JP7853338B2 - 金属部材の製造方法 - Google Patents

金属部材の製造方法

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本開示は、金属部材の製造方法に関する。
ワークの外面に向けてビームを照射することで、焼入れを行う技術が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の技術では、ワークにおける稜線状に延びる部分(以後、稜線部)に沿ってビームが照射され、これにより焼入れが行われる。
特開平10-176216号公報
しかしながら、ビームを照射した際、ワークの稜線部は、稜線部に隣接する周辺部に比べて熱の逃げ場が少ないため、高温になり易く、稜線部と周辺部とを均一に加熱するのが困難であった。特に、ビームの光源が稜線部の正面に位置する場合には、稜線部が過剰に加熱され易くなる。このため、稜線部では、溶け落ち等の損傷が生じる恐れがあると共に、周辺部を十分に加熱できなくなる恐れがある。
また、稜線部と交差するようにビームの照射領域を移動させる場合には、ビームの光源と、ビームの照射領域との間の距離が変動する可能性がある。このため、ビームの光源に近い部分が過剰に加熱されたり、ビームの光源に遠い部分が十分に加熱できなくなったりする恐れがある。
本開示の一態様では、焼入れの際、より均一に加熱が行われるように促すのが望ましい。
本開示の一態様は、金属部材の製造方法であって、焼入れのため、金属部材の外周面における稜線部に向けてビームを照射することを備える。稜線部は、稜線に沿って延びる部位であり、稜線部の稜線に直交する断面は、外周面が突出するように曲がった形状を有し、稜線は、断面における頂部に位置する。ビームが照射されている領域である照射領域は、稜線部を通過する照射経路上を移動する。照射経路は、稜線と交差する少なくとも1つの交差区間を有する。照射領域とビームの光源との間の距離が長くなるに従い、照射領域が移動する際の速度が遅くなる。
上記構成によれば、ビームの光源の付近の部分が過度に加熱されたり、ビームの光源から離れた部分の加熱が不足したりすることを抑制できる。このため、焼入れの際、より均一に加熱が行われるように促すことができる。
本開示の一態様は、金属部材の製造方法であって、焼入れのため、金属部材の外周面における稜線部に向けてビームを照射することを備える。稜線部は、稜線に沿って延びる部位であり、稜線部の稜線に直交する断面は、外周面が突出するように曲がった形状を有し、稜線は、断面における頂部に位置する。ビームが照射されている領域である照射領域は、稜線部を通過する照射経路上を移動する。照射経路は、稜線と交差する少なくとも1つの交差区間を有する。稜線と照射領域との間の距離が長くなるに従い、照射領域が移動する際の速度が遅くなる。
上記構成によれば、稜線の付近の部分が過度に加熱されたり、稜線から離れた部分の加熱が不足したりすることを抑制できる。このため、焼入れの際、より均一に加熱が行われるように促すことができる。
本開示の一態様では、照射経路は、少なくとも1つの第1交差区間と、少なくとも1つの第2交差区間とを有してもよい。第1交差区間は、交差区間である。第2交差区間は、交差区間である。第1及び第2交差区間は、照射経路の始点から終点に向かって交互に並んでもよい。第1交差区間は、稜線の右側に位置する端部である第1始端と、稜線の左側に位置する端部である第1終端とを有し、第2交差区間は、稜線の左側に位置する端部である第2始端と、稜線の右側に位置する端部である第2終端とを有してもよい。照射領域は、第1交差区間の第1始端から第1終端まで移動すると共に、第2交差区間の第2始端から第2終端まで移動してもよい。また、照射領域は、第1交差区間の第1終端に到達すると、該第1交差区間の終点側に隣接する第2交差区間の第2始端まで移動し、第2交差区間の第2終端に到達すると、該第2交差区間の終点側に隣接する第1交差区間の第1始端まで移動してもよい。
上記構成によれば、焼入れの際、より均一に加熱が行われるように促すことができる。
