JPH05240B2 - - Google Patents

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JPH05240B2
JPH05240B2 JP2645589A JP2645589A JPH05240B2 JP H05240 B2 JPH05240 B2 JP H05240B2 JP 2645589 A JP2645589 A JP 2645589A JP 2645589 A JP2645589 A JP 2645589A JP H05240 B2 JPH05240 B2 JP H05240B2
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Ryohei Shintani
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、種々の素材の大小様々な漆器に容易
に模様付けを行なうことができる漆器の模様付け
方法に関するものである。
[従来の技術] 漆器に模様を付ける技法としては、従来、上塗
りの工程の後に、所望の位置で塗装面を適当な深
さの模様の形状に削り取つて模様形状の凹部を形
成し、上記凹部に、地の色とは異なる色うるしを
充填塗装することが行なわれている。多色の模様
を描く場合は同様の手順を使用色の数だけ繰返す
訳である。そして乾燥後に表面をなめらかに研ぎ
上げることで模様付けを完了する。
またいまだ公知とはなつていないが、本発明者
は、既に、次のような漆器の模様付け方法を提案
している(特願昭62−297152号、特開平1−
136800号公報参照)。
これは、 素地に一般の技法により漆塗装用の下地形成工
程、下塗り、中塗り及び上塗りの工程を経た後、 上記上塗り上に、うるしを透過させない所望模
様形状のシートを剥離可能に貼着した上で、所望
の色の色うるしを塗布し、 次に上記模様形状のシートを剥離し、上記剥離
した部分以外を、他の形状のシートで貼着被覆し
た上で、更に他の所望の色の色うるしを塗布し、 その後上記他の形状のシートを剥離し、一般の
技法により研ぎ上げることによる漆器の模様付け
方法である。
[発明が解決しようとする課題] 前記従来公知の技法では、模様付けには、漆塗
装面の該当する位置を、まず模様の形状に削り取
らなければならない。この削除は刃物により手作
業で行なわれるものであるが、適当な深さにかつ
平滑に行なうことは熟練者であつても容易なこと
ではない。したがつて極めて非能率的であり、か
つその作業中に刃物により必要外の部分に傷を付
けてしまうこともたびたびあり、こうなると、漆
器の商品価値を全く失うことにもなりかねない。
本発明者の出願に係る後者の技術は、以上の問
題点を解決すべく、対象物品の素地の上塗り上に
地の色の色うるしを塗布する際に、予め模様形状
のシートで所望の位置を被覆しておき、模様形状
の凹部を形成させるようにし、刃物による削除と
いう厄介な作業をなくし、能率的で、正確に模様
を形成し得る方法を提供したものである。
本発明は、更に、これを発展させ、予め凹部を
形成することなく、更に簡単に漆器の模様付けを
行ない得るようにすることを目的としたものであ
る。
[課題を解決するための手段及びその作用] 本発明の構成の要旨とするところは、 予め、芯布材に漆を塗布して漆シートを形成
し、更にその漆シートを所望の模様形状にカツト
して模様漆シートを形成し、 一方対象物品の素地に、一般の技法により漆塗
装用の下地形成工程、下塗り、中塗り及び上塗り
の工程を施し、 上記模様漆シートを、上記対象物品の素地の上
塗り上に貼着した上で、上記模様漆シートの周囲
の上記上塗り上に、上記模様漆シートの厚みを越
えるまで所望の色の色うるしを塗布し、 その後、上記模様漆シートの表面が浮き出るま
で一般の技法により研ぎ上げることによる漆器の
模様付け方法である。
即ち、これを少し詳しく、作用とともに説明す
ると以下の通りである。
先ず模様漆シートを準備する。初めに漆シート
