JPH05320068A - ラクトフェリン分解物を有効成分とする抗菌剤、チロシナーゼ活性阻害剤、及びラクトフェリン分解物を用いる物品の処理方法 - Google Patents

ラクトフェリン分解物を有効成分とする抗菌剤、チロシナーゼ活性阻害剤、及びラクトフェリン分解物を用いる物品の処理方法

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JPH05320068A
JPH05320068A JP3171736A JP17173691A JPH05320068A JP H05320068 A JPH05320068 A JP H05320068A JP 3171736 A JP3171736 A JP 3171736A JP 17173691 A JP17173691 A JP 17173691A JP H05320068 A JPH05320068 A JP H05320068A
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興三 川瀬
Yoshitaka Tamura
吉隆 田村
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恒治 山内
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Hiroaki Abe
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加熱,pH変化に対して安定であり、天然の
ラクトフェリン(未分解の)に比して顕著に優れた抗菌
性を有するラクトフェリン加水分解物を有効成分とする
抗菌剤、ラクトフェリン加水分解物を有効成分とするチ
ロシナーゼ活性阻害剤,ラクトフェリン加水分解物を用
いて物品(人又は動物の体内に取り入れられ,または体
表面に接触される)を処理する方法を提供すること。 【構成】 ラクトフェリンの加水分解物を有効成分とし
て含有する抗菌剤、チロシナーゼ活性阻害剤、ラクトフ
ェリン加水分解物で物品を処理する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本件出願は、本件出願人と同一出願人によ
る特願平2ー169636号(出願日:平成2年6月2
6日、名称:ラクトフェリン分解物を有効成分とする抗
菌剤及びチロシナーゼ活性阻害剤)に基づく優先権を主
張する出願である。
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、ラクトフェリンの分解
物を有効成分とする抗菌剤及びチロシナーゼ活性阻害剤
に関する。
【0003】
【従来の技術】ラクトフェリンは、生体内では、涙,唾
液,抹消血,乳汁等に含まれている鉄結合性蛋白質であ
り、大腸菌,ブドウ球菌および腸球菌にたいして、0.
5〜30mg/mlの濃度で抗菌作用を有することが知
られている[ノネッケ及びスミス;ジャーナル・オブ・
デアリー・サイエンス(Nonnecke, B.J. & Smith, K.
L.; Journal of Dairy Science) 67巻;606頁:1
984年]。
【0004】一般にラクトフェリンの抗菌作用は、菌の
増殖に必要な鉄とラクトフェリンとが結合して、菌が鉄
を利用できなくなることによるものと考えられている。
しかしラクトフェリンの抗菌作用は、必ずしも充分に強
いとは言えない。したがって、ラクトフェリンを使用す
る場合、殊にラクトフェリンを他の物品に配合,含浸,
付着させ、あるいは物品をラクトフェリンで被覆して、
抗菌作用を発揮せしめる場合には、大量のラクトフェリ
ンが必要となるため、従来の技術ではラクトフェリンの
利用には限界があった。
【0005】この点を改良するため、従来からラクトフ
ェリンの抗菌作用を増強する研究が種々行われて来た。
例えば、ラクトフェリンとリゾチームとの共存により相
乗的に抗菌作用を増強する方法[特開昭62ー2499
31号公報]、ラクトフェリンと分泌型IgAとの共存
により相乗的に抗菌作用を増強する方法[ステフェンス
等;イムノロジー(Stephens, S., et al; Immunolog
y);41巻;597頁;1980年]等が報告されて
いる。
【0006】しかしながら、高い抗菌活性を得るため
に、ラクトフェリンそのものを化学的に処理して、その
活性を改良しようとする試みは、本発明者等が知る限り
従来皆無であった。
【0007】更に、ラクトフェリンは熱に不安定であ
り、62.5℃で30分間の加熱によりほぼ失活し、7
0℃で15分間の加熱により完全に失活することが知ら
れている。[フォード等;ジャーナル・オブ・ペディア
トリックス(Ford, J.E., etal; Journal of Pediatric
s);90巻;29頁;1977年]従って、従来ラク
トフェリン含有液を処理する場合であって、その工程中
に加熱処理を包含する場合には、ラクトフェリンが失活
する虞れがあり、充分な加熱処理を採用できないのが実
情であった。
【0008】また、ラクトフェリン、及びその加水分解
物のチロシナーゼ活性阻害効果については、知られてい
ない。
【0009】チロシナーゼは、チロシン、その他1価の
フェノール類及び相当するオルソ-2価フェノール類の
分子状酸素による酸化を触媒する酵素であり、キノコ,
ジャガイモ,リンゴ等多くの植物に広く存在し、また動
物組織にも広く存在する。植物においては、組織の損傷
部分の黒変現象に関与し、動物においては組織、特に皮
膚表皮細胞のメラニン色素の形成に関与していることが
