JPH0544266B2 - - Google Patents
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- JPH0544266B2 JPH0544266B2 JP1135191A JP13519189A JPH0544266B2 JP H0544266 B2 JPH0544266 B2 JP H0544266B2 JP 1135191 A JP1135191 A JP 1135191A JP 13519189 A JP13519189 A JP 13519189A JP H0544266 B2 JPH0544266 B2 JP H0544266B2
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- Japan
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- yeast
- fermentation
- concentration
- fermenter
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- Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
〔発明の背景〕
<技術分野>
本発明は、複数種の酵母を使用することによつ
て独特の風味を有する酒類を製造する方法、しか
もこれを短期間に製造する方法、に関する。 <従来の技術> 2個の発酵槽に醸造原料液を連続的に通過させ
て酒類を製造する技術として、特開昭61−58573
号、特開昭61−70967号、および特公昭63−66190
号公報のものが紹介されている。しかしながら、
これらのものは、所謂バイオリアクター使用にお
けるダイアセチル類濃度を下げるものであつた
り、原料液を煮沸殺菌やPH調整することなく雑菌
汚染のない連続的醸造を長期的に行わせるもので
あつて、酒の本質である風味ないし香味の改善に
向けられたものではない。 ところで、酒類はそのアルコールによる酔心地
と共にその風味ないし香味をも賞味するものであ
るが、従来の酒類は単一ないし同類の酵母を使用
して醸製されていたところから、風味ないし香味
において限られたものであつた。たとえば、ビー
ルにあつては、我が国では一般に下面発酵酵母が
使用されているところ、その限りでは選択した酵
母に個有の風味ないし香味を持つビールが醸製さ
れるとしても、それは下面発酵酵母が生得的に有
する枠内のものであることはやむをえないところ
である。同様な風味ないし香味上の制約は、上面
発酵ビールの場合にも、ワイン、日本酒、その他
の酒類にも、共通して認められる。 〔発明の概要〕 <要旨> 本発明は従来の酒類に課せられていた風味ない
し香味上の制約を取払つて、独特の風味ないし香
味の酒類を製造することを目的とし、複数種の酵
母を酵母の増殖の有無に関して複数の発酵帯域で
使用することによつてこの目的を達成しようとす
るものである。 すなわち、本発明による酒類の製造法は、醸造
原料液を第一の発酵帯域で実質的に酵母の増殖を
伴わない第一の発酵に付し、次いで第二の発酵帯
域で第一の発酵に用いた酵母の混入を実質的に避
けた状態で実質的に酵母の増殖を伴う第二の発酵
に付すことからなり、第一の発酵を醸造原料液に
対して0.4%以上の濃度の酵母の存在下で実施す
ると共に第二の発酵を醸造原料液に対して0.4%
未満の濃度の酵母の存在下で実施し、第一の発酵
を固定化酵母の存在下で実施すると共に第二の発
酵を非固定化酵母の存在下で実施し、かつ第一の
発酵と第二の発酵の酵母の種類を異ならせて、第
一の発酵で形成された香味を主要な香味とする酒
類を得ること、を特徴とするものである(ただ
し、酵母の濃度は、乾燥酵母菌体重量(g)/醸
造原料液容量(ml)基準によるものとする)。 <効果> 複数種の酵母を本発明の方式で使用することに
よつて、すなわち複式発酵法によつて、新しいあ
るいは独特の、あるいは複雑な、風味ないし香味
の酒類の短期間に醸製することができる。 〔発明の具体的説明〕 <基礎的事項> (1) 複数発酵帯域の配列 本発明による酒類の製造法は、実質的に酵母の
