JPH0214437B2 - - Google Patents
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- JPH0214437B2 JPH0214437B2 JP7125582A JP7125582A JPH0214437B2 JP H0214437 B2 JPH0214437 B2 JP H0214437B2 JP 7125582 A JP7125582 A JP 7125582A JP 7125582 A JP7125582 A JP 7125582A JP H0214437 B2 JPH0214437 B2 JP H0214437B2
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Description
この発明は、水和クロム酸化物を所定量安定し
て付着させることができる、電解クロメート処理
鋼板の製造方法に関するものである。 電解クロメート処理鋼板は、鋼板表面上に、上
層が水和クロム酸化物下層が金属クロムの2層で
構成されるメツキ鋼板である。従つて、特に上層
の水和クロム酸化物は、その量または質が、耐食
性、塗料密着性等の各種品質特性に及ぼす影響が
大きく、工業的製造ラインにおけるその付着量制
御は安定品質を得るために最も重要である。しか
し工業的製造ラインでは、電極配置上の制約から
断続電解は不可避であり、その無通電時におい
て、従来の製造方法では、水和クロム酸化物中に
配位している硫酸根の影響により、水和クロム酸
化物は液中へ溶解する。また、その溶解量は操業
条件によつて変化するので、最終的に付着してい
る水和クロム酸化物量の電気的な制御は容易では
ない。 従来の電解クロメート処理鋼板は主に下記の方
法で製造されている。 (1) クロメート処理液中で、陰極電解によつて鋼
板表面上に下層の金属クロムと上層の水和クロ
ム酸化物を同時に形成させる方法(一液法)。 (2) クロメツキ工程で、鋼板表面上に金属クロム
層を析出させた後、別のクロメート処理液中で
陰極電解することにより前記金属クロム層上に
水和クロム酸化物を形成させる方法(二液法)。 まず(1)の方法においては、鋼板表面上に金属ク
ロムと水和クロム酸化物を同時形成させるために
は、その電解液中に、硫酸根の存在が不可欠であ
り、鋼板表面上に形成された水和クロム酸化物中
には硫酸根が配位する。この硫酸根のため、鋼板
表面上に形成された水和クロム酸化物は、無通電
時に電解液中に溶解する。また(1)の方法の場合、
鋼板表面上における金属クロムを所定量確保しな
ければならないので、電解液中の硫酸根濃度には
制約があり、鋼板表面上の水和クロム酸化物中の
硫酸根を減少させる目的で電解液中の硫酸根濃度
を極端に低減させることはできない。このため(1)
の方法においては、無通電時における鋼板表面上
の水和クロム酸化物の溶解は避けられず、鋼板表
面上における金属クロム析出量、水和クロム酸化
物の生成量と溶解量がうまくバランスする電解液
組成および電解条件を選択しなければならない。 また(2)の方法においては、クロムメツキ工程で
鋼板表面上に金属クロムを形成した後、さらに別
個に水和クロム酸化物を形成させるので、後工程
の電解液中の硫酸根を減少させることにより鋼板
表面上の水和クロム酸化物中の硫酸根を低減させ
ることは可能である。しかし、クロムメツキ工程
では、鋼板表面上に金属クロムを形成させるため
に、電解液中に硫酸根が添加されており、金属ク
ロム生成時にも硫酸根を含有する水和クロム酸化
物が鋼板表面上に生成される。この鋼板表面上の
水和クロム酸化物は無通電浸漬を行なうことで、
ある程度溶解除去されるが、微量な水和クロム酸
化物は除去されずに残存する。この残存した水和
クロム酸化物中の硫酸根は、後工程の電解反応に
関与して、第二工程時に鋼板表面上に生成する水
和クロム酸化物中にも硫酸根が配位する。したが
つて(2)の方法では、後工程の無通電時に鋼板表面
上に得られた水和クロム酸化物の電解液中への溶
解は避けられない。 以上から(1)、(2)の方法では鋼板表面上に得られ
た水和クロム酸化物の無通電時の電解液中への溶
解は避けられない。この事実は、工業的製造ライ
ンにおいて、多数の処理タンク内を鋼板が通過す
るとき、電極配置方法の制約上、鋼板表面上に生
成した水和クロム酸化物は、電解タンク内のクロ
メート処理液中へ溶解する。また、この溶解速度
は電解液液温、電流密度または、電解液の経時疲
