JPH05273043A - 放射温度測定装置、放射率測定装置及び放射率累乗比−放射率相関決定の方法 - Google Patents

放射温度測定装置、放射率測定装置及び放射率累乗比−放射率相関決定の方法

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JPH05273043A
JPH05273043A JP926693A JP926693A JPH05273043A JP H05273043 A JPH05273043 A JP H05273043A JP 926693 A JP926693 A JP 926693A JP 926693 A JP926693 A JP 926693A JP H05273043 A JPH05273043 A JP H05273043A
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emissivity
measured
parameter
ratio
temperature
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JP926693A
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English (en)
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Tomotaka Marui
智敬 丸井
Kazuo Arai
和夫 新井
Shinichi Takechi
真一 武智
Ichiro Maeda
一郎 前田
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プロセスの表面近傍の放射率及び温度を測定
する。 【構成】 この実施例は、単色式放射温度計120,2
色式放射温度計130,演算ユニット140で構成さ
れ、図1は、ローリングプロセス中の圧延鋼板又はアル
ミニウムを被測定物110とした場合の様子を示したも
のである。放射率が時間的にある一定の値をとる定常的
な状態(表面に酸化膜が形成されていないとき又は酸化
膜厚dが十分大きくなったとき)を検出し、その状態で
の測定誤差の見積(誤差範囲)を含めた温度をその状態
に対応した放射率を用いて測定するようにしたものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2波長以上の光から放
射率及び温度を測定する放射温度測定装置及び放射率測
定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体材料、金属材料等の製造プロセス
において、その被プロセス材料表面では酸化,合金化,
蒸着等の種々の反応が人工的あるいは自然発生的に起こ
り、この反応に伴って材料物性は著しく変化する。しか
しながら、そういった材料内部のセンシングは困難を極
め、また、多くのセンサーをとりつけ多くのデータを取
り込むことは実用上望ましくない。そのため、上記の物
性値、状態値の中で最も影響の大きなものとして表面温
度をパラメータに選定してこれをオンラインセンシン
グ、ないしは理論計算上の変化状態予測値して制御に利
用している。
【0003】オンライン材料表面温度センシングに関し
ては、接触式と非接触式の温度センシング技術がある。
熱電対、サーミスタ等による接触式の温度センシング技
術は、温度限界があること、センシング点の位置の温度
しか測定されないこと、接触によるコンタミネーション
(不純物混入)等、問題がありすぎるため実用的に用い
られるプロセスがきわめて限定される。一方、非接触温
度計測としては「放射測温」がある。これは鉄鋼、アル
ミ等のメタル材料のプロセスラインでは実用技術であ
り、放射温度計が製品として市販されている。
【0004】放射温度計の一種である単色式放射温度計
は、被測定材料510からの特定の波長λの光の強度か
ら輝度温度(単位K)Sを輻射センサ520で検出し温
度を測定するものである。被測定材料表面における波長
λの光の分光放射率εからつぎの式1で表面近傍の温度
が求められる(C2 は放射定数を示す)。
【0005】
【数1】
【0006】ここで、分光放射率εは材料の材質,表面
状態によって決められる定数と仮定されている。この定
数は、図18に示すように、被測定材料510を熱電対
による接触測温で測定してえられる温度T* と、単色式
放射温度計520の輝度温度Sとから式2を用いて決め
られている(これをオフライン作業と呼ぶ)。
【0007】
【数2】
【0008】これに対して、2波長で温度Sを検出する
2色温度計がある。これら放射温度計の温度測定精度
は、測定する2波長での分光放射率がほぼ等しいか一定
の比例関係が成立する場合には問題ない。しかしなが
ら、熱物体の表面状態が酸化反応などで急変し、分光放
射率が上記の関係から外れるときには測定精度が著しく
悪くなる。特に、単色式放射温度計ではこれよりもさら
に誤差は大きいものとなる。そのため、分光放射率変化
に対応した温度計算方法が望まれ、この点に付いて現在
研究がなされていて、放射率が変動する場合でも使える
改良型2色温度計が考えられている。
【0009】その技術として「特公平3−4855」記
載の方法、および「田中、D.P.Dewitt:Theory of a Ne
w Radiation Thermometry Method and an Experimental
Study Using Galvannealed Steel Specimens (計測自
動制御学会論文集 第25巻第10号1031/103
7頁1989年10月)」にて公開されているTRAC
E(Thermometry Re-established by Automatic Compen
sation of Emissivity)法がある。両者は基本的に同一
の計算法であるので前者を説明する。
【0010】プロセス材料から発せられる輻射エネルギ
ー(光)の分光放射率εは、Wien(ウィーン)の近
似則をもちいて得られ、波長λ1 ,λ2 においてつぎの
式3,4で表され、これらの式から温度Tを消去して式
5が求まる(これらの式に使われている記号を表1に示
す)。
【0011】
【表1】
【0012】
【数3】
【0013】
【数4】
【0014】
【数5】
【0015】この式5の左辺は「分光放射率の波長のべ
き乗」の比である。以下簡単のため、放射率累乗比と呼
ぶことにする。
【0016】さて、特公平3−4855ではつぎの式6
