JPH05292995A - モノクローナル抗体,その製造法および用途 - Google Patents

モノクローナル抗体,その製造法および用途

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JPH05292995A
JPH05292995A JP3153475A JP15347591A JPH05292995A JP H05292995 A JPH05292995 A JP H05292995A JP 3153475 A JP3153475 A JP 3153475A JP 15347591 A JP15347591 A JP 15347591A JP H05292995 A JPH05292995 A JP H05292995A
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ngf
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有三 市森
Koichi Kondo
孝一 近藤
Tsunehiko Fukuda
常彦 福田
Osamu Iwane
理 岩根
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ヒトNGF蛋白質に結合するモノクローナル抗
体を開発する。 【構成】ヒトNGFと反応し、ヒトNGFのN末端部分
を認識しないNGF蛋白質に対するモノクローナル抗体
を製造した。 【効果】ヒトNGF蛋白質に特異的に結合するので、測
定用試薬などとして有利に用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は神経成長因子(本明細書
において、NGFと略称することもある。)蛋白質に対
するモノクローナル抗体,その製造法および用途に関す
る。さらに、該モノクローナル抗体を産生するハイブリ
ドーマを提供するものである。
【0002】
【従来の技術】神経成長因子(nerve growth factar,N
GF)はレヴィ モンタルチーニ(Levi-Monntalcini)
〔アニュアル ニューヨーク アカデミー オブ サイ
エンス( Ann. N. Y. Acad. Sci )55,330 (195
2)〕およびコーエン(Cohen)ら〔プロシージングス
オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンス
ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)
,1014(1954)〕によっ て発見され、末梢神経
系の分化、成長および生存に必須な栄養因子である。最
近、NGFは中枢神経系において、コリン作動性ニュー
ロンの生存を維持する作用を有することが明らかにされ
ており〔ヘフティー(Hefti),ジャーナル オブニューロ
サイエンス(Journal of Neuroscience),2155
(1986);畠 中(Hatanaka)等、ディベロプメント
オブ ブレイン リサーチ(Dev. Brain Res.)39,8
5(1988)〕、アルツハイマー病と何らかの関連があ
る因子とし て注目されている。また、老齢ラットの脳
内にNGFを投与すると、記憶障害の改善が認められる
〔ネイチャー(Nature),329,65(1989)〕ことか
ら、老人性痴ほうの治療薬としても期待されている。
【0003】雄マウス顎下腺より単離されたNGF(7
S NGF)は、α、β、γの3種のサブユニットから
なる複合体(α2βγ2)であり、そのうちのβサブユニッ
トにのみNGF活性が認められている。βサブユニット
(βNGF、2.5S NGF)は118個のアミノ酸か
らなる同一のポリペプチドの2量体であり、そのアミノ
酸配列はアルゲレッティ(Argeletti)とブラッドショウ
(Bradshaw)〔プロシージングス オブ ザ ナショナル
アカデミー オブ サイエンス ユーエスーエー(Pro
c.Natl. Acad. Sci. USA),68,2417(197
1)〕によって決定されている。
【0004】スコット(Scott)らはマウスβNGFのア
ミノ酸配列に基づいて合成したオリゴヌクレオチドをプ
ローブとして用いて、マウス顎下腺cDNAライブラリ
ーから、マウスβNGFのクローニングに成功した〔ネ
イチャー(Nature),302,538 (1983)〕。さら
にアルリッチ(Ullrich)らはマウスβNGF cDNAを
プローブとして用いて、ヒトゲノムDNAのライブラリ
ーからNGF遺伝子をクローニングし、その塩基配列か
ら推定したヒトNGFのアミノ酸配列がマウスNGFの
それと90%の相同性を有することを示した〔ネイチャ
ー(Nature),30 ,821(1983)〕。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなヒトNGF
遺伝子はクローニングされているが、生体からヒトNG
Fが検出や単離がなされた報告はほとんどない。ヒトN
GFが生体から検出されない理由の1つとして、今まで
主として抗マウスNGF抗体を用いていたためと考えら
れる。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記実情にかんがみ、本
発明者らはNGFの実用的な測定手段を見い出すべく種
々検討した結果、その測定を可能ならしめるNGFに対
するモノクローナル抗体を作製し、これに基づいてさら
に研究した結果、本発明を完成した。 (1)、 ヒトNGFと反応し、ヒトNGFのN末端部分を
認識しないNGF蛋白質に対するモノクローナル抗体,
(2)、 上記(1)記載のモノクローナル抗体を産生するハイ
ブリドーマ,(3)、 上記(2)記載のハイブリドーマを液体
培地中または哺乳動物の腹腔内で増殖させることを特徴
とする上記(1)記載のモノクローナル抗体の製造法,およ
び(4)、 上記(1)記載のモノクローナル抗体を用いて免疫
学的測定法を行なうことを特徴とするNGF蛋白質の検
出および(または)定量法である。
【0007】哺乳動物に免疫するNGF蛋白質として
は、動物由来のNGFであればいずれでもよいが、生物
活性が認められるβサブユニットがより好ましい。ま
た、そのムテイン(mutein)でもよい。 動物由来のNGFの代表例としては、たとえば、マウス
のNGF〔Levi-Monntalcini R. ら,J. Exp.Zool. 11
6:321(1951);Varon S. ら,Biochemistry
6:2202(1967)〕,ヘビ毒由来NGF〔Angel
etti R. H.,Proc.Natl. Acad. Sci. USA 65:668
(1970)〕,モルモットNGF〔 HarperG. P. ら, Na
ture 279:160(1979)〕およびヒト胎盤由
来のNGF〔Goldstein L. D.ら,Neurochem. Res.3:
175(1978)〕などがあげられる。NGFとしては
マウスβNGF cDNAをプローブとして用いて、ヒト
ゲノムDNAライブラリーからNGF遺伝子をクローニ
ングし、その塩基配列から推定したアミノ酸配列〔 Ulr
ich A. ら,Nature303:821(1983)〕を有する
ポリペプチドが好ましい。
【0008】ヒトのNGFを得るには、たとえば上述の
NGF蛋白質のポリペプチドをコードする塩基配列を有
するDNAを含有する発現ベクターを作製し、適当な宿
主細胞に導入してNGFを産生させればよい。発現ベク
ターとしては、例えば、(イ)ヒト白血球DNAより作製
されたゲノムライブラリーで宿主を形質転換し、(ロ)得
られた形質転換体を培養後、形質転換体から適当な方
法、例えばDNAプローブを用いたコロニーハイブリダ
イゼーション法、により目的とするDNAを含有するプ
ラスミドを単離し、(ハ)そのプラスミドから目的とする
クローン化DNAを切り出し、(ニ)該クローン化DNA
をビークル中のプロモーターの下流に連結する、ことに
より製造することができる。
【0009】このようにして得られた発現ベクターを、
適当な宿主(例、大腸菌,枯草菌,酵母,動物細胞)に組
み込み、得られた形質転換体を培地に培養することによ
り、ヒトのNGFを製造することができる。上記ヒトN
GF蛋白質としては、ヒトNGFのムテインをも含まれ
る。該ヒトNGFムテインとしては、本来、元のペプチ
ドあるいは蛋白質のアミノ酸配列が変異したものであ
り、したがって該変異としては、アミノ酸の付加,構成
アミノ酸の欠損,他のアミノ酸への置換が挙げられる。 該アミノ酸の付加としては、少なくとも1個のアミノ酸
が付加しているものが挙げられる。該構成アミノ酸の欠
損としては、少なくとも1個のNGF構成アミノ酸が欠
損しているものが挙げられる。該他のアミノ酸への置換
としては、少なくとも1個のNGF構成アミノ酸が別の
アミノ酸で置換されているものが挙げられる。
【0010】NGFに少なくとも1個のアミノ酸が付加
しているムテインにおける少なくとも1個のアミノ酸と
しては、ペプチドを発現する際に用いられる開始コドン
に基因するメチオニンや、シグナルペプチドは含まれな
いものである。付加されているアミノ酸の数としては、
少なくとも1個であるが、NGFの特徴を失わない限り
何個でもよい。さらに好ましくは、NGFと相同性(ホ
モロジー)が認められており、同様の活性を示すタンパ
クのアミノ酸配列の一部あるいはすべてが挙げられる。
NGFの少なくとも1個のNGF構成アミノ酸が欠損し
ているムテインにおける欠損している構成アミノ酸の数
としては、NGFの有する特徴を失わない限り何個でも
よい。NGFの少なくとも1個のNGF構成アミノ酸が
別のアミノ酸で置換されているムテインにおける置換さ
れる前の少なくとも1個のNGF構成アミノ酸の数とし
ては、NGFの特徴を失わない限り何個でもよい。
【0011】置換される前の構成アミノ酸の例として
は、システイン,システイン以外のものが挙げられる。
システインが特に好ましい。置換される前の構成アミノ
酸としてシステイン以外のものとしては、アスパラギン
酸,アルギニン,グリシン,バリンなどが挙げられる。 置換される前の構成アミノ酸がシステインである場合に
は、置換されたアミノ酸としては、たとえば中性アミノ
酸が好ましい。該中性アミノ酸の具体例としては、たと
えば、グリシン,バリン,アラニン,ロイシン,イソロイシ
ン,チロシン,フェニルアラニン,ヒスチジン,トリプトフ
ァン,セリン,スレオニン,メチオニンなどが挙げられ
る。特に、セリン,スレオニンが好ましい。置換される
前の構成アミノ酸がシステイン以外のものである場合に
は、置換された別のアミノ酸としては、たとえば、アミ
ノ酸の親水性,疎水性あるいは電荷の点で、置換される
前のアミノ酸とは異なる性質をもつものを選ぶ。具体例
には置換される前のアミノ酸がアスパラギン酸の場合に
は、置換されたあとのアミノ酸としてアスパラギン,ス
レオニン,バリン,フェニルアラニン,アルギニンなどが
挙げられるが、特にアスパラギン,アルギニンが好まし
い。置換される前のアミノ酸がアルギニンの場合には置
換されたあとのアミノ酸としてグルタミン,スレオニン,
ロイシン,フェニルアラニン,アスパラギン酸が挙げられ
るが、特にグルタミンが好ましい。置換される前の構成
アミノ酸がグリシンである場合には、置換されたあとの
アミノ酸としては、スレオニン,ロイシン,フェニルアラ
ニン,セリン,グルタミン酸,アルギニンなどが挙げら
れ、特にスレオニンが好ましい。置換される前の構成ア
ミノ酸がセリンである場合には、置換されたあとのアミ
ノ酸としては、メチオニン,アラニン,ロイシン,システ
イン,グルタミン,アルギニン,アスパラギン酸などが挙
げられ、特にメチオニンが好ましい。置換される前の構
成アミノ酸がバリンである場合には、置換されたあとの
アミノ酸としては、セリン,ロイシン,プロリン,グリシ
ン,リジン,アスパラギン酸などが挙げられ、特にセリン
が好ましい。置換される前の元の構成アミノ酸として
