JPH0365949B2 - - Google Patents

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JPH0365949B2
JPH0365949B2 JP58126392A JP12639283A JPH0365949B2 JP H0365949 B2 JPH0365949 B2 JP H0365949B2 JP 58126392 A JP58126392 A JP 58126392A JP 12639283 A JP12639283 A JP 12639283A JP H0365949 B2 JPH0365949 B2 JP H0365949B2
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、リパーゼを用いる油脂類のエステル
交換反応方法に関するものである。詳しくは、リ
パーゼによる油脂類のエステル交換反応を加水分
解反応とエステル合成反応の2段階で行う反応方
法に関するものである。 油脂のエステル交換反応は、加工油脂の製造に
おいて水素添加とともに重要な技術である。 従来のエステル交換反応は、金属ナトリウム等
の無機触媒等の存在下で行われているが、このよ
うな化学的方法は交換する脂肪酸の結合部位に対
する位置選択性が低いという欠点がある。 一方、油脂等の加水分解酵素であるリパーゼ
(EC 3113)は加水分解反応だけでなく、エステ
ル合成反応をも触媒することが知られている
〔M.Iwai,Y.Tsujisaka,J.Fukumoto,J.Gen.
Appl.Microbiol.10,13,(1964)参照〕。リパー
ゼを用いる油脂のエステル交換反応は酵素の持つ
基質特異性、及び位置特異性等の高選択性に加え
て常温常圧で反応が進行するなどの利点を有する
ため省エネルギー、省資源の観点からも期待され
るものである。 一般に酵素反応は水溶液中で行うことが常識と
されているが、リパーゼによる油脂のエステル交
換反応の場計、水の比較的多い反応系では加水分
解反応が優先し、好ましい反応生成物を得ること
が困難である。そのため、従来公知のリパーゼに
よる油脂のエステル交換反応は極度に水分を低く
おさえた反応系で行われている。例えば、特開昭
55−71797号公報には反応系に存在する水分が基
質に対して0.18重量%以下の方法が記載されてい
る。また、特開昭52−104506号公報には少量の水
の存在下、或いは基質に対して0.2〜1重量%の
存在下で行う方法が記載されている。 しかしながら、上記の従来公知の方法のように
極度に水分の少ない反応系では酵素が十分に水和
されず、反応するための最適な構造を取れないた
め、酵素は完全に活性化されず、反応速度も非常
に遅い。また酵素組成物の調製にあたり、酵素組
成物の過剰な水分の除去のために複雑な乾燥操作
を要する。このため、乾燥による酵素の失活は免
がれず、乾燥時間及び含水率の調節等は極めて経
験的なものであり、安定した反応操作は望めな
い。さらに、酵素組成物の繰り返し使用におい
て、極めて水分の少ない系では酵素組成物中の水
分が徐々に減少することから酵素活性は漸次減衰
する。このため、反応前に極く微量の水分を再添
加する必要があるが、その量を調節することは極
めて困難である。 以上のように、リパーゼによる油脂のエステル
交換反応は無機触媒を用いる化学的な方法よりも
有利な点を持つている反面、多くの問題点を抱え
ており、工業的利用のためにはこれらの問題点を
技術的に解決する必要がある。 本発明の目的は、リパーゼによる油脂類のエス
テル交換反応の工業的利用を達成すべく、反応系
内のリパーゼを充分活性化し、工業化が可能な程
度にまで反応速度を高るとともに安定な反応を維
持するための反応操作の開発にある。 さらに、本発明の別の目的は、反応系内におけ
るリパーゼの不活性化を防止し、リパーゼの効果
的な再使用を可能にすることにより、該エステル
交換反応工程の経済性を高めることにある。 本発明者らは、かかる目的を達成すべく、リパ
ーゼによる油脂類のエステル交換反応に関し鋭意
研究を重ねた結果、リパーゼの有する機能を最大
限に発揮させることのできる反応操作方法を見い
