JPH0348259B2 - - Google Patents
Info
- Publication number
- JPH0348259B2 JPH0348259B2 JP59036158A JP3615884A JPH0348259B2 JP H0348259 B2 JPH0348259 B2 JP H0348259B2 JP 59036158 A JP59036158 A JP 59036158A JP 3615884 A JP3615884 A JP 3615884A JP H0348259 B2 JPH0348259 B2 JP H0348259B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- toughness
- hardness
- wear resistance
- amount
- resistance
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Component Parts Of Construction Machinery (AREA)
Description
本発明は、高い靭性と焼戻軟化抵抗が大きいカ
ツテイングエツジ材に関する。 モータグレーダのカツテイングエツジは、耐摩
耗性が要求されるだけでなく、局部的に衝撃(曲
げ)荷重を受けるので、高い靭性(一般には、室
温2mmUシヤルピー値で3Kg・m/cm2以上必要と
考えられている)が要求される。また、カツテイ
ングエツジ材は、土砂との摩擦熱によつて焼戻さ
れ、硬さが低下して耐摩耗性が著しく低下する。
特に積雪地でのアスフアルト道路の除雪作業で
は、氷やアスフアルトとの摩擦によりカツテイン
グエツジ先端部は500〜600℃の高温に加熱される
ため、軟化の傾向が大きく、一般には消耗品と考
えられているが、耐久性の向上が強く望まれてい
る。 通常、モータグレーダのカツテイングエツジ材
として使用されている材料としては、JIG規格の
SCr445或いはSi含有量を高めて鋼の耐焼戻性能
を改良した高Si系鋼(特公昭47−9901号公報等)
がある。しかし、比較的温度上昇が小さい整地作
業や小型機用のものでは、優れた耐摩耗性を有す
るが、大型機種や寒冷時の除雪作業では頻繁に
600℃を超える使用条件となり、損耗が極めて速
いという欠点がある。 なお、耐摩耗性の点では、比較的高温に曝され
ても耐摩耗性が優れているものに工具鋼等がある
が、これ等は靭性、加工性が劣り、又高価な合金
元素を多量に含有するために、耐摩耗性の向上以
上に価格が上り、安価であることを旨とするモー
タグレーダ材としては適さない。 除雪作業時のカツテイングエツジ先端部におけ
る摩擦による最高温度を測定した。その結果、第
1図に示すように高速走行では、刃先面近傍(5
mm以内)は620℃前後の高温に達することが明ら
かになつた。一方、材質的には、Cr、MO、V及
びNbによる複合炭化物を析出させることにより、
焼戻軟化抵抗が高められると共に、セメンタイト
の析出に比べ、室温の硬さが低くても耐摩耗性が
優れるという知見が得られた。 これらの結果より、高い硬さを得るために350
〜450℃の低い温度で焼戻しを実施している従来
のカツテイングエツジ材は、初期の硬さが高くて
も摩擦面に接近するにつれて軟化し、実際には初
期硬さよりかなり低い硬さで使用されることにな
り、耐摩耗性を著しく低下するものであることが
判つた。 以上の事実及び従来のものの欠点を踏まえ、以
下に記す条件を満足する耐摩耗性の優れた鋼を提
供することが本発明の目的である。 (1) 焼戻軟化抵抗が大で、少なくとも640℃の焼
戻温度に上つても高硬度を維持し、耐摩耗性が
優れること。 (2) 靭性が優れること。 (3) 先端(切刃)形状の保ちがよいこと。 すなわち本発明は、 (1) 重量基準で、C0.50−0.60%、Si1.4−1.8%、
Mn0.4−0.8%、Cr0.8−1.2%、Mo0.2−0.5%、
V0.10−0.25%、Ni1.0−2.0%、Nb0.08−0.16
%と残部がFe及び不純物からなり、高い靭性
と焼戻軟化抵抗が大きいことを特徴とするカツ
テイングエツジ材。 (2) 重量基準で、C0.50−0.60%、Si1.4−1.8%、
