JPH05227925A - 殺菌方法 - Google Patents

殺菌方法

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JPH05227925A
JPH05227925A JP3241775A JP24177591A JPH05227925A JP H05227925 A JPH05227925 A JP H05227925A JP 3241775 A JP3241775 A JP 3241775A JP 24177591 A JP24177591 A JP 24177591A JP H05227925 A JPH05227925 A JP H05227925A
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JP
Japan
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pressure
spores
treatment
activation
sterilization
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JP3241775A
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English (en)
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Haruyuki Funahashi
治幸 舟橋
Yoshito Shibauchi
好人 柴内
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高圧処理単独の操作では死滅しない芽胞の殺
菌及び高圧処理条件の緩和。 【構成】 芽胞の耐圧性に応じ加熱処理温度60−10
0℃で被殺菌物中の芽胞を発芽熱活性化処理した後、高
圧処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品又は医薬品等で衛
生上又は品質保持上問題となり得る細菌芽胞を殺菌する
方法に関する。本技術は特に、耐熱性、耐圧性の高い細
菌芽胞の殺菌に適用できる。
【0002】
【従来の技術】食品や医薬品の腐敗や病原性微生物の汚
染は公衆衛生上問題となるため、従来より加熱殺菌等に
よる微生物コントロールが広く食品産業、医療業等の分
野で実施されている。食品あるいは医薬中に付着する細
菌の種類はその種類により若干異なるが、いろいろな菌
が空気や水を介して付着する可能性がある。殺菌の観点
からすれば、病原性の細菌、グラム陰性菌、および酵母
菌等は一般に熱に弱く通常の加熱殺菌で処理できコント
ロールし易いが、グラム陽性菌やカビ類、特に胞子を形
成するものは耐熱性が強く、加熱殺菌で容易に死滅しな
いので問題である。例えば、グラム陽性菌である枯草菌
(Bacillus subtilis )ではその菌株によって異なる
が、100℃で数分から1000分以上という耐熱性を
示す。
【0003】しかし、加熱殺菌では、殺菌と同時にたん
白質、ビタミン等の成分変化、風味の変化を招くため、
食品等の種類によっては実施が適当でない場合が少なく
ない。牛乳を例にとれば、現在、UHT殺菌法、UHT
滅菌法、低温殺菌法、HTST殺菌法等が採用されてい
る。UHT殺菌法(120〜130℃、2〜4秒)では
牛乳中の栄養細胞、耐熱性菌、耐熱性菌の芽胞の一部を
死滅させ、また、UHT滅菌法(135〜150℃、2
〜4秒)では耐熱性菌の芽胞を含む全ての微生物を死滅
させることができるが、成分変化、風味変化が避けられ
ない。又、低温殺菌法(62〜65℃、30分)、HT
ST殺菌法(72〜85℃、16秒)では成分、風味の
変化が少なく牛乳本来の風味が維持されるが、耐熱性菌
及び耐熱性菌の芽胞を十分に殺菌できないため長期保存
ができない。
【0004】そこで、近年注目されているのが高圧殺菌
法である。例えば、清涼飲料の高圧殺菌では大腸菌、カ
ビ、酵母、のような栄養細胞は室温で300〜600M
Pa−保持時間10分で殺菌できるという報告(高橋保
男ら、果汁協会報Vol 370 pp6-13,1988)や、更に高圧殺