出すことができた。 リパーゼに関しては、辻阪,岩井らの先駆的研
究〔例えば、(1)J.Gen.Appl.Microbiol.10,13,
(1964)、(2)Biochem.Biophys.Acta.489,415
(1977)、(3)ibid,575,156,(1979)、及び(4)
Agric.Biol.Chem.40,655,(1976)等参照〕によ
り、位置特異性、及び加水分解の逆反応であるエ
ステル合成反応の触媒として使用できることが実
証されている。その中で、エステル合成作用にお
けるグリセロールの位置特異性は加水分解におけ
る位置特異性と一致しており、グリセロールと脂
肪酸からのリパーゼによるグリセリド合成では反
応系中の水分含有が最終の合成率を支配している
ことを実験的に立証している。 本発明者らは、これらの事実をもとに反応工学
的に油脂類のエステル交換反応の解析を行つた結
果、油脂類のエステル交換反応速度rが基本的に
次式で表されることを見い出した。 r=k〔DG〕〔FA〕 ここで、kは総括反応速度定数、〔DG〕はジ
グリセリド濃度、〔FA〕は脂肪酸濃度である。ま
た、kは反応系内の水分に大きく依存する。 油脂のエステル交換反応速度に関しては、従
来、反応速度論的な研究報告は殆どなされていな
い。 本発明者らは、油脂類のエステル交換反応速度
に関する基礎的な研究・検討を、単純化された系
つまりトリラウリンとカプリン酸からなる系で行
つた。経時的な組成変化に対応する可能なすべて
の反応経路に基づく反応速度式によるコンピユー
ターを用いた解析の結果、トリグリセリドと脂肪
酸が直接脂肪酸基を交換し、新たなトリグリセリ
ドを生成する反応は生起し得ないと結論された。
一方、ジグリセリドと脂肪酸のエステル化によつ
て新たなトリグリセリドが生成する反応経路の仮
定、所謂ジグリセリドをエステル交換反応の中間
体とした仮定では実験値と計算値が非常によく一
致し、上記の基本的な反応速度式を導くことがで
きた。 即ち、本発明者らは、リパーゼによる油脂類の
エステル交換反応には水とジグリセリドと脂肪酸
が不可欠であるという知見に基づき、さらに、反
応系の水分を制御することにより、大幅な反応効
率の向上と生成物収率の向上を達成し、本発明を
完成した。 本発明の構成の要件は、ジグリセリドが油脂類
のエステル交換反応における中間体であるという
知見に基づき、従来、油脂類のエステル交換反応
において好ましくない副産物とされるジグリセリ
ドを積極的に反応に取り入れ、且つ人為的に反応
平衝を制御することを基本とするものである。 本発明のリパーゼによる油脂類のエステル交換
反応方法は、油脂類のエステル交換反応を2段の
反応で行うことを特徴とするものであり、第1段
反応はリパーゼによる油脂類の加水分解反応を主
とするものであり、第2段反応はリパーゼによる
グリセリドのエステル合成反応を主とするもので
ある。尚、上記した2段の反応は連続した操作で
行うことができる。また、反応収率を高めるた
め、多段槽型操作を採用することもできる。 本発明の方法は、第1段反応即ち加水分解反応
を主とする反応段階においては比較的多量の水分
を添加した系で反応を行うことが望ましい。即
ち、水分は油脂類1重量部に対し0.01重量部以
上、好ましくは0.02重量部以上添加するのが良
く、該範囲内の量の水分添加により、通常の酵素
反応が進行する温度である20〜50℃で混合撹拌す
ることにより1〜4時間で反応は平衝に達し、ジ
グリセリド含量が全グリセリドに対し15〜50重量
%の反応生成物が得られる。最適な量の水分は油
脂類1重量部に対し0.02〜0.10重量部であり、該
範囲内の量の水分を添加した系を用いることによ
り、ジグリセリド含有が全グリセリドに対し20〜
40重量%の反応生成物が得られる。 次に、第2段反応即ちエステル合成反応を主と
する反応段階では、エステル交換を目的とする脂
肪酸を第1反応の反応生成物に添加し、20〜50℃
の温度を保ちながら混合撹拌する。脂肪酸の添加
により系の反応は急速に加水分解反応からエステ
ル合成反応にシフトし、第1段反応で生成したジ
グリセリドはエステル合成反応によりエステル化
され、目的とするトリグリセリドが得られる。 本発明の方法で用いられるリパーゼとしては、
