JPH04218321A - タマネギとニンニク又はニラの雑種植物体の作出方法及び増殖方法 - Google Patents

タマネギとニンニク又はニラの雑種植物体の作出方法及び増殖方法

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JPH04218321A
JPH04218321A JP2314289A JP31428990A JPH04218321A JP H04218321 A JPH04218321 A JP H04218321A JP 2314289 A JP2314289 A JP 2314289A JP 31428990 A JP31428990 A JP 31428990A JP H04218321 A JPH04218321 A JP H04218321A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はタマネギとニンニク、又はタマネギとニラを交
配せしめて得られる雑種細胞、雑種植物体及びそれらの
育種方法、増殖方法に関する。
〔従来の技術〕
植物の改良は主に交配により種子を得、その種子より生
育した植物体を選抜することにより行われてきた。しか
し、このような性的交雑法は栄養繁殖性の植物、例えば
ニンニクでは用いることが出来なかった。従って、この
ような植物は栄養体の選抜を繰り返す以外に改良の方法
はなく、長い年月を必要とした。また、従来の性的交雑
法による育種はごく近縁の植物のみに限られており、そ
れでも種子が得られない場合が多い。
近年、種子繁殖性のニンニクが見い出されているので種
子稔性系統での交配は可能となったが、それによって得
られた新品種の報告はまだない。
一方、従来の育種法の限界であった「種の壁」を乗り越
えるための手段として細胞融合技術が開発された。この
方法は種子稔性のない植物の交雑にも利用できるが、植
物体の再生過程において、染色体数の変化など遺伝的な
変異が生じることが知られている。また、タマネギ、ニ
ンニク及びニラのようにアリウム属植物は一般に不定胚
形成をしにくいので、融合細胞が再生しにくい等の問題
がある。更に、融合細胞の安定性についても幼植物体に
成長する過程でどちらか一方の染色体の欠落がおきやす
いと報告されている。
タマネギとニラの雑種植物体についても同様であり交配
法、融合法いずれでも両者を掛け合わせた例は報告され
ていない。
〔発明が解決しようとする課題〕
タマネギとニンニク及びタマネギとニラの交配に基づく
雑種植物体を開発することにより、両者の有用な形質を
相互に活用しうる手段を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者はタマネギとニンニクの雑種植物体及びタマネ
ギとニラの雑種植物体を開発するべく種々検討の結果、
両者を交配させて得た交配胚珠(以下、胚珠という)を
親の植物体から分離した後、植物培養用の培地で培養す
ることによって発芽能及び分裂増殖能を有する雑種胚の
取得に成功し、この雑種胚を栽培することによって両者
の性質を有する雑種植物体が得られることを見い出し、
本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、タマネギとニンニク又はタマネギ
とニラを交配せしめて得られる発芽能及び分裂増殖能を
有する雑種胚、該雑種胚より誘導した雑種細胞及び雑種
二次胚、並びにこれらを栽培して得られた雑種植物体に
関するものであり、更に雑種胚、雑種細胞、雑種二次胚
又は雑種植物体の育種方法及び増殖方法に関するもので
ある。
本発明の雑種植物体の形成に用いられるタマネギ(Al
lium cepa)は、花粉又は卵細胞に稔性がある
ものであればなんでもよい。例えば、一般に栽培されて
いるタマネギでよく、品種でいえば札幌黄、泉州黄、湘
南レッドなどを挙げることができる。
ニンニク(Alliurm sativum)及びニラ
(Alliumtuberosum)についても花粉又
は雌ずいに稔性があるものであれば如何なるものであっ
ても利用できる。
次に本発明でいう雑種細胞、雑種胚、雑種二次胚及び雑
