JPH0142297B2 - - Google Patents
Info
- Publication number
- JPH0142297B2 JPH0142297B2 JP56137709A JP13770981A JPH0142297B2 JP H0142297 B2 JPH0142297 B2 JP H0142297B2 JP 56137709 A JP56137709 A JP 56137709A JP 13770981 A JP13770981 A JP 13770981A JP H0142297 B2 JPH0142297 B2 JP H0142297B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- solid material
- water
- graft
- thermoplastic resin
- ionizing radiation
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired
Links
Landscapes
- Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Graft Or Block Polymers (AREA)
- Other Resins Obtained By Reactions Not Involving Carbon-To-Carbon Unsaturated Bonds (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
本発明は潤滑特性のすぐれたグラフト共重合物
の製造方法に関し、さらに詳しくは高分子ヒドロ
ゲルを用いた人工関節、人工血管等の人造器官素
材、外科手術用縫合糸、湿布帯等の外科医療用素
材あるいは機械の軸受等の摺動部材などとして特
にすぐれた水性潤滑特性を有するグラフト共重合
物の効率のよい製造方法に関する。 最近、人造器官素材あるいは外科医療用素材と
して様々な高分子化合物を用いることが提案され
ている。例えば、ポリビニルアルコールとビニル
モノマーのラジカル重合物を医療用素材として用
いること(特開昭49−48190号公報)、抗血栓性人
造器官材料として高分子材料にスチレンをグラフ
ト共重合させたもの(特公昭55−4414号公報)や
高分子材料に酢酸ビニルをグラフト共重合させた
後、ケン化してポリビニルアルコールに変化させ
たもの(特公昭55−4415号公報)、あるいは高分
子材料にアクリル酸エステルをグラフト共重合さ
せたもの(特公昭50−32554号公報)などを用い
ることが提案されている。また単量体をグラフト
重合したポリビニルアルコールの含水ゲルに作用
物質を含浸させて持続性の改善された湿布薬等の
活性体を製造することも知られている(特開昭52
−56148号公報)。 しかしながら、これらはいずれもモノマーを原
料として用い、活性線グラフト反応させたもので
あるため、最終生成物であるグラフト共重合物中
に毒性を有する未反応モノマーが含有されてお
り、この未反応モノマーを取除くのに多大な労力
を要し、生産性が極めて低いという欠点があつ
た。 さらに、軸受等の機械部材の摺動部に樹脂をバ
インダーとして潤滑性粒子を保持させた潤滑部品
が研究されている(特開昭55−145797号公報、特
開昭55−106230号公報)が、これらは水性潤滑特
性において未だ十分満足しうるものではない。 そのほか、活性線を用いたグラフト共重合法と
しては、特開昭50−32287号公報、特公昭47−
45592号公報、特公昭45−25107号公報に開示され
た方法などが知られている。しかし、これらの方
法は、活性線放射とラジカル熱重合を組合せたも
のであつて、加熱処理や後処理に問題があり、特
に反応物でのモノマーの取扱いが煩雑でりあり、
作業性ならびに生産性に問題があつた。 そこで本発明者らは、上記従来技術の欠点を克
服し、人造器官素材、外科医療用素材として、あ
るいは軸受等の摺動部材としてすぐれた材料の効
率のよい製造方法を開発すべく鋭意研究を重ね
た。その結果、特定の熱可塑性樹脂に水溶性高分
子材料をグラフト共重合させることにより目的と
する材料を製造するにあたつて熱可塑性樹脂に、
予め前処理としての電離性放射線照射を行なうと
共に、該熱可塑性樹脂を水溶性高分子を溶解した
溶液に浸漬して電離性放射線照射によりグラフト
共重合を行なうことによつて効率よく製造できる
