JPH05185097A - 嫌気性消化槽のモニター装置 - Google Patents

嫌気性消化槽のモニター装置

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JPH05185097A
JPH05185097A JP616092A JP616092A JPH05185097A JP H05185097 A JPH05185097 A JP H05185097A JP 616092 A JP616092 A JP 616092A JP 616092 A JP616092 A JP 616092A JP H05185097 A JPH05185097 A JP H05185097A
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浩之 後藤
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茂雄 佐藤
Norimasa Yoshino
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 嫌気性消化槽の水質を連続的にモニタリング
するに際して、多くの分析機器を確保する必要がなく、
管理指標となる項目を高精度に且つ全自動的に測定する
ことができるモニター装置を提供することを目的とす
る。 【構成】 消化汚泥が貯留される濾液槽1と、この濾液
槽1内の消化汚泥がサンプリングされて導入されるとと
もにpH計4,4が夫々配備された酸滴定槽2及びアル
カリ滴定槽3と、制御部9にて求められた値に対応した
量の試薬を分注器6a,3bにより上記酸滴定槽2及び
アルカリ滴定槽3に分注する滴定機構とを具備して成
り、サンプリングの液pH値と試薬の滴定量によって汚
泥の消化状態を連続的にモニタリングする嫌気性消化槽
のモニター装置の構成にしてある。又、上記濾液槽の前
段に受泥槽,凝集槽,沈澄槽及びフィルタを配設した構
成を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は汚泥を処理する嫌気性消
化槽内の状態変化を連続的にモニタリングするようにし
たモニター装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に生物学的な嫌気性汚泥消化は、2
種類の細菌群によって段階的に進行する。第一段階は
「酸生成段階」と呼称され、消化槽に投入された汚泥が
加水分解菌とか酸生成菌の働きによって有機酸等の中間
生成物に分解される。第二段階は「メタン生成段階」と
呼称され、上記酸生成段階で生成された有機酸等の中間
生成物が、メタン生成菌の働きによってメタンガス,二
酸化炭素,アンモニア等の最終生成物に分解される。
【0003】上記第二段階で生成されるアンモニアは、
第一段階で生成される有機酸を中和する機能と、二酸化
炭素が溶解して生じる重炭酸塩とともにpH緩衝能力
(pH変化に抵抗する能力)を有しており、メタン生成
菌にとって良好な弱アルカリの槽内環境を創り出すこと
に役立っている。
【0004】メタン生成菌は酸生成菌に比較して増殖速
度が遅く、且つ環境変化に敏感であることから、一般に
消化速度を律速するのはメタン生成段階であるとされて
いる。従って消化槽の良好な運転のためには、メタン生
成菌の生存に適した槽内環境を維持することが重要であ
る。
【0005】このような観点から、良好な嫌気性汚泥消
化を達成維持するためには、消化槽内の状態変化を連続
的にモニタリングすることが極めて重要であり、特に嫌
気性汚泥消化では一旦処理が不良となった場合には、そ
の回復に長時間を要するため、槽内の状態が異常である
ことをいち早く察知することが運転管理上の最重要課題
である。更に経済性をも考慮に入れた最適運転制御を目
指す場合には、連続モニター監視によって対象となる消
化槽の良好な運転範囲を常時把握しておき、槽内の状態
がその良好な運転範囲を逸脱しないように監視しながら
制御を行う必要がある。
【0006】従来から知られている消化槽の運転管理指
標としては、以下の4項目が挙げられる。 (1)pHの管理 (2)有機酸濃度の管理 (3)アルカリ度の管理 (4)メタンガス生成速度(ガス生成速度+ガス組成)の
管理 上記(1)のpHの管理に関して述べると、一般に良好
