JPH05304952A - 細胞培養法 - Google Patents

細胞培養法

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JPH05304952A
JPH05304952A JP27962791A JP27962791A JPH05304952A JP H05304952 A JPH05304952 A JP H05304952A JP 27962791 A JP27962791 A JP 27962791A JP 27962791 A JP27962791 A JP 27962791A JP H05304952 A JPH05304952 A JP H05304952A
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cells
culture
medium
oxygen gas
oxygen
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JP27962791A
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Inventor
Masaru Koike
勝 小池
Makoto Yoshida
信 吉田
Akihiro Tomota
明宏 友田
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Hokko Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 細胞接種時の植え痛みを防ぎ且つ細胞増殖の
立ち上がりを早めることを可能にするように酸素の供給
を制御し、収穫量の高い動植物細胞の液体培養方法を提
供する。 【構成】 培養液の液面上の空間中に純酸素ガスを単独
に酸素ガス供給管から供給することにより、形成した雰
囲気で培養液の液面を被覆し、この際に純酸素ガスの供
給を制御し、培地中の溶存酸素量を、細胞の接種時から
細胞の対数増殖期の開始時期までの培養初期には培地の
飽和溶存酸素量の20%以下の値、但し細胞の酸素需要
量を満たす値に一定に維持し、またそれ以後の細胞対数
増殖期中及びそれ以降には培地の溶存酸素量を飽和溶存
酸素量の50%以上、但し100%より低い値に一定に
維持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般的には動物、植物
又は微生物の細胞、また特別には昆虫細胞の如き生物の
細胞の深部液体培養方法に関するものであり、詳しくは
新しい培養液に前記生物の培養細胞を接種するにあたり
通常起る接種時の細胞の植え痛みを防ぎ且つ細胞増殖の
立ち上がり即ち開始時期を早めることを可能にし、さら
に、培養中の細胞の対数増殖期を好適に長い時間維持す
ることができ、培養細胞の収穫量を増大できる動植物細
胞又は微生物細胞の改良された培養方法に関する。本発
明の方法では、培養中の細胞に必要とされる酸素の培養
液への供給を制御して培養液中の溶存酸素濃度を経時的
に調整する手段が利用される。
【0002】
【従来の技術】動物細胞及び植物細胞(以下、単に動植
物細胞と略すこともある)や、動植物の器官又は組織細
胞の培養ならびに微生物の細胞、特に昆虫細胞の培養に
おいて、一次培養した細胞を新しい液体培地に接種して
細胞の二次培養又は生産的培養を行う場合に、接種され
た細胞は新しい培地中で或る種のショックをうけ、細胞
分裂能力を一部又は全く失ない、そして全体の細胞がと
きとしては死滅する。これを細胞の植え痛みという。何
れの場合にも、接種された細胞は、それの失った細胞分
裂能力、従って細胞増殖能力を常態までに回復するのに
時間を要する。
【0003】接種時の細胞の植え痛みを防ぐために、コ
ンディショニング培地や、接種用に培養した細胞の一次
培養時に使用済みの培養液をそのまま分離せず細胞と一
緒に接種液として新しい液体培地に添加する方法がとら