本開示の一態様では、照射領域が通過した領域を、通過領域としてもよい。照射領域が第1交差区間を通過することにより形成される通過領域と、該第1交差区間に隣接する第2交差区間を通過することにより形成される通過領域とが重なるように、隣接する第1交差区間と第2交差区間との間の距離と、照射領域の大きさとが調整されていてもよい。
上記構成によれば、焼入れの際、より確実に金属部材を加熱できる。
本開示の一態様では、ミラーによりビームの照射方向を変更することで、照射領域は、交差区間上を移動してもよい。
上記構成によれば、より好適に交差区間に沿ってビームを照射できる。
本開示の一態様では、稜線部は、金属部材における板状部に位置してもよい。交差区間は、板状部における有効幅を形成する部分を横断するように設けられてもよい。
上記構成によれば、板状部における有効幅を形成する部分が均一に加熱されるよう促すことができる。このため、損傷を抑制しつつ、焼入れを行うことができる。
本開示の一態様では、金属部材は、プレス成形された部材であり、車両のボディーに用いられてもよい。
上記構成によれば、焼入れの際、より均一に加熱が行われるように促すことができる。
第1実施形態の金属部材の斜視図である。 第1実施形態におけるレーザヘッドから金属部材へのビームの照射を、稜線の方向に視認したときの説明図である。 第1実施形態におけるレーザヘッドから金属部材へのビームの照射を、第1側面部側から視認したときの説明図である。 第1実施形態における照射領域及び照射経路の説明図である。 第1実施形態における照射領域、照射経路、及び通過領域の説明図である。 第2実施形態における照射領域及び照射経路の説明図である。 第2実施形態におけるレーザヘッドから金属部材へのビームの照射を、稜線の方向に視認したときの説明図である。
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.第1実施形態]
[(1)概要]
第1実施形態における金属部材1(図1参照)の製造方法は、ビームにより金属部材1の焼入れを行う工程を有している。金属部材1は、金属(一例として、鉄)により構成された板状の部材である。一例として、金属部材1を構成する材料は、高張力鋼であってもよく、より詳しくは、引張強度が590MPa以上である高張力鋼であってもよい。また、金属部材1は、一例として、車両の一部、より詳しくは、車両のボディーの一部として用いられる。無論、これに限らず、金属部材1は、車両に搭載されない部材であってもよい。
金属部材1は、延伸方向Eに沿って延びる溝状の部材であり、頂部10と、第1側面部11と、第1フランジ部11Aと、第2側面部12と、第2フランジ部12Aとを備える(図1,2参照)。
頂部10は、延伸方向Eに平面状に延びる細長い板状の部位であり、頂部10における幅方向の中央には、延伸方向Eに延びる段差部10Aが形成されている。
第1及び第2側面部11,12は、頂部10における幅方向の両端から突出する板状の部位であり、頂部10の幅方向に対面する。第1及び第2側面部11,12は、それぞれ、頂部10における延伸方向Eの第1端から第2端まで延びている。
第1及び第2フランジ部11A,12Aは、第1及び第2側面部11,12における頂部10の反対側の端部に設けられたフランジ状の部位である。第1及び第2フランジ部11A,12Aは、それぞれ、第1及び第2側面部11,12における延伸方向Eの第1端から第2端まで延びている。
つまり、第1及び第2側面部11,12は、溝状の部材である金属部材1の開口を形成し、該開口の両側には、第1及び第2フランジ部11A,12Aが配置される。そして、頂部10と第1及び第2側面部11,12とにおける該開口の反対側の面は、金属部材1の外周面13を形成する。
[(2)稜線部及び周辺部]
頂部10と第1側面部11との境界には、稜線20に沿って真っすぐに延びる稜線部2が形成されている(図1,2参照)。稜線20は、延伸方向Eに沿って真っ直ぐに延びており、稜線部2に含まれる。また、稜線部2及び稜線20は、金属部材1の第1端から第2端まで延びる。