に稼働している消化槽の場合には槽内のpHは中性付近
に維持されている。しかし消化槽内に異常が発生した場
合には、先ずpH異常,即ちpHが中性付近からの逸脱
するという現象となって現れる。例えば前記第二段階の
メタン生成菌の活動が弱まると、嫌気性消化の第一段階
で生成される有機酸が分解されずに蓄積され、pH低下
(酸敗)現象が起こる。又、第二段階でのアンモニア生
成が第一段階での酸生成に比べて過剰な場合には、pH
上昇現象が発生する。
【0007】前記(2)の有機酸濃度の管理に関して述
べると、この有機酸はメタン生成菌にとって基質である
が、有機酸濃度が高くなるか或はpHが低下すると、有
機酸が弱酸であることからイオン化していない非電離の
有機酸が増加する。この非電離の有機酸は、ある濃度以
上となるとメタン生成菌にとっての抑制毒性物質となる
ことが知られており、消化槽への有機物過負荷が原因と
しておこる酸敗現象は、非電離有機酸の抑制毒性効果の
結果とされている。非電離有機酸濃度は、有機酸濃度か
らpHの関数として求めることができる。
【0008】次に前記(3)のアルカリ度の管理に関し
て述べると、消化槽内の汚泥はpHの緩衝能力が高いた
め、消化槽の異常がpH異常として顕著に現れるのは、
トラブルの進行がかなり進んだ末期状態である場合が多
い。しかし消化槽のpH異常の前兆は、pHの緩衝能力
の変化として捕らえることができる。上記アルカリ度と
は、このpHの緩衝能力を表わす指標である。嫌気汚泥
のアルカリ度は主に溶解性無機炭素によるものである。
溶解性無機炭素は、溶液中のイオン電荷の変化に伴い、
二酸化炭素・重炭酸・炭酸と形態変化することによっ
て、溶液pHの変化を緩衝する。これら三形態無機炭素
のモル比は、三形態の総和としての溶解性無機炭素濃度
からpHの関数として理論計算によって求めることがで
きる。
【0009】更に前記(4)のメタンガス生成速度の管
理に関して述べると、メタン生成菌の環境変化とか抑制
毒性物質(硫化物や重金属類)流入による活性度異常
は、メタンガス生成速度の低下として現れる。メタンガ
スの発生速度は、ガス生成速度にガス中のメタンガス分
圧(濃度)を乗じることで求められる。但しメタンガス
分圧に関しては、直接メタンガス濃度を測定しなくても
前記(3)の溶解性無機炭酸濃度から計算することも可
能である。即ち、メタンガス分圧は、消化ガスのほとん
どがメタンガスと二酸化炭素ガスより構成されているこ
とから、1分圧より二酸化炭素ガス分圧を差し引くこと
で求めることができる。
【0010】更に消化ガス中の二酸化炭素ガス分圧は、
ヘンリーの法則(気液平衡)から、溶解性の二酸化炭素
濃度より理論計算で求めることが可能である。溶解性の
二酸化炭素濃度は、前記(3)の溶解性無機炭素濃度と
pHより理論計算で求められるものである。従って発生
ガス速度、溶解性無機炭素濃度とpHとが分かっていれ
ば、メタンガス発生速度は計算で推定することができ
る。
【0011】上記の各項目以外にも、連続モニターすべ
き指標としてイオン化していないアンモニア濃度があ
る。即ち、嫌気性消化の第二段階でのアンモニア生成
は、これが適度な場合には槽内pHの中性付近を維持す
る上で不可欠であるが、アンモニア生成が過度である場
合には、槽内pHの上昇を引き起こして、メタン生成に
とって好ましくない環境を作ってしまうことになる。更
に高いpHと過度のアンモニア蓄積は、結果としてイオ
ン化していない遊離アンモニア濃度を上昇させ、この遊
離アンモニアが高濃度の場合には、メタン生成菌への抑
制毒性効果があることが報告されている。遊離アンモニ
ア濃度は、アンモニア濃度とpHより求めることができ
る。
【0012】更に上記以外のモニター項目として、栄養
塩バランス(C/N比、微量必須重金属)や槽内温度の
管理が挙げられる。しかし栄養塩バランスは、投入汚泥
組成が急変しない限り頻度高く連続的にモニターする必
要はなく、槽内温度は従来から十分監視制御されている
項目である。
【0013】上記(1)のpHと(4)のメタンガス生
成速度は連続的に測定することが可能であるが、消化状
態を決定する最も重要な因子である(2)の有機酸濃度
は連続的に測定することができないため、この有機酸濃
度の管理は、操作員が現場に赴いて試料のサンプリング
を行い、高価な分析機器を用いて測定を実施しているの