労程度など、さまざまな操業条件の変化によつて
変動し水和クロム酸化物付着制御に悪影響を及ぼ
す。 そこで、この発明は、以上のような問題を解消
すべくなされたもので、鋼板を陰極電解処理し
て、その表面に金属クロム層を形成し(第一工
程)、 次いで、Cr6+2g/以上を含んだメツキ浴で、
電流密度3A/dm2(ASD)以上で、前記鋼板を
陽極電解処理することによつて、前記鋼板の表面
に形成された前記金属クロム層の一部の金属クロ
ムを、Cr3+の水和クロム酸化物に変えて、前記鋼
板の表面に、下層として前記金属クロム層を、上
層としてCr3+の水和クロム酸化物層を形成する
(第二工程)ようにした電解クロメート処理鋼板
の製造方法としたことに特徴を有する。 本発明の第一の特徴としては、第一工程で形成
した金属クロムを第二工程において陽極処理し、
硫酸根を含有しない水和クロム酸化物に変化させ
ることによつて、無通電浸漬時にその水和クロム
酸化物を液中に溶解させないことがあげられる。 第二工程では鋼板を陽極とするので、過去の知
見では、金属クロムは6価クロムへ酸化され、液
中へ溶解することが知られていた。しかし発明者
等が種々の電解条件を変化させ、検討した結果、
適当な電流密度(3ASD以上)を選択すると、陽
極処理によつて3価クロムを主体とする水和クロ
ム酸化物が鋼板表面上に生成することを発見し
た。また、この鋼板表面上の水和クロム酸化物
は、第二工程の電解液中に硫酸根が存在していて
も、硫酸根を含有しない皮膜となる。何故硫酸根
を含まない水和クロム酸化物が生成するかは明ら
かではないが、次の様に推定することができる。
即ち、6価クロムを含有する電解液中での陰極電
解反応の場合、電解液中の6価クロムイオンと
H+イオンの還元反応によつてPHが上昇し、中間
的に低級酸化物皮膜を経由して3価クロムを主体
とする水和クロム酸化物が鋼板表面上に生成す
る。反応の際、電解液中の硫酸根は、OH-イオ
ンと同時にCr3+イオンに配位し、低級酸化物皮膜
を経由して水和クロム酸化物中に含まれる。 一方、陽極電解反応の場合、陽極処理であるの
で、鋼板表面上の金属クロムは、電解液中のアコ
イオン(H2O)を吸着しながら溶解し、3価ク
ロムを主体とする水和クロム酸化物に変換し、次
いで固体の水和クロム酸化物は一部6価クロムへ
と酸化され、電解液中へ溶解すると推定される。
従つて、第二工程の電解液中にSO4 2-等のアニオ
ンが存在しても、電解反応に関与する余地がな
い。 また、第二の特徴としては、鋼板表面上におい
て、第一工程の金属クロムと同時生成する水和ク
ロム酸化物中にはSO4 2-が存在し、不可避的にそ
の皮膜が鋼板表面上に残留するが、第二工程の陽
極処理によつて、この硫酸根は完全に除去される
ことが挙げられる。この理由は第一工程で鋼板表
面上に残留する水クロム酸化物が第二工程の陽極
処理反応によつて酸化され6価クロムの状態で電
解液中に溶解する。同時に、この水和クロム酸化
物中のSO4 2-も溶解除去されると推定される。こ
の第二の特徴により、第一工程における鋼板表面
上の水和クロム酸化物の残留が許容されると共
に、鋼板表面上に残留する水和クロム酸化物中の
SO4 2-量の多少にかかわらずこれが除去されるの
で、第一工程の電解条件、電解液の制約はない。 以上から、第二工程の陽極電解後に鋼板表面上
に生成した水和クロム酸化物は、SO4 2-を含まな
いので、工業的製造ラインにおいて、電解タンク
内のクロメート処理液中及び走行中に持ち出し鋼
板に付着したクロメート処理液中には水和クロム
酸化物が溶解しない。これは先述した様に、工業
的製造ラインの操業条件の変化によつて、水和ク
ロム酸化物の付着量の変動を考慮する必要がない
ので、付着量制御が容易となる。また水和クロム
酸化物の付着量は第二工程の電流密度と正比例す
るので、簡単な電流値制御で水和クロム酸化物の
付着量制御が可能となり、付着量が安定する。 第一工程での電解液は、従来の電解クロメート
用電解液または、クロムメツキ用電解液として用
いられるものを使用する。たとえばクロム酸とロ
ダンソーダーを含有する電解液、クロム酸とロダ
ンソーダーとフツ素化合物を含有する電解液、ク
ロム酸と硫酸塩を含有する電解液等である。この
電解液中で鋼板を陰極として電解処理し、その表
面上に金属クロムを生成させる。 引き続く第二工程では、電解液を、6価クロム
(Cr6+)を2g/以上を含有する液または、同様
