JPH0475165B2 - - Google Patents

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JPH0475165B2
JPH0475165B2 JP59124546A JP12454684A JPH0475165B2 JP H0475165 B2 JPH0475165 B2 JP H0475165B2 JP 59124546 A JP59124546 A JP 59124546A JP 12454684 A JP12454684 A JP 12454684A JP H0475165 B2 JPH0475165 B2 JP H0475165B2
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Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明は、ジルコニア粒子を細かくアルミナマ
トリツクス中に分散させてなり切削工具その他の
硬質材として使用される高密度、高靭性のアルミ
ナ・ジルコニアセラミツクス焼結体を製造するた
めの原料となる易焼結性アルミナ・ジルコニア複
合粉体の製造方法に関する。 〔従来の技術〕 本発明者等の1人は既に塩化アルミニウムと塩
化ジルコニウムの蒸気を高温火炎中で酸化する研
究を行い、これら塩化物の混合蒸気を同時に反応
器に吹込むことにより、アルミナ粒子中に正方晶
のジルコニアが細かく分散して成る複合セラミツ
クス粉体を製造し、この複合粉体から得られる焼
結体もアルミナ中にジルコニアの良好な分散が維
持され、高い曲げ強度を持つことを示した(特公
昭63−32746号公報)。 更に、上記複合粉体を800℃〜1250℃で仮焼し、
マトリツクスアルミナをδ(デルタ)晶とθ(シー
タ)晶の混合とし、ジルコニアを単斜晶10〜55容
量%、残余を正方晶とすることにより、複合粉体
の焼結体を高め、該粉体の成形物を空気雰囲気
下、常圧での高温熱処理により得られるセラミツ
クス焼結体の曲げ強度を大幅に向上できることを
示した(特開昭60−131860号公報)。 気相法で得られた複合粉体を仮焼し、アルミナ
とジルコニアの結晶型を制御することによつて、
ホツトプレスによらず常圧での焼結が可能となる
ばかりでなく、低温での焼結も可能となるいわゆ
る焼結性の向上についての知見は上記特開昭60−
131860号公報で明らかにした。即ちこの場合の焼
結体の向上とは、常圧低温での焼結が可能となる
ことにより、焼結に必要な熱エネルギーの節約に
なるばかりでなく、セラミツクス成分粒子の粒成
長を伴いながら成形体内の空隙が消滅してゆく焼
結現象において、低温による焼結のため粒成長が
あまり進まないうちに空隙が消滅し、焼結粒子が
より小さい緻密な焼結体が得られ、しかもこの焼
結粒子が小さいことが焼結体の強度を向上させる
ことになる(例えばPassmore等、J.Am.Ceram.
Soc.48No.1 p1〜7(1965))。しかもこの粉体の
焼結体はジルコニア粒子を臨界粒子径(アルミナ
の緻密なマトリツクス中で約5000Åとされてい
る)よりも小さく保ちやすくなり、ジルコニアは
セラミツクスマトリツクス中で正方晶をとり、ク
ラツク伝播の応力場での正方晶から単斜晶への結
晶変態による靭性強化効果(例えば、「セラミツ
クス」Vol.17No.2 p106〜111(1982))をより有
効に利用できることを意味する。 このような仮焼による結晶相の変化は、X線回
折パターンにより示されるが、仮焼温度が800℃
から1200℃にかけて、アルミナのδ晶は徐々に減
少してθ晶が増加し、ジルコニアについては単斜
晶が少しづつ増加して正方晶ピークが鋭くなり、
結晶子が大きくなる。但し、透過型電子顕微鏡の
観察では、複合粉体の粒子径は殆ど変化せず、前
記X線回折パターンの変化は粒子内部での相変化
と物質移動によるものと考えられ、仮焼による焼
結性の向上の原因は、アルミナのδ晶の一部をθ
晶に変えること、ジルコニアの正方晶の一部を単
斜晶に変えることによつて焼結性が高まることが
