JPH05125669A - 耐熱アクリル繊維の処理剤及び処理方法 - Google Patents

耐熱アクリル繊維の処理剤及び処理方法

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JPH05125669A
JPH05125669A JP28894491A JP28894491A JPH05125669A JP H05125669 A JPH05125669 A JP H05125669A JP 28894491 A JP28894491 A JP 28894491A JP 28894491 A JP28894491 A JP 28894491A JP H05125669 A JPH05125669 A JP H05125669A
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JP
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heat
acrylic fiber
resistant acrylic
treatment
agent
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Application number
JP28894491A
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English (en)
Inventor
Etsuo Ito
悦夫 伊藤
Kazuhiko Ishihara
一彦 石原
Teru Mizuno
輝 水野
Zenji Ueda
善治 上田
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Teijin Ltd
DKS Co Ltd
Original Assignee
Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd
Toho Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明の耐熱アクリル繊維の処理剤は、ヒン
ダードアミン型耐候剤を必須成分とする。更に、融点1
00℃以上の紫外線吸収剤及び融点100℃以上の酸化
防止剤を必須成分としてもよい。本発明の耐熱アクリル
繊維の処理方法は、耐熱アクリル繊維を熱加工又は熱処
理するに際し、105〜150℃の温度で、処理剤を、
耐熱アクリル繊維に対して0.05〜15.0%owf
付与することを特徴とする。 【効果】 本発明の処理剤及び処理方法によれば、耐熱
アクリル繊維の耐熱性及び耐候性を向上させるために耐
熱アクリル繊維を熱処理又は熱加工するに際し、高温熱
処理時において、耐熱アクリル繊維の被る熱着色を防止
し、更にその後の製品の耐熱堅牢度及び耐候堅牢度を向
上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱アクリル繊維の処
理剤及び処理方法に関する。更に詳しくは、耐熱アクリ
ル繊維の耐熱性及び耐候性を向上させるために耐熱アク
リル繊維を熱処理又は熱加工するに際し、高温熱処理
時、例えば高温染色加工工程において、耐熱アクリル繊
維の被る熱着色を防止し、更にその後の耐熱堅牢度を向
上せしめるとともに耐候堅牢度を向上させる、耐熱アク
リル繊維の処理剤及び処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】一般に、
アクリル繊維あるいはアクリル系合成繊維は、繊維の持
つ独自の風合及び染色時の発色性の良さ、更には染色堅
牢度の良さ等により大きな市場性を有する合成繊維であ
る。しかしながら、従来のアクリル繊維あるいはアクリ
ル系合成繊維にあっては、他の合成繊維、特にポリエス
テル合成繊維に比べて熱による性状変化が大きく、製品
となるまでの加工工程中における温度管理がきわめて重
要であった。
【0003】一方、耐熱アクリル繊維は、従来のアクリ
ル繊維あるいはアクリル系合成繊維の熱に対する挙動を
改良したアクリル繊維であって、繊維成分中のアクリロ
ニトリルの割合が93%以上である。この耐熱アクリル
繊維は、従来のアクリル繊維あるいはアクリル系合成繊
維で一般的に採用されている熱処理または熱加工条件に
おける限界温度以上の温度で処理または加工しても、そ
の性状を損なわないのが特長である。つまり、従来のア
クリル繊維あるいはアクリル系合成繊維の染色限界温度
とされている105℃以上の温度で染色加工等を行なっ
ても、風合の硬化や熱収縮等の性状変化を起こさない。
例えば、140℃で30分間染色加工した場合には、従
来のアクリル繊維の熱水収縮率が60%を超えるのに対
して、耐熱アクリル繊維だと10%以下に保持される。
【0004】耐熱アクリル繊維は、このような点で、従
来のアクリル繊維あるいはアクリル系合成繊維に比べて
種々の加工上の有利性及び特長を出し得る繊維である。
【0005】しかしながら、高温度での処理または加工
時において上述のような特長を有する耐熱アクリル繊維
であるが、熱変色を防止することはアクリル繊維の本質
的な改良課題とされており、この点、耐熱アクリル繊維
は従来のアクリル繊維よりも改良されてはいるが、未だ
充分ではない。更に、製品となった後の熱変色の防止