菌に加熱処理を併用すると殺菌効果が向上するという報
告(高橋保男ら、果汁協会報Vol 381 pp41-46,1989) が
ある。又、B.subtilisの殺菌に関してもこれらの報告中
で4,000kg/cm2 (約400MPa)、10分
処理の静水圧により、B.subtilis以外の菌は、すべて死
滅し、47℃および57℃の加熱処理、6,000kg
/cm2 (約600MPa)、10分間の静水圧処理の
併用で、B.subtilisは死滅したと報告されている。
【0005】しかし、本発明者らの試験によれば耐熱
性、耐圧性の高いB.subtilisの芽胞は、600MPa−
60℃で60分保持しても完全に芽胞は死滅しない場合
があった。これは、一般に耐熱性、耐圧性の強いB.subt
ilisには種々の菌株があり、その中には特に耐性の強い
菌株もあり、又、被処理物の種類により菌の耐性が変わ
ってくるという事実と、ジュース類のようなpHの低い
食品(一般にpH4.6以下の食品を高酸性食品と呼ん
でいる)ではこれらの芽胞が発芽増殖しないということ
に起因している。即ち、従来実施されている高圧殺菌は
一般に大腸菌、カビ、酵母のように耐圧性の低い微生物
を対象としているが、牛乳やスープ類のような多くの低
酸性食品(pH≧4.6)では長期保存を実現するには
耐熱性の高い細菌芽胞を指標菌とすべき場合がある一方
で、このような耐性の強い芽胞の高圧による殺菌は困難
であった。また、これら芽胞は温度ばかりでなく圧力に
対しても耐性をもっているため高圧処理条件が苛酷とな
りやすい。このため、高圧殺菌においては食品の成分、
香りが変化しないよう細菌芽胞をより低い圧力で死滅さ
せる技術開発が課題となっている。
【0006】一方、高圧殺菌を行なう装置は三菱重工
(株)、神戸製鋼(株)などで開発され工業化が進み、
試験機としては1000MPa程度まで可能であるが、
食品処理専用の生産機としては安全性、装置の耐久性な
どを考慮すると400〜500MPaでの運転が適して
いるといわれている。しかしながら、400〜500M
Paの圧力では大腸菌、カビ、酵母、ブドウ球菌を殺菌
することはできるが、耐熱性、耐圧性の高い細菌芽胞を
殺菌することは60℃の加温を併用してもできない場合
がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来の高圧殺菌技術の実情に鑑み、特に耐圧性、耐熱性が
高く高圧殺菌が困難であった細菌芽胞を、被殺菌物の成
分、風味を損うことなく有効に殺菌する方法を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的は、以下の手
段により達成される。即ち、本発明は、被殺菌物中の細
菌芽胞を加熱による発芽活性化(以下発芽熱活性とい
う)処理し、つづいて速やかに高圧処理することを特徴
とする細菌芽胞の殺菌方法である。本発明者らは、細菌
芽胞は、加熱されると発芽活性化され、耐熱性、耐圧性
が弱まることに着目し、高圧処理する前に一定の加熱処
理を施すことによって400〜500MPa程度の圧力
で細菌芽胞等を殺菌できることを見い出し本発明に至っ
た。本発明によれば従来高圧殺菌が困難であった細菌芽
胞を被殺菌物の成分変化等の弊害を招くことなく有効に
殺菌することができ、又、従来高圧殺菌が可能であった
ものに対しては高圧処理条件の緩和を図ることができ、
この結果、食品や医療品の品質を高め、同時にシェルフ
ライフを伸ばすことが可能となる。
【0009】以下、本発明を詳述する。まず、本発明に
おいて対象となる被殺菌物としては、耐熱性、耐圧性の
高い芽胞による汚染の可能性があり、高圧処理が可能な
食品、医療品等、その形態、形状等を問わずいずれも対
象となる。もちろん、上記の高圧処理条件の緩和が目的
なら、それほど耐圧性の高くない芽胞に対しても本法は
有効である。高圧処理の容易さという観点からは、各種
ジュース、清涼飲料、牛乳等の液体、各種スープ、ソー
ス類、果実ジャム、魚介類・肉類ペースト、卵等の流動
体や半流動体が好ましい。さらに、固形物であっても液
体中に浸漬あるいは分散していれば処理できる。又、細
菌芽胞による汚染の可能性と易加熱処理という観点から
