JPH0237390B2 - - Google Patents
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- JPH0237390B2 JPH0237390B2 JP57069290A JP6929082A JPH0237390B2 JP H0237390 B2 JPH0237390 B2 JP H0237390B2 JP 57069290 A JP57069290 A JP 57069290A JP 6929082 A JP6929082 A JP 6929082A JP H0237390 B2 JPH0237390 B2 JP H0237390B2
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Description
本発明は、重質炭化水素油を軽質炭化水素油に
転換するための重質炭化水素油の軽質化方法に関
するものである。 本発明で対象とする重質炭化水素油とは、原油
又は原油の常圧蒸留残渣若しくは減圧蒸留残渣
油、及びタールサンドから抽出したタールサンド
原油、石炭液化油、さらにそれらの混合物を包含
するものである。このような重質炭化水素油は、
通常、沸点90〓以上の成分が多量に含まれ、さら
にその成分にはアスフアルテンと呼称される高分
子量の縮合芳香族炭化水素化合物、重金属、イオ
ウ化合物及び窒素化合物等の汚染物質を多量に含
有している。なお、ここで言うアスフアルテンと
は、n―ヘプタン不溶分を指すものである。 本発明により特に効果的に処理される重質炭化
水素油は約20°以下のAPI比重を持ち、沸点が900
〓以上の重質留分を約10容量%以上、殊に20容量
%以上含有する、アスフアルテン含量が高く、か
つ高粘度のものである。本発明で有利に処理され
る重質炭化水素油の種類をその性状とともに具体
的に示すと、例えば、次の通りである。 ベネズエラ産出原油(ボスカン原油) 比 重(゜API) 9.4 粘度(50℃、CP) 4950 ヘプタン不溶分(wt%) 11.9 900〓+留分含有量(vol%) 60 バナジウム(wt―ppm) 1190 ニツケル(wt―ppm) 112 中近東産出常圧残渣油(カフジ常圧残渣油) 比 重(゜API) 11.2 粘度(50℃、cp) 3200 ヘプタン不溶分(wt%) 8.6 900〓+留分含有量(vol%) 70 バナジウム(wt―ppm) 100 ニツケル(wt―ppm) 33 カナダ産オイルサンドビチユーメン 比 重(゜API) 9.6 粘度(50℃、cp) 3100 ヘプタン不溶分(wt%) 7.7 900〓+留分含有量(vol%) 55 バナジウム(wt―ppm) 190 ニツケル(wt―ppm) 78 前記したような重質炭化水素油は、天然には豊
富に存在し、将来は有望な炭化水素資源と見なさ
れてはいるものの、現在のところ、極端に低品位
の燃料油として利用されるか、あるいは単に道路
用アスフアルトとして利用されているにすぎな
い。 従来、このような劣悪な重質炭化水素油を有効
に利用するために、付加価値の高い軽質炭化水素
油へ軽換する技術の開発に多くの研究が向けられ
てきたが、プロセスの経済性を考えた時に、未だ
満足すべき技術は確立されていない。なお、ここ
で言う軽質炭化水素油とは、沸点が900〓以下の
成分を指称する。 次に、前記重質炭化水素油に関し、その付加価
値を高めるために従来検討されてきた技術につい
て説明すると次の通りである。 (1) 熱分解法 この方法は、重質炭化水素油を、350〜550℃
の温度、常圧〜50Kg/cm2の圧力、5分〜5時間
の滞留時間の操作条件で熱分解する方法であ
り、その代表的なものとしてビスブレーキング
法とコーキング法がある。ビスブレーキング法
は、重質炭化水素油を、その粘度低下を目的と
して、比較的緩和な条件下で熱分解する方法
で、その熱分解率は、生成油の熱安定性及び貯
蔵安定性の点から制限される。一方、コーキン
グ法は、重質炭化水素油を、比較的な苛酷な条
件で熱分解して、軽質炭化水素油とコークスに
転換する方法である。この方法では、軽質化炭
化水素油を得ることはできるが、多量のコーク
の副生を回避することができない。しかも、こ
の際得られるこれらのコークは、多量に不純物
を含み、有効利用がはかれない、また生成油は
熱安定性及び貯蔵安定性が著しく悪いため、水
素化処理することが必要である。従つて、この
方法も重質炭化水素油の軽質化法としては不満
足なものである。 また、これらコークの発生を抑制する目的で
重質炭化水素油を水素気流中で熱的に分解する
方法が知られているが、この方法によると、生
成油中のコーク量は減少できるが、重質炭化水
素油の熱分解率は十分ではなく、特に高分子量
留分の分解率は小さく熱安定性についての改善
はみられない。 (2) 接触的水素化分解法 この方法は、重質炭化水素油を、400〜480℃
の温度、100〜250Kg/cm2Gの圧力、0.1〜
10Hr-1の液空間速度及びH2/油比250〜2500N
/の操作条件下で、水素化分解能を有する
触媒の存在下で分解する方法である。この方法
は、一般的に、固定床又は沸騰床方式で実施さ
れるが、固定床方式の場合、コーキングによる
触媒層の閉塞が生じやすいため、反応温度は、
コーキングを回避するために、430℃以下に保
持しなければならない。従つて、固定床方式に
おいては十分な分解率は達成できない。一方、
沸騰床方式の場合、固定床方式の場合に比べ、
より高温での処理が可能であるが、高温になる
と、コーキングによる触媒の劣化速度が非常に
大きくなるという問題があり、しかもこの方式
の場合、ガス状炭化水素が多量に生成し水素消
費量が大きいためにプロセスの経済性が著しく
損われるという問題がある。従つて、前記の理
由により、この接触的水素化分解法も、重質油
の軽質化法としては満足すべきものではない。 (3) ビスブレーキングと水素化脱硫との結合法以
上の方法による欠点を改善するための試みとし
てビスブレーキングと脱硫方法を組合せ、製品
の安定化と脱硫を達成する方法が提案され、て
いる。この方法においては、ビスブレーキング
工程の後に水素化脱硫工程が結合されている。
しかしながら、このような結合法は、ビスブレ
ーキングの機能に対し、生成油の安定化と脱硫
を行うという水素化脱硫の機能を単に付加した
程度のものであり、その技術の本質は、ビスブ
レーキングの技術範囲を超えるものではない。
すなわち、ビスブレーキングと水素化脱硫の結
合法に関しては、その技術の本質はあくまでも
重質炭化水素油の粘度低下にあつて、この結合
法は、重質炭化水素油の軽質化に適合するもの
ではない。もしこのような結合法において、重
質炭化水素油の分解率を高めるために、ビスブ
レーキング工程における熱処理条件を苛酷にす
ると、重質炭化水素油中のレジンやアスフアル
テンなどの縮合多環芳香族化合物がさらに重縮
合して、重質炭化水素油中には本来存在しない
ベンゼン不溶の巨大分子を形成するようになる
ため、この場合には、逆に水素化処理に著しい
困難が生じるようになる。従つて、従来のビス
ブレーキングと水素化脱硫との結合法の場合、
重質炭化水素油の軽質化方法としては適合しな
い。また、工程の組合せの順序の違えた水素化
脱硫とビスブレーキングの組合せ法もみられる
(特公昭50―3321)。 しかしながら、この方法においても、製品の
熱安定性を維持する非要上、熱分解の条件を緩
和せねばならず、従つて軽質化法としては適合
しない。 次に、別の態様として、先の熱水素化分解方
法に、接触水素化処理を組合せた方法も提案さ
れている。しかしながらこの方法は、熱分解油
の全てを接触処理するのではなく、900〓以上
のピツチ留分を、分離除去せしめた軽質留分の
みを処理するため、多量の900〓以上の留分が
副生することになる。 以上述べたように、従来の技術においては、重
質炭化水素油を経済的にかつ収率よく軽質化処理
し、安定性にすぐれた処理油を得る方法は未だ提
案されていない。安定性の悪い軽質化生成油は、
貯蔵中にスラツジが生じたりして層分離を起すほ
か、更に精製処理する場合、装置の壁面等を汚し
易い。また、かかる生成油は他の炭化水素油との
相溶性が悪い。 本発明者らは、前記した従来法における欠点を
克服し、重質炭化水素油を経済的にかつ効率よく
軽質化処理し、しかも熱安定性及び貯蔵安定性に
すぐれた処理油を得る方法を開発すべく鋭意研究
を重ねた結果、重質炭化水素油を特定範囲の条件
で熱処理すると共に、得られた熱処理油を、さら
に特定の触媒を用いて、特定範囲の条件で水素化
処理する時には、意外にも、従来の軽質化方法で
は達成することのできなかつた高い収率で、しか
も安定性及び相溶性にすぐれた生成油を収得し得
ることを見出し、本発明を完成するに到つた。 すなわち、本発明によれば、重質炭化水素油か
ら、軽質炭化水素油を製造するにあたり(i)該重質
炭化水素油を、温度400〜530℃、圧力0〜200
Kg/cm2G、滞留時間1分〜5時間の条件下でかつ
軽質化率15〜35容量%で熱分解する工程、及び(ii)
当該分解生成物を、そのまゝ/もしくは低沸点留
分を分離・除去した後、温度350〜450℃、圧力50
〜250Kg/cm2G、液空間速度0.1〜5Hr-1、H2/油
比100〜2000N/の条件下で、周期律表第
B,B,及びB族の金属から選ばれる少な
くとも1種の水素化用触媒金属成分を、周期律表
第,及び族の元素の中から選ばれる少なく
とも1種の元素の酸化物から構成される多孔質無
機酸化物担体(但し、マグネシウムシリケートを
主成分とする複鎖構造をもつ粘土鉱物は除く)に
複合化した触媒で、該触媒金属成分が、酸化物と
して計算して、触媒の全重量に基づいて約0.1〜
30重量%の範囲内の量で存在する触媒であつて、
しかも(a)平均細孔直径が約200〜400Åの範囲に在
ること、(b)細孔直径75Å以上の細孔容積が0.5〜
1.5c.c./gの範囲にあり、且つ細孔直径100Å以下
の細孔容積が0.1c.c./g以下、細孔直径200〜400
Åの細孔容積が0.2c.c./g以上、細孔直径1500Å
以上の細孔容積が0.03c.c./g以下であること、(c)
細孔直径75Å以上の細孔の表面積が約70m2/g以
上を有すること、及び(d)触媒粒子の平均相当直径
が約0.6〜5mmの範囲である触媒を用いて接触水
素化処理してトルエン不溶分0.5重量%以下の生
成油を得る工程からなることを特徴とする重質炭
化水素油の軽質化方法が提供される。 本発明の熱分解工程の処理条件は温度400〜530
℃、圧力0〜200Kg/cm2G、滞留時間1分〜5時
間の範囲で行われる。更に好ましくは、温度430
〜500℃、圧力5〜180Kg/cm2G、滞留時間10分〜
2時間の範囲の条件で熱分解を行うことが望まし
い。なお、滞留時間は、熱分解工程における反応
部空筒容積を60〓換算の原料油流量で除した値で
ある。また、該熱分解工程へ原料油とともにガス
状媒体を注入する方法を採用してもよく、これに
よりコーク生成を低減化できる。該ガス状媒体と
しては加熱したスチーム、水素及び窒素、更には
本発明の方法により生成するガス及び揮発性成分
の一成分または混合成分を使用することができ
る。当該熱分解と後述の水素化処理との組合せ
で、本発明が効果的に機能するのは、熱分解工程
での軽質化率(原料油中の重質成分(≧900〓)
の軽質成分(<900〓)への分解率)を15容量%
以上、好ましくは25容量%以上に設定することが
望ましい。 また、この軽質化率の上限は、この熱分解工程
で生成する熱安定性及び貯蔵安定性を悪化させる
原因物質(特にトルエン不溶分)の生成量の点か
ら、約35容量%以下にする。 また、該熱分解工程には管式加熱炉(コイルヒ
ーター)、管型反応器(チユーブラーリアクター)
もしくはチエンバー又はドラム型式のいずれの反
応方式を用いてもよい。更に、該熱分解工程を第
1次熱分解工程と第2次熱分解工程に分け、2段
階で処理する方法を採用してもよい。該2段熱分
解を行う場合には、上記した反応方式のいずれか
を組み合せ、夫々の工程の処理条件を前述した熱
分解の範囲で適宜に設定することにより行われ
る。例えば、該工程で管式加熱炉を用いて第1次
熱分解を行う場合は、その処理条件は温度450〜
530℃、圧力常圧〜200Kg/cm2G、滞留時間1分〜
20分の範囲で行うのが望ましく、コーキングによ
る加熱管内の閉塞を起さない範囲で一次分解を行
うことができる。又第2次熱分解工程は、温度