れることがある。その結果、細胞を新しく接種しても、
使用される新しい液体培地には、それの或る割合の、と
きとして50%も古い培地が混合されるから、培地全体
の更新効率が悪くて新しく用いた液体培地中の細胞の効
率よい培養が可能である日数が限られて来る。また、接
種時の植え痛みによる細胞数の減少分を見込んで、予じ
め大量の細胞を接種する方法を採ることもあるが、これ
には、接種用に細胞をあらかじめ大量に一次培養する必
要があり、細胞の培養の効率が全体として悪い。
【0004】動植物細胞や器官ならびに微生物の細胞の
深部液体培養において、液体培地中への必要な酸素の供
給は酸素を含む気体を液体培地中に通気して気泡の形で
混合して行なう方法が行われることが多い。しかしなが
ら、この通気培養方法では、気泡として加えた酸素含有
ガスと細胞との接触により細胞が酸素中毒や機械的剪断
応力により発育阻害を受けることが知られている。培養
槽内でたとえば酸素を含む気体の液体培地中への通気量
を増やし、気泡による攪拌作用により培地中へ酸素を拡
散させて酸素濃度を培地中で均一化する方法では、培地
内に生じた気泡により細胞の生育及び増殖が著しく阻害
されることが多い。
【0005】別の方法として培養槽内で酸素を含む気体
を液体培地中へ通気せずに培地の表面に吹き付ける方法
も提案されているが、この方法では、培地中での実効的
な酸素の供給量を増やすために吹き出しノズルの形状を
改良する(特開昭62−195276号公報)などして
培地表面への気体吹き付け量を多くしたり、追加的に行
う機械的攪拌により培地表面を波立たせて液体表面積を
広くし、酸素を含む気体からの酸素の培地本体への溶け
込み量を増加させる工夫が必要とされる。この液体培地
表面への酸素含有気体の吹き付け方法でも、攪拌を強く
行ない酸素の供給効率を高めると、培養中の細胞に対し
て攪拌による剪断力が働き細胞の増殖が著しく妨げられ
る。
【0006】このように従来法では不都合な点を有する
ため、かかる欠点のない細胞培養法の開発が望まれてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、細胞接種時
の植え痛みを防ぎ且つ細胞増殖の立ち上がりを早めるこ
とを可能にするように酸素の供給を制御し、かつ細胞の
増殖効率を高くして培養細胞の収穫量も高い動植物細胞
の液体培養方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
目的を達成するために鋭意研究を行った。先づ、培養槽
内での動植物の液体培養方法における培地への酸素供給
法として知られる酸素含有気体の培地中通気方法と、培
地表面吹き付け方法と、培地表面を高濃度酸素を含む雰
囲気で覆う方法との相対的な長所、短所を調べるため
に、一定組成の液体培地を用い細胞培養時での培地中の
溶存酸素量を種々の値で但し培養中は一定に維持した条
件下で細胞の培養を行い培養時間の経過につれての培養
中の生細胞の個数の経時的な変動を計測する実験を、前
記の培地中通気方法、並びに培地表面吹き付け方法及び
培地表面を酸素含有気体で被覆する方法について行っ
た。
【0009】また、細胞培養時での培地中の溶存酸素量
を培養初期の期間中には比較的低い又は高い値に維持し
且つ培養初期の以後には比較的高い又は低い値に増加又
は減少するように変動させた条件下で細胞の培養を行
い、そして培養時間の経過につれての培養中の生細胞の
個数の経時的変動を計測する実験も行った。しかも、こ
れらの実験では、純酸素ガスや空気や、酸素−窒素混合
ガスを供給した。
【0010】こうして得られた多数の実験結果を総括的
に検討すると、純酸素ガスを用いて、培地表面を被覆す
る雰囲気を形成させる方式の方が酸素と他のガスとの混
合ガスを供給する方式よりも全体的にみて優れた結果を
与え得ることが知見された。
【0011】そこで、純酸素ガスを供給することによ
り、培地表面を被覆する酸素含有雰囲気を形成させる方
法の場合について、純酸素ガスの供給ノズルから出る酸