主因ではないかと考えられている。 ジルコニアの靭性発現の理由が、十分に細かく
分散したジルコニア粒子がセラミツクスマトリツ
クス中で正方晶で存在し、この正方晶のジルコニ
ア粒子が伝播しようとするクラツク先端の応力場
で単斜晶に変態し、クラツク伝播のエネルギーを
吸収することによるものと考えられる以上、仮焼
によつてジルコニア正方晶のみが分散している複
合粉体中に単斜晶が現れることは、仮焼前の複合
粉体中の正方晶の減少を意味するものであり好ま
しくないようにも考えられようが、それは正しく
ない。その理由は、成形体を焼結する過程では単
斜晶でも正方晶でも必ず粒成長しながらマトリツ
クス(この場合アルミナ)に拘束され緻密化して
ゆく過程をとるので、出発原料の複合粉体中に単
斜晶ジルコニアを含んでいても、ジルコニアの結
晶子径がマトリツクスに拘束された臨界粒子径
(約5000Å程度)に比べて十分小さければ、焼結
過程でマトリツクスのアルミナに拘束されて臨界
粒子径を越えるものとはならず靭性低下の問題は
なく、むしろ焼結過程で粒成長が起こりにくくな
り、焼結後ジルコニア粒子を臨界粒子径よりも小
さく保ちやすいという長所を持つものとなつてい
るからである。 〔発明が解決しようとする問題点〕 気相法によるアルミナ・ジルコニア複合粉体の
製造方法は、特願昭58−3336号(特公昭63−
32746号公報)で明らかにしたように、酸素、水
素によつて作られる旋回火炎の中央に塩化アルミ
ニウム、塩化ジルコニウムの蒸気及びキヤリヤー
ガス(窒素などの不活性ガス)の混合ガスが吹込
まれ、混合ガスと酸水素炎との均一な混合と酸化
反応に伴う粒子の核生成が行われる火炎混合部の
出口に設けられる絞り部と絞り部の下で酸化反応
が更に進行し、粒子の成長と結晶化が進行する比
較的細長い反応部とに分けて考えることができ
る。従来の方法では、火炎混合部の温度は1200〜
1900℃程度で主に1500〜1800℃の範囲で運転され
ており、反応部の温度は800〜1300℃の平均温度
で運転されていた。この運転温度範囲で生成する
アルミナとジルコニアから成る複合粉体は、アル
ミナはアモルフアスあるいはδ晶であり、ジルコ
ニアは正方晶のみが検出される。この複合粉体を
例えば1550〜1600℃、30分〜1時間の条件で圧力
200〜500Kg/cm2という高温高圧でのホツトプレス
で焼結することにより良好な焼結体は得られるけ
れども、ラバープレスによる2ton/cm2の加圧成形
品を例えば温度1550℃、1時間というような条件
で空気雰囲気下の常圧焼結をさせた場合は十分に
緻密化せず、常圧焼結で緻密化させるには、800
〜1250℃で仮焼することが有効であることが判明
しているが(特願昭58−237882号、特開昭60−
131860号公報)、更に気相法による複合粉体の製
造法の改良を目的として、仮焼によつて得られる
ような結晶型を持つアルミナ・ジルコニア複合粉
体を仮焼工程を要しないより簡単で経済的にも優
れた製造方法を提供しようとするのが本発明の第
1の目的である。 第2の目的としては、従来よりも更に焼結性の
改善された複合粉体を提供することにある。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者等は、気相法での複合粉体製造は高温
での酸化反応であるから、十分に高温且つ長時間
反応器内にとどめ、単に酸化反応を完了させるだ
けでなく、アルミナとジルコニアの結晶化と粒成
長を進め、仮焼によつて得られるような良好な焼
結性を持つアルミナ・ジルコニア複合粉体を仮焼
を経由せず気相酸化のみで得ることが可能ではな
いかという点に着眼し、鋭意研究の結果、本発明
を完成するに至つたものである。 即ち、本発明はガス状の塩化アルミニウム、ガ
ス状の塩化ジルコニウム及びキヤリアーガスから
成る原料混合ガスを中央部に絞り部を設けた燃焼
反応装置の高温火炎中で酸化熱分解して酸化アル
ミニウム(アルミナ)の微粒子中に酸化ジルコニ
ウム(ジルコニア)が分散して成る複合粉体を製
造する方法において、前記絞り部より上部を前記
原料混合ガスが酸化雰囲気の火炎と混合する火炎
