JPH05302193A - パウダリング性および加工後耐食性に優れたZn−Cr系めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents
パウダリング性および加工後耐食性に優れたZn−Cr系めっき鋼板およびその製造方法Info
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- JPH05302193A JPH05302193A JP10959492A JP10959492A JPH05302193A JP H05302193 A JPH05302193 A JP H05302193A JP 10959492 A JP10959492 A JP 10959492A JP 10959492 A JP10959492 A JP 10959492A JP H05302193 A JPH05302193 A JP H05302193A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】パウダリング性および加工後の耐食性ともに優
れた自動車、家電、建材等用Zn−Cr系めっき鋼板お
よびその製造方法の提供。 【構成】鋼板表面にZn−Cr系合金めっき層を有し、
該めっき層が3%NaCl水溶液(pH=4〜8、25
℃、大気下)中で測定されるカソードおよびアノード分
極曲線より外挿法で得られる腐食電位および腐食電流密
度の値がそれぞれ腐食電位=−900〜−1100mV
vs S.C.E.および腐食電流密度≦1μA/cm2 の範囲にあ
り、なおかつX軸(横軸)に電流密度(μA/cm2 )の絶
対値の対数を、Y軸(縦軸)に電位(mV vs S.C.E.)を
とった場合にアノード分極曲線の形状がX=−3〜+3
の範囲で変極点を有さず直線的な単調増加であるパウダ
リング性および加工後耐食性に優れたZn−Cr系めっ
き鋼板。この鋼板は、Zn 2+およびCr3+を主成分と
し、リンゴ酸および/またはリンゴ酸塩をCr3+に対し
モル比で0.1以上含有し、pHが0.5〜3の浴を用
いて鋼板を電解することにより得られる。
れた自動車、家電、建材等用Zn−Cr系めっき鋼板お
よびその製造方法の提供。 【構成】鋼板表面にZn−Cr系合金めっき層を有し、
該めっき層が3%NaCl水溶液(pH=4〜8、25
℃、大気下)中で測定されるカソードおよびアノード分
極曲線より外挿法で得られる腐食電位および腐食電流密
度の値がそれぞれ腐食電位=−900〜−1100mV
vs S.C.E.および腐食電流密度≦1μA/cm2 の範囲にあ
り、なおかつX軸(横軸)に電流密度(μA/cm2 )の絶
対値の対数を、Y軸(縦軸)に電位(mV vs S.C.E.)を
とった場合にアノード分極曲線の形状がX=−3〜+3
の範囲で変極点を有さず直線的な単調増加であるパウダ
リング性および加工後耐食性に優れたZn−Cr系めっ
き鋼板。この鋼板は、Zn 2+およびCr3+を主成分と
し、リンゴ酸および/またはリンゴ酸塩をCr3+に対し
モル比で0.1以上含有し、pHが0.5〜3の浴を用
いて鋼板を電解することにより得られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、主として近年ますま
す強力な防錆力を要求されつつある自動車、家電、建材
等用防錆鋼板に関し、特にパウダリング性および加工後
の耐食性共に優れた防錆鋼板およびその製造方法に関す
るものである。
す強力な防錆力を要求されつつある自動車、家電、建材
等用防錆鋼板に関し、特にパウダリング性および加工後
の耐食性共に優れた防錆鋼板およびその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、防錆鋼板としてはZnめっき鋼板
が一般的に使用されてきた。これは大気中で素地鋼板よ
りも電位的に卑なZnめっき層による犠牲防食効果を利
用するものである。ところで、Znめっき層による犠牲
防食効果はあくまでも鋼板表面にZnめっき層が十分に
存在する間は持続するが、Znめっき層が溶出し去った
後にはもはや期待できない。ところが、純Znめっきの
場合にはめっき層自身の腐食速度が速いために十分な犠
牲防食効果を維持できる期間が短いという問題がある。
が一般的に使用されてきた。これは大気中で素地鋼板よ