が実情である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上嫌気性消化槽にお
いて連続的にモニタリングすることが好ましい項目を挙
げて説明したが、操作員が試料のサンプリングを行って
総有機酸濃度,アンモニア濃度及び全無機炭素濃度を測
定する方法は、測定者の手操作に依存する不可避的な測
定誤差とか、汚泥状態での測定に起因するpH値の誤差
があり、しかも測定に多くの機器を使用しなければなら
ないため、全工程を自動的に実施することが困難である
という課題があった。
【0015】例えば上記連続モニター項目を測定するた
めの既存の機器として以下のものが使用される。 pH・・・・・・・・・・・・・pH電極 有機酸・・・・・・・・・・・液体クロマトグラフ 無機炭酸・・・・・・・・・IC計或は滴定によるアルカリ度測
定 メタンガス・・・・・・・ガスクロマトグラフ ガス生成速度・・・・・ガス流量計 アンモニア・・・・・・・アンモニア電極 従来はこのような分析に必要な各種分析機器を全て確保
しなければならない上、多くの機器は前処理が必要であ
ったり、サンプル用の特殊機器が必要であったりして、
連続的に測定することができる機器は少ない。更に測定
に際しても各々の機器で検量線を作成しなければならな
いという繁雑さがあり、測定機器が多いほど保守点検を
行う作業員の数を増大させなければならない。
【0016】又、汚泥を固形物と抽出液とに分離する作
業とか、滴定用試料の計量及び滴定用試薬の注入作業は
厳密な正確性が要求され、これらの要求が満足されない
場合には測定の再現性が充分に得られない場合もある。
又、測定作業を繰り返し実施する場合には、測定後の各
槽を手操作によって洗浄するという煩瑣な作業が要求さ
れる。
【0017】そこで本発明はこのような従来の消化槽の
モニタリングを実施する際に生じる各種の課題を解消し
て、測定者の手操作により不可避的に生じる測定誤差を
なくし、しかも多くの測定機器を使用することなく、管
理指標となる項目を高精度に且つ自動的に測定すること
ができる嫌気性消化槽のモニター装置を提供することを
目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するために、請求項1により、消化汚泥が貯留される
濾液槽と、この濾液槽内の消化汚泥がサンプリングされ
て導入されるとともにpH計が夫々配備された酸滴定槽
及びアルカリ滴定槽と、制御部にて求められた値に対応
した量の試薬を分注器により上記酸滴定槽及びアルカリ
滴定槽に分注する滴定機構とを具備して成り、サンプリ
ングの液pH値と試薬の滴定量によって汚泥の消化状態
を連続的にモニタリングするようにした嫌気性消化槽の
モニター装置をその実現手段としている。更に請求項2
として、消化汚泥を受け入れる受泥槽と、凝集剤の注入
によって上記消化汚泥を凝集させる凝集槽と、この凝集
槽の上澄液が貯留される沈澄槽と、該沈澄槽からフィル
タを介して流入する液が貯留される濾液槽と、この濾液
槽内の消化汚泥がサンプリングされて導入されるととも
にpH計が夫々配備された酸滴定槽及びアルカリ滴定槽
と、制御部にて求められた値に対応した量の試薬を分注
器により上記酸滴定槽及びアルカリ滴定槽に分注する滴
定機構とを具備した嫌気性消化槽のモニター装置の構成
にしてある。
【0019】更に上記消化槽のモニター装置には、測定
終了後に前記各槽内に洗浄水を注入して撹拌するための
洗浄水貯留槽を配備してあり、前記酸滴定槽及びアルカ
リ滴定槽には、測定されたデータを液温度値により補正
するための温度計を配備してある。
【0020】
【作用】かかる請求項1記載のモニター装置によれば、
濾液槽内に送り込まれた消化汚泥の一定量がサンプリン
グされて酸滴定槽及びアルカリ滴定槽に送り込まれる。
この酸滴定槽とアルカリ滴定槽には、滴定試薬が自動分
注器等を用いた滴定機構の作用に基づいて順次添加さ
れ、所定のpH値になるまで滴定が行われる。この滴定
量とpH計で測定されたpH値とが制御部に送り込まれ
て酸−アルカリ平衡理論に基づく処理が実施され、総有
機酸濃度,アンモニア濃度,全無機炭素濃度等が連続的
にモニタリングされる。測定されたデータは温度計によ
って測定された液温度値により補正される。
【0021】又、請求項2の構成によれば、上記濾液槽
の前段で消化汚泥の凝集、沈澄及び濾過を行うことによ