は、牛乳、各種スープ類のような低酸性食品に実益があ
る。
【0010】次に、対象となる細菌芽胞としては、B.su
btilis,B.cereus,B.coagulans 等、全ての芽胞形成菌の
芽胞である。本発明の目的からすれば、従来の高圧殺菌
では殺菌、滅菌に極めて大きな圧力が必要であったり、
又、充分な殺菌が実用上できなかった菌株の芽胞を対象
とすると有益である。例えばB.subtilisは比較的耐熱
性、耐圧性の低い菌株もあれば耐熱性、耐圧性の高い菌
株もあり、前者は従来の加熱処理を併用した高圧殺菌に
より有効に殺菌が可能であるが、後者はこのような高圧
殺菌でも死滅しない。
【0011】本発明の殺菌方法の第1のステップは細菌
芽胞の発芽熱活性化処理である。発芽熱活性化とは、発
芽が熱の影響を受けて発芽が惹起され発芽状態になるこ
とをいい、現象的には芽胞の外膜が除々に澄んできて
(後述する Optical densityの低下)栄養細胞化への準
備段階に入ることで、一般的に耐熱性の低下が見られ
る。発芽熱活性化した芽胞は徐々に栄養分や酵素吸収等
の活動を開始するが、本発明では芽胞が発芽を開始する
直前までの処理で足りる。本発明における発芽熱活性化
の目的は、芽胞の外膜の持つ耐熱性、耐圧性を低下さ
せ、つづく高圧処理での殺菌を可能とすることである。
又、全ての芽胞が発芽熱活性化される必要はなく、高圧
処理の条件、目的とする殺菌程度、対象とする芽胞の種
類、被殺菌物の種類等により適宜設定する。但し、発芽
熱活性化の程度は高圧処理における殺菌効果に対し、臨
界的に作用するので、他の条件とのかね合いで適正な程
度とする必要がある。
【0012】発芽熱活性化処理は、芽胞の活性化臨界温
度以上で高圧処理での殺菌促進効果を奏する臨界時間
(これを活性化臨界条件という。)実施する。活性化臨
界条件は芽胞の種類、環境条件等により個別的に決定さ
れるが、臨界温度未満では、いくら長時間処理しても効
果が現れず、同様に臨界時間未満では、温度が高くても
効果が現れない。一般的には40℃以上、好ましくは6
0−100℃の温度で、1分以上、好ましくは5−60
分間がよい。この範囲で、処理温度が高くなれば保持時
間は短かくてすむ。又、温度が高ければ活性化速度は処
理開始後5〜10分間位が大きくその後低下してくるの
で高い温度によれば活性化処理の効率化が図れるが、温
度が高すぎれば芽胞は活性化されない。耐熱性が比較的
低い芽胞では活性化処理中に一部死滅する場合もある
が、活性化処理の目的は殺菌ではないので、この段階で
温度を必要以上に高くしても有効ではなく、通常は芽胞
の耐熱性のため、殺菌効果もあまり認められない。一
方、保持時間が長すぎた場合は、芽胞は発芽し酸素吸収
等の活動を開始し、場合により、被殺菌物の腐敗を促進
する結果となる。又、比較的低温で長時間保持しても芽
胞は活性化されるが、この場合も他の微生物等による腐
敗が起り得る。
【0013】活性化処理の程度は高圧処理条件との関係
において殺菌効果に大きく影響する。活性化処理の程度
による殺菌効果の態様には高圧処理の圧力が未活性化処
理のものと同じとした場合、大別して3つある。第1に
は、高圧処理初期において生菌数減少の勾配が大きくそ
の後はなだらかとなり最終的生菌数は未活性化処理のも
のとほとんど変わらないものである。(図1(A))。
これは、活性化処理により芽胞のうち比較的耐性が弱い
もののみが活性化し、強いものは活性化しなかったため
に、強い芽胞が最後まで残ることによる。この場合は、
高圧処理の時間を短縮しても同様の殺菌効果が得られる
利点がある。第2には、高圧処理初期の生菌数減少の勾
配は比較的大きく、その後は、未活性化処理と同様の勾
配で減少していくものである(図1(B))。これは、
芽胞のうち耐性の弱いもの程活性化が進み、耐性の強い
ものもある程度活性化することによる。この場合は、高
圧処理の時間を短縮しても同様の殺菌効果が得られ、
又、同じ時間高圧処理をした場合はより大きい殺菌効果
が得られる利点がある。第3には、高圧処理初期から最
後まで生菌数減少の勾配が大きいものである(図1
(C))。これは、耐性の強い芽胞も含め多くの芽胞が
活性化したことによる。この場合は、高圧処理時間の短