混合部とし、前記絞り部より下部を反応部とし、
該反応部に可燃性ガスを導入して前記火炎混合部
からの燃焼混合ガス中に残留する酸素との間で燃
焼反応を起こさせることにより、前記反応部のガ
ス出口の温度を高温に保持するという手段を採用
することにより、燃焼反応装置を1回通過するだ
けで、得られる複合粉体の焼結性を改善し、それ
によつて焼結体の機械的性質をも著しく高めるこ
とに成功したものである。 更に本発明方法を実施するに際し、火炎混合部
のガス温度、反応部のガス出口温度及び反応部の
ガス平均滞留時間について、実際によりそれぞれ
の最適範囲を見出した。火炎混合部のガス温度は
1800℃以上の高温度とするのが望ましいが、上限
は使用する燃焼反応装置の内貼りに使用している
アルミナ系耐火物材料の耐熱性の限界温度が約
2000℃であることにより規制され、1800〜2000℃
が望ましい範囲である。反応部のガス出口温度は
従来法では800〜1300℃程度であつたが、本発明
では上記の構成を採用することにより、1350℃以
上の比較的高温に保持し、望ましい結晶型の粉体
を得ることができた。反応部出口温度が1800℃以
上の場合は反応部内壁材質に用いたアルミナ系耐
火物に損傷が認められ、かつ生成する粉体間での
凝結現象が見られるようになつた。従つて望まし
い温度範囲は1350〜1800℃である。更に反応部の
標準状態に換算したガスの平均滞留時間の望まし
い範囲は、後記する実施例に基づき、65〜800ミ
リ秒(m・s)、特に200〜800ミリ秒(m・s)
である。 本発明において用いる原料混合ガスとしては、
前記した特願昭58−3336号に示した方法と同様
に、塩化アルミニウムと塩化ジルコニウムをそれ
ぞれ、無機物固体粒子を充填して流動床とした2
つの蒸発器各々の上部に供給し、下部より不活性
のキヤリヤーガスを吹き上げてガス状の塩化アル
ミニウム又は塩化ジルコニウムを含む2種の混合
ガスを形成せしめ、この2種の混合ガスを更に混
合してガス状の塩化アルミニウム、ガス状の塩化
ジルコニウム及びキヤリヤーガスから成る原料混
合ガスとして用いることができる。 以下に図面に従つて本発明を詳細に説明する。 第1図は本発明を実施するのに使用するバーナ
ー燃焼室を有する燃焼反応装置の一例である。 塩化アルミニウムと塩化ジルコニウムの各々
を、アルミナ、ムライト、ガラス球等の無機物固
体粒子を充填して流動床とした2つの蒸発器(図
示せず)の上部に連続的又は断続的に供給し、下
部から窒素ガス等の不活性ガスを吹上げて、塩化
アルミニウム、塩化ジルコニウムそれぞれの蒸気
が蒸発器の運転温度に対応する一定の蒸気圧分だ
け蒸発して蒸発器からキヤリアーガスとともに出
て行くようにする。ガス状の塩化アルミニウムを
含む混合ガスとガス状の塩化ジルコニウムを含む
混合ガスはガス混合器(図示せず)に導かれ、更
に混合されて、塩化アルミニウム、塩化ジルコニ
ウム及びキヤリアーガスから成る原料混合ガスが
形成される。 このようにして形成された原料混合ガスが、第
1図の燃焼反応装置の上蓋の中央部のノズル3か
ら火炎混合部6へ吹込まれ、火炎混合部6の上部
の入口1の方向から酸素ガスを入口2の方向から
水素ガスを吹込んで形成した酸水素炎と混合され
る。酸素と水素の吹込み角度は、水平で且つ同一
方向に渦を形成するように装置の中心軸から偏心
させるようにすると良好な燃焼が行われる。酸素
の代わりに空気、特に予熱空気等、また水素に代
わる可燃性ガスとしてメタン等の炭化水素ガスを
用いることもできる。 塩化アルミニウムと塩化ジルコニウムの配合比
は、それぞれの蒸発器の運転温度に基づく蒸発量
の制御及びキヤリアーガスの流量の調整によつて
調節することができる。蒸発器の運転温度は外部
から電気炉を用いて調節するが、塩化アルミニウ
ムの場合、130〜170℃程度が望ましく、塩化ジル
コニウムの蒸発器の温度は塩化アルミニウムの蒸
発量やキヤリアーガスの流量との関係で適切な配
合比となるように設定する。これらの運転温度は
いずれも昇華点以下の温度とされる。この装置で
はキヤリアーガスの流量は0.1〜0.4m3(S.T.