増殖を伴わずかつ高酵母濃度の発酵帯域と実質的
に酵母の増殖を伴いかつ低酵母濃度の発酵帯域と
を、両帯域間に先帯域から後帯域への酵母の混入
を実質的に避けた状態で直列に連結し、一方の発
酵帯域から他方の発酵帯域へ醸造原料液を連続的
ないし間欠的に流して発酵を行なわせることから
なつている。 そして、本発明は、高酵母濃度の発酵帯域、従
つて実質的に酵母の増殖を伴なわない帯域、を先
置させる。 本発明ではこのような複数発酵帯域に複数種の
酵母を振り分けて使用するのであるが、高酵母濃
度発酵帯域で使用した酵母によつて製品酒類の性
格が決まることがふつうである。従つて、製造し
ようとする酒類がビールの範疇に入るものであれ
ば、高酵母濃度発酵(そして、実質的に酵母によ
る増殖を伴わない)をビール酵母によつて行なう
ことになる。 本発明でいう「発酵帯域」は単一の発酵槽(塔
を含む)の使用に限定される訳ではない。従つ
て、複数個の発酵槽を直列または(および)並列
に連結して当該発酵帯域での所定の発酵を実施す
ることができる。また「第一の」あるいは「第二
の」発酵帯域といつても、第一番目のあるいは第
二番目の発酵帯域に限定される訳ではない。従つ
て、何らかの発酵を伴う工程を前置することがで
きる。 (2) 発酵帯域の種類の詳細 二つの発酵帯域は、酵母の増殖を実質的に伴う
か、あるいは酵母の増殖を実質的に伴わないか、
によつて区別されると共に、前者は低酵母濃度で
あるのに対して後者はそれより高酵母濃度である
ということによつて区別される。 「酵母の増殖を実質的に伴う」発酵は、比較的
高温並びに好気条件という条件を採用することに
よつて実現することができる。一方、「酵母の増
殖を実質的に伴わない」発酵は、比較的低温並び
に嫌気条件という条件を採用することができる。 また、酵母濃度の高低は、醸造原料液(ml)に
対する酵母菌体量(乾物換算)(g)で表示する
ものとして、各帯域の酵母濃度を絶対値で示せ
ば、前者(酵母増殖帯域)では0.4%未満であり、
後者(酵母非増殖帯域)では0.4%以上である。
なお、この場合に、第一の発酵帯域からの発酵液
を第二の発酵帯域でも、醸造原料液というものと
する。 低酵母濃度発酵では、遊離なし泥状酵母を使用
し、高酵母濃度発酵は固定化酵母を使用して実施
する。 固定化酵母およびそれを使用しての酒類その他
の発酵産物の製造は既に周知であつて、その詳細
については、文献たとえば「バクオリアクターの
応用技術」シーエムシー出版(1986)を参照して
記載に代えることは許容されるであろう。前記公
開および公告公報の記載を必要に応じて参照する
こともできる。 醸造原料液の酵母による発酵によつて酒類を製
造することも周知である。なお、本発明で「酒
類」というのは、アルコール含有飲料のことであ
つて、酒税法上の酒類を意味するものではない。 <具体的事項> (1)酵母 本発明で使用する各発酵帯域の酵母は一般に醸
造で用いられておりかつ公知である酵母であり、
目的とする酒類が得られるのであれば、いかなる
酵母であつてもよい。酵母の種類の組み合わせ
は、例えば下記の通りである。第一の発酵帯域 第二の発酵帯域 下面発酵ビール酵母 上面発酵ビール酵母 下面発酵ビール酵母 ワイン酵母 下面発酵ビール酵母 清酒酵母 ワイン酵母 清酒酵母 この逆の組み合わせも含め、様々な組み合わせ
がありうる。 (2) 醸造原料液 本発明でいう醸造原料液は、所定の酒類を与え
るものであれば、特に制限はない。例えば、公知
である糖液、果汁、麦芽汁、穀類を原料とした糖
化液であつてもよく、さらに酵母の発酵或いは増
殖に必要な糖や窒素成分を中心とする各栄養成分
を含む天然物、合成物であつてもよい。第二の発
酵帯域の醸造原料液は第一の発酵帯域の発酵液で
あるから、本発明でいう「醸造原料液」は、既に
発酵をある程度経ているものをも包含するもので
あることは前記したところである。 (3) 酵母の増殖を伴う発酵帯域 この酵母の増殖を伴う発酵帯域の目的は、酵母
の増殖により目的とする酒類の窒素成分濃度を所
定濃度にするためであり、そのためであれば、そ
の通気方法、通気量、温度および培養時間は任意
に選定することができ、また発酵方式が回分式、