400〜500℃、圧力常圧〜200Kg/cm2G、滞留時間
5分〜5時間の範囲で処理することが望ましい。
また、該第2段熱分解の場合、第1次熱分解工程
からの第1次分解油を前述したガス状媒体と接触
させながら第2次分解を行うこともできる。 該熱分解工程での分解条件において、温度が
400℃以下では、分解反応の速度が遅く、目的と
する軽質化反応が終了するまで非常に長時間を要
するので実際的ではなく、また530℃以上の高温
では重縮合の速度が速すぎてピツチのコークス化
が進行し、次の接触水素化処理で処理困難な物質
が多量に生成するのみでなく、熱分解工程での反
応及び操作の制御がむずかしくなる。圧力は熱処
理で副次的に起きる重縮合やガス化、コークス化
反応には大きな影響を及ぼし、加圧するほどガス
生成量を減少させ、本発明の目的とするガソリン
や灯軽油などの液状生成油の収率が向上する。ま
た、反応圧は、反応が気相でおきるか気液混相で
おきるかを支配する因子としての影響が大きい。
加圧することにより、原料は加熱管中で液相に保
たれる割合が大きくなり、この結果、伝熱が良好
となり、局部的過熱が抑制されて、コークスの生
成が減少する。この効果は、ガス状媒体を用いて
熱分解する場合は、更に顕著であり、特に水素を
含むガスを媒体として用いると、単に上記効果以
外に熱水素化反応(Thermal Hydrocracking)
によりコークス化が著るしく低減される。一方、
平衡論的には、分解反応はいずれもモル数が増大
する反応であり、低圧あるいは希釈剤の使用によ
る分圧の低下が平衡に有利である。従つて、熱分
解工程での最適圧力は、原料油の性状、反応温度
などにより変わるが、本発明の方法では、0〜
200Kg/cm2Gの範囲で設定することが望ましい。
滞留時間は、反応温度とあきらかに相関性をも
ち、高温ほど短い滞留時間が使用される。また、
滞留時間が長くなるほど分解生成物は増加する
が、次第に重縮合反応も著しくなり、後続の接触
水素化処理で処理困難なコークスの生成量が増大
してくる。従つて、本発明の方法で採用される滞
留時間の範囲は、1分〜5時間、好ましくは10分
〜2時間であることが望ましい。 また、熱分解工程からの流出物は、後続の接触
水素化工程へ供給する前に、適切な反応時間内に
熱反応を停止させるため急冷操作が必要な場合が
ある。該急令操作は冷却媒体を直接該流出物中へ
注入してもよいし、適当な熱交換器を用いて間接
的に冷却してもよい。直接冷却する場合の冷却媒
体としては、水素もしくは窒素に富むガス、スチ
ーム又は本発明で製造される生成物の一部を循環
使用して行うことができる。 また、熱分解工程からの分解生成物は、その
まゝあるいはガス分のみ、もしくは軽質炭化水素
留分を分離除去したのち、接触水素化処理工程へ
送られる。該生成物中からガス分、もしくは軽質
留分を分離した重質留分のみを水素化処理する
か、あるいは熱処理工程からの流出物の全部を水
素化処理工程へ供給するかは、原料油の性状や、
目的とする製品の性状、更には熱分解工程と水素
化処理工程と連続的に実施するか等によつて適宜
選択すればよい。また分離方法は、通常よく使用
される気液分離器、蒸留塔等で行うことができ
る。また、熱分解工程と水素化処理工程を連続し
て一括処理する場合には、水素化処理工程で消費
される水素量の補給と熱分解生成物の急冷を同時
に行う目的で高純度の水素ガスを熱分解工程と水
素化処理工程の中間に注入するのが効果的方法で
あり、この場合には水素化処理工程後の気液分離
器から得られる水素に富むガスの一部もしくは全
量を熱分解工程へ循環使用し、該熱分解工程を水
素雰囲気で熱水素化処理する方法を採用すること
が望ましい。 本発明の水素化処理工程で用いられる触媒は、
周期律表第B,B,及びB族の金属から
選ばれる少なくとも1種の水素化用触媒金属成分
を、周期律表第,及び族の元素の中から選
ばれる少なくとも1種の元素の酸化物から構成さ
れる多孔質無機酸化物担体(但し、マグネシウム
シリケートを主成分とする複鎖構造をもつ粘土鉱
物は除く)に複合化した触媒で、該触媒金属成分
が、酸化物として計算して、触媒の全重量に基づ
いて約0.1〜30重量%の範囲内の量で存在する触
媒において、(a)平均細孔直径が約200〜400Åの範
囲に在ること、(b)細孔直径75Å以上の細孔容積が
0.5〜1.5c.c./gの範囲にあり、且つ細孔直径100
Å以下の細孔容積が0.1c.c./g以下、細孔直径200
〜400Åの細孔容積0.2c.c./g以上、細孔直径1500
Å以上の細孔容積が0.03c.c./g以下であること、
(c)細孔直径75Å以上の細孔の表面積が約70m2/g
以上を有すること、及び(d)触媒粒子の平均相当直
径が約0.6〜5mmの範囲であることを特徴とする
重質炭化水素油の熱分解生成油の水素化処理用触
媒である。 本明細書中で用いられる平均細孔直径APDの
値とは、次式によつて定義づけられる、単位がÅ
で表わされる値である。 APD=4×PV×104/SA (1) 式中のPV及びSAは、触媒単位重量当り、細孔
直径75Å以上の細孔が有する細孔容積の合計及び
表面積の合計をそれぞれ表わし、それらの単位は
それぞれc.c./g,m2/gであつた。以後、特にこ
だわらない場合は、、触媒グラム当り、細孔値75
Å以上の細孔を有する細孔容積の合計及び表面積
の合計をそれぞれ単に触媒の細孔容積及び表面積
とよぶ。 細孔直径、細孔容積及び表面積の値は、マーキ
ユリー・プレツシヤー・ポロシメーター モデル
70(イタリア国ミラノ市所在のカルロ・エルバ社
製)を用い、いわゆる水銀圧入法(詳しくは、E.
W.WASHBURN,Rroc.Natl Acad.Sci.,7,
P.115(1921),H.L.RITTER,L.E.DRAKE,
Ind.Eng.Chem.Anal.,17,P.782,P.787(1945),
L.C.DRAKE,Ind.Eng.Chem.,41、P.780
(1949),及びH.P.GRACE.J.Amer.Inst.Chem.
Engrs.,2,P.307(1956)などの文献に記載され
ている。)により求めた。この場合、水銀の表面
張力は25℃で474dyne/cmとし、使用接触角は
140゜とし、絶対水銀圧力を1〜2000Kg/cm2まで変
化させて測定した。この時の、75Å以上の細孔直
径は次式 細孔直径(単位Å) =150000/絶対水銀圧力(単位Kg/cm2) で表わされる。 本発明で用いる触媒粒子の平均相当直径ACD
の値は、次式によつて定義づけられる、単位がmm
で表わされる値である。 ACD=6 ×(触媒粒子の平均体積、単位mm3)/(触媒粒子
の平均外表面、単位mm2)(2) ここで用いる触媒粒子の平均体積及び平均外表
面の値は、触媒粒子の平均粒子直径を適当な方法
で測定し、その平均粒子直径を有する球相当の体
積及び外表面積で表わされる値である。この場合
の測定法は、例えば、直接計測法、フルイ分け
法、沈降法などがあり、具体的測定方法は、粉体
工学研究編“粒度測定技術”、日刊工業新聞社
(1975)に詳細に記載されている。 本発明に用いる触媒は、ある特定の水素化用金
属成分と、特定の元素から構成される多孔質無機
酸化物担体とからなる複合触媒であるが、その触
媒の物理的性状が上記したように特定の範囲に規
定されるのが最大の特徴である。すなわち、本発
明の触媒においては、最終的に触媒として使用す
るときの物理的性状、特に平均細孔直径、細孔容
積、細孔分布及び表面積などの触媒細孔構造に関
する性状と触媒粒子の平均相当直径とが重質炭化
水素油を熱分解して得た生成油の水素化処理を効
果的に行うのに重要な役割を担つており、そし
て、本発明では、それらの性状を特定の範囲に限
定したことにより、従来触媒では達成し得なかつ
た高い水素化処理活性(熱分解中に重縮合反応で
生成された高分子炭化水素成分の水素化分解活
性)を示し、かつ高分子重縮合生成物を含む熱分
解生成物の脱硫、脱金属を行うのに好適な選択性
を有し、安定性にすぐれた生成油を与え、しかも
それらの活性が実質的に長時間安定に維持され、
その上、成形触媒として十分な機械的強度を有す
る最適触媒を見出した。本発明の水素化処理工程
で用いる触媒の特徴とその効果について、以下具
体的に説明する。 重質炭化水素油を熱分解し、分解軽質化を行う
際には、大なり小なり重縮合反応でピツチ状物質
が生成する。また該ピツチ中には一般に原料油中
のS,N及びメタル分が濃縮していると同時に、
n―ヘプタン不溶分、トルエン不溶分もしくはピ
リジン不溶分などの溶剤不溶分が多く含まれてい
る。トルエン不溶分は原料油のアスフアルテンな
どの高分子炭化水素が熱重合し生成された重縮合
高分子化合物であり、その含有量は水素化処理生
成油の熱又は貯蔵に対する安定性及び他の炭化水
素油に対する相溶性に密接な関係を有する。即
ち、トルエン不溶分が0.5wt%以下、殊に0.15wt
%以下の生成油は実用上満足し得る安定性及び相
溶性を有する。 本発明の接触水素化処理工程で用いる触媒は、
上記した熱分解生成油を水素化処理して安定で良
質な製品油を得るに最適な触媒である。重質炭化
水素油の熱分解工程からの生成油を接触水素化処
理する場合に伴なう各種の水素化反応は、総じて
触媒の細孔内拡散が律速となるが、該熱分解油の
中に存在する分子量が数千にもおよぶ不安定な高
分子重縮合化合物の水素化もしくは水素化分解に
着目した場合、従来の重質炭化水素油の脱硫、脱
金属処理に用いられた触媒とその適合する触媒の
細孔径は異なる。n―ヘプタン不溶分及びトルエ
ン不溶分などの巨大分子が触媒の細孔内の活性点
へ容易に拡散するには、細孔の大きさを大きくす
るほど効果的である。しかし、触媒の細孔径を大
きくするほど、細孔内の活性表面積が小さくなる
ので、総括の反応速度は低下する。熱分解により
増加したアスフアルテン分及び熱分解により生成
したトルエン不溶分の水素化もしくは水素化分解
に対し良好な活性を示す細孔径範囲は触媒の平均
細孔直径で約200〜400Åの範囲である。平均細孔
直径が約200Å以下では、アスフアルテン分、ト
ルエン不溶分の分解を初め、重質ピツチ留分の脱
硫、脱金属などの反応には、細孔内拡散律速が大
きいため、効果的な水素化処理効果を示さない。
特に、熱分解生成油中のアスフアルテンや重金属
の含有量が多いと、これら小・中細孔は、金属と
コークの堆積によつて容易に縮小され、アスフア
ルテンの細孔内への拡散が一層阻害されると同時
に、コークと金属の堆積物が細孔入口を閉塞する
ようになる。従つて、このような小・中細孔の触
媒は、アスフアルテンや重金属の含有量が高い熱
分解生成油に対しては、短期間の使用により、細
孔内部に活性が残存する表面を保有するが、実質
的な触媒機能を全く失なつた空細孔が触媒内部に
形成されるため、とうてい実用性ある触媒とする
ことはできない。 このような理由から、平均細孔直径が約200Å
以下の細孔は、アスフアルテン及び重金属を多く
含む重質炭化水素油の熱分解には有効ではなく、
また、触媒利用効率を向上させる意味からも、触
媒の有する全細孔容積の内で、細孔直径が約200
Å以下の細孔容積は少ない方がよく、具体的には
細孔直径約100Å以下の細孔容積は約0.1c.c./g以
下、殊に0.08c.c./g以下であることが望ましい。
一方、細孔直径が約400Å以上の細孔は、アスフ
アルテンの拡散ということからは十分に大きい
が、逆に、細孔が大きすぎるため細孔表面積がそ
の細孔径の増大に応じて急激に減少すると共に、
全充填触媒容積当りのアスフアルテン分解反応活
性が低下してしまうし、更に細孔が大きくなるほ
どアスフアルテンの細孔内での滞留が長くなるた
め細孔表面へのコークの沈積が多くなり、その結
果として細孔表面活性がコーク被毒により低下し
てしまう。以上の理由から、本発明の水素化分解
工程に最も効果的な触媒は、細孔直径約200〜400
Åを有するもので、そしてその範囲の細孔容積が
大きいほど充填触媒の利用効率が向上する。本発
明の場合、細孔直径約200〜400Åの細孔容積は、
約0.2c.c./g以上、好ましくは約0.3c.c./g以上で
あることが望ましい。すなわち、水素化分解に高
活性な触媒は細孔直径約200Å以上、約400Å以下
の範囲に細孔を多数有する触媒である。 触媒の表面積SAは、好ましい触媒活性を得る
上で、約70m2/g以上に規定するのがよい。 触媒粒子の大きさは、一般に、細孔内拡散が支
配する反応においては、非常に大切な因子である
ことが知られており、(詳しくは、P.H.