を構成する。
上記漆シートは、例えば、次のようにして構成
する。
単色の漆シートを構成する場合には、例えば、
方形の枠体を利用する。上記枠体に芯布材を貼付
し、前面から色うるしを塗布し、更に裏面に透過
した色うるしを平滑に延ばして漆シートを仕上げ
る。上記漆シートは、乾燥後に枠体より剥離すれ
ば完成である。上記芯布材としては、一般的には
うす絹が良好である。用途によつては麻布等も適
当である。
模様入りの多色の漆シートを構成する場合に
は、上記のような枠体ではなく外力によつて容易
に変形しない板材、例えば、ベニヤ板又はガラス
板等を利用するのが都合が良い。予めこれらの板
材に剥離面を上面にして剥離紙を貼付し、上記剥
離面上に芯布材を載置する。上記芯布材には先ず
地色の色うるしを塗布する。乾燥後に上記芯布材
の漆塗布面に所望の模様形状に外形を切描いたマ
スクシートを剥離可能に貼着する。上記マスクシ
ートは、言うまでもなく、その外形形状及び貼着
位置等を自由にデザインすることができる。しか
し後述するように漆シートはこれをカツトして模
様漆シートを構成するための素材であるので、そ
れを考慮してデザインを決定するのが良い。
上記マスクシートとしては、ビニールテープ又
はうるしが浸透しないように処理された布テープ
類等を採用することができる。裏面に粘着剤が塗
布され、粘着面に剥離紙が貼着されたテープ類が
使い易い。これらのテープ類を所望の形状に切出
して、またはそのまま単に切断しただけで使用す
る。
次に上記マスクシートの周囲に上記地色の色う
るしを塗布する。この色うるしは、当然上記マス
クシートの貼着された部分以外に塗布することを
目的としている。必要回数重ねて塗布し、マスク
シートの厚みを僅かに越える程度の塗布を行な
う。
乾燥後は、上記塗布面を水ペーパーによりマス
クシートの上面と同一高さになるまで研ぎ上げ、
その後、上記マスクシートを剥離する。
次にマスクシートを剥離して生じた凹部を中心
に他の所望の色の色うるしを塗布する。繰り返し
上記色うるしを塗布し、上記凹部がその周囲の高
さを僅かに越える高さまで上記色うるしで埋まつ
た後、乾燥し、その後、塗布面全体を水ペーパー
で平滑に研ぎ上げ、上記凹部に形成された模様を
地の色との間で明瞭に浮き出させる。
その後、芯布材に漆を塗布した部材を剥離紙よ
り剥離すれば漆シートは完成である。
なお上記に於いて比較的寸法の大きなマスクシ
ートを用いて大きな模様を描く場合は、芯布材の
地の色の色うるし上に貼着したマスクシートの縁
に沿つてその上に幅の狭い補助マスクシートを更
に貼着し、これにより、マスクシート以外の部分
に色うるしを塗布する際のマスク効果を高めるこ
とができる。この場合は塗布後、すぐに補助マス
クシートを剥離するのが良い。その後に研ぎ上げ
る点は同一である。更に上記マスクシートを剥離
した後、凹部の周囲の縁に沿つて、同様に幅の狭
い補助マスクシートを貼着し、凹部内のみの塗布
を正確に行なうことができる。
なお以上のようにして構成される漆シートは、
皮革程度の柔軟性を有するものとなるが、特に曲
面状のそれ又は部分的に直角等に折曲したものが
必要な場合は、上記板材に代えて、筒体の表面又
は角材の角部等を利用して上記手順で漆シートを
構成することができる。
前記模様漆シートは、前記単色の漆シート及び
上記模様付きの多色の漆シートの両者又は一方を
所望の形状にカツトして構成する。カツトはハサ
ミ、ポンチ又はカツタ等により行なうことができ
る。
上記のようにして構成した模様漆シートは、対
象物品に、一般の技法により、漆塗装用の下地を
形成し、上記下地に、下塗り、中塗り及び上塗り
を施した上で、上記上塗り上に、模様を構成すべ
く所望の位置関係で貼付するものである。
なお上記対象物品は、用途及び大小等いずれも
問わない。たんすのような大型の家具から花瓶の
ような小型の屋内装置品まで、更にはイヤリング
やネクタイピンのような装身具類まで含む。
しかして対象物品の上記上塗り上に所望の模様
形状にカツトして構成した模様漆シートを貼着し