トリグリセリドの1,3−位置特異性を有するリ
パーゼが好ましく、これに該するリパーゼとし
て、リゾプスデレマー(Rhizopus delemar)、
リゾプスヤポニカス(Rhizopus japonicus)等
を挙げることができる。 本発明のさらに好ましい方法は、選択的なエス
テル交換反応を達成するために、上記第1段反応
即ち加水分解反応で生成するジグリセリド中に占
める1,2(2,3)−ジグリセリド割合が70重量
%以上、より好ましくは90重量%以上となるよう
に加水分解反応を行うものである。ジグリセリド
はしばしばアシル基転移反応がおこり得る不安定
な構造を有するため、加水分解反応温度を40℃以
下とすることが望ましく、反応時間も反応温度を
40℃とした場合10時間以内とすることが望まし
い。 本発明のさらに好ましい方法は、上記第2段反
応即ちエステル合成反応段階において反応系内の
水分を除去することを特徴とするものである。エ
ステル合成反応段階においては、脂肪酸を添加す
ることにより反応平衝のシフトがおこるが、さら
に反応系内の水分を除去することによりエステル
合成反応速度は徐々に減速される。 エステル合成反応段階における反応系内の水分
の除去は、乾燥した不活性ガスを反応系内に通気
し、さらに反応系外に排気することにより、反応
系内の水分を効果的に同伴除去することができ
る。該不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴン
ガス、ヘリウムガス等の爆発性がなく油脂類に対
し反応性の無いものであれば良い。反応系内への
通気は反応器内の液相部へのバブリングの他、気
相部への吹込みによる方法を用いることができ
る。 不活性ガスの通気による水分同伴除去におい
て、排気される混合ガスは冷媒により水の凝固点
以下に冷却された凝縮器を通過させることにより
混合ガスに含まれる水蒸気は氷となりトラツプさ
れ、不活性ガスと水蒸気は完全に分離される。分
離された不活性ガスはさらに反応系内に還流する
ことにより再利用することができる。 また、本発明の方法において、前記リパーゼの
使用量は基質となる油脂類に対し20〜10000U/
gが望ましく、より望ましくは100〜1000U/g
である。但し、酵素の活性単位(U)は、オリー
ブ油乳化液5mlと0.1Mリン酸塩緩衝液4mlに、
酵素を加え37℃で30分間反応したときに0.05N水
酸化ナトリウム水溶液0.06mlに相当する脂肪酸を
生成する毎に1活性単位(U)とした。以下に示
す実施例中の酵素の活性単位も同様である。さら
に、リパーゼの安定化、分散性を計る目的で担体
を共存させることが望ましい。該担体としては、
珪藻土、活性炭、石膏、ゼオライト等の無機物担
体、又はセルロース、キトサン、キチン等の有機
物担体等若しくは無機−有機複合担体等が用いら
れる。 本発明の方法の第2段反応(エステル合成反
応)段階における脂肪酸の添加量は油脂類1重量
部に対し0.4〜2.0重量部とすることが好ましい。
該脂肪酸としては炭素数2〜22の直鎖の飽和又は
不飽和の脂肪酸が利用でき、例えばパルミチン
酸、ステアリン酸、オレイン酸等を利用すること
ができる。また、上記脂肪酸は所定の量の全部を
一度に添加する他に、反応の進行に伴つて徐々に
添加する方法も用いることができる。添加脂肪酸
の中で例えば融点の高いステアリン酸、パルミチ
ン酸等を用いる場合、反応温度で不均一となるこ
とがあるが、そのような場合はリパーゼに対して
不活性な有機溶媒に脂肪酸を溶解し均一系として
反応を行うことができる。この種の有機溶媒とし
ては、n−ヘキサン、工業用ヘキサン、石油エー
テル等があり、脂肪酸1重量部に対し1〜10重量
部用いることができる。 本発明における反応温度は、第1段反応(加水
分解反応)段階、第2段反応(エステル合成反
応)段階ともに通常の酵素反応と同様に20〜70℃
で行うことができる。但し、第1段反応段階で
は、生成したジグリセリドのアシル基転移反応が
反応温度に依存するため、50℃以上で行うことは
適当ではなく、40℃以下で行うことが望ましい。 本発明の方法は、前述のように、油脂類のエス
テル交換反応を加水分解反応とエステル合成反応