連続式であるかも任意に選定することが可能であ
る。 (4) 酵母の増殖を伴わない発酵帯域 この酵母の増殖を伴わない発酵帯域を設けたの
は、短期間にその発酵を終了することを目的とし
ており、かつまた得ようとする酒類の香味の主要
な量を形成することも目的である。このため、こ
の当該発酵帯域における酵母濃度は高いことが特
徴である。この高濃度を維持する方法として、本
発明では吸着或いは包括方法等による酵母の固定
化を採用している。また、その発酵方式が回分
式、連続式であるかは任意に選定することが可能
である。 (5) 第一の発酵帯域から得た発酵液を第二の発酵
帯域の発酵に付す際の酵母混入の防止 第一の発酵帯域は酵母の増殖を伴わない発酵帯
域であり、酵母は高濃度である。高酵母濃度の場
合の常法に従つて酵母を固定化すれば、この分離
操作を簡略化ないし省略することも可能である。
従つて、本発明で「第一の発酵に用いた酵母の混
入を実質的に避けた状態で」ということは、第一
の発酵を固定化酵母を使用して行なつて、そこか
らの酵母の流出が実質的にない場合を意味するも
のである。この場合の酵母の分離も、嫌気的に行
なうことが望ましい。 なお、本発明で第一の発酵帯域から第二の発酵
帯域へ酵母が混入するのを避けるのは、その酵母
が第二の発酵帯域で酵母として作用することを避
けるためである。従つて、第一の発酵帯域からの
発酵液は、酵母を分離しなくても、加熱によつて
酵母を死滅させることによつても、この目的を達
成することができる。 <実施例> 実施例 1 糖度11゜Pに調製した麦芽汁を、第一発酵槽に8
℃で毎時300mlで流した。第一発酵槽は、上面発
酵ビール酵母(Saccharomyces cerevisiae
NCYC0240)を湿重量5w/v%になる様に多孔
性セラミツク担体(ビーズ直径3mm、平均細孔直
径20μ)に固定化し、これを容量5000mlの円筒カ
ラムに充填したものを用いた。次いで、第一発酵
槽より出てくる発酵液を、20℃で毎時300mlで第
二発酵槽に流した。第二発酵槽は、温度20℃、撹
拌速度200r.p.m.、通気量10ml/分・リツトル、
容量4000mlで、下面発酵ビール酵母
(Saccharomyces cerevisiae、慣用のビール酵母
(濃度0.2%(%濃度の定義は前述))による連続
発酵を行なつた。 得られた発酵液の風味は、下面発酵ビール酵母
の爽快さを兼ね備えた、上面発酵ビール酵母の豊
醇さを持つ独特の特徴を有していた。なお、第一
発酵槽出口及び第二発酵槽出口の発酵液の組成
は、第1表に示す通りであつた。 第一発酵槽並びに第二発酵槽の両方を共に上面
発酵ビール酵母によつて同様の条件で実施して得
た発酵液を対照区として、盲試験によるトライア
ングルの試飲を行なつた。その結果、30名中26名
が識別し、その内24名が本発明による発酵液の香
味を好んだ。この試飲結果は、0.1%の危険率で
有意差があつた。 実施例 2 糖度11゜Pに調製した麦芽汁を、第一発酵槽に8
℃で毎時300mlで流した。第一発酵槽は、ワイン
酵母(Saccharomyces cerevisiae0c−2、日本
醸造協会より入手)を湿重量5W/V%になる様
に多孔性セラミツク担体(ビーズ直径3mm、平均
細孔直径20μ)に固定化し、これを容量5000mlの
円筒カラムに充填したものを用いた。次いで、第
一発酵槽より出てくる発酵液を、13℃で毎時300
mlで第二発酵槽に流した。第二発酵槽は、温度13
℃、撹拌速度500r.p.m、通気量20ml/分・リツト
ル、容量5000mlで、下面発酵ビール酵母
(Saccharomyces cerevisiae、慣用のビール酵
母)(濃度0.2%(%濃度の定義は前述))による
連続発酵を行なつた。 得られた発酵液の風味は、下面発酵ビール酵母
の爽快さを兼ね備えたワイン酵母特有の香気を持
つ独特を有していた。なお、第一発酵槽出口及び
第二発酵槽出口の発酵液の組成は、第1表に示す
通りであつた。 第一発酵槽並びに第二発酵槽の両方を共に下面
発酵ビール酵母によつて同様の条件で実施して得
た発酵液を対照区として、盲試験によるトライア
ングルの試飲を行なつた。その結果、30名中28名