りも電位的に卑なZnめっき層による犠牲防食効果を利
用するものである。ところで、Znめっき層による犠牲
防食効果はあくまでも鋼板表面にZnめっき層が十分に
存在する間は持続するが、Znめっき層が溶出し去った
後にはもはや期待できない。ところが、純Znめっきの
場合にはめっき層自身の腐食速度が速いために十分な犠
牲防食効果を維持できる期間が短いという問題がある。
【0003】このため純Znめっきを用いる場合には目
付けを厚くすることによって耐食性を確保することが一
般に行われている。しかしながら厚目付けの場合には経
済性で問題がある上に、自動車用外板として用いる場合
にはプレス成形時にめっき層が剥離するパウダリングが
起こり易く加工性に難点がある。
付けを厚くすることによって耐食性を確保することが一
般に行われている。しかしながら厚目付けの場合には経
済性で問題がある上に、自動車用外板として用いる場合
にはプレス成形時にめっき層が剥離するパウダリングが
起こり易く加工性に難点がある。
【0004】そこで純Znめっきに比べてより薄目付け
でも耐食性の良好なZn−Ni合金めっき鋼板が一部で
採用されている。しかしながらZn−Ni合金めっきは
純Znめっきに比べて腐食電位が鋼板に近いためにめっ
き層自身の耐食性は良好であるが犠牲防食能力が十分と
はいえず、特に加工によりクラックが入り素地鋼が露出
した場合には赤錆を発生し易い。
でも耐食性の良好なZn−Ni合金めっき鋼板が一部で
採用されている。しかしながらZn−Ni合金めっきは
純Znめっきに比べて腐食電位が鋼板に近いためにめっ
き層自身の耐食性は良好であるが犠牲防食能力が十分と
はいえず、特に加工によりクラックが入り素地鋼が露出
した場合には赤錆を発生し易い。
【0005】そこでさらに耐食性を向上させることを目
的としてZn−Cr系のめっき鋼板が開発されてきた。
例えば特公昭62−6758号ではめっき層中に0.1
〜30wt%のCrを含有しさらにアルミナを0.01
〜3wt%含有するめっき鋼板が開示されている。また
特開昭60−50195号ではめっき層中に10%以上
のCrを含有するめっき鋼板が開示されている。この他
Zn−Cr系のめっき鋼板として特開昭64−5533
97号等が開示されている。
的としてZn−Cr系のめっき鋼板が開発されてきた。
例えば特公昭62−6758号ではめっき層中に0.1
〜30wt%のCrを含有しさらにアルミナを0.01
〜3wt%含有するめっき鋼板が開示されている。また
特開昭60−50195号ではめっき層中に10%以上
のCrを含有するめっき鋼板が開示されている。この他
Zn−Cr系のめっき鋼板として特開昭64−5533
97号等が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】確かにこれらのZn−
Cr系めっき鋼板は加工を受けない限りにおいては十分
な耐食性を有するものである。しかしながらこれらのめ
っき鋼板はいずれもめっき層中のCr含有率の増加によ
り耐食性が向上する反面パウダリング性が劣化する。ま
た加工によってクラックが入りやすいために素地鋼の露
出面積が増加しめっき層による犠牲防食効果が十分には
及ばなく成り耐食性が劣化する。
Cr系めっき鋼板は加工を受けない限りにおいては十分
な耐食性を有するものである。しかしながらこれらのめ
っき鋼板はいずれもめっき層中のCr含有率の増加によ
り耐食性が向上する反面パウダリング性が劣化する。ま
た加工によってクラックが入りやすいために素地鋼の露
出面積が増加しめっき層による犠牲防食効果が十分には
及ばなく成り耐食性が劣化する。
【0007】したがって、本発明の目的は、パウダリン
グ性および加工後の耐食性ともに優れた自動車、家電、
建材等用防錆鋼板およびその製造方法を提供しようとす
るにある。
グ性および加工後の耐食性ともに優れた自動車、家電、
建材等用防錆鋼板およびその製造方法を提供しようとす
るにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、鋼
板表面にZn−Cr系合金めっき層を有し、該めっき層
が3%NaCl水溶液(pH=4〜8、25℃、大気
下)中で測定されるカソードおよびアノード分極曲線よ
り外挿法で得られる腐食電位および腐食電流密度の値が
それぞれ腐食電位=−900〜−1100mV vs S.C.