の2段反応として構成しているため、微量の水分
を用いる反応系と比較し効率的な反応を行え、従
つて、従来、加水分解により生成する部分グリセ
リドを低くおさえるために反応速度を犠牲にしな
ければならなかつた1段の反応と比較すると飛躍
的な反応速度の向上と同時に最終生成物中のジグ
リセリド、モノグリセリド等の部分グリセリド含
有量を低減させることができ、画期的な反応操作
方法である。反応速度を大きくすることは反応器
の運転時間を短縮し効率的で生産性の高いプロセ
スを可能にするのみならず、酵素或いは酵素含有
組成物の反応器内での滞留時間を短縮できるため
反応器内で受ける撹拌に伴う応力や表面の物理的
変化等が原因となる酵素の失活或いは酵素含有組
成物の形状変化をより少なくすることができる利
点をも有する。また、本発明の方法では、従来の
酵素含有組成物の調製における乾燥操作に見られ
るような煩雑な手間が不用となるとともに無理な
乾燥による酵素の失活は完全に回避できること、
さらに、極く微量の水分を用いる従来の方法では
加水分解をおさえるため厳重な初発水分の調節が
必須であつたが、本発明の方法では基質となる油
脂類に対し3〜10重量%の範囲の水分量であれば
第2段反応のエステル合成反応段階での水分除去
操作により容易に水分を除去できるため、非常に
操作性の点で有効的である。 さらに、本発明の方法では、酵素含有組成物の
繰り返し使用に際しても厳重な水分分の制御を必
要とせず、2回目以降の反応においても反応系内
に水を添加することにより酵素は再び活性化さ
れ、常に高い酵素活性を維持できるため、安定し
た反応操作が可能である。しかも、本発明の方法
によれば、5回或いはそれ以上の酵素の再使用が
可能であり、工程の経済性を飛躍的に向上させる
ことができる。 次に実施例により、本発明をさらに具体的に説
明するが、本発明は、これらの実施例に限定され
るものではない。 実験例 1 キトサン(共和油脂工業(株)製、商品名フローナ
ツクN)8gを10%酢酸水溶液60g中に添加混合
し、キトサン酢酸塩ゲルを形成し、さらに、該ゲ
ルに水440g及びセライト32gを添加して均一混
合物とした後、これをアセトン2000g中に滴下混
合して、不溶物を遠心分解により回収し、さら
に、該不溶物をアセトン1000g中に添加混合した
後、濾別し、風乾罪、真空下で脱アセトン乾燥
し、キトサン酢酸塩−セライトからなる担体を得
た。次いで、リゾプスレデマー(Rhizopus
delemar)由来のリパーゼ(98000U/g)103mg
を水0.5gに溶解し、これを上記キトサン酢酸塩
−セライト担体2.0gに吸着させ、固定化酵素を
得た。 パーム軟部油38gとn−ヘキサン120gの混合
物に上記固定化酵素を添加し、これを閉鎖反応容
器内において、反応温度40℃で撹拌し加水分解反
応を行つた。経時的に反応混合物を分取し、イア
トロスカン(IATROSCAN)TH−10によるシ
ンクログラフイー法〔J.J.Szakasits etal.,Anal.
Chem.,45,351(1970)、M.Tanaka et al.,
Lipids15(10),872(1980)等参照〕により、1,
3−ジグリセリド、1,2(2,3)−ジグリセリ
ド、脂肪酸、トリグリセリド等の分析を行つた。
但し、シンクログラフイー法における展開溶媒
は、ベンゼン:クロロホルム:ギ酸=70:30:2
を用いた。これらの結果を第1図に示した。第1
図中、TGはトリグリセリド、1,2(2,3)−
DGは1,2(2,3)−ジグリセリド、1,3−
DGは1,3ジグリセリド、MGはモノグリセリ
ド、FFAは脂肪酸をそれぞれ示す。 本実験で用いたリゾプスデレマー由来のリパー
ゼは、1−位及び3−位を選択的に加水分解する
特異性を有する。従つて、第1図から明らかなよ
うに、反応初期は1,2(2,3)−ジグリセリド
のみが生成している。反応時間が長くなると1,
3−ジグリセリドの割合が多くなるが、これは、
該リパーゼによる影響ではなく、1,2(2,3)
−ジグリセリドが非酵素的アシル基転移反応によ
り1,3−ジグリセリドに変換したものと考えら
れる。このような転移反応に関しては、奥村らの
報告がある〔S.Okumura,M.Iwai,T.