(耐熱変色)を含む耐熱堅牢度を特に要求される分野、
例えばホットカーペット等の家庭電気繊維商品類あるい
はカーシート等の車輌用繊維商品類においては、耐熱変
色を含む耐熱堅牢度を向上させる処理剤及び処理方法が
強く要求されていた。
【0006】すなわち、耐熱アクリル繊維の特長をもっ
て上述の耐熱変色を含む耐熱性及び耐候性を強く要求さ
れる商品分野に参入しようとする場合、例えば製品の耐
候堅牢度を向上せしめるためには、耐熱アクリル繊維を
従来のアクリル繊維又はアクリル系合成繊維の染色限界
温度よりも高温度で染色処理する必要がある。これに対
し、従来は、高温度における染色加工中の熱変色の影響
を避けるために、染色浴のpH管理あるいは熱変色に対
して影響の少ない染料・色調の選択等が行なわれている
に過ぎなかった。しかしながら、これらの方法では応用
範囲が限られており、実用性に乏しく、更に、製品の耐
熱変色を含む耐熱堅牢度あるいは耐候堅牢度を向上させ
る方法については、未だ適切な方法が見出されていな
い。
【0007】本発明の課題は、従来の問題を解決し得
て、耐熱アクリル繊維の耐熱性及び耐候性を向上させる
ために耐熱アクリル繊維を熱処理又は熱加工するに際
し、高温熱処理時、例えば高温染色加工工程において、
耐熱アクリル繊維の被る熱着色を防止し、更にその後の
製品の耐熱堅牢度及び耐候堅牢度を向上させる処理剤及
び処理方法を提供する処にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の耐熱アクリル繊
維の処理剤は、ヒンダードアミン型耐候剤を必須成分と
する。
【0009】本発明の他の処理剤は、ヒンダードアミン
型耐候剤及び融点100℃以上の紫外線吸収剤を必須成
分とする。
【0010】また、本発明の他の処理剤は、ヒンダード
アミン型耐候剤及び融点100℃以上の酸化防止剤を必
須成分とする。
【0011】また、本発明の他の処理剤は、ヒンダード
アミン型耐候剤、融点100℃以上の紫外線吸収剤、及
び融点100℃以上の酸化防止剤を必須成分とする。
【0012】また、本発明の他の処理剤は、融点100
℃以上の紫外線吸収剤及び融点100℃以上の酸化防止
剤を必須成分とする。
【0013】本発明の耐熱アクリル繊維の処理方法は、
耐熱アクリル繊維を熱加工又は熱処理するに際し、10
5〜150℃の温度で、上記した処理剤のいずれかを、
耐熱アクリル繊維に対して0.05〜15.0%owf
付与することを特徴とする。また、本発明の処理方法
は、耐熱アクリル繊維を含有する混紡綿、不織布、混紡
糸、交撚糸、これらの混紡糸及び交撚糸による編み地及
び織地、並びにこれらの製品に適用することができる。
これらにおいては、耐熱アクリル繊維の割合が10〜9
9重量%であるのが好ましく、他は天然繊維、化学繊
維、または他の合成繊維である。
【0014】本発明でいう耐熱アクリル繊維とは、従来
のアクリル繊維あるいはアクリル系合成繊維中のアクリ
ロニトリルの割合が87%程度であるのに対し、繊維成
分中のアクリロニトリルの割合が93%以上である耐熱
性に優れた繊維のことである。すなわち、従来のアクリ
ル繊維あるいはアクリル系合成繊維に一般的に採用され
ている熱処理または熱加工条件における限界温度以上の
温度で処理または加工しても、その性状を損なわないア
クリル系の繊維であり、例えば、従来のアクリル繊維あ
るいはアクリル系合成繊維の染色限界温度とされている
105℃以上の温度で染色加工しても、風合の硬化や熱
収縮等の性状変化を起こさない繊維のことである。
【0015】本発明に用いるヒンダードアミン型耐候剤
は、耐熱アクリル繊維に含有される官能基等と物理化学
的に結合して繊維内部に保持される。
【0016】また、本発明の処理方法においては、従来
のアクリル繊維の染色限界温度以上の温度条件で処理す
る必要があるため、本発明に用いる紫外線吸収剤及び酸
化防止剤は、その融点が100℃以上のものである。こ
のような紫外線吸収剤や酸化防止剤としては、融点が1
00℃以上のベンゾトリアゾール型、ベンゾフェノン
型、サリチレート型、シアノアクリレート型、オキザリ
ックアシッドアミド型、及びNi型の紫外線吸収剤、並
びに、融点が100℃以上のフェノール型及びリン型の
酸化防止剤が例示される。これらの紫外線吸収剤及び酸
化防止剤の融点は、耐熱アクリル繊維の内部に紫外線吸
収剤及び酸化防止剤を拡散浸透せしめた後に、その繊維
の乾摩擦堅牢度及び湿摩擦堅牢度に大きく影響を及ぼす
(すなわち、摩擦堅牢度の低下要因となる)因子である
ため、できる限り高い方が良い。
【0017】紫外線吸収剤及び酸化防止剤の融点が10
0℃より低い場合には、従来のアクリル繊維に、その染
色限界温度以下の温度条件で処理することが可能である
が、その処理繊維が高温下放置される場合あるいは摩擦
を受けた場合に、繊維内部にある紫外線吸収剤及び酸化
防止剤が繊維表面に湧出してくるために、繊維製品とし
ての商品価値を大きく低下させる原因となり、実用的で
はない。これらの現象と、従来のアクリル繊維をその染
色限界温度以上の温度で加工すると、アクリル繊維の性
状変化が誘因されるという現象が、今までアクリル繊維
の展開分野を狭め、実用性を阻害していた。
【0018】すなわち、本発明は、アクリル繊維自体の
高温度下での温度特性が改良されたことで、今まで実用
化されなかったヒンダードアミン型耐候剤あるいは融点
