JPH0463133B2 - - Google Patents
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Description
本発明はバツチ式焼鈍炉で炭素鋼のコイルをタ
イト状態で段積して焼鈍する場合、伝熱モデルに
よりコイル内部の温度を推定するとともに、その
推定した温度の昇温曲線から焼鈍中鋼の機械的性
質に対応するパラメータを計算して、常時鋼の機
械的性質を管理することにより過剰焼鈍および焼
鈍不足を未然に防止し、焼鈍時間の短縮および品
質の安定化をはかつた炭素鋼の焼鈍方法に関す
る。 従来より炭素鋼帯の製造は熱延コイルを酸洗し
て酸化皮膜を除去した後、球状化焼鈍を行つて微
細パーライト組織を球状パーライト組織にし、そ
の後冷間圧延と軟化焼鈍を1回以上繰返すことに
より行つている。ところで炭素鋼の場合、その球
状化焼鈍や軟化焼鈍には長時間を必要とするの
で、上記製造工程におけるこれらの焼鈍はバツチ
式のベル型焼鈍炉により行つている。このベル型
焼鈍炉はタイト状に巻取つたコイルを幅方向に段
積して同時に焼鈍するもので、その一般的なもの
は第1図に示すように、下側にベースフアン1と
ベース熱電対2とが設けられたボトムプレート3
の上にタイト状に巻取つたコイル4とコンベクタ
ープレート5とを交互に段積した後インナーカバ
ー6をかけ、さらにこのインナーカバー6の外側
に炉熱電対7を備えたアウターカバー8をかけ
て、このアウターカバー8で加熱する構造のもの
である。 しかしながらこのベル型焼鈍炉で炭素鋼のコイ
ルをタイト状態で焼鈍する場合、次のような問題
点が従来存在していた。 まず第1の問題点としては段積したコイル4の
うちで、焼鈍の際最も温度の低い点、すなわち最
冷点温度が判然としない点である。焼鈍不足をな
くし、鋼全体が目的の機械的性質を備えたものに
するには最冷点温度の把握が必要であるが、最冷
点はコイル4の内部に存在するため判然しないも
のであつた。このため従来焼鈍の際の炉の制御は
炉温(炉熱電対7によるインナーカバー6とアウ
ターカバー8との間の温度)やベース温度(ベー
ス熱電対2による最下段コイル下端の温度)など
直接確実に検出できる温度を用いて、経験的に行
つていた。この制御方法で従来より一般的に行わ
れている方法は、第2図に示す如く、炉温Tfを
目標温度T2まで上昇させて、ベース温度Tbが目
標温度T1になるまでその温度T2に保持し、ベー
ス温度Tbが目標温度T1になつた後はベース温度
TbがT1に一定時間保持されるように炉温Tfを調
整する方法である。ベース温度TbをT1に一定時
間保持するその時間は均熱時間と称しているが、
この均熱時間は鋼種、コイル寸法などにより異な
るので、その設定は経験的に定められている。し
かしながらこの均熱時間の設定は従来焼鈍不足を
恐れて一般に長くなるようにしていたため、炉の
操業効率が低いという問題があつた。 次に第2の問題点はベル型焼鈍炉の制御を上述
のように均熱時間で行つたのでは均熱温度に達す
るまでの昇温過程および均熱完了後の冷却過程に
おける焼鈍効果が考慮されていないため、機械的
性質を正確に予測できないことである。ベル型焼
鈍炉の場合均熱に入るまでおよび均熱後冷却され
るまでに長時間を要し、その時間においても焼鈍
が進行するものであり、それらを考慮しないと焼
鈍後の機械的性質を正確に予測できない。このた
め従来焼鈍に際しては焼鈍不足を防止するため均
熱温度や均熱時間を過大に設定し、過剰気味の焼
鈍を行つていた。しかしながらこのような過剰焼
鈍は燃料費の増大や炉の操業効率の低下を招くた
め、コストが高くなるという問題があつた。 本発明はこのような問題を解決した炭素鋼の焼
鈍方法を提供するもので、段積した炭素鋼のコイ
ルをバツチ式焼鈍にてAc1変態点未満の温度で焼
鈍する際、コイル間に位置させるコンベクタープ
レートの形状および炉内風量配分を考慮した伝熱
モデルにより段積したコイルの温度のうちの最冷
点温度を推定するとともに、焼鈍後の鋼の機械的
性質と対応するパラメータを定義して、焼鈍中こ
のパラメータを伝熱モデルより推定した最冷点温
度の昇温曲線より計算し、その計算値が焼鈍後目
標値となるように管理して焼鈍することにより焼
鈍不足および過剰焼鈍を防止するとともに、焼鈍
温度および焼鈍時間の適正化による炉の操業効率
向上およびコスト低減をはかつたものである。 以下本発明を詳細に説明する。 本発明は基本的には(1)伝熱モデルによる最冷点
温度の推定方法と、(2)パラメータの定義とこのパ
ラメータを最冷点温度昇温曲線から計算する方法
から構成されたものであるので、これらを分けて
説明する。 (1) 最冷点温度の推定方法 最冷点温度を推定するには最冷点の存在するコ
イルの端面温度や表面温度などを計算もしくは実
測により決定し、それらを境界条件とする。次に
この境界条件から最冷点温度を推定するには、第
3図に示すようなメツシユ状のコイル縦断面9を
想定して、コイル幅方向Zの一次元またはコイル
幅方向Zとコイル半径方向rの二次元の伝熱方程
式を考え、それらを差分化することにより一般に
行う。ここでコイルの端面や表面の温度を明確に
すれば第3図において10が端面であり、11が
表面である。また第3図でΔZは幅方向のメツシ
ユ間隔であり、Δrは半径方向rのメツシユ間隔
である。 一般にコイルを段積してベル型焼鈍炉で焼鈍す
る場合、最冷点は中段コイルに存在するので、最
冷点温度を推定するには中段コイルの端面10ま
たは表面11の温度を実測または計算して境界条