E.および腐食電流密度≦1μA/cm2 の範囲にあり、なお
かつX軸(横軸)に電流密度(μA/cm2 )の絶対値の対
数を、Y軸(縦軸)に電位(mV vs S.C.E.)をとった場
合にアノード分極曲線の形状がX=−3〜+3の範囲で
変極点を有さず直線的な単調増加であることを特徴とす
るパウダリング性および加工後耐食性に優れたZn−C
r系めっき鋼板を提供するものである。本発明はまた、
前記Zn−Cr系めっき鋼板を製造するにさいし、Zn
2+およびCr3+を主成分とし、リンゴ酸および/または
リンゴ酸塩をCr3+に対しモル比で0.1以上含有し、
pHが0.5〜3の浴を用いて鋼板を電解することを特
徴とするパウダリング性および加工後耐食性に優れたZ
n−Cr系めっき鋼板の製造方法を提供するものであ
る。
板表面にZn−Cr系合金めっき層を有し、該めっき層
が3%NaCl水溶液(pH=4〜8、25℃、大気
下)中で測定されるカソードおよびアノード分極曲線よ
り外挿法で得られる腐食電位および腐食電流密度の値が
それぞれ腐食電位=−900〜−1100mV vs S.C.
E.および腐食電流密度≦1μA/cm2 の範囲にあり、なお
かつX軸(横軸)に電流密度(μA/cm2 )の絶対値の対
数を、Y軸(縦軸)に電位(mV vs S.C.E.)をとった場
合にアノード分極曲線の形状がX=−3〜+3の範囲で
変極点を有さず直線的な単調増加であることを特徴とす
るパウダリング性および加工後耐食性に優れたZn−C
r系めっき鋼板を提供するものである。本発明はまた、
前記Zn−Cr系めっき鋼板を製造するにさいし、Zn
2+およびCr3+を主成分とし、リンゴ酸および/または
リンゴ酸塩をCr3+に対しモル比で0.1以上含有し、
pHが0.5〜3の浴を用いて鋼板を電解することを特
徴とするパウダリング性および加工後耐食性に優れたZ
n−Cr系めっき鋼板の製造方法を提供するものであ
る。
【0009】以下に本発明をさらに詳細に説明する。本
願発明のZn−Cr系めっき鋼板のZn−Cr系めっき
付着量としては10〜40g/m2が適当である。その理由
は、10g/m2未満では耐食性が不十分であるためであり
40g/m2超では厚目付けの純Znめっき鋼板に対する経
済的優位性がなくなると共にパウダリング性が劣化する
ためである。望ましくは20〜30g/m2が最適である。
まためっき層中のCr含有率は1〜30wt%が適当で
ある。その理由は、1wt%未満では耐食性不十分であ
るためであり、30wt%超ではパウダリング性が劣化
するためである。望ましくは10〜20wt%が最適で
ある。
願発明のZn−Cr系めっき鋼板のZn−Cr系めっき
付着量としては10〜40g/m2が適当である。その理由
は、10g/m2未満では耐食性が不十分であるためであり
40g/m2超では厚目付けの純Znめっき鋼板に対する経
済的優位性がなくなると共にパウダリング性が劣化する
ためである。望ましくは20〜30g/m2が最適である。
まためっき層中のCr含有率は1〜30wt%が適当で
ある。その理由は、1wt%未満では耐食性不十分であ
るためであり、30wt%超ではパウダリング性が劣化
するためである。望ましくは10〜20wt%が最適で
ある。
【0010】本願発明のZn−Cr系めっきはZn−C
r2元系の合金めっきであってもかまわないし、Ni,
Ti,Fe,Sn,Pb,Cu,C,Mg,P,Mn,
Co,Mo,Al,Siなどの第3の元素を含む多元系
の合金めっきでも良い。またはZn−Cr2元系もしく
は多元系の合金めっき層のマトリックス中にAl2O3 ,Si
O2,TiO2,BaCrO4,ZrO2などの各種分散粒子を含む分散
めっきであってもかまわない。本質的なのは、図1から
わかるように、3%NaCl水溶液(pH=4〜8、2
5℃、大気下)中で測定されるカソードおよびアノード
分極曲線より外挿法で得られる腐食電位および腐食電流
密度の値がそれぞれ腐食電位=−900〜−1000mV
vs SCE および腐食電流密度≦1μA/dm2 の範囲にあ
り、なおかつX軸(横軸)に電流密度(μA/dm2 ) の絶
対値の対数を、Y軸(縦軸)に電位(mV vs S.C.E.)をと
った場合にアノード分極曲線の形状がX=−3〜+3の