に示すような分光放射率比(ε1 /ε2 )と放射率累乗
比の相関関数「f」をあらかじめ測定によって決定して
おき、温度測定に際しては前述の式5で計算した放射率
累乗比から相関関数fによって分光放射率比をもとめ、
温度Tをつぎの式7で計算してもとめている。
【0017】
【数6】
【0018】
【数7】
【0019】
【発明が解決しようとする課題】単色式放射温度計で
は、図18の分光放射率εの実測を行なわねば精度の高
い測温はできない。しかしながら、分光放射率εは材料
種,温度域,測定波長,輻射センサの測定角度等に依存
し、たとえば輻射センサの測定角度が異なれば分光放射
率εも異なった値をとる。このようなことから、放射率
εは厳密にあらゆるケースについて実測し、それに基づ
いて設定されることは少なく、データブックに載ってい
る値をうのみにして設定したり、勘と経験を頼りに適当
な値に設定している。そのため、測定温度は真の温度に
対し大きな誤差を有するものになることがある。
【0020】金属材料やシリコン半導体の高温プロセス
では表面に酸化膜が形成され、この酸化膜で光学干渉な
どが生じることによってその酸化膜に依存した分光放射
率εの大きな変化が生じ、合金化プロセスのように材質
自体の変化,表面租度(あらさ)の変化でも同様であ
る。これらの分光放射率εの変化は、前述した放射温度
計(単色式,2色温度計)では検知されず、オンライン
プロセスでは分光放射率εの変化の有無やその変化幅,
それによる温度誤差範囲等はほとんどチェックされな
い。そのため、プロセス完了後の製品に温度制御ミスが
生じ、思わぬ不良品が出たりするのである。
【0021】一方、改良型2色温度計は上述の問題を解
決しようとするものであるが、表面薄膜の形成過程の表
面温度計測に適用すると事前にオフライン作業で式5の
「f」を決定しなければならないので、前述の単色温度
計の放射率の測定と同様、図18に示したようなオフラ
イン作業で相関関数「f」を決めている。この改良型2
色温度計でも、温度計測誤差範囲等は出力されない。
【0022】このように、従来の放射温度計は、測温値
を出力するもののその出力された温度がどの程度の信頼
度を持つのか即ち測温誤差については何ら出力されない
ものであった。そのため、プロセス制御などに用いる場
合、そういった測温外れによる予防措置、適応制御がで
きなかった。本案は上記問題を解決すべく、誤差予測値
を出力する放射温度計を提供するものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の放射温度測定装置は、被測定物の表面から
放射された光を異なった少なくとも2波長で検出し検出
信号として出力する放射温度計と、少なくとも2の波長
の検出信号からから放射率累乗比に対応するパラメータ
を算出し、パラメータの時間的平均値を求め、パラメー
タが時間的平均値に対し所定の範囲にあるかを判定し、
パラメータが所定の範囲にある場合、パラメータから定
められる被測定物の表面の放射率又は放射率比に基づい
て検出信号から被測定物の表面近傍の温度を算出する演
算手段とを備えたことを特徴とする。
【0024】演算手段は、少なくとも1の波長の検出信
号から或いは少なくとも2の波長の検出信号から被測定
物の表面近傍の温度を算出することを特徴としても良
い。
【0025】演算手段は、放射率累乗比に対応するパラ
メータの最大値及び最小値から被測定物の表面近傍の誤
差の上限値及び下限値をさらに算出することを特徴とし
ても良い。
【0026】放射率累乗比に対応するパラメータが所定
の範囲外にある場合、外部に放射率が不安定であること
を示すアラーム信号を出力することを特徴としても良
い。
【0027】パラメータが2の波長の検出信号の値の逆
数の差であることを特徴としても良い。
【0028】また、本発明の放射率測定装置は、被測定
物の表面から放射された光を異なった少なくとも2波長
で検出し検出信号として出力する放射温度計と、少なく
とも2の波長の検出信号から放射率累乗比又は放射率比
に対応するパラメータを算出し、パラメータの時間的平
均値を求め、パラメータが時間的平均値に対し所定の範
囲にあるかを判定し、パラメータが所定の範囲にある場
合、パラメータ或いは少なくとも2の波長の検出信号か
ら被測定物の表面から放射された光の放射率を算出する
演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0029】ここで、パラメータが2の波長の検出信号
の値の逆数の差であることを特徴としても良い。
【0030】さらに、本発明は上述のほかつぎのもので
も良い。すなわち、本発明の放射温度測定装置は、被測
定物の表面から放射された光を異なった少なくとも2波
長で検出し検出信号として出力する放射温度計と、少な
くとも2の波長の検出信号から放射率累乗比に対応する
パラメータを算出し、被測定物について予め測定された
パラメータと被測定物の放射率又は放射率比の相関に基
づいて、検出信号から被測定物の表面近傍の温度の上限
値及び下限値もしくは誤差範囲とを算出する演算手段と
を備える。
【0031】相関は、パラメータと、放射率の中心値ε
0 ,上限値εU ,放射率の下限値εL のいずれかとの相
関であることを特徴としても良い。或いは、相関は、パ
ラメータと、2波長の放射率比の中心値,上限値,放射
率の下限値のいずれかとの相関であることを特徴として
も良い。
【0032】相関は、予めオフラインで前記被測定物に
ついて実測されたデータに基づいて定められたものであ
ることを特徴としても良い。
【0033】相関を決める方法として、予めオフライン
で所定の被測定物について放射率累乗比及び放射率又は
放射率比を実測し、実測されたデータ群のうち頻度の高
い部分に付いて回帰して放射率又は放射率比の中心値の
回帰関数を定め、回帰関数による放射率又は放射率比の
中心値から所定の誤差範囲にデータ群がある場合、誤差
範囲の上限・下限を上限値・下限値の回帰関数として、
放射率累乗比と被測定物の放射率との相関を決定する。
【0034】
【作用】本発明の放射温度測定装置では、放射温度計で
被測定物の表面から放射された光が検出され、演算手段
において放射率累乗比([εi のλi 乗]/[εj のλ
j 乗];ここでεi ,εj は波長λi ,λj における被
測定物の放射率)に対応するパラメータ(例えば、放射
率累乗比,2の波長の検出信号の値の逆数の差など)が
算出される。このパラメータは、被測定物の表面が定常
的な状態であるときほぼ一定の値をとる。このとき、被
