JPH057372B2 - - Google Patents

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JPH057372B2
JPH057372B2 JP60168309A JP16830985A JPH057372B2 JP H057372 B2 JPH057372 B2 JP H057372B2 JP 60168309 A JP60168309 A JP 60168309A JP 16830985 A JP16830985 A JP 16830985A JP H057372 B2 JPH057372 B2 JP H057372B2
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licorice
quality deterioration
organic solvent
extract
food quality
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JP60168309A
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Toshuki Maeda
Ryoichi Tsukyama
Yutaka Komoda
Etsuro Miura
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Higashimaru Shoyu Co Ltd
Original Assignee
Higashimaru Shoyu Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野 本発明は、チロシナーゼ、酸性プロテアーゼ、
ポリフエノールオキシダーゼ、リポキシダーゼお
よびパーオキシダーゼについてその酵素活性を阻
害してこれらの酵素活性に基づく食品の品質劣化
を防止する食品品質劣化防止剤およびその製造方
法に関する。 更に詳しくは、本発明は、甘草又は甘草からグ
リチルリチンを抽出した後の粕(抽出残渣)を原
料として得られる食品品質劣化防止剤およびその
製造法に関する。 したがつて、本発明は、甘草のみならず、その
抽出残渣をも有効に活用することにより、上記の
各酵素に起因する各種生鮮食品類の褐変、変色防
止、タンパク質成分の過分解抑制、過酸化物の生
合成阻止、およびドーパミンの生合成阻止等に有
効に利用し得る食品品質劣化防止剤を提供するも
のである。 従来の技術背景 剥皮したゴボウ、ジヤガイモのような根菜類、
剥皮したリンゴ、バナナのような果実類、及びキ
ノコ類の経時的な褐変による変色、更には皮膚の
日焼けによる着色は、すべてメラニンの生成に起
因することが知られている。 而して、上記メラニンの生成は、上記根茎類、
果実類、キノコ類、更には、生体内に存在してい
るチロシンやカテコール等のフエノール類に酵素
が反応しこれらのフエノール類が酸化されること
によるものである。 そして、上記反応に関与するのがチロシナーゼ
やポリフエノールオキシダーゼである。 従来、上述したメラニンによる変色や着色を防
止するために、上記チロシナーゼやポリフエノー
ルオキシダーゼの作用を阻止し得る、いわゆる阻
害剤を利用する試みが提案されている。例えば、
根茎類や植物の球根の褐色・変色防止にフイチン
酸およびフイチン酸の金属塩を利用する方法(特
開昭57−174067号公報)ならびに栗、根菜類又は
その可食部をγ−オリザノール含有液に浸漬して
それらの変色を防止する方法(特開昭57−202248
号公報)等が提案されている。 しかし、これらの方法は、阻害剤として利用す
るフイチン酸ならびにγ−オリザノールがいずれ
も比較的高価であるため、広く普及するに至つて
いないのが現状である。 また、一方、システインならびにアスコルビン
酸等の還元性製剤を上記阻害剤として使用するこ
とも従来から行なわれているものの、上記酵素活
性に対する阻害効果の持続性の点で問題がある。 因に、亜硫酸塩類は、チロシナーゼおよびポリ
フエノールオキシダーゼに対し高い阻害効果を有