に6価クロムを2g/以上含有する第一工程の
電解液の希釈液とする。例えば、6価クロムを含
有する化合物として、無水クロム酸、重クロム酸
のアルカリ塩、アンモニウム塩を1種または2種
含有する水溶液等がある。6価クロムの濃度を2
g/以上としたのは、2g/未満では浴抵抗が
上昇し、電気損失が大きく、鋼板表面上における
水和クロム酸化物の生成効率も低下するからであ
る。以上の電解液中で、第一工程での電解クロメ
ート処理鋼板を、陽極として、電流密度3ASD以
上、液温は常温以上80℃以下で電解処理する。電
流密度を3ASD以上としたのは、3ASD未満とな
ると、鋼板表面上における水和クロム酸化物の生
成効率が低下するからである。また、液温を80℃
以下としたのは、80℃を超えると、水和クロム酸
化物の生成効率は変化しないが熱損失が大きくな
るからである。 次に、本発明の第二工程における、陽極処理効
果を、試験例で説明する。 試験例 1 第一工程の電解クロメート処理液として、
CrO3:250g/、H2SO4:4.0g/を使用して、
冷延鋼板を陰極として、液温45℃、電流密度
30ASD、電解時間4secで処理した後、3sec間無
通電浸漬させ、150mg/m2の金属クロム及び5mg/
m2の水和クロム酸化物からなる皮膜を生成させ
る。次いで、第二工程として、電解液をCrO3:
40g/、液温を35℃とし、前記クロメート処理
鋼板を、陽極として、電流密度を0、1、3、
5、10、15および20ASDで、電解時間0.5secで処
理する。その結果得られたサンプルについて、蛍
光X線でクロム付着量を測定した。測定は、第一
手順で総Cr付着量を測定し、第二手順で熱水中
(100℃)で10分間浸漬し、可溶のクロム量を測定
する(水可溶であるから6価クロムと推定され
る。)次いで、第三手順で水和クロム酸化物を除
去するため、熱アルカリ(10N、NaOH、120℃)
中にサンプルを10分間浸漬し、付着量を測定す
る。以上の手順でサンプル表面上における水和ク
ロム酸化物量及びその中の6価クロム及び3価ク
ロムを分別定量できる。これらの結果を第1図に
示す。第1図から、第二工程の陽極処理により、
3価クロム主体の水和クロム酸化物がサンプル表
面に生成していることがわかる。また、陽極処理
によるサンプル表面における金属クロム付着量の
減少量から、サンプル表面における金属クロムか
ら3価クロム、または金属クロムから6価クロム
への酸化反応におけるそれぞれの分配率を算出し
た結果を第2図に示す。第2図から、電流密度が
3ASD未満であると、サンプル表面において、金
属クロムから6価クロムへの分配率が大きく、3
価クロムを主体とする水和クロム酸化物の生成効
率が低下することがわかり、電流密度は3ASD以
上(より好ましくは、5ASD以上)とする必要が
ある。また、蛍光X線により、サンプル表面にお
ける水和クロム酸化物中の硫酸根を測定した結果
を第3図に示す。第3図から、第二工程の陽極処
理によつて、水和クロム酸化物中の硫酸根が減少
し、第一工程で生成した硫酸根を除去すると共に
硫酸根を含有しない水和クロム酸化物をサンプル
表面に生成することができることがわかる
(3ASD以上、好ましくは5ASD以上)。また、第
二工程で電解後、電解液中で無通電浸漬した後の
サンプル表面における水和クロム酸化物量の変化
を示したのが第4図である。第4図に示す様に、
第二工程でサンプル表面に生成した水和クロム酸
化物は、電解液中では溶解しないことがわかる。
また、第一工程の電解液中の無通電浸漬によつて
も、この水和クロム酸化物は液中溶解しない。以
上から、本発明は、先述した“硫酸根を含有しな
い水和クロム酸化物の生成”及び“第一工程で残
留した水和クロム酸化物中のSO4 2-の除去”の2
特徴を有しておりサンプル表面に生成した水和ク
ロム酸化物は無通電浸漬によつて溶解しないこと
から、付着量制御が容易な従つて、その付着量が
安定な製造法であることが実証できる。 次に本発明の実施例を説明する。 以下に示す様にして本発明処理鋼板と本発明外
の比較電解クロメート処理鋼板との比較を行なつ
た。 実施例 1 冷延鋼板を陰極とし、CrO3:100g/、
NaSCN:0.5g/、Na2SiF6:7g/を含有す
る電解クロメート処理液中で、液温50℃、電流密
度20ASD、電解時間2secで電解クロメート処理
を行ない、そして無通電浸漬を2sec間行なうこと
によつて、水和クロム酸化物5mg/m2、金属クロ
