JPH0554961A - 電気式溶解炉のための温度制御装置 - Google Patents

電気式溶解炉のための温度制御装置

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JPH0554961A
JPH0554961A JP24059891A JP24059891A JPH0554961A JP H0554961 A JPH0554961 A JP H0554961A JP 24059891 A JP24059891 A JP 24059891A JP 24059891 A JP24059891 A JP 24059891A JP H0554961 A JPH0554961 A JP H0554961A
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稔 魚住
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勝仁 山田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶解炉の電力制御を溶湯表面のノロ発生量を
勘案して行うことにより、溶湯の温度制御精度を向上さ
せる。 【構成】 溶湯の目標温度,溶湯重量,溶湯の初期の実
測温度等の熱的パラメータから、溶湯表面にノロが全く
発生しないと仮定した場合に電源50から溶解炉10に
供給することが適当な主電力量Pを算出し、カメラ40
による溶湯表面の撮像結果から溶湯表面に発生したノロ
の量を推定し、その推定ノロ発生量とそれの一定時間Δ
t当たりの変化分とからファジィ推論により主電力量P
の補正量ΔPを算出する。さらに、それら主電力量Pと
補正量ΔPとの和の量の電力を溶解炉10に供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶解炉内の溶湯の温度
を制御するために、その溶解炉に電力を供給する電源を
制御する温度制御装置に関するものであり、特にそれに
よる温度制御精度を向上させる技術に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】温度制御装置として例えば次のような形
式が既に提案されている。すなわち、(a) 冷材の溶解後
に溶湯温度の実際値を目標値に昇温させるべく、最初に
実測した溶湯温度と溶解炉の溶湯量,溶湯の目標温度等
の熱的パラメータとに基づき、溶湯温度の実際値が目標
値となるように溶解炉への供給電力量を決定する形式
や、(b) 溶湯温度の実際値が目標値となった後に複数回
の出湯が行われる間溶湯温度の実際値を目標値に維持す
べく、溶解炉の溶湯量を逐次取得し、予め実験等によっ
て求めた溶湯量と電力量との間の関係を用いて、溶湯温
度の実際値が目標値となるように溶解炉への供給電力量
を逐次決定する形式などが既に提案されているのであ
る。前者の形式の一例は特開昭56−132790号公
報に、後者の形式の一例は特開昭57−109290号
公報にそれぞれ記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】溶解炉内の溶湯の表面
にはノロ(スラグともいう)が発生する。このノロは溶
湯の熱輻射特性に大きな影響を与え、ノロの発生量が多
いほど溶湯の熱輻射量が減る。しかしながら、従来の温
度制御装置はノロの発生量とは無関係に電源を制御する
ため、この従来の温度制御装置にはそれの温度制御精度
を十分には高めることができないという問題があった。
【0004】また、温度制御を困難にする要因は他にも
存在する。それは、例えば、溶湯の表面から発生する煙
(例えば燃焼ガス)である。溶湯温度を放射温度計を用
いて実測する際には、溶湯の表面と放射温度計との間に
煙が存在すると放射温度計により測定される溶湯温度の
精度が低下し、その結果、溶湯の温度制御精度が低下し
てしまうからである。
【0005】これらの事情に鑑み、請求項1および2の
発明はいずれも、溶湯の表面状態,溶湯の表面から発生
する煙等の、溶湯の状態を考慮して溶解炉への供給電力
量を制御することにより、溶湯温度を十分に高い精度で
