JPH0344154B2 - - Google Patents

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JPH0344154B2
JPH0344154B2 JP58036620A JP3662083A JPH0344154B2 JP H0344154 B2 JPH0344154 B2 JP H0344154B2 JP 58036620 A JP58036620 A JP 58036620A JP 3662083 A JP3662083 A JP 3662083A JP H0344154 B2 JPH0344154 B2 JP H0344154B2
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JP
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nickel
oxide
chromium
coating
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JP58036620A
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Hiroyuki Shiraki
Yasuhide Noaki
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Priority to IN1397/CAL/83A priority patent/IN161390B/en
Priority to EP83201635A priority patent/EP0126189B1/en
Priority to DE8383201635T priority patent/DE3370833D1/de
Priority to BR8306378A priority patent/BR8306378A/pt
Priority to NO834394A priority patent/NO159736C/no
Priority to KR1019830005652A priority patent/KR860001500B1/ko
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、過電圧が低く寿命が長く且つ安価な
水素発生用の電極に関するものである。更に詳し
くは、ニツケル、コバルトから選ばれた少なくと
も一種の金属の酸化物と、クロムとを含有し、ク
ロムの含有率が0.5〜20モル%である層を導電性
基材に被覆して成る水素発生用の電極に関するも
のである。 エネルギーコストの高騰に伴ない工業電解の分
野では、水素電極反応に費される過電圧の低減を
図るために、活発な研究開発が行われている。過
電圧を低減させる方法としては、電気メツキ法あ
るいは化学メツキ法、塗布焼付法、溶射法、これ
らの方法と熱処理あるいは犠性金属成分の浸出処
理とを組合せた方法等により、電極表面積を拡張
したり電極触媒物質を導入することが試みられて
きている。過電圧を低減させる電極触媒物質とし
ては、遷移金属、貴金属あるいはこれらの金属の
組合せ、更にこれらの金属成分と犠性金属成分と
の組合せが研究されている。これらの電極には、
金属、合金これらの混合物を活物質とするもの
と、金属酸化物、複合酸化物、金属酸化物の混合
物を活物質とするものとがある。 金属、合金あるいはこれらの混合物を活物質と
する電極としては次のようなものが知られてい
る。特開昭52−102888号公報には、銅基材にニツ
ケル、バナジウム、モリブデンの合金メツキを施
した電極が開示されている。特開昭56−33490号
公報には、電気メツキによりコバルト、モリブデ
ン、バナジウムの合金を形成させた電極が開示さ
れている。特公昭55−6715号公報には、マンガン
と硫黄とを含有するニツケル薄膜をコーテイング
した電極が開示されている。特公昭56−44955号
公報には、ニツケル、コバルトとチタン、マグネ
シウムとから選ばれた二成分合金からなる電極が