種植物体は以下に定義される。すなわち、雑種細胞とは
、花粉より精核を受精した1細胞から植物体を構成する
細胞までを包含する。更には、発生の各段階にある雑種
植物体組織より誘導できるカルスも含むものである。こ
れら雑種細胞の核は、両親の核の染色体を少なくとも1
つずつ持っている。
また、雑種胚とは、雑種細胞より発生したものをさし、
発芽を正常に行い得る能力及び分裂増殖能力を持ち、雑
種植物体に成育できるものが本発明の対象となる。色は
白色から緑色を呈し、大きさは通常1〜5mmである。
更に、雑種二次胚とは雑種胚と同じ性質を有するが、雑
種胚を経由して取得されたものをいう。また、雑種植物
体とは雑種細胞、雑種胚及び雑種二次胚のいずれかに由
来した成育体若しくは幼植物体をいう。
以下に、両親の交配から雑種植物体に至るまでの本発明
の育種方法について具体的に述べる。
タマネギとニンニク、又はタマネギとニラの交配に当た
ってはいずれの雌ずいを用いてもよい。
交配に用いる雌ずいは培地で培養してもよいが、成育を
確実にするために親植物につけたままで成育させるのが
よい。その際、母親植物の花粉によって受精しないよう
細心の注意を払う必要があり、開花直後に葯を全部切除
するとか粘性物あるいはプラスチックを葯に塗布するな
どして花粉が発生しないようにしておく。また、雄性不
稔系統を用いるのも一つの方法である。通常、アリウム
属植物の花は雄性先熟であり、開花前に除雄を施せば、
自家受粉の可能性はなく、発生した胚は雑種である確率
は非常に高いと考えられる。交配は常法に従って行えば
よく、例えば花粉を筆等を用いて雌ずいに付着させれば
よい。花粉は柱頭上で発芽し、花粉管を伸長させ胚のう
に達し受精する。受精した細胞は胚発生能及び分化増殖
能を有する雑種細胞である。
交配後、受精細胞を含む胚珠を植物培養用の培地にて培
養する。培地への置床は、交配後から1ヵ月以内に行え
ばよい。組織の摘出に先立って花の殺菌処理を施すこと
が好ましい。殺菌処理は常法を用いればよく、例えば7
0%エタノール水溶液への浸漬、次亜塩素酸水溶液への
浸漬等によって行えばよい。
植物培養用の培地は、植物培養に用いられているもので
あればなんでもよい。例えば、ムラシゲ&スクーグの培
地、リンズマイヤー&スクーグの培地、ホワイトの培地
、ガーンボルグの培地、ヘラーの培地等又は上記培地の
無機イオン濃度を適当量に改変した培地等の無機塩培地
に、炭素源としてシュークローズ、グルコース、フラク
トース等が5〜100g/l添加された培地が使用され
る。上記培地に更にビタミン、イノシトール、場合によ
っては植物ホルモン、カザミノ酸、アミノ酸類を適宜加
え、寒天あるいはジェランガム等で固めた固体培地を用
いるとよい。例えば、イノシトール1〜1000mg/
l、ニコチン酸0.001〜5mg/l、チアミン塩酸
塩0.01〜1mg/l、ピリドキサール塩酸0.01
〜1mg/l、カザミノ酸1〜1000mmg/l、グ
リシン0.01〜10mg/l、アルギニン1〜100
0mg/l、グルタミン1〜1000mg/l及びアラ
ニン1〜1000mg/lを必要に応じて選択して添加
し、更に植物ホルモンとしてオーキシンとサイトカイニ
ンを添加した培地を用いると良好な結果が得られる。培
養温度は20〜30℃、通常は室温で培養し、光は照射
した方がよりよい結果が得られる。
数週間のち、前述の如く培養した胚珠から雑種胚、具体
的には胚又は胚様体を取り出し、胚培養培地にて培養す
る。当該培地は、上述の胚珠培養の培地と同一組成でも
よいが、更に炭素源である糖の濃度を下げた方がよりよ
い結果が得られる。
その他の培養条件は胚珠培養時と同様でよい。胚又は胚
様体は上記培養条件下で発芽し、葉及び根を展開した幼
植物体に成長する。該幼植物体は、馴化したのち鉢上げ
して更に雑種植物の成育体を得ることができる。
一方、上述の雑種胚を胚珠培養培地又は胚培養培地、好
ましくは胚培養培地中にオーキシンとサイトカイニンが
各々0.01〜2.0mg/l添加されている培地にて
培養すると、雑種細胞が集塊したカルス(雑種細胞カル
ス)が得られる。該カルスは常法の継代培養が可能であ
