JPH04298360A - 薄膜サーマルヘッドの抵抗体トリミング方法 - Google Patents

薄膜サーマルヘッドの抵抗体トリミング方法

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JPH04298360A
JPH04298360A JP41899490A JP41899490A JPH04298360A JP H04298360 A JPH04298360 A JP H04298360A JP 41899490 A JP41899490 A JP 41899490A JP 41899490 A JP41899490 A JP 41899490A JP H04298360 A JPH04298360 A JP H04298360A
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calibration curve
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜技術を用いて製造
される薄膜サーマルヘッドの抵抗体の抵抗値を調整する
トリミング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種印画出力装置に用いられるサーマル
ヘッドは、電気絶縁性のヘッド基板上に複数の発熱抵抗
体が直線状に配列され、この発熱抵抗体列が選択的に電
力付勢されて、感熱印画が行われる。このとき設計され
た印画濃度を実現するために各発熱抵抗体の抵抗値は、
均一である必要があり、このため発熱抵抗体の形成後に
発熱抵抗体に電圧パルスを印加して抵抗値を調整するパ
ルストリミング技術が採用されている。
【0003】典型的な従来例は、たとえば特開平1−1
20363に示されている。この従来例では、厚膜サー
マルヘッドにおいてトリミング対象のサーマルヘッド内
からサンプルとなる複数の発熱抵抗体を選択し、これに
電圧パルスを比較的低電圧のものから順次印加する。こ
のとき印加電圧と抵抗値変化との関係を示す校正曲線を
作成し、当該曲線を表す近似式を算出する。つぎにこの
近似式に基づいてテストパルスの印加電圧を決定し、当
該テストパルスを前記サンプル抵抗体に印加する。
【0004】得られた抵抗値変化を計測して近似式の良
否を判定し、良であればこのまま前記近似式によりパル
ス条件を決定し、トリミング処理を全発熱抵抗体に亘っ
て行う。前記近似式の判定結果が否定的であれば、前記
テストパルス印加による抵抗値変化の測定結果に基づい
て当該近似式を補正するか、または別途他のサンプル抵
抗体を選出し、前述したように電圧パルスを比較的低電
圧のものから順次印加して、再び近似式を演算仕直すよ
うにしている。
【0005】このようにして、可及的に精度の高い近似
式を算出した上で、実際のトリミング処理を行う。また
同一のヘッド基板内でも、前記得られた最適な近似式が
局所的に変化する事態を考慮し、単一のサーマルヘッド
内を複数のブロックに区分し、このブロック毎に近似式
を補正していくトリミング方法も提案されている。
【0006】このような従来例は、下記の前提に基づい
ている。
【0007】(1)特定電圧のトリミングパルスを1回
印加した時と、比較的低い電圧から順次電圧を上げたト
リミングパルスを1回づづ印加していき、前記特定電圧
に到達するまで印加したときとは、抵抗値変化量に関し
て同等である。
【0008】(2)トリミングパルスを印加した時、発
熱抵抗体の抵抗値は、初期抵抗値R0から抵抗値Rに変
化するが、その抵抗値変化率(R−R0)/R0は、初
期抵抗値R0に無関係であり、前記抵抗値が変化しはじ
める印加電圧の境界値V0および増分電圧ΔVに関して
【0009】
【数1】
【0010】α,β;サーマルヘッドの構造で決定され
る定数のように電圧Vによって決定される式で近似され
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本件発
明者は薄膜技術によって製造される薄膜サーマルヘッド
、すなわち発熱抵抗体を構成する抵抗体層をスパッタリ
ングや蒸着などの薄膜技術にて数100Åの層厚で形成
するサーマルヘッドの場合、前記第1項および第2項の
前提が不成立となることを確認した。すなわち薄膜サー
マルヘッドでは、印加パルスの電圧を同一にした場合で
も、初期抵抗値R0によってトリミング後の抵抗値変化
量が異なる。
【0012】また比較的低電圧から順次電圧を上げて、
特定電圧になるまでトリミングパルスを1回づつ印加し
た場合と、前記特定電圧のトリミングパルスを1回だけ
印加した場合とでは、その抵抗値変化が一致しないこと
を確認した。したがって、上記従来例は薄膜サーマルヘ
ッドには適用できないことになり、前述した薄膜サーマ
ルヘッドに関して、制御性が高くかつ比較的短時間でト
リミング処理を行うことができるトリミング処理技術が
希望されている。
【0013】本発明の目的は上述の技術的課題を解消し
、制御性が高くかつトリミング処理を高速化できる薄膜
サーマルヘッドのトリミング処理方法を提供することで
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、薄膜サーマル
ヘッドの電気絶縁性基板上に直線状に配列された複数の
発熱抵抗素子をトリミングするに当たって、上記薄膜サ
ーマルヘッドと同一規格のサーマルヘッドの発熱抵抗素
子に対して電圧パルスを印加し、その電圧パルスのパル