制御し得る温度制御装置を提供することを課題として為
されたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】そして、請求項1の発明
の要旨は、溶解炉内の溶湯の温度を制御するために、そ
の溶解炉に電力を供給する電源を制御する温度制御装置
を、少なくとも溶解炉内の溶湯の状態とその溶湯の量と
に基づき、溶湯温度の実際値が目標値となるように溶解
炉への供給電力量を決定する供給電力量決定手段を含む
ものとしたことにある。
【0007】なお、供給電力量決定手段は、溶湯の状態
を人為的に入力する形式とすることも、自動的に入力す
る形式とすることもできる。後者の形式の一例が請求項
2の発明である。
【0008】また、供給電力量決定手段は例えば、(a)
少なくとも溶湯量に基づき、溶湯の表面にノロが全く発
生していない場合に溶湯温度の実際値が目標値となるの
に適当な電力量を主電力量として決定する主電力量決定
手段と、(b) 溶湯の表面状態から溶湯の表面に発生した
ノロの量を逐次推定するノロ発生量推定手段と、(c)そ
の推定ノロ発生量と1サンプリング時間における推定ノ
ロ発生量の変化分とから主電力量の補正量を逐次決定す
る補正量決定手段と、(d) それら主電力量と補正量との
和を最終電力量として逐次決定する最終電力量決定手段
とを含むものとすることができる。
【0009】さらに、供給電力量決定手段は、(a) 溶湯
の表面状態から溶湯の表面に発生したノロの量を逐次推
定するノロ発生量推定手段と、(b)その推定ノロ発生量
と1サンプリング時間における推定ノロ発生量の変化分
とから、溶湯の熱が外部に輻射する性質を表す熱輻射パ
ラメータを逐次推定する熱輻射パラメータ推定手段と、
(c) 少なくともその推定熱輻射パラメータと溶湯量とに
基づき、溶湯温度の実際値が目標値となるのに適当な電
力量を逐次決定する電力量決定手段とを含むものとする
こともできる。
【0010】請求項2の発明の要旨は、溶解炉内の溶湯
の温度を制御するために、その溶解炉に電力を供給する
電源を制御する温度制御装置であって、(a)溶解炉内の
溶湯の表面の状態を取得する表面状態取得手段と、(b)
少なくとも、その表面状態取得手段により取得された表
面状態と溶解炉の溶湯量とに基づき、溶湯温度の実際値
が目標値となるように溶解炉への供給電力量を決定する
供給電力量決定手段とを含むものとしたことにある。
【0011】なお、表面状態取得手段は例えば、溶解炉
内の溶湯の表面を画像として撮影する撮像手段を含むも
のとすることができる。
【0012】
【作用】請求項1および2の発明に係る温度制御装置に
おいてはいずれも、供給電力量決定手段により、溶湯の
状態が考慮されて、電源が溶解炉に供給するのが適当な
電力の量が決定される。
【0013】特に、請求項2の発明に係る温度制御装置
においては、表面状態取得手段により溶湯の表面状態が
自動的に取得され、供給電力量決定手段により、溶湯の
表面状態が考慮されて溶解炉への供給電力量が決定され
る。
【0014】
【発明の効果】このように、請求項1および2の発明に
従えば、溶湯の状態が勘案されて溶解炉への供給電力量
が決定されるから、温度制御精度が向上するという効果
が得られる。
【0015】特に、請求項2の発明に従えば、溶湯の表
面状態が自動的に供給電力量決定手段に入力されるか
ら、作業者がその入力から解放されて省力化が推進され
るとともに溶湯の表面状態の把握が画一化されて溶湯の
温度制御精度が向上するという効果も得られる。溶湯の
表面状態を把握する作業者如何によって同じ表面状態が
異なるものとして供給電力量決定手段に入力されること
が防止されるからである。
【0016】
【実施例】以下、請求項1および2の発明に共通のいく
つかの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】図1において10は溶解炉を示す。溶解炉
10は有底円筒状のるつぼ12を備えている。るつぼ1
2の外周には図示しない加熱コイルが螺旋状に巻かれて
配設されている。この加熱コイルに高周波電流が通電さ
せられることによってるつぼ12内に収容される固体の
金属または溶湯が加熱される。るつぼ12の開口部は開
