JPH0516287B2 - - Google Patents
Info
- Publication number
- JPH0516287B2 JPH0516287B2 JP18597187A JP18597187A JPH0516287B2 JP H0516287 B2 JPH0516287 B2 JP H0516287B2 JP 18597187 A JP18597187 A JP 18597187A JP 18597187 A JP18597187 A JP 18597187A JP H0516287 B2 JPH0516287 B2 JP H0516287B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- membrane
- separation
- water
- plasma
- polymer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
Description
産業上の利用分野
本発明は、水とアルコールの混合液から水を優
先的に透過させ、アルコールを濃縮する分離膜お
よびその製造方法に関するものであり、この水−
アルコール分離膜はバイオマス発酵液からのアル
コールの濃縮、各種製造加工工程における水性ア
ルコールからのアルコールの回収精製に利用する
ことが出来る。 従来の技術 水−アルコール混合溶液をはじめとして溶液の
分離や精製には従来蒸留が用いられている。しか
しながら、この蒸留は液をいつたん加熱気化して
このときの沸点の違いを利用して物質分離を行う
ものである。この段階での加熱のための消費エネ
ルギーの量は莫大である。一方、気化した物質を
冷却液化するための水等の冷媒も必要となる。こ
のような蒸留に代わるプロセスとして、近年膜の
利用に多大の期待が寄せられている。 膜を用いた分離精製には広い範囲の用途があ
り、今日人工腎臓用としての膜による透析、逆浸
透膜による海水の淡水化、純水の製造などのプロ
セスはすでに実用化されている。また、酸素富化
膜等のガス分離膜も一部は実用化されて医療用や
化学製造工程分離プロセスのなかに取り入れられ
つつあることは周知のとおりである。 しかしながら、アルコールのような有機物質の
膜分離の例は現在極めてまれである。これは目的
に適つた膜素材の開発がいまだなされていないた
めであり、そのための努力がいま強くなされてい
る。こうした膜が実用化され、膜分離が可能とな
ればこれが蒸留等に取つて代わり、省エネルギー
や生産工程の簡略化・迅速化に寄与して各分野へ
貢献するところは大なるものと期待される。 膜を介しての分離は、透過対象物質の膜内への
溶解と拡散の程度の差を利用して行われる。すな
わち、透過物質がより優先して通過できるよう、
親和性の高い構造を膜内に構成することによつて
選択的な透過分離を達成することが出来る、たと
えば、水と水溶性有機物質の混合溶液から水を選
択的に透過させるためには、膜をより親水性の基
で構成してやればよい。 かかる見地より、水−アルコール混合溶液から
水を選択的に透過分離する膜として、たとえば以
下のようなものが検討されている。 酢酸セルロース膜〔ジヤーナル・オブ・メンブ
ラン・サイエンス誌、第1巻、第271頁、(1976)〕 ポリフエニレンオキシド膜〔膜、第8巻、第
177頁、(1983)〕 アクリル酸−アクリロニトリル共重合膜〔ジヤ
ーナル・オブ・ポリマー・サイエンス誌、ポリマ
ー・レター編、第22巻、第473頁、(1984)〕 N−置換ポリイミド含有共重合膜〔ポリマー・
ジヤーナル誌、第17巻、第363頁、(1985);同誌、
第16巻、第653頁、(1984)〕 キトサン膜〔高分子論文集、第42巻、第139頁、
(1985);同誌、第43巻、第449頁、(1986)〕 ナフイオン膜〔ジヤーナル・オブ・メンブラ
ン・サイエンス誌、第24巻、第101頁、(1985)〕 これらの膜を用いると水−アルコール混合溶液
から水を透過除去できるのでアルコールを濃縮す
ることが出来る。 発明が解決しようとする問題点 以上に述べた膜はいずれも均質膜であり、透過
速度は総じて小さい。また、これら分離膜では溶
液と接触したときに膨潤によつて膜に形成される
微細孔が物質透過の通路となり、ここで選択分離
がおこることになるが、均質膜では膨潤の程度に
よつては膜の変性や破裂なども起りうる。こうし
たことがあれば、分離膜として実用上問題とな
る。すなわち、実用上のある分離膜としては分離
性能とともに力学的な安定性が兼ね備わつていな
ければならないことは述べるまでもない。 本発明の目的は、こうした課題を克服してより