するが、食品衛生上安全性の点で難点がある。 発明が解決しようとする問題点 本発明者は、上述した状況に鑑み、チロシナー
ゼおよびポリフエノールオキシダーゼの阻害剤を
天然品に求めて検討した結果、甘草(カンゾウ)
中にチロシナーゼおよびポリフエノールオキシダ
ーゼを強く阻害する成分が存在していること、更
に甘草中に存在する成分は上褐の酵素のみなら
ず、酸性プロテアーゼ、リポキシダーゼおよびパ
ーオキシダーゼに対しても強力な阻害能を示すこ
とを見出し、本発明をなすに至つた。 したがつて、本発明は、チロシナーゼおよびポ
リフエノールオキシダーゼに起因する根茎類、果
実類およびキノコ類の褐変・変色の防止のみなら
ず、酸性プロテアーゼ、リポキシダーゼならびに
パーオキシダーゼに起因する種々の食品の品質劣
化の防止に役立つものである。以下本発明を詳し
く説明する。 発明の構成 本発明の特徴は、甘草を有機溶剤(ただし、
炭化水素を除く)で抽出するか、もしくは甘草か
らグリチルリチンを抽出した後の粕(抽出残渣)
を、上記有機溶剤で抽出して得られる抽出画分を
活性成分として含有する食品品質劣化防止剤、お
よび甘草の根茎又は表皮の粉砕物、もしくは甘
草からグリチルリチンを抽出して分離した後の粕
(抽出残渣)を、有機溶剤(ただし、炭化水素を
除く)を用いて抽出し、得られた抽出物を採取す
ることを特徴とする食品品質劣化防止剤の製造方
法に関する。本発明の食品品質劣化防止剤を食品
製造工程中に添加すると、食品中の酵素活性を阻
害することによつて食品の劣化を防止することが
できる。 なお、ここで“酵素”とはチロシナーゼ、ポリ
フエノールオキシダーゼ、酸性プロテアーゼ、リ
ポキシダーゼおよびパーオキシダーゼをいう。 問題点を解決するための手段 本発明において出発原料の一つとして用いる甘
草(カンゾウ)は、マメ科の植物であつて、その
根茎中に含まれているグリチルリチンは甘味性を
呈することから、低カロリーの天然甘味料の製造
原料として利用されている。 また、甘草は古くから生薬としても利用されて
おり、その薬効成分としての上記グリチルリチン
の薬理作用、例えば抗腫瘍作用、抗炎症作用、ホ
ルモン様作用等も報告されている。 また、本発明において別の出発原料として用い
られる甘草からグリチルリチンを抽出して分離し
て後の粕(抽出残渣)は、現在、そのまま自然に
腐らせて腐植土にするか、もしくは乾燥して蚊取
線香の増量材に僅かに用いられているにすぎず、
その多くは利用されることなく廃棄されているも
のである。 因に、上記甘草からのグリチルリチンの製造
は、甘草を細砕しておもに水で抽出し、得られた
抽出物を酸やアルコールを用いて精製することに
より行なわれているものであつて、本発明による
抽出物とは本質的に異なる。 すなわち、本発明では、甘草を有機溶剤を用い
て抽出して得られる抽出画分を活性成分として利
用するものであつて、該抽出画分は、上記のよう
におもに水を用いて抽出して得られるグリチルリ
チンとは本質的に異なるものであり、上記画分に
は勿論グリチルリチンは含まれていない。したが
つて、本発明では、上述のようにして甘草からグ
リチルリチンを抽出、分離した後の粕を出発原料
として有効に用い得るのである。 本発明において甘草からの活性成分の抽出、も
しくは甘草からグリチルリチンを抽出した後の粕
からの活性成分の抽出に用いられる有機溶剤は広
範囲な種類のものを包含し、下記のものを例示し
得る。 アルコール類:エタノール(無水又は含水)、メ
タノール、プロパノール等。 酢酸エステル:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プ
ロピル等。 エーテル類:エチルエーテル、ジプロピルエーテ
ル等。 ケトン類:アセトン、ジエチルケトン、メチルエ
チルケトン等。 塩化炭化水素:クロロホルム、ジクロルメタン
等。 これらの有機溶剤は、1種もしくは2種以上の
混合物として用い得る。これらの有機溶剤は用い
て甘草を出発原料として抽出を行なうには、甘草
の根茎をハンマミル等で粉砕したもの、もしくは
甘草の表皮を剥ぎとつて集め、これを粉砕したも
