JPH0557332B2 - - Google Patents

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JPH0557332B2
JPH0557332B2 JP17733585A JP17733585A JPH0557332B2 JP H0557332 B2 JPH0557332 B2 JP H0557332B2 JP 17733585 A JP17733585 A JP 17733585A JP 17733585 A JP17733585 A JP 17733585A JP H0557332 B2 JPH0557332 B2 JP H0557332B2
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Hisao Kawase
Yasushi Tanaka
Tooru Fujita
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明は、表面性状と曲げ加工性に優れた低降
伏比型冷延高張力鋼板の製造法に関する。 〔従来の技術〕 最近の自動車産業などにおいて、自動車の安全
性向上や軽量化を意図して、低降伏比型冷延高張
力鋼板が使用されつつある。この低降伏比型冷延
高張力鋼板は、高強度と共に優れた延性を備えた
高張力鋼板であり、鋼の組織上は、フエライトと
マルテンサイトまたはベイナイトを主とする低温
変態生成物とからなる複合組織を有しており、こ
のため複合組織鋼板とも呼ばれている。 このような低降伏比型冷延高張力鋼板は、鋼板
製造時における焼鈍後の冷却中にオーステナイト
からマルテンサイトへの変態を促進させるために
Mnを必須元素として含有し、その他、必要に応
じてSi,Cr,Mo等を含有するものであり、前述
のような複合組織を得るために、従来においては
冷却後の焼鈍時に主としてフエライト・オーステ
ナイトの2相共存域或いはオーステナイト単相域
に加熱し、その後の冷却速度を適切に制御すると
いう処方が採られていた。 〔発明が解決しようとする問題点〕 既述のようにフエライト・オーステナイトの2
相共存域に加熱してから冷却速度を制御すること
によつて複合組織を得る従来法において、この熱
処理を連続焼鈍炉で実施する場合には、次のよう
な問題があつた。すなわち、この従来法は、冷延
後の素材をフエライトとオーステナイトが共存す
る温度に保持してCやMnなどのオーステナイト
への濃化を積極的に行わせ、これによつて安定度
の高いオーステナイトを得てからその後の冷却中
においてオーステナイトをマルテンサイトやベイ
ナイトに変態させてフエライト相と変態相との複
合組織を得るものであり、合金元素の添加量が比
較的少なくても高強度の材料が得られるという利
点があるが、オーステナイトへのCやMnの濃化
程度が保持時間や温度によつて変化するので、冷
却を開始するさいのオーステナイトの安定度が一
定となり難く、したがつて、通常の空冷タイプの
連続焼鈍装置において取り得る均熱時間(例えば
20〜80秒)の範囲でも、その均熱時間が変化する
と冷却後の強度特性が変化するという問題があつ
た。すなわち、2相共存域に加熱し冷却する処方
では、連続焼鈍炉によるライン速度や均熱温度が
変化すると製品の機械的性質が変動し、目標とす
る機械的性質を安定して精度良く工業的規模で生
産することが難しいという問題があつた。 この問題を解決するためにAc3点以上の温度域
に加熱し、加熱保持中にオーステナイト単相とす
る方法もあるが、この場合には、前述の2相共存
領域の加熱の場合と比べると、オーステナイト量
が多いので、同じ鋼組成であつても、冷却開始時
のオーステナイト中のCやMn濃度は当然のこと
ながら低くなる。したがつて、素材のMnなどの
添加量を多くしないと、オーステナイトの安定度
が悪くなつて冷却中にオーステナイトがベイナイ
トを主体とする変態生成物となり易く、延性が劣
化することになる。しかし、Mn量を増加すると
降伏点は低くなり全伸びで表される延性は向上す