閉可能な炉蓋22によって塞がれている。
【0018】るつぼ12内の溶湯の温度は、溶湯に浸さ
れる熱電対30と、それを用いて溶湯温度を出力する温
度計32とによって測定される。なお、熱電対30は常
には溶解炉10から離れた特定の位置に退避させられて
いて、必要な場合に作業者の手によって、または自動的
に溶湯内に投入される。
【0019】溶解炉10の上方にはカメラ40が配設さ
れている。カメラ40は、前記炉蓋22に設けられた観
察窓(図示しない)を通して溶解炉10内の溶湯の表面
を撮像するものである。このカメラ40には画像処理装
置42が接続されている。画像処理装置42は、カメラ
40からの画像信号に基づき、溶湯の表面の画像を表す
画像データを作成し、その画像データに基づき、溶湯の
表面に発生したノロの量を推定する。
【0020】具体的には、まず、カメラ40からの画像
信号に基づき、溶湯の表面の、濃度分布または温度分布
を表す分布画像を表す画像データを作成する。次に、そ
の分布画像のうち濃度または温度の各レベルに適合する
部分の面積をレベル毎に算出し、その各レベル毎の分布
面積と次式とを用いてノロ発生率S(%)を算出する。
【0021】 S=〔〔ΣK(Ai )・Ai ・i〕/A0 〕・100 ただし、 i:レベルの番号(0〜1) Ai :レベルiの分布面積 K(Ai ):分布面積Ai の重み係数(0〜1) A0 :溶湯表面の面積
【0022】なお、重み係数K(Ai )は、各レベルi
毎の1つまたは複数の分布画像の、溶湯表面の中心から
の平均的な半径方向距離Xをるつぼ12の半径Dで割り
算したX/Dに応じて、図2のグラフで表すように変化
する。
【0023】なお、カメラ40による溶湯表面の画像か
らノロ発生率Sを取得する手法にはその他の手法を採用
してもよい。例えば、カメラ40による溶湯表面の画像
を単純に、唯一のレベルしきい値で2つの領域に分割
し、一方をノロ発生域、他方のノロ非発生域として、そ
のノロ発生域の面積(ノロ発生域が複数存在する場合に
は面積の合計値)から直ちにノロ発生率Sを取得する手
法を採用してもよいのである。
【0024】図1に示すように、前記加熱コイルにはそ
れに高周波電流を供給する電源50が接続されている。
電源50は外部からの電力信号に応じた量の電力を一定
の高周波で加熱コイルに供給する。
【0025】電源50から加熱コイルに供給される電力
の量はコントローラ52によって制御される。コントロ
ーラ52はCPU60,ROM62,RAM64,バス
66,入力インタフェース70および出力インタフェー
ス72を含むコンピュータを主体として構成されてい
る。入力インタフェース70には前記温度計32と画像
処理装置42とが接続され、さらに、作業者が必要なデ
ータをコンピュータに入力するために操作する入力手段
74も接続されている。一方、出力インタフェース72
には前記電源50が接続されている。
【0026】ROM62には、図3のフローチャートで
表される温度制御プログラムを始め、種々のプログラム
が格納されている。この温度制御プログラムは、温度計
32,画像処理装置42および入力手段72からの信号
またはデータに基づき、溶湯温度の実際値を目標値とす
るのに適当な最終電力量を決定し、その最終電力量が電
源50から溶解炉10の加熱コイルに供給されるように
電源50に電力信号を出力するプログラムである。以
下、これを図3を用いて詳細に説明する。
【0027】まず、ステップS1(以下、単にS1とい
う。他のステップについても同じ)において、溶湯の表
面にノロが全く発生していない場合に溶湯温度の実際値
を目標値とするのに適当な主電力量Pを算出するのに必
要なデータが入力される。それは例えば、後述の、目標
温度,溶湯重量等の熱的パラメータを表すデータであ
る。続いて、S2において、温度計32からそれによる
実測温度が初期温度として取り込まれる。
【0028】その後、S3において、それら初期温度お
よび熱的パラメータに基づいて上記主電力量Pが算出さ
れる。このステップの内容は、今回の温度制御が、冷材
の溶解後に溶湯温度の実際値を目標値に昇温させる昇温
制御であるか、溶湯温度の実際値が目標値となった後に
行われる複数回の出湯の際に溶解炉10内の溶湯温度の