選択分離性の高い分離膜を得ることにある。 問題点を解決するための手段 このために、水およびアルコールに対して安定
な素材からなる多孔性高分子膜を基質として選択
し、この上にアクリルアミドをグラフト重合させ
たのち、メチロール化することによつてこの層を
より親水性の−CONHCH2OHの構造とした膜を
構成することにより、この目的を達成した。 まずアクリルアミドを多孔性高分子膜上にグラ
フト重合させる方法については特願昭60−269951
に詳しい。 水およびアルコールに実質的に影響を受ない多
孔性高分子膜素材としては、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフツ化ビニリ
デン、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、
セルロース誘導体を挙げることが出来る。 これら多孔性高分子膜上にアクリルアミドをグ
ラフト重合させる方法としてはいくつかの手段が
ある。たとえば、光、プラズマ、放射線等の励起
種で活性化する方法がある。それぞれに長短があ
るが、本発明に好適な分離膜を形成する手段とし
てプラズマ活性化を経由するグラフト重合を挙げ
ることが出来る。それは、プラズマによる作用が
高分子の極く表面部に限られ、多孔性高分子膜の
バルクとしての機械的性質の低下が防止できると
いう理由からである。さらにプラズマはより広範
な高分子膜素材に対してグラフト重合開始のため
に有効である。また、おなじ理由から真空紫外線
開始によるグラフト重合も有効である。 以下に、プラズマ表面処理を経由したグラフト
重合について説明する。 プラズマ表面処理を経由するグラフト重合に
は、 (1) プラズマ照射による高分子表面のラジカル活
性化 (2) 単量体接触によるグラフト重合 の2段階が関与することになる。 まず、高分子表面のラジカル活性化のプロセス
は、通常のプラズマ表面処理と変りがない。 グロー放電を利用した低温プラズマプロセスに
ついては、すでに周知のとおりである。例えば、
J.R.ホーラン、A.T.ベル編著「プラズマ化学の技
術と応用」ワイリー、ニユーヨーク(1974)など
に詳しい。 プラズマ表面処理を改めて簡単に説明すると、
電気的放電によつて得られたグロー放電を利用し
て高分子材料を照射処理するもので、プラズマに
さらされた材料の極く表層部で各種の反応が生じ
る。すなわち、プラズマの作用で高分子を構成す
る炭素−炭素結合、炭素−水素結合などの開裂が
起つていつたん、高分子ラジカルが形成され、引
き続いてこれらのラジカルが反応して架橋や不飽
和結合、あるいは新たな極性基が導入されること
になる。 高分子へのプラズマ照射の際、架橋や不飽和結
合形成の反応にあずかることの出来なかつた高分
子ラジカルの量もかなりあることは良く知られる
ところである。プラズマグラフト重合は、これら
の高分子ラジカルを重合の開始点として利用する
ものである。表面特異的なプラズマ処理の特徴を
生かしたプラズマグラフト重合で得られる分離膜
は、基質高分子とグラフト重合層のそれぞれの機
能が生かせるという利点があり、他のグラフト手
段に比べて優れている。 グロー放電プラズマの発生方法としては、数K
Hz〜数10KHzオーダーのオーデイオ波、あるいは
波長が短かいGHzオーダーのマイクロ波、
13.56MHzのラジオ波が利用できる。 多孔性高分子膜のプラズマ表面処理条件として
は、0.01〜1.0トールのガス圧のもとで5〜100ワ
ツトの出力で5秒〜10分間照射処理することが適
当である。 プラズマガスとしては、基質多孔性高分子膜の
劣化やエツチングなどを生じることのないアルゴ
ンやヘリウムの希ガス、あるいは非重合性の窒素
ガスや残留無機ガスが適当である。酸素や空気を
プラズマガスとして用いることは、基質高分子膜
を酸化エツチングするために好ましくない。とく
に、ポリプロピレンは空気プラズマや酸素プラズ
マで劣化し膜の強度が著しく低下するので、避け
た方が良い。 つぎに、グラフト重合の方法について述べる。
グラフト重合は活性化した表面を化学的に処理す
る過程であつて、従来言われているところのプラ
ズマ処理におけるドライプロセスという特長を、
場合によつては損うこともあり得るが、連鎖重合
による規則性の高分子層を導入できるという利点
がある。さらに、新たに形成されるグラフト重合
層は、基質と共有結合により化学的に結合してい
るために脱離することがなく、機械的・化学的安
定性に優れる。 プラズマグラフト重合の方法には、 (1) プラズマ活性化した多孔性高分子膜を、高分
子ラジカルとして大気中に取り出すことなく真
空中で直接単量体ガスまたはその溶液と接触さ
せるグラフト重合 (2) プラズマ活性化した多孔性高分子膜を、いつ