開示されている。特開昭55−44597号公報には、
鉄、コバルト、ニツケル、マンガンから選ばれた
第一の群の金属と、モリブデン、バナジウム、タ
ングステンから選ばれた第二の群の金属との均質
溶液を塗布焼付し、混合酸化物を得、これを更に
還元雰囲気で加熱し硬化させる電極の製造方法が
開示されている。 これらの金属、合金あるいはこれらの混合物を
活物質とする電極は、連続的な水素電極反応の過
程において、電極の過電圧が経時的に増大し、そ
の電極活性が失われてしまうという本質的な欠点
をもつている。また例えば、イオン交換膜法食塩
電解においては、電解停止時に流れる逆電流によ
り金属成分が腐食溶出することも避け難く、これ
によつても電極の寿命は短かくなる傾向にある。 金属等を活物質とする上述の電極の欠点を改良
した電極として、金属酸化物、複合酸化物あるい
は金属酸化物の混合物を活物質とする電極が知ら
れている。例えば、特開昭55−31195号公報には、
スピネル型複合酸化物から本質的になる電極によ
る電解的水素の製造方法が開示されている。ここ
で、複合酸化物は(M)(M)2O4の一般式で
表わされ、(M)は鉄、亜鉛、マンガン、ニツ
ケル、コバルト、マグネシウム、カドミウム、銅
から選ばれ、(M)は鉄、クロム、マンガン、
ニツケル、コバルトから選ばれる。これらの複合
酸化物を構成する金属原子の比率は、その構造上
必然的に、M=33モル%、M=67モル%とな
る。また、特公昭56−44955号公報には、ニツケ
ル、コバルト、鉄から選ばれた金属によつて結合
されたチタンを含む非化学量論的化合物からなる
電極であつて、非化学量論的化合物が、酸素及び
アルカリ金属類の挿入金属を含み、一般式
AxTiyOzである電極が開示されている(A:ア
ルカリ金属)。しかしながら、通常このような組
成の複合酸化物電極により、大きな過電圧の低下
効果を得ることは難しい。特開昭56−20181号公
報には、コバルト、鉄、マンガン、ニツケルの熱
分解可能な化合物の熱分解により得られる金属酸
化物を含有する電極が開示されている。これらの
電極は過電圧の低下が極めて不充分であるか、あ
るいは、水素電極反応により金属酸化物が比較的
短期間の中に金属に還元される。還元された電極
は、金属等を活物質とする電極と同様に、過電圧
が経時的に上昇し、また、逆電流溶出により電極
活性を失うという欠点がある。 工業的に有用な水素発生用の電極において本質
的に重要なことは、水素過電圧が充分に低く、充
分に長い期間活性を維持し、且つその価格が得ら
れる利益よりも安価であることが必須の要件であ
る。しかしながら、上述のごとく、従来の電極に
おいては、これらの要件、とくに寿命において、
充分に満足し得る電極が得られていない状態であ
る。 本発明の目的は、過電圧が低く、寿命が長く、
且つ安価な水素発生用の電極を提供することにあ
る。この目的は、ニツケル、コバルトから選ばれ
た少なくとも一種の金属の酸化物とクロムとを含
有する層が導電性基材に被覆された電極であつ
て、被覆中の該金属酸化物の含有率が30〜99.5モ
ル%であり、且つ被覆中の全金属元素に対し、
0.5〜20モル%のクロムを非晶質あるいは固溶体
として含有することを特徴とする水素発生用電極
により達成される。 以下に、本発明を詳細に亘つて説明する。 本発明の電極の被覆層は、ニツケル、コバルト
から選ばれた少なくとも一種の金属の酸化物とク
ロムとを含有するものである。ニツケル、コバル
トから選ばれた少なくとも一種の金属の酸化物
は、電極に活性即ち低過電圧を与え、クロムは電
極活物質に還元耐性を与える。ここに言う還元耐
性とは、連続的な水素発生反応の後においても電
極活物質が還元されないで酸化物の状態を維持す
る性質と定義する。電極被覆の酸化・還元の状態
は、X線回折法により定量し、次式で表示して、
これを酸化度と呼ぶものとする。 〔(酸化物)/((酸化物)+(金属)〕×
100(%) は、X線回折における酸化物、金属それぞれ
の主ピークの強度であり、酸化物とは、ニツケル
酸化物及び、もしくは、コバルト酸化物であり、
金属とは、ニツケル及び、もしくはコバルトであ
る。 電極の活性点を形成する金属の酸化物として