測定物の表面から放射された光のうち1波長の光の検出
信号及びその波長をもちいて、或いは少なくとも2の波
長の検出信号をもちいて、その波長の放射率,被測定物
の表面近傍の温度を算出することが可能で、簡単な演算
処理で求められる。即ち、放射率累乗比に対応するパラ
メータ或いは少なくとも2の波長の検出信号から放射率
が容易に得られ、この放射率と少なくとも1の波長の検
出信号から被測定物の表面近傍の温度が簡単な演算処理
で求められる。
【0035】ここで、被測定物の表面が定常的な状態に
おける放射率累乗比に対応するパラメータの変化から被
測定物の表面近傍の温度の誤差範囲が簡単な演算処理で
求められる。
【0036】一方、放射率累乗比に対応するパラメータ
が所定の範囲にない場合には、被測定物の表面近傍の温
度が正確に求められていない旨のアラーム信号を出力で
きる。
【0037】また、本発明の放射率測定装置では、上記
放射温度測定装置と同様にして、2の波長の検出信号か
ら被測定物の放射率が簡単な演算処理で求められる。
【0038】本発明の放射温度測定装置が、被測定物に
ついて予め測定されたパラメータと被測定物の放射率の
相関に基づいて、被測定物の表面近傍の温度と、この温
度誤差の上限値及び下限値もしくは誤差範囲とを算出す
る、という構成をとるものである場合、つぎのようにな
る。
【0039】放射温度計で被測定物の表面から放射され
た光が検出され、演算手段において放射率累乗比に対応
するパラメータが算出される。そして、温度とこの温度
誤差の上限値及び下限値もしくは誤差範囲とがもとめら
れるべく、このパラメータと、放射率や放射率比、最大
値及び最小値もしくは許容範囲などとの相関が予め測定
されており、この相関に基づいて検出信号から被測定物
の表面近傍の温度と、この温度誤差の上限値及び下限値
もしくは誤差範囲とが求められる。
【0040】
【実施例】本発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1には、本発明の実施例の構成の概略が示されてい
る。この実施例は、2色式放射温度計130,演算ユニ
ット140で構成され、図1は、ローリングプロセス中
の圧延鋼板又はアルミニウムを被測定物110とした場
合の様子を示したものである。
【0041】2色式放射温度計130は、既存のもの
で、被測定物110の表面から放射された光を異なった
少なくとも2波長λ1 ,λ2 を内蔵された輻射センサに
て検出し、輝度温度S1 ,S2 として出力する。演算ユ
ニット140は、輝度温度S1,S2 から被測定物11
0の表面近傍の温度を算出し、また、計測結果などをふ
くむデータDin,Dout を外部とやり取りする。図2に
示すように、放射率累乗比演算ブロック210,判定ブ
ロック220,放射率累乗比の時間平均演算ブロック2
30,放射率算出ブロック250,放射率の最大値・最
小値演算ブロック240,温度演算ブロック260を有
する。演算ユニット140は、コンピュータ、その入出
力インターフェイスとそのソフトウェアで構成される
(この点に付いては他の実施例も同じ)。
【0042】放射率累乗比演算ブロック210は、輝度
温度S1 ,S2 から放射率累乗比([εi のλi 乗]/
[εj のλj 乗])に対応するパラメータKu(t)を
算出する。ここで、パラメータKu(t)として放射率
累乗比そのものを用い、前述の式5の演算にて求める。
放射率累乗比の時間平均演算ブロック230は、パラメ
ータKu(t)を順次加重平均して時間的平均値〈Ku
(t)〉を求める。これは式8で示され、一定の周期
(M/m)でサンプリングされたパラメータKu(t)
をm個を平均化してもとめられる。
【0043】
【数8】
【0044】判定ブロック220は、放射率累乗比の時
間平均演算ブロック230で求められたパラメータKu
(t)の時間的平均値〈Ku(t)〉に対して、サンプ
リングされたパラメータKu(t)が所定の範囲にある
かを判定する。例えば、1000度近傍で温度誤差±5
度とするとき、±5%の範囲にあるかを判定する。この
範囲設定については後述する。パラメータKu(t)が
所定の範囲外にある場合には、アラーム信号を出力し放
射率が不安定であることを知らせる。パラメータKu
(t)が所定の範囲にある場合、ほかの各部で被測定物
110の表面近傍の温度T及びこの温度の最大値
max ,最小値Tmin がもとめられる。
【0045】放射率算出ブロック250は、時間的平均
値〈Ku(t)〉から平均化された放射率ε(t)を算
出する(式9参照)。また、最大値・最小値演算ブロッ
ク240は、サンプリングされたパラメータKu(t)
の最大値・最小値から放射率ε(t)の最大値ε
max (t),最小値εmin (t)を算出する(式10
a,10b参照)。
【0046】
【数9】
【0047】
【数10】
【0048】放射率累乗比演算ブロック210,判定ブ
ロック220,放射率累乗比の時間平均演算ブロック2
30,放射率算出ブロック250,放射率の最大値・最
小値演算ブロック240で放射率測定部270を構成
し、この部分で放射率を算出することが可能である。
【0049】温度演算ブロック260は、平均化された
放射率ε(t),検出波長λ1 と輝度温度S1 (又は、
検出波長λ2 と輝度温度S2 )から被測定物110の表
面近傍の温度Tを求め、放射率ε(t)の最大値ε
(t)max ,最小値ε(t)min,検出波長λ1 と輝度
温度S1 (又は、検出波長λ2 と輝度温度S2 )から最
大値Tmax ,最小値Tmin をもとめる。これらは前述の
式1と同じ演算で求められるが、念の為これらの演算式
を式11〜13に示しておく。ここで、式11は、
λ1 ,S1 について示したが、検出波長λ2 ,輝度温度
2 についても、全く同様に前述の式1に代入したもの
で求められる。
【0050】
【数11】
【0051】
【数12】
【0052】
【数13】
【0053】つぎにこの装置の原理的な点に付いて説明
する。
【0054】被測定物110の分光放射率εは、前述し
たようにその表面状態に左右される。例えば、表面に酸
化膜が形成される場合、被測定物−酸化膜の反射,酸化
膜−大気の反射などによって被測定物からの光は干渉
し、それらの反射率,酸化膜厚d,酸化膜の複素屈折
率,波長,光が放射される角度(即ち輻射センサと被測
定物表面法線とがなす角(設置角))などに応じて分光
放射率εが変化することが知られている。この一例を示
すと、図3または図5のような変化になる。これらの図
において、縦軸は放射率εを、横軸は表面にできる酸化