た後は、上記物品の表面の模様漆シート上以外の
部分に地の色を構成する所望の色の色うるしを塗
布する。塗布を必要なだけ繰り返し、上記模様漆
シートの厚みを僅かに越える塗布を行なう。
塗装の乾燥後は、その塗装面を水ペーパーで研
ぎ、次いで炭により水研ぎを行なう。更に鹿角を
砕いて形成した角粉等を用いて上記模様漆シート
による模様が浮き出るように一般の技法により研
ぎ上げる。
こうして漆器に所望の模様を容易かつスピーデ
イに付すことができる。
[実施例] 以下図面に基づいて本発明の実施例を説明す
る。
先ず第1図〜第10図に基づいて第一の実施例
を説明する。
これは重箱に適用した例に関する。
初めに、重箱素材1に後述する処理を施した後
にその処理表面の所望の位置に貼付すべき模様漆
シート2,2…,3,3…を準備する。
そこで先ず単色の漆シート4,4…及び二色の
漆シート5,5…を構成する。
上記単色の漆シート4は、次のようにして構成
する。
第2図に示したように、方形の枠体6を準備
し、上記枠体6の一側面に芯材である長方形のう
す絹7を糊うるしで貼着し、上記うす絹7の表面
に白色の色うるしを塗布する。この色うるしの塗
布は平刷毛によつて行なう。なお上記枠体6は木
質である。
更に上記塗布により上記うす絹7の裏面に透過
した色うるしは平刷毛又は木のへらで平滑に延ば
して仕上げる。第3図に示したように、乾燥後に
上記枠体6より剥離すれば漆シート4は完成であ
る。
次に模様入りの多色の漆シート5は次のように
して構成する。ここでは比較的模様の小さな漆シ
ート5の例について説明する。
第4図に示したように、平面長方形のガラス板
8の一面上に、剥離面を上面にして剥離紙9を貼
着し、上記剥離紙9の剥離面に芯材であるうす絹
7を載置する。こうした上で、上記うす絹7には
先ず地の色となる白色の色うるしを塗布する。上
記色うるしの乾燥後に、第5図に示したように、
うす絹7の上記色うるし塗布面に、短冊状にカツ
トしたマスクシート10,10…を剥離可能に貼
着する。なお上記マスクシート10,10…は、
裏面に粘着剤を塗布してあるビニールテープに剥
離紙を貼着し、剥離紙側からカツタにより短冊状
にカツトして構成したものである。上記マスクシ
ート10,10…はその両端をうす絹7の縁より
外に伸びる長さの余裕を持たせてある。
次に上記マスクシート10,10…を貼付した
うす絹7の表面には前記色うるしと同色、即ち、
白色の色うるしを30回程度塗り重ねる。この色う
るしは、言うまでもなく、上記マスクシート1
0,10…の貼付された位置以外に塗布すること
を目的としており、上記程度の回数を重ねて塗布
することにより、上記マスクシート10,10…
の厚みを僅かに越える程度の塗布を行なう。
そして上記色うるしの乾燥後、直方体状のゴム
板に巻き付けた水ペーパーにより、上記うす絹7
の色うるし塗布面を上記マスクシート10,10
…の上面と同一面になるまで研ぎ上げ、その後上
記マスクシート10,10…を剥離する。このと
き前記うす絹7の縁より外方に伸びた端部を持つ
て容易に剥離することができる。
次に第6図に示したように、こうしてマスクシ
ート10,10…を剥離して生じた凹部11,1
1…に他の色、即ちここでは赤色の色うるしを塗
布する。なおこのとき、作業の都合上、上記凹部
11,11…以外の部分にも同時に塗布してしま
つても差し支えはない。三十回程度、繰り返し上
記赤色の色うるしを塗布し、上記凹部11,11
…が充分色うるしで埋まつた後、乾燥させ、その
後、その表面を、前記のように、直方体状のゴム
板に巻き付けた水ペーパーにより平滑に研ぎ上
げ、上記凹部11,11…に塗布充填された色う
るしと、その周囲の地の色とで形成された短冊模
様を出現させる。
次いでこうして構成された漆シート5は、第7
図に示したように、前記ガラス板8上に貼着した
剥離紙9から剥離すれば完成である。
なお以上於いて、地の色に白色を用いたのは、
この漆シート5から、後述するようにして模様漆
シート3,3…をカツトする際に、これに模様下