縮化ばかりでなく、従来高圧処理による殺菌が困難であ
った芽胞の殺菌が可能となる利点がある。上記態様
(A)−(C)の共通の利点としてはいずれにおいて
も、高圧処理の圧力を低くしても未活性化処理のものと
同等もしくはそれ以上の殺菌効果が得られることであ
る。このように、活性化処理の程度は殺菌効果に関連し
ているため、目的とする殺菌程度、高圧処理条件、対象
芽胞、被殺菌物等との関連で相対的に設定すればよい。
例えば、比較的耐性の弱い芽胞を殺菌する場合は高圧処
理のみでも殺菌効果が得られるので態様(A)となるよ
う比較的弱い活性化処理を実施し、高圧処理時間の短縮
化、圧力の軽減化を図ることができる。一方、比較的耐
性の強い芽胞を殺菌する場合は高圧処理のみでは殺菌効
果が得られないので態様(C)となるよう比較的強い活
性化処理を実施し、目的とする殺菌効果を達成すること
ができる。
【0014】活性化処理の強弱の一つの指標となり得る
ものには芽胞の光学的密度(Optical Density;以下O
Dという) の低下がある。ここでODは芽胞懸濁液の
可視光(ここでは波長440nmの光を使用)に対する
吸光度と定義されるが、以下の発芽熱活性化処理におい
ては、 で定義した相対ODを用いて説明する。ここで測定した
ODとは、発芽熱活性化中のある時間におけるODの観
測値、初期ODは活性化処理していない芽胞懸濁液のO
D値、そして最終ODは懸濁液中の芽胞が全て発芽活性
化した時のOD値である。B.subtilisを例にとれば、比
較的耐性の弱いものでは活性化処理も弱くてすむので、
相対ODの4−6%程度の減少でも高圧処理で殺菌効果
を向上させ得る。比較的耐性の強いものでは15−20
%程度減少するまで活性化を図ると効果が大きい。図
2、3に相対ODの実測例として、B.subtilis ATCC
6633とB.subtilis NCDO 2130の場合を示す。図に見る
ように相対ODの低下の大きさは処理時間に比例してい
るとはかぎらないが、活性化処理程度の目安すとしては
耐性の弱い芽胞で4−56%程度の低下、耐性の強い芽
胞で15−50%程度の低下である。
【0015】尚、活性化は熱の他、例えば還元物質、エ
チルアルコール、アミノ酸、糖等の存在、pH等によっ
ても促進され得るので、必要によりpHを調整したり、
エチルアルコール、アミノ酸、糖等を添加して加熱処理
してもよい。
【0016】次に、高圧処理について説明する。活性化
した、細菌芽胞は保存条件によって発芽増殖したり、ま
た再び非活性化したりする。したがって高圧処理は活性
化処理の後、速やかに実施することが望ましい。高圧処
理の条件を取りうる範囲で示せば、従来の高圧範囲での
範囲と大きく相違していない。即ち、100−1000
MP、室温−100℃、数時間以内程度がとりうる範囲
といえる。しかし、これは範囲であって、従来技術にお
いて例えば100MP、室温、数分で芽胞の殺菌が実施
可能であることを意味していない。即ち、圧力が低けれ
ば、温度を高くするか処理時間を長くとることが不可欠
であり、上記範囲内で任意に条件を設定できるわけでは
ない。
【0017】本発明の高圧処理における特徴は、まず上
記範囲内で従来高処理殺菌できなかった芽胞を本発明で
は同範囲内で充分殺菌できること、次に、従来ある条件
で高圧殺菌できた芽胞を本発明ではさらに緩和な加圧条
件で殺菌ができることである。後者の特徴は、例えば、
次のように規定できる。同等の殺菌効果を得るのに、他
の条件は同じとして、高圧処理時間は1/2−1/5程
度まで、又、圧力は1/2−1/3程度まで短縮するこ
とが可能である。前記高圧処理の範囲はとり得る範囲で
あるが、本発明において実用性を考慮すれば、40℃以
上、好ましくは50−60℃で100MPa以上、好ま
しくは400−700MPaで0−60分程度がよい。
処理時間が0分をとり得るのは、活性化処理で芽胞が脆
弱化しており所定圧力になるまでの昇圧段階で、芽胞が
死滅する場合があるからである。
【0018】一方、運転の安全性高圧装置の耐久性、被
殺菌物の内容成分の変化等の見地から圧力は500〜6
00MPaが実際の運転上の好ましい上限と考えられる
が、従来、この程度の圧力では加温しても又、保持時間