範囲で変極点を有さず直線的な単調増加であるような性
質を示すことである。
r2元系の合金めっきであってもかまわないし、Ni,
Ti,Fe,Sn,Pb,Cu,C,Mg,P,Mn,
Co,Mo,Al,Siなどの第3の元素を含む多元系
の合金めっきでも良い。またはZn−Cr2元系もしく
は多元系の合金めっき層のマトリックス中にAl2O3 ,Si
O2,TiO2,BaCrO4,ZrO2などの各種分散粒子を含む分散
めっきであってもかまわない。本質的なのは、図1から
わかるように、3%NaCl水溶液(pH=4〜8、2
5℃、大気下)中で測定されるカソードおよびアノード
分極曲線より外挿法で得られる腐食電位および腐食電流
密度の値がそれぞれ腐食電位=−900〜−1000mV
vs SCE および腐食電流密度≦1μA/dm2 の範囲にあ
り、なおかつX軸(横軸)に電流密度(μA/dm2 ) の絶
対値の対数を、Y軸(縦軸)に電位(mV vs S.C.E.)をと
った場合にアノード分極曲線の形状がX=−3〜+3の
範囲で変極点を有さず直線的な単調増加であるような性
質を示すことである。
【0011】次に本願発明による効果を説明する。図1
に1例として本願発明によるZn−13wt%Cr合金
めっき鋼板、純Znめっき鋼板およびZn−13wt%
Ni合金めっき鋼板の分極曲線を比較して示す。また図
2には従来技術により製造されたZn−13wt%Cr
合金めっき鋼板および本願発明によるZn−13wt%
Cr合金めっき鋼板の分極曲線を比較して示す。
に1例として本願発明によるZn−13wt%Cr合金
めっき鋼板、純Znめっき鋼板およびZn−13wt%
Ni合金めっき鋼板の分極曲線を比較して示す。また図
2には従来技術により製造されたZn−13wt%Cr
合金めっき鋼板および本願発明によるZn−13wt%
Cr合金めっき鋼板の分極曲線を比較して示す。
【0012】図1より以下のことが分かる。 本願発明によるZn−13wt%Cr合金めっき鋼板
の腐食電位は純Znめっき鋼板よりも若干貴であるが、
Zn−13wt%Ni合金めっき鋼板よりは卑である。
そこで、加工を受けてめっき層にクラックが入った場合
でも本願発明によるZn−Cr合金めっき鋼板はZn−
Ni合金めっき鋼板よりも素地鋼板に対する犠牲防食効
果が大きく赤錆の発生を押さえることができる。 本願発明によるZn−13wt%Cr合金めっき鋼板
の腐食電流密度は純Znめっき鋼板よりも著しく小さ
い。すなわちめっき層の腐食速度が遅く、長期に渡り犠
牲防食効果を維持できる。本願発明のZn−13wt%
Cr合金めっき鋼板のアノード分極曲線は直線的な立ち
上がりを示していることから腐食反応がカソード支配で
あると考えられ、しかもカソード電流が純Znめっき鋼
板に比べて著しく抑制されているために腐食電流密度が
小さくなると考えられる。
の腐食電位は純Znめっき鋼板よりも若干貴であるが、
Zn−13wt%Ni合金めっき鋼板よりは卑である。
そこで、加工を受けてめっき層にクラックが入った場合
でも本願発明によるZn−Cr合金めっき鋼板はZn−
Ni合金めっき鋼板よりも素地鋼板に対する犠牲防食効
果が大きく赤錆の発生を押さえることができる。 本願発明によるZn−13wt%Cr合金めっき鋼板
の腐食電流密度は純Znめっき鋼板よりも著しく小さ
い。すなわちめっき層の腐食速度が遅く、長期に渡り犠
牲防食効果を維持できる。本願発明のZn−13wt%
Cr合金めっき鋼板のアノード分極曲線は直線的な立ち
上がりを示していることから腐食反応がカソード支配で
あると考えられ、しかもカソード電流が純Znめっき鋼
板に比べて著しく抑制されているために腐食電流密度が
小さくなると考えられる。
【0013】図2より従来技術により製造されたZn−
13wt%Cr合金めっき鋼板は腐食電位および腐食電
流密度値は本願発明の範囲内にあるもののアノード分極
曲線の形状が本願発明と異なることが分かる。本願発明
のアノード分極曲線は直線的に立ち上がるのに対して従
来法のアノード分極曲線はいったん下に凸な形状で立ち
上がった後に変極点があって上に凸な形状になる。
13wt%Cr合金めっき鋼板は腐食電位および腐食電
流密度値は本願発明の範囲内にあるもののアノード分極