知られている(化学大辞典編集委員会編、化学大辞典、
第5巻、第976ページ、共立出版、昭和35年)。ア
ジソン病において皮膚又は粘膜でのメラニン沈着が、チ
ロシナーゼ活性を促進するメラノトロピンと拮抗する副
腎皮質ホルモンの分泌減少に起因することも知られてい
る(化学大辞典編集委員会編、化学大辞典、第1巻、第
65ページ、共立出版、昭和35年)。更にチロシナー
ゼは、食品の鮮度低下にも関与しているとも言われてい
る。
【0010】以上のように、食品、化粧品又は医薬品分
野においてチロシナーゼの望ましくない作用を防止、予
防又は治療するためのチロシナーゼ活性阻害剤の開発が
強く望まれていた。特に化粧品業界では、メラニン色素
の生成を有効に抑制し、美白効果を付与した化粧品又は
皮膚外用剤の研究が活発であり、チロシナーゼ活性阻害
剤を配合した製品が次々と開発された。チロシナーゼ活
性阻害剤としては例えば、システイン,ビタミンC(三
島豊等、基礎皮膚科学、第258ページ、朝倉書店、昭
和48年)、コウジ酸(日経産業新聞、昭和63年5月
24日)、アルブチン(富田健一、第20回FJセミナ
ー予稿集、第21ページ、フレグランスジャーナル社、
平成2年3月14日)、トリコデルマ属に属する微生物
の産生物(特開平2−145189号公報)が知られて
いる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、ラクト
フェリンの抗菌作用の増強及び耐熱性の改良について鋭
意研究を重ねた結果、哺乳類由来のラクトフェリン,そ
れらを化学的に処理した哺乳類由来のアポラクトフェリ
ン,哺乳類由来の金属飽和ラクトフェリン,又はこれら
の任意の混合物からなる群より選択されたラクトフェリ
ンを加水分解して得られるラクトフェリン分解物が、天
然のラクトフェリンよりも抗菌作用にすぐれ、加熱及び
pH変化に対して安定であることを発見し、本発明を完
成した。
【0012】また、従来のチロシナーゼ活性阻害剤は、
製品中で不安定であったり、メラニン色素を合成するメ
ラノサイト細胞への作用が強すぎたり、原料の入手が困
難であるため高価であったり、何れも欠点があり、安全
で美白効果にすぐれた化粧品又は皮膚外用剤として満足
できるものでは無かった。
【0013】本発明者等は、ラクトフェリン、特にその
加水分解物が強いチロシナーゼ活性阻害効果を有するこ
とを発見し、本発明を完成した。
【0014】発明の目的 本発明の一目的は、ラクトフェリン分解物を有効成分と
する抗菌剤を提供することである。
【0015】本発明の他の一目的は、ラクトフェリン分
解物を抗菌性有効成分として含有する抗菌性組成物を提
供することである。
【0016】本発明の更なる他の一目的は、ラクトフェ
リン分解物を用いて、物品を処理する方法を提供するこ
とである。
【0017】本発明の他の一目的は、ラクトフェリン分
解物を有効成分として含有する、チロシナーゼ活性阻害
剤を提供することである。
【0018】本発明の更に他の一目的は、人及び動物に
対して安全なラクトフェリン分解物を有効成分とする抗
菌剤兼チロシナーゼ活性阻害剤を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明において、出発物
質として使用するラクトフェリンは、市販のラクトフェ
リン、哺乳類(例えば人、牛、羊、山羊、馬等)の初
乳、移行乳、常乳、末期乳等、又はこれらの乳の処理物
である脱脂乳、ホエー等(以下、これらをまとめて乳等
と記載する)から常法(例えば、イオン交換クロマトグ
ラフィー)により分離したラクトフェリン、それらを塩
酸、クエン酸等により脱鉄したアポラクトフェリン、そ
れらを鉄、銅、亜鉛、マンガン等の金属でキレートさせ
た金属飽和ラクトフェリン、あるいはそれらの混合物で
あってよい(以下、これらをまとめてLFと記載す
る)。
【0020】本発明によるラクトフェリン加水分解物
は、上記LFを酸又は酵素で加水分解することによって
得られる。
【0021】酸による加水分解は、LFを0.1〜20
%(重量。以下、特に断りの無い限り同じ)、望ましく
は5〜15%の濃度で水又は精製水等に溶解し、得られ
た溶液に塩酸、リン酸等の無機酸、又はクエン酸等の有
機酸を添加し、溶液のpHを1〜4、望ましくは2〜3
に調整する。かくて得られた溶液は、調整されたpHに
応じて、適当な温度で所定時間加熱して加水分解する。
例えば、pHが1〜2に調整された場合には80〜13
0℃、望ましくは90〜120℃で、pH2〜4に調整
された場合には100〜130℃、望ましくは100〜
120℃で、夫々1〜120分間、望ましくは5〜60
分間加熱する。
【0022】酵素により加水分解する場合には、LFを
0.5〜20%望ましくは5〜15%の濃度で水、精製
水等に溶解し、得られた溶液を使用される酵素の至適p
Hとして加水分解する。
【0023】使用される酵素は特に制限はなく、市販の
酵素、例えばモルシンF(商標、盛進製薬社製。至適p
H2.5〜3.0)、豚ペプシン(和光純薬社製。至適
pH2〜3)スミチームAP(商標、新日本化学社製。
至適pH3.0)、アマノM(商標、アマノ製薬社製。
至適pH3.0)、アマノA(商標、アマノ製薬社製。
至適pH7.0)、トリプシン(ノボ社製。至適pH
8.0)等を単用又は任意に併用する。抗菌剤の製造に
おいては、特に、豚ペプシン、スミチームAPを使用す
ることにより良好な結果が得られた。上述の酵素のほか
に、例えば市販のエキソペプチダーゼを含有する醤油酵
素(田辺製薬社製)を組み合わせて使用しても良い。
【0024】使用する酵素の量は、基質にたいして0.