り、pHの測定値が実際の試料のpH変化としてとらえ
られて、測定精度が高められる。
【0022】上記測定の終了後に各槽内に洗浄水貯留槽
から洗浄水を注入し、撹拌器等を併用することによって
各槽の内壁面が直ちに洗浄されて次回の測定に対処する
ことができる。
【0023】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の各実施例を詳述
する。図1は本発明の第1実施例を説明する概要図であ
り、図中の1は濾液槽であって、この濾液槽1内に図外
の消化槽からの消化汚泥が貯留される。2は酸滴定槽、
3はアルカリ滴定槽であり、該酸滴定槽2とアルカリ滴
定槽3には夫々pH計4,4と温度計5,5が配備され
ている。
【0024】6a,6bは滴定試薬を各酸滴定槽2とア
ルカリ滴定槽3に添加する分注器、7はシーケンスコン
トローラ、8はパーソナルコンピュータであり、このシ
ーケンスコントローラ7とパーソナルコンピュータ8と
によって制御部9が構成される。10は消化汚泥のサン
プリング用ポンプ、11は二方向バルブである。更に1
2は洗浄水貯留槽、13は前記各槽に洗浄水を供給する
流体ポンプである。
【0025】かかる第1実施例の基本的動作を以下に説
明する。先ず図外の消化槽から濾液槽1内に送り込まれ
た消化汚泥の一定量(例えば100ml)がサンプリン
グ用ポンプ10の作用に基づいてサンプリングされて、
二方向バルブ11を介して酸滴定槽2及びアルカリ滴定
槽3に送り込まれる。
【0026】次に酸滴定槽2とアルカリ滴定槽3には、
滴定試薬であるHClとNaOHが分注器6a,6b及
び電動ビューレットを用いて例えばピッチ量0.05−
0.10mlで順次添加され、pHが各々2.0と1
0.0になるまで滴定が行われ、この滴定量とpH計
4,4で測定されたpH値とが制御部9を構成するシー
ケンスコントローラ7及びパーソナルコンピュータ8に
送り込まれて後述する酸−アルカリ平衡理論に基づく処
理が実施され、総有機酸濃度(A)の外に、アンモニア
濃度(N),全無機炭素濃度(T)等がモニタリングさ
れる。尚、シーケンスコントローラ7を介さずにパーソ
ナルコンピュータ8のみで処理を行うことも出来る。更
に詳細は後述するアルゴリズムで説明するが、測定され
たデータは温度計5,5によって測定された液温度値に
より補正される。
【0027】上記測定の終了後に、流体ポンプ13を稼
働することにより、前記各槽内に洗浄水貯留槽12から
洗浄水が注入されて、図外の撹拌器等を併用することに
よって各槽の内壁面が洗浄される。
【0028】図2は本発明の第2実施例を説明する概要
図であり、この実施例では前記第1実施例における濾液
槽1の前段で消化汚泥の凝集、沈澄及び濾過を行って測
定精度を高めたことが特徴となっている。即ち、図中の
15は消化汚泥を受け入れる受泥槽、16は凝集槽、1
7は沈澄槽、18はフィルタであり、このフィルタ18
を通過したサンプルが濾液槽1に貯留される。以下第1
実施例と同様に、2は酸滴定槽、3はアルカリ滴定槽、
4,4は各滴定槽に配備されたpH計、5,5は温度
計、6a,6bは滴定試薬を各酸滴定槽2とアルカリ滴
定槽3に添加する分注器、7は制御部9を構成するシー
ケンスコントローラ、8は同パーソナルコンピュータで
ある。尚、図2には図示していないが、本例の場合にあ
っても第1実施例で開示した洗浄水貯留槽12と、この
洗浄水貯留槽12から各槽に洗浄水を供給する流体ポン
プ13とが配備されている。
【0029】かかる第2実施例によれば、受泥槽15に
受け入れられた消化汚泥に、次段の凝集槽16で高分子
凝集剤16aが添加されて微粒子成分が凝集化される。
次に沈澄槽17で固液分離された後、この沈澄槽17の
上澄液がフィルター18を用いて濾過され、目標とする
ss濃度以下の濾液を得て、この濾液が濾液槽1に貯留
される。そして第1実施例と同様に濾液の一定量がサン
プリングされて、酸滴定槽2及びアルカリ滴定槽3に送
り込まれ、滴定試薬であるHClとNaOHが分注器6
a,6b及び電動ビューレットを用いて添加されて滴定
が行われ、この滴定量とpH計10で測定されたpH値
とが制御部13を構成するシーケンスコントローラ11
及びパーソナルコンピュータ12に送り込まれて、酸−
アルカリ平衡理論に基づく処理が実施され、総有機酸濃
度(A),アンモニア濃度(N),全無機炭素濃度