曲線の形状が本願発明と異なることが分かる。本願発明
のアノード分極曲線は直線的に立ち上がるのに対して従
来法のアノード分極曲線はいったん下に凸な形状で立ち
上がった後に変極点があって上に凸な形状になる。
【0014】本願発明者等の知見によれば、アノード分
極曲線上にこのような変極点を示すZn−Cr合金めっ
き鋼板は、いずれもめっき層中のCr含有率の増加によ
りパウダリング性が急激に劣化し、同時に加工による耐
食性の劣化が著しいのである。加工による耐食性の劣化
はクラックの発生による素地鋼の露出面積の増加による
ものと考えられる。このようにアノード分極曲線の立ち
上がりが直線的にならない理由はいまだ明らかではない
が、本願発明者等はめっき層の不均一やめっき層中への
不純物の共析によるものであろうと推定している。
極曲線上にこのような変極点を示すZn−Cr合金めっ
き鋼板は、いずれもめっき層中のCr含有率の増加によ
りパウダリング性が急激に劣化し、同時に加工による耐
食性の劣化が著しいのである。加工による耐食性の劣化
はクラックの発生による素地鋼の露出面積の増加による
ものと考えられる。このようにアノード分極曲線の立ち
上がりが直線的にならない理由はいまだ明らかではない
が、本願発明者等はめっき層の不均一やめっき層中への
不純物の共析によるものであろうと推定している。
【0015】図3は本願発明によるZn−13wt%C
r合金めっき鋼板のGDSによる深さ方向分析結果を、
図4は従来技術により製造されたZn−13wt%Cr
合金めっき鋼板のGDSによる深さ方向分析結果の一例
を示す。図3および図4はいずれもめっき付着量20g/
m2の試料に関して同一の放電条件で測定した結果であ
る。図3および図4の比較により本願発明によるZn−
13wt%Cr合金めっき鋼板のめっき層はZnおよび
Crの均一な深さ方向分布を示しているのに対して、従
来技術により製造されたZn−13wt%Cr合金めっ
き鋼板の場合にはめっき層バルクに比べて表面付近でZ
n濃度が高くなっているように見えると共にめっき層中
にSの共析が観察され、しかもスパッタ速度が遅くなっ
ていることが分かる。ちなみに本願発明のZn−Cr合
金めっき鋼板ではSは検出されなかった。もちろんGD
Sのデータだけで断定すべきではないが、従来法のZn
−Cr系めっき鋼板ではめっき層中のCr含有率が増加
するといずれもパウダリング性が著しく劣化する理由の
1つとしては、このような不純物の共析によるめっき層
の密着不良が考えられる。
r合金めっき鋼板のGDSによる深さ方向分析結果を、
図4は従来技術により製造されたZn−13wt%Cr
合金めっき鋼板のGDSによる深さ方向分析結果の一例
を示す。図3および図4はいずれもめっき付着量20g/
m2の試料に関して同一の放電条件で測定した結果であ
る。図3および図4の比較により本願発明によるZn−
13wt%Cr合金めっき鋼板のめっき層はZnおよび
Crの均一な深さ方向分布を示しているのに対して、従
来技術により製造されたZn−13wt%Cr合金めっ
き鋼板の場合にはめっき層バルクに比べて表面付近でZ
n濃度が高くなっているように見えると共にめっき層中
にSの共析が観察され、しかもスパッタ速度が遅くなっ
ていることが分かる。ちなみに本願発明のZn−Cr合
金めっき鋼板ではSは検出されなかった。もちろんGD
Sのデータだけで断定すべきではないが、従来法のZn
−Cr系めっき鋼板ではめっき層中のCr含有率が増加
するといずれもパウダリング性が著しく劣化する理由の
1つとしては、このような不純物の共析によるめっき層
の密着不良が考えられる。
【0016】次に本願発明のZn−Cr系めっき鋼板の
製造条件について述べる。本願発明の要件を満たす分極
曲線を示すようなZn−Cr系めっき鋼板を製造するた
めにはZn2+およびCr3+を主成分とするめっき浴にリ
ンゴ酸および/またはリンゴ酸塩を添加することが必要
である。添加量はめっき浴の濃度やpHおよび電解条件
等により適宜変化するので一概にはいえないが、少なく
とも浴中のCr3+に対してモル比で0.1以上は必要で
ある。支持電解質としては硫酸浴、塩化物浴等の一般的
に知られた浴が可能であるが、pH=0.5〜3の範囲