たん空気ないしは酸素ガスに接触させて過酸化
物を形成し、これを熱分解して得られるオキシ
ラジカルを経由してのグラフト重合 の2つがあるが、グラフト化分離膜の作成には両
者のいずれの方法をも用いられ得る。 つぎに、こうして得られたアクリルアミドグラ
フト重合処理膜のメチロール化について説明す
る。 ポリアクリルアミドの単独重合体のメチロール
化については公知であり、たとえば、ジヤーナ
ル・オブ・ポリマー・サイエンス誌、A−1、第
7巻、第409頁、(1969)記載の方法により、高い
効率でメチロール化生成物を得ることが出来る。
これと全く同様のやり方で多孔性高分子膜の上に
グラフト重合させたポリアクリルアミド層もメチ
ロール化することが出来る。 すなわち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
または水酸化リチウムを用いて10ないしは12Nに
調製した弱アルカリ水溶液中に、パラホルムアル
デヒドを溶解させて2ないし10%の溶液とし、こ
れにポリアクリルアミドグラフト重合処理膜を浸
漬し、室温にて0.5ないし3時間反応させること
によつて達成出来る。ブラフト重合したアクリル
アミド層がほぼ完全にメチロール化していること
は、赤外吸収スペクトルにより、1020cm-1から
1030cm-1にわたつて強い吸収が認められることか
ら明らかである。この吸収は水酸基の根元のC−
O伸縮振動によるものである。 つぎに、分離の手段について述べる。 水−アルコールの分離の手段としてはパーベー
パレーシヨン法が適している。この方法は、分離
の対象となる混合溶液を膜の片面側に接触させ、
他の片面側を真空排気するか、あるいは非活性の
気体を送つて透過物を採集するものである。その
実際については、膜、第6巻、第168頁(1981)
などの文献に詳しい。パーベーパレーシヨンは、
共沸混合物の分離、蒸留のみでは分離の困難な異
性体混合物の分離に有効な方法と言われる。 パーベーパレーシヨンによる分離の実際の例を
以下に示す。 濾過ホルダー内に膜試料を装着し、このホルダ
ー内に溶液混合物を入れる。ホルダーの下方、す
なわち膜の透過液に接触していない面の側を真空
ラインに接続して、これを真空減圧にする。数分
〜10分間程度真空減圧を保ち、系の圧力が一定と
なつて膜透過が平衡に達したのち、液体窒素トラ
ツプを用いて透過分を採集する。一定時間後、採
集物を秤量するとともにガスクロマトグラフイー
にかけてピークの強度から水とアルコールの濃度
を求める。 分離性を示す一指標として、分離係数(α)は
以下の方法で与えられる。 いま、2成分A,Bの混合溶液から、成分Bの
透過分離を考えることにする。膜を介して、供給
側のAおよびB成分の濃度をそれぞれAf,Bfと
し、また透過側の濃度をそれぞれAp,Bpとする
と、Bの分離係数αB/Aはつぎの式で示される。 αB/A=Bp/Ap/Bf/Af すなわち、供給透過両側の各成分の濃度比の比と
して与えられる。 この分離係数の値が大きければ大きいほど透過
における選択性が高いことを表している。 本発明のメチロール化処理膜ではこのパーベー
パレーシヨン法により、0ないし90%のエタノー
ル水溶液を用いて分離操作を行つたときに透過液
中ではいずれもエタノール濃度が著しく低下して
おり、水選択透過性を示すことが認められた。 発明の作用 つぎに、本発明の分離膜が示す作用について添
付図によつてさらに詳細に説明する。 図は、多孔性ポリプロピレン膜上にポリアクリ
ルアミドのメチロール化処理層を有する分離膜に
よる水の選択透過を分離係数で表わし、そのグラ
フト率への依存性として示すものである。ここで
は供給液として70%エタノール水溶液を用いた例
で示している。これを特願昭60−269951記載の方
法による、すなわちメチロール化する前のアクリ
ルアミドグラフト重合処理膜によるものと比較す
ると、分離係数は4−10から40−170と大幅に増
加しており、水−エタノール分離性が著しく向上
している。すなわち、メチロール化処理が有効な
ことがわかる。 こうした水選択透過性の向上は、ポリアクリル
アミド中のアミド基−CONH2がメチロール化処
理により−CONHCH2OHの構造を取り、すなわ
ちアミド基に新たに水酸基が加わつて分離活性層
中の親水成分の密度が高くなつたこと等による。 発明の効果 本断明の分離膜は、アルコール濃度が0−90%
にわたる広範な水−アルコール混合溶液から水を
選択的に透過し、水とアルコールを分離すること
が出来る。したがつて、たとえばバイオマス発酵
液から水を除去してアルコールを濃縮すること等
のために用いることが出来る。 実施例 つぎに、実施例によつて本発明をさらに詳しく