書きを描き易くかつ見やすくする趣旨でもある。
ところで別の色の模様の漆シート5は、以上と
同手順で、別の色の色うるしを用いて行なう。
なお重箱素材1の角部に配置すべき模様を構成
するための漆シート5は、上記ガラス板8に代え
て角材を用い、その角部等を利用して上記と同一
の手順で構成する。
その後、前記単色の漆シート4及び多色の漆シ
ート5は、前者をハサミにより蝶形にカツトし、
蝶形の模様漆シート2,2…を構成し、後者をカ
ツタでカツトして長方形の模様漆シート3,3…
を構成する。
次に第8図に示したような檜材素地の重箱素材
1に漆塗装用の下地を構成し、かつ上記下地上に
漆により下塗り、中塗り及び上塗りを行ない、そ
の上塗り面に、第1図に示したように、上記模様
漆シート2,2…,3,3…を貼着する。
まず上記檜材素地の重箱素材1の下地の構成に
ついて略述する。これは一般の技法である。
上記重箱素材1の素地のはぎ目や木節等を丸刀
で浅く掘り、その上で、素地に瀬占うるしを吸い
込ませるように塗る。次いで室内で自然乾燥させ
る。その後、更に瀬占うるしと姫糊を等量混合し
た糊うるしにこくそ綿または木粉を飽和状態の固
さになるまで練り合わせ、これをこくその中にこ
くそべらで平に詰める。
こくそが乾いて痩せた上に、地の粉と砥の粉の
等量混合物を水練りし、これに約6%の瀬占うる
しを加えて練り合わせた切り子を、少々盛り上げ
るようにへら付けする。次にこくその上を木地面
と平になるように砥石で水砥ぎする。
その後、糊うるしで麻布を全体に被覆するよう
に着せて貼付け、次いで乾燥後、布目の凹凸を中
荒砥石で水を用いずに空研ぎして平にする。
上記空研ぎ後、水練り地の粉に約60%の瀬占う
るしを練り合わせたものをへら又は下地刷毛で薄
く平らに付ける。乾燥後、これをもう一回行な
う。その次に中荒砥石で平に水研ぎし、研いだ面
をへら又は刷毛により瀬占うるしで固める。
その後、上記瀬占うるしで固めた面に切り子地
をへらか刷毛で薄く平らに付ける。乾燥後、これ
をもう一回行なう。次に切り子地を中荒砥石で平
に水研ぎし、研ぎ面を瀬占うるしで固める。
次に以上の下地に構成する前記下塗り、中塗り
及び上塗りについて略述する。
先ず上記下地に黒うるし(無油)に油煙を混ぜ
たうるしを薄めに平に塗る。乾燥後、駿河炭で水
研ぎをして平にする。その後、下塗り研ぎ面の凹
部をうるし分の多い錆で補修的につけ、乾燥後に
平に研ぐこととする。
次いで、上記下塗り上に、下塗りと同様に、黒
うるしに油煙を混ぜたうるしを薄めにかつ平に塗
り、中塗りをする。後の手順は上記下塗りと同様
である。
更に上記中塗り上に上塗りを行なう。研出黒呂
色うるしを上記中塗りと同様に塗る。この後、上
記中塗りと同様に研ぐ。
上塗りを施した後は、前記したように、重箱素
材1の上塗り上に、蝶形の模様漆シート2,2…
及び長方形の模様漆シート3,3…を接着剤によ
り貼着する。長方形の模様漆シート3,3…は二
枚を一組とし、相互に短冊模様をずらした状態で
側部で接合し、正方形の状態にして貼付する。第
1図はその一配列例である。なお角部には、前記
したように、角材を利用して構成した漆シート5
をカツトしてなる模様漆シート3,3…を貼着す
る。
次に積み重ねられた各段の境界及び蓋との境界
で、その間にまたがつて配置された模様漆シート
2,2…,3,3…をカツトする。このカツトは
一般のカツタを用いて行なう。
この後、第9図に示したように、まず重箱素材
1を各段毎に分離した上で、各段につき、以下の
ように、地の色の色うるしの塗布を行なう。
地の色の色うるしとしては黒色の色うるしを用
いる。ここでは地の色を塗布することが目的であ
るから、なるべく蝶形の模様漆シート2,2…及
び長方形の模様漆シート3,3…の上は避けてそ
れ以外の部分に塗布する。勿論縁の付近には重ね
て塗布することとなるのはやむを得ない。こうし
て二〜三十回程塗り重ね、模様漆シート2,2
…,3,3…の厚みを越えるまで上記黒色の色う
るしを塗り重ねる。
次に塗装面を研摩する。水ペーパーにより研ぎ