の酸性浴であることが必要である。塩化浴物よりも比較
的電導度の低い硫酸浴の場合には特に、電導助剤として
各種の硫酸塩を添加することが有効であるが必ずしも必
要条件ではない。
製造条件について述べる。本願発明の要件を満たす分極
曲線を示すようなZn−Cr系めっき鋼板を製造するた
めにはZn2+およびCr3+を主成分とするめっき浴にリ
ンゴ酸および/またはリンゴ酸塩を添加することが必要
である。添加量はめっき浴の濃度やpHおよび電解条件
等により適宜変化するので一概にはいえないが、少なく
とも浴中のCr3+に対してモル比で0.1以上は必要で
ある。支持電解質としては硫酸浴、塩化物浴等の一般的
に知られた浴が可能であるが、pH=0.5〜3の範囲
の酸性浴であることが必要である。塩化浴物よりも比較
的電導度の低い硫酸浴の場合には特に、電導助剤として
各種の硫酸塩を添加することが有効であるが必ずしも必
要条件ではない。
【0017】そのほか、一般的にZnめっきの結晶粒を
微細化する効果があるとして知られている各種の界面活
性剤を添加することも可能である。最も重要なのはめっ
き浴中にリンゴ酸および/またはリンゴ酸塩を添加する
ことであり、これらの薬剤を添加しない場合には、本願
発明の要件を満たす分極曲線を示すようなZn−Cr系
めっき鋼板を製造することはできない。めっき電流密度
は40〜200 A/dm2の範囲で適宜選択できるが、生産
性を考慮すると60〜120 A/dm2が望ましいであろ
う。浴温は30〜70℃、液の撹拌は、鋼板に対する相
対流速として0.5〜3mps程度が望ましい。
微細化する効果があるとして知られている各種の界面活
性剤を添加することも可能である。最も重要なのはめっ
き浴中にリンゴ酸および/またはリンゴ酸塩を添加する
ことであり、これらの薬剤を添加しない場合には、本願
発明の要件を満たす分極曲線を示すようなZn−Cr系
めっき鋼板を製造することはできない。めっき電流密度
は40〜200 A/dm2の範囲で適宜選択できるが、生産
性を考慮すると60〜120 A/dm2が望ましいであろ
う。浴温は30〜70℃、液の撹拌は、鋼板に対する相
対流速として0.5〜3mps程度が望ましい。
【0018】
【実施例】以下実施例をもとにして、本願発明の効果を
より具体的に説明する。
より具体的に説明する。
【0019】(実施例)表1に本発明例および比較例で
用いためっき浴のめっき条件、得られた合金めっき組
成、および得られた試料のアノード分極曲線の形状を示
す。
用いためっき浴のめっき条件、得られた合金めっき組
成、および得られた試料のアノード分極曲線の形状を示
す。
【0020】比較例1はZn2+、Cr3+、支持電解質、
および電導助剤のみを含有する浴からめっきした例であ
るが、Crの析出効率が低くめっき層中Cr含有率が1
0wt%未満の試料しか作成できなかった。比較例1の
試料を用いて測定されたアノード分極曲線の形状はいず
れも図2のに示されるのと同様な変極点を有してい
た。
および電導助剤のみを含有する浴からめっきした例であ
るが、Crの析出効率が低くめっき層中Cr含有率が1
0wt%未満の試料しか作成できなかった。比較例1の
試料を用いて測定されたアノード分極曲線の形状はいず
れも図2のに示されるのと同様な変極点を有してい
た。
【0021】比較例2は比較例1の浴に界面活性剤を添
加した場合である。Crの析出効率は比較例1よりも向
上したが、比較例2の試料のアノード分極曲線の形状は
比較例1と同様にいずれも変極点を有していた。
加した場合である。Crの析出効率は比較例1よりも向
上したが、比較例2の試料のアノード分極曲線の形状は
比較例1と同様にいずれも変極点を有していた。
【0022】発明例は、リンゴ酸および/またはリンゴ
酸ナトリウムをCr3+に対して、モル比で0.1以上添
加した場合であるが、発明例の試料はいずれもアノード
分極曲線において図2のに示すような直線的な立ち上
がりを示した。
酸ナトリウムをCr3+に対して、モル比で0.1以上添
加した場合であるが、発明例の試料はいずれもアノード
分極曲線において図2のに示すような直線的な立ち上
がりを示した。
【0023】図5は直径55mmのハット絞り加工を行
った後に加工部をテープ剥離することによる重量減少量