説明する。 実施例 1 多孔性ポリプロピレン膜(ジユラガード)を用
い、これを0.02トールの残留ガス条件下に10ワツ
トで60分間処理したあと、あらかじめ真空脱気し
ておいた5%アクリルアミド水溶液30mlを加え、
真空下に60℃において2時間反応させた。反応
後、水洗により未反応モノマーおよびホモポリマ
ーを除去してアクリルアミドグラフト重合膜を得
た。これを水酸化ナトリウムを用いて11Nとした
アルカリ水溶液30mlにバラホルムアルデヒド3.0
グラムを加えて溶液化し、室温で3時間反応させ
た。水洗、乾燥後の重量増加は4.96mg/cm2であつ
た。 この膜を用いてパーベーパレーシヨンを行い、
30℃において以下の結果を得た。
先的に透過させ、アルコールを濃縮する分離膜お
よびその製造方法に関するものであり、この水−
アルコール分離膜はバイオマス発酵液からのアル
コールの濃縮、各種製造加工工程における水性ア
ルコールからのアルコールの回収精製に利用する
ことが出来る。 従来の技術 水−アルコール混合溶液をはじめとして溶液の
分離や精製には従来蒸留が用いられている。しか
しながら、この蒸留は液をいつたん加熱気化して
このときの沸点の違いを利用して物質分離を行う
ものである。この段階での加熱のための消費エネ
ルギーの量は莫大である。一方、気化した物質を
冷却液化するための水等の冷媒も必要となる。こ
のような蒸留に代わるプロセスとして、近年膜の
利用に多大の期待が寄せられている。 膜を用いた分離精製には広い範囲の用途があ
り、今日人工腎臓用としての膜による透析、逆浸
透膜による海水の淡水化、純水の製造などのプロ
セスはすでに実用化されている。また、酸素富化
膜等のガス分離膜も一部は実用化されて医療用や
化学製造工程分離プロセスのなかに取り入れられ
つつあることは周知のとおりである。 しかしながら、アルコールのような有機物質の
膜分離の例は現在極めてまれである。これは目的
に適つた膜素材の開発がいまだなされていないた
めであり、そのための努力がいま強くなされてい
る。こうした膜が実用化され、膜分離が可能とな
ればこれが蒸留等に取つて代わり、省エネルギー
や生産工程の簡略化・迅速化に寄与して各分野へ
貢献するところは大なるものと期待される。 膜を介しての分離は、透過対象物質の膜内への
溶解と拡散の程度の差を利用して行われる。すな
わち、透過物質がより優先して通過できるよう、
親和性の高い構造を膜内に構成することによつて
選択的な透過分離を達成することが出来る、たと
えば、水と水溶性有機物質の混合溶液から水を選
択的に透過させるためには、膜をより親水性の基
で構成してやればよい。 かかる見地より、水−アルコール混合溶液から
水を選択的に透過分離する膜として、たとえば以
下のようなものが検討されている。 酢酸セルロース膜〔ジヤーナル・オブ・メンブ
ラン・サイエンス誌、第1巻、第271頁、(1976)〕 ポリフエニレンオキシド膜〔膜、第8巻、第
177頁、(1983)〕 アクリル酸−アクリロニトリル共重合膜〔ジヤ
ーナル・オブ・ポリマー・サイエンス誌、ポリマ
ー・レター編、第22巻、第473頁、(1984)〕 N−置換ポリイミド含有共重合膜〔ポリマー・
ジヤーナル誌、第17巻、第363頁、(1985);同誌、
第16巻、第653頁、(1984)〕 キトサン膜〔高分子論文集、第42巻、第139頁、
(1985);同誌、第43巻、第449頁、(1986)〕 ナフイオン膜〔ジヤーナル・オブ・メンブラ
ン・サイエンス誌、第24巻、第101頁、(1985)〕 これらの膜を用いると水−アルコール混合溶液
から水を透過除去できるのでアルコールを濃縮す
ることが出来る。 発明が解決しようとする問題点 以上に述べた膜はいずれも均質膜であり、透過
速度は総じて小さい。また、これら分離膜では溶
液と接触したときに膨潤によつて膜に形成される
微細孔が物質透過の通路となり、ここで選択分離
がおこることになるが、均質膜では膨潤の程度に
よつては膜の変性や破裂なども起りうる。こうし
たことがあれば、分離膜として実用上問題とな
る。すなわち、実用上のある分離膜としては分離
性能とともに力学的な安定性が兼ね備わつていな
ければならないことは述べるまでもない。 本発明の目的は、こうした課題を克服してより
選択分離性の高い分離膜を得ることにある。 問題点を解決するための手段 このために、水およびアルコールに対して安定
な素材からなる多孔性高分子膜を基質として選択
し、この上にアクリルアミドをグラフト重合させ
たのち、メチロール化することによつてこの層を
より親水性の−CONHCH2OHの構造とした膜を
構成することにより、この目的を達成した。 まずアクリルアミドを多孔性高分子膜上にグラ
