JPH05148137A - リポソーム - Google Patents

リポソーム

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JPH05148137A
JPH05148137A JP4138517A JP13851792A JPH05148137A JP H05148137 A JPH05148137 A JP H05148137A JP 4138517 A JP4138517 A JP 4138517A JP 13851792 A JP13851792 A JP 13851792A JP H05148137 A JPH05148137 A JP H05148137A
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トーマス・キツセル
Friedrich Richter
フリードリツヒ・リヒター
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ハリー・テイーメセン
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 本発明は、遊離塩基型または酸付加塩型の式
I: 【化1】 の化合物を活性物質として含むリポソーム調製物、およ
び、適当なリポソーム形成材料を用いて式Iの化合物を
充填することによる、係るリポソーム調製物の製造方
法、対応する医薬組成物に関するものである。 【効果】 全身性、局所及び肺真菌感染症の処置に有用
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アリルアミン含有リポ
ソーム、即ち、薬理学的に活性な物質としてアリルアミ
ン化合物を充填したリポソームに関するものである。
【0002】
【発明の構成】本発明は、1つの態様において、式I:
【化2】 で示される化合物を含むリポソームを提供するものであ
る。式Iの化合物は、例えば遊離型または酸付加塩型で
使用することができる。酸付加塩型は常法によって遊離
塩基型から製造することができ、その逆も可能である。
好適な酸付加塩型の例は、塩酸塩、乳酸塩及びアスコル
ビン酸塩である。
【0003】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】式I
の化合物は例えばBE−PS−853’976及びEP
−A−24’587から知られる。これはアリルアミン
抗真菌薬の部類に属する。これは当分野では一般名テル
ビナフィンとして知られており、商標ラミシルの下で市
販されている。テルビナフィンは局所及び経口投与の両
方で高度に活性であるが、インビトロの血清は、ある程
度その抗真菌活性に拮抗することができる。したがっ
て、血清との結合を克服し、そして/または薬動力学及
び組織分布のようなパラメータに好ましい影響を及ぼ
し、そして/または副作用及び毒性を低下させるため
に、式Iの化合物の生物学的利用可能性を改善させるド
ラッグデリバリーシステムの発見が望まれる。薬物の活
性及び治療有効性を維持または増加させつつ副作用及び
毒性を低下させることが追求される。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の基準に合致する有
望な試みが、活性物質として式Iの化合物を含有するリ
ポソームの形においてここに発見された。即ち、式Iの
親油性化合物のための薬学上許容し得る、例えば非経口
投与剤型が、リポソーム調製物によって得られた。これ
により界面活性物質(界面活性剤)は必要なく、よっ
て、界面活性剤の使用に通常伴うさらなる副作用の問題
が回避される。式Iの化合物を含有するリポソームの、
例えば計量用量吸入器(MDI)、水性または粉末エア
ロゾルによる肺への適用は、リポソームの組成により、
直ちにまたは持続的に式Iの化合物を放出して抗真菌活
性を生み出すことへとつながり得る。式Iの化合物を含
有するリポソームの局所適用は、投与部位への薬物の蓄
積を促進し、非リポソーム適用剤型と比較して式Iの化
合物の有効性を向上させることにつながり得る。肺への
適用において、式Iの化合物を含有するリポソームは、
カンジダ症及び種々の型のアスペルギルス症、例えばア
スペルギルス・フミガトゥス(Aspergillus
fumigatus)及び非フミガトゥスのアスペル
ギウス属緒菌による感染症のような肺の真菌性疾患に有
効である。本発明に係るリポソームの注射による適用
は、従来の注射用剤型で注射した場合の同量の同物質に
比較して、活性化合物の有効性が改善され得る。一方、
式Iの化合物を有するリポソームの剤型で投与した場
合、より少量の活性化合物によって式Iの化合物の同等
の有効性が達成され得る。このように、真菌症の処置の
ための式Iの化合物の必要量を実質的に減少させること
ができる。
【0005】リポソームは、水溶液を燐脂質の乾燥した
膜に添加する時に、例えば、必要ならばエネルギーの添
加と共に、またはある程度までは自然に形成される、脂
質の小胞である。最も広く使用される脂質はホスファチ
ジルコリンである。リポソームの脂質の組成、大きさ、
電荷及び膜の流動性を変えることは、その体内分布に大
きな影響を及ぼし得る。薬物の分子は水性の空間に充填
されるか、または二層の間に入るかのいずれかとするこ
とができる。この二十年間にリポソームは、薬理学、医
学、遺伝子工学並びに化粧品及び食品工業において、生
きている細胞及びその他の疎水性障壁中への運搬手段と
して、様々な薬物のみならず遺伝学的材料、酵素及びそ
の他の(マクロ)分子に適用されてきた。全身性真菌感
染症の処置において、この小胞は、アムホテリシンB及
びナイスタチンの担体としても有効に使用されてきた。
【0006】略語 AMB:アムホテリシン−B DMPC:ジミリストイル−ホスファチジル−コリン DMPG:ジミリストイル−ホスファチジル−グリセリ
ン DOPC:ジオレオイル−ホスファチジル−コリン DOPG:ジオレオイル−ホスファチジル−グリセリン DOPS:ジオレオイル−ホスファチジル−セリン DPPC:ジパルミトイル−ホスファチジル−コリン DSPC:ジステアロイル−ホスファチジル−コリン DSPG:ジステアロイル−ホスファチジル−グリセリ
ン GPC:ゲル浸透クロマトグラフィー HEPES:ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホ
ン酸 HPC:水素化ホスファチジルコリン HPLC:高速液体クロマトグラフィー IR/ATR:赤外−減衰全反射分光法 MDI:計量用量吸入器 MLV:多重膜小胞 PC:ホスファチジル−コリン PE−PEG:ホスファチジルエタノールアミンポリエ
チレングリコール PG:ホスファチジル−グリセリン POPC:パルミトイル−オレオイル−ホスファチジル
−コリン POPG:パルミトイル−オレオイル−ホスファチジル
−グリセリン PS:ホスファチジル−セリン TC:相転移温度
【0007】図面の説明 図1:式Iの遊離化合物0.4mg及び本発明のリポソ
ーム1.0mgの混合物の溶出プロフイル[実施例1、
a)参照]。 図2:式Iの化合物及びPOPCの多重−二層膜内での
位置を示すコンピューターモデル[実施例1、h)参
照]。 図3:リポソーム懸濁液の噴霧後の様々なツイン・イン
ピンジャーのコンパートメントにおける式Iの化合物の
析出。 図4:噴霧器内部のリポソームの粒子サイズ。
【0008】本発明に係るリポソームは、式Iの化合物
を、適当なリポソーム形成材料を用いて充填することか
らなる工程によって得ることができる。この工程は、本
発明のまた別の側面を形成する。本発明に係る方法は常
法によって、例えば、F.スゾーカ及びD.パパハジョ
プーロス、「リポソームズ・アンド・ゼア・ユーシズ・
イン・バイオロジー・アンド・メディスン」、アナルス
・オブ・ザ・ニュー・ヨーク・アカデミー・オブ・サイ
エンシズ(Ann.N.Y.Acad.Sci.)第3
08巻(1978)1−462頁、R.L.ジュリアー
ノ及びD.レイトン、「リポソームズ・アズ・ア・ドラ
ッグ・デリバリー・システム」、ドラッグ・デリバリー
・システムズ(Drug Delivery Syst
ems)、オクスフォード・ユニバーシティ・プレス・
Inc.、ニューヨーク(1980)189−236
頁、M.J.オストロ、リポソームズ(Liposom
es)、M.デッカー・Inc.、ニューヨーク(19
83)及びG.ロペス−ベレンシュタイン及びI.J.