Tsujisaka,Agric.Biol.Chem.,45,185(1981)
参照〕。このような非酵素的アシル基転移反応を
考慮しないとすれば、第1図に見るように、約3
時間程度で加水分解反応は平衝に達していること
がわかる。 反応時間をさらに長くすると、当然1,3−ジ
グリセリドの割合は増加してくる。また、反応温
度をさらに高くすると、当然非酵素的アシル基転
移反応速度が大となる。 加水分解反応を主とする第1段反応の次に脂肪
酸を添加してエステル合成反応を主とする第2段
反応を行う場合、1,3−ジグリセリドは、1,
3−位置特異性を有するリパーゼによる合成の基
質として望ましくない。従つて、1,3−ジグリ
セリドの生成割合の小さい段階で加水分解反応を
止め、次のエステル合成反応段階に入ることが望
ましい。このようなことから、加水分解反応がほ
ぼ平衝に達した時点、或いは平衝に達するすこし
前で脂肪酸を添加してエステル合成反応段階に入
ることがより望ましい。 実験例 2 本実験例では、加水分解反応段階における添加
水分量による反応平衝への影響について検討し
た。固定化酵素は添加水分量以外は実験例1と同
様に調製した。また、反応条件等も実験例1と同
様にして行つた。水分量(対基質重量)1.3%、
2.6%、5,3%及び10.5%の場合について、そ
れぞれ加水分解反応が平衝に達するのに要する時
間(hr)及び平衝状態での反応混合物中のジグリ
セリド含量(全グリセリドに対する重量%)を調
べ第1表に示した。第1表から明らかなように、
加水分解反応の平衝状態は初発水分量により決定
され、さらに水分量を増加させれば平衝状態にお
けるDG(ジグリセリド)含量がより増加してく
ることがわかる。
【表】 実施例 1 実験例1と同様の反応条件で、第1段反応(加
水分解反応)を3時間行つた。次に、ステアリン
酸(日本油脂製、NAA−180)57g及びn−ヘ
キサン165gを添加し、40℃で第2段反応(エス
テル合成反応)を行つた。反応混合物を経時的に
分取し、カラムクロマトグラフイーによりトリグ
リセリド画分を分取した(カラムクロマトグラフ
イーの条件;担体,フロリジル、展開溶媒,n−
ヘキサン:エチルエーテル=85:15)。分取した
トリグリセリド画分の固体脂含有率(SFC)を測
定した。SFC測定における調質条件は、油脂を完
全に液状にした後、0℃に30分間放置して固化
し、20℃で2時間放置した後、30℃及び20℃でそ
れぞれ1時間及び2時間放置することを7回繰り
返すことにより行つた。SFCの測定は常法(A.
O.C.S.Recomended Practice Cd 16−81 Solid
Fat Content)に従つて、プラクシスモデル
(PRAXIS MODEL)SFC−900を用いて行つた。
第2段反応(エステル合成反応)段階における反
応時間0,4,8,12,及び20時間目のトリグリ
セリド画分のSFCを第2図に示した。第2図から
明らかなように、反応時間8時間以降からはトリ
グリセリドの物性は殆ど変化していない。従つ
て、カカオバター代用脂の製造を行う場合、8時
間程度で反応を終了し、トリグリセリド画分を分
取し、溶剤分別等で中融点トリグリセリドを分取
すればよいことがわかる。 比較例 1 実験例1と同様のパーム軟部油とn−ヘキサン
の混合物に、固定化酵素の添加とともにステアリ
ン酸(日本油脂製、NAA−180)57g及びn−
ヘキサン165gを添加すること以外は、実験例1
と同様の反応条件でエステル交換反応を行つた。
反応混合物を経時的に分取し、実施例1と同様
に、カラムクロマトグラフイーによりトリグリセ
リド画分を分取しSFCを測定した。これらの結果
を第3図に示した。第3図から明らかなように、
実施例1の結果(第2図)に比較して経時的物性
(SFC)変化が非常に遅い。 実施例2、及び比較例2,3 第4図にフローシートで示した装置を用いて次
のようにして油脂のエステル交換反応を行つた。 パーム軟部油38gを、リゾプスデレマー由来の
リパーゼ(98000U/g)103mgを水2.0gに溶解