をパウダリング量として測定した結果である。比較例で
はめっき層中のCr含有率が増加するとパウダリング量
が急激に増加し、Cr含有率≧10wt%ではZn−1
3%Ni合金めっき鋼板よりもパウダリング性が悪いこ
とが分かる。それに対して本願発明例ではCr含有率が
増加してもパウダリング性の劣化が少なく、25wt%
Cr以下ではZn−13wt%Ni合金めっき鋼板と同
等以上であることが分かる。
った後に加工部をテープ剥離することによる重量減少量
をパウダリング量として測定した結果である。比較例で
はめっき層中のCr含有率が増加するとパウダリング量
が急激に増加し、Cr含有率≧10wt%ではZn−1
3%Ni合金めっき鋼板よりもパウダリング性が悪いこ
とが分かる。それに対して本願発明例ではCr含有率が
増加してもパウダリング性の劣化が少なく、25wt%
Cr以下ではZn−13wt%Ni合金めっき鋼板と同
等以上であることが分かる。
【0024】図6は上記ハット絞り加工を行った試料に
関して、下記のサイクルの複合腐食試験を行った結果で
ある。本願発明例ではめっき層中のCr含有率の増加に
より耐食性が向上し、7wt%Cr以上のCr含有率で
はZn−13wt%Ni合金めっき鋼板よりも優れた耐
食性を示すことが分かる。これに対して、比較例ではC
r含有率が増加しても耐食性の著しい向上はみられな
い。この理由は比較例の場合にはCr含有率の増加によ
りパウダリング性が劣化するために、同一Cr含有率で
も本願発明例よりも加工によるめっき層のクラックが大
きく素地鋼の露出面積が大きくなるためであると考えら
れる。
関して、下記のサイクルの複合腐食試験を行った結果で
ある。本願発明例ではめっき層中のCr含有率の増加に
より耐食性が向上し、7wt%Cr以上のCr含有率で
はZn−13wt%Ni合金めっき鋼板よりも優れた耐
食性を示すことが分かる。これに対して、比較例ではC
r含有率が増加しても耐食性の著しい向上はみられな
い。この理由は比較例の場合にはCr含有率の増加によ
りパウダリング性が劣化するために、同一Cr含有率で
も本願発明例よりも加工によるめっき層のクラックが大
きく素地鋼の露出面積が大きくなるためであると考えら
れる。
【0025】(複合腐食試験のサイクル)塩水噴霧(4
時間)→乾燥(60℃、60%RH、2時間)→湿潤
(50℃、98%RH、2時間)を1サイクルとし、こ
れを繰り返した。
時間)→乾燥(60℃、60%RH、2時間)→湿潤
(50℃、98%RH、2時間)を1サイクルとし、こ
れを繰り返した。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】以上述べてきたように、本願発明のZn
−Cr系めっき鋼板はめっき層自身の耐食性が良好な上
に素地鋼板に対する犠牲防食効果が強くしかもパウダリ
ング性に優れているために加工後も良好な耐食性を維持
することができる。
−Cr系めっき鋼板はめっき層自身の耐食性が良好な上
に素地鋼板に対する犠牲防食効果が強くしかもパウダリ
ング性に優れているために加工後も良好な耐食性を維持
することができる。
【図1】Zn−13wt%Crめっき鋼板(本発明
例)、Zn−13wt%Niめっき鋼板および純Znめ
っき鋼板のカソードおよびアノード分極曲線を示す図で
ある。
例)、Zn−13wt%Niめっき鋼板および純Znめ
っき鋼板のカソードおよびアノード分極曲線を示す図で
ある。
【図2】本発明および従来技術によるZn−13wt%
Cr合金めっき鋼板のカソードおよびアノード分極曲線
を示す図である。
Cr合金めっき鋼板のカソードおよびアノード分極曲線
を示す図である。
【図3】本発明によるZn−13wt%Cr合金めっき
鋼板のGDSによる深さ方向プロフィールを示す図であ
る。
鋼板のGDSによる深さ方向プロフィールを示す図であ
る。
【図4】従来技術によるZn−13wt%Cr合金めっ
き鋼板のGDSによる深さ方向プロフィールを示す図で
ある。
き鋼板のGDSによる深さ方向プロフィールを示す図で
ある。
【図5】ハット型絞り加工によるパウダリング量とZn
−Cr合金めっき組成との関係を示す図である。
−Cr合金めっき組成との関係を示す図である。