膜厚dを示す。ここで、図3は被測定物110として普
通鋼を用いた場合、図5は被測定物110としてアルミ
ニウムを用いた場合を示したものである。また、輻射セ
ンサは、被測定物表面法線上にある。そして、輻射セン
サにはSi(検出波長λ1 =1μm),Ge(検出波長
λ2 =1.6μm),PbS(検出波長λ3 =2μ
m),PbSe(検出波長λ4 =4μm)を用いること
ができ、放射率ε1 〜ε4 はそれらの波長に対する放射
率をそれぞれ示している。
【0055】表面に酸化膜が形成されていないとき(d
=0のとき)、放射率ε1 〜ε4 は、所定の値を示し、
酸化膜厚dが大きくなるにつれて変化する。この変化は
各波長λ1 〜λ4 によって異なっており、単色式,2色
放射温度計ではこれが前述した誤差の原因になってい
る。また、放射率累乗比Kuij(Kuij=[εi のλi
乗]/[εj のλj 乗];ここでεi ,εj は波長λi
,λj における被測定物の放射率)も変化する。図4
は図3の放射率に対する放射率累乗比Ku12,Ku34
変化を、図6は図5に対する放射率累乗比の変化を示し
たものである。
【0056】酸化膜厚dがある程度大きくなると、放射
率ε1 〜ε4 はある一定の値に収束するようになる。こ
れは、被測定物からの光は酸化膜で吸収され(複素屈折
率の複素成分による。)、酸化膜をバルクの酸化物とし
て良い程度に厚くなることによる。放射率がある一定の
値になることから、単色式の放射温度計で温度を測定す
ることが可能になる。単色温度計の計測では、放射率が
安定であることを仮定しており、この放射率は予め求め
られている必要がある。放射率を予め求める方法は、前
述の従来の技術で述べたように簡便なものがなく、図7
の方法によっていたのである。
【0057】本発明はこの点に着目し、放射率が時間的
にある一定の値をとる定常的な状態(表面に酸化膜が形
成されていないとき又は酸化膜厚dが十分大きくなった
とき)をオンラインで検出し、その状態での温度やその
状態に対応した放射率や用いてオンラインで測定するよ
うにしたものである。この状態では、放射率累乗比は一
定の値を示し、特に、2色式放射温度計130の検出波
長λ1 ,λ2 に対する放射率ε1 ,ε2 (又はε3 ,ε
4 )が図3,図5のように等しくなる場合、パラメータ
Ku(t)として放射率累乗比を用いれば、パラメータ
Ku(t)は式14で示される。放射率ε0 (=ε1
ε2 )は式15で求められる。放射率ε 0 の時間的に平
均化された放射率ε(t)は式16で示される。これは
アナログ的な平均を示しており、サンプリングして平均
した場合は前述の式8になる。ここで、式8は式16の
厳密な平均式を実用的な式に書き直したものである。
【0058】
【数14】
【0059】
【数15】
【0060】
【数16】
【0061】また、放射率が時間的に変化する過渡的な
状態では、改良型2色温度計で温度を測定することを可
能としている。この点に付いては、判定ブロックの判定
結果(アラーム信号出力)をトリガとして改良型2色温
度計として処理するルーチンを起動させることで容易に
実現する。このルーチンに付いては、パラメータKu
(t)と放射率比(ε1 /ε2 )との相関ブロック29
0から放射率を求めるようにする(図2の点線の部分を
参照)。そして、温度演算ブロック260に放射率比か
ら式7を用いて温度Tを求めるルーチンを追加すれば足
りる。
【0062】上述のようにして得られた放射率から式1
(即ち式11)の演算で温度が求められる。或いは、式
1と等価な演算でも求め得る。式7においてε1 =ε2
とした式17にても温度が求められる。この式17はε
1 =ε2 のとき式11と同値である。
【0063】
【数17】
【0064】ここで、温度誤差ΔTは式18で示される
(ε* は真の放射率εに対する誤差である)。この放射
率誤差ε* と、時間的平均値〈Ku(t)〉に対する放
射率累乗比の変動ΔKuとの関係は式19に示される。
検出波長λ1 =1μm,検出波長λ2 =1.6μmとし
たとき、温度誤差ΔT−放射率累乗比の変動ΔKuは図
7のチャート図で示される。判定ブロックでは、これら
の関係を用いてパラメータKu(t)の範囲を決めて判
定を行っている。例えば、図のA,A’は1000度近
傍で温度誤差±5度となる範囲(温度誤差±5%の範
囲)の限界を示しており、判定ブロックでは、この範囲
になるパラメータKuがおよそ±4%の範囲にあるかを
判定する。
【0065】
【数18】
【0066】
【数19】
【0067】つぎに、この装置の動作について説明す
る。
【0068】被測定物110からは、温度T,酸化膜の
反射率,酸化膜厚d,酸化膜の複素屈折率,波長,光が
放射される角度に応じた波長分布の光が放射される。こ
の光のうち、波長λ1 ,λ2 の光が2色式放射温度計1
30で測定され、輝度温度S1 ,S2 として出力され
る。ここで、輻射センサにSi,Geを用いた場合、
「検出波長λ1 =1μm,検出波長λ2 =1.6μm」
である。
【0069】演算ユニット140では、放射率累乗比演
算ブロック210にて輝度温度S1,S2 からパラメー
タKu(t)が算出され、時間平均演算ブロック230
で時間Mの間の時間的平均値〈Ku(t)〉が求められ
る。判定ブロックでは、時間的平均値〈Ku(t)〉と
パラメータKu(t)とから過渡的な状態か定常的な状
態かが判定される。酸化膜厚dが時間が経つにつれて大
きくなるような場合、パラメータKu(t)は、図4又
は図6においてパラメータKu(t)の変化(Ku12
変化)が大きいとき(例えばd=0.6μm近傍(図
4),0.1μm近傍(図6)のとき)は過渡的な状態
と判定され、変化が小さいとき(例えばd=2.2μm
近傍(図4),0.2μm近傍(図6)のとき)、定常
的な状態と判定される。パラメータKu(t)が定常的
な状態な値になってから時間Mの後に安定な時間的平均
値〈Ku(t)〉になる。
【0070】定常的な状態では、放射率算出ブロック2
50で平均化された放射率ε(t)が算出され、最大値
・最小値演算ブロック240で放射率ε(t)の最大値
εmax (t),最小値εmin (t)が算出される。温度
演算ブロック260では、輝度温度S1 またはS2 から
被測定物110の表面近傍の温度Tと最大値Tmax ,最
小値Tmin とが求められる。十分に酸化膜が厚くなった
とき(普通鋼(図3,4)の場合「d=5μm」、アル
ミニウム(図5,6)の場合「d=0.4μm」)、普
通鋼の場合「Ku(t)=0.789,ε(t)=0.