を長くしても殺菌できなかった芽胞の殺菌が可能とな
る。
【0019】高圧処理の温度が高いと高圧による効果を
促進することができる。温度が低い場合は高圧の効果が
低減するが、耐圧性の比較的弱い芽胞を処理する場合で
は活性化処理によりさらに耐圧性が低下するため、場合
により室温でもよい。一方、温度が高い場合は殺菌効果
は向上するので温度の上限は特に限定されない。但し、
市販されている高圧処理装置の構造上の制約から前記範
囲程度となる。又、高圧処理を上昇温度下で実施するの
は効果的であり、逆に、高圧処理開始時に高温とし、そ
の後は下降温度下で実施してもよい。
【0020】所定圧力までの昇圧速度は速い方がよい
が、特に限定されない。目安すとしては20−150M
Pa/min程度で例えば処理量の変化で調整できる。
昇圧中に耐圧性の弱い芽胞は死滅する場合があるが、耐
圧性の強い芽胞では全く変化しない場合もある。しか
し、活性化処理の程度を強くすることで昇圧時のみで充
分な殺菌効果を得ることが可能で、これは従来技術では
全くみられない本発明に特有な効果である。換言すれ
ば、細菌芽胞の種類によっては、活性化処理の程度を調
整することで、昇圧時のみで所望の程度まで殺菌を実施
することもできるのである。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 1.実施方法 (1)供試菌 供試菌としてBicillus属の芽胞の中でも比較的耐熱性、
耐圧性の低いBacillussubtilis ATCC 6633と耐熱性、耐
圧性の高いBacillus subtilis NCDO 2130 の2菌種を用
いた。
【0022】(2)供試菌液の調製 実験にはリン酸緩衝液と雪印乳業(株)製、雪印3.5
牛乳(無脂乳固形分8.3%以上、乳脂肪分3.5%以
上)を使用した。各濃厚菌混濁液を用い、リン酸緩衝液
および牛乳中に供試菌数が106 個/mlになるように
希釈して調製した。リン酸緩衝液はリン酸緩衝液−生理
食塩水(pH7.0)である。pHの調整は水酸化ナト
リウムおよび塩酸を用いて行った。また、牛乳のpH調
整は行わなかったが、約6.8であった。B.subtilis A
TCC 6633およびB.subtilis NCDO2130の芽胞についての
調製法は表1に示した。
【0023】
【表1】 (3)活性化処理および高圧処理 リン酸緩衝液および牛乳を用いて調製された菌液を10
mlずつポリプロピレン製袋に分注し、空気が入らない
ように充填し、口をヒートシールし、試料とした。試料
は活性化処理および高圧処理時以外は常時氷水中で保存
した。活性化処理は恒温槽中でB.subtilis ATCC 6633の
場合、60℃、80℃、90℃で15分間、B.subtilis
NCDO 2130の場合、80℃、90℃、100℃で15分
間行った。
【0024】高圧処理には三菱重工業(株)製の高圧試
験装置MCT150を使用した。試料チャンバーの容量
はB.subtilis ATCC 6633の場合、5301.4cm3
B.subtilis NCDO 2130の場合、196.4cm3 とし
た。高圧処理する際に60℃の加温を併用したが、恒温
槽中の温水を循環することにより試料チャンバーの温度
調整を行った。
【0025】(4)生菌数の測定 供試菌液を活性化処理し、その後、試料を高圧処理し
た。活性化処理後、昇圧後、および高圧処理後の生菌数
を測定した。B.subtilisの場合、滅菌リン酸緩衝生理食
塩水で希釈後、標準寒天培地を用い、35℃で48時間
培養した後、生育したコロニー数を計数した。 2.実施結果 結果を図4−図11にまとめて示す。
【0026】(1)活性化処理時の芽胞の死滅 B.subtilis ATCC 6633を温度60〜90℃で15分間加
熱し、処理後の生菌数を測定した。図4及び6にリン酸
緩衝液中、図5及び7に牛乳中における芽胞の死滅を示
した。初期生菌数(N0)と活性化処理後の生菌数(N
1)を比較すると1オーダー近い差がみられた場合もあ
ったが、繰り返し実験を行ったところ加熱によりリン酸
緩衝液、牛乳中とも大きな差異はみられなかった。通
常、60〜90℃で15分間の加温では芽胞は死滅しに