は、アスパラギン酸,アルギニン,グリシン,セリン,バリ
ンが好ましい。置換されたあとのアミノ酸としては、ア
スパラギン,グルタミン,アルギニン,スレオニン,メチオ
ニン,セリン,ロイシンが好ましい。
【0012】上記の置換においては、2以上の置換を同
時に行なってもよい。特に、2または3個の構成アミノ
酸が置換されるのが好ましい。上記のムテインは、上記
した付加,欠損,置換の2つまたは3つが組み合わさった
ものでもよい。該ムテインを製造するためには、特定部
位指向性変異誘発技術(Sitedirected mutagenesis)が採
用される。該技術は周知であり、アール・エフ・レイサ
ー(Lather, R. F.)及びジェイ・ピー・レコック(Lecoq,
J. P.),ジェネティック・エンジニアリング(Genetic E
ngineering)、アカデミックプレス社(1983年)第3
1−50頁、に示されている。オリゴヌクレオチドに指
示された変異誘発はエム・スミス(Smith, M.)及びエス
・ギラム(Gillam, S.)、ジェネティック・エンジニア
リング:原理と方法、プレナムプレス社(1981年)3
巻1−32頁に示されている。
【0013】該ムテインをコードする構造遺伝子を製造
するためには、たとえば、(a) NGFの構造遺伝子の1
本鎖からなる1本鎖DNAを突然変異株オリゴヌクレオ
チドプライマーと雑種形成させる(この1本鎖で代替え
すべきシステイン用コドン、又は場合によりこのコドン
と対合をつくるアンチセンス・トリプレットを包含する
領域に対して上記プライマーは相補的なものである。但
し、当該コドンの他のアミノ酸暗号化用コドン、又は場
合によりアンチセンス・トリプレットとの不一致はこの
限りでない。)、(b) DNAポリメラーゼによりプライマ
ーを伸長させ、突然変異性ヘテロ二量体(heteroduplex)
を形成させる、及び(c) この突然変異性ヘテロ二量体を
複製する。次に、突然変異化された遺伝子を運搬するフ
ァージDNAを単離し、プラスミドへ組み込む。
【0014】このようにして得られたプラスミドで適当
な宿主を形質転換し、得られた形質転換体を培地に培養
することにより、ムテインを製造することができる。本
発明における抗原としてのNGFの構成アミノ酸が欠損
したムテインとしては、NGFのアミノ酸配列のうちの
アミノ酸の個数が100個以上のものからなるムテイン
が好ましく、さらに好ましくは110個以上のムテイン
があげられる。
【0015】本発明のモノクローナル抗体を製造するに
は、ヒトNGF蛋白質を哺乳動物に免疫し、得られた脾
臓細胞と哺乳動物のリンパ球様細胞とを細胞融合させ、
次いでクローン化することにより製造される。該NGF
蛋白質を免疫するに際しては、NGF蛋白質をキャリヤ
ー蛋白との複合体としてから、これを免疫に用いてもよ
い。該キャリヤー蛋白としては、たとえばウシ血清アル
ブミン,ウシサイログロブリン,ヘモシアニンなどが挙げ
られる。キャリヤー蛋白複合体を用いる場合に、キャリ
ヤー蛋白とNGF蛋白質とのカップリング比率は、約
0.1〜30倍(キャリヤー/NGF蛋白質:重量比)で
用いられる。望ましくは約0.5〜5倍が用いられる。
また、ハプテンとキャリヤーとのカプリングには、種々
の縮合剤を用いることが出来るが、グルタルアルデヒド
やカルボジイミド等が好都合に用いられる。
【0016】NGF蛋白質または蛋白複合体を用いて免
疫するに際し、免疫する哺乳動物は、羊、山羊、兎、モ
ルモット、ラット、マウス等の実験動物が使われるが、
モノクローナル抗体を得るためには、ラット、マウスが
好ましい。免疫方法は、例えばマウスを免疫する場合、
皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下等のいずれのルー
トからでも可能であるが、主として皮下、腹腔内、静脈
内に(とりわけ皮下)注入するのが好ましい。また、免疫
間隔,免疫量等も可変度は高く、種々の方法が可能であ
るが、たとえば2週間隔で約2〜6回免疫し、最終免疫
後、約1〜5日、好ましくは約2〜4日後に摘出した脾
臓細胞を用いる方法がよく用いられる。免疫量は1回に
ペプチド量として、マウス当り約0.1μg以上、好まし
くは約10μg〜300μg用いることが望ましい。又、
脾臓を摘出する前に、部分採血を行い、血中の抗体価の
上昇を確認した上で、脾臓細胞を用いる融合実験を行う
ことが望ましい。
【0017】上記脾臓細胞とリンパ球様細胞との細胞融
合は例えば摘出したマウスの脾臓細胞を、ヒポキサンチ
ン−グアニン−ホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損
(HGPRT-)や、 チミジンキナーゼ欠損(TK-)の様な
マーカーを持った適切な同種または異種(好ましくは同
種)のミエローマ[例、P3−X63−Ag・8U1(市森
他 ジャーナル・オブ・イムノロジカル・メソッド
55 (1985)]等の、リンパ球様細胞株との間
で融合させる。例えばケラーおよびミルスタイ ンらの
方法[ネイチャー(Nature)256:495(1975)]に
準じて融合させることにより製造される。たとえばミエ
ローマ細胞と脾細胞とを約1:5の割合で、たとえばイ
スコフ培地とハムF−12培地を1:1に混合した培地
(以下IH 培地と称する。)に懸濁させ、センダイウイ
ルス,ポリエチレングリコール(PE G)等の融合剤が用い
られる。もちろんジメチルスルホキシド(DMSO)その
他 の融合促進剤を加えることも可能である。PEGの
重合度は、ふつう約1000〜6000,時間は約0.5
〜30分,濃度は約10%〜80%等が用いられるが、
好ましい条件の一例として、PEG 6000を約35
〜55%で約4〜10分 処理することにより、効率よ
く融合させることが出来る。融合細胞は、ヒポキサンチ
ン−アミノプテリン−チミジン培地[HAT培地;ネイ
チャー,256,4 95(1975)]等を用いて、選択的
に増殖させることが出来る。
【0018】増殖して来た細胞の培養上清は、目的とす
る抗体産生があるか否かについてスクリーニングを行う
ことができるが、抗体価のスクリーニングは次の様に行
うことが出来る。即ち、この場合には、まず第1段階と
して免疫したペプチドに対する抗体産生の有無を、ラジ
オイムノアッセイ(RIA)法またはエンザイムイムノア
ッセイ(EIA)法等の方法で調べることが出来るが、こ
れらの方法についても種々の変法が可能である。好まし
い測定法の一例として、EIAを用いる一つの方法につ
いて述べる。セルロースビーズ等の担体に、例えばウサ
ギ抗マウスイムノグロブリン抗体を常法に従ってカプリ
ングさせておき、これに測定したい培養上清や、マウス
の血清を加え、一定時間、定温(約4〜40℃を示す。
以下においても同様。)で反応させる。この後、反応物
をよく洗った後、酵素で標識したペプチド(酵素とペプ
チドを常法に従いカプリングさせた後精製)を加え、一
定時間,定温で反応させる。反応物をよく洗った後、酵
素基質を加え、一定時間,定温で反応させ、その後、生
成発色物を吸光度または蛍光度等で測定することが出来
る。
【0019】選択培地で増殖を示し、かつ免疫に用いた
ペプチドに対する抗体活性のみられたウエルの細胞は、
限界希釈法等によりクローニングを行うことが望まし
い。クローン化された細胞の上清について同様にスクリ
ーニングを行い抗体価の高いウエルの細胞を増やすこと
により、免疫したペプチドと反応性を示すモノクローナ
ル抗体産生ハイブリドーマクローンが得られる。
【0020】このようにしてクローン化されたハイブリ
ドーマを、液体培地中で増殖させる。具体的には例え
ば、液体培地たとえばRPMI−1640[Moore,G.
E., et.al. ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカ
ル・アソシエーション( J. Am.Med. Assoc.)199,5
49(1967)]に約0.1〜40%の牛血清を加えた培
地等で約2〜10日間、好ましくは約3〜5日間培養す
ることにより、培養液から該モノクローナル抗体を得る
ことができる。また、哺乳動物の腹腔内に接種し、細胞
を増殖させ、腹水を採取することにより抗体を取得する
ことが出来る。このためには、例えばマウスの場合、ミ
ネラルオイル等を前もって接種したBALB/c 等のマ
ウスに約1×104〜1×107個、好ましくは約5×1
5〜2×106個のハイブリドーマを腹腔内に接種し、
約7〜20日後、好ましくは約10〜14日後に腹水液
を採取する。腹水に生成蓄積した抗体は、例えば硫安分
画,DEAE−セルロースカラムクロマトグラフィー等
により、容易にモノクローナル抗体を純粋な免疫グロブ
リンとして単離することが出来る。
【0021】このようにして、NGF蛋白質に対するモ
ノクローナル抗体が得られる。本発明のモノクローナル
抗体にあっては、免疫原のペプチドのNGF蛋白質と特
異的に結合する。 なお、本発明のモノクローナル抗体
は、製造時に用いた免疫原のペプチドとは異なるNGF
蛋白質と結合する場合もある。本発明のモノクローナル
抗体は、ヒトNGFと反応し、しかもヒトNGFのN末
端部分を認識しないものである。たとえば、ヒトNGF
のN末端から第1番目〜第15番目のアミノ酸配列に存
在する抗原決定を認識しないものである。本発明のモノ
クローナル抗体は、NGF蛋白質に結合することから、
NGF蛋白質測定用試薬として極めて有用である。さら
に生体臓器、組織中のNGF蛋白質の測定を容易にする
ことは、NGF蛋白質に関する基礎知見(例えば生体内
分布)を得る上からも極めて有用である。生体臓器,組織
中のNGF蛋白質の検出には通常酵素免疫測定法(EI
A法)などによる定量、あるいは蛍光抗体法やラジオイ
ムノアッセイ法(RIA法)が用いられる。特に、EIA
法が好ましい。またこれらの臓器,組織中に存在するN
GF蛋白質の大きさを知るにはタンパクのウエスタンブ
ロッティング法が有効である。この方法は臓器,組織由
来の粗抽出液あるいはその部分精製試料をアクリルアミ
ド電気泳動した後、メンブランフィルターにトランスフ
ァーし、HRP結合抗NGF蛋白質抗体で検出する。
【0022】さらに該抗体とNGF蛋白質との結合能を
利用し、抗体アフィニティーカラムを作製してNGF蛋
白質の精製の試薬として利用することもできる。 NG
F蛋白質を検出,定量するために用いられる抗体分子
は、IgGでもよく、または、そのフラクション{例、F
(ab´)2,Fab´ もしくはFab}であっても良い。なかで
も、標識剤を直接結合させる抗体分子はFab´ であるこ
とが好ましい。本発明のモノクローナル抗体は、NGF
蛋白質の免疫化学的測定法における試薬として用いるこ
とができる。該NGF蛋白質の免疫化学的測定法によっ
て、生体組織や体液中のNGF蛋白質の量を測定するこ
とができ、これにより、たとえば種々の組織や体液中の
NGF蛋白質を測定することにより、中枢神経系疾患の
診断に役立つと考えられる。
【0023】上記免疫学的測定法において、二種の抗体
を用いる測定法を行なうに際しては、一方の抗体として
本発明のモノクローナル抗体を用い、他方の抗体とし
て、本発明のモノクローナル抗体またはポリクローナル
抗体を用いることができる。NGF蛋白質の測定方法に
おいて用いられる担体上に保持された抗体における担体
としては、例えば、ゲル粒子(例、アガロースゲル[例、
セファロース4B、セファロース6B(ファルマシア・
ファインケミカル社(スエーデン)製)]、デキストランゲ
ル[例、セファデックスG−75、セファデックスG−
100、セファデックスG−200(ファルマシア・フ
ァインケミカル社(スエーデン)製)]、ポリアクリルアミ
ドゲル[例、バイオゲルP−30、バイオゲルP−6
0、バイオゲルP−100(バイオラッド・ラボラトリ
ーズ社(米国)製)]、セルロース粒子[例、アビセル(旭化
成製)、イオン交換セルロース(例、ジエチルアミノエチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース)]、物理的