は、例えば鉄、コバルト、ニツケル、マンガン、
クロム、モリブデン、タングステン、バナジウ
ム、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、
銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、
ガリウム、錫、ルテニウム、ロジウム、パラジウ
ム、オスミウム、イリジウム、白金などの酸化物
が挙げられる。これらの内、電極活性が高く、電
解質中で安定で、且つ工業材料として入手が容易
であつて、本発明の目的に好適なものは、ニツケ
ル、コバルトの酸化物である。 ニツケル、コバルトの酸化物は、水素発生用の
電極として充分に活性なものとすることができ
る。しかしながら、この電極を一年以上に亘つて
水素発生用に連続使用した場合、電極活性が低下
していくことがある。このような活性の低下した
電極を調べてみると、酸化度が著るしく低下して
いることを本願発明者等は見出した。 本願発明者等は、酸化物電極のこの問題をクロ
ムを添加することにより解決し、本発明を完成し
たものである。即ち、ニツケル、コバルトから選
ばれた少なくとも一種の金属の酸化物と、クロム
とを被覆中に含有させることにより、電極活物質
であるニツケル、コバルト酸化物の還元を防止
し、過電圧が低く、且つ寿命の長い水素発生用電
極を完成したものである。 被覆中のクロムの含有率は、0.5〜20モル%の
範囲であることが好ましい。ここに言うクロム含
有率とは、被覆に含有されているニツケル、コバ
ルト、クロム原子中におけるクロム原子の割合を
示すもので、螢光X線法により定量し、モル%で
表示する。クロムの含有率が0.5モル%に満たな
い場合、還元耐性は不充分であり、電極被覆は
除々に還元されて酸化度が低下し、電極活性が失
われて過電圧が上昇する。一方クロムの含有率
が、20モル%を越える場合、還元はされないが、
電極の活性は初めから低く、過電圧の低下効果が
得られない。この事実を示す一例として、図−1
にニツケル酸化物−クロム系におけるクロム含有
率と水素過電圧及び酸化度との関係を、電解初期
の電極と、10ケ月間電解使用した電極との二つの
場合について示した。なお図−1において、クロ
ム含有率の高いところにおいても、10月後の酸化
度が、2〜3日後の酸化度に較べて約10%低下し
ているが、これは初期の電解において酸化物の内
の不安定な部分が除かれるためであつて、経時的
な低下を意味するものではない。本図から明らか
なごとく長期間に亘つて還元耐性と電極活性との
両方を維持するような組成範囲は比較的挾くクロ
ム含有率の好ましい範囲は、0.5〜20モル%であ
ることが解る。このような割合でクロムを含有す
る本発明の電極は、連続して一年以上水素発生反
応に使用した後においても、その酸化度は低下せ
ず、電極として活性な状態を保つものである。ニ
ツケルの代りにコバルトを用いた場合も同様であ
る。 次に電極被覆のX線回折図の一例を図−2と図
−3に示す。X線回折の測定は、理学電機製の回
折装置SG−7とX線発生装置4036 A−2とを用
いて行つた。図−2の試料は、クロム含有率10モ
ル%、酸化度87%で、本発明に属するものであ
る。図−2には、ニツケル酸化物(NiO)、金属
ニツケル(Ni)に帰属されるピークが認められ
るのみで、ニツケル−クロム複合酸化物の位置に
は、全くピークが認められない。また、クロム酸
化物あるいは金属クロムに帰属されるピークもX
線回折図上には現れていない。クロムは、ニツケ
ル酸化物中に非晶状態あるいは固溶状態で存在し
ているものと推定される。図−3の試料は、クロ
ム含有率33モル%、酸化度91%で、本発明の範囲
外のものである。図−3には、ニツケル酸化物
(NiO)、金属ニツケル(Ni)の他に、ニツケル
−クロム複合酸化物(NiCr2o4)に帰属されるピ
ークが現れている。この電極は図−1に示したよ
うに、電極活性が乏しく水素過電圧の高いもので
ある。ニツケルの代りにコバルトを用いた場合も
同様である。即ち、本発明の電極は、クロムの含
有率が0.5〜20モル%であり、しかも、ニツケル、