くいが、保存や菌液調製時の菌の状態により活性化処理
後の生菌数(N1)は多少変化する可能性もあると考え
られる。次にB.subtilis NCDO 2130を温度80〜100
℃で15分間加熱処理し、処理後の生菌数(N1)を測
定した。図8及び10にリン酸緩衝液中、図9及び11
に牛乳中における加熱による芽胞の死滅を示した。B.su
btilis ATCC 6633同様、初期生菌数(N0)と差はな
く、加熱による殺菌効果はみられなかった。因に、加熱
殺菌実験により算出された110℃におけるB.subtilis
NCDO 2130のD値は63.4分であり、又温度80〜1
00℃で15分間加熱処理しても芽胞は死滅しなかった
(D値とは生菌数が1/10になるまでの処理時間をい
う。)。
【0027】尚、上記活性化処理の処理時間は15分間
であるが活性化処理時間による芽胞の相対ODの低下を
計測した結果を前述した図2(B.subtilis ATCC 663
3)、図3(B.subtilis NCDO 2130)より見ると、いず
れの菌株においても活性化処理の温度が高い程、透明性
の変化が速く、透明度が高くなる傾向にあり、またいず
れの温度においても透明性は増しており活性化されてい
ると認められた。
【0028】(2)昇圧時の芽胞の死滅に及ぼす活性化
処理の効果 B.subtilis ATCC 6633を高圧処理する時、200MP
a、400MPaの圧力に到達するまでそれぞれ9分3
0秒、17分30秒の昇圧時間を要した。B.subtilis A
TCC 6633はB.subtilis NCDO 2130にくらべ耐熱性、耐圧
性ともに低いので、60,80,90℃で15分間加熱
前処理し、その後、200MPa、400MPaの圧力
で処理した。図4及び6にリン酸緩衝液中における芽胞
の死滅を図5及び7に牛乳中における芽胞の死滅活性化
を示した。活性化処理後の生菌数はN1、昇圧後の生菌
数はN2である(尚、便宜上、図中横軸にN1,N2等
の記号を記しているが、これは縦軸の生菌数との対応を
示している。)。活性化処理しない場合には昇圧時にリ
ン酸緩衝液中および牛乳中ともに200MPaで1オー
ダー、400MPaで2オーダーの芽胞が死滅したが、
リン酸緩衝液、牛乳とも、活性化処理温度が60℃→8
0℃→90℃と高くなるに従い、N2の減少が大きくな
った。特に400MPaでは活性化処理の効果が顕著で
あり80℃の活性化処理で4オーダー、90℃で5オー
ダーも減少し、昇圧時だけで充分殺菌が実施できた。こ
の結果から、耐圧性が比較的低い芽胞は昇圧時のみで殺
菌することも可能であることが判る。尚、60℃−15
分の活性化処理をした場合、処理しなかった場合と比較
して差はみられなかったが、これよりも耐熱性、耐圧性
の弱い芽胞を対象とすれば、差が現れたものと考えられ
る。
【0029】次に、B.subtilis NCDO 2130の場合は、4
00MPa、600MPaの圧力に到達するまでそれぞ
れ5分30秒、6分30秒の昇圧時間を必要とした。8
0,90,100℃で15分間加熱処理し、その後、4
00MPa、600MPaの高圧処理を行った。図8及
び10にリン酸緩衝液中の芽胞の死滅、図9及び11に
牛乳中の芽胞の死滅を示した。リン酸緩衝液中では40
0MPa、600MPaともに80〜100℃の温度範
囲で15分間の処理をしても活性化処理なしと差はなか
ったが、牛乳中では600MPaまでの昇圧時に90℃
以上の加熱前処理により1オーダー近い殺菌効果がみら
れた。
【0030】一般に耐熱性と耐圧性は相関が高く、B.su
btilis ATCC 6633はB.subtilis NCDO 2130に比べ、耐熱
性が低く、耐圧性も低いため、B.subtilis ATCC 6633は
発芽活性化されやすく、発芽活性化された芽胞は元の芽
胞に比べ耐圧性が低かったために低い圧力でも殺菌効果
が高かったと考えられる。一方、B.subtilis NCDO 2130
は一部発芽活性化されてはいるが、耐圧性が高いため昇
圧時だけでは死滅まで到らなかった。しかし、活性化処
理をさらに強く行うことにより、昇圧時で充分な殺菌効
果を得ることも可能である。