吸着剤[例、ガラス(例、ガラス球、ガラスロッド、アミ
ノアルキルガラス球、アミノアルキルガラスロッド)、
シリコン片、スチレン系樹脂(例、ポリスチレン球、ポ
リスチレン粒子)、イムノアッセイ用プレート(例、ヌ
ンク社(デンマーク)製]、イオン交換樹脂{例、弱酸性
陽イオン交換樹脂[例、アンバーライトIRC−50(ロ
ーム・アンド・ハース社(米国)製)、ゼオカーブ226
(パームチット社(西ドイツ)製)]、弱塩基性陰イオン交
換樹脂[例、アンバーライトIR−4B、ダウエックス
3(ダウケミカル社(米国)製]}などが挙げられる。
【0024】担体に抗体を保持させるには、公知の常套
手段を応用し得るが、例えば、“代謝”、第8巻(19
71年)、第696頁に記載されているブロムシアン
法、グルタールアルデヒド法などが挙げられる。また、
より簡便な方法として物理的に担体表面に吸着させても
よい。標識剤を結合させた抗体における標識剤として
は、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが
挙げられるが、酵素を用いるのが好ましい。酵素として
は、安定で非活性の大きなものが好ましく、ペルオキシ
ダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシ
ダーゼ、グルコースオキシダーゼ等を用いることができ
るが、ペルオキシダーゼが好ましい。ペルオキシダーゼ
としては、種々の起源のものを用いることができるが、
その例としてはたとえば西洋わさび、パイナップル、イ
チジク、甘藷、ソラマメ、トウモロコシなどから得られ
るペルオキシダーゼが挙げられ、特に西洋わさびから抽
出されたホースラディッシュ ペルオキシダーゼ(horse
radish peroxidase)(HRP)が好ましい。ペルオキシダ
ーゼと抗体を結合するにあたり、抗体分子としてのFab
´のチオール基を利用するために、あらかじめペルオキ
シダーゼにマレイミド基を導入したものを用いると好都
合である。マレイミド基をペルオキシダーゼに導入する
方法としては、ペルオキシダーゼのアミノ基を介してマ
レイミド基を導入することができる。そのためには、N
−サクシニミジル−マレイミド−カルボキシレート誘導
体を用いることができ、好ましくは、N−(γ−マレイ
ミドブチルオキシ)サクシイミド(GMBSと略称するこ
ともある)などが良い。従って、マレイミド基とペルオ
キシダーゼとの間に一定の基が入っていることとなって
もよい。 GMBSをペルオキシダーゼに反応させるに
は、両者を、pH約6ないし8の緩衝液中で約10ない
し50℃の温度で約10分ないし24時間反応させるこ
とによって行われる。該緩衝液としては、たとえば、p
H7.0の0.1Mリン酸緩衝液などが挙げられる。この
ようにして得られたマレイミド化ペルオキシダーゼは、
たとえばゲルクロマトグラフィーなどにより精製するこ
とができる。該ゲルクロマトグラフィーを行う際に用い
られる担体としては、例えば、セファデックスG−25
[ファルマシア・ファインケミカル社(スエーデン)製]、
バイオゲルP−2[バイオラッド・ラボラトリーズ社(米
国)製]などが挙げられる。
【0025】マレイミド化ペルオキシダーゼと抗体分子
との反応は、両者を緩衝液中で約0℃ないし40℃の温
度で、約1ないし48時間反応させることにより行うこ
とができる。該緩衝液としては、たとえば、pH6.0の
5mMエチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩を含む0.1
Mリン酸緩衝液などが挙げられる。このようにして得ら
れたペルオキシダーゼ標識抗体は、たとえばゲルクロマ
トグラフィーなどにより精製することができる。該ゲル
クロマトグラフィーを行う際に用いられる担体として
は、例えば、セファデックスG−25[ファルマシア・
ファインケミカル社(スエーデン)製]、バイオゲルP−
2[バイオラッド・ラボラトリーズ社(米国)製]などが挙
げられる。
【0026】さらに、ペルオキシダーゼにチオール基を
導入し、マレイミド化された抗体分子と反応させても良
い。ペルオキシダーゼ以外の酵素を抗体に直接結合させ
るには、ペルオキシダーゼの場合に準じて行なうことが
でき、また、自体公知のグルタルアルデヒド法,過ヨウ
素酸法,水溶性カルボジイミド法などが用いられる。本
発明の測定系における被検試料としては、尿、血清、血
獎、髄液等の体液、あるいは、動物細胞や菌体の抽出液
またはその培養上清が挙げられる。 本発明の測定方法
の例として、標識剤がペルオキシダーゼの場合について
以下に具体的に説明するが、ペルオキシダーゼに限定さ
れるものではない。 まず、:担体に保持された抗体に、測定すべきNGF
蛋白質含有の分析対象物を加えて抗原抗体反応を行った
後、これに、前記で得られたペルオキシダーゼと抗NG
F蛋白質抗体との結合物を加えて反応させる。
【0027】この本測定系における被検試料としては、
尿、血清、血獎、髄液等の体液、あるいは、動物細胞や
菌体の抽出液またはその培養上清が挙げられる。 :で得られた反応生成物にペルオキシダーゼの基質
を加え、生じた物質の吸光度もしくは蛍光強度を測定す
ることにより上記の反応生成物の酵素活性を知る。 :上記〜の操作を既知量のNGF蛋白質の標準溶
液に対してあらかじめ行い、NGF蛋白質と吸光度もし
くは蛍光強度との関係を標準曲線として作成しておく。 :未知量のNGF蛋白質を含む分析対象物(被検試料)
について得られた吸光度もしくは蛍光強度を標準曲線に
あてはめ、分析対象物中のNGF蛋白質の量を測定す
る。
【0028】NGF蛋白質に対するモノクローナル抗体
とキャリア用蛋白との複合体を免疫原として得られた抗
体を用いてNGF蛋白質を精製することができる。これ
には、該抗体を用いてアフィニティーカラムクロマトグ
ラフィーを行なうことにより行なうことができる。該ア
フィニティーカラムクロマトグラフィーは、たとえば、
該抗体を適切な担体にカップリングさせ、これをカラム
に充填し、NGF蛋白質を含む溶液をカラムに通し吸着
させ、次いで溶出させることにより行なうことができ
る。
【0029】該担体としては、たとえば、先に記載され
た担体と同様のものが挙げられる。とりわけゲル粒子や
各種合成樹脂が好都合に用いられる。たとえばCNBr
−activated Sepharose 4B(ファルマシア・ファイン
ケミカル社製),アフィゲル−10,アフィゲル15(バイ
オラッド・ラボラトリーズ社製)などが挙げられる。
【0030】抗体を担体にカップリングさせるには、公
知の常套手段を応用し得るが、たとえば“代謝”,第8
巻(1971年),第696頁に記載されているブロムシ
アン法,グルタールアルデヒド法が挙げられる。また、
水溶性カルボジイミドを用いる方法、活性エステル法な
ども用いることができるが、より簡単な方法として物理
的に担体表面に吸着させてもよい。
【0031】このようにして得られた抗体カラムを用い
て精製を行なうには、抗体を結合させた担体を充てんし
た抗体カラムに中性付近の緩衝液中のNGF蛋白質を吸
着させる。次にカラムを同じ緩衝液で洗浄したのち、特
異的に吸着されたNGF蛋白質を溶出させる。特異的に
吸着されたNGF蛋白質を溶出するには、たとえば、低
pHもしくは高pHの緩衝液,高濃度の塩を含有する緩衝
液を用いて行なわれる。
【0032】該低pHの緩衝液としては、たとえばpH
2.3の0.17Mグリシン−塩酸緩衝液,pH1.8の
0.1M第二クエン酸ナトリウム−塩酸緩衝液などが挙
げられる。該高pHの緩衝液としては、たとえばpH11
のアンモニア水,pH11.7の0.2Mホウ酸ナトリウム
緩衝液などが挙げられる。該高濃度の塩を含有する緩衝
液としては、たとえば6Mグアニジン塩酸溶液,7M尿
素溶液などが挙げられる。上記の溶出は、バッチ法でも
よく、またカラムを用いる方法でもよい。抗原の溶出液
はたとえば透析して精製する。たとえば低pHの緩衝液
で溶出した時は、たとえば0.1M炭酸ナトリウム緩衝
液(pH10.5),高 pHの緩衝液で溶出した時は、た
とえば0.1Mグリシン−塩酸緩衝液(pH3.0)で中
性化したのち、たとえば0.1%NaN3を含む0.02M
リン酸食塩緩衝液(pH8.0)に対して透析する。また
高濃度の塩を含有する緩衝液で溶出した抗原液は直接に
上記のリン酸食塩緩衝液に透析して保存することもでき
る。また、上記溶出液または透析液を凍結乾燥して得ら
れた凍結乾燥標品として保存することもできる。このよ
うにして精製されたNGF蛋白質は、極めて高単位のも
のであり、たとえば、神経細胞成長作用を有するので、
各種神経障害の治療に有効に利用できる。以上のように
して得られるヒトNGF蛋白質は、脳、神経系の研究に
用いる試薬として有用であり、また老人性痴ほうの治療
薬としても期待される。
【0033】ヒトNGF蛋白質をこれらの研究のために
用いるには、たとえばヒトNGF蛋白質を動物細胞培養
用培地1mlあたり約0.1〜1,000ng/ml、さら
に好ましくは約1〜100ngとなる量を加えることが好
ましい。本発明明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、 IUPAC−IUB
Commision on Biochemical Nomenclatureによる略号あ
るいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、
その例を下記する。また、アミノ酸に関し光学異性体が
ありうる場合は、特に明示しなければL−体を示すもの
とする。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 Tdr :チミジン EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム G,Gly :グリシン A,Ala :アラニン V,Val :バリン L,Leu :ロイシン I,Ile :イソロイシン S,Ser :セリン T,Thr :スレオニン C,Cys :システイン M,Met :メチオニン E,Glu :グルタミン酸 D,Asp :アスパラギン酸 K,Lys :リジン R,Arg :アルギニン H,His :ヒスチジン F,Phe :フェニールアラニン Y,Tyr :チロシン W,Trp :トリプトファン P,Pro :プロリン N,Asn :アスパラギン Q,Gln :グルタミン Clz :2−クロロベンジルオキシカルボニル BrZ :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Bzl :ベンジル Boc :t−ブトキシカルボニル 後述の参考例6で得られた形質転換体CHO−D31−
10は平成1年11月15日から財団法人発酵研究所
(IFO)に受託番号IFO 50217として寄託され
ている。また該微生物は平成1年12月7日に通商産業
省工業技術院微生物工業技術研究所(FRI)に受託番号
FERM BP−2674として寄託されている。後述
の実施例1で得られた次のハイブリドーマは、平成2年
4月5日からIFOに次のIFO番号で示す受託番号と
して寄託されており、また平成2年8月24日からFR
Iに次の FERM BP番号で示す受託番号として寄託されて
いる。 NGFA−133 IFO 50239 FERM BP−3078 NGFB−260 IFO 50240 FERM BP−3079
【0034】
【実施例】以下に、参考例、実施例を挙げて、本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定され
ることはない。 参考例1 ヒトNGF発現ベクターの構築(1) ヒト白血球DNAより作製されたλEMBL3ゲノムラ
イブラリー〔クロンテック(Clontech)社〕を大腸菌NM
538に感染させたのち、軟寒天プレート上に約3×1
4クローンずつ撒いた。プラーグをナイロンメンブラ
ン(アマシャム社、ハイボンド−N)上に移した後、0.