件を決定し、その後前述のように行えばよい。な
お境界条件を計算で決定する場合には複雑になる
が炉内のほとんど一切の熱的現象を考慮したシユ
ミレーシヨンモデルを作成して、そのモデルによ
り決定してもよい。またより実用的には炉温Tf
とベース温度Tbから決定してもよい。 一方最も好ましい方法としてはコンベクタープ
レート5の形状と炉内風量配分とを調整すること
により最冷点が下段コイル内部に故意に存在させ
るようにして、境界条件としてベース温度Tbを
用い、このベース温度Tbにより最冷点温度を推
定する方法である。この方法で最冷点温度を推定
するにはベース温度Tbを一定時間間隔でとり込
んで、そのとり込んだベース温度Tbよりコイル
幅方向rの一次元伝熱モデルを用いて推定するよ
うにすれば焼鈍を正確に制御できる。 従つて、この場合、境界条件は直接測定できる
ものであるので、境界条件を決定するための複雑
なシユミレーシヨンモデルを必要とせず、かつ、
最冷点の予測精度も高い。また、シユミレーシヨ
ンモデルが簡単である結果、容量の大きなプロセ
スコンピユータを用いなくても実操業で多数の炉
を同時に制御できる。さらに最冷点の推定精度に
及ぼす因子の数も限られているので、重回帰分析
も容易で短時間に実操業化できるなどの効果が期
待できる。 以下、この方法について具体例を示しながら説
明する。 バツチ式焼鈍炉で段積みしたコイルを焼鈍した
場合、最冷点の位置はコイル幅、重量、外径、積
姿、コンベクタープレートの形状、フアン能力、
加熱能力など多くの因子の影響をうけ、一定して
いない。そこで、本発明はコンベクタープレート
の形状および炉内風量配分を調整することにより
最冷点を最下段コイルの内部に存在させるように
する。 例えば第4図に示す如く、同一寸法のコイルを
3段積みにして従来の条件で焼鈍した場合、上段
コイルCと中段コイルBとの間の風量Q2および、
中段コイルBと下段コイルAとの間の風量Q3は、
上段コイルCに入る風量Q1および下段コイルA
より出る風量Q4に比べて抑制されるため、各コ
イル中心部の温度を調査してみると第5図の如く
なつて、中段コイルBの中心部の温度が最も低
い。従つて、この場合の最冷点はこの中段コイル
内部に存在する。しかし、コンベクタープレート
5の形状を調整し、炉内風量配分がQ2≧Q4にな
るようにして各コイル中心部の温度を調査してみ
ると第6図の如くなつて下段コイルAの中心部の
温度が最も低くなり、最下段コイルAの内部に最
冷点が存在するようになる。この最冷点はベース
温度測定用コイル内に存在するので、ベース温度
を境界条件とすることにより精度よく推定でき
る。 次に、このベース温度より最冷点を推定するに
は、伝熱モデルにより行う。すなわち、一般にコ
イル密度をρ、比熱をC、コイル半径方向rおよ
び幅方向Zの熱伝導度をそれぞれKrおよびKzと
したとき、コイル端面より最冷点への熱伝導は非
定常熱伝導であるので、次の二次元伝熱式で与え
られる。 ρC∂T/∂t=Kr/r・∂T/∂r+∂/∂r (Kr∂T/∂r)+∂/∂Z(Kz∂T/∂Z) …(1) (T…コイル温度、t…時間) ここで、KrはKzに比べ非常に小さいので、半
径方向からの熱伝導を無視すると上記(1)式は次の
ようになる。 ρC∂T/∂t=∂/∂Z(Kz∂T/∂Z) …(2) すなわち、ベース温度からの熱伝導となる。ま
たKz,Cは温度の関数であるので、 φ=1/K°z∫T 0KzdT …(3) (K°zは0℃におけるKz) H=∫T 0CdT …(4) とおくと、(2)式は次のようになる。 ρ〔X〕∂H/∂t=K°z∂2φ/∂Z2 …(5) コンピユータで計算するため、(5)式を差分化す
ると次のようなる。 H(Z,t+Δt)=H(Z,t)+(K°zΔt/ρΔ
Z2) {φ(Z+ΔZ,t)+φ(Z−Δt,t)−2φ
(Z,t)} …(6) ここで、初期条件として焼鈍炉点火時コイル内
温度は一様で、下段コイルAの端面温度に等しい
とした。 以上の伝熱モデルを用いてベース温度より最冷
点を計算した具体例を第7図に示す。なお、コイ
ル(鋼種N63C,C0.64%)としては次のものを用
いた。 コイル、厚み(mm)、幅(mm)、重量(トン) 下段A 2.0 930 11.2 中段B 2.5 900 11.1 上段C 2.5 910 11.2 また、コンベクタープレートとしては、第4図
において、下側よりボトムプレート3、第1コン
ベクタープレート5a、第2コンベクタープレー
ト5bとしたとき、次の寸法のものを使用した。 プレートNo.、リブ高さ(mm)、外径(mm) 3 40 1600 5a 110 1600 5b 110 1600 さらに、1次元伝熱モデルによる最冷点温度の
推定の場合、ΔZ=5cm,Δt=2分とした。第7
図に下段コイルAの最冷点推定温度(実線)、実
測温度(O印)を比較した。 第7図よりベース温度を境界条件とした最冷点
の推定値は、実測値と非常によく一致している。 したがつて、この方法によれば特に高精度の最
冷点温度の推定が可能となる。しかも、シユミレ
ーシヨンモデルは簡単であり、計算するための因
子は通常のタイト焼鈍炉にあるベース温度Tbの
みであり、特別の検出端を必要としない。このた
め、多数の焼鈍炉を有する実ラインにも容易に適
用可能である。 (2) パラメーターの定義とこのパラメーターを最
冷点温度昇温曲線から計算する方法 一般に、鋼の焼鈍過程は炭化物の析出や凝集、
転位の再配列や消滅などの固相反応と考えること
ができることから、鋼の温度T〓のときの固相反