フィドラー、リポソームズ・イン・ザ・セラピー・オブ
・インフェクシャス・ディジージズ・アンド・キャンサ
ー(Liposomes in the Therap
y of Infectious Diseases
and Cancer)、A.R.リス・Inc.、ニ
ューヨーク(1989);R.R.C.ニュー、リポソ
ームズ − ア・プラクティカル・アプローチ(Lip
osomes − a practical appr
oach)、IRLプレス、オクスフォード、ニューヨ
ーク、トーキョー(1990)に記載の方法と同様にし
て実施することができる。リポソーム及びその使用につ
いてのさらなる文献は、I.W.ケラウェイ及びS.
J.フェア、アドバンシズ・イン・ドラッグ・デリバリ
ー・レビューズ(Adv.Drug Delivery
Reviews)第5巻[1990]149頁、F.
マーティン、ジャーナル・オブ・リポソーム・リサーチ
(J.Liposome Res.)第1巻[199
0]407頁、K.エグバリア及びN.ワイナー、アド
バンシズ・イン・ドラッグ・デリバリー・レビューズ
(Adv.Drug Delivery Review
s)第5巻[1990]287頁、A.クリバノフ等、
FEBS第268巻(1990)235頁、である。
【0009】リポソームを形成する材料は、本質的には
燐脂質または燐脂質の混合物である。活性物質は、好ま
しくは燐脂質の二重層の間に入り、ここに位置する。リ
ポソーム形成の好ましい方法は、 a)有機溶媒中の式Iの化合物及び脂質の溶液を作成
し、 b)この溶液から溶媒を除去して残留物を得、 c)この残留物を緩衝剤の溶液に懸濁し、 d)この懸濁液を、リポソームが形成されるまで攪拌及
びホモジナイズに付し、 e)このリポソームを分離する、ことからなる。
【0010】工程a)において、「溶液」という語は、
エマルジョンのような「擬似」溶液を包含するが、均一
な、透明な溶液を作成することが好ましい。式Iの化合
物及び脂質を溶解または可溶化する任意の溶媒系を使用
することができる。この系は、単一の溶媒または溶媒の
混合物であってよい。これは例えば15%までの水を含
有させることができる。所望ならば界面活性剤を存在さ
せることができる。溶媒系は、蒸発により脂質から除去
できる任意の適当な有機溶媒を含んでいてよい。ジエチ
ルエーテル及びジイソプロピルエーテルのような広範囲
のエーテル類、酢酸エチルのようなエステル類、メタノ
ール、エタノール及びtert−ブタノールのようなア
ルコール類、並びに塩化メチレン及びクロロホルムのよ
うなハロゲン化炭化水素を使用することができる。所望
ならば酢酸を存在させてよい。塩化メチレン、メタノー
ルまたはtert−ブタノールの使用が好ましい。
【0011】工程b)において、溶媒は多くの常套的手
段によって除去できる。好ましい手段は、低真空下、例
えば10ないし50mmHgにおける蒸発、または高真
空下、例えば5mmHg以下、例えば0.1mmHgで
の凍結乾燥を包含する。溶媒及び水性緩衝剤(工程c)
両者の体積を増やさずに乾燥脂質の表面積を増大させる
こともできる。このような脂質表面積の増大は、微粉砕
した担体(例えば塩化ナトリウム、乳糖またはその他の
多糖類の結晶)上に脂質を乾燥させ、またはガラスビー
ズ上に脂質を乾燥させることによって得られる(R.
R.C.ニュー、リポソームズ − ア・プラクティカ
ル・アプローチ(Liposomes −a prac
tical approach)、IRLプレス、オク
スフォード、ニューヨーク、トーキョー(199
0))。凍結乾燥法を使用する場合、この工程は室温以
下の温度で実施するのが適当であり、真空度及び温度
は、蒸発する混合物が周囲より約1−3℃低くなるよう
管理する。このような管理は常法により実施できる。凍
結乾燥のための典型的な計画は、約−60℃で開始し1
2時間かけて−15℃に昇温する。次いで温度を+10
℃に上げ、2時間保持する。リポソームの実用的規模の
生産において溶媒を除去する別の方法は、例えばH.キ
クチ等、ケミカル・アンド・ファーマシューティカル・
ブリトゥン(Chem.Pharm.Bull.)第3
5巻1522頁(1991)により記載されているよう
なスプレードライ法である。この方法によると、脂質及
び薬物を、核となる物質、例えば塩化ナトリウムまたは
サッカロースが懸濁できる揮発性有機溶媒中に溶解す
る。次いで、得られた溶液または懸濁液を、常法、例え
ばビュッヒ190ミニスプレードライヤー中でスプレー
ドライする。
【0012】工程c)において使用される緩衝液は、好
ましくは例えばpH4−8、例えばpH5−6.8の燐
酸塩緩衝液である。好ましくは水相は低張、例えば30
0mosmol/l以下である。得られる懸濁液は好ま
しくは約0.001ないし約0.2g/mlの脂質を含
有する。
【0013】工程d)においては、好ましくは、例えば
攪拌またはスーパーディスパックス(IKAラボテクニ
ック、シュタウフェン、ドイツ)もしくはマイクロフル
イダイザー(マイクロフルイディクス・Corp.、ニ
ュートン、マサチューセッツ、USA)のようなホモジ
ナイザーによる機械的処置を使用する。ホモジナイズは
超音波照射によっても提供される。係る照射の好適な周
波数は、例えば30ないし80kHzである。約10m
lの混合物がホモジナイズまたは攪拌されるための典型
的な電力は200ないし400ワットである。当然の事
ながら、ホモジナイズされる混合物は、金属の混入を避
けるために、超音波照射発生機に付随するチタニウムま
たは他の金属から離しておくことが好ましい。温度は好
ましくは約10゜ないし約70℃である。不飽和脂質に
対しては室温が好ましく、飽和脂質には60゜−70゜
が好ましい。所望ならば、超音波照射の後に、例えば1
0000ないし27000rpmで、高速スターラーに
よる攪拌を行なうことができる。
【0014】工程e)において、リポソームは、例えば
限外濾過、遠沈、イオン交換またはゲルクロマトグラフ
ィー、透析などによる常套の技術に従って分離すること
ができる。薬物が燐脂質の二重層の中に大部分取り込ま
れているならば、小胞の分離は不必要である。これは、
例えば化合物1の濃度が1mg/ml以下の場合であ
る。リポソームは、適度に小さな、例えば0.1ないし
1ミクロンの開口部を有するフィルターを通して濾過及
び滅菌することができる。所望ならばこの濾過は、その
脂質の相転移点以上、例えば30゜ないし70゜で実施
できる。長期安定性を改善するため、この調製物は凍結