(T)等がモニタリングされる。
【0030】上記第1,第2実施例において、酸−アル
カリ平衡理論に基づく嫌気性消化槽用の連続モニタリン
グを実施するに際して、全工程が制御部9を構成するシ
ーケンスコントローラ7もしくはパーソナルコンピュー
タ8に予め組み込まれたプログラムに基づいて全自動的
に実施されることが特徴となっている。具体的には、図
3に示したアルゴリズムにより、消化槽モニターとして
pH−滴定量のデータ対から前記した連続的にモニター
すべき項目の全てを測定することができる。
【0031】図3に基づいて上記アルゴリズムの実際を
説明する。この制御で示されるメインルーチン内での処
理は、図示しないオペレーティングシステムにより所定
の周期(例えば20msec)で駆動される定時間割り込み処
理である。
【0032】同図において、制御がスタートすると、先
ずステップ101で初期データ等の設定データが入力さ
れ、ステップ102で各データの配列宣言及び割り込み条
件がセットされた後、ステップ103で各変数が初期化さ
れ、必要とするシステム状態がセットされる。次にステ
ップ104で酸,アルカリ側の各々について0回目のpH
値と温度が測定され、且つ自動分注器の初期化とエラー
チェックが行われる。
【0033】次にステップ105により、酸側計測用のタ
イマー1がセットされ、ステップ106により前記設定デ
ータに基づいて酸の分注量1が演算される。この演算結
果に基づいてステップ107により自動分注器により薬品
が酸滴定槽に分注される。そしてステップ108により、
直ちに酸滴定槽のpH1及び温度T1が測定される。
【0034】次にステップ109により、タイマー>TM
1,即ち上記の測定中にタイマー1に設定された時間T
M1よりも時間が経過した場合には、ステップ111へ進
んで強制的に最後のデータが測定データとされる。上記
の時間TM1は全体の計測時間に大きな影響を与えず、
且つpHを安定化させるのに十分な時間であることが望
ましい。
【0035】上記のステップ109で、タイマー<TM
1,即ち測定時間が上記タイマー1に設定された時間T
M1に達しない場合、換言すればタイマー1がカウント
アップされない場合には、ステップ110でpH1−pH
1’即ちpHの変化率を計算して、その値が前記設定デ
ータで入力した初期値DpHを越えていない場合には、
ステップ106へ戻って分注量1の演算を再度行い、設定
された分注量範囲に基づいて次回の分注量が演算され
る。又、ステップ110でpH1−pH1’>DpH,即
ちpHの変化率が設定データに基づいて入力したpHを
超えた場合には、ステップ111で最後のpHと分注器及
び温度データがデータセットされる。尚、温度データは
精度向上のための補正信号として用いるものであり、本
実施例では必ずしも必要としない。
【0036】そして薬品の分注により試料のpHが次第
に小さくなり、ステップ112で該pHがpHDN(下
限)以下になると、ステップ113で終了フラグセットが
立ち、酸側の計測が終了してステップ114でパーソナル
コンピュータ12においてモニタリングのためのデータ
処理が行われる。
【0037】一方、上記ステップ105〜ステップ114と一
定の時間間隔を保って交互にアルカリ側の計測が行われ
る。このアルカリ側の計測は、先ずステップ115により
アルカリ側計測用のタイマー2がセットされ、ステップ
116により前記設定データに基づいてアルカリの分注量
2が演算される。この演算結果に基づいてステップ117
により薬品がアルカリ滴定槽に分注される。そしてステ
ップ118により、直ちにアルカリ滴定槽のpH2及び温
度T2が測定される。
【0038】以下、酸側のステップ109〜111で説明した
工程とほぼ同一のステップ119〜121を踏んでアルカリ側
のデータセットが行われる。そして薬品の分注によって
試料のpHが次第に大きくなり、ステップ122で該pH
がpHUP(上限)になると、ステップ123で終了フラ
グセットが立ち、アルカリ側の計測が終了してステップ
124でパーソナルコンピュータ12においてモニタリン
グのためのデータ処理が行われる。
【0039】尚、上記の酸側の各ステップとアルカリ側
の各ステップは、ある時間毎に交互に行うものである
が、酸側を先に実施するかもしくはアルカリ側を先に実
施するかは自在に選択可能であり、同時に行うこともで
きる。