5N NaOH−1.5M NaCl溶液に6分間浸し、フ
ァージDNAを変性させた後、0.5M Tris−HCl
(pH8.0)−1.5M NaCl溶液に6分間浸した。本
メンブランを2×SSC溶液に浸し、風乾後80℃、2
時間処理することによりDNAをメンブランに固定し
た。一方、既知〔ウルリッチ(Ullrich, A.)ら、ネイチ
ャー(Nature)303,821(1983)〕のヒトNGF
遺伝子を参考にしてヒトβNGFをコードするDNA
(0.38kb)を化学合成し、これをDNAラベリングキ
ット(ニッポンジーン社)を用いて32Pで標識したものを
プローブとした。DNAを固定したフィルターを、標識
プローブを含む、6×SSC(1×SSC=0.15M
NaCl,0.015Mクエン酸ナトリウム),5×Den- ha
rdt´s,0.5%SDS,20μg/ml変性サケ精子DN
A溶液中10ml中で65℃、16時間、保温した。反
応後、フィルターを2×SSC,0.1%SDS溶液中で
室温で5分ずつ3回、1×SSC,0.1%SDS溶液中
で、60℃で60分洗浄した。洗浄したフィルターを乾
燥させた後、ラジオオートグラムをとり、プローブと反
応するクローンを検索した。この方法により得られたク
ローンλβLN2113よりデイヴィス(Davis)らの方
法(Davis ら、〔アドバンスト・バクテリアル・ジェネ
ティクス(Advanced Bacterial Genetics)〕,Cold Spri
ng Harbor Laboratory 1980)によりファージDNA
を抽出した。
【0035】次にλβLN2113をSmaIとApaIで
切断し、ヒトNGF遺伝子を含むDNA(約1kb)を切り
出し、プラスミドpBluescriptIIK(トーヨーボーより
購入)のSmaI,ApaI部位を挿入し、プラスミドpNG
FP107Gを得た。挿入された部分の塩基配列をシー
クナーゼ(トーヨーボー)を用いて決定した(配列表:配
列番号1)(〔図1〕および〔図2〕の連続したも
の)。決定された塩基配列はネイチャー(Nature),30
,821(1983)に記載されている配列と、蛋白コ
ード領域では完全に一致した。上記のファージλβLN
2113DNAを制限酵素BglIIで切断し、ヒトNG
Fを含むDNA断片(1.8kb)を単離した。 一方、動
物細胞用の発現ベクターpKSV−10(ファルマシ
ア)を制限酵素BglIIで切断し、上記のヒトNGFを
遺伝子を含むDNA断片(1.8kb)とT4DNAリガー
ゼで連結した。この反応液を用いてエシェリヒア コリ
(Escherichia coli)DH1の形質転換を行い、アンピ
シリン耐性の形質転換体の1つ〔エシェリヒア コリ(E
scherichia coli)DH1/pMNGF101から単離し
たプラスミドをpMNGF101と命名した〔図3〕。
【0036】参考例2 ヒトNGF発現ベクターの構築
(2) 参考例1で得られたプラスミドpNGF107Gを制限
酵素BclIおよびApaIで切断し、ヒトNGF遺伝子
を含むDNA断片(0.8kb)を単離した。この0.8kb
BclI−ApaI断片と化学合成アダプターSN1(配
列表:配列番号2),SN2(配列表:配列番号3)お
よびSN3(配列表:配列番号4)(第4図参照)とを混
合し、T4DNAリガーゼで連結したのち、BglIIで
切断することによって0.8kbHindIII−BglII DN
A断片が得られた。プラスミドpSV2−gpt〔サイエン
ス(Science),209,1422(1980)〕を制限酵素
EcoRIとHindIIIで切断し、SV40プロモーターを
含む2.6kb EcoRI−HindIII DNA断片を単離し
た。次にプラスミドpMTVdhfr〔ネイチャー (Natur
e),294,228(1981)〕よりpolyA付加領域を含
む1.6kb BglII−EcoRI断片を単離した。上記の
SV40プロモーターを含む2.6kb EcoRI−HindI
II DNA断片、ヒトNGF遺伝子を含む0.8kb Hind
III−BglII DNA断片およびpolyA付加領域を含む
1.6kb BglII−EcoRI断片をT4リガーゼで連結
した。この 反応液を用いてエシェリヒア コリ(Esche
richia coli)DH1の形質転換を行い、アンピシリン
耐性の形質転換体〔エシェリヒア コリ(Escherichia c
oli)DH1/pMNGF201〕から単離したプラスミ
ドをpMNGF201と命名した〔図4〕。
【0037】参考例3 ヒトNGF発現ベクターの構築
(3) 参考例2で得られたプラスミドpMNGF201をHind
IIIで切断し、DNAポリメラーゼKlenowフラグメント
反応により平滑化したのち、BglIIで切断して約0.8
kb DNA断片を分離した。一方プラスミドpTB399
(特開昭61− 63282に記載)をEcoRIで切断
後、Klenowフラグメント反応により平滑化したのち、
BglIIで切断して約3.9kb DNA断片を得た。これ
ら2つのDNA断片をT4DNAリガーゼ反応により環
状化し、プラスミドpTB1054を得た。次に、ハム
スターDHFR cDNAを有するプラスミドpTB34
8(特開昭61−63282に記載)をClaIで切断後
アルカリ性フォスファターゼで処理し、ClaIで切断し
たpTB1054より分離精製された2.4kb DNA断
片(MnLVLTR、ヒトNGF(hNGF)遺伝子、お
よびSV40DNA由来スプライス領域、ポリ〔A〕付
加領域を含む)と混合して、T4DNAリガーゼ反応に
よりヒトNGF発現ベクターpTB1058を構築した
〔図5〕。
【0038】参考例4 CHO細胞の形質転換 ファルコンシャーレ(直径6cm)に5%牛胎児血清を含む
ハム12培地を入れ、ハムスターDHFR-CHO細胞
を37℃で一晩培養した。培養後、この細胞(7×105
個/ディッシュ)を、参考例3で得られたヒトNGF発
現ベクターpTB1058(10μg)を用いてグラハムら
の方法〔ウィロロジー(Virology)52:456−467
(1973)〕に従って形質転換した。4時間37℃で培
養後、新たな培地に代えて培養を続けた。2日後に、5
%透析牛胎児血清および35μg/mlのプロリンを含
むダルベッコ改変MEM培養で液替えを行って、以後こ
の選択培地で培養を続けると約2〜3週間後に、DMF
+ となって増殖した細胞がコロニーを形成した。
【0039】参考例5 形質転換体のクローニングおよ
びヒトNGF遺伝子 の発現 参考例4で得た形質転換細胞のクローニングを、公知の
方法(例えばリミテッド ダイリューション法)に従って
行ない、形質転換体(クローン化されたもの)CHO−D
5,CHO−D42および CHO−M36を得た。クロ
ーニング終了後は、各クローン細胞を、5%牛胎児血
清,35μg/mlプロリン,50IU/mlペニシリン,
50μg/mlストレプトマイシンを含むダルベッコ改
変MEM培地にて培養した。分離された各クローンの細
胞はリンブロディッシュにまき、細胞が約80%コンフ
ルエントになった時、新しい培地と交換して、72時間
培養後、培養上清中のNGFをEIA〔ベーリンガー
社;バイオケミカル バイオフィジカル リサーチ コ
ミュニケーション(Biochem. Biophys. Res. Commun.,
55,482(1988)〕で定量した。
【0040】ヒトNGF生産量の高いクローンを〔表
1〕に示す。なお、形質転換されていないCHO細胞の
培養上清にはNGFは検出されなかった。
【表1】 以上の結果から、ヒトNGF遺伝子を恒久的に発現する
CHO細胞は該遺伝子を一時的に発現するCOS細胞よ
りも多量のヒトNGFを生産することができることが明
らかになった。
【0041】参考例6 ヒトNGF高生産CHO細胞株 参考例5と同様の方法で得られた形質転換体CHO−D
31を10nMメソトレキセート(MTX)を含むダル
ベッコ改変MEM(5%牛胎児血清 35μg/mlプロ
リンを含む)にて培養した。 このクローンは、 この濃度
のMTXでは正常な増殖を示したので、 MTX濃度を1
00nMに挙げて継代し培養をつづけた。更に、 MTX濃
度を1μMとすると大半の細胞が死滅したが、3〜4日
に液替えを行って培養を続けると105個の細胞当り数
個の細胞がコロニー状に増殖をはじめた。これらの細胞
が十分増殖したのち、10μM MTXの培養液にて継
代すると再び大半の細胞が死滅し、数個の細胞が、コロ
ニー状に増殖をはじめた。このようにして得られた細胞
は10μM MTX存在下に、安定した正常な増殖を示
し、又MTXを含まない培養液に戻して増殖させ数代継
代したのち、10μM MTX存在下に培養しても正常
に増殖した。 この10μM MTXに耐性のCHO−D
31−10細胞(IFO 50217,FERM BP−
2674)を参考例5と同じ条件で培養したところ、4m
g/lのヒトNGFが培地中に生産されていることがE
IAで分かった。
【0042】参考例7 ヒトNGFの単離(1) 参考例6で得られた細胞株CHO−D31−10を5%
ウシ胎児血清,35μg/mlプロリン,50IU/ペニ
シリン,50μg/mlストレプトマイシン,10μMメ
ソトレキセートを含むダルベッコ改変培地で5%炭酸ガ
ス中で、37℃,7日間大量に培養したところ、培地中
に2.4mg/lのヒトNGFが生産されていることがE
IAで分かった。培養液を遠心分離し、その培養上清
2.2lにAPMSFを最終濃度0.1mMになるように
添加し、0.2N酢酸でpH6.0に補正したのち遠心分
離した。得られた上清を0.1Mリン酸緩衝液pH6.0
−1mM EDTAで平衡化させたS-Sepharoseカラム
(2.6cm×14cm)に吸着させ、0.1Mリン酸緩衝液p
H6.0−0.15M NaCl−1mM EDTA−10%
グリセロールで洗浄したのち、50mM Tris−HCl p
H7.5−0.7M Na Cl−1mM EDTA−10%
グリセロールで溶出した。ヒトNGFを含むフラクショ
ンを集め、ダイアフローセル(タイプYM10,アミコン
社)で約30倍に濃縮した。得られた濃縮液を20 mM
Tris−HCl pH7.4−0.5M NaCl−1mM E
DTA−10%グリセロールで平衡化させたSephacryl
S−100HR(200ml,1.6 cm×100cm)でゲ
ルろ過した。ヒトNGFを含むフラクションを集めセン
トリプレップ10(アミコン社)で約10倍に濃縮した。
得られた濃縮液を逆相HPLCにかけ、ヒトNGFを精
製した。即ち、該濃縮液をAsahipak ODP−50(1
0.0mmID×250mmL)カラムにかけ、0.1%トリ
フルオロ酢酸を含む0−90%アセトニトリルの濃度勾
配にかけ、ヒトNGFの精製標品1.2 mg(アミノ酸分
析より)を得た。SDS−ポリアクリルアミドゲル電気
泳動および逆相HPLCの結果、得られた組換え型ヒト
NGFの純度は94%であった。こうして得られた精製
標品を0.1%SDSを含む、16%ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動にかけ、銀染色を行ったところ、13キ
ロダルトン(kDa)の単一なバンドが認められた。 また、
ウサギ抗マウスNGF抗体(Collabarative Research)と
アフィニティー精製HRP結合ヤギ抗ウサギ IgG(バ
イオラッド社、 米国)を用いたWesternブロッティングに
よって、 上記と同じ位置にバンドが認められた。得られ
た精製ヒトNGFをガラス製加水分解用試験管にとり減
圧下で乾燥後、4%チオグチコール酸を含む5.7N塩
酸を加えて減圧下に封管したのち、110℃,24時間
加水分解した。加水分解後、塩酸を除去し、残渣を0.