ス幅と印加電力とに対応する発熱抵抗素子の抵抗値の低
下または上昇の変化の関係を予め校正曲線としてメモリ
ーしておき、この校正曲線に基づいてトリミングパルス
の印加電力を決定する薄膜サーマルヘッドの抵抗体トリ
ミング方法において、前記発熱抵抗素子を複数のグルー
プに区分し、各グループ毎にトリミングパルスの印加電
力による抵抗値変化量と上記校正曲線との偏差量を演算
するとともに、これからトリミングするグループに対し
て印加する電力を、すでにトリミングしたグループにお
ける前記偏差量をもとに補正した校正曲線に基づいて決
定し、順次各グループのトリミングを行うことを特徴と
する薄膜サーマルヘッドの抵抗体トリミング方法である
【0015】
【作用】本発明に従えば、トリミング対象のサーマルヘ
ッドと同一規格のサーマルヘッドの発熱抵抗素子に、ト
リミングパルスを印加し、パルス幅と印加電力とに対応
する抵抗値変化を校正曲線としてメモリする。次にトリ
ミング対象のサーマルヘッドの発熱抵抗素子を複数のグ
ループに区分し、1つのグループに前記校正曲線に基づ
いたトリミングパルスを印加し、抵抗値変化量と校正曲
線との偏差量とを演算する。引き続くグループに対して
は、印加されるトリミングパルスの印加電力を、前段の
グループのトリミング時に用いられた校正曲線を前段の
グループにおける偏差量で補正して、新たな校正曲線を
決定し新たな校正曲線を得る。これによって印加される
トリミングパルスの印加電力を決定する。以下、同様な
処理を繰り返す。
【0016】このようにして本発明では、各発熱抵抗素
子をトリミングして抵抗値を調整するに際して、トリミ
ング処理を行うブロック毎に校正曲線を補正してトリミ
ングを繰り返すので、トリミング対象の薄膜サーマルヘ
ッドの特性に応じて、良好なトリミング処理を実行でき
る。またこれにより、ブロック毎に補正された校正曲線
は、当該薄膜サーマルヘッドの特性に基本的に近接する
ので、後段のブロックにおける印加されるトリミングパ
ルスの数を削減することができ、トリミング処理の高速
化に寄与することができる。
【0017】
【実施例】図1は本発明のトリミング方法を用いて製造
される薄膜サーマルヘッド(以下、サーマルヘッドと略
す)21の構成を説明するための断面図である。サーマ
ルヘッド21は、たとえばアルミニウムなどの金属材料
から成る放熱板22を備え、この上にヘッド基板23が
接着剤層32で固着される。ヘッド基板23上には、図
1の紙面と垂直方向に多数の発熱抵抗素子24が直線状
に形成され、またこの発熱抵抗素子24の配列方向と並
行に配列され、発熱抵抗素子24と図示しない電極にて
接続された複数の駆動回路素子25が配置される。これ
らの駆動回路素子25は合成樹脂材料から成る保護層2
6で被覆される。
【0018】ヘッド基板23上にはたとえばスクリーン
印刷などの厚膜技術にて蓄熱層35が形成され、また厚
膜共通電極層27がヘッド基板23の外周に沿って形成
される。蓄熱層35上には発熱抵抗素子層34、共通電
極層36および複数の個別電極37が形成され、直線上
の複数の発熱抵抗素子24が構成される。発熱抵抗素子
24は、たとえばスパッタリングなどの薄膜技術により
形成される耐摩耗層39を介して、プラテンローラ31
との間で感熱紙32に感熱印字を行う。またこの発熱抵
抗素子24は集積回路素子として実現される駆動回路素
子25により制御される。駆動回路素子25には絶縁層
28で被覆された前記個別電極37が接続されると共に
、駆動回路素子25に発熱抵抗素子24を駆動する信号
などを入力し、絶縁層28で被覆された外部接続端子2
9が接続され、駆動回路素子25およびその周辺を被覆
して合成樹脂材料などからなる保護層26が形成される
。本発明は、ヘッド基板23上に発熱抵抗素子層34、
共通電極36および複数の個別電極37が形成された段
階で、これらによって規定される複数の発熱抵抗素子2
4毎の抵抗値をトリミングして均一化しようとするもの
である。上記のサーマルヘッド21に対して実験を行っ
た結果、以下の事実が判明した。
【0019】(1)耐摩耗層39を形成する前に、大気
雰囲気中でトリミングパルスを印加する。このときパル
ス幅を適宜選択することにより、発熱抵抗素子24の抵
抗値を下げるだけでなく、上げることができる。この実
験結果の概要は図2のグラフに示される。すなわち横軸
に印加電力、縦軸に発熱抵抗素子24の抵抗値変化率Δ
R/Rを取ると、印加されるトリミングパルスのパルス
幅を変化させることにより、得られる特性曲線が大きく
変化することが確認された。図2図示のラインL1,L
2,L3は、相互にパルス幅が異なる場合を示しており
、対応するパルス幅をWL1,WL2,WL3(必要な
場合はWLで総称する)で表すとこれらの関係は、
【0
020】
【数2】WL1 > WL2 > WL3である。
【0021】すなわちパルス幅WLが比較的長い場合に
は、ラインL1に示されるように印加電力を増大すると
抵抗値は増大する。一方、パルス幅WLが比較的短い場
合には、ラインL3に示されるように閾値電力Pth未
満の範囲Aでは抵抗値は変化しないが、閾値電力Pth
以上の範囲B程度に印加電力を増大すると抵抗値は減少
する。またパルス幅WL1,WL3の中間のパルス幅W
L2では、ラインL2に示されるように、印加電力Pの
程度によって抵抗値の上昇現象と下降現象との双方が現
れる。すなわち印加電力に関する閾値電力Pth未満の
印加電力の範囲Aでは、抵抗値は印加電力の増大に従い