Mn0.4−0.8%、Cr0.8−1.2%、Mo0.2−0.5%、
V0.10−0.25%、Ni1.0−2.0%、Nb0.08−0.16
%、B0.0005−0.001%と残部がFe及び不純物か
らなり、高い靭性と焼戻軟化抵抗が大きいこと
を特徴とするカツテイングエツジ材。 に関するものである。 本発明のカツテイングエツジ材は、金属炭化物
の析出により、600℃以上の高温によつて焼戻し
を施しても高い硬さを維持することができ、従来
のものの欠点である、600℃を超える温度で使用
された場合の耐摩耗性低下を改善することができ
る。 このような本発明のカツテイングエツジ材は、
建設機械用掘削部品全般、モータグレーダ用カツ
テイングエツジ、ブルドーザの切刃等に使用でき
る。 本発明が技術的に確立される要点(化学組成の
限定理由)は、次の通りである。 (1) C0.50−0.60% Cは、耐摩耗性を維持するための硬さ及び靭
性に大きな影響を与える重要な成分であり、耐
摩耗性の目安にあるHRC45以上の硬さを得る
ためには、厚さ15mmのロール材の油焼入れでは
0.40%以上を含有することが必要であるが、本
発明合金のように焼戻温度が高い場合には、そ
れだけ焼戻軟化が大きいので、下限を0.5%と
することが必要である。一方、Cが0.60%以上
になると、本発明合金の特徴であるMo、V及
びNbの相互作用にも関係するが、組織中の炭
化物が粗大化し、硬さは増加するが、靭性値を
低下させると共に、塊状の炭化物の脱落によつ
て摩耗が進むようになり、かえつて耐摩耗性を
低下させる。 (2) Si1.4−1.8% Siは、Niとの共存によつて基地の硬さを高
めるとともに、焼戻しで炭化物を微細に析出
し、靭性、耐摩耗性の向上に有効である。しか
し、焼入性を阻害する作用があるので、他の
Cr、Ni量を高める必要が生じる。また、Si量
が高すぎると、靭性の低下及び焼割れ感受性が
高くなるので、本発明組成の範囲内で効果が顕
著である1.4〜1.8%が好ましい。 (3) Mn0.4−0.8% Mnは、Si量が比較的高いため、その含有量
が多いと著しい脆化を起し、靭性を低下せしめ
るので、少ない方が望ましいが、焼入性の充足
成分であること、又通常の製鋼に於いて必須の
元素であることを配慮した場合、0.4−0.8%が
好ましい。 (4) Cr0.8−1.2% Crは、焼入性を向上し、焼入後の硬さを高
め、かつ高温焼戻しによつても高硬度を維持さ
せる作用を有する。このような効果を得るため
には、本発明合金ではSi量が比較的高いので、
0.8%以上のCrが必要である。一方、Cr含有量
が1.2%ぐらいから、焼入性については飽和す
ると共に、靭性が低下して来るので、Cr含有
量としては、0.8−1.2%の範囲が好ましい。 (5) Mo0.2−0.5% Moは、Cr、Niとの関係に於いて、焼入性を
高めると共に、焼戻し脆性を抑え、またセメン
タイトを分散させることにより靭性を高める。
更に、vとの共存に於いて、セメンタイトを安
定にし、高温焼戻しによる炭化物の凝集を抑
え、V炭化物による2次硬化を促進するので、
本発明の特徴である焼戻し軟化抵抗向上に不可
欠な元素である。この効果はV、Nbとの共存
に於いて0.2%ぐらいから認められ、0.5%を超
えるとその効果は緩慢になるので、上限は0.5
%とする。 (6) V0.10−0.25% Vは、高温の焼戻しによつて微細な炭化物を
生成し、結果的に焼戻軟化抵抗を高める。また
結晶粒を微細化し、靭性を高めるものであり、
単独でも効果はあるが、本発明のように620℃
の使用条件に曝されるカツテイングエツジ材に
関しては、軟化を抑え、耐摩耗性を維持するた
めには、Mo及びNbとの共存による効果が大で
ある。このような効果を得るためには、Nb添
加を考慮して、その下限量は0.10%が適当であ
る。一方、V+Nb量の過剰添加は、V、NbC
炭化物を粗大化させ、靭性、耐摩耗性を低下さ
せるので、その上限は0.25%とする。 (7) Nb0.08〜0.16% Nbは、微量添加によつて熱間加工や熱処理
時の高温加熱後における結晶粒の細粒化に役立
ち、靭性を向上させると共に、MOとの共存に
於いて焼戻軟化抵抗を向上させる効果がある。
その効果は0.08%前後で十分であるが、本発明
合金の場合は、C量が高いことと、Vとの複合