のを有機溶剤で常法により抽出を行なうとよい。
抽出条件は特に制限されないが、通常、常温〜40
℃程度で6〜24時間程度行なうとよい。また、抽
出に際しての有機溶剤の使用量は出発原料に対し
て3〜20倍(重量)程度がよく、経済上からは5
〜8倍(重量)程度が好ましい。なお、抽出効率
を向上させるために、繰返し抽出や向流抽出を行
なつてもよい。 次いで、得られた抽出液を固液分離して固形分
を除去した後、必要に応じ減圧濃縮してペースト
状物質を得る。 また、上記甘草の粉砕物をおもに水で抽出して
グリチルリチンを抽出、分離した後の粕を出発原
料とする場合にも、上記と同様にして抽出を行な
うことができるので、上記抽出残渣の活性上非常
に有益である。 上述のようにして得られる抽出液もしくはそれ
を濃縮したペースト状物は、出発物質の種類(根
茎、表皮又は粕)ならびに有機溶剤の種類により
黄色乃至赤褐色の色調を呈し、その収率も出発物
質に対して4〜8%(重量)となる。 本発明では、上記ペースト状物をそのままで食
品品質劣化防止剤として適し得るが、用途により
有機溶剤の残留が望しくない場合には、上記抽出
液の減圧濃縮において使用した有機溶剤を可及的
に除去する。しかし、有機溶剤を除くと上記ペー
スト状物は固化し易くなつて、それを食品品質劣
化防止剤として適用するとき再溶解に手間を要す
るので、エタノールもしくは含水エタノール等に
溶解して希釈しておくことが好ましい。また、乳
化剤(界面活性剤)を用いて水に分散させて懸濁
液として希釈してもよい。 次に、上記ペースト状物の各種酵素に対する阻
害作用を実験した結果を示す。 実験例 1 試料……甘草根茎の粉砕物を酢酸エチルで抽出
し、固液分離液、減圧濃縮して得られたペース
ト状物の1gを10mlのエタノールに溶解した
後、水で希釈して100ppmの懸濁液としたもの
を用いた。 試験方法……上記懸濁液1mlを、マツクルベイン
氏緩衝液(PH6.8)2mlおよびチロシンの
300ppm水溶液2mlと混合し、この混合液にチ
ロシナーゼ(シグマ社製)30単位を添加し、37
℃の水浴中で15分間反応させた。 反応後、分光光度計(日立社製100−40型)を
用いて、475nmの吸光度を測定したところ、僅
かに0.05の増加がみられたにすぎなかつた。な
お、上記試料を添加しない対照区について同様に
測定したところ、0.5の増加がみられた。すなわ
ち、上記試験結果、甘草を酢酸エチルで抽出して
得られる画分にチロシナーゼ活性阻害能が確認さ
れる。 次に、上記試料についてチロシナーゼに対する
阻害形式を調べるために、上記反応系の基質濃度
(S)を変えて最大反応濃度を測定してラインウイー
バー・バークの式(Lineweaver−Burk
equation)によるプロツトを作図した。結果は添
付の第1図に示すとおりである。なお、比較とし
てチロシナーゼの阻害剤としてシステインを用い
た場合についても同様に測定して作図した結果を
併せて第1図に示した。 図にみられるとおり、本発明による試料では拮
抗阻害を示すプロツトが得られたのに対して、シ
ステインでは非拮抗阻害を示すプロツトが得られ
た。 実験例 2 試料……甘草から常法によりグリチルリチンを抽
出、分離した後の粕に、下記表1に示す種々の
有機溶剤を用いて抽出し、固液分離後、減圧濃
縮して得られた各ペースト状物を実験例1に記
載したと同様の手順で100ppmの懸濁液とした
ものを用いた。 試験方法……実験例1に記載したと同様な手順で
行なつてチロシナーゼ活性阻害能を測定した。
結果は表1に示すとおりである。
【表】 表1にみられるとおり、有機溶剤としてn−ヘ
キサンやn−ペンタンのような炭化水素を用いて
抽出した場合には、チロシナーゼ活性阻害能を有
する画分は得られない。 実験例 3 試料……甘草根茎の粉砕物をエタノールで抽出
し、固液分離後、減圧濃縮して得られた濃赤褐
色を呈するペースト状物を、エタノールと水の
混合液で希釈して1%溶液としたものを用い
た。 試験方法……試験管に10%ゼラチン液5mlと上記
試料1mlを収容し、これに下記表2に示す各種