1〜5.0%の範囲、特に.0.5〜3.0%が望まし
い。
【0025】LF溶液のpHを調整し、所望のプロテア
ーゼを所望の量添加した後、得られた溶液の温度を15
〜55℃,望ましくは30〜50℃で、30〜600分
間,望ましくは60〜300分間保持してLFを加水分
解する。
【0026】次いで溶液をそのまま又は中和した後、酵
素を常法により加熱失活する。
【0027】上記方法によって得られた反応液は、常法
により冷却し、必要に応じて中和、脱塩、脱色し、得ら
れた溶液をそのまま、または濃縮して液状製品とし、あ
るいは濃縮後乾燥して粉末製品とすることができる。
【0028】上述の加水分解の条件は、厳密なものでは
なく、製造コスト、例えば、温度、時間、酸又は酵素の
種類及び量、反応装置(加圧の有無)等を考慮して適宜
条件を設定できる。
【0029】以上の方法によって得られたLF分解物
は、種々の分子量を有する分解物の混合物である。
【0030】加水分解の分解率は、蛋白質の抗原性消失
の観点から、抗菌剤として利用する場合においては、ホ
ルモール滴定による分解度が6〜20%、特に7〜15
%の範囲が望ましく、チロシナーゼ活性阻害剤として利
用する場合においては、ホルモール滴定による分解率が
4〜50%、特に6〜40%の範囲が望ましい。
【0031】かくて得られたLF加水分解物は、熱及び
pHの変化に対して極めて安定であり、加水分解されて
いないラクトフェリンに比して、抗菌性に優れており、
またチロシナーゼ活性阻害効果をも有する。
【0032】従って、本発明によるラクトフェリン分解
物は、そのまま、あるいは賦形剤または他の薬剤と混合
して抗菌剤として用いることができる。
【0033】この抗菌剤は、医薬品としてのみならず、
食品、飼料、化粧品等のように人及び動物の体内に取り
入れられ、あるいは体表面に適用される製品、その他一
般に細菌の増殖を防止又は抑制することが望まれるあら
ゆる製品に配合して、抗菌性組成物として用いることが
でき、あるいは該抗菌剤又は抗菌性組成物でそれらの製
品を処理することにより、抗菌性処理を施された物品と
して用いることができる。
【0034】また、本発明によるラクトフェリン分解物
は、そのまま、あるいは賦形剤または他の薬剤と混合し
てチロシナーゼ活性阻害剤として用いることができる。
【0035】このチロシナーゼ活性阻害剤は、医薬品と
してのみならず、食品、飼料、化粧品、医薬部外品ある
いはそれらの素材(例えば乳化剤、香料、その他一般に
食品、飼料、化粧品、医薬、医薬部外品の素材として許
容されている成分)等のように人および動物の体内に取
り入れられあるいは体表面に適用される製品、その他一
般にチロシナーゼ活性を阻害することが望まれるあらゆ
る製品に配合することによりチロシナーゼ活性阻害性組
成物として用いることができ、あるいは該阻害剤または
阻害性組成物でそれら製品を処理することにより、チロ
シナーゼ活性阻害処理を施された製品として用いること
ができる。
【0036】作 用 本発明のラクトフェリン加水分解物を有効成分とする抗
菌剤及び抗菌性組成物は、内服薬として用いられた場
合、食品、飼料に添加して摂取された場合には、感染症
の治療又は予防、及び腸内の有害細菌の増殖の抑制に有
効である。
【0037】本発明のラクトフェリン加水分解物を有効
成分とする抗菌剤、抗菌性組成物、チロシナーゼ活性阻
害剤及びチロシナーゼ活性阻害性組成物は化粧品または
外用剤として、人又は動物の体表面に適用された場合に
は、感染症の治療及び予防のみならず、メラニン色素沈
着の防止に有効である。
【0038】本発明のラクトフェリン加水分解物は、そ
の抗菌性及びチロシナーゼ活性阻害性とを有するので、
食品,飼料等のように人又は動物が摂取する物品を処理
することによって、それらの物品の品質の劣化(変敗の
防止,抑制、変色の防止,鮮度維等)に有効であり、更
に処理済みの物品の摂取によって感染症の治療又は予
防、及び腸内の有害細菌の増殖の抑制に有効であり、ま
た、人又は動物の体表面に接する物品を処理する(例え
ばそれら物品に混合、含浸、付着、被覆させる)ことに
よって、それらの物品の衛生状態を維持し、かかる物品
を人又は動物の体表面に適用した場合には、感染症の治
療及び予防、メラニン色素沈着の防止に有効である。
【0039】次に、試験例を示して本発明LF分解物を
有効成分とする抗菌剤の有用性を例証する。
【0040】[試験例1]この試験は、酸により分解し
たLF分解物の分解度と抗菌性との関係を調べるために
行われた。
【0041】1)試験方法 試料の調製 乳等から分離したままの市販のLF(ベルギーのオレオ
フィナ社製)を5%の濃度で精製水に溶解し、1Mの塩
酸を添加してpHを1,2,3及び4に調整した。ここ
に「乳等から分離したままの」なる文言は、ラクトフェ
リンの分離を行ったのみで、脱鉄、金属飽和等の化学処
理を行っていないことを意味する(以下同じ)。次い
で、各pHの溶液を夫々60℃から130℃までの温度
で5分から60分間加熱し、種々の分解条件で加水分解
した種々の分解度のLF分解物を調製した。
【0042】分解度の測定 得られた各LF分解物の分解度(%)は、ホルモール滴
定法により、各試料中のホルモール態窒素を測定し、そ
れらの値から次式によって算出した。 分解度=100×(ホルモール態窒素量/全窒素量) 培地及び前培養液の調製 [前培養液の調製]大腸菌(Escherichia coli)の保存
スラントから1白金耳を採取し、標準寒天培地(日水製
薬社製)に塗沫して35℃で16時間好気培養し、標準
寒天培地の表面に育成したコロニーを白金耳でかき取
り、滅菌生理食塩水に懸濁し、分光光度計(日立製作所
社製)で測定した濁度(O.D.;660nm)を1.
0に調整し、前培養液を調整した。
【0043】[基本培地の調製]バクトカジトン(ディ
フコ社製)を1%の濃度で精製水に溶解させ、1M水酸
化ナトリウムでpHを7.0に調整し、115℃で15
分間滅菌して、基本培地(液体培地)を調整した。
【0044】[試験培地及び対照培地の調整]前記と
同一の方法で調製した種々の分解度のLF分解物溶液及
び未分解のLF溶液を、滅菌フィルター(アドバンテッ
ク社製)で除菌し、しかる後25ppm,50ppm,
100ppm,250ppm,500ppm及び100
0ppmの濃度で夫々基本培地に添加して、試験培地及
び対照培地を調製した。
【0045】[抗菌効果試験]上記各試験培地及び各対
照培地に上記前培養液を1%の濃度で接種し、35℃で
16時間好気培養し、培養液の濁度を上記と同様の方法
で測定し、次式から大腸菌の増殖阻止率を算出した。 増殖阻止率(%)=100−(A/B×100) [ここで、Aは試験培養液の濁度差(培養16時間後の
試験培養液の濁度と培養前の試験培養液の濁度との差)
を、Bは対照培養液の濁度差(培養16時間後の対照培
養液の濁度と培養前の対照培養液の濁度との差)をそれ
ぞれ示す。] 2)試験結果 この試験の結果を表1に示した。
【0046】
【表1】 未分解のLF(対照)は250ppmの添加量から抗菌
作用を示し始めたものの、1000ppmの添加量でも
大腸菌の増殖を完全には阻止することができなかった
(弱い抗菌性)。これに対して、分解度が10%のLF
分解物は25ppmの添加量から強い抗菌作用を示し、
100ppm以上の添加量で完全に大腸菌の増殖を阻止
した。表1の結果から、LFを酸性側のpHで加熱して
加水分解して得られたLF分解物のうち、分解度が6〜
20%、特に7〜15%のものは、大腸菌にたいして未
分解のLFよりも顕著に強い抗菌活性を有することが認
められた。
【0047】[試験例2]この試験は、酵素によるLF
の分解条件を調べるために行われた。
【0048】1)試験方法 乳等から分離したままの、市販のLF(ベルギーのオレ
オフィナ社製)を5%の濃度で精製水に溶解し、市販の
モルシンF,豚ペプシン、スミチームAP、アマノM又
はトリプシンを、基質(LF)にたいして0.1〜6%
添加し、pHをそれらの酵素の至適pHに調整し、37
℃に保持した。30〜360分後、pHを7に調整し、
80℃で10分間加熱して酵素を失活させ、得られたL
F分解物の溶液を凍結乾燥して、種々のLF分解物(1
種の酵素について2試料ずつ)を得た。得られたLF分
解物の分解度(%)を、試験例1と同一の方法で測定、
算出した。
【0049】2)試験結果 この試験の結果は表2に示すとおりであった。
【0050】
【表2】 モルシンF,豚ペプシン、スミチームAPおよびアマノ
M等の酸性プロテアーゼを用いた分解物の分解度は5.