炭化物の析出によつて、耐摩耗性(高温硬さ)
及び靭性の向上は、0.16%ぐらいまで認められ
る。しかしながら、これ以上になるとNb炭化
物が粗大化し、靭性が低下する。なお、Nbに
は通常、不純物としてNb地金中に含まれる量
のTaが含有されうる。 (8) Ni1.0−2.0% Niは、部品の大型化に伴う質量効果を軽減
するのに有効である。一方、基地の靭性を高め
るので、本発明の特徴である高温まで安定して
微細な炭化物を有する合金では、優れた耐摩耗
性を付与する。また、MO、V及びNbによる
焼戻軟化抵抗の向上と相乗されて、優れた耐摩
耗性(高温硬さ)を与える。その効果は、その
含有量が1.0%以上で得られるが、2.0%を超え
ると、残留オーステナイトの析出により軟化す
ることと、脆化防止のために、高価なMOを増
加する必要が生じるので、上限は2.0%が適当
である。 (9) B添加無し、又は0.0005−0.0010% Bは添加しなくてもよい。また微量の添加
で、焼入硬さを高め、焼戻温度を高めることが
できるので、靭性向上と、さらに厳しい条件下
の耐摩耗性向上が図れる。しかし、0.0010%以
上の添加は、粒界にボロン化合物を析出させ、
靭性を低下させる。また、微量の添加であるた
めに、溶湯中に於ける酸化、窒化によつて有効
ボロン量が減少するので、添加による効果(固
溶ボロン)を得るためには、0.0005%以上の添
加が必要である。 以下、実施例によつて本発明の特徴及び成分範
囲の限定理由を説明する。 実施例 本発明のカツテイングエツジ材は、所定の組成
に溶解、精錬、造塊した後、150mm幅×12mm厚さ
の断面形状に熱間圧延した。熱処理は、1025℃で
焼なまし後、875℃で焼ならしたものを、925℃で
油焼入し、各種の温度で焼戻しを施した。 第1表に示す組成の25種の鋼について、従来材
は所定の温度で、実験材及び本発明材は640℃で
焼戻しを施し、室温硬さ(HRC)、衝撃値(2mm
Uノツチシヤルピー値、試験温度20℃)及び摩耗
試験を実施した。 その結果を第2表に示す。摩耗試験は、15mm厚
さ×150mm幅の試験片を土木用コンクリート(圧
縮強度350Kg/cm2、粗骨材最大20mm、スランプ量
80mm)に15Kg/cm3の荷重で押し付け、走行速度
3.4Km/hで34Km走行し、摩耗量を求めた。 走行時の試験片先端温度は、最高585℃であつ
た。
ツテイングエツジ材に関する。 モータグレーダのカツテイングエツジは、耐摩
耗性が要求されるだけでなく、局部的に衝撃(曲
げ)荷重を受けるので、高い靭性(一般には、室
温2mmUシヤルピー値で3Kg・m/cm2以上必要と
考えられている)が要求される。また、カツテイ
ングエツジ材は、土砂との摩擦熱によつて焼戻さ
れ、硬さが低下して耐摩耗性が著しく低下する。
特に積雪地でのアスフアルト道路の除雪作業で
は、氷やアスフアルトとの摩擦によりカツテイン
グエツジ先端部は500〜600℃の高温に加熱される
ため、軟化の傾向が大きく、一般には消耗品と考
えられているが、耐久性の向上が強く望まれてい
る。 通常、モータグレーダのカツテイングエツジ材
として使用されている材料としては、JIG規格の
SCr445或いはSi含有量を高めて鋼の耐焼戻性能
を改良した高Si系鋼(特公昭47−9901号公報等)
がある。しかし、比較的温度上昇が小さい整地作
業や小型機用のものでは、優れた耐摩耗性を有す
るが、大型機種や寒冷時の除雪作業では頻繁に
600℃を超える使用条件となり、損耗が極めて速
いという欠点がある。 なお、耐摩耗性の点では、比較的高温に曝され
ても耐摩耗性が優れているものに工具鋼等がある
が、これ等は靭性、加工性が劣り、又高価な合金
元素を多量に含有するために、耐摩耗性の向上以
上に価格が上り、安価であることを旨とするモー
タグレーダ材としては適さない。 除雪作業時のカツテイングエツジ先端部におけ
る摩擦による最高温度を測定した。その結果、第
1図に示すように高速走行では、刃先面近傍(5
mm以内)は620℃前後の高温に達することが明ら
かになつた。一方、材質的には、Cr、MO、V及
びNbによる複合炭化物を析出させることにより、
焼戻軟化抵抗が高められると共に、セメンタイト
の析出に比べ、室温の硬さが低くても耐摩耗性が
