JPH05320813A - 強度,耐熱性に優れたモリブデン又はモリブデン合金部材 - Google Patents

強度,耐熱性に優れたモリブデン又はモリブデン合金部材

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JPH05320813A
JPH05320813A JP14886392A JP14886392A JPH05320813A JP H05320813 A JPH05320813 A JP H05320813A JP 14886392 A JP14886392 A JP 14886392A JP 14886392 A JP14886392 A JP 14886392A JP H05320813 A JPH05320813 A JP H05320813A
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molybdenum
molybdenum alloy
gas
heat resistance
ingot
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JP14886392A
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Yasushi Umemoto
靖 梅本
Fumiyuki Shimizu
史幸 清水
Toshiaki Kawada
俊秋 川田
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Japan Energy Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた強度や耐熱性(高温強度,耐熱応力
性)を有し、かつ高温・高真空下での使用に際しても不
純物ガス発生が認められない非ガス放出性モリブデン又
はモリブデン合金部材を提供する。 【構成】 モリブデン又はモリブデン合金製の部材(パ
イプ,バ−,ワイヤ等)を、溶製されたモリブデン又は
モリブデン合金の塑性加工材とすると共に、その結晶粒
の長径Lと短径Dとが式「D < L ≦ 10×D」を
満足するか、或いは更に硬さがHv 100以上に調整さ
れるか、又はこれらに加えてガス成分の含有量が合計で
100ppm 以下に規制されて成る如くに構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、強度や耐熱性(高温
強度,耐熱応力性)に優れ、かつ高温・高真空下での使
用に際しても不純物ガス発生が殆ど認められない非ガス
放出性モリブデン又はモリブデン合金部材(パイプ,バ
−等)に関するものである。
【0002】
【従来技術とその課題】モリブデンは比較的古くから工
業的生産がなされてきた高融点金属の1つであり、これ
まで耐熱材料,真空管材料,電気抵抗体等としての貴重
な用途を担ってきた。特に、高温でのモリブデン及びモ
リブデン合金の強度は実用金属材料中でも群を抜いてお
り、1000℃前後で信頼できる唯一の耐熱材料として
航空宇宙機器関連部材等への適用を目指した研究は多
い。
【0003】ところが、モリブデンは融点が2600℃
を超える高い値であることに加えて酸化物の蒸気圧が著
しく低いという物性を有しているため、通常の金属に適
用される手段では所要部材(管,棒等)の生産が困難
で、モリブデン又はモリブデン合金から成る金属部材の
製造には格別な手立てを必要としていた。
【0004】即ち、モリブデン又はモリブデン合金から
成る金属部材の工業的な生産手段としてこれまで採用さ
れてきたのは、「モリブデン又はモリブデン合金のパウ
ダ−を加圧成型した後、 これを焼結してインゴットと
し、 このインゴットに鍛造,圧延等の塑性加工を施して
所望形状に仕上げる」という粉末冶金の手法である。
【0005】しかしながら、このようにして製造された
モリブデン又はモリブデン合金部材に対して、最近、
「高温・高真空下で使用すると、 使用中に該部材から不
純物ガスが放出されて設備性能に悪影響を及ぼす」との
問題が指摘されるようになってきた。これは、パウダ−
原料を焼結して作成した“焼結インゴット”の場合には
どうしても不純物(特にO,N,C,S,H等のガス成
分)の混入が多くなり、これが塑性加工後の製品部材に
まで持ち来たされることに起因したものと考えられる。