タンパク分解酵素を0.1mlづつ加え、30℃で6.5
時間反応させた後、10℃に冷却したときの流動
性を観察して、タンパク分解酵素に対する活性
阻害能を調べた。結果は表2に示すとおりであ
る。
【表】
【表】 表2にみられるとおり、本発明による試料は、
プロテアーゼに対しては、酸性プロテアーゼを阻
害する。 実験例 4 試料……実験例3におけるものと同様のものを用
いた。 試験方法……新鮮な大豆をアセトンを用いて冷却
で24時間抽出して脱脂し、風乾後すりつぶし、
更に10℃に冷却した清水中で30分抽出を行な
い、得られた抽出液を遠心分離して粗酵素液を
得た。次いで、この粗酵素液100部(重量)に、
酢酸バリウム5部(重量)、アセトン10部(重
量)および塩基性酢酸鉛2部(重量)を加え、
この混合物を遠心分離して不活性部分を除去し
た後、凍結乾燥してリポキシダーゼ標品とし
た。 一方、300ml容のエルレンマイヤーフラスコに、
0.1%リノレン酸液5ml、水100mlおよびクエン酸
緩衝液(PH6.5)5mlを収容し、25℃の恒温槽に
入れ、次いで上記により調製したリポキシダーゼ
標品5mg、および上記試料0〜100ppmを上記フ
ラスコ中の混合物に加え、10分間反応させた後、
濃塩酸10mlを加えて反応を停止させた。その後反
応混合物に5%モール塩−塩酸溶液1mlを加え、
よく混合させた後、その10mlを採取し、15分後そ
れにエタノール10mlと20%ロダンアンモン10mlを
加えて発色させ、550nmで吸光度を測定し、リ
ポキシダーゼに対する阻害の有無を調べた。結果
は添付の第2図ならびに第3図に示すとおりであ
る。 第2図にみられるとおり、本発明による試料を
上記反応系に100ppm以下の僅かの量を添加する
ことにより、リポキシダーゼを強く阻害した。ま
た、第3図にみられるとおり、上記阻害形式は非
拮抗阻害であつた。 さらに、本発明では抽出溶媒の種類がチロシナ
ーゼ活性を阻害する影響について次の実験を行な
つた。 実験例 5 試料……市場より入手した甘草を破砕し、10倍量
の熱水、エタノール(95%)、ジクロルメタン
または酢酸エチルで15時間抽出した。これらを
減圧濃縮して得られた抽出物を水で希釈して
100ppmまたは200ppmの濃度に調整し試験液と
した。この際、エタノール、ジクロルメタンお
よび酢酸エチル抽出物はジメチルスルフオキシ
ド(DMSO)で2%溶液とした後水で希釈し
た。 試験方法……この液を用いて、実験例1の試験方
法と同様にしてチロシナーゼ活性を測定した。 結果は阻害率として表3に示したとおりであ
る。すなわち、ジクロメタンおよび酢酸エチル抽
出物の阻害活性はほとんど差がなく、水抽出物に
比べて非常に強いことがわかる。またエタノール
抽出物は水抽出物より相当に強い。 これらの阻害能力の差は、甘草中の水溶性成分
よりジクロルメタンなどの有機溶媒で抽出される
成分が強い阻害力をもつており、甘草からチロシ
ナーゼ阻害成分を抽出利用するためには有機溶媒
を用いるのが有利であることを示すものである。
【表】 阻害率=(1−試験O.D/対照O.D)×100(%) 対照;水またはDMSOの水溶液を試料の代わり
に添加したもの。 また、次に、抽出溶媒の種類によつて抽出物の
成分がどのように相違するかについて実験を行な
つた。 実験例 6 試験方法……実験例5で得られら甘草の水、エタ
ノール及びジクロルメタン抽出物を薄層クロマ
トグラフ(以下TLCと記す)によつて分離し
た。 TLC条件 プレート MERCK社製 HPTLC plate(濃縮ゾ
ーン付き)シリカゲルF254 サンプル量 約20μg 展開溶媒 クロロフオルム:アセトン:アンモニ
ア30:20:1(飽和) 検出装置 島津製作所製 フライングスポツトス
キヤナCS−9000 検出波長 300nm 結果を第4図に示した。 水抽出物とジクロルメタン抽出物を比較すると
水抽出物はRf値の高い(展開距離が大きい)物
質がほとんどなく、ジクロルメタン抽出物は多く
のRf値の高い成分を含んでいることがわかる。
エタノール抽出物は水抽出物とジクロルメタン抽