コバルト、クロムの組合せで生ずる可能性があつ
て、且つ電極活性の低い複合酸化物を含有しない
ものである。 ニツケル、コバルトから選ばれた少なくとも一
種の金属の酸化物は、単独のニツケルの酸化物で
あつてもよいし、単独のコバルトの酸化物であつ
てもよいし、ニツケル酸化物とコバルト酸化物と
の混合物であつてもよい。ニツケルとコバルトと
からなる複合酸化物は、電極活性が乏しく本発明
の目的に適さない。ニツケル、コバルトから選ば
れた少なくとも一種の金属の酸化物の内で、最も
好ましいものは、ニツケル酸化物である。コバル
ト酸化物は、ニツケル酸化物と同様に本発明の目
的に好適なものであるが、詳細に比較すると、ニ
ツケル酸化物の方が、コバルト酸化物よりも、電
極活性において優つている。 ニツケル、コバルトから選ばれた少なくとも一
種の金属の酸化物の含有率は、30〜99.5モル%で
あればよく、更に一層好ましい範囲は、50〜90モ
ル%である。クロムの含有率が、0.5〜20モル%
で、且つニツケル、コバルトから選ばれた金属の
酸化物の含有率が、30モル%に満たない場合、残
部が金属であれば、その部分の電極活性が低下
し、電極全体としての活性も低下し、本発明の目
的とするところの長寿命の電極は得られない。 次に、本発明の電極被覆を得る方法としては、
例えば分解して酸化物を形成するようなニツケ
ル、コバルトから選ばれた少なくとも一種の塩と
クロムの塩とを均質な溶液とし、これを導電性基
材上に塗布し、酸素含有雰囲気中で焼付けて電極
とする方法、ニツケル、コバルトから選ばれた少
なくとも一種の金属の酸化物または酸化物を形成
可能な金属、金属化合物と、クロムの酸化物また
は酸化物を形成可能な金属、金属化合物との混合
物からなる原料粉末を、プラズマ溶射あるいはク
レーム溶射により溶射する方法、ニツケル、コバ
ルトから選ばれた少なくとも一種の金属の塩と、
クロムの塩とを均質な溶液とし、導電性基材をこ
の溶液中に浸漬し、電気メツキあるいは化学メツ
キにより混合メツキし、更にこれを酸素含有雰囲
気中で酸化焼成する方法などがある。 塗布焼付法による場合、ニツケル、コバルト、
クロムの塩としては、例えば、硝酸塩、塩化物、
ギ酸塩、酢酸塩、蓚酸塩などがある。溶射法によ
る場合、ニツケル、コバルト、クロムを含有する
原料粉末としては、例えば、酸化物、水酸化物、
金属、炭酸塩、蟻酸塩、蓚酸塩などが使用可能で
あるが、とくに好ましい原料粉末は、酸化物であ
る。メツキ−酸化焼成法による場合、ニツケル、
コバルト、クロムの塩としては、例えば硫酸塩、
塩化物、硝酸塩、酢酸塩、トリクロロ酢酸塩があ
る。 これらの方法は、いずれも本発明の電極に適用
可能な方法であるが、所定の組成を有する被覆を
確実に得ることができ、電極の活性が優れてお
り、長寿命の電極が得られるという意味におい
て、最も好ましい方法は溶射法である。即ち、溶
射法による電極は原料となる粉末状物質を溶融・
固化・被覆形成するまでのプロセスが瞬時にして
完結するため、非化学量論的組成物が生成し易
く、高活性な電極被覆が得られる。また、混合・
造粒のごとき比較的簡単で確実な方法により、複
数の成分からなる均一な組成分を確実に得ること
ができ、これを溶射することにより所望の電極被
覆を自由に得ることができる。従つて溶射法は、
複数の組成物からなる高活性で長寿命の電極を得
るという本発明の目的に最も適した方法である。
溶射法による場合、電極活物質とこれに還元耐性
を与える物質との親和性を向上し、それぞれの機
能を充分に発揮させることが、高活性で且つ長寿
命の電極を得るためには重要である。このような
目的で、電極活性を与える物質とこれに還元耐性
を与える物質とからなる原料粉末を充分に混合
し、粉砕し、造粒したのちに溶射することが好ま
しい。 造粒成型の方法は、その装置の型式、原料の状
態、造粒機構により分類される。適用可能な方法
としては、粉末と液体とからなる原料を毛細管吸
着力あるいは化学反応により造粒する回転ドラム
型あるいは回転皿型のもの、溶液あるいは懸濁液
状の原料を表面張力・乾燥・結晶化の作用により
造粒する噴霧乾燥型のもの、更に溶融液状の原料