P.)/Hr程度が適当とされる。この範囲におい
て塩化アルミニウム側のキヤリアーガスの流量と
塩化ジルコニウム側のキヤリアーガスの流量を同
じとしても良いし、相違させても良い。 混合ガスの吹込ノズル3は高温にさらされる
と、酸化アルミニウムや酸化ジルコニウムが堆積
して閉塞しやすいので、吹込ノズルを保護するた
めにその外周から窒素などの不活性ガスを入口5
の方向から吹込む。 火炎混合部6の温度は、吹込まれる水素(或い
はメタン等の炭化水素ガス)の燃焼熱に基づいて
計算により求められるが、1800〜2000℃としたと
きが良好な結果が得られた。1800℃よりも温度が
低い場合には、焼結性がやや劣る粉体が生成し
た。より高温で運転することによつて、本発明の
目的とする高温反応を行うことが期待されるにも
かかわらず、それができない理由は、燃焼反応装
置の内貼りに使用しているジルコニア、一部アル
ミナの耐火物材料の耐熱温度から見て2000℃が限
度であることによる。 火炎混合部6で混合され、ある程度の酸化反応
が進んだ混合燃焼ガスは、絞り部7を通つて反応
部8へ入る。この絞り部7は火炎混合部6で均一
な混合が行われるために必要であり、この絞りが
ないと一部の塩化物が十分に反応せずに複合粉体
製品に混入することになるので、絞り部7の横断
面積は火炎混合部6の横断面積の0.09〜0.64程度
まで絞られなければならない。 従来、反応部8においては、可燃性ガスの吹込
みがなされなかつたので、温度は反応部の出口に
向かつて徐々に低下し、小さい装置では、反応部
の出口温度を1350℃以上の高温に保持することは
不可能であつた。本発明においては、反応部8の
温度を高温にするため、反応部8の比較的上流側
に水素ガス等の可燃性ガスを入口4の方向から導
入する。反応部に導入する可燃性ガスの量は、予
めの計算により目的とする反応部の出口温度に保
持するために必要な量であり、かつ酸水素炎燃焼
用として火炎混合部6に供給した過剰酸素量に見
合う量よりは少ないものとする。尚、反応部に導
入する可燃性ガスとしては水素のほか、メタン、
プロパンなどの炭化水素ガス燃料も使用可能であ
り、発熱量に応じて吹込む流量を調整すればよ
い。 反応部8を出た混合ガスは冷却部9で冷却され
る。生成する粉体を検討した結果、反応を停止さ
せるための急冷は必ずしも必要ではなく、比較的
広い容積を持つた冷却部でゆつくり冷却させれば
良い。 装置全体は第1図に示すように、金属性のシエ
ル11によつて気密になつており、その内側に断
熱の目的で耐火物の内貼り10を施している。シ
エル11の外側には保温の目的でスチームコイル
12を巻いている。これはシエル内面が冷えて塩
酸を含む水が凝縮し、腐食の原因となるのを防ぐ
ためである。 〔作用〕 本発明においては、反応部8に水素等の可燃性
ガスを導入し、この可燃性ガスと、火炎混合部か
ら入つてくる混合燃焼ガス中に残存する過剰の酸
素との燃焼反応による発熱によつて、反応部の温
度と比較的高温に保つことができ、反応部のガス
出口の温度は1350℃以上に保持される。反応部の
ガス出口の温度は更に高温、例えば1450℃以上で
あることがより望ましい。反応部のガス出口の温
度の上限は、反応部内壁材質の耐熱性の範囲であ
り、かつ生成粒子間の凝結現象が起こらない範囲
であり、従つて1800℃程度である。 反応部8内におけるガスの滞留時間は反応部の
長さが一定の装置では火炎混合部に導入されるガ
ス状塩化物とキヤリアーガスの混合ガス及び火炎
形成燃焼ガス並びに反応部に吹込まれる可燃性ガ
ス等の量によつて決まる。滞留時間の若干の調整
(±50%程度)は、これらガス量の増減で行うこ
とができるが、大きく流量を変更することは、蒸
発器や火炎混合部での円滑な運転に支障をきたす
ので、滞留時間の大幅な変更は反応部の容積、特
に長さを変化させることによつて行われる。 反応部内での滞留時間によつて、得られる複合
粉体の焼結性がどのように変わるかを明らかにす
るため、次のような実験を行つた。 実験例 第1図に示すような、一定の円形断面の反応部
を有する燃焼反応装置において上記各ガス量を調
節して反応部のガス出口の温度をほぼ1500℃程度
の高温に保ち、反応部の長さを変えることにより
反応部内のガス平均滞留時間をガスの標準状態
(0℃、1気圧)に換算した量によつて65、200、
800及び1000ミリ秒(m・s)とした場合の複合
粉体の結晶相及びジルコニアの結晶子径並びにそ
の複合粉体を常法の真空凍結乾燥、解砕、プレス
成形の各処理をした後、常圧で1550℃、1時間の
条件で焼結した焼結体の焼結密度及び曲げ強度を
測定した結果を第1表に、後記する比較例の測定
結果と併せて示す。反応部ガス平均滞留時間は、
温度によつて左右されないように標準状態換算で
示したが、実験例の実際のガス平均滞留時間はこ
れらより短くそれぞれ約10、30、120、150ミリ秒
である。 尚、本発明で使用した物性の測定方法は次のと
おりである。 複合粉体中のアルミナ及びジルコニアの結晶相
の同定を通常の粉末法X線回折法によつて行い、
ジルコニアの結晶についてはGarvie等の方法
(R.C.Garvie and P.S.Nicholson;“Phase
Analysis in Zirconia Sysytem”J.Am.Ceram.
