JPH0157164B2 - - Google Patents
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- JPH0157164B2 JPH0157164B2 JP13212882A JP13212882A JPH0157164B2 JP H0157164 B2 JPH0157164 B2 JP H0157164B2 JP 13212882 A JP13212882 A JP 13212882A JP 13212882 A JP13212882 A JP 13212882A JP H0157164 B2 JPH0157164 B2 JP H0157164B2
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Description
本発明は湿式紡糸方法による糸条製造におい
て、改善された上向流浴紡糸方法に関するもので
ある。 ビスコースをはじめとする湿式紡糸可能な紡糸
原液は、紡糸口金を通して凝固浴中に吐出され、
凝固せしめられた後、浴中より引き出されて糸条
として形成され、必要に応じて後処理を施されて
製品糸となる。 従来より、生産性を上げるための紡糸速度の高
速化に関し、凝固浴を紡糸された糸条の走行方向
と同一方向に流動せしめる流浴紡糸方法が種々提
案されており、例えばビスコース法によるレーヨ
ン糸の製造方法においては、特公昭27−4931号公
報に記載の紡糸方法が良く知られている。更に例
えば、特公昭30−8866号公報、特公昭31−5963号
公報、特公昭34−6058号公報、特公昭38−3956号
公報に記載されている如き上向流浴紡糸方法が提
案されており、設備のスペース生産性が向上する
点、又特にビスコース法レーヨン糸の紡糸では、
紡糸中に発生するガスが紡糸口金表面に集積しな
いという点から、好ましい方向に改善されてい
る。 しかしながら従来提案されている上向流浴紡糸
方法にあつてはいずれも、工業的に、とりわけ高
速紡糸において、原糸の物性値を良好な水準に維
持せしめ、かつ物性値の斑を極度に減少せしめ、
かつ糸切れ、毛羽等の工程欠点を大幅に減少せし
める条件を同時に満足する方法はいまだ見出され
ていない。 例えば、特公昭31−5963号公報或いは特公昭34
−6058号公報或いは特公昭38−3956号公報では、
流管出口より流出する凝固浴を流管外径より大き
な溢流受槽に受け、或いは流管出口に向つて徐々
に連続的に流管内径を増大し、或いは流管出口付
近の流管に凝固浴流出孔を穿つことにより、流管
出口付近の凝固浴流速が急激に減少し、未だ半凝
固状態にある糸条に急激な浴抵抗を加える。又更
に、流管出口付近での該浴抵抗ベクトルは、糸条
の走行方向以外の種々の方向に複雑に分布し、か
つその向きは刻々変化するために、未だ半凝固状
態にある糸条は、複雑に動揺せしめられる。従つ
て、いまだ繊弱な単糸の半凝固表面は、急激な浴
抵抗変化により微細な損傷を生じ、或いは単糸が
複雑に動揺することにより延伸斑を生じ、紡糸工
程において糸切れ、毛羽等の工程欠点を発生し、
更に後処理工程を終えた製品糸条の物性値、とり
わけ乾伸度、湿伸度、ヤング率、収縮率等の伸縮
特性の低下及び斑を生じる。 又例えば、特公昭30−8866号公報に記載の方法
では、流管を出た凝固浴は一旦空中に噴き上げら
れた後溢流受槽に入るため、凝固浴流速の急激な
減少は回避し得るが、凝固浴が流管出口以降で垂
直に噴き上げられているために、噴き上げられた
凝固浴の頂点の高さ及び方向が時間と共に刻々変
動し、やはり半凝固状態にある糸条は、凝固糸条
が噴き上げ凝固浴頂点を通過する際の複雑な動揺
の影響を受け、延伸斑を生じ、かくて製品糸条の
物性値、とりわけ伸縮特性の斑を生じる。該方法
において、噴き上げられた凝固浴頂点の高さ及び
方向の時間的変動を抑えるためには、噴き上げる
長さを減じれば良いが、噴き上げ長の減少はとり
も直さず凝固浴流速の低下であり、即ち浴抵抗が
増大し満足な物性値を得ることが出きなくなる。 本発明者らは、従来法で克服し得なかつた上記
欠点を解決すべく鋭意研究の結果、上向きに凝固
