は、インビトロ及びインビボにおいて、20~42℃の温度で生理条件下で行い、また、前記反応はヒスピジンヒドロキシラーゼを発現する細胞、組織及び宿主有機体において行うことが可能である。好ましい実施形態では、前記細胞、組織及び有機体は、反応を実施するための十分な量のNAD(P)H及び分子酸素から成る。外因的に誘導した6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オン、又は細胞、組織及び有機体中で生成された内因性の6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンを反応に使用できる。
好ましい実施形態では、本発明のヒスピジンヒドロキシラーゼはヒスピジンから3-ヒドロキシヒスピジンを合成する。好ましい実施形態では、ヒスピジンヒドロキシラーゼは、表2に示す対応するプレルシフェリンから3-ヒドロキシヒスピジンの少なくとも1つの機能的類似体を合成する。いくつかの実施形態では、本発明のヒスピジンヒドロキシラーゼは、下記構造式を有する対応する6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンから、6-(2-アリールビニル)-3、4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンを合成する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
得られた6-(2-アリールビニル)-3、4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンを応用し、機能性ルシフェラーゼから成るインビトロ系及びインビボ系において発光させ、基質として真菌ルシフェリンを同定する。
本発明の目的のために、配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、及びそれらの変異体、相同体及び誘導体に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質は、ヒスピジン-ヒドロキシラーゼとして応用可能である。例えば、少なくとも350個のアミノ酸に、少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、又は80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である機能性ヒスピジンヒドロキシラーゼ2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28を使用できる。例えば、機能性ヒスピジンヒドロキシラーゼは、全タンパク質ポリペプチド鎖に対して少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%同一であることが可能である。
好ましい実施形態では、本発明の目的のため、配列番号:29~33に示される数種の保存的なアミノ酸モチーフ(コンセンサス配列)の存在によって特徴付けられるアミノ酸配列を有するタンパク質はヒスピジン-ヒドロキシラーゼとして応用可能である。ヒスピジンヒドロキシラーゼのアミノ酸配列内のコンセンサス部位は、アミノ酸インサートを介して下部挿入部に操作的に連結する(図1)。
いくつかの実施形態では、ヒスピジン-シンターゼタンパク質はインビトロ及びインビボで応用し、その前駆体から真菌ルシフェリンを生成する。即ち、6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンへの3-アリールアクリル酸の形質転換を触媒するために応用する。当該3-アリールアクリル酸は下記構造式を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリール基である。
当該6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンは下記構造式を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
プレルシフェリンを得る方法は、ヒスピジンシンターゼの少なくとも1分子と、3-アリールアクリル酸の少なくとも1分子と、補酵素Aの少なくとも1分子、AMPの少なくとも1分子、マロニル-CoAの少なくとも2分子とを組合せることを含む。
前記反応は20~42℃の温度で生理条件下で行い、また、前記反応はヒスピジン-シンターゼを発現する細胞、組織及び宿主有機体において行うことが可能である。好ましい実施形態では、前記細胞、組織及び有機体は、反応を実施するために十分な量の補酵素A、マロニル-CoA及びAMPから成る。
外因的に誘導した3-アリールアクリル酸、又は細胞、組織及び有機体中で生成した3-アリールアクリル酸は反応に使用できる。
例えば、本発明のヒスピジン-シンターゼは、コーヒー酸からヒスピジンを生成するために使用できる。好ましい実施形態では、ヒスピジン-シンターゼは、表2に示す3-アリールアクリル酸からヒスピジンの機能性類似体(6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オン)を合成する。
得られた6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンは、本発明のヒスピジンヒドロキシラーゼの存在下で真菌ルシフェリンの製造に応用する。ヒスピジン及びその機能性類似体は、抗酸化特性及び抗腫瘍特性を示すことから医療分野にも応用されている;ヒスピジンが肥満を予防することができるという論証もいくつかある[Be Tuら、Drug Discoveries&Therapeutics、2015年6月;第9号(3):p.197-204;Nguyenら、Drug Discoveries&Therapeutics、2014年12月;第8号(6):p.238-44;Yousfiら、Phytotherapy Research、2009年9月;第23号(9):p.1237-42]。
本発明の目的のためには、配列番号:35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55に示すアミノ酸配列を有するタンパク質、及びそのタンパク質の変異体、相同体及び誘導体は、ヒスピジン-シンターゼとして応用可能である。例えば、配列番号:35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55の群から選択される配列と少なくとも40%、典型的には少なくとも45%、通常少なくとも50%、例えば、少なくとも55%、少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有する機能性ヒスピジン-シンターゼが利用可能である。
本発明の目的のための好ましい実施形態では、配列番号:56~63に示される数種の保存的アミノ酸モチーフ(コンセンサス配列)の存在を特徴とするアミノ酸配列を有するタンパク質がヒスピジン-シンターゼとして応用できる。ヒスピジン-シンターゼのアミノ酸配列内のコンセンサス部位は、アミノ酸インサートを介して下部挿入部に操作的に連結する(図2)。
いくつかの実施形態では、カフェイルピルビン酸ヒドロラーゼタンパク質はインビトロ及びインビボで応用し、6-アリール-2-ヒドロキシ-4-オキソヘキサ-2,5-ジエン酸から3-アリールアクリル酸を生成する。当該3-アリールアクリル酸は下記構造式を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリール基から選択される。
当該6-アリール-2-ヒドロキシ-4-オキソヘキサ-2,5-ジエン酸は下記構造式を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
この反応はインビトロ及びインビボで生理条件下で行う。本発明のカフェオイルピルビン酸ヒドロラーゼは以下に詳述する自律生物発光系に応用する。
本発明の目的のためには、配列番号:65、67、69、71、73、75に示すアミノ酸配列を有するタンパク質、及びそのタンパク質の変異体、相同体及び誘導体は、カフェオイルピルビン酸ヒドロラーゼとして応用可能である。例えば、配列番号:65、67、69、71、73、75の群から選択される配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有する機能性カフェイルピルビン酸ヒドロラーゼが利用可能である。
本発明の目的のための好ましい実施形態では、配列番号:76~78に示される数種の保存的アミノ酸モチーフ(コンセンサス配列)の存在を特徴とするアミノ酸配列を有するタンパク質がカフェオイルピルビン酸ヒドロラーゼとして応用可能である。カフェイルピルビン酸ヒドロラーゼのアミノ酸配列内のコンセンサス部位は、アミノ酸インサートを介して下部挿入部に操作的に連結する(図3)。
本発明の方法において応用可能なタンパク質の組合せも提供する。好ましい実施形態では、その組合せには、機能性ヒスピジンヒドロキシラーゼ及び機能性ヒスピジンシンターゼが含まれる。この組合せは、下記構造式を有する3-アリールアクリル酸から6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンを生成するために応用する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
例えば、この組合せは、コーヒー酸ヒドロキシヒスピジンを生成するために使用可能である。この反応は、ヒスピジンヒドロキシラーゼの少なくとも1分子、ヒスピジンシンターゼの少なくとも1分子、3-アリールアクリル酸の少なくとも1分子、補酵素Aの少なくとも1分子、AMPの少なくとも1分子、マロニル-CoAの少なくとも2分子、NAD(P)Hの少なくとも1分子、及び分子酸素(O2)の少なくとも1分子の存在下で、生理条件下で行う。
いくつかの実施形態では、前記組合せには、下記構造式を有する6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンを使用することが可能なルシフェラーゼも含まれる。式中、ルシフェリンのようにRはアリール又はヘテロアリールである。
このようなルシフェラーゼによる前記6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンの酸化は、生物発光、及びオキシルシフェリン(6-アリール-2-ヒドロキシ-4-オキソヘキサ-2,5-ジエン酸)の形成を伴う。
上記活性を特徴とするタンパク質であればどのようなタンパク質もルシフェラーゼとして使用できる。例えば、生物発光性真菌由来の既知のルシフェラーゼには、2017年1月30日出願のロシア特許出願第2017102986/10(005203)号明細書に記載されているルシフェラーゼ、及びルシフェラーゼ活性を有するその相同体、変異体及び融合タンパク質が挙げられる。
本発明の多くの実施形態では、本発明の目的に応用可能なルシフェラーゼは、配列番号:80、82、84、86、88、90、92、94、96、98の群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも40%同一、例えば少なくとも45%同一、又は少なくとも50%同一、又は少なくとも55%同一、又は少なくとも60%同一、又は少なくとも70%同一、又は少なくとも75%同一、又は少なくとも80%同一、又は少なくとも85%同一のアミノ酸配列を特徴とする。ルシフェラーゼは高頻度に、配列番号:80、82、84、86、88、90、92、94、96、98の群から選択されるアミノ酸配列に対して以下の同一性:最小で90%の同一性(例えば、少なくとも91%、最小で92%、最小で93%、最小で94%、最小で95%、最小で96%、最小で97%、最小で98%、最小で99%の同一性、又は100%の同一性)を有するアミノ酸配列を特徴とする。
変異体は、その変異体が得られた野生型ルシフェラーゼの生物学的特性を保持することが可能であり、又は野生型タンパク質とは異なる生物学的特性を有することが可能である。本発明に従ったルシフェラーゼの用語「生物学的特性」は、限定されることなく、様々なルシフェリンを酸化する能力;インビボ及び/又はインビトロ安定性(例えば半減期)などの生化学的特性;成熟率;凝集又はオリゴマー化の傾向、及び他の類似の特性を指す。変異には、1個以上のアミノ酸の変化、1個以上のアミノ酸の欠失もしくは挿入、置換もしくはトランケーション、又はN末端トランケーションもしくは延長、C末端トランケーションもしくは延長等が含まれる。
本発明のいくつかの実施形態では、前記ルシフェラーゼは単離形態で使用する。即ちルシフェラーゼは、他のタンパク質、又はオリゴ糖、核酸及びその断片等の他の天然の生物学的分子からほぼ遊離している。ここで、この場合の用語「ほぼ遊離している」は、前記単離したタンパク質から成る前記組成物の70%未満、通常60%未満、典型的に50%未満が他の天然の生物学的分子であることを意味する。いくつかの実施形態では、前記タンパク質はほぼ精製形態である。ここで、用語「ほぼ精製形態」は、純度が少なくとも95%に、通常は少なくとも97%に、典型的には少なくとも99%に等しいことを意味する。
いくつかの実施形態では、ルシフェラーゼは、組換えルシフェラーゼをコードする核酸から成る生物発光性真菌又は宿主細胞から得られる抽出物の一部として使用する。
多くの実施形態では、ルシフェラーゼは、組換えルシフェラーゼをコードする核酸から成る異種発現系に(本発明の細胞又は有機体に)存在する。
単離形態で、又は抽出物の一部として、又は異種発現系において組換えタンパク質、特にルシフェラーゼを生成するための方法は当技術分野でよく知られており、「核酸」の節で説明している。タンパク質精製方法は「タンパク質」の節で説明している。
好ましい実施形態では、ルシフェラーゼは50℃未満の温度、典型的には最大45℃の温度で活性を保持し、即ち、20~42℃の温度で活性を保持し、インビトロ及びインビボでの異種発現系において使用できる。通常、記載されたルシフェラーゼのpH安定性は4~10の範囲内、典型的には6.5~9.5の範囲内である。請求のタンパク質の最適pН安定性は7.0~8.5、例えば7.3~8.0の範囲内である。好ましい実施形態では、前記ルシフェラーゼは生理条件下で活性である。
ヒスピジンヒドロキシラーゼと、発光を伴って真菌ルシフェリンを酸化するルシフェラーゼとの組合せは、生物学的対象:細胞、組織又は有機体におけるヒスピジン及びその機能的類似体の同定の方法に応用する。この方法は、生理条件を形成し、反応を実行するために必要な成分から成る好適な反応緩衝液中で、単離ヒスピジンヒドロキシラーゼと前記ルシフェラーゼの組合せに、被験生物学的対象物又はその対象物から得た抽出物を接触させることを含む。当業者であれば、この条件を満たす様々な反応緩衝液を作成できる。反応緩衝液の非限定的な例としては、0.5MのNa2SO4、0.1%のドデシルマルトシド(DDM)、1mMのNADPHを添加した0.2Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0~8.0)が挙げられる。
ヒスピジン又はその機能性類似体の存在は、検出可能な発光-生物発光の発生により判定する。検出可能な発光を検出する方法は、機能的スクリーニング法を説明する際の「タンパク質」の節で上述している。
ヒスピジンヒドロキシラーゼ、ヒスピジンシンターゼ、及び発光を伴って真菌ルシフェリンを酸化するルシフェラーゼの組合せは、下記構造式を有する3-アリールアクリル酸を同定する方法に応用する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
当該方法には、単離ヒスピジンヒドロキシラーゼ、ヒスピジンシンターゼ、及び
生理条件を形成して反応を実行するために必要な成分から成るルシフェラーゼの組合せに、被験生物学的対象物又はその対象物から得た抽出物を接触させることが含まれる。当業者であれば、この条件を満たす様々な反応緩衝液を作成できる。反応緩衝液の非限定的な例としては、0.5MのNa2SO4、0.1%のドデシルマルトシド(DDM)、1mMのNADPH、10mMのATP、1mMのCoA、及び1mMのマロニル-CoAを添加した0.2Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0~8.0)が挙げられる。
3-アリールアクリル酸の存在は、検出可能な発光-生物発光の発生により判定する。検出可能な発光を検出する方法は、機能的スクリーニング法を説明する際の「タンパク質」の節で上述している。
いくつかの実施形態では、ヒスピジンヒドロキシラーゼ及び発光を伴って真菌ルシフェリンを酸化するルシフェラーゼの組合せの代わりに、上記「タンパク質」の節で説明している融合タンパク質が使用できる。融合タンパク質はヒスピジンヒドロキシラーゼ活性及びルシフェラーゼ活性を同時に発揮し、前記酵素の組合せに代えて任意の方法で使用することが可能である。
いくつかの実施形態では、上記のヒスピジンシンターゼの代わりに、配列番号:119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139の群から選択されるアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を特徴とするIII型ポリケチドシンターゼが使用できる。本発明の目的のために、配列番号:119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139の群から選択される配列と少なくとも40%、典型的には少なくとも45%、通常は少なくとも50%、例えば少なくとも55%、又は少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するIII型ポリケチドシンターゼが応用可能である。
前記ポリケチドシンターゼ(PKS)の代表的なものは、多くの植物有機体において同定されており;ポリケチドシンターゼ、及び/又はクマル-CoAからのビスノリアンゴニン(bisnoryangonin)合成を触媒するそのポリケチドシンターゼの変異能力が当技術分野で公知である[Limら、Molecules、2016年6月22日;21号(6)]。本出願人らは、前記酵素はインビトロ及びインビボで以下のようにカフェイル-CoAからのヒスピジン合成を触媒できることを実証している。
従って、ヒスピジン合成のための前記タンパク質の応用も本発明の範囲内である。
本発明のいくつかの実施形態では、PKSは単離形態で使用する。即ち、PKSは、他のタンパク質、又はオリゴ糖、核酸及びそれらの断片等の他の天然の生物学的分子からほぼ遊離した状態である。この場合の用語「ほぼ遊離している」とは、単離タンパク質から成る前記組成物の70%未満、通常は60%未満、典型的には50%未満が他の天然の生物学的分子であることを意味する。いくつかの実施形態では、前記タンパク質はほぼ精製形態である。用語「ほぼ精製形態」とは、少なくとも95%、通常は少なくとも97%、典型的には少なくとも99%に等しい純度を意味する。
多くの実施形態では、PKSは組換え酵素をコードする核酸から成る異種発現系に(本発明の細胞又は有機体に)に存在する。
単離形態で、又は抽出物の一部として、又は異種発現系において組換えタンパク質を生成するための方法は当技術分野でよく知られており、「核酸」の節で説明している。タンパク質精製方法は「タンパク質」の節で説明している。
好ましい実施形態では、PKSは50℃未満の温度、典型的には最大45℃の温度で活性を保持し、即ち、20~42℃の温度で活性を保持し、インビトロ及びインビボでの異種発現系において使用できる。通常、記載したPKSのpH安定性は4~10の範囲内、典型的には6.0~9.0の範囲内である。請求のタンパク質の最適pН安定性は6.5~8.5、例えば7.0~7.5の範囲内である。好ましい実施形態では、前記PKSは生理条件下で活性である。
ヒスピジンを得る方法は、上述のIII型ポリケチドシンターゼの少なくとも1分子と、3-アリールアクリル酸の少なくとも1分子と、マロニル-CoAの少なくとも2分子及びカフェイル-CoAの少なくとも1分子とを組合せることを含む。
いくつかの実施形態では、当該方法は、クマレート-CoAリガーゼに触媒される酵素反応中にコーヒー酸からカフェイル-CoAを生成することを含む。この場合、当該方法は、上述のIII型ポリケチドシンターゼと、コーヒー酸の少なくとも1分子と、補酵素Aの少なくとも1分子、クマレート-CoAリガーゼの少なくとも1分子、ATPの少なくとも1分子及びマロニル-CoAの少なくとも2分子とを組合せることを含む。
本発明の目的のために、下記式に示すコーヒー酸への補酵素Aの付加及びカフェイル-CoAの形成の反応を行う、当技術分野で公知の任意のクマレート-CoAリガーゼ酵素を使用できる。
特に、配列番号:141に示されるアミノ酸配列及び核酸配列、並びにその機能性変異体及び相同体を有するシロイヌナズナ由来のクマレート-CoAリガーゼ1が使用可能である。例えば、本発明の目的のために、配列番号:141に示すアミノ酸配列と最小で40%の同一性、例えば最小で45%の同一性、又は最小で50%の同一性、又は最小で55%の同一性、又は最小で60%の同一性、又は最小で65%の同一性、又は最小で70%の同一性、又は最小で75%の同一性、例えば最小で80%の同一性、最小で85%の同一性、最小で90%の同一性(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98%又は99%の同一性)を持つアミノ酸配列を有する機能性クマレート-CoAリガーゼが応用可能である。