上げ、次いで炭により水研ぎをして、重箱表面を
平滑にし、黒色の地の色から模様漆シート2,2
…及び3,3…の表面を浮き出させる。そうして
更に鹿角を砕いて粉にした角粉を用いて一般の技
法により、塗装面を摩き、艶出しをする。
こうして模様付けの工程は完了する。
第10図は模様付けが完了した三段重ねの重箱
12を示している。
次に第二の実施例を略述する。
これも重箱に適用した例に関する。
初めに、重箱素材21に、第一の実施例と同様
に、下地処理をし、次いで下塗り、中塗り及び上
塗りを施した上でその表面の所望の位置に貼付す
べき模様漆シート22,22…を準備する。
上記模様漆シート22,22…は、漆シート2
4,24…をカツトして構成するものであり、漆
シート24,24…は、第一の実施例の漆シート
5と同様の手順で構成するものである。
第12図に示したように、ガラス板28に剥離
紙29を貼着し、上記剥離紙29の剥離面にうす
絹27を載置する。上記うす絹27には先ず地の
色となる白色の色うるしを塗布する。上記色うる
しの乾燥後に、第13図に示したように、うす絹
27の上記色うるし塗布面に、短冊状にカツトし
たマスクシート30,30…を並列に並べて剥離
可能に貼着する。
次に上記マスクシート30,30…を貼付した
うす絹27の表面には前記色うるしと同色、即
ち、白色の色うるしを30回程度塗り重ね、マスク
シート30の厚みを僅かに越える程度の塗布を行
なう。続いて上記色うるしの乾燥後、水ペーパー
により、第14図に示したように、上記うす絹2
7の色うるし塗布面を上記マスクシート30,3
0…の上面と同一面になるまで研ぎ上げ、その
後、第15図に示したように、上記マスクシート
30,30…を剥離する。
次に上記マスクシート30,30…の剥離跡に
生じた凹部31,31…に他の色、即ち、赤色の
色うるしを塗布する。上記凹部31,31…が充
分色うるしで埋まつた後、乾燥させ、その後、そ
の表面を、前記のように、水ペーパーにより平滑
に研ぎ上げ、第16図に示したように、上記凹部
31,31…に塗布充填された色うるしと、その
周囲の地の色とで形成された短冊模様を出現させ
る。
次いでこうして構成された漆シート24は、第
17図に示したように、前記ガラス板28上に貼
着した剥離紙29から剥離すれば完成である。
別の色の模様の漆シート24は同手順で、別の
色の色うるしを用いて構成する。
なお重箱の角部に配置すべき模様を構成するた
めの漆シート24は、上記ガラス板28に代えて
角材を用い、その角部等を利用して上記と同一の
手順で構成する。これも第一の実施例と同一であ
る。
その後、上記漆シート24をポンチで打ち抜
き、円形の模様漆シート22,22…を構成す
る。
次に第18図に示したような檜材素地の重箱素
材21に、前記したように、漆塗装用の下地を構
成し、かつ上記下地上に漆により下塗り、中塗り
及び上塗りを行ない、その上塗り面に、第11図
に示したように、上記模様漆シート22,22…
を貼着する。第11図はその一配列例を示してい
る。なお角部には、前記したように、角材を利用
して構成した漆シート24をカツトしてなる模様
漆シート22,22…を貼付する。
次に積み重ねられた各段の境界及び蓋との境界
で、その間にまたがつて配置された模様漆シート
22,22…をカツトする。
この後、第19図に示したように、まず重箱素
材21を各段毎に分離した上で、各段につき、以
下のように、地の色の色うるしの塗布を行なう。
地の色の色うるしとしては黒色の色うるしを用
いる。ここでは地の色を塗布することが目的であ
るから、なるべく円形の模様漆シート22,22
…の上は避けてそれ以外の部分に塗布する。勿論
縁の付近には重ねて塗布することとなるのはやむ
を得ない。こうして二〜三十回程塗り重ね、模様
漆シート22,22…の厚みを越えるまで上記黒
色の色うるしを塗り重ねる。
次に一般の技法により塗装面を研摩する。先ず
水ペーパーにより研ぎ上げ、次いで炭で水研ぎを
する。そうして重箱表面を平滑にし、黒色の地の