実際値を目標値に維持する出湯制御であるかによって異
なる。
【0029】今回の温度制御が昇温制御である場合に
は、例えば次の第1の手法や第2の手法を用いて主電力
量Pが算出される。
【0030】第1の手法は次式を用いて主電力量Pを算
出するものである。 P=〔θx −θ0 〕・C・W/〔ηl ・ηH 〕 ただし、 θx :目標温度 θ0 :初期温度 C:溶湯比熱 W:溶湯重量 ηl :溶解炉10の電気効率 ηH :溶解炉10の保温電力効率
【0031】なお、電気効率ηl および保温電力効率η
H はいずれも実験的に取得された定数である。
【0032】これに対して、第2の手法は、溶解炉10
内の溶湯の持つ熱量の、一定小時間Δt当たりの変化分
が、(a) 溶解炉10の加熱コイルから溶湯に加えられる
熱量Qp の、一定小時間Δt当たりの変化分dQp と、
(b) 溶解炉10の壁を経て熱通過によって損失する熱量
Qc の、一定小時間Δt当たりの変化分dQc との和に
等しいという事実に基づき、各時刻tにおける溶湯の推
定温度θの変化分dθを算出し、その変化分dθと前回
の推定温度θ′との和を今回の推定温度θとして算出
し、その今回の推定温度θに基づいて主電力量Pを算出
するものである。すなわち、この第2の手法は、初期温
度θ0 と次式とを用いて各時刻tにおける溶湯温度θを
推定して主電力量Pを算出するものなのである。
【0033】 C・W・d(θ−θa )=dQp −dQc ただし、 C:溶湯比熱 W:溶湯重量 θa :時刻tにおける外気温度 θ:時刻tにおける溶湯温度 d(θ−θa ):溶湯温度の、一定小時間Δt当たりの
変化分
【0034】なお、dQp およびdQc はそれぞれ次式
で定義される。 dQp =P0 +ΔP・η dQc =KA・〔θ−θa 〕 ただし、 P0 :初期電力量 ΔP:供給電力量の、一定小時間Δt当たりの変化分 η:溶解炉10の電気効率 KA:溶解炉10の伝熱面に係る熱損失係数(=P0 /
〔θ−θa〕)
【0035】なお、電気効率ηは実験的に取得された定
数である。
【0036】また、この第2の手法と基本的に同じ手法
の説明が本出願人の特願平2−304618号明細書に
詳細に記載されているため、さらに詳細な説明は省略す
る。
【0037】以上、今回の温度制御が昇温制御である場
合について説明したが、出湯制御である場合には、各時
刻tにおける溶湯重量Wを逐次取得する一方、目標温度
θxの下で予め実験,数値解析等によって取得された溶
湯重量Wと主電力量Pとの間の関係(ただし、これは溶
湯の表面にノロが全く発生しないと仮定した場合のもの
である)を用いて、各時刻tにおける主電力量Pを算出
する。溶湯重量Wと主電力量Pとの間の関係の一例を図
4にグラフで表す。
【0038】以上のようにして主電力量Pが算出された
ならば、今回の温度制御が昇温制御であれ出湯制御であ
れ、S4において、画像処理装置42から時刻tにおけ
る推定ノロ発生率Sが読み込まれ、S5において、今回
の推定ノロ発生率Sから前回の推定ノロ発生率Sを差し
引くことによって推定ノロ発生率Sの、一定小時間Δt
当たりの変化分ΔSが算出される。それら推定ノロ発生
率Sと変化分ΔSとの間の関係は例えば図5のグラフで
表される。続いて、S6において、推定ノロ発生率の現
在値Sと変化分ΔSとから主電力量Pの補正量ΔPが算
出される。る。
【0039】その補正量ΔPの算出は例えばファジィ推
論により行われる。以下、そのファジィ推論の一例を説
明する。
【0040】ファジィ推論の一例は、ファジィ関係の合
成則に基づき、連続型のファジィ変数を用いるものであ
る。そして、前件部変数としては推定ノロ発生率Sの現
在値(以下、単にSという)とそれの1サンプリング時
間における変化分ΔS(以下、単にΔSという)とを考
え、後件部変数としては主電力量P(以下、単にPとい
う)の変化分すなわち補正量ΔP(以下、単にΔPとい
う)を主電力量Pで割り算したΔP/Pを考える。すな
わち、この推論形式は速度型なのである。
【0041】S(0〜100)にはZO,SS,MMお
よびLLのファジィラベルが用意されている。ここでZ
OはZero 、SSはSmall、MMはMedium、LLはLar