るものの、局部延性が低くなり、とくに、曲げ加
工性が悪くなるという問題が生ずる。 さらに、Siは延性を損なわずに強度を高める安
価な元素なのでこの目的の添加元素として良く用
いられるが、このSiと低降伏比型冷延高張力鋼板
に必須のMnとが共存する鋼では、その表面肌が
悪くなるという問題がある。このため、とくにブ
ライト鋼板のように、表面の光輝度が要求される
用途には適用できないという問題がある。 このようなことから、低降伏比型冷延高張力鋼
板に不可欠なMnと、延性を劣化させずに強度を
上げ得る安価なSiを同時に含有した低降伏比型冷
延高張力鋼板の製造にあたつて、曲げ加工性が良
く且つ表面性状が良好な高張力鋼板を安定した強
度レベルのもとで工業的規模で製造することは従
来においては出来なかつた。 本発明の目的は、このような問題点を解決する
ことにあり、引張り強さ60〜90Kgf/mm2の範囲そ
して降伏比(=0.2%耐力/引張り強さ)が0.65
以下の低降伏比型冷延高張力鋼板であつて且つそ
の表面性状と曲げ加工性が共に優れた低降伏比型
冷延高張力鋼板の工業的製造法を提供することに
ある。 〔問題点を解決する手段〕 本発明の低降伏比型冷延高張力鋼板の製造法
は、重量%で、C:0.06〜0.12%Si:0.3〜0.8%、
Mn:1.8〜2.8%、sol.Al:0.01〜0.08%を 含有し、残部が鉄および不可避的不純物からな
る鋼のスラブを通常の方法により熱間圧延し、そ
のさいのコイルへの巻取にさいして535℃以下の
温度で巻取り、次いで60%以上の圧下率で冷間圧
延し、そして、連続焼鈍炉において、Ac3点+30
℃〜Ac3点+90℃の温度範囲のγ単相域に20〜50
秒保持し、この温度域から400℃までを6〜20
℃/秒の平均冷却速度で冷却するヒートパターン
のもとで連続焼鈍処理を施すことに特徴を有して
おり、この方法によつて即述の問題点が効果的に
解決され、引張り強さが60〜90Kgf/mm2の範囲、
降伏比(=0.2%耐力/引張り強さ)が0.65以下
で且つ表面性状と曲げ加工性に優れた低降伏比型
冷延高張力鋼板が有利に製造できる。 以下に本発明の内容を詳述する。 本発明者らは、前述の問題点の解決を目的とし
て、比較的多量のMnを含有し且つSiを含む鋼を
Ac3点以上のオーステナイト単相域に加熱し、そ
の冷却過程でフエライトとマルテンサイトなどの
低温変態相を生成させることによつて複合組織を
得る処方によつて低降伏比型冷延高張力鋼板を製
造することを主眼に、広範な研究を重ねたが、そ
の中で次の二つの重要な知見を得た。 その一つは、C量を0.06〜0.12%、Si量を0.3〜
0.8%、Mn量を1.8〜2.8%の範囲で含有させた鋼
組成において、熱延巻取温度を低くすると冷延・
焼鈍(γ単相領域加熱)後の曲げ加工性が向上す
ること、より具体的には、熱延巻取温度を低くす
ると曲げ加工性が向上するが巻取温度が535℃で
その効果が飽和すること、つまり、巻取温度を
535℃以下とすれば曲げ加工性の向上が図れるこ
とである。 その二は、前記その一の鋼組成並びに熱延巻取
温度条件のもとで、場合によつては熱延巻取温度
の上限を560℃まで広げて、熱延・酸洗後の冷間
圧延での圧下率を60%以上とすると、焼鈍(γ単
相領域加熱)・調質圧延後の表面肌が良好となる
ことである。 これらの内容は後記の実施例において実証する
が、まず、本発明で採用する各要件(鋼成分並び
に製造条件)について個別に説明を行う。 C含有量:Cは強度を得るのに必要な成分であ
り、0.06%未満では本発明に従う製造条件下では
60Kgf/mm2以上の強度を得ることが困難となる。
一方、0.12%を超えると強度が高くなりすぎると
ともに延性が劣化し、またスポツト溶接性も劣化
する。このような理由からC含有量は0.06〜0.12
%の範囲とする。 Mn含有量:Mnは複合組織を得るために不可
欠な成分であり、Mnが1.8%未満では、本発明の
他の要件である焼鈍時の冷却速度例えば6℃/秒
において焼鈍ままで降伏点伸びを示すと共に、降
伏比が0.70を超えるようになり、低降伏比型の鋼