100℃以上の紫外線吸収剤及び酸化防止剤をアクリル
繊維に処理することができるようになったことによると
ころが大きい。
【0019】本発明に使用されるヒンダードアミン型耐
候剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−
4−ピペリジニル)セバケート、ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−
n−ブチルマロネート、4−ヒドロキシ−2,2,6,
6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールコハク酸
エステル、[4−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−
ブチルフェニル)プロピオニル]−N−(4−ヒドロキ
シ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)メチル−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス−[N−メ
チル−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニル]
セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチ
ル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラ
カルボキシレート、ポリ{[6−(1,1,3,3−テ
トラメチルブチルイミノ)−1,3,5−トリアジン−
2,4−ジイル][4−(2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジニル)−イミノ]−[4−(2,2,6,6
−テトラメチルピペリジニル)−イミノ]}、ポリ
{[6−モルフォリノ−2,4−ジイル][4−(2,
2,6,6−テトラメチルピペリジル)−イミノヘキサ
メチレン][4−(2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジル)−イミノ]}、フェニル−4−ピペリジニルカ
ーボネート、1,1′−(1,2−エタンジイル)ビス
(3,3,5,5−テトラメチルピベラジンオン)、
2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリ
デシル−1,2,3,4−ブタンカルボキシレート、
1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/
トリデシル−1,2,3,4−ブタンカルボキシレー
ト、等が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。
【0020】また、融点100℃以上の紫外線吸収剤と
しては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン(MP=
143℃)、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾ
フェノン(MP=117℃)、2−ヒドロキシ−4−メ
トキシ−5−スルホキシベンゾフェノン(MP=145
℃)、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ
ベンゾフェノン(MP=130℃)、2−(2′−ヒド
ロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
(MP=130℃)、2−(2′−ヒドロキシ−5′−
t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(MP=1
03℃)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル
−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ
ール(MP=139℃)、2−(2′−ヒドロキシ−
3′,5′−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリア
ゾール(MP=139℃)、ビス(5−ベンゾイル−4
−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン(MP=
195℃)、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ
−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(MP=1
52℃)、エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニル
アクリレート(MP=100℃)、2−エトキシ−2′
−エチルオキザリックアシッドビスアニリド(MP=1
25℃)、[2,2′−チオビス(4−t−オクチルフ
ェノレート)]−2−エチルヘキシルアミンニッケル塩
(MP=256℃)、2,4−ジ−t−ブチルフェニル
−3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベン
ゾエート(MP=195℃)等が挙げられるが、これら