789」、アルミニウムの場合「Ku(t)=0.27
2〜0.2735,ε(t)=0.272〜0.273
5」となり、これらの値は実際の値とほぼ同じものにな
っている。
【0071】一方、過渡的な状態では、アラーム信号を
出力して警報を行うとともに改良型2色温度計として動
作する。また、PbS,PbSeを用いた場合、「検出
波長λ1 (λ3 )=2μm,検出波長λ2 (λ4 )=4
μm」であり、パラメータKu(t)の変化はKu34
変化になる。
【0072】このように、定常的な状態かどうかをオン
ラインで判定することにより、その状態に応じた計測が
可能になっている。特に、定常的な状態では単色式放射
温度計として動作しているため、簡単な演算で温度を測
定し動作が非常に早くなっている。また、測定感度も向
上している。参考までにこの点に付いて説明するとつぎ
のようになる。単色式放射温度計の波長λi における感
度ni は式11を偏微分して得られる(式20)。一
方、2色測温の場合は、近似的に式21で示される(n
12は2の輻射センサの検出波長n1 ,n2 の差)。これ
らの式から明らかなように単色測温の場合の方が感度が
良くなっていることが分かる。
【0073】
【数20】
【0074】
【数21】
【0075】図3ないし図6では、設置角を0度として
いるが、この角度を変えると、パラメータKu(t),
放射率ε(t)は異なった変化をする。この場合におい
ても、これらの値は、定常的な状態では輝度温度S1
2 ,検出波長値を用いてオンラインで同様に求められ
る。そのため、設置状態にかかわりなく被測定物の表面
近傍の温度TやパラメータKu(t),放射率ε(t)
を測定できる。また、被測定物の素材がかわっても同様
である。
【0076】このように、良好な測定を可能としている
ので、この装置をオンラインプロセスに用いると、その
プロセスの温度制御性が向上し、品質が大きく向上す
る。
【0077】つぎに、本発明の第2実施例について説明
する。
【0078】前述の第1実施例では、放射率累乗比に対
応するパラメータKu(t)として放射率累乗比そのも
のを用いたが、このほかの数学的に等価的なパラメータ
を用いても動作する。表1には、その例として式5のを
両辺(表のA)を変形したもの(表のB,C)を示して
いる。
【0079】
【表2】
【0080】また、温度演算ブロックについても数学的
な等価な変換が可能で、式22でも求め得る。
【0081】
【数22】
【0082】第2実施例は、パラメータKu(t)とし
て輝度信号の逆数の差「1/S1 −1/S2 」を用い、
温度演算ブロックを式22によるものとした場合のもの
である。前述の第1実施例とは、ほぼ同等だが、演算ユ
ニット140において放射率測定部270の構成が若干
異なっており、図8には、第2実施例の演算ユニット1
40及び放射率測定部370の構成を示す(相関ブロッ
ク290については省略)。異なっている点を示すとつ
ぎのようになる。
【0083】放射率累乗比演算ブロック310は、輝度
温度S1 ,S2 から「1/S1 −1/S2 」の演算でパ
ラメータKu(t)を求め、時間平均演算ブロック23
0は式8でこのパラメータKu(t)の時間的平均値
〈Ku(t)〉を求める。判定ブロックは、パラメータ
Ku(t)が所定の範囲にあるかを判定する。この範囲
は、許容される温度誤差ΔTから前述の式18と式23
に基づいて決められる。
【0084】
【数23】
【0085】放射率算出ブロック250は、式22で輝
度温度S1 ,S2 から放射率ε(t)を求め、また、最
大値・最小値演算ブロック240は、式24a,24b
でサンプリングされたパラメータKu(t)の最大値・
最小値から放射率ε(t)の最大値εmax (t),最小
値εmin (t)を算出する。ここで、放射率算出ブロッ
ク250は、式23でパラメータKu(t)又は時間的
平均値〈Ku(t)〉から放射率ε(t)を求めること
も可能である。
【0086】
【数24】
【0087】この装置は、前述の第1実施例と比較して
パラメータKu(t)の値が異なるだけで同じ動作をす
る。ただし、指数演算をしない分動作速度が速くなる。
【0088】つぎに、本発明の第3実施例について説明
する。
【0089】プロセスラインにおいては、単色式放射温
度計で良いような測定箇所があり、このような箇所には
単色式放射温度計を設置しておくのがコスト上有利であ
る。しかし、プロセス材料がかわったりすると放射率が
変化するため、前述したようにオフライン作業でこの放
射率を測定することになる。この作業を簡単化するため
の装置が、図9に示すような、2色式放射温度計13
0,演算ユニット440で構成された放射率測定装置で
ある。単色式放射温度計120は、プロセスラインに設
けられ、被測定物110の表面から放射された波長λ0
の光を検出し輝度温度S0 として図示せぬプロセスコン
トローラに出力する既存のオンライン放射温度計であ
る。
【0090】2色式放射温度計130は前述の実施例と
同様のものである。演算ユニット440は、前述の実施
例の放射率測定部270又は370で構成され、測定さ
れた放射率を図示せぬプロセスコントローラに出力す
る。ここで、これらの検出波長には「λ1 〈λ
0 〈λ2 」という関係をもたせている。また、演算ユニ
ット440は測定結果を保持するための記憶手段(ディ
スク装置とそのインターフェイスなど)を有し、測定結
果を保持する。
【0091】放射率を測定する際、この装置を単色式放
射温度計120近傍に仮設置し、プロセスコントローラ
に接続する。このとき、単色式放射温度計120の測定
角度とできるだけ一致するようにする。そしてこの装置
を動作させる。前述の実施例と同じ動作で放射率ε0
算出され、プロセスコントローラに出力されて保持され
る。その後、この仮設置した装置を取り外す。ほかに測
定すべき箇所がある場合、同様にして順次測定して行
く。前述したように、定常的な状態では、波長λ0 ,λ
1 ,λ2 の放射率は等しく、測定された放射率は単色式
放射温度計120の放射率である。プロセスコントロー
ラは、この放射率と単色式放射温度計120の輝度温度
0 とから被測定物110の表面近傍の温度を測定す
る。
【0092】このように、材料がかわるごとに、プロセ
スラインに設けられた単色式放射温度計それぞれの放射
率が測定され、オンラインで材料やプロセスの相違など
による放射率の変化に対応することが可能になる。この
測定結果は、プロセスコントローラまたはディスクに保
持され、放射率のデータベースができることになる。次
回同じ材料を加工するときはこのデータベースから放射
率のデータを呼び出せば、再度測定せずにプロセス制御
が可能になる。
【0093】こうして得られたデータベースは、放射率
の上限値・下限値といった測定誤差に関するデータを含
むものであるので、このデータベースを利用することに
より新たな放射温度測定装置を構成することができる。
この放射温度測定装置の場合でも、測定温度の測定誤差
を得ることができ、測定誤差が得られることはプロセス
の品質管理上重要な意義を持つ。また、データベースを
用いた相関テーブルに基づいて測定温度及び測定誤差を
得るものであるので、非常に高速に測定することが可能
になる。そのため、プロセスの高速処理に寄与し、生産
性の向上に役立つものである。以下、この放射温度測定