応速度rは下記のアレニウスの式で与えられる。 r=Aexp(−Q/RT) …(7) A定数、Q活性化エネルギー(Kcal/mol)、
Rガス定数L987(cal/mol) そこで、鋼をT〓一定でt時間焼鈍したとする
とt時間内に起こる反応量Bは次式で与えられ
る。 B=tr=tAexp(−Q/RT) …(8) この(8)式の両辺の対数をとると次のようにな
る。 logB=logt−(Q/2.3R)(1/T)+logA …(9) ここで、logBを焼鈍効果の程度を示すパラメ
ータとして用い、これを焼鈍パラメータaと定義
する。そして、b=Q/(2.3R),c=logAとす
ると、上記(9)式は次のようになる。 a=logt−b(1/T)+c …(10) ここで、bおよびcは鋼種、加工履歴により異
なる定数である。したがつて、焼鈍パラメータa
により焼鈍効果を判定するには、鋼種、加工履歴
別にbおよびcを決定する必要がある。そこで本
発明者らは、固相反応の起る温度のソルトバス中
に特定の炭素鋼を所定時間浸漬した後、水中に浸
漬する方法で焼鈍を行つて機械的性質を測定し、
その測定値と焼鈍条件とからbおよびcを決定し
た。この決定方法としては、測定値yを時間項
(logt)と温度項(1/T)について重回帰分析
を行つて y=β1(logt)+β2(1/T)+β3 …(11) と最もよく近似する重回帰係数を求めた。すなわ
ち、上記式をさらに変形すると次のようになる。 y=β1{(logt)+β2/β1(1/T)+c}−β1
c+
β3 …(12) ここで、logt+β2/β1(1/T)+cと前記(10)式
の右辺を比較すると、b=−β2/β1となる。 一方cは温度、時間には関係ないので、鋼種、
加工履歴により都合のよい一定の値に設定する。 かくして、bおよびcを決定もしくは設定した
後、前記機械的性質測定の際に行つた焼鈍条件に
より焼鈍パラメータaを計算した結果、機械的性
質と非常に高い相関があることが知見された。そ
こで、本発明は、この焼鈍パラメータaをベル型
焼鈍炉で焼鈍する場合に適用し、適格なる焼鈍を
行なおうとするものである。 ところで、炭素鋼をコイルで数段に積重ねてベ
ル型焼鈍炉で焼鈍する場合の焼鈍パラメータaは
次のようになる。すなわち、鋼の昇温曲線は、一
般に第8図のように時間とともに上昇して均熱と
なり、その後下降する。本発明においては、この
昇温曲線をT1,T2…Ti…Toの各温度(〓)に急
熱されて、それぞれt1,t2…ti…to時間(hr)保持
され、その後急冷されたものの集合体と考え各温
度および保持時間における部分焼鈍パラメータai
を求め、これを積算して焼鈍パラメータaとす
る。すなわち、固相反応が開始された後、終了す
るまでの固相反応の総反応量Iは、aiの合計であ
ることから次のようになる。 I=r1t1+r2t2+…riti…+roto (ただし、r1,r2…はそれぞれの温度T1,T2
…〓のときの固相反応速度) ところで、ai=log(riti)であるので、指数関数
にするとriti=10aiとなる。従つて、 I=10a 1+10a 2+…10ai…+10an= 〓i 10ai となる。eogI=aであるので、 a=log( 〓i 10ai) となる。ここで、ai=logti−b(1/Ti)+cであ
るが、この式におけるbおよびcは先に重回帰分
析により決定したbおよびc用いる。 このようにして焼鈍パラメータaが求められる
場合、焼鈍パラメータaを目標の機械的性質の値
に対応するように設定して、その設定値になるよ
うに焼鈍温度および焼鈍時間を制御すれば、焼鈍
不足にならず、また過剰焼鈍を行う必要もない。 前記部分焼鈍パラメータaiは鋼の温度が上昇
し、固相反応が開始される時点が始まりであり、
また固相反応が終了した時点が終了となる。従つ
て、均熱前後の昇温過程および冷却過程における
焼鈍効果も加味されることになり、従来の均熱部
分だけの制御ではない。 次に、具体例をもとに前述の機械的性質の推定
方法をさらに説明する。第9図は、微細パーライ
ト熱延組織をもつN63C(C0.64%)の高炭素鋼を
ソルトバス中に一定時間浸漬し、その後、水中に
急冷する方法で球状化焼鈍した場合の硬度(Hv)
と焼鈍温度(ソルトバス温度)および焼鈍時間の
関係を示すグラフである。 この第9図における硬度を焼鈍時間(logt,tは
hr)と焼鈍温度(1/T,Tは〓)について重回
帰分析したところ(10)式のbは14.4×103となつた。
そして、式(10)のcは焼鈍パラメータaが負になら
ないようにするため、便宜上20と設定した。その
結果、焼鈍パラメータaはこの鋼に関しては次の
ようになつた。 a=logt−14.4×103(1/T)+20 次に、この式を用いて各硬度に対応する焼鈍条
件より焼鈍パラメータaを計算し、硬度との関係
を検討したところ第10図の如く非常に高い負の
相関(相関係数R=−0.98)を示した。 そこで、前述したコイル(鋼種N63C)および
コンベクタープレートを使用して焼鈍した場合に
おいて、最冷点の昇温曲線(推定値)から焼鈍コ
イルの硬度値を推定した。硬度の推定は、第10
図を検量線として、本発明法を適用した。その推
定硬度値の時間変化を第7図に破線で示す。焼鈍
後の実測硬度(●印)は165Hvであり、推定硬度
165Hvと一致した。 さらに、第10図をもとにして目標とする硬度
の焼鈍パラメータaを設定し、同一の鋼
(N63C)をベル型焼鈍炉で球状化焼鈍した。そ
の場合目標硬度と実測硬度とを比較したところ第
11図の結果が得られた。また、N63Cの鋼を