に限定されるものではない。
【0021】また、融点100℃以上の酸化防止剤とし
ては、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチル
フェノール(MP=140℃)、2,4−ビス(n−オ
クチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3′,5′−ジ
−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン(M
P=100℃)、2−t−ブチル−6−(3′−t−ブ
チル−5′−メチル−2′−ヒドロキシベンジル)−4
−メチルフェニルアクリレート(MP=131℃)、
2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル
フェノール)(MP=132℃)、2,2′−ジヒドロ
キシ−3,3′−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−
5,5′−ジメチルジフェニルメタン(MP=131
℃)、2,2′−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−
t−ブチルフェノール)(MP=129℃)、1,3,
5−トリス[3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌ
レート(MP=129℃)、テトラキス[メチレン−3
−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]メタン(MP=118℃)、
2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブ
チルフェノール)(MP=130℃)、3,4,5,6
−ジベンゾ−1,2−オキサホスファン−2−オキシド
(MP=115℃)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジルフォスフォン酸ジエチルエステル(M
P=120℃)、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(MP=22
0℃)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン(MP=240℃)等が挙げられるが、これら
に限定されるものではない。
【0022】本発明の耐熱アクリル繊維の処理剤は、上
記したヒンダードアミン型耐候剤単独を必須成分として
もよいし、ヒンダードアミン型耐候剤、並びに融点10
0℃以上の紫外線吸収剤及び/又は融点100℃以上の
酸化防止剤を必須成分としてもよい(I)。また、本発
明の耐熱アクリル繊維の処理剤は、融点100℃以上の
紫外線吸収剤及び融点100℃以上の酸化防止剤を必須
成分としてもよい(II)。好ましい配合割合は、前者
の(I)の場合には、ヒンダードアミン型耐候剤:その
他が10:0〜1:9であり、後者の(II)の場合に
は、紫外線吸収剤:酸化防止剤が9:1〜1:9であ
る。
【0023】本発明の処理剤の耐熱アクリル繊維への処
理量は、多すぎると耐熱アクリル繊維の強度低下等の要
因になり、また少なすぎても効果が期待できず、耐熱ア
クリル繊維に対して0.05〜15.0%owfであ
り、0.1〜10%owfが好ましい。
【0024】また、本発明の処理剤の耐熱アクリル繊維
への処理温度は、例えば、ヒンダードアミン型耐候剤の
アクリル繊維中の官能基等への浸透反応吸着性を上げる
ため、また、融点100℃以上の紫外線吸収剤及び酸化
防止剤の耐熱アクリル繊維内部への拡散浸透吸着性を上
げ、処理効果を高めるために105℃以上の高温処理が
好ましい。しかしながら、余り高すぎる温度で加工処理
をすると、アクリル繊維の本質的な改良課題である熱変
色が引き起こされることから、通常は105〜150
℃、好ましくは105〜140℃で処理する必要があ
る。
【0025】また、一般に、酸化防止剤を使用する場合
には、フェノール型、リン型の一次酸化防止剤と硫黄系
二次酸化防止剤とを併用して酸化防止効果を向上させる
方法が採用されるが、本発明においてもこのような方法
を採用しても良い。
【0026】また、本発明の処理剤は、通常は水分散液
の形態で使用するのが好ましいが、溶剤に溶解して使用
しても構わない。水分散液の形態で使用する場合には、
必要に応じて界面活性剤、分散剤等を使用しても良い。
また、溶剤溶解系で使用する場合には、処理される繊維
の物性に影響を与えない溶剤及び加工方法を選定する必
要がある。
【0027】耐熱アクリル繊維に本発明の処理剤を付与
する方法としては、公知の方法が採用でき、例えば、サ
ーモゾル法、浸染同浴法等を使用できる。しかし、いず
れにしろ、加工温度を、従来のアクリル繊維では性状変
化をきたしてしまう105〜150℃、好ましくは10
5〜140℃にする必要がある。
【0028】また、耐熱アクリル繊維以外の天然繊維、
化学繊維、又は他の合成繊維の耐候性を向上させるため
に、耐熱アクリル繊維の加工・処理をする前後のどちら
でも良いが、これらの耐熱アクリル繊維以外の繊維用に
他の耐候処理を施しても構わない。
【0029】
【作 用】従来より、アクリル繊維の熱による変色機構