ム150mg/m2冷延鋼板表面に付着させた。次いで、
この鋼板を陽極として、CrO3:50g/を含有す
る電解クロメート処理液中で、液温40℃、電流密
度10ASD、電解時間0.5secで処理した。 実施例 2 第二工程の陽極処理の電解液をCrO3:50g/
、H2SO4:0.3g/含有したものとした以外
は、実施例1と同じ条件で冷延鋼板を処理した。 比較例 1 冷延鋼板を陰極とし、CrO3:100g/、
NaSCN:0.5g/、Na2SiF6:7g/を含有す
電解液中で、液温50℃、電流密度30ASD、電解
時間1.5secで電解クロメート処理を行ない、そし
て無通電浸漬を2sec間行なうことによつて、水和
クロム酸化物5mg/m2、金属クロム100mg/m2冷延
鋼板表面に付着させた。次いで、この鋼板を陰極
として、CrO3:50g/を含有する電解クロメー
ト処理液中で、液温50℃、電流密度30ASD、処
理時間1secでクロメート処理した。 比較例 2 第二工程の陰極処理における電解液をCrO3:
50g/、H2SO4:0.3g/含有するものとし、
電流密度30ASD、電解時間0.5secでクロメート処
理する以外は、比較例1と同じ条件で冷延鋼板を
処理した。 比較例 3 冷延鋼板を陰極として、CrO3:100g/、
NaSCN:0.5g/Na2SiF6:7g/を電解液と
して、液温50℃、電流密度30ASD、電解時間
1.5secで電解クロメート処理した。 以上の処理鋼板について、蛍光X線でCr付着
量水和クロム酸化中SO4 2-量を測定し、その結果
を表−1に示す。
て付着させることができる、電解クロメート処理
鋼板の製造方法に関するものである。 電解クロメート処理鋼板は、鋼板表面上に、上
層が水和クロム酸化物下層が金属クロムの2層で
構成されるメツキ鋼板である。従つて、特に上層
の水和クロム酸化物は、その量または質が、耐食
性、塗料密着性等の各種品質特性に及ぼす影響が
大きく、工業的製造ラインにおけるその付着量制
御は安定品質を得るために最も重要である。しか
し工業的製造ラインでは、電極配置上の制約から
断続電解は不可避であり、その無通電時におい
て、従来の製造方法では、水和クロム酸化物中に
配位している硫酸根の影響により、水和クロム酸
化物は液中へ溶解する。また、その溶解量は操業
条件によつて変化するので、最終的に付着してい
る水和クロム酸化物量の電気的な制御は容易では
ない。 従来の電解クロメート処理鋼板は主に下記の方
法で製造されている。 (1) クロメート処理液中で、陰極電解によつて鋼
板表面上に下層の金属クロムと上層の水和クロ
ム酸化物を同時に形成させる方法(一液法)。 (2) クロメツキ工程で、鋼板表面上に金属クロム
層を析出させた後、別のクロメート処理液中で
陰極電解することにより前記金属クロム層上に
水和クロム酸化物を形成させる方法(二液法)。 まず(1)の方法においては、鋼板表面上に金属ク
ロムと水和クロム酸化物を同時形成させるために
は、その電解液中に、硫酸根の存在が不可欠であ
り、鋼板表面上に形成された水和クロム酸化物中
には硫酸根が配位する。この硫酸根のため、鋼板
表面上に形成された水和クロム酸化物は、無通電
時に電解液中に溶解する。また(1)の方法の場合、
鋼板表面上における金属クロムを所定量確保しな
ければならないので、電解液中の硫酸根濃度には
制約があり、鋼板表面上の水和クロム酸化物中の
硫酸根を減少させる目的で電解液中の硫酸根濃度
を極端に低減させることはできない。このため(1)
の方法においては、無通電時における鋼板表面上
の水和クロム酸化物の溶解は避けられず、鋼板表
面上における金属クロム析出量、水和クロム酸化
物の生成量と溶解量がうまくバランスする電解液
組成および電解条件を選択しなければならない。 また(2)の方法においては、クロムメツキ工程で
鋼板表面上に金属クロムを形成した後、さらに別
個に水和クロム酸化物を形成させるので、後工程
の電解液中の硫酸根を減少させることにより鋼板
表面上の水和クロム酸化物中の硫酸根を低減させ
ることは可能である。しかし、クロムメツキ工程
では、鋼板表面上に金属クロムを形成させるため
に、電解液中に硫酸根が添加されており、金属ク
ロム生成時にも硫酸根を含有する水和クロム酸化
物が鋼板表面上に生成される。この鋼板表面上の
水和クロム酸化物は無通電浸漬を行なうことで、
ある程度溶解除去されるが、微量な水和クロム酸
化物は除去されずに残存する。この残存した水和