170Hvまで球状化焼鈍する場合、従来法と本発明
法とを比較した結果を第12図に示す。本発明法
により硬度を制御して焼鈍すれば、硬度のバラツ
キが少なくなり、品質的にも非常に有利である。 以上、硬度値を対象とした場合について示した
が、他の機械的性質(引張強さ、伸び)を目的と
する場合も同様に行うことができる。第10図の
ような機械的性質と焼鈍パラメータaとの関係を
種々の炭素鋼について求める場合、焼鈍温度は鋼
が軟化する温度以上、Ac1変態点未満の温度で行
う。これは鋼が軟化する温度未満(N63Cの場合
773〓(500℃)未満)ではパーライトの球状化が
全く進行ぜず、逆に、Ac1変態点以上の温度
(N63Cの場合、993〓(720℃)以上では球状の
パーライト組織から層状のパーライト組織に変態
し、製品の品質を著しく低下させるからである。
同様にベル型焼鈍炉で炭素鋼を焼鈍した場合の部
分焼鈍パラメータaiの計算も鋼が軟化する温度に
ついて行う。 また、この焼鈍方法は、炭素鋼ばかりでなく、
炭素工具鋼や合金鋼、ステンレス鋼の焼鈍にも適
用できることは言うまでもない。 次の他の実施例を示す。 実施例 C0.55%とC0.80%の高炭素鋼を熱間圧延におい
て変態させた後巻取つた微細パーライト組織の熱
延コイル(板厚3.0mm)を酸洗して、タイト状態
に巻取り、それをベル型焼鈍炉に装入して球状化
焼鈍を行つた。焼鈍に際してはコイルと第1表に
示すようなコンベクタープレートを交互に段積し
て炉内風量を調整することにより最冷点が下段コ
イルAに存在するようにして、ベース温度から一
次元伝熱モデルを用いて最冷点温度を推定した。
またこれとともに焼鈍後の目標硬度(Hv)に対
応する焼鈍パラメータaを設定しておいて、焼鈍
中最冷点の昇温曲線よりこの焼鈍パラメータaを
計算し、その計算値が設定値になるように焼鈍温
度と焼鈍時間を制御した。第1表はこの結果を従
来法と比較して示したもので、この焼鈍方法によ
れば鋼の機械的性質を目標に近い値にすることが
でき、かつ焼鈍時間も短縮できる。
イト状態で段積して焼鈍する場合、伝熱モデルに
よりコイル内部の温度を推定するとともに、その
推定した温度の昇温曲線から焼鈍中鋼の機械的性
質に対応するパラメータを計算して、常時鋼の機
械的性質を管理することにより過剰焼鈍および焼
鈍不足を未然に防止し、焼鈍時間の短縮および品
質の安定化をはかつた炭素鋼の焼鈍方法に関す
る。 従来より炭素鋼帯の製造は熱延コイルを酸洗し
て酸化皮膜を除去した後、球状化焼鈍を行つて微
細パーライト組織を球状パーライト組織にし、そ
の後冷間圧延と軟化焼鈍を1回以上繰返すことに
より行つている。ところで炭素鋼の場合、その球
状化焼鈍や軟化焼鈍には長時間を必要とするの
で、上記製造工程におけるこれらの焼鈍はバツチ
式のベル型焼鈍炉により行つている。このベル型
焼鈍炉はタイト状に巻取つたコイルを幅方向に段
積して同時に焼鈍するもので、その一般的なもの
は第1図に示すように、下側にベースフアン1と
ベース熱電対2とが設けられたボトムプレート3
の上にタイト状に巻取つたコイル4とコンベクタ
ープレート5とを交互に段積した後インナーカバ
ー6をかけ、さらにこのインナーカバー6の外側
に炉熱電対7を備えたアウターカバー8をかけ
て、このアウターカバー8で加熱する構造のもの
である。 しかしながらこのベル型焼鈍炉で炭素鋼のコイ
ルをタイト状態で焼鈍する場合、次のような問題
点が従来存在していた。 まず第1の問題点としては段積したコイル4の
うちで、焼鈍の際最も温度の低い点、すなわち最
冷点温度が判然としない点である。焼鈍不足をな
くし、鋼全体が目的の機械的性質を備えたものに
するには最冷点温度の把握が必要であるが、最冷
点はコイル4の内部に存在するため判然しないも
のであつた。このため従来焼鈍の際の炉の制御は
炉温(炉熱電対7によるインナーカバー6とアウ
ターカバー8との間の温度)やベース温度(ベー
ス熱電対2による最下段コイル下端の温度)など
直接確実に検出できる温度を用いて、経験的に行
つていた。この制御方法で従来より一般的に行わ
れている方法は、第2図に示す如く、炉温Tfを
目標温度T2まで上昇させて、ベース温度Tbが目
標温度T1になるまでその温度T2に保持し、ベー
ス温度Tbが目標温度T1になつた後はベース温度
TbがT1に一定時間保持されるように炉温Tfを調
整する方法である。ベース温度TbをT1に一定時
間保持するその時間は均熱時間と称しているが、
この均熱時間は鋼種、コイル寸法などにより異な
るので、その設定は経験的に定められている。し
かしながらこの均熱時間の設定は従来焼鈍不足を
恐れて一般に長くなるようにしていたため、炉の
操業効率が低いという問題があつた。 次に第2の問題点はベル型焼鈍炉の制御を上述
のように均熱時間で行つたのでは均熱温度に達す
るまでの昇温過程および均熱完了後の冷却過程に
おける焼鈍効果が考慮されていないため、機械的
性質を正確に予測できないことである。ベル型焼
鈍炉の場合均熱に入るまでおよび均熱後冷却され
るまでに長時間を要し、その時間においても焼鈍
が進行するものであり、それらを考慮しないと焼
鈍後の機械的性質を正確に予測できない。このた
め従来焼鈍に際しては焼鈍不足を防止するため均
熱温度や均熱時間を過大に設定し、過剰気味の焼
鈍を行つていた。しかしながらこのような過剰焼
鈍は燃料費の増大や炉の操業効率の低下を招くた
め、コストが高くなるという問題があつた。 本発明はこのような問題を解決した炭素鋼の焼
鈍方法を提供するもので、段積した炭素鋼のコイ
ルをバツチ式焼鈍にてAc1変態点未満の温度で焼