については、様々な研究がなされている。代表的な機構
としては、アクリロニトリル基の脱青酸により二重結合
構造からピリジン環に移行し、更にナフチリジン環に移
行する機構が考えられている。一般に、この構造転移は
高温度処理するほど顕著になる。この防止方法として、
アクリル繊維の熱処理時に酸化防止剤等を添加して縮合
環状構造への転移を阻止する方法が考えられる。
【0030】しかし、酸化防止剤等の機能を発現させる
ためには、アクリル繊維内部に充分に拡散浸透吸着せし
める必要があり、従来のアクリル繊維の場合には、その
繊維内部に酸化防止剤等を拡散浸透せしめるような高温
で処理すると、アクリル繊維の性状が変化し、実用に適
さない。また、従来のアクリル繊維の性状変化が引き起
こされないような温度で酸化防止剤等を処理すると、酸
化防止剤等がアクリル繊維表面にのみ付着して内部にま
で拡散浸透しないために、耐久性が低く、その機能が発
現されない。
【0031】本発明においては、従来のアクリル繊維よ
りも高温で処理することのできる耐熱アクリル繊維に対
し、親和性及び繊維内部への拡散浸透吸着性の良好な耐
熱・耐候向上剤を用いているので、上記のような問題が
解決されているのである。
【0032】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明する。
【0033】実施例1 耐熱アクリル繊維(東邦レーヨン(株)製、スペリア
(登録商標))ブライト2デニール原綿100%から梳
毛式紡績により1/36sスパン糸を紡績し、更にこれ
を用いて靴下編み機で天竺編地を作り、これを本実施例
で使用する耐熱アクリル繊維のサンプルとした。
【0034】同様に、従来のアクリル繊維(東邦レーヨ
ン(株)製、ベスロン(登録商標))から梳毛紡績機に
より1/36sスパン糸を紡績し、これを用いて靴下編
み機で天竺編地を作り、これを比較用サンプルとした。
【0035】次に、ヒンダードアミン型耐候剤として (a) ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4
−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート を用い、融点100℃以上の紫外線吸収剤として (b) ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−
メトキシフェニル)メタン を用い、融点100℃以上の酸化防止剤として (c) 1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン を用いて、(a)成分単独の微粒化分散液、並びに
(a)、(b)、(c)3成分混合の微粒化分散液を調
製し(界面活性剤としてジスチレン化フェノールアルキ
レンオキシド付加物を使用し、湿式微粒化分散機で微粒
化した)、処理液とした。
【0036】このようにして準備した編地サンプル及び
処理液を用いて、次の条件で処理した。
【0037】[処理条件]処理液中の処理剤の濃度は、
編地サンプルの重量に対して処理剤純分で0.6%ow
fとした。この処理液中に編地サンプルを浸漬し、攪拌
しながら徐々に昇温した。設定した処理温度(100℃
及び125℃)に達した後、更に30分間浸漬・攪拌
し、処理を実施した。
【0038】このようにして処理したサンプルを室温で
乾燥した後、更に高温乾燥機を用いて機内温度120℃
で120時間乾熱処理を行なった。
【0039】このようにして得られたアクリル繊維の処
理サンプルの熱変色(黄変度)を、色差計を用いてY値
(アメリカ連邦規格)で表わした。また、熱収縮率を処
理の前後の布地面積から求めた。結果を表1及び表2に
示した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】表から明らかなように、本発明の処理剤を
使用することにより、処理温度125℃における黄変防
止効果は、従来のアクリル繊維及び耐熱アクリル繊維と
もに無処理サンプルより顕著である。
【0043】なお、100℃で浸漬処理した場合の乾熱
処理後の黄変度は、125℃浸漬処理の場合よりも大き
く、従って、従来のアクリル繊維の処理温度での浸漬処
理では、乾熱処理時の黄変防止効果はあまり望めなかっ
た。また、125℃浸漬処理の場合は、従来のアクリル
繊維及び耐熱アクリル繊維ともに、黄変防止効果はある
ものの、従来のアクリル繊維の場合は、繊維製品の熱収
縮率が大きく、実用に適さない。
【0044】実施例2 実施例1で使用した耐熱アクリル繊維「スペリア」(登
録商標)の編地サンプルを、下記のカチオン染料並びに
実施例1で用いた(a)、(b)及び(c)成分の処理
剤を用いて、下記の染色条件で染色・処理した後に風乾
した。このサンプルを、恒温乾燥機を用いて、主にホッ
トカーペット類の耐熱堅牢度基準となっている110℃
で120時間乾熱処理した。乾熱処理後の染色サンプル
の変退色をグレースケールを用いて測定した。なお、比
較用サンプルとして下記の染料のみの処方による染色サ
ンプルを作り、乾熱処理後の変退色を同様にして測定し
た。結果を表3に示す。
【0045】 [染色条件] 染料 (1) Diacryl Gold Yellow GL−N(200%) 2%owf (2) Cathilon Red GTLH(200%) 2%owf (3) Basacryl Red X−GRL(300%) 2%owf (4) Maxilon Blue TRL 2%owf 染色酸 酢酸 1g/リットル 染色温度 110℃ 染色時間 110℃で30分