フト重合させる方法については特願昭60−269951
に詳しい。 水およびアルコールに実質的に影響を受ない多
孔性高分子膜素材としては、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフツ化ビニリ
デン、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、
セルロース誘導体を挙げることが出来る。 これら多孔性高分子膜上にアクリルアミドをグ
ラフト重合させる方法としてはいくつかの手段が
ある。たとえば、光、プラズマ、放射線等の励起
種で活性化する方法がある。それぞれに長短があ
るが、本発明に好適な分離膜を形成する手段とし
てプラズマ活性化を経由するグラフト重合を挙げ
ることが出来る。それは、プラズマによる作用が
高分子の極く表面部に限られ、多孔性高分子膜の
バルクとしての機械的性質の低下が防止できると
いう理由からである。さらにプラズマはより広範
な高分子膜素材に対してグラフト重合開始のため
に有効である。また、おなじ理由から真空紫外線
開始によるグラフト重合も有効である。 以下に、プラズマ表面処理を経由したグラフト
重合について説明する。 プラズマ表面処理を経由するグラフト重合に
は、 (1) プラズマ照射による高分子表面のラジカル活
性化 (2) 単量体接触によるグラフト重合 の2段階が関与することになる。 まず、高分子表面のラジカル活性化のプロセス
は、通常のプラズマ表面処理と変りがない。 グロー放電を利用した低温プラズマプロセスに
ついては、すでに周知のとおりである。例えば、
J.R.ホーラン、A.T.ベル編著「プラズマ化学の技
術と応用」ワイリー、ニユーヨーク(1974)など
に詳しい。 プラズマ表面処理を改めて簡単に説明すると、
電気的放電によつて得られたグロー放電を利用し
て高分子材料を照射処理するもので、プラズマに
さらされた材料の極く表層部で各種の反応が生じ
る。すなわち、プラズマの作用で高分子を構成す
る炭素−炭素結合、炭素−水素結合などの開裂が
起つていつたん、高分子ラジカルが形成され、引
き続いてこれらのラジカルが反応して架橋や不飽
和結合、あるいは新たな極性基が導入されること
になる。 高分子へのプラズマ照射の際、架橋や不飽和結
合形成の反応にあずかることの出来なかつた高分
子ラジカルの量もかなりあることは良く知られる
ところである。プラズマグラフト重合は、これら
の高分子ラジカルを重合の開始点として利用する
ものである。表面特異的なプラズマ処理の特徴を
生かしたプラズマグラフト重合で得られる分離膜
は、基質高分子とグラフト重合層のそれぞれの機
能が生かせるという利点があり、他のグラフト手
段に比べて優れている。 グロー放電プラズマの発生方法としては、数K
Hz〜数10KHzオーダーのオーデイオ波、あるいは
波長が短かいGHzオーダーのマイクロ波、
13.56MHzのラジオ波が利用できる。 多孔性高分子膜のプラズマ表面処理条件として
は、0.01〜1.0トールのガス圧のもとで5〜100ワ
ツトの出力で5秒〜10分間照射処理することが適
当である。 プラズマガスとしては、基質多孔性高分子膜の
劣化やエツチングなどを生じることのないアルゴ
ンやヘリウムの希ガス、あるいは非重合性の窒素
ガスや残留無機ガスが適当である。酸素や空気を
プラズマガスとして用いることは、基質高分子膜
を酸化エツチングするために好ましくない。とく
に、ポリプロピレンは空気プラズマや酸素プラズ
マで劣化し膜の強度が著しく低下するので、避け
た方が良い。 つぎに、グラフト重合の方法について述べる。
グラフト重合は活性化した表面を化学的に処理す
る過程であつて、従来言われているところのプラ
ズマ処理におけるドライプロセスという特長を、
場合によつては損うこともあり得るが、連鎖重合
による規則性の高分子層を導入できるという利点
がある。さらに、新たに形成されるグラフト重合
層は、基質と共有結合により化学的に結合してい
るために脱離することがなく、機械的・化学的安
定性に優れる。 プラズマグラフト重合の方法には、 (1) プラズマ活性化した多孔性高分子膜を、高分
子ラジカルとして大気中に取り出すことなく真
空中で直接単量体ガスまたはその溶液と接触さ
せるグラフト重合 (2) プラズマ活性化した多孔性高分子膜を、いつ
たん空気ないしは酸素ガスに接触させて過酸化
物を形成し、これを熱分解して得られるオキシ
ラジカルを経由してのグラフト重合 の2つがあるが、グラフト化分離膜の作成には両
者のいずれの方法をも用いられ得る。 つぎに、こうして得られたアクリルアミドグラ
フト重合処理膜のメチロール化について説明す