geを意味する。各ファジィラベルZO,SS,MM,L
Lのメンバーシップ関数は図6の左側に示す三角型であ
る。また、ΔS(−100〜0〜100)にはZO,±
SS,±MMおよび±LLのファジィラベルが用意され
ている。各ファジィラベルZO,±SS,±MM,±L
Lのメンバーシップ関数は同図の中央に示す三角型であ
る。また、ΔP/P(−1〜0)にはZO,SS,MM
およびLLのファジィラベルが用意されている。各ファ
ジィラベルZO,SS,MM,LLのメンバーシップ関
数は同図の右側に示す三角型である。
【0042】したがって、それらに着目して推論ルール
を作成すれば、28個のIF THENルールが作成さ
れる。それらのうち3つを代表的に挙げれば次の通りで
ある。 IF S=ZO AND ΔS=ZO THEN ΔP/P=ZO IF S=SS AND ΔS=MM THEN ΔP/P=MM IF S=LL AND ΔS=SS THEN ΔP/P=LL
【0043】そして、例えば、S=SS AND ΔS
=MMを満たす状況が与えられたならば、上記の推論
ルールが該当することとなって、例えば図7に示す推論
結果ΔP/Pに到達することになる。なお、ΔP/Pは
重心法を用いて決定される。
【0044】以上のようにして補正量ΔPが算出された
ならば、図3のS7において、その補正量ΔPと前記主
電力量Pとの和が最終電力量Pf とされ、それを表す電
力信号が電源50に出力される。これにより、電源50
はその最終電力量Pf の大きさで電力を溶解炉10の加
熱コイルに供給することになる。
【0045】したがって、本実施例においては、ノロ発
生率Sの時間的な推移が例えば図8のグラフで表される
と仮定すれば、今回の温度制御が昇温制御であって、前
記第1の手法が採用される場合には、溶解炉10への供
給電力量の時間的な推移は例えば図9のグラフで表され
るものとして、溶湯温度θの時間的な推移は例えば図1
0のグラフで表されるものとしてそれぞれ取得されるこ
とになる。それら図9および図10における破線のグラ
フは、ノロの発生を考慮せずに供給電力量を決定する従
来装置の場合を参考として表している。図10のグラフ
から明らかなように、ノロの発生とは無関係に、溶湯温
度が目標温度に精度よく制御されている。
【0046】一方、前記第2の手法が採用される場合に
は、供給電力量の時間的な推移は例えば図11のグラフ
で表されるものとして、溶湯温度θの時間的な推移は例
えば図12のグラフで表されるものとしてそれぞれ取得
されることになる。それら図11および図12における
破線のグラフも、ノロ発生を考慮せずに供給電力量を決
定する従来装置の場合を参考として表している。図12
のグラフから明らかなように、本実施例においては、ノ
ロの発生とは無関係に、溶湯温度が目標温度に精度よく
制御されている。
【0047】これに対して、今回の温度制御が出湯制御
である場合には、ノロ発生率Sの時間的な推移が図13
のグラフで表されると仮定し、かつ、溶湯重量Wの時間
的な推移が図14のグラフで表されると仮定すれば、供
給電力量の時間的な推移は例えば図15のグラフで表さ
れるものとして、溶湯温度θの時間的な推移は例えば図
16のグラフで表されるものとしてそれぞれ取得される
ことになる。それら図15および図16における破線の
グラフも、ノロの発生を考慮せずに供給電力量を決定す
る従来装置の場合を参考として表している。図16のグ
ラフから明らかなように、本実施例においては、ノロの
発生とは無関係に、溶湯温度が目標温度に精度よく制御
されている。
【0048】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、カメラ40および画像処理装置42が表面
状態取得手段を構成し、温度計32,入力手段74およ
びコントローラ52が供給電力量決定手段を構成してい
るのである。
【0049】以上詳記した実施例においては、主電力量
についてそれの補正量がノロ発生率Sに基づいて算出さ
れることによって温度制御精度が向上させられていた
が、主電力量を算出するのに用いられる中間的なパラメ
ータについてそれの補正量をノロ発生率Sに基づいて算