乾燥に付す。
【0015】別の態様において、本発明は、式Iの化合
物を燐脂質と組み合わせて含む組成物を提供する。これ
は、例えば上記工程a)に記載されるようなリポソーム
の形成のために特に有用である。式Iの化合物を含むリ
ポソームの大規模製造のための、さらなる好ましい一段
階リポソーム製造法は、M.ブランドル等、ドラッグ・
ディベロップメント・アンド・インダストリアル・ファ
ーマシー16(1990)2167に記載の通りであ
り、これによると、燐脂質及び薬物を直接水相に分散さ
せ、次いで例えば適当なホモジナイザー、例えば商標ミ
クロフルイダイザーとして市販されているホモジナイザ
ー中でホモジナイズする。形成された小胞は単層または
多層であり得る。これらの大きさは、平均直径が約20
nmないし約10μmまで相違し得る。これらは好まし
くは約200nm以下の直径である。式Iの化合物は好
ましくは燐脂質薄層の一部であり、少量のみがリポソー
ム内部の流体の一部または両者である。燐脂質二重層へ
の取り込みは、少なくとも1mg/mlまでの濃度であ
り得る。リポソームは、1またはそれ以上の脂質、好ま
しくは燐脂質、例えばホスホモノグリセリド、ホスファ
チジン酸及びスフィンゴリピド、好ましくはホスファチ
ジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグ
リセロール、スフィンゴミエリン、ホスファチジルエタ
ノールアミン、ステアリルアミンまたはホスファチジン
酸;特にジミリストイルホスファチジルコリン、ジミリ
ストイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイル
ホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジル
グリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジル
グリセロール及びホスファチジルセリンを含む。リポソ
ームは、コレステロールのようなステロールを含むこと
ができる。
【0016】さらに、ホスファチジルエタノールアミン
ポリエチレングリコール(PE−PEG)をリポソーム
中に取り入れて静脈内適用後のリポソームの血漿半減期
を延長し、その結果、式Iの化合物の持続放出またはリ
ポソームによる式Iの化合物の標的への運搬が達成でき
る。注射の目的のためには、42℃以上の融点を持つ水
素化燐脂質、例えばDSPC、DSPGまたはHPCが
好ましい。燐脂質の総濃度は約1mg/mlないし約2
00mg/ml、好ましくは15mg/ml及び100
mg/mlの間である。式Iの化合物の濃度は、例えば
約0.1mg/mlないし約20mg/ml、好ましく
は約0.3mg/mlないし約10mg/ml、特に約
5mg/mlである。総燐脂質に対する式Iの化合物の
重量比は、例えば約1:1ないし約1:2000、好ま
しくは約1:10である。リポソームは常法によって分
離及び滅菌できる。有利に使用できるさらなる合成燐脂
質は、ホスファチジルエタノールアミンポリエチレング
リコール(PE−PEG)のような合成燐脂質であっ
て、これは特に中性の小型リポソームに導入された場合
に、血漿半減期を延長させる。
【0017】中性、即ち荷電のない燐脂質によって構成
される幾らかのリポソームは、数日間の保存後に凝集及
び沈澱のようなある程度の不安定性を示し得る。これ
は、リポソームを凍結乾燥し、使用直前に再懸濁するこ
とにより防止できる。もし均一な生成物を得るために乳
糖を凍結防止剤として用いるならば、30分以内にリポ
ソームを共融温度以下、例えば−28℃、好ましくは−
40℃まで冷却することが望ましい。望ましい凍結防止
剤は、例えばシュクロース、トレハロース、乳糖、マン
ニトール、マルトース、フルクトース、グルコース、ガ
ラクトース、マンノース、キシリット及びソルビット、
好ましくは乳糖、マルトース、シュクロース及びトレハ
ロース、特に乳糖及びマルトース、とりわけ9%乳糖で
ある。凍結乾燥中、約10%ないし40%の直径の縮小
が起こり得る。一般に、凍結乾燥後5℃の保存で最初の
2週間では大きさ及び含量の著明な変化は起こらない。
1カ月後、小胞の大きさの15%の縮小が、幾らかのリ
ポソームで観察され得る。凍結防止剤の濃度は重要でな
く、約2%ないし約10%の範囲である。保存は好まし
くは5℃付近で行なう。
【0018】再構成後のリポソームの浸透圧モル濃度
は、例えば非経口適用に好適であり、典型的には約25
0ないし約500、例えば290ないし350mosm
ol/lである。再構成は、水を加えて元の容量とする
ことによって実施する。好ましくは、これは使用の直前
に行なう。式Iの化合物及び燐脂質の分析測定のために
は、再構成した水性試料は、好ましくは50%メタノー
ルのようなアルコールで1:1に希釈する。無菌的充填
及び凍結乾燥に先立ち、リポソームの無菌濾過(0.2
μm孔径)により滅菌を行なうことができる。大規模製
造のためには、水相における工程処理中に、保存剤とし
て1%ベンジルアルコールを使用することが好ましい。
ベンジルアルコールは最終的凍結乾燥段階中に、再び完
全に除去することができる。驚くべき事に、脂質膜中に
取り込まれると式Iの化合物は通常、リポソームが遊離
塩基から出発して製造された場合でも、プロトン化され
る。
【0019】
【実施例】以下の実施例により本発明を例示する(以
後、式Iの化合物は簡潔に化合物1と称する): 実施例1 リポソームの製造 (化合物1;小規模)遊離塩基型の化合物1 10mg
をメタノールに可溶化し、それぞれ1:4:2のモル
比、即ち1:7:3の重量/重量比で大豆ホスファチジ
ル−コリン(PC)及びジミリストイル−ホスファチジ
ル−グリセロール(DMPG)のメタノール溶液と混合
する。この混合物をロータリーエバポレーターを用いて
丸底フラスコ中で減圧乾燥し、脂質/化合物1の膜を形
成させる。乾燥した膜を、9%の凍結防止剤乳糖を含む
20mM燐酸塩緩衝液(pH6.8)10mlと共に振
盪することにより水和する。形成されたリポソームは、
約50ミクロンまでの不均一な大きさを持つ多重膜の小
胞(MLV)である。このMLV懸濁液を攪拌によりホ
モジナイズし、1、0.4及び0.2ミクロンの孔径の
ヌクレオポア・ポリカーボネート膜から二回順次押し出
すことにより、大きさで分類する。続いてリポソーム調
製物を凍結乾燥し、分離したリポソームを5℃で保存す
る。
【0020】実施例1の変法において、マルトース、シ