稜線部2の稜線20に直交する断面(以後、単に断面)は、金属部材1の外周面13が突出するように曲がった形状となっている。第1実施形態では、一例として、稜線部2の断面全体が、湾曲した形状を有している(図2参照)。しかし、これに限らず、稜線部2の断面は、湾曲した部分と、平面状に延びる部分とを有していてもよいし、屈曲した形状を有していてもよい。そして、稜線20は、該断面の頂部に位置する。
また、稜線部2は、外周面13に沿った方向であって、延伸方向Eに直交する方向である稜線幅方向Wの長さが、金属部材1におけるカルマンの有効幅beと略一致する。有効幅beは、一例として、以下の式により算出される。
なお、Eは金属部材1を構成する金属のヤング率であり、kは拘束係数であり、νはポアソン比であり、σyは降伏点(MPa)であり、tは金属部材1の厚さ(mm)である。無論、稜線部2における稜線幅方向Wの長さは、有効幅beに限らず、適宜定められ得る。
また、頂部10における稜線部2に隣接する部分と、第1側面部11における稜線部2に隣接する部分とを、周辺部3とする。つまり、周辺部3は、稜線部2の左右両側に位置する2つの部分を有する。また、周辺部3の断面は平面状に広がる。また、周辺部3もまた、金属部材1における第1端から第2端まで延びる。
[(3)金属部材の製造方法]
金属部材1の製造方法は、プレス成形により金属部材1を形成する工程と、金属部材1の焼入れを行う焼入れ工程(図2~5参照)とを有する。なお、金属部材1は、プレス成形以外の方法で形成されてもよい。
焼入れ工程では、金属部材1の外周面13における稜線部2及び周辺部3が位置する部分に設けられる焼入れ領域4に向けてビームBが照射され、焼入れ領域4が、一例として約900℃まで加熱される。
なお、焼入れ領域4の位置、形状、及び大きさは、適宜定められる。一例として、焼入れ領域4は、稜線部2と、稜線部2の左右両側の周辺部3とまで広がる。しかし、これに限らず、焼入れ領域4は、稜線部2に設けられてもよいし、稜線部2と、片側の周辺部3とに設けられてもよい。また、焼入れ領域4は、稜線20の方向に帯状に延びており、略一定の幅を有し、幅方向の略中央に稜線20が位置する。また、焼入れ領域4における稜線幅方向Wの両端は、それぞれ、稜線20に沿って直線状に延びる。また、焼入れ領域4へのビームBの照射が終了した後、さらに、外周面13における焼入れ領域4以外の領域に対し、ビームが照射されてもよい。
そして、ビームによる金属部材1の加熱が終了した後、短時間のうちに、金属部材1が、一例として約200℃まで急速に冷却される。これにより、金属部材1の焼入れ領域4にてマルテンサイト変態が生じ、焼入れ領域4の硬度が向上する。
[(4)照射経路]
焼入れ工程では、焼入れ領域4に設定された照射経路5に沿ってビームBが照射される(図4参照)。照射経路5は、焼入れ領域4の全域に配置され、複数の第1交差区間51と、複数の第2交差区間52と、複数の接続区間53とを有する。
第1及び第2交差区間51,52(以後、単に交差区間とも記載)は、稜線20と交差する区間であり、始点5Sから終点5Eまで交互に並ぶ。一例として、各交差区間は、稜線20に略90°で交差するように直線状に延びる。また、各交差区間は略同一の長さを有し、交差区間の各端部は、稜線部2の左右両側の周辺部3に位置すると共に、焼入れ領域4の端部の付近に位置する。つまり、各交差区間は、有効幅beを形成する部分を横断し、交差区間の両端は、有効幅beを形成する部分とは異なる部分に位置する。また、各交差区間は、照射経路5の始点5Sから終点5Eに向かって、略一定の間隔(以後、ピッチP)を空けて、稜線20に沿って略平行に並ぶ。
しかし、これに限らず、各交差区間と稜線20とが交差する角度、各交差区間の長さ、各交差区間の形状、各交差区間の位置、又はピッチPは、例えば、金属部材1(より詳しくは、稜線部2)の形状や、焼入れ領域4の形状に応じて適宜定められ得る。また、照射経路5は、1つの第1交差区間51と1つの第2交差区間52とを有していてもよい。また、各交差区間の端部は、周辺部3ではなく、稜線部2における稜線20の右側又は左側に位置していてもよい。