【0031】(3)圧力保持時(60℃加温)の芽胞の
死滅に及ぼす加熱前処理の効果 定めた圧力に到達した時を保持時間0分とし(N2)、
圧力保持後の生菌数を計測した(N3)。図4及び6に
示すようにB.subtilis ATCC 6633はリン酸緩衝液中で、
保持時間が長くなるにしたがい殺菌効果も高まる傾向が
みられたが、この傾向は活性化処理の有無であまり相違
がなかった。これはB.subtilis ATCC 6633芽胞が活性化
処理により発芽活性化され、耐性が弱まったものは昇圧
時にすでに死滅し、発芽活性化されずに元の状態に近い
耐圧性の高い芽胞のみが残存したため圧力保持時の生菌
数減少が小さくなったためである。換言すれば、昇圧時
にすでに活性化処理による殺菌効果が顕在化するため、
保持時には顕著でなくなる。
【0032】図5及び7にはB.subtilis ATCC 6633の牛
乳中での殺菌効果を示すが、牛乳中でも同様の傾向がみ
られ、昇圧時に殺菌効果の高かった80℃−15分、9
0℃15分の加熱前処理は圧力保持時には大きな効果は
見られなかった。
【0033】因に、各条件におけるN3/N2基準のD
値(生菌数が1/10になるまでの時間(分)を示し、
殺菌効果の指標となる)を計算したところ該D値の上か
らは活性化処理の効果は有意でなかった。この理由は前
述したようにB.subtilis ATCC 6633 の場合、昇圧時に
菌の死滅が起っているためである。
【0034】B.subtilis NCDO 2130については図8(4
00MPa)及び図10(600MPa)にリン酸緩衝
液中での殺菌効果を示す。400MPaでは、圧力処理
のみ行った場合は保持時間を延長しても殺菌効果が全く
認められなかったが、活性化処理を行うことにより保持
時間を長くするにつれて殺菌効果が高まるようになっ
た。また、活性化処理温度が高くなるにつれて圧力保持
時の殺菌効果が高まった。600MPaでは、圧力処理
のみでも40分間の保持で若干の殺菌効果が認められた
が1オーダー以下の減少にすぎなかった。一方、活性化
処理をしたものは、保持時間ともに確実に殺菌効果が得
られ、40分間の保持では2〜3オーダーの減少が認め
られた。このように、昇圧時には死滅しない芽胞も活性
化処理を施したものでは圧力保持時に死滅させることが
できる。牛乳中での殺菌効果もほぼ同様で、図9(40
0MPa)及び図11(600MPa)に示す。しか
し、B.subtilis NCDO 2130の場合、昇圧時にも観察され
たが、同じ処理条件にもかかわらず、リン酸緩衝液中に
比べて牛乳中ではより多くの菌が死滅していた。緩衝液
中よりも多くの成分を含む牛乳中の方が発芽活性化され
やすいとも考えられるが、前処理なしの場合も含めて殺
菌効果が高かったので牛乳中の成分が殺菌に関して何ら
かの影響を与えていると考えられる。
【0035】表2にはB.subtilis NCDO 2130におけるD
値を示す。表2に示す通り、耐圧性の弱いB.subtilis A
TCC 6633に比べ保持時の活性化処理効果は著しく、一般
に活性化処理の程度が強くなる程D値は減少し、又、圧
力が高い方がD値は減少する。但し、600MPa、牛
乳のように圧力処理のみで殺菌効果があるものでは活性
化処理の効果は顕著でなくなる。これは、昇圧時ですで
にある程度の殺菌効果が顕在化するためである。又、リ
ン酸緩衝液では80℃で活性化処理したものの400M
Paと600MPaでは、殺菌効果が大きく異なり、同
様に、400MPaでは80℃と90℃で大きく異な
る。これは80℃での活性化処理においては600MP
a付近の圧力が臨界条件的値であり、又、400MPa
においては90℃付近の温度が臨界条件的値であること
を示している。一方、400MPa、80℃においても
対照と比べ大幅に殺菌効果は向上し、又、B.subtilis A
TCC6633での60℃では圧力に関係なく効果が有意でな
かったことから活性化処理の程度と圧力の間には、殺菌
効果を向上させ得る第一の臨界条件があり、次に、その
効果を大幅に増大させ得る第二の臨界条件があることが
判る。これらの条件は、対象とする芽胞の種類、被殺菌
物等により設定され得るものである。
【0036】