鈍する際、コイル間に位置させるコンベクタープ
レートの形状および炉内風量配分を考慮した伝熱
モデルにより段積したコイルの温度のうちの最冷
点温度を推定するとともに、焼鈍後の鋼の機械的
性質と対応するパラメータを定義して、焼鈍中こ
のパラメータを伝熱モデルより推定した最冷点温
度の昇温曲線より計算し、その計算値が焼鈍後目
標値となるように管理して焼鈍することにより焼
鈍不足および過剰焼鈍を防止するとともに、焼鈍
温度および焼鈍時間の適正化による炉の操業効率
向上およびコスト低減をはかつたものである。 以下本発明を詳細に説明する。 本発明は基本的には(1)伝熱モデルによる最冷点
温度の推定方法と、(2)パラメータの定義とこのパ
ラメータを最冷点温度昇温曲線から計算する方法
から構成されたものであるので、これらを分けて
説明する。 (1) 最冷点温度の推定方法 最冷点温度を推定するには最冷点の存在するコ
イルの端面温度や表面温度などを計算もしくは実
測により決定し、それらを境界条件とする。次に
この境界条件から最冷点温度を推定するには、第
3図に示すようなメツシユ状のコイル縦断面9を
想定して、コイル幅方向Zの一次元またはコイル
幅方向Zとコイル半径方向rの二次元の伝熱方程
式を考え、それらを差分化することにより一般に
行う。ここでコイルの端面や表面の温度を明確に
すれば第3図において10が端面であり、11が
表面である。また第3図でΔZは幅方向のメツシ
ユ間隔であり、Δrは半径方向rのメツシユ間隔
である。 一般にコイルを段積してベル型焼鈍炉で焼鈍す
る場合、最冷点は中段コイルに存在するので、最
冷点温度を推定するには中段コイルの端面10ま
たは表面11の温度を実測または計算して境界条
件を決定し、その後前述のように行えばよい。な
お境界条件を計算で決定する場合には複雑になる
が炉内のほとんど一切の熱的現象を考慮したシユ
ミレーシヨンモデルを作成して、そのモデルによ
り決定してもよい。またより実用的には炉温Tf
とベース温度Tbから決定してもよい。 一方最も好ましい方法としてはコンベクタープ
レート5の形状と炉内風量配分とを調整すること
により最冷点が下段コイル内部に故意に存在させ
るようにして、境界条件としてベース温度Tbを
用い、このベース温度Tbにより最冷点温度を推
定する方法である。この方法で最冷点温度を推定
するにはベース温度Tbを一定時間間隔でとり込
んで、そのとり込んだベース温度Tbよりコイル
幅方向rの一次元伝熱モデルを用いて推定するよ
うにすれば焼鈍を正確に制御できる。 従つて、この場合、境界条件は直接測定できる
ものであるので、境界条件を決定するための複雑
なシユミレーシヨンモデルを必要とせず、かつ、
最冷点の予測精度も高い。また、シユミレーシヨ
ンモデルが簡単である結果、容量の大きなプロセ
スコンピユータを用いなくても実操業で多数の炉
を同時に制御できる。さらに最冷点の推定精度に
及ぼす因子の数も限られているので、重回帰分析
も容易で短時間に実操業化できるなどの効果が期
待できる。 以下、この方法について具体例を示しながら説
明する。 バツチ式焼鈍炉で段積みしたコイルを焼鈍した
場合、最冷点の位置はコイル幅、重量、外径、積
姿、コンベクタープレートの形状、フアン能力、
加熱能力など多くの因子の影響をうけ、一定して
いない。そこで、本発明はコンベクタープレート
の形状および炉内風量配分を調整することにより
最冷点を最下段コイルの内部に存在させるように
する。 例えば第4図に示す如く、同一寸法のコイルを
3段積みにして従来の条件で焼鈍した場合、上段
コイルCと中段コイルBとの間の風量Q2および、
中段コイルBと下段コイルAとの間の風量Q3は、
上段コイルCに入る風量Q1および下段コイルA
より出る風量Q4に比べて抑制されるため、各コ
イル中心部の温度を調査してみると第5図の如く
なつて、中段コイルBの中心部の温度が最も低
い。従つて、この場合の最冷点はこの中段コイル
内部に存在する。しかし、コンベクタープレート
5の形状を調整し、炉内風量配分がQ2≧Q4にな
るようにして各コイル中心部の温度を調査してみ
ると第6図の如くなつて下段コイルAの中心部の
温度が最も低くなり、最下段コイルAの内部に最
冷点が存在するようになる。この最冷点はベース
温度測定用コイル内に存在するので、ベース温度
を境界条件とすることにより精度よく推定でき
る。 次に、このベース温度より最冷点を推定するに
は、伝熱モデルにより行う。すなわち、一般にコ
イル密度をρ、比熱をC、コイル半径方向rおよ
び幅方向Zの熱伝導度をそれぞれKrおよびKzと
したとき、コイル端面より最冷点への熱伝導は非
定常熱伝導であるので、次の二次元伝熱式で与え
られる。 ρC∂T/∂t=Kr/r・∂T/∂r+∂/∂r (Kr∂T/∂r)+∂/∂Z(Kz∂T/∂Z) …(1) (T…コイル温度、t…時間) ここで、KrはKzに比べ非常に小さいので、半
径方向からの熱伝導を無視すると上記(1)式は次の
ようになる。 ρC∂T/∂t=∂/∂Z(Kz∂T/∂Z) …(2) すなわち、ベース温度からの熱伝導となる。ま
たKz,Cは温度の関数であるので、 φ=1/K°z∫T 0KzdT …(3) (K°zは0℃におけるKz) H=∫T 0CdT …(4) とおくと、(2)式は次のようになる。 ρ〔X〕∂H/∂t=K°z∂2φ/∂Z2 …(5) コンピユータで計算するため、(5)式を差分化す
ると次のようなる。 H(Z,t+Δt)=H(Z,t)+(K°zΔt/ρΔ
Z2) {φ(Z+ΔZ,t)+φ(Z−Δt,t)−2φ