そして、第1交差区間51は、稜線20の右側に位置する端部である第1始端51Sと、稜線20の左側に位置する端部である第1終端51Eとを有する。また、第2交差区間52は、稜線20の左側に位置する端部である第2始端52Sと、稜線20の右側に位置する端部である第2終端52Eとを有する。
また、稜線20の左側では、第1交差区間51の第1終端51Eと、該第1交差区間51の終点5E側に隣接する第2交差区間52の第2始端52Sとが、接続区間53により接続される。また、稜線20の右側では、第2交差区間52の第2終端52Eと、該第2交差区間52の終点5E側に隣接する第1交差区間51の第1始端51Sとが、接続区間53により接続される。
また、一例として、照射経路5の始点5Sには、第1交差区間51の第1始端51Sが位置する。しかし、これに限らず、始点5Sには、第2交差区間52の第2始端52Sが位置していてもよい。また、一例として、照射経路5の終点5Eには、第2交差区間52の第2終端52Eが位置する。しかし、これに限らず、終点5Eには、第1交差区間51の第1終端51Eが位置していてもよい。
[(5)ビームの照射]
焼入れ工程では、レーザー装置のレーザヘッド6から、焼入れ領域4の照射経路5に向けてビームBが照射される(図2,3参照)。そして、ビームBが照射されている領域である照射領域50が、照射経路5の始点5Sから終点5Eまで照射経路5上を移動するように、ビームBの照射方向と、ビームBの光源と金属部材1との間の相対位置とが調整される(図4参照)。なお、一例として、照射領域50は円形となっており、照射領域50の中心が照射経路5上を通過する。しかし、これに限らず、照射領域50の形状は、適宜定められる。
具体的には、照射領域50が交差区間上を移動する際には、レーザヘッド6内に設けられたガルバノミラー60の向きを調整してビームBの照射方向が変更される。これにより、照射領域50は、第1交差区間51上を第1始端51Sから第1終端51Eまで移動すると共に、第2交差区間52上を第2始端52Sから第2終端52Eまで移動する。
また、照射領域50が接続区間53上を移動する際には、レーザヘッド6及び/又は金属部材1を稜線20の方向に移動させる。これにより、照射領域50は、第1交差区間51の第1終端51Eから第2交差区間52の第2始端52Sまで接続区間53上を移動すると共に、第2交差区間52の第2終端52Eから第1交差区間51の第1始端51Sまで接続区間53上を移動する。
無論、これに限らず、例えば、ガルバノヘッドとして構成されたレーザヘッド6及び/又は金属部材1を移動させることで、照射領域50が交差区間上を移動するようにしてもよい。また、例えば、ガルバノミラー60によりビームBの照射方向を変更することで、照射領域50が接続区間53上を移動するようにしてもよい。
また、照射領域50が第1交差区間51を通過することで形成される通過領域54と、照射領域50が第2交差区間52を通過することで形成される通過領域54とが重なるように、ピッチP及び照射領域50の大きさ(一例として、照射領域50の径)が設定される(図5参照)。なお、通過領域54とは、照射領域50が通過した領域を意味する。一例として、ピッチPは、0.05以上0.15mm以下であってもよく、照射領域50の直径は、約5mm以上であってもよい。
[(6)照射領域の移動速度]
レーザヘッド6は、一例として、ビームBの光源が金属部材1の稜線20の正面に位置するように配置される(図2参照)。より詳しくは、レーザヘッド6は、一例として、ビームBの光源が稜線20に最も接近するように配置されてもよい。
また、稜線距離D0(図4参照)が長くなるに従い、照射領域50が照射経路5上を移動する際の移動速度が遅くなるよう、ビームBの照射方向が変化する速度と、レーザヘッド6及び/又は金属部材1の移動速度とが調整される。なお、稜線距離D0とは、稜線20と照射領域50との距離を意味する。
また、光源距離D1(図2,3参照)が長くなるに従い、照射領域50が照射経路5上を移動する際の移動速度が遅くなるよう、ビームBの照射方向が変化する速度と、レーザヘッド6及び/又は金属部材1の移動速度とが調整される。なお、光源距離D1とは、レーザヘッド6におけるビームBの光源と照射領域50との距離を意味する。