【0040】次に本発明の基本原理である酸−アルカリ
平衡理論を説明する。即ち、本実施例は消化槽内汚泥に
対する酸−アルカリ滴定カーブから以下の10個の物質
濃度を求めることを特徴としている。 [H+],[OH-],[CH3COO-],[CH3COOH],[H2CO3],
[HCO3 -],[CO3 2-],pCO2,[NH4 +],[NH4OH] 消化槽内の有機酸は、酢酸,プロピオン酸、酪酸等であ
るが、これらの有機酸はそれぞれ1.76×10-5,1.34×10
-5,1.54×10-5の比較的似通った電離定数を持ってい
る。従ってこれらの有機酸は、一括した形で酢酸として
まとめて考えて、電離定数は1.5×10-5であると仮定で
きる。
【0041】すると前記の物質濃度間には、以下に記す
化学平衡関係式が成立する。
【0042】
【数1】
【0043】
【数2】
【0044】
【数3】
【0045】
【数4】
【0046】
【数5】
【0047】
【数6】
【0048】上記(3)式を除く(1)〜(6)式は、
総有機酸濃度(A),総アンモニア濃度(N),全無機
炭素濃度(T)と水素イオン濃度によって以下のように
式の変形が可能である。
【0049】
【数7】
【0050】
【数8】
【0051】
【数9】
【0052】
【数10】
【0053】
【数11】
【0054】更に酸−アルカリ平衡では、電荷バランス
式が成立する。これはプラスイオンの電荷の総和がマイ
ナスイオンの電荷の総和と等しいとの法則である。これ
を式で表わすと(12)式となる。
【0055】
【数12】
【0056】ここで[Z]は正味の陽イオン濃度の総和
である。実際の試料中には上記の有機酸,アンモニア,
無機炭素等のイオンの他にも様々な物質がイオンとして
存在する。しかしそれらのイオン濃度は、消化槽内の微
生物反応で変化せず、一定であると考える。
【0057】従って[H+]、[NH4 +]、[HCO3 -]、[CO3
2-]、[CH3COO-]、[OH-]イオン以外の全てのイオンの
電荷のプラス総和(陽イオン電荷の総和−陰イオン電荷
の総和)を正味の陽イオン濃度[Z]として定数扱いす
ることができる。
【0058】前記電荷バランス式の[NH4 +]、[HC
O3 -]、[CO3 2-]、[CH3COO-]、[OH-]濃度は、先にも
示したように総有機酸濃度(A),総アンモニア濃度
(N),全無機炭素濃度(T)と水素イオン濃度によっ
て(13)式のように表わすことができる。
【0059】
【数13】
【0060】上記水素イオン濃度はpH計で容易に測定
することができるので、電荷バランス式中の未知数は総
有機酸濃度(A),総アンモニア濃度(N),全無機炭
素濃度(T)と正味の陽イオン濃度(Z)の4項目であ
る。ここで連立方程式の未知数と式数の関係から、4つ
の未知数を求めるためには4つの式が必要である。1つ
は滴定をしていない試料のpHを測定することによって
得られる。他の3つは酸或はアルカリの滴定によって3
つの異なるpH値を達成すれば得ることが可能である。
但しこの場合、正味の陽イオン濃度(Z)は酸或はアル
カリの滴定量で修正を受ける。
【0061】例えば酸(HCl)を X1 mol/L 注入して
pHがpH1となった場合、
【0062】
【数14】
【0063】となる。従って、滴定をしていない試料の
pHと、滴定によって3つの異なるpH値を達成した際
の滴定量さえ分かれば4つの連立方程式が成立し、この
連立方程式を解くことによって4つの未知数である総有
機酸濃度(A),総アンモニア濃度(N),全無機炭素
濃度(T)及び正味の陽イオン濃度(Z)を求めること
ができる。しかし実際にはpH値や滴定量に機器の測定
誤差が当然含まれるため、4つ以上のデータ(全ての滴
定点データ)から重回帰分析によって統計的に4つの未
知数を求めることが必要となる。
【0064】そして上記4つの未知数を求めることによ
り、前記(7)〜(11)式を用いて他のイオン濃度を
計算することができる。特に酸−アルカリ平衡理論(化
学平衡式、電荷バランス式)に基づいて導かれる(式1
4)から水素イオン濃度(pH)と全無機炭素濃度
(T),総アンモニア濃度(N),総有機酸濃度(A)
の関係を求めることができる。
【0065】図4は、酸−アルカリ滴定カーブをシミュ
レーションしたものであり、表1は図4中のグラフ1,
2,3,4における各モニター項目の濃度を示してい