浴を流動せしめるに際し、その流動方向が極めて
重要である事を見い出し、本発明に到達したもの
である。 即ち、本発明は垂線に対し5乃至20度の傾き角
度(Θ)をもつて流管を設け、かつ凝固液が流管
内の流速(V)によつて流管出口から円柱状にて
該流管の傾き方向に向つて空中に下記の式で表わ
される有限の長さ(H)噴き上げられていることを特
徴とする上向流浴紡糸方法である。 H=V2/(2g cosΘ) (但し、gは重力加速度を表わす。) 本発明の方法によれば、原糸の物性値を良好な
水準に維持せしめ、かつ物性値の斑を極度に減少
せしめ、かつ糸切れ毛羽等の工程欠点を大幅に減
少せしめられ、とりわけ高速紡糸において有用で
ある。 本発明の実施態様の一例を第1図に示す。本発
明を第1図によつて詳細に説明する。 紡糸原液は紡糸原液導入管4を経て、紡糸口金
支持体5に設置されている紡糸口金6を通して、
凝固浴導入管2を導入されてきた凝固浴中に吐出
され半凝固糸条7を形成しつつ、地表に対する垂
線に対して5乃至20度の傾き角度を有して設けら
れた流管8の内部を凝固浴と共に通過し、流管出
口から第1図に示すように円柱状にて該流管8の
傾き方向に向つて、空中にH=V2/(2g cosΘ)
(但し、gは重力加速度を表わす。)で表わされる
有限の長さ(H)噴き上げられている。噴き上げ凝固
浴9中を通過する間に完全に凝固せしめられた
後、該噴き上げ凝固浴9の頂点に達して、凝固糸
条10となり必要に応じて後処理を施こされるべ
く引き取られる。 本発明において、噴き上げ凝固浴9を空中に有
限の長さ(H)噴き上げせしめた理由は下記の如くで
ある。即ち、地表に対する垂線11と流管の傾き
線12とがなす角度をθとすると、流管8の内部
を糸条の進行方向に流速Vで通過する凝固浴は、
該流管8の出口から流管内の流速と等しい流速V
で押し出される。その後初等力学で良く知られる
ように、重力加速度をgとすると、 H=V2/(2g cosθ) なる長さHまで噴き上げられ、噴き上げ凝固浴の
頂点で流速が0となり落下を開始する。従つて、
流管8の出口を通過する時点でいまだ完全に凝固
を完了していない糸条は、凝固を完了すべく噴き
上げ凝固浴9の頂点に至るまでの間に、単位時間
内に走行した距離の1/2乗に比例する極めて緩慢
な速度の減少、即ち極めて緩慢な浴抵抗(外力)
の増加のみを経験するにとどまる。更に該噴き上
げ凝固浴の速度減少率は流管出口に近い程緩やか
なので、即ち、糸条の凝固度合が相対的に低い領
域では外力増加は小さく、糸条の凝固が充分にな
るにつれて外力増加が大きくなる。従つて糸条
は、表面の凝固が不充分な領域では該表面に加わ
る外力が小さいために、半凝固表面の損傷及び延
伸斑を生じ難く、一方大きな外力が加わる領域に
あつては、糸条の凝固が充分に進行しているため
にもはや大きな表面損傷及び延伸斑を生じないと
いう、極めて合理的な工程を経る。更に紡糸速度
を高速にする程、良好な物性値の水準を維持する
にあたつて流管内の流速を上げる必要が生じるの
で、糸条が上記工程を経ることがより有利かつ必
要となるのは明らかである。 本発明にいう凝固浴が流管出口から円柱状にて
該流管の傾き方向に向つて、空中に有限の長さ(H)
噴き上げられていること、とは上記現象を発現さ
せるための基本的な原理であり、連続して均一な
断面積を有する流管を通過した凝固浴の流速を、
該流管に連らねて設けられた該流管の断面積より
も大きい断面積を有する例えば、溢流受槽、或い
は先に進むに従つて断面積の増大するロート管、
或いは穿孔流管等を設けることによつて、流管よ
り流出した凝固浴をいわゆるオーバーフローにて
溢流させることにより、急激に減少せしめること
のない凝固浴流出方法であり、流管もしくは流管
に接続して連らなり、かつ凝固浴の流入している
部品の出口から、糸条の進行方向に向つて更に有
限の長さの噴き上げ凝固浴を有するものを指す。
意図的な噴き上げ浴の長さは、紡糸速度、所望す
る物性値の水準もしくは流管内の凝固浴の流速の
設定値によつて定められるべきものである。又、
凝固浴を流管出口から円柱状にて空中に有限の長