第1実施形態では、一例として、2段階の移動速度が設けられる。すなわち、焼入れ領域4には、高速領域40と、2つの低速領域41とが設けられる。高速領域40は、稜線20を含み、稜線20に沿って焼入れ領域4の第1端から第2端まで延び、略一定の幅を有し、幅方向の略中央に稜線20が位置する。また、各低速領域41は、高速領域40の左右両側に位置し、焼入れ領域4の第1端から第2端まで延びる。また、各低速領域41は、焼入れ領域4における交差区間の方向の端部まで広がり、各低速領域41の幅は、略同一となっている。
つまり、照射領域50が低速領域41に位置する照射経路5を移動する際には、高速領域40に位置する照射経路5を移動するときよりも、照射領域50と稜線20及びビームBの光源との間の距離が長くなる。そして、照射領域50が高速領域40を通過する際の移動速度は、照射領域50が低速領域41を通過する際の移動速度よりも速い。一例として、高速領域40での照射領域50の移動速度は、8000mm/sであり、低速領域41での照射領域50の移動速度は、4000mm/sである。
無論、これに限らず、例えば、N(3以上の整数)段階の移動速度を設けると共に、同様にして、稜線20を含む高速領域を設けると共に、高速領域の両側にN-1個の低速領域を設けてもよい。そして、照射領域50が各低速領域を通過する際の移動速度を予め定め、ビームBの光源又は稜線20(換言すれば、高速領域)から離れている低速領域ほど、照射領域50の移動速度が遅くなるようにしてもよい。
また、例えば、高速領域及び低速領域を設けることなく、光源距離D1が大きくなるに従い、徐々に照射領域50の移動速度を遅くしてもよいし、稜線距離D0が大きくなるに従い、徐々に照射領域50の移動速度を遅くしてもよい。
[2.第2実施形態]
第2実施形態における金属部材1の製造方法は、照射領域50の形状において第1実施形態と相違する(図6参照)。以下では、第2実施形態の金属部材1の製造方法における、第1実施形態との相違点について説明する。
第2実施形態の照射領域50は、稜線20の方向に延びる細長い形状を有している。一例として、照射領域50は、略楕円形となっているが、これに限らず、例えば、略長方形であっても良い。また、照射領域50は、焼入れ領域4における稜線20の方向の第1端から第2端まで延びる。
また、第2実施形態においても、焼入れ領域4には照射経路5が設定されるが、第2実施形態の照射経路5は、1本の第1交差区間51のみから構成される。該第1交差区間51は、焼入れ領域4における稜線20の方向の略中央に設けられ、第1実施形態と同様に構成される。すなわち、第1交差区間51は、一例として、稜線20に略90°で交差するように直線状に延び、照射経路5の始点5S及び終点5Eに相当する第1始端51S及び第1終端51Eは、焼入れ領域4の端部の付近に位置する。
そして、焼入れ工程では、第1交差区間51の第1始端51Sから第1終端51Eまで、照射領域50が照射経路5上を移動するようにすることで、焼入れ領域4の全域にビームBが照射される。このとき、第1実施形態と同様、稜線距離D0が長くなるに従い、照射領域50の移動速度が遅くなると共に、光源距離D1が長くなるに従い、照射領域50の移動速度が遅くなる。具体的には、例えば、第1実施形態と同様にして高速領域と低速領域とを設け、各領域に応じた移動速度で照射領域50を移動させてもよい。
また、照射領域50が照射経路5上を移動する際、照射領域50は、第1交差区間51と直交する向きに延びた状態となる。また、一例として、レーザヘッド6及び/又は金属部材1を移動させることで、照射領域50を移動させてもよい(図7参照)。無論、これに限らず、例えば、ガルバノミラー60によりビームBの照射方向を変更することで、照射領域50を移動させてもよい。
なお、照射経路5は複数(一例として数本)の交差区間と、第1実施形態と同様の接続区間とを有していてもよい。そして、第1実施形態と同様にして、照射領域50が照射経路5上を移動するようにビームBが照射されてもよい。この場合、照射領域50が交差区間を通過する際には、照射領域50は交差区間と直交する向きに延びた状態となり、照射領域50が接続区間を通過する際には、照射領域50は接続区間の方向に延びた状態となる。