ュクロースまたは各々トレハロースが凍結防止物質とし
て使用される。さらなる変法において、MLVのホモジ
ナイズを超音波処理によって実施する。さらなる変法に
おいて、MLVのホモジナイズをスーパーディスパック
スホモジナイザー(IKAラボテクニック、シュタウフ
ェン、ドイツ)を用いる処理によって実施する。さらな
る変法において、MLVのホモジナイズをマイクロフル
イダイザーホモジナイザー(マイクロフルイディクス・
Corp.、ニュートン、マサチューセッツ、USA)
を用いる処理によって実施する。さらなる変法におい
て、大豆PCおよびDMPGを以下の燐脂質に置き換え
る: ジミリストイル−PC(DMPC); ジパルミトイル−PC(DPPC); ジオレオイル−PC(DOPC); ジオレオイル−PG(DOPG); パルミトイル−オレイル−PC(POPC); パルミトイル−オレイル−PG(POPG); ジオレオイル−ホスファチジル−セリン(DOPS); 牛の脳由来のホスファチジル−セリン(PS);及び、 ホスファチジルエタノールアミンポリエチレングリコー
ル(PE−PEG)。 さらなる変法において、塩酸付加塩型の式Iの化合物を
使用する。
【0021】
【表1】 第1表 化合物1のリポソームの例 バッチ 化合物1 燐脂質 比(モル) 小胞の大 No. [mg/ml] 比 濃度 [化合物/燐脂質] きさ* [w/w] [mg/ml] (nm) 1 1(塩基) PC/DMPG 7/3 15 1/6 215 2 1(HCl塩) PC/DMPG 7/3 15 1/6 223 3 0.3-3.0 PC/DMPG 7/3 15 1/2-1/20 (塩基) 4 1(塩基) POPC/DOPS 7/3 15 1/6 240 5 3(塩基) POPC/DOPS 7/3 30 1/4 171 6 3(塩基) POPC/DOPS 7/3 30 1/4 250 7 3(塩基) POPC/DOPS 7/3 30 1/4 250 *流体力学的パラメータとして
【0022】特性決定: a)最大充填容量 リポソーム調製物は、流体の状態で数日間安定な、乳状
の外観を有する小胞(直径が100−250nmの間の
大きさ)の懸濁液である。小胞内に充填された式Iの化
合物の量を評価するために、試料を、ガラスカラムに詰
めたセファデックスG25 10ml、または、セファ
デックスG25 9.1mlが予め充填されたすぐに使
用できるpd10カラム(ファルマシア)のいずれかを
用いたGPCに付す。カラムは全て使用前にカラムの中
空容量の溶離液で3回洗浄する。カラムに試料(1m
l)を適用し、リポソーム画分を水中0.15M塩化ナ
トリウム(0.9%)で溶出する。10ないし15ml
溶出後、小胞に充填されていない式Iの化合物(遊離化
合物1)を溶出するために、溶離液を10mM酢酸塩緩
衝液(pH3)に置き換える。画分をHPLC分析によ
り化合物1について検定する[i)参照]。
【0023】燐脂質濃度15mg/mlにおいて、化合
物1は、燐酸塩緩衝液(pH6.8)中1mg/mlの
濃度まで小胞中に完全に充填され得る。これは、薬物が
過剰に加えられた時に形成される化合物1の結晶の視覚
化(顕微鏡)、または、セファデックスG25を用いた
GPCによる充填されなかった化合物1のリポソーム性
化合物1からの分離、のいずれかによって検定できる。
図1は、遊離の化合物1を0.4mg及び化合物1のリ
ポソーム1.0mgの混合物の溶出プロファイルを表わ
す。カラムに適用された式Iの化合物の100%が回収
されている。リポソーム画分は0.9%塩化ナトリウム
(12ml)で溶出し、遊離の化合物1は10mM酢酸
塩緩衝液(pH3.0)で溶出する。連続した線は単一
の画分における化合物1の量を表わし、破線は溶出した
化合物1の累積量を示す。充填容量は水和に使用される
緩衝液の組成に影響を受ける:燐酸塩緩衝液及びHEP
ES緩衝液では1mg/mlしか充填されない。化合物
1は、この二種類の緩衝液によりある程度沈澱すること
が観察できる。脱塩水を使用すると、2.5mg/ml
までの取り込みが達成される(第2表):大豆ホスファ
チジルコリン及びジミリストイル−ホスファチジル−グ
リセリン(DMPG)を総濃度15mg/ml、7:3
の比率で使用して、化合物1のリポソームを上記のよう
に製造した。分析用試料をゲル浸透クロマトグラフィー
(GPC)カラムに適用し、リポソームに充填された化
合物1及び遊離の化合物1について検定する:
【0024】
【表2】 第2表 異なった緩衝液を用いた化合物1に対するリポソームの取り込み容量 濃度 モル比1) 結晶の GPC画分 小胞の大きさ3) 損失4) (mg/ml) 観察2) (%) (%) 理論値 実測値 理論値 遊離 リホ゜ソーム d(nm) pD 実測値 燐酸塩緩衝液(20mM、pH6.8): 1 0.93 1:6.5 - 0 >91 141 2 5 1.5 1.39 1:4.3 + <1 >76 149 4 14 2 1.30 1:3.3 + 0 >80 143 2 26 2.5 1.25 1:2.6 + 0 78 196 6 35 3 1.23 1:2.2 + <1 83 139 2 32 HEPES緩衝液(35mM、pH6.8): 1 0.90 1:6.5 - 0 86 131 3 4 1.5 1.53 1:4.3 (+) <1 >80 147 3 6 2 1.50 1:3.3 + 14 52 166 4 17 2.5 1.43 1:2.6 + <1 54 161 2 25 3 2.23 1:2.2 + >1 >67 147 2 17 水: 1 0.99 1:6.5 - 0 82 99 2 5 1.5 1.58 1:4.3 - 0 91 121 2 5 2 1.99 1:3.3 - 0 90 131 2 4 2.5 1.47 1:2.6 - <1 86 124 3 11 3 2.46 1:2.2 (+) <1 83 126 3 10
【0025】1)燐脂質に対する化合物1のモル比 2)顕微鏡による観察(アキオスコープ、ツァイス) 3)小胞の大きさ:d=直径、pD=多分散性(1=単分
散、10=多分散) 4)損失=製造後のフラスコ及びフィルター上の残留物 高濃度、即ち2及び4mg/mlの化合物1、及び種々
の燐脂質(第3表)を用いてリポソームを製造すること
により、燐脂質濃度15mg/mlにおける化合物1の
およその限度1mg/ml、即ち薬物/脂質のおよその
モル比1:6が確認された。充填は、使用される種々の
燐脂質に対し独立している:
【0026】