さ(H)噴き上げるためには凝固浴を何らかの方法で
加圧することが必要であり、例えば凝固浴をポン
プで強制送液するか、もしくはヘツド圧によつて
噴き出させることが好ましい。 しかしながら、有限の長さ(H)凝固浴の噴き上げ
を設けるだけではまだ、物性値の斑を製品糸条の
使用に際して全く支障のない水準にまで到達せし
めることは困難である。従来提案されている上向
流浴紡糸方法においても、凝固浴を上向きに流動
せしめる概念はあるが、この技術だけでは、実用
上充分に均質な製品糸条を得ることは不可能に近
い。なぜならば、噴き上げ凝固浴を地表に対して
垂直に噴き上げた場合には、噴き上げ凝固浴に作
用する重力、浴速度、糸条走行等の変動が複雑に
影響を及ぼし合い、その結果噴き上げ凝固浴の頂
点の高さ及び方向、即ち頂点位置が時間と共に
刻々変動する。該現象は身近な例では公園等の噴
水の垂直な噴き上げの場合に容易に観察されるも
のである。従つて噴き上げ方式による上向流浴紡
糸方法にあつては、噴き上げ凝固浴頂点の位置変
動を抑制し延伸斑を極度に減少せしめるために流
管が地表に対する垂線11に対して傾き角度を有
して設けられ、かつその方向に向けて凝固浴が噴
き上げられていることが必要である。本発明者ら
の詳細にわたる研究の結果では、傾き角度θが5
乃至20の範囲にあることが必要である。θが小さ
すぎる場合には前述の如く噴き上げ凝固浴9の頂
点位置が定まりにくく、糸条に加えられる張力が
大きさ、向き共に大きく変動し、製品糸条の物性
値、とりわけ乾伸度、湿伸度、ヤング率、収縮率
等の伸縮特性の斑を糸長方向に沿つて生じ易くな
り、一方該角度θが大きすぎる場合には、錘当り
の設備スペースが増大するために設備生産性が低
下し、又、必要な作業領域も大となり紡出作業が
頻雑となり、工業的規模での製造がやや難かしく
なる。更に噴き上げ凝固浴の頂点の幅が拡がりか
つ絶えず変動するようになり、更に又、噴き上げ
凝固浴中を走行する糸条に対して凝固浴の落下に
よる外力が加わり始め糸条の滑らかな走行が保障
され難くなる。 従つて、噴き上げ凝固浴の頂点の位置変動を抑
制し、延伸斑を極度に減少せしめ、更に工業的規
模での製造が容易になるためには、傾き角度を有
して流管を設け、かつその方向に向けて凝固浴を
噴き上げることが必要であり、更に好ましいの
は、傾き角度θが5乃至20度の範囲にあることで
ある。 このように、本発明は地表に対する垂線に対し
傾き角度を有して流管を設け、かつ凝固浴が流管
出口から流管内の流速にて流管の傾き方向に向か
つて、空中に意図的に噴き上げられていることを
特徴とする上向流浴紡糸方法によつて、原糸の物
性値を良好な水準に維持せしめ、かつ物性値の斑
を極度に減少せしめ、更に糸条表面の損傷や延伸
斑がないために、糸切れ、毛羽等の工程欠点を大
幅に減少せしめた製品糸条が、工業的規模で、と
りわけ高速紡糸の際に、安定し、かつ容易に製造
できる。 以下本発明を実施例をもつて説明するが、本発
明は下記の実施例に限られるものではない。 実施例 1 通常の方法にて製造したセルロース濃度8.0重
量%、アルカリ濃度5.5重量%のビスコースを、
通常の方法にて製造したH2SO4150g/、
Na2SO4280g/、ZnSO415g/の52℃の凝
固浴中に、第1図に示した紡糸方法にて200m/
分の紡糸速度にて120デニールの糸を紡糸した。
紡糸口金は0.06mmφ×26ホール(白金製)、流管
は内径5mm、長さ100mmのガラス管を用いた。凝
固紡糸は糸道、ローラーを経て遠心ポツトに捲き
取り、通常の後処理を施こして製品フイラメント
にした。 流管の傾き角度θを0乃至25度、凝固浴噴上げ
長Hを100乃至500mmの範囲で変化させた際の、糸
切れ発生回数(回/錘・日)、及びワーパー型毛
羽検知法により測定した毛羽発生数(個/106m)
を各々第1表及び第2表に示す。更に物性値を代
表するものとして、ウースター社製連続強伸度測
定装置(Type96)を用い、100mに亘つて連続し
て1m毎に糸条の乾伸度を測定した。流管の傾き
角度θ、凝固浴噴き上長Hを変化せしめた時の糸
条の乾伸度の平均値及び標準偏差値σを第3表