低下率が次第に増大するが、次第に低下率は減少して0
となる。閾値電力Pth以上の印加電力Pの範囲では、
印加電力Pの増大に従い抵抗値は次第に上昇する。
【0022】このようにトリミングパルスのパルス幅W
Lによって、発熱抵抗素子24の抵抗値の変化の方向が
上昇または下降のいずれをも取り得る現象は図3を参照
して、下記のように説明される。すなわちトリミングパ
ルス印加によって発熱抵抗素子24の抵抗値が変化する
のは、発熱抵抗素子層34自身の発熱によるアニール効
果、すなわち発熱抵抗素子層34の結晶化と、同じく発
熱抵抗素子層34自身の発熱による酸化とによるもので
ある。このうちアニール効果は、発熱抵抗素子層34の
結晶化の進行である点で抵抗値の下降現象として現れ、
また酸化は抵抗値の上昇現象として現れる。
【0023】図3(1)のように印加されるトリミング
パルスのパルス幅WL1を比較的長くかつ印加電圧を低
く設定したときの発熱抵抗素子層34は、印加電圧V1
が比較的低いために温度は急速および大幅な上昇を見せ
ず、一方、パルス幅WL1が比較的長いため比較的低い
温度が長時間続くことになる。発熱抵抗素子層34にお
けるアニール効果の進行状態は温度により決定されるも
のであり、この場合の温度T1はアニール効果を発生さ
せる温度Taに到達しておらず、前記アニール効果によ
る抵抗値の下降現象は生じない。しかしながら酸化現象
を発生させる温度Tox以上の温度であり、しかもこの
状態が比較的長時間継続されるので、発熱抵抗素子層3
4に酸化が進行し抵抗値が上昇する。
【0024】一方、印加されるトリミングパルスを図4
(1)に示すように、そのパルス幅WL3が比較的短く
かつ印加電圧V2が比較的高い場合、発熱抵抗素子層3
4の温度変化は図4(2)に示される状態となる。すな
わち発熱抵抗素子層34は、急速に昇温し前記アニール
効果が生じる温度Taを越えた温度T2に到達する。一
方、パルス幅WL3が比較的短いため温度T2はほとん
ど持続せず、急速に室温に復帰する。この場合、温度T
2に対応してアニール効果が進行し、発熱抵抗素子層3
4の抵抗値は下降する。一方、前記酸化が生じる温度T
oxを越えている期間が比較的短いため、酸化はほとん
ど発生せず、抵抗値の上昇は生じない。すなわちトリミ
ングパルスのパルス幅WLと印加電力とを適宜選択する
ことにより、前述したアニール効果と酸化とのいずれが
支配的な現象となるかを制御することができる。すなわ
ち発熱抵抗素子層34の抵抗値を上昇あるいは下降させ
る制御を行うことができる。
【0025】(2)図3(1)に示されるように、発熱
抵抗素子層34において抵抗値の上昇のみを生じさせる
パルス幅WL1のトリミングパルスを印加する場合、ト
リミングパルスのパルス幅WL1を固定しておけばトリ
ミングパルス印加前の抵抗値が発熱抵抗素子24毎に異
なっていても、同一の印加電力を印加することにより各
発熱抵抗素子24は、ほぼ一定の抵抗値変化率を示す。 一方、図4(1)に示すような抵抗値下降のみを生じさ
せるパルス幅WL3のトリミングパルスを印加する場合
も同様であり、印加電力が同一であればトリミングパル
ス印加前の抵抗値が発熱抵抗素子24毎に異なっていて
も、ほぼ一定の抵抗値変化率を示す。
【0026】本件発明者は、図1図示の発熱抵抗素子2
4に関して、図1左右方向の長さ151μm、図1紙面
と垂直方向の幅105μmとし、膜厚が異なり、したが
って抵抗値が異なる2種類の発熱抵抗素子24に関して
、発熱抵抗素子の抵抗値の変化を計測した。印加電圧と
抵抗値変化との関係を図5(1)のラインL6,L7に
示す。このように印加電圧との関係では、抵抗値変化の
状態は大幅に異なることが理解される。
【0027】一方、印加電力と抵抗値変化との関係を図
5(2)のラインL8,L9に示す。同図に示されるよ
うに、印加電力が同一であればトリミング前の初期抵抗
値の相異に拘わらず、同一の抵抗値変化を示すことが理
解される。これらを総合すると、図2に示したラインL
1,L3の特性曲線は、各発熱抵抗素子24毎の抵抗値
には依存しないと結論できる。
【0028】上述の現象は下記のように説明される。発
熱抵抗素子層34の抵抗値を変化させる要因であるアニ
ール効果や酸化は、その進行状態は上述したように、印
加されるトリミングパルスの状態に対応した発熱抵抗素
子層34自身の図3(2)および図4(2)に示したよ
うな温度変化の特性により決定されるものである。した
がってパルス幅WLと印加電力Pとが同一であれば発熱
抵抗素子24の抵抗値が相互に異なっている場合であっ
ても、発熱抵抗素子24毎の温度の時間変換の特性は、
各発熱抵抗素子24間で同一となり、前述したようにほ
ぼ一定の抵抗値変化率が得られる。
【0029】(3)発熱抵抗素子24に、予め定める印
加電力P0のトリミングパルスを印加した後、2回目以
降、印加電力の増分ΔPずつ印加電力を増加させたトリ
ミングパルスを印加することにより、徐々に抵抗値を下
げることができる。本件発明者は、図1図示の発熱抵抗
素子24に関して、図1左右方向の長さ151μm、図
1紙面と垂直方向の幅105μmの発熱抵抗素子24に
関して、低下するパルス幅WLdにおいて、1回目のパ
ルスを印加して抵抗値を低下させた後、2回目以降増分
ΔPずつ印加電力を増加させた際の抵抗値変化を測定し
た。この結果を、図6ラインL10,L11に示す。こ
のように抵抗値の低下の様子は、1回目のパルスの印加
電力により異なるけれども、いずれの場合であっても抵
抗値が低下している。