Soc.,55〔6〕303〜305(1972))により、単斜
晶、正方晶の定量も行い、また正方晶(111)の
ピークの半値幅からシエラー(Scherrer)の式を
用いて結晶子径を求めた(この方法については例
えば、L.V.Aza′roff著、平林・岩崎共訳「X線結
晶学の基礎」p562〜571丸善(1973)に示されて
いる)。 尚、複合粉体を常法により凍結乾燥後、アイソ
スタチツクプレス法(ラバープレス)により、
2ton/cm2(196MPa)の圧力で成形し、上述の方
法で焼結した焼結体の物性は、密度(かさ密度)
をアルキメデス法或いは寸法と重量から算出し、
焼結体の焼結密度として次に示す理論密度に対す
る相対密度として百分率(%)で表した。 理論密度は、アルミナの真比重を3.987(α晶を
仮定)、ジルコニアの真比重を6.097(正方晶を仮
定)として、分析により求めたアルミナ及びジル
コニア成分量から次式により求めた。 理論密度=
100/アルミナ重量%/3.987+ジルコニア重量%/6.09
7 焼結密度=アルキメデス法密度/理論密度×100 その曲げ強度をJIS1601(フアインセラミツクス
の曲げ強さ試験方法)に準拠した試験片約3.7×
3×20mmを用いる3点曲げスパン16mmによつて測
定した。 第1表の実験例の結果から、複合粉体中のアル
ミナは、δ晶とθ晶の混合物であり、200ミリ秒
未満のガス平均滞留時間ではθ晶の回折パターン
(ピークの高さ及び巾)が極めて弱くしか出ない
が、200ミリ秒以上の条件では明らかにθ晶のパ
ターンが認められ、ガス平均滞留時間が1000ミリ
秒になるとδ晶の回折パターンが弱くなり、δ晶
からθ晶への変化が起こつていることが明らかと
なる。他方ジルコニアの回折パターン及び計算で
求められる結晶成分比は、ガス平均滞留時間の増
大につれ、正方晶が単斜晶に移行する量が増大す
る傾向が明らかである。またジルコニアの結晶子
径もガス平均滞留時間により大きくなる傾向はあ
るが、本実験例のガス平均滞留時間の範囲では、
いずれもマトリツクスアルミナに拘束された臨界
粒子径よりも小さい。 これらの粉体を常法による成形並びに常圧での
焼結をすれば、緻密な焼結体が得られるが、第1
表の焼結体の焼結密度と曲げ強度の結果から、実
験例による焼結体は、比較例1、2の従来方法に
よる焼結体に比較して優れたものが得られ、特に
200〜800ミリ秒のガス平均滞留時間とすることが
望ましいことが判つた。 反応部のガス平均滞留時間があまり短すぎると
結晶型が十分に望ましいものに変化せず、又焼結
性に悪影響を及ぼす塩素イオンの除去も不十分と
なりやすい(塩素イオンの除去の重要性について
は例えばC.E.Scott and J.S.Reed,Am.Ceram.