ことを見出した。本発明はかかる知見に基いて完
成したものである。 すなわち本発明は、架橋重合可能でかつ非水溶
性の熱可塑性樹脂よりなる固体材料の少なくとも
一部に、前処理としての電離性放射線照射を行な
い、次いで該固体材料をポリビニルアルコールを
溶解した溶液中に浸漬し、さらに浸漬したまま電
離性放射線照射を行なつて前記ポリビニルアルコ
ールを前記固体材料の表面にグラフト共重合させ
ることを特徴とする潤滑特性のすぐれたグラフト
共重合物の製造方法を提供するものである。 本発明に用いる固体材料は、架橋重合可能でか
つ非水溶性の熱可塑性樹脂であるが、このような
ものとしては各種のものが考えられるが、例えば
ポリスチレン、ポリオレフイン(ポリエチレン、
ポリプロピレン等)、ポリアミド、ポリ塩化ビニ
ル、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、
ポリアクリレート、ポリメタアクリレートあるい
はこれらの混合物などをあげることができる。 本発明の方法で得られるグラフト共重合物は、
上述の熱可塑性樹脂よりなる固体材料の表面の一
部乃至全部に、上述の水溶性高分子であるポリビ
ニルアルコールをグラフト共重合させてなるもの
である。ここで熱可塑性樹脂よりなる固体材料の
形状は様々なものがあり、使用目的に応じて板
状、管状、繊維状などとすることができる。ま
た、この固体材料にグラフト共重合した水溶性高
分子は、重合によつて非水溶性のものとなり、固
体材料の表面を被覆することとなるが、この水溶
性高分子がグラフト共重合して形成したグラフト
物の膜厚は、通常0.1〜500μmが好ましい。さら
に本発明のグラフト共重合物における上記グラフ
ト物によるグラフト率は、特に制限はないが、通
常は0.1〜200%の範囲で適宜選定すればよい。 本発明の方法によれば、まず上述の熱可塑性樹
脂よりなる固体材料の表面の一部乃至全部、つま
りグラフト共重合させたい部分に、前処理として
電離性放射線照射を行なう。この電離性放射線照
射にあたつては、固体材料を、活性線を照射した
際に生成するラジカルを安定的に維持できる雰囲
気下に設置することが好ましい。具体的には、真
空中が最も好ましいが、窒素ガス雰囲気下、炭酸
ガス雰囲気下など、さらには空気中、酸素ガス、
オゾンガス雰囲気下でもよい。また温度は常温で
よいが、活性線の照射によつて発熱する場合に
は、氷等にて冷却しながら照射を行なうことが好
ましい。なお、電離性放射線としてはα線、β
線、γ線、X線あるいは加速電子線などがある
が、特に、高エネルギー放射線、例えばコバルト
60からのγ線や電子線が好適である。また電離性
放射線の照射量は、適宜定めればよいが、一般的
には上記固体材料に水溶性高分子がグラフト共重
合して、架橋ゲルとしての形状を保つのに十分な
量であればよく、照射すべき固体材料の種類によ
つて異なるが、2〜60メガラド程度が好ましい。 本発明の方法では、上記固体材料を上述の如く
前処理した後、上記した水溶性高分子を溶解した
溶液中に浸漬する。ここで溶液の溶剤としては、
上記水溶性高分子を溶解しうるものであると共
に、この水溶性高分子を固体材料にグラフト共重
合させて得られるグラフト共重合物から水洗によ
つて容易に除去できるものが好ましい。通常は水
を用いればよいが、場合によつては水溶性高分子
を溶解する有機溶剤および無機塩の水溶液あるい
はこれらの混合溶剤もしくはそれらと水との混合
溶剤などを用いることもできる。また、この溶液
中の水溶性高分子の濃度は、電離性放射線照射に
よつて分解しない範囲がよく、通常は1%以上、
好ましくは5〜20%とすべきである。なお、この
水溶性高分子としては、前述したようにポリビニ
ルアルコールを用いる。このポリビニルアルコー
ルは、グラフト共重合反応を阻害しないものであ
ればどのようなものでもよく、完全ケン化物、部
分ケン化物のいずれでもよいが、一般にはケン化
度の高いものの方が好ましい。また、ポリビニル
アルコールの分子量や重合度についても特に制限
はないが、分子量の大きいものほど、緻密な膜が
できて好ましく、重合度はグラフト共重合の反応
効率の点から平均重合度50以上のものが好まし
い。 続いて本発明の方法では、固体材料を水溶性高
分子を溶解した溶液中に浸漬した状態で電離性放
射線照射を行なう。この際に用いる電離性放射線
は前述したものと同じものでよい。また照射線量
は、各種条件によつて異なるが、通常は2〜40メ