EMMETT,“Catalysis”,vol.,Reinhold
Publishing Corporation New York(1955)及
びC.N.Satterfield,“Mass Transfer in
Heterogeneous Catalysis”,M.I.T.Press,
Massachusetts(1970)参照)、本発明において
は、この触媒粒子の大きさを細孔直径と関連させ
て規定した点にも大きな特徴がある。 水素化処理での反応活性は、触媒粒子径が大き
くなると、指数関数的に減少するが、上記の平均
相当直径以上では、触媒粒子が大きすぎて満足す
る触媒活性が達成されないからである。しかしな
がら、触媒粒子が小さすぎると、従来より重質炭
化水素油の接触水素化処理装置として広く利用さ
れている固定床、移動床及び沸とう床などの反応
方式に対する使用が困難になつてくる。例えば、
触媒粒子が小さすぎると、固定床方式では触媒層
の差圧の増大及び使用時での触媒の粉化、重金属
及びコークスの粒子間沈積による触媒の塊化など
種々の不利益が生じる。従つて、これらの通常用
いられる反応方式で使用する場合には、触媒粒子
径は平均相当直径として約0.6〜5mmの範囲であ
るのが望ましい。 また、工業的使用という観点から最適触媒が具
備すべき重要な要件は、その機械的強度が満足で
きる十分な強度を有していることである。一般に
触媒の機械的強度の表現法としては、成形触媒で
は、圧縮強度(Crushing Strength)と表面摩耗
度(Abrasion Loss)が採用されているが、細孔
容積PVが0.5〜1.5c.c./gの範囲にあることが望
ましい圧縮強度を確保する上で必要である。細孔
直径1500Å以上の細孔容積の合計が多いと圧縮強
度の低下及び表面摩耗度が極端に大きくなり、工
業触媒の強度という面から、細孔直径1500Å以上
の細孔容積は約0.03c.c./g以下であることが必要
である。細孔直径1500Å以上の巨大孔は触媒のク
ラツク特性に関連するだけで、アスフアルテンの
分解活性に殆ど寄与しない。従つて、このような
巨大孔の存在はできるだけ少なくするのが好まし
い。 また、本発明の水素化処理に用いる触媒の担体
物質は、周期律表第,及び族の中から選ば
れる元素の少なくとも1種の元素の酸化物から構
成される多孔質無機酸化物である。このようなも
のとしては、例えば、アルミナ、シリカ、チタニ
ア、ボリア、ジルコニアなどの単一元素の酸化
物、シリカ―アルミナ、シリカ―マグネシア、ア
ルミナ―マグネシア、アルミナ―チタニア、シリ
カ―チタニア、アルミナ―ボリア、アルミナ―ジ
ルコニア、シリカ―ジルコニアなどの複合元素の
酸化物などがあり、これらの酸化物は単独又は2
種以上の混合物として適用される。 触媒の構成成分の1つである水素化用の触媒金
属成分、周期律表の第B,B,及びB族
の金属の中から選ばれる少なくとも1種の遷移金
属を含むもので、特に好ましくは、バナジウム、
モリブデン、タングステン、クロム、コバルト、
ニツケル又は銅を含むものである。これらの触媒
成分は金属状態もしくは金属酸化物、金属硫化物
のいずれの状態でも有効であり、また、イオン交
換などにより金属成分の一部が触媒担体と結合し
た形態で存在してもよい。この金属成分の含有量
は、酸化物として計算して、触媒全重量に基づい
て約0.1〜30重量%の範囲内の量であることが必
要である。金属含有量が酸化物として約0.1重量
%以下の場合は触媒の活性が不十分でコーキング
が起り易く、触媒寿命が短かくなる。また30重量
%以上の場合はコストが高くなりまた触媒表面積
が減少する。 本明細書において引用する「周期律表」は、
“Websters 7th New Collegiate Dictionary”
C&C Merriam Company,Springfield,
Massachusetts,USA(1965)のP.628に記載され
ている周期律表である。 触媒金属成分は、本発明の方法で熱分解からの
熱分解生成油の水素化処理に伴なう各種反応、例
えば、水素化、水素化分解、脱金属、脱硫及び脱
窒素などの活性を支配するものであり、金属成分
の選定及び組合せは、水素化処理で特に着目する
反応により任意に決められる。 次に、本発明の方法で用いる水素化処理用触媒
の製造法は、前記したように、最適の触媒活性、
安定性及び強度を得るために、その触媒の細孔構
造、特に平均細孔直径、細孔容積及び細孔分布を
特定のものにした触媒が製造できる方法であれば
従来のいずれの製造法を用いてもよい。 次に、本発明の水素化処理法における反応方式
は、触媒形状などを適当に選定することにより、
固定床、移動床、流動床及び沸騰床などの通常の
流通式反応方式で行うことができ、反応生成物と
触媒が反応領域より同伴流出することなく水素化
処理が可能である。また反応部への反応物の供給
は反応器上部、下部のいずれから行つてもよい。
すなわち、反応器内の気液の流れは並流上向流、
下向流いずれの方式を採用しても構わない。 また、触媒粒子の形状は顆粒状、球形もしくは
円柱形のいずれでもよいが、、特にアスフアルテ
ン及び重金属含有量の高い重質炭化水素油の熱分
解生成油を水素化処理する際には、中空円筒形又
はその断面が非円形、例えば、楕円、トリロー
ブ、多裂葉状もしくは長さ方向に沿つて少なくと
も1個以上の溝を具える表面を有する細長い押出
し成型触媒を用いることが望ましい。このような
異形触媒を固定床で用いると、反応器内の空隙率
が大きくなり、触媒層の圧力損失が小さくなるば
かりでなく、触媒粒子間へのコーク及び金属堆積
による触媒層の閉塞が著しく緩和される効果があ
る。 本発明の水素化処理における処理条件に関して
は、温度350〜450℃、好ましくは370〜430℃、水
素圧50〜250Kg/cm2G、好ましくは80〜200Kg/cm2
G、液空間速度0.1〜5Hr-1、好ましくは0.2〜
3Hr-1である。 反応温度が350℃未満では、触媒活性は十分発
揮されず水素化処理工程での反応転化率が実用的
な程度までに至らない。また450℃を越えると、
アスフアルテンの重縮合反応によりアスフアルテ
ンが減少せず、むしろ逆に増大する傾向が見ら
れ、更にコーキング反応が激しくなり、安定性が
悪いなどの生成油の品質低下、触媒活性の低下、
さらに触媒粒子の塊化などをきたす。水素圧は50
Kg/cm2G未満になると、コークの生成が激しく触
媒の正常な活性維持が極端にむずかしくなる。
250Kg/cm2Gを越えると、水素化分解反応が激し
くなり水素消費量の増大、製品油収率の低下など
とともに反応器その他の関連機器のコストが急上
昇し経済的面から実用性が失なわれる。液空間速
度が0.1Hr-1未満では、油の滞留時間が長くなり
特に重質成分が熱作用を受け変質し製品油の品質
の低下をきたすし、一方、5Hr-1を越えると1回
通過当りの反応転化率が低く実用的でなくなつて
しまう。 反応部へ供給する熱分解生成油と水素もしくは
水素を含むガスとの混合割合は、1気圧で15℃の
熱分解生成油1容積当り15℃の水素100〜2000容
積(100〜2000N/)、好ましくは500〜
1000N/で行われる。これは、100N/
未満では、反応部での水素が欠乏すると同時に水
素の液への移行が悪くなりコーキング反応などが
起き、触媒及び製品油の性状に悪影響を及ぼすか
らである。一方、2000N/を越えると反応面
での障害はないが本発明の方法を何ら改良するも
のでない。水素の循環に用いる圧縮機のコストは
循環水素ガス量が増すほどに高くなり、2000N
/を越えると極めて高くなるため2000N/
が水素循環の実用的上限である。反応部へ供給
する水素に富む循環ガス中には硫化水素が含まれ
ていても何ら悪影響を及ぼさないばかりでなくむ
しろ適度の量が含まれている方が反応を促進する
傾向がある。これは、本発明に用いる触媒は上記
反応条件では硫化水素と何らかの相互作用し、硫
化水素は触媒活性の維持にある種の役割を果して
いるためであり、反応へ供給する水素ガス中に硫
化水素を10モル%まで含むことは本発明の中に含
まれるものである。水素化処理工程で上記の反応
条件下で処理された後の触媒を含まない反応生成
物は気液分離工程へ送られ水素に富むガスと実質
的に液体のみからなる反応生成物とに分離され
る。気液分離方法及び装置は通常の固定床、沸騰
床などの脱硫プロセスで用いられるものでよく、
特に規定するものではない。 また、該水素に富むガスを熱分解工程もしくは
水素化処理工程へ循環使用することもできるし、
熱分解生成物の急冷媒体とて用いてもよい。ま
た、アスフアルテンや重金属を多く含有する重質
炭化水素を本発明の方法で処理し、アスフアルテ
ンや重金属を実質的に含まない軽質炭化水素油を
高収率で得ようとする場合には、水素処理工程か
らの反応生成物を、分離工程で実質的にアスフア
ルテン及び重金属を含まない軽質留分と、アスフ
アルテン及び重金属を含む重質留分とに分離し、
該重質留分の全量もしくは一部を再び前記熱分解
工程もしくは水素化処理工程へ循環する方法が有
利である。この方法によれば、アスフアルテンを
多量含む熱分解生成油を、アスフアルテン及び重
金属を含まない軽質油に連続的に転換することが
できる。このような循環処理法の場合、水素消費
量及び触媒消費量は著しく低減され、しかも軽質
油の収率が高いという利点が得られる。この分離
工程での分離手段は特別である必要はなく、通常
良く利用されている蒸留、溶剤脱れきなどの方法
で行うことができる。 分離工程に溶剤脱れき法を採用する場合には使
用する溶剤は低分子量の炭化水素、例えば、メタ
ン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペ
ンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ヘキサ
ン、イソヘキサンなどから選ばれた1種以上のも
のであり、これと液状反応生成物は向流接触され
る。 溶剤脱れきの操作条件としては、温度10〜250
℃、好ましくは50〜150℃、圧力3〜100気圧、好
ましくは10〜50気圧の範囲でなされる。また、前
記した触媒のみを用いて本発明の方法により処理
することにより、品質の向上した生成油が得られ
るが、この生成油は、従来法によつて得られる生
成油とは異なつた特異な性状を有することが判明
した。すなわち、生成油に含まれる炭化水素の分
子量がほぼ約200〜2000の範囲に分布しているこ
と、生成油中に若干残存するアスフアルテンが熱
分解生成油中のそれに比べ、かなり低分子量であ
ること、しかも、残存アスフアルテン中の硫黄及
び重金属含有量が著しく低減されていること、並
びに熱分解生成油中の硫黄、窒素などの分布に比
べ、生成油中のそれらの成分は軽質留分中により
多く分布する。さらに、この生成油は熱分解生成
油の性状に関係なく、従来法によつて得られる水
素化処理油とは異なつた特異な性状を有するもの
がえられる。すなわち本発明の方法によれば、軽
質化油を収率よくうるために第1段の熱分解をか
なり過酷なものとしても、第2段の水素化処理に
より得られる生成油は安定性及び相溶性に全く問
題のないものがえられる。すなわち水素化処理油
を更に精製処理してえられる生成油は安定性にす
ぐれており、また水素化処理油の残渣油は相溶性
にすぐれているため各種重油への混合原料とする
ことができ、しかも得られる重油は貯蔵中にスラ
ツジ等は生成せず安定性にすぐれている。 前記したように、本発明の方法を採用すること
により、重質炭化水素油の分解軽質化、更に脱金
属、脱硫などを効率的に行いコンラドソン炭素分
も低減したものが得られるため、付加価値の高い
製品油を得ることができるものであり、得られた