前記反応は全て、20~50℃の温度で生理条件下において行い、また、前記反応は機能性酵素を発現する細胞、組織及び宿主有機体において行うことが可能である。
本発明のヒスピジンヒドロキシラーゼと組合せたPKS及びクマレート-CoAリガーゼは、コーヒー酸から3-ヒドロキシヒスピジンを生成するために使用可能である。この反応は、ヒスピジンヒドロキシラーゼの少なくとも1分子、PKSの少なくとも1分子、クマレート-CoAリガーゼの少なくとも1分子、コーヒー酸又はカフェイル-CoAの少なくとも1分子、補酵素Aの少なくとも1分子と、ATPの少なくとも1分子、NAD(P)Hの少なくとも1分子と、酸素の少なくとも1分子と、マロニル-CoAの少なくとも2分子の存在下、生理条件下で行う。
また、本発明は、真菌ルシフェリン生合成に関与する酵素をインビトロ及びインビボで得るために、真菌ルシフェリン生合成の酵素をコードする核酸、短縮形態及び伸長形態を含むこれらのタンパク質の変異体及び相同体、並びに融合タンパク質の応用を提供する。
好ましい実施形態では、本発明のヒスピジンヒドロキシラーゼをコードする核酸、即ち配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28に示されるアミノ酸配列を特徴とするタンパク質、及びそれらの機能性相同体、変異体及び誘導体の応用を提供する。好ましい実施形態では、核酸は、少なくとも350個のアミノ酸の配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28に示す配列に対して、少なくとも40%、典型的には少なくとも45%、通常少なくとも50%、例えば少なくとも55%、少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%一致するアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。好ましい実施形態では、核酸は、配列番号:29~33に示す数種の保存的アミノ酸モチーフ(コンセンサス配列)の存在を特徴とするアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。
ヒスピジン-シンターゼ、即ち配列番号:35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55に示されるアミノ酸配列を特徴とするタンパク質、並びにそれらの機能性相同体、変異体及び誘導体をコードする核酸の応用も提供する。好ましい実施形態では、本発明の核酸は、全タンパク質ポリペプチド鎖の配列番号:35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55に示す配列に対して、少なくとも40%、典型的には少なくとも45%、通常少なくとも50%、例えば少なくとも55%、又は少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%一致するアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。好ましい実施形態では、核酸は、配列番号:56~63に示す数種の保存的アミノ酸モチーフ(コンセンサス配列)の存在を特徴とするアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。
カフェイルピルビン酸ヒドロラーゼ、即ち配列番号:65、67、69、71、73、75に示されるアミノ酸配列を特徴とするタンパク質、並びにそれらの機能性相同体、変異体及び誘導体をコードする核酸の応用も提供する。好ましい実施形態では、本発明の核酸は、全タンパク質ポリペプチド鎖の配列番号:65、67、69、71、73、75に示す配列に対して、少なくとも40%、典型的には少なくとも45%、通常少なくとも50%、例えば少なくとも55%、又は少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%一致するアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。好ましい実施形態では、核酸は、配列番号:76~78に示す数種の保存的アミノ酸モチーフ(コンセンサス配列)の存在を特徴とするアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。
上記核酸群は、ヒスピジンヒドロキシラーゼ、ヒスピジンシンターゼ及びカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼの組換えタンパク質の生成、並びに異種発現系におけるこれらのタンパク質の発現のために応用する。
特に、ヒスピジンヒドロキシラーゼをコードする核酸は、外因性又は内因性の6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンから6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンの前駆細胞を得るために応用する。当該6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンは下記構造式を有する。
当該6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンは下記構造式を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
カフェイルピルビン酸ヒドロラーゼをコードする核酸は、オキシルシフェリンをプレルシフェリン前駆体に形質転換できる細胞及び有機体を得るために応用する。
ヒスピジン-シンターゼをコードする核酸は、対応する3-アリールアクリル酸から上記6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンのプロデューサー細胞を得るために応用する。例えば、ヒスピジン-シンターゼを発現する細胞は、コーヒー酸からヒスピジンを生成するために応用する。
いくつかの実施形態では、ヒスピジン-シンターゼをコードする核酸は、チロシンからヒスピジンを生成するために応用する。前記実施形態では、チロシンからのコーヒー酸の合成を促進する酵素をコードする核酸を追加的に細胞内に導入する。このような酵素は当技術分野で公知である。例えば、[Lin及びYan.、Microbial Cell Factories、2012年、第4巻;第11号:p.42]に記載されているように、ロドバクター・カプスラータ(Rhodobacter capsulatus)のチロシン-アンモニア-リアーゼをコードする核酸と、大腸菌4-ヒドロキシフェニルアセテート3-モノオキシゲナーゼ-レダクターゼの成分HpaB及びHpaCの組合せを使用できる。当技術分野で公知の他の酵素、チロシンをコーヒー酸に変換する酵素、例えば、ロドバクター・カプスラータのチロシン-アンモニア-リアーゼのアミノ酸配列とほぼ同一のアミノ酸配列を有する酵素、並びに配列番号:107、109及び111に示される大腸菌4-ヒドロキシフェニルアセテート3-モノオキシゲナーゼ-レダクターゼの成分HpaB及びHpaCが代替的に使用可能なことは当業者に自明である。例えば、前記酵素は、配列番号:107、109及び111にそれぞれ示されるアミノ酸配と、最小で40%の同一性、例えば、最小で45%の同一性、又は最小で50%の同一性、又は最小で55%の同一性、又は最小で60%の同一性、又は最小で65%の同一性、又は最小で70%の同一性、又は最小で75%の同一性、例えば最小で80%の同一性、最小で85%の同一性、又は最小で90%の同一性(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98%又は99%の同一性)を持つアミノ酸配列を有することが可能である。
いくつかの実施形態では、ヒスピジン-シンターゼをコードする核酸は、芳香族アミノ酸及びその誘導体を含む芳香族化合物からヒスピジン機能性類似体のプロデューサー細胞を得るために応用する。前記実施形態では、ヒスピジン機能性類似体が生合成される3-アリールアクリル酸の合成を促進する酵素をコードする核酸を追加的に細胞内に導入する。このような酵素は当技術分野で公知である。例えば、[Bang,H.B.、Lee,Y.H.、Kim,S.C.ら、Microbial Cell Factories、2016年、第15号:p.16、https://doi.org/10.1186/s12934-016-0415-9]に記載されているように、桂皮酸生合成のために、ストレプトマイセス・マリチマス(Streptomyces maritimus)のフェニルアラニン-アンモニア-リアーゼをコードする核酸を使用できる。当技術分野で公知の他の酵素、芳香族アミノ酸及び他の芳香族化合物を3-アリールアクリル酸に変換する酵素が代替的に使用可能なことは当業者に自明である。例えば、桂皮酸生合成では、任意の機能性フェニルアラニン-アンモニア-リアーゼを使用可能であり、そのアミノ酸配列は、配列番号:117に示す配列とほぼ類似しており、例えばその配列は配列番号:117の配列と少なくとも40%、例えば、最小で45%の同一性、又は最小で50%の同一性、又は最小で55%の同一性、又は最小で60%の同一性、又は最小で65%の同一性、又は最小で70%の同一性、又は最小で75%の同一性、例えば最小で80%の同一性、最小で85%の同一性、最小で90%の同一性(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98%又は99%の同一性)を持つ。
機能性ヒスピジン-シンターゼを発現する宿主細胞を得るためのいくつかの実施形態では、本発明のヒスピジン-シンターゼをコードする核酸により、及び補酵素Aからポリケチドシンターゼのアシル担体ドメイン内のセリンに4’-ホスホパンテテイニルを転移させることが可能な4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼをコードする核酸により、その宿主細胞をコトランスフェクトすることが必要である。他の実施形態では、選択した宿主細胞、例えば、植物細胞又は数種の下級真菌(例えば、アスペルギルス属(Aspergillus))の細胞は、内因性の4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼから成り、コトランスフェクションは必要ない。
本発明の核酸の組合せの応用も提供する。このように、ヒスピジンヒドロキシラーゼ及びヒスピジンシンターゼをコードする核酸の組合せは、3-アリールアクリル酸から6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンのプロデューサー細胞を得るために、例えば、コーヒー酸及び/又はチロシンから3-ヒドロキシヒスピジンを生成するために応用する。他の実施形態では、核酸の組合せは4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、核酸の組合せには、細胞代謝物からの3-アリールアクリル酸合成を促進する酵素、例えば、チロシンからのコーヒー酸合成又はフェニルアラニンからの桂皮酸合成を促進する酵素をコードする核酸を含む。
いくつかの実施形態では、核酸、コードPKS及びクマレート-CoAリガーゼの組合せはコーヒー酸からヒスピジンプロデューサー細胞を得るために使用する。本発明の目的のためには、機能性PKSをコードする核酸が応用可能であり、その核酸のアミノ酸配列は配列番号:119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139の群から選択される配列とほぼ類似又は同一である;例えば、PKSのアミノ酸配列は配列番号:119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139の群から選択される配列と少なくとも40%、典型的には少なくとも45%、通常少なくとも50%、例えば少なくとも55%、又は少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である。また、カフェイル-CoAが形成されるコーヒー酸に補酵素Aを付加する反応を触媒する機能性クマレート-CoAリガーゼをコードする核酸も本発明の目的に応用可能である。例えば、配列番号:141に示す配列と同一であるか、あるいは最小で40%の同一性、例えば最小で45%の同一性、又は最小で50%の同一性、又は最小で55%の同一性、又は最小で60%の同一性、又は最小で65%の同一性、又は最小で70%の同一性、又は最小で75%の同一性、例えば最小で80%の同一性、最小で85%の同一性、最小で90%の同一性(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98%又は99%の同一性)を持つアミノ酸配列を有する機能性クマレート-CoAリガーゼをコードする核酸も使用可能である。
いくつかの実施形態では、本発明のヒスピジンヒドロキシラーゼをコードする核酸とPKSをコードする核酸との組合せを使用する。好ましい実施形態では、その組合せはクマレート-CoAリガーゼをコードする核酸も含む。その組合せは、コーヒー酸及び/又はカフェイル-CoAから3-ヒドロキシヒスピジンプロデューサー細胞を得るために応用する。
いくつかの実施形態では、核酸の組合せはチロシンからのコーヒー酸の合成を促進する酵素をコードする核酸を含む。
発光を伴って真菌ルシフェリンを酸化できるルシフェラーゼをコードする核酸と共に使用する本発明の核酸の組合せは特別な対象である。本発明の目的のためのルシフェラーゼをコードする核酸分子は、生物学的供給源から、例えば担子菌タイプ、主に担子菌鋼、特にハラタケ目からクローニングするか、又は遺伝子組換えの技術により得られる。ルシフェラーゼ活性を有するルシフェラーゼ変異体は、「核酸」の節で詳細に後述したような分子生物学の標準的な技術を用いて得られる。変異には、1個以上のアミノ酸の変化、1個以上のアミノ酸の欠失もしくは挿入、置換もしくはトランケーション、又はN末端トランケーションもしくは延長、C末端トランケーションもしくは延長等が挙げられる。好ましい実施形態では、これらの核酸は、配列番号:80、82、84、86、88、90、92、94、96、98の群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも40%同一、例えば少なくとも45%同一、又は少なくとも50%同一、又は少なくとも55%同一、又は少なくとも60%同一、又は少なくとも70%同一、又は少なくとも75%同一、又は少なくとも80%同一、又は少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有するルシフェラーゼをコードする。例えば、それら核酸は、配列番号:80、82、84、86、88、90、92、94、96、98の群から選択されるアミノ酸配列と、最小で90%の同一性(例えば、最小で91%、最小で92%、最小で93%、最小で94%、最小で95%、最小で96%、最小で97%、最小で98%、最小で99%、又は100%の同一性)を持つアミノ酸配列を有することが可能である。ルシフェラーゼをコードする核酸の非限定的な例は、配列番号:79、81、83、85、87、89、91、93及び95に示す。
いくつかの実施形態では、本発明のヒスピジンヒドロキシラーゼをコードする核酸と上記ルシフェラーゼをコードする核酸の組合せを使用する。この組合せは、生物発光により有機体、組織、細胞、細胞小器官又はタンパク質を標識する場合に広く応用可能である。ルシフェラーゼにより有機体、組織、細胞、細胞小器官又はタンパク質を標識するための方法は当技術分野でよく知られており、例えば、前記細胞、組織又は有機体におけるルシフェラーゼ発現を促進する発現カセットの一部である宿主細胞にルシフェラーゼをコードする核酸を導入することを前提としている。ルシフェラーゼを発現する細胞、組織又は有機体に対して好適なルシフェリンを添加すると、検出可能な発光が生じる。細胞小器官又はタンパク質を標識すると、ルシフェラーゼをコードする核酸は、被験細胞小器官や被験タンパク質中の局在化シグナルをそれぞれコードする核酸と操作的に結合する。本発明のルシフェラーゼ及びヒスピジン-シンターゼの細胞内での共発現では、生物学的対象(細胞、組織、有機体、細胞小器官又はタンパク質)は、真菌ルシフェリンだけでなく、プレルシフェリンの存在下でも発光する能力を獲得する(後者は、ほとんどの場合、周囲酸素の存在下で安定性がより高い)。
また、異種発現系における2つのプロモーターの活性依存性の研究ではこの核酸の組合せが応用可能である。この場合、ルシフェラーゼをコードするプロモーターAと操作的に結合した核酸、及びヒスピジンヒドロキシラーゼをコードするプロモーターBと操作的に結合した核酸を宿主細胞に導入する。細胞(又は細胞抽出物)のアリコートにルシフェリンもしくはプレルシフェリン、又はプレルシフェリンとルシフェラーゼの混合物を添加すると、発光の発生により、一方のプロモーターA(ルシフェリンのみの存在下で発光が検出される)の活性、一方のプロモーターB(プレルシフェリンとルシフェラーゼの混合物の存在下で発光が検出される)の活性、又は両方のプロモーター(全ての場合で発光が検出される)の活性を検出できる。
いくつかの実施形態では、当該組合せはまた、ヒスピジン-シンターゼをコードする核酸から成る。いくつかの実施形態では、当該組合せは更に、4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼをコードする核酸から成る。
いくつかの実施形態では、当該組合せはヒスピジン-シンターゼをコードする核酸、ルシフェラーゼをコードする核酸、PKSをコードする核酸、クマレート-CoAリガーゼをコードする核酸から成る。
生物発光により有機体、組織、細胞、細胞小器官又はタンパク質を標識する場合、これらの組合せが広く応用可能である。本実施形態では、発光を得るために、好適なプレルシフェリン前駆体、例えばコーヒー酸又はクマル酸をヒスピジンヒドロキシラーゼ、ルシフェラーゼ及びヒスピジンシンターゼ、又はヒスピジンヒドロキシラーゼ、ルシフェラーゼ、PKS及びクマレート-CoAリガーゼを発現する生物学的対象に添加する。
これらの組合せは、異種発現系における3つのプロモーターの活性依存性を研究する方法でも応用可能である。当該方法は、プロモーターA制御下のルシフェラーゼをコードする核酸、プロモーターB制御下のヒスピジンヒドロキシラーゼをコードする核酸、及びプロモーターB制御下のヒスピジンシンターゼ(又はPKS)をコードする核酸を宿主細胞へ導入することを前提としている。機能性ヒスピジン-シンターゼの成熟に4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼの共発現が必要な場合、任意の好適な構成プロモーター又は誘導プロモーターの制御下で4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼも細胞内に導入する。好適なプレルシフェリン前駆体を細胞(又はその抽出物)に添加すると、検出可能な発光が現れ、このことは3つのプロモーター全ての同時活性化を示している。
この組合せは、トランスジェニック発光有機体を生成する際にも応用可能である。好ましい実施形態では、トランスジェニック有機体は、野生型では生物発光ができない有機体から得られる。標的タンパク質をコードする核酸は、染色体外要素としての有機体に存在する発現カセット又はベクターの一部としてトランスジェニック有機体に導入するか、又は上述の「トランスジェニック有機体」の節で説明した有機体ゲノムに組み込み、標的タンパク質の発現を促進する。本発明のトランスジェニック有機体は、基質が真菌ルシフェリンであるルシフェラーゼを除き、少なくともヒスピジンヒドロキシラーゼを発現する点で独特である。好ましい実施形態では、それらトランスジェニック有機体はヒスピジン-シンターゼも発現する。他の好ましい実施形態では、それらトランスジェニック有機体はPKSも発現する。他の好ましい実施形態では、それらトランスジェニック有機体はPKSも発現する。いくつかの実施形態では、それらトランスジェニック有機体はクマレート-CoAリガーゼも発現する。内因性クマレート-CoAリガーゼは多数の植物有機体に存在することが知られており、従って、内因性クマレート-CoAリガーゼが存在しない場合には、内因性クマレート-CoAリガーゼを追加導入する。
いくつかの実施形態では、それらトランスジェニック有機体はカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼも発現する。ルシフェラーゼのみを発現する有機体とは対照的に、本発明の核酸を用いて得られるトランスジェニック有機体は、プレルシフェリン及び/又はプレルシフェリン前駆体 ― 3-アリールアクリル酸(典型的にはコーヒー酸)の存在下で発光する能力を獲得する。3-アリールアクリル酸は生物発光を得るための最も安価で最も安定した基質であり、植物給水用の水、又は微生物培養液、又は飼料、又は動物(例えば、魚)の生息地に添加できる。生物発光性トランスジェニック有機体(植物、又は動物、又は真菌)は発光源として応用可能であり、また装飾用としても使用される。生物発光性トランスジェニック有機体、細胞及び細胞培養物は、外部からの影響に応じて生物発光強度が変わる異なるスクリーニングにも使用可能であり、例えば、外因性核酸の発現を制御するプロモーターの活性に及ぼす様々な要因の影響を分析するために使用可能である。
本発明でも提供される、自律生物発光性トランスジェニック有機体は特別な対象である。