ガラドで十分である。 本発明の方法によれば、前処理として予め固体
材料に電離性放射線照射を行なつているため、該
固体材料を溶液中で水溶性高分子とグラフト共重
合させるにあたつて、共重合反応が速やかにかつ
所望する部分に正確に進行し、目的とするグラフ
ト共重合物を効率よく製造することができる。 なお、本発明の方法にしたがつて製造したグラ
フト共重合物を、溶液中から引上げて水洗すれ
ば、グラフト共重合物表面および内部に付着して
いる未反応の水溶性高分子および溶剤は完全に洗
い落とされ、その後室温にて乾燥すれば不純物の
ないすぐれた物性のグラフト共重合物となる。 以上の如く、本発明の方法は、未反応モノマー
の複雑な除去工程を必要とせず、極めて製造効率
の高いものであると同時に、得られるグラフト共
重合物は、従来にない高い摩擦特性ならびに耐久
性の大きい摩擦特性を有し、しかも未反応モノマ
ー等の毒物を含有しないため、人造器官素材、外
科医療用素材等の高度の耐久性を要求される各種
医療用素材に有効に用いられる。また、このグラ
フト共重合物は、水性潤滑特性にもすぐれている
ため、高度の耐久性を要求される軸受等の機械用
摺動部材として用いることができ、しかもこの場
合潤滑剤として、水あるいは水とグリコールとの
混合物でよく、従来のように、引火性等の危険が
あり、かつ高価な潤滑油を必要とせず、極めて安
全でかつ作業性の高いものである。 従つて本発明のグラフト共重合物の製造方法
は、各種医療用器官、機械用摺動部材ならびにそ
の製造分野において有効かつ幅広く利用される。 次に本発明の実施例を示す。 実施例 1〜7 メルトインデツクス0.3g/10分、密度0.965
g/cm3の高密度ポリエチレンを用いて厚さ21μm
のフイルム(試料1)を成形し、このフイルムか
ら中央部に直径12.5mmの円形にくりぬき部分を有
する直径53mmの円板を切りとり、この円板を第1
図に示す容器内に炭酸ガス雰囲気下に設置し、次
いでドライアイスで冷却しながらコバルト60線源
を用いて、γ線を2.64メガラドの線量で照射した
(前照射)。 上記前処理としてのγ線照射後、円板を容器か
ら取り出し、続いてこの円板を平均重合度490の
ポリビニルアルコールの水溶液中に第2図に示す
ように浸漬し、コバルト60線源を用いてγ線を第
1表に示す線量で照射した(後照射)。 照射後、試料1を蒸留水で洗浄し、この試料1
をさらにメタノールで洗浄した後、室温で乾燥し
て、高密度ポリエチレン(HDPE)上のポリビニ
ルアルコール(PVA)のグラフト膜の固有粘度
〔η〕(dl/g)、重合度、グラフト率(%)、膜厚
(μm)を測定した。結果を第1表に示す。なお、
固有粘度〔η〕(dl/g)の測定は、ウベローデ
型粘度計を用い、恒温槽中で30℃にて溶液粘度を
測定した。また重合度Pは中島らの関係式(中島
章夫、高分子化学、6,460(1949)〔η〕水30℃=
7.50×10-4×P0.64により算出した。グラフト率は
次式に従つて求めた。 グラフト率(%)=PVAをグラフトしたHDPE板の重
量−HDPE板の重量/HDPE板の重量×100 一方、グラフト膜厚はPVA濃度C(g/100
cm3)、PVAグラフト量G(g/cm3)、水溶液の比重
1として、次の式により求めた。 グラフト膜厚(μm)=G/C×106 なおここでPVAグラフト量Gは、次の如く定
義した。 G(g/cm2)=PVAをグラフトしたHDPE板の重量−
HDPE板の重量/HDPE板両面の面積 比較例 1および2 前照射をしなかつたこと以外は、実施例1と同
一の試料を用い、同様の条件で評価した。その結
果を第1表に示す。 実施例8および比較例3 実施例1〜7と同じHDPEを用いて厚さ5mmの
シート(試料2)を成形し、これを実施例1〜7
と同様にして前処理としてのγ線照射を行なつ
た。その後、この試料2を実施例1〜7と同様に
してPVA水溶液(濃度15wt%)中に浸漬し、コ
バルト60線源を用いてγ線を2.64メガラドの線量
で照射した。 照射後、試料2を蒸留水で十分に洗浄し、次い
でこの試料2を蒸留水中にて、第3図に示すBall
―on―Disk型摩擦測定器を用いて摩擦係数の測
定を行なつた。Ballは3/16インチのスチールBall
(SUJ―2)を用い、すべり速度18.8cm/秒、荷
重0.5,0.7,1.0Kgfで行なつた。得られた摩擦係
数の経時変化を第4図に示す。 また比較例3としてPVAをグラフトしていな
いHDPE板を用いて、上記の如く蒸留水中にて摩