【0030】(4)前記第3項の説明において、2回目
以降のトリミングパルスを図3に示されるような、比較
的長いパルス幅のトリミングパルスとすることにより、
徐々に抵抗値を上昇することができる。本件発明者は、
前記第3項の説明における相互に異なる抵抗値を有する
複数の発熱抵抗素子24に関して、2回目以降、たとえ
ば50msのパルス幅のトリミングパルスを印加したと
きの抵抗値の変化を計測した。この状態を図7ラインL
12,L13に示す。図7に示されるように、徐々に抵
抗値を上昇できることが理解される。このとき、ライン
L12は、ラインL13よりも高い印加電力の場合を示
している。しかも、印加電力を低めに設定した場合のラ
インL13に示されるように、1回のトリミングパルス
の印加における、抵抗値変化を比較的小さく設定するこ
とができる。これにより、トリミングによる発熱抵抗素
子24の抵抗値の制御を極めて高精度に行うことができ
る。
【0031】(5)発熱抵抗素子層34における前述し
たような抵抗値の下降をもたらすアニール効果は、発熱
抵抗素子層34内で構成分子の再配列や結晶化を進行さ
せる。このため発熱抵抗素子24の印加パルス(トリミ
ングパルスや使用に伴う駆動パルスなど)に対する耐久
性は向上される。一方、抵抗値の上昇をもたらす酸化現
象は、発熱抵抗素子24の所定の抵抗値の領域を狭隘化
し、したがって実質的な膜厚を薄くしてしまうことにな
る。このため印加パルスに対する耐久性は劣化してしま
う。すなわち発熱抵抗素子24の抵抗値を大幅に上昇さ
せる処理は、発熱抵抗素子24を劣化させることになり
、寿命が短くなってしまう。
【0032】(6)発熱抵抗素子24がタンタルTa系
の場合では、本件発明者は1ms以下のパルス幅では抵
抗値を−70%程度まで低下することができることを確
認した。しかしながら抵抗値を過大に低下させると、発
熱抵抗素子24が凝集を起こし、また発熱抵抗素子24
の直下の蓄熱層35が熱のために破壊される事態が生じ
る。これらの点を考慮し、本件発明者はサーマルヘッド
21の信頼性を保持できる限界の最大トリミング量−D
R1が、図8に示されるようにたとえば−40%程度で
あることを確認した。
【0033】(7)前述したように、抵抗値を上昇また
は低下してトリミングを行う場合、トリミングパルス印
加による抵抗値低下が過大であるとき、前述したように
比較的長いパルス幅を有するトリミングパルスで発熱抵
抗素子24を酸化させ、抵抗値を上昇させる必要が生じ
る。この酸化により、前述したように発熱抵抗素子24
の信頼性が低下する。しかも印加電力を増加させてさら
に抵抗値を低下させる制御を行おうとする場合、第1回
目トリミングパルス印加により抵抗値変化が下降方向に
過大であったとき、さらに抵抗値を低下させるトリミン
グパルスを印加しても、抵抗値が低下せず逆に上昇した
り、または予め計算された低下量を大きく越えて低下す
る場合があることを確認した。このような場合、発熱抵
抗素子24が破壊される場合がある。このような実験に
より、上述した抵抗値の上昇または低下制御を行う場合
では、抵抗値変化はたとえば−30%程度の限界値−D
R2以上にできないことを確認した。
【0034】(8)また発熱抵抗素子24に関して、ト
リミングを行わない場合、サーマルヘッド21の使用に
伴って抵抗値がたとえば2〜3%程度低下することを確
認した。これはトリミング処理を行った発熱抵抗素子2
4では、前述したアニール効果により印加パルスに対す
る信頼性が向上されており、したがって使用時に抵抗値
は低下しない。一方、トリミング処理を行っていない発
熱抵抗素子24は、前記アニール効果を有していないた
め、抵抗値が低下してしまうためである。このため、単
一のサーマルヘッド21内において、使用に伴い発熱量
のばらつきを生じ、濃度むらを生じることになる。この
ためサーマルヘッド21の全ての発熱抵抗素子24は、
たとえば−3%程度の最小トリミング量DR4だけトリ
ミング処理を行う必要がある。
【0035】以上の各条件を踏まえた上で、前述したよ
うな抵抗値の上昇および下降現象を発熱抵抗素子24の
抵抗値の調整に応用する手法について説明する。図4(
1)に示されるように、比較的短いパルス幅WL3のト
リミングパルスを印加した場合、パルス幅WL3を一定
にすると、印加電力と抵抗値変化率との関係が前述した
ように発熱抵抗素子24の抵抗値には依存しない状態と
なるが、蓄熱層35の凹凸や発熱抵抗素子24の寸法の
バラツキなどに起因して、実際には抵抗値変化率にはバ
ラツキを生じてしまう。
【0036】したがって印加電力Pと抵抗値変化率ΔR
/Rとの関係を示すグラフは図9に示されるように、理
想的な対応関係を示すラインL4に対し、ラインL4a
,L4bで囲まれる範囲の幅を有している。したがって
従来技術として説明したように、サーマルヘッドを製造
する際の同一ロット内のヘッド基板23や、同一ヘッド
基板23内の発熱抵抗素子24にトリミングパルスを印
加し、図9ラインL4の校正曲線を得て、この校正曲線
に基づいてトリミングパルスのパルス幅と印加電力とを
決定し、このようなトリミングパルスを発熱抵抗素子2
4毎に印加したとしても、図9に示すラインL4a,L
4bの間のバラツキにより、抵抗値変化率の高精度の制
御は不可能である。
【0037】たとえば抵抗値を−n%だけ変化させるた
めに、図9ラインL4の校正曲線から対応する印加電力
P0(−n%)のデータを得て、この印加電力を有する