が識別し、その内25名が本発明による発酵液の香
味を好んだ。この試飲結果は、0.1%の危険率で
有意差があつた。 実施例 3 糖度22゜Pに調製したブドウ果汁を、第一発酵槽
に20℃で毎時300mlで流した。第一発酵槽は、ワ
イン酵母(Saccharomyces cerevisiae0c−2、
日本醸造協会より入手)を湿重量5w/v%にな
る様に多孔性セラミツク担体(ビーズ直径3mm、
平均細孔直径20μ)に固定化し、これを容量5000
mlの円筒カラムに充填したものを用いた。次い
で、第一発酵槽より出てくる発酵液を、20℃で毎
時300mlで第二発酵槽に流した。第二発酵槽は、
温度20℃、撹拌速度200r.p.m.、通気量10ml/
分・リツトル、容量6000mlで、下面発酵ビール酵
母(Saccharomyces cerevisiae、慣用のビール
酵母)(濃度0.22%(%濃度の定義は前述))によ
る連続発酵を行なつた。 得られた発酵液の風味は、下面発酵ビール酵母
の爽快さを兼ね備えたワイン酵母特有の香気を持
つ特徴を有していた。なお、第一発酵槽出口及び
第二発酵槽出口の発酵液の組成は、第1表に示す
通りであつた。 第一発酵槽並びに第二発酵槽の両方を共にワイ
ン酵母によつて同様の条件で実施して得た発酵液
を対照区として、盲試験によるトライアングルの
試飲を行なつた。その結果、30名中29名が識別
し、その内26名が本発明による発酵液の香味を好
んだ。この試飲結果は、0.1%の危険率で有意差
があつた。 実施例 4 糖度22゜Pに調製したブドウ果汁を、第一発酵槽
に20℃で毎時300mlで流した。第一発酵槽は、ワ
イン酵母(Saccharomyces cerevisiae0c−2、
日本醸造協会より入手)を湿重量5w/v%にな
る様に多孔性セラミツク担体(ビーズ直径3mm、
平均細孔直径20μ)に固定化し、これを容量5000
mlの円筒カラムに充填したものを用いた。次い
で、第一発酵槽より出てくる発酵液を、12℃で毎
時300mlで第二発酵槽に流した。第二発酵槽は、
温度12℃、撹拌速度300r.p.m.、通気量10ml/
分・リツトル、容量6400mlで、清酒酵母
(Saccharomyces cerevisiae、協会7号、日本醸
造協会より入手)(濃度0.25%(%濃度の定義は
前述))による連続発酵を行なつた。 得られた発酵液の風味は、清酒酵母の豊醇さを
兼ね備えたワイン酵母特有の香気を持つ特徴を有
していた。なお、第一発酵槽出口及び第二発酵槽
出口の発酵液の組成は、第1表に示す通りであつ
た。 第一発酵槽並びに第二発酵槽の両方を共にワイ
ン酵母によつて同様の条件で実施して得た発酵液
を対照区として、盲試験によるトライアングルの
試飲を行なつた。その結果、30名中25名が識別
し、その内23名が本発明による発酵液の香味を好
んだ。この試飲結果は、0.1%の危険率で有意差
があつた。 【表】
て独特の風味を有する酒類を製造する方法、しか
もこれを短期間に製造する方法、に関する。 <従来の技術> 2個の発酵槽に醸造原料液を連続的に通過させ
て酒類を製造する技術として、特開昭61−58573
号、特開昭61−70967号、および特公昭63−66190
号公報のものが紹介されている。しかしながら、
これらのものは、所謂バイオリアクター使用にお
けるダイアセチル類濃度を下げるものであつた
り、原料液を煮沸殺菌やPH調整することなく雑菌
汚染のない連続的醸造を長期的に行わせるもので
あつて、酒の本質である風味ないし香味の改善に
向けられたものではない。 ところで、酒類はそのアルコールによる酔心地
と共にその風味ないし香味をも賞味するものであ
るが、従来の酒類は単一ないし同類の酵母を使用
して醸製されていたところから、風味ないし香味
において限られたものであつた。たとえば、ビー
ルにあつては、我が国では一般に下面発酵酵母が
使用されているところ、その限りでは選択した酵
母に個有の風味ないし香味を持つビールが醸製さ
れるとしても、それは下面発酵酵母が生得的に有
する枠内のものであることはやむをえないところ
である。同様な風味ないし香味上の制約は、上面
発酵ビールの場合にも、ワイン、日本酒、その他