る。 ポリアクリルアミドの単独重合体のメチロール
化については公知であり、たとえば、ジヤーナ
ル・オブ・ポリマー・サイエンス誌、A−1、第
7巻、第409頁、(1969)記載の方法により、高い
効率でメチロール化生成物を得ることが出来る。
これと全く同様のやり方で多孔性高分子膜の上に
グラフト重合させたポリアクリルアミド層もメチ
ロール化することが出来る。 すなわち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
または水酸化リチウムを用いて10ないしは12Nに
調製した弱アルカリ水溶液中に、パラホルムアル
デヒドを溶解させて2ないし10%の溶液とし、こ
れにポリアクリルアミドグラフト重合処理膜を浸
漬し、室温にて0.5ないし3時間反応させること
によつて達成出来る。ブラフト重合したアクリル
アミド層がほぼ完全にメチロール化していること
は、赤外吸収スペクトルにより、1020cm-1から
1030cm-1にわたつて強い吸収が認められることか
ら明らかである。この吸収は水酸基の根元のC−
O伸縮振動によるものである。 つぎに、分離の手段について述べる。 水−アルコールの分離の手段としてはパーベー
パレーシヨン法が適している。この方法は、分離
の対象となる混合溶液を膜の片面側に接触させ、
他の片面側を真空排気するか、あるいは非活性の
気体を送つて透過物を採集するものである。その
実際については、膜、第6巻、第168頁(1981)
などの文献に詳しい。パーベーパレーシヨンは、
共沸混合物の分離、蒸留のみでは分離の困難な異
性体混合物の分離に有効な方法と言われる。 パーベーパレーシヨンによる分離の実際の例を
以下に示す。 濾過ホルダー内に膜試料を装着し、このホルダ
ー内に溶液混合物を入れる。ホルダーの下方、す
なわち膜の透過液に接触していない面の側を真空
ラインに接続して、これを真空減圧にする。数分
〜10分間程度真空減圧を保ち、系の圧力が一定と
なつて膜透過が平衡に達したのち、液体窒素トラ
ツプを用いて透過分を採集する。一定時間後、採
集物を秤量するとともにガスクロマトグラフイー
にかけてピークの強度から水とアルコールの濃度
を求める。 分離性を示す一指標として、分離係数(α)は
以下の方法で与えられる。 いま、2成分A,Bの混合溶液から、成分Bの
透過分離を考えることにする。膜を介して、供給
側のAおよびB成分の濃度をそれぞれAf,Bfと
し、また透過側の濃度をそれぞれAp,Bpとする
と、Bの分離係数αB/Aはつぎの式で示される。 αB/A=Bp/Ap/Bf/Af すなわち、供給透過両側の各成分の濃度比の比と
して与えられる。 この分離係数の値が大きければ大きいほど透過
における選択性が高いことを表している。 本発明のメチロール化処理膜ではこのパーベー
パレーシヨン法により、0ないし90%のエタノー
ル水溶液を用いて分離操作を行つたときに透過液
中ではいずれもエタノール濃度が著しく低下して
おり、水選択透過性を示すことが認められた。 発明の作用 つぎに、本発明の分離膜が示す作用について添
付図によつてさらに詳細に説明する。 図は、多孔性ポリプロピレン膜上にポリアクリ
ルアミドのメチロール化処理層を有する分離膜に
よる水の選択透過を分離係数で表わし、そのグラ
フト率への依存性として示すものである。ここで
は供給液として70%エタノール水溶液を用いた例
で示している。これを特願昭60−269951記載の方
法による、すなわちメチロール化する前のアクリ
ルアミドグラフト重合処理膜によるものと比較す
ると、分離係数は4−10から40−170と大幅に増
加しており、水−エタノール分離性が著しく向上
している。すなわち、メチロール化処理が有効な
ことがわかる。 こうした水選択透過性の向上は、ポリアクリル
アミド中のアミド基−CONH2がメチロール化処
理により−CONHCH2OHの構造を取り、すなわ
ちアミド基に新たに水酸基が加わつて分離活性層
中の親水成分の密度が高くなつたこと等による。 発明の効果 本断明の分離膜は、アルコール濃度が0−90%
にわたる広範な水−アルコール混合溶液から水を
選択的に透過し、水とアルコールを分離すること
が出来る。したがつて、たとえばバイオマス発酵
液から水を除去してアルコールを濃縮すること等
のために用いることが出来る。 実施例 つぎに、実施例によつて本発明をさらに詳しく
説明する。 実施例 1 多孔性ポリプロピレン膜(ジユラガード)を用
い、これを0.02トールの残留ガス条件下に10ワツ
トで60分間処理したあと、あらかじめ真空脱気し
ておいた5%アクリルアミド水溶液30mlを加え、
真空下に60℃において2時間反応させた。反応
後、水洗により未反応モノマーおよびホモポリマ