クロム酸化物中の硫酸根は、後工程の電解反応に
関与して、第二工程時に鋼板表面上に生成する水
和クロム酸化物中にも硫酸根が配位する。したが
つて(2)の方法では、後工程の無通電時に鋼板表面
上に得られた水和クロム酸化物の電解液中への溶
解は避けられない。 以上から(1)、(2)の方法では鋼板表面上に得られ
た水和クロム酸化物の無通電時の電解液中への溶
解は避けられない。この事実は、工業的製造ライ
ンにおいて、多数の処理タンク内を鋼板が通過す
るとき、電極配置方法の制約上、鋼板表面上に生
成した水和クロム酸化物は、電解タンク内のクロ
メート処理液中へ溶解する。また、この溶解速度
は電解液液温、電流密度または、電解液の経時疲
労程度など、さまざまな操業条件の変化によつて
変動し水和クロム酸化物付着制御に悪影響を及ぼ
す。 そこで、この発明は、以上のような問題を解消
すべくなされたもので、鋼板を陰極電解処理し
て、その表面に金属クロム層を形成し(第一工
程)、 次いで、Cr6+2g/以上を含んだメツキ浴で、
電流密度3A/dm2(ASD)以上で、前記鋼板を
陽極電解処理することによつて、前記鋼板の表面
に形成された前記金属クロム層の一部の金属クロ
ムを、Cr3+の水和クロム酸化物に変えて、前記鋼
板の表面に、下層として前記金属クロム層を、上
層としてCr3+の水和クロム酸化物層を形成する
(第二工程)ようにした電解クロメート処理鋼板
の製造方法としたことに特徴を有する。 本発明の第一の特徴としては、第一工程で形成
した金属クロムを第二工程において陽極処理し、
硫酸根を含有しない水和クロム酸化物に変化させ
ることによつて、無通電浸漬時にその水和クロム
酸化物を液中に溶解させないことがあげられる。 第二工程では鋼板を陽極とするので、過去の知
見では、金属クロムは6価クロムへ酸化され、液
中へ溶解することが知られていた。しかし発明者
等が種々の電解条件を変化させ、検討した結果、
適当な電流密度(3ASD以上)を選択すると、陽
極処理によつて3価クロムを主体とする水和クロ
ム酸化物が鋼板表面上に生成することを発見し
た。また、この鋼板表面上の水和クロム酸化物
は、第二工程の電解液中に硫酸根が存在していて
も、硫酸根を含有しない皮膜となる。何故硫酸根
を含まない水和クロム酸化物が生成するかは明ら
かではないが、次の様に推定することができる。
即ち、6価クロムを含有する電解液中での陰極電
解反応の場合、電解液中の6価クロムイオンと
H+イオンの還元反応によつてPHが上昇し、中間
的に低級酸化物皮膜を経由して3価クロムを主体
とする水和クロム酸化物が鋼板表面上に生成す
る。反応の際、電解液中の硫酸根は、OH-イオ
ンと同時にCr3+イオンに配位し、低級酸化物皮膜
を経由して水和クロム酸化物中に含まれる。 一方、陽極電解反応の場合、陽極処理であるの
で、鋼板表面上の金属クロムは、電解液中のアコ
イオン(H2O)を吸着しながら溶解し、3価ク
ロムを主体とする水和クロム酸化物に変換し、次
いで固体の水和クロム酸化物は一部6価クロムへ
と酸化され、電解液中へ溶解すると推定される。
従つて、第二工程の電解液中にSO4 2-等のアニオ
ンが存在しても、電解反応に関与する余地がな
い。 また、第二の特徴としては、鋼板表面上におい
て、第一工程の金属クロムと同時生成する水和ク
ロム酸化物中にはSO4 2-が存在し、不可避的にそ
の皮膜が鋼板表面上に残留するが、第二工程の陽
極処理によつて、この硫酸根は完全に除去される
ことが挙げられる。この理由は第一工程で鋼板表
面上に残留する水クロム酸化物が第二工程の陽極
処理反応によつて酸化され6価クロムの状態で電
解液中に溶解する。同時に、この水和クロム酸化
物中のSO4 2-も溶解除去されると推定される。こ
の第二の特徴により、第一工程における鋼板表面
上の水和クロム酸化物の残留が許容されると共
に、鋼板表面上に残留する水和クロム酸化物中の
SO4 2-量の多少にかかわらずこれが除去されるの
で、第一工程の電解条件、電解液の制約はない。 以上から、第二工程の陽極電解後に鋼板表面上
に生成した水和クロム酸化物は、SO4 2-を含まな
いので、工業的製造ラインにおいて、電解タンク
内のクロメート処理液中及び走行中に持ち出し鋼
板に付着したクロメート処理液中には水和クロム
酸化物が溶解しない。これは先述した様に、工業
的製造ラインの操業条件の変化によつて、水和ク
ロム酸化物の付着量の変動を考慮する必要がない
ので、付着量制御が容易となる。また水和クロム