優れるという知見が得られた。 これらの結果より、高い硬さを得るために350
〜450℃の低い温度で焼戻しを実施している従来
のカツテイングエツジ材は、初期の硬さが高くて
も摩擦面に接近するにつれて軟化し、実際には初
期硬さよりかなり低い硬さで使用されることにな
り、耐摩耗性を著しく低下するものであることが
判つた。 以上の事実及び従来のものの欠点を踏まえ、以
下に記す条件を満足する耐摩耗性の優れた鋼を提
供することが本発明の目的である。 (1) 焼戻軟化抵抗が大で、少なくとも640℃の焼
戻温度に上つても高硬度を維持し、耐摩耗性が
優れること。 (2) 靭性が優れること。 (3) 先端(切刃)形状の保ちがよいこと。 すなわち本発明は、 (1) 重量基準で、C0.50−0.60%、Si1.4−1.8%、
Mn0.4−0.8%、Cr0.8−1.2%、Mo0.2−0.5%、
V0.10−0.25%、Ni1.0−2.0%、Nb0.08−0.16
%と残部がFe及び不純物からなり、高い靭性
と焼戻軟化抵抗が大きいことを特徴とするカツ
テイングエツジ材。 (2) 重量基準で、C0.50−0.60%、Si1.4−1.8%、
Mn0.4−0.8%、Cr0.8−1.2%、Mo0.2−0.5%、
V0.10−0.25%、Ni1.0−2.0%、Nb0.08−0.16
%、B0.0005−0.001%と残部がFe及び不純物か
らなり、高い靭性と焼戻軟化抵抗が大きいこと
を特徴とするカツテイングエツジ材。 に関するものである。 本発明のカツテイングエツジ材は、金属炭化物
の析出により、600℃以上の高温によつて焼戻し
を施しても高い硬さを維持することができ、従来
のものの欠点である、600℃を超える温度で使用
された場合の耐摩耗性低下を改善することができ
る。 このような本発明のカツテイングエツジ材は、
建設機械用掘削部品全般、モータグレーダ用カツ
テイングエツジ、ブルドーザの切刃等に使用でき
る。 本発明が技術的に確立される要点(化学組成の
限定理由)は、次の通りである。 (1) C0.50−0.60% Cは、耐摩耗性を維持するための硬さ及び靭
性に大きな影響を与える重要な成分であり、耐
摩耗性の目安にあるHRC45以上の硬さを得る
ためには、厚さ15mmのロール材の油焼入れでは
0.40%以上を含有することが必要であるが、本
発明合金のように焼戻温度が高い場合には、そ
れだけ焼戻軟化が大きいので、下限を0.5%と
することが必要である。一方、Cが0.60%以上
になると、本発明合金の特徴であるMo、V及
びNbの相互作用にも関係するが、組織中の炭
化物が粗大化し、硬さは増加するが、靭性値を
低下させると共に、塊状の炭化物の脱落によつ
て摩耗が進むようになり、かえつて耐摩耗性を
低下させる。 (2) Si1.4−1.8% Siは、Niとの共存によつて基地の硬さを高
めるとともに、焼戻しで炭化物を微細に析出
し、靭性、耐摩耗性の向上に有効である。しか
し、焼入性を阻害する作用があるので、他の
Cr、Ni量を高める必要が生じる。また、Si量
が高すぎると、靭性の低下及び焼割れ感受性が
高くなるので、本発明組成の範囲内で効果が顕
著である1.4〜1.8%が好ましい。 (3) Mn0.4−0.8% Mnは、Si量が比較的高いため、その含有量
が多いと著しい脆化を起し、靭性を低下せしめ
るので、少ない方が望ましいが、焼入性の充足
成分であること、又通常の製鋼に於いて必須の
元素であることを配慮した場合、0.4−0.8%が
好ましい。 (4) Cr0.8−1.2% Crは、焼入性を向上し、焼入後の硬さを高
め、かつ高温焼戻しによつても高硬度を維持さ
せる作用を有する。このような効果を得るため
には、本発明合金ではSi量が比較的高いので、
0.8%以上のCrが必要である。一方、Cr含有量
が1.2%ぐらいから、焼入性については飽和す
ると共に、靭性が低下して来るので、Cr含有
量としては、0.8−1.2%の範囲が好ましい。 (5) Mo0.2−0.5% Moは、Cr、Niとの関係に於いて、焼入性を
高めると共に、焼戻し脆性を抑え、またセメン
タイトを分散させることにより靭性を高める。
更に、vとの共存に於いて、セメンタイトを安
定にし、高温焼戻しによる炭化物の凝集を抑
え、V炭化物による2次硬化を促進するので、