装置を第4の実施例として説明する。
【0094】図10は、本発明の放射温度測定装置の第
4の実施例を示したものである。この装置は、前述の実
施例と同様の2色式放射温度計130と、演算ユニット
470とを有し、演算ユニット470において放射率累
乗比と放射率又は放射率比との相関から測定温度及び測
定誤差を得ている点に特徴がある。放射率との相関によ
る場合と、放射率比との相関による場合とでは処理が若
干異なるが、まず、放射率との相関によるものとして、
各部について説明する。
【0095】放射率累乗比演算ブロック410は、前述
の実施例と同様であり、輝度温度S1 ,S2 から放射率
累乗比を算出する(改めて式25として示す。以下同
様)。この例でも、放射率累乗比EPRそのものでな
く、上述したパラメータKu(t)のように放射率累乗
比に対応するパラメータでもよい。ここでは、放射率累
乗比(又は対応するパラメータ)を「EPR」で示して
区別する。
【0096】
【数25】
【0097】相関データ参照テーブル452には、放射
率累乗比と放射率又は放射率比との相関から回帰関数を
予め求めておき、これらが記憶される。回帰関数は、予
めオフラインで被測定物110について実測されたデー
タに基づいて定められ、放射率累乗比及び放射率の実測
値をプロットし、これらのデータ群を回帰した回帰式で
ある。実測する際単色式温度計であった場合、放射率累
乗比と放射率との相関がとられる。中心回帰関数f,上
限回帰関数fU ,下限回帰関数fL は、放射率累乗比E
PRと放射率の中心値ε0 との相関,放射率の上限値ε
U との相関,放射率の下限値εL との相関をそれぞれ示
すもので、関数f,fU ,fL を式26,式27,式2
8で示される。
【0098】
【数26】
【0099】
【数27】
【0100】
【数28】
【0101】相関データ参照テーブル452には、簡単
に温度誤差が求められるように、中心値と上限値,下限
値との比εU /ε0 ,εL /ε0 をそれぞれバラツキ関
数vU ,vL として定義し、放射率累乗比から中心値と
上限値,下限値との比を得るようにしている(この点に
付いては放射率比の場合も同様である)。関数vU ,v
L は、温度誤差を求める際に必要な推定値を与えるもの
であり、測定データの比をとれば良いので容易に定める
ことができる。
【0102】放射率算定ブロック450は、相関データ
参照テーブル452を用いて放射率累乗比演算ブロック
410で得た放射率累乗比EPRの実測値からそれに対
応する放射率の中心値ε0 ,比εU /ε0 ,εL /ε0
を算出する。温度演算ブロック460は、輝度温度S1
及び放射率の中心値ε0 から測定温度T* を求める。こ
の演算は、前述の式1に示した単色温度計のものと同様
であるが、改めて式29に示す。
【0103】
【数29】
【0104】また、温度誤差演算ブロック462は、測
定温度T* と比εU /ε0 ,εL /ε0 とから式30に
基づいて温度誤差ΔTの上限誤差ΔTU ,下限誤差ΔT
L を求める。式30は、前述の式1について上限値εU
を代入した上限温度TU を求める式と、測定温度T*
式29とから輝度温度Sを消去して得られたものであ
る。(ε* /ε)の値を(εU /ε0 )から(εL /ε
0 )にかえると、下限温度TL も同様の関係になる。
【0105】
【数30】
【0106】つぎに、関数f,fU ,fL 或いは関数v
U ,vL について説明する。
【0107】バラツキ関数vU ,vL は、その定義から
式31,32で示される(関数f,fU ,fL は式26
〜28又は後述する式34〜36のいずれの場合も含
む)。
【0108】
【数31】
【0109】
【数32】
【0110】このような関数vU ,vL が決まれば、任
意の放射率累乗比EPRに対して、放射率又は放射率比
の予測値(オフライン関数f,fU ,fL による回帰推
定値)がどの程度の誤差をはらむかが得られることにな
る。図11はその様子を示したもので、測定された放射
率累乗比EPR0 に対して放射率又は放射率比f(EP
0 ),その下限値fU (EPR0 ),上限値fL (E
PR0 )が得られる様子を示したものである。関数f,
U ,fL 或いは関数vU ,vL をつぎの手順で決めて
行く。
【0111】まず、予めオフラインで所定の被測定物1
10について放射率累乗比及び放射率又は放射率比を実
測し、この実測値をプロットする。これらのデータ群の
うち頻度の高い部分に付いて回帰して関数fとする。
【0112】こうして得られた「放射率累乗比に対する
放射率の中心値ε0 又は放射率比の中心値(ε1
ε2 0 」の関数fに対して、中心値ε0 又は(ε1
ε2 0が±15%,±10%,±5%など誤差が典型
値をとるものを関数fU ,fL とする。ここで、データ
群のうちレアケース(3σ値)になるものは外しておく
(図12のプロットA)。この時、関数vU ,vL は一
定値になり、1±0.15,1±0.10,1±0.0
5などの値をとる。関数fU ,fL で囲まれた領域のな
かに実測データが入っていることを確認してこれを関数
U ,vL とする(図13)。
【0113】この場合、図14にしめすように、ある範
囲については実測データがばらつき、この範囲の放射率
累乗比EPRだけが大きなバラツキを与える場合があ
る。これはある特定の表面状態になると放射率の変動が
大きいことを示し、それに対応して大きなバラツキが現
れるのである。この場合についても関数vU ,vL でし
めされることになり、適応的な放射率変動のための計算
誤差の見積もり対応ができる。このように相関データ参
照テーブル452は、バラツキ情報を保持したものにな
る。
【0114】こうして、関数vU は、放射率累乗比EP
Rに対する放射率又は放射率比の最小値をオフラインデ
ータに基づいて与えられ、1.0以下の値をとる。ま
た、関数vL は、放射率累乗比EPRに対する放射率又
は放射率比の最大値をオフラインデータに基づいて与え
られ、1.0以上の値をとる。例えば、誤差±10%で
あれば、関数vU ,vL は式33のようになる。
【0115】
【数33】
【0116】つぎにこの装置の動作について説明する。
【0117】2色式放射温度計130の信号即ち輝度温
度S1 ,S2 から放射率累乗比演算ブロック410によ
り放射率累乗比EPRが得られる。この放射率累乗比E
PRは、放射率算定ブロック450にて相関データ参照
テーブル452を用いて放射率累乗比EPRに対応する
放射率の中心値ε0 に変換される。また、比(εU /ε
0 )若しくは(εL /ε0 )が得られる。このとき誤差
が典型値をとるものであれば、その値は一定のものであ
る。また、図14のような場合、誤差範囲に応じた比
(εU /ε0 )若しくは(εL /ε0 )が得られる。
【0118】温度演算ブロック460では放射率の中心
値ε0 から測定温度T* が求められ、また、温度誤差演
算ブロック462では測定温度T* と比εU /ε0 ,ε
L /ε0 とから上限誤差ΔTU ,下限誤差ΔTL を求め
られる。このとき、比εU /ε0 ,εL /ε0 はすでに
与えられており、これを用いて式30に基づいて誤差が
求められるので、この演算は非常に簡単なものになる。
【0119】このようにして、測定対象の表面の測定温