酸化物の付着量は第二工程の電流密度と正比例す
るので、簡単な電流値制御で水和クロム酸化物の
付着量制御が可能となり、付着量が安定する。 第一工程での電解液は、従来の電解クロメート
用電解液または、クロムメツキ用電解液として用
いられるものを使用する。たとえばクロム酸とロ
ダンソーダーを含有する電解液、クロム酸とロダ
ンソーダーとフツ素化合物を含有する電解液、ク
ロム酸と硫酸塩を含有する電解液等である。この
電解液中で鋼板を陰極として電解処理し、その表
面上に金属クロムを生成させる。 引き続く第二工程では、電解液を、6価クロム
(Cr6+)を2g/以上を含有する液または、同様
に6価クロムを2g/以上含有する第一工程の
電解液の希釈液とする。例えば、6価クロムを含
有する化合物として、無水クロム酸、重クロム酸
のアルカリ塩、アンモニウム塩を1種または2種
含有する水溶液等がある。6価クロムの濃度を2
g/以上としたのは、2g/未満では浴抵抗が
上昇し、電気損失が大きく、鋼板表面上における
水和クロム酸化物の生成効率も低下するからであ
る。以上の電解液中で、第一工程での電解クロメ
ート処理鋼板を、陽極として、電流密度3ASD以
上、液温は常温以上80℃以下で電解処理する。電
流密度を3ASD以上としたのは、3ASD未満とな
ると、鋼板表面上における水和クロム酸化物の生
成効率が低下するからである。また、液温を80℃
以下としたのは、80℃を超えると、水和クロム酸
化物の生成効率は変化しないが熱損失が大きくな
るからである。 次に、本発明の第二工程における、陽極処理効
果を、試験例で説明する。 試験例 1 第一工程の電解クロメート処理液として、
CrO3:250g/、H2SO4:4.0g/を使用して、
冷延鋼板を陰極として、液温45℃、電流密度
30ASD、電解時間4secで処理した後、3sec間無
通電浸漬させ、150mg/m2の金属クロム及び5mg/
m2の水和クロム酸化物からなる皮膜を生成させ
る。次いで、第二工程として、電解液をCrO3:
40g/、液温を35℃とし、前記クロメート処理
鋼板を、陽極として、電流密度を0、1、3、
5、10、15および20ASDで、電解時間0.5secで処
理する。その結果得られたサンプルについて、蛍
光X線でクロム付着量を測定した。測定は、第一
手順で総Cr付着量を測定し、第二手順で熱水中
(100℃)で10分間浸漬し、可溶のクロム量を測定
する(水可溶であるから6価クロムと推定され
る。)次いで、第三手順で水和クロム酸化物を除
去するため、熱アルカリ(10N、NaOH、120℃)
中にサンプルを10分間浸漬し、付着量を測定す
る。以上の手順でサンプル表面上における水和ク
ロム酸化物量及びその中の6価クロム及び3価ク
ロムを分別定量できる。これらの結果を第1図に
示す。第1図から、第二工程の陽極処理により、
3価クロム主体の水和クロム酸化物がサンプル表
面に生成していることがわかる。また、陽極処理
によるサンプル表面における金属クロム付着量の
減少量から、サンプル表面における金属クロムか
ら3価クロム、または金属クロムから6価クロム
への酸化反応におけるそれぞれの分配率を算出し
た結果を第2図に示す。第2図から、電流密度が
3ASD未満であると、サンプル表面において、金
属クロムから6価クロムへの分配率が大きく、3
価クロムを主体とする水和クロム酸化物の生成効
率が低下することがわかり、電流密度は3ASD以
上(より好ましくは、5ASD以上)とする必要が
ある。また、蛍光X線により、サンプル表面にお
ける水和クロム酸化物中の硫酸根を測定した結果
を第3図に示す。第3図から、第二工程の陽極処
理によつて、水和クロム酸化物中の硫酸根が減少
し、第一工程で生成した硫酸根を除去すると共に
硫酸根を含有しない水和クロム酸化物をサンプル
表面に生成することができることがわかる
(3ASD以上、好ましくは5ASD以上)。また、第
二工程で電解後、電解液中で無通電浸漬した後の
サンプル表面における水和クロム酸化物量の変化
を示したのが第4図である。第4図に示す様に、
第二工程でサンプル表面に生成した水和クロム酸
化物は、電解液中では溶解しないことがわかる。
また、第一工程の電解液中の無通電浸漬によつて
も、この水和クロム酸化物は液中溶解しない。以
上から、本発明は、先述した“硫酸根を含有しな
い水和クロム酸化物の生成”及び“第一工程で残
留した水和クロム酸化物中のSO4 2-の除去”の2
特徴を有しておりサンプル表面に生成した水和ク