いくつかの実施形態では、前記有機体は、代謝物として下記構造式を持つ少なくとも1種の3-アリールアクリル酸を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
非限定的な例として、顕花植物類やコケ類を含む上位植物や下位植物が挙げられる。自律的に発光するトランスジェニック植物を得るために、発光を伴って真菌ルシフェリンを酸化し、対応する酵素を発現することが可能なヒスピジンヒドロキシラーゼ、ヒスピジンシンターゼ、及びルシフェラーゼをコードする核酸をこれらの植物に導入する。植物は通常、内因性4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼから成るため、自律的に発光する植物を得るためのこの酵素をコードする核酸の追加導入は一般的には必要ではない。
いくつかの実施形態では、自律生物発光性のトランスジェニック有機体を得るために、3-アリールアクリル酸を天然に生成しない有機体を使用する。そのような有機体の例としては、動物及び様々な微生物、例えば酵母及び細菌が挙げられる。この場合、細胞代謝物、例えばチロシン由来のコーヒー酸からの3-アリールアクリル酸生合成を促進する酵素をコードする発現可能な核酸を有機体に追加的に導入し、自律的な生物発光を得る。必要に応じて、4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼをコードする核酸も有機体に導入する。
自律発光性有機体を得るためのいくつかの実施形態では、対応する酵素を発現することが可能で、発光を伴って真菌ルシフェリンを酸化することが可能なPKS、ヒスピジンヒドロキシラーゼ及びルシフェラーゼをコードする核酸をこれらの有機体に導入する。好ましい実施形態では、前記細胞、組織及び有機体は、ヒスピジン合成を行うために十分な量のカフェイル-CoA及びマロニル-CoAから成る。
トランスジェニック有機体が通常の代謝過程で十分量のカフェイル-CoAを生成しない場合には、クマレート-CoAリガーゼをコードする核酸、及び必要に応じてチロシンからコーヒー酸を生合成する酵素も、前記細胞又は有機体に導入する。
好ましい実施形態では、自律生物発光性細胞又はトランスジェニック有機体を得るための核酸の組合せは、カフェイルピルビン酸ヒドロラーゼをコードする核酸からも構成される。以下の実験パートで説明するように、カフェイルピルビン酸ヒドロラーゼの発現は結果的に、自律的に生物発光する細胞又はトランスジェニック有機体の生物発光強度を増加させる。好ましい実施形態では、生物発光強度は少なくとも1.5倍、典型的に少なくとも2倍、通常は少なくとも5倍、例えば7~9倍、例えば8倍以上増加する。
自律生物発光性トランスジェニック有機体(植物、又は動物、又は真菌)並びに細胞及び細胞構造体は、その発光にルシフェリン又はその前駆体の外因性添加が必要ないという点で、ルシフェラーゼのみを発現する当技術分野で公知のトランスジェニック有機体、細胞及び細胞培養物とは異なる。
いくつかの実施形態では、ヒスピジンヒドロキシラーゼ及びルシフェラーゼをコードする核酸の組合せの代わりに、これらの2つの酵素の融合タンパク質をコードする核酸を使用する。前記融合タンパク質並びにヒスピジンヒドロキシラーゼ及びルシフェラーゼをコードする核酸の組合せが、全ての使用方法において交換可能な対象であることは、当業者に自明である。また、本発明の核酸に基づいて、融合パートナーの特性を保持する他の融合タンパク質が生成可能であり;そのような融合タンパク質及びそれをコードする核酸は、個々のタンパク質及び核酸の組合せに代えて制限なく使用できることも自明である。
上記の応用及び方法全てにおいて、核酸は、宿主細胞におけるコード配列発現を促進するために使用可能な発現カセットの形態とすることも可能である。核酸は、好適な宿主細胞での発現のためのベクターの一部として、又はベクターに含まない形態で宿主細胞に導入可能であり、例えば、リポソーム又はウイルス粒子に組み込むことが可能である。あるいは、精製した核酸分子は好適な手段を用いて、例えば直接的なエンドサイトーシスの取り込みにより宿主細胞に直接組み込むことが可能である。遺伝子構成物は、トランスフェクション、感染、マイクロインジェクション、細胞融合、プロトプラスト融合により、又はマイクロ粒子ボンバードを用いて、又は「遺伝子銃」(遺伝子構成物を担持したマイクロ粒子を発射する銃)を用いて、宿主有機体細胞(例えば、植物)に直接導入できる。
本発明のポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体の応用も提供する。ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体は組織、細胞又は有機体を染色する際に応用し、発現した、又は天然の本発明のヒスピジンヒドロキシラーゼ、ヒスピジンシンターゼ、及びカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼを局在化する。特定の抗体を用いて染色する方法は、当技術分野でよく知られており、例えば[V.L.Bykov、Cytology and general histology]に記載されている。直接免疫組織化学的手法は、特異的に結合した標識抗体と検出可能物質との直接反応に基づいており、間接免疫組織化学的手法は、一次抗体が二次抗体の抗原であることを条件として、標識されていない一次抗体が検出可能物質と結合した後に二次標識抗体により検出されることに基づいている。抗体は酵素反応を停止させるためにも応用可能である。抗体を特定の結合パートナーと接触させると、酵素反応が阻害される。抗体は、アフィニティークロマトグラフィーにより本発明の組換えタンパク質や天然タンパク質を精製する方法にも応用可能である。アフィニティークロマトグラフィー技術は当技術分野で公知であり、例えばNinfaら、Fundamental Laboratory Approaches for Biochemistry and Biotechnology、Wiley、2009年、第2版、p.133;Cuatrecasasas、JBC、1970年、2017年11月22日復刻、に記載されている。
セット及び製品
本発明の次の実施形態は、好ましくは宿主細胞における標的タンパク質発現を促進するための要素、例えば標的タンパク質をコードする核酸から成る発現ベクター又はカセットを有する上述のヒスピジンヒドロキシラーゼ、又はヒスピジンシンターゼ、又はカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼ、又は前記酵素をコードする核酸を含む製品である。あるいは、核酸は、標的ベクターへの組み込みのための隣接配列から構成することが可能である。核酸は、標的制御要素の簡単なクローニングを目的とした無プロモーターベクターに含ませることが可能である。組換えタンパク質は凍結乾燥可能であり、又は緩衝液に溶解することも可能である。核酸は凍結乾燥させるか、アルコール溶液中に沈殿させるか、水又は緩衝液に溶解することが可能である。
いくつかの実施形態では、当該製品は、上記の1種又は数種の核酸を発現する細胞を含む。
いくつかの実施形態では、当該製品は、上記の1種又は数種の上記核酸を発現するトランスジェニック有機体を含む。
いくつかの実施形態では、当該製品は、上記酵素の染色及び/又は阻害及び/又はアフィニティークロマトグラフィーのための抗体を含む。
当該製品はラベル、及びラベルに付された使用指示書を有する容器である。受け入れ可能な容器は例えば、瓶、アンプル、ガラス管、シリンジ、細胞プレート、シャーレ等である。容器は、ガラスやポリマー材料などの異なる材料で作成できる。好適な容器の選択は当業者に自明である。
更に、当該製品は、商業的に又は消費者の観点から必要とされる他の製品、例えば:反応緩衝液又はその調製のための成分、タンパク質及び核酸の希釈液及び/又は溶液及び/又は貯蔵液のための緩衝液又はその調製のための成分、脱イオン水、本発明の特定の抗体に対する二次抗体、細胞培地又はその調製のための成分、トランスジェニック有機体のための栄養物を含むことが可能である。
製品はまた、提案した方法を実施するための指示書を含む。指示書は、1種又は数種のそのような形態を製品に添付することが可能で、例えば、指示書は電子形式のファイル及び/又は紙にすることが可能であることを条件として、様々な形態とすることが可能である。
本発明はまた、様々な目的に応用可能なキットに関する。当該キットは、好ましくは、宿主細胞における標的タンパク質発現を促進するための要素、例えば標的タンパク質をコードする核酸から成る発現ベクター又はカセットを用いて、本発明のタンパク質の組合せ又は本発明の核酸の組合せを含むことが可能である。いくつかの実施形態では、当該キットはまた、発光を伴って真菌ルシフェリンを酸化できるルシフェラーゼをコードする核酸を含むことが可能である。いくつかの実施形態では、当該キットはまた、チロシンからのコーヒー酸の生合成に関与する酵素をコードする核酸を含むことが可能である。いくつかの実施形態では、当該キットはまた、4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼをコードする核酸を含むことも可能である。いくつかの実施形態では、当該キットはまた、PKSをコードする核酸を含むことも可能である。いくつかの実施形態では、当該キットはまたクマレート-CoAリガーゼをコードする核酸を含むことも可能である。
いくつかの実施形態では、当該キットは、組換えタンパク質の精製、又は宿主細胞中で発現したタンパク質を染色するための抗体を含むことも可能である。いくつかの実施形態では、当該キットは、核酸又はその断面を増幅するための、前記核酸の領域に相補的なプライマーも含むことが可能である。いくつかの実施形態では、当該キットは1種又は数種の真菌ルシフェリン及び/又はプレルシフェリン及び/又はプレルシフェリン前駆体を含むことも可能である。前記化合物は、乾燥粉末の形態、有機溶媒溶液の形態、水溶液の形態とすることが可能である。いくつかの実施形態では、当該キットは1種又は数種の上記核酸から成る細胞を含むことが可能である。いくつかの実施形態では、当該キットは本発明のトランスジェニック有機体、例えばプロデューサー株又はトランスジェニック自律生物発光性植物を含むことが可能である。当該キットの全ての構成要素は好適な容器に入れられる。一般に、当該キットには使用の指示書も含まれる。
以下の実施例は本発明をより理解するために提供される。これらの実施例は、例示目的のためだけに提供しており、いかなる場合でも本発明の範囲を制限すると解釈すべきではない。
本明細書に記載されている全ての刊行物、特許及び特許出願は、参照により本明細書に援用される。上記の発明は、明確にする目的で図示及び例示によりかなり詳細に説明してきたが、本発明の提案された実施形態の精神及び範囲から逸脱することなくいくつかの変更及び修正を導入できることは、本発明に開示されたアイデアに基づいて当業者に自明である。
実施例1.ヒスピジンヒドロキシラーゼ配列の単離
シロヒカリタケ菌糸体から全RNAを[Chomczynski及びSacchi、Analytical Biochemistry、1987年、第162号、p.156-159]に記載の方法に従って単離した。メーカーのプロトコルに従ってSMART PCR cDNA Synthesis Kit(Clontech社、米国)を用いてcDNAを増幅した。得られたcDNAをルシフェラーゼのコード配列の増幅に用いた。このヌクレオチド及びアミノ酸配列を配列番号:79及び80に示す。コード配列をメーカーのプロトコルに従ってpGAPZベクター(Invitrogen社、米国)にクローニングし、XL1 Blue株の大腸菌コンピテント細胞に形質転換した。細菌を抗生物質ゼオシンの存在下、シャーレ上で培養した。16時間後、コロニーをシャーレからすすぎ、集中的に混合し、プラスミドDNA単離キット(Evrogen社、ロシア)を用いてコロニーからプラスミドDNAを単離した。単離したプラスミドDNAを制限部位AvrIIで線状化し、ピキア・パストリスGS115細胞の形質転換に用いた。電気穿孔を、[Wu及びLetchworth、Biotechniques、2004年、第36号:p.152-4]に記載されている酢酸リチウム及びジチオスレイトールを用いる方法に従って行った。電気穿孔した細胞を、1Mのソルビトール、2%(重量/体積)のグルコース、1.34%(重量/体積)の酵母窒素塩基(YNB)、0.005%(重量/体積)のアミノ酸混合物、0.00004%(重量/体積)のビオチン、及び2%(重量/体積)の寒天から成るRDB培地を含むシャーレに分散させた。得られたコロニーに3-ヒドロキシヒスピジン溶液を噴霧し、発光の発生により細胞内のルシフェラーゼの存在を検出した。コロニーが放出した発光は、IVIS Spectrum CT(PerkinElmer社、米国)を用いて検出した。3-ヒドロキシヒスピジンの添加に反応して発光が検出されたコロニーを更なる研究のために選択した。
次に、シロヒカリタケから増幅した全cDNAをpGAPZベクターにクローニングし、XL1 Blue株の大腸菌コンピテント細胞に形質転換した。細菌を抗生物質ゼオシンの存在下、シャーレ上で培養した。16時間後、コロニーをシャーレからすすぎ、集中的に混合し、プラスミドDNA単離キット(Evrogen社、ロシア)を用いてコロニーからプラスミドDNAを単離した。単離したプラスミドDNAを制限部位AvrIIで線状化し、ピキア・パストリスGS115酵母細胞の形質転換に用いた。形質転換は、上記のように電気穿孔技術により行った。細胞を、1Mのソルビトール、2%(重量/体積)のグルコース、1.34%(重量/体積)の酵母窒素塩基(YNB)、0.005%(重量/体積)のアミノ酸混合物、0.00004%(重量/体積)のビオチン、及び2%(重量/体積)の寒天から成るRDB培地を含むシャーレに分散させた。酵母中の得られたシロヒカリタケcDNAライブラリーの多様性は約100万クローンであった。得られたコロニーにヒスピジン溶液を噴霧し、発光の発生により細胞中のヒスピジンヒドロキシラーゼの存在を検出した。コロニーが放出した発光は、IVIS Spectrum CT(PerkinElmer社、米国)を用いて検出した。ルシフェラーゼのみを発現する細胞及び野生酵母細胞を陰性対照として使用した。ライブラリーをスクリーニングする際に、発光が検出されたコロニーを選択し、標準的なプラスミドプライマーを用いてマトリクスとしてPCRに使用した。PCR生成物をサンガー(Sanger)法により配列決定し、発現遺伝子の配列を決定した。得られたヒスピジンヒドロキシラーゼ核酸の配列を配列番号:1に示す。その核酸にコードされたアミノ酸配列を配列番号:2に示す。
図4は、3-ヒドロキシヒスピジン(ルシフェリン)及びヒスピジン(プレルシフェリン)をコロニーに噴霧したときの、ヒスピジンヒドロキシラーゼ及びルシフェラーゼを発現するピキア・パストリス細胞、又はルシフェラーゼのみを発現するピキア・パストリス細胞、又は野生酵母の発光を示す。データは、ヒスピジンヒドロキシラーゼの存在下でルシフェリンが細胞内で生成したことを実証している。
次の工程では、真菌アシグロナラタケ、ワタゲナラタケ、オニナラタケ、ナラタケ、グヤナガスター・ネクロヒザ、ミセナ・シトリコロール、ヤコウタケ、シロヒカリタケ、ネオノテパヌス・ガードネリ、オムファロタス・オレアリウス、及びワサビタケからゲノムDNAを単離し、メーカーの推奨に従ってIllumina HiSeq技術(Illumina社、米国)により全ゲノム配列決定を行った。配列決定結果は、仮説タンパク質のアミノ酸配列の予測、及びシロヒカリタケ由来ヒスピジンヒドロキシラーゼ相同体の検索に使用した。相同体検索は、アメリカ国立生物工学情報センターが提供するソフトウェアを用いて行った。NCBI Genbankデータベースの真菌ゲノム配列決定のデータにおいてアミノ酸配列を検索した。検索には標準的な検索パラメータblastpを使用した。その結果、シロヒカリタケや ― アシグロナラタケ、ナラタケ、グヤナガスター・ネクロヒザ、ミセナ・シトリコロール、ネオノテパヌス・ガードネリ、オムファロタス・オレアリウス、ワサビタケ、ワタゲナラタケ、オニナラタケ、ヤコウタケに由来するヒスピジンヒドロキシラーゼ相同体の配列が同定した。
シロヒカリタケのヒスピジン-シンターゼ相同体のヌクレオチド及びアミノ酸配列を配列番号:3~28に示す。
同定した全酵素は互いにほぼ同一である。アミノ酸配列の同一性の程度を表4に示す。
ワサビタケ及びミセナ・シトリコロールから、単一アミノ酸置換を特徴とする数種の高相同性ヒスピジンヒドロキシラーゼアミノ酸配列が単離された。そのヒスピジンヒドロキシラーゼアミノ酸配列のヌクレオチド及びアミノ酸配列を配列番号7~13(ワサビタケ)及び配列番号15~18(ミセナ・シトリコロール)に示す。前記タンパク質の特性を更に検討しても、これらの置換が酵素特性に及ぼす影響は検出されなかった。
検出された相同体(配列番号:3~28)のコード配列を、上記のプロトコルに従ってシロヒカリタケルシフェラーゼを構成的に発現するピキア・パストリスGS115細胞にクローニングし、形質転換した。得られたコロニーにヒスピジン溶液を噴霧し、発光の発生により細胞内のヒスピジンヒドロキシラーゼの存在を検出した。コロニーが放出した発光は、IVIS Spectrum CT(PerkinElmer社、米国)を用いて検出した。被験遺伝子(配列番号:3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27)を発現するコロニーは全て、ヒスピジン溶液を噴霧した際に、対照細胞に比べて1000~1億倍の発光を示し、このことから3-ヒドロキシヒスピジン(真菌ルシフェリン)へのヒスピジンの形質転換を触媒する、被験遺伝子がコードする酵素の能力が確認された。
検出された酵素のアミノ酸配列の構造解析を行った。ウェブサイトhttp://smart.embl-heidelberg.deでインターネット上で入手可能なソフトウェアSMART(Simple Modular Architecture Research Tool)を用いて行った解析[Schultzら、米国科学アカデミー紀要(PNAS)、1998年;第95号:p.5857-5864;Letunic I、Doerks T、及びBork P、Nucleic Acids Research、2014年;doi:10.1093/nar/gku949]により、検出された全タンパク質がFAD/NAD(P)結合ドメイン、IPR002938 ― ウェブサイトhttp://www.ebi.ac.uk/interproでインターネット上で利用可能なInterPro公開データベースのコード ― から成ることが明らかになった。このドメインは、数種の酵素、特にモノオキシゲナーゼ ― 基質に水酸基を付加する大規模な酵素ファミリーの代表 ― において、また代謝経路で見られる複数の有機体において、FAD及びNADの結合に関与している。FAD/NAD(P)結合ドメインを除いて、検出されたヒスピジンヒドロキシラーゼは、そのヒスピジンヒドロキシラーゼと操作的に結合したN末端及びC末端アミノ酸配列から成る(図1)。検出されたヒスピジンヒドロキシラーゼのアミノ酸配列を多重整列化及び比較したところ(図1)、そのヒスピジンヒドロキシラーゼのアミノ酸配列は、この酵素群のみに特徴的ないくつかの保存的アミノ酸モチーフ(コンセンサス配列)(配列番号:29~33)から成ることが明らかになった。アミノ酸配列内のコンセンサス部位はアミノ酸インサートを介して操作的に結合している。
実施例2.哺乳動物細胞におけるヒスピジンヒドロキシラーゼ及び真菌ルシフェラーゼの発現、及び細胞標識のためのこれらの併用
実施例1に従って得たシロヒカリタケ由来のヒスピジンヒドロキシラーゼ及びルシフェラーゼのコード配列を、哺乳動物細胞での発現に最適化(ヒト化)した。最適化した核酸(配列番号:99及び100)を合成的に得た。融合タンパク質mKate2-ケラチンをコードする配列の代わりに制限部位NheI及びNotIを用いて、ヒスピジンヒドロキシラーゼのコード配列をpmKate2-ケラチンベクター(Evrogen社、ロシア)にクローニングした。ルシフェラーゼ配列をPCRで増幅し、制限エンドヌクレアーゼNheI及びEcoRV(New England Biolabs社、Ipswich、マサチューセッツ州)で処理し、レンチウイルスベクターpRRLSIN.cPPT.EF1にライゲーションした。プラスミドDNA精製キット(Evrogen社)を用いてラスミドDNAを精製した。ルシフェラーゼ遺伝子から成るプラスミドDNAを用いて、安定的に発現する系統HEK293NTの開発を行った。メーカーのウェブサイトに提供されているプロトコルに従って、HELK293T細胞のカルシウム-リン酸トランスフェクション(Invitrogen社、Carllsbad、カリフォルニア州)によりベクター粒子を得た。トランスフェクションの24時間前に、1,500,000個の細胞を60mmの培養皿に入れた。トランスフェクションには、約4μg及び1.2μgのパッケージングプラスミドpR8.91及びpMD.G、並びにルシフェラーゼ配列から成る5μgのトランスファープラスミドを使用した。トランスフェクションから24時間後にウイルス粒子を回収し、10倍濃縮し、HEK293NT細胞の形質導入に使用した。HEK293NT細胞の約100%がシロヒカリタケルシフェラーゼを安定的に発現した。
得られた細胞を、トランスフェクション試薬FuGENE HD (Promega社、米国)を用いて、メーカーのプロトコルに従って、ヒスピジンヒドロキシラーゼのコード配列から成るベクターによる再トランスフェクションに供した。トランスフェクションの24時間後に800μg/mlの濃度のヒスピジンを培地に添加し、IVIS Spectrum CT(PerkinElmer社)を用いて細胞発光を検出した。得られた細胞は、トランスフェクトしていない対照細胞から発せられるシグナルより2桁以上上回る強度の発光を放出した(図5)。