(Z,t)} …(6) ここで、初期条件として焼鈍炉点火時コイル内
温度は一様で、下段コイルAの端面温度に等しい
とした。 以上の伝熱モデルを用いてベース温度より最冷
点を計算した具体例を第7図に示す。なお、コイ
ル(鋼種N63C,C0.64%)としては次のものを用
いた。 コイル、厚み(mm)、幅(mm)、重量(トン) 下段A 2.0 930 11.2 中段B 2.5 900 11.1 上段C 2.5 910 11.2 また、コンベクタープレートとしては、第4図
において、下側よりボトムプレート3、第1コン
ベクタープレート5a、第2コンベクタープレー
ト5bとしたとき、次の寸法のものを使用した。 プレートNo.、リブ高さ(mm)、外径(mm) 3 40 1600 5a 110 1600 5b 110 1600 さらに、1次元伝熱モデルによる最冷点温度の
推定の場合、ΔZ=5cm,Δt=2分とした。第7
図に下段コイルAの最冷点推定温度(実線)、実
測温度(O印)を比較した。 第7図よりベース温度を境界条件とした最冷点
の推定値は、実測値と非常によく一致している。 したがつて、この方法によれば特に高精度の最
冷点温度の推定が可能となる。しかも、シユミレ
ーシヨンモデルは簡単であり、計算するための因
子は通常のタイト焼鈍炉にあるベース温度Tbの
みであり、特別の検出端を必要としない。このた
め、多数の焼鈍炉を有する実ラインにも容易に適
用可能である。 (2) パラメーターの定義とこのパラメーターを最
冷点温度昇温曲線から計算する方法 一般に、鋼の焼鈍過程は炭化物の析出や凝集、
転位の再配列や消滅などの固相反応と考えること
ができることから、鋼の温度T〓のときの固相反
応速度rは下記のアレニウスの式で与えられる。 r=Aexp(−Q/RT) …(7) A定数、Q活性化エネルギー(Kcal/mol)、
Rガス定数L987(cal/mol) そこで、鋼をT〓一定でt時間焼鈍したとする
とt時間内に起こる反応量Bは次式で与えられ
る。 B=tr=tAexp(−Q/RT) …(8) この(8)式の両辺の対数をとると次のようにな
る。 logB=logt−(Q/2.3R)(1/T)+logA …(9) ここで、logBを焼鈍効果の程度を示すパラメ
ータとして用い、これを焼鈍パラメータaと定義
する。そして、b=Q/(2.3R),c=logAとす
ると、上記(9)式は次のようになる。 a=logt−b(1/T)+c …(10) ここで、bおよびcは鋼種、加工履歴により異
なる定数である。したがつて、焼鈍パラメータa
により焼鈍効果を判定するには、鋼種、加工履歴
別にbおよびcを決定する必要がある。そこで本
発明者らは、固相反応の起る温度のソルトバス中
に特定の炭素鋼を所定時間浸漬した後、水中に浸
漬する方法で焼鈍を行つて機械的性質を測定し、
その測定値と焼鈍条件とからbおよびcを決定し
た。この決定方法としては、測定値yを時間項
(logt)と温度項(1/T)について重回帰分析
を行つて y=β1(logt)+β2(1/T)+β3 …(11) と最もよく近似する重回帰係数を求めた。すなわ
ち、上記式をさらに変形すると次のようになる。 y=β1{(logt)+β2/β1(1/T)+c}−β1
c+
β3 …(12) ここで、logt+β2/β1(1/T)+cと前記(10)式
の右辺を比較すると、b=−β2/β1となる。 一方cは温度、時間には関係ないので、鋼種、
加工履歴により都合のよい一定の値に設定する。 かくして、bおよびcを決定もしくは設定した
後、前記機械的性質測定の際に行つた焼鈍条件に
より焼鈍パラメータaを計算した結果、機械的性
質と非常に高い相関があることが知見された。そ
こで、本発明は、この焼鈍パラメータaをベル型
焼鈍炉で焼鈍する場合に適用し、適格なる焼鈍を
行なおうとするものである。 ところで、炭素鋼をコイルで数段に積重ねてベ
ル型焼鈍炉で焼鈍する場合の焼鈍パラメータaは
次のようになる。すなわち、鋼の昇温曲線は、一
般に第8図のように時間とともに上昇して均熱と
なり、その後下降する。本発明においては、この
昇温曲線をT1,T2…Ti…Toの各温度(〓)に急
熱されて、それぞれt1,t2…ti…to時間(hr)保持
され、その後急冷されたものの集合体と考え各温
度および保持時間における部分焼鈍パラメータai
を求め、これを積算して焼鈍パラメータaとす
る。すなわち、固相反応が開始された後、終了す
るまでの固相反応の総反応量Iは、aiの合計であ
ることから次のようになる。 I=r1t1+r2t2+…riti…+roto (ただし、r1,r2…はそれぞれの温度T1,T2
…〓のときの固相反応速度) ところで、ai=log(riti)であるので、指数関数
にするとriti=10aiとなる。従つて、 I=10a 1+10a 2+…10ai…+10an= 〓i 10ai となる。eogI=aであるので、 a=log( 〓i 10ai) となる。ここで、ai=logti−b(1/Ti)+cであ
るが、この式におけるbおよびcは先に重回帰分
析により決定したbおよびc用いる。 このようにして焼鈍パラメータaが求められる
場合、焼鈍パラメータaを目標の機械的性質の値
に対応するように設定して、その設定値になるよ
うに焼鈍温度および焼鈍時間を制御すれば、焼鈍
不足にならず、また過剰焼鈍を行う必要もない。 前記部分焼鈍パラメータaiは鋼の温度が上昇
し、固相反応が開始される時点が始まりであり、
また固相反応が終了した時点が終了となる。従つ
て、均熱前後の昇温過程および冷却過程における