擦係数の測定を行なつた。結果を第5図に示す。 【表】
の製造方法に関し、さらに詳しくは高分子ヒドロ
ゲルを用いた人工関節、人工血管等の人造器官素
材、外科手術用縫合糸、湿布帯等の外科医療用素
材あるいは機械の軸受等の摺動部材などとして特
にすぐれた水性潤滑特性を有するグラフト共重合
物の効率のよい製造方法に関する。 最近、人造器官素材あるいは外科医療用素材と
して様々な高分子化合物を用いることが提案され
ている。例えば、ポリビニルアルコールとビニル
モノマーのラジカル重合物を医療用素材として用
いること(特開昭49−48190号公報)、抗血栓性人
造器官材料として高分子材料にスチレンをグラフ
ト共重合させたもの(特公昭55−4414号公報)や
高分子材料に酢酸ビニルをグラフト共重合させた
後、ケン化してポリビニルアルコールに変化させ
たもの(特公昭55−4415号公報)、あるいは高分
子材料にアクリル酸エステルをグラフト共重合さ
せたもの(特公昭50−32554号公報)などを用い
ることが提案されている。また単量体をグラフト
重合したポリビニルアルコールの含水ゲルに作用
物質を含浸させて持続性の改善された湿布薬等の
活性体を製造することも知られている(特開昭52
−56148号公報)。 しかしながら、これらはいずれもモノマーを原
料として用い、活性線グラフト反応させたもので
あるため、最終生成物であるグラフト共重合物中
に毒性を有する未反応モノマーが含有されてお
り、この未反応モノマーを取除くのに多大な労力
を要し、生産性が極めて低いという欠点があつ
た。 さらに、軸受等の機械部材の摺動部に樹脂をバ
インダーとして潤滑性粒子を保持させた潤滑部品
が研究されている(特開昭55−145797号公報、特
開昭55−106230号公報)が、これらは水性潤滑特
性において未だ十分満足しうるものではない。 そのほか、活性線を用いたグラフト共重合法と
しては、特開昭50−32287号公報、特公昭47−
45592号公報、特公昭45−25107号公報に開示され
た方法などが知られている。しかし、これらの方
法は、活性線放射とラジカル熱重合を組合せたも
のであつて、加熱処理や後処理に問題があり、特
に反応物でのモノマーの取扱いが煩雑でりあり、
作業性ならびに生産性に問題があつた。 そこで本発明者らは、上記従来技術の欠点を克
服し、人造器官素材、外科医療用素材として、あ
るいは軸受等の摺動部材としてすぐれた材料の効
率のよい製造方法を開発すべく鋭意研究を重ね
た。その結果、特定の熱可塑性樹脂に水溶性高分
子材料をグラフト共重合させることにより目的と
する材料を製造するにあたつて熱可塑性樹脂に、
予め前処理としての電離性放射線照射を行なうと
共に、該熱可塑性樹脂を水溶性高分子を溶解した
溶液に浸漬して電離性放射線照射によりグラフト
共重合を行なうことによつて効率よく製造できる
ことを見出した。本発明はかかる知見に基いて完
成したものである。 すなわち本発明は、架橋重合可能でかつ非水溶
性の熱可塑性樹脂よりなる固体材料の少なくとも
一部に、前処理としての電離性放射線照射を行な
い、次いで該固体材料をポリビニルアルコールを
溶解した溶液中に浸漬し、さらに浸漬したまま電
離性放射線照射を行なつて前記ポリビニルアルコ
ールを前記固体材料の表面にグラフト共重合させ
ることを特徴とする潤滑特性のすぐれたグラフト
共重合物の製造方法を提供するものである。 本発明に用いる固体材料は、架橋重合可能でか
つ非水溶性の熱可塑性樹脂であるが、このような
ものとしては各種のものが考えられるが、例えば
ポリスチレン、ポリオレフイン(ポリエチレン、
ポリプロピレン等)、ポリアミド、ポリ塩化ビニ
ル、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、
ポリアクリレート、ポリメタアクリレートあるい
はこれらの混合物などをあげることができる。 本発明の方法で得られるグラフト共重合物は、
上述の熱可塑性樹脂よりなる固体材料の表面の一
部乃至全部に、上述の水溶性高分子であるポリビ
ニルアルコールをグラフト共重合させてなるもの
である。ここで熱可塑性樹脂よりなる固体材料の
形状は様々なものがあり、使用目的に応じて板
状、管状、繊維状などとすることができる。ま
た、この固体材料にグラフト共重合した水溶性高
分子は、重合によつて非水溶性のものとなり、固
体材料の表面を被覆することとなるが、この水溶
性高分子がグラフト共重合して形成したグラフト
物の膜厚は、通常0.1〜500μmが好ましい。さら