9〜14.7%であった。また、中性プロテアーゼであ
るトリプシンを用いたLF分解物の分解度は10.3〜
12.5%であった。
【0051】[試験例3]この試験は、有機酸により分
解したLF分解物の抗菌性を調べるために行われた。
【0052】実施例2と同一の方法(クエン酸により分
解)で製造した分解度12%の抗菌性LF分解物及び未
分解のLFとを用いて、試験例1と同一の方法により、
大腸菌にたいする抗菌性を試験した。
【0053】その結果は表3に示したとおりであった。
【0054】
【表3】 以上の試験例より、本発明の抗菌性LF分解物の製造に
おけるLFの分解は、無機酸、有機酸及び酵素の何れで
も良いことが証明された。
【0055】[試験例4]この試験は、本発明により抗
菌性LF分解物を用いた物品の処理方法の抗菌効果を確
認するために行われた。
【0056】市販の一次加工野菜(カット野菜)を、1
00gずつ3群に分け、実施例1と同一の方法により製
造した抗菌性LF分解物(無機酸により分解、分解度9
%)の1%溶液にそれぞれ30秒間浸漬し、充分に水切
りし、5℃にて保存し、生菌数の変化を常法により経時
的に測定した。
【0057】尚、対照として、未分解LFを同一濃度で
溶解した溶液、及び何も添加しない水についても、上記
と同一の試験を行った。
【0058】この試験結果は表4に示すとおりであっ
た。
【0059】
【表4】 この試験によって、本発明の抗菌性LF分解物を物品の
処理に用いた場合には、未分解のLFに比して顕著に高
い抗菌作用を有することが例証された [試験例5]この試験は、本発明による抗菌性LF分解
物を有効成分として食品に配合した場合の、配合物の抗
菌効果を例証するために行われた。
【0060】生乳を65℃で30分間加熱して10ml
ずつ試験管に分注した。これらに、分解度9%の抗菌性
LF分解物(実施例1と同一の方法で製造した)、又は
未分解のLFを各々0.1%の濃度で添加し、均一に混
合し、密封した試料(試料1及び試料2)及び何も添加
していないことを除いては同様の試料(対照)を調製し
た。各試料を25℃で保存し、凝固するまでの日数を測
定した。
【0061】この試験の結果、試料1は9日で凝固した
のに対して、試料2及び対照は、それぞれ4日及び2日
で凝固し、本発明の抗菌性LF分解物は、未分解のLF
に比べて牛乳の凝固を著しく延長することが判明した。
また、本発明の抗菌性LF分解物を添加した直後の牛乳
と、添加していない牛乳とについて官能試験を行った
所、それらの間には、風味、外観等に何等の相違もない
ことが確認された。
【0062】[試験例6]この試験は酵素により分解し
たLF分解物の抗菌性を調べるために行われた。 1)試験方法 試験例2と同一の方法で調製した種々のLF分解物溶液
(種々の酵素で分解)及び未分解のLF溶液(対照)
を、滅菌フィルター(アドバンテック社製)で除菌し、
基本培地(試験例1のものに同じ)に異なった濃度(5
0,100,250,500及び1000ppm)で添
加した試験培地及び対照培地を調製した。上記以外は試
験例1と同一の方法で、抗菌活性を試験した。
【0063】2)試験結果 この試験の結果を表5に示した。
【0064】
【表5】 未分解のLF(対照)は、250ppmから弱い抗菌作
用を示したものの、1000ppmの添加量でも大腸菌
の増殖を完全に阻止することはできなかった。モルシン
F、豚ペプシン、スミチームAP及びアマノM(これら
は全て酸性プロテアーゼである)で分解度10%以上に
分解した分解物は100ppmの添加量でも強い抗菌作
用を示し、250ppm以上の添加量で完全に大腸菌の
増殖を阻止した。一方、トリプシン(中性プロテアー
ゼ)による分解物は1000ppmの添加量でも全く抗
菌作用を示さなかった。
【0065】表5の結果から、LFを酸性プロテアーゼ
により分解して得られるLF分解物のうち、分解度が1
0%以上のものは未分解のLFよりも大腸菌にたいする
抗菌活性が強いことが確認された。
【0066】[試験例7]この試験の目的は、金属飽和
LFの分解物を配合した配合物における抗菌活性を調べ
ることである。
【0067】有効成分として実施例5と同一の方法で製
造した抗菌性LF分解物(鉄飽和LF分解物)を用いた
こと、及び市販の牛乳を用いたこと以外は試験例5と全
く同様の試験を行った。
【0068】即ち、市販の牛乳を10mlずつ試験管に
分注し、これらに上記抗菌性LF分解物(鉄飽和LF分
解物)または未分解のLF(対照)を各々1mg/ml
の濃度で添加し、均一に混合し、密封した試験試料、及
び何も添加していない対照試料を、各々3試料ずつ調製
した。これらの試料を25℃で保存し、外観の変化を肉
眼で観察した。
【0069】この試験の結果は表6に示すとおりであっ
た。
【0070】
【表6】 本発明の抗菌性LF分解物を添加した牛乳は、3試料と
も、試験開始14日後まで全く変化を認めなかった。
【0071】これに対して、未分解のLFを添加した牛
乳は、試験開始10日までは変化がなかったが、14日
目には3試料とも凝固した。また、対照群では10日目
で2試料が、14日目で全試料が凝固した。
【0072】この結果から、本発明の抗菌性LF分解物
は、未分解のLFよりも優れた抗菌性を有することが立
証された。
【0073】[試験例8]この試験の目的は、鉄分の存
在下におけるLF分解物の抗菌活性を調べることであ
る。
【0074】試験例6で用いた幾つかの試料、即ち試料
No.1,No.2,No.5,No.6及び未分解の
LF(対照)について、培地に硫酸第1鉄を0.01m
M添加した以外は、試験例6と同一の方法により抗菌活
性を試験した。
【0075】この試験結果は表7に示すとおりであっ
た。
【0076】
【表7】 未分解LFは、0.01mMの硫酸第1鉄の存在下で、