出物の中間的なパターンを示している。 実験例 7 次に、実験例6と同じプレートをもちいて、第
4図に示した様な2つの画分に分けて抽出し、そ
れぞれのチロシナーゼ阻害率をみた。 試験方法……甘草1%試料溶液0.1mlを5枚のプ
レート(10×20cm)に分けてチヤージし実験6
と同様に展開し、紫外線ランプによつて分離位
置を確認後かきとり、抽出、濃縮した。得られ
た濃縮物を実験1と同様にして溶解、希釈し、
元試料濃度として200ppmの試料液(5ml)を
作成した。この試料液のチロシナーゼ阻害活性
を実験例1と同様の方法で測定した。 結果は表4に示したとおりであり、熱水抽出物
は画分1、ジクロメタン抽出物は画分2がそれぞ
れ活性の主体であることが明確に示された。
【表】 さらに第5図は、甘草のジクロルメタン抽出物
から精製した活性区分のTLCクロマトグラムで
ある(サンプル量約10μg)。この画分のチロシ
ナーゼ阻害活性物は50ppm溶液の添加で100%で
あつた。第4図および第5図から有機溶媒抽出物
のチロシナーゼ活性阻害成分は、展開距離および
30〜60mmの範囲に存在し、これらの成分がジクロ
ルメタンで多量に抽出されていることがわかる。
また、発明者等が、さらに精製を重ねて単離した
極めて阻害活性の強い成分は、本条件下でいずれ
も上記範囲に存在する。 以上のように、甘草のチロシナーゼ阻害物質は
水抽出によつて効率よく抽出される物質と、有機
溶媒によつて効率的に抽出される物質が存在する
ことが明らかである。しかしながら、両阻害物質
の活性の強弱には大きい差があり、ジクロルメタ
ンを始めとする有機溶媒によつて抽出される物質
が、水によつて抽出される物質にくらべてはるか
に強い阻害を有することも明らかである。したが
つて、本発明のチロシナーゼ阻害物は、水抽出物
を用いる場合にくらべて非常に少量の添加によつ
て目的を達することが出来るものである。 さらには、水溶性成分は本発明においてはむし
ろ不要成分である。したがつて、適当な方法によ
つて水溶性成分を除くことによつて、阻害活性は
さらに増加するものである。 発明の効果 叙上のとおり、本発明に係る食品品質劣化防止
剤は、少量でチロシナーゼ、リポキシダーゼおよ
びプロテアーゼ活性に対して強い阻害効果を示
し、しかも本発明の食品品質劣化防止剤は天然物
である甘草もしくはそれからグリチルリチンを抽
出した残渣である粕からも簡易な抽出操作で安価
に取得できるので、上褐の酵素活性に起因する各
種食品の変色による品質劣化の防止に大いに役立
つものである。 また、本発明の食品品質劣化防止剤の使用に当
つては、他の公知の酵素阻害剤と併用することに
よりその効果を一そう高めることも可能である。 本発明において有機溶媒から炭化水素を除いた
のは、実験例2(表1参照)にみられるようにn
−ヘキサン、n−ペンタン等の脂肪族炭化水素を
用いて抽出を行うと酵素阻害成分の収量が低く、
阻害活性を示さないことによるものである。さら
にまた、表には示していないがベンゼン等の芳香
族炭化水素によつては、酵素阻害成分は低収量な
がら抽出されるが、溶媒の安全性の面から考える
とこのような溶媒は実用的価値がないことによる
ものである。 以下に実施例を示して本発明およびその効果を
具体的に説明する。 実施例 1 食品品質劣化防止剤の調製: 甘草根茎をハンマミルで粉砕し、この粉砕物に
アセトンを加えて常温で20時間抽出し、得られた
抽出液を固液分離して固形分を除去した後、20mm
Hgの減圧下に濃縮して濃赤褐色のペースト状の
物質を得た。収率8%。 このペースト状物質1gをエタノール10mlに溶
解して食品品質劣化防止剤とした。 食品品質劣化防止剤の効果: 剥皮したリンゴ1Kgの磨砕時に上記劣化防止剤
0.2mlを添加してリンゴジユースを作つた。この
ジユースを濾過後10℃に保存してその経時的変色
の状態を観察した。なお、比較として、上記リン
ゴの磨砕時にシステイン塩酸塩ならびに亜硫酸ナ
トリウムをそれぞれ0.2g添加した作つたジユー
ス、ならびに対照として何も添加しないで作つた
ジユースについても同様にして変色の状態を観察
した。 結果は表3に示すとおりである。