板が得られない。他方、Mnが増加すると複合組
織は得られ易くなるが、あまり多量すぎると製鋼
作業が困難となり、また強度が高くなりすぎると
共に曲げ加工性の劣化とスポツト溶接性の劣化を
もたらすので、Mn量の上限は2.8%とする。 Si含有量:Siは加熱時においてフエライト中の
固溶Cをオーステナイト中へ排出させる作用を供
する。本発明は、Ac3点以上のオーステナイト単
相域に加熱し、その後の冷却過程でオーステナイ
トの一部をフエライトに変態させ、さらに冷却の
進行によつてオーステナイトをマルテンサイトに
変態させて複合組織を得るという原理で低降伏比
型冷延高張力鋼板を得るものであるから、フエラ
イト中の固溶Cをオーステナイト中へ排出させる
作用をもつSiは、本発明法において、(1)冷却過程
で2相分離したオーステナイトの安定度を増し
て、このオーステナイトから生成するマルテンサ
イトの強度を高める、(2)フエライトを清浄にす
る、という極めて重要な効果を奏する。このよう
なSiの効果はその含有量が0.3%未満では顕著に
は現れない。一方、Si含有量が0.8%を超えると、
冷却鋼板の化成処理性が劣化し、塗装後の耐食性
が悪くなるという別の問題を惹起するようにな
る。このため、本発明においてはSi含有量範囲は
0.3〜0.8%とする。 sol.Al含有量:Alは鋼の脱酸に必要な元素であ
り、sol.Alとして0.01%以上が鋼中に含まれる程
度のAl添加が必要となる。しかしあまりAl添加
量が多くなりすぎても脱酸効果は飽和しかえつて
介在物に起因する表面性状の劣下を招くことにな
るので、sol.Alとして0.08以下とする必要がある。 次に本発明法の製造条件について説明する。 熱延巻取温度: 熱延巻取温度は本発明において重要な要件であ
る。前述の本発明に従う組成の鋼を用いて通常の
スラブ加熱、粗圧延、仕上圧延を行つた後、その
熱延巻取温度を種々変化させてコイルに巻取り、
酸洗によつて脱スケールし、冷延および焼鈍を行
つて得た複合組織冷延鋼板の曲げ加工性を調査し
たところ、巻取温度が低いほど曲げ加工性が良く
なることがわかつた。そして、その曲げ加工性に
及ぼす効果は535℃で飽和し、これを超える温度
で巻取つた場合には曲げ加工性が良くならないこ
とがわかつた。これらの実験を通じて、巻取温度
はこのように曲げ加工性とは相関を有するが、鋼
板の引張強さや全伸びにはあまり影響しないこと
が判明した。巻取温度が低いと曲げ加工性が良好
となる理由は現時点では必ずしも明確ではない
が、巻取温度が低いと熱延鋼板のバンド組織の生
成が軽減されることが関与しているものと推察さ
れる。すなわち、冷延後において、通常はバンド
組織を消去する効果があるとされるオーステナイ
ト単相域への加熱を行う焼鈍を受けた後でも、熱
延巻取温度が高いとこの効果が十分に発揮され
ず、従つて、熱延巻取温度が曲げ加工性に影響を
与えるものと推察される。 また、熱延巻取温度と焼鈍後調質圧延した冷延
鋼板の表面性状との関係を調べたところ、560℃
以下の巻取温度の場合には、冷延鋼板の表面肌が
良好となることが判明した。そして、冷延焼鈍後
にブライトロールで調質圧延した場合の冷延鋼板
の表面肌を判定すると、低温巻取の効果が一層顕
著に発揮されることが認められた。この理由につ
いても必ずしも明確ではないが、おそらく次のよ
うに考えることができるであろう。 SiとMnを含有する鋼では、巻取られた熱延コ
イルの表面に不可避的に存在したスケールによつ
て鋼表面の粒界が選択的に酸化される現象があ
る。この表面粒界酸化の現象は、巻取温度が高く
なれば、スケールが厚く生成しまた巻取後の冷却
中で高温に保持される時間が長くなることなどか
ら、特に顕著に認められるようになる。事実、本
発明に従う鋼成分範囲においてMn量が比較的多
い鋼について観察すると、表面の粒界酸化が認め
られた。したがつて、熱延巻取時の表面粒界酸化
が表面肌に影響を与えるものと考えられる。 ところが、本発明者らの実験によれば、熱延鋼
板表層部に生成した粒界酸化の層が、平均深さで