色から模様漆シート22,22…の表面を浮き出
させる。最後に更に鹿角を砕いて粉にした角粉を
用いて一般の技法により、塗装面を摩き、艶出し
をする。こうして模様付けの工程は完了する。
第20図は模様付けが完了した三段重ねの重箱
32を示している。
[発明の効果] 本発明によれば、漆器に模様を描くために、対
象の物品の地の色の色うるしを模様形状に削除す
るという非常に困難な工程がなくなり、所定の段
階まで処理した物品の素材表面に、予め構成した
模様漆シートを貼着し、その周囲を地の色の色う
るしで塗布した上で研ぎ上げるという簡単な工程
で模様が描けるので、能率があがり、失敗もなく
なる利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例を示したものである。第
1図〜第10図は第一の実施例を示したもので、
第1図は、重箱素材に模様漆シートを貼着した状
態の概略斜視図、第2図は枠体にうす絹を貼着し
た状態を示した概略斜視図、第3図は単色の漆シ
ートの概略斜視図、第4図はガラス板に剥離紙を
介してうす絹を載置した状態を示した概略斜視
図、第5図は第4図のうす絹に色うるしを塗布し
た上でマスクシートを貼着した状態を示した概略
平面図、第6図は第5図の状態から色うるしを塗
布した上でマスクシートを剥離した状態を示した
概略平面図、第7図は漆シートの一部切欠概略斜
視図、第8図は重箱素材の概略斜視図、第9図は
模様漆シートを貼着して各段毎に分離した状態を
示した重箱素材の概略斜視図、第10図は模様付
けの完了した重箱の概略斜視図である。第11図
〜第20図は第二の実施例を示したもので、第1
1図は重箱素材に模様漆シートを貼着した状態の
概略斜視図、第12図はガラス板に剥離紙を介し
てうす絹を載置した状態を示した概略斜視図、第
13図は第12図のうす絹に色うるしを塗布した
上でマスクシートを貼着した状態を示した概略斜
視図、第14図は第13図のうす絹上に色うるし
を塗布した状態を示した一部切欠拡大断面図、第
15図は第14図からマスクシートを剥離した状
態を示した一部切欠側面図、第16図は第15図
の状態に続いて色うるしを塗布した状態を示した
一部切欠側面図、第17図は漆シートの概略斜視
図、第18図は重箱素材の概略斜視図、第19図
は模様漆シートを貼着して各段毎に分離した状態
を示した重箱素材の概略斜視図、第20図は模様
付けの完了した重箱の概略斜視図である。 1,21……重箱素材、2,3,22……模様
漆シート、4,5,24……漆シート、6……枠
体、7,27……うす絹、8,28……ガラス
板、9,29……剥離紙、10,30……マスク
シート、11,31……凹部、12,32……重
箱。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 予め、芯布材に漆を塗布して漆シートを形成
    し、更にその漆シートを所望の模様形状にカツト
    して模様漆シートを形成し、 一方対象物品の素地に、一般の技法により漆塗
    装用の下地形成工程、下塗り、中塗り及び上塗り
    の工程を施し、 上記模様漆シートを、上記対象物品の素地の上
    塗り上に貼着した上で、上記模様漆シートの周囲
    の上記上塗り上に、上記模様漆シートの厚みを越
    えるまで所望の色の色うるしを塗布し、 その後、上記模様漆シートの表面が浮き出るま
    で一般の技法により研ぎ上げることによる漆器の
    模様付け方法。
JP2645589A 1989-02-04 1989-02-04 漆器の模様付け方法 Granted JPH02206599A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2645589A JPH02206599A (ja) 1989-02-04 1989-02-04 漆器の模様付け方法

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