[3.効果]
(1)第1及び第2実施形態によれば、光源距離D1が長くなるに従い、照射領域50の移動速度が遅くなる。このため、ビームBの光源の付近の部分が過度に加熱されたり、ビームBの光源から離れた部分の加熱が不足したりすることを抑制できる。また、稜線距離D1が長くなるに従い、照射領域50の移動速度が遅くなる。このため、稜線20の付近の部分が過度に加熱されたり、稜線20から離れた部分の加熱が不足したりすることを抑制できる。したがって、焼入れの際、より均一に加熱が行われるように促すことができ、これにより、金属部材1に溶け落ち等の損傷が生じるのを抑制できる。
また、引張強度が1470MPa以上の超高張力鋼は、プレス成形が困難になる。これに対し、第1及び第2実施形態によれば、部分的な焼入れを好適に行うことができる。このため、引張強度が低い高張力鋼のプレス成形により部材を形成し、その後、第1及び第2実施形態の焼入れを行うことで、該部材の硬度を適宜向上させることができる。したがって、超高張力鋼を用いること無く、超高張力鋼を用いた部材に類似した特性を有する部材を製造でき、コストを低減できる。
(2)また、第1実施形態によれば、照射経路5は、稜線20と交差する複数の交差区間51,52を有する。このため、焼入れの際、より均一に加熱が行われるように促すことができる。
(3)また、第1実施形態によれば、第1,第2交差区間51,52の各々に形成された通過領域54が重なるよう、ピッチP及び照射領域50の大きさが調整される。このため、焼入れ領域4をより確実に加熱できる。
(4)また、ガルバノミラー60によりビームBの照射方向を変更することで、照射領域50が交差区間51,52上を移動する。これにより、より好適に交差区間51,52に沿ってビームBを照射できる。
(5)また、各交差区間51,52は、有効幅beを形成する部分を横断する。これにより、有効幅beを形成する部分が均一に加熱されるよう促すことができるため、損傷を抑制しつつ、焼入れを行うことができる。
[4.他の実施形態]
(1)第1及び第2実施形態の金属部材1は、その全体が板状部から構成されている。しかし、これに限らず、板状部が部分的に設けられた金属部材の製造方法において、第1及び第2実施形態と同様にして、該板状部における稜線部及び周辺部を対象として焼入れ工程が行われてもよい。また、金属部材における板状ではない部分に形成された稜線部及び周辺部に対し、第1及び第2実施形態と同様の焼入れ工程が行われてもよい。
(2)第1及び第2実施形態では、稜線部2及び稜線20は直線状に延びている。しかし、これに限らず、曲がった形状の稜線部2及び稜線20に設けられた焼入れ領域に対し同様にしてビームBを照射することで、焼入れが行われてもよい。
具体的には、第1実施形態のように複数の交差区間を有する照射経路を設定する場合には、第1実施形態と同様、各交差区間を略平行に並べることで、焼入れ領域の全域に照射経路を配置してもよい。この場合、各交差区間と稜線とが交差する角度は、略90°に限らず、稜線の形状に応じて適宜定められる。無論、第1実施形態とは異なり、各交差区間の向きを稜線の形状に応じて個別に定めることで、焼入れ領域の全域に照射経路を配置してもよい。この場合には、全ての交差区間が略平行になるとは限らず、また、各交差区間と稜線とが交差する角度は、略90°に限らず、適宜定められ得る。
また、第2実施形態のように、細長い形状の照射領域を有するビームBを照射する場合においても、稜線20の形状に応じて照射領域及び交差区間の形状を定めることで、焼入れ領域の全域にビームBが照射されるようにしてもよい。
(3)第1及び第2実施形態では、レーザヘッド6は、ビームBの光源が金属部材1の稜線20の正面に位置するように配置される。しかし、これに限らず、レーザヘッド6の位置は、適宜定められ得る。そして、ビームBの光源が金属部材1の稜線20の正面以外に位置する場合であっても、稜線距離D0が長くなるに従い、照射領域50の移動速度を遅くしてもよいし、光源距離D1が長くなるに従い、照射領域50の移動速度を遅くしてもよい。