生成油は接触分解などにより高品位のガソリンを
得る際の原料油もしくは水素化分解などにより灯
油、ジエツト燃料油及びジーゼル油などを得る際
の原料油として最適である。 本発明者らは、本発明の方法で得られる生成油
が、このような特異な性状を有することに着目
し、この生成油を更に高品位化するための水素化
処理に関して種々研究を重ね、工業的に極めて有
利な重質炭化水素油の熱分解油に対する2段水素
化処理法を開発した。 すなわち、本発明の方法は、熱分解工程から得
られた生成油を、次の2段水素化処理工程で処理
する方法が包含される。 (a) 熱分解生成油を、温度350〜450℃、水素圧力
50〜250気圧、液空間速度0.1〜5.0Hr-1の水素
化処理条件下、前記した水素処理用触媒と接触
させて水素化処理する工程、 (b) 前記工程(a)で得られた水素化処理生成油の少
なくとも1部分を、温度350〜450℃、水素圧力
50〜250気圧、液空間速度0.1〜5.0Hr-1の水素
転化処理条件下、多孔質アルミナ含有担体に、
水素化用金属成分として、周期律表第B族の
金属の酸化物及び硫化物の中から選ばれる少な
くとも1種と第族の金属の酸化物及び硫化物
の中から選ばれる少なくとも1種とを複合させ
た、平均細孔径約80〜200Å、細孔直径75Å以
上の細孔容積PV約0.4〜1.5c.c./g及び細孔直
径75Å以上の細孔を有する表面積SA約100〜
400m2/gを有する触媒に接触させて水素転化
処理する工程。 前記第2水素化処理工程(b)において、担体に担
持させる水素化用金属成分としては、周期律表第
B族の金属の酸化物及び硫化物の中から選ばれ
た少なくとも1種と、第族の金属の酸化物及び
硫化物の中から選ばれた少なくとも1種との組合
せである。更に好ましくは、クロム、モリブデン
及びタングステンの酸化物及び硫化物の中から選
ばれた少なくとも1種と、コバルト及びニツケル
の酸化物及び硫化物の中から選ばれる少なくとも
1種との組合せである。これらの金属成分は、担
体に対し、触媒の全重量を基準に、酸化物として
計算して、第B族の金属成分(A)が約2〜40重量
%、第族の金属成分(B)成分が約0.1〜10重量%
の量が含有もしくは担持されているのが望まし
い。 上記金属成分に加え、更に助触媒成分として、
チタン、ホウ素、リン及びフツ素の群から選ばれ
る少なくとも1種の化合物もしくはボロンホスフ
エート、フツ化ボロンのいずれかを複合化するこ
とによりさらに脱窒素及びコンラドソン炭素分を
低減させる反応を促進させることもできる。この
助触媒成分の量は、触媒の全重量を基準に酸化物
として計算して、約1〜30重量%を含有させるの
が効果的である。 第2段水素化処理工程(b)に適用される触媒の製
造法は、最終触媒としての細孔構造、特に平均細
孔直径が約80〜200Å、細孔直径75Å以上の細孔
容積PVが約0.4〜1.5c.c./g及び細孔直径75Å以
上の細孔の有する表面積SAが約100〜400m2/g
の範囲になるなら、公知のいずれの製法によつて
もよい。また、第2段水素処理工程(b)の処理方
式、処理条件、及び触媒粒子径及びその形状など
は、本発明触媒を用いる水素化処理に関して前記
で示されたものと同様である。 第2段の水素化処理工程(b)で用いる触媒の担体
は、アルミナ含有担体、通常、アルミナ70重量%
以上含有する担体であり、好ましくは、アルミ
ナ、シリカ―アルミナが適用される。 また、工業的に有利に2段処理する場合、第1
段水素化処理によつて得られた生成油から、アス
フアルテンもしくは重金属を含む重質分を物理的
に分離するか、もしくは第2段の水素化処理によ
つて得られた生成油からアスフアルテンもしくは
重金属を含む重質分を物理的に分離し、この重質
分を再度第1段及び/又は第2段の水素化処理工
程もしくは熱分解工程へ循環してもよい。 なお、生成油を軽質留分と重質留分とに分離す
る工程は、前記で示したと同様に、特別の方法は
必要とされず、蒸留法、溶剤脱歴法などの方法に
より行うことができる。 本発明に係る上述した2段水素化処理方法は、
更に極端に多量のアスフアルテン及び重金属を含
む劣悪な重質油を処理する場合、もしくは生成油
の製品仕様が非常に厳しい場合にも、重質炭化水
素油を効率的に分解軽質化し且つ重質油の実質的
に全量を低硫黄で高品質の脱硫油にするために利
用できる優れた方法である。 次に、本発明の実施の一態様を図によつて説明
する。第1図において、原料油はライン1を通し
て送られて、ライン10から供給される水素に富
むガスと混合され、ライン2を通つて、熱分解工
程3に供給される。該熱分解工程3で熱分解処理
を受けた反応生成物は、ライン4を通り、ライン
5からの補給水素で混合急冷された後、ライン6
を通つて水素化処理工程7へ送られる。該水素化
処理工程7で、水素化処理を受けた反応生成物
は、ライン8を通り、気液分離工程9へ送られ
る。該気液分離工程9にて、水素に富むガスと液
体状の反応生成物とに分離する。水素に富むガス
は、ライン10により熱分解工程3へ循環使用さ
れる。一方、上記液状生成物はライン11を通し
製品として系外へ取り出すか、又はさらに製品仕
様を向上すべく水素化脱硫等の適当な後処理に付
される。 以上、本発明の重質炭化水素油を軽質化する方
法について説明したが、本発明を更に詳細に説明
するため以下に具体例を挙げて説明する。この具
体例は本発明を具体的に説明するものであつて、
これら具体例によつて本発明が限定されるもので
はない。 次に、本発明を実施例により更に詳細に説明す
る。 実施例 1 中近東産のカフジ原油からの減圧残渣油を原料
油とした、本発明の実施の1例を下記に示す。 原料油の性状は表―1に示すように比重が
6.8゜API、粘度が100℃で2320C.P.で、しかも900
〓以上の沸点留分が95.0vol%も含まれる代表的
な重質炭化水素油の1つである。
転換するための重質炭化水素油の軽質化方法に関
するものである。 本発明で対象とする重質炭化水素油とは、原油
又は原油の常圧蒸留残渣若しくは減圧蒸留残渣
油、及びタールサンドから抽出したタールサンド
原油、石炭液化油、さらにそれらの混合物を包含
するものである。このような重質炭化水素油は、
通常、沸点90〓以上の成分が多量に含まれ、さら
にその成分にはアスフアルテンと呼称される高分
子量の縮合芳香族炭化水素化合物、重金属、イオ
ウ化合物及び窒素化合物等の汚染物質を多量に含
有している。なお、ここで言うアスフアルテンと
は、n―ヘプタン不溶分を指すものである。 本発明により特に効果的に処理される重質炭化
水素油は約20°以下のAPI比重を持ち、沸点が900
〓以上の重質留分を約10容量%以上、殊に20容量
%以上含有する、アスフアルテン含量が高く、か
つ高粘度のものである。本発明で有利に処理され
る重質炭化水素油の種類をその性状とともに具体
的に示すと、例えば、次の通りである。 ベネズエラ産出原油(ボスカン原油) 比 重(゜API) 9.4 粘度(50℃、CP) 4950 ヘプタン不溶分(wt%) 11.9 900〓+留分含有量(vol%) 60 バナジウム(wt―ppm) 1190 ニツケル(wt―ppm) 112 中近東産出常圧残渣油(カフジ常圧残渣油) 比 重(゜API) 11.2 粘度(50℃、cp) 3200 ヘプタン不溶分(wt%) 8.6 900〓+留分含有量(vol%) 70 バナジウム(wt―ppm) 100 ニツケル(wt―ppm) 33 カナダ産オイルサンドビチユーメン 比 重(゜API) 9.6 粘度(50℃、cp) 3100 ヘプタン不溶分(wt%) 7.7 900〓+留分含有量(vol%) 55 バナジウム(wt―ppm) 190 ニツケル(wt―ppm) 78 前記したような重質炭化水素油は、天然には豊
富に存在し、将来は有望な炭化水素資源と見なさ
れてはいるものの、現在のところ、極端に低品位
の燃料油として利用されるか、あるいは単に道路
用アスフアルトとして利用されているにすぎな
い。 従来、このような劣悪な重質炭化水素油を有効
に利用するために、付加価値の高い軽質炭化水素
油へ軽換する技術の開発に多くの研究が向けられ
てきたが、プロセスの経済性を考えた時に、未だ
満足すべき技術は確立されていない。なお、ここ
で言う軽質炭化水素油とは、沸点が900〓以下の
成分を指称する。 次に、前記重質炭化水素油に関し、その付加価
値を高めるために従来検討されてきた技術につい
て説明すると次の通りである。 (1) 熱分解法 この方法は、重質炭化水素油を、350〜550℃
の温度、常圧〜50Kg/cm2の圧力、5分〜5時間
の滞留時間の操作条件で熱分解する方法であ
り、その代表的なものとしてビスブレーキング
法とコーキング法がある。ビスブレーキング法
は、重質炭化水素油を、その粘度低下を目的と
して、比較的緩和な条件下で熱分解する方法
で、その熱分解率は、生成油の熱安定性及び貯
蔵安定性の点から制限される。一方、コーキン
グ法は、重質炭化水素油を、比較的な苛酷な条
件で熱分解して、軽質炭化水素油とコークスに
転換する方法である。この方法では、軽質化炭
化水素油を得ることはできるが、多量のコーク
の副生を回避することができない。しかも、こ
の際得られるこれらのコークは、多量に不純物
を含み、有効利用がはかれない、また生成油は
熱安定性及び貯蔵安定性が著しく悪いため、水
素化処理することが必要である。従つて、この
方法も重質炭化水素油の軽質化法としては不満
足なものである。 また、これらコークの発生を抑制する目的で
重質炭化水素油を水素気流中で熱的に分解する
方法が知られているが、この方法によると、生
成油中のコーク量は減少できるが、重質炭化水
素油の熱分解率は十分ではなく、特に高分子量
留分の分解率は小さく熱安定性についての改善
はみられない。 (2) 接触的水素化分解法 この方法は、重質炭化水素油を、400〜480℃
の温度、100〜250Kg/cm2Gの圧力、0.1〜
10Hr-1の液空間速度及びH2/油比250〜2500N
/の操作条件下で、水素化分解能を有する
触媒の存在下で分解する方法である。この方法
は、一般的に、固定床又は沸騰床方式で実施さ
れるが、固定床方式の場合、コーキングによる
触媒層の閉塞が生じやすいため、反応温度は、
コーキングを回避するために、430℃以下に保
持しなければならない。従つて、固定床方式に
おいては十分な分解率は達成できない。一方、
沸騰床方式の場合、固定床方式の場合に比べ、
より高温での処理が可能であるが、高温になる
と、コーキングによる触媒の劣化速度が非常に
大きくなるという問題があり、しかもこの方式
の場合、ガス状炭化水素が多量に生成し水素消
費量が大きいためにプロセスの経済性が著しく
損われるという問題がある。従つて、前記の理
由により、この接触的水素化分解法も、重質油
の軽質化法としては満足すべきものではない。 (3) ビスブレーキングと水素化脱硫との結合法以
上の方法による欠点を改善するための試みとし
てビスブレーキングと脱硫方法を組合せ、製品
の安定化と脱硫を達成する方法が提案され、て
いる。この方法においては、ビスブレーキング
工程の後に水素化脱硫工程が結合されている。
しかしながら、このような結合法は、ビスブレ
ーキングの機能に対し、生成油の安定化と脱硫
を行うという水素化脱硫の機能を単に付加した
程度のものであり、その技術の本質は、ビスブ
レーキングの技術範囲を超えるものではない。
すなわち、ビスブレーキングと水素化脱硫の結
合法に関しては、その技術の本質はあくまでも
重質炭化水素油の粘度低下にあつて、この結合
法は、重質炭化水素油の軽質化に適合するもの
ではない。もしこのような結合法において、重
質炭化水素油の分解率を高めるために、ビスブ
レーキング工程における熱処理条件を苛酷にす