を表面張力・冷却・結晶化の作用により造粒する
噴霧空冷型あるいは噴霧水冷型のものがある。い
ずれも造粒成型物は、実質的に球状となる。造粒
成型物が均質な多孔質となり活性な被覆が得易い
こと、造粒成型物の強度および粒子径の制御が容
易であること、造粒コストが比較的安いこと等の
理由により、本発明の目的には、噴霧乾燥型の造
粒成型法が最も適している。 噴霧乾燥型の造粒においては、微細な原料粉末
と結合剤と水とからなる均質な懸濁液もしく溶液
を調整し、これを回転円盤、二流体ノズルあるい
は加圧ノズルより噴射し、生成した液滴を乾燥す
ることにより、均質な組成、均一な形状および粒
子径と一定の結合強度とを有する造粒成型物とし
て取りだす。 結合剤としては、水溶性高分子量有機物が好ま
しい。このような物質としては、ポリビニルアル
コール、ポリ酢酸ビニル、アラビアゴム、カルボ
キシメチルセルロース、メチルセルロース、エチ
ルセルロース等がある。これらの高分子量有機物
は、造粒成型の過程では構成微粒子間の結合剤と
して作用し、造粒成型物に一定の強度を与えるが
溶射の過程では、燃焼もしくは分解により、殆ん
ど消失し得られる電極被覆には影響を及ぼさな
い。 懸濁液もしくは溶液の安定化のために、分散
剤、凝集防止剤、界面活性剤、防腐剤を添加する
ことは、均一な造粒操作のためには、有効な手段
である。これらの選定においても、電極被覆に影
響を及ぼさないものを選ぶことは言うまでもな
い。懸濁液もしくは溶液の好ましい濃度範囲は30
〜90重量%である。 造粒成型物の粒子径は1〜200μmであること
が好ましく、一層好ましい範囲は、5〜100μm
である。粒子径が細か過ぎる場合には、溶射にお
いて大量の粉塵が発生し、溶射収率が著しく低下
し、工業的に溶射を実施することが困難となる。
逆に粒子径が大き過ぎる場合には、不完全溶融に
よる電極活性および電極ライフの低下、被覆強度
の低下、また、未溶融部分の発生による溶射収率
の低下等の問題が生じ、好ましくない。造粒成型
物の強度は0.5g/粒子以上の圧壊強度であるこ
とが好ましい。これは、造粒成型後の貯蔵・輸送
において造粒成型物が、その形状を維持するため
に必要なものである。 造粒成型物を溶射する方法としては、火炎溶射
法とプラズマ溶射法とが適用できる。一層好まし
い方法は、プラズマ溶射法である。プラズマ溶射
法は、アルゴン、窒素、水素、ヘリウム等から選
ばれたプラズマを直流アークの間隙を通過させる
ことにより、ガスの解離、電離を起させ、数千度
から一万度以上の高温と一定の熱容量と高速度を
有するプラズマフレームとして取り出す方法であ
る。造粒成型された原料粉末は、不活性ガスによ
り搬送され、このプラズマフレームの中に注ぎ込
まれる。フレームに取り込まれた造粒成型物は、
溶融・飛行し、標的である電極基材表面に衝突
し、冷却・固化されて被覆を形成する。この溶
融・飛行・衝突の過程は、瞬時にして終結するも
のであり、その時間は、0.1〜10msecと推定され
る。プラズマフレームの温度・熱容量・速度は、
プラズマガスの選定とアーク電力により基本的に
定まる。プラズマガスは混合ガスとして用いるの
が好ましく、アルゴン−窒素、アルゴン−水素、
窒素−水素の組合せが好適なものである。アーク
電力は、アーク電流とアーク電圧により定まり、
一定の電流下における電圧は、電極間距離とプラ
ズマガスの種類と流量とにより定まる。窒素のよ
うに分子が解離し更に電離するのに多くのエネル
ギーを要するガスを用いる場合には一般に電圧は
高くなり、アルゴンのように単原子分子であつて
電離し易いガスを用いる場合には一般に電圧は低
くなる。いずれにせよ、アーク電力は造粒成型物
の溶融を瞬時にして行うに充分なだけの温度と熱
容量をもつたプラズマガスを与えることができれ
ばよい。 溶射に係るその他の要因として、造粒成型物の
プラズマフレームへの注加方法、電極基材とプラ
ズマ溶射ガンとの間の距離、プラズマフレームと
電極基材面とが形成する角度、溶射物の冷却方法
等があるが、これらはすべて一般的な条件でよ
く、これらを特に限定するものではない。 更に、電極活性を与える物質と還元耐性を与え