の酒類にも、共通して認められる。 〔発明の概要〕 <要旨> 本発明は従来の酒類に課せられていた風味ない
し香味上の制約を取払つて、独特の風味ないし香
味の酒類を製造することを目的とし、複数種の酵
母を酵母の増殖の有無に関して複数の発酵帯域で
使用することによつてこの目的を達成しようとす
るものである。 すなわち、本発明による酒類の製造法は、醸造
原料液を第一の発酵帯域で実質的に酵母の増殖を
伴わない第一の発酵に付し、次いで第二の発酵帯
域で第一の発酵に用いた酵母の混入を実質的に避
けた状態で実質的に酵母の増殖を伴う第二の発酵
に付すことからなり、第一の発酵を醸造原料液に
対して0.4%以上の濃度の酵母の存在下で実施す
ると共に第二の発酵を醸造原料液に対して0.4%
未満の濃度の酵母の存在下で実施し、第一の発酵
を固定化酵母の存在下で実施すると共に第二の発
酵を非固定化酵母の存在下で実施し、かつ第一の
発酵と第二の発酵の酵母の種類を異ならせて、第
一の発酵で形成された香味を主要な香味とする酒
類を得ること、を特徴とするものである(ただ
し、酵母の濃度は、乾燥酵母菌体重量(g)/醸
造原料液容量(ml)基準によるものとする)。 <効果> 複数種の酵母を本発明の方式で使用することに
よつて、すなわち複式発酵法によつて、新しいあ
るいは独特の、あるいは複雑な、風味ないし香味
の酒類の短期間に醸製することができる。 〔発明の具体的説明〕 <基礎的事項> (1) 複数発酵帯域の配列 本発明による酒類の製造法は、実質的に酵母の
増殖を伴わずかつ高酵母濃度の発酵帯域と実質的
に酵母の増殖を伴いかつ低酵母濃度の発酵帯域と
を、両帯域間に先帯域から後帯域への酵母の混入
を実質的に避けた状態で直列に連結し、一方の発
酵帯域から他方の発酵帯域へ醸造原料液を連続的
ないし間欠的に流して発酵を行なわせることから
なつている。 そして、本発明は、高酵母濃度の発酵帯域、従
つて実質的に酵母の増殖を伴なわない帯域、を先
置させる。 本発明ではこのような複数発酵帯域に複数種の
酵母を振り分けて使用するのであるが、高酵母濃
度発酵帯域で使用した酵母によつて製品酒類の性
格が決まることがふつうである。従つて、製造し
ようとする酒類がビールの範疇に入るものであれ
ば、高酵母濃度発酵(そして、実質的に酵母によ
る増殖を伴わない)をビール酵母によつて行なう
ことになる。 本発明でいう「発酵帯域」は単一の発酵槽(塔
を含む)の使用に限定される訳ではない。従つ
て、複数個の発酵槽を直列または(および)並列
に連結して当該発酵帯域での所定の発酵を実施す
ることができる。また「第一の」あるいは「第二
の」発酵帯域といつても、第一番目のあるいは第
二番目の発酵帯域に限定される訳ではない。従つ
て、何らかの発酵を伴う工程を前置することがで
きる。 (2) 発酵帯域の種類の詳細 二つの発酵帯域は、酵母の増殖を実質的に伴う
か、あるいは酵母の増殖を実質的に伴わないか、
によつて区別されると共に、前者は低酵母濃度で
あるのに対して後者はそれより高酵母濃度である
ということによつて区別される。 「酵母の増殖を実質的に伴う」発酵は、比較的
高温並びに好気条件という条件を採用することに
よつて実現することができる。一方、「酵母の増
殖を実質的に伴わない」発酵は、比較的低温並び
に嫌気条件という条件を採用することができる。 また、酵母濃度の高低は、醸造原料液(ml)に
対する酵母菌体量(乾物換算)(g)で表示する
ものとして、各帯域の酵母濃度を絶対値で示せ
ば、前者(酵母増殖帯域)では0.4%未満であり、
後者(酵母非増殖帯域)では0.4%以上である。
なお、この場合に、第一の発酵帯域からの発酵液
を第二の発酵帯域でも、醸造原料液というものと
する。 低酵母濃度発酵では、遊離なし泥状酵母を使用
し、高酵母濃度発酵は固定化酵母を使用して実施
する。 固定化酵母およびそれを使用しての酒類その他
の発酵産物の製造は既に周知であつて、その詳細
については、文献たとえば「バクオリアクターの
応用技術」シーエムシー出版(1986)を参照して
記載に代えることは許容されるであろう。前記公
開および公告公報の記載を必要に応じて参照する
こともできる。 醸造原料液の酵母による発酵によつて酒類を製
造することも周知である。なお、本発明で「酒