に示す。
て、改善された上向流浴紡糸方法に関するもので
ある。 ビスコースをはじめとする湿式紡糸可能な紡糸
原液は、紡糸口金を通して凝固浴中に吐出され、
凝固せしめられた後、浴中より引き出されて糸条
として形成され、必要に応じて後処理を施されて
製品糸となる。 従来より、生産性を上げるための紡糸速度の高
速化に関し、凝固浴を紡糸された糸条の走行方向
と同一方向に流動せしめる流浴紡糸方法が種々提
案されており、例えばビスコース法によるレーヨ
ン糸の製造方法においては、特公昭27−4931号公
報に記載の紡糸方法が良く知られている。更に例
えば、特公昭30−8866号公報、特公昭31−5963号
公報、特公昭34−6058号公報、特公昭38−3956号
公報に記載されている如き上向流浴紡糸方法が提
案されており、設備のスペース生産性が向上する
点、又特にビスコース法レーヨン糸の紡糸では、
紡糸中に発生するガスが紡糸口金表面に集積しな
いという点から、好ましい方向に改善されてい
る。 しかしながら従来提案されている上向流浴紡糸
方法にあつてはいずれも、工業的に、とりわけ高
速紡糸において、原糸の物性値を良好な水準に維
持せしめ、かつ物性値の斑を極度に減少せしめ、
かつ糸切れ、毛羽等の工程欠点を大幅に減少せし
める条件を同時に満足する方法はいまだ見出され
ていない。 例えば、特公昭31−5963号公報或いは特公昭34
−6058号公報或いは特公昭38−3956号公報では、
流管出口より流出する凝固浴を流管外径より大き
な溢流受槽に受け、或いは流管出口に向つて徐々
に連続的に流管内径を増大し、或いは流管出口付
近の流管に凝固浴流出孔を穿つことにより、流管
出口付近の凝固浴流速が急激に減少し、未だ半凝
固状態にある糸条に急激な浴抵抗を加える。又更
に、流管出口付近での該浴抵抗ベクトルは、糸条
の走行方向以外の種々の方向に複雑に分布し、か
つその向きは刻々変化するために、未だ半凝固状
態にある糸条は、複雑に動揺せしめられる。従つ
て、いまだ繊弱な単糸の半凝固表面は、急激な浴
抵抗変化により微細な損傷を生じ、或いは単糸が
複雑に動揺することにより延伸斑を生じ、紡糸工
程において糸切れ、毛羽等の工程欠点を発生し、
更に後処理工程を終えた製品糸条の物性値、とり
わけ乾伸度、湿伸度、ヤング率、収縮率等の伸縮
特性の低下及び斑を生じる。 又例えば、特公昭30−8866号公報に記載の方法
では、流管を出た凝固浴は一旦空中に噴き上げら
れた後溢流受槽に入るため、凝固浴流速の急激な
減少は回避し得るが、凝固浴が流管出口以降で垂
直に噴き上げられているために、噴き上げられた
凝固浴の頂点の高さ及び方向が時間と共に刻々変
動し、やはり半凝固状態にある糸条は、凝固糸条
が噴き上げ凝固浴頂点を通過する際の複雑な動揺
の影響を受け、延伸斑を生じ、かくて製品糸条の
物性値、とりわけ伸縮特性の斑を生じる。該方法
において、噴き上げられた凝固浴頂点の高さ及び
方向の時間的変動を抑えるためには、噴き上げる
長さを減じれば良いが、噴き上げ長の減少はとり
も直さず凝固浴流速の低下であり、即ち浴抵抗が
増大し満足な物性値を得ることが出きなくなる。 本発明者らは、従来法で克服し得なかつた上記
欠点を解決すべく鋭意研究の結果、上向きに凝固
浴を流動せしめるに際し、その流動方向が極めて
重要である事を見い出し、本発明に到達したもの
である。 即ち、本発明は垂線に対し5乃至20度の傾き角
度(Θ)をもつて流管を設け、かつ凝固液が流管
内の流速(V)によつて流管出口から円柱状にて
該流管の傾き方向に向つて空中に下記の式で表わ
される有限の長さ(H)噴き上げられていることを特
徴とする上向流浴紡糸方法である。 H=V2/(2g cosΘ) (但し、gは重力加速度を表わす。) 本発明の方法によれば、原糸の物性値を良好な
水準に維持せしめ、かつ物性値の斑を極度に減少
せしめ、かつ糸切れ毛羽等の工程欠点を大幅に減
少せしめられ、とりわけ高速紡糸において有用で
ある。 本発明の実施態様の一例を第1図に示す。本発
明を第1図によつて詳細に説明する。 紡糸原液は紡糸原液導入管4を経て、紡糸口金