ると、重質炭化水素油中のレジンやアスフアル
テンなどの縮合多環芳香族化合物がさらに重縮
合して、重質炭化水素油中には本来存在しない
ベンゼン不溶の巨大分子を形成するようになる
ため、この場合には、逆に水素化処理に著しい
困難が生じるようになる。従つて、従来のビス
ブレーキングと水素化脱硫との結合法の場合、
重質炭化水素油の軽質化方法としては適合しな
い。また、工程の組合せの順序の違えた水素化
脱硫とビスブレーキングの組合せ法もみられる
(特公昭50―3321)。 しかしながら、この方法においても、製品の
熱安定性を維持する非要上、熱分解の条件を緩
和せねばならず、従つて軽質化法としては適合
しない。 次に、別の態様として、先の熱水素化分解方
法に、接触水素化処理を組合せた方法も提案さ
れている。しかしながらこの方法は、熱分解油
の全てを接触処理するのではなく、900〓以上
のピツチ留分を、分離除去せしめた軽質留分の
みを処理するため、多量の900〓以上の留分が
副生することになる。 以上述べたように、従来の技術においては、重
質炭化水素油を経済的にかつ収率よく軽質化処理
し、安定性にすぐれた処理油を得る方法は未だ提
案されていない。安定性の悪い軽質化生成油は、
貯蔵中にスラツジが生じたりして層分離を起すほ
か、更に精製処理する場合、装置の壁面等を汚し
易い。また、かかる生成油は他の炭化水素油との
相溶性が悪い。 本発明者らは、前記した従来法における欠点を
克服し、重質炭化水素油を経済的にかつ効率よく
軽質化処理し、しかも熱安定性及び貯蔵安定性に
すぐれた処理油を得る方法を開発すべく鋭意研究
を重ねた結果、重質炭化水素油を特定範囲の条件
で熱処理すると共に、得られた熱処理油を、さら
に特定の触媒を用いて、特定範囲の条件で水素化
処理する時には、意外にも、従来の軽質化方法で
は達成することのできなかつた高い収率で、しか
も安定性及び相溶性にすぐれた生成油を収得し得
ることを見出し、本発明を完成するに到つた。 すなわち、本発明によれば、重質炭化水素油か
ら、軽質炭化水素油を製造するにあたり(i)該重質
炭化水素油を、温度400〜530℃、圧力0〜200
Kg/cm2G、滞留時間1分〜5時間の条件下でかつ
軽質化率15〜35容量%で熱分解する工程、及び(ii)
当該分解生成物を、そのまゝ/もしくは低沸点留
分を分離・除去した後、温度350〜450℃、圧力50
〜250Kg/cm2G、液空間速度0.1〜5Hr-1、H2/油
比100〜2000N/の条件下で、周期律表第
B,B,及びB族の金属から選ばれる少な
くとも1種の水素化用触媒金属成分を、周期律表
第,及び族の元素の中から選ばれる少なく
とも1種の元素の酸化物から構成される多孔質無
機酸化物担体(但し、マグネシウムシリケートを
主成分とする複鎖構造をもつ粘土鉱物は除く)に
複合化した触媒で、該触媒金属成分が、酸化物と
して計算して、触媒の全重量に基づいて約0.1〜
30重量%の範囲内の量で存在する触媒であつて、
しかも(a)平均細孔直径が約200〜400Åの範囲に在
ること、(b)細孔直径75Å以上の細孔容積が0.5〜
1.5c.c./gの範囲にあり、且つ細孔直径100Å以下
の細孔容積が0.1c.c./g以下、細孔直径200〜400
Åの細孔容積が0.2c.c./g以上、細孔直径1500Å
以上の細孔容積が0.03c.c./g以下であること、(c)
細孔直径75Å以上の細孔の表面積が約70m2/g以
上を有すること、及び(d)触媒粒子の平均相当直径
が約0.6〜5mmの範囲である触媒を用いて接触水
素化処理してトルエン不溶分0.5重量%以下の生
成油を得る工程からなることを特徴とする重質炭
化水素油の軽質化方法が提供される。 本発明の熱分解工程の処理条件は温度400〜530
℃、圧力0〜200Kg/cm2G、滞留時間1分〜5時
間の範囲で行われる。更に好ましくは、温度430
〜500℃、圧力5〜180Kg/cm2G、滞留時間10分〜
2時間の範囲の条件で熱分解を行うことが望まし
い。なお、滞留時間は、熱分解工程における反応
部空筒容積を60〓換算の原料油流量で除した値で
ある。また、該熱分解工程へ原料油とともにガス
状媒体を注入する方法を採用してもよく、これに
よりコーク生成を低減化できる。該ガス状媒体と
しては加熱したスチーム、水素及び窒素、更には
本発明の方法により生成するガス及び揮発性成分
の一成分または混合成分を使用することができ
る。当該熱分解と後述の水素化処理との組合せ
で、本発明が効果的に機能するのは、熱分解工程
での軽質化率(原料油中の重質成分(≧900〓)
の軽質成分(<900〓)への分解率)を15容量%
以上、好ましくは25容量%以上に設定することが
望ましい。 また、この軽質化率の上限は、この熱分解工程
で生成する熱安定性及び貯蔵安定性を悪化させる
原因物質(特にトルエン不溶分)の生成量の点か
ら、約35容量%以下にする。 また、該熱分解工程には管式加熱炉(コイルヒ
ーター)、管型反応器(チユーブラーリアクター)
もしくはチエンバー又はドラム型式のいずれの反
応方式を用いてもよい。更に、該熱分解工程を第
1次熱分解工程と第2次熱分解工程に分け、2段
階で処理する方法を採用してもよい。該2段熱分
解を行う場合には、上記した反応方式のいずれか
を組み合せ、夫々の工程の処理条件を前述した熱
分解の範囲で適宜に設定することにより行われ
る。例えば、該工程で管式加熱炉を用いて第1次
熱分解を行う場合は、その処理条件は温度450〜
530℃、圧力常圧〜200Kg/cm2G、滞留時間1分〜
20分の範囲で行うのが望ましく、コーキングによ
る加熱管内の閉塞を起さない範囲で一次分解を行
うことができる。又第2次熱分解工程は、温度
400〜500℃、圧力常圧〜200Kg/cm2G、滞留時間
5分〜5時間の範囲で処理することが望ましい。
また、該第2段熱分解の場合、第1次熱分解工程
からの第1次分解油を前述したガス状媒体と接触
させながら第2次分解を行うこともできる。 該熱分解工程での分解条件において、温度が
400℃以下では、分解反応の速度が遅く、目的と
する軽質化反応が終了するまで非常に長時間を要
するので実際的ではなく、また530℃以上の高温
では重縮合の速度が速すぎてピツチのコークス化
が進行し、次の接触水素化処理で処理困難な物質
が多量に生成するのみでなく、熱分解工程での反
応及び操作の制御がむずかしくなる。圧力は熱処
理で副次的に起きる重縮合やガス化、コークス化
反応には大きな影響を及ぼし、加圧するほどガス
生成量を減少させ、本発明の目的とするガソリン
や灯軽油などの液状生成油の収率が向上する。ま
た、反応圧は、反応が気相でおきるか気液混相で
おきるかを支配する因子としての影響が大きい。
加圧することにより、原料は加熱管中で液相に保
たれる割合が大きくなり、この結果、伝熱が良好
となり、局部的過熱が抑制されて、コークスの生
成が減少する。この効果は、ガス状媒体を用いて
熱分解する場合は、更に顕著であり、特に水素を
含むガスを媒体として用いると、単に上記効果以
外に熱水素化反応(Thermal Hydrocracking)
によりコークス化が著るしく低減される。一方、
平衡論的には、分解反応はいずれもモル数が増大
する反応であり、低圧あるいは希釈剤の使用によ
る分圧の低下が平衡に有利である。従つて、熱分
解工程での最適圧力は、原料油の性状、反応温度
などにより変わるが、本発明の方法では、0〜
200Kg/cm2Gの範囲で設定することが望ましい。
滞留時間は、反応温度とあきらかに相関性をも
ち、高温ほど短い滞留時間が使用される。また、
滞留時間が長くなるほど分解生成物は増加する
が、次第に重縮合反応も著しくなり、後続の接触
水素化処理で処理困難なコークスの生成量が増大
してくる。従つて、本発明の方法で採用される滞
留時間の範囲は、1分〜5時間、好ましくは10分
〜2時間であることが望ましい。 また、熱分解工程からの流出物は、後続の接触
水素化工程へ供給する前に、適切な反応時間内に
熱反応を停止させるため急冷操作が必要な場合が
ある。該急令操作は冷却媒体を直接該流出物中へ
注入してもよいし、適当な熱交換器を用いて間接
的に冷却してもよい。直接冷却する場合の冷却媒
体としては、水素もしくは窒素に富むガス、スチ
ーム又は本発明で製造される生成物の一部を循環
使用して行うことができる。 また、熱分解工程からの分解生成物は、その
まゝあるいはガス分のみ、もしくは軽質炭化水素
留分を分離除去したのち、接触水素化処理工程へ
送られる。該生成物中からガス分、もしくは軽質
留分を分離した重質留分のみを水素化処理する
か、あるいは熱処理工程からの流出物の全部を水
素化処理工程へ供給するかは、原料油の性状や、
目的とする製品の性状、更には熱分解工程と水素
化処理工程と連続的に実施するか等によつて適宜
選択すればよい。また分離方法は、通常よく使用
される気液分離器、蒸留塔等で行うことができ
る。また、熱分解工程と水素化処理工程を連続し
て一括処理する場合には、水素化処理工程で消費
される水素量の補給と熱分解生成物の急冷を同時
に行う目的で高純度の水素ガスを熱分解工程と水
素化処理工程の中間に注入するのが効果的方法で
あり、この場合には水素化処理工程後の気液分離
器から得られる水素に富むガスの一部もしくは全
量を熱分解工程へ循環使用し、該熱分解工程を水
素雰囲気で熱水素化処理する方法を採用すること
が望ましい。 本発明の水素化処理工程で用いられる触媒は、
周期律表第B,B,及びB族の金属から
選ばれる少なくとも1種の水素化用触媒金属成分
を、周期律表第,及び族の元素の中から選
ばれる少なくとも1種の元素の酸化物から構成さ
れる多孔質無機酸化物担体(但し、マグネシウム
シリケートを主成分とする複鎖構造をもつ粘土鉱
物は除く)に複合化した触媒で、該触媒金属成分
が、酸化物として計算して、触媒の全重量に基づ
いて約0.1〜30重量%の範囲内の量で存在する触
媒において、(a)平均細孔直径が約200〜400Åの範
囲に在ること、(b)細孔直径75Å以上の細孔容積が
0.5〜1.5c.c./gの範囲にあり、且つ細孔直径100
Å以下の細孔容積が0.1c.c./g以下、細孔直径200
〜400Åの細孔容積0.2c.c./g以上、細孔直径1500
Å以上の細孔容積が0.03c.c./g以下であること、
(c)細孔直径75Å以上の細孔の表面積が約70m2/g
以上を有すること、及び(d)触媒粒子の平均相当直
径が約0.6〜5mmの範囲であることを特徴とする
重質炭化水素油の熱分解生成油の水素化処理用触
媒である。 本明細書中で用いられる平均細孔直径APDの
値とは、次式によつて定義づけられる、単位がÅ
で表わされる値である。 APD=4×PV×104/SA (1) 式中のPV及びSAは、触媒単位重量当り、細孔
直径75Å以上の細孔が有する細孔容積の合計及び
表面積の合計をそれぞれ表わし、それらの単位は
それぞれc.c./g,m2/gであつた。以後、特にこ
だわらない場合は、、触媒グラム当り、細孔値75
Å以上の細孔を有する細孔容積の合計及び表面積
の合計をそれぞれ単に触媒の細孔容積及び表面積
とよぶ。 細孔直径、細孔容積及び表面積の値は、マーキ
ユリー・プレツシヤー・ポロシメーター モデル
70(イタリア国ミラノ市所在のカルロ・エルバ社
製)を用い、いわゆる水銀圧入法(詳しくは、E.
W.WASHBURN,Rroc.Natl Acad.Sci.,7,
P.115(1921),H.L.RITTER,L.E.DRAKE,
Ind.Eng.Chem.Anal.,17,P.782,P.787(1945),
L.C.DRAKE,Ind.Eng.Chem.,41、P.780
(1949),及びH.P.GRACE.J.Amer.Inst.Chem.