素ガス流の供給速度(容積/時間)、方向、供給ノズル
のガス噴出口と培地表面との間の距離、等の種々の条件
因子を変えながら、培養中の培地中の溶存酸素濃度の経
時的変化、並びに培養細胞数の経時的変化を計測する実
験を行った。
【0012】得られた多数の実験結果を比較して検討す
ると、総括的には、ノズルから供給された純酸素ガス流
が衝突することによって液体培地の表面が波立ちを起こ
すことのないような仕方で純酸素ガスを供給する方式が
他の場合に比べて優れた結果を与えることが知見され
た。
【0013】更にまた重要なことには、これらの多数の
実験を通して、新しい液体培地へ接種された細胞が接種
時点から細胞対数増殖期の開始時期に至る培地初期中に
必要とする細胞の単位個数当りの酸素消費量(細胞の酸
素需要量、O2 、μl/時間)は、細胞対数増殖期に入
った後の対数増殖期中の細胞が必要とする細胞の単位個
数当りの酸素消費量(細胞の酸素需要量、O2 、μl/
時間)に比べて約半分にすぎないことが知見された。こ
の知見を通じて、細胞の対数増殖期中では、この期間で
の培養中の細胞の酸素需要を満たすが但し酸素中毒を起
こさない程度の溶存酸素濃度を培地中に維持することが
必要であるけれども、培養初期中には、より低い値で溶
存酸素濃度を培地中に維持すれば済み、このことがむし
ろ細胞の植え痛みを防ぐことに役立つことが認められ
た。
【0014】これらの知見に基づいて、大約すると、動
植物細胞、特に昆虫細胞の液体培養を行うに当り、液体
培地を収容する培養槽内の培地の表面を覆う雰囲気を、
酸素ガスを単独に供給し、換言すれば、純酸素ガスを供
給することにより形成し、しかも供給された酸素ガスの
流れの衝突又は攪乱作用により液体培地の表面が波立ち
を起こすことのない条件下で純酸素ガスを供給するよう
にし、更に純酸素ガスの供給を加減及び(又は)断続す
ることにより、培地内の溶存酸素量を細胞の接種時から
細胞の対数増殖期に入るまでの間では或る低い値に維持
するが、細胞の対数増殖期およびそれ以降には或る高い
値に維持することにより、細胞の対数増殖期の開始を早
め、対数増殖期を長く保つことができ、よって培養細胞
の収穫量を高め得ることを見出した。
【0015】結局のところ、本発明の要旨とするところ
は、培養される細胞を接種してある液体培地を収容して
いる培養槽内で培養液の液面上の空間中に純酸素ガスを
単独に酸素ガス供給管から吹き込んで供給することによ
り、純酸素ガスより専らなる雰囲気又は主体の酸素ガス
と培養液から自然に蒸散する少量の水蒸気、少量の炭酸
ガス及び少量の他種ガスとよりなる雰囲気を形成して該
雰囲気で培養液の液面を被覆し、しかもこの際に純酸素
ガスの供給流による攪乱作用で培養液の液面が波立つこ
とがないように防止しながら前記の雰囲気を培養液の液
面上に維持し、さらに純酸素ガスの供給量を加減するこ
と及び(又は)純酸素ガスの供給を間歇的に行うことに
より酸素ガス供給管から上記の雰囲気への純酸素ガスの
供給を制御し、そしてこの純酸素ガスの供給の制御によ
り、培地中の溶存酸素量を、細胞の接種時から細胞の対
数増殖期の開始時期までの培養初期には培地の飽和溶存
酸素量の20%以下の値、但し細胞の酸素需要量を満た
す値に一定又は殆んど一定に維持し、またそれ以後の細
胞対数増殖期中及びそれ以降には培地の溶存酸素量を飽
和溶存酸素量の50%以上、但し100%より低い値に
一定又は殆んど一定に維持することを特徴とする生物細
胞の深部液体培養方法にある。
【0016】以下に本発明の方法の実施法について詳細
に説明する。
【0017】本発明の方法で用いる培養槽としては、円
筒状、球状など攪拌に適するものであれば従来慣用の竪
型、横型のいずれの型でもよい。また本法では、液体培
地を培養過程中に攪拌機で攪拌してもよく、その攪拌の
方法は、細胞の培養に適する攪拌手段であれば、培養槽
中心に回転軸をもつプロペラ方式、ポンプによる培地循
環方式のいずれの方式でもよい。
【0018】本発明の方法で培養される細胞は、動物細