しかも、前記方法にて製造されたモリブデン又はモリブ
デン合金部材は熱応力に弱く、また溶融部でガスが発生
しがちであるため溶接性が悪いという問題をも有してい
た。
【0006】一方、これらの問題とは別に、モリブデン
又はモリブデン合金部材を製造する場合には次のような
不都合を余儀無くされていた。つまり、モリブデン又は
モリブデン合金は大気中では非常に活性であり、特に高
温に加熱すると大気中の酸素や窒素等のガス成分と激し
く反応して表面及び表面近傍が汚染されてしまう。そし
て、このようにガス成分に汚染されたモリブデン又はモ
リブデン合金は加工性に乏しく、これらに鍛造等の塑性
加工を施すと低い加工度でも割れ等の欠陥を生じること
が多かったので、十分な加工組織を有したモリブデン又
はモリブデン合金部材を実現するのは極めて困難であっ
た。
【0007】そして、そのためか、従来のモリブデン又
はモリブデン合金部材は、理論上からすると強度や耐熱
性(高温強度,耐熱応力性等)の面で今一つ十分に満足
できるものとは言えなかった。
【0008】このようなことから、本発明が目的とした
のは、より優れた強度や耐熱性を有し、かつ高温・高真
空下での使用に際しても不純物ガス発生が認められない
非ガス放出性モリブデン又はモリブデン合金部材を提供
することであった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく様々な観点に立って鋭意研究を重ねたとこ
ろ、以下に示すような新しい知見を得ることができた。
【0010】a) モリブデン又はモリブデン合金のパイ
プ或いはバ−等を製造するための加工素材として、モリ
ブデン又はモリブデン合金を電子ビ−ム溶解法等により
溶解・鋳造した“鋳造インゴット”を用い、これに不純
物ガス汚染の少ない状態(環境)で塑性加工を施した場
合には、該塑性加工が比較的容易となる上、高温・高真
空下での発生ガス量が非常に少なく、かつ溶接性,成形
性等に優れた部材を得ることが可能となる。特に、加工
素材たる“鋳造インゴット”を造る際に“電子ビ−ムコ
−ルドハ−スリメルト法”を適用すると共に、その後の
処理での不純物ガス汚染の適切な防止策を講じると、材
料中に含有されるガス成分の合計含有量を100ppm 以
下という極めて低い値にまで低減することができ、上述
した諸特性の更なる向上が期待できる。
【0011】b) また、モリブデン又はモリブデン合金
製の鋳造インゴットに鍛造や押出し等の塑性加工を施す
際、該鋳造インゴットに対して、従来は粉末材等の成型
加工に用いられていた“キャニング”を特に適用し、別
材で鋳造インゴットの全面をシ−ルしてから加工を実施
すると、大気中においてもガス成分による汚染の懸念な
く安定した作業を行えるようになると同時に、欠陥(割
れ等)発生が極力抑えられて十分な加工度での加工が可
能となる。
【0012】c) しかも、キャニングしたモリブデン又
はモリブデン合金の鋳造インゴットを鍛造或いは押出し
加工した場合には、得られる加工材(鍛造,押出し材)
は強度や変形能の点で非常に有利な組織状態を有したも
のとなり、この加工材に対しては周知の減径,減肉加工
(スウェ−ジング,押出し,鍛造,溝ロ−ル圧延,ドロ
−イング等)が適用できるため、該減径,減肉加工を施
すことによって更に細径,薄肉の製品を安定して製造す
ることができる。
【0013】d) 更に、上記工程でモリブデン又はモリ
ブデン合金のパイプやバ−等の部材を製造するに際し、
用いる鋳造インゴットの結晶粒径,加工条件(加熱温
度,加工度,中間熱処理条件)等を制御して得られる部
材の“結晶粒形状”や“硬度”が特定の範囲となるよう
に図ると、強度{特に軸方向(結晶長手方向)の材料強
度が著しく高いが、 以降これらをも総称して単に“強
度”と呼ぶ},耐熱性(高温強度,耐熱応力性)に係る
特性は一段と向上し安定化する。
【0014】本発明は、上記知見事項等に基づいて完成
されたものであり、「モリブデン又はモリブデン合金製
部材を、 溶製されたモリブデン又はモリブデン合金の塑
性加工材とすると共に、 その結晶粒の長径Lと短径Dと
が式 D < L ≦ 10×D を満足するか、 或いは更に硬さがHv 100以上に調整
されるか、 又はこれらに加えてガス成分の含有量が合計
で100ppm 以下に規制されて成る如くに構成すること
によって、 優れた強度,耐熱性と非ガス放出性とを付与
せしめた点」に大きな特徴を有するものである。