ロム酸化物は無通電浸漬によつて溶解しないこと
から、付着量制御が容易な従つて、その付着量が
安定な製造法であることが実証できる。 次に本発明の実施例を説明する。 以下に示す様にして本発明処理鋼板と本発明外
の比較電解クロメート処理鋼板との比較を行なつ
た。 実施例 1 冷延鋼板を陰極とし、CrO3:100g/、
NaSCN:0.5g/、Na2SiF6:7g/を含有す
る電解クロメート処理液中で、液温50℃、電流密
度20ASD、電解時間2secで電解クロメート処理
を行ない、そして無通電浸漬を2sec間行なうこと
によつて、水和クロム酸化物5mg/m2、金属クロ
ム150mg/m2冷延鋼板表面に付着させた。次いで、
この鋼板を陽極として、CrO3:50g/を含有す
る電解クロメート処理液中で、液温40℃、電流密
度10ASD、電解時間0.5secで処理した。 実施例 2 第二工程の陽極処理の電解液をCrO3:50g/
、H2SO4:0.3g/含有したものとした以外
は、実施例1と同じ条件で冷延鋼板を処理した。 比較例 1 冷延鋼板を陰極とし、CrO3:100g/、
NaSCN:0.5g/、Na2SiF6:7g/を含有す
電解液中で、液温50℃、電流密度30ASD、電解
時間1.5secで電解クロメート処理を行ない、そし
て無通電浸漬を2sec間行なうことによつて、水和
クロム酸化物5mg/m2、金属クロム100mg/m2冷延
鋼板表面に付着させた。次いで、この鋼板を陰極
として、CrO3:50g/を含有する電解クロメー
ト処理液中で、液温50℃、電流密度30ASD、処
理時間1secでクロメート処理した。 比較例 2 第二工程の陰極処理における電解液をCrO3:
50g/、H2SO4:0.3g/含有するものとし、
電流密度30ASD、電解時間0.5secでクロメート処
理する以外は、比較例1と同じ条件で冷延鋼板を
処理した。 比較例 3 冷延鋼板を陰極として、CrO3:100g/、
NaSCN:0.5g/Na2SiF6:7g/を電解液と
して、液温50℃、電流密度30ASD、電解時間
1.5secで電解クロメート処理した。 以上の処理鋼板について、蛍光X線でCr付着
量水和クロム酸化中SO4 2-量を測定し、その結果
を表−1に示す。
【表】
表−1から、本発明鋼板、実施例2の様に第二
工程での電解液中に硫酸根を含有していても鋼板
表面に生成した水和クロム酸化物中には硫酸根が
配位しないことがわかる。また比較例1〜比較例
3に示す様に、電解液中の硫酸根量が少ない程、
水和クロム酸化物中の硫酸根は低減し、比較例1
の様に電解液中に硫酸根が添加されていなくて
も、鋼板表面上の水和クロム酸化物中にはSO4 2-
が配位する(第一工程で残留した水和クロム酸化
物中の硫酸根が配位したと思われる)。また、実
施例1〜2、比較例1〜3について、処理後にそ
れぞれの電解液中で無通電浸漬を5sec〜20sec行
なつた後の鋼板表面上の水和クロム酸化物量を蛍
光X線で測定した結果を第5図に示す。第5図か
ら、いずれの比較例も鋼板表面上の水和クロム酸
化物が、無通電浸漬によつて減少しており、電解
液中で水和クロム酸化物が溶解することがわかつ
た。一方、本発明鋼板の実施例は、いずれも、そ
の表面上の水和クロム酸化物は、無通電浸漬によ
つて減少せず、電解液中では水和クロム酸化物が
溶解しないことがわかつた。これは前述した様
に、本発明鋼板は、水和クロム酸化物中にSO4 2-
が含有しないことによると思われる。 以上説明したように、本発明によれば、鋼板表
面の水和クロム酸化物が電解液中で無通電浸漬時
に溶解しないことから、工業的製造ラインでは、
簡便な電気的制御によつて、その水村クロム酸化
物量の安定した付着制御が可能である。
工程での電解液中に硫酸根を含有していても鋼板
表面に生成した水和クロム酸化物中には硫酸根が
配位しないことがわかる。また比較例1〜比較例
3に示す様に、電解液中の硫酸根量が少ない程、
水和クロム酸化物中の硫酸根は低減し、比較例1
の様に電解液中に硫酸根が添加されていなくて
も、鋼板表面上の水和クロム酸化物中にはSO4 2-
が配位する(第一工程で残留した水和クロム酸化
物中の硫酸根が配位したと思われる)。また、実
施例1〜2、比較例1〜3について、処理後にそ
れぞれの電解液中で無通電浸漬を5sec〜20sec行
なつた後の鋼板表面上の水和クロム酸化物量を蛍
光X線で測定した結果を第5図に示す。第5図か
ら、いずれの比較例も鋼板表面上の水和クロム酸