しこれを実験例1と同様の担体2.0gに吸着させ
て調製した固定化酵素、及びn−ヘキサン120g
とともに40℃で2時間閉鎖反応器A内で撹拌機1
aにより撹拌し、第1段反応(加水分解反応)を
行つた。 次に、撹拌を一時停止し、ステアリン酸(日本
油脂製、NAA−180)34.2gを添加し撹拌を再開
するとともに、反応器A内の液相部1に、不活性
ガスである窒素を窒素リザーバーDからポンプC
により乾燥剤充填層Bを通して乾燥させた乾燥窒
素を吹き込み、気液平衝関係が成立する気相部2
の水蒸気を含んだ同伴不活性ガスを反応系外に排
気することにより、反応系内の水分含量を徐々に
低下させた(第2段反応のエステル合成反応)。
この第2段の反応の際の不活性ガスの平均滞留時
間は3秒程度とした。n−ヘキサンを水蒸気を含
んだ同伴不活性ガスは、ドライアイスで−20℃程
度に冷却された表面凝縮器Fを通ることでn−ヘ
キサンは液化し、水蒸気は氷となり、気−液−固
の3相に分離され、液化したn−ヘキサンは反応
器Aに還流した。 反応終了後、撹拌を停止し、生成物を回収し
た。反応生成物は、ジエイ.ブラム(J.Blum)
らの方法〔Lipid,5,601,(1970)参照〕に従
つて、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリ
メチルクロロシラン(TMOS)(和光純薬製)を
用いてトリメチルシリル化し、昇温ガスクロマト
グラフイーにより分析した。その結果を第2表に
示した。 第2表に示した如く、本発明による方法(実施
例2)では、第1段反応の加水分解反応によりジ
グリセリドが24.6重量%生成しているが、第2段
反応のエステル交換反応及びエステル合成反応に
よりジグリセリドは徐々に減少し、8時間後は
11.5重量%にまで減少し、さらに12時間後は7.4
重量%まで減少した。一方、比較例として、実施
例2と同様の固定化酵素を使用し、最初からステ
アリン酸を添加した場合(比較例2)、及び最初
からステアリン酸を添加し且つ少量の水分(基質
に対して0.3重量%)を用いて反応を行つた場合
(比較例3)の結果を合わせて第2表に示したが、
比較例2の場合つまり最初からステアリン酸を添
加した所謂1段で完了させる反応の場合ではエス
テル交換は進行するもののその速度は遅く、一度
生成したジグリセリドは反応平衝に達するまで増
加の傾向を示し、再エステル化によるジグリセリ
ドの減少は認められなかつた。また、比較例3の
場合つまりジグリセリドの生成を極力おさえる目
的で非常に微量の水分を反応系内に添加した場
合、第2表から明らかなように、反応速度は非常
に遅く、本発明の反応方法と比較するとその反応
速度1/7以下であり、事実上工業プロセスとして
は成り立たないことがわかる。また、このように
ジグリセリドの生成を恐れるあまり反応時間を長
くとることで酵素活性の低下は著しく、反応終了
後回収した酵素剤を再び反応に使用するとは殆ど
不可能である。
【表】
【表】 実施例3及び比較例4 実施例2と同様の方法で第1段反応(加水分解
反応)段階及び第2段反応(エステル合成反応)
段階からなるエステル交換反応を行い、反応終了
後、固定化酵素を回収した。回収固定化酵素に、
原料油脂に対して5.0重量%に相当する水を吸着
させた。該固定化酵素を用いて、実施例2と同様
に加水分解反応段階及びエステル合成反応段階か
らなるエステル交換反応を繰り返し行つた。エス
テル合成反応段階の8時間目の反応混合物を、実
施例2と同様にトリメチルシリル化し、昇温ガス
クロマトグラフイーにより分析した。一方、比較
例4として、加水分解反応段階を行わず、最初か
ら脂肪酸を添加して反応を行つた場合について同
様の分析をつた。これらの分析の結果より、原料
油脂と反応混合物中のトリグリセリド中の炭素数
50のトリグリセリド(C50)と炭素数54のトリグ
リセリド(C54)の変化量の絶対値の和(|△
C50|+|△C54|)を計算し、第5図に、実施
例3に係る分析結果を折れ線1で、また比較例4