Engrs.,2,P.307(1956)などの文献に記載され
ている。)により求めた。この場合、水銀の表面
張力は25℃で474dyne/cmとし、使用接触角は
140゜とし、絶対水銀圧力を1〜2000Kg/cm2まで変
化させて測定した。この時の、75Å以上の細孔直
径は次式 細孔直径(単位Å) =150000/絶対水銀圧力(単位Kg/cm2) で表わされる。 本発明で用いる触媒粒子の平均相当直径ACD
の値は、次式によつて定義づけられる、単位がmm
で表わされる値である。 ACD=6 ×(触媒粒子の平均体積、単位mm3)/(触媒粒子
の平均外表面、単位mm2)(2) ここで用いる触媒粒子の平均体積及び平均外表
面の値は、触媒粒子の平均粒子直径を適当な方法
で測定し、その平均粒子直径を有する球相当の体
積及び外表面積で表わされる値である。この場合
の測定法は、例えば、直接計測法、フルイ分け
法、沈降法などがあり、具体的測定方法は、粉体
工学研究編“粒度測定技術”、日刊工業新聞社
(1975)に詳細に記載されている。 本発明に用いる触媒は、ある特定の水素化用金
属成分と、特定の元素から構成される多孔質無機
酸化物担体とからなる複合触媒であるが、その触
媒の物理的性状が上記したように特定の範囲に規
定されるのが最大の特徴である。すなわち、本発
明の触媒においては、最終的に触媒として使用す
るときの物理的性状、特に平均細孔直径、細孔容
積、細孔分布及び表面積などの触媒細孔構造に関
する性状と触媒粒子の平均相当直径とが重質炭化
水素油を熱分解して得た生成油の水素化処理を効
果的に行うのに重要な役割を担つており、そし
て、本発明では、それらの性状を特定の範囲に限
定したことにより、従来触媒では達成し得なかつ
た高い水素化処理活性(熱分解中に重縮合反応で
生成された高分子炭化水素成分の水素化分解活
性)を示し、かつ高分子重縮合生成物を含む熱分
解生成物の脱硫、脱金属を行うのに好適な選択性
を有し、安定性にすぐれた生成油を与え、しかも
それらの活性が実質的に長時間安定に維持され、
その上、成形触媒として十分な機械的強度を有す
る最適触媒を見出した。本発明の水素化処理工程
で用いる触媒の特徴とその効果について、以下具
体的に説明する。 重質炭化水素油を熱分解し、分解軽質化を行う
際には、大なり小なり重縮合反応でピツチ状物質
が生成する。また該ピツチ中には一般に原料油中
のS,N及びメタル分が濃縮していると同時に、
n―ヘプタン不溶分、トルエン不溶分もしくはピ
リジン不溶分などの溶剤不溶分が多く含まれてい
る。トルエン不溶分は原料油のアスフアルテンな
どの高分子炭化水素が熱重合し生成された重縮合
高分子化合物であり、その含有量は水素化処理生
成油の熱又は貯蔵に対する安定性及び他の炭化水
素油に対する相溶性に密接な関係を有する。即
ち、トルエン不溶分が0.5wt%以下、殊に0.15wt
%以下の生成油は実用上満足し得る安定性及び相
溶性を有する。 本発明の接触水素化処理工程で用いる触媒は、
上記した熱分解生成油を水素化処理して安定で良
質な製品油を得るに最適な触媒である。重質炭化
水素油の熱分解工程からの生成油を接触水素化処
理する場合に伴なう各種の水素化反応は、総じて
触媒の細孔内拡散が律速となるが、該熱分解油の
中に存在する分子量が数千にもおよぶ不安定な高
分子重縮合化合物の水素化もしくは水素化分解に
着目した場合、従来の重質炭化水素油の脱硫、脱
金属処理に用いられた触媒とその適合する触媒の
細孔径は異なる。n―ヘプタン不溶分及びトルエ
ン不溶分などの巨大分子が触媒の細孔内の活性点
へ容易に拡散するには、細孔の大きさを大きくす
るほど効果的である。しかし、触媒の細孔径を大
きくするほど、細孔内の活性表面積が小さくなる
ので、総括の反応速度は低下する。熱分解により
増加したアスフアルテン分及び熱分解により生成
したトルエン不溶分の水素化もしくは水素化分解
に対し良好な活性を示す細孔径範囲は触媒の平均
細孔直径で約200〜400Åの範囲である。平均細孔
直径が約200Å以下では、アスフアルテン分、ト
ルエン不溶分の分解を初め、重質ピツチ留分の脱
硫、脱金属などの反応には、細孔内拡散律速が大
きいため、効果的な水素化処理効果を示さない。
特に、熱分解生成油中のアスフアルテンや重金属
の含有量が多いと、これら小・中細孔は、金属と
コークの堆積によつて容易に縮小され、アスフア
ルテンの細孔内への拡散が一層阻害されると同時
に、コークと金属の堆積物が細孔入口を閉塞する
ようになる。従つて、このような小・中細孔の触
媒は、アスフアルテンや重金属の含有量が高い熱
分解生成油に対しては、短期間の使用により、細
孔内部に活性が残存する表面を保有するが、実質
的な触媒機能を全く失なつた空細孔が触媒内部に
形成されるため、とうてい実用性ある触媒とする
ことはできない。 このような理由から、平均細孔直径が約200Å
以下の細孔は、アスフアルテン及び重金属を多く
含む重質炭化水素油の熱分解には有効ではなく、
また、触媒利用効率を向上させる意味からも、触
媒の有する全細孔容積の内で、細孔直径が約200
Å以下の細孔容積は少ない方がよく、具体的には
細孔直径約100Å以下の細孔容積は約0.1c.c./g以
下、殊に0.08c.c./g以下であることが望ましい。
一方、細孔直径が約400Å以上の細孔は、アスフ
アルテンの拡散ということからは十分に大きい
が、逆に、細孔が大きすぎるため細孔表面積がそ
の細孔径の増大に応じて急激に減少すると共に、
全充填触媒容積当りのアスフアルテン分解反応活
性が低下してしまうし、更に細孔が大きくなるほ
どアスフアルテンの細孔内での滞留が長くなるた
め細孔表面へのコークの沈積が多くなり、その結
果として細孔表面活性がコーク被毒により低下し
てしまう。以上の理由から、本発明の水素化分解
工程に最も効果的な触媒は、細孔直径約200〜400
Åを有するもので、そしてその範囲の細孔容積が
大きいほど充填触媒の利用効率が向上する。本発
明の場合、細孔直径約200〜400Åの細孔容積は、
約0.2c.c./g以上、好ましくは約0.3c.c./g以上で
あることが望ましい。すなわち、水素化分解に高
活性な触媒は細孔直径約200Å以上、約400Å以下
の範囲に細孔を多数有する触媒である。 触媒の表面積SAは、好ましい触媒活性を得る
上で、約70m2/g以上に規定するのがよい。 触媒粒子の大きさは、一般に、細孔内拡散が支
配する反応においては、非常に大切な因子である
ことが知られており、(詳しくは、P.H.
EMMETT,“Catalysis”,vol.,Reinhold
Publishing Corporation New York(1955)及
びC.N.Satterfield,“Mass Transfer in
Heterogeneous Catalysis”,M.I.T.Press,
Massachusetts(1970)参照)、本発明において
は、この触媒粒子の大きさを細孔直径と関連させ
て規定した点にも大きな特徴がある。 水素化処理での反応活性は、触媒粒子径が大き
くなると、指数関数的に減少するが、上記の平均
相当直径以上では、触媒粒子が大きすぎて満足す
る触媒活性が達成されないからである。しかしな
がら、触媒粒子が小さすぎると、従来より重質炭
化水素油の接触水素化処理装置として広く利用さ
れている固定床、移動床及び沸とう床などの反応
方式に対する使用が困難になつてくる。例えば、
触媒粒子が小さすぎると、固定床方式では触媒層
の差圧の増大及び使用時での触媒の粉化、重金属
及びコークスの粒子間沈積による触媒の塊化など
種々の不利益が生じる。従つて、これらの通常用
いられる反応方式で使用する場合には、触媒粒子
径は平均相当直径として約0.6〜5mmの範囲であ
るのが望ましい。 また、工業的使用という観点から最適触媒が具
備すべき重要な要件は、その機械的強度が満足で
きる十分な強度を有していることである。一般に
触媒の機械的強度の表現法としては、成形触媒で
は、圧縮強度(Crushing Strength)と表面摩耗
度(Abrasion Loss)が採用されているが、細孔
容積PVが0.5〜1.5c.c./gの範囲にあることが望
ましい圧縮強度を確保する上で必要である。細孔
直径1500Å以上の細孔容積の合計が多いと圧縮強
度の低下及び表面摩耗度が極端に大きくなり、工
業触媒の強度という面から、細孔直径1500Å以上
の細孔容積は約0.03c.c./g以下であることが必要
である。細孔直径1500Å以上の巨大孔は触媒のク
ラツク特性に関連するだけで、アスフアルテンの
分解活性に殆ど寄与しない。従つて、このような
巨大孔の存在はできるだけ少なくするのが好まし
い。 また、本発明の水素化処理に用いる触媒の担体
物質は、周期律表第,及び族の中から選ば
れる元素の少なくとも1種の元素の酸化物から構
成される多孔質無機酸化物である。このようなも
のとしては、例えば、アルミナ、シリカ、チタニ
ア、ボリア、ジルコニアなどの単一元素の酸化
物、シリカ―アルミナ、シリカ―マグネシア、ア
ルミナ―マグネシア、アルミナ―チタニア、シリ
カ―チタニア、アルミナ―ボリア、アルミナ―ジ
ルコニア、シリカ―ジルコニアなどの複合元素の
酸化物などがあり、これらの酸化物は単独又は2
種以上の混合物として適用される。 触媒の構成成分の1つである水素化用の触媒金
属成分、周期律表の第B,B,及びB族
の金属の中から選ばれる少なくとも1種の遷移金
属を含むもので、特に好ましくは、バナジウム、
モリブデン、タングステン、クロム、コバルト、
ニツケル又は銅を含むものである。これらの触媒
成分は金属状態もしくは金属酸化物、金属硫化物
のいずれの状態でも有効であり、また、イオン交
換などにより金属成分の一部が触媒担体と結合し
た形態で存在してもよい。この金属成分の含有量
は、酸化物として計算して、触媒全重量に基づい
て約0.1〜30重量%の範囲内の量であることが必
要である。金属含有量が酸化物として約0.1重量
%以下の場合は触媒の活性が不十分でコーキング
が起り易く、触媒寿命が短かくなる。また30重量
%以上の場合はコストが高くなりまた触媒表面積
が減少する。 本明細書において引用する「周期律表」は、
“Websters 7th New Collegiate Dictionary”
C&C Merriam Company,Springfield,
Massachusetts,USA(1965)のP.628に記載され
ている周期律表である。 触媒金属成分は、本発明の方法で熱分解からの
熱分解生成油の水素化処理に伴なう各種反応、例
えば、水素化、水素化分解、脱金属、脱硫及び脱
窒素などの活性を支配するものであり、金属成分
の選定及び組合せは、水素化処理で特に着目する
反応により任意に決められる。 次に、本発明の方法で用いる水素化処理用触媒
の製造法は、前記したように、最適の触媒活性、
安定性及び強度を得るために、その触媒の細孔構
造、特に平均細孔直径、細孔容積及び細孔分布を
特定のものにした触媒が製造できる方法であれば
従来のいずれの製造法を用いてもよい。 次に、本発明の水素化処理法における反応方式
は、触媒形状などを適当に選定することにより、
固定床、移動床、流動床及び沸騰床などの通常の
流通式反応方式で行うことができ、反応生成物と
触媒が反応領域より同伴流出することなく水素化
処理が可能である。また反応部への反応物の供給
は反応器上部、下部のいずれから行つてもよい。
すなわち、反応器内の気液の流れは並流上向流、
下向流いずれの方式を採用しても構わない。 また、触媒粒子の形状は顆粒状、球形もしくは
円柱形のいずれでもよいが、、特にアスフアルテ
ン及び重金属含有量の高い重質炭化水素油の熱分
解生成油を水素化処理する際には、中空円筒形又
はその断面が非円形、例えば、楕円、トリロー
ブ、多裂葉状もしくは長さ方向に沿つて少なくと
も1個以上の溝を具える表面を有する細長い押出
し成型触媒を用いることが望ましい。このような
異形触媒を固定床で用いると、反応器内の空隙率
が大きくなり、触媒層の圧力損失が小さくなるば
かりでなく、触媒粒子間へのコーク及び金属堆積
による触媒層の閉塞が著しく緩和される効果があ
る。 本発明の水素化処理における処理条件に関して
は、温度350〜450℃、好ましくは370〜430℃、水
素圧50〜250Kg/cm2G、好ましくは80〜200Kg/cm2
G、液空間速度0.1〜5Hr-1、好ましくは0.2〜
3Hr-1である。 反応温度が350℃未満では、触媒活性は十分発
揮されず水素化処理工程での反応転化率が実用的
な程度までに至らない。また450℃を越えると、
アスフアルテンの重縮合反応によりアスフアルテ
ンが減少せず、むしろ逆に増大する傾向が見ら
れ、更にコーキング反応が激しくなり、安定性が
悪いなどの生成油の品質低下、触媒活性の低下、
さらに触媒粒子の塊化などをきたす。水素圧は50
Kg/cm2G未満になると、コークの生成が激しく触
媒の正常な活性維持が極端にむずかしくなる。
250Kg/cm2Gを越えると、水素化分解反応が激し
くなり水素消費量の増大、製品油収率の低下など
とともに反応器その他の関連機器のコストが急上
昇し経済的面から実用性が失なわれる。液空間速
度が0.1Hr-1未満では、油の滞留時間が長くなり
特に重質成分が熱作用を受け変質し製品油の品質
の低下をきたすし、一方、5Hr-1を越えると1回
通過当りの反応転化率が低く実用的でなくなつて
しまう。 反応部へ供給する熱分解生成油と水素もしくは
水素を含むガスとの混合割合は、1気圧で15℃の
熱分解生成油1容積当り15℃の水素100〜2000容
積(100〜2000N/)、好ましくは500〜
1000N/で行われる。これは、100N/
未満では、反応部での水素が欠乏すると同時に水
素の液への移行が悪くなりコーキング反応などが
起き、触媒及び製品油の性状に悪影響を及ぼすか
らである。一方、2000N/を越えると反応面
での障害はないが本発明の方法を何ら改良するも