3.0μ以下であれば、冷延時の圧下率を60%以上と
することにより、冷延鋼板の表面肌の劣化を防ぐ
ことができることが判明した。そして、巻取温度
が560℃以下であれば、熱延鋼板表面の粒界酸化
の深さを3.0μ以下とすることができることが判明
した。 このように、熱延巻取温度は本発明の目的であ
る曲げ加工性並びに表面性状の向上の点から極め
て重要な要件となるが、曲げ加工性の観点からは
巻取温度を535℃以下とし、表面性状の観点から
巻取温度を560℃以下とすることが必要となり、
この両者を満足する範囲として本発明では熱延巻
取温度を535℃以下とする。この巻取温度の下限
については曲げ加工性および表面性状の両者の点
でも特に限定されないが、あまり低くすると熱延
鋼板の強度が高くなつて熱延巻取作業やその後の
冷間圧延が困難となることや、熱間圧延での仕上
がり後の冷却に多大の能力を必要とすることなど
から、巻取温度の下限は450℃程度が望ましい。 冷延圧下率: 冷延時の圧下率が、前述のように熱延板表層の
粒界酸化が原因と推定される冷延鋼板の表面肌の
劣化を防止するために、少なくとも60%が必要で
ある。冷延圧下率が60%以上であれば、連続焼鈍
炉における短時間焼鈍において再結晶するに十分
な歪みが蓄積される。またこの圧下率であれば、
熱延鋼板中の炭化物を破砕・分散させるために必
要な条件を満足する。この理由により、本発明法
では、冷延圧下率を60%以上とすることが必要で
ある。冷延圧下率の上限については特に限定され
ないが、冷延作業性などを考慮すると80%程度が
望ましい。 連続焼鈍時の加熱温度: 本発明のようにオーステナイト単相域加熱によ
つて低降伏比型冷延高張力鋼板を製造する方法で
は、フエライト・オーステナイト2層共存領域加
熱による方法に比べて、合金添加量は比較的多く
必要とするものの、空冷タイプの連続焼鈍装置で
6〜20℃/秒の冷却速度を採り得る場合には、加
熱時間が変化しても機械的性質の変動が少ない。
これは、既に述べたように、オーステナイト単相
域加熱であるから冷却を開始する時のオーステナ
イト中のC,Mn,Siといつた合金元素の濃度が
焼鈍時間や温度によつて変化しないからである。
したがつて、本発明に従うオーステナイト単相域
加熱による低降伏比型冷延高張力鋼板の製造法に
おいては、連続焼鈍の操業条件が変動して加熱時
間が多少変化しても、得られる冷延鋼板の機械的
性質の変化が少ないという利点があり、品質を安
定させることができる。本発明法ではこの加熱温
度をAc3点+30℃〜Ac3点+90℃の範囲とするが、
Ac3点+30℃以上とするのは、フエライトからオ
ーステナイトへの変態を短時間で十分に進行させ
るためと、Ac3点+30℃未満の加熱では延性が十
分に得られず、これによつて強度・延性バランス
(強度×延性の値)が低くなるためである。また
加熱温度の上限をAc3点+90℃とするのは、この
温度を超えると長時間加熱を受けた場合にオース
テナイト粒が粗大化し、そのために、冷却中での
フエライト変態の遅延とフエライト粒の粗大化を
招き、機械的性質とくに延性の低下を招くからで
ある。 連続焼鈍の加熱時間: Ac3点+30℃〜Ac3点+90℃の温度範囲での加
熱時間は、フエライトがオーステナイトに変態し
且つ冷延によつて破砕された炭化物を十分に再固
溶させるために少なくとも10秒は必要であ。しか
し、10秒以上であつても、特に大きな炭化物があ
つたりすると未溶解のまま残存することもありこ
のために焼鈍後の強度が安定しないことも生ずる
ので、20秒以上とするのが望ましい。しかし、加
熱時間が50秒を超えるようになるとオーステナイ
ト粒が若干粗大となる傾向が見られること、およ
び加熱のためのエネルギー消費が増えるなどの好
ましくない影響が現れるので50秒以下とするのが
よい。 連続焼鈍の冷却速度: オーステナイト単相域加熱によつて低降伏比型
冷延高張力鋼板を製造する場合には、この焼鈍温
度からの冷却温度は重要な意味をもつ。これは、
オーステナイトとフエライトとの分離、フエライ
トを分離したオーステナイトからの一部ベイナイ