トリミングパルスを印加した場合、実際には図9に示す
幅δの範囲で抵抗値変化率はばらつく。したがって得ら
れる抵抗値変化率は下限で−n−d2%、上限で−n+
d1%(d1+d2=δ)の間でばらつくことになる。
【0038】したがって発熱抵抗素子24をトリミング
するに当たって、1回トリミングパルスを印加した後、
さらにトリミングパルスを印加することにより抵抗値を
上昇させたり、または下降させる必要がある。このよう
な処理は下記のような手法で実現できることが確認され
た。
【0039】まず1回目のトリミングパルス印加後、さ
らに抵抗値を下降させる場合、前述したアニール効果の
みを進行させればよい。したがって1回目のトリミング
パルスと同一のパルス幅であって、印加電力を所定電力
ΔPだけ増加させたトリミングパルスを印加する。これ
により発熱抵抗素子24は1回目のトリミングパルス印
加時よりさらに高い温度に到達するため、さらにアニー
ル効果が進行し抵抗値はさらに下降する。
【0040】またさらに抵抗値を下降させるには、さら
に印加電力ΔPだけ電力を増加させてトリミングパルス
の印加を行えばよい。このときパルス幅は比較的短く設
定されるので、上述した酸化現象はほとんど発生しない
が、印加電力ΔPを過小にすると酸化現象が無視できな
くなり、逆に抵抗値の上昇が発生する場合がある。した
がって前記所定の印加電力ΔPは、このような条件を総
合的に勘案して決定される。
【0041】1回目のトリミングパルス印加後に抵抗値
を上昇させる場合、前述した酸化現象のみを進行させれ
ばよく、図2ラインL1のような特性を示す図3(1)
示のような、比較的パルス幅WL1が長いトリミングパ
ルスを印加する。これにより発熱抵抗素子24は、1回
目のトリミングパルス印加後の温度より基本的に降温し
、アニール効果はほとんど進行せず、酸化現象のみが進
行する。これにより発熱抵抗素子24の抵抗値を確実に
上昇することができる。またこの時の印加電力P1を比
較的小さく選ぶことにより、トリミングパルス印加毎の
抵抗値の上昇率をたとえば+0.1〜0.2%程度など
、微少程度ずつ変化することができ、発熱抵抗素子24
の抵抗値を高精度に制御することができる。
【0042】図10は本発明に従うトリミング装置41
のブロック図である。トリミング装置41は、サーマル
ヘッド21のヘッド基板23に装着され、抵抗素子層5
1上の共通電極36と個別電極37とに発熱抵抗素子2
4毎に個別に探針を接触させるプロービング装置42が
設けられ、プロービング装置42は、切換手段43を介
して、抵抗値計測計44およびトリミングパルス発生部
45に接続される。抵抗値計測計44で計測された抵抗
値は、制御装置46内で校正曲線を作成して記憶する校
正曲線作成部47に入力される。ヘッド基板23は、X
Yステージ52上に乗載され、XYステージ52は制御
装置46の制御による位置決め機構53によって基板2
3の位置決めを行う。
【0043】前記トリミングパルス発生部45は、基準
パルス発生部48を含み、発された基準パルスはパルス
幅調整部49および電圧調整部50を経ることにより、
後述するようなトリミングパルスとして出力され、前記
切換回路43およびプロービング装置42を介して、選
択された発熱抵抗素子24に印加される。
【0044】図11はサーマルヘッド21を製造する全
体の工程を説明する工程図である。図11工程a1では
、前記サーマルヘッド21上に厚膜共通電極層27や蓄
熱層35を形成する。工程a2では、サーマルヘッド2
1上に発熱抵抗素子層34を形成し、工程a3では発熱
抵抗素子層34上に前記共通電極36および個別電極3
7を形成する。工程a4では、詳細は後述するトリミン
グ処理が行われ、各発熱抵抗素子24毎の抵抗値が均一
となるように調整された後、工程a5で耐摩耗層39が
形成される。この後、その他の処理を経て、サーマルヘ
ッド21が完成する。
【0045】図12は本発明の一実施例のトリミング処
理方法を説明する工程図であり、図13は図12の工程
中における校正曲線の作成およびその他のパルス条件決
定処理方法を説明する工程図である。図12工程b1で
は、図1図示のように発熱抵抗素子24が配列されたサ
ンプルヘッドを準備し、前述したようなパルス条件を求
める。
【0046】この処理の詳細を図13に示される校正曲
線を作成する工程図を参照して説明する。すなわち、サ
ンプルヘッド基板を設定し、これに図10図示のトリミ
ング装置41を用いて、トリミングパルスの印加テスト
を行い下記のパルス条件1〜3を求めておく。
【0047】(条件1)1パルスを印加したとき、抵抗
値が下がるパルス幅WLdを工程c1で求め、当該パル
ス幅WLdにおいて、印加電力を種々変更してテストパ
ルスを印加する。このテストパルスの印加による抵抗値
変化率を計測し、図9図示のラインL4に示す校正曲線
を得る。この校正曲線より当該パルス幅WLdにおいて
、抵抗値変化率ΔR/Rが−1%、−2%、…、−n%
となる印加電力P0(−1%),P0(−2%),…,
P0(−n%)を工程c2にて求める。
【0048】(条件2)上記条件1で求めたパルス幅W
Ldにおいて、1パルス印加して抵抗値を下降させた後
、さらに抵抗値をd1%(例として2〜3%)下げるに
必要な増加電力ΔPを工程c3で求める。
【0049】(条件3)1パルス印加したとき抵抗値が
上昇するパルス幅WLuを工程c4で求める。
【0050】(条件4)このようにして当該パルス幅W
Luにおいて、抵抗値をd2%(例として0.2〜0.