Soc.Bulletin58〔6〕587〜590(1979))。又ガス
平均滞留時間があまり長すぎると粉体の凝結が生
じやすいので反応部のガス平均滞留時間(ガスの
標準状態で)を65〜800ミリ秒好ましくは200〜
800ミリ秒とするのが良い。
【表】
〔実施例〕
第1図に示すような装置でアルミナ・ジルコニ
ア複合粉体を次のような条件で製造した。 装置主要部寸法 火炎混合部:内径50mm、 絞り部入り口までの長さ80mm 絞り部 :口径25mm、長さ50mm 反応部 :内径30mm、長さ150mm、 製造条件 混合部吹込水素 0.8NM3/Hr 混合部吹込酸素 0.7NM3/Hr 混合部吹込AlCl3 210g/Hr 混合部吹込ZrCl4 38g/Hr 混合部吹込キヤリアガス窒素 0.5NM3/Hr 混合部吹込ノズル保護窒素 0.2NM3/Hr 反応部吹込水素 0.3NM3/Hr 混合部温度 1870℃(計算値) 反応部出口温度 1530℃(実測値) 反応部滞留時間 200m.s (標準状態換算値) この条件で2時間運転し、粉体180gを捕集し
た(収率約90%)。粉体の大部分は捕集室で乾燥
した状態で捕集され、ごく一部の捕集室から逸出
した排気ガスに同伴された粉体は水に懸濁した状
態で捕集された。このうち乾燥した粉体100gと
水1をビーカーにとり、さらに非イオン系分散
剤(コカノールNCS鐡野油化株式会社製)1gを
加えたのち、ビーカーに超音波振動(国際電気株
式会社製、振動数26KHz、出力300W)を1時間
与えて粉体を均一に水中に懸濁させた。この懸濁
液を東洋濾紙株式会社製の定量濾紙5Aを用い、
アスピレータを用いて吸引濾過することにより、
異物や粗大粒子を除去した。実際には濾紙の上に
残るものは極めてわずかで、粉体は大部分濾液中
に懸濁していた。この濾過の終わつた懸濁液をな
し型フラスコ(約10本)に移し、ドライアイス−
メタノール浴で凍結させたのち、真空凍結乾燥器
(米国ラボコンコ(Labconco)社製FD−12型)
になし型フラスコを取り付け、圧力1mmHg以下
で約12時間処理した。凍結乾燥したままの粉体は
一部凍結時に生じた針状、板状の形状を残した粒
子(形骸粒子)が残存し、凍結乾燥前にボールミ
ルなどにより若干の造粒効果のある処理をした場
合はそれほどこの形骸粒子は生成しないが、上記
のような処理方法の場合には、かなり著しい生成
が認められ、これは成形時に粉体のすべりを阻害
し、成形密度を低下させることがわかつたので、
凍結乾燥させた粉は自動乳鉢を用いて2時間解砕
し、針状、板状粒子を崩す処理を行つた。 このような処理を行つた粉体を分析したところ
Al2O383.7wt% ZrO216.3wt%であつた。また透
過型電子顕微鏡の観察では平均粒子径は760Å
(76nm)であつた。またX線回折結果は第2図に
示すごとく、アルミナはδ晶とθ晶の混合したも
のであり。ジルコニアは正方晶と単斜晶の混合し
たものであつた。ジルコニアの正方晶(111)と
単斜晶(111)のピーク(単斜晶(111)はアル
ミナδとかさなるので単斜晶(111)から強度を
推定)からジルコニア正方晶の体積百分率は87%
と求められ、また正方晶(111)のピークの幅か
らジルコニアの結晶子径を求めたところ190Åを
得た。 この粉体をアイソスタチツクプレス法(ラバー
プレ)により2ton/cm2の圧力で成形し、120℃で
2日間乾燥後、空気雰囲気下常圧で最高温度1430
℃で2時間焼結したところ、密度は理論密度の
97.8±0.6%(平均97.8、標準偏差0.6)、3点曲げ
強度は63±5Kg/mm2となつた。同様にして最高温
度1550℃で1時間焼結したところ、密度は理論密
度99.5±0.3%となり、3点曲強度は78±7Kg/
mm2となつた。 このように粉体の製造条件を高温にすることに
よつて、従来行われていた複合粉体の仮焼処理を
行わなくても焼結性が良好であり、焼結体の特性
が良好であるような粉体が得られることが示され
た。 比較例 1 実施例と同様な装置を用いて反応部への水素吹
込みを行わない以外は同様の条件で粉体を製造し