トを含むことがあるマルテンサイトへの変態、と
いう複合組織の形成過程がすべてこの冷却中に行
われるからである。本発明に従う鋼は比較的高合
金組成であるから、遅い冷却速度でも低降伏比の
鋼が得られる。しかも、本発明で規定する組成範
囲であつてもSiやMnが下限に近い組成の鋼の場
合には、前記の加熱温度から400℃までの平均冷
却速度が6℃/秒未満では、フエライト・パーラ
イトを主体とする金属組織となり、高強度・高延
性で且つ低降伏比が得られなくなる。なお、ここ
で、“400℃までの平均冷却速度”と規定するの
は、400℃より低い温度領域では冷却速度を変化
させても、得られる鋼板の機械的性質がそれほど
変化しないこと、および営業生産ラインでは400
℃以下では過時効帯に入るので冷却速度として規
定することが困難であることなどの理由による。
本発明の場合には、400℃から過冷却されること
なしに、そのまま400℃×180秒の過時効処理を受
けても低降伏比型冷延高張力鋼板としての特徴が
失われないことを確認している。 他方、この400℃までの平均冷却速度が20℃/
秒を超えると、フエライトとオーステナイトに2
相分離する時間が充分に採れず、フエライト量が
少ないまま冷却されてしまう。すなわち、少量の
フエライトと、C,MnやSiの濃化度の小さい
(安定度の低い)多量のオーステナイトのまま冷
却されてしまうことになる。この結果、ベイナイ
トを主体とする変態生成物を多く含む組織となつ
て、強度は得られるものの、延性が悪くなる。ま
た、20℃/秒を超える冷却速度では、冷却速度の
変動による強度変化が大きく現れるという問題も
生ずる。このようなことから、本発明法において
は、加熱温度から400℃までの平均冷却温度を6
〜20℃/秒とする必要がある。 以下に実施例を挙げて本発明の内容をより具体
的に説明する。 〔実施例〕 例 1 本例は鋼成分の影響を示すものである。 第1表に示す化学成分の鋼を20Kg真空溶解炉で
溶製し、鍛造後2.5mm厚さに熱延した。熱延は仕
上温度860〜880℃で行つた。熱延後は急冷された
ために多くの鋼は熱延ままで複合組織となつた。
このため、生産ラインでの熱延巻取を想定して次
のような熱処理を施した。すなわち、900℃×15
分の焼準を行い、その後600℃まで空冷し、600℃
から常温までは20℃/時で炉冷した。 その後、酸洗を行つたうえ0.8mmまで冷延し、
この冷延板を、熱サイクルシユミレータを用いて
連続焼鈍相当熱処理に供した。焼鈍条件は、第1
図に示すヒートサイクルにおいて、加熱温度T=
860℃、加熱時間t=50秒である。 得られた焼鈍材から調質圧延なしでJIS5号試験
片を作成して引張試験を行つた。その結果を第2
表に示した。 第2表におけるTS×Elは強度×延性値である。
一般に強度と延性は相反する特性であり、強度レ
ベルが異なれば延性の良否の判定が難しい。この
ため、本例においては、0.8mmという板厚を考慮
して、TS×Elが1750Kgf/mm2・%以上であれば
高強度且つ高延性であると判断される。 また、降伏比については、この種の低降伏比型
冷延高張力鋼板では焼鈍後の調質圧延によつて降
伏強度が大きくなりやすいことから、調質圧延を
行つていない本例では、降伏比が0.55以下であれ
は低降伏比であると判断される。 第2表の結果から明らかなように、本発明で規
定するC,Si,Mnおよびsol.Alを含む鋼はいず
れも、引張り強さ;60〜90Kgf/mm2、降伏比≦
0.55およびTS×El≧1750Kgf/mm2・%を満足す
るが、C,Si,Mnのいずれか一種または二種以
上が本発明で規定する範囲を外れる鋼では、この
特性値のうちの一つまたは二つ以上を満足し得な
い。
【表】
【表】
【表】 る値を示す。
例 2 本例は連続焼鈍時の加熱温度の影響を示すもの
である。 例1において良好な結果が得られた本発明例の
鋼種H,I,NおよびOの鋼を、例1と同じ条件
で0.8m厚さの冷延鋼板とした。そして、第1図
に示したヒートサイクルに従つて、加熱温度を変