類」というのは、アルコール含有飲料のことであ
つて、酒税法上の酒類を意味するものではない。 <具体的事項> (1)酵母 本発明で使用する各発酵帯域の酵母は一般に醸
造で用いられておりかつ公知である酵母であり、
目的とする酒類が得られるのであれば、いかなる
酵母であつてもよい。酵母の種類の組み合わせ
は、例えば下記の通りである。第一の発酵帯域 第二の発酵帯域 下面発酵ビール酵母 上面発酵ビール酵母 下面発酵ビール酵母 ワイン酵母 下面発酵ビール酵母 清酒酵母 ワイン酵母 清酒酵母 この逆の組み合わせも含め、様々な組み合わせ
がありうる。 (2) 醸造原料液 本発明でいう醸造原料液は、所定の酒類を与え
るものであれば、特に制限はない。例えば、公知
である糖液、果汁、麦芽汁、穀類を原料とした糖
化液であつてもよく、さらに酵母の発酵或いは増
殖に必要な糖や窒素成分を中心とする各栄養成分
を含む天然物、合成物であつてもよい。第二の発
酵帯域の醸造原料液は第一の発酵帯域の発酵液で
あるから、本発明でいう「醸造原料液」は、既に
発酵をある程度経ているものをも包含するもので
あることは前記したところである。 (3) 酵母の増殖を伴う発酵帯域 この酵母の増殖を伴う発酵帯域の目的は、酵母
の増殖により目的とする酒類の窒素成分濃度を所
定濃度にするためであり、そのためであれば、そ
の通気方法、通気量、温度および培養時間は任意
に選定することができ、また発酵方式が回分式、
連続式であるかも任意に選定することが可能であ
る。 (4) 酵母の増殖を伴わない発酵帯域 この酵母の増殖を伴わない発酵帯域を設けたの
は、短期間にその発酵を終了することを目的とし
ており、かつまた得ようとする酒類の香味の主要
な量を形成することも目的である。このため、こ
の当該発酵帯域における酵母濃度は高いことが特
徴である。この高濃度を維持する方法として、本
発明では吸着或いは包括方法等による酵母の固定
化を採用している。また、その発酵方式が回分
式、連続式であるかは任意に選定することが可能
である。 (5) 第一の発酵帯域から得た発酵液を第二の発酵
帯域の発酵に付す際の酵母混入の防止 第一の発酵帯域は酵母の増殖を伴わない発酵帯
域であり、酵母は高濃度である。高酵母濃度の場
合の常法に従つて酵母を固定化すれば、この分離
操作を簡略化ないし省略することも可能である。
従つて、本発明で「第一の発酵に用いた酵母の混
入を実質的に避けた状態で」ということは、第一
の発酵を固定化酵母を使用して行なつて、そこか
らの酵母の流出が実質的にない場合を意味するも
のである。この場合の酵母の分離も、嫌気的に行
なうことが望ましい。 なお、本発明で第一の発酵帯域から第二の発酵
帯域へ酵母が混入するのを避けるのは、その酵母
が第二の発酵帯域で酵母として作用することを避
けるためである。従つて、第一の発酵帯域からの
発酵液は、酵母を分離しなくても、加熱によつて
酵母を死滅させることによつても、この目的を達
成することができる。 <実施例> 実施例 1 糖度11゜Pに調製した麦芽汁を、第一発酵槽に8
℃で毎時300mlで流した。第一発酵槽は、上面発
酵ビール酵母(Saccharomyces cerevisiae
NCYC0240)を湿重量5w/v%になる様に多孔
性セラミツク担体(ビーズ直径3mm、平均細孔直
径20μ)に固定化し、これを容量5000mlの円筒カ
ラムに充填したものを用いた。次いで、第一発酵
槽より出てくる発酵液を、20℃で毎時300mlで第
二発酵槽に流した。第二発酵槽は、温度20℃、撹
拌速度200r.p.m.、通気量10ml/分・リツトル、
容量4000mlで、下面発酵ビール酵母
(Saccharomyces cerevisiae、慣用のビール酵母
(濃度0.2%(%濃度の定義は前述))による連続
発酵を行なつた。 得られた発酵液の風味は、下面発酵ビール酵母
の爽快さを兼ね備えた、上面発酵ビール酵母の豊
醇さを持つ独特の特徴を有していた。なお、第一
発酵槽出口及び第二発酵槽出口の発酵液の組成
は、第1表に示す通りであつた。 第一発酵槽並びに第二発酵槽の両方を共に上面
発酵ビール酵母によつて同様の条件で実施して得
た発酵液を対照区として、盲試験によるトライア