【0015】ここで、本発明に係るモリブデン又はモリ
ブデン合金(TZMとして知られるMo−Zr−Ti合金等)
製の部材(パイプ,バ−,ワイヤ等)は次の方法によっ
て製造することができる。即ち、モリブデン又はモリブ
デン合金鋳造インゴットを出発材とし、これをシ−ス材
でキャニングしてから鍛造又は押出し加工するか、或い
はこの鍛造又は押出し加工の後、更に減径,減肉加工を
施す方法である。
【0016】そして、使用するモリブデン又はモリブデ
ン合金の鋳造インゴットは、例えば次に示す何れの手段
にても得ることができる。 i) モリブデン又はモリブデン合金のバ−ジン材又はス
クラップ材を圧縮成形するか、或いはこれらの原料をこ
れと同じ材質からなる箱又は管に詰めて溶解電極を形成
し、該電極を電子ビ−ム溶解或いは真空ア−ク溶解して
インゴットとする“電子ビ−ム溶解法”又は“真空ア−
ク溶解法”。 ii) 電子ビ−ム溶解した原料溶湯を一旦水冷式のコ−ル
ドハ−ス内に保持して不純物を真空環境へ逸散させ、こ
れをモ−ルド内へオ−バ−フロ−させて連続的に凝固さ
せつつインゴットとして下方から引き抜く“電子ビ−ム
コ−ルドハ−スリメルト法”。
【0017】このように、粉末冶金法によるのではなく
溶解・鋳造したモリブデン又はモリブデン合金を素材と
した場合には、ガス成分を主とした揮発し易い不純物の
含有量が少ないので、加工性が良好な上に、溶接のため
に部分溶解したときや製品を高温・真空下で使用したと
きでもガスの発生が殆どなく、溶接欠陥や環境の汚染を
生じる恐れが非常に少なくなる。中でも、“電子ビ−ム
コ−ルドハ−スリメルト法”にて得られる不純物含有量
が少ない鋳造インゴットの使用は、諸性能(非ガス放出
性,溶接性,塑性加工性等)がより優れたモリブデン又
はモリブデン合金部材を得る上で極めて好ましいことで
ある。
【0018】特に、“電子ビ−ムコ−ルドハ−スリメル
ト法”により不純物含有量を極力低減し、製品部材のガ
ス成分含有量を合計で100ppm 以下に調整したモリブ
デン又はモリブデン合金部材では、高真空中及び/又は
高温下での使用時におけるガスの放出量が極めて少な
く、その使用雰囲気を実害が出るほどに汚染することが
なくなる。
【0019】出来れば、製品部材中の各ガス成分やその
他の不純物成分は次のレベルにまで低減することが好ま
しく、これは“電子ビ−ムコ−ルドハ−スリメルト法”
の採用によって実現することが可能である。 〔ガス成分〕 O:50ppm 以下, N:50ppm 以下, C:50pp
m 以下, S:10ppm 以下, H:10ppm 以下。 〔その他の不純物成分〕 Nb:0.01wt%以下, Ta:0.01wt%以下, W:0.05wt
%以下, Fe:0.01wt%以下, Al:0.01wt%以下, Ni:0.01wt
%以下。
【0020】モリブデン又はモリブデン合金鋳造インゴ
ットのキャニングは、加熱・加工中の表面汚染による割
れ等の欠陥を防止し、かつ静水圧効果による3軸圧縮加
工を可能にして変形能が改善された組織を実現するため
に行われる。そして、この加工に有利な組織を有したモ
リブデン又はモリブデン合金では、従来の減径加工や減
肉加工を容易に行うことができる。
【0021】なお、従来より粉末材等の成型加工に用い
られてきたキャニングを、特にモリブデン又はモリブデ
ン合金鋳造インゴットに適用して加工した場合の主な作
用効果をまとめると、次のようになる。
【0022】(A) 大気中においてもガス成分による汚染
の懸念なく成形加工を行えるようになる。 (B) 比較的強度が高くて厚肉のキャニング材を用いる
と、1軸方向の圧縮荷重のみではなく3軸方向の圧縮荷
重を被加工材(鋳造インゴット)に負荷できる静水圧効
果も加わって、加工(鍛造等)時における欠陥(割れ
等)発生が効果的に抑えられる(モリブデン又はモリブ
デン合金のような難加工性材料に対して前記の如き静水
圧効果は特に有効である)。
【0023】(C) 更に、高温に加熱した被加工材をハン
マ−又はプレス等の如き鍛造装置で加工する場合には、
冷えた金敷等の工具で支持して圧縮荷重を被加工材に負
荷するため被加工材の熱が工具に奪われ、被加工材の表
面温度が低下して欠陥発生の原因となるが、キャニング
を施しておくことでこのような温度低下も効果的に防止
され健全な加工を行うことが可能になる。なお、高温加
工中の温度低下を防止し、一定温度でしかも歪速度(加