た。反応部出口温度は実測で1180℃であつた。 この粉体を実施例と同様の方法で処理し、成形
し、最高温度1550℃で1時間焼結したところ、焼
結体の密度は理論値の95.4±0.4%にしか上がら
ず、曲げ強度も38±4Kg/mm2しかなかつた。それ
よりも低い1430℃で2時間の焼結では、焼結体の
密度は理論値の83.5%、曲げ強度も21Kg/mm2と更
に小さい値しか得られなかつた。 この粉体を分析したところAl2O384.3wt%
ZrO215.7wt%であり、透過型電子顕微鏡観察で
は、平均粒子径480Åであつた。またX線回折結
果は第2図に示すごとく、アルミナはθ晶が殆ど
認められず、ジルコニアも単斜晶が認められずア
ルミナはδ晶、ジルコニアは正方晶からなる粉体
であり、かつジルコニアの結晶子径を正方晶
(111)ピークの幅から計算すると80Åであつた。 比較例 2 実施例と同様な装置を用いて反応部への水素吹
込みを行わない以外は同様の条件で粉体を製造し
た。反応部出口温度は1250℃であつた。実施例と
同様な真空凍結乾燥により乾燥した粉体を電気炉
中空気雰囲気で1100℃2時間仮焼した。仮焼した
粉体の結晶相及びジルコニアの結晶子径は第1表
に示したようにアルミナマトリツクスはδ晶とθ
晶の混合物であり、ジルコニアは正方晶が55Vol
%残余が単斜晶からなり、正方晶の結晶子径は
240Åと仮焼しない粉体より結晶相の粒成長が進
んでいることが認められた。 仮焼した粉体を実施例と同様のスラリー液と
し、アルフレツド・フリツチエ社(西独)製実験
室用遠心ボールミル(Pulverisette6型)でアル
ミナ材質ボールを使用して回転スピードダイヤル
3.5で1時間、仮焼により凝集した粒子を解砕し
た。ボールミル処理したスラリー液を目開き
37μmのフルイに通して異物や粗大粒子を除いた
後、実施例と同様な方法で凍結乾燥にかけ乾燥
し、更に乳鉢で解砕した粉体を実施例と同様の方
法で成形し、最高温度1550℃で1時間焼結したと
ころ、焼結体の密度は理論値の98.0%、曲げ強度
は68Kg/mm2であり比較的良い焼結性を示したが、
それよりも低い焼結温度の1430℃で2時間焼結し
た焼結体の焼結密度は理論値の90%にしかなら
ず、曲げ強度も33Kg/mm2しかなかつた。 〔発明の効果〕 ジルコニア粒子がマトリツクスアルミナ微粒子
中に細かく分散してなるアルミナ・ジルコニア複
合粉体の気相法による製造方法において、仮焼に
よつて得られる良好な焼結性を有する粉体を、気
相酸化反応を十分に高温且つ適切な時間実施する
ことにより、単に酸化反応を完了させるだけでな
く、アルミナとジルコニアの結晶化、粒成長を進
めさせ、仮焼工程を経由せず気相酸化のみで焼結
性の良い複合粉体を得ることが可能ではないかと
いうのが、本発明の端緒であつたが、従来法によ
り製造され仮焼工程を経た複合粉体よりも優れた
焼結性のものとなるという予期した以上の効果が
得られた。例えば比較例1及び比較例2に示され
た従来方法による複合粉体は仮焼処理を行わなけ
れば、常圧、1550℃、1時間の焼結で理論密度の
94〜96%、曲げ強度が40Kg/mm2程度と機械的強度
も弱いものしか得られず、適当な温度で仮焼した
もので、常圧、1550℃、1時間の焼結でそれぞれ
97%以上、50〜70Kg/mm2程度のものが得られるよ
うになつたが、本発明に方法によれば常圧、1430
℃の低温で2時間の焼結でそれぞれ97%以上、50
〜70Kg/mm2程度と仮焼粉体の高温焼結(1550℃、
1時間)に匹敵する焼結性を示し、本発明の方法
が著しい焼結性の向上改善に寄与するものであ
る。 本発明は粉体の製造条件をより高温にすること
によつて、従来行われていた仮焼工程のような複
雑な工程を省略して、より低温の焼結が可能で機
械的性質も同時に著しく改善されたアルミナ・ジ
ルコニア複合粉体の改善された製造方法を提供す
るものであり、このことは熱エネルギーの節約に
なるばかりでなく、従来よりも緻密で機械的強度
の大きな焼結体を提供する点で産業上極めて有用