のでない。水素の循環に用いる圧縮機のコストは
循環水素ガス量が増すほどに高くなり、2000N
/を越えると極めて高くなるため2000N/
が水素循環の実用的上限である。反応部へ供給
する水素に富む循環ガス中には硫化水素が含まれ
ていても何ら悪影響を及ぼさないばかりでなくむ
しろ適度の量が含まれている方が反応を促進する
傾向がある。これは、本発明に用いる触媒は上記
反応条件では硫化水素と何らかの相互作用し、硫
化水素は触媒活性の維持にある種の役割を果して
いるためであり、反応へ供給する水素ガス中に硫
化水素を10モル%まで含むことは本発明の中に含
まれるものである。水素化処理工程で上記の反応
条件下で処理された後の触媒を含まない反応生成
物は気液分離工程へ送られ水素に富むガスと実質
的に液体のみからなる反応生成物とに分離され
る。気液分離方法及び装置は通常の固定床、沸騰
床などの脱硫プロセスで用いられるものでよく、
特に規定するものではない。 また、該水素に富むガスを熱分解工程もしくは
水素化処理工程へ循環使用することもできるし、
熱分解生成物の急冷媒体とて用いてもよい。ま
た、アスフアルテンや重金属を多く含有する重質
炭化水素を本発明の方法で処理し、アスフアルテ
ンや重金属を実質的に含まない軽質炭化水素油を
高収率で得ようとする場合には、水素処理工程か
らの反応生成物を、分離工程で実質的にアスフア
ルテン及び重金属を含まない軽質留分と、アスフ
アルテン及び重金属を含む重質留分とに分離し、
該重質留分の全量もしくは一部を再び前記熱分解
工程もしくは水素化処理工程へ循環する方法が有
利である。この方法によれば、アスフアルテンを
多量含む熱分解生成油を、アスフアルテン及び重
金属を含まない軽質油に連続的に転換することが
できる。このような循環処理法の場合、水素消費
量及び触媒消費量は著しく低減され、しかも軽質
油の収率が高いという利点が得られる。この分離
工程での分離手段は特別である必要はなく、通常
良く利用されている蒸留、溶剤脱れきなどの方法
で行うことができる。 分離工程に溶剤脱れき法を採用する場合には使
用する溶剤は低分子量の炭化水素、例えば、メタ
ン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペ
ンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ヘキサ
ン、イソヘキサンなどから選ばれた1種以上のも
のであり、これと液状反応生成物は向流接触され
る。 溶剤脱れきの操作条件としては、温度10〜250
℃、好ましくは50〜150℃、圧力3〜100気圧、好
ましくは10〜50気圧の範囲でなされる。また、前
記した触媒のみを用いて本発明の方法により処理
することにより、品質の向上した生成油が得られ
るが、この生成油は、従来法によつて得られる生
成油とは異なつた特異な性状を有することが判明
した。すなわち、生成油に含まれる炭化水素の分
子量がほぼ約200〜2000の範囲に分布しているこ
と、生成油中に若干残存するアスフアルテンが熱
分解生成油中のそれに比べ、かなり低分子量であ
ること、しかも、残存アスフアルテン中の硫黄及
び重金属含有量が著しく低減されていること、並
びに熱分解生成油中の硫黄、窒素などの分布に比
べ、生成油中のそれらの成分は軽質留分中により
多く分布する。さらに、この生成油は熱分解生成
油の性状に関係なく、従来法によつて得られる水
素化処理油とは異なつた特異な性状を有するもの
がえられる。すなわち本発明の方法によれば、軽
質化油を収率よくうるために第1段の熱分解をか
なり過酷なものとしても、第2段の水素化処理に
より得られる生成油は安定性及び相溶性に全く問
題のないものがえられる。すなわち水素化処理油
を更に精製処理してえられる生成油は安定性にす
ぐれており、また水素化処理油の残渣油は相溶性
にすぐれているため各種重油への混合原料とする
ことができ、しかも得られる重油は貯蔵中にスラ
ツジ等は生成せず安定性にすぐれている。 前記したように、本発明の方法を採用すること
により、重質炭化水素油の分解軽質化、更に脱金
属、脱硫などを効率的に行いコンラドソン炭素分
も低減したものが得られるため、付加価値の高い
製品油を得ることができるものであり、得られた
生成油は接触分解などにより高品位のガソリンを
得る際の原料油もしくは水素化分解などにより灯
油、ジエツト燃料油及びジーゼル油などを得る際
の原料油として最適である。 本発明者らは、本発明の方法で得られる生成油
が、このような特異な性状を有することに着目
し、この生成油を更に高品位化するための水素化
処理に関して種々研究を重ね、工業的に極めて有
利な重質炭化水素油の熱分解油に対する2段水素
化処理法を開発した。 すなわち、本発明の方法は、熱分解工程から得
られた生成油を、次の2段水素化処理工程で処理
する方法が包含される。 (a) 熱分解生成油を、温度350〜450℃、水素圧力
50〜250気圧、液空間速度0.1〜5.0Hr-1の水素
化処理条件下、前記した水素処理用触媒と接触
させて水素化処理する工程、 (b) 前記工程(a)で得られた水素化処理生成油の少
なくとも1部分を、温度350〜450℃、水素圧力
50〜250気圧、液空間速度0.1〜5.0Hr-1の水素
転化処理条件下、多孔質アルミナ含有担体に、
水素化用金属成分として、周期律表第B族の
金属の酸化物及び硫化物の中から選ばれる少な
くとも1種と第族の金属の酸化物及び硫化物
の中から選ばれる少なくとも1種とを複合させ
た、平均細孔径約80〜200Å、細孔直径75Å以
上の細孔容積PV約0.4〜1.5c.c./g及び細孔直
径75Å以上の細孔を有する表面積SA約100〜
400m2/gを有する触媒に接触させて水素転化
処理する工程。 前記第2水素化処理工程(b)において、担体に担
持させる水素化用金属成分としては、周期律表第
B族の金属の酸化物及び硫化物の中から選ばれ
た少なくとも1種と、第族の金属の酸化物及び
硫化物の中から選ばれた少なくとも1種との組合
せである。更に好ましくは、クロム、モリブデン
及びタングステンの酸化物及び硫化物の中から選
ばれた少なくとも1種と、コバルト及びニツケル
の酸化物及び硫化物の中から選ばれる少なくとも
1種との組合せである。これらの金属成分は、担
体に対し、触媒の全重量を基準に、酸化物として
計算して、第B族の金属成分(A)が約2〜40重量
%、第族の金属成分(B)成分が約0.1〜10重量%
の量が含有もしくは担持されているのが望まし
い。 上記金属成分に加え、更に助触媒成分として、
チタン、ホウ素、リン及びフツ素の群から選ばれ
る少なくとも1種の化合物もしくはボロンホスフ
エート、フツ化ボロンのいずれかを複合化するこ
とによりさらに脱窒素及びコンラドソン炭素分を
低減させる反応を促進させることもできる。この
助触媒成分の量は、触媒の全重量を基準に酸化物
として計算して、約1〜30重量%を含有させるの
が効果的である。 第2段水素化処理工程(b)に適用される触媒の製
造法は、最終触媒としての細孔構造、特に平均細
孔直径が約80〜200Å、細孔直径75Å以上の細孔
容積PVが約0.4〜1.5c.c./g及び細孔直径75Å以
上の細孔の有する表面積SAが約100〜400m2/g
の範囲になるなら、公知のいずれの製法によつて
もよい。また、第2段水素処理工程(b)の処理方
式、処理条件、及び触媒粒子径及びその形状など
は、本発明触媒を用いる水素化処理に関して前記
で示されたものと同様である。 第2段の水素化処理工程(b)で用いる触媒の担体
は、アルミナ含有担体、通常、アルミナ70重量%
以上含有する担体であり、好ましくは、アルミ
ナ、シリカ―アルミナが適用される。 また、工業的に有利に2段処理する場合、第1
段水素化処理によつて得られた生成油から、アス
フアルテンもしくは重金属を含む重質分を物理的
に分離するか、もしくは第2段の水素化処理によ
つて得られた生成油からアスフアルテンもしくは
重金属を含む重質分を物理的に分離し、この重質
分を再度第1段及び/又は第2段の水素化処理工
程もしくは熱分解工程へ循環してもよい。 なお、生成油を軽質留分と重質留分とに分離す
る工程は、前記で示したと同様に、特別の方法は
必要とされず、蒸留法、溶剤脱歴法などの方法に
より行うことができる。 本発明に係る上述した2段水素化処理方法は、
更に極端に多量のアスフアルテン及び重金属を含
む劣悪な重質油を処理する場合、もしくは生成油
の製品仕様が非常に厳しい場合にも、重質炭化水
素油を効率的に分解軽質化し且つ重質油の実質的
に全量を低硫黄で高品質の脱硫油にするために利
用できる優れた方法である。 次に、本発明の実施の一態様を図によつて説明
する。第1図において、原料油はライン1を通し
て送られて、ライン10から供給される水素に富
むガスと混合され、ライン2を通つて、熱分解工
程3に供給される。該熱分解工程3で熱分解処理
を受けた反応生成物は、ライン4を通り、ライン
5からの補給水素で混合急冷された後、ライン6
を通つて水素化処理工程7へ送られる。該水素化
処理工程7で、水素化処理を受けた反応生成物
は、ライン8を通り、気液分離工程9へ送られ
る。該気液分離工程9にて、水素に富むガスと液
体状の反応生成物とに分離する。水素に富むガス
は、ライン10により熱分解工程3へ循環使用さ
れる。一方、上記液状生成物はライン11を通し
製品として系外へ取り出すか、又はさらに製品仕
様を向上すべく水素化脱硫等の適当な後処理に付
される。 以上、本発明の重質炭化水素油を軽質化する方
法について説明したが、本発明を更に詳細に説明
するため以下に具体例を挙げて説明する。この具
体例は本発明を具体的に説明するものであつて、
これら具体例によつて本発明が限定されるもので
はない。 次に、本発明を実施例により更に詳細に説明す
る。 実施例 1 中近東産のカフジ原油からの減圧残渣油を原料
油とした、本発明の実施の1例を下記に示す。 原料油の性状は表―1に示すように比重が
6.8゜API、粘度が100℃で2320C.P.で、しかも900
〓以上の沸点留分が95.0vol%も含まれる代表的
な重質炭化水素油の1つである。
【表】
【表】
先ず該原料油を500c.c./Hrの流量で、水素対油
比600N/、即ち、水素流量として300N/
Hrとなるよう、水素に富むガスと混合した後、
加熱器にて350℃に予熱後熱分解処理工程へ供給
した。該熱分解工程は、内径7mmφ、長さ2.2m
のコイルチユーブの反応器が、加熱流動浴中に設
置されており、チユーブ出口の温度が485℃にな
るよう、加熱流動浴温度をコントロールした。ま
た圧力は、後続の水素化処理工程の出口のガス・
ラインのコントロールバルブにより140Kg/cm2G
に保持された。この場合の熱分解工程での滞留時
間は約5.7分である。次に熱分解工程からの生成
油は、次の水素化処理工程へ送られるまでに高純
度の水素ガスにより直接急冷される。 この熱分解生成油は、軽質化率35容量%であ
り、トルエン不溶分約4wt%を有するもので、不
安定なものであつた。 上記急冷用の水素ガス流量は約200N/Hrで
あり、これを含めた水素化処理工程へ供給される
水素量の合計は約1000N/Hrであつた。次に
熱分解生成物と水素の混合物は408℃にて水素化
処理工程へ送られる。該水素化処理工程は、触媒
を充填した下降流気液並流等温固定床反応器か
らなる。使用した触媒は、アルミナを担体原料と
し、Co,Moを担持し、押出し成型したものであ
る。水素化処理条件は、温度405℃、圧力140Kg/
cm2G、LHSV0.33Hr-1、H2/油比約1000N/
である。触媒は次のようにして得た。 マントルヒーターで外部より加熱できるステン
レス製容器に脱イオン水5をとり、これを95℃
に加熱し、これに、硝酸アルミニウム(Al
(NO3)3・9H2O)1Kgを水に溶解し2.5とした
水溶液を500c.c.を加えた。次いで、内容物を95℃
に保持した。この溶液を撹拌しながら14重量%の
アンモニア水を添加しPHを8に調節した。その
後、沸騰状態で1時間熟成し種子アルミナヒドロ
ゾルを生成した。次に、このヒドロゾルに、前記
硝酸アルミニウム水溶液を500c.c.加え5分間保持
した。その時のPHは4であつた。その後、内容物
が95℃以上であることを確認後、撹拌しながら14
重量%のアンモニア水を添加しPHを9に調節し再
度30分間保持した。このPH変動操作を更に9回繰
り返し行つた。その後沸騰状態で1時間熟成しア
ルミナヒドロゲルを得た。このヒドロゲルを洗浄
するために、これに脱イオン水20に分散し、真
空ロ過器で脱水した。この洗浄操作を3回繰り返
した後に、真空ロ過器により脱水、Al2O3換算で
約25重量%のケーキを得た。このケーキを1.0mm
φ孔のダイスを有する押出成型機により円柱状
(直径1mm)に成形した後、成形物を約120℃にて
2時間乾燥し、その後、550℃にて3時間電気炉
中で仮焼した。 次に、この仮焼物を担体とし、これに水素化金
属成分としてモリブデンとコバルトを次のように
して担持させた。モリブデン酸アンモニウム
151.9gに温水400mlを加え、更に蒸留水400mlに
硝酸コバルト160.5gを溶解して得た水溶液を加
え、混合し更に25重量%濃度のアンモニア水を
500ml加えた。かかる液を35ml分取し、5mlの蒸
留水で稀釈し、先に得られた仮焼物50gの均一に
噴霧・含浸せしめ1晩密封放置したのち、室温に
て風乾した。次に120℃にて3時間熱風乾燥し、
600℃で空気気流中3時間焼成して、触媒を得
た。得られた触媒の性状は表―2に示すとおり
である。 該水素化処理工程から得られた生成物は、気液
分離器にて水素に富むガスと、実質的に液体状の
反応生成物とに分離した。気液分離器での分離条
件は、水素化処理反応器に於ける圧力と実質的に
等しくし、かつ温度は150℃であつた。なお、水
素に富むガス分は、洗浄装置で、硫化水素、アン
モニア等の不純物を取り除いた後、熱分解工程へ