増殖防止効果を失ったが、LFの酸性プロテアーゼによ
る本発明の分解物は、何れも0.01mMの硫酸第一鉄
の存在下においても抗菌活性を維持していた。
【0077】[試験例9]この試験は、LFの酵素によ
る加水分解物の各種微生物に対する抗菌効果を調べるた
めに行われた。
【0078】(1)試料の調製 試験例6において最も高い増殖阻止率を示した試料4を
試験例6と同一の方法により調製した。尚、使用前にフ
ィルター(0.45μmマイレックス・フィルター)で
濾過して除菌した。
【0079】(2)試験方法 表8及び表9に示した各種微生物を、1%バクトペプト
ン(ディフコ・ラボラトリー社製)からなるペプトン培
地2ml,及び1%バクトペプトン(ディフコ・ラボラ
トリー社製)、1%グルコース及び0.05%酵母エキ
ストラクトからなるPYG培地2mlで16〜20時間
培養した。各培地には0〜1600μg/mlの各種割
合でLFの酵素加水分解物を添加した。対数期の各種微
生物の標準菌株を106/mlの菌濃度で各培地に接種
し、表の注に記載した菌株以外は37℃で培養した。各
種微生物の成育状態を660nmの吸光度を測定してモ
ニタした。各種微生物の成育を完全に阻止したLFの酵
素加水分解物の最小濃度を最小育成阻止濃度(MIC。
μg/ml)とした。
【0080】(3)試験結果 この試験の結果は、表8及び表9に示すとおりであっ
た。
【0081】
【表8】
【表9】 表8及び表9から明らかなように、LFの酵素加水分解
物は、好気性及び嫌気性の細菌及び酵母を含む多種類の
グラム陽性菌、グラム陰性菌、及び酵母に対して940
μg/ml以下の低濃度で抗菌作用を示した。完全に微
生物の成育を阻止するLFの酵素加水分解物の濃度は、
培地により異なっていた。試験した微生物の中でPse
udomonas fluorescens IFO−
141602及びEnterococcus faec
alis ATCC−E19433は、この試験条件で
LFの酵素加水分解物に耐性を示した。
【0082】次に、実施例を示して、本発明による抗菌
剤を更に詳述する。
【0083】
【実施例】[実施例1]乳等から分離したままの市販の
LF(ベルギーのオレオフィナ社製)50gを精製水9
50gに溶解し、得られた溶液に1Mの塩酸を添加して
pHを2に調整し、120℃で15分間加熱し、冷却し
て、LF分解物を5%の濃度で含有する液状の抗菌性分
解物1000gを得た。
【0084】このLF分解物の分解度は9%であった
(試験例1と同一の方法により測定)。
【0085】[実施例2]乳糖から分離したままの市販
のLF(ベルギーのオレオフィナ社製)150gを精製
水850gに溶解し、得られた溶液に1Mのクエン酸を
添加してpHを3に調整し、130℃で60分間加熱し
た。加熱後、溶液を冷却し、1Mの水酸化ナトリウムを
添加してpHを7に調整した後、濾過し、脱塩し、凍結
乾燥して、粉末状の抗菌性LF分解物約45gを得た。
【0086】この抗菌性LF分解物の分解度は12%で
あった(試験例1と同一の方法により測定)。
【0087】[実施例3]乳等から分離したままの市販
のLF(ベルギーのオレオフィナ社製)20gを精製水
180gに溶解し、これに硫酸第一鉄七水和物200m
gを添加し、25℃で12時間反応させたのち、限外濾
過モジュールSEP−1013(商標、旭化成社製)で
未反応の鉄を除去し、凍結乾燥し、鉄飽和LF約19g
を得た。得られた鉄飽和LF15gを精製水285gに
溶解し、2Mの塩酸でpHを1.0に調整し、90℃で
15分間加熱し、のち冷却して、5%の濃度の液状の抗
菌性LF分解物約300gを得た。
【0088】得られた抗菌性LF分解物の分解度は7%
であった(試験例1と同一の方法で測定)。
【0089】[実施例4]カルボキシメチル基のイオン
交換基を有するセパビーズFP−CM13(商標、三菱
化成社製)500mlを、内径10cmのカラムに充填
し、10%食塩水2lを通液し、のち水洗し、Na型の
イオン交換体を調製した。次いで、山羊から得たチーズ
ホエー(pH6.5)60lを4℃の温度及び4l/時
の流速で上記カラムに通液した。のちカラムを水洗し、
該チーズホエーの非吸着成分を除去し、10%の食塩水
5lを5l/時の流速で通液し、イオン交換体に吸着し
た該チーズホエーの成分を脱離し、溶出液5lを得た。
この溶出液を限外濾過モジュールSEP−1013(商
標、旭化成社製)を用いて濃縮し、水を添加してダイア
フィルトレーションを行って食塩を除去し、1%の山羊
LFを含有する液約200mlを得た。この液に1Mの
塩酸を添加してpHを2.0に調整し、120℃の温度
で20分間加熱し、のち冷却して1%の液状抗菌性LF
分解物約200gを得た。 得られた抗菌性LF分解物
の分解度は10%であった(試験例1と同一の方法によ
り測定)。
【0090】[実施例5]乳等から分離したままの市販
のLF(ベルギーのオレオフィナ社製)1kgを精製水
9kgに溶解し、硫酸第一鉄七水和物10gを添加し、
25℃で12時間反応させ、のち限外濾過モジュールS
EP−1013(商標、旭化成社製)で未反応の鉄を除
去し、0.5規定の塩酸を添加してpHを3.5に調整
し、市販のモルシンF(商標、盛進製薬社製)10g
(42,000単位/1g蛋白質)を添加して均一に混
合し、37℃に180分間保持し、中和し、85℃で1
0分間加熱して酵素を失活させ、のち冷却し、液状の抗
菌性LF分解物約10kgを得た。
【0091】得られた抗菌性LF分解物の分解度は1
3.5%であった(試験例1と同一の方法で測定)。
【0092】[実施例6]乳等から分離したままの市販
のLF(ベルギーのオレオフィナ社製)1kgを精製水
9kgに溶解し、2Mのクエン酸を添加してpHを2.