ングルの試飲を行なつた。その結果、30名中26名
が識別し、その内24名が本発明による発酵液の香
味を好んだ。この試飲結果は、0.1%の危険率で
有意差があつた。 実施例 2 糖度11゜Pに調製した麦芽汁を、第一発酵槽に8
℃で毎時300mlで流した。第一発酵槽は、ワイン
酵母(Saccharomyces cerevisiae0c−2、日本
醸造協会より入手)を湿重量5W/V%になる様
に多孔性セラミツク担体(ビーズ直径3mm、平均
細孔直径20μ)に固定化し、これを容量5000mlの
円筒カラムに充填したものを用いた。次いで、第
一発酵槽より出てくる発酵液を、13℃で毎時300
mlで第二発酵槽に流した。第二発酵槽は、温度13
℃、撹拌速度500r.p.m、通気量20ml/分・リツト
ル、容量5000mlで、下面発酵ビール酵母
(Saccharomyces cerevisiae、慣用のビール酵
母)(濃度0.2%(%濃度の定義は前述))による
連続発酵を行なつた。 得られた発酵液の風味は、下面発酵ビール酵母
の爽快さを兼ね備えたワイン酵母特有の香気を持
つ独特を有していた。なお、第一発酵槽出口及び
第二発酵槽出口の発酵液の組成は、第1表に示す
通りであつた。 第一発酵槽並びに第二発酵槽の両方を共に下面
発酵ビール酵母によつて同様の条件で実施して得
た発酵液を対照区として、盲試験によるトライア
ングルの試飲を行なつた。その結果、30名中28名
が識別し、その内25名が本発明による発酵液の香
味を好んだ。この試飲結果は、0.1%の危険率で
有意差があつた。 実施例 3 糖度22゜Pに調製したブドウ果汁を、第一発酵槽
に20℃で毎時300mlで流した。第一発酵槽は、ワ
イン酵母(Saccharomyces cerevisiae0c−2、
日本醸造協会より入手)を湿重量5w/v%にな
る様に多孔性セラミツク担体(ビーズ直径3mm、
平均細孔直径20μ)に固定化し、これを容量5000
mlの円筒カラムに充填したものを用いた。次い
で、第一発酵槽より出てくる発酵液を、20℃で毎
時300mlで第二発酵槽に流した。第二発酵槽は、
温度20℃、撹拌速度200r.p.m.、通気量10ml/
分・リツトル、容量6000mlで、下面発酵ビール酵
母(Saccharomyces cerevisiae、慣用のビール
酵母)(濃度0.22%(%濃度の定義は前述))によ
る連続発酵を行なつた。 得られた発酵液の風味は、下面発酵ビール酵母
の爽快さを兼ね備えたワイン酵母特有の香気を持
つ特徴を有していた。なお、第一発酵槽出口及び
第二発酵槽出口の発酵液の組成は、第1表に示す
通りであつた。 第一発酵槽並びに第二発酵槽の両方を共にワイ
ン酵母によつて同様の条件で実施して得た発酵液
を対照区として、盲試験によるトライアングルの
試飲を行なつた。その結果、30名中29名が識別
し、その内26名が本発明による発酵液の香味を好
んだ。この試飲結果は、0.1%の危険率で有意差
があつた。 実施例 4 糖度22゜Pに調製したブドウ果汁を、第一発酵槽
に20℃で毎時300mlで流した。第一発酵槽は、ワ
イン酵母(Saccharomyces cerevisiae0c−2、
日本醸造協会より入手)を湿重量5w/v%にな
る様に多孔性セラミツク担体(ビーズ直径3mm、
平均細孔直径20μ)に固定化し、これを容量5000
mlの円筒カラムに充填したものを用いた。次い
で、第一発酵槽より出てくる発酵液を、12℃で毎
時300mlで第二発酵槽に流した。第二発酵槽は、
温度12℃、撹拌速度300r.p.m.、通気量10ml/
分・リツトル、容量6400mlで、清酒酵母
(Saccharomyces cerevisiae、協会7号、日本醸
造協会より入手)(濃度0.25%(%濃度の定義は
前述))による連続発酵を行なつた。 得られた発酵液の風味は、清酒酵母の豊醇さを
兼ね備えたワイン酵母特有の香気を持つ特徴を有
していた。なお、第一発酵槽出口及び第二発酵槽
出口の発酵液の組成は、第1表に示す通りであつ
た。 第一発酵槽並びに第二発酵槽の両方を共にワイ
ン酵母によつて同様の条件で実施して得た発酵液
を対照区として、盲試験によるトライアングルの
試飲を行なつた。その結果、30名中25名が識別