り、不定胚形成、又は不定芽形成に続いて不定根形成を
させることにより雑種植物体に再生できる。
また、雑種二次胚は雑種胚より誘導することができる。
例えば、上述の胚培養培地中に植物ホルモンとしてナフ
タレン酢酸、ベンジルアデニンが各0.5mg/l含ま
れる培地にて、光照射下で培養したときに誘導できる。
なお、ナフタレン酢酸は2,4−Dやインドール酪酸に
、ベンジルアデニンはカイネチンなどに変えてもよい。
こうして誘導された雑種二次胚は、上述の雑種胚の場合
と同様の培養条件で発芽し、葉及び根を展開した幼植物
体に成長し、これを馴化後、鉢上げして雑種植物の成育
体を得ることができる。
雑種細胞を単離するには、上述の雑種胚、雑種二次胚及
び雑種細胞カルスを例えばセルラーゼ、ペクトリアーゼ
等で処理することによって取得できる。あるいは、アミ
ノ酸培地にて雑種細胞カルスを培養し単離してもよい。
一例として、タマネギとニンニクの雑種胚より誘導した
雑種細胞カルスとしてFERMBP−3164がある。
次に上記方法により得られた雑種植物体の増殖方法につ
いて詳しく述べる。
本雑種植物体の増殖は、栄養繁殖によれば完全にその形
質を維持することができる。具体的には、雑種植物体の
りん片又は珠芽を用いて増殖させることが可能である。
使用する土壌は、酸性の弱い(pH5.5以上)畑が適
しており、密植でも粗植でもよい。9月の中旬に作付予
定地に堆肥、石炭、熔りんを全面散布、耕起、整地し、
元肥を施し作畦する。畦は一条、または二条抱き畦、あ
るいは広畦として三条から四条の多条植えてもよい。畑
地では平畦、水田の場合は高畦がよい。10月上旬〜1
1月中旬にかけて植え付けを行う。病害対策としては、
ベンレート水和剤1000倍液に30分間浸漬する消毒
法がよい。根ダニの防除対策としては、スミチオン乳剤
3000倍液に30分間浸漬するのがよい。2月中旬か
ら4月上旬に第1回の追肥を行う。
更に2月下旬〜4月下旬に第2回の追肥を行う。
こうすれば5月〜7月にかけて雑種植物体のりん片が収
穫できる。また、とう立ちしたものより先端部に発生す
る珠芽を採取することができる。
更に、親植物の組合せによっては雑種植物体は稔性を有
し、この場合は種子を用いて増殖させることができる。
アリウム属植物の花は、雄性先熟で自家授粉しにくいの
で交配袋をかけ、中にハエを放つなどして自家授粉させ
る。採種の方法は、常法を用いればよい。採種した種子
はタマネギ、ニラ、ニンニクの種子と同様に発芽させる
ことができるが、1ppm〜100ppmジベレリン処
理をすると発芽率が高くなる。種子より発芽した苗は、
リン片や珠芽と同様に栽培できる。
また、該雑種植物体の増殖法として、組織培養技術を用
いたクローン増殖方法も利用できる。りん片内の生長点
、茎葉、根の生長点を無菌的に摘出し、組織培養用基本
培地にて培養する。例えば、ムラシゲ&スクーグの培地
、リンズマイヤー&スクーグの培地、ホワイトの培地、
ガーンボルグの培地、ヘラーの培地等、あるいは上記培
地の無機イオン濃度を適当量に改変した培地に、炭素源
としてシュークローズ、グルコース、フラクトース等が
5〜100g/l添加された培地が使用できる。該培地
に更に、イノシトール1〜1000mg/l、ニコチン
酸0.001〜5mg/l、チアミン塩酸塩0.01〜
1mg/l、ピリドキサール塩酸0.01〜1mg/l
及びグリシン0.01〜10mg/lを必要に応じて選
択して添加し、植物生長調節剤として、オーキシンとサ
イトカイニンを添加した培地を用いると良好な結果が得
られる。培養温度は20〜30℃、通常は室温で培養し
、光は照射した方がよい結果が得られる。多芽体あるい
は茎葉を形成させ、次に発根培地に移植し、幼植物体と
する。幼植物体は馴化し、鉢上げする。鉢上げした植物
は、2週間〜1ヵ月ほど温室で栽培し、圃場に植え付け
る。この時期は、9月下旬〜12月頃がよい。以下、り
ん片、珠芽と同様に生育させることができる。
以上の方法で得られた全ての雑種植物体は、両親の遺伝
的形質を少なくとも一つずつは活性のある形で持ちうる
という特徴を有する。雑種植物体の雑種性の確認は葉、
茎、花などの形態観察、染色体の解析、アイソザイム解