3%)上げるに必要な印加電力P1を工程c5で求める
【0051】図12工程b2では、校正曲線補正値Ph
=0と設定する。工程b3では、ヘッド基板23上に直
線状に配列された複数の発熱抵抗素子24を複数のグル
ープに区分する。本実施例では、たとえば図15(1)
に示されるように、複数の発熱抵抗素子24から形成さ
れる発熱抵抗素子列55を、たとえば11個のブロック
B0,B1,…,B10に区分する。
【0052】この後、プローピング装置42をトリミン
グすべきヘッド基板23のたとえば図15に示されるブ
ロックB0の発熱抵抗素子24に装着し、初期抵抗値R
0を計測する。工程b4では、初期抵抗値R0と、予め
定められる目標抵抗値Rfとから、必要な抵抗値変化量
−DR
【0053】
【数3】
【0054】を演算する。工程b5では、前記必要抵抗
値変化量DRに対応するパルス幅WLdを定め、図9の
校正曲線L4から必要な印加電力P0(−DR%)を求
める。工程b6では、求められた印加電力P0(−DR
%)を、校正曲線補正値Phで補正する。すなわち、

0055】
【数4】 P0(−DR%)=P0(−DR%)+Phで示される
ように、工程b5で求めた印加電力P0(−DR%)を
P0(−DR%)+Phと置き換える。このような校正
曲線の補正処理が可能な論拠については、以下の実施例
の説明中にて説明する。
【0056】工程b7では、パルス幅WLdと印加電力
P0(−DR%)とから印加電圧V0
【0057】
【数5】
【0058】を演算し、これらのデータに基づいて基準
パルス発生部48で発生された基準パルスがパルス幅調
整部49および電圧調整部50で調整された後、切換部
43およびプロービング装置42を介して発熱抵抗素子
24に印加される。
【0059】工程b8では、切換手段43は、抵抗値計
測計44側に切換えられ、1回目のパルス印加後の抵抗
値Rが抵抗値計測計44で計測される。工程b9では、
前記初期抵抗値R0とから実際の抵抗値変化量−DR1
【0060】
【数6】
【0061】を演算し、対応する印加電力P0(−DR
1%)を、図16ラインL15から求める。工程b11
では、現在プローピング装置41が接続されている、発
熱抵抗素子24における校正曲線L15との偏差量Ph
i(i=0,1,2…)
【0062】
【数7】 Phi=P0i(−DR%)−P0i(−DR1%)を
演算し、演算結果を校正曲線補正値として制御装置46
に記憶する。工程b12では、工程b8で計測された抵
抗値Rが目標抵抗値Rfに対して一致したと見なされる
範囲内にあるかどうか、すなわち
【0063】
【数8】|R−Rf| / Rf ≦ εε:予め定め
る微小量 が成立するかどうかを判断する。
【0064】工程b12の判断が肯定ならば、工程b1
7に移る。否定であれば工程b13に移り、計測された
抵抗値Rが目標抵抗値Rfより大きいか否かを判断する
。この判断が否定であれば、処理は工程b14に移り、
抵抗値を上昇させるための前述したような比較的長いパ
ルス幅WLμ、印加電力P1で第5式のように電圧を演
算し、印加電力が低い抵抗値上昇用のトリミングパルス
を印加し、処理を工程b15に移し、再び抵抗値を計測
し、工程b12に戻る。
【0065】工程b13の判断が肯定であれば処理は工
程b16に移り、抵抗値を低下させるための前述したパ
スル幅WLdで印加電力が増分電力ΔPだけ増加した抵
抗値低下用のトリミングパルスを印加し、工程b12に
戻る。
【0066】前記、工程b12の判断が肯定であれば処
理は工程b17に移り、たとえば図15ブロックB0内
の全発熱抵抗素子24のトリミングが終了したかどうか
を判断する。終了していなければ、工程b3に戻り、こ
のブロック内の残余の発熱抵抗素子24に対して前述の
処理を繰り返す。判断が肯定になれば、処理は工程b1
8に移り、このブロック内の全発熱抵抗素子24の偏差
量Phiの平均Ph
【0067】
【数9】
【0068】を演算し、平均偏差量Phをたとえばブロ
ックB0の偏差量Phとして設定する。
【0069】前記工程b17の判断が否定であれば、ブ
ロックB0内に目標抵抗値範囲内に抵抗値が入っていな
い発熱抵抗素子24が存在することになり、工程b3に
戻り前述の処理を繰り返す。
【0070】このようにして、たとえば図15図示のブ
ロックB0は、図16図示の校正曲線L15に基づいて
、全発熱抵抗素子24が目標抵抗値範囲内に入るように
トリミングを行う。
【0071】工程b19では、図15に示されるような
全てのブロックB0〜B10に関して、トリミングが終
了したかを判断し、終了していればトリミング処理を終
了する。終了していなければ、工程b20で引き続く他
のブロック、たとえばブロックB1に移動し、前記工程
b3に戻り、前述の処理を繰り返す。このとき工程b6
では、図15ブロックB0のトリミング時に補正された
校正曲線に対して、工程b18で求められた偏差量Ph
により第5式で示されたように、さらに校正曲線が補正
される。このさらに補正された校正曲線を用いて、ブロ
ックB1のトリミングが行われる。
【0072】以下、ブロックB2,…,B10に進むに
従い、校正曲線が順次補正されつつ、後段のブロックの
トリミングに用いられ、この後段のブロックのトリミン
グに際して、新たな前記偏差量Phが得られる。