緑色発光検出チャネルにおいて透過光で細胞を可視化した。ヒト細胞にシロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼを発現させたところ、ヒスピジンの存在下で緑色スペクトルに明瞭な発光シグナルが現れ、形質転換した細胞と形質転換していない細胞を区別できた。
実施例3.細胞溶解液中のヒスピジンヒドロキシラーゼとヒスピジン類似体の使用
実施例2に従って得られたシロヒカリタケのルシフェラーゼ及びヒスピジンヒドロキシラーゼを発現するHEK293NT細胞を、0.025%のトリプシンを添加したバーゼン液によるトランスフェクションの24時間後にシャーレからすすぎ、遠心分離により培地をpH8.0のリン酸緩衝生理食塩水で置換した後、細胞を再懸濁し、メーカー推奨条件でBioruptor(Diagenode社、ベルギー)を用いて0℃で最大7分間超音波処理して溶解し、1mMのNADPH(Sigma-Aldrich社、米国)、及びヒスピジン、又はその類似体の1種を、660μg/mlの濃度で以下を含む培地に添加した:(E)-4-ヒドロキシ-6-(4-ヒドロキシスチリル)-2H-ピラン-2-オン、(E)-6-(2-(1H-インドール-3-イル)ビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オン、(E)-6-(2-(1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イル)ビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オン、(E)-6-(4-(ジエチルアミノ)スチリル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オン、又は(E)-4-ヒドロキシ-6-(2-(6-ヒドロキシナフタレン-2-イル)ビニル)-2H-ピラン-2-オン。生物発光スペクトルを分光光度計Varian Cary Eclipseで検出した。前記ヒスピジン機能性類似体全てを添加したときに溶菌液中の発光が観察された。使用のルシフェリンに応じて、予想した発光ピークの変位が観察された。
実施例4.組換えヒスピジンヒドロキシラーゼの取得
実施例1及び2に従って得られたシロヒカリタケ由来のヒスピジン-3-ヒドロキシラーゼ及びルシフェラーゼをコードする核酸の5’末端にポリヒスチジン配列(Hisタグ)を操作的に付加した。得られた構造体を制限エンドヌクレアーゼBamHI及びHindIIIを用いてpET-23ベクターにクローニングした。このベクターを、BL21-DE3株の大腸菌細胞の形質転換に使用した。この細胞を1.5%の寒天及び100μg/mlのアンピシリンから成るLB培地を含むシャーレに分散させ、37℃で一晩インキュベートした。次いで、アンピシリンを含む4mlの液体LB培地に大腸菌コロニーを移し、37℃前後で一晩インキュベートした。一晩培養した培養物1mlを、アンピシリンを予備的に添加した100mlのOvernight Express Autoinduction培地(Novagen社)に移した。培養液を600nmで0.6OEの光学密度に達するまで37℃で最大2.5時間培養し、その後室温で最大16時間培養した。その後、4500rpmで、遠心分離機Eppendorf5810Rにおいて最大20分間細胞をペレット化し、35mlの緩衝液(50mMのТris HCl рН8.0、150mMのNaCl)に再懸濁した。細胞を超音波処理し、再度ペレット化した。組換えタンパク質の精製には、TALON樹脂金属親和性クロマトグラフィー(Clontech社、米国)を使用した。予測した組換え生成物の存在を電気泳動により確認した。
機能性及び安定性を試験するために、単離した組換えヒスピジンヒドロキシラーゼのアリコートを使用した。機能性を決定するために、100μlの緩衝液(0.2MのNa-リン酸緩衝液、0.5MのNa2SO4、0.1%のドデシルマルトシド(DDM、pH8.0)、0.5μlのシロヒカリタケの精製組換えルシフェラーゼ、1mMのNADPH及び0.2μMのヒスピジンを含むガラス管に、15μlの単離組換えタンパク質溶液入れた。ガラス管をルミノメーターに入れた。単離組換えタンパク質の活性は、シロヒカリタケルシフェラーゼの存在下、実施例3に記載されたヒスピジン及びその類似体との組合せで発光をもたらした。全ての例で、ヒスピジンを使用したときの発光強度は、シロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼを使用した場合が最も高く、ナラタケヒスピジンヒドロキシラーゼを使用した場合が最も低かった。
実施例5.組換えヒスピジンヒドロキシラーゼを用いた3-ヒドロキシヒスピジン、(E)-3,4-ジヒドロキシ-6-スチリル-2H-ピラン-2-オン及び(E)-3,4-ジヒドロキシ-6-(4-ヒドロキシスチリル)-2H-ピラン-2-オンの取得
実施例4に従って得たシロヒカリタケから単離した組換えヒスピジンヒドロキシラーゼを、100μlの緩衝液(0.2MのNa-リン酸緩衝液、0.5MのNa2SO4、0.1%のドデシルマルトシド(DDM)pH8.0)中1mMのNADPH及び0.2μMのヒスピジン、及び(E)-4-ヒドロキシ-6-スチリル-2H-ピラン-2-オン又は(E)-4-ヒドロキシ-6-(4-ヒドロキシスチリル)-2H-ピラン-2-オンを含む反応混合液に添加した。30分後、標準として合成ルシフェリンを用いてHPLCにより反応混合液を分析した。クロマトグラフィーから、3位ヒドロキシル化誘導体:3-ヒドロキシヒスピジン、(E)-3,4-ジヒドロキシ-6-スチリル-2H-ピラン-2-オン及び(E)-3,4-ジヒドロキシ-6-(4-ヒドロキシスチリル)-2H-ピラン-2-オンに対応するピークの発生が実証された。
実施例6.ヒスピジンヒドロキシラーゼ及びルシフェラーゼ融合タンパク質による生物発光検出
実施例2に従って得られたシロヒカリタケのヒスピジンヒドロキシラーゼ及びルシフェラーゼをコードするヒト化DNA配列を、アミノ酸配列GGSGGSGGS(配列番号:115)を有する柔軟な短鎖ペプチドリンカーで互いに操作的に架橋した。得られた融合タンパク質のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を配列番号101及び102に示す。融合タンパク質をコードする核酸を、サイトメガロウイルスプロモーター制御下でEGFP遺伝子の代わりにpEGFP-N1ベクター(Clontech社、米国)にクローニングした。得られた構造体をHEK293T細胞にトランスフェクトした。ヒスピジンヒドロキシラーゼ及びルシフェラーゼの個々の遺伝子から成る類似体ベクターもコトランスフェクトした。トランスフェクションは、トランスフェクション剤FuGENE HD(Promega社、米国)を用いて、メーカーのプロトコルに従って実施した。トランスフェクションから24時間後に、100万個の細胞を0.5mlのPBSに再懸濁し、ヒスピジンを添加しない場合とヒスピジンを添加した場合(細胞100万個あたり10μg)の発光をルミノメーターで記録した。ヒスピジン添加により、緑色スペクトルで細胞発光が生じた(図6)。また、3-ヒドロキシヒスピジンの添加でも、生物発光シグナルが生じた。ヒスピジンヒドロキシラーゼ及びルシフェラーゼ融合タンパク質の発現により、細胞生物発光標識のための1つのルシフェラーゼの代わりに、より安定なルシフェリン前駆体(ヒスピジン、ビスノリアンゴニン等)を用いることができるため、2つの核酸の細胞へのコトランスフェクションは必要ない。
実施例7.ポリクローナル抗体の調製
シロヒカリタケ(配列番号:1)及びナラタケ(配列番号:19)のヒスピジンヒドロキシラーゼのコード配列を直鎖二本鎖DNAの形態で合成的に得て、組換えタンパク質がN末端でヒスチジンタグを含むように、発現ベクターpQE-30(Qiagen社、ドイツ)にクローニングした。大腸菌で発現させた後、金属親和性樹脂TALON(Clontech社、米国)を用い、変性条件下で組換えタンパク質を精製した。フロイントアジュバントで乳化した精製タンパク質生成物を、1ヶ月間隔で4回、ウサギ免疫に使用した。免疫後10日目又は11日目にウサギを採血した。得られたポリクローナル抗血清の活性を、実施例4に従って得られた精製組換えヒスピジンヒドロキシラーゼのパネルにおいてELISA法及びウェスタン免疫ブロット法により試験した。
シロヒカリタケ由来のタンパク質をウサギに免疫して得られた抗体は、シロヒカリタケの変性及び未変性ヒスピジンヒドロキシラーゼ及びネオノテパヌス・ガードネリの変性ヒスピジンヒドロキシラーゼに対して活性があることを示した。
また、ナラタケのタンパク質をウサギに免疫して得られた抗体は、ナラタケ、ワタゲナラタケ、オニナラタケ及びアシグロナラタケの変性及び未変性ヒスピジンヒドロキシラーゼに対して活性を示した。
実施例8.シロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼ及びルシフェラーゼを発現するトランスジェニック植物の取得
シロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼ及びルシフェラーゼのコード配列をヒメツリガネゴケの苔細胞での発現に最適化した。次に、インシリコで、イネaktI遺伝子のプロモーター、植物細胞での発現に最適化されたヒスピジンヒドロキシラーゼ配列をコードするヒトサイトメガロウイルス5’-非翻訳領域(配列番号103)、終止コドン、アグロバクテリウム(Agrobacterium)osc遺伝子ターミネーター配列、イネユビキチンプロモーター、コケ細胞での発現に最適化されたシロヒカリタケルシフェラーゼ(配列番号112)のコード配列、及びアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)nos遺伝子ターミネーターから成る発現カセットを作成した。
得られた配列を、前記断片全てが互いに操作的に架橋しているように見えるように合成し、ギブソンアセンブリ(Gibson assembly)技術[Gibsonら、Nature Methods、2009年、第6号:p.343-5]により、高発現コケ遺伝子Pp3c16_6440V3.1とPp3c16_6460V3.1との間のヒメツリガネゴケのコケゲノムDNAの遺伝子座と一致するDNA断片間にある発現ベクターpLand#1(Institut Jean-Pierre Bourgin社、フランス)にクローニングした。ベクターpLand#1は、同じDNA座の領域に相補的なCas9ヌクレアーゼのガイドRNA(sgRNA)配列も含んでいた。
[Coveら、Cold Spring Harbor Protocols、2009年、第2号]に記載のポリエチレングリコール形質転換プロトコルに従って、プラスミドDNA生成物を、シロイヌナズナユビキチンプロモーター下のCas9ヌクレアーゼ配列から成る発現ベクターと共に、ヒメツリガネゴケのコケプロトプラストに共形質転換した。その後、プロトプラストをBCD培地中、50rpm前後で暗室条件下、2日間培養し、細胞壁を再生した。その後、プロトプラストを寒天及びBCD培地から成るシャーレに移し、最大1週間、16時間の照明下で培養した。形質転換したコケのコロニーを、外部ゲノムプライマーからPCRでスクリーニングし、遺伝子構築物のゲノムへの組み込みの進行状況を判定し、新鮮なシャーレに移し、同じ照明条件下で最大30日間培養した。
得られたコケ配偶体を、ヒスピジンを含むBCD培地に900μg/mlの濃度で浸漬し、IVIS Spectrum In Vivo Imaging System (Perkin Elmer社)を用いて分析した。分析した全てのトランスジェニック植物は、ヒスピジンと同じ溶液でインキュベートしたルシフェラーゼのみを発現する対照植物のシグナルより最低でも2桁上回る生物発光強度を示した。
実施例9.ヒスピジンシンターゼ及びカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼの同定
ヒスピジンなどの真菌ルシフェリン前駆体は、化合物の大規模なグループ ― ポリケチド誘導体に関連している。このような化合物は理論的には、3-アリールアクリル酸から得られ、3-アリールアクリル酸では、アリール又はヘテロアリールを含む芳香族置換基は3位の置換基である。ポリケチド及びその誘導体の合成に関与する酵素がポリケチドシンターゼタンパク質スーパーファミリーに関連する多ドメイン複合体であることは、当技術分野で知られている。同時に、置換された4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンへの3-アリールアクリル酸の形質転換を触媒できるポリケチドシンターゼは当技術分野では知られていない。シロヒカリタケcDNAライブラリーのスクリーニングを用いて、標的ポリケチドシンターゼを探索した。
異種発現酵母系で機能的なポリケチドシンターゼを得るためには、ポリケチドシンターゼのアシル担体ドメイン内で、補酵素Aからセリンへと4-ホスホパンテテイニルを転移させる酵素である4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼを発現する遺伝子を追加的に培養液に導入する必要があることが知られている[Gao Menghaoら、Microbial Cell Factories、2013年、第12号:p.77]。当技術分野で公知のアスペルギルス・ニデュランス(配列番号104、105)由来の4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼのNpgA遺伝子を合成的に得て、pGAPZベクターにクローニングした。プラスミドを制限部位AvrIIで直線化し、実施例1に従って得られたシロヒカリタケルシフェラーゼ及びヒスピジンヒドロキシラーゼを構成的に発現するピキア・パストリスGS115酵母株の形質転換に使用した。酵母においてシロヒカリタケcDNAの得られたライブラリーの多様性は約100万クローンであった。
実施例1で与えられたプロトコルに従って、前記ピキア・パストリス酵母株で発現したシロヒカリタケcDNAライブラリーを得て、ヒスピジンシンターゼ及びカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼの同定に用いた。細胞を、1Mのソルビトール、2%(重量/体積)のグルコース、1.34%(重量/体積)の酵母窒素塩基(YNB)、0.005%(重量/体積)のアミノ酸混合物、0.00004%(重量/体積)のビオチン、及び2%(重量/体積)の寒天から成るRDB培地を含むシャーレに分散させた。
得られたコロニーにコーヒー酸(ヒスピジン前駆体の可能性がある)溶液を噴霧し、発光の発生により細胞内のヒスピジン-シンターゼの存在を検出した。コロニーが放出した発光は、IVIS Spectrum CT(PerkinElmer社、米国)を用いて検出した。ルシフェラーゼ及びヒスピジンヒドロキシラーゼのみを発現する細胞及び野生酵母細胞を陰性対照として使用した。ライブラリーをスクリーニングする際に、発光が検出されたコロニーを選択し、標準的なプラスミドプライマーを用いてマトリクスとしてPCRに使用した。PCR生成物をサンガー法により配列決定し、発現遺伝子の配列を決定した。得られたヒスピジン-シンターゼ核酸の配列を配列番号:34に示す。その核酸にコードされたアミノ酸配列を配列番号:35に示す。
次に、ゲノムに組み込まれたシロヒカリタケルシフェラーゼ、ヒスピジンヒドロキシラーゼ及びヒスピジンシンターゼ遺伝子から成る得られたピキア・パストリス酵母株、並びにアスペルギルス・ニデュランス由来の4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼのNpgA遺伝子を用いて、オキシルシフェリン((2E,5E)-6-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシ-4-オキソヘキサ-2,5-ジエン酸)のコーヒー酸への形質転換を触媒する酵素の同定を行った。作業の第一工程で得られたシロヒカリタケ遺伝子の線状化プラスミドライブラリーにより、細胞株を再度形質転換した。得られたコロニーにカフェオイルピルビン酸溶液を噴霧し、発光の発生により細胞内の標的酵素の存在を検出した。コロニーが放出した発光は、IVIS Spectrum CT(PerkinElmer社、米国)を用いて検出した。ルシフェラーゼ及びヒスピジンヒドロキシラーゼのみを発現する細胞及び野生酵母細胞を陰性対照として使用した。ライブラリーをスクリーニングする際に、発光が検出されたコロニーを選択し、標準的なプラスミドプライマーを用いてマトリクスとしてPCRに使用した。PCR生成物をサンガー法により配列決定し、発現遺伝子の配列を決定した。得られた単離酵素核酸の配列を配列番号:64に示す。その核酸にコードされたアミノ酸配列を配列番号:65に示す。同定した酵素をカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼと呼んだ。
実施例10.シロヒカリタケヒスピジンシンターゼ及びシロヒカリタケカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼ相同体の同定
実施例1に従って得た生物発光性真菌からの全ゲノム配列決定のデータを用いて、シロヒカリタケヒスピジン-シンターゼ及びカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼの相同体を検索した。相同体検索は、アメリカ国立生物工学情報センターが提供するソフトウェアを用いて行った。NCBI Genbankデータベースの真菌ゲノム配列決定のデータにおいてアミノ酸配列を検索した。検索には標準的な検索パラメータblastpを使用した。
シロヒカリタケや ― アシグロナラタケ、ナラタケ、グヤナガスター・ネクロヒザ、ミセナ・シトリコロール、ネオノテパヌス・ガードネリ、オムファロタス・オレアリウス、ワサビタケ、ワタゲナラタケ、オニナラタケ、ヤコウタケに由来するヒスピジン-シンターゼ相同体の配列が同定した。これらのヌクレオチド及びアミノ酸配列は配列番号:36~55に示す。同定した全酵素は互いにほぼ同一であった。アミノ酸配列の同一性の程度を表5に示す。
ワサビタケから、単一アミノ酸置換を特徴とする2種の高相同性ヒスピジン-シンターゼアミノ酸配列が単離された。そのヒスピジン-シンターゼアミノ酸配列のヌクレオチド及びアミノ酸配列を配列番号36~39に示す。
同定した酵素を、実施例9に記載の技術を用いてコーヒー酸をヒスピジンに形質転換する能力について試験した。
同定したタンパク質アミノ酸配列の多重整列化により、この酵素群に典型的なアミノ酸配列の高相同性断片を数種同定できた。これら断片のコンセンサス配列を配列番号:70~77に示す。前記配列は、図2に示すように、長鎖アミノ酸配列で区切られている。
シロヒカリタケのカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼ相同体配列をネオノテパヌス・ガードネリ、ナラタケ、アシグロナラタケ、ワタゲナラタケ、オニナラタケで同定した。同定した相同体のヌクレオチド及びアミノ酸配列を配列番号:66~75に示す。同定した酵素を、実施例9に記載の技術を用いてカフェオイルピルビン酸をコーヒー酸に形質転換する能力について試験した。
同定した全酵素は互いにほぼ同一であり、280~320個のアミノ酸長を有している。アミノ酸配列の同一性の程度を表6に示す。
ウェブサイトhttp://smart.embl-heidelberg.deでインターネット上で入手可能なソフトウェアSMART(Simple Modular Architecture Research Tool)を用いて行った解析[Schultzら、米国科学アカデミー紀要、1998年;第95号:p.5857-5864;Letunic I、Doerks T、及びBork P、Nucleic Acids Research、2014年;doi:10.1093/nar/gku949]により、検出された全タンパク質はC末端に近い位置にある約200アミノ酸長のフマリルアセトアセターゼドメイン(EC3.7.1.2)から成るが、保存領域は、シロヒカリタケのカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼアミノ酸の番号付けによるとおよそ8アミノ酸から開始することが明らかになった。多重整列化により、同一性の低いアミノ酸インサートで区切ったこのタンパク質群に典型的なコンセンサス配列(配列番号:76~78)を同定することが可能になった。コンセンサス配列の位置を(図3)に示す。
実施例11.組換えヒスピジン-シンターゼ及びカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼの取得、並びに生物発光を得るためのそれらの使用