析などにより行うことができる。細胞質における遺伝形
質については母親に由来する。
遺伝的形質の多くは、胚発生以降の発生の段階で現れる
。遺伝的形質としては、具体的には成分、草型、耐寒性
、耐病性、稔性などに関するものがある。例えば、タマ
ネギとニンニクの雑種植物体はその葉1gあたり、タマ
ネギの成分であるプロペニルシステインスルフォキサイ
ドを0.1〜300mg、ニンニクの成分であるアリイ
ン(アリルシステインスルフォキサイド)を0.1〜3
00mg、両者の成分であるメチルシステインスルフォ
キサイドを0.05〜300mg含んでいる。更に、タ
マネギとニンニクの雑種植物体は両親の遺伝形質に依存
して、例えば草型に関してはタマネギの性質、成分、耐
寒性、耐病性に関してはニンニクの性質を有するといっ
た形で発現させることもできる。また、タマネギとニラ
の雑種植物体の場合は、タマネギの遺伝的形質とニラの
単為発生の形質を有するといった形で発現させることも
できる。このように雑種植物体の遺伝形質は、両親の遺
伝形質に依存するものであり、両親が特定された品種で
あれば、その雑種植物体が有する遺伝形質は基本的には
特定できる。また、雑種植物体を増殖させて得られる子
孫は親の遺伝形質を安定して継承しており、形質の脱落
は見られない。
なお、雑種植物体の染色体の確認はrDNA解析により
、細胞質遺伝情報に関しては制限酵素による葉緑体ない
しミトコンドリアDNAの解析などにより確認すること
ができる。この方法については、成書に詳しい(Gle
ba and Sytnik 1984Protopl
ast Fusion、Edited by R.Sh
oeman、Springer−Verlag.,Uc
himiya et al 1983 Theor.A
ppl.Genet.、64、117〜118)。
〔作用〕
本発明の特徴は、栄養体に対して半数体である花粉と卵
細胞を用い、交配により雑種胚を形成させ、その雑種胚
はそのままでは死滅に至るが、人工的に培養することに
よってレスキューし雑種植物体に育成する点にある。ア
リウム属植物のカルスは不定胚分化をしないので、細胞
融合した細胞は不定芽形成に続き不定根形成をさせねば
ならないが胚を直接的に得ることのできる本発明の方法
では胚の発芽を助けるだけでよい。その結果、分裂可能
な受精卵細胞を得た時点で、安定に細胞分裂をし胚発生
できる細胞を得たことになり、発生した雑種胚の遺伝的
な安定性及び植物体への発生の容易さは、細胞融合等で
得られる雑種細胞とは比べものにならない。更に、細胞
融合に比べ短期間で、具体的には交配後2ヵ月で雑種植
物体を鉢上げすることが出来る。このような方法で育種
した雑種植物体は、育種母本としても利用できる。
コルヒチン処理を施して倍数体化してもよい。稔性を有
する雑種植物体は戻し交配、他のアリウム属植物との交
配などにも使える。
もう一つの特徴として、ニンニクの場合にはニンニクの
稔性花粉あるいは稔性卵細胞を用いる点である。ニンニ
クが種子稔性株である必要はなく、花粉あるいは卵細胞
が稔性を持っていればよい。
本発明では、タマネギを花粉親にすることもできるしニ
ンニクを選択してもよい。卵細胞(胚珠)は、タマネギ
に対してはニンニクを、ニンニクに対してはタマネギを
選択すればよい。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発
明はこれのみに限定されるものではない。
実施例1 タマネギとニンニクの交配 札幌黄K1品種のタマネギを開花直後に葯をピンセット
にて丁寧に取り除いた。その後、該花は他の花粉の混入
を避ける為に交配袋を掛けて隔離した。三日後、成熟し
た柱頭にニンニクの花粉を交配させ、交配三日後に花を
採取した。この花を75%エタノール水溶液にて1分間
滅菌し、さらに10%アンチホルミンに1分間浸漬した
のち滅菌水で2回洗浄した。顕微鏡下で胚珠を無菌的に
摘出し、培地に置床し25℃、16時間光照射下にて培
養した。用いた培地はガーンボルグB−5の無機塩培地
にシュークローズ80g/l、イノシトール100mg
/l、カザミノ酸100mg/l、インドール酢酸0.