に本発明のグラフト共重合物における上記グラフ
ト物によるグラフト率は、特に制限はないが、通
常は0.1〜200%の範囲で適宜選定すればよい。 本発明の方法によれば、まず上述の熱可塑性樹
脂よりなる固体材料の表面の一部乃至全部、つま
りグラフト共重合させたい部分に、前処理として
電離性放射線照射を行なう。この電離性放射線照
射にあたつては、固体材料を、活性線を照射した
際に生成するラジカルを安定的に維持できる雰囲
気下に設置することが好ましい。具体的には、真
空中が最も好ましいが、窒素ガス雰囲気下、炭酸
ガス雰囲気下など、さらには空気中、酸素ガス、
オゾンガス雰囲気下でもよい。また温度は常温で
よいが、活性線の照射によつて発熱する場合に
は、氷等にて冷却しながら照射を行なうことが好
ましい。なお、電離性放射線としてはα線、β
線、γ線、X線あるいは加速電子線などがある
が、特に、高エネルギー放射線、例えばコバルト
60からのγ線や電子線が好適である。また電離性
放射線の照射量は、適宜定めればよいが、一般的
には上記固体材料に水溶性高分子がグラフト共重
合して、架橋ゲルとしての形状を保つのに十分な
量であればよく、照射すべき固体材料の種類によ
つて異なるが、2〜60メガラド程度が好ましい。 本発明の方法では、上記固体材料を上述の如く
前処理した後、上記した水溶性高分子を溶解した
溶液中に浸漬する。ここで溶液の溶剤としては、
上記水溶性高分子を溶解しうるものであると共
に、この水溶性高分子を固体材料にグラフト共重
合させて得られるグラフト共重合物から水洗によ
つて容易に除去できるものが好ましい。通常は水
を用いればよいが、場合によつては水溶性高分子
を溶解する有機溶剤および無機塩の水溶液あるい
はこれらの混合溶剤もしくはそれらと水との混合
溶剤などを用いることもできる。また、この溶液
中の水溶性高分子の濃度は、電離性放射線照射に
よつて分解しない範囲がよく、通常は1%以上、
好ましくは5〜20%とすべきである。なお、この
水溶性高分子としては、前述したようにポリビニ
ルアルコールを用いる。このポリビニルアルコー
ルは、グラフト共重合反応を阻害しないものであ
ればどのようなものでもよく、完全ケン化物、部
分ケン化物のいずれでもよいが、一般にはケン化
度の高いものの方が好ましい。また、ポリビニル
アルコールの分子量や重合度についても特に制限
はないが、分子量の大きいものほど、緻密な膜が
できて好ましく、重合度はグラフト共重合の反応
効率の点から平均重合度50以上のものが好まし
い。 続いて本発明の方法では、固体材料を水溶性高
分子を溶解した溶液中に浸漬した状態で電離性放
射線照射を行なう。この際に用いる電離性放射線
は前述したものと同じものでよい。また照射線量
は、各種条件によつて異なるが、通常は2〜40メ
ガラドで十分である。 本発明の方法によれば、前処理として予め固体
材料に電離性放射線照射を行なつているため、該
固体材料を溶液中で水溶性高分子とグラフト共重
合させるにあたつて、共重合反応が速やかにかつ
所望する部分に正確に進行し、目的とするグラフ
ト共重合物を効率よく製造することができる。 なお、本発明の方法にしたがつて製造したグラ
フト共重合物を、溶液中から引上げて水洗すれ
ば、グラフト共重合物表面および内部に付着して
いる未反応の水溶性高分子および溶剤は完全に洗
い落とされ、その後室温にて乾燥すれば不純物の
ないすぐれた物性のグラフト共重合物となる。 以上の如く、本発明の方法は、未反応モノマー
の複雑な除去工程を必要とせず、極めて製造効率
の高いものであると同時に、得られるグラフト共
重合物は、従来にない高い摩擦特性ならびに耐久
性の大きい摩擦特性を有し、しかも未反応モノマ
ー等の毒物を含有しないため、人造器官素材、外
科医療用素材等の高度の耐久性を要求される各種
医療用素材に有効に用いられる。また、このグラ
フト共重合物は、水性潤滑特性にもすぐれている
ため、高度の耐久性を要求される軸受等の機械用
摺動部材として用いることができ、しかもこの場
合潤滑剤として、水あるいは水とグリコールとの
混合物でよく、従来のように、引火性等の危険が
あり、かつ高価な潤滑油を必要とせず、極めて安
全でかつ作業性の高いものである。 従つて本発明のグラフト共重合物の製造方法
は、各種医療用器官、機械用摺動部材ならびにそ
の製造分野において有効かつ幅広く利用される。 次に本発明の実施例を示す。 実施例 1〜7 メルトインデツクス0.3g/10分、密度0.965