【表3】 第3表 濃度2及び4mg/mlの化合物1、及び種々の燐脂質を用いた充填 燐脂質 実測された化合物1の濃度(mg/ml) 理論値2mg/ml 理論値4mg/ml PC 1.0±0.5 1.2±0.7 PC/DOPG 1.8±0.1 2.2±1.0 PC/DOPS 1.6±0.2 3.0±0.6 HPC 2.0±0.2 3.5±0.4 HPC/DOPG 1.7±0.3 2.2±0.2 HPC/DOPS 2.0±0.3 3.2±0.6 POPC 1.8±0.2 3.4±0.4 POPC/DOPG 1.9±0.1 2.5±0.3 POPC/DOPS 1.4±0.2 2.8±0.4 DOPC/DOPG 1.6±0.3 3.4±0.4 DMPC 1.8±0.4 1.5±1.0 DMPC/DMPG 2.0±0.3 3.0±1.2 水和には燐酸塩緩衝液(20mM、pH6.8)を使用
した。燐脂質の濃度は15mg/mlとした。化合物1
は0.2μm膜での濾過の後測定した。各濃度につき3
つの調製物を調べた(平均値±SD、n=3)。
【0027】b)充填効率 含量1mg/mlまでの濃度の化合物1(遊離塩基型)
において、効率は90%以上である。高濃度において
は、過剰の化合物1の沈澱(充填されない)のため、効
率は低下する。 c)収率 10mlまでのバッチサイズ(10mgの化合物1)に
おいては収率は70−80%の範囲である。100ml
(100mgの化合物1)においては収率は90%であ
り、1l(1gの化合物1)では90%以上である。 d)不純物及び安定性 凍結乾燥した化合物1のリポソーム(組成:第1表のバ
ッチ1及び2参照)2種を、異なった温度及び周囲湿度
で安定性試験に供した:相対湿度75%において−25
℃、5℃、25℃及び30℃。0.2μmの膜での濾過
及び無菌作業台での無菌的充填により、滅菌を行なう。
結果を第4表にまとめる。製造後の化合物1の分解は殆
ど無かった。1ヶ月後、不純物のレベルは30℃におい
てさえ2%以下であることがわかった。3ヶ月の安定性
のデータは、1ヶ月後に僅かな分解生成物の増加が、特
に高い温度において起こることを示している。5℃で3
ヶ月保存した後の不純物は1%以下であった。5℃にお
ける保存が適当である。
【0028】
【表4】 第4表 化合物1のリポソームの安定性 保存条件 化合物1の充填(%) 化合物1の分解生成物(%) バッチ2 バッチ1 バッチ2 バッチ1 初期 100 100 0.2 0.1 −25℃ 1ヶ月 95.7 94.9 0.3 0.3 3ヶ月 95.6 96.8 0.4 0.5 5℃ 1ヶ月 96.1 95.1 0.9 0.7 3ヶ月 95.6 96.1 0.9 1.0 25℃ 1ヶ月 95.7 94.5 1.4 1.5 3ヶ月 95.2 95.1 2.7 2.9 30℃/75%r.h. 1ヶ月 95.2 94.7 1.5 1.9 3ヶ月 95.7 94.5 3.1 3.9 r.h.=相対湿度
【0029】e)残留溶媒 化合物1のリポソームの製造及び凍結乾燥によって導か
れたメタノールのレベルは0.1%以下であった。クロ
ロホルムは検出されなかった(限度=0.05%)。 f)小胞の大きさ リポソームの小胞の大きさは通常レーザー光の散乱によ
って測定され、粒子サイズの分布がほぼ単峰形である限
り、平均の流体力学的直径として表現される。化合物1
のリポソームの平均直径は、製造及び0.2μmの膜に
よる濾過の後に、約200−300nmである。凍結乾
燥及び水への再分散の後には、小胞の大きさは、より小
さくなる(150−250nm)。保存中、小胞はさら
に小さくなる:3ヶ月後に10%の縮小が観察される
(第5表):
【0030】
【表5】 第5表 凍結乾燥、保存及び再構成後の化合物1リポソームの粒子サイズ バッチ 流体力学的半径 流体力学的直径 分布[φ(nm)] Rh(nm) PDC % Dh(nm) min. max. 2 初期 111.5 50 223 147 500 1ヶ月、5℃ 96.8 48 194 126 434 3ヶ月、5℃ 99.3 49 199 132 454 1 初期 108 47 216 140 546 1ヶ月、5℃ 93.2 48 186 120 468 3ヶ月、5℃ 95.3 49 191 124 498 Dh=流体力学的直径 PDC=多分散係数 Rh=流体力学的半径 g)物理的安定性 11の凍結防止剤をそれらの適性についてスクリーニン
グした。結果を第6表.1及び第6表.2にまとめる:
【0031】
【表6】 第6表.1 化合物1リポソームの凍結乾燥 凍結防止剤 共融温度 外観 シュクロース −30 白色、緻密、幾らかの小さな亀裂 トレハロース −28 白色、緻密、滑らかな表面 乳糖 −28 白色、緻密、滑らかな表面 マンニトール −30 白色、緻密、個々の円板の分離 マルトース −27 白色、緻密、破断した縁 糖無し − 多孔性、亀裂 フルクトース −36 白色、緻密、粗い表面 グルコース −38 白色、小孔 ガラクトース −36 白色、小孔 マンノース −37 不均質 キシリット −38 不均質 ソルビット −33 白色、多孔性
【0032】
【表7】 第6表.2 化合物1リポソームの粒子サイズ:凍結乾燥の影響 凍結防止剤 粒子サイズ[平均直径(nm)±SD(n=3)] 商 凍結乾燥前(b) 凍結乾燥後(a) (a/b) シュクロース 597(±174) 205(±29) 0.3(±0.1) トレハロース 407(±58) 250(±35) 0.6(±0.1) 乳糖 381(±52) 217(±19) 0.6(±0.1) マンニトール 224(±15) 187(±12) 0.8(±0.1) マルトース 209(±8) 188(±16) 0.9(±0.1) 糖無し 274(±15) 338(±31) 1.2(±0.1) グルコース 377(±60) 200(±32) 0.5(±0.2) ガラクトース 391(±15) 265(±60) 0.7(±0.1) フルクトース 304(±40) 241(±30) 0.8(±0.1) マンノース 398(±50) 331(±30) 0.8(±0.1) キシリット 320(±4) 250(±16) 0.8(±0.1) ソルビット 373(±57) 139(±10) 0.4(±0.1) 化合物1のリポソームは、 化合物1=1.5mg/ml、 大豆レシチン=15mg/ml、 凍結防止剤=4%、 の濃度で製造した。
【0033】h)IR/ATR分光法 化合物1/脂質の比が1:2で、高濃度の電解質を含む
緩衝液を使用せずに、多−二重層膜でエクス・サイト実