支持体5に設置されている紡糸口金6を通して、
凝固浴導入管2を導入されてきた凝固浴中に吐出
され半凝固糸条7を形成しつつ、地表に対する垂
線に対して5乃至20度の傾き角度を有して設けら
れた流管8の内部を凝固浴と共に通過し、流管出
口から第1図に示すように円柱状にて該流管8の
傾き方向に向つて、空中にH=V2/(2g cosΘ)
(但し、gは重力加速度を表わす。)で表わされる
有限の長さ(H)噴き上げられている。噴き上げ凝固
浴9中を通過する間に完全に凝固せしめられた
後、該噴き上げ凝固浴9の頂点に達して、凝固糸
条10となり必要に応じて後処理を施こされるべ
く引き取られる。 本発明において、噴き上げ凝固浴9を空中に有
限の長さ(H)噴き上げせしめた理由は下記の如くで
ある。即ち、地表に対する垂線11と流管の傾き
線12とがなす角度をθとすると、流管8の内部
を糸条の進行方向に流速Vで通過する凝固浴は、
該流管8の出口から流管内の流速と等しい流速V
で押し出される。その後初等力学で良く知られる
ように、重力加速度をgとすると、 H=V2/(2g cosθ) なる長さHまで噴き上げられ、噴き上げ凝固浴の
頂点で流速が0となり落下を開始する。従つて、
流管8の出口を通過する時点でいまだ完全に凝固
を完了していない糸条は、凝固を完了すべく噴き
上げ凝固浴9の頂点に至るまでの間に、単位時間
内に走行した距離の1/2乗に比例する極めて緩慢
な速度の減少、即ち極めて緩慢な浴抵抗(外力)
の増加のみを経験するにとどまる。更に該噴き上
げ凝固浴の速度減少率は流管出口に近い程緩やか
なので、即ち、糸条の凝固度合が相対的に低い領
域では外力増加は小さく、糸条の凝固が充分にな
るにつれて外力増加が大きくなる。従つて糸条
は、表面の凝固が不充分な領域では該表面に加わ
る外力が小さいために、半凝固表面の損傷及び延
伸斑を生じ難く、一方大きな外力が加わる領域に
あつては、糸条の凝固が充分に進行しているため
にもはや大きな表面損傷及び延伸斑を生じないと
いう、極めて合理的な工程を経る。更に紡糸速度
を高速にする程、良好な物性値の水準を維持する
にあたつて流管内の流速を上げる必要が生じるの
で、糸条が上記工程を経ることがより有利かつ必
要となるのは明らかである。 本発明にいう凝固浴が流管出口から円柱状にて
該流管の傾き方向に向つて、空中に有限の長さ(H)
噴き上げられていること、とは上記現象を発現さ
せるための基本的な原理であり、連続して均一な
断面積を有する流管を通過した凝固浴の流速を、
該流管に連らねて設けられた該流管の断面積より
も大きい断面積を有する例えば、溢流受槽、或い
は先に進むに従つて断面積の増大するロート管、
或いは穿孔流管等を設けることによつて、流管よ
り流出した凝固浴をいわゆるオーバーフローにて
溢流させることにより、急激に減少せしめること
のない凝固浴流出方法であり、流管もしくは流管
に接続して連らなり、かつ凝固浴の流入している
部品の出口から、糸条の進行方向に向つて更に有
限の長さの噴き上げ凝固浴を有するものを指す。
意図的な噴き上げ浴の長さは、紡糸速度、所望す
る物性値の水準もしくは流管内の凝固浴の流速の
設定値によつて定められるべきものである。又、
凝固浴を流管出口から円柱状にて空中に有限の長
さ(H)噴き上げるためには凝固浴を何らかの方法で
加圧することが必要であり、例えば凝固浴をポン
プで強制送液するか、もしくはヘツド圧によつて
噴き出させることが好ましい。 しかしながら、有限の長さ(H)凝固浴の噴き上げ
を設けるだけではまだ、物性値の斑を製品糸条の
使用に際して全く支障のない水準にまで到達せし
めることは困難である。従来提案されている上向
流浴紡糸方法においても、凝固浴を上向きに流動
せしめる概念はあるが、この技術だけでは、実用
上充分に均質な製品糸条を得ることは不可能に近
い。なぜならば、噴き上げ凝固浴を地表に対して
垂直に噴き上げた場合には、噴き上げ凝固浴に作
用する重力、浴速度、糸条走行等の変動が複雑に
影響を及ぼし合い、その結果噴き上げ凝固浴の頂
点の高さ及び方向、即ち頂点位置が時間と共に
刻々変動する。該現象は身近な例では公園等の噴