る物質に加えて、第三の成分として、例えば、亜
鉛、亜鉛酸化物、アルミニウム、二酸化硅素、モ
リブデン、モリブデン酸化物などを添加すること
も、電極の活性を一層改善し、水素過電圧を更に
低下させるという意味において有効である。 被覆の厚みは、10〜300μmであればよい。被
覆の厚みが10μm未満では、過電圧が充分に小さ
くならないし、逆に300μmを超えても、過電圧
はある値以下には小さくできず経済的でない。 導電性基材として必要な性質は、水素発生用の
電極がさらされる電解質中で、その作動電位及び
停止時の電位において充分な耐食性をもつことで
ある。本発明のごとき活性で且つ多孔質な被覆を
有する電極の基材は、電極被覆の表層で水素を発
生している期間においてさえ、基材表層は被覆表
層よりも貴な電位にさらされており、その電位が
鉄の溶出電折の平衡電位より貴な値となつている
ことも稀ではない。従つて鉄を本発明の基材とし
て用いると、基材表層から鉄の腐食溶出が起り電
解質及び電極を汚染し、甚だしい場合には、被覆
の剥離脱落が生じ電極活性がなくなることもあ
る。汎用的な材料であり且つ本発明の電極の基材
として好適なものとしては、例えば、ニツケル、
ニツケル合金、オーステナイト系ステンレス鋼、
フエライト系ステンレス鋼などがある。なかで
も、ニツケル、ニツケル合金、オーステナイト系
ステンレス鋼は、本発明の電極の基材として好適
であり、特に好ましいものは、ニツケル、ニツケ
ル合金である。 また、導電性の電極基材の表層に、ニツケル、
ニツケル合金、オーステナイト系ステンレス鋼の
緻密な被覆を有するものも、当然本発明の電極に
好適な基材である。このような緻密で且つ耐食性
の被覆は公知の多くの方法例えば、電気メツキ、
化学メツキ、溶融メツキ、ローリングあるいは爆
発による圧着、金属の複合接着(クラツド)、蒸
着、イオン化プレーテイング等の方法によつて得
られる。 電極の基材の形状は発生する水素ガスが速やか
に抜け水素ガスによる電流遮蔽により余分な電圧
損失を生じないような構造で、且つ有効な電解表
面積が大きく、電流集中の起りにくい構造である
ことが好ましい。このような形状の基材は、適当
な線経と線間隔を有する金網、適当な板厚、孔
径、ピツチを有する有効板あるいはエクスパンデ
ツドメタルにより得られる。 本発明の電極は、イオン交換膜法及び隔膜法に
よる食塩電解、食塩以外のアルカリ金属ハロゲン
化物の電解、水電解及び芒硝電解などにおける水
素発生用の電極として使用することができる。こ
の発明による電極の接する電解液はアルカリ性で
あることが好ましい。また電解槽の型式は単極
式、複極式を問わず適用でき、水電解においては
複極として使用することもできる。 以下に実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例にのみ限定される
ものではない。 実施例 1 粉末状の酸化ニツケル(NiO)100重量部と粉
末状の酸化クロム(Cr2O3)5.3重量部とを結合剤
(アラビアゴム)2.25重量部、分散剤(カルボキ
シメチルセルロース)0.7重量部、界面活性剤
(ラウリル硫酸ナトリウム)0.001重量部、防腐剤
(フエノール)0.1重量部、水100重量部からなる
水溶液に加え、激しく撹拌して均質な懸濁液を調
整した。酸化ニツケルと酸化クロムの粒子径を電
子顕微鏡写真により測定したところ、酸化ニツケ
ルの粒子径は、0.2〜2μmの範囲であり、酸化ク
ロムの粒子径は、0.5〜3μmの範囲であつた。こ
の懸濁液を噴霧乾燥型の造粒機で造粒処理したと
ころ、粒径範囲が5〜50μmで圧壊強度が5g/
粒子で、含水率が0.1重量%以下の球状の造粒成
型物を得た。 次に、この造粒粒成型物を電極基材上にプラズ
マ溶射した。基材には5×5cmのニツケルの金網
(線径0.7mm、#12メツシユ)をトリクレンで脱脂
し、アルミナでブラスト処理したのち使用した。
プラズマガスには、アルゴンと窒素との混合ガス
を用い、その流量はアルゴン1Nm3/Hと窒素
0.8Nm3/Hであつた。電極基材と溶射用ガン先
端との距離は10cmであり、プラズマフレームと電