g/cm3の高密度ポリエチレンを用いて厚さ21μm
のフイルム(試料1)を成形し、このフイルムか
ら中央部に直径12.5mmの円形にくりぬき部分を有
する直径53mmの円板を切りとり、この円板を第1
図に示す容器内に炭酸ガス雰囲気下に設置し、次
いでドライアイスで冷却しながらコバルト60線源
を用いて、γ線を2.64メガラドの線量で照射した
(前照射)。 上記前処理としてのγ線照射後、円板を容器か
ら取り出し、続いてこの円板を平均重合度490の
ポリビニルアルコールの水溶液中に第2図に示す
ように浸漬し、コバルト60線源を用いてγ線を第
1表に示す線量で照射した(後照射)。 照射後、試料1を蒸留水で洗浄し、この試料1
をさらにメタノールで洗浄した後、室温で乾燥し
て、高密度ポリエチレン(HDPE)上のポリビニ
ルアルコール(PVA)のグラフト膜の固有粘度
〔η〕(dl/g)、重合度、グラフト率(%)、膜厚
(μm)を測定した。結果を第1表に示す。なお、
固有粘度〔η〕(dl/g)の測定は、ウベローデ
型粘度計を用い、恒温槽中で30℃にて溶液粘度を
測定した。また重合度Pは中島らの関係式(中島
章夫、高分子化学、6,460(1949)〔η〕水30℃=
7.50×10-4×P0.64により算出した。グラフト率は
次式に従つて求めた。 グラフト率(%)=PVAをグラフトしたHDPE板の重
量−HDPE板の重量/HDPE板の重量×100 一方、グラフト膜厚はPVA濃度C(g/100
cm3)、PVAグラフト量G(g/cm3)、水溶液の比重
1として、次の式により求めた。 グラフト膜厚(μm)=G/C×106 なおここでPVAグラフト量Gは、次の如く定
義した。 G(g/cm2)=PVAをグラフトしたHDPE板の重量−
HDPE板の重量/HDPE板両面の面積 比較例 1および2 前照射をしなかつたこと以外は、実施例1と同
一の試料を用い、同様の条件で評価した。その結
果を第1表に示す。 実施例8および比較例3 実施例1〜7と同じHDPEを用いて厚さ5mmの
シート(試料2)を成形し、これを実施例1〜7
と同様にして前処理としてのγ線照射を行なつ
た。その後、この試料2を実施例1〜7と同様に
してPVA水溶液(濃度15wt%)中に浸漬し、コ
バルト60線源を用いてγ線を2.64メガラドの線量
で照射した。 照射後、試料2を蒸留水で十分に洗浄し、次い
でこの試料2を蒸留水中にて、第3図に示すBall
―on―Disk型摩擦測定器を用いて摩擦係数の測
定を行なつた。Ballは3/16インチのスチールBall
(SUJ―2)を用い、すべり速度18.8cm/秒、荷
重0.5,0.7,1.0Kgfで行なつた。得られた摩擦係
数の経時変化を第4図に示す。 また比較例3としてPVAをグラフトしていな
いHDPE板を用いて、上記の如く蒸留水中にて摩
擦係数の測定を行なつた。結果を第5図に示す。 【表】
第1図は前処理としての電離性放射線照射(前
照射)を行なう様子を示す説明図、第2図は溶液
に浸漬しながら電離性放射線照射(後照射)を行
なう様子を示す説明図、第3図は摩擦係数を測定
する器具の説明図、第4図は実施例8で得られた
グラフト共重合物の摩擦係数の経時変化を示すグ
ラフ、第5図はHDPE板の摩擦係数の経時変化を
示すグラフである。 1…試料、2…ガラス容器、3…ガラス栓、4
…PVA水溶液、5…金属線(吊り下げ用)、6…
鋼球、7…トルクアーム、8…荷重、9…プーリ
ー、10…水。
照射)を行なう様子を示す説明図、第2図は溶液
に浸漬しながら電離性放射線照射(後照射)を行
なう様子を示す説明図、第3図は摩擦係数を測定
する器具の説明図、第4図は実施例8で得られた
グラフト共重合物の摩擦係数の経時変化を示すグ
ラフ、第5図はHDPE板の摩擦係数の経時変化を
示すグラフである。 1…試料、2…ガラス容器、3…ガラス栓、4
…PVA水溶液、5…金属線(吊り下げ用)、6…
鋼球、7…トルクアーム、8…荷重、9…プーリ
ー、10…水。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 架橋重合可能でかつ非水溶性の熱可塑性樹脂
よりなる固体材料の表面の少なくとも一部に、前
処理としての電離性放射線照射を行ない、次いで
該固体材料をポリビニルアルコールを溶解した溶
液中に浸漬し、さらに浸漬したまま電離性放射線
照射を行なつて前記ポリビニルアルコールを前記
固体材料の表面にグラフト共重合させることを特
徴とする潤滑特性のすぐれたグラフト共重合物の