【0046】
【表3】
【0047】表から明らかなように、特にブルー系染料
について顕著な効果が認められた。これは、染料分解に
よる退色と繊維自体の黄変による変色とが、両面から防
止されたためと考えられる。また、(a)、(b)及び
(c)混合型が、特に効果的であった。
【0048】実施例3 実施例1で使用した耐熱アクリル繊維「スペリア」(登
録商標)の編地サンプルを用いた。処理剤として、下記
(d)、(e)、(f)から微粒化分散液を調製した。
(調製法は実施例1に準拠した。)この処理剤と下記カ
チオン染料を用いて、下記の染色条件で、編地サンプル
を染色・処理した。
【0049】[処理剤] (d) 1,1′−(1,2−エタンジイル)ビス
(3,3,5,5−テトラメチルピペラジンオン)
(ヒンダードアミン型耐候剤) (e) 2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t
−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
(紫外線吸収剤) (f) トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)イソシアヌレート
(酸化防止剤) [染料] (5) Cathilon Blue BRLH (200%) 0.5%owf (6) Diacryl Blue GRL−N 0.5%owf (7) Astrazon Red BBI (200%) 0.5%owf (8) Kayacryl Red GL−ED 0.5%owf [染色条件] 処理剤量 1.0%owf 染料 上記記載量 pH調整剤 酢酸/酢酸Na=1/3 4g/リッ
トル(PH=5に調整) 染色浴比 1:50 染色温度 110℃で30分間攪拌保持
【0050】上記条件で処理した後、脱水し、60℃の
恒温乾燥機にて乾燥した。その後、各染色サンプルを、
キセノン耐候試験機(SC−3000、スガ試験機
(株)製)を用いて、下記条件下で耐候試験した。
【0051】[耐候試験条件] (明) 3.8時間、温度72±3℃、湿度50%、
140W/m(照射波長300〜400nm) (暗) 1.0時間、温度38±3℃、湿度90%以
上、照射せず 上記の(明)→(暗)を41サイクル実施。
【0052】上記の耐候試験条件下で得られた耐候性評
価結果(変退色)を表4に示す。
【0053】
【表4】
【0054】表から明らかなように、本発明によれば耐
候性においても顕著な効果が認められた。特に、従来著
しい変退色が認められたブルー系染料で卓越した効果が
確認された。
【0055】実施例4 耐熱アクリル繊維(東邦レーヨン(株)製、スペリア
(登録商標))100%平織布を、下記処理条件下でパ
ッドスチーム法により染色処理を行ない、その染色処理
サンプルを、110℃の恒温乾燥機で120時間乾熱処
理した。乾熱処理後の変退色をグレースケールで評価し
た。結果を表5に示す。
【0056】[処理剤] (g) テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−
4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカル
ボキシレート (ヒンダードアミン型耐候剤) (h) 2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3′,5′
−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンゾエート
(紫外線吸収剤) (c) 1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン(酸化防止剤) [染料] (9) Diacryl Yellow 2R−N (10) Cathilon Blue FLDP (11) Kayacryl Red GL (4) Maxilon Blue TRL [染色処理溶液] 染料 10g/リットル ノニオン界面活性剤 2g/リットル リンゴ酸 0.5g/リットル 処理剤 20g/リットル [染色処理方法]耐熱アクリル繊維平織布を染色処理溶
液に浸漬した後に、マングル絞り(絞り率45%)を行
なった。これをスチーマー処理(130℃で5分間)し
た後に、乾燥(170℃で2分間)した。
【0057】
【表5】
【0058】表5の結果より、パッドスチーム法による
染色加工後の熱変色(耐熱性)が比較できる。従来、パ
ッドスチーム法の場合、繊維内部への染料の浸透が充分
でない場合があり、堅牢度面で問題が生じることが多か
った。しかし、表5の結果から、本発明によれば堅牢度
が良好となることが判る。
【0059】実施例5 耐熱アクリル繊維(東邦レーヨン(株)製、スペリア
(登録商標))60%及びレギュラーポリエステル繊維
40%からなる紡績糸で平織布を準備した。この平織布
を、下記処理剤及び染料を用いて、下記の染色条件下で
染色・処理した。
【0060】[処理剤] (a) ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4