度を得ることができ、また、上限誤差ΔTU ,下限誤差
ΔTL も同時に得ることができる。そのため、どの程度
測定温度T* が誤差を持つかを知ることができ、プロセ
スの温度管理を有効に行うことができる。これによっ
て、プロセスの品質管理を良好に行うことができ、生産
性の向上に役立たせることができる。特に、前述した実
施例のように平均値を採ることをしないので応答性が非
常に良いものになる。
【0120】予めオフラインで被測定物110について
実測する際に2色式温度計であった場合、放射率比(ε
1 /ε2 )との相関がとられる。中心回帰関数f,上限
回帰関数fU ,下限回帰関数fL を予め求めておき、こ
れらが記憶される。これらの関数は、放射率累乗比EP
Rと放射率比の中心値(ε1 /ε2 0 ,上限放射率比
(ε1 /ε2 U ,下限放射率比(ε1 /ε2 L との
相関をそれぞれ示すもので、式34,式35,式36で
示される。
【0121】
【数34】
【0122】
【数35】
【0123】
【数36】
【0124】相関データ参照テーブル452には、上述
の場合と同様、簡単に温度誤差が求められるようにバラ
ツキ関数vU ,vL として定義し、中心値と上限値との
比「(ε1 /ε2 U /(ε1 /ε2 0 」,中心値と
下限値との比「(ε1 /ε2 L /(ε1 /ε2 0
を得るようにしている。
【0125】図15は、関数f,fU ,fL の一例を示
したものであり、図のプロットは予めオフラインで所定
の材質(川崎製鉄製低炭素鋼CAL材)で実測したもの
である。オンラインプロセス上確率的に発生するすべて
の放射率変動を網羅するようなヒートパターン変化,材
質変化,表面状態の変化を想定した場合の一例であり、
妥当と思える誤差範囲ですべての放射率や放射率比の変
動を網羅するものになっている。関数fU ,fL はそれ
ぞれこれらの実測データのうちレアケース(3σ値)を
外したものについて上限,下限の境界を示すものとして
いる。
【0126】放射率算定ブロック450は、相関データ
参照テーブル452を用いて放射率累乗比演算ブロック
410で得た放射率累乗比EPRの実測値からそれに対
応する放射率比の中心値(ε1 /ε2 0 ,上限放射率
比(ε1 /ε2 U ,下限放射率比(ε1 /ε2 L
算出する。温度演算ブロック460は、放射率比の中心
値(ε1 /ε2 0 から測定温度T* を求める。この演
算は、前述した2色式温度計のものと同様であるが、改
めて式37に示す。
【0127】
【数37】
【0128】また、温度誤差演算ブロックは、輝度温度
1 ,S2 及び放射率比の中心値(ε1 /ε2 0 ,上
限放射率比(ε1 /ε2 U ,下限放射率比(ε1 /ε
2L から式38に基づいて温度誤差ΔTの上限誤差Δ
U ,下限誤差ΔTL を求める。式38は、前述の式3
4について上限値εU を代入した上限温度TU を求める
式と、測定温度T* の式34とから輝度温度Sを消去し
て得られたものである(式38において「λ* 」は2波
長式測温での見掛けの測定波長を示す)。「(ε*
ε)/(ε1 /ε2 )」の値を「(ε1 /ε2 U
(ε1 /ε2 0 」から「(ε1 /ε2 L /(ε1
ε2 0 」にかえると、下限温度TL も同様の関係にな
る。
【0129】
【数38】
【0130】この場合も同様にして測定温度T* ,上限
誤差ΔTU ,下限誤差ΔTL を得ることができる。
【0131】上記実施例においては、式30の(ε*
ε)または式38の「(ε* /ε)/(ε1 /ε2 )」
の値が直接得られるようにしたが、中心値ε0 ,上限値
εU,下限値εL (または、(ε1 /ε2 0 ,(ε1
/ε2 U ,(ε1 /ε2 L )をすべて求めるように
しても良いし、いずれか2つから測定温度T* などを求
めるようにしても良い。
【0132】図16は、放射率の上限値εU ,下限値ε
L から測定温度T* などを求めるようにした場合の一例
である。この装置では、相関データ参照テーブル452
には、放射率累乗比EPRの実測値から放射率の上限値
εU ,下限値εL を得るようにしている。放射率の中央
値算出ブロック455は、上限値εU ,下限値εL を平
均して中心値ε0 を求める。この中心値ε0 から温度演
算ブロック460で得られた測定温度T* と上限値εU
とから、測定温度T* の最小値演算ブロック462aは
前述の式30にて測定温度の最小値T* min を求め、測
定温度T* と下限値εL とから、測定温度T* の最大値
演算ブロック462bは前述の式30にて測定温度の最
小値T* max を求める。
【0133】輝度温度S1 ,S2 から放射率累乗比演算
ブロック410により放射率累乗比EPRが得られ、放
射率累乗比EPRは放射率算定ブロック450にて相関
データ参照テーブル452を用いて上限値εU ,下限値
εL に変換される。これらの値を用いて測定温度T*
これの最小値T* min 及び最小値T* max が求められ
る。
【0134】図17は、上限誤差ΔTU ,下限誤差ΔT
L を得るようにしたもので、比εU/ε0 ,εL /ε0
をのもとめて(演算ブロック464)、これから図1の
実施例と同様にして上限誤差ΔTU ,下限誤差ΔTL
得ている。
【0135】本発明は前述の実施例に限らず様々な変形
が可能である。
【0136】例えば、過渡的な状態で改良型2色温度計
として動作するようにしたが、改良型2色温度計にかえ
て、キャビティ法やTRACE温度計など他の放射率変
動に対応可能なセンサで構成するようにしても良い。被
測定物の素材についても、鋼板又はアルミニウムに限ら
れず、シリコンなど他の素材でも良い。
【0137】また、2色式放射温度計の検出波長を切り
替えるようにすることも可能である。つまり、複数の輻
射センサ(例えば、Si,Ge,PbS,PbSe)を
設け、このうち2つを選んで輝度温度S1 ,S2 として
出力するようにしても良い。このとき、パラメータKu
(t)のカーブが変わり、定常的な状態が得やすくなる
ことがある。さらに放射率についても、パラメータKu
と同様に、これに対応するパラメータとしても良い。
【0138】本発明の放射温度測定装置が、被測定物に
ついて予め測定されたパラメータと被測定物の放射率の
相関に基づいて、被測定物の表面近傍の温度などを算出
する、という構成をとるものである場合、相関に基づい
て検出信号から表面近傍の温度などが求められるので、
演算が非常に速いものであり、表面近傍の温度などを迅
速に得ることができる。また、表面近傍の温度だけでな
く、温度誤差の上限値及び下限値もしくは誤差範囲をも
迅速に得ることができる。
【0139】
【発明の効果】以上の通り本発明の放射温度測定装置に
よれば、被測定物の表面が定常的な状態であるかどうか
を検知することができるので、被測定物の表面が定常的
な状態である場合に、2色式温度計の検出信号から被測
定物の表面近傍の温度を簡単な演算処理で求められるた
め、被測定物の表面近傍の温度を迅速に感度良く検出す
ることが可能になる。また、本発明の放射率測定装置に
よれば、被測定物の表面が定常的な状態であるかどうか
を検知することができる。
【0140】本発明の放射率測定装置によれば、放射率
の変化を容易に測定することが可能になる。また、予め