02N塩酸に溶解してアミノ酸分析を実施した。その結
果を〔表2〕に示す。
【0043】
【表2】アミノ酸組成 1)Asp+Asnを13として計算した。 2)ヒトNGF遺伝子の塩基配列から推定したアミノ酸配
列から計算した。 精製ヒトNGFのN末端アミノ酸配列を気相プロテイン
シーケンサー(アプライドバイオシステム社モデル47
0A)を用いて決定した。その結果を〔表3〕に示す。
【0044】
【表3】N末端アミノ酸配列 ───────────────────────────── PTH−アミノ酸 DNAより推定さ サイクル Residue pmole れるアミノ酸配列 ───────────────────────────── 1 Ser 605 Ser 2 Ser 495 Ser 3 Ser 384 Ser 4 His 785 His 5 Pro 705 Pro 6 Ile 767 Ile 7 Phe 829 Phe 8 His 341 His 9 Arg 700 Arg 10 Gly 425 Gly 11 Glu 478 Glu 12 Phe 517 Phe 13 Ser 97 Ser 14 Val 467 Val 15 − Cys 16 Asp 297 Asp 17 Ser 58 Ser 18 Val 392 Val 19 Ser 73 Ser 20 Val 476 Val 21 Trp 95 Trp 22 − Val 23 Gly 166 Gly 24 Asp 179 Asp 25 Lys 245 Lys 26 Thr 74 Thr 27 Thr 102 Thr 28 Ala 179 Ala ─────────────────────────────
【0045】精製ヒトNGF2.9nmoleを分析に用い
た。 ヒドラジン分解〔Natita ら、ジャーナル オブ バイ
オケミストリー(J. Biochem.),59,170(196
6)〕で調べた精製ヒトNGFのC末端アミノ酸はアラ
ニンであった。PAG等電点電気泳動法(新版電気泳動
実験法、電気泳動学会編、分光堂、1989年)で調べ
た結果、得られたヒトNGFの等電点はpH9−10で
あり、マウスNGF(Collaborative Rese-arch Incorpo
rated)のそれとほぼ同じであった。ブレイン リサーチ
(Brain Research),133,350(1977),Ex
perimental Cell Research,145,179(198
3)および Journal of Neu-roscience Research,17,
25(1987)に記載されている方法に従い、PC12
細胞の神経突起の伸長(neurite outgrowth)を指標にし
て、精製ヒトNGFの活性を測定したところ、精製ヒト
NGFはマウス2.5S NGFの標準品(和光純薬)と同
程度の活性を示した。
【0046】参考例8 分子内ジスルフィド結合の解析 参考例7で得られた精製ヒトNGFを用いて、その分子
内ジスルフィド結合の位置を決定した。凍結乾燥した精
製ヒトNGF(530μg)に0.2mlの0.9%NaCl
溶液と0.8mlの0.01MHClとを加えて溶解し
た。この溶液のpHは2.2であった。これに重量比で1
/50になるように、1mg/mlのペプシン(Sigma社)
溶液を10.6μl加えて、37℃で22時間反応させ
た。反応後950μlを採取し、50μlの250mM
リン酸緩衝液(pH6.0)を加えて反応を停止したものを
ペプシン消化物とした。ペプシン消化物をHPLCに付
し、ペプチドマッピングを行った。TSK−ゲルODS
−120Tカラム(東ソー社、0.46×25cm)を用い
て、0.05%TFA(A)および99.95%アセトニト
リル0.05%TFA(B)の混合物を以下の溶出プログ
ラムに従って流した。流速は1ml/min,検出波長は2
20nmおよび280nm。 一方、ペプシン消化物50μlに100mM DTT溶
液を10μl加え、室温で3時間放置してジスルフィド
結合を還元したサンプルを同じようにHPLCに付し、
ペプチドマッピングを行った。これら2つのペプチドマ
ッピングを比較することにより、ジスルフィド結合を有
するペプチドを固定した後、このペプチドを単離し、気
相プロテインシークエンサー末端(ABI社)アミノ酸配
列を分析した。その結果、本ペプチドは次に示す3つの
ペプチドを含み、かつ3個のジスルフィド結合を持つ大
きなペプチドであることがわかった。
【0047】 13 15 20 S−V−C−D−S−V−S−V (配列表:配列番号5)
【0048】 54 58 60 65 70 F−E−T−K−C−R−D−P−N−P−V−D−S−G−C−R−G 73 −I−D−S− (配列表:配列番号6) 102 105 110 115 I−R−I−D−T−A−C−V−C−V−L−S−R−K−A−V−R 120 −R−A (配列表:配列番号7)
【0048】次に、このペプチド(2060pmol)を減
圧下に濃縮乾固した後0.3mlの50mM酢酸ナトリウ
ム(pH6.0)に溶解した。 この溶液に0.48μg
(14pmol)のサーモライシン(和光純薬工業(株))を加
えて、37℃で20時間反応させた後、上記と同一の条
件下で、HPLCに付し、ペプチドマッピングを行っ
た。ただし、以下の溶出プログラムを使用した。
【0049】さらに、ジスルフィド結合の位置を決定す
るために、上記ペプチドをDTTで還元処理したサンプ
ルを同じようにHPLCに付し、ペプチドマッピングを
行った。ペプチドマッピングの比較から、ジスルフィド
結合を含む3個のフラグメント(フラグメント−1、フ
ラグメント−2、フラグメント−3)を固定し、それぞ
れ取得した。フラグメント−1、フラグメント−2、お
よびフラグメント−3のアミノ末端アミノ酸配列を分析
した。その結果を〔表4〕に示す。一方、これらのフラ
グメントを過ギ酸で酸化し、システイン残基をシステイ
ン酸に変換した後、アミノ酸分析を行った結果、いずれ
のフラグメントにも2残基ずつのシステイン酸が検出さ
れた。
【0050】
【表4】 これらの結果から、精製ヒトNGFのジスルフィド結合
の位置は、Cys15−Cys80, Cys58−Cys108およびCy
s68−Cys110であると結論された。 参考例9 ヒトNGF N末(1− 15)ペプチドH−
Ser Ser Ser HisPro Ile Phe His Arg Gly G
lu Phe Ser Val Cys OH(配列表:配列番号8)
の合成 ヒトNGFのN末ペプチドの合成は自動ペプチド合成機
430A(アプライド・バイオシステムズ社製)を用いた
固相合成法にて行なった。プログラムは「スタ ンダー
ド」を用いた。基本的な合成過程等は、メリーフィール
ド アールビー(Merri field, R. B.)(1969)アドバ
ンス オブ エンザイモロジー(Adv. Enzymol.)32,2
21−296の方法に準じている。レジンにはBoc−C
ys(MeBzl)・PAM−P(0.5m mol/g)を用い、カル
ボキシル末端から順次合成した。Boc−アミノ酸として
Boc−Val,Boc−Ser(Bzl),Boc−Phe,Boc−Glu
(OBzl),Boc−Gly, Boc−Arg(Tos),Boc−His
(Tos),Boc−Ile,Boc−Proを用いた。アミノ末端S
erまで合成したのち、ペプチドレジンを合成機から取り
出し、乾燥した。ペプチドレジン1gに1.5mlのp−
クレゾールおよび0.5mlの1,2−エタンジオチール
を加え、さらに約8mlの液体フッ化水素を加えて、0
℃で2時間反応させた。反応終了後、デシケーター中で
フッ化水素を減圧除去し、0.1%の2−メルカプトエ
タノールを含むジエチルエーテルで、続いてジエチルエ
ーテルで洗い、大部分の混在試薬を除去した。ペプチド
を10mlの3%酢酸で抽出し、ろ過により抽出液中に
混入しているレジンを除いた。 ろ液をセファデックス
(Sephadex)G−25を用いるゲルろ過により精製し
た。ゲルろ過条件は、カラムサイズ2.8×60cm;検
出波長230nm;溶媒3%酢酸;流速40ml/hrであ
った。
【0051】ペプチドを含むフラクションを集めて凍結
乾燥し、得られた粉末標品について逆相高速液体クロマ
トグラフィーによりさらに精製した。カラムYMCパッ
ク、A−324 ODS 10×250nm;カラム温度2
5℃;溶出溶媒A 0.1%−トリフルオロ酢酸水−9
9.9%蒸留水;溶出溶媒B 0.1%−トリフルオロ酢
酸水−99.9%アセトニトリル;溶出プログラム 0分
(90%A+10%B),30分(60%A+40%B);
溶出速度1.6ml/分,検出波長230nm。本条件下で
保持時間29.14分に溶出された主ピーク画分を集め
て、バイオラッドAG 1×8(AcOH型、1.8×5c
m)のカラムに通し、洗液も集め、アセトニトリルを留去
した後、凍結乾燥した。白色粉数76mgを得た。薄層ク
ロマトグラフィー:Rf=0.71(アビセルゲルプレー
ト;展開溶媒;n−ブタノール:AcOH:ピリジン:水
=30:20:6:4)。 エルマン ジー エル(Elman,
G.L.)(1959)アーキテクチュアル バイオケミスト
リー アンド バイオフィジクス(Arch. Biochem. Biop
hys.)82,70−77法による遊離のSH基の定量:9
8%。 アミノ酸分析値 Ser 3.99(4); Glu 1.00(1); Pro
0.98(1); Gly 1.19(1);1/2Cys 0.84(1H); Val 1.03
(1); Ile 1.01(1); Phe 2.12(2H); His 1.84(2); Ar
g 0.94(1)。 回収率 71.1%。1/2Cysは過ギ酸酸
化法により定量した。カッコ内は理論値を示す。
【0052】参考例10 ヒトNGF N末ペプチドと
ウシ血清アルブミン との複合体の作 ウシ血清アルブミン(BSA)(132mg)を3mlの0.