焼鈍効果も加味されることになり、従来の均熱部
分だけの制御ではない。 次に、具体例をもとに前述の機械的性質の推定
方法をさらに説明する。第9図は、微細パーライ
ト熱延組織をもつN63C(C0.64%)の高炭素鋼を
ソルトバス中に一定時間浸漬し、その後、水中に
急冷する方法で球状化焼鈍した場合の硬度(Hv)
と焼鈍温度(ソルトバス温度)および焼鈍時間の
関係を示すグラフである。 この第9図における硬度を焼鈍時間(logt,tは
hr)と焼鈍温度(1/T,Tは〓)について重回
帰分析したところ(10)式のbは14.4×103となつた。
そして、式(10)のcは焼鈍パラメータaが負になら
ないようにするため、便宜上20と設定した。その
結果、焼鈍パラメータaはこの鋼に関しては次の
ようになつた。 a=logt−14.4×103(1/T)+20 次に、この式を用いて各硬度に対応する焼鈍条
件より焼鈍パラメータaを計算し、硬度との関係
を検討したところ第10図の如く非常に高い負の
相関(相関係数R=−0.98)を示した。 そこで、前述したコイル(鋼種N63C)および
コンベクタープレートを使用して焼鈍した場合に
おいて、最冷点の昇温曲線(推定値)から焼鈍コ
イルの硬度値を推定した。硬度の推定は、第10
図を検量線として、本発明法を適用した。その推
定硬度値の時間変化を第7図に破線で示す。焼鈍
後の実測硬度(●印)は165Hvであり、推定硬度
165Hvと一致した。 さらに、第10図をもとにして目標とする硬度
の焼鈍パラメータaを設定し、同一の鋼
(N63C)をベル型焼鈍炉で球状化焼鈍した。そ
の場合目標硬度と実測硬度とを比較したところ第
11図の結果が得られた。また、N63Cの鋼を
170Hvまで球状化焼鈍する場合、従来法と本発明
法とを比較した結果を第12図に示す。本発明法
により硬度を制御して焼鈍すれば、硬度のバラツ
キが少なくなり、品質的にも非常に有利である。 以上、硬度値を対象とした場合について示した
が、他の機械的性質(引張強さ、伸び)を目的と
する場合も同様に行うことができる。第10図の
ような機械的性質と焼鈍パラメータaとの関係を
種々の炭素鋼について求める場合、焼鈍温度は鋼
が軟化する温度以上、Ac1変態点未満の温度で行
う。これは鋼が軟化する温度未満(N63Cの場合
773〓(500℃)未満)ではパーライトの球状化が
全く進行ぜず、逆に、Ac1変態点以上の温度
(N63Cの場合、993〓(720℃)以上では球状の
パーライト組織から層状のパーライト組織に変態
し、製品の品質を著しく低下させるからである。
同様にベル型焼鈍炉で炭素鋼を焼鈍した場合の部
分焼鈍パラメータaiの計算も鋼が軟化する温度に
ついて行う。 また、この焼鈍方法は、炭素鋼ばかりでなく、
炭素工具鋼や合金鋼、ステンレス鋼の焼鈍にも適
用できることは言うまでもない。 次の他の実施例を示す。 実施例 C0.55%とC0.80%の高炭素鋼を熱間圧延におい
て変態させた後巻取つた微細パーライト組織の熱
延コイル(板厚3.0mm)を酸洗して、タイト状態
に巻取り、それをベル型焼鈍炉に装入して球状化
焼鈍を行つた。焼鈍に際してはコイルと第1表に
示すようなコンベクタープレートを交互に段積し
て炉内風量を調整することにより最冷点が下段コ
イルAに存在するようにして、ベース温度から一
次元伝熱モデルを用いて最冷点温度を推定した。
またこれとともに焼鈍後の目標硬度(Hv)に対
応する焼鈍パラメータaを設定しておいて、焼鈍
中最冷点の昇温曲線よりこの焼鈍パラメータaを
計算し、その計算値が設定値になるように焼鈍温
度と焼鈍時間を制御した。第1表はこの結果を従
来法と比較して示したもので、この焼鈍方法によ
れば鋼の機械的性質を目標に近い値にすることが
でき、かつ焼鈍時間も短縮できる。
【表】
【表】
(注) ○印は本発明、他は比較例
以上の如く、本発明は従来焼鈍の際加味されて
いなかつた最冷点を推定し、かつその最冷点の昇
温曲線より従来考慮されていなかつた均熱前後の
昇温過程および冷却過程の焼鈍効果も制御対象と
するものであるから従来より正確に焼鈍を制御で
き、その結果過剰焼鈍は防止されて、焼鈍時間も
短くなり、品質も安定する。
以上の如く、本発明は従来焼鈍の際加味されて
いなかつた最冷点を推定し、かつその最冷点の昇
温曲線より従来考慮されていなかつた均熱前後の
昇温過程および冷却過程の焼鈍効果も制御対象と
するものであるから従来より正確に焼鈍を制御で
き、その結果過剰焼鈍は防止されて、焼鈍時間も
短くなり、品質も安定する。
第1図はバツチ焼鈍炉の概略断面図、第2図は
従来のバツチ焼鈍炉の制御方法を示すグラフであ
る。第3図はコイルの伝熱計算のための説明図、
第4図は本発明の実施例におけるコイルおよびコ
ンベクタープレートの段積状態と炉内風量配分状
態を示す側面図、第5図および第6図は第4図に
示す炉内風量配分においてそれぞれQ2<Q4およ
びQ2≧Q4とした場合の各コイル中心部の昇温状
態を示すグラフである。第7図は、N63C(C0.64
%)をバツチ焼鈍炉で球状化焼鈍する場合に本発
明の伝熱モデルを適用し、最冷点の温度と最冷点
における焼鈍材の硬度とが焼鈍時間に応じて変化
する状態を示すグラフである。第8図はベル型焼
鈍炉において炭素鋼帯を焼鈍した場合の焼鈍パラ
メータaの算出方法を示す図。第9図は高炭素鋼
N63C(0.64%)をソルトバスに浸漬して急熱し、
その後一定時間保持して水中へ急冷する方法で球
状化焼鈍した場合の硬度と焼鈍温度および焼鈍時
間の関係を示すグラフである。第10図は第9図