胞、植物細胞、植物器官、微生物の細胞の何れでもよ
い。また、細胞としては浮遊性、付着依存性のいずれで
もよい。 例えば昆虫細胞を本発明の方法で培養する場
合には、培地に接種すべき昆虫細胞は、任意の昆虫につ
いてその体の任意の部分を切り取り、プロテアーゼで処
理することによって細胞を1つずつ分離して得られるも
のであり得る。しかし、細胞の入手の容易さとその性質
が固定化されていて公知であり取扱いも簡易であり、ま
た継代培養を続けうる公知の細胞系統(セルライン)の
方が利用しやすい。
【0019】このために、従来知られている昆虫細胞の
セルライン、例えばヨトウガ脂肪体由来細胞のセルライ
ンであるSES−MaBr−1株、SES−MaBr−
2株、SES−MaBr−3株、SES−MaBr−4
株、同血球由来細胞のセルラインであるNIAS−Ma
Br−32株、NIAS−MaBr−92株、NIAS
−MaBr−93株などを用いることが培養結果の再現
性の点からも有利である。
【0020】また、ヨトウガ由来細胞(4H)株は、S
ES−MaBr−4株をNo.8培地で、またヨトウガ
由来細胞(93H)株は、NIAS−MaBr−93株
をNo.8培地(特開昭63−148983号公報)で
それぞれに順化継代培養して得られる昆虫細胞セルライ
ンとして知られるが、これらも本法で培養できる。
【0021】本法で使用しうる液体培地としては、FB
SMM培地〔Contrib .Boyel Jhompson lnst .第22
巻第435頁〜第460頁(1964)〕及びNo.8
培地などが挙げられるが、前記した生物細胞が成育でき
る液体培地であるならば、用いる細胞にあわせていずれ
の液体培地でも使用できる。
【0022】培地を培養槽に注入後に培養液より上方の
空間に充分量のチッ素ガスを吹き込み、空気を追い出し
ておく。次いで、培養槽の上部に設けた酸素ガス供給管
を通して純酸素ガスを供給し窒素ガスと置換させる。純
酸素ガスは市販の培養用品位のものを用い、無菌フィル
ターにより除菌したものを用いる。
【0023】酸素ガスの供給管のノズル出口は、培養槽
内の気層部分に直接吹き込め、培養液表面を波立たせな
い位置であれば、特に位置、吹き出し口の形状、吹き出
し口の数は制限されるものではない。細胞の接種は、培
地が後記される値の溶存酸素量に達した時点で行なう。
【0024】酸素ガスの供給量は、培養槽の気層部分の
体積と、培養槽に収容された培地の体積、培養細胞の酸
素消費量により異なるが、5リットル容量の培養槽では
酸素ガス流量計の動かない程度から1リットル/hぐら
いの範囲となるようにする。培地の溶存酸素量は細胞を
培地に接種時から対数増殖期の開始時期までの培養初期
中には飽和溶存酸素量の20%以下、望ましくは10〜
15%の値に維持する。細胞の増殖率が明らかに向上し
て細胞濃度が急速に高まる対数増殖期の開始時期および
それ以降では、溶存酸素量を飽和溶存酸素量の50%以
上、望ましくは60〜80%の範囲で維持する。
【0025】培養槽には、培養液の上方の空間から気体
を抜出す排気管が設けられるが、この排気管には、培養
液の蒸散による培地液量の減少を防ぐためのコンデンサ
ーを設置して水蒸気を凝縮して培養槽内へ戻すことが好
ましい。また培養槽による細胞の培養に必要な一般的な
設備、たとえば温度センサー、pHセンサー、pH調整
装置等は適宜設置する。
【0026】以下に本発明を試験例及び実施例によって
さらに説明する。
【0027】試験例1 培養槽内の気層部分に酸素ガスを単独で吹き込みながら
但し培養液中には通気せずに後記の表1に示した組成を
もつNo.8培地中でヨトウガ由来培養細胞を10日間
(240時間)培養した。なお、培養液中の溶存酸素量
は培養2日目まで(培養時間48時間目まで)は飽和溶
存酸素量の15%の値に一定に維持し、培養3日目(培
養時間72時間目)より60%の値に維持した。この培
養過程における培養細胞の酸素の消費量(酸素需要量、
μl/時)をレシピロメーターを用い測定した(培養液