5に調整し、市販の豚ペプシン(1:10,000。和
光純薬工業社製)30gを添加して均一に混合し、37
℃に180分間保持し、85℃で10分間加熱して酵素
を失活させ、のち冷却し、常法により濃縮し、液状の抗
菌性LF分解約10kgを得た。
【0093】得られた抗菌性LF分解物の分解度は1
1.3%であった(試験例1と同一の方法で測定)。
【0094】[実施例7]脱脂山羊乳50lに、0.0
03Mの塩化第2鉄を含む0.1Mのクエン酸ナトリウ
ム溶液5lを添加し、均一に混合した。次いで、CM−
セファデックスC−50(H+型。ファルマシア社製)
約5lを加えて約1時間撹拌した。撹拌後、樹脂を十分
に洗浄して未吸着の山羊乳成分を除去したのち、0.0
5Mトリスー塩酸緩衝液(pH8.0)に懸濁し、カラ
ム(20×50cm)に充填し、同一の緩衝液で樹脂を
充分に洗浄した。次に0.05Mトリスー塩酸緩衝液
中、0〜2M塩化ナトリウムを含むグラジェントで溶出
させて、LF画分約800mlを得た。このLF画分を
限外濾過膜PM−10(商標、アミコン社製)を用いて
約150mlに濃縮し、0.5M塩化ナトリウムを含む
0.05Mトリスー酢酸緩衝液(pH8.2)で透析し
た。この透析液を同一の緩衝液で平衡化した銅キレーテ
ィング・セファロース6B(商標、ファルマシア社製)
カラム(10×30cm)に通液し、LFを吸着させ
た。このカラムを同じ緩衝液で洗浄し、0.5M塩化ナ
トリウムを含むpH4.0の酢酸緩衝液を通液してLF
を溶出し、のち純水にたいして透析し、凍結乾燥して約
2gの粉末状LFを得た。
【0095】この粉末状LF2gを精製水17gに溶解
し、1M乳酸を添加してpHを3.5に調整し、市販の
スミチームAP(商標、新日本化学工業社製)60mg
(50,000単位/1g蛋白質)を添加して均一に混
合し、50℃で180分間分解し、中和し、85℃で1
0分間加熱して、酵素を失活させ、冷却し、のち常法に
より濃縮し、凍結乾燥して粉末状の抗菌性LF分解物約
2gを得た。
【0096】得られた抗菌性LF分解物の分解度は1
3.8%であった(試験例1と同様の方法により測
定)。
【0097】次に試験例を示して本発明のLF分解物を
有効成分とするチロシナーゼ活性阻害剤の有用性を例証
する。
【0098】[試験例10]この試験は、LFの酸によ
り加水分解物のチロシナーゼ活性阻害効果を調べるため
に行われた。
【0099】(1)試料の調製 市販のLF(オレオフィナ社製)を5%の濃度で精製水
に溶解し、1M塩酸を添加してpHを1,2,3及び4
に調整した4種類の溶液を調製した。各溶液をそれぞれ
60℃から130℃までの温度で5分から60分間加熱
して加水分解を行い、次いで1M苛性ソーダ溶液でpH
を7に調整し、凍結乾燥して、分解率が4〜30%の各
種LF分解物試料を調製した。
【0100】(2)試験方法 1)分解率の測定 LF分解物の分解率(%)は、ホルモール滴定法により
各試料中のホルモール態窒素量を測定し、各試料中の全
窒素量に対する百分率を次式から算出した。
【0101】分解率(%)=100×(A/B) ここでAはホルモール態窒素量、Bは全窒素量を示す。
【0102】2)チロシナーゼ活性阻害効果の測定 a)各種溶液の調製 基質溶液の調製 試薬特級のL−チロシン(和光純薬工業社製)を0.1
Mリン酸緩衝液に0.045%(W/V)の濃度で溶解
した。
【0103】酵素溶液の調製 マッシュルーム由来のチロシナーゼ(シグマ社製。3,
000単位/mg)を、0.1Mリン酸緩衝液(pH
7.0に0.1%(W/V))の濃度で溶解した。
【0104】銅イオン溶液の調製 試薬特級の硫酸銅(和光純薬工業社製)を精製水に1%
(W/V)の濃度で溶解した。
【0105】試料溶液の調製 前記(1)において調製した各試料を表10に示す各濃
度の2倍の濃度で0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)
に溶解した。
【0106】b)酵素反応 予め37℃に加温した基質溶液0.9ml,試料液1.
0ml,銅イオン溶液0.02mlを試験管に採取し、
同温度に加温した酵素溶液0.08mlを添加し(全量
2.0ml),37℃で3分間反応させた。次いで30
%酢酸溶液2mlを添加して反応を停止させ、分光光度
計で波長640nmでの吸光度を測定した(この吸光値
をBとする)。対照として試料溶液の代わりに0.1M
リン酸緩衝液1.0mlを添加したことを除いて上記と
同様に酵素反応させ、上記と同様に吸光度を測定した
(この吸光値をAとする)。尚、試料溶液が白濁してい
る場合は、酵素溶液の代わりに0.1Mリン酸緩衝液
0.08mlを添加して同様に吸光度を測定し(この吸
光値をCとする)、反応液の濁り部分に由来する吸光度
を除去した。測定された各吸光値からチロシナーゼ活性
阻害率(%)を次式により算出した。
【0107】 阻害率(%)=100[1−(B−C)/A] (3)試験結果 この試験の結果は表10に示す通りであった。分解率が
4%の試料1は0.3%の添加で約10%のチロシナー
ゼ活性阻害効果を示した。阻害効果は添加量が増大する
に連れて向上し、1%の添加で約30%、2%の添加で
約50%の阻害率を示した。
【0108】
【表10】 一方、分解率が6〜30%の試料2〜8は、何れも0.