【0073】このようにしてブロックB0,…,B10
とトリミング処理が進行するに従い、校正曲線がトリミ
ング対象のサーマルヘッドの特性に合致したものとなり
、各発熱抵抗素子24の抵抗値の調整を容易に行うこと
ができる。またブロック毎のトリミングが進行するに従
い、トリミングパルスが印加される回数が減少すること
になる。これによりトリミング処理の高速化を図ること
ができる。
【0074】前記各ブロックB0〜B10を構成する発
熱抵抗素子24の数は、過小であると平均演算を行う意
味がなくなり、過大であれば校正曲線を補正する意味が
なくなるので、本件発明者の実験によれば16〜64ド
ット程度が適当である。またこのドット数は、プロービ
ング装置41の探針の数と一致する必要がないのは勿論
である。
【0075】図17は、本発明の第2の実施例のトリミ
ング処理方法を説明する工程図である。図17工程d1
,d2,d3は、図12の工程b1〜b3と同一である
。図17工程d4では、初期抵抗値R0の計測が全発熱
抵抗素子24に亘って終了した否かを判断し、終了する
まで計測を継続する。終了すれば工程d5へ移り、たと
えば図19(2)に示されるように発熱抵抗素子列55
を、ブロックB0〜B10に区分しているとき、各ブロ
ックBi(i=0〜10)毎に平均抵抗値を演算する。 今、サーマルヘッドの抵抗値分布が図18(1)のライ
ンL16に示されるとき、これにより各ブロックBi毎
の平均抵抗値の分布がラインL16aに示されるように
得られる。
【0076】工程d6では、最小平均抵抗値を有するブ
ロックを決定する。図18(1)の例では、5番目のブ
ロックB5がこれに相当する。工程d7では、プロービ
ング装置41の探針を、ブロックB5に移動する。これ
以降の工程d8〜d21は図12の工程b3〜b17と
各工程毎に対応し、前述の説明と同様な処理を行う。こ
のとき発熱抵抗値列55における各ブロックBi毎のト
リミング順は、図18(2)に示されるように第5番目
のブロックB5から、ブロックB6…のように進行する
【0077】このようにして、各ブロック内でのトリミ
ング処理に関して、工程d21の判断が肯定になったと
き、処理は工程d22に移り、発熱抵抗素子列55にお
ける図19右端または左端のブロックであるか否かを判
断する。この判断が否定であれば、トリミングの進行に
従ってさらに右側または左側のブロックへトリミング処
理を進め得ることになり、工程d23に移り、図12工
程b18と同様な処理を行う。
【0078】引き続く工程d24では、現在トリミング
処理を行っているブロックが前記第5番目のブロックB
5など、1番最初にトリミング処理が行われたブロック
であるか否かを判断する。この判断が肯定であれば工程
d25で、校正曲線補正値Phを補正値Ph0として記
憶する。この後、工程d26に移り、たとえば右側に隣
接する6番目のブロックB6へ、探針を移動する。この
後、処理は工程d8に移り、前述の処理を繰り返す。
【0079】工程d22の判断が肯定の場合、処理は工
程d27に移り、全ブロックに関してトリミング処理が
終了した否かを判断する。終了していれば当該サーマル
ヘッドに対するトリミング処理は終了し、つぎのサーマ
ルヘッドへ移る。この判断が否定であれば、たとえば図
18(2)においてトリミング順で6番目のブロックB
10におけるトリミング処理が終了したことになる。こ
のとき工程d28で、最初にトリミングしたブロックB
5の左側隣の第4ブロックB4へプロービング装置42
を移動する。工程d29では、校正曲線補正値Phを前
記工程d25で記憶したPh0とし、処理を工程d8に
移し、図19に示される残余のブロックB0〜B4に対
して、図19左向きにトリミング処理を進行させる。
【0080】以上のようにして、本実施例では平均抵抗
値が最も小さいブロックからトリミングを開始するよう
にしている。すなわち、前記第1の実施例においてトリ
ミング処理が2番目以降のブロックは、サンプルヘッド
で得られた校正曲線をトリミング対象のサンプルヘッド
の特性で補正して得られた校正曲線でトリミング処理を
行うが、第1番目のブロックB5はサンプルヘッドで得
られた校正曲線に基づいてトリミング処理が行われる。 このとき校正曲線とトリミング対象のサーマルヘッドの
トリミング特性との偏差が大きく、かつ第1番目のブロ
ックの抵抗値が目標抵抗値よりかなり高い場合、1回目
のトリミングパルスの印加で得られる抵抗値変化が、必
要抵抗値変化量から大きく誤差を生じたり、過電力パル
スの印加により発熱抵抗素子24が破壊される可能性が
ある。
【0081】抵抗値変化量が必要抵抗値変化量より大き
く誤差を生じた場合は、その後のトリミングパルスの印
加により目標抵抗値範囲内に制御できることを前述の実
施例で説明した。したがって発熱抵抗素子の破壊を防止
する必要があり、このために前記第2の実施例で説明し
たように平均抵抗値が最小のブロックから開始する。す
なわちこのブロックは最も目標抵抗値に近いため、必要
抵抗値変化量が最も小さいことになる。このためサンプ
ルヘッドから得られた校正曲線に基づいてトリミング処
理を行う場合でも、校正曲線から得られる印加電力も最
も小さくなる。したがってトリミング対象のサーマルヘ
ッドの抵抗値変化特性が校正曲線から大きくずれ、した