工速度)を低く保ちつつ加工を行う方法として“恒温鍛
造法”が知られているが、この恒温鍛造法ではやはり高
価な装置を必要とする上、品質面からは好ましい加工法
ではあるが歪速度を低く保たなければならないことから
生産能率面で実際的な方法とは言えない。
【0024】(D) つまり、上述した 「ガス成分の汚染防
止」, 「静水圧効果による3軸圧縮」及び 「表面温度の低
下防止」 の3つの効果を醸し出す“キャニング法”の採
用により、モリブデン又はモリブデン合金鋳造インゴッ
トを工業的に極めて有利な手段で棒材,線材,管材等へ
容易に成形加工することが可能になる。
【0025】キャニングは、例えば図1で示すように、
円柱状の被加工材たるモリブデン又はモリブデン合金イ
ンゴット1を被覆するため、市販の耐熱鋼(SUS31
6,SUS310等)製のチュ−ブを適当な長さに切断
したシ−ス2とその両端面を被覆する2枚の円板3(シ
−スと同材質が好ましい)とを用いて行えば良い。な
お、円筒状のシ−ス2と円板3とはTIG等の適当な溶
接方法で接合・密封される。図1における符号4は、こ
の溶接部を示す。
【0026】シ−ス2内径とモリブデン又はモリブデン
合金インゴット1との隙間(クリアランス)は小さいほ
ど良いが、このクリアランスが大きい場合でも残留する
ガス成分を除去するための脱気処理を行う必要はない。
ただ、クリアランスの容積が5%を超えると、モリブデ
ン又はモリブデン合金インゴット1の表面と接触するガ
ス成分量が多くなる結果となり、そのため加熱・加工が
終了した後に余分な皮剥きを必要とするので加工歩留が
低下することになる。
【0027】キャニング後の被加工材においてシ−ス材
が占める断面積は全体の10〜40%が適切であり、材
質に応じてこの範囲でシ−スの肉厚を調整するのが良
い。即ち、シ−ス断面積が10%未満であると、前述し
たキャニングの3つの効果のうち「静水圧効果による3
軸圧縮」及び「表面温度の低下防止」が十分でなく、一
方、シ−ス断面積が40%を超えると溶接等による接合
が困難となる上、キャニング材質によっては材料代が嵩
むことになる。
【0028】なお、シ−スの寸法及び材質は鍛造,押出
し前の加熱温度やインゴットの材質により決定される
が、静水圧効果をより期待する場合には肉厚は厚い方が
良く、材質は被加工材であるモリブデン又はモリブデン
合金インゴットの変形抵抗に近い特性を持つものが望ま
しい。一般的には、先に例示した市販の316ステンレ
ス鋼や310ステンレス鋼といった耐熱鋼がキャニング
材として望ましいが、より安価な炭素鋼でも厚肉とする
ことでキャニング材として用いることができる。
【0029】以上のキャニングを行ったモリブデン又は
モリブデン合金鋳造インゴットは、既に述べたように大
気中でも容易に鍛造加工,押出し加工が可能となり、こ
れにより健全な組織及び変形能を持った加工材を容易に
得ることができる。つまり、このような手法によって得
られた加工材(鍛造材,押出し材)は一般の熱間圧延や
冷間圧延加工も可能で、優れた特性(非ガス放出性,高
強度,耐熱性,溶接性,塑性加工性)を持ったより小さ
い寸法のモリブデン又はモリブデン合金パイプ,バ−,
ワイヤ等にまで容易かつ安定に成形加工することができ
る。
【0030】一般の金属材料に適用されてきたパイプ,
バ−,ワイヤの減径加工として、押出し,引抜 き,鍛
造,溝ロ−ル圧延,スウェ−ジング等を挙げることがで
きるが、“キャニングしたモリブデン又はモリブデン合
金鋳造インゴットの鍛造又は押出し材”に対してはこれ
ら何れの減径加工をも適用することができる。
【0031】ただ、加工の容易性の点から、この減径加
工は500〜1200℃に加熱しながら実施するのが望
ましい。なぜなら、加工時の加熱温度が500℃未満で
あると表面に割れを発生することが多くなり、一方、1
200℃を超える温度にまで加熱すると組織が粗大化し
たり、表面汚染が激しくなるためである。
【0032】また、前記鍛造又は押出し時に用いたキャ
ニング材は該鍛造又は押出し加工後に除去してから減径
加工を行っても良いが、除去せずにキャニング材を被覆
したままで減径加工を行うことも可能である。特に、1
000℃以上に加熱して加工する場合にキャニング材被
覆のまま加工を行うことは表面汚染の防止に有効であ
る。更に、キャニング材被覆のままの加工では温度低下
による再加熱の回数が減り、そのため加工のパス回数が
減じることにもつながるので好ましいと言える。