【図6】Zn−Cr合金めっき鋼板のハット型絞り加工
後の裸耐食性とめっき層中Cr含有率との関係を示す図
である。
後の裸耐食性とめっき層中Cr含有率との関係を示す図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 和 広 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 望 月 一 雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 森 戸 延 行 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内
Claims (2)
- 【請求項1】鋼板表面にZn−Cr系合金めっき層を有
し、該めっき層が3%NaCl水溶液(pH=4〜8、
25℃、大気下)中で測定されるカソードおよびアノー
ド分極曲線より外挿法で得られる腐食電位および腐食電
流密度の値がそれぞれ腐食電位=−900〜−1100
mV vs S.C.E.および腐食電流密度≦1μA/cm2 の範囲
にあり、なおかつX軸(横軸)に電流密度(μA/cm2 )
の絶対値の対数を、Y軸(縦軸)に電位(mV vs S.C.
E.)をとった場合にアノード分極曲線の形状がX=−3
〜+3の範囲で変極点を有さず直線的な単調増加である
ことを特徴とするパウダリング性および加工後耐食性に
優れたZn−Cr系めっき鋼板。 - 【請求項2】請求項1に記載のZn−Cr系めっき鋼板
を製造するにさいし、Zn2+およびCr3+を主成分と
し、リンゴ酸および/またはリンゴ酸塩をCr3+に対し
モル比で0.1以上含有し、pHが0.5〜3の浴を用
いて鋼板を電解することを特徴とするパウダリング性お
よび加工後耐食性に優れたZn−Cr系めっき鋼板の製
造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10959492A JPH05302193A (ja) | 1992-04-28 | 1992-04-28 | パウダリング性および加工後耐食性に優れたZn−Cr系めっき鋼板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10959492A JPH05302193A (ja) | 1992-04-28 | 1992-04-28 | パウダリング性および加工後耐食性に優れたZn−Cr系めっき鋼板およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05302193A true JPH05302193A (ja) | 1993-11-16 |
Family
ID=14514231
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10959492A Withdrawn JPH05302193A (ja) | 1992-04-28 | 1992-04-28 | パウダリング性および加工後耐食性に優れたZn−Cr系めっき鋼板およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH05302193A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2014058714A (ja) * | 2012-09-18 | 2014-04-03 | Jfe Steel Corp | 冷延鋼板およびその製造方法 |
-
1992
- 1992-04-28 JP JP10959492A patent/JPH05302193A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2014058714A (ja) * | 2012-09-18 | 2014-04-03 | Jfe Steel Corp | 冷延鋼板およびその製造方法 |
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Legal Events
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