05%の添加ですでに約30%のチロシナーゼ活性阻害
効果を示した。阻害効果は添加量が増大するに連れて向
上し、0.1%の添加で約60%、0.3%の添加で約
80%、0.5%の添加で100%の阻害率を示した。
【0109】尚、アポラクトフェリン、亜鉛、銅、鉄等
の金属をキレートさせた金属ラクトフェリンの酸による
加水分解物でも同様のチロシナーゼ活性阻害効果が得ら
れた。
【0110】[試験例11]この試験は、LFの酵素に
よる加水分解物のチロシナーゼ活性阻害効果を調べるた
めに行われた。
【0111】(1)試料の調製 市販のLF(オレオフィナ社製)を5%の濃度で精製水
に溶解し、1M塩酸又は1M苛性ソーダでpHを酵素の
至適pH付近に調整し、前記市販の豚ペプシン、アマノ
A,又はペプチダーゼを含有する市販の醤油酵素(田辺
製薬社製)を組み合わせ、LF溶液に対して0.1〜6
%添加し、37℃に保持した。10分〜24時間の異な
った時間にわたり反応させた後、pHを7に調整し、8
0℃で10分間加熱して酵素を失活させ、凍結乾燥し、
分解率が6〜50%のLF加水分解物を調製した。
【0112】(2)試験方法 分解率及びチロシナーゼ活性阻害効果の測定は、試験例
10と同一の方法で行った。
【0113】(3)試験結果 酵素によるLF加水分解物のチロシナーゼ活性阻害効果
を表11に示した。
【0114】
【表11】 分解率が6〜40%の試料9〜14は、いずれも0.0
5%の添加量ですでに約30%のチロシナーゼ活性阻害
効果を示した。阻害効果は添加量が増大するに連れて向
上し、0.1%の添加で約60%、0.3%の添加で約
80%、0.5%の添加で100%の阻害率を示した。
【0115】一方、分解率が45〜50%の試料15、
16は0.3%の添加で約10%のチロシナーゼ活性阻
害効果を示した。阻害効果は添加量が増大するに連れて
向上し、1%の添加で約30%、2%の添加で約50%
の阻害率を示した。
【0116】尚、アポラクトフェリン、及び亜鉛、銅、
鉄等の金属をキレートさせた金属ラクトフェリンの酵素
により加水分解物でも同様のチロシナーゼ活性阻害効果
が得られた。
【0117】次に、本発明によるチロシナーゼ活性阻害
剤の実施例を示す。
【0118】[実施例8]市販のLF(オレオフィナ社
製)80gを精製水1000mgに溶解した後、1Mの
塩酸を添加してpHを2に調整した。次いで該溶液を1
15℃の温度で10分間加熱した後、1Mの苛性ソーダ
溶液でpHを7に調整し、凍結乾燥し、試験例10と同
一の方法で測定した分解率が15%のLF加水分解物7
7gを得た。このLF加水分解物50g、グリシン(和
光純薬工業社製)900g及びリゾチーム(和光純薬工
業社製)50gを均一に混合し、食品の鮮度保持用のチ
ロシナーゼ活性阻害剤約1000gを得た。
【0119】得られた食品の鮮度保持用のチロシナーゼ
活性阻害剤を20%の濃度で水に溶解し、チロシナーゼ
活性阻害剤を試験例10と同一の方法で測定した結果、
100%であった。
【0120】[実施例9]市販のLF(オレオフィナ社
製)270gを精製水6300mlに溶解した後、10
%クエン酸水溶液を添加して、そのpHを2.5に調整
し、室温において1時間反応させた。この反応生成物を
限外濾過し、そのケーキを凍結乾燥してアポラクトフェ
リン約260gを得た。このアポラクトフェリン60g
を1000mlに溶解した後、2Mのリン酸溶液を添加
してpHを3に調整した。次いで該溶液を121℃の温
度で25分間加熱し、1Mの苛性ソーダでpHを7に調
整し、凍結乾燥し、試験例10と同一の方法により測定
した分解率が23%のLF加水分解物55gを得た。こ
のLF加水分解物20g,プロピレングリコール(和光
純薬工業社製)400g、オレイルアルコール(和光純
薬工業社製)4g、エタノール(和光純薬工業社製)2
00g及び精製水3376gを均一に混合し、化粧品用
チロシナーゼ加水阻害剤約4000gを得た。
【0121】得られた化粧品用チロシナーゼ活性阻害剤
のチロシナーゼ活性阻害率を試験例10と同一の方法で
測定した結果、見掛けの阻害率は75%であったが、濃
度換算を行った実際の阻害率は100%であった。
【0122】[実施例10]市販のLF(オレオフィナ
社製)100gを1000mlの精製水に溶解し、1M
の塩酸を添加してpHを2に調整した後37℃に保持
し、市販の豚ペプシン(和光純薬工業社製)を5g添加
し60分間反応させた。次いで、80℃で10分間加熱
して酵素を失活させ、凍結乾燥し、試験例10と同一の
方法により測定した分解率が12%のLF加水分解物約
95gを得た。このLF加水分解物を30g,プロピレ
ングリコール(和光純薬工業社製)200g、オレイル
アルコール(和光純薬工業社製)2g、エタノール(和
光純薬工業社製)100g及び精製水1668gを均一
に混合し、化粧品用チロシナーゼ活性阻害剤約2000
gを得た。
【0123】得られた化粧品用チロシナーゼ活性阻害剤
のチロシナーゼ活性阻害率を試験例10と同一の方法で
測定した結果、100%であった。
【0124】[実施例11]市販のLF(オレオフィナ
社製)150gを精製水1000mlに溶解し、1Mの
苛性ソーダを添加してpHを6に調整した後、60℃で
10分間加熱殺菌した。この溶液を50℃に冷却保持
し、市販のトリプシン(ノボ社製)を15g及びペプチ
ダーゼを含有する市販の醤油酵素(田辺製薬社製)30
gを添加し5時間反応させた。次いで、80℃で10分
間加熱して酵素を失活させ、凍結乾燥し、試験例10と
同一の方法で測定した分解率が38%のLF加水分解物
約145gを得た。このLF加水分解物27g、ヒアル