本発明の特徴である焼戻し軟化抵抗向上に不可
欠な元素である。この効果はV、Nbとの共存
に於いて0.2%ぐらいから認められ、0.5%を超
えるとその効果は緩慢になるので、上限は0.5
%とする。 (6) V0.10−0.25% Vは、高温の焼戻しによつて微細な炭化物を
生成し、結果的に焼戻軟化抵抗を高める。また
結晶粒を微細化し、靭性を高めるものであり、
単独でも効果はあるが、本発明のように620℃
の使用条件に曝されるカツテイングエツジ材に
関しては、軟化を抑え、耐摩耗性を維持するた
めには、Mo及びNbとの共存による効果が大で
ある。このような効果を得るためには、Nb添
加を考慮して、その下限量は0.10%が適当であ
る。一方、V+Nb量の過剰添加は、V、NbC
炭化物を粗大化させ、靭性、耐摩耗性を低下さ
せるので、その上限は0.25%とする。 (7) Nb0.08〜0.16% Nbは、微量添加によつて熱間加工や熱処理
時の高温加熱後における結晶粒の細粒化に役立
ち、靭性を向上させると共に、MOとの共存に
於いて焼戻軟化抵抗を向上させる効果がある。
その効果は0.08%前後で十分であるが、本発明
合金の場合は、C量が高いことと、Vとの複合
炭化物の析出によつて、耐摩耗性(高温硬さ)
及び靭性の向上は、0.16%ぐらいまで認められ
る。しかしながら、これ以上になるとNb炭化
物が粗大化し、靭性が低下する。なお、Nbに
は通常、不純物としてNb地金中に含まれる量
のTaが含有されうる。 (8) Ni1.0−2.0% Niは、部品の大型化に伴う質量効果を軽減
するのに有効である。一方、基地の靭性を高め
るので、本発明の特徴である高温まで安定して
微細な炭化物を有する合金では、優れた耐摩耗
性を付与する。また、MO、V及びNbによる
焼戻軟化抵抗の向上と相乗されて、優れた耐摩
耗性(高温硬さ)を与える。その効果は、その
含有量が1.0%以上で得られるが、2.0%を超え
ると、残留オーステナイトの析出により軟化す
ることと、脆化防止のために、高価なMOを増
加する必要が生じるので、上限は2.0%が適当
である。 (9) B添加無し、又は0.0005−0.0010% Bは添加しなくてもよい。また微量の添加
で、焼入硬さを高め、焼戻温度を高めることが
できるので、靭性向上と、さらに厳しい条件下
の耐摩耗性向上が図れる。しかし、0.0010%以
上の添加は、粒界にボロン化合物を析出させ、
靭性を低下させる。また、微量の添加であるた
めに、溶湯中に於ける酸化、窒化によつて有効
ボロン量が減少するので、添加による効果(固
溶ボロン)を得るためには、0.0005%以上の添
加が必要である。 以下、実施例によつて本発明の特徴及び成分範
囲の限定理由を説明する。 実施例 本発明のカツテイングエツジ材は、所定の組成
に溶解、精錬、造塊した後、150mm幅×12mm厚さ
の断面形状に熱間圧延した。熱処理は、1025℃で
焼なまし後、875℃で焼ならしたものを、925℃で
油焼入し、各種の温度で焼戻しを施した。 第1表に示す組成の25種の鋼について、従来材
は所定の温度で、実験材及び本発明材は640℃で
焼戻しを施し、室温硬さ(HRC)、衝撃値(2mm
Uノツチシヤルピー値、試験温度20℃)及び摩耗
試験を実施した。 その結果を第2表に示す。摩耗試験は、15mm厚
さ×150mm幅の試験片を土木用コンクリート(圧
縮強度350Kg/cm2、粗骨材最大20mm、スランプ量
80mm)に15Kg/cm3の荷重で押し付け、走行速度
3.4Km/hで34Km走行し、摩耗量を求めた。 走行時の試験片先端温度は、最高585℃であつ
た。
【表】
【表】
【表】
結果の考察
(1) 従来材1−2に比べ、本発明材は焼戻温度が
高いにもかかわらず、硬さが大で、靭性、耐摩
耗性共に著しく優れている。 (2) 実験材1−2は、本発明材1−2との比較に
於いて、C量の影響を示すもので、C量が低い
場合は、靭性は優れるが、硬さが低いため耐摩
耗性が劣る。また、C量が多い場合は、硬さは
高くなるが、靭性が低下すると共に、炭化物が
粗大化する傾向にあるため、耐摩耗性の向上は
少ない。 (3) 実験材3−4は、本発明材1−2との比較に
於いて、Siの影響を示すもので、Si量が低い場
合は、Siによる硬化作用と炭化物の微細析出化
作用が充分でないため、硬さ、靭性及び耐摩耗