実施例9に従って得られたシロヒカリタケのヒスピジンシンターゼ及びカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼをコードする核酸の5’末端にポリヒスチジン(Hisタグ)コード配列を操作的に付加し、得られた構造体を制限エンドヌクレアーゼNotI及びSacIを用いてpET-23ベクターにクローニングした。このベクターを、電気穿孔により行うBL21-DE3-コドン+株の大腸菌細胞の形質転換に使用した。この形質転換細胞を1.5%の寒天及び100μg/mlのアンピシリンから成るLB培地を含むシャーレに分散させ、37℃で一晩インキュベートした。次いで、100μg/mlのアンピシリンを含む4mlの液体LB培地に大腸菌コロニーを移し、37℃前後で一晩インキュベートした。一晩培養した培養物1mlを、アンピシリンを予備的に添加した200mlのOvernight Express Autoinduction培地(Novagen社)に移した。培養液を600nmで0.6OEの光学密度に達するまで37℃で最大3時間インキュベートし、その後室温で最大16時間インキュベートした。その後、4500rpmで、遠心分離機Eppendorf5810Rにおいて最大20分、細胞をペレット化し、20mlの緩衝液(50mMのТris HCl рН8.0、150mMのNaCl)に再懸濁し、メーカーが推奨する条件でBioruptor(Diagenode社、ベルギー)中、0℃で最大7分間超音波処理して溶解し、再度ペレット化した。Talon樹脂親和性クロマトグラフィー(Clontech社、米国)により溶菌液からタンパク質を得た。予測した長さのバンドが利用可能であったため、予測した組換え生成物の存在を電気泳動により確認した。
機能性及び安定性を試験するために、単離した組換えタンパク質のアリコートを使用した。
ヒスピジンシンターゼの機能性を決定するために、100μlの緩衝液(0.2MのNa-リン酸緩衝液、0.5MのNa2SO4、0.1%のドデシルマルトシド(DDM)pH8.0、成分は全てSigma-Aldrich社、米国)、実施例4に従って得た0.5μlのシロヒカリタケの精製組換えルシフェラーゼ、1mMのNADPH(Sigma-Aldrich社、米国)、実施例4に従って得た15μlのシロヒカリタケの精製組み換えヒスピジンヒドロキシラーゼ、10mMのATP(ThermoFisher Scientific社、米国)、1mMのCoA(Sigma-Aldrich社、米国)、1mMのマロニル-CoA(Sigma-Aldrich社、米国)を含むガラス管に、30μlの単離組換えタンパク質溶液を入れた。ガラス管をルミノメーターGloMax20/20(Promega社、米国)に入れた。20μMのコーヒー酸を溶液(Sigma-Aldrich社、米国)に添加したとき、反応混合物は生物発光を示した。発光の最大波長は520~535nmであった。
カフェイルピルビン酸ヒドロラーゼの機能性を決定するために、100μlの緩衝液(0.2MのNa-リン酸緩衝液、0.5MのNa2SO4、0.1%のドデシルマルトシド(DDM)pH8.0)、0.5μlのシロヒカリタケのルシフェラーゼ、1mMのNADPH(Sigma-Aldrich社、米国)、15μlのヒスピジンヒドロキシラーゼ、10mMのATP(ThermoFisher Scientific社、米国)、1mMのCoA(Sigma-Aldrich社、米国)、1mMのマロニル-CoA(Sigma-Aldrich社、米国)、30μlの精製組み換えヒスピジンシンターゼを含むガラス管に、10μlの単離組換えタンパク質溶液入れた。ガラス管をルミノメーターGloMax20/20(Promega社、米国)に入れた。25μMのカフェオイルピルビン酸を溶液に添加したとき、反応混合物の生物発光が検出され、カフェオイルピルビン酸をコーヒー酸へと分解できる被験酵素の能力の指標となった。発光の最大波長は520~535nmであった。
当該得られた酵素は、実施例4に従って得たシロヒカリタケルシフェラーゼ及びヒスピジンヒドロキシラーゼの反応で発光(生物発光)を得るために使用した。100μlの緩衝液(0.2MのNa-リン酸緩衝液、0.5MのNa2SO4、0.1%のドデシルマルトシド(DDM)pH8.0)、1mMのNADPH(Sigma-Aldrich社、米国)、10mMのATP(ThermoFisher Scientific社、米国)、1mMのCoA(Sigma-Aldrich社、米国)、1mMのマロニル-CoA(Sigma-Aldrich社、米国)、0.2μMの1種の3-アリールアクリル酸:パラクマル酸(Sigma-Aldrich社、米国)、クマル酸(Sigma-Aldrich社、米国)又はフェルラ酸(Abcam社、米国)を含むガラス管に、5μlの各単離組換えタンパク質溶液を入れた。他の実験で、3-アリールアクリル酸の代わりに、真菌オキシルシフェリンの類似体 ― (2E,5E)-2-ヒドロキシ-6-(4-ヒドロキシフェニル)-4-オキソヘキサ-2,5-ジエン、(2E,5E)-2-ヒドロキシ-4-オキソ-6-フェニルヘキサ-2,5-ジエン、又は(2E,5E)-2-ヒドロキシ-6-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-4-オキソヘキサ-2,5-ジエン酸 ― も0.2μMの濃度でガラス管に入れた。ガラス管をルミノメーターに入れた。単離組換えタンパク質の活性は、記載した各反応で発光をもたらした。
実施例13.コーヒー酸からのヒスピジンの取得
J23100プロモーター制御下にあるシロヒカリタケヒスピジン-シンターゼ(配列番号34、35)をコードする核酸から成る発現カセット、及びSS9部位の相同領域によりloxPが導入され、araBADプロモーターの制御下にあるアスペルギルス・ニデュランス由来の4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼのNpgA遺伝子(配列番号104、105)から成る発現カセットを合成的に得て、ゼオシン耐性カセットから成る細菌発現ベクターにクローニングした。得られた構造体は、ゼオシン耐性の選択を利用して、Bassaloら[ACS Synthetic Biology、2016年7月15日;第5号(7):p.561-8]に記載のラムダバクテリオファージタンパク質媒介組換えにより、大腸菌BW25113ゲノムへの形質転換及び組み込みに使用した。SS9相同領域に特異的なプライマーからのPCRにより、全長構造の組み込みを確認した後、サンガー法によるゲノムDNAのPCR生成物の配列決定により、組み込まれた構造の適切性を検証した。
得られた大腸菌株を、ヒスピジンの生成に使用した。第1工程では、5本の50mlプラスチック管で、LB培地中、200rpm前後、37℃で最大10時間細菌をインキュベートした。600nmでの初期培養光学密度が約0.35となるように、得られた培養物250mlを3.3リットルの発酵培地に添加し、発酵槽BiostatB5(Braun社、ドイツ)に入れた。発酵培地には、10g/lのペプトン、5g/lのコーヒー酸、5g/lの酵母エキス、10g/lのNaCl、25g/lのグルコース、15g/lの(NH4)2SO4、2g/lのKH2PO4、2g/lのMgSO4・7H2O、14.7mg/lのCaCl2、0.1mg/lのチアミン、以下から成る1.8mg/l及び0.1%の溶液:8mg/lのEDTA、2.5mg/lのCoCl2・6H2O、15mg/lのMnCl2・4H2O、1.5mg/lのCuCl2・2H2O、3mg/lのH3BO3、2.5mg/lのNa2MoO4・2H2O、13mg/lのZn(CH3COO)2・2H2O、100mg/lのクエン酸鉄(III)、4.5mg/lのチアミン塩酸塩:が含まれていた。発酵は、3L/minのエアレーション及び200rpmでの混合を行いながら37℃で実行した。25時間の培養後、アラビノースを最終濃度0.1mMになるまで培養液に添加した。NH4OHを添加してpHを自動制御し、pHを7.0に低下させた。500g/lのグルコース、5g/lのコーヒー酸、2g/lのアラビノース、25g/lのトリプトン、50g/lの酵母エキス、17.2g/lのMgSO4・7H2O、7.5g/lの(NH4)SO4、及び18g/lのアスコルビン酸から成る溶液を発酵槽に添加し、pHが7.1に上昇するたびにグルコースレベルを維持した。56時間の培養後、培地中のヒスピジン濃度は1.23g/lであった。発酵培地及びHPLCで培地から精製したヒスピジンは、シロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼ及びルシフェラーゼとの生物発光反応に活性であった。
実施例13.コーヒー酸からの3-ヒドロキシヒスピジンの取得
J23100プロモーター制御下にあるシロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼ(配列番号1、2)をコードする核酸から成る発現カセットを合成的に得て、スペクチノマイシン耐性遺伝子から成る細菌発現ベクターにクローニングした。得られたベクターを、実施例12に従って得たシロヒカリタケヒスピジン-シンターゼ、ゼオシン耐性遺伝子、及びNpgA遺伝子を発現する大腸菌細胞に形質転換した。得られた菌体を用いて、実施例12に記載のプロトコルに従って発酵により3-ヒドロキシヒスピジンを生成したが、培養に用いた全ての培地に50mg/mlの濃度でスペクチノマイシンを添加した。48時間の培養後、培地中の3-ヒドロキシヒスピジン濃度は2.3g/lであった。発酵培地及びHPLCで培地から精製した3-ヒドロキシヒスピジンは、シロヒカリタケルシフェラーゼとの生物発光反応に活性であった。
実施例14.細胞代謝物及びチロシンからのヒスピジンの取得
チロシンから生合成ヒスピジンを生成するために、チロシン及びコーヒー酸を効果的に生成する大腸菌株を得た。大腸菌株は、[Lin及びYan.、Microbial Cell Factories、2012年4月4日;第11号:p.42]の記載のとおりに得た。細菌細胞によりアラビノースの均一な消費を可能にするattB部位にacY(lacY A177C)パーミアーゼの変異遺伝子を組み込んだ大腸菌BW25113株を、菌株開発の基礎とした。ロドバクター・キャプスラータのチロシン-アンモニア-リアーゼ遺伝子(配列番号:106、107)、大腸菌4-ヒドロキシフェニルアセテート3-モノオキシゲナーゼレダクターゼの構成要素HpaB及びHpaC(配列番号:108~111)のコード配列から成る発現カセットを、それぞれ構成的J23100プロモーターの制御下で合成的に得て、実施例12に記載したように大腸菌株のゲノムに組み込んだ。次の工程で、実施例12に従って得られ、構成的J23100プロモーターの制御下にあるシロヒカリタケヒスピジン-シンターゼのコード配列から成るプラスミド、pGAP-Zベクター由来のゼオシン耐性カセット、及びNpgA遺伝子を大腸菌ゲノムに組み込んだ。大腸菌ゲノムへの組み込みは、[Bassaloら、ACS Synth Biol.、2016年;第5号(7):p.561-568]の手法に従って、ラムダバクテリオファージタンパク質媒介組換えにより行った。SS9相同領域(5’-CGGAGCATTTTGCATG-3’及び5’-TGTAGGATCAAGCTCAG-3’)に特異的なプライマーからのPCRにより全長構造の組み込みを確認した後、サンガー法によるゲノムDNAのPCR生成物の配列決定により、組み込まれた構造の適切性を検証した。得られた菌株を、発酵槽での生合成ヒスピジンの生成に用いた。
実施例12に記載したように発酵槽内で細菌を培養したが、唯一の違いは、細菌培地にコーヒー酸を添加しないことであった。生合成ヒスピジンをHPLCにより培地から単離した。得られた菌株は、50時間の発酵当たり1.20mg/lのヒスピジンを生成できた。得られた生成物の純度は97.3%であった。また,培地にチロシンを10g/mlの濃度で添加することにより、ヒスピジン生成量は108.3mg/mlに増加できた。
実施例15.自律生物発光酵母ピキア・パストリスの生育
自律生物発光酵母ピキア・パストリスの生育を目的として、GAPプロモーター及びtAOX1ターミネーターの制御下で、シロヒカリタケルシフェラーゼ(配列番号: 79、80)、シロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼ(配列番号:1、2)、シロヒカリタケヒスピジン-シンターゼ(配列番号:34、35)、シロヒカリタケカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼ(配列番号:64、65)、アスペルギルス・ニデュランスNpgAタンパク質(配列番号:104、105)、ロドバクター・カプスラータチロシン-アンモニア-リアーゼ(配列番号:106、107)、並びに大腸菌4-ヒドロキシフェニルアセテート3-モノオキシゲナーゼレダクターゼの構成要素HpaB及びHpaC(配列番号:108~111)のコード配列から成る発現カセットを合成した。各発現カセットは、BsmBI制限酵素認識配列によりloxPが導入された。BsmBI制限酵素部位でloxPが導入されたMET6ピキア・パストリス遺伝子(Uniprot、F2QTU9)に対する相同領域も合成的に得た。合成DNAをBsmBI制限酵素で処理し、[Iversonら、ACS Synthetic Biology、2016年1月15日;第5号(1):p.99-103]に記載されているGolden Gateクローニングプロトコルに従って1つのプラスミドに結合させた。DNAリガーゼ用通常強度緩衝液(Promega社、米国)、20単位のDNAリガーゼ活性(Promega社、米国)、10単位のDNA制限エンドヌクレアーゼ活性から成る合計10μlの体積の反応液に、10fmolの各DNA断片を混合した。得られた反応混合物を増幅器に入れ、以下のプロトコルに従って16℃及び37℃でインキュベートした:37℃最大1.5分及び16℃3分での25サイクルのインキュベーション、次いで50℃最大5分の単回インキュベーション、次いで80℃最大10分の単回インキュベーション。反応混合物5μlを大腸菌化学的コンピテント細胞に形質転換した。プラスミドDNAアセンブリの適切性をサンガー法で確認し、精製したプラスミドDNA生成物を、電気穿孔によるピキア・パストリスGS11細胞の形質転換に使用した。電気穿孔は、[Wu及びLetchworth、Biotechniques、2004年、第36号:p.152-4]に記載の酢酸リチウム及びジチオスレイトールを用いた方法に従って行った。電気穿孔した細胞を、1Mのソルビトール、2%(重量/体積)のグルコース、1.34%(重量/体積)の酵母窒素塩基(YNB)、0.005%(重量/体積)のアミノ酸混合物、0.00004%(重量/体積)のビオチン、及び2%(重量/体積)の寒天から成るRDB培地を含むシャーレに分散させた。ゲノムへの遺伝子カセットの組み込みは、相同領域でアニーリングしたプライマーからのPCRにより確認した。得られた正しいゲノムインサートを含む酵母株は、野生酵母株とは対照的に自律的に発光できた(図7、8)。
実施例16.自律生物発光顕花植物の生育
pBI121ベクター(Chlontech社、米国)に基づく自律生物発光顕花植物の生育を目的として、植物での発現に最適化したシロヒカリタケルシフェラーゼ(配列番号:112)、シロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼ(配列番号:103)、シロヒカリタケヒスピジン-シンターゼ(配列番号:113)、シロヒカリタケカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼ(配列番号:114)、及びカナマイシン耐性遺伝子のコード配列から成るアグロバクテリウム形質転換用バイナリーベクターを形成した。各遺伝子はカリフラワー(cauliflower)モザイクウイルス由来の35Sプロモーターの制御下にある。発現カセットアセンブリの配列を合成的に得た。[Iversonら、ACS Synthetic Biology、2016年1月15日;第5号(1):p.99-103]に記載されているGolden Gateクローニングプロトコルに従ってベクターを組み立てた。
作成したバイナリーベクターから成るAGL0株のアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌[Lazoら、Biotechnology、1991年10月;第9号(10):p.963-7]と植物組織を共培養することによりシロイヌナズナを形質転換した。形質転換は[Valvekensら、Proceedings of the National Academy of Sciences、(米国)、1988年、第85号、p.5536-5540]に記載されているように、シロイヌナズナの根セグメント(C24 生態型)の共培養を利用して行った。シロイヌナズナの根を、20g/lのグルコース、0.5g/lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、及び0.05g/lのキネチンを含む寒天化ガンボーグ(Gamborg)培地B-5で最大3日培養した。その後、根を0.5cmの長さに切断し、20g/lのグルコース、0.5g/lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、及び0.05g/lのキネチンを含む10mlの液体ガンボーグ培地B-5に移し、1.0mlのアグロバクテリウム一夜培養液を添加した。外植片とアグロバクテリウムを最大2~3分共培養した。次いで、同組成の寒天化培地を入れたシャーレ内の無菌フィルター上に外植片を置いた。25℃の恒温器で48時間インキュベートした後、外植片を500mg/lのセフォタキシム及び50mg/lのカナマイシンを含む新鮮な培地に移した。3週間後、50mg/lのカナマイシンから成る選択培地での植物の再生を開始した。トランスジェニック植物は根を張り、発芽培地又は土壌に移した。生物発光をIVIS Spectrum In Vivo Imaging System(Perkin Elmer社)を用いて可視化した。90%を超えるトランスジェニック植物が、野生型植物からのシグナルより最低でも2桁上回る発光を放出した。
作成したバイナリーベクターから成るAGL0株のアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌[Lazoら、Biotechnology、1991年10月;第9号(10):p.963-7]と植物組織を共培養することによりベンサミアナタバコを形質転換した。形質転換はベンサミアナタバコセグメントの共培養を利用して行った。次いで、葉を0.5cmの長さに切断し、20g/lのグルコース、0.5g/lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、及び0.05g/lのキネチンを含む10mlの液体ガンボーグ培地B-5に移し、1.0mlのアグロバクテリウム一夜培養液を添加した。外植片とアグロバクテリウムを最大2~3分共培養した。次いで、同組成の寒天化培地を入れたシャーレ内の無菌フィルター上に外植片を置いた。25℃の恒温器で48時間インキュベートした後、外植片を500mg/lのセフォタキシム及び50mg/lのカナマイシンを含む新鮮な培地に移した。3週間後、50mg/lのカナマイシンから成る選択培地での植物の再生を開始した。トランスジェニック植物は根を張り、発芽培地又は土壌に移した。生物発光をIVIS Spectrum In Vivo Imaging System(Perkin Elmer社)を用いて可視化した。90%を超えるトランスジェニック植物が、野生型植物からのシグナルより最低でも2桁上回る発光を放出した。自律発光ベンサミアナタバコの写真を図9に示す。
自立発光ハイコヌカグサ(agrostis stolonifera L.)の生育を目的として、そこに、植物での発現に最適化され、BsaI制限エンドヌクレアーゼ部位によりloxPが導入された真菌ルシフェリン代謝カスケード遺伝子:シロヒカリタケルシフェラーゼ(配列番号:126)、シロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼ(配列番号:117)、シロヒカリタケヒスピジン(配列番号:127)、シロヒカリタケカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼ(配列番号:128)、及び除草剤グリホサート耐性遺伝子(bar遺伝子)のコード配列をpBI121ベクター(Chlontech社、米国)にクローン化した。各配列は、CmYLCVプロモーターの制御下にあった[Stavoloneら、Plant Molecular Biology、2003年11月;第53号(5):p.663-73]。配列は標準的な技術に従って合成した。Golden Gateクローニングプロトコルに従ってベクターを組み立てた。形質転換は、胚性カルスアグロバクテリウム形質転換法により行った。作成したバイナリーベクターから成るAGL0株のアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌[Lazoら、Biotechnology、1991年10月;第9号(10):p.963-7]の一夜培養液を液体培地に添加した。寒天化ムラシゲ・スクーグ(Murashige and Skoog)培地で2日間共培養した後、500mg/lのセフォタキシム及び10mg/lのホスフィノスリシンを含む新鮮な培地に移した。3週間後に植物の再生を開始した。トランスジェニック植物を、ムラシゲ・スクーグの塩分濃度を半分にし、8mg/lのホスフィノトリシンを添加した培地に植え替えて発根させた。発根した植物を温室に出した。得られた代謝カスケードゲノムに適正かつ完全に組み込まれた植物の約25%が、対照野生型植物の生物発光を上回る生物発光を放出した。