水の垂直な噴き上げの場合に容易に観察されるも
のである。従つて噴き上げ方式による上向流浴紡
糸方法にあつては、噴き上げ凝固浴頂点の位置変
動を抑制し延伸斑を極度に減少せしめるために流
管が地表に対する垂線11に対して傾き角度を有
して設けられ、かつその方向に向けて凝固浴が噴
き上げられていることが必要である。本発明者ら
の詳細にわたる研究の結果では、傾き角度θが5
乃至20の範囲にあることが必要である。θが小さ
すぎる場合には前述の如く噴き上げ凝固浴9の頂
点位置が定まりにくく、糸条に加えられる張力が
大きさ、向き共に大きく変動し、製品糸条の物性
値、とりわけ乾伸度、湿伸度、ヤング率、収縮率
等の伸縮特性の斑を糸長方向に沿つて生じ易くな
り、一方該角度θが大きすぎる場合には、錘当り
の設備スペースが増大するために設備生産性が低
下し、又、必要な作業領域も大となり紡出作業が
頻雑となり、工業的規模での製造がやや難かしく
なる。更に噴き上げ凝固浴の頂点の幅が拡がりか
つ絶えず変動するようになり、更に又、噴き上げ
凝固浴中を走行する糸条に対して凝固浴の落下に
よる外力が加わり始め糸条の滑らかな走行が保障
され難くなる。 従つて、噴き上げ凝固浴の頂点の位置変動を抑
制し、延伸斑を極度に減少せしめ、更に工業的規
模での製造が容易になるためには、傾き角度を有
して流管を設け、かつその方向に向けて凝固浴を
噴き上げることが必要であり、更に好ましいの
は、傾き角度θが5乃至20度の範囲にあることで
ある。 このように、本発明は地表に対する垂線に対し
傾き角度を有して流管を設け、かつ凝固浴が流管
出口から流管内の流速にて流管の傾き方向に向か
つて、空中に意図的に噴き上げられていることを
特徴とする上向流浴紡糸方法によつて、原糸の物
性値を良好な水準に維持せしめ、かつ物性値の斑
を極度に減少せしめ、更に糸条表面の損傷や延伸
斑がないために、糸切れ、毛羽等の工程欠点を大
幅に減少せしめた製品糸条が、工業的規模で、と
りわけ高速紡糸の際に、安定し、かつ容易に製造
できる。 以下本発明を実施例をもつて説明するが、本発
明は下記の実施例に限られるものではない。 実施例 1 通常の方法にて製造したセルロース濃度8.0重
量%、アルカリ濃度5.5重量%のビスコースを、
通常の方法にて製造したH2SO4150g/、
Na2SO4280g/、ZnSO415g/の52℃の凝
固浴中に、第1図に示した紡糸方法にて200m/
分の紡糸速度にて120デニールの糸を紡糸した。
紡糸口金は0.06mmφ×26ホール(白金製)、流管
は内径5mm、長さ100mmのガラス管を用いた。凝
固紡糸は糸道、ローラーを経て遠心ポツトに捲き
取り、通常の後処理を施こして製品フイラメント
にした。 流管の傾き角度θを0乃至25度、凝固浴噴上げ
長Hを100乃至500mmの範囲で変化させた際の、糸
切れ発生回数(回/錘・日)、及びワーパー型毛
羽検知法により測定した毛羽発生数(個/106m)
を各々第1表及び第2表に示す。更に物性値を代
表するものとして、ウースター社製連続強伸度測
定装置(Type96)を用い、100mに亘つて連続し
て1m毎に糸条の乾伸度を測定した。流管の傾き
角度θ、凝固浴噴き上長Hを変化せしめた時の糸
条の乾伸度の平均値及び標準偏差値σを第3表
に示す。
【表】
【表】
【表】
【表】
比較例 1
第1図で示した流管8の出口に連続して内径50
mmの円筒形の溢流受槽を設け、流管出口より20mm
の高さにて凝固浴を溢流させた他は、実施例1と
全く同様にして、流管の傾き角度θを0及び12度
にした際の、実施例1でのH=100、300、500mm
に相当する5mmφ流管部分の流内流速にて紡糸及
び評価を行なつた。該流速は比較し易い様に以下
の表では相当H長として表示する。糸切れ発生回
数(回/錘・日)及び毛羽発生数(個/106m)
を各々第4表及び第5表に乾伸度の平均値及び標
準偏差値を第6表に示す。
mmの円筒形の溢流受槽を設け、流管出口より20mm
の高さにて凝固浴を溢流させた他は、実施例1と
全く同様にして、流管の傾き角度θを0及び12度
にした際の、実施例1でのH=100、300、500mm