出することによって温度制御精度を向上させるようにす
ることができる。
【0050】以下、その実施例を図面に基づいて説明す
るが、出湯制御のための供給電力量を、前記昇温制御に
おける第2の手法と同様の手法を用いて溶湯温度を時々
刻々推定することによって決定する形式の実施例を代表
的に説明する。なお、本実施例は先の実施例と共通する
部分が多いため、その部分については同一の符号を付す
ることによって文章による説明を省略する。
【0051】溶解炉10は図示しないレールに沿って搬
送されるようになっており、そのレールの上方にはそれ
に沿って複数の鋳型が一列に並んで固定的に配置されて
いる。図17にはそれら鋳型の一つを100として示
す。この鋳型100には図示しないキャビティに連通し
た円筒状の湯口102が形成されている。湯口102は
鋳型100から真下に向かって延び出させられており、
溶解炉10がその鋳型100の真下に位置決めされれ
ば、鋳型100が降下させられて湯口102が溶解炉1
0の炉蓋22の投入穴104を経て溶湯内に投入され
る。湯口102が溶湯内に投入されれば、その溶湯が差
圧により湯口102を経てキャビティ内に吸引される出
湯が行われる。この出湯は普通、溶解炉10内の同じ溶
湯に対して複数回連続して行われる。
【0052】一方、コントローラ110は、溶解炉10
内の溶湯の持つ熱量の、一定小時間Δt当たりの変化分
が、(a) 溶解炉10の加熱コイルから溶湯に加えられる
熱量Qp の、一定小時間Δt当たりの変化分dQp と、
(b) 溶解炉10の壁を経て熱通過によって損失する熱量
Qc の、一定小時間Δt当たりの変化分dQc と、(c)
湯口102の溶湯内への投入によって損失する(湯口4
4に奪われる)熱量Qs の、一定小時間Δt当たりの変
化分dQs と、(d) 溶湯の熱が輻射によってるつぼ12
の内壁面に放出されることによって損失する熱量Qv
の、一定小時間Δt当たりの変化分dQv との和に等し
いという事実に基づき、各時刻tにおける溶湯の推定温
度θの変化分dθを算出し、その変化分dθと前回の推
定温度θ′との和を今回の推定温度θとして算出し、そ
の今回の推定温度θに基づいて電力量を算出する。な
お、この第2の手法は前記特願平2−304618号明
細書に詳細に記載されている。すなわち、この手法は、
初期温度θ0 と次式とを用いて各時刻tにおける溶湯温
度θを推定して供給電力量を算出するものなのである。
【0053】 C・W・d(θ−θa )=dQp −dQc −dQs −dQv ただし、 C:溶湯比熱 W:溶湯重量 θ:時刻tにおける溶湯温度θ θa :時刻tにおける外気温度 d(θ−θa ):溶湯温度θの、一定小時間Δt当たり
の変化分
【0054】なお、dQp ,dQc ,dQs およびdQ
vはそれぞれ次式で定義される。 dQp =P0 +ΔP・η dQc =KA・〔θ−θa 〕 dQs =C・W・〔θ0 −θm 〕・〔1−exp (1−t/τ)〕 dQv =B・R・ΔAw ・〔〔θ+273〕4 −〔θw +273〕4 〕
【0055】ただし、 P0 :初期電力量 ΔP:供給電力量の、一定小時間Δt当たりの変化分 η:溶解炉10の電気効率 KA:溶解炉10の伝熱面に係る熱損失係数(=P0 /
〔θ−θa〕) θm :湯口102と溶湯との平均混合温度 B:ステファンボルツマン定数 R:輻射パラメータ ΔAw :各回の出湯によって新たに露出するるつぼ12
の内壁面の面積 θw :るつぼ内壁面の温度
【0056】なお、電気効率ηは実験的に取得された定
数である。
【0057】また、輻射パラメータRは次式で定義され
る。 R=a・ln(π・D2 /ΔAw )+b ただし、 a:定数 b:変数 D:るつぼ12の半径 ΔAw :各回の出湯によってるつぼ12の内壁面の露出
面積が増加する量
【0058】本出願人の研究により、この式においてa
の値はノロの有無によって変化しないのに対し、bの値
はノロの有無によって変化することが確認された。bと
溶湯重量Wとの間の関係の一例を図18にグラフで表
す。そのため、aは予め実験的に取得された定数、bは
変数とされている。そして、この変数bについてはそれ
の初期値b0 が予め実験的に取得されるが、各時刻tに