製造方法。 2 前処理としての電離性放射線照射を、固体材
料を照射した際に生成するラジカルを安定的に維
持できる雰囲気下にて行なう特許請求の範囲第1
項記載の方法。 3 架橋重合可能でかつ非水溶性の熱可塑性樹脂
が、ポリスチレン、ポリオレフイン、ポリアミ
ド、ポリ塩化ビニル、合成ゴム、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリメタ
アクリレートおよびこれらの混合物よりなる群か
ら選ばれた熱可塑性樹脂である特許請求の範囲第
1項記載の方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13770981A JPS5840323A (ja) | 1981-09-03 | 1981-09-03 | 潤滑特性のすぐれたグラフト共重合物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13770981A JPS5840323A (ja) | 1981-09-03 | 1981-09-03 | 潤滑特性のすぐれたグラフト共重合物の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS5840323A JPS5840323A (ja) | 1983-03-09 |
| JPH0142297B2 true JPH0142297B2 (ja) | 1989-09-12 |
Family
ID=15204983
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP13770981A Granted JPS5840323A (ja) | 1981-09-03 | 1981-09-03 | 潤滑特性のすぐれたグラフト共重合物の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS5840323A (ja) |
Families Citing this family (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH0678561B2 (ja) * | 1986-03-20 | 1994-10-05 | 株式会社トーキン | スパッタリング・ターゲット用基板の製造方法 |
| CA2553234C (en) | 2004-01-21 | 2012-07-24 | Toray Industries, Inc. | Fractionator and method of fractionation |
| EP1785431B1 (en) | 2004-08-30 | 2016-01-20 | Toray Industries, Inc. | Fractionation apparatus |
| JP5332613B2 (ja) | 2007-02-20 | 2013-11-06 | 東レ株式会社 | 樹脂成型体の製造方法 |
| JP5130790B2 (ja) * | 2007-06-07 | 2013-01-30 | Jnc株式会社 | 表面改質高分子物品及びその製造方法 |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5474872A (en) * | 1977-11-26 | 1979-06-15 | Kansai Paint Co Ltd | Surface modification of polymer |
-
1981
- 1981-09-03 JP JP13770981A patent/JPS5840323A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS5840323A (ja) | 1983-03-09 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| Bhattacharya | Radiation and industrial polymers | |
| US4897433A (en) | Process for producing an anti-thrombogenic material by graft polymerization | |
| US4743258A (en) | Polymer materials for vascular prostheses | |