る。
【0066】
【表1】
【0067】滴定には1.0NのHClとNaOHを用
いる。図4の横軸は滴定量をモル濃度に換算したもので
あり、縦軸は滴定時のpH値である。図示したようにア
ンモニア濃度(N),全無機炭素濃度(T),総有機酸
濃度(A)及び正味の陽イオン濃度(Z)が変化するこ
とによって異なる滴定カーブが得られる。本実施例の場
合にはこのカーブから逆に上記4つのモニター項目の濃
度を求めたことを特徴としている。
【0068】図5〜図8は実際の消化槽汚泥を用いた滴
定カーブであり、図中の○点は実際の測定点、実線は本
実施例で説明した測定原理に基づいて計算した値から逆
に滴定カーブをシミュレーションしたものである。各図
に見られるように実際の測定点とシミュレーションした
曲線とが良く一致しており、本消化槽モニターの測定原
理に基づく計算手法が信頼できるものであることがわか
る。
【0069】上記図5〜図8は同じ消化汚泥を用いてお
り、測定条件の違いはSS成分の濃度にある。図5は消
化槽汚泥の濾液(SS濃度ゼロ)を滴定試料としてお
り、図6は消化槽汚泥を3000rpmで5分間遠心分
離した後の上澄液(SS濃度=1073mg/l)を滴
定試料にしている。又、図7の例では消化汚泥そのまま
(SS濃度=27345mg/l)を滴定試料とし、図
8の例ではSS成分を2735mg/lまで除去した消
化汚泥を滴定試料としている。各試料の測定結果を表2
にまとめて示す。
【0070】
【表2】
【0071】通常、酸−アルカリ滴定分析では試料中の
SS成分がpHの緩衝能力を持つことから遠心分離した
上澄液を滴定試料として用いることが推奨されている。
しかし表2に示された総有機酸濃度(A),アンモニア
濃度(N),全無機炭素濃度(T)及び正味の陽イオン
濃度(Z)の結果から、消化槽汚泥の濾液と遠心分離し
た上澄液との間には計算上の大きな差がない。しかし消
化汚泥をそのまま滴定試料とした図7の場合には、低p
H値での滴定カーブが図5,図6の滴定カーブと顕著に
異なっており、その結果、図7の例ではSS成分の緩衝
作用によって有機酸濃度の計算値が非常に高く現れてい
る。図8の例では滴定カーブが図5,図6と一見一致し
ているが、やはり総有機酸濃度は高くなっている。これ
らの結果から酸−アルカリ滴定を行うために、前もって
SS成分を遠心分離された上澄液程度のSS成分(10
00mg/l)にまで下げる固液分離工程が不可欠であ
る。 前記図5に示す消化槽汚泥濾液を滴定試料とする
滴定カーブから計算された総有機酸濃度(A)は酢酸換
算で104(mg/l),アンモニア濃度(N)は11
16(mg/l),全無機炭素濃度(T)は961(m
g/l)であった。同じ試料を用いて液体クロマトグラ
フで測定した総有機酸濃度はプロピオン酸のみ2(mg
/l),アンモニア電極で測定したアンモニア濃度
(N)は932(mg/l)であった。全無機炭素濃度
(T)は、図中の測定点とシミュレーション曲線とがp
H4.8付近でもよく一致しているため、計算値(96
1mg/L)とアンモニア度滴定法による全無機炭素濃
度(T)とはほとんど等しい値になっている。
【0072】以上の結果から、アンモニア濃度と全無機
炭素濃度に関しては、本消化槽モニターの測定原理に基
づく計算値は他の分析値とまず一致したが、有機酸濃度
に関しては多少相違点がみられた。これは計算に用いら
れる電離定数の温度補償とか、重回帰分析において特定
pH付近のデータに重みを加える等の処理を行うことに
よって精度の改善をはかることができる。
【0073】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明にか
かる嫌気性消化槽のモニター装置によれば、制御部にて
求められた値に対応した試薬の酸−アルカリ滴定アルゴ
リズムに基づく自動分注器による滴定と、サンプリング
の液pH値と試薬の滴定量とから汚泥の消化状態を連続
的にモニタリングすることにより、比較的簡易化された
装置によって、消化槽内の水質を連続的にモニタリング
するための管理指標となる項目である全無機炭素濃度,
全アンモニア濃度,総有機酸濃度を無人状態で高精度に
且つ自動的に測定することを可能として、工程の全自動
化をはかることができる。従って測定者の手操作に起因
する不可避的な測定誤差をなくすことができる。更に滴