1Mリン酸緩衝液(pH7.5)に溶解した。 この溶液に1
1.2mgのN−(γ−マレイミドブチルオキシ)サクシン
イミド(GMBS)を含有するジメチルアミド溶液(20
0μl)をスターラーで撹拌しながら滴下し、30℃で
30分間反応を行った。反応液を0.1Mリン酸緩衝液
(pH6.5)−0.1M NaClで溶出液とした Sephade
x G−25(1.5×30cm)で精製し、マレイミド基が
導入されたBSA(マレイミド化BSA)を得た。 上記のマレイミド化BSA(20mg)を0.1Mリン酸緩
衝液(pH6.5)−0.1M NaClに溶解した。一方、
上記参考例9で得られたヒトNGFN末ペプチド(5mg)
を0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)−5mM EDTAに
溶解した。両溶液を混合し(全容量5ml以下)、30℃
で60分間反応を行い、PBSを加えてヒトNGF N
末ペプチドとBSAとの複合体を含む溶液12mlを得
た。本溶液を1.5mlづつ分注し、ウサギの免疫に使
用した。
【0053】参考例11 抗ヒトNGF N末ペプチド
抗体の作製 上記参考例10で得られたヒトNGF N末ペプチドと
BSAとの複合体をFreundのcomplete adjuvantとよく
混合し、 その混合物をウサギの皮下に注射した。以後、
2週間おきに上記複合体とFreundのincomplete adjuvan
tとの混合物を同じウサギに注射した。 上記のようにして免疫したウサギから採取して得られた
血液を遠心分離し、抗血清を得た。得られた抗血清の抗
体価をヒトNGF N末ペプチド抗原とするELISA
で測定した結果、高い抗体価が認められた。上記の抗血
清を硫安塩析、DEAEセルロースカラムクロマトグラ
フィーによって精製し、抗ヒトNGF N末ペプチドポ
リクローナル抗体を得た。
【0054】実施例1 (1) 免 疫:BALB/c マウス(♀8週令)に対し、生
理食塩水0.15mlに溶解させた50μgの抗原ヒトN
GF(参考例7で得られたもの)と同量のフロインド完全
アジュバント(Difco社)を混合して皮下に注射した。 2
週間後に同量の抗原と0.15mlのフロインド不完全
アジュバントの混合物を皮下に再投与した。さらにその
2週後、4週後,6週後に同様の追加免疫を行ない、5
次免疫の2週後生理食塩水に溶かした75μgのヒトN
GFを静脈内に接種した。
【0055】(2) 細胞融合:上記(1)で得られた免疫マ
ウスより、抗原最終投与の3日後脾臓を摘出し、細胞融
合に用いる細胞を得た。この細胞は、イスコフ培地とハ
ムF−12培地を1:1の比率で混合した培地(以下、
IH培地と略す)に懸濁した。マウスミエローマ細胞P
3−X63−Ag・8UIは10%ウシ胎児血清を含む
RPMI 1640培地で5%炭酸ガス,95%空気の条
件で継代培養した。細胞融合は、ケーラーおよびミルス
タインらが確立した方法[ケーラー,G.およびミルスタ
イン,C.;ネイチャー(Nature)256,495(197
5)]に準じて行った。 上記ミエローマ細胞2.4×107
個と上述した方法で得られた免疫されたリンパ球1.2
×108個を混合し、遠沈し、0.3mlのIH培地に溶
解した45%ポリエチレングリコール6000(以下P
EG6000と称する。)を滴下した。PEG6000の
溶液は、予め37℃に温め、ゆっくりと滴下した。8分
後37℃に予温した IH培地を1分間に0.5mlずつ
加え10mlとした後、室温で600回転15分遠心し
上清を除去した。 この細胞沈澱物を20%仔牛血清を含
むIH培地200mlに懸濁し、96穴ウエルマイクロ
プレート(ヌンク社)に100μlずつ 768ウエル植
えつけた。 1日後、HAT(ヒポキサンチン1×10
−4M,アミノプテリン4×10-7M,チミジン1.6×
10-5M)を含んだIH培地(20%仔牛血清含有)(以下
HAT培地と称する。)を各ウエルに100μlずつ添
加し、 さらに3日おきに、培地の1/2量をHAT培地
と交換した。このようにして生育した細胞は雑種細胞で
ある。
【0056】(3) 抗体産生細胞の検索:参考例7記載の
方法で精製されたリコンビナントヒトNGFを10μg
/mlになるように0.01M炭酸緩衝液(pH8.5)で
希釈し、その100 μlを96穴ウエルイムノプレー
ト(ヌンク社製)の各ウエルに入れ4℃一夜放置し、固層
にヒトNGFを結合させた。0.15M NaClを含有
する0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄した後、
余剰の結合部位をふさぐため、1%ウシ血清アルブミン
(BSA)を含有する0.01Mリン酸緩衝液を200μ
lずつウエルに注入して、 使用時まで冷所に保存した。
以上のようにして得られたヒトNGFを結合した96穴
ウエルイムノプレートに、雑種細胞培養上清を100μ
lずつ加え室温で2時間インキュベートした。培養上清
を除去、洗浄後2次抗体として西洋ワサビペルオキシダ
ーゼ(HRP)標識抗マウスIgGヤギ抗体(カッペル社)
を加え室温で2時間インキュベートした。2次抗体を除
去し、よくウエルを洗浄した後、ペルオキシダーゼ基質
溶液(0.02% H22と0.15% o−フェニレンジア
ミンを含むpH5.5のクエン酸ナトリウム緩衝液)を1
00μl加え、 25℃で10分反応させ、2N−硫酸1
00μlを加えることにより酵素反応を停止した後、マ
イクロプレート用自動比色計(MTP−32,コロナ社
製)を用い、492nmにおける吸光度を測定した(ELI
SA法)。この方法により2ウエルに結合抗体の存在が
観察された。
【0057】(4) 雑種細胞のクローニング:これらのウ
エル中の細胞を、1ウエルあたり0.5個となるよう
に、予め5×104個/ウエルのマウス胸腺細胞と栄養
細胞としてまいておいた 96ウエルマイクロプレート
にまき、クローニングを行った。その結果、それぞれの
ウエルから代表的なクローン細胞各1を得、合計2のク
ローン細胞、すなわちNGFA−133(IFO 50
239,FERM BP−3078),NGFB−260
(IFO 50240,FERM BP−3079)を得
た。
【0058】(5) 抗体の製造:上記(4)においてクロー
ニングによって得られた2種のハイブリドーマクローン
をそれぞれあらかじめ0.5mlのミネラルオイルを腹
腔内に投与しておいたBALB/c マウスの腹腔内に1
匹あたり1×106個接種することにより腹水化を行な
った。ハイブリドーマを腹腔に投与して10日後、腹水
を採取した。得られたそれぞれの腹水約10mlから、
ステーリンら〔ジャーナル オブ バイオロジカルケミ
ストリー,256,9750−9754(1981)〕の方
法に準じてモノクローナル抗体を精製した。まず腹水か
らフイブリン様物質を除去するため10,000回転1
5分間遠心した後、リン酸緩衝液−食塩水(PBS:8.
1mM−Na2HPO4,1.5mM KH2PO4,27mM K
Cl,137mM NaCl,pH7.2)で280nmの紫外部
吸収(A280)が12〜14の値を示す濃度に希釈した。
希釈後サンプルに飽和硫酸アンモニウム溶液を47%の
濃度になるように加え、4℃で撹拌しながら60分間塩
析を行い、その後遠心(10,000回転,15分 間)を
行なって沈澱物を得た。 沈澱物を50mM NaCl含有
20mMトリス緩衝 溶液(pH7.9)に溶融し、同溶液2
lに対して透析を行った。 2時間後、2lの新しい同じ
透析液に換え、 さらに15時間透析を行った。透析後、
沈澱を除去するため10,000回転15分間遠心を行
い、上清をA280の値が20〜30の濃度になるように
調製した。このサンプルを充分量の50mM−NaCl含
有トリス緩衝溶液で平衡化した20mlのDEAEセル
ロースカラム(ワットマンDE52)にかけ、50mM Na
Cl含有トリス緩衝溶液でよく洗った後、 50mM−5
0 0mM NaClを含む同緩衝液の濃度勾配塩溶液を用
いて1.5ml/分の流出速度で分画を行って素通り分
画を濃縮し、それぞれの精製モノクローナル抗体NGF
A−133およびNGFB−260を得た。抗体の純度
の確認にはラエムリらの方法〔ネイチャー,227,68
0−685(1970)〕に準じてSDS−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動を用いた。すなわち、硫安塩析し、
DEAEセルロースカラムで素通りした画分を、2−メ
ルカプトエタノールで還元し、アクリルアミド濃度10
%のゲルを用いて180ボルトで2.5時間泳動を行っ
た。その結果、いずれのモノクローナル抗体も分子量5
2K前後にH鎖,28K前後にL鎖の2つのバンドが認
められた。
【0059】(6) 抗体のサブクラスの測定:抗体のサブ
クラスは次の方法で測定した。即ち参考例7で得られた
リコンビナントヒトNGFをコートした96ウエルイム
ノプレートにクローン化されたそれぞれのハイブリドー
マ培養上清を100μl入れ室温で2時間インキュベー
トした。培養上清を除去,洗浄後ウサギ抗マウスIgG
1,IgG2a,IgG2b,IgG3,K鎖,λ鎖に対する抗体
(カッペル社)をそれぞれ100μl入れ室温で2時間イ
ンキュベートした。それぞれの抗体を除去,洗浄後HR
P標識ヤギ抗ウサギIgG抗体(カッペル社)を加え室温
で2時間インキュベートした。標識抗体を除去し、よく
洗浄した後、上記(3)記載の方法で酵素反応を行ない吸
光度を測定した。その結果、モノクローナル抗体NGF
A−133,NGFB−260はともにIgG1・K型の
サブクラスであることが判明した。
【0060】実施例2 (1) 抗体の酵素標識:精製NGFB−260抗体(10.