を細胞と一緒に一部、試料として抜取り、経時的に計量
した)。その結果を表2に示す。培養初期中にある細胞
接種1日目(培養時間24時間目)の細胞は、対数増殖
期中にすでに入った培養3日目(培養時間72時間目)
の細胞の酸素消費量の約1/2量を要するだけで済むこ
とが認められた。
【0028】
【表1】
【0029】 No.8培地の組成 塩化ナトリウム 7.0g/l 塩化カリウム 0.2g/l 塩化マグネシウム六水和物 0.1g/l 塩化カルシウム二水和物 0.2g/l D−グルコース 4.0g/l ラクトアルブミン水解物 (Nutritional Biocheimicals Corp社製) 6.5g/l イーストレート(粉末酵母)(Difco社製) 5.0g/l pH 6.5±0.2
【0030】
【表2】
【0031】実施例1 表1に示された組成の培地(No. 8培地)を調製し、
これを滅菌後、ガラス製小型の培養ジャー(5リットル
容量、ニューブランズイック社製)に3.5リットルあ
て分注した。ジャーの上方空間の気相に窒素ガスを充分
吹き込んで空気を追出した後、酸素ガスを吹き込み窒素
ガスと置換させた。酸素ガスの供給量を加減して、溶存
酸素計で測定しながら培地の溶存酸素量を飽和溶存酸素
量の15%の値に調整して設定した。その後、この培地
にあらかじめスピンナーボトルで培養したヨトウガ由来
細胞(4H株)を2×105 個/mlの接種量で接種し
た。培養を27℃、攪拌速度60rpmで開始して10
日間行なった。
【0032】培地の溶存酸素量は、培養開始後3日目
(培養時間72時間目まで)(対数増殖期に入るまでの
培養初期に相当)までは飽和溶存酸素量の15%の値に
維持した。培養時間73時間目から、対数増殖期の開始
時期およびそれ以降では60%に維持した。培養日数ご
との細胞濃度は顕微鏡にて調べた。その細胞濃度の経時
的変化を後記の表3に示した。
【0033】対照例1 培地の溶存酸素量を細胞接種時の当初から飽和溶存酸素
量の15%の値に一定に維持したまま10日間培養した
以外は実施例1に準じて培養を行なった。その結果を表
3に示した。
【0034】対照例2 培地の溶存酸素量を細胞接種時の当初から飽和溶存酸素
量60%の値に一定に維持したまま10日間培養した以
外は実施例1に準じて培養を行なった。その結果を表3
に示す。
【0035】対照例3 空気に酸素ガス、窒素ガス、炭酸ガスを混合した気体を
純酸素ガスの代りに用い、培地中に1リットル/分の通
気速度で吹き込んだ以外は実施例1に準じて培養を行な
った。但し、培養開始後3日間は混合ガスの通気により
培地の溶存酸素量を飽和溶存酸素量の15%に維持して
培養し、その後は60%に一旦は高めて培養した。しか
し、混合ガスの通気では培地の溶存酸素量を飽和溶存酸
素量の60%に維持することができず、培養するに従い
溶存酸素量は徐々に低下し、培養中期に測定限界値より
以下になった。その結果を第3表に示した。
【0036】
【表3】
【0037】実施例2 表1に示された組成の培地(No. 8培地)を調製し、
これを滅菌後にガラス製小型の培養ジャー(5リットル
容量平底、いわしや製)に4リットルづつ分注した。ジ
ャー内の上方の空間気相に窒素ガスを充分吹き込み空気
を追出した。次に酸素ガスを吹き込み、培地の溶存酸素
量を溶存酸素計で測定して飽和溶存酸素量の10%の値
に調整して維持するように酸素ガスの供給を加減した。
その後、この培地に予めスピンナーボトルで培養したヨ
トウガ由来細胞(4H株)を2×105 個/mlの接種
量で接種した。培養は、マリンタイプのインペラーを用
い、27℃で攪拌速度120rpmで14日間行なっ
た。
【0038】培地の溶存酸素量を、培養開始後4日間
(培養時間96時間目まで)(対数増殖期に入るまでの
培養初期に相当)では飽和溶存酸素量の10%に維持し
た。培養時間97時間目から、すなわち対数増殖期の開
始時期およびそれ以降では、80%に維持した。培養日
数ごとの細胞濃度は顕微鏡にて調べた。