である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明を実施するのに使用するバー
ナー燃焼室を有する燃焼反応装置の主要部分の概
略図である。第2図は、本発明の実施例で得られ
た粉体と比較例1で得られた粉体のX線回折パタ
ーンを示すチヤート図である。 第1図において、1……火炎混合部吹込酸素入
口、2……火炎混合部吹込可燃性ガス入口、3…
…原料混合ガス吹込用ノズル、4……反応部吹込
可燃性ガス入口、5……ノズル保護用窒素入口、
6……火炎混合部、7……絞り部、8……反応
部、9……冷却部、10……断熱用耐火物、11
……燃焼反応装置外壁(金属製)、12……保温
用スチームコイル。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 ガス状の塩化アルミニウム、ガス状の塩化ジ
    ルコニウム及びキヤリアーガスから成る原料混合
    ガスを中央部に絞り部を設けた燃焼反応装置の高
    温火炎中で酸化熱分解して酸化アルミニウム(ア
    ルミナ)の微粒子中に酸化ジルコニウム(ジルコ
    ニア)が分散して成る複合粉体を製造する方法に
    おいて、前記絞り部より上部を前記原料混合ガス
    が酸化雰囲気の火炎と混合する火炎混合部とし、
    前記絞り部より下部を反応部とし、該反応部に可
    燃性ガスを導入して前記火炎混合部からの燃焼混
    合ガス中に残留する酸素との間で燃焼反応を起こ
    させることにより、前記反応部のガス出口の温度
    を高温に保持することを特徴とする易焼結性アル
    ミナ・ジルコニア複合粉体の製造方法。 2 火炎混合部におけるガス温度を1800℃以上と
    する特許請求の範囲第1項に記載の方法。 3 反応部のガス出口の温度を1350℃以上とする
    特許請求の範囲第1項に記載の方法。 4 火炎混合部におけるガス温度を1800〜2000℃
    とし、反応部のガス出口の温度を1350〜1800℃と
    する特許請求の範囲第1項に記載の方法。 5 反応部における標準状態換算ガス平均滞留時
    間を65〜800ミリ秒(m・s)とする特許請求の
    範囲第4項に記載の方法。 6 反応部における標準状態換算ガス平均滞留時
    間を200〜800ミリ秒(m・s)とする特許請求の
    範囲第5項に記載の方法。 7 反応部における標準状態換算ガス平均滞留時
    間を原料ガス状塩化物、キヤリヤーガス、可燃性
    ガス及び火炎形成燃焼用ガスに基づく混合燃焼ガ
    ス量あるいは反応部容積によつて調節する特許請
    求の範囲第5項又は第6項に記載の方法。 8 火炎混合部と反応部を繋ぐ絞り部のガス流路
    横断面積を火炎混合部のガス流路横断面積に対し
    て、0.09〜0.64の範囲とする特許請求の範囲第1
    項〜第7項のいずれかに記載の方法。 9 塩化アルミニウムと塩化ジルコニウムをそれ
    ぞれ、無機物固体粒子を充填して流動床とした2
    つの蒸発器各々の上部に供給し、下部より不活性
    のキヤリヤーガスを吹上げてガス状の塩化アルミ
    ニウム又は塩化ジルコニウムを含む2種の混合ガ
    スを形成せしめ、この2種の混合ガスを更に混合
    してガス状の塩化アルミニウム、ガス状の塩化ジ
    ルコニウム及びキヤリヤーガスから成る原料混合
    ガスとする特許請求の範囲第1項に記載の方法。 10 反応部に供給するガス状の塩化アルミニウ
    ムとガス状の塩化ジルコニウムとの配合比を、そ
    れぞれの塩化物の蒸発器の運転温度に基づく蒸発
    量の制御とキヤリアーガスの流量の調整により調
    節する特許請求の範囲第9項に記載の方法。 11 火炎混合部における酸化雰囲気の火炎が酸
    素ガスと水素ガスにより形成される酸水素炎であ
    る特許請求の範囲第1項に記載の方法。 12 反応部に導入される可燃性ガスが水素であ
    る特許請求の範囲第1項に記載の方法。
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