おける変数bの値は例えば次のようにして取得される。
すなわち、推定ノロ発生率Sの現在値とそれの変化分Δ
Sと溶湯重量Wとからファジィ推論により変数bの変化
分Δbが取得され、変数bの前回値とその変化分Δbと
の和が変数bの今回値として取得されるのである。
【0059】したがって、本実施例においては、ノロ発
生率Sの時間的な推移が例えば図19のグラフで表され
ると仮定し、かつ、溶湯重量Wの時間的な推移が例えば
図20のグラフで表されると仮定すれば、供給電力量の
時間的な推移は例えば図21のグラフで表されるものと
して、溶湯温度θの時間的な推移が例えば図22のグラ
フで表されるものとしてそれぞれ取得されることにな
る。それら図21および図22における破線のグラフ
は、ノロ発生を考慮せずに供給電力量を決定する従来装
置の場合を参考として表している。図22のグラフから
明らかなように、本実施例においては、ノロの発生とは
無関係に、溶湯温度が目標温度に精度よく制御されてい
る。
【0060】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、カメラ40および画像処理装置42が表面
状態取得手段を構成し、温度計32,入力手段74およ
びコントローラ110が供給電力量決定手段を構成して
いるのである。
【0061】なお付言すれば、以上説明した実施例にお
いてはいずれも、ノロ発生率Sの時間的な推移(一連の
温度制御中におけるノロ発生率Sの推移の一般的な傾
向)を正確に把握することができるから、ノロ取り工程
を計画するに当たり、無駄なノロ取りが省略できてノロ
取りの回数が削減でき、さらにノロ取りのタイミングを
比較的自由に決定することが可能となる。
【0062】ノロ発生率Sと溶湯温度θとの間には一定
の関係があり、溶湯温度θが高すぎても低すぎてもノロ
発生率Sが増加する。そのため、上述の実施例のよう
に、ノロ発生率Sを逐次精度よく推定できれば、ノロ発
生率Sに応じてそれが大きくならないように温度制御を
行うことが可能となる。
【0063】また、上述の実施例においてはいずれも、
ノロ発生率Sを比較的短いサンプリング時間が経過する
ごとに取得するようになっていたが、例えば、炉蓋22
に観察窓を設けることなく、炉蓋22が開かれるときに
限ってノロ発生率Sを取得し、それ以後のノロ発生率S
についてはそのときまでに取得されたノロ発生率Sや過
去のデータを用いて統計的に予測するようにしてもよ
い。
【0064】また、上述の実施例においてはいずれも、
ノロ発生率Sが作業者の介入を必要とすることなく自動
的にコントローラ52,110に入力されるようになっ
ていたが、例えば、作業者が勘と経験とを頼りにして取
得したノロ発生率Sを前記入力手段74を介してマニュ
アル方式で入力してもよい。
【0065】以上、請求項1および2の発明に共通のい
くつかの実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、こ
れらの他にも、特許請求の範囲を逸脱することなく、当
業者の知識に基づいて種々の変形,改良を施した態様で
本発明を実施することができるのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1および2の発明に共通の一実施例であ
る温度制御装置の構成を概念的に示す図である。
【図2】上記温度制御装置が用いる重み係数K(Ai )
を説明するためのグラフである。
【図3】上記温度制御装置における電力量算出の様子を
説明するためのフローチャートである。
【図4】上記温度制御装置における溶湯重量と主電力量
との間の関係を説明するためのグラフである。
【図5】ノロ発生率の時間的な推移を説明するためのグ
ラフである。
【図6】上記温度制御装置においてファジィ推論によっ
て主電力量Pの補正量ΔPが取得される様子を説明する
ためのグラフである。
【図7】上記温度制御装置においてファジィ推論によっ
て主電力量Pの補正量ΔPが取得される様子を説明する
ためのグラフである。
【図8】上記温度制御装置において、昇温制御が行われ
る場合のノロ発生率の時間的な推移の一例を示すグラフ
である。
【図9】上記温度制御装置において、図8のノロ発生率