【0039】その細胞濃度の経時変化を後記の表4に示
した。
【0040】対照例4 培地の溶存酸素量を細胞接種時の当初から飽和溶存酸素
量の10%に一定に維持したまま14日間培養した以外
は実施例2に準じて行なった。その結果を表4に示し
た。
【0041】対照例5 培地の溶存酸素量を細胞接種時の当初から飽和溶存酸素
量の80%に一定に維持したまま14日間培養した以外
は実施例2に準じて行なった。その結果を表4に示し
た。
【0042】対照例6 空気を用い、培地中に1.2リットル/分の通気速度で
吹き込み、14日間培養した以外は実施例2に準じて行
なった。
【0043】但し、培養開始後3日間は混合ガスの通気
により培地の溶存酸素量を飽和溶存酸素量の10%に維
持して培養した。その後は80%に一旦高めて培養した
が、混合ガスの通気では培地の溶存酸素量を飽和溶存酸
素量の80%に維持することができず培養するに従い溶
存酸素量は徐々に低下し、培養中期に測定限界量より以
下になった。その結果を第4表に示す。
【0044】
【表4】
【0045】
【発明の効果】本発明は、上述したように、生物細胞の
液体培養に当り、培地中への酸素供給方式を工夫するこ
とにより、細胞の接種時および培養初期での培地中の溶
存酸素量を低く維持することが可能であり、それによっ
て培養初期の細胞植え痛みを抑え、しかし細胞の対数増
殖期の開始時期以降には多量の酸素を供給して培地中に
溶存させることにより細胞を効率良く増殖させることが
できる。しかも、酸素、窒素、炭酸ガスの混合気体に代
えて純酸素ガスを供給することにより細胞が多量の酸素
を必要とする対数増殖期に必要量の酸素を速やかに供給
できるから、細胞を効率よく培養して培養細胞の収穫量
を増大できる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 培養される細胞を接種してある液体培地
    を収容している培養槽内で培養液の液面上の空間中に純
    酸素ガスを単独に酸素ガス供給管から吹き込んで供給す
    ることにより、純酸素ガスより専らなる雰囲気又は主体
    の酸素ガスと培養液から自然に蒸散する少量の水蒸気、
    少量の炭酸ガス及び少量の他種ガスとよりなる雰囲気を
    形成して該雰囲気で培養液の液面を被覆し、しかもこの
    際に純酸素ガスの供給流による攪乱作用で培養液の液面
    が波立つことがないように防止しながら前記の雰囲気を
    培養液の液面上に維持し、さらに純酸素ガスの供給量を
    加減すること及び(又は)純酸素ガスの供給を間歇的に
    行うことにより酸素ガス供給管から上記の雰囲気への純
    酸素ガスの供給を制御し、そしてこの純酸素ガスの供給
    の制御により、培地中の溶存酸素量を、細胞の接種時か
    ら細胞の対数増殖期の開始時期までの培養初期には培地
    の飽和溶存酸素量の20%以下の値、但し細胞の酸素需
    要量を満たす値に一定又は殆んど一定に維持し、またそ
    れ以後の細胞対数増殖期中及びそれ以降には培地の溶存
    酸素量を飽和溶存酸素量の50%以上、但し100%よ
    り低い値に一定又は殆んど一定に維持することを特徴と
    する生物細胞の深部液体培養方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008032186A3 (en) * 2006-09-11 2008-05-22 Air Liquide Dissolved oxygen profile to increase fermentation productivity and economics
JP2022521235A (ja) * 2019-02-22 2022-04-06 グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム 発酵方法

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