【表2】 以上、N0〜N3までの生菌数変化を前述殺菌効果の態
様の観点から概括的にみてみると、B.subtilis ATCC 66
33の200MPaにおける殺菌効果は態様(A)、40
0MPaにおけるそれは態様(B)、B.subtilis NCDO
2130の400MPa、600MPaにおけるそれは態様
(C)ということができる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、高圧処理前に活性
化処理を施すことにより、比較的耐熱性、耐圧性の低い
芽胞では(あるいは、耐熱性、耐圧性の高い芽胞でも活
性化処理を充分実施することで)昇圧時に殺菌すること
ができ、昇圧時に死滅しない芽胞に対しては、圧力保持
時に殺菌することができる。即ち、高圧処理の単独操作
だけでは死滅しなかった芽胞の殺菌を可能とし、さら
に、高圧処理のみで殺菌が可能であるものに対しては高
圧処理条件を緩和にできる技術的意義がある。従って、
本発明の殺菌方法によれば被殺菌物の成分変化を招くこ
となく耐性の強い芽胞を含め芽胞の殺菌を効率的に実施
でき、被殺菌方法は広く食品、医薬品の分野で極めて有
用な技術である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の殺菌方法による殺菌効果の態様
(A),(B),(C)を示す概念図である。
【図2】B.subtilis ATCC 6633の活性化処理中のoptica
l density 変化を示すグラフである。
【図3】B.subtilis NCDO 2130の活性化処理中のoptica
l density 変化を示すグラフである。
【図4】リン酸緩衝液中のB.subtilis ATCC 6633の20
0MPa下における生菌数変化を示すグラフである。図
中(a)は活性化処理温度が60℃、(b)は同80
℃、(c)は同90℃、(d)は対照である。
【図5】牛乳中のB.subtilis ATCC 6633の200MPa
下における生菌数変化を示すグラフである。図中(a)
は活性化処理温度が60℃、(b)は同80℃、(c)
は同90℃、(d)は対照である。
【図6】リン酸緩衝液中のB.subtilis ATCC 6633の40
0MPa下における生菌数変化を示すグラフである。図
中(a)は活性化処理温度が60℃、(b)は同80
℃、(c)は同90℃、(d)は対照である。
【図7】牛乳中のB.subtilis ATCC 6633の400MPa
下における生菌数変化を示すグラフである。図中(a)
は活性化処理温度が60℃、(b)は同80℃、(c)
は同90℃、(d)は対照である。
【図8】リン酸緩衝液中のB.subtilis NCDO 2130の40
0MPa下における生菌数変化を示すグラフである。図
中(a)は活性化処理温度が80℃、(b)は同90
℃、(c)は同100℃、(d)は対照である。
【図9】牛乳中のB.subtilis NCDO 2130の400MPa
下における生菌数変化を示すグラフである。図中(a)
は活性化処理温度が80℃、(b)は同90℃、(c)
は同100℃、(d)は対照である。
【図10】リン酸緩衝液中のB.subtilis NCDO 2130の6
00MPa下における生菌数変化を示すグラフである。
図中(a)は活性化処理温度が80℃、(b)は同90
℃、(c)は同100℃、(d)は対照である。
【図11】牛乳中のB.subtilis NCDO 2130の600MP
a下における生菌数変化を示すグラフである。図中
(a)は活性化処理温度が80℃、(b)は同90℃、
(c)は同100℃、(d)は対照である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被殺菌物中の細菌芽胞を加熱により発芽
    活性化処理し、つづいて高圧処理することを特徴とする
    細菌芽胞の殺菌方法。
  2. 【請求項2】 加熱による発芽活性化処理が40℃以上
    で1分間以上であり、高圧処理における加圧圧力が10
    0MPa以上である請求項1に記載の殺菌方法。
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