がって1回目のパルスの印加電力が過電力となっても、
このために発熱抵抗素子が破壊される可能性を可及的に
小さくすることができる。
【0082】前記第2の実施例のトリミング処理手順の
変形例として、図18(3)に示されるように1番最初
にトリミング処理が行われるブロックB5から図18左
側に向けてトリミング処理を開始し、左端のブロックに
到達した段階で、ブロックB5の右側のブロックB6に
移り、これから図18右向きにトリミング処理を進行さ
せるようにしてもよい。
【0083】前記第1および第2の実施例は、トリミン
グ処理を行うに当たり、たとえば校正曲線からの偏差量
を補正する処理時間の短縮に重点を置く場合は、第1実
施例の手法が好ましく、また校正曲線からの偏差量を補
正する際の前述した発熱抵抗素子の破壊防止に重点を置
く場合には、第2実施例の手法が好適である。
【0084】
【発明の効果】以上のように本発明に従えば、各発熱抵
抗素子をトリミングして抵抗値を調整するに際して、ト
リミング処理を行うブロック毎に校正曲線を補正してト
リミングを繰り返すので、トリミング対象の薄膜サーマ
ルヘッドの特性に応じて、良好なトリミング処理を実行
できる。またこれにより、ブロック毎に補正された校正
曲線は、当該薄膜サーマルヘッドの特性に基本的には近
接するので、後段のブロックにおける印加されるトリミ
ングパルスの数を削減することができ、トリミング処理
の高速化に寄与することができる。
【0085】また本発明では、トリミング対象のサーマ
ルヘッドの全発熱抵抗素子の抵抗値を測定し、設定され
たブロック毎に平均抵抗値を演算し、最も低い平均抵抗
値のブロックからトリミング処理を開始する。これによ
れば、最初にトリミング処理が行われるブロックの平均
抵抗値が、最も低いため、このブロックの目標抵抗値に
対する必要抵抗変化量が最も小さく、予め得られている
校正曲線から求められる印加電力も最も小さくなる。そ
のため、トリミング対象のサーマルヘッドのトリミング
特性と校正曲線との偏差が大きくとも、この校正曲線に
基づいてトリミングパルスを印加した際に、過電力とな
って抵抗素子の特性が劣化し、または破壊される事態を
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象となるサーマルヘッド21の断面
図である。
【図2】トリミングパルスのパルス幅を種々変化した際
の印加電力と抵抗値変化率との関係を示すグラフである
【図3】比較的長いパルス幅のトリミングパルスの波形
と発熱抵抗素子24の温度の時間変化とを示すグラフで
ある。
【図4】比較的短いパルス幅のトリミングパルスの波形
と発熱抵抗素子24の温度の時間変化を示すグラフであ
る。
【図5】本発明の作用を説明するグラフである。
【図6】本実施例の作用を説明する校正曲線を示すグラ
フである。
【図7】本発明の作用を説明するグラフである。
【図8】本発明の作用を説明するグラフである。
【図9】発熱抵抗素子24の平面図である。
【図10】トリミング装置41のブロック図である。
【図11】サーマルヘッド21の全体の製造工程を説明
する工程図である。
【図12】トリミング処理を説明する工程図である。
【図13】校正曲線作成処理を説明する工程図である。
【図14】パルス幅を一定にしたときの印加電力と抵抗
値変化率との関係を示すグラフである。
【図15】発熱抵抗素子列55のブロック区分の例を示
す図である。
【図16】本発明の作用を説明するグラフである。
【図17】第2の実施例のトリミング処理方法を説明す
る工程図である。
【図18】本実施例の作用を説明するグラフである。
【図19】本実施例におけるブロック区分の例を示す図
である。
【符号の説明】
21  サーマルヘッド 23  ヘッド基板 24  発熱素子 41  トリミング装置 44  抵抗値計測計 45  トリミングパルス発生部 47  校正曲線記憶部 49  パルス幅調整部 50  電圧調整部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  薄膜サーマルヘッドの電気絶縁性基板
    上に直線状に配列された複数の発熱抵抗素子をトリミン
    グするに当たって、上記薄膜サーマルヘッドと同一規格
    のサーマルヘッドの発熱抵抗素子に対して電圧パルスを
    印加し、その電圧パルスのパルス幅と印加電力とに対応
    する発熱抵抗素子の抵抗値の低下または上昇の変化の関
    係を予め校正曲線としてメモリーしておき、この校正曲
    線に基づいてトリミングパルスの印加電力を決定する薄
    膜サーマルヘッドの抵抗体トリミング方法において、前
    記発熱抵抗素子を複数のグループに区分し、各グループ
    毎にトリミングパルスの印加電力による抵抗値変化量と
    上記校正曲線との偏差量を演算するとともに、これから
    トリミングするグループに対して印加する電力を、すで
    にトリミングしたグループにおける前記偏差量をもとに
    補正した校正曲線に基づいて決定し、順次各グループの
    トリミングを行うことを特徴とする薄膜サーマルヘッド
    の抵抗体トリミング方法。
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