化物が、無通電浸漬によつて減少しており、電解
液中で水和クロム酸化物が溶解することがわかつ
た。一方、本発明鋼板の実施例は、いずれも、そ
の表面上の水和クロム酸化物は、無通電浸漬によ
つて減少せず、電解液中では水和クロム酸化物が
溶解しないことがわかつた。これは前述した様
に、本発明鋼板は、水和クロム酸化物中にSO4 2-
が含有しないことによると思われる。 以上説明したように、本発明によれば、鋼板表
面の水和クロム酸化物が電解液中で無通電浸漬時
に溶解しないことから、工業的製造ラインでは、
簡便な電気的制御によつて、その水村クロム酸化
物量の安定した付着制御が可能である。
第1図は鋼板表面における水和クロム酸化物量
と第二工程電流密度との関係を示す図、第2図は
鋼板表面の金属クロムから酸化生成した3価クロ
ムおよび6価クロムの分配率と第二工程電流密度
との関係を示す図、第3図は鋼板表面の水和クロ
ム酸化物中のSO4 2-量と第二工程電流密度との関
係を示す図、第4図は無通電浸漬後における鋼板
表面の水和クロム酸化物量と第二工程電解液中浸
漬時間との関係を示す図、第5図は、無通電浸漬
時間と鋼板表面の水和クロム酸化物量との関係を
示す図である。
と第二工程電流密度との関係を示す図、第2図は
鋼板表面の金属クロムから酸化生成した3価クロ
ムおよび6価クロムの分配率と第二工程電流密度
との関係を示す図、第3図は鋼板表面の水和クロ
ム酸化物中のSO4 2-量と第二工程電流密度との関
係を示す図、第4図は無通電浸漬後における鋼板
表面の水和クロム酸化物量と第二工程電解液中浸
漬時間との関係を示す図、第5図は、無通電浸漬
時間と鋼板表面の水和クロム酸化物量との関係を
示す図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 鋼板を陰極電解処理して、その表面に金属ク
ロム層を形成し、 次いで、Cr6+2g/以上を含んだメツキ浴で、
電流密度3A/dm2以上で、前記鋼板を陽極電解処
理することによつて、前記鋼板の表面に形成され
た前記金属クロム層の一部の金属クロムを、Cr3+
の水和クロム酸化物に変えて、前記鋼板の表面
に、下層として前記金属クロム層を、上層として
Cr3+の水和クロム酸化物層を形成するようにした
ことを特徴とする電解クロメート処理鋼板の製造
方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7125582A JPS58189391A (ja) | 1982-04-30 | 1982-04-30 | 電解クロメ−ト処理鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7125582A JPS58189391A (ja) | 1982-04-30 | 1982-04-30 | 電解クロメ−ト処理鋼板の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS58189391A JPS58189391A (ja) | 1983-11-05 |
| JPH0214437B2 true JPH0214437B2 (ja) | 1990-04-09 |
Family
ID=13455413
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP7125582A Granted JPS58189391A (ja) | 1982-04-30 | 1982-04-30 | 電解クロメ−ト処理鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS58189391A (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR100403464B1 (ko) * | 1998-12-09 | 2003-12-18 | 주식회사 포스코 | 내식성 및 도료밀착성이 우수한 표면처리방법 |
-
1982
- 1982-04-30 JP JP7125582A patent/JPS58189391A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS58189391A (ja) | 1983-11-05 |
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