【0033】キャニングしたモリブデン又はモリブデン
合金鋳造インゴットを鍛造又は押出し加工して得られた
パイプ状材料に対しては、押出し,引抜き,鍛造,スウ
ェ−ジング等によるパイプの減肉加工を施すこともで
き、この場合に好ましい加工条件は前記減径加工の場合
と同様である。
【0034】勿論、鍛造や押出しのままでも、従来の粉
末冶金法を採用した部材に比して遙に優れた性能を示す
モリブデン又はモリブデン合金材が得られることは言う
までもない。
【0035】ただ、これらの塑性加工を経て得られたモ
リブデン又はモリブデン合金部材は図2に示すような結
晶粒が伸長した加工組織を有するが、その結晶粒の長径
Lと短径Dとが式 D < L ≦ 10×D を満足することによって強度や耐熱性(高温強度,耐熱
応力性)面の特性がより顕著となる。即ち、「L=D」
であると従来の粉末冶金法を採用した部材に比しの特性
改善が十分に認められず、一方、「L>10×D」となる
と結晶粒の短径方向の引張強度が十分でなくなる。上記
好ましい結晶粒の形状は、鋳造インゴットの結晶粒径,
加工条件(加熱温度,加工度,中間熱処理条件)等を制
御して得られることは既に述べた通りである。
【0036】また、得られるモリブデン又はモリブデン
合金部材の硬さはHv 100以上に調整するのが望まし
い。なぜなら、硬さがHv 100を下回ると高温加熱時
に軟化しやすくなるためである。この硬さ調整も、鋳造
インゴットの結晶粒径,加工条件(加熱温度,加工度,
中間熱処理条件)等の制御により可能である。
【0037】続いて、本発明を実施例により更に具体的
に説明する。
【実施例】
〔実施例1〕まず、電子ビ−ムコ−ルドハ−スリメルト
法を適用した溶解・鋳造により、何れも結晶粒径が10
mm以下の "純モリブデンインゴット" 及び "TZM(Mo
−Zr−Ti合金)インゴット" を製造した。何れのインゴ
ットも直径は120mmであった。
【0038】なお、 "純モリブデンインゴット" 及び
"TZMインゴット" の化学分析値は次の通りであっ
た。純モリブデンインゴット Al:0.0003wt%,Fe: 0.001wt%,Ti:0.01wt%以下,
W:0.02wt%, O:4ppm, N:1ppm以下,C:25ppm ,S:1ppm以
下,H:1ppm以下, Mo: 99.95wt%以上。TZMインゴット Al:0.0004wt%,Fe: 0.002wt%,Ti:0.48wt%以下,
Zr:0.08wt%, W:0.01wt%以下,O:5ppm, N:1ppm以下,C:30
ppm , S:1ppm以下,H:1ppm以下,Mo:bal.。
【0039】次に、これら純モリブデン及びモリブデン
合金インゴットに孔あけ加工を施してから、SUS31
6鋼製のチュ−ブ(肉厚20mm)と厚さ30mmの円板と
を使用して図1の如くにキャニングした後、これを11
50℃に加熱し減面率90%で押出し加工して管材(外
径50mm,内径30mm)を製造した。この試験により、
何れも割れ等の欠陥を発生することなく、安定した押出
し状態で健全な管材を得られることが確認された。
【0040】次いで、得られた上記管材を素材とし、こ
れらを真空中で1000℃に加熱してからスウェ−ジン
グ加工して、外径が35mmで内径が32mmのパイプを製
造した。そして、この場合にも割れ等の欠陥を発生する
ことなく安定した加工状態で健全な製品が得られること
を確認した。
【0041】このようにして製造された各パイプについ
て組織調査を行ったところ、何れも図2で示した結晶粒
の長径Lは平均で200μm,短径Dは平均で30μm
であった。なお、図3は得られた純モリブデンパイプの
軸に垂直断面の組織を示したものであるが、健全で均一
な結晶粒組織となっていることが分かる。また、硬度測
定により純モリブデンパイプはHv 340の硬さを、モ
リブデン合金“TZM”パイプはHv 420の硬さをそ
れぞれ示すことが確認された。
【0042】そして、これらを真空中で種々の温度に加
熱し、その温度に1hr保持した際の硬さの変化を調査し
た。この結果を図4に整理して示す。図4に示される結
果からも明らかなように、本発明材に係る純モリブデン
パイプは1000℃に加熱した場合でもHv 250程度
の高い硬さを保持しており、従来の粉末冶金法を採用し
て製造されたパイプと同等以上の優れた耐熱性を示すこ
とが確認できる。また、本発明材に係るモリブデン合金