性共に改善が少ない。 又、実験材4〜6の比較により、Mn0.8%前
後を含有する場合においてはSiが約1.8%を超
えると、靭性が著しく阻害されることが判る。 (4) 実験材5−6は、本発明1−2との比較に於
いて、Mn量の影響を示すもので、Mn量が多
い場合は、Si量を下げないと脆化し、靭性が著
しく低下する。 (5) 実験材7−8は、本発明材1−2との比較に
於いて、Cr量の影響を示すもので、Cr量が少
ない場合は、硬さが低く、またCr量が多い場
合は、脆化傾向によつて靭性が低下する。 (6) 実験材9−10は、本発明材との比較に於い
て、Mo量の影響を示すもので、Mo量が低い
場合は、本発明の特徴である焼戻軟化抵抗の向
上が小さく、硬さ、耐摩耗性の向上が小さい。
また、Moが多い場合は、優れた焼戻軟化抵抗
を有するが、靭性が低下する。 (7) 実験材11−12は、本発明材1−2との比較に
於いて、Vの影響を示すもので、Vが少ない場
合は、靭性の向上は認められるが、焼戻軟化抵
抗の向上が小さく、硬さ、耐摩耗性が劣る。ま
た、V量が多い場合は、炭化物が粗大化する傾
向にあり、靭性が低下すると共に、硬さが高い
程には、耐摩耗性の向上が認められない。 (8) 実験材13−14は、本発明1−2との比較に於
いて、Ni量の影響を示すもので、Ni量が低い
場合は、靭性が低く、耐摩耗性の改善も少な
い。また、Ni量が多い場合は、残留オーステ
ナイトにより軟化し、靭性、耐摩耗性共に低下
する。 (9) 実験材15−16は、本発明材1−2との比較に
於いて、Bの影響を示すもので、Bの添加量が
少ない場合は、Bの添加効果は認められず、ま
た、多い場合は、靭性低下と耐摩耗性の向上が
認められる。 (10) 実験材17−18は、本発明1−2との比較に於
いて、Nb量の影響を示すもので、Nb量が低い
場合は、靭性は低く、硬さの向上も少ないが、
Nb量が多い場合は、硬さ、靭性ともに高い。
耐摩耗性もかなり改善されるが、炭化物粗大化
のためNb量の多い割には十分でない。 (11) 実験材19は、本発明1−2との比較に於い
て、Nbの添加を省略した場合の影響を示すも
ので、Nb無添加では、硬さ、靭性ともに低く、
耐摩耗性が低下する。本発明では、Nbの添加
は不可欠である。 (12) 本発明材3は、B添加を省略したものである
が、他の本発明材1及び2の組成範囲(Bを除
いたもの)にあれば、これらに次ぐ耐摩耗性と
優れた靭性を維持できることを示す。 第2図は、本発明の特徴である焼戻性能曲線を
従来材と比較したものである。本発明材は、焼戻
軟化抵抗が約400℃以上の温度で著しく大きく、
高温焼戻しでも十分な硬さが得られるので、カツ
テイングエツジ材のように刃先温度が640℃に近
い温度に曝されても、硬度低下がなく、優れた耐
摩耗性を維持することができる。 第3図は、本発明材と従来材の高温硬さ曲線を
示すものである。本発明材では、焼戻温度が高い
ので、常温及び低温域の硬さは、従来材2に比べ
て低いが、400℃を越える温度領域での硬さ低下
が少ないと共に、高温に於ける硬さが高く、耐摩
耗性に優れるため、耐久性の大きなカツテイング
エツジが得られる。
高いにもかかわらず、硬さが大で、靭性、耐摩
耗性共に著しく優れている。 (2) 実験材1−2は、本発明材1−2との比較に
於いて、C量の影響を示すもので、C量が低い
場合は、靭性は優れるが、硬さが低いため耐摩
耗性が劣る。また、C量が多い場合は、硬さは
高くなるが、靭性が低下すると共に、炭化物が
粗大化する傾向にあるため、耐摩耗性の向上は
少ない。 (3) 実験材3−4は、本発明材1−2との比較に
於いて、Siの影響を示すもので、Si量が低い場
合は、Siによる硬化作用と炭化物の微細析出化
作用が充分でないため、硬さ、靭性及び耐摩耗
性共に改善が少ない。 又、実験材4〜6の比較により、Mn0.8%前
後を含有する場合においてはSiが約1.8%を超
えると、靭性が著しく阻害されることが判る。 (4) 実験材5−6は、本発明1−2との比較に於
いて、Mn量の影響を示すもので、Mn量が多
い場合は、Si量を下げないと脆化し、靭性が著
しく低下する。 (5) 実験材7−8は、本発明材1−2との比較に
於いて、Cr量の影響を示すもので、Cr量が少
ない場合は、硬さが低く、またCr量が多い場