目下、特定の組織又は特定の時間に発光可能な有機体は特別な対象である。このような有機体は、発光に必要な資源をより効率的に消費する。花弁でのみ発光する自律生物発光性のバラの生育を目的として、花弁が白いバラの品種を数種選定した。pBI121ベクター(Clontech社、米国)をベースに、植物での発現に最適化したシロヒカリタケルシフェラーゼ、シロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼ、シロヒカリタケヒスピジンシンターゼ、シロヒカリタケカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼ、及びネオマイシン耐性遺伝子のコード配列由来の代謝カスケードから成るアグロバクテリウム形質転換用の2種類のバイナリーベクターを作成した。ルシフェラーゼ遺伝子を除く全ての遺伝子はカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターの制御下に置いた。ベクターの1つでは、ルシフェラーゼ遺伝子をバラカルコンシンターゼプロモーターの制御下に置き、他方のベクターでは、キク(chrysanthemum)カルコンUEP1プロモーターの制御下に置いた。ベクターアセンブリに必要な合成核酸を使用し、BsaI制限酵素認識部位でloxPを導入し、Golden Gateクローニングプロトコルに従ってベクターを組み立てた。上記バイナリーベクターから成るAGL0株のアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌と胚性カルスを共培養することにより、ロサ・ハイブリダ L.cv.ティニケ(Rosa hybrida L.cv.Tinike)トランスジェニック植物を得た[Lazoら、Biotechnology、1991年10月;第9号(10):p.963-7]。培養は、1~2mg/lのキネチン、3mg/lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸及び1mg/lの6-ベンジルアミノプリンを添加したムラシゲ・スクーグのマクロ塩及びミクロ塩から成る液体培地中で最大40分間行った。カルスを同じ組成の寒天化培地に移した。2日後に、この外植片を、500mg/lのセフォタキシム及び50mg/lのカナマイシンを含む新鮮なムラシゲ・スクーグ培地に移した。芽の形成及び再生は5~8週間後に現れた。芽を増殖培地又は発根培地に移した。発根した新芽は、温室内の泥炭混合物中に出した。開花は8週間後に観察された。成熟した花を付けた植物をIVIS Spectrum In Vivo Imaging System(Perkin Elmer社)で可視化した。各被験構造体の被験植物は全て、野生型植物からのシグナルより最低でも3桁上回る発光を自律的に放出した。発光は花弁組織のみから放出され、プロモーターの組織特異的な機能が確認できた。
概日リズムで生物発光が制御されて夜間に活性する自立生物発光植物の生育を目的として、あらかじめ取得したシロヒカリタケルシフェラーゼ、シロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼ、シロヒカリタケヒスピジンシンターゼ、シロヒカリタケカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼ、及びネオマイシン耐性遺伝子のコード配列から成るアグロバクテリウム形質転換用バイナリーベクターを使用した。各遺伝子はカリフラワーモザイクウイルス由来の35Sプロモーターの制御下にある。シロヒカリタケルシフェラーゼの発現用プロモーターはシロイヌナズナ由来CAT3遺伝子のプロモーターで置き換えた。CAT3遺伝子プロモーターからの転写は概日リズムにより制御し、夜間に活性する。CAT3プロモーター配列は、当技術分野で公知である[Michael及びMcClung、Plant Physiology、2002年10月;第130号(2):p.627-38]。作成したバイナリーベクターから成るAGL0株のアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌[Lazoら、Biotechnology、1991年10月;第9号(10):p.963-7]を用いた植物組織の共培養によりシロイヌナズナを形質転換した。[Valvekensら、Proceedings of the National Academy of Sciences、米国、1988年、第85号、p.5536-5540]に記載のシロイヌナズナ根セグメント(C24生態型)の共培養を利用し、形質転換を行った。根を0.5cmの長さに切断し、20g/lのグルコース、0.5g/lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、及び0.05g/lのキネチンを含む10mlの液体ガンボーグ培地B-5に移し、1.0mlのアグロバクテリウム一夜培養液を添加した。外植片とアグロバクテリウムを最大2~3分共培養した。次いで、同組成の寒天化培地を入れたシャーレ内の無菌フィルター上に外植片を置いた。25℃の恒温器で48時間インキュベートした後、外植片を500mg/lのセフォタキシム及び50mg/lのカナマイシンを含む新鮮な培地に移した。3週間後、50mg/lのカナマイシンから成る選択培地での植物の再生を開始した。トランスジェニック植物は根を張り、発芽培地に移し、天然の昼光サイクル条件で生育させた。生物発光をIVIS Spectrum In Vivo Imaging System(Perkin Elmer社)を用いて可視化し、植物を24時間装置に置き、30分おきに生物発光強度を記録した。植物は24時間以内に発光したが、生物発光強度は概日リズムにより大きく変調した:被験植物の85%で、夜間の積分発光強度は昼間の積分発光強度の1000倍を超えていた。
実施例17.トランスジェニック自律生物発光下位植物の生育
実施例8に記載の方法を用いてプラスミドとのプロトプラスト共形質転換することにより、自律的に生物発光するコケのヒメツリガネゴケを生育した。植物における発現のために最適化された、シロヒカリタケルシフェラーゼ(配列番号:112)、シロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼ(配列番号:103)、シロヒカリタケヒスピジン-シンターゼ(配列番号:113)、シロヒカリタケカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼ(配列番号:114)及びカナマイシン耐性遺伝子のコード配列を含む発現カセットを合成的に得た。各酵素はイネアクチン2プロモーターの制御下にある。発現カセットをpBI121ベクター(Clontech社、CШA)に操作的に架橋し、コケゲノム標的遺伝子座配列と一致する配列で、全代謝カスケード及びカナマイシン耐性遺伝子を含む構造にloxPが導入されるようにした。ベクターを、Golden GateクローニングプロトコルGolden Gateに従って組み立てた[Iversonら、ACS Synthetic Biology、2016年1月15日;第5号(1):p.99-103]。コケゲノム中の標的領域に相補的なガイドRNA遺伝子もベクターにクローニングした。[Coveら、Cold Spring Harbor Protocols、2009年、第2号]に記載のポリエチレングリコール形質転換プロトコルに従って、特定した遺伝子を有するプラスミドと、Cas9ヌクレアーゼを構成的に発現させるためのプラスミドとを共形質転換した。得られた形質転換プロトプラストをBG-11培地で最大24時間、暗条件下でインキュベートし、BG-11培地及び8.5%寒天を入れたシャーレに移した。シャーレでの生育から1ヶ月後、連続照明でIVIS Spectrum In Vivo Imaging System(Perkin Elmer社)での可視化を行った。被験植物の70%は、野生型植物からのシグナルより最低でも1桁上回る発光を放出した。
実施例18.トランスジェニック発光動物の生育
シロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼの遺伝子から成るトランスジェニック魚類であるゼブラフィッシュ(Danio rerio)を、[Hisanoら、Scientific Reports、2015年、第5号:p.8841]に記載の技術に従って作成した。この技術には、ガイドRNAの発現と、ガイドRNA配列に相同な領域に中断点を作るためのCas9ヌクレアーゼの発現が含まれる。トランスジェニック動物の生育を目的として、バクテリオファージポリメラーゼT7プロモーターの制御下で、pX330プラスミド、Addgene#42230由来のガイドRNA配列、及びCas9ヌクレアーゼのmRNAから成る合成DNA断片を整えた。得られた断片を、MAXIscript T7キット(Life Technologies社、米国)の試薬を用いてインビトロ転写に用い、合成したRNAをDNA単離キット(Evrogen社、ロシア)を用いて精製した。
[Hisanoら、Scientific Reports、2015年、第5号:p.8841]に記載のkrtt1c19eゼブラフィッシュ遺伝子由来の50ヌクレオチド配列によりloxPが導入されたシロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼのコード配列を合成的に得て、pUC複製起点及びカナマイシン耐性カセットから成るpEGFP/C1プラスミドベースにクローニングした。得られたベクター、Cas9ヌクレアーゼmRNA及びガイドRNAを注射用緩衝液(40mMのHEPES(pH7.4)、240mMのKClに0.5%のフェノールレッドを添加)に溶解し、シロヒカリタケルシフェラーゼを安定的に発現する、あらかじめ得たゼブラフィッシュ系統の1~2個の細胞胚に約1~2nlの量で注入した。48個の胚のうち約12個が注射で生存し、受精後4日目に正常な発育を示した。
[Cosentinoら、Journal of Visualized Experiments、2010年;(42):p.2079]に記載されている技術に従って生物発光シグナルを記録するために、ゼブラフィッシュ幼生にヒスピジン溶液を静脈内注射した。IVIS Spectrum In Vivo Imaging System(Perkin Elmer社)を用いて生物発光を記録した。記録後、ゲノムDNAを幼生から単離し、ゲノムへのヒスピジンヒドロキシラーゼの組み込みを確認した。ゲノムにシロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼ遺伝子が正しく組み込まれた幼生は全て、ヒスピジン溶液注入後に野生型の魚から発信されるシグナルより最低でも2桁上回る生物発光強度を示した。
実施例19.自律生物発光有機体の発光に対するカフェイルビン酸ヒドロラーゼの影響の検討
自律発光有機体の発光に対するカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼの影響を検討する目的で、シロヒカリタケルシフェラーゼ、シロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼ、シロヒカリタケヒスピジンシンターゼ、シロヒカリタケカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼ、及びカナマイシン耐性遺伝子のコード配列から成るアグロバクテリウム形質転換用のバイナリーベクターを使用した。各遺伝子は、実施例16に従って得られたカリフラワーモザイクウイルス由来の35Sプロモーターの制御下にあり、対照ベクターは被験ベクターからカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼ配列を除去していることを特徴とする。これらのベクターを用いて、実施例16に記載のプロトコルに従って、同じ条件でシロイヌナズナの形質転換を行った。生物発光をIVIS Spectrum In Vivo Imaging System(Perkin Elmer社)を用いて可視化した。シロヒカリタケ生物発光系の4つの遺伝子全てを発現する植物の生物発光強度を、ルシフェラーゼ、ヒスピジンヒドロキシラーゼ及びヒスピジンシンターゼのみを発現する植物と比較したところ、カフェイルピルビン酸ヒドロラーゼを追加的に発現する植物は平均で8.3倍明るい生物発光を示すことが明らかになった。提供されたデータから、カフェイルピルビン酸ヒドロラーゼは生物発光カスケード効率の増加を可能にし、植物が発する発光の強度を増加させることが分かる。
実施例20.トランスジェニック有機体生物発光に対するコーヒー酸の外部添加の影響
実施例16に従って得られた自律生物発光トランスジェニック植物ベンサミアナタバコを土壌に移植し、最大8週間培養した。次いで、植物の茎を切断し、2時間水中に設置し、その後、IVIS Spectrum In Vivo Imaging System(Perkin Elmer社)により生物発光強度を測定した。次いで、植物をコーヒー酸濃度0.4g/l、0.8g/l、1.6g/l、3.2g/l、6.4g/lの5種類の水溶液の1つに移し、対照植物を水中に設置した。コーヒー酸溶液又は水中で更に2時間インキュベーションした後、生物発光強度を再度測定した。いずれの場合も、コーヒー酸溶液でインキュベートした植物の生物発光強度は、コーヒー酸溶液に設置する前の強度と比較して増加しており、6.4g/lの濃度の溶液でインキュベートした植物で最も大きな変化が観察された。水中でインキュベートした対照植物は、インキュベート開始後4時間以内に生物発光強度に有意な変化を示さなかった。
実施例21.プロモーターの活性アッセイ及び外部シグナルの細胞内論理統合のための真菌生物発光系遺伝子の使用
シロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼ、ヒスピジンシンターゼ及びルシフェラーゼのコード配列を使用し、数種のプロモーターの同時活性化を監視した。合成発現カセットは、アラビノースにより誘導した大腸菌araBADプロモーターの制御下にあるシロヒカリタケヒスピジンシンターゼ(配列番号:34、35)のコード配列、IPTGにより誘導したT7/lacOプロモーターの制御下にあるヒスピジンヒドロキシラーゼのコード配列(配列番号:1、2)、及びラムノースにより誘導したpRhaプロモーターの制御下にあるルシフェラーゼ遺伝子(配列番号:79、80)、並びに構成的なJ23100プロモーターの制御下にあるNpgA遺伝子(配列番号:104、105)(Registry of Standard Biological parts、Part:BBa_J23100)から成る。得られた合成核酸を、LacZ遺伝子から成るインサートの代わりに、BpiI制限エンドヌクレアーゼを用いて、MoClo_Level2ベクター[Weberら、PLoS One、2011年2月18日、第6号(2):p.e16768]にクローニングした。得られたベクターを、T7バクテリオファージポリメラーゼのゲノムコピーから成る大腸菌BL21(NEB社、米国)株コンピテント細胞に形質転換した。
数種のプロモーターの同時活性化を記録できる可能性を判断する目的で、先行の工程で得られた細胞を、100mg/l濃度のアンピシリンを添加した100mlのLB培地を含むフラスコ中で一晩増殖させた。翌日、細胞培養アリコートを以下の組成の培地のいずれかに、24℃、200rpmで120分間置いた。
1.1%アラビノースを添加したLB培地、
2.0.2%ラムノースを添加したLB培地、
3.0.5%IPTGを添加したLB培地、
4.1%アラビノース及び0.2%ラムノースを添加したLB培地、
5.1%アラビノース及び0.5%IPTGを添加したLB培地、
6.0.2%ラムノース及び0.5%IPTGを添加したLB培地、
7.1%アラビノース、0.2%ラムノース、及び0.5%IPTGを添加したLB培地、
8.LB培地(対照)。
インキュベーション後、細胞をペレット化し、1g/lの濃度のコーヒー酸(Sigma-Aldrich社、米国)を添加したpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(Sigma-Aldrich社、米国)で培地を置換し、ピペッティングにより細胞を再懸濁した。30分後に、輝度計GloMax20/20(Promega社、米国)を用いて細胞生物発光を分析した。実験は3回繰り返した。8つの被験試料において、培地No.7(1%アラビノース、0.2%ラムノース、及び0.5%IPTGを添加したLB培地)でインキュベートした菌では、生物発光強度はLB培地(培地No.8)でのみインキュベートした被験菌の生物発光とは大幅に異なっていた。従って、細菌発光は、培地に細菌を入れると3つの異なるプロモーターが確実に同時活性化することの指標となった。この実験では、細菌細胞は、物質の存在に関する情報を組み込み、外部培地でプロモーター活性を誘導し、3つの物質が同時に培地に存在する場合にのみ発光によりシグナル伝達し、細胞内で論理演算「AND」を行った。
(1)[Pletzら、Biochimica et Biophysica Acta、2013年6月;第1833号(6):p.1338-46]に従ったOdf2プロモーターの制御下にあるヒスピジンヒドロキシラーゼ(配列番号:1、2)のコード配列;(2)サイクリン依存性キナーゼCDK7プロモーターの制御下にあるヒスピジン-シンターゼ(配列番号:34、35)のコード配列;(3)CCNH遺伝子プロモーターの制御下にあるルシフェラーゼ(配列番号:79、80)から成る合成発現カセットは、サイトメガロウイルスプロモーターabd mKate2-ケラチンインサートの配列の代わりにpmKate2-ケラチンベクター(Evrogen社、ロシア)にクローニングした。また、NpgA遺伝子(配列番号:104、105)のコード配列を、mKate2-ケラチンインサート配列の代わりに、pmKate2-ケラチンベクターにクローニングした。得られた全ベクターを、メーカーのプロトコルに従ってトランスフェクション剤FuGENE HD(Promega社、米国)によりHEK293T細胞にコトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後に、5mg/mlの濃度のコーヒー酸を培地に添加し、Leica TCS SP8顕微鏡を用いて細胞発光を検出した。発光により、Odf2、CCNH、及びCDK7プロモーターの同時活性化を同定することが可能になり、発光強度は細胞周期ステージに関係していた。
得られたデータから、数種のプロモーターの同時活性化の監視、培地中における異なる物質の存在及びその組合せの検出、並びに外部シグナルの細胞内論理統合のために、真菌生物発光系遺伝子を使用できることが分かる。
実施例22.植物抽出物中のヒスピジンの同定
実施例1に従って得たシロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼ及びルシフェラーゼのコード配列を、T7プロモーターの制御下でpET23ベクターにクローニングした。精製プラスミドDNA生成物を、PURExpress In Vitro Protein Synthesis Kit(NEB社、米国)を用いて、インビトロでのタンパク質転写及び翻訳に使用した。反応混合物100μlに2μlの植物溶解液を添加し、ルミノメーターGloMax(Promega社、米国)で発光強度を記録することにより、約19種類の植物、キク種(Chrysanthemum sp.)、パイナップル(Ananas comosus)、ペチュニア・アトキンシアナ(Petunia atkinsiana)、オウシュウトウヒ(Picea abies)、セイヨウイラクサ(Urtica dioica)、トマト(Solanum lycopersicum)、ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)、タバコ(ニコチアナ・トバクム)、シロイヌナズナ、ロサ・グラウカ(Rosa glauca)、ロサ・ルビギノーサ(Rosa rubiginosa)、ツクシ(Equisetum arvense)、エクィセトゥム・テルマテイア(Equisetum telmateia)、ポリガラ・サブロサ(Polygala sabulosa)、ハマナス(Rosa rugosa)、ヤエヤマセンニンソウ(Clematis tashiroi)、カランコエ種(Kalanchoe sp.)コムギ(Triticum aestivum)、カーネーション(Dianthus caryophyllus)の溶解液中におけるヒスピジンの存在及び濃度並びにその機能性類似体を分析するために、得られた反応混合物を用いた。最大濃度のヒスピジン及びその機能性類似体はツクシ及びエクィセトゥム・テルマテイアの溶解液中にあると判定された。また、ポリガラ・サブロサ、ハマナス及びヤエヤマセンニンソウ中にもヒスピジン又はその機能性類似体が同定された。
実施例23.ヒスピジン合成を触媒可能なPKSの同定、及びインビトロ及びインビボでヒスピジンを生成するためのPKSの使用
ヒスピジンなどの真菌ルシフェリン前駆体はポリケチド誘導体群に関連する。植物におけるポリケチド合成に関与する酵素はポリケチドシンターゼタンパク質スーパーファミリーに関連し、植物ポリケチドシンターゼは、真菌ポリケチドシンターゼとは対照的に、3-アリールアクリル酸を含む酸のCoAエーテルを用いた比較的小型のタンパク質であることは当技術分野で公知である。また、ヒスピジンへのコーヒー酸CoAエーテルの形質転換を触媒できるポリケチドシンターゼは当技術分野で公知ではないが、ヒスピジンは多くの植物有機体に存在する。
生物情報学分析を利用して、以下の供給源からヒスピジンシンターゼを触媒できる可能性のある11種のポリケチドシンターゼを選択した。