01mg/lを加え寒天で固めた固体培地である。こう
して、該胚珠より発芽した雑種胚は、シュークローズを
20g/lに変更した以外は上記と同じ培地に移植し同
様に培養した。雑種胚は第2葉を展開し根が達成したと
ころで馴化し、ポットに移植して雑種植物体の成育体に
生育させた。
生育状態を第1図〜第4図の写真に示す。第1図の写真
は胚珠から雑種胚が出てきている時点のものである。雑
種胚の発達の程度はシリンダー状胚である。第2図の写
真は雑種胚を胚生育培地に移植し、根部が少し延びた時
点のものである。第3図の写真はさらに生育して葉、根
が展開した時点のものである。第4図の写真はバーミキ
ュライトの入った試験管にて馴化している時点のもので
あり、第3葉まで展開している。
次に、この成育した雑種植物体の雑種性を調べた。
雑種植物体の葉の形態はタマネギ型とニンニク型の中間
を示し、葉の付き方はニンニク型を示した。すなわちタ
マネギの場合、葉は円筒型で中空で、葉のつき方は茎葉
の基部より分岐しており葉は互生していない。一方、ニ
ンニクの場合、葉は扁平型で中央にて折りたたまれてい
て、葉のつき方は茎葉の基部より上部にて分岐しており
葉は互生している。これに対し、雑種植物体の葉は扁平
型であるが中空の形態で、また、葉のつき方は茎葉の基
部より上部にて分岐し、葉は互生していた。
更に、ニンニクの茎葉の基部は紫色に、またタマネギの
それは黄色に着色しているが、雑種植物体の茎葉の基部
は紫色に着色し、ニンニク型を示した。
また、該雑種植物体のフレーバー前駆体は成分分析の結
果、タマネギとニンニクの両フレーバー前駆体を有して
いた。
フレーバー前駆体の成分分析は以下のように行った。該
雑種植物体及びその親であるタマネギ札幌黄K1品種と
ニンニクの葉をそれぞれ新鮮重約20mg採取し、これ
をメタノール:クロロホルム:水=12:5:3の混合
溶液0.5mlにて磨砕し、アリイナーゼによる分解を
抑えつつ、水層画分にフレーバー前駆体であるアミノ酸
を抽出した。この水層画分を高速液体クロマトグラフィ
ーで分析した。クロマトグラフィーの条件はウォーター
ズ社のアミノ酸分析用カラム(No.80002強陽イ
オン交換カラム)を用いて通常の分析条件で各物質を分
解し、これをオルトフタルアルデヒドと反応させて日立
製作所製の蛍光分光光度計F1000で分析した。タマ
ネギ、ニンニクの特徴的なフレーバー前駆体であり、う
まみ成分でもあるプロペニルシステインスルフォキサイ
ド、アリイン及びメチルシステインスルフォキサイドの
各含量分析値を第1表に示した。この結果から該雑種植
物体はタマネギとニンニクのそれぞれに特徴的であるプ
ロペニルシステインスルフォキサイドとアリインを合わ
せ持つことが示され、雑種性が証明された。
※MCSO=メチルシステインスルフオキサイド※Pr
oCSO=プロペニルシステインスルフォキサイド 更に、該雑種植物体の染色体数を観察した結果、16本
であることが確認された。染色体の観察は以下のように
行った。すなわち、該雑種植物体の根端(根の先端)5
〜10mmの部分を剃刀で切り取り、コルヒチン0.0
5%液にて前処理をした。前処理した組織をよく洗浄後
、酢酸アルコール混液(氷酢酸:エチルアルコール=1
:3)にて、10℃で固定した。固定後、室温の70、
30、15%エチルアルコールの各水溶液に1回、5分
間ずつ浸漬し、蒸留水で2回浸漬した。水洗後、室温の
1N塩酸水溶液で3分間浸漬したのち、あらかじめ60
℃にあたためた1N塩酸水溶液で8分間処理した。直ち
に、室温に戻したのち蒸留水にて5分間ずつ3回水洗し
た。水を切り、シッフの試薬(染色液)に1時間室温で
浸漬した。直ちに、亜硫酸液(10%重亜硫酸ナトリウ
ム5ml、1N塩酸水溶液5mlを蒸留水100mlに
混合した溶液)に浸漬し未反応の染色液を洗い流した。
供試試料の先端の濃染された部分のみをスライドグラス
の上にのせ摘出し、45%酢酸水溶液を1〜2滴落とし
、カバーグラスをのせた。
押しつぶし法により、細胞を薄い層にひろげた後に光学
顕微鏡(×1000倍)で観察し、染色体数を調べた。