推移の下で、第1の手法を用いて昇温制御が行われる場
合の供給電力量の時間的な推移の一例を示すグラフであ
る。
【図10】上記温度制御装置において、図8のノロ発生
率推移の下で、第1の手法を用いて昇温制御が行われる
場合の溶湯温度の時間的な推移の一例を示すグラフであ
る。
【図11】上記温度制御装置において、図8のノロ発生
率推移の下で、第2の手法を用いて昇温制御が行われる
場合の供給電力量の時間的な推移の一例を示すグラフで
ある。
【図12】上記温度制御装置において、図8のノロ発生
率推移の下で、第2の手法を用いて昇温制御が行われる
場合の溶湯温度の時間的な推移の一例を示すグラフであ
る。
【図13】上記温度制御装置において、出湯制御が行わ
れる場合のノロ発生率の時間的な推移の一例を示すグラ
フである。
【図14】上記温度制御装置において、出湯制御が行わ
れる場合の溶湯重量の時間的な推移の一例を示すグラフ
である。
【図15】上記温度制御装置において、図13のノロ発
生率推移および図14の溶湯重量推移の下で、昇温制御
が行われる場合の供給電力量の時間的な推移の一例を示
すグラフである。
【図16】上記温度制御装置において、図13のノロ発
生率推移および図14の溶湯重量推移の下で、昇温制御
が行われる場合の溶湯温度の時間的な推移の一例を示す
グラフである。
【図17】請求項1および2の発明に共通の別の実施例
である温度制御装置の構成を概念的に示す図である。
【図18】上記温度制御装置が用いる変数bと溶湯重量
との間の関係を説明するためのグラフである。
【図19】上記温度制御装置において、出湯制御が行わ
れる場合のノロ発生率の時間的な推移の一例を示すグラ
フである。
【図20】上記温度制御装置において、出湯制御が行わ
れる場合の溶湯重量の時間的な推移の一例を示すグラフ
である。
【図21】上記温度制御装置において、図19のノロ発
生率推移および図20の溶湯重量推移の下で、出湯制御
が行われる場合の供給電力量の時間的な推移の一例を示
すグラフである。
【図22】上記温度制御装置において、図19のノロ発
生率推移および図20の溶湯重量推移の下で、出湯制御
が行われる場合の溶湯温度の時間的な推移の一例を示す
グラフである。
【符号の説明】 10 溶解炉 30 熱電対 32 温度計 40 カメラ 42 画像処理装置 52,110 コントローラ
フロントページの続き (72)発明者 魚住 稔 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 山田 勝仁 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 大嶋 満寿治 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶解炉内の溶湯の温度を制御するため
    に、その溶解炉に電力を供給する電源を制御する温度制
    御装置であって、 少なくとも前記溶解炉内の溶湯の状態とその溶湯の量と
    に基づき、溶湯温度の実際値が目標値となるように溶解
    炉への供給電力量を決定する供給電力量決定手段を含む
    ことを特徴とする電気式溶解炉のための温度制御装置。
  2. 【請求項2】 溶解炉内の溶湯の温度を制御するため
    に、その溶解炉に電力を供給する電源を制御する温度制
    御装置であって、 前記溶解炉内の溶湯の表面の状態を取得する表面状態取
    得手段と、 少なくとも、その表面状態取得手段により取得された表
    面状態と前記溶解炉の溶湯量とに基づき、溶湯温度の実
    際値が目標値となるように溶解炉への供給電力量を決定
    する供給電力量決定手段とを含むことを特徴とする電気
    式溶解炉のための温度制御装置。
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KR20000012008A (ko) * 1998-07-29 2000-02-25 사우떼라우 쟝 파울 유리용융노의유리배치의용융을제어하기위한장치
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