験を行なった。これらのリポソームにおいて、脂質に対
する化合物1の化学量論的比率を実験的に定めた。即
ち、薬物及び燐脂質の均質な分散を二重層膜内に維持す
る。意外な発見は、塩基型で使用されたにもかかわら
ず、化合物1が、脂質膜に取り込まれた際にプロトン化
されることであった。実験的に定められた二色比に基づ
き、化合物1の分子の軸と膜の面に対する垂線との角度
を分析した。化合物1は、高い確率をもって、垂線から
0°−30°の偏差で脂質の炭化水素鎖に平行に位置し
ている。化合物1及びPOPCの位置付けをコンピュー
ターモデル作成により図2に例示する。
【0034】i)HPLC分析 薬物の充填、即ちリポソーム1ml当りの化合物1の濃
度をHPLCによって測定した(ブラウンリー・ラブズ
製スフェリ−5 RP18カラム;コントロン製ポン
プ、U.V.検出器およびオートサンプラー)。移動相
はアセトニトリル/水/トリエチルアミン(800/2
00/1)とした。カラムへの適用前の試料調製には配
慮を必要とした:中性のリポソーム(荷電が無い)は物
理的に不安定である。したがって、試料を50%メタノ
ールで1:1に希釈することにより、凝集及び沈澱が防
止できる。
【0035】実施例2 リポソームの製造 (化合物1;室温より高い相転移温度)PCおよびDM
PGの代わりにジステアロイル−PC(DSPC)及び
ジステアロイル−PG(DSPG)を使用する外は実施
例1に記載のようにして、室温より高い相転移温度(T
c)を有するリポソームを製造する。さらなる変法にお
いて、DSPC及びDSPGを水素化ホスファチジルコ
リン(HPC)に置き換える。水和、ホモジナイズ及び
濾過の工程はTcより高い温度で行なう。実施例1に記
載のようにして比較結果を得る。
【0036】実施例3 カンジダ症に対するリポソーム
の生物学的効果 (化合物1;インビボ、全身性カンジダ症)全身性カン
ジダ症に対する深部真菌感染症のマウスのモデルにおい
て、化合物1リポソーム(POPC/PS、7:3w/
w)を調べた:マウス(Balb/C)を、尾静脈から
4x105細胞濃度のカンジダ・アルビカンスNRB
(Candida albicans NRB)を用い
て静脈内経路により感染させる。感染後3及び4日目
に、0.5mg/kgのリポソーム性化合物1で2回の
i.v.処置を施す。生存を21日目まで観察する。臓
器のカンジダ計数を肝臓及び腎臓において行なう。驚く
べき事に、20匹のうち10匹の動物が21日目まで生
存した。感染させ、処置をしなかった動物は8日目まで
に全て死亡した。このように、0.5mg/kgという
低用量において、カンジダモデルの50%の動物の生存
が、9日から少なくとも21日まで延長される。感染後
5及び10日目にリポソーム性化合物1で処理したマウ
スの肝臓及び腎臓において、臓器のカンジダの計数を行
なった。結果を第7表に示す:
【0037】
【表8】 第7表 肝臓及び腎臓における臓器カンジダの計数 日 肝臓 腎臓 5 160±74 302±68 10 62±32 126±93 10日目において著明な減少が認められる。これに代わ
る試験は、5x105細胞の濃度のカンジダを使用する
外は上記の通りである。リポソームは1、3及び5日目
に投与する。
【0038】実施例4 リポソームの製造 (化合物1;大規模)上記実施例1及び2に述べた物と
同じ組成のリポソームを、スーパーディスパックスホモ
ジナイズ、続いてマイクロフルイダイザー処理を用い
て、M.ブランドル等、ドラッグ・ディベロップメント
・アンド・インダストリアル・ファーマシー(Drug
Dev.and Ind.Pharm.第16巻[1
990]2167)の一段階製造法によって製造する。
この方法に従って、4.5%乳糖を含有する20mM燐
酸塩緩衝液(pH6.5)1lを、スーパーディスパッ
クスホモジナイザー中でホモジナイズする。PC35
g、DMPG15g及び化合物1 5gを、最大分散速
度(15.000RPM)で溶液に分散して、0.5時
間後に平均粒子サイズ200nmを得る。次にこのリポ
ソームをマイクロフルイダイザーに移し、さらにホモジ
ナイズする。この操作は、リポソームの粒子サイズを9
0±10nmに縮小する。上の実施例において、PC及
びDMPGの代わりにHPC及びDSPGを使用し、工
程中の温度を70℃まで上げると、平均粒子サイズ13
5nmを持つリポソームが得られる。
【0039】実施例5 リポソームゲルの製造 (化合物1)化合物1(遊離塩基型)2gを、大豆ホス
ファチジルコリン(PC)20g、コレステロール4g
及びα−トコフェロール0.2gと共に、プロピレング
リコール10gに50゜で可溶化する(有機溶液A)。
有機溶液Aを25゜に冷却する。20mMの等張燐酸塩
緩衝液(pH6.5)62gの溶液をスーパーディスパ
ックスホモジナイザー中で攪拌し、p−ヒドロキシ安息
香酸メチル0.2g、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル
0.02g及びNa−EDTA0.15gをここに可溶
化する(水溶液B)。水溶液Bを3000rpmの速さ
で混合する。次いで有機溶液Aをこの攪拌水溶液中に、
1.0ml/分の速さで導入する。粒子サイズ1000
nm以下のリポソームが形成される。速度を落としてヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース0.5gをこのリポ
ソーム性懸濁液に添加してゲルを形成させる。このゲル
は管に詰めることができる。
【0040】実施例6 噴霧器による肺への適用 (化合物1)この実験は、タイプ11ツイン・インピン
ジャーとしてホールワース等、ジャーナル・オブ・ファ
ーマシー・アンド・ファーマコロジー(J.Phar
m.Pharma)第39巻966−972頁(198
7)に、そして「グラス・インピンジャー」という語で
ブリティッシュ・ファーマコペア(British P
harmacopoeia)1988、第11巻追補X
VII C(A204−A207)に記載されている、
ツイン・インピンジャー装置を使用して実施する。共に
平均粒子サイズが100nmおよび200nmの間であ
る、塩基型化合物1を燐脂質組成物PC(10.5mg
/ml)及びDMPG(4.5mg/ml)と共に含有
するリポソーム懸濁液、並びに、塩基型化合物1を燐脂
質組成物H(水素化)(HPC)(10.5mg/ml
PBSL)及びDSPG(4.5mg/mlPBSL)
と共に含有するリポソーム懸濁液を、霧状にし、60l