測定された材料の放射率のバラツキが装置内に記憶され
ているので、そのバラツキ自体のオンライン予測及びそ
のバラツキに起因する温度バラツキのオンライン予測が
可能になる。こういったバラツキに対応すべくプロセス
制御をかけることができるようになり、測温外れによる
予防措置、適応制御並びに製品製造後の製品の温度コン
トロール外れによる注意部分の抽出が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の構成図。
【図2】演算ブロックの構成図。
【図3】放射率の変化を示す図。
【図4】放射率累乗比の変化を示す図。
【図5】放射率の変化を示す図。
【図6】放射率累乗比の変化を示す図。
【図7】範囲を決めるチャート図。
【図8】第2の実施例の演算ブロックの構成図。
【図9】第3の実施例の構成図。
【図10】第4の実施例の構成図。
【図11】測定された放射率累乗比に対して放射率又は
放射率比,その下限値,上限値の相関を示す図。
【図12】レアケースのプロットを示す図。
【図13】関数vU ,vL が所定の値を持つときの関数
U ,fL の態様を示す図。
【図14】大きなバラツキを与える場合の関数fU ,f
L の態様を示す図。
【図15】放射率累乗比と放射率比との相関の実測例を
示す図。
【図16】第4の実施例の構成図。
【図17】第5の実施例の構成図。
【図18】従来例の構成図。
【符号の説明】
110…被測定物,120…単色式放射温度計,130
…2色式放射温度計,140…演算ユニット,210…
放射率累乗比演算ブロック,220…判定ブロック,2
30…時間平均演算ブロック,240…最大値・最小値
演算ブロック,250…放射率算出ブロック,260…
温度演算ブロック,270…放射率測定部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武智 真一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 前田 一郎 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定物の表面から放射された光を異な
    った少なくとも2波長で検出し検出信号として出力する
    放射温度計と、 少なくとも2の波長の前記検出信号から放射率累乗比に
    対応するパラメータを算出し、前記パラメータの時間的
    平均値を求め、前記パラメータが前記時間的平均値に対
    し所定の範囲にあるかを判定し、前記パラメータが前記
    所定の範囲にある場合、前記パラメータから定められる
    前記被測定物の表面の放射率又は放射率比に基づいて前
    記検出信号から前記被測定物の表面近傍の温度を算出す
    る演算手段とを備えたことを特徴とする放射温度測定装
    置。
  2. 【請求項2】 前記演算手段は、少なくとも1の波長の
    前記検出信号から或いは少なくとも2の波長の前記検出
    信号から前記被測定物の表面近傍の温度を算出すること
    を特徴とする請求項1記載の放射温度測定装置。
  3. 【請求項3】 前記演算手段は、前記パラメータの最大
    値及び最小値から前記被測定物の表面近傍の温度の上限
    値及び下限値をさらに算出することを特徴とする請求項
    1記載の放射温度測定装置。
  4. 【請求項4】 前記パラメータが前記所定の範囲外にあ
    る場合、外部に前記放射率が不安定であることを示すア
    ラーム信号を出力することを特徴とする請求項1記載の
    放射温度測定装置。
  5. 【請求項5】 被測定物の表面から放射された光を異な
    った少なくとも2波長で検出し検出信号として出力する
    放射温度計と、 少なくとも2の波長の前記検出信号から放射率累乗比に
    対応するパラメータを算出し、前記パラメータの時間的
    平均値を求め、前記パラメータが前記時間的平均値に対
    し所定の範囲にあるかを判定し、前記パラメータが前記
    所定の範囲にある場合、前記パラメータ或いは少なくと
    も2の波長の前記検出信号から前記被測定物の表面から
    放射された光の放射率又は放射率比を算出する演算手段
    とを備えたことを特徴とする放射率測定装置。
  6. 【請求項6】 被測定物の表面から放射された光を異な
    った少なくとも2波長で検出し検出信号として出力する
    放射温度計と、 少なくとも2の波長の前記検出信号から放射率累乗比に
    対応するパラメータを算出し、前記被測定物について予
    め測定された前記パラメータと前記被測定物の少なくと
    も1波長の放射率又は放射率比との相関に基づいて、前
    記検出信号から前記被測定物の表面近傍の温度の上限値
    及び下限値もしくは誤差範囲とを算出する演算手段とを
    備えたことを特徴とする放射温度測定装置。
  7. 【請求項7】 前記相関は、前記パラメータと、前記放
    射率又は放射率比の中心値,上限値,放射率の下限値の
    いずれかとの相関であることを特徴とする請求項6記載
    の放射温度測定装置。
  8. 【請求項8】 前記相関は、予めオフラインで前記被測
    定物について実測されたデータに基づいて定められたも
    のであることを特徴とする請求項6記載の放射温度測定
    装置。
  9. 【請求項9】 予めオフラインで所定の被測定物につい
    て放射率累乗比及び放射率又は放射率比を実測し、実測
    されたデータ群のうち頻度の高い部分に付いて回帰して
    放射率又は放射率比の中心値の回帰関数を定め、 前記回帰関数による放射率又は放射率比の中心値から所
    定の誤差範囲に前記データ群がある場合、前記誤差範囲
    の上限・下限を上限値・下限値の回帰関数として、放射
    率累乗比と前記被測定物の放射率又は放射率比との相関
    を決定する方法。
JP926693A 1992-01-29 1993-01-22 放射温度測定装置、放射率測定装置及び放射率累乗比−放射率相関決定の方法 Pending JPH05273043A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007192579A (ja) * 2006-01-17 2007-08-02 Toyota Motor Corp 温度計測装置及び温度計測方法
JP2011231397A (ja) * 2010-04-06 2011-11-17 Nippon Steel Corp 合金化位置決定方法、合金化位置決定装置及びプログラム
JP2012093177A (ja) * 2010-10-26 2012-05-17 Nippon Steel Corp 炉内における鋼材の表面温度測定方法および表面温度測定装置
JP2021128013A (ja) * 2020-02-12 2021-09-02 日本製鉄株式会社 測温システム及び測温方法
JP2022165402A (ja) * 2021-04-19 2022-10-31 Jfeスチール株式会社 温度測定方法、温度測定装置、温度制御方法、温度制御装置、鋼材の製造方法、及び鋼材の製造設備

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