合は、脆化傾向によつて靭性が低下する。 (6) 実験材9−10は、本発明材との比較に於い
て、Mo量の影響を示すもので、Mo量が低い
場合は、本発明の特徴である焼戻軟化抵抗の向
上が小さく、硬さ、耐摩耗性の向上が小さい。
また、Moが多い場合は、優れた焼戻軟化抵抗
を有するが、靭性が低下する。 (7) 実験材11−12は、本発明材1−2との比較に
於いて、Vの影響を示すもので、Vが少ない場
合は、靭性の向上は認められるが、焼戻軟化抵
抗の向上が小さく、硬さ、耐摩耗性が劣る。ま
た、V量が多い場合は、炭化物が粗大化する傾
向にあり、靭性が低下すると共に、硬さが高い
程には、耐摩耗性の向上が認められない。 (8) 実験材13−14は、本発明1−2との比較に於
いて、Ni量の影響を示すもので、Ni量が低い
場合は、靭性が低く、耐摩耗性の改善も少な
い。また、Ni量が多い場合は、残留オーステ
ナイトにより軟化し、靭性、耐摩耗性共に低下
する。 (9) 実験材15−16は、本発明材1−2との比較に
於いて、Bの影響を示すもので、Bの添加量が
少ない場合は、Bの添加効果は認められず、ま
た、多い場合は、靭性低下と耐摩耗性の向上が
認められる。 (10) 実験材17−18は、本発明1−2との比較に於
いて、Nb量の影響を示すもので、Nb量が低い
場合は、靭性は低く、硬さの向上も少ないが、
Nb量が多い場合は、硬さ、靭性ともに高い。
耐摩耗性もかなり改善されるが、炭化物粗大化
のためNb量の多い割には十分でない。 (11) 実験材19は、本発明1−2との比較に於い
て、Nbの添加を省略した場合の影響を示すも
ので、Nb無添加では、硬さ、靭性ともに低く、
耐摩耗性が低下する。本発明では、Nbの添加
は不可欠である。 (12) 本発明材3は、B添加を省略したものである
が、他の本発明材1及び2の組成範囲(Bを除
いたもの)にあれば、これらに次ぐ耐摩耗性と
優れた靭性を維持できることを示す。 第2図は、本発明の特徴である焼戻性能曲線を
従来材と比較したものである。本発明材は、焼戻
軟化抵抗が約400℃以上の温度で著しく大きく、
高温焼戻しでも十分な硬さが得られるので、カツ
テイングエツジ材のように刃先温度が640℃に近
い温度に曝されても、硬度低下がなく、優れた耐
摩耗性を維持することができる。 第3図は、本発明材と従来材の高温硬さ曲線を
示すものである。本発明材では、焼戻温度が高い
ので、常温及び低温域の硬さは、従来材2に比べ
て低いが、400℃を越える温度領域での硬さ低下
が少ないと共に、高温に於ける硬さが高く、耐摩
耗性に優れるため、耐久性の大きなカツテイング
エツジが得られる。
第1図はモータグレーダの除雪作業時に於ける
カツテイングエツジ先端の最高温度測定例を示す
ものであり、第2図は従来材と本発明材の焼戻性
能曲線、第3図は本発明材と従来材の高温硬さ曲
線を示す図である。
カツテイングエツジ先端の最高温度測定例を示す
ものであり、第2図は従来材と本発明材の焼戻性
能曲線、第3図は本発明材と従来材の高温硬さ曲
線を示す図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量基準で、C0.50〜0.60%、Si1.4〜1.8%、
Mn0.4〜0.8%、Cr0.8〜1.2%、Mo0.2〜0.5%、
V0.10〜0.25%、Ni1.0〜2.0%、Nb0.08〜0.16%、
残部がFe及び不純物からなり、高い靭性と焼戻
軟化抵抗が大きいことを特徴とするカツテイング
エツジ材。 2 重量基準で、C0.50〜0.60%、Si1.4〜1.8%、
Mn0.4〜0.8%、Cr0.8〜1.2%、Mo0.2〜0.5%、
V0.10〜0.25%、Ni1.0〜2.0%、Nb0.08〜0.16%、
B0.0005〜0.001%、残部がFe及び不純物からな
り、高い靭性と焼戻軟化抵抗が大きいことを特徴
とするカツテイングエツジ材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3615884A JPS60184666A (ja) | 1984-02-29 | 1984-02-29 | カツテイングエツジ材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3615884A JPS60184666A (ja) | 1984-02-29 | 1984-02-29 | カツテイングエツジ材 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS60184666A JPS60184666A (ja) | 1985-09-20 |