【表】 表3にみられるとおり、本発明区では、リンゴ
ジユースの変色は10日間の保存でも認められない
のに対して、対照区では数分後に赤褐色への変色
が始まり、1日後には香りも悪くなり、加熱した
ような香りになつた。一方、システイン塩酸塩添
加区では、対照より稍々遅れて変色が始まり、1
日後には対照と同様の赤褐色に変色し、また、亜
硫酸ナトリウム添加区では、添加後直ちに還元に
よりジユースは黄褐色から黄緑色に変色し、しか
も、イオウを連想させる異臭が感じられた。 因に、本発明区では10日後でも香りにも変化が
なく、新鮮さが感じられた。 実施例 2 本例は、甘草から食品品質劣化防止剤を抽出分
離し、次いでグリチルリチンを抽出、採取する例
を示したものである。 食品品質劣化防止剤の調製: 甘草根茎からの粉砕物を40℃に加温したエタノ
ールを用い18時間エタノールをポンプで循環させ
ながら抽出し、得られた抽出液を固液分離して固
形分を除去した後、減圧濃縮して濃赤褐色のペー
スト状物質を得た。収率7%。 このペースト状物質1gをエタノール10mlに再
度溶解して食品品質劣化防止剤とした。 食品品質劣化防止剤の効果: 剥皮したバナナ1Kgと水1Kgをミキサーで磨砕
する際上記劣化防止剤0.2mlを添加してバナナジ
ユースを作つた。また該劣化防止剤0.2mlとシス
テム塩酸塩ならびにアスコルビン酸の各0.2gと
の混合物をそれぞれ添加して磨砕し、同様にして
バナナジユースを作つた。 なお、比較として、システイン塩酸塩、アスコ
ルビン酸ならびに亜硫酸ナトリウムをそれぞれ
0.2g添加して磨砕することにより同様にしてバ
ナナジユースを作り、更に対照として何も添加し
ないで磨砕し、同様にしてバナナジユースを作つ
た。 これらの各バナナジユースを5℃に保存し、ジ
ユースの経時的変化の状態を観察した。 結果は表4に示すとおりである。
【表】 バナナの果実は果皮と同様に変色し易いもので
あつて、表4にみられるように対照区では短時間
で紫色に着色するが、本発明区では白褐色の自然
な感じの色になつて、10日間の保存でもそれの変
色がみられず、特にシステイン塩酸塩やアスコル
ビン酸のような公知の阻害剤を併用すると一そう
変色防止効果が向上する。 これに対し、亜硫酸ナトリウムのみの添加区で
は不自然に色が白いミルク様の色調を呈するよう
になり、しかも異臭が感じられた。また、アスコ
ルビン酸添加区では著しい変色防止効果はみられ
ず、システイン塩酸塩添加区ではほとんど効果は
認められない。 次に、甘草から上述のようにしてエタノールで
食品品質劣化防止剤を抽出した後の残渣につい
て、それから残留するエタノールを除去した後、
常法に従つてグリチルリチンを抽出したところ約
9%の収率でグリチルリチンを回収することがで
き、この収率は甘草から直接抽出した場合に比べ
て遜色がなかつた。したがつて、本発明による
と、甘草から食品品質劣化防止剤と共に甘味料と
してのグリチルリチンを併産し得る利点もある。 実施例 3 本例は、甘草から常法に従つてグリチルリチン
を抽出、分離した後の粕を出発物質として用いた
例を示したものである。 食品品質劣化防止剤の調製: 上記グリチルリチンを抽出、分離した後の粕に
アセトンを加えて常温で20時間抽出し、得られた
抽出液を固液分離して固形分を除去した後、減圧
濃縮して濃黄色のペースト状物質を得た。収率8
%。 このペースト状物質1gを90%エタノールに溶
解して10の清水中に分散させて食品品質劣化防
止剤とした。 食品品質劣化防止剤の効果: ナメコを軽く洗浄して、それに付着している塵
埃を除去し、石づきを除去したものを、予め10℃
に冷却しておいた劣化防止剤の分散液中に30分間
浸漬した後、軽く水分を切つてその200g宛をポ
リ塩化ビニル製袋に充填し、15℃の振盪器に入れ
て、石づき切り口を中心にそれの褐変状態を観察
した。 なお、対照として食品品質劣化防止剤の分散液
に浸漬することなく、そのまま上記袋に充填した
ものについて同様に観察した。結果は表5に示す
とおりである。
【表】 実施例 4 食品品質劣化防止剤の調製: 甘草の表皮を剥ぎとつて集め、粉砕したものに