極基材面とのなす角度は90゜であつた。被覆の厚
みは、電極基材のオモテ面が100μm、ウラ面が
50μmであつた。 この電極被覆の組成と化学構造とを全く同一の
方法で作成した別の試料を用いて調べた。螢光X
線により被覆のクロム含有率を調べたところ、5
モル%であつた。X線回折により化学構造を調べ
たところ、被覆は、NiOとNiから形成されてい
ることが判つたが、ニツケル−クロムの複合酸化
物は全く認められなかつた。 次に、この電極をカルボン酸−スルホン酸の二
層構造をもつ陽イオン交換膜とチタン製のエクス
パンデツドメタルにルテニウム、チタニウム、ジ
ルコニウムの酸化物固溶体の被覆を有する陽極を
設けた電解槽に、電極のオモテ面が陽イオン交換
膜のカルボン酸層に対向するように組込んだ。陽
極室には175g/の食塩水を供給し、陰極室に
は30%の苛性ソーダ水溶液を供給して、電流密度
40A/dm2、90℃で連続的に電解を行つた。水素
過電圧の測定はテフロン製のルギン主管と水銀−
酸化水銀参照極を用いて、電流遮断法により行つ
た。電極の酸化度は、被覆をX線回折にかけ、
NiO(0,1,2)面とNi(1,1,1)面のピ
ークの強度比より求めた。その結果を次表に示
す。
【表】 酸化度は、初期から5ケ月の間に20%低下した
が、その後は水素過電圧と同様に一定の値となつ
て変化しなかつた。初期の酸化度が100%でない
のは、還元性のプラズマフレームの中で酸化ニツ
ケルの一部が還元されたためである。 実施例 2,3,4,5 粒径範囲0.2〜2μmの酸化ニツケル(NiO)100
重量部と粒径範囲0.5〜3μmの酸化クロム
(Cr2O3)とを乾式混合し、乾燥空気で乾燥した
のち、直接電極基材上に実施例−1と同じ方法で
プラズマ溶射し、オモテ面100μm、ウラ面50μm
の被覆を設けた。粉末状酸化クロム(Cr2D3)の
添加量を実施例−2では0.6重量部、実施例−3
では3.2重量部、実施例−4では11.4重量部、実
施例−5では25.5重量部とした。これらの電極被
覆のクロム含有率は、実施例−2が0.5モル%実
施例−3が3.0モル%、実施例−4が10モル%、
実施例−5が20モル%であつた。また、これらの
被覆の化学構造をX線回折で調べた結果、酸化ニ
ツケル(NiO)、金属ニツケル(Ni)から形成さ
れており、ニツケル−クロムの複合酸化物は全く
認められなかつた。これらの電極を実施例−1と
同じ方法・条件で電解し、実施例−1と同じ方法
で評価した結果を次表に示す。
【表】 実施例 6,7,8,9 粉末状の酸化コバルト(CoO)100重量部と粉
末状の酸化クロム(Cr2O3)とを実施例−1と全
く同じ方法で懸濁液とし、造粒成型し、プラズマ
溶射して電極を作製した。粉末状酸化コバルトの
粒子径は0.4〜2μmの範囲であり、粉末状酸化ク
ロムの粒子径は0.5〜3μmの範囲であつた。粉末
状酸化クロムの添加量を実施例−6では0.6重量
部、実施例−7では5.4重量部、実施例−8では
11.3重量部、実施例−9では25.4重量部とし、粉
末状酸化ニツケルの代りに粉末状酸化コバルトを
用いた以外は、すべて実施例−1と同じ方法によ
つた。これらの電極被覆のクロム含有率は実施例
−6が0.5モル%、実施例−7が5.0モル%、実施
例−8が10モル%、実施例−9が20モル%であつ
た。また、これらの被覆の化学構造をX線回折で
調べた結果、酸化コバルト(CoO)、金属コバル
ト(Co)から形成されており、コバルト−クロ
ムの複合酸化物は、全く認められなかつた。これ
らの電極を実施例−1と同じ方法、条件で電解
し、実施例−1と同じ方法で評価した結果を次表
に示す。
【表】 実施例−10 粉末状の酸化ニツケル(NiO)100重量部と、
粉末状の酸化クロム(Cr2O3)11.4重量部と粉末
状の二酸化硅素(SiO2)8.1重量部とを実施例−
1と全く同じ方法で懸濁液とし、造粒成型し、プ
ラズマ溶射して電極を作製した。粉末状酸化ニツ
ケルの粒子径は0.2〜2μmの範囲であり、粉末状
酸化クロムの粒子径は0.5〜3μmの範囲であり、
粉末状二酸化硅素の粒子径は0.5〜3μmの範囲で
あつた。この電極被覆のクロム含有率は10モル%