に相当する5mmφ流管部分の流内流速にて紡糸及
び評価を行なつた。該流速は比較し易い様に以下
の表では相当H長として表示する。糸切れ発生回
数(回/錘・日)及び毛羽発生数(個/106m)
を各々第4表及び第5表に乾伸度の平均値及び標
準偏差値を第6表に示す。
【表】
【表】
【表】
以上の実施例1及び比較例1より、本発明にな
る上向流浴紡糸方法が従来法に比して、極めて工
程欠点が少なく、また実用上充分に均質な、かつ
格段に優れた製品糸条を供するものであることは
明白である。
る上向流浴紡糸方法が従来法に比して、極めて工
程欠点が少なく、また実用上充分に均質な、かつ
格段に優れた製品糸条を供するものであることは
明白である。
第1図は本発明の実施の一例を示す縦断面図で
ある。 1は凝固浴導入の方向、2は凝固浴導入管、3
は紡糸原液導入の方向、4は紡糸原液導入管、5
は紡糸口金支持体、6は紡糸口金、7は半凝固糸
条、8は流管、9は噴き上げ凝固浴、10は凝固
糸条、11は地表に対する垂線、12は流管の傾
き線を示す。
ある。 1は凝固浴導入の方向、2は凝固浴導入管、3
は紡糸原液導入の方向、4は紡糸原液導入管、5
は紡糸口金支持体、6は紡糸口金、7は半凝固糸
条、8は流管、9は噴き上げ凝固浴、10は凝固
糸条、11は地表に対する垂線、12は流管の傾
き線を示す。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 垂線に対し5乃至20度の傾き角度(Θ)をも
つて流管を設け、かつ凝固液が流管内の流速
(V)によつて流管出口から円柱状にて該流管の
傾き方向に向つて空中に下記の式で表わされる有
限の長さ(H)噴き上げられていることを特徴とする
上向流浴紡糸方法。 H=V2/(2g cosΘ) (但し、gは重力加速度を表わす。)
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13212882A JPS5926509A (ja) | 1982-07-30 | 1982-07-30 | 上向流浴紡糸方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13212882A JPS5926509A (ja) | 1982-07-30 | 1982-07-30 | 上向流浴紡糸方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS5926509A JPS5926509A (ja) | 1984-02-10 |
| JPH0157164B2 true JPH0157164B2 (ja) | 1989-12-04 |
Family
ID=15074044
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP13212882A Granted JPS5926509A (ja) | 1982-07-30 | 1982-07-30 | 上向流浴紡糸方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS5926509A (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2603971B2 (ja) * | 1987-11-09 | 1997-04-23 | 旭化成工業株式会社 | 流管式湿式紡糸法 |
| EP2392700B1 (en) * | 2010-04-28 | 2012-06-20 | Teijin Aramid B.V. | Process for spinning graphene ribbon fibers |
-
1982
- 1982-07-30 JP JP13212882A patent/JPS5926509A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS5926509A (ja) | 1984-02-10 |
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