/分で空気を流しつつ30分間ツイン・インピンジャー
内へ導く。ツイン・インピンジャーの各部分から回収さ
れた量を、分光測光法を用いて測定する。結果は、異な
った燐脂質の組成(及び異なった転移温度)を有するリ
ポソーム懸濁液の分布に有意な差異は無いことを示して
いる。両方の場合において、50%以上が下部インピン
ジャー室から回収され、これは肺胞への高い運搬性に相
当する(図3参照)。
【0041】粒子サイズに及ぼす噴霧の影響:異なった
燐脂質の組成及び異なった転移温度を有するリポソーム
の粒子サイズに及ぼす噴霧の影響を調査するために、懸
濁液を「パリ・インハレーション・スタンダード・ゲレ
ート」を用いて噴霧する。上記のリポソーム組成を用い
るが、平均粒子サイズは500nm以上である。様々な
時刻に試料を噴霧器の容器から取り、レーザー光の散乱
を用いて測定する。リポソームの大きさは、両方の場合
において10分以内に迅速に縮小し、12分後には約1
50nmないし200nmの大きさに達すると思われる
(図4)。続いて、噴霧器から出るリポソームの平均の
大きさを、レーザー光の散乱を用いて測定する。噴霧器
から出る全リポソームはおよそ90nm及び140nm
の間の平均サイズを有すると思われる。エアロゾル化さ
れる両組成物のリポソームは小型であるという事、そし
てその粒子サイズは噴霧器の容器中に導入されるリポソ
ームの粒子サイズに直接の関与をしないという事を結論
付けることができる。驚くべき事に、噴霧は、ゲル状態
のリポソームのゲルから液体状態への相転移温度よりは
るかに低い室温において起こるにもかかわらず、ゲル状
態のMLV(HPC/DSPC)の大きさは、液体状態
のMLV(PC/DMPC)の大きさと同じ位迅速に縮
小する。
【0042】実施例7 アスペルギルス症に対するリポ
ソームの生物学的効果 前記実施例4から得られた2種のリポソームの生物学的
効力を、コーチゾンで免疫抑制を誘発した、アスペルギ
ルス症に対する肺の真菌感染症のモデルマウスにおいて
調べる:20gの雌のICRマウスを、チャレンジの1
日前から3日間酢酸コーチゾン2.5mgで皮下的処理
を行なって、免疫抑制を創出する。マウスを、軽微なペ
ントバルビタールの麻酔下で、トゥイーン80を含む食
塩水60μl中に懸濁したアスペルギルス・フミガトゥ
ス(Aspergillus fumigatus)−
ATCC13073の胞子1.25x106で経鼻的に
チャレンジする。リポソームによる処置は、チャレンジ
の5日前に始め、1日おきに11回の処置を続ける。1
日に30分間、噴霧したリポソームに鼻のみを暴露する
ことにより、化学療法を行なう。各実験群は、非チャレ
ンジ/非処置、チャレンジ/非処置及びチャレンジ/プ
ラシーボ処置対照を含む15匹の動物から成る。この試
験の評価を、被験動物の生存率および体重を調べること
により、チャレンジの20日後に行なう。適用された式
Iの化合物のリポソームの日用量、例えば0.01ない
し1mg/kgは、処置されたマウスの生存を延長し、
またはアスペルギルス症の病態の改善が観察できる。こ
の試験方法は、S.アレン等により、第9回化学療法の
将来の傾向に関する国際シンポジウム(ジュネーブ、ス
イス(1990))における「エアロゾル・アムホテリ
シンBケモセラピー・イン・アン・イミューン・コンプ
ロマイズド・ミュアライン・モデル(Aerosol
Amphotericine B Chemother
apy in an Immune Compromi
sedMurine Model)」に記載されてい
る、肺アスペルギルス症のモデルマウスに基づいてい
る。
【0043】本発明に係るリポソームを含有するリポソ
ーム調製物は、薬理活性を示し、故に医薬として有用で
ある。特に、これらは全身性真菌感染症の処置を適応と
する。この活性は、例えばカンジダに全身性感染したマ
ウスにおいて、本発明に係るリポソームを、例えば実施
例3に記載の式Iのリポソーム性化合物約0.1mg/
kgないし約2mg/kgの用量で投与した時に、現わ
れる。上記の適応において、適当な用量は、無論、例え
ば使用する化合物の型、宿主、投与方法並びに処置され
る状態の性格及び重篤度によって変わるであろう。しか
しながら一般に、日用量で約1μg/kgないし約10
mg/kg、特に0.05mg/kgないし1mg/k
g、または例えば0.1ないし1mg/kg(動物の体
重)のリポソーム型の式Iの化合物によって、満足すべ
き結果が動物において得られることが指摘される。人間
において指示される日用量は、簡便には例えば日に4回
までの分割用量として投与される、約0.1mgないし
約500mgの範囲のリポソーム型の式IのIの化合物
である。好ましくは、日用量は、1日につき約5mgな
いし約50mgの式Iの化合物である。
【0044】特に、このリポソーム調製物はさらに、肺
の真菌感染症の処置を適応とする。この活性は、例えば
アスペルギルスに肺感染したマウスにおいて、例えば実
施例7に記載のように、霧状にしたリポソーム調製物を
1日に30分間吸入することによって、本発明に係るリ
ポソームを投与する時に、現われる。上記の適応のため
の、好適な用量は無論、例えば宿主並びに処置される状
態の性格及び重篤度によって変わるであろう。しかしな
がら一般に、約0.1mg/kgないし約10mg/k
g(動物の体重)の吸入用量での、霧状にしたリポソー
ム型の式Iの化合物による毎日の処置によって、満足す
べき結果が動物において得られることが指摘される。人
間において指示される日用量は約10mgないし約10
00mg/日の範囲にあり、簡便には例えば日に4回ま
での分割用量として投与される、。好ましい日用量は約
20mgないし約400mg、例えば約100mgない
し約200mg/日である。特に、このリポソーム調製
物はさらに、皮膚の真菌感染症の局所的処置を適応とす
る。最も好適な適用型は、例えば他の局所用組成物に対
して知られるのと同じ適応、例えば真菌感染のための、
例えば標準臨床試験によって確認されるのと同じ用量
の、式Iの化合物のリポソーム調製物を含有するゲル、
クリーム及びローション、例えば実施例5に従って製造
されたリポソーム性ゲルである。典型的な有効用量は、
処置される皮膚組織における活性物質の濃度が10及び
10000ng/cm2の間である時に達成される。好
ましい皮膚組織濃度は、例えば標準薬理試験によって指
示される500及び2000ng/cm2、例えば10
00ng/cm2である。しかしながらこれより高いま