| JPH0348259B2 true JPH0348259B2 (ja) | 1991-07-23 |
Family
ID=12461959
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3615884A Granted JPS60184666A (ja) | 1984-02-29 | 1984-02-29 | カツテイングエツジ材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS60184666A (ja) |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5855553A (ja) * | 1981-09-29 | 1983-04-01 | Daido Steel Co Ltd | 工具鋼 |
-
1984
- 1984-02-29 JP JP3615884A patent/JPS60184666A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS60184666A (ja) | 1985-09-20 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| AU2013302197B2 (en) | Method for producing molten steel having high wear resistance and steel having said characteristics | |
| FI93863C (fi) | Menetelmä kestävän teräksen valmistamiseksi | |
| JPH0841535A (ja) | 低温靱性に優れた高硬度耐摩耗鋼の製造方法 | |
| JP2003027181A (ja) | 高靭性耐摩耗用鋼 | |
| JPH0717986B2 (ja) | 合金工具鋼 | |
| KR950005927B1 (ko) | 내마모성 강철 | |
| JP2002020837A (ja) | 靭性に優れた耐摩耗鋼およびその製造方法 | |
| KR100415626B1 (ko) | 경화능이 우수한 고강도 내마모강 | |
| US5403410A (en) | Abrasion-resistant steel | |
| JP3360687B2 (ja) | 高強度高靱性耐摩耗用鋼 | |
| JPH0348259B2 (ja) | ||
| JP2760001B2 (ja) | 高速度工具鋼 | |
| JPH07116550B2 (ja) | 低合金高速度工具鋼およびその製造方法 | |
| JPH01201424A (ja) | 快削性型用鋼の製造方法 | |
| JPS6123258B2 (ja) | ||
| EP0557633A1 (en) | Abrasion-resistant steel | |
| JPH09310152A (ja) | 熱間鍛造用非調質鋼 | |
| JP3070658B2 (ja) | 耐摩耗性に優れ、かつ靱性に富む高マンガン鋼 | |
| CA2607641C (en) | Steel alloy for cutting tools | |
| JP3962143B2 (ja) | 草刈刃用基板 | |
| EP0692548B1 (en) | Wear-resisting high-manganese cast steel | |
| JPS59107066A (ja) | 高靭性耐摩耗鋼 | |
| JPS6112851A (ja) | 高靭性耐摩耗鋼 | |
| JP3320958B2 (ja) | 被削性および耐焼割れ性に優れた機械構造用鋼材およびその製造方法 | |
| JP2560760B2 (ja) | 高速度工具鋼 |