“TZM”パイプでは1400℃に加熱した後もHv 3
30前後の硬さを保持しており、より高温においても安
定な強度を示すことが分かる。
【0043】更に、上記本発明に係る純モリブデンパイ
プ及びモリブデン合金“TZM”パイプを高温加熱して
ガス発生状況を調査したところ、従来の粉末冶金法を採
用して製造されたパイプとは異なり、実質的に殆ど環境
汚染が生じないほどにガス発生量の少ないことが確認さ
れた。その上、本発明に係る純モリブデンパイプ及びモ
リブデン合金“TZM”パイプは、従来の粉末冶金法を
採用して製造されたパイプ(結晶粒はL=D)に比して
軸方向(結晶粒の長手方向)の材料強度が著しく高く、
しかも耐熱応力性能にも非常に優れることも分かった。
なお、ここではパイプに関する例のみを示したが、バ−
やワイヤの場合も同様の結果が得られたことは勿論であ
る。
【0044】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、強度,耐熱性,溶接性等が共に優れており、しかも
高温・高真空下での使用に際しても不純物ガス発生が殆
ど認められない非ガス放出性モリブデン又はモリブデン
合金部材をコスト安く提供することができるなど、産業
上極めて有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インゴットのキャニング手法例を説明した概念
図である。
【図2】本発明に係るモリブデン又はモリブデン合金部
材の結晶粒条件に関する説明図である。
【図3】実施例に係る本発明モリブデンパイプにおける
軸に垂直断面の結晶粒状況を示した組織写真図である。
【図4】実施例に係る本発明モリブデン又はモリブデン
合金パイプの加熱温度による硬さ変化を示す線図であ
る。
【符号の説明】
1 モリブデン又はモリブデン合金インゴット 2 シ−ス(円筒状) 3 円板 4 溶接部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶製されたモリブデン又はモリブデン合
    金の塑性加工部材であって、結晶粒の長径Lと短径Dと
    が式 D < L ≦ 10×D を満足していることを特徴とする、強度,耐熱性に優れ
    た非ガス放出性モリブデン又はモリブデン合金部材。
  2. 【請求項2】 硬さがHv 100以上に調整されて成る
    ことを特徴とする、請求項1に記載の強度,耐熱性に優
    れた非ガス放出性モリブデン又はモリブデン合金部材。
  3. 【請求項3】 ガス成分の含有量が合計で100ppm 以
    下に規制されて成ることを特徴とする、請求項1又は2
    に記載の強度,耐熱性に優れた非ガス放出性モリブデン
    又はモリブデン合金部材。
JP14886392A 1992-05-15 1992-05-15 強度,耐熱性に優れたモリブデン又はモリブデン合金部材 Pending JPH05320813A (ja)

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JP14886392A Pending JPH05320813A (ja) 1992-05-15 1992-05-15 強度,耐熱性に優れたモリブデン又はモリブデン合金部材

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JP (1) JPH05320813A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010110652A (ja) * 2002-03-22 2010-05-20 Boston Scientific Ltd モリブデンtzm合金からなる医療用インプラント
JP2019520215A (ja) * 2016-03-03 2019-07-18 エイチ.シー. スターク インコーポレイテッド 付加製造による金属部品の製作

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010110652A (ja) * 2002-03-22 2010-05-20 Boston Scientific Ltd モリブデンtzm合金からなる医療用インプラント
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