たは低い用量が有効であることもあり、これらが標準試
験によって定められることもある。例えば、処置される
皮膚における有効濃度は、例えば本発明に係る2%リポ
ソーム性ゲルの型の例えば式Iの化合物を、例えば約1
00cm2の皮膚面積に対し、活性物質5mg/日で感
染領域上に適用する場合に達成される。
【0045】投与は、経口、局所または非経口的とする
ことができる。好ましくは局所または非経口的、特に非
経口的、とりわけ肺になされるのが良い。非経口投与は
好ましくは無菌等張水溶液のような薬学上許容し得る溶
液中の懸濁液の形である。このような溶液は、完全に調
製済みの物を取得するか、または予め作成されてある構
成因子から調製することができる。経口投与は、好まし
くはカプセル化されたリポソームを包含し、これによっ
てリポソームは、リポソームから放出される前の胃及び
腸での消化からほぼ保護される。局所投与は、ローショ
ン、ゲル、クリームまたは軟膏のようなリポソーム調製
物によって行なう。局所投与は、例えば適当な噴霧器ま
たはスプレー装置を用いる、特に肺への吸入経路によっ
ても達成することができる。リポソーム性懸濁液の噴霧
は、圧縮空気または超音波によって作動する標準的噴霧
器をもって実施できるが、例えば適当な装置による加圧
したエアロゾルの用量または乾燥粉末剤のようなその他
の噴霧方法を使用することもできる。さらに、本リポソ
ーム懸濁液は、凍結乾燥またはスプレードライによって
乾燥することができ、そして得られた粉末を、フルオロ
クロロ炭化水素のような適当な推進剤中に懸濁、または
粉末吸入装置で吸入することができる。式Iの化合物を
リポソーム中に充填するならば、呼吸器系に限定された
作用が得られ、全身性の不都合な反応が回避できる。係
る調製物は常法によって製造することができる。単位用
量型は、例えば約0.025mgないし約250mgの
式Iの化合物をリポソーム型で含有する。さらに本発明
は、係る処置を必要とする対象に、前記定義の式Iの化
合物を活性物質として含有するリポソームの薬学的有効
量を投与することからなる、全身性真菌感染症の処置の
ための方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 式Iの遊離化合物0.4mg及び本発明のリ
ポソーム1.0mgの混合物の溶出プロフイルを示すグ
ラフである。
【図2】 式Iの化合物及びPOPCの多重−二層膜内
での位置を示すコンピューターモデルの図である。
【図3】 リポソーム懸濁液の噴霧後の様々なツイン・
インピンジャーのコンパートメントにおける式Iの化合
物の析出を示すグラフである。
【図4】 噴霧器内部のリポソームの粒子サイズを示す
グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 トーマス・キツセル ドイツ連邦共和国デー−7813シユタウフエ ン、グリユネルン、イム・シユタイナー9 番 (72)発明者 フリードリツヒ・リヒター スイス、ツエーハー−3322シエーンビユー ル、マツテンヴエーク4番 (72)発明者 ハリー・テイーメセン スイス、ツエーハー−4102ビンニンゲン、 ホレーホルツヴエーク63番

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式I: 【化1】 の化合物を含むリポソーム。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のリポソームを含有する
    リポソーム製剤。
  3. 【請求項3】 請求項1に定義の式Iの化合物を燐脂質
    と組み合わせて含む組成物。
  4. 【請求項4】 燐脂質を約1mg/mlないし約200
    mg/mlの濃度で含有する、請求項1、2または3に
    記載の組成物。
  5. 【請求項5】 式Iの化合物を約0.1mg/mlない
    し約10mg/mlの濃度で含有する、前記請求項のい
    ずれかに記載の組成物。
  6. 【請求項6】 POPC、またはPOPC及びPOPG
    もしくはDOPGもしくはDOPSの混合物である燐脂
    質成分を含有する、請求項1ないし5のいずれか1項に
    記載の組成物。
  7. 【請求項7】 DMPC、またはDMPC及びDMPG
    の混合物である燐脂質成分を含有する、請求項1ないし
    5のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 【請求項8】 +42℃以上の融点を有する水素化燐脂
    質である燐脂質成分を有する、請求項1ないし5のいず
    れか1項に記載のリポソーム調製物。
  9. 【請求項9】 中性及び陰性に荷電した燐脂質の重量/
    重量比が約7:3である、前記請求項のいずれかに記載
    の組成物。
  10. 【請求項10】 活性物質対中性燐脂質対陰性荷電燐脂
    質の重量/重量比が約1/10.5/4.5である、前
    記請求項のいずれかに記載の組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1に定義の式Iの化合物を遊離
    塩基型または酸付加塩型で含むリポソーム製剤。
  12. 【請求項12】 凍結乾燥された形の前記請求項のいず
    れかに記載の組成物。
  13. 【請求項13】 請求項1に定義の型の式Iの化合物
    を、適当なリポソーム形成材料と混合することからな
    る、請求項1に記載の組成物を製造する方法。
  14. 【請求項14】 活性物質としての請求項1に定義の式
    Iの化合物の遊離塩基型または薬学上許容し得る酸付加
    塩型を、少なくとも一つの薬学上許容し得る担体または
    希釈剤と組み合わせて有するリポソーム調製物を含む、
    医薬組成物。
  15. 【請求項15】 PE−PEGを含有する、前記請求項
    のいずれかに記載の組成物。
  16. 【請求項16】 請求項1ないし15のいずれか1項に
    記載の組成物の薬学的有効量を、処置を必要とする対象
    に投与することからなる、全身性真菌感染症の処置方
    法。
  17. 【請求項17】 請求項1ないし15のいずれか1項に
    記載の組成物の薬学的有効量を、処置を必要とする対象
    に投与することからなる、肺真菌感染症の処置方法。
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