8mg/ml)1.5mlを0.1M NaClを含む0.1M
酢酸緩衝液 (pH4.2)に対して4℃で4時間透析し、
ペプシン(シグマ社製、米国)(0.5mg)を加え、37℃
で20時間消化した。1M TrisでpHを7にして反応
を止め、Ultrogel AcA 44(IBF社製、フランス)の
カラムで0.15M NaClを含む0.02Mホウ酸緩衝
液(pH8.0)を溶出液として分離し、F(ab´)2 を得
た。 これを1.1mlに濃縮後、0.1Mリン酸緩衝液(pH
6.0)に対して4℃で4時間透析し、0.2Mメルカプ
トエチルアミン、5mM EDTA、0.1Mリン酸緩衝
液(pH6.0)0.1mlを加えて、37℃、90分間還
元した。反応液をSephadex G−25fine(ファルマシア
・ファインケミカル社製、スエーデン)(φ1×60cm)
で5mM EDTA、 0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)を
溶出液として分離し、Fab´画分を得た。一方、西洋ワ
サビペルオキシダーゼ(HRP)(ベーリンガーマンハイ
ム社製、西ドイツ)10mgを1.4mlの0.1Mリン酸
緩衝液(pH7.0)に溶かし、N−(γ−マレイミドブチ
ルオキシ)サクシンイミド(GMBS)2.1mgをN,N−
ジメチルホルムアミド(DMF)100μlに溶かして加
え、30℃で60分間撹拌後、Sephadex G−25fine
(φ1.2×60cm)で0.1M リン酸緩衝液(pH7.0)
を溶出液として分離し、 マレイミド基の導入されたHR
Pを得た(マレイミド化HRP)。 Fab´とマレイミド化
HRPをモル比で1:1になるように混ぜ、4℃で20
時間反応した。反応後を、Ultrogel AcA 44のカラム
で0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)を溶出液として分離
し、酵素標識抗体(NGFB−260Fab´−HRP)を
得た。
【0061】(2) 抗体結合固相の作製:精製NGFA−
133抗体を10μg/mlになるよう0.01M炭酸緩
衝液(pH8.5)で希釈し、その100μlを96ウエル
イムノプレートの各ウエルに入れ4℃一夜放置し、固相
に抗体を結合させた。0.15M NaClを含有する0.
01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄した後、1%BS
Aを含有する0.01Mリン酸緩衝液を200μlずつ
ウエルに注入して、使用時まで冷所に保存した。
【0062】(3) サンドイッチEIA法:種々の濃度に
調製したNGF溶液100μlを、抗体を結合させたウ
エルに入れ4℃で一夜インキュベートした。NGF溶液
を除去後、100倍に希釈した酵素標識抗体(NGFB
−260Fab´−HRP)をウエル当たり100μl加
え、室温で2時間インキュベートした。標識抗体を除去
後、HRP基質溶液を加え、実施例1記載と同様の方法
で以下酵素反応を行い492nmにおける吸光度を測定し
た。その結果、本測定系でのNGFの検出限界は0.4
ng/ウエルであった〔図6〕。
【0063】(4) モノクローナル抗体の中和活性:取得
したモノクローナル抗体−NGFの生物活性を中和する
かどうかはラット副腎髄質褐色細胞種由来PC−12細
胞および鶏胚脊髄後根神経節を用いて検討した。 (a)PC−12細胞を用いた検討:ヒトNGF 10ng/
mlでprimingした104個のPC−12細胞を24ウエ
ルのマイクロプレートに播種し、2ng/mlのヒトNG
Fの存在下に種々の濃度の実施例1記載のハイブリドー
マクローン細胞の培養上清を加え、PC−12細胞の突
起形成に及ぼす影響を検討した。その結果NGFA−1
33抗体を添加した場合突起形成が完全に抑制され〔表
5〕、本抗体はNGFの生物活性を中和することが判明
した。
【表5】
【0064】(b)神経節を用いた検討:Davies らの方法
[ ジャーナル オブ ニューロサイエンス(J. Neuros
ci.)6. 1897(1986)]に準じて受精8日目の鶏胚脊髄
神経節から得られた神経細胞を48ウエルのマイクロプ
レートに4×103個/ウエルの割合で播種した。2n
g/mlのヒトNGFと種々の濃度(0.3,1,3,
10,30,100ng/ml)の精製モノクローナル
抗体との混合物をウエルに添加し、neurite-outgrowth
に及ぼす影響を検討した。その結果、NGFA−133
抗体は3ng/ml以上で抑制現象を発揮し、30ng
/mlの添加で完全に抑制し、強い中和活性を有するこ
とが判明した。 (5) モノクローナル抗体の抗原組織部位:抗体がヒトN
GFのN末端部を認識するのかどうかについて、次の方
法で検討した。参考例9で得られたヒトNGFのN末ペ
プチドを10μg/mlになるように0.01M炭酸緩衝
液(pH8.5)で希釈し、その100μlを96ウエルイ
ムノプレートの各ウエルに入れ4℃一夜放置して固相に
ペプチドを結合させた。0.15M NaClを含有する
0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄した後、余剰
の結合部位をふさぐため、1%BSAを含有する0.0
1Mリン酸緩衝液を 200μlずつウエルに注入して、
使用時まで冷所に保存した。 以上のように調製したプ
レートに、実施例1で得られた2種のクローン細胞の培
養上清を100μlずつ分注し、 実施例1−(3)記載と
同様の方法でEIAを行ったが、モノクローナル抗体N
GFA−133およびNGFB−260の何れも、ペプ
チドに結合性を示さなかった。さらに、実施例1−(3)
記載と同様の方法でNGFをコートした96ウエルマイ
クロプレートに、上記抗体と種々の濃度(0.4〜50μ
g/ml)に調製したN末ペプチドを加え、抗体のNGF
への結合がペプチドにより阻害されるかどうかを検討し
たが、いずれのペプチドの濃度でも阻害効果が認められ
なかった。以上の結果から、得られた2種のモノクロー
ナル抗体NGFA−133およびNGFB−260は、
ヒトNGF N末端部1−15アミノ酸以外に存在下す
る抗原決定基を認識するものと考えられた。
【0065】(6) 抗NGF N末ペプチド抗体とモノク
ローナル抗体を用いたサンドイッチEIA法:参考例1
1記載のヒトNGF N末ペプチドに対する精製ウサギ
ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体NGFA−1
33あるいはNGFB−260によってヒトNGFが定
量できるかどうかを以下の方法によって検討した。精製
ヒトNGF N末ペプチド抗体を上記(2)記載と同様の方
法で1μg/ウエルの濃度になるよう結合させた96ウ
エルイムノプレートの各ウエルに、種々の濃度に調製し
たNGF溶液を100μl入れ、 室温で2時間インキュ
ベートした。NGF溶液を除去後、1μg/mlの濃度
に調製したモノクローナル抗体NGFA−133または
NGFB−260含有溶液を100μl入れ、 室温で2
時間インキュベートした。抗体溶液を除去・洗浄後、1
0000倍に希釈したHRP標識ウサギ抗マウスIgG
抗体(ジャクソン・イムノリサーチ・ラボラトリー社)を
100μl入れ室温で2時間反応させた後、よく洗浄を
行い上記(3)記載と同様の方法で酵素反応を行い492n
mにおける吸光度を測定した。 その結果、 本EIA法で
のNGFの検出限界は15pg/ウエルと非常に低濃度で
の検出が可能であった〔図7〕。
【0066】実施例3 (1) 抗体の酵素標識:精製NGFA−133抗体(7m
g/ml)1.5ml、および参考例11記載の精製ウ
サギ抗ヒトNGF N末端ペプチド抗体(2.5mg/
ml)1.5mlを、それぞれ実施例2(1)記載と同様
の方法でFab´画分を得た後、マレイミド化HRPと
反応させ、酵素標識抗体NGFA−133Fab´−H
RP、抗ヒトNGF(1−15)Fab´−HRPを取
得した。 (2) サンドイッチEIA 種々の濃度に調整したNGF溶液100μlを、実施例
2(2)記載のNGFA−133抗体を結合させたウエル
に入れ4℃で一夜インキュベートした。NGF溶液を除
去後100倍に希釈したNGFA−133−HRPまた
は抗ヒトNGF(1−15)Fab´−HRPをウエル
当たり100μl加え、室温で2時間インキュベートし
た。標識抗体を除去後、HRP基質溶液を加え、実施例
1記載と同様の方法で以下酵素反応を行い492nmに
おける吸光度を測定した。その結果酵素標識体としてN
GFA−133Fab´−HRPを用いた場合、NGF
の検出限界は0.94pg/ウエル(図8)、抗ヒトN
GF(1−15)Fab´−HRPを用いた場合、その
検出限界は8.4pg/ウエルとなった。以上の結果よ
り、固相結合抗体としてNGFA−133、酵素標識抗
体としてNGFA−133抗体を用いるサンドイッチE
IAシステムが最も高感度にNGFを検出することが判
明した。また本EIAシステムがヒトNGFと高い相同
性を示すヒト神経成長因子2(ポリペプチド(I))
〔ヒトNGF−2、改正ら:ヨーロッパ特許出願公開第
386,752号公報,FEBS Letters,
66,189−191(1990)〕と反応性を示すか
どうかを検討したところ、hNGF−2が1μg/ml
の高濃度であっても全く反応性をしめさず〔図8〕、交
差反応性は、0.01%以下であることが分かった。な
お、〔図8〕において、−○−のグラフはヒトNGF検
出感度の結果を、−○−を黒くぬった印のグラフは、ヒ
トNGF−2との反応性の結果をそれぞれ示す。
【0067】
【発明の効果】本発明のモノクローナル抗体は、ヒトN
GF蛋白質と特異的に結合し、また結合能も高いのでヒ
トNGF測定用試薬などとして、有利に用いることがで
きる。また、本発明のモノクローナル抗体の一部は中和
活性を有しており、NGFの生体内での活性を知るため
の試薬として用いられる可能性がある。
【0068】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:972 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:ヒト 株名:組織 配列: CCCGGGTTAC GCCTGTTGTC CCGGTATAAC CATTGCTAGC ACACCCTTTC CCTCTCAGAA 60 GTGCCCCGGT TTGAATGAAA CCTCTTCGTG ATCCCCTTGG GAGGTCAACT CTGAGGGACC 120 CAGAAACTGC CTTTTGACTG CATTTAGTAC TCCATGAAGT CACCCTCATT TCTTTTTCAT 180 TCCAGGTGCA TAGCGTA ATG TCC ATG TTG TTC TAC ACT TCG ATC ACA GCT 230 Met Ser Met Leu Phe Tyr Thr Leu Ile Thr Ala 1 5 10 TTT CTG ATC GGC ATA CAG GCG GAA CCA CAC TCA GAG AGC AAT GTC CCT 278 Phe Leu Ile Gly Ile Gln Ala Glu Pro His Ser Glu Ser Asn Val Pro 15 20 25 GCA GGA CAC ACC ATC CCC CAA GTC CAC TGG ACT AAA CTT CAG CAT TCC 326 Ala Gly His Thr Ile Pro Gln Val His Trp Thr Lys Leu Gln His Ser 30 35 40 CTT GAC ACT GCC CTT CGC AGA GCC CGC AGC GCC CCG GCA GCG GCG ATA 374 Leu Asp Thr Ala Leu Arg Arg Ala Arg Ser Ala Pro Ala Ala Ala Ile 45 50 55 GCT GCA CGC GTG GCG GGG CAG ACC CGC AAC ATT ACT GTG GAC CCC AGG 422 Ala Ala Arg Val Ala Gly Gln Thr Arg Asn Ile Thr Val Asp Pro Arg 60 65 66 70 CTG TTT AAA AAG CGG CGA CTC CGT TCA CCC CGT GTG CTG TTT AGC ACC 470 Leu Phe Lys Lys Arg Arg Leu Arg Ser Pro Arg Val Leu Phe Ser Thr 75 80 85 CAG CCT CCC CGT GAA GCT GCA GAC ACT CAG GAT CTG GAC TTC GAG GTC 518 Gln Pro Pro Arg Glu Ala Ala Asp Thr Gln Asp Leu Asp Phe Glu Val 90 95 100 GGT GGT GCT GCC CCC TTC AAC AGG ACT CAC AGG AGC AAG CGG TCA TCA 566 Gly Gly Ala Ala Pro Phe Asn Arg Thr His Arg Ser Lys Arg Ser Ser 105 110 115 TCC CAT CCC ATC TTC CAC AGG GGC GAA TTC TCG GTG TGT GAC AGT GTC 614 Ser His Pro Ile Phe His Arg Gly Glu Phe Ser Val Cys Asp Ser Val 120 125 130 AGC GTG TGG GTT GGG GAT AAG ACC ACC GCC ACA GAC ATC AAG GGC AAG 662 Ser Val Trp Val Gly Asp Lys Thr Thr Ala Thr Asp Ile Lys Gly Lys 135 140 145 150 GAG GTG ATG GTG TTG GGA GAG GTG AAC ATT AAC AAC AGT GTA TTC AAA 710 Glu Val Met Val Leu Gly Glu Val Asn Ile Asn Asn Ser Val Phe Lys 155 160 165 CAG TAG TTT TTT GAG ACC AAG TGC CGG GAC CCA AAT CCC GTT GAC AGC 758 Gln Tyr Phe Phe Glu Thr Lys Cys Arg Asp Pro Asn Pro Val Asp Ser 170 175 180 GGG TGC CGG GGC ATT GAC TCA AAG CAC TGG AAC TCA TAT TGT ACC ACG 806 Gly Cys Arg Gly Ile Asp Ser Lys His Trp Asn Ser Tyr Cys Thr Thr 185 190 195 ACT CAC ACC TTT GTC AAG GCG CTG ACC ATG GAT GGC AAG CAG GCT GCC 854 Thr His Thr Phe Val Lys Ala Leu Thr Met Asp Gly Lys Gln Ala Ala 200 205 210 TGG CGG TTT ATC CGG ATA GAT ACG GCC TGT GTG TGT GTG CTC AGC AGG 902 Trp Arg Phe Ile Arg Ile Asp Thr Ala Cys Val Cys Val Leu Ser Arg 215 220 225 230 AAG GCT GTG AGA AGA GCC TGACCTGCCG ACACGCTCCC TCCCCCTGCC 950 Lys Ala Val Arg Arg Ala 235 CCTTCTACAC TCTCCTGGGC CC 972