−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート
(ヒンダードアミン型耐候
剤) (b) ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−
メトキシフェニル)メタン
(紫外線吸収剤) (c) 1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン(酸化防止剤) [染料] (5) Cathilon Blue BRLH (200%) 0.5%owf (6) Diacryl Blue GRL−N 0.5%owf (8) Kayacryl Red GL−ED 0.5%owf (12) Dianix Red UN−SE 0.5%owf [染色条件] 処理剤量 1.0%owf 染料 上記記載量 pH調整剤 酢酸/酢酸Na=1/3 4g/リッ
トル(PH=5に調整) 染色浴比 1:50 染色温度 130℃で30分間攪拌保持
【0061】上記条件で処理した後、染色平織布を60
℃の恒温乾燥機中で2時間乾燥した。その後、各染色平
織布を、キセノン耐候試験機(SC−3000、スガ試
験機(株)製)を用いて、下記条件下で耐候試験した。
【0062】[耐候試験条件] (明) 3.8時間、温度72±3℃、湿度50%、
140W/m(照射波長300〜400nm) (暗) 1.0時間、温度38±3℃、湿度90%以
上、照射せず 上記の(明)→(暗)を41サイクル実施。
【0063】上記の耐候試験条件下で得られた耐候性評
価結果(変退色)を表6に示す。
【0064】
【表6】
【0065】表から明らかなように、本発明によれば、
耐熱アクリル繊維/レギュラーポリエステル平織布にお
いても、顕著な効果が認められた。
【0066】
【発明の効果】本発明の処理剤及び処理方法によれば、
耐熱アクリル繊維の耐熱性及び耐候性を向上させるため
に耐熱アクリル繊維を熱処理又は熱加工するに際し、高
温熱処理時において、耐熱アクリル繊維の被る熱着色を
防止し、更にその後の製品の耐熱堅牢度及び耐候堅牢度
を向上させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水野 輝 大阪市中央区伏見町4−4−9 東邦レー ヨン株式会社内 (72)発明者 上田 善治 大阪市中央区伏見町4−4−9 東邦レー ヨン株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒンダードアミン型耐候剤を必須成分と
    する耐熱アクリル繊維の処理剤。
  2. 【請求項2】 ヒンダードアミン型耐候剤及び融点10
    0℃以上の紫外線吸収剤を必須成分とする耐熱アクリル
    繊維の処理剤。
  3. 【請求項3】 ヒンダードアミン型耐候剤及び融点10
    0℃以上の酸化防止剤を必須成分とする耐熱アクリル繊
    維の処理剤。
  4. 【請求項4】 ヒンダードアミン型耐候剤、融点100
    ℃以上の紫外線吸収剤、及び融点100℃以上の酸化防
    止剤を必須成分とする耐熱アクリル繊維の処理剤。
  5. 【請求項5】 融点100℃以上の紫外線吸収剤及び融
    点100℃以上の酸化防止剤を必須成分とする耐熱アク
    リル繊維の処理剤。
  6. 【請求項6】 耐熱アクリル繊維を熱加工又は熱処理す
    るに際し、105〜150℃の温度で、請求項1〜5の
    いずれか1項に記載の処理剤を、耐熱アクリル繊維に対
    して0.05〜15.0%owf付与することを特徴と
    する耐熱アクリル繊維の処理方法。
  7. 【請求項7】 耐熱アクリル繊維を含有する混紡綿、不
    織布、混紡糸、交撚糸、これらの混紡糸及び交撚糸によ
    る編み地及び織地、並びにこれらの製品を熱加工又は熱
    処理するに際し、105〜150℃の温度で、請求項1
    〜5のいずれか1項に記載の処理剤を、耐熱アクリル繊
    維に対して0.05〜15.0%owf付与することを
    特徴とする、耐熱アクリル繊維から得られる製品の処理
    方法。
JP28894491A 1991-11-05 1991-11-05 耐熱アクリル繊維の処理剤及び処理方法 Pending JPH05125669A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5486298A (en) * 1994-02-25 1996-01-23 Dow Corning Toray Silicone Company, Ltd. Fiber treatment compositions
JP2006160830A (ja) * 2004-12-03 2006-06-22 Three M Innovative Properties Co 熱伝導性シート及びその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US5486298A (en) * 1994-02-25 1996-01-23 Dow Corning Toray Silicone Company, Ltd. Fiber treatment compositions
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