定前の消化汚泥を凝集分離することにより、pHの測定
値が実際の試料のpH変化として把握することが出来
る。
【0074】又、本発明によれば測定に多くの機器を使
用する必要がないので、従来のように各々の分析に必要
な分析機器を確保する必要がなく、且つこれらの機器を
保守点検する作業員を不要とし、各機器の操作上の繁雑
さが解消される上、滴定機構に基づく薬品の注入量は、
作業員の手操作による場合よりも正確であって測定の再
現性を向上させることができる。
【0075】更に嫌気性消化槽以外の対象でも、物質濃
度,pH,薬品注入量に本対象と同様の関係があるもの
については本法をそのまま適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる嫌気性消化槽のモニター装置の
第1実施例を示す概要図。
【図2】本発明にかかる嫌気性消化槽のモニター装置の
第1実施例を示す概要図。
【図3】本発明装置における制御部に組み込まれたアル
ゴリズムを示すチャート図。
【図4】本発明を適用した酸−アルカリ滴定量とpH値
との関係をシミュレーションしたグラフ。
【図5】実際の消化槽汚泥のSS成分ゼロの濾液を用い
てアルカリ又は酸を滴定した際のpH−滴定量曲線の実
測値(○印)と酸−アルカリ平衡理論を用いた計算値
(実線)との比較を示すグラフ。
【図6】実際の消化槽汚泥を遠心分離した上澄液を用い
てアルカリ又は酸を滴定した際のpH−滴定量曲線の実
測値(○印)と酸−アルカリ平衡理論を用いた計算値
(実線)との比較を示すグラフ。
【図7】実際の消化槽汚泥をそのまま用いてアルカリ又
は酸を滴定した際のpH−滴定量曲線の実測値(○印)
と酸−アルカリ平衡理論を用いた計算値(実線)との比
較を示すグラフ。
【図8】実際の消化槽汚泥のSS成分を一定量除去した
濾液を用いてアルカリ又は酸を滴定した際のpH−滴定
量曲線の実測値(○印)と酸−アルカリ平衡理論を用い
た計算値(実線)との比較を示すグラフ。
【符号の説明】
1…濾液槽、2…酸滴定槽、3…アルカリ滴定槽、4…
pH計、5…温度計、6a,6b…分注器、7…シーケ
ンスコントローラ、8…パーソナルコンピュータ、9…
制御部、10…サンプリング用ポンプ、11…二方向バ
ルブ、12…洗浄水貯留槽、13…流体ポンプ、15…
受泥槽、16…凝集槽、17…沈澄槽、18…フィル
タ。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 消化汚泥が貯留される濾液槽と、この濾
    液槽内の消化汚泥がサンプリングされて導入されるとと
    もにpH計が夫々配備された酸滴定槽及びアルカリ滴定
    槽と、制御部にて求められた値に対応した量の試薬を分
    注器により上記酸滴定槽及びアルカリ滴定槽に分注する
    滴定機構とを具備して成り、サンプリングの液pH値と
    試薬の滴定量によって汚泥の消化状態を連続的にモニタ
    リングすることを特徴とする嫌気性消化槽のモニター装
    置。
  2. 【請求項2】 消化汚泥を受け入れる受泥槽と、凝集剤
    の注入によって上記消化汚泥を凝集させる凝集槽と、こ
    の凝集槽の上澄液が貯留される沈澄槽と、該沈澄槽から
    フィルタを介して流入する液が貯留される濾液槽と、こ
    の濾液槽内の消化汚泥がサンプリングされて導入される
    とともにpH計が夫々配備された酸滴定槽及びアルカリ
    滴定槽と、制御部にて求められた値に対応した量の試薬
    を分注器により上記酸滴定槽及びアルカリ滴定槽に分注
    する滴定機構とを具備して成り、サンプリング液pH値
    と試薬の滴定量によって汚泥の消化状態を連続的にモニ
    タリングすることを特徴とする嫌気性消化槽のモニター
    装置。
  3. 【請求項3】 上記消化槽のモニター装置に、測定終了
    後に前記各槽内に洗浄水を注入して撹拌するための洗浄
    水貯留槽を配備した請求項1,2記載の嫌気性消化槽の
    モニター装置。
  4. 【請求項4】 上記酸滴定槽及びアルカリ滴定槽に、測
    定されたデータを液温度値により補正するための温度計
    を配備した請求項1,2記載の嫌気性消化槽のモニター
    装置。
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