続いて、該雑種植物体のエステラーゼのアイソザイム分
析を行った。すなわち、雑種植物体、タマネギ、ニンニ
クの葉各0.2gをそれぞれ0.05Mリン酸緩衝液(
pH6.7)1mlにて磨砕し、この磨砕液を遠心分離
し、上清を5.3%T、5%Cの各アクリルアミドゲル
(pl3−10 BIOLYTE)にのせ、等電点電気
泳動した。エステラーゼの活性染色は0.1%Fast
 Blue RR Salt、0.03%α−Naph
thylAcetateにて染色した。その結果、タマ
ネギで5本、ニンニクで4本のそれぞれ移動度の異なる
バンドが検出され、雑種植物体ではそれら9本のバンド
が検出された。
実施例2 タマネギとニラの交配 札幌黄K1品種のタマネギを開花直後に葯をピンセット
にて丁寧に取り除いた。その後、該花は他の花粉の混入
を避ける為に交配袋を掛けて隔離した。三日後、成熟し
た柱頭にニラ(フラワーボール)の花粉を交配させ、交
配三日後に花を採取した。この花を75%エタノール水
溶液にて1分間滅菌し、さらに10%アンチホルミンに
1分間浸漬したのち滅菌水で2回洗浄した。顕微鏡下で
胚珠を無菌的に摘出し、培地に置床し25℃、16時間
光照射下にて培養した。用いた培地はムラシゲ&スクー
グの無機塩培地にシュークローズ60g/l、イノシト
ール100mg/lを加え寒天で固めた固体培地である
。こうして、胚珠より発芽した雑種胚は、シュークロー
ズを20g/lに変更した以外は上記と同じ培地に移植
し同様に培養した。雑種胚1第2葉を展関し根が発達し
たところで馴化し、ポットに移植して雑種植物体の成育
体に生育させた。
第2葉まで展回し、馴化している状態を第5図の写真に
示す。
次に、この雑種植物体の雑種性を調べた。
その結果、葉の形態、葉の付き方ともにタマネギ型を示
した。また、この植物体がもつフレーバー前駆体は、実
施例1と同様の成分分析を行った結果、タマネギとニラ
の両方のフレーバー前駆体を有していた。更に、染色体
数についても実施例1と同様の方法で調べたところ24
本あった。親のタマネギは16本の染色体を持ち、その
生殖細胞である卵細胞は8本であり、一方、ニラは4倍
体なので32本の染色体を持ち、その花粉は16本の染
色体を持つ。このことから、この雑種植物体はタマネギ
の卵細胞にニラの花粉が受精した雑種植物体であること
を確認した。
実施例3 雑種植物体の栄養繁殖による増殖実施例1で
得られた雑種植物体は夏期に結球した。10月に該植物
体のりん片をベンレート水和剤1000倍液に30分間
浸漬することにより消毒し、予め耕し施肥をした圃場に
植え付けた。更に、追肥は2月上旬に第1回、4月に第
2回、畦間に施肥した。各施肥量は第2表に示した通り
である。病害虫を防除する為、オルトラン、スミチオン
を用いて4月中旬より散布した。3月〜5月にかけて茎
葉の生育は活発になり(第6図)、初夏から夏期にかけ
て結球したりん片は、数個から十数個であった。こうし
て、得られたりん片を用いて繰り返し増殖をすることが
できた。
実施例4 雑種植物体のクローン増殖 タマネギとニンニクの雑種植物体のりん片成長点を無菌
的に摘出し、培地に置床して培養した。
培地は、ムラシゲ&スクーグの無機塩培地にシュークロ
ーズ30g/l、ニコチン酸0.5mg/l、イノシト
ール100mg/l、チアミン塩酸0.1mg/l、ピ
リドキサール塩酸0.5mg/l、グリシン1mg/l
、更に植物成調節剤としてナフタレン酢酸0.5mg/
l、ベンジルアデニン0.5mg/l、及び寒天10g
/lを加え、pH5.8に調製したものを用いた。25
℃、16時間光照射下で培養し、茎葉を分化させた。ほ
とんどの組織は複数の茎葉を分化し、多芽体を形成した
該多芽体を茎葉1本ずつに分離し、ムラシゲ&スクーグ
の無機塩培地にシュークローズ30g/l、ニコチン酸
0.5mg/l、イノシトール100mg/l、チアミ
ン塩酸0.1mg/l、ピリドキサール塩酸0.5mg
/l、グリシン1mg/l、アブシジン酸0.1mg/
l及び寒天10g/lを加え、pH5.8に調製した培