であり、硅素の含有率は4.2モル%であつた。こ
の電極を30%苛性ソーダ中に90℃で24時間浸漬し
たのち、実施例−1と同じ方法、条件で電解し、
実施例−1と同じ条件で評価した結果を次表に示
す。
【表】 比較例 1 粉末状の酸化ニツケル(NiO)100重量部を単
独で実施例−1と全く同じ方法で懸濁液として造
粒成型しプラズマ溶射して電極を作成した。粉末
状酸化ニツケルの粒子径は0.2〜2μmの範囲であ
つた。この電極を実施例−1と同じ条件・方法で
電解し、実施例−1と同じ方法で評価した結果を
次表に示す。
【表】 この電極の酸化度は、初期低下ののちも経時的
に低下し10ケ月後には酸化度ゼロとなりそれに対
応して水素過電圧は上昇し電圧低下効果の大部分
が失われてしまつた。 比較例 2 粉末状の酸化コバルト(CoO)100重量部を単
独で実施例−1と全く同じ方法で懸濁液として造
粒成型しプラズマ溶射して電極を作成した。粉末
状の酸化コバルトの粒子径は0.4〜2μmの範囲で
あつた。この電極を実施例−1と同じ条件、方法
で電解し、実施例−1と同じ方法で評価した結果
を次表に示す。
【表】 比較例 3 粉末状の酸化クロム(Cr2O3)100重量部を単
独で実施例−1と全く同じ方法で懸濁液として造
粒成型しプラズマ溶射して電極を作成した。粉末
状の酸化クロムの粒子径は0.5〜3μmであつた。 この電極を実施例−1と同じ方法・条件で電解
し実施例−1と同じ方法で評価した結果を次表に
示す。
【表】 この電極の水素過電圧は初期から高く、しかも
経時上昇をした。酸化度はゆるやかに低下してい
るが依然として高い値であつた。 比較例 4 粉末状の酸化ニツケル(NiO)100重量部と粉
末状の酸化クロム(Cr2O3)102重量部とを実施
例−1と全く同じ方法で懸濁液として造粒成型し
プラズマ溶射して電極を作成した。粉末状酸化ニ
ツケルの粒子径は0.2〜2μmの範囲であり、粉末
状酸化クロムの粒子径は0.5〜3μmの範囲であつ
た。この電極被覆のクロム含有率は50モル%であ
り、また、化学構造をX線回折で調べた結果酸化
ニツケル(NiO)金属ニツケル(Ni)の他に、
ニツケル−クロム複合酸化物(NiCr2O4)が形成
されていることが判つた。この電極を実施例−1
と同じ条件・方法で電解し、実施例−1と同じ方
法で評価した結果を次表に示す。
【表】 【図面の簡単な説明】
図−1は、ニツケル酸化物−クロム系における
クロム含水率と水素過電圧、酸化度の関係を、電
解初期の電極と10ケ月間電解使用した電極とにつ
いて示したものである。図−2は、クロム含有率
10モル%、酸化度87%であるニツケル酸化物−ク
ロム系の電極被覆のX線回折の説明図である。図
−3は、クロム含有率33モル%、酸化度91%であ
るニツケル酸化物−クロム系の電極被覆のX線回
折の説明図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 ニツケル、コバルトから選ばれた少なくとも
    一種の金属の酸化物とクロムとを含有する層が導
    電性基材に被覆された電極であつて、被覆中の該
    金属酸化物の含有率が30〜99.5モル%であり、且
    つ被覆中の全金属元素に対し、0.5〜20モル%の
    クロムを非晶質あるいは固溶体として含有するこ
    とを特徴とする水素発生用電極。 2 導電性基材がニツケル、ニツケル合金あるい
    はオーステナイト系ステンレス鋼からなる耐食性
    の基材である特許請求の範囲第1項記載の水素発
    生用電極。 3 被覆がニツケル酸化物、ニツケルおよびクロ
    ムから成る特許請求の範囲第1項又は第2項記載
    の水素発生用電極。 4 被覆中のニツケル酸化物の含有率が30〜99.5
    モル%である特許請求の範囲第3項記載の水素発
    生用電極。
JP58036620A 1982-11-30 1983-03-08 水素発生用電極 Granted JPS59162288A (ja)

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