アクイラリア・シネンシス(Aquilaria sinensis)(2種の酵素)、
アジサイ(Hydrangea macrophylla)、
シロイヌナズナ、
ニセツリガネゴケ(Physcomitrella patens)、
イタドリ(Polygonum cuspidatum)、
ショウヨウダイオウ(Rheum palmatum)、
レウム・タタリカム(Rheum tataricum)、
ワケンドルフィア・シルシフロラ(Wachendorfia thyrsiflora)、
カヴァ(Piper methysticum)(2種の酵素)。
ピキア・パストリス酵母細胞及びベンサミアナタバコ植物細胞で発現させるための選択されたヌクレオチド配列を最適化した。得られた核酸を合成で得て、pGAPZベクターにクローニングし、発現したタンパク質のヒスピジン合成能の検証に使用した。
この目的のために、実施例1に従って得られたシロヒカリタケルシフェラーゼ及びヒスピジンヒドロキシラーゼを構成的に発現するピキア・パストリスGS115酵母株のゲノムにおいて、オリゴヌクレオチド合成でもシロイヌナズナのクマレート-CoA リガーゼ1(そのヌクレオチド及びアミノ酸配列を配列番号:140、141に示す)の遺伝子から成るpGAPZプラスミドを追加導入した。このプラスミドを制限部位AvrIIで線状化し、ピキア・パストリスGS115細胞への形質転換に用いた。
シロヒカリタケルシフェラーゼ及びヒスピジンヒドロキシラーゼ及びシロイヌナズナのクマレート-CoAリガーゼ1を構成的に発現する、得られた酵母細胞をPKSコード配列から成るプラスミドにより線状化し、1Mのソルビトール、2%(重量/体積)のグルコース、1.34%(重量/体積)の酵母窒素塩基(YNB)、0.005%(重量/体積)のアミノ酸混合物、0.00004%(重量/体積)のビオチン、及び2%(重量/体積)の寒天から成るRDB培地を含むシャーレに分散させた。ヒスピジンシンターゼ活性を有する酵素を同定するために、得られたコロニーにコーヒー酸溶液を噴霧し、発光の発生により細胞内のヒスピジンシンターゼの存在を検出した。コロニーが放出した発光は、IVIS Spectrum CT(PerkinElmer社、米国)を用いて検出した。ルシフェラーゼ、ヒスピジンヒドロキシラーゼ、及びクマレート-CoAリガーゼ1を構成的に発現する酵母株並びに野生酵母細胞を陰性対照として用いた。被験遺伝子のうち、11種の酵素がヒスピジンシンターゼ活性を有しており、その配列を配列番号:118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138に示す。次に、コードされたアミノ酸配列をそれぞれ配列番号:119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139に示す。アクイラリア・シネンシス(配列番号:119、121)、シロイヌナズナ(配列番号:123)、及びアジサイ(配列番号:125)から得たPKS1及びPKS2に由来する酵素により最も高い活性が示された。
アジサイ由来のPKSをコードする核酸(配列番号:124、125)を用いて、実施例4に記載の技術に従って組換えタンパク質を生成した。予測した長さのバンドが利用可能であったため、予測した組換え生成物の存在を電気泳動により確認した。単離した組換えタンパク質のアリコートを機能性の検証に使用した:100μlの緩衝液(0.2MのNa-リン酸緩衝液、0.5MのNa2SO4、0.1%のドデシルマルトシド(DDM)pH8.0、成分は全てSigma-Aldrich社、米国)、実施例4に従って得た0.5μlのシロヒカリタケの精製組換えルシフェラーゼ、1mMのNADPH(Sigma-Aldrich社、米国)、実施例4に従って得た15μlのシロヒカリタケの精製組み換えヒスピジンヒドロキシラーゼ、10mMのATP(ThermoFisher Scientific社、米国)、1mMのCoA(Sigma-Aldrich社、米国)、1mMのマロニル-CoA(Sigma-Aldrich社、米国)を含むガラス管に、30μlの単離組換えタンパク質溶液を入れた。ガラス管をルミノメーターGloMax20/20(Promega社、米国)に入れた。20μMのカフェイル-CoAを溶液に添加したとき、反応混合物は生物発光を示した。発光の最大波長は520~535nmであった。
ヒスピジンプロデューサー株を生成するためにアクイラリア・シネンシス由来のPKS2をコードする核酸(配列番号:120、121)を使用した。構成的J23100プロモーターの制御下にある核酸配列番号:120から成る発現カセット、及びaraBADプロモーターの制御下にあるシロイヌナズナ由来の4-クマレート-CoAリガーゼ1をコードする核酸配列番号:140から成る発現カセットを合成した;両発現カセットはSS9部位の相同領域によりloxPが導入された。これら発現カセットを、ゼオシン耐性カセットから成る細菌発現ベクターにクローニングし、ゼオシン耐性の選択を利用して、Bassaloら[ACS Synthetic Biology、2016年7月15日;第5号(7):p.561-8]に記載のラムダバクテリオファージタンパク質媒介組換えにより、大腸菌BW25113ゲノムへの形質転換及び組み込みに使用した。SS9相同領域に特異的なプライマーからのPCRにより、全長構造の組み込みを確認した後、サンガー法によるゲノムDNAのPCR生成物の配列決定により、組み込まれた構造の適切性を検証した。
得られた大腸菌株を、ヒスピジンの生成に使用した。第1工程では、5本の50mlプラスチック管で、LB培地中、200rpm前後、37℃で最大10時間細菌をインキュベートした。600nmでの初期培養光学密度が約0.35となるように、得られた培養物250mlを3.3リットルの発酵培地に添加し、発酵槽BiostatB5(Braun社、ドイツ)に入れた。発酵培地には、10g/lのペプトン、5g/lのコーヒー酸、5g/lの酵母エキス、10g/lのNaCl、25g/lのグルコース、15g/lの(NH4)2SO4、2g/lのKH2PO4、2g/lのMgSO4・7H2O、14.7mg/lのCaCl2、0.1mg/lのチアミン、以下から成る1.8mg/l及び0.1%の溶液:8mg/lのEDTA、2.5mg/lのCoCl2・6H2O、15mg/lのMnCl2・4H2O、1.5mg/lのCuCl2・2H2O、3mg/lのH3BO3、2.5mg/lのNa2MoO4・2H2O、13mg/lのZn(CH3COO)2・2H2O、100mg/lのクエン酸鉄(III)、4.5mg/lのチアミン塩酸塩:が含まれていた。発酵は、3l/minのエアレーション及び200rpmでの混合を行いながら37℃で実行した。25時間の培養後、アラビノースを最終濃度0.1mMになるまで培養液に添加した。NH4OHを添加してpHを自動制御し、pHを7.0に低下させた。500g/lのグルコース、5g/lのコーヒー酸、2g/lのアラビノース、25g/lトリプトン、50g/lの酵母エキス、17.2g/lのMgSO4・7H2O、7.5g/lの(NH4)SO4、及び18g/lのアスコルビン酸から成る溶液を発酵槽に添加し、pHが7.1に上昇するたびにグルコースレベルを維持した。56時間の培養後、培地中のヒスピジン濃度は3.48g/lであった。発酵培地及びHPLCで培地から精製したヒスピジンは、実施例4に従って得たシロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼ及びルシフェラーゼとの生物発光反応に活性であった。
自律生物発光酵母ピキア・パストリスの生育を目的として、GAPプロモーター及びtAOX1ターミネーターの制御下で、シロヒカリタケルシフェラーゼ(配列番号: 79、80)、シロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼ(配列番号:1、2)、シロヒカリタケヒスピジン-シンターゼ(配列番号:34、35)、シロヒカリタケカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼ(配列番号:64、65)、ロドバクター・カプスラータチロシン-アンモニア-リアーゼ(配列番号:106、107)、並びに実施例15に従って得た大腸菌4-ヒドロキシフェニルアセテート3-モノオキシゲナーゼ-レダクターゼの構成要素HpaB及びHpaC(配列番号:108~111)のコード配列から成る発現カセットを使用した。シロイヌナズナ由来の4-クマレート-CoAリガーゼ1(配列番号:140、141)、並びに3種のPKS:アクイラリア・シネンシス由来のPKS(配列番号:120、121)、シロイヌナズナ由来のPKS(配列番号:122、123)、及びアジサイ由来のPKS(配列番号:124、125)のコード配列から成る類似の発現カセットも合成した。各発現カセットは、BsmBI制限酵素認識配列によりloxPが導入された。BsmBI制限酵素部位でloxPが導入されたMET6ピキア・パストリス遺伝子(Uniprot、F2QTU9)に対する相同領域も合成的に得た。合成DNAをBsmBI制限酵素で処理し、[Iversonら、ACS Synthetic Biology、2016年1月15日;第5号(1):p.99-103]に記載されているGolden Gateクローニングプロトコルに従って1つのプラスミドに結合させた。PKSの組成が異なる3種類のプラスミドを生成した。得られたプラスミドは、実施例15に記載の技術に従ってトランスジェニック酵母ピキア・パストリスを生成するために使用した。ゲノムへの遺伝子カセットの組み込みは、相同領域でアニーリングしたプライマーからのPCRにより確認した。適切なゲノムインサートから成る、得られた3種の酵母株はいずれも野生酵母株とは対照的に自律的に発光できた。
pBI121ベクター(Chlontech社、米国)に基づく自律生物発光顕花植物の生育を目的として、植物での発現に最適化したシロヒカリタケルシフェラーゼ(配列番号:112)、シロヒカリタケヒスピジンヒドロキシラーゼ(配列番号:103)、シロヒカリタケカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼ(配列番号:114)、カナマイシン耐性遺伝子、及びPKS(配列番号:122、123)のコード配列から成るアグロバクテリウム形質転換用バイナリーベクターのセットを形成した。各遺伝子はカリフラワーモザイクウイルス由来の35Sプロモーターの制御下にある。発現カセットアセンブリの配列を合成的に得た。[Iversonら、ACS Synthetic Biology、2016年1月15日;第5号(1):p.99-103]に記載されているGolden Gateクローニングプロトコルに従ってベクターを組み立てた。作成したバイナリーベクターから成るAGL0株のアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌[Lazoら、Biotechnology、1991年10月;第9号(10):p.963-7]と植物組織を共培養することによりタバコ(Nicotiana tabacum)を形質転換した。形質転換はタバコ葉セグメントの共培養により行った。次いで、葉を、0.5cmの長さの断片に切断し、20g/lのグルコース、0.5g/lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、及び0.05g/lのキネチンを含む10mlの液体ガンボーグ培地B-5に移し、1.0mlのアグロバクテリウム一夜培養液を添加した。外植片とアグロバクテリウムを最大2~3分共培養した。次いで、同組成の寒天化培地を入れたシャーレ内の無菌フィルター上に外植片を置いた。25℃の恒温器で48時間インキュベートした後、外植片を500mg/lのセフォタキシム及び50mg/lのカナマイシンを含む新鮮な培地に移した。3週間後、50mg/lのカナマイシンから成る選択培地での植物の再生を開始した。トランスジェニック植物は根を張り、発芽培地又は土壌に移した。生物発光をIVIS Spectrum In Vivo Imaging System(Perkin Elmer社)を用いて可視化した。%を超えるトランスジェニック植物が、野生型植物からのシグナルより最低でも3桁上回る発光を放出した。
実施例24.核酸の組合せ
組合せ1:
組成:(a)配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28の群から選択されるアミノ酸配列を有するヒスピジンヒドロキシラーゼをコードする核酸;及び(b)配列番号:80、82、84、86、88、90、92、94、96、98の群から選択されるアミノ酸配列を有するルシフェラーゼをコードする核酸。
当該組合せは、下記構造式を有する6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンの群から選択される物質の存在下で、インビトロ又はインビボの発現系において生物発光を得るために使用できる。
式中、6位の置換基は、2-(3,4-ジヒドロキシスチリル)、2-(4-ヒドロキシスチリル)、2-(4-(ジエチルアミノ)スチリル)、2-(2-(1H-インドール-3-イル)ビニル)、2-(2-(1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イル)ビニル)、2-(6-ヒドロキシナフタレン-2-イル)ビニルを含む2-アリールビニル又は2-ヘテロアリールビニル置換基(R-CH=CH-)である。
当該組合せは、異種発現系における2つのプロモーター依存性の研究にも使用できる。
当該組合せは、生物学的対象物中のヒスピジン及びその類似体の同定にも使用できる。
当該組合せは、ヒスピジン及びその機能性類似体の存在下で発生する生物発光による細胞標識にも使用できる。
組合せ2:
組成:(a)配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28の群から選択されるアミノ酸配列を有するヒスピジンヒドロキシラーゼをコードする核酸;及び(b)配列番号:35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55の群から選択されるアミノ酸配列を有するヒスピジン-シンターゼをコードする核酸。
当該組合せは、下記構造式を有する置換アクリル酸から選択される物質から、インビトロ又はインビボの発現系において真菌ルシフェリンを生成するために使用できる。式中、Rは(例えば、コーヒー酸から得た)アリール又はヘテロアリールである。
組合せ3:
組合せ2で規定した全成分、及び配列番号:80、82、84、86、88、90、92、94、96、98の群から選択されるアミノ酸配列を有するルシフェラーゼをコードする核酸が含まれる。
当該組合せは、下記構造式を有する置換アクリル酸から選択される物質の存在下、インビトロ又はインビボの発現系において生物発光を得るために使用できる。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
当該組合せは、生物発光細胞及びトランスジェニック有機体の生成に使用できる。前記組合せは、異種発現系における3つのプロモーター依存性の研究にも使用できる。
組合せ4:
組合せ3で規定した全成分、及び配列番号:65、67、69、71、73、75の群から選択されるアミノ酸配列を有するカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼをコードする核酸が含まれる。
当該組合せは、生物発光細胞及びトランスジェニック有機体を生成するために使用できる。
組合せ5:
組成:(a)配列番号:35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55の群から選択されるアミノ酸配列を有するヒスピジン-シンターゼをコードする核酸;及び(b)配列番号:105に示されるアミノ酸配列を有する4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼの遺伝子をコードする核酸。
当該組合せは、インビトロ及びインビボの発現系において、コーヒー酸からヒスピジンを生成するために使用できる。
組合せ6:
組成:(a)配列番号:35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55の群から選択されるアミノ酸配列を有するヒスピジン-シンターゼをコードする核酸;(b)配列番号:105に示すアミノ酸配列を有する4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼの遺伝子をコードする核酸;及び(c)下記構造式を有する3-アリールアクリル酸生合成の酵素をコードする核酸。式中、Rは、細胞代謝物(例えば、チロシン-アンモニア-リアーゼをコードする核酸、及び4-ヒドロキシフェニルアセテート3-モノオキシゲナーゼ-レダクターゼの構成要素HpaB及びHpaCをコードする核酸)から得られるアリール又はヘテロアリールである。
当該組合せは、インビトロ及びインビボの発現系において、チロシンからヒスピジンを生成するために使用できる。
組合せ2~4はまた、4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼNpgA遺伝子(配列番号:104、105)又は同じ活性を示す他の酵素のコード配列を含むことが可能である。
組合せ7:
組成:(a)配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28の群から選択されるアミノ酸配列を有するヒスピジンヒドロキシラーゼをコードする核酸;及び(b)配列番号:119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139の群から選択されるアミノ酸配列を有するPKSをコードする核酸。
当該組合せは、インビトロ又はインビボの発現系において、カフェイル-CoAから3-ヒドロキシヒスピジンを生成するために使用できる。
組合せ8:
組合せ7で規定した全成分、及び配列番号:80、82、84、86、88、90、92、94、96、98の群から選択されるアミノ酸配列を有するルシフェラーゼをコードする核酸が含まれる。当該組合せは、カフェイル-CoAの存在下、インビトロ又はインビボで生物発光を得るために使用できる。
組合せ9:
組合せ8で規定した全成分、及び配列番号:65、67、69、71、73、75の群から選択されるアミノ酸配列を有するカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼをコードする核酸が含まれる。
当該組合せは、生物発光細胞及びトランスジェニック有機体を生成するために使用できる。
組合せ10:
組成:(a)配列番号:119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139の群から選択されるアミノ酸配列を有するPKSをコードする核酸;及び(b)配列番号:141に示されるアミノ酸配列を有するシロイヌナズナ由来4-クマレート-CoAリガーゼ1をコードする核酸。
当該組合せは、インビトロ及びインビボの発現系においてコーヒー酸からヒスピジンを生成するために使用できる。
組合せ11:
組合せ10で規定した全成分、及びコーヒー酸生合成の酵素をコードする核酸(例えば、チロシン-アンモニア-リアーゼ並びに4-ヒドロキシフェニルアセテート3-モノオキシゲナーゼ-レダクターゼの成分HpaB及びHpaCをコードする核酸)が含まれる。
当該組合せは、インビトロ及びインビボの発現系において、チロシンからヒスピジンを生成するために使用できる。
実施例25.組換えタンパク質の組合せ
組合せ1:
組成:(a)配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28の群から選択されるアミノ酸配列を有するヒスピジンヒドロキシラーゼ;及び(b)配列番号:35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55の群から選択されるアミノ酸配列を有するヒスピジン-シンターゼ。
当該組合せは、下記構造式を有する3-アリールアクリル酸から選択される物質から真菌ルシフェリンを製造するために使用できる。式中、Rは(例えば、コーヒー酸から得た)アリール又はヘテロアリールである。
組合せ2:
組合せ1で規定した成分、及び配列番号:80、82、84、86、88、90、92、94、96、98の群から選択されるアミノ酸配列を有するルシフェラーゼが含まれる。
当該組合せは、下記構造式を有する3-アリールアクリル酸の試料存在下で検出するために使用できる。式中、Rは(例えば、コーヒー酸から得た)アリール又はヘテロアリールである。
組合せ3:
組成:(a)配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28の群から選択されるアミノ酸配列を有するヒスピジンヒドロキシラーゼ;(b)配列番号:119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139の群から選択されるアミノ酸配列を有するPKS;及び(c)配列番号:141に示すアミノ酸配列を有するシロイヌナズナ由来4-クマレート-CoAリガーゼ1。当該組合せは、コーヒー酸から真菌ルシフェリンを生成するために使用できる。
実施例25.キット
以下の例では、核酸は、発現カセット又はベクターに含まれ、宿主細胞での発現のための制御要素に操作的に架橋できる。あるいは核酸は、標的ベクターへの組み込みのための隣接配列から構成することも可能である。核酸は、標的制御要素を容易にクローニングすることを目的とした無プロモーターベクターに含ませることも可能である。