ーを除去してアクリルアミドグラフト重合膜を得
た。これを水酸化ナトリウムを用いて11Nとした
アルカリ水溶液30mlにバラホルムアルデヒド3.0
グラムを加えて溶液化し、室温で3時間反応させ
た。水洗、乾燥後の重量増加は4.96mg/cm2であつ
た。 この膜を用いてパーベーパレーシヨンを行い、
30℃において以下の結果を得た。
【表】
また、40℃において以下の結果を得た。
【表】
また、50℃において以下の結果を得た。
【表】
実施例 2
実施例1と同様の方法によりポリプロピレン多
孔膜をプラズマ処理の後、このフイルムを大気中
に10分間さらした。これに前と同様な条件下にア
クリルアミドのグラフト重合とメチロール化処理
を行い、グラフト率0.83mg/cm2の膜を得た。 この膜を用いてパーベーパレーシヨンを行い、
40℃において以下の結果を得た。
孔膜をプラズマ処理の後、このフイルムを大気中
に10分間さらした。これに前と同様な条件下にア
クリルアミドのグラフト重合とメチロール化処理
を行い、グラフト率0.83mg/cm2の膜を得た。 この膜を用いてパーベーパレーシヨンを行い、
40℃において以下の結果を得た。
【表】
実施例 3
実施例1と同様の方法によりポリプロピレン多
孔膜をプラズマ処理の後、このフイルムを大気中
に60分間さらした。これに前と同様な条件下にア
クリルアミドのグラフト重合とメチロール化処理
を行い、グラフト率0.625mg/cm2の膜を得た。 この膜を用いてパーベーパレーシヨンを行い、
40℃において以下の結果を得た。
孔膜をプラズマ処理の後、このフイルムを大気中
に60分間さらした。これに前と同様な条件下にア
クリルアミドのグラフト重合とメチロール化処理
を行い、グラフト率0.625mg/cm2の膜を得た。 この膜を用いてパーベーパレーシヨンを行い、
40℃において以下の結果を得た。
【表】
比較例 1
実施例1のメチロール化する前のアクリルアミ
ドグラフト化処理膜を用いて40℃で分離実験を行
つたときの結果は以下のとおりであつた。
ドグラフト化処理膜を用いて40℃で分離実験を行
つたときの結果は以下のとおりであつた。
図は、本発明の分離膜1による水−アルコール
分離の分離係数をグラフト率への依存性として示
すものであり、メチロール化処理前のアクリルア
ミドグラフト化膜2におけるものと比較して示し
ている。
分離の分離係数をグラフト率への依存性として示
すものであり、メチロール化処理前のアクリルア
ミドグラフト化膜2におけるものと比較して示し
ている。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 アクリルアミドをグラフト重合させた多孔性
高分子膜基質のメチロール化処理物から成る水−
アルコール分離膜 2 多孔性高分子膜基質の表面にアクリルアミド
をグラフト重合させたのち、メチロール化処理す
ることを特徴とする水−アルコール分離膜の製造
方法
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP18597187A JPS6430602A (en) | 1987-07-24 | 1987-07-24 | Water-alcohol separation membrane and its production |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP18597187A JPS6430602A (en) | 1987-07-24 | 1987-07-24 | Water-alcohol separation membrane and its production |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS6430602A JPS6430602A (en) | 1989-02-01 |
| JPH0516287B2 true JPH0516287B2 (ja) | 1993-03-04 |
Family
ID=16180081
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP18597187A Granted JPS6430602A (en) | 1987-07-24 | 1987-07-24 | Water-alcohol separation membrane and its production |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS6430602A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR20140121158A (ko) * | 2013-04-05 | 2014-10-15 | 연세대학교 산학협력단 | 다수 진단체계에 대한 분석장치 및 분석방법, 그리고 이에 적용되는 기록매체 |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2826346B2 (ja) * | 1989-08-07 | 1998-11-18 | 株式会社日立製作所 | 耐放射線性多孔質高分子膜及び膜分離装置 |