化させた。加熱時間は50秒、400℃までの冷却速
度は7℃/秒の一定とした。 得られた焼鈍板の機械的性質を例1と同様にし
て求めた。その結果を第3表に示す。 第3表の結果から明らかなように、本発明で規
定の加熱温度Ac3点+30℃〜Ac3点+90の範囲の
ものは、この範囲を外れるものよりも、TS×El
の値が大きくなることがわかる。
【表】 例 3 本例は、熱延巻取温度の影響を示すもので、営
業生産規模で行つた実施例である。 第4表に示す化学成分値の鋼を80ton転炉およ
び真空脱ガス処理装置を用いて溶製し、連続鋳造
によつて190×940×9000mmのスラブを7本得た。
このうちの5本のスラブを使用し、第5表に示し
た条件のもとで熱間圧延、デスケール、ゼンジミ
アミルによる冷延、および連続焼鈍装置による連
続焼鈍を実施して冷延高張力鋼板を製造した。 得られた鋼板の機械的性質、表面肌判定結果、
並びに、熱延板と冷延まま材についてそれらの断
面を400倍の光学顕微鏡で観察し表面からの粒界
酸化の深さを測定した結果を、第6表に総括して
示した。 なお、最小曲げ半径比は頂角45°のポンチによ
る突き曲げを行い、曲げ外側表面にクラツクの発
生しない最小のポンチ先端半径を板厚で除した値
である。試験片の板取りは曲げ線が圧延平行方向
となるようにした。この最小曲げ半径比;r/t
≦0.5をもつて、曲げ加工性が良好であると判断
される。 表面肌の判定は、ダル肌の場合には目視で、そ
してブライト肌の場合は日本電色(株)製の光沢度計
VG−2P−D3を用いて、それぞれ行つた。ブラ
イト肌では光沢度250以上をもつて良好と判断さ
れる。 第6表の結果から明らかなように、熱延巻取温
度が本発明で規定する範囲のNo.1〜2の鋼は、良
好な曲げ加工性と良好な表面性状を兼備した降伏
比が0.65以下の低降伏比型冷延高張力鋼板である
ことがわかる。
【表】
【表】
【表】
〔作用 効果〕
本発明によると、MnとSiという比較的安価な
合金元素を用いて曲げ加工性が良く且つ表面性状
が良好な低降伏比型冷延高張力鋼板が得られ、既
述の目的が効果的に達成できる。 本発明によつて得られた低降伏比型冷延高張力
鋼板は表面性状と曲げ加工性が優れるので、その
まま電気亜鉛めつき鋼板、亜鉛系合金電気めつき
鋼板、真空蒸着亜鉛めつき鋼板の原板として使用
することができる。また、ライン内焼鈍型のめつ
き設備においては冷延材をこの連続焼鈍炉に本発
明で規定する焼鈍条件で通板することにより曲げ
加工性のよい低降伏比型冷延高張力めつき鋼板を
製造することもできる。
【図面の簡単な説明】
第1図は連続焼鈍をシミユレートするためのヒ
ートサイクルの例を示したものである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 重量%で、C:0.06〜0.12%、Si:0.3〜0.8
    %、Mn:1.8〜2.8%、sol.Al:0.01〜0.08%を 含有し、残部が鉄および不可避的不純物からな
    る鋼のスラブを通常の方法により熱間圧延し、そ
    のさいのコイルへの巻取にさいして535℃以下の
    温度で巻取り、次いで60%以上の圧下率で冷間圧
    延し、そして、連続焼鈍炉において、Ac3点+30
    ℃〜Ac3点+90℃の温度範囲のγ単相域に20〜50
    秒間保持し、この温度域から400℃までを6〜20
    ℃/秒の平均冷却速度で冷却するヒートパターン
    のもとで連続焼鈍処理を施すことからなる、引張
    り強さが60〜90Kgf/mm2の範囲そして降伏比(=
    0.2%耐力/引張り強さ)が0.65以下である表面
    性状と曲げ加工性に優れた低降伏比型冷延高張力
    鋼板の製造法。
JP17733585A 1985-08-12 1985-08-12 表面性状と曲げ加工性に優れた低降伏比型冷延高張力鋼板の製造法 Granted JPS6237322A (ja)

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