【0069】配列番号:2 配列の長さ:37 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列の特徴:アダプター 配列: AGCTTGCCGC CACCATGTCC ATGTTGTTCT ACACTCT 37
【0070】配列番号:3 配列の長さ:37 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列の特徴:アダプター 配列: GATCAGAGTG TAGAACAACA TGGACATGGT GGCGGCA 37
【0071】配列番号:4 配列の長さ:12 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列の特徴:アダプター 配列: CAGATCTGGG CC 12
【0072】配列番号:5 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列:
【0073】配列番号:6 配列の長さ:20 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列: Phe Glu Thr Lys Cys Arg Asp Pro Asn Pro Val Asp Ser Gly Cys 5 10 15 Arg Gly Ile Asp Ser 20
【0074】配列番号:7 配列の長さ:19 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列: Ile Arg Ile Asp Thr Ala Cys Val Cys Val Leu Ser Arg Lys Arg 5 10 15 Val Arg Arg Ala
【0075】配列番号:8 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列: Ser Ser Ser His Pro Ile Phe His Arg Gly Glu Phe Ser Val Cys 5 10 15
【図面の簡単な説明】
【図1】は、参考例1で得られたクローン化したヒトN
GF遺伝子の塩基配列およびこれから翻訳されるアミノ
酸配列を示す。
【図2】は、参考例1で得られたクローン化したヒトN
GF遺伝子の塩基配列およびこれから翻訳されるアミノ
酸配列を示す。
【図3】は、参考例1で得られた、ヒトNGF発現ベク
ターpMNGF101の構築図を示す。
【図4】は、参考例2で得られた、ヒトNGF発現ベク
ターpMNGF201の構築図を示す。
【図5】は、参考例3で得られた、ヒトNGF発現ベク
ターpTB1058の構築図を示す。
【図6】は、実施例2で得られた、モノクローナル抗体
を用いるサンドイッチEIAによるヒトNGFの検出感
度の結果を示す。
【図7】は、実施例2で得られた、モノクローナル抗体
とウサギ抗ヒトNGFN末ペプチドポリクローナル抗体
とを用いるサンドイッチEIAによるヒトNGFの検出
感度の結果を示す。
【図8】は、実施例3で設定した、抗NGFA−133
抗体のFab´を固相および標識抗体として用いるサン
ドイッチEIAによるヒトNGFの検出感度の結果なら
びにヒトNGF−2との反応性の結果を示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成3年11月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正内容】
【0068】
【配列表】 配列番号:1 配列の長さ:972 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:ヒト 株名:組織 配列: CCCGGGTTAC GCCTGTTGTC CCGGTATAAC CATTGCTAGC ACACCCTTTC CCTCTCAGAA 60 GTGCCCCGGT TTGAATGAAA CCTCTTCGTG ATCCCCTTGG GAGGTCAACT CTGAGGGACC 120 CAGAAACTGC CTTTTGACTG CATTTAGTAC TCCATGAAGT CACCCTCATT TCTTTTTCAT 180 TCCAGGTGCA TAGCGTA ATG TCC ATG TTG TTC TAC ACT TCG ATC ACA GCT 230 Met Ser Met Leu Phe Tyr Th
r Leu Ile Thr Ala 1
5 10 TTT CTG ATC GGC ATA CAG GCG GAA CCA
CAC TCA GAG AGC AAT GTC CCT 278 Phe Leu Ile Gly Ile Gln Ala Glu Pro
His Ser Glu Ser Asn Val Pro 15 20
25 GCA GGA CAC ACC ATC CCC CAA GTC CAC
TGG ACT AAA CTT CAG CAT TCC 326 Ala Gly His Thr Ile Pro Gln Val His
Trp Thr Lys Leu Gln His Ser 30 35
40 CTT GAC ACT GCC CTT CGC AGA GCC CGC
AGC GCC CCG GCA GCG GCG ATA 374 Leu Asp Thr Ala Leu Arg Arg Ala Arg
Ser Ala Pro Ala Ala Ala Ile 45 50
55 GCT GCA CGC GTG GCG GGG CAG ACC CGC
AAC ATT ACT GTG GAC CCC AGG 422 Ala Ala Arg Val Ala Gly Gln Thr Arg
Asn Ile Thr Val Asp Pro Arg 60 65
70 75 CTG TTT AAA AAG CGG CGA CTC CGT TCA
CCC CGT GTG CTG TTT AGC ACC 470 Leu Phe Lys Lys Arg Arg Leu Arg Ser
Pro Arg Val Leu Phe Ser Thr 80
85 90 CAG CCT CCC CGT GAA GCT GCA GAC ACT
CAG GAT CTG GAC TTC GAG GTC 518 Gln Pro Pro Arg Glu Ala Ala Asp Thr
Gln Asp Leu Asp Phe Glu Val 95 100
105 GGT GGT GCT GCC CCC TTC AAC AGG ACT
CAC AGG AGC AAG CGG TCA TCA 566 Gly Gly Ala Ala Pro Phe Asn Arg Thr
His Arg Ser Lys Arg Ser Ser 110 11
120 TCC CAT CCC ATC TTC CAC AGG GGC GAA
TTC TCG GTG TGT GAC AGT GTC 614 Ser His Pro Ile Phe His Arg Gly Glu
Phe Ser Val Cys Asp Ser Val 125 130
135 AGC GTG TGG GTT GGG GAT AAG ACC ACC
GCC ACA GAC ATC AAG GGC AAG 662 Ser Val Trp Val Gly Asp Lys Thr Thr
Ala Thr Asp Ile Lys Gly Lys140 145
150 155 GAG GTG ATG GTG TTG GGA GAG GTG AAC
ATT AAC AAC AGT GTA TTC AAA 710 Glu Val Met Val Leu Gly Glu Val Asn
Ile Asn Asn Ser Val Phe Lys 160
165 170 CAG TAG TTT TTT GAG ACC AAG TGC CGG
GAC CCA AAT CCC GTT GAC AGC 758 Gln Tyr Phe Phe Glu Thr Lys Cys Arg
Asp Pro Asn Pro Val Asp Ser 175 180
185 GGG TGC CGG GGC ATT GAC TCA AAG CAC
TGG AAC TCA TAT TGT ACC ACG 806 Gly Cys Arg Gly Ile Asp Ser Lys His
Trp Asn Ser Tyr Cys Thr Thr 190 19
200 ACT CAC ACC TTT GTC AAG GCG CTG ACC
ATG GAT GGC AAG CAG GCT GCC 854 Thr His Thr Phe Val Lys Ala Leu Thr
Met Asp Gly Lys Gln Ala Ala 205 210
215 TGG CGG TTT ATC CGG ATA GAT ACG GCC
TGT GTG TGT GTG CTC AGC AGG 902 Trp Arg Phe Ile Arg Ile Asp Thr Ala
Cys Val Cys Val Leu Ser Arg220 225
230 235 AAG GCT GTG AGA AGA GCC TGACCTGCCG A
CACGCTCCC TCCCCCTGCC 950 Lys Ala Val Arg Arg Ala 240 CCTTCTACAC TCTCCTGGGC CC
972
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/53 D 8310−2J 33/577 B 9015−2J // C12N 15/06 15/18 C12P 21/02 H 8214−4B (C12P 21/08 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:91) 8931−4B C12N 15/00 A

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト神経成長因子(NGF)と反応し、ヒ
    トNGFのN末端部分を認識しないNGF蛋白質に対す
    るモノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】モノクローナル抗体NGFA−133であ
    る請求項1記載のモノクローナル抗体。
  3. 【請求項3】モノクローナル抗体NGFB−260であ
    る請求項1記載のモノクローナル抗体。
  4. 【請求項4】請求項1記載のモノクローナル抗体を産生
    するハイブリドーマ。
  5. 【請求項5】ハイブリドーマNGFA−133である請
    求項4記載のハイブリドーマ。
  6. 【請求項6】ハイブリドーマNGFB−260である請
    求項4記載のハイブリドーマ。
  7. 【請求項7】請求項4記載のハイブリドーマを液体培地
    中または哺乳動物の腹腔内で増殖させることを特徴とす
    る請求項1記載のモノクローナル抗体の製造法。
  8. 【請求項8】請求項1記載のモノクローナル抗体を用い
    て免疫学的測定法を行なうことを特徴とするNGF蛋白
    質の検出および(または)定量法。
  9. 【請求項9】酵素免疫測定法を行なう請求項8記載の検
    出および(または)定量法。
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US8106167B2 (en) 2003-07-15 2012-01-31 Amgen Inc. Human anti-NGF neutralizing antibodies as selective NGF pathway inhibitors
US8198410B2 (en) 2003-07-15 2012-06-12 Amgen Inc. Human anti-NGF neutralizing antibodies as selective NGF pathway inhibitors
US9260514B2 (en) 2003-07-15 2016-02-16 Amgen Inc. Methods of treating conditions caused by increased expression of nerve growth factor (NGF) or increased sensitivity to NGF using anti-NGF neutralizing antibodies as selective NGF pathway inhibitors

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