| US4589964A (en) | Process for graft copolymerization of a pre-formed substrate | |
| US3826678A (en) | Method for preparation of biocompatible and biofunctional materials and product thereof | |
| US3968306A (en) | Plastic articles having improved surface characteristics | |
| JP3608406B2 (ja) | 改質ふっ素樹脂成形体の製造方法 | |
| US3839172A (en) | Radiation grafting of acrylic monomers onto perhalogenated olefin polymeric substrates | |
| US3852177A (en) | Method of radiation cross-linking olefin polymers containing acrylate cross-linking promoters | |
| Uyama et al. | Low-frictional catheter materials by photo-induced graft polymerization | |
| US4196065A (en) | Hydrophobic substrate with grafted hydrophilic inclusions | |
| US3322661A (en) | Graft copolymerization of a vinyl monomer onto a polyolefin with irradiation in the presence of oxygen and a reducing agent | |
| Kruft et al. | Studies on two new radiopaque polymeric biomaterials | |
| Kwon et al. | Graft copolymerization of polyethylene glycol methacrylate onto polyethylene film and its blood compatibility | |
| JPH0142297B2 (ja) | ||
| Yun-Peng | Preparation of charged micro-mosaic membrane via radiation-induced grafting of styrene and methyl methacrylate onto Teflon FEP films | |
| JP5741547B2 (ja) | 改質基材および改質基材の製造方法 | |
| JPS6145351B2 (ja) | ||
| JPS6227087B2 (ja) | ||
| JPS6039688B2 (ja) | 血液新和性医療用材料 | |
| US3433724A (en) | Grafting of acrylonitrile and styrene onto polyvinyl chloride using high energy radiation | |
| JP3495802B2 (ja) | 医療用材料およびホスホリルコリン基を有するポリビニルアルコール系重合体 | |
| Nho et al. | Introduction of phosphoric acid group to polypropylene film by radiation grafting and its blood compatibility | |
| Ohrlander et al. | The grafting of acrylamide onto poly (ε‐caprolactone) and poly (1, 5‐dioxepan‐2‐one) using electron beam preirradiation. III. The grafting and in vitro degradation of chemically crosslinked poly (1, 5‐dioxepan‐2‐one) | |
| JPH04159337A (ja) | 表面が改質された高分子材料およびその製造方法 |