し、その内23名が本発明による発酵液の香味を好
んだ。この試飲結果は、0.1%の危険率で有意差
があつた。 【表】
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 醸造原料液を第一の発酵帯域で実質的に酵母
の増殖を伴わない第一の発酵に付し、次いで第二
の発酵帯域で第一の発酵に用いた酵母の混入を実
質的に避けた状態で実質的に酵母の増殖を伴う第
二の発酵に付すことからなり、第一の発酵を醸造
原料液に対して0.4%以上の濃度の酵母の存在下
で実施すると共に第二の発酵を醸造原料液に対し
て0.4%未満の濃度の酵母の存在下で実施し、第
一の発酵を固定化酵母の存在下で実施すると共に
第二の発酵を非固定化酵母の存在下で実施し、か
つ第一の発酵と第二の発酵の酵母の種類を異なら
せて、第一の発酵で形成された香味を主要な香味
とする酒類を得ることを特徴とする、酒類の製造
法(ただし、酵母の濃度は、乾燥酵母菌体重量
(g)/醸造原料液容量(ml)基準によるものと
する)。 2 酵母濃度の高い方の発酵がビール酵母による
発酵であつて、製造される酒類がビールの範疇に
入るものである、請求項1に記載の酒類の製造
法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP1135191A JPH02312580A (ja) | 1989-05-29 | 1989-05-29 | 酒類の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP1135191A JPH02312580A (ja) | 1989-05-29 | 1989-05-29 | 酒類の製造法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH02312580A JPH02312580A (ja) | 1990-12-27 |
| JPH0544266B2 true JPH0544266B2 (ja) | 1993-07-05 |
Family
ID=15145969
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP1135191A Granted JPH02312580A (ja) | 1989-05-29 | 1989-05-29 | 酒類の製造法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH02312580A (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH0813263B2 (ja) * | 1993-06-19 | 1996-02-14 | 立花ワイン株式会社 | ワインの製造法 |
| CN103834517B (zh) * | 2014-03-07 | 2015-12-30 | 燕京啤酒(桂林漓泉)股份有限公司 | 两种不同酵母酿造的不同酒体勾兑生产啤酒的方法及所得的啤酒 |
Family Cites Families (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS60186273A (ja) * | 1984-03-07 | 1985-09-21 | Soken:Kk | 低アルコ−ル濃度清酒の製造法 |
| JPS6170967A (ja) * | 1984-09-14 | 1986-04-11 | Kirin Brewery Co Ltd | 酒類の製造法 |
| JPH0673445B2 (ja) * | 1984-08-31 | 1994-09-21 | 麒麟麦酒株式会社 | 酒類の製造法 |
-
1989
- 1989-05-29 JP JP1135191A patent/JPH02312580A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH02312580A (ja) | 1990-12-27 |
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