| JP5261319B2 (ja) | 2008-09-10 | 2013-08-14 | 富士フイルム株式会社 | 照明カバー |
-
1987
- 1987-07-24 JP JP18597187A patent/JPS6430602A/ja active Granted
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR20140121158A (ko) * | 2013-04-05 | 2014-10-15 | 연세대학교 산학협력단 | 다수 진단체계에 대한 분석장치 및 분석방법, 그리고 이에 적용되는 기록매체 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS6430602A (en) | 1989-02-01 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| US4046843A (en) | Process for preparing membranes for separation of substances | |
| US5468390A (en) | Low fouling ultrafiltration and microfiltration aryl polysulfone | |
| US3775308A (en) | Method for preparation of composite semipermeable membrane | |
| US3992495A (en) | Method of manufacturing a semipermeable membrane from a water-soluble polymeric resin | |
| US4272378A (en) | Semipermeable membrane | |
| JPH02187136A (ja) | イミノジ酢酸基を有する複合機能ろ過膜の製造方法 | |
| JP2013081938A (ja) | 複合半透膜の製造方法および複合半透膜 | |
| WO2000069951A2 (en) | Plasma-annealed porous polymers | |
| Shimomura et al. | Preparation of polyacrylonitrile reverse osmosis membrane by plasma treatment | |
| JPH0516287B2 (ja) | ||
| JP3668772B2 (ja) | 分離膜及びその製造方法 | |
| JP2521883B2 (ja) | プラズマ処理炭酸ガス分離膜の製法 | |
| JPH0478328B2 (ja) | ||
| JPS59160504A (ja) | 親水化分離膜及びその製造方法 | |
| JP3668771B2 (ja) | 分離膜及びその製造方法 | |
| JP3056560B2 (ja) | 液体用濾過膜及びそれを用いた濾過装置 | |
| JP2005349268A (ja) | 多孔性膜の拡散現象を利用した物質分離精製方法 | |
| JPS62129112A (ja) | 水の選択的分離方法 | |
| JPH046411B2 (ja) | ||
| JPH0521010B2 (ja) | ||
| Gupta et al. | Separation of liquid mixtures by pervaporation | |
| JP3040129B2 (ja) | 複合膜 | |
| JPH0729034B2 (ja) | 有機物分離用中空糸複合膜 | |
| JPH0516290B2 (ja) | ||
| JPS62193604A (ja) | グラフト重合法による外部刺激応答性膜の製造 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| EXPY | Cancellation because of completion of term |