に係る分析結果を折れ線2でそれぞれ示した。ま
た、反応混合物中の全グリセリド中に占めるジグ
リセリド含量も第5図に、実施例3に係る分析結
果を折れ線3で、また比較例4に係る分析結果を
折れ線4でそれぞれ示した。 第5図から明らかなように、実施例3の場合
は、反応速度が非常に速やかであるが、比較例4
の場合は、繰り返し反応によつて反応速度が顕著
に低減している。
【図面の簡単な説明】
第1図は実験例1の加水分解反応における反応
混合物中の各成分の経時的変化を示すグラフ、第
2図は実施例1の第2段反応(エステル合成反
応)段階における反応混合物中のトリグリセリド
画分のSFCの経時的変化を示すグラフ、第3図は
比較例1のエステル交換反応における反応混合物
中のトリグリセリド画分のSFCの経時的変化を示
すグラフ、第4図は実施例2で用いた本発明の実
施に好適な装置のフローシート、第5図は実施例
3及び比較例4の繰り返し反応における、反応混
合物中のトリグリセリド成分の変化量の推移及び
反応混合物中の全グリセリド中に占めるジグリセ
リド含量の推移を示すグラフである。 A…反応器、B…乾燥剤充填層、C…ポンプ、
D…窒素リザーバー、E…窒素ボンベ、F…凝縮
器、1a…撹拌機、1…液相部、2…気相部。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 油脂類の加水分解反応を主とする第1段反応
    と、エステル合成反応を主とする第2段反応の連
    続する2段の反応により構成されることを特徴と
    するリパーゼによる油脂類のエステル交換反応方
    法。 2 リパーゼが1,3−位置特異性を有するリパ
    ーゼである、特許請求の範囲第1項記載のリパー
    ゼによる油脂類のエステル交換反応方法。 3 第1段反応が全グリセリド中15〜50重量%の
    ジグリセリドの得られる反応である、特許請求の
    範囲第1又は2項記載のリパーゼによる油脂類の
    エステル交換反応方法。 4 第1段反応が全グリセリド中20〜40重量%の
    ジグリセリドの得られる反応である、特許請求の
    範囲第1又は2項記載のリパーゼによる油脂類の
    エステル交換反応方法。 5 第1段反応によつて得られるジグリセリドが
    全ジグリセリド中70重量%以上の1,2(2,3)
    −ジグリセリドを含有するジグリセリドである、
    特許請求の範囲第1〜4項何れかに記載のリパー
    ゼによる油脂類のエステル交換反応方法。 6 第1段反応によつて得られるジグリセリドが
    全ジグリセリド中90重量%以上の1,2(2,3)
    −ジグリセリドを含有するジグリセリドである、
    特許請求の範囲第1〜4項何れかに記載のリパー
    ゼによる油脂類のエステル交換反応方法。 7 第2段反応が脂肪酸を添加してエステル合成
    反応を行う反応である、特許請求の範囲第1〜6
    項何れかに記載のリパーゼによる油脂類のエステ
    ル交換反応方法。 8 脂肪酸の添加量が油脂類1重量部に対し0.4
    〜2.0重量部である、特許請求の範囲第7項記載
    のリパーゼによる油脂類のエステル交換反応方
    法。 9 第2段反応において、反応系内の水分除去を
    行う、特許請求の範囲第1〜8項何れかに記載の
    リパーゼによる油脂類のエステル交換反応方法。 10 乾燥した不活性ガスを継続的或いは断続的
    に反応系内に通気し、さらに反応系外に排気して
    反応系内の水分を同伴除去することにより、水分
    除去を行う、特許請求の範囲第9項記載のリパー
    ゼによる油脂類のエステル交換反応方法。 11 反応系外に排気されたガスを凝縮器を通過
    させて水分を分離除去し、反応系内に還流させ
    る、特許請求の範囲第10項記載のリパーゼによ
    る油脂類のエステル交換反応方法。
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