(4)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
[5.本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
金属部材の製造方法であって、
焼入れのため、前記金属部材の外周面における稜線部に向けてビームを照射することを備え、
前記稜線部は、稜線に沿って延びる部位であり、前記稜線部の前記稜線に直交する断面は、前記外周面が突出するように曲がった形状を有し、前記稜線は、前記断面における頂部に位置し、
前記ビームが照射されている領域である照射領域は、前記稜線部を通過する照射経路上を移動し、
前記照射経路は、前記稜線と交差する少なくとも1つの交差区間を有し、
前記照射領域と前記ビームの光源との間の距離が長くなるに従い、前記照射領域が移動する際の速度が遅くなる
金属部材の製造方法。
[項目2]
金属部材の製造方法であって、
焼入れのため、前記金属部材の外周面における稜線部に向けてビームを照射することを備え、
前記稜線部は、稜線に沿って延びる部位であり、前記稜線部の前記稜線に直交する断面は、前記外周面が突出するように曲がった形状を有し、前記稜線は、前記断面における頂部に位置し、
前記ビームが照射されている領域である照射領域は、前記稜線部を通過する照射経路上を移動し、
前記照射経路は、前記稜線と交差する少なくとも1つの交差区間を有し、
前記稜線と前記照射領域との間の距離が長くなるに従い、前記照射領域が移動する際の速度が遅くなる
金属部材の製造方法。
[項目3]
項目1又は項目2に記載の金属部材の製造方法であって、
前記照射経路は、前記交差区間である少なくとも1つの第1交差区間と、前記交差区間である少なくとも1つの第2交差区間とを有し、
前記第1及び第2交差区間は、前記照射経路の始点から終点に向かって交互に並び、
前記第1交差区間は、前記稜線の右側に位置する端部である第1始端と、前記稜線の左側に位置する端部である第1終端とを有し、前記第2交差区間は、前記稜線の左側に位置する端部である第2始端と、前記稜線の右側に位置する端部である第2終端とを有し、
前記照射領域は、前記第1交差区間の前記第1始端から前記第1終端まで移動すると共に、前記第2交差区間の前記第2始端から前記第2終端まで移動し、前記第1交差区間の前記第1終端に到達すると、該第1交差区間の前記終点側に隣接する前記第2交差区間の前記第2始端まで移動し、前記第2交差区間の前記第2終端に到達すると、該第2交差区間の前記終点側に隣接する前記第1交差区間の前記第1始端まで移動する
金属部材の製造方法。
[項目4]
項目3に記載の金属部材の製造方法であって、
前記照射領域が通過した領域を、通過領域とし、
前記照射領域が前記第1交差区間を通過することにより形成される前記通過領域と、該第1交差区間に隣接する前記第2交差区間を通過することにより形成される前記通過領域とが重なるように、隣接する前記第1交差区間と前記第2交差区間との間の距離と、前記照射領域の大きさとが調整されている
金属部材の製造方法。
[項目5]
項目1から項目4のうちのいずれかに記載の金属部材の製造方法であって、
ミラーにより前記ビームの照射方向を変更することで、前記照射領域は、前記交差区間上を移動する
金属部材の製造方法。
[項目6]
項目1から項目5のうちのいずれかに記載の金属部材の製造方法であって、
前記稜線部は、前記金属部材における板状部に位置し、
前記交差区間は、前記板状部における有効幅を形成する部分を横断するように設けられる
金属部材の製造方法。
[項目7]
項目1から項目6のうちのいずれかに記載の金属部材の製造方法であって、
前記金属部材は、プレス成形された部材であり、車両のボディーに用いられる
金属部材の製造方法。
B…ビーム、W…稜線幅方向、E…延伸方向、P…ピッチ、D0…稜線距離、D1…光源距離、1…金属部材、10…頂部、11…第1側面部、13…外周面、2…稜線部、20…稜線、3…周辺部、4…焼入れ領域、40…高速領域、41…低速領域、5…照射経路、5S…始点、5E…終点、50…照射領域、51…第1交差区間、51S…第1始端、51E…第1終端、52…第2交差区間、52S…第2始端、52E…第2終端、53…接続区間、54…通過領域、6…レーザヘッド、60…ガルバノミラー。