循環使用に供した。また、循環ガス中の軽質炭化
水素ガスの濃度が不当に上昇するのを避けるた
め、循環ガスの一部を系外へ一定量排出した。 また、上記液体状の反応生成物は更に脱圧され
気液分離槽へ送られ、分解ガスと軽質化された生
成油に分離された。約1000時間における生成油の
性状の詳細をその安定性及び相溶性試験結果とと
もに表―3に示す。尚、熱安定性試験は
ASTMD1661に、トルエン不溶分はUOP法614―
80に、また相溶性試験はASTM D2781に準じて
行つた。 比較例 1 実施例1と同一原料油を用いて、熱分解処理の
みを行つた比較例を下記に示す。 実験は、実施例1の装置の内、水素化処理工程
を使用せず、熱分解工程と気液分離工程を直接連
結して実施し、熱分解工程、気液分離工程での条
件のみを実施例1と同一条件で行つた。得られた
生成油の性状を表―3に示す。 表―3に示した結果から明らかなように、熱分
解処理のみでは軽質化がある程度達成されるが、
生成油の熱安定性が著しく悪く、n―ヘプタン不
溶分なども原料油より非常に増加し、硫黄や重金
属分もほとんど低減しない劣悪な油しか得られな
い。 実施例 2〜4 実施例1で用いた触媒に代えて表―2に示す
ような性状を有する触媒〜を用いた以外は実
施例1と全く同様な方法で軽質化を行つた。結果
を表―4に示す。 比較例 2〜3 実施例1で用いた触媒に代えて、表―2に示
すような性状を有する触媒及びを用いた以外
は実施例1と全く同様な方法で軽質化を行つた。
得られた生成油の性状は表―3に示した通りであ
る。 表―4に示した結果から明らかなように、平均
細孔径が150Å及び125Å(比較例2及び3)の触
媒を用いた場合には得られる生成油の安定性は悪
く、相溶性も悪い。これに対し、平均細孔径が
200Å以上の触媒を用いる本発明の方法によれば
安定性、相溶性にすぐれた生成油を得ることがで
きる。
比600N/、即ち、水素流量として300N/
Hrとなるよう、水素に富むガスと混合した後、
加熱器にて350℃に予熱後熱分解処理工程へ供給
した。該熱分解工程は、内径7mmφ、長さ2.2m
のコイルチユーブの反応器が、加熱流動浴中に設
置されており、チユーブ出口の温度が485℃にな
るよう、加熱流動浴温度をコントロールした。ま
た圧力は、後続の水素化処理工程の出口のガス・
ラインのコントロールバルブにより140Kg/cm2G
に保持された。この場合の熱分解工程での滞留時
間は約5.7分である。次に熱分解工程からの生成
油は、次の水素化処理工程へ送られるまでに高純
度の水素ガスにより直接急冷される。 この熱分解生成油は、軽質化率35容量%であ
り、トルエン不溶分約4wt%を有するもので、不
安定なものであつた。 上記急冷用の水素ガス流量は約200N/Hrで
あり、これを含めた水素化処理工程へ供給される
水素量の合計は約1000N/Hrであつた。次に
熱分解生成物と水素の混合物は408℃にて水素化
処理工程へ送られる。該水素化処理工程は、触媒
を充填した下降流気液並流等温固定床反応器か
らなる。使用した触媒は、アルミナを担体原料と
し、Co,Moを担持し、押出し成型したものであ
る。水素化処理条件は、温度405℃、圧力140Kg/
cm2G、LHSV0.33Hr-1、H2/油比約1000N/
である。触媒は次のようにして得た。 マントルヒーターで外部より加熱できるステン
レス製容器に脱イオン水5をとり、これを95℃
に加熱し、これに、硝酸アルミニウム(Al
(NO3)3・9H2O)1Kgを水に溶解し2.5とした
水溶液を500c.c.を加えた。次いで、内容物を95℃
に保持した。この溶液を撹拌しながら14重量%の
アンモニア水を添加しPHを8に調節した。その
後、沸騰状態で1時間熟成し種子アルミナヒドロ
ゾルを生成した。次に、このヒドロゾルに、前記
硝酸アルミニウム水溶液を500c.c.加え5分間保持
した。その時のPHは4であつた。その後、内容物
が95℃以上であることを確認後、撹拌しながら14
重量%のアンモニア水を添加しPHを9に調節し再
度30分間保持した。このPH変動操作を更に9回繰
り返し行つた。その後沸騰状態で1時間熟成しア
ルミナヒドロゲルを得た。このヒドロゲルを洗浄
するために、これに脱イオン水20に分散し、真
空ロ過器で脱水した。この洗浄操作を3回繰り返
した後に、真空ロ過器により脱水、Al2O3換算で
約25重量%のケーキを得た。このケーキを1.0mm
φ孔のダイスを有する押出成型機により円柱状
(直径1mm)に成形した後、成形物を約120℃にて
2時間乾燥し、その後、550℃にて3時間電気炉
中で仮焼した。 次に、この仮焼物を担体とし、これに水素化金
属成分としてモリブデンとコバルトを次のように
して担持させた。モリブデン酸アンモニウム
151.9gに温水400mlを加え、更に蒸留水400mlに
硝酸コバルト160.5gを溶解して得た水溶液を加
え、混合し更に25重量%濃度のアンモニア水を
500ml加えた。かかる液を35ml分取し、5mlの蒸
留水で稀釈し、先に得られた仮焼物50gの均一に
噴霧・含浸せしめ1晩密封放置したのち、室温に
て風乾した。次に120℃にて3時間熱風乾燥し、
600℃で空気気流中3時間焼成して、触媒を得
た。得られた触媒の性状は表―2に示すとおり
である。 該水素化処理工程から得られた生成物は、気液
分離器にて水素に富むガスと、実質的に液体状の
反応生成物とに分離した。気液分離器での分離条
件は、水素化処理反応器に於ける圧力と実質的に
等しくし、かつ温度は150℃であつた。なお、水
素に富むガス分は、洗浄装置で、硫化水素、アン
モニア等の不純物を取り除いた後、熱分解工程へ
循環使用に供した。また、循環ガス中の軽質炭化
水素ガスの濃度が不当に上昇するのを避けるた
め、循環ガスの一部を系外へ一定量排出した。 また、上記液体状の反応生成物は更に脱圧され
気液分離槽へ送られ、分解ガスと軽質化された生
成油に分離された。約1000時間における生成油の
性状の詳細をその安定性及び相溶性試験結果とと
もに表―3に示す。尚、熱安定性試験は
ASTMD1661に、トルエン不溶分はUOP法614―
80に、また相溶性試験はASTM D2781に準じて
行つた。 比較例 1 実施例1と同一原料油を用いて、熱分解処理の
みを行つた比較例を下記に示す。 実験は、実施例1の装置の内、水素化処理工程
を使用せず、熱分解工程と気液分離工程を直接連
結して実施し、熱分解工程、気液分離工程での条
件のみを実施例1と同一条件で行つた。得られた
生成油の性状を表―3に示す。 表―3に示した結果から明らかなように、熱分
解処理のみでは軽質化がある程度達成されるが、
生成油の熱安定性が著しく悪く、n―ヘプタン不
溶分なども原料油より非常に増加し、硫黄や重金
属分もほとんど低減しない劣悪な油しか得られな
い。 実施例 2〜4 実施例1で用いた触媒に代えて表―2に示す
ような性状を有する触媒〜を用いた以外は実
施例1と全く同様な方法で軽質化を行つた。結果
を表―4に示す。 比較例 2〜3 実施例1で用いた触媒に代えて、表―2に示
すような性状を有する触媒及びを用いた以外
は実施例1と全く同様な方法で軽質化を行つた。
得られた生成油の性状は表―3に示した通りであ
る。 表―4に示した結果から明らかなように、平均
細孔径が150Å及び125Å(比較例2及び3)の触
媒を用いた場合には得られる生成油の安定性は悪
く、相溶性も悪い。これに対し、平均細孔径が
200Å以上の触媒を用いる本発明の方法によれば
安定性、相溶性にすぐれた生成油を得ることがで
きる。
【表】
【表】
【表】
【表】
比較例 4
実施例1において、その熱分解工程における滞
留時間を約8分とし、軽質化率を45容量%になる
ように行つた以外は同様にして実験を行つた。こ
の場合、熱分解生成油中のトルエン不溶分は7wt
%であつた。 水素化分解工程から得られた生成油は、軽質化
率55%であり、トルエン不溶分0.8wt%を含み、
安定性の悪いものであつた。
留時間を約8分とし、軽質化率を45容量%になる
ように行つた以外は同様にして実験を行つた。こ
の場合、熱分解生成油中のトルエン不溶分は7wt
%であつた。 水素化分解工程から得られた生成油は、軽質化
率55%であり、トルエン不溶分0.8wt%を含み、
安定性の悪いものであつた。
第1図は、本発明を実施する場合の工程図の1
例を示す。 3…熱分解工程、7…水素化処理工程、9…気
液分離工程。
例を示す。 3…熱分解工程、7…水素化処理工程、9…気
液分離工程。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重質炭化水素油から、軽質炭化水素油を製造
するにあたり、 (i) 該重質炭化水素油を、温度400〜530℃、圧力
0〜200Kg/cm2G、滞留時間1分〜5時間の条
件下でかつ軽質化率15〜35容量%で熱分解する
工程、及び (ii) 当該分解生成物を、そのまま/もしくは低沸
点留分を分離除去した後、温度350〜450℃、圧
力50〜250Kg/cm2G、液空間速度0.1〜5Hr-1、
H2/油比100〜2000N/の条件下で、周期
律表第B、B、及びB族の金属から選
ばれる少なくとも1種の水素化用触媒金属成分
を、周期律表第、及び族の元素の中から
選ばれる少くとも1種の元素の酸化物から構成
される多孔質無機酸化物担体(但し、マグネシ
ウムシリケートを主成分とする複鎖構成をもつ
粘土鉱物は除く)に複合化した触媒で、該触媒
金属成分が酸化物として計算して、触媒の全重
量に基づいて約0.1〜30重量%の範囲内の量で
存在する触媒であつて、しかも (a) 平均細孔直径が約200〜400Åの範囲に在る
こと、 (b) 細孔直径75Å以上の細孔容積が0.5〜1.5
c.c./gの範囲にあり、且つ細孔直径100Å以
下の細孔容積が0.1c.c./g以下、細孔直径200
〜400Åの細孔容積が0.2c.c./g以上、細孔直
径1500Å以上の細孔容積が0.03c.c./g以下で
あること、 (c) 細孔直径75Å以上の細孔の表面積が約70
m2/g以上を有すること、及び (d) 触媒粒子の平均相当直径が約0.6〜5mmの
範囲である 触媒を用いて接触水素化処理してトルエン不溶分
0.5重量%以下の生成油を得る工程からなること
を特徴とする重質炭化水素油の軽質化方法。 2 熱分解工程において、原料油とともにガス状
媒体を注入して熱分解処理を行うことを特徴とす
る特許請求の範囲第1項の方法。 3 ガス状媒体が水素に富むガスである特許請求
の範囲第2項の方法。 4 約20゜API以下の比重を有し、沸点900F以上
の重質留分を少なくとも10vol%以上含有する重
質炭化水素油を供給原料とする特許請求の範囲第
1項の方法。 5 供給原料中の沸点が900F以上の重質留分を、
沸点が900F以下の留分へ少なくとも容量基準で
30%以上転化することを特徴とする特許請求の範
囲第1項の方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6929082A JPS57205484A (en) | 1982-04-23 | 1982-04-23 | Converting heavy hydrocarbon oil to light hydrocarbon oil |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6929082A JPS57205484A (en) | 1982-04-23 | 1982-04-23 | Converting heavy hydrocarbon oil to light hydrocarbon oil |
Related Parent Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP56009297A Division JPS57123290A (en) | 1981-01-25 | 1981-01-25 | Method for converting heavy hydrocarbon oil into light fractions |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS57205484A JPS57205484A (en) | 1982-12-16 |
| JPH0237390B2 true JPH0237390B2 (ja) | 1990-08-23 |
Family
ID=13398309
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP6929082A Granted JPS57205484A (en) | 1982-04-23 | 1982-04-23 | Converting heavy hydrocarbon oil to light hydrocarbon oil |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS57205484A (ja) |
Families Citing this family (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5422444A (en) * | 1977-07-22 | 1979-02-20 | Dainippon Ink & Chem Inc | Polyurethane adhesive for asphalt concrete |
-
1982
- 1982-04-23 JP JP6929082A patent/JPS57205484A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS57205484A (en) | 1982-12-16 |
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