地へ移植し、25℃、16時間光照射下にて培養した。
培養4週間後、多数の茎葉が発生し発根した幼植物を作
出した。幼植物体は2週間馴化処理をした後に、ポット
に鉢上げした。3週間ほど温室内で栽培した後、圃場に
出し前述の栄養繁殖で用いた雑種植物体のりん片や珠芽
等と同様に栽培することができた。
〔発明の効果〕
アリウム属植物のタマネギ、ニンニク及びニラは、それ
ぞれ有用な性質をもつにもかかわらず互いに利用できな
かった。本発明によりタマネギ×ニンニク雑種植物体及
びタマネギ×ニラ雑種植物体の育種方法並びに増殖方法
が発明されたため、互いの有用形質を利用できるように
なった。
互いの有用形質の例をあげると、タマネギではフレーバ
ー前駆体のプロペニルシステインスルフォキサイドをも
ち、種子稔性が高く、耐病性で、生育が早生である。ニ
ンニクは、フレーバー前駆体のアイリンをもち、種子稔
性が低く、生育が遅手である。これら各両親の性質を少
なくとも1つ以上もつ植物体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第6図はいずれも本発明の植物の生育状態を示
す図面代用写真であり、第1図〜第4図はタマネギとニ
ンニクを交配した雑種植物体の生育過程を、そして第5
図はタマネギとニラを交配した雑種植物体の生育状態を
示している。また、第6図はタマネギとニンニクを交配
してできた雑種植物体の増殖状態を示している。 特許出願人 味の素株式会社 代理人 弁理士 田中政浩 ほか1名

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】タマネギとニンニク、又はタマネギとニラ
    を交 配せしめて得られた胚発生能及び分化増殖能を有するタ
    マネギとニンニク、又はタマネギとニラの雑種細胞 【請求項2】請求項(1)に記載の雑種細胞を培地で培
    養して得 られた発芽能及び分裂増殖能を有するタマネギとニンニ
    ク、又はタマネギとニラの雑種胚【請求項3】請求項(
    2)に記載の雑種胚を培地にて誘導せしめ て得られたタマネギとニンニク、又はタマネギとニラの
    雑種細胞又は雑種二次胚 【請求項4】請求項(2)又は(3)に記載の雑種胚、
    雑種細胞又は 雑種二次胚を再生せしめることにより得られたタマネギ
    とニンニク、又はタマネギとニラの雑種植物体 【請求項5】タマネギとニンニク、又はタマネギとニラ
    の花 粉及び雌ずいを用いて交配せしめることを特徴とする請
    求項(1),(2),(3)又は(4)に記載の雑種細
    胞,雑種胚、雑種二次胚又は雑種植物体の育種方法【請
    求項6】タマネギとニンニク、又はタマネギとニラを交 配せしめて得られる胚珠を培養することを特徴とする発
    芽能及び分裂増殖能を有するタマネギとニンニク、又は
    タマネギとニラの雑種胚の育種方法【請求項7】請求項
    (6)に記載の方法で得られる雑種胚から再 生せしめるタマネギとニンニク、又はタマネギとニラの
    雑種植物体の育種方法 【請求項8】タマネギとニンニク、又はタマネギとニラ
    を交 配せしめて得られる雑種植物体のりん片、又は種子を用
    いることを特徴とするタマネギとニンニク、又はタマネ
    ギとニラの雑種植物体の増殖方法【請求項9】タマネギ
    とニンニク、又はタマネギとニラを交 配せしめて得られる雑種植物体のりん片の生長点、茎葉
    又は根の生長点を無菌的に摘出し、培地で培養し、クロ
    ーン増殖を行うことを特徴とするタマネギとニンニク、
    又はタマネギとニラの雑種植物体の増殖方法 【請求項10】請求項(1),(2)又は(3)に記載
    の雑種細胞、雑種胚、 雑種二次胚を培地で培養し、クローン増殖を行うことを
    特徴とするタマネギとニンニク、又はタマネギとニラの
    雑種植物体の増殖方法
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