試薬キットNo.1は、本発明のヒスピジン-シンターゼの精製物を含み、コーヒー酸からヒスピジンを生成するために使用できる。このキットはまた、対応する3-アリールアクリル酸から、他の6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンを生成するためにも使用できる。当該他の6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンは下記構造式を有する。
当該3-アリールアクリル酸は下記構造式を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
試薬キットは反応緩衝液も含むことが可能である。例えば、0.5MのNa2SO4、0.1%のドデシルマルトシド(DDM)、1mMのNADPH、10mMのATP、1mMのCoA、1mMのマロニル-CoA、又は反応緩衝液調製用の成分を添加した0.2Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)。
試薬キットは脱イオン水も含むことが可能である。
試薬キットは使用説明書も含むことが可能である。
試薬キットNo.2は本発明のヒスピジンシンターゼの精製物、及び本発明のヒスピジンヒドロキシラーゼの精製物を含み、下記構造式を有する3-アリールアクリル酸から選択される物質から真菌ルシフェリンを生成するために使用できる。式中、Rは(例えば、コーヒー酸から得た)アリール又はヘテロアリールである。
試薬キットはまた、0.5MのNa2SO4、0.1%のドデシルマルトシド(DDM)、1mMのNADPH、10mMのATP、1mMのCoA、1mMのマロニル-CoA、又は反応緩衝液調製用の成分を添加した0.2Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)も含むことが可能である。
試薬キットは脱イオン水も含むことが可能である。
試薬キットは使用説明書も含むことが可能である。
試薬キットNo.3は、本発明のヒスピジンヒドロキシラーゼの精製物を含み、下記構造式を有する6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンから真菌ルシフェリンを生成するために使用できる。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
例えば、当該キットは、ヒスピジンから3-ヒドロキシヒスピジンを生成するために使用できる。
試薬キットは反応緩衝液も含むことが可能である。例えば、0.5MのNa2SO4、0.1%のドデシルマルトシド(DDM)、及び1mMのNADPHを添加した0.2Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)。
試薬キットは脱イオン水も含むことが可能である。
試薬キットは使用説明書も含むことが可能である。
試薬キットNo.4及びNo.5は、下記構造式を有する6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンである基質を有する精製ルシフェラーゼから成る点で、キットNo.2及びNo.3とは異なる。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
当該キットは、生物学的標本で、例えば植物エキス、真菌エキス、及び微生物中で、3-アリールアクリル酸及び/又は6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンを同定するために使用できる。当該3-アリールアクリル酸は下記構造式を有する。式中、Rは(例えば、コーヒー酸から得た)アリール又はヘテロアリールである。
当該6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンは下記構造式を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリール(例えば、ヒスピジン)である。
試薬キットはまた、反応させるための反応緩衝液(キット2及び3の説明を参照)、又は反応緩衝液調製のための成分も含むことが可能である。
試薬キットは脱イオン水も含むことが可能である。
試薬キットは使用説明書も含むことが可能である。
試薬キットはコーヒー酸も含むことが可能である。例えば、コーヒー酸又は水に溶解させるための残渣の水溶液。
試薬キットはヒスピジンも含むことが可能である。
キットの応用
試験標本中のコーヒー酸の存在を同定するためには、キュベット中の95μlの氷冷反応緩衝液に5μlの酵素混合物を加え、慎重に混合し、5μlの試験標本を加え、再度慎重に混合し、ルミノメーターに配置する必要がある。最大30℃で最大2分間、生物発光シグナルを統合させる。試験試料のアリコートの代わりに、5μlのコーヒー酸溶液又は5μlの水を加えて同じ条件下で対照測定を行う。試料が発する発光が水での試料から記録されたバックグラウンドシグナルを上回る場合は、コーヒー酸が標本中に検出量で存在していると言える。
感受性:当該キットは培地中のコーヒー酸濃度が1nMを超えることを判定できる。
保存条件:キットの全構成要素は-20℃以下の温度で保存すべきである。
試験標本中のヒスピジンの存在を同定するためには、キュベット中の95μlの氷冷反応緩衝液に5μlの酵素混合物を加え、慎重に混合し、5μlの試験標本を加え、再度慎重に混合し、ルミノメーターに配置する必要がある。最大30℃で最大2分間生物発光シグナルを統合させる。試験試料のアリコートの代わりに、5μlのヒスピジン溶液又は5μlの水を加えて同じ条件下で対照測定を行う。試料が発する発光が水での試料から記録されたバックグラウンドシグナルを上回る場合は、ヒスピジンが標本中に検出量で存在していると言える。
感受性:当該キットは培地中のヒスピジン濃度が100pMを超えることを判定できる。
保存条件:キットの全構成要素は-20℃以下の温度で保存すべきである。
試薬キットNo.6は本発明のヒスピチジンヒドロキシラーゼをコードする核酸を含む。例えば、配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28の群から選択されるアミノ酸配列を有するヒスピジンヒドロキシラーゼ。
試薬キットは核酸の使用説明書も含むことが可能である。
試薬キットは、凍結乾燥核酸を溶解するための、及び/又は核酸溶液を希釈するための脱イオン水もしくは緩衝液も含むことが可能である。
試薬キットは、核酸又はその断片を増幅するための、前記核酸の領域に相補的なプライマーも含むことが可能である。
試薬キットは、本発明の組換えヒスピジンヒドロキシラーゼを生成するため、又は細胞及び/もしくは細胞株、及び/もしくは有機体におけるヒスピジンヒドロキシラーゼ発現のために使用できる。細胞、細胞株及び/又は有機体における核酸発現の後、これらの細胞、細胞株及び/又は有機体は、6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンへの外因性又は内因性6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンの形質転換を触媒する能力を獲得する。当該6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンは下記構造式を有する。
当該6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンは下記構造式を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
これらの細胞、細胞株及び/又は有機体は、3-ヒドロキシヒスピジンへのヒスピジンの形質転換を触媒する能力を獲得する。
試薬キットNo.7は本発明のヒスピチジン-シンターゼをコードする核酸を含む。例えば、配列番号:35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55の群から選択されるアミノ酸配列を有するヒスピジン-シンターゼ。
試薬キットは核酸の使用説明書も含むことが可能である。
試薬キットは、凍結乾燥核酸を溶解するための、及び/又は核酸溶液を希釈するための脱イオン水もしくは緩衝液も含むことが可能である。
試薬キットは、核酸又はその断片を増幅するための、前記核酸の領域に相補的なプライマーも含むことが可能である。
試薬キットは、4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ、例えば配列番号:105に示されるアミノ酸配列を有する4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼをコードする核酸も含むことが可能である。
試薬キットは、本発明の組換えヒスピジンシンターゼを生成するため、又は細胞及び/もしくは細胞株、及び/もしくは有機体におけるヒスピジンヒドロキシラーゼ発現のために使用できる。
細胞、細胞株及び/又は有機体における核酸発現の後、これらの細胞、細胞株及び/又は有機体は、6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンへの3-アリールアクリル酸の形質転換を触媒する能力を獲得する。当該3-アリールアクリル酸は下記構造式を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
当該6-(2-アリールビニル)-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンは下記構造式を有する。
例えば、これらの細胞、細胞株及び/又は有機体は、ヒスピジンへのコーヒー酸の形質転換、及び/又は(E)-4-ヒドロキシ-6-スチリル-2H-ピラン-2-オンへの桂皮酸の変換、及び/又はビスノリアンゴニンへのパラクマル酸の形質転換、及び/又は(E)-4-ヒドロキシ-6-(2-(6-ヒドロキシナフタレン-2-イル)ビニル)-2H-ピラン-2-オンへのプロペン酸の(E)-3-(6-ヒドロキシナフタレン-2-イル)の形質転換、及び/又は(E)-6-(2-(1Н-インドール-3-イル)ビニル)-4-ヒドロキシ-2Н-ピラン-2-オンへのプロペノン酸の(E)-3-(1Н-インドール-3-イル)の形質転換を触媒する能力を獲得する。
試薬キットはチロシン-アンモニア-リアーゼをコードする核酸、並びに4-ヒドロキシフェニルアセテート3-モノオキシゲナーゼ-レダクターゼの成分HpaB及びHpaCも含むことが可能である。このような組成のキットは、インビトロ及びインビボの発現系においてチロシンからヒスピジンを生成するために使用できる。
試薬キットNo.8は本発明のヒスピチジン-シンターゼをコードする核酸、及び本発明のヒスピジンヒドロキシラーゼをコードする核酸を含む。例えば、配列番号:35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55の群から選択されるアミノ酸配列;及び配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28の群から選択されるアミノ酸配列を有するヒスピジンヒドロキシラーゼ。
試薬キットは核酸の使用説明書も含むことが可能である。
試薬キットは、凍結乾燥核酸を溶解するための、及び/又は核酸溶液を希釈するための脱イオン水もしくは緩衝液も含むことが可能である。
試薬キットは、核酸又はその断片を増幅するための、キットに含まれる核酸の領域に相補的なプライマーも含むことが可能である。
試薬キットは、4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ、例えば配列番号:105に示されるアミノ酸配列を有する4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼをコードする核酸も含むことが可能である。
試薬キットは、細胞代謝物からの3-アリールアクリル酸生合成の酵素をコードする核酸、例えばチロシン-アンモニア-リアーゼ並びに4-ヒドロキシフェニルアセテート3-モノオキシゲナーゼ-レダクターゼの成分HpaB及びHpaCをコードする核酸も含むことが可能である。
当該キットは、キット6及び7について記載された全ての目的に使用できる。当該キットは、細胞及び/又は細胞株、及び/又は生物におけるヒスピジンヒドロキシラーゼ及びヒスピジンシンターゼの発現に使用できる。細胞、細胞株及び/又は有機体における核酸発現の後、これらの細胞、細胞株及び/又は有機体は、対応する3-アリールアクリル酸から6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンを生成する能力を獲得する。当該6-(2-アリールビニル)-3,4-ジヒドロキシ-2H-ピラン-2-オンは下記構造式を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
当該3-アリールアクリル酸は下記構造式を有する。
当該キットは、細胞及び/又は細胞株及び/又は有機体において、チロシン-アンモニア-リアーゼ並びに4-ヒドロキシフェニルアセテート3-モノオキシゲナーゼ-レダクターゼの成分HpaB及びHpaCと共にヒスピジンヒドロキシラーゼ及びヒスピジンシンターゼを発現させるために使用できる。細胞、細胞株及び/又は有機体における核酸発現後、これらの細胞、細胞株及び/又は有機体は、チロシン及び細胞代謝物からヒスピジンを生成する能力を獲得する。
試薬キットNo.9は本発明のヒスピチジンヒドロキシラーゼをコードする核酸を含む。例えば、配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28の群から選択されるアミノ酸配列を有するヒスピジンヒドロキシラーゼ、及び発光を伴って真菌ルシフェリンの少なくとも1種を酸化できるルシフェラーゼをコードする核酸。例えば、配列番号:80、82、84、86、88、90、92、94、96、98の群から選択されるアミノ酸配列を有するルシフェラーゼを選択できる。
試薬キットは核酸の使用説明書も含むことが可能である。
試薬キットは、凍結乾燥核酸を溶解するための、及び/又は核酸溶液を希釈するための脱イオン水もしくは緩衝液も含むことが可能である。
試薬キットは、核酸又はその断片を増幅するための、キットに含まれる核酸の領域に相補的なプライマーも含むことが可能である。
当該キットは細胞及び/又は細胞株及び/又は有機体の標識に使用できる。ここでは、前記核酸の発現の結果として、前記細胞、細胞株及び/又は有機体は外因性又は内因性真菌プレルシフェリンの存在下で生物発光能を獲得する。例えば、前記細胞、細胞株及び/又は有機体はヒスピジンの存在下で生物発光能を獲得する。
当該キットは、標的遺伝子プロモーターの同時活性化の研究にも使用できる。
当該キットは、本発明のヒスピジン-シンターゼ、例えば配列番号:35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55の群から選択されるアミノ酸配列を有するヒスピジン-シンターゼも含むことが可能である。この場合、当該キットは、外因性又は内因性3-アリールアクリル酸の存在下で生物発光が可能な細胞、細胞株、及びトランスジェニック有機体を生成するために使用できる。3-アリールアクリル酸は下記構造式を有する。式中、Rはアリール又はヘテロアリールである。
例えば、以下の群:コーヒー酸もしくは桂皮酸、又はパラクマル酸、又はクマル酸、又はウンベル酸、又はシナピン酸、又はフェルラ酸から選択される3-アリールアクリル酸の存在下。特に、当該キットは、自律生物発光性トランスジェニック有機体(例えば、植物又は真菌)を生成するために使用できる。
当該キットは4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ、例えば、配列番号:105に示されるアミノ酸配列を有する4’-ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ等をコードする核酸も含むことが可能である。
当該キットは、細胞代謝物由来3-アリールアクリル酸生合成の酵素をコードする核酸も含むことが可能である。
当該キットは、本発明のカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼ、例えば配列番号:65、67、69、71、73、75の群から選択されるアミノ酸配列を有するカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼをコードする核酸も含むことがで可能である。
当該キットは、キット6及び8について記載された全ての目的に使用できる。
当該キットは、試験試料中のコーヒー酸を同定することを可能にする細胞株を生成するために使用できる。
試薬キットNo.10は、好適なプロモーター、例えばカリフラワーモザイクウイルス由来の35Sプロモーターの制御下で、ヒスピジンヒドロキシラーゼ、ヒスピジンシンターゼ、ルシフェラーゼ、ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼNpgA遺伝子及び抗生物質耐性遺伝子(例えばカナマイシン)もコード配列から成るプラスミドを担持しているAGL0株のアグロバクテリウム・ツメファシエンス細胞を含む。
試薬キットは双子葉植物である顕花植物細胞への発現カセットの組み込みの適切性を判定するためのプライマーも含むことが可能である。
試薬キットは自律生物発光性双子葉植物を生育するために使用できる。
試薬キットは使用説明書も含むことが可能である。
応用方法:この植物種に完全に適したプロトコルに従って、当該キットのアグロバクテリウム細胞を用いて双子葉植物の形質転換を行う。抗生物質培地(例えばカナマイシン)で植物の選択を行う。キットのプライマーを用いてPCRにより発現カセット完全長の組み込みの補正を行う。
保存条件:コンピテントアグロバクテリウム細胞は-70℃以下の温度で保存する必要がある。コーヒー酸溶液は-20℃以下の温度で保存できる。
試薬キットNo.11
キットは、PKSの精製物及び本発明のヒスピジンヒドロキシラーゼの精製物を含み、カフェイル-CoAから真菌ルシフェリンを生成するために使用できる。試薬キットは反応緩衝液:0.5MのNa2SO4、0.1%のドデシルマルトシド(DDM)、1mMのNADPH、10mMのATP、及び1mMのマロニル-CoAを添加した0.2Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)、又は反応緩衝液調製のための成分も含むことが可能である。試薬キットは脱イオン水も含むことが可能である。試薬キットは使用説明書も含むことが可能である。
試薬キットNo.12
キットはPKSをコードする核酸、及び本発明のヒスピチジンヒドロキシラーゼをコードする核酸を含む。例えば、配列番号:119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139の群から選択されるアミノ酸配列を有するPKS、及び配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28の群から選択されるアミノ酸配列を有するルシフェラーゼ。
試薬キットは核酸の使用説明書も含むことが可能である。試薬キットは、凍結乾燥核酸を溶解するための、及び/又は核酸溶液を希釈するための脱イオン水もしくは緩衝液も含むことが可能である。試薬キットは、核酸又はその断片を増幅するための、キットに含まれる核酸の領域に相補的なプライマーも含むことが可能である。
試薬キットは、クマレート-CoAリガーゼ、例えば配列番号:141に示されるアミノ酸配列を有するクマレート-CoAリガーゼをコードする核酸も含むことが可能である。
試薬キットは、細胞代謝物からのコーヒー酸生合成の酵素をコードする核酸、例えばチロシン-アンモニア-リアーゼ並びに4-ヒドロキシフェニルアセテート3-モノオキシゲナーゼ-レダクターゼの成分HpaB及びHpaCをコードする核酸も含むことが可能である。試薬キットはまた、本発明のカフェイルピルビン酸ヒドロラーゼをコードする核酸も含むことが可能である。
試薬キットは、細胞及び/又は細胞株、及び/又は有機体におけるヒスピジンヒドロキシラーゼ及びPKSの発現に使用できる。細胞、細胞株、及び/又は有機体で核酸発現させた後、これらの細胞、細胞株、及び/又は有機体はコーヒー酸から3-ヒドロキシヒスピジンを生成する能力を獲得する。当該キットは、細胞及び/又は細胞株及び/又は有機体において、クマレート-CoAリガーゼ、カフェオイルピルビン酸ヒドロラーゼ、及び/又はチロシン-アンモニア-リアーゼと4-ヒドロキシフェニルアセテート3-モノオキシゲナーゼ-レダクターゼの成分HpaB及びHpaCとの組合せと共に、ヒスピジンヒドロキシラーゼ及びPKSを発現させるために使用する。細胞、細胞株及び/又は有機体における核酸発現後、これらの細胞、細胞株及び/又は有機体は、チロシン及び細胞代謝物から3-ヒドロキシヒスピジンを生成する能力を獲得する。
当該キットはまた、発光を伴う3-ヒドロキシヒスピジンを酸化できるルシフェラーゼをコードする核酸も含むことが可能である。この場合、当該キットは細胞及び/又は細胞株及び/又は有機体の標識に使用できる。ここでは、前記核酸の発現の結果として、前記細胞、細胞株及び/又は有機体は外因性又は内因性ヒスピジン及び/又はカフェイル-CoA及び/又はコーヒー酸の存在下で生物発光能を獲得する。例えば、前記細胞、細胞株及び/又は有機体は自立生物発光能を獲得する。