ロン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)1g、グリセリ
ン(和光純薬工業社製)10g及び精製水962gを均
一に混合し、化粧品用チロシナーゼ活性阻害剤約100
0gを得た。
【0125】得られた化粧品用チロシナーゼ活性阻害剤
のチロシナーゼ活性阻害率を試験例10と同一の方法で
測定した結果、100%であった。
【0126】[実施例12]市販のLF(オレオフィナ
社製)90gを精製水2100mlに溶解し、これを
2.6mM硫酸鉄水溶液755mlと室温において24
時間反応させた。この反応生成物を限外濾過し、そのケ
ーキを凍結乾燥してラクトフェリン鉄約78gを得た。
このラクトフェリン鉄40gを、精製水500mlに溶
解し、1Mの塩酸を添加してpHを3に調整した後30
℃に保持し、市販のスミチームAP(新日本化学社製)
を5g添加し、3時間反応させた。次いで、80℃で1
0分間加熱して酵素を失活させ、凍結乾燥し、試験例1
0と同一の方法により測定した分解率が18%のLF加
水分解物約35gを得た。このLF加水分解物を30
g、グリシン(和光純薬工業社製)450g及びリゾチ
ーム(和光純薬工業社製)20gを均一に混合し、食品
の鮮度保持用のチロシナーゼ活性阻害剤約500gを得
た。
【0127】得られた食品の鮮度保持用のチロシナーゼ
活性阻害剤を20%の濃度で水に溶解し、チロシナーゼ
活性阻害率を試験例10と同一の方法で測定した結果、
100%であった。
【0128】
【発明の効果】本発明によって奏せられる効果は、次の
とおりである。
【0129】1)本発明のLF分解物を有効成分とする
抗菌剤,抗菌性組成物,チロシナーゼ活性阻害剤,チロ
シナーゼ活性阻害性組成物は、乳等に由来する天然の抗
菌性物質の分解物であるから、化学的に合成した抗菌性
物質に比して安全である。
【0130】2)本発明のLF分解物を有効成分とする
抗菌剤,抗菌性組成物は、天然のLF(未分解の)より
も顕著に優れた抗菌性を有している。
【0131】3)本発明のLF分解物を有効成分とする
抗菌剤,抗菌性組成物,チロシナーゼ活性阻害剤,チロ
シナーゼ活性阻害性組成物は、液状又は粉末状の何れの
形態でも使用でき用途が広範である。
【0132】4)本発明のLF加水分解物を有効成分と
する抗菌剤,抗菌性組成物,チロシナーゼ活性阻害剤,
チロシナーゼ活性阻害性組成物は、各種製品に添加して
も安定であり、加熱に対しても安定であるので、用途が
広範である。
【0133】5)本発明のLF加水分解物を有効成分と
する抗菌剤,抗菌性組成物,チロシナーゼ活性阻害剤,
チロシナーゼ活性阻害性組成物を人、動物の食品,飼料
等に適用(例えば食品,飼料の洗浄、食品,飼料に添
加,配合,含浸)することにより、それらの品質の維持
(変色,変敗の防止)のみならず、それらを接種した場
合には、上述の抗菌剤に関して述べた効果をも有し、ま
た、人の皮膚に接触する物品(例えば化粧用脱脂綿,ウ
ェットティッシュー等)に適用(混入,含浸)すれば、
それらの物品の衛生状態の維持と、それらを用いた場合
には美白効果が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 37/14 AED 8314−4C 37/64 8314−4C (72)発明者 川瀬 興三 埼玉県浦和市白鍬761−1 (72)発明者 田村 吉隆 神奈川県横浜市港北区富士塚1−4−5 (72)発明者 高瀬 光徳 埼玉県大宮市南中丸138−10 (72)発明者 山内 恒治 神奈川県鎌倉市玉縄4−2−2 ガーデン ハイツ鎌倉玉縄405 (72)発明者 齋藤 仁志 神奈川県川崎市麻生区百合ケ丘2−7−4 森永百合ケ丘社宅301 (72)発明者 阿部 広明 神奈川県横須賀市浦郷町3−43

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 哺乳類のラクトフェリン,哺乳類のア
    ポラクトフェリン,哺乳類の金属飽和ラクトフェリン,
    及びこれらの任意の混合物からなる群より選択されたラ
    クトフェリンを加水分解して得られるラクトフェリン分
    解物を有効成分とする抗菌剤。
  2. 【請求項2】 哺乳類のラクトフェリン,哺乳類のア
    ポラクトフェリン,哺乳類の金属飽和ラクトフェリン,
    及びこれらの任意の混合物からなる群より選択されたラ
    クトフェリンを加水分解して得られるラクトフェリン分
    解物を有効成分として含有する抗菌性組成物。
  3. 【請求項3】 哺乳類のラクトフェリン,哺乳類のア
    ポラクトフェリン,哺乳類の金属飽和ラクトフェリン,
    及びこれらの任意の混合物からなる群より選択されたラ
    クトフェリンを加水分解して得られるラクトフェリン分
    解物を有効成分として含有するチロシナーゼ活性阻害
    剤。
  4. 【請求項4】 ラクトフェリン分解物が少なくとも
    0.05%(重量)の濃度で含有されている請求項4記
    載のチロシナーゼ活性阻害剤。
  5. 【請求項5】 ラクトフェリン分解物の分解率が少な
    くとも6%(重量)である請求項4又は5記載のチロシ
    ナーゼ活性阻害剤。
  6. 【請求項6】 哺乳類のラクトフェリン,哺乳類のア
    ポラクトフェリン,哺乳類の金属飽和ラクトフェリン,
    及びこれらの任意の混合物からなる群より選択されたラ
    クトフェリンを加水分解して得られるラクトフェリン分
    解物を用いて、物品を処理する方法。
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