における硬度と、その焼鈍条件からa=(logt)−
b(1/T)+cに基いて算出した焼鈍パラメータ
aとの相関図である。第11図は、第8図の説明
における鋼を本発明に基いてベル型焼鈍炉で球状
化焼鈍した場合の目標硬度と実測値との関係を示
すグラフである。第12図は、N63Cを170Hvま
で球状化焼鈍した場合、従来法と本発明法との比
較を示す図である。 1……ベースフアン、2……ベース熱電対、3
……ボトムプレート、4……コイル、5……コン
ベクタープレート、6……インナーカバー、7…
…炉熱電対、8……アウターカバー、9……コイ
ル縦断面、10……端面、11……表面、A……
下段コイル、B……中段コイル、C……上段コイ
ル。
従来のバツチ焼鈍炉の制御方法を示すグラフであ
る。第3図はコイルの伝熱計算のための説明図、
第4図は本発明の実施例におけるコイルおよびコ
ンベクタープレートの段積状態と炉内風量配分状
態を示す側面図、第5図および第6図は第4図に
示す炉内風量配分においてそれぞれQ2<Q4およ
びQ2≧Q4とした場合の各コイル中心部の昇温状
態を示すグラフである。第7図は、N63C(C0.64
%)をバツチ焼鈍炉で球状化焼鈍する場合に本発
明の伝熱モデルを適用し、最冷点の温度と最冷点
における焼鈍材の硬度とが焼鈍時間に応じて変化
する状態を示すグラフである。第8図はベル型焼
鈍炉において炭素鋼帯を焼鈍した場合の焼鈍パラ
メータaの算出方法を示す図。第9図は高炭素鋼
N63C(0.64%)をソルトバスに浸漬して急熱し、
その後一定時間保持して水中へ急冷する方法で球
状化焼鈍した場合の硬度と焼鈍温度および焼鈍時
間の関係を示すグラフである。第10図は第9図
における硬度と、その焼鈍条件からa=(logt)−
b(1/T)+cに基いて算出した焼鈍パラメータ
aとの相関図である。第11図は、第8図の説明
における鋼を本発明に基いてベル型焼鈍炉で球状
化焼鈍した場合の目標硬度と実測値との関係を示
すグラフである。第12図は、N63Cを170Hvま
で球状化焼鈍した場合、従来法と本発明法との比
較を示す図である。 1……ベースフアン、2……ベース熱電対、3
……ボトムプレート、4……コイル、5……コン
ベクタープレート、6……インナーカバー、7…
…炉熱電対、8……アウターカバー、9……コイ
ル縦断面、10……端面、11……表面、A……
下段コイル、B……中段コイル、C……上段コイ
ル。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 段積した炭素鋼のコイルをバツチ式焼鈍炉に
てAc1変態点未満の温度で焼鈍する際、コイル間
に位置させるコンベクタープレートの形状および
炉内風量配分を考慮した伝熱モデルにより段積し
たコイルの温度のうちの最冷点温度を推定すると
ともに、焼鈍後の鋼の機械的性質と対応するパラ
メータを定義して、焼鈍中このパラメータを伝熱
モデルより推定した最冷点温度の昇温曲線より計
算し、その計算値が焼鈍後目標値となるように管
理して焼鈍することを特徴とする炭素鋼の焼鈍方
法。 2 鋼の温度をT〓一定でt時間焼鈍した後の機
械的性質に対応するパラメータaを次式で定義
し、 a=logt−b(1/T)+c (bおよびcは鋼種、加工履歴により決定され
る定数) このパラメータaが目標値となるように焼鈍す
ることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載
の炭素鋼の焼鈍方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2680984A JPS60174830A (ja) | 1984-02-15 | 1984-02-15 | 炭素鋼の焼鈍方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2680984A JPS60174830A (ja) | 1984-02-15 | 1984-02-15 | 炭素鋼の焼鈍方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS60174830A JPS60174830A (ja) | 1985-09-09 |
| JPH0463133B2 true JPH0463133B2 (ja) | 1992-10-08 |
Family
ID=12203614
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2680984A Granted JPS60174830A (ja) | 1984-02-15 | 1984-02-15 | 炭素鋼の焼鈍方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS60174830A (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP6533648B2 (ja) * | 2014-07-08 | 2019-06-19 | Jfeスチール株式会社 | 調質高張力鋼板の熱処理方法 |
-
1984
- 1984-02-15 JP JP2680984A patent/JPS60174830A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS60174830A (ja) | 1985-09-09 |
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