クロロホルムを用いて常温で20時間抽出し、得ら
れた抽出液を減圧濃縮して、濃黄色のペースト状
物質を得た。収率4%。 このペースト状物質1gを無水エタノールに溶
解し、不溶分を除去した溶液を食品品質劣化防止
剤として用いた。 食品品質劣化防止剤の効果: 劣化防止剤を3%の食塩水5に分散させ、こ
の分散液に新鮮なクルマエビ50尾を10℃の温度下
に投入して30分間放置した。ついでクルマエビを
取り出し水を切つて20℃のインキユベータ中にて
保存して、経時的に黒変した個体数を調べた。な
お、対照として、上記と同数の新鮮なクルマエビ
を3%の食塩水に直接投入して30分間放置したも
のについても同様にして調べた。 結果は表6に示すとおりである。
【表】 実施例 5 本例は、本発明による食品品質劣化防止剤を用
いて練りワサビ中の辛味成分であるシニグリンの
パーオキシダーゼによる分解抑制の効果を示した
ものである。 食品品質劣化防止剤の調製: 実施例4に記載したと同様の手順で調製したも
のを食品品質劣化防止剤として用いた。 食品品質劣化防止剤の効果: 粉ワサビ10gに上記劣化防止剤の0.1%溶液
(実施例4参照)15mlを加えて混練りしたもの、
ならびに粉ワサビ10gに少量の水を加えて混練り
して辛味が発現した時点で上記劣化防止剤溶液15
mlで混練りしたものについて辛味保有期間を調べ
た。なお、対照として粉ワサビ10gに水15mlを加
えて混練りしたものについても同様にして調べ
た。結果は表7に示すとおりである。
【表】 【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の食品品質劣化防止剤のチロ
シナーゼに対する阻害形式を示したものであり、
第2図は、該劣化防止剤のリポキシダーゼに対す
る阻害作用を示し、第3図はその阻害形式を示し
たものである。第4図は抽出溶媒の種類を変えて
行つた甘草抽出物のクロマトグラムを示す。Aは
水抽出物、Bはエタノール抽出物、Cはジクロル
メタン抽出物を示す。第5図は甘草ジクロルメタ
ン抽出物を精製した活性画分のクロマトグラムを
示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 甘草または甘草からグリチルリチンを抽出し
    た後の粕を有機溶剤(ただし、炭化水素を除く)
    で抽出して得られる抽出画分を活性成分として含
    有する食品品質劣化防止剤。 2 甘草は、その根茎又は表皮を粉砕したもので
    ある特許請求の範囲第1項記載の食品品質劣化防
    止剤。 3 有機溶剤は、アルコール類、酢酸エステル
    類、エーテル類、ケトン類および塩素化炭化水素
    類から成る群から選択される1種もしくは2種以
    上の混合物である特許請求の範囲第1項記載の食
    品品質劣化防止剤。 4 甘草の根茎又は表皮の粉砕物あるいは甘草か
    らグリチルリチンを抽出した後の粕を、有機溶剤
    (ただし、炭化水素を除く)を用いて抽出し、得
    られた抽出物を採取すること特徴とする食品品質
    劣化防止剤の製造法。 5 有機溶剤は、アルコール類、酢酸エステル
    類、エーテル類、ケトン類および塩素化炭化水素
    類から成る群から選択される1種もしくは2種以
    上の混合物である特許請求の範囲第4項に記載の
    食品品質劣化防止剤の製造方法。 6 甘草の根茎又は表皮の粉砕物あるいは甘草か
    らグリチルリチンを抽出した後の粕を、有機溶剤
    (ただし、炭化水素を除く)を用いて抽出し、抽
    出液から有機溶媒を除去してペースト状物質を得
    ることを特徴とする食品品質劣化防止剤の製造
    法。 7 有機溶媒は、アルコール類、酢酸エステル
    類、エーテル類、ケトン類および塩素化炭化水素
    類から成る群から選択される1種もしくは2種以
    上の混合物である特許請求の範囲第6項に記載の
    食品品質劣化防止剤の製造法。
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