Claims (7)

  1. 金属部材の製造方法であって、
    焼入れのため、前記金属部材の外周面における稜線部に向けてビームを照射することを備え、
    前記稜線部は、稜線に沿って延びる部位であり、前記稜線部の前記稜線に直交する断面は、前記外周面が突出するように曲がった形状を有し、前記稜線は、前記断面における頂部に位置し、
    前記ビームが照射されている領域である照射領域は、前記稜線部を通過する照射経路上を移動し、
    前記照射経路は、前記稜線と交差する少なくとも1つの交差区間を有し、
    前記照射領域と前記ビームの光源との間の距離が長くなるに従い、前記照射領域が移動する際の速度が遅くなる
    金属部材の製造方法。
  2. 金属部材の製造方法であって、
    焼入れのため、前記金属部材の外周面における稜線部に向けてビームを照射することを備え、
    前記稜線部は、稜線に沿って延びる部位であり、前記稜線部の前記稜線に直交する断面は、前記外周面が突出するように曲がった形状を有し、前記稜線は、前記断面における頂部に位置し、
    前記ビームが照射されている領域である照射領域は、前記稜線部を通過する照射経路上を移動し、
    前記照射経路は、前記稜線と交差する少なくとも1つの交差区間を有し、
    前記稜線と前記照射領域との間の距離が長くなるに従い、前記照射領域が移動する際の速度が遅くなる
    金属部材の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の金属部材の製造方法であって、
    前記照射経路は、前記交差区間である少なくとも1つの第1交差区間と、前記交差区間である少なくとも1つの第2交差区間とを有し、
    前記第1及び第2交差区間は、前記照射経路の始点から終点に向かって交互に並び、
    前記第1交差区間は、前記稜線の右側に位置する端部である第1始端と、前記稜線の左側に位置する端部である第1終端とを有し、前記第2交差区間は、前記稜線の左側に位置する端部である第2始端と、前記稜線の右側に位置する端部である第2終端とを有し、
    前記照射領域は、前記第1交差区間の前記第1始端から前記第1終端まで移動すると共に、前記第2交差区間の前記第2始端から前記第2終端まで移動し、前記第1交差区間の前記第1終端に到達すると、該第1交差区間の前記終点側に隣接する前記第2交差区間の前記第2始端まで移動し、前記第2交差区間の前記第2終端に到達すると、該第2交差区間の前記終点側に隣接する前記第1交差区間の前記第1始端まで移動する
    金属部材の製造方法。
  4. 請求項3に記載の金属部材の製造方法であって、
    前記照射領域が通過した領域を、通過領域とし、
    前記照射領域が前記第1交差区間を通過することにより形成される前記通過領域と、該第1交差区間に隣接する前記第2交差区間を通過することにより形成される前記通過領域とが重なるように、隣接する前記第1交差区間と前記第2交差区間との間の距離と、前記照射領域の大きさとが調整されている
    金属部材の製造方法。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の金属部材の製造方法であって、
    ミラーにより前記ビームの照射方向を変更することで、前記照射領域は、前記交差区間上を移動する
    金属部材の製造方法。
  6. 請求項1又は請求項2に記載の金属部材の製造方法であって、
    前記稜線部は、前記金属部材における板状部に位置し、
    前記交差区間は、前記板状部における有効幅を形成する部分を横断するように設けられる
    金属部材の製造方法。
  7. 請求項1又は請求項2に記載の金属部材の製造方法であって、
    前記金属部材は、プレス成形された部材